JP5421892B2 - 鋼板の冷却装置、熱延鋼板の製造装置及び製造方法 - Google Patents

鋼板の冷却装置、熱延鋼板の製造装置及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼板の冷却装置、熱延鋼板の製造装置及び製造方法に関し、詳しくは冷却水の排水性に優れる鋼板の冷却装置、熱延鋼板の製造装置及び製造方法に関する。
自動車用や構造材用等として用いられる鋼材は、強度、加工性、靭性といった機械的特性に優れることが求められ、これらの機械的特性を総合的に高めるには、鋼材の組織を微細化することが有効である。そのため、微細な組織を有する鋼材を得るための製造方法が数多く模索されてきている。また、組織の微細化によれば、合金元素の添加量を削減しても優れた機械的性質を具備した高強度熱延鋼板を製造することが可能となる。
組織の微細化方法としては、熱間仕上げ圧延の特に後段において、高圧下圧延を行ってオーステナイト粒を微細化するとともに鋼板に圧延歪を蓄積させ、圧延後に得られるフェライト粒の微細化を図る方法が知られている。そして、さらに、オーステナイトの再結晶や回復を抑制してフェライト変態を促進させるという観点から、圧延後のできるだけ短時間内に鋼板を600℃〜700℃まで冷却することが有効である。このための方法として、熱間仕上げ圧延に引き続き、従来よりも早く冷却することが可能な冷却装置を設置し、圧延後の鋼板を急冷することを挙げることができる。そして、このように圧延後の鋼板を急冷するには、冷却能力を高めるために、鋼板に噴射される単位面積当りの冷却水量、すなわち、流量密度を大きくすることが効果的である。
しかしながら、このように冷却水量、流量密度を大きくすると、給水と排水との関係で、鋼板上面においては該鋼板の上面に溜まる水(滞留水)が増加し、鋼板の下面側においては下面ガイドと鋼板との間の滞留水が増加することがある。このような滞留水は鋼板の冷却に使われた後の水であり、できるだけこれを早く排出し、ノズルからの供給水を鋼板に提供して冷却能力を確保したい。また滞留水は水の層であるから、これが厚いと抵抗となってノズルからの水が効果的に鋼板に届かないこともある。さらに滞留水は、鋼板中央部から端部に向けて流れ、その流速は鋼板の端部に近づくほど増加するため、滞留水の量が増加すると、鋼板の板幅方向における冷却ムラが大きくなる。
ここで鋼板の下面側に注目すると、該下面側には搬送ロールが配置され、該搬送ロール間には鋼板先端の入り込みを防止する下面ガイドが形成されている。これにより下面ガイドと鋼板下面との間に滞留水が生じやすい。
このような鋼板下面側の滞留水の抑制、すなわち排水性向上のための技術がいくつか開示されている。
例えば特許文献1には、搬送ロール間に設けられたスリットジェットと、該搬送ロール間の鋼板下面全体を覆うカバーの幅方向全体に亘ってスリットジェットの給水及び排水が可能な程度に隙間を開ける態様が開示されている。
特許文献2には、柱状噴流を給水するヘッダと鋼板下面ガイドを一体とし、鋼板下面ガイド内にノズルを設ける態様が開示されている。
特許文献3には、冷却手段としてフルコーンノズルを用いるとともに、熱延鋼板の中央にのみ幅狭のガイドを設ける態様が開示されている。
特許文献4には、下面ガイドとして幅の狭い保護板を適当な間隔で並べる、又は格子状に組み合わせた形状とする、孔を開けた板を用いる等して柱状噴流により供給された冷却水の排水を確保している態様が開示されている。
特許文献5および特許文献6には、冷却水を供給するための孔と排水するための孔とを設けることにより排水を円滑にするガイドが開示されている。
また、特許文献6では、冷却水を供給するための孔にノズルの先端を直接挿入する態様が開示されている。
特許文献7には、下面ガイドに給排水通路形成部材が設けられており、給水側と排水側とを分離して排水の円滑化を図る技術が記載されている。
特開昭58−86922号公報 特公平5−86298号公報 特許第3300594号公報 特許第3642031号公報 特許第4029871号公報 特開2010−42445号公報 特願2009−156024
しかしながら、特許文献1に記載の下面カバーでは、給排水の隙間は確保されても鋼板先端が該隙間に引っ掛かってしまう虞がある。
特許文献2に記載の下面ガイドでは、冷却水の増大、高密度化により排水が追い付かない可能性があり、排水性の向上が求められる。
特許文献3に記載の下面ガイドでは、排水性は大きく確保できるもののガイド部分の冷却が低くなり冷却ムラを生じる虞がある。
特許文献4に記載の下面ガイドでは、ノズルからの噴流が該ガイドの一部に衝突して、該噴流が乱されることによる冷却能への影響が懸念される。また、給水と排水とが干渉して冷却能を低下させてしまう虞もある。
特許文献5に記載の下面ガイドでは、特に鋼板板幅方向の噴流孔間隔が狭い場合には、十分な排水性を確保することができない。仮に鋼板板幅方向の噴流孔間隔が十分広く、排水性を確保することができても、下面ガイドの孔を通してどのように給水、排水がなされるかについては言及されていない。
特許文献6および特許文献7に記載の下面ガイドでは、給水路と排水路とが分離され、排水能力の向上が図られている。
しかしながら、特許文献6に記載の下面ガイドではガイド板自体にノズルの先端を挿入する態様であり、鋼板からの熱の影響を受けやすいことから冷却ノズルの劣化が懸念される。一方でその熱の影響を避けるために冷却ノズルと鋼板との距離を大きく取ると、噴流が鋼板の適切な位置に噴射されない等の虞があり冷却能力が大きく減衰する問題がある。
また特許文献7に記載の下面ガイドでは、噴射された冷却水の一部が下面ガイドに設けられた給水孔を通過できず、鋼板冷却に寄与しないために、冷却水の一部が無駄となる虞がある。
そこで本発明は、熱延鋼板製造ラインにおいて、鋼板の移動(通板)を阻害することなく、下面から供給される冷却水噴流の給水路形成部材に改良を加えることで、排水性に優れ、かつ冷却水の無駄を減少させることができる鋼板の冷却装置、熱延鋼板の製造装置及び製造方法を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。ここでは、わかりやすさのため図面の符号を括弧書きにて付記するが、本発明はこれに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、熱間仕上げ圧延機列(11)の最終スタンド(11g)の下工程側に配置され、搬送ロール(12)上を搬送される鋼板(1)を冷却可能に設けられた複数の冷却ノズル(21c、22c)を備える鋼板の冷却装置(20)であって、冷却ノズルは、鋼板が通過する部位の上面側及び下面側に設けられて該鋼板が通過する部位に向けて冷却水を噴射可能とされ、下面側には下面ガイド(40)が設けられ、下面ガイドは、下面側の冷却ノズルから噴射される冷却水が通過すべき流入孔(42)と、冷却水が下方に落下して排出可能に通過すべき流出孔(43)と、を有し、流入孔は鋼板搬送方向に並列されるとともに、流出孔は鋼板搬送方向に並列される隣接する流入孔の間に配置され、流入孔、及び流出孔のうち少なくとも1つには、流入孔に通じる通水路及び流出孔から通じる排水路を形成する給排水通路形成部材(45)を有し、給排水通路形成部材により形成される流入孔に通じる通水路は、冷却ノズルから噴射される噴流を囲むように形成されているとともに、通水路の壁の少なくとも一部には通水路の内外を通じる連通手段を備えており、冷却ノズルからの冷却水の噴射は流入孔に通じる通水路内に行われることを特徴とする鋼板の冷却装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鋼板の冷却装置(20)において、給排水通路形成部材(45)の一端側は流入孔(42)の縁に連結されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の鋼板の冷却装置(20)において、鋼板板幅方向両端に備えられる流入孔又は流出孔に具備される給排水通路形成部材である最端部給排水通路形成部材は、鋼板板幅方向端部側の壁を欠くことにより噴流を囲むことなく、最端部給排水通路形成部材の内外が連通していることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置(20)において、給排水通路形成部材(45)の連通手段により、通水路の内側と外側との気圧差が、連通手段を設けないときに比べて低減されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、熱間仕上げ圧延機列(11)の最終スタンド(11g)の下工程側に配置され、搬送ロール(12)上を搬送される鋼板(1)を冷却可能に設けられた複数の冷却ノズル(21c、22c)を備える鋼板の冷却装置(20)であって、冷却ノズルは、鋼板が通過する部位の上面側及び下面側に設けられて該鋼板が通過する部位に向けて冷却水を噴射可能とされ、下面側には下面ガイド(40)が設けられ、下面ガイドは、下面側の冷却ノズルから噴射される冷却水が通過すべき流入孔(42)と、冷却水が下方に落下して排出可能に通過すべき流出孔(43)と、を有し、流入孔は鋼板搬送方向に並列されるとともに、流出孔は鋼板搬送方向に並列される隣接する流入孔の間に配置され、流入孔、及び流出孔のうち少なくとも1つには、流入孔に通じる通水路及び流出孔から通じる排水路を形成する給排水通路形成部材(45’’)を有し、給排水通路形成部材により形成される流入孔に通じる通水路は、冷却ノズルから噴射される噴流を囲むように形成されているとともに、噴流の中心における流量に対して流量が50%となる位置を噴流端部とし、該噴流端部間を噴流厚さXとするとともに、通水路の壁面と噴流端部との距離をXとしたとき、少なくとも通水路出口において、
/X≦1/4
を満たし、冷却ノズルからの冷却水の噴射は流入孔に通じる通水路内に行われることを特徴とする鋼板の冷却装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置(20)において、冷却ノズル(22c)1つに対して1つの流入孔(42)が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置(20)において、流出孔(43)から通じる排水路は、下部の流路断面が上部の流路断面積より広く形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置(20)において、冷却ノズル(22c)はフラットスプレーノズルであることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、熱間仕上げ圧延機列(11)における最終スタンド(11g)と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置(20)と、を鋼板(1)の搬送方向に順に備えることを特徴とする熱延鋼板の製造装置(10)である。
請求項10に記載の発明は、熱間仕上げ圧延機列(11)における最終スタンド(11g)と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置(20)と、冷却水の水切りを行う水切り手段(13)とを、鋼板搬送方向に順に備えることを特徴とする熱延鋼板の製造装置(10)である。
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の熱延鋼板の製造装置(10)において、鋼板の冷却装置(20)が備える冷却ノズル(21c、22c)のうち、最も上工程側に配置される冷却ノズルは最終スタンド(11g)のハウジング(11gh)の内側に配置されていることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11のいずれか一項に記載の熱延鋼板の製造装置(10)において、鋼板の冷却装置(20)が備える冷却ノズル(21c)のうち、少なくとも最終スタンド(11g)に最も近い冷却ノズルの冷却水噴射口が、最終スタンドのワークロール出口に位置すべき鋼板に向けられていることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項9〜12のいずれか一項に記載の熱延鋼板の製造装置(10)を用いて、熱間仕上げ圧延機列(11)における最終スタンド(11g)で圧延された鋼板を処理する工程を含むことを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
本発明により、熱延鋼板の製造ラインにおいて、通板される鋼板をガイドすることが可能であるとともに、高流量密度、大量の冷却水を高効率、高精度に供給しつつ、適切に排水できる鋼板の冷却装置、熱延鋼板の製造装置及び製造方法を提供することができる。これにより、上記したように圧延後の急冷をさらに促進させることが可能となり、機械的特性のよい鋼板を製造することが可能となる。
1つの実施形態に係る熱延鋼板の製造装置の一部を模式的に示した図である。 図1のうち、冷却装置が配置される部分に注目して拡大した図である。 本実施形態における冷却ノズルの配置とその噴射形態について説明する図である。 上面ガイドを説明する図である。 上面ガイドの流出孔が台形である例を説明する図である。 上面ガイドの流出孔の他の例を説明する例である。 上面ガイドによる冷却水の流れを説明する図である。 上面ガイドの他の形態例を示した図である。 上面ガイドのさらなる他の形態例を示した図である。 下面ガイドを説明する図である。 下面ガイドの流出孔が台形である例を説明する図である。 下面ガイドの流出孔の他の例を説明する例である。 給排水通路形成部材による通水路を説明する図である。 下面ガイドによる冷却水の流れを説明する図である。 給排水通路形成部材の他の例を説明する図である。 給排水通路形成部材の他の例を説明する図である。 他の形態の給排水通路形成部材を説明する図である。
本発明の上記した作用および利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
図1は、1つの実施形態にかかる鋼板の冷却装置20(以下、単に「冷却装置20」と記載することがある。)、及び冷却装置20を備えた熱延鋼板の製造装置10の一部を概略的に示した図である。図1では、鋼板1は紙面左(上流側、上工程側)から右(下流側、下工程側)の方向へと搬送されており、紙面上下方向が鉛直方向である。当該上流側(上工程側)・下流側(下工程側)方向を通板方向と記載することがあり、これに直交する方向で、通板される鋼板の板幅の方向を鋼板板幅方向と記載することもある。また、以下の図において見易さのため繰り返しとなる符号の記載は省略することがある。
図1に示すように、熱延鋼板の製造装置10は、熱間仕上げ圧延機列11、冷却装置20、搬送ロール12、12、…、ピンチロール13を備えている。また図示及び説明は省略するが、熱間仕上げ圧延機列11より上流側には、加熱炉や粗圧延機列等が配置され、熱間仕上げ圧延機列11に入るための鋼板の条件を整えている。一方、ピンチロール13の下流側には他の冷却装置や巻き取り機等が設けられ、鋼板コイルとして出荷するための各種設備が配置されている。
熱延鋼板は概ね次のように製造される。すなわち、加熱炉から抽出され粗圧延機で所定の厚さまで圧延された粗バーが、温度を制御されながら連続的に熱間仕上げ圧延機列11で所定の厚さにまで圧延される。その後、冷却装置20内で急速に冷却される。ここに、冷却装置20は、熱間仕上げ圧延機列11の最終スタンド11gにおいて、圧延ロールを支持するハウジング11ghの内側から圧延ロールに極力近接するようにして設置されている。そして、ピンチロール13を通過して他の冷却装置により所定の巻き取り温度まで冷却され、巻き取り機によりコイル状に巻き取られる。
熱延鋼板の製造装置10(以下単に「製造装置10」と記載することがある。)は、上記の通り熱間仕上げ圧延機列11を備えている。本実施形態では、7機の圧延機(11a、11b、11c、…、11g)が通板方向に沿って並列されている。ぞれぞれの圧延機11a、11b、…、11gは、いわゆる各スタンドを構成する圧延機で、最終製品において必要とされる厚さ、機械的性質、表面品質等の条件を満たすことができるように圧下率等が設定されている。
次に冷却装置20について説明する。図2は、図1のうち冷却装置20が備えられた部位を拡大して示した図である。図2(a)は冷却装置20の全体が表れるように拡大した図、図2(b)は、さらに最終スタンド11gの近傍に注目した図である。冷却装置20は、上面給水手段21、21、…、下面給水手段22、22、…、上面ガイド30、30、…、下面ガイド40、40、…を備えている。
上面給水手段21、21、…は、鋼板1の上面側に冷却水を供給する手段であり、冷却ヘッダ21a、21a、…、各冷却ヘッダ21a、21a、…に複数列をなして設けられた導管21b、21b、…、及び該導管21b、21b、…の先端に取り付けられた冷却ノズル21c、21c、…を備えている。
本実施形態では、冷却ヘッダ21aは鋼板板幅方向、すなわち図2の紙面奥/手前方向に延在する配管であり、このような冷却ヘッダ21a、21a、…が通板方向に並列されている。
導管21b、21b、…は冷却ヘッダ21aから分岐する複数の細い配管であり、その開口端部が鋼板上面側に向けられている。導管21b、21b、…は、冷却ヘッダ21aの管長方向に沿って、すなわち鋼板板幅方向に複数、櫛歯状に設けられている。
各導管21b、21b、…の先端には冷却ノズル21c、21c、…が取り付けられている。本実施形態の冷却ノズル21c、21c、…は、扇状の冷却水噴流(例えば、5mm〜30mm程度の厚さ)を形成可能なフラットタイプのスプレーノズルである。図3に当該冷却ノズル21c、21c、…により鋼板表面に形成される冷却水噴流の衝突態様を概略的に示す。図3において、白丸で表したのは冷却ノズル21c、21c、…の直下の位置である。また、太線で冷却水噴流の衝突位置、形状を模式的に表している。図3には通板方向と鋼板板幅方向を併せて示している。
図3からわかるように本実施形態では、隣り合うノズル列では、鋼板板幅方向の位置をずらすように配置し、さらにその隣のノズル列と鋼板板幅方向位置が同じとなるように、いわゆる千鳥状配列としている。これにより搬送される鋼板の鋼板板幅方向における噴流の衝突領域が、ノズル列を通過するごとに均一化され、鋼板板幅方向における冷却ムラを低減させることが可能となる。
本実施形態では、鋼板表面における鋼板板幅方向の全ての位置にわたって冷却水噴流を少なくとも2回通過できるように冷却ノズルを配置した。すなわち、通板される鋼板のある点Dは、図3の直線矢印に沿って移動する。その際にノズル列Aで2回(A1、A2)、ノズル列Bで2回(B1、B2)、ノズル列Cで2回(C1、C2)、…というように、各ノズル列において当該ノズル列に属するノズルからの噴流が2回衝突する。そのために、冷却ノズルの間隔P、冷却水噴流の衝突幅L、ねじり角βの間に、
L=2P/cosβ
の関係が成り立つように、冷却ノズルを配置した。ここでは2回通過としたが、これに限定されることはなく、3回以上通過するように構成してもよい。
なお、鋼板板幅方向における冷却能の均一化を図るという観点から、通板方向で隣り合うノズル列では、互いに逆の方向に冷却ノズルを捻った。
ここで、本実施形態では、上記のように隣り合うノズル列では、互いに逆の方向に冷却ノズルを捻じった形態を説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、全てが同じ方向に捻じってある形態であってもよい。また、捻じり角(上記β)も特に限定されるものではなく、必要とされる冷却能や設備配置の納まり等の観点から適宜決定することができる。
また、本実施形態では、上記利点の観点から通板方向に隣り合うノズル列を千鳥状配列とする形態としたが、これに限定されるものではなく、冷却ノズルが通板方向に直線上に並列される形態であってもよい。
上面給水手段21が備えられる位置、特に冷却ノズル21c、21c、…が配置されるべき位置は特に限定されるものではないが、熱間仕上げ圧延機列11における最終スタンド11gの直後に、該最終スタンド11gのハウジング11ghの内側から当該最終スタンド11gのワークロール11gwに極力近接するように配置させることが好ましい。このように配置することで、熱間仕上げ圧延機列11による圧延直後の鋼板1を急冷することが可能になるとともに、鋼板1の先端部を安定して冷却装置20に誘導することができる。本実施形態では、図2からわかるように、ワークロール11gwに近い冷却ノズル21cは鉛直方向に低い位置として鋼板1に近づけて配置する。
さらに各冷却ノズル21c、21c、…の冷却水噴射口から噴射される冷却水の噴射方向は鉛直方向を基本とする一方、最終スタンド11gのワークロール11gwに最も近い冷却ノズルからの冷却水の噴射は、鉛直よりもワークロール11gwの方向に傾けられることが好ましい。これにより、鋼板1が最終スタンド11gで圧下されてから冷却が開始されるまでの時間をより一層短くし、圧延で蓄積された圧延歪が回復する時間をほぼゼロにすることも可能となる。従って、より微細な組織を有する鋼板を製造することができる。
図2に戻って下面給水手段22、22、…について説明する。下面給水手段22、22、…は、鋼板1の下面側に冷却水を供給する手段であり、冷却ヘッダ22a、22a、…、各冷却ヘッダ22a、22a、…に複数列をなして設けられた導管22b、22b、…、及び該導管22b、22b、…の先端に取り付けられた冷却ノズル22c、22c、…を備えている。下面給水手段22、22、…は、上記した上面給水手段21、21、…に対向するように設けられ、冷却水の噴射方向が異なるが、概ね上面給水手段21、21、…と同様であるのでここでは説明を省略する。
次に上面ガイド30について説明する。図4に上面ガイド30を概念的に示した。図4(a)は冷却装置20の上方から見た図で一部を破断して示している。図4(b)は側面側から見た図である。図4には冷却ノズル21c、21c、…の位置、鋼板1の位置、および図4が表す方向も併せて示している。
上面ガイド30は、板状であるガイド板31と、ガイド板31の上面側に配置された排水通路形成部35、35、…とを備えている。
ガイド板31は、板状の部材であるとともに、流入孔32、32、…及び流出孔33、33、…が設けられている。
流入孔32、32、…は上記した冷却ノズル21c、21c、…に対応する位置に設けられ、その形状も噴流の形状に対応するものとしている。従って、流入孔32、32、…は、鋼板板幅方向に並列されて流入孔列32Aを形成するとともに、該流入孔列32A、32A、…が通板方向に並列されている。ここで、流入孔の形状は特に限定されるものではなく、冷却ノズルからの噴流がガイド板にできるだけ当たらないように形成されていればよい。具体的には使用される冷却ノズルの噴流の特性にもよるが、1つの冷却ノズル21cからの単位時間当りの冷却水噴出量の10%以上は上面ガイド30のガイド板31に衝突しないように通過する形状であることが好ましい。さらに限られたスペースに効率よく流入孔32、32、…を設ける観点から、流入孔の開口形状は、冷却水噴流の横断面形状(噴出方向軸に直交する断面)に略相似形であることが好ましい。
一方、流出孔33、33、…は、矩形の孔であり、該孔は鋼板板幅方向に複数並列されて流出孔列33Aを形成している。流出孔33、33、…間にガイド板31の一部が残ることにより搬送される鋼板の先端の流出孔33、33、…への入り込みが防止され、これが鋼板侵入防止手段33s、33s、…となる。該流出孔列33A、33A、…は、上記した流入孔列32A、32A、…間に配置されている。
すなわち、ガイド板31では通板方向に沿って流入孔列32Aと流出孔列33Aとが交互に配置されている。
ここでは、流出孔33、33、…の好ましい開口形状として、上記のような並列された矩形を説明した。これにより限られたスペースで効率良く大きな開口面積を得ることができる。ただしこれに限定されるものではなく、適切な排水量を確保することができ、鋼板の引っ掛かりを防止することが可能であればよい。すなわち、流出孔の開口形状は上記した矩形に限定されるものではなく、例えば、円形や、台形を挙げることができる。そして鋼板侵入防止手段は、当該開口形状に対応した形状となる。例えば図5に示したように流出孔33’’、33’’、…を通板方向に上底下底を有する台形で形成した場合には、鋼板侵入防止手段33s’’、33s’’、…は通板方向から傾いた平行四辺形の形状とすることもできる。そしてこれにより流出孔列33A’’が形成される。
また、本実施形態では、流入孔列32Aと流出孔列33Aとが交互に配置されている例であるが、これに限定されるものではない。例えば流入孔列32A、32A間に2つ以上の流出孔列が配置されていてもよい。
図6に流出孔の変形例を示した。図6の変形例の上面ガイド30’では、流出孔33’が異なるのみで他の部位は上記した上面ガイド30と同じなので、当該同じ部位については、符号も同じものを用い、説明も省略した。上面ガイド30’の1つの流入孔33’は、幅方向に1つの長い孔33A’であるとともに、ここに網材33B’が張られている形態である。これによって流出孔を形成することもできる。網材33B’のいわゆるメッシュの細かさは冷却水の流れへの影響が少なく、かつ、ゴミ等の異物のつまりが生じ難いとの観点から5mm×5mm以上の網目であることが好ましい。
図4に戻り上面ガイド30について説明を続ける。流出孔33、33、…の縁のうち、通板方向に直交する向きの縁からは上方に向けて逆流防止片33p、33p、…が立設されている。この逆流防止片33p、33p、…は、流出孔33、33、…に入った水が再び流出孔33、33、…から元の位置へ逆流することを防止するために設けられるものである。この逆流防止片33p、33p、…を設けることで、より多くの排水量を確保することができ、排水性を向上させることが可能となる。
本実施形態では逆流防止片33p、33pは略平行に立設されているが、逆流防止片33p、33p間をその下端側より上端側が狭くなるように立設させてもよい。これにより、逆流防止片と後述する排水通路形成部の立設される片(35a、35c)との間の流路断面積を広く確保することができる。
排水通路形成部35、35、…は、図4(b)からわかるように、片35a、35b、35cにより囲まれた凹状断面を有して鋼板板幅方向に延在する部材である。排水通路形成部35は、ガイド板31の上面側から、凹状の開口部を該ガイド板31に向けて被せるように配置される。このとき、開口部、すなわち片35aと片35cとの間にガイド板31の上面の一部及び流出孔列33Aが含まれるように被せる。また、隣り合う排水通路形成部35、35、…間は所定の間隔を有し、該間隔の内側に流入孔列32A、32A、…、及び冷却ノズル21c、21c、…が配置される。
また、流出孔列33Aに対向する片35bのうち、流出孔列33A側の面には該流出孔列33Aの真上となる位置に整流片36が設けられている。整流片36の形状は、片35bに衝突する排水を後述するように逆流防止片33p、33pが設けられた排水通路の底面方向へ分離するように整流化できる形状が好ましい。例えば、逆三角形、台形、楔型やその他突起型形状を挙げることができる。
ここで、排水通路形成部35、35、…の高さは、特に限定されるものではないが、上記した上面給水手段21の導管21b、21b、…の内径をdとしたとき、5d〜20dの範囲であることが好ましい。これは導管21b、21b、…が20dより長いと圧力損失が大きくなり好ましくなく、また、5dより短いと冷却ノズルからの噴射が安定しない虞があることによる。
以上のような上面ガイド30は、図2に示したように配置される。本実施形態では3つの上面ガイド30、30、30が用いられ、これが通板方向に並列される。いずれの上面ガイド30、30、30も冷却ノズル21c、21c、…の高さ方向位置に対応するように配置されている。すなわち、本実施形態では最終スタンド11gに近い上面ガイド30では最終スタンド11g側端部が低く、他端側が高くなるように傾斜して配置されている。他の2つの上面ガイド30、30は、通板面から所定の間隔を有して該通板面と略平行に配置されている。
このような上面ガイド30により、上面ガイド30の基本的な機能であるところの鋼板先端部の通板時に該先端部が冷却ノズル等に引っ掛かる不具合を解消することができる。
さらに、上面ガイド30によれば、鋼板上面側に供給された大量の冷却水を適切に排出することが可能となる。第一に、上面給水手段21、21、…により供給された冷却水は鋼板を冷却した後その一部は板幅方向に流れ、下方に落下して排水される。しかしながら供給された冷却水量、密度が大きいと当該排水では追い付かずに滞留水が厚く形成されてしまう。これに対して上面ガイド30ではさらなる排水通路を設けることにより滞留水を薄く維持することが可能となる。詳しくは次の通りである。
図7に説明のための図を示した。図7ではわかり易さのため一部の符号を省略しているが、対応するものは図4(b)の符号を参照できる。鋼板板幅方向からの排水が追い付かない程の高い冷却水供給密度、冷却水供給量の場合には、冷却ノズル21c、21c、…からの水流も勢いが強い。かかる場合には、鋼板1の上面に噴射された冷却水は、図7に矢印Rで示したように通板方向前後にも移動し、衝突する。このような衝突が生じることにより冷却水はその向きを変え矢印Sで示したように上方に移動して流出孔33、33、…を通過し、排水通路形成部35の片35bに衝突する。このとき該片35bには上記したように楔型の整流片36が設けられ、冷却水が矢印Tで示したように方向転換される。そして整流片36により当該方向転換の抵抗が低く抑えられ、方向転換が確実かつ効率よく行われる。
これによりガイド板31の上面側に達した冷却水は図7の紙面奥/手前方向に移動して排水される。このとき流出孔33の縁には逆流防止片33p、33pが設けられているので、再び流出孔33から冷却水が戻ることを抑制している。
このように、さらなる排水手段が設けられることにより上面側に供給された冷却水が大量、高流量密度になった場合であっても滞留水を抑えることができる。また、冷却水が給水される孔と排出される孔とを分けるとともに、上記のような構造により冷却に供される冷却水と排水されるために移動し始めた冷却水とが途中で衝突することを抑えられる。これにより給排水が円滑に行われ、滞留水を薄くすることができ、冷却効率を高くすることが可能となる。
このように円滑な排水と滞留水の抑制により鋼板板幅方向における冷却ムラを小さく抑えることも可能となる。これにより均一な品質を有する鋼板を得ることができる。冷却ムラは、冷却水の板幅方向温度ムラが±30℃以内であることが好ましい。
本実施形態では、1つの流出孔列33Aに含まれる流出孔33、33、…を上面ガイド30の鋼板板幅方向全部に亘って配置したが、これに限定されることはない。例えば滞留水が厚くなる傾向が大きい鋼板板幅方向中央部付近にのみこのような流出孔を設けてもよい。
ガイド板31の上面に達した冷却水をガイド板31の幅方向両端から排水することにおいて、その排水性をさらに向上させるための構成が加えられていてもよい。例えば次のようなものを挙げることができる。
ガイド板31の上面側のうち鋼板板幅方向中央部を高く形成し、幅方向両端に向けて低くなるように傾斜を設けても良い。これによれば高低差により、冷却水がガイド板31の両端に移動しやすくなり、さらに円滑な排水を促進することができる。
また、ポンプ等を設置して強制的に排水させる、または排水通路形成部内を負圧にすることにより冷却水を排水通路形成部内に導入しやすくして排水性を向上させてもよい。
また、上面ガイド自体を上下方向に移動可能に形成し、上面ガイド30を通板に影響を与えない範囲で下方に移動することで滞留水に押しつけ、強制的に排水通路形成部内に導く構成としてもよい。
またガイド板31に設けられる流入孔33、33、…や幅方向両端部では、その縁部分(エッジ)に面取りやRを取る(エッジを円弧状に形成すること。)処理をしてもよい。これにより、通板される鋼板の引っ掛かりを減少させることや、冷却水の円滑な流動を促進することもできる。
ガイド板31の材質は、ガイドとして必要とされる強度や耐熱性を有する一般的な材料を用いることができ、特に限定されるものではない。ただし、通板される鋼板がガイド板31に接触したときの鋼板への擦り傷等を減らす目的で、強度、及び耐熱の問題が生じない部位には鋼板よりも軟質である樹脂等の材料を用いてもよい。
図8には他の形態の上面ガイド130、130’のうち図4(b)に相当する図を示した。図8(a)が上面ガイド130、図8(b)が上面ガイド130’である。ここでは上記した上面ガイド30と共通する部材については同じ符号で示し、説明も省略する。
上面ガイド130では、排水通路形成部135、135、…がガイド板31から分離して形成されている。従って、排水通路形成部135、135、…では、片35a、35a、…と逆流防止片33p、33p、…とが底板135d、135d、…により連結されるとともに、片35c、35c、…と逆流防止片33p、33p、…とは底板135e、135e、…により連結されて排水通路の底部を形成している。このように分離した上面ガイド130としてもよい。
図8(b)に表わした上面ガイド130’は、さらに逆流防止片133p’、133p’、…がガイド板31の上面側に延在している形態である。
図9にはさらなる他の形態の上面ガイド230、230’のうち図4(b)に相当する図を示した。図9(a)が上面ガイド230、図9(b)が上面ガイド230’である。ここでは上記した上面ガイド30、130と共通する部材については同じ符号で示し、説明も省略する。
上面ガイド230でも、排水通路形成部235、235、…がガイド板31から分離して形成されている。従って、排水通路形成部235、235、…では、片35a、35a、…と逆流防止片233p、233p、…とが底板235d、235d、…により連結されるとともに、片35c、35c、…と逆流防止片233p、233p、…とは底板235e、235e、…により連結されて排水通路の底部を形成している。また、逆流防止片233p、233p、…がガイド板31の上面側に延在している。上面ガイド230では、ガイド板31と排水通路形成部235、235、…との間に冷却ノズル21c、21c、…の他、ヘッダ21a、21a、…及び導管21b、21b、…もここに含んでいる。このような上面ガイド230としてもよい。
図9(b)に示した上面ガイド230’では、上記上面ガイド230において、隣り合う排水通路形成部235、235を1つの排水通路形成部235’とした。これによっても図9(b)にT’で示した排水経路を確保することができる。これによれば排水経路(T’)の流路断面積を大きく取ることが可能となる。
次に下面ガイド40について説明する。図10に下面ガイド40を概念的に示した。図10(a)は冷却装置20の上方から見た図を示している。図10(b)は側面側から見た図である。図10(a)、図10(b)には冷却ノズル22c、22c、…の位置、及び鋼板1の位置も合わせて示している。
下面ガイド40は、板状であるガイド板41と、ガイド板41の下面側に配置された給排水通路形成部材45とを備えている。
ガイド板41は、板状の部材であるとともに、流入孔42、42、…及び流出孔43、43、…を有している。
流入孔42、42、…は上記した各冷却ノズル22c、22c、…に対応する位置に設けられる。従って、流入孔42、42、…は、鋼板板幅方向に並列されて流入孔列42Aを形成するとともに、流入孔列42A、42A、…が通板方向に並列されている。1つの冷却ノズル22cに対して1つの対応する流入孔42が設けられることが好ましい。これにより給排水を適切に分離して円滑な排水が可能となる。
流入孔42、42、…の開口形状は、特に限定されるものではないが、効率よく冷却水がここを通過するために、ガイド板41に冷却ノズル22c、22c、…からの噴流ができるだけ当たらないように形成されていることが好ましい。具体的には使用される冷却ノズルの噴流の特性にもよるが、1つの冷却ノズル22cからの単位時間当りの冷却水噴出量の10%以上は下面ガイド40のガイド板41に衝突しないように通過する形状であることが好ましい。
さらに限られたスペースに効率よく当該流入孔42、42、…を設ける観点から、流入孔の開口形状は、冷却水噴流の横断面形状(噴出方向軸に直交する断面形状)に略相似形であることが好ましい。
一方、流出孔43、43、…は、矩形の孔であり、該孔は鋼板板幅方向に複数並列されて流出孔列43Aを形成している。流出孔43、43、…間にガイド板41の一部が残ることにより搬送される鋼板の先端の流出孔43、43、…への入り込みが防止され、これが鋼板侵入防止手段43s、43s、…となる。該流出孔列43A、43A、…は、上記した流入孔列42A、42A、…間に配置されている。
すなわち、ガイド板41では通板方向に沿って流入孔列42Aと流出孔列43Aとが交互に配置されている。
流出孔43、43、…の通板方向大きさLg(m)は、適切な排水が可能となれば特に限定されるものではないが、例えば次の式(1)を満たすように形成することもできる。
α・W・H≦(Lg・W−N・Lg・Wg)/2 (1)
ここで、Wは下面ガイド40の板幅方法の大きさ(m)、Hは下面ガイド40の上面と通板される鋼板1の下面との距離(m)、Wgは鋼板侵入防止手段43sの板幅方向の大きさ(m)、Nは鋼板侵入防止手段43sが板幅方向に配置される数をそれぞれ表わしている。αは係数でありα=0.5程度が好ましい。
これによれば、式(1)の右辺は流出孔43、43、…の合計の開口面積を表わし、左辺は、噴流が噴射された後に流出孔43、43、…に達する間に冷却水が移動する通路(下面ガイド40の上面と鋼板1の下面との間)の流路断面積を表わす。そして右辺である流出孔43、43、…の合計の開口面積を左辺の流路断面積から決まる面積以上にすることにより、排水抵抗を小さく抑えることができる。
ガイド板41の材質は、ガイドとして必要とされる強度や耐熱性を有する一般的な材料を用いることができ、特に限定されるものではない。ただし、通板される鋼板がガイド板41に接触したときの鋼板への擦り傷等を減らす目的で、強度、及び耐熱の問題が生じない部位には鋼板よりも軟質である樹脂等の材料を用いてもよい。
またガイド板41に設けられる流入孔42、42、…、流出孔43、43、…では、その縁部分(エッジ)に面取りやRを取る(エッジを円弧状に形成すること。)処理をしてもよい。これにより、通板される鋼板の引っ掛かりを減少させることや、冷却水の円滑な流動を促進することもできる。
ここでは、流出孔43、43、…の好ましい開口形状として、上記のような並列された矩形を説明した。これにより限られたスペースで効率良く大きな開口面積を得ることができる。ただしこれに限定されるものではなく、適切な排水量を確保することができ、鋼板の引っ掛かりを防止することが可能であればよい。すなわち、流出孔の開口形状は上記した矩形に限定されるものではなく、例えば、円形や、台形を挙げることができる。そして鋼板侵入防止手段は、当該開口形状に対応した形状となる。例えば図11に示したように、流出孔43’’、43’’、…を通板方向に上底下底を有する台形で形成した場合には、鋼板侵入防止手段43s’’、43s’’、…は通板方向から傾いた平行四辺形の形状とすることもできる。そしてこれにより流出孔列43A’’が形成される。
また、本実施形態では、流入孔列42Aと流出孔列43Aとが交互に配置されている例であるが、これに限定されるものではない。例えば流入孔列42A、42A間に2つ以上の流出孔列が配置されていてもよい。
図12に流出孔の変形例を示した。図12の変形例の下面ガイド40’では、流出孔43’が異なるのみで他の部位は上記した下面ガイド40と同じなので、当該同じ部位については、符号も同じものを用い、説明も省略した。下面ガイド40’の1つの流入孔43’は、幅方向に1つの長い孔43A’であるとともに、ここに網材43B’が張られている形態である。これによって流出孔を形成することもできる。網材43B’のいわゆるメッシュの細かさは冷却水の流れへの影響が少なく、かつ、ゴミ等の異物のつまりが生じ難いとの観点から5mm×5mm以上の網目であることが好ましい。
図10に戻り、給排水通路形成部材45について説明する。また、図13には、給排水通路形成部材45及びここを通過する噴流を上斜めから見た図を示した。
給排水通路形成部材45は、流入孔列42Aとこれに隣接する流出孔列43A、43Aとの境界部分のうち、ガイド板41の下面側から垂下して通板方向及び鋼板板幅方向に並列される板状の部材が組み合わされて形成された部材である。このような板状の部材が組み合わされることにより、通板方向及び鋼板板幅方向に並列された複数の筒状の空間が形成されている。すなわち、当該筒状の内側空間を冷却水噴流が通過し、その外側を排水が通過することにより、給水路と排水路とを分けることができる。さらに詳しくは次の通りである。ここでは1つの筒状空間を形成する部材について説明する。
給排水通路形成部材45は、図13からわかるように、板状部材45a、45b、45c、45dを備え、これが組み合わされて筒状の流通路を形成している。そして筒状の上端開口部には流入孔42が配置される。そして通板方向に隣り合う給排水通路形成部材45、45間の上端部に流出孔43、43及び鋼板侵入防止手段43s、43sが配置される。
本実施形態では、図10(b)からわかるように、ガイド板41の鋼板侵入防止手段43s、43s、…は若干下方に厚く形成されている。そして、板状部材45a、45bの上端部が、ガイド板41の下面及び当該鋼板侵入防止手段43s、43sの厚く形成された側面に溶接により取り付けられている。一方、板状部材45c、45dは、板状部材45a、45bに溶接により固定される。これにより、給排水通路形成部材45の上端部は流入孔43の縁に沿ってガイド板41に連結されている。
本実施形態では溶接により取り付けられている形態を説明したが、ネジなどの固定手段や接着剤による固定であってもよく、特に限定されるものではない。また、ここではガイド板41と給排水通路形成部材45とは一体化しているが、必ずしも一体化している必要もない。ただし、給排水通路形成部材は、給水路と排水路とを形成する部材であるから、できるだけ給水路と排水路とを連通するような間隙はない方が好ましく、かかる観点から本実施形態では溶接により一体化したものを説明した。
また、図13からわかるように、噴流のうちのより広い面となる面に対向する板状部材45c、45dには、いわゆるパンチングメタルが適用されて筒状の内外が連通されるように形成されている。この理由については後で詳しく説明する。
給排水通路形成部材45は、その下端部(筒状である下端開口部)側の間隔が狭く形成されており、ここに冷却ノズル22cが配置される。これに伴って隣り合う給排水通路形成部材45、45間において、図10(b)にVで示したようにその下端部の間隔が広く形成されている。このような形状は冷却ノズル22c、22c、…からの噴流水の形状に合わせるように形成されていることが好ましい。
以上のような下面ガイド40は、図2に示したように配置される。本実施形態では4つの下面ガイド40、40、…が用いられ、搬送ロール12、12、12間のそれぞれに配置される。いずれの下面ガイド40、40、…も搬送ロール12、12、…の上端部に対してあまり低くならない高さに配置される。
このような下面ガイド40により、下面ガイド40の基本的な機能である、鋼板先端部が搬送ロール12、12間に引っ掛かる不具合を解消することができる。
さらに、下面ガイド40によれば、鋼板下面側に供給された大量の冷却水を適切に排出することが可能となる。詳しくは次の通りである。
図14に説明のための図を示した。図14では図面の見易さのため符号を一部省略しているが、対応するものは図10の符号を参照することができる。
冷却ノズル22cから噴射された冷却水は、板状部材45a、45b、45c、45dにより囲まれる筒状の内側を通り、流入孔42から鋼板1の下面に達し、該鋼板1を冷却する(図14(b))。その後冷却水はガイド板41の上面を図14(a)に直線矢印で示した方向に移動し、図14(b)に直線矢印で示したように流出孔43、43から下方に落下して排水される。
このように、給水のための孔と排水の孔とが分けられるのみでなく、給水のための通水路と、排水のための排水路も分けられているので、冷却に供される冷却水と排水とが途中で衝突することを抑えられる。これにより、給排水が円滑に行われ、滞留水を抑えることができ、冷却効率を高くすることが可能となる。特に冷却ノズル22c、22c、…が給排水通路形成部材45の直下にあるため、排水のための通路が冷却ノズル22c、22c、…の左右近傍まで延在し、当該排水の冷却ノズル22c、22c、…への影響を抑えることができる。
下面ガイドにおいて、下面給水手段により供給された冷却水のうち80%以上を流出孔から排水することが好ましい。これにより非常に高い冷却効率を確保することができる。
また、このように円滑な排水と滞留水の抑制により鋼板板幅方向における冷却ムラを小さく抑えることも可能となる。これにより均一な品質を有する鋼板を得ることができる。冷却ムラは、冷却水の鋼板板幅方向温度ムラが±30℃以内であることが好ましい。
鋼板板幅方向については、板状部材45c、45d(図13参照)が流入孔42へ滑らかに接続されていることにより、板状部材45c、45dがない場合と比較して、噴流がガイド板41の下面に衝突、飛散することなく、噴流を流入孔42へ無駄なく導いて鋼板1へ供給することができる。これにより冷却水の利用効率を高くすることが可能となる。
次に、図13に表れているように、給排水通路形成部材45の板状部材45c、45dに孔が設けられる理由について説明する。
仮に板状部材45c、45dでなく、単なる板状の部材である板材をここに配置すると、噴流と板材との間の圧力(気圧)が低下し、噴流が板材に引き寄せられる。噴流が板材間の中心を正確に通過すれば、噴流が板材に引き寄せられる力が等しくなるため噴流は直進する。ところが、実際には製造上の公差、装置の振動等により、噴流が板材間の中心を正確に通過し続けることはあり得ず、必ず板材のどちらかに接近する。一度どちらかの板材に接近してしまうと、噴流と板材壁面との間の圧力はさらに低下し、噴流はさらにその板材に移動する。そして最終的には板材の壁面側に引き寄せられ、噴流に曲がりが生じてしまう。この効果はコアンダ効果として知られている。コアンダ効果により噴流に曲がりが生じると、本来噴射すべき噴流の鋼板に対する位置と、実際に噴射される位置とが異なり、大きな冷却ムラを生じる虞がある。
これに対して、本実施形態の給排水通路形成部材45によれば、板状部材45c、45dに設けられた孔により板状部材45c、45dを挟んで給水のための通水路内側と外側とで気圧を概ね等しくすることができ、通水路内の気圧の低下を防止することができる。すなわち、コアンダ効果が生じる原因を根本的に解消することが可能となる。これにより噴流の曲がりを抑えることが可能となる。
従って、本実施形態によれば、冷却ノズルと鋼板との位置を離隔しても鋼板の適切な位置に冷却水を噴射することができる。これにより冷却ノズルを熱等に起因する劣化から保護することも可能である。また、噴流が広がりを有するスプレー形態の場合には、ノズルと鋼板とをある程度離隔させることによって広い範囲の冷却が可能となるので、本実施形態の効果がさらに顕著なものとなる。
従って、板状部材にはこのような連通手段が設けられていればよく、実施形態のような円形孔の他、矩形、三角形、多角形等の孔でもよく、縦又は横のスリットであってもよい。
図15には、変形例にかかる給排水通路形成部材45’を示した。給排水通路形成部材45’では、噴流のうち広い面に対向する板状部材45c’、45d’が、噴流の下流側にのみ設けられている。これにより、噴流を適切に流出孔に導くことができる。本変形例では、上記コアンダ効果により板状部材45c’、45d’への若干の引き寄せがあるが、板状部材45c’、45d’を上部のみに限ったため、噴流に大きな曲がりは生じない。
また、板状部材45c’、45d’に板状部材45c、45d同様の連通手段を設け、噴流の曲がりを抑えることも可能である。
図16には、さらに他の変形例にかかる給排水通路形成部材45’’を示した。給排水通路形成部材45’’は、板状部材45a、45b、45c’’、45d’’が上記と同様に筒状を形成するように配置されている。また、給排水通路形成部材45’’では、噴流のうち広い面に対向する板状部材45c’’、45d’’に連通手段も設けられていない。ただし、給排水通路形成部材45’’では、図16にXで示したように、給水の通水路において板状部材45c’’と板状部材45d’’との間隔を狭くし、図16にXで示した噴流厚さと概ね同じ程度としている。具体的には、噴流の中心における流量に対して流量が50%となる位置を噴流端部とし、その端部間を噴流厚さXとするとともに、板状部材45c’’、45d’’と当該噴流端部との距離をXとしたとき、次式(2)を満たすことが好ましい。
/X≦1/4 (2)
ここで、通水路の通水方向全長に亘って式(2)を満たしている必要はなく、通水路の少なくとも出口においてこれを満たしていればよい。ただし、通水路の形状はできるだけ噴流の形状に沿ったものであることが好ましい。これにより噴流と板状部材との間に不要な空間が生じることが防止され、より効率よくコアンダ効果に起因する噴流の曲がりを防止することができる。
すなわち、給排水通路形成部材45’’によれば、上記コアンダ効果により板状部材45c’’、45d’’に噴流が引き寄せられたとしても、噴流の曲がりは小さく抑えられ、目標とする鋼板の位置へ噴流を導くことができる。
また、噴流と板状部材との接触及び摩擦を抑制する観点から、次式(3)を満たすことがさらに好ましい。
/X<1/4 (3)
なお、上記した本実施形態では、冷却ノズル1つに対し、給排水通路形成部材の筒状体が1つ割り当てられる例を説明したが、これに限定されることなく、1つの筒状体に複数の冷却ノズルが割り当てられるように筒状体を形成してもよい。この場合、冷却ノズル1つに対して給排水通路形成部材の筒状体が1つ割り当てられる上記実施形態に比べてガイド板41の下面に衝突、飛散する噴流の水量は増加する。しかしながら給排水通路形成部材を設けない場合と比較すると、当該衝突、飛散する噴流の水量を減少させることができ、冷却水の利用効率を高くすることが可能となる。
また、鋼板板幅方向の両端部に配置される冷却ノズルに対しては、給排水通路形成部材の板状部材45c、45dのうち、鋼板板幅方向外側に配置される板状部材45c、又は板状部材45dは備えられることなく開放された形態を有する最端部給排水通路形成部材を設けてもよい。これは、鋼板板幅方向両端に備えられる冷却ノズルではこれより外側に冷却ノズルが配置されないことから、必ずしも四周を囲む通水路を必要としないからである。
以上説明した実施形態では、給水の通路を形成する板状部材45a、45b、45c、45dで囲まれる筒状体の下端部の間隔が狭く形成され、これに伴って排水の通路を形成する板状部材45a、45b間の下端部は間隔が広く形成されている。これにより排水路の拡張がされ、排水がさらに円滑に行われる。ただし、給排水通路形成部材の板状部材は必ずしもこのように傾斜している必要はなく、鉛直下方に垂下していてもよい。図17にその例の下面ガイド140を示す。図17は図10に相当する図であり、板状部材145a、145bが鉛直下方に延在する給排水通路形成部材145以外は下面ガイド40と同じである。このような下面ガイドであってもよい。
また以上では、複数の流入孔及び流出孔の全てについて給排水通路形成部材を設けることを説明したが、必ずしもこれに限定されることなく、少なくとも1つの流入孔及び流出孔に対して給排水通路形成部材が設けられていればよい。以上の実施形態のように全ての流入孔及び流出孔について給排水通路形成部材が設けられることにより最も顕著な効果を奏するが、その数が少なくても給排水通路形成部材を設けていない場合に比べると上記した効果を奏する。他の設備との配置の関係等により、一部の流入孔及び流出孔については給排水通路形成部材が設けられないこともあるからである。
図2に戻って熱延鋼板の製造装置10について説明を続ける。搬送ロール12、12、…は、鋼板1のテーブルであるとともに該鋼板1を通板方向に搬送するロールである。上記したように搬送ロール12、12、…間に下面ガイド40、40、…が配置される。
ピンチロール13は、水切りを兼ねており、冷却装置20の下流側に設けられている。これにより、冷却装置20内で噴射された冷却水が鋼板1の下流側へと流出することを防止することが可能になる。さらには、冷却装置20における鋼板1の波打ちを抑制して、特に、鋼板1の先端が巻き取り機に噛み込む前の時点における鋼板1の通板性を向上させることができる。ここでピンチロール13のロールのうち上側のロール13aは図2(a)に示したように上下に移動可能とされている。
以上により、熱延鋼板製造ラインにおいて、鋼板の移動(通板)を阻害することなく、高い流量密度、大量の冷却水を供給しても排水性に優れた冷却装置、熱延鋼板の製造装置を提供することができる。そしてこれにより機械的特性に優れた熱延鋼板を製造することが可能となる。
以上のような上面ガイド、下面ガイドによる冷却水の排水において、具体的な排水性能については、必要とされる鋼板の冷却熱量により適宜決められるものであり特に限定されない。ただし、上記したように、鋼板組織の微細化の観点から、圧延直後の急冷が効果的であり、そのために供給密度の高い冷却水が供給されることが好ましい。従って、上面ガイド、下面ガイドにおける排水も当該冷却水の供給量、流量密度に対応する排水性能を確保することできればよい。上記鋼板の微細化の観点から、供給される冷却水の流量密度は、10〜25m/(m・分)を挙げることができる。これより大きい流量密度でもよい。
本実施形態では好ましい形態として上記の上面ガイドと下面ガイドの両方を備える冷却装置、製造装置について説明したが、これに限定されるものではなく、上記の下面ガイドを適用するとともに、上面ガイドは従来のものを用いてもよい。
上記した熱延鋼板の製造装置により例えば次のように鋼板の製造をおこなう。すなわち、鋼板が巻き取り機により巻き取られ、次の鋼板1の圧延が開始されるまでの非圧延時間では冷却装置20における冷却水の噴射は停止される。そして、冷却装置20の下流側のピンチロール13は、上記非圧延時間中に、冷却装置20の上面ガイド30よりも高い位置まで上側ロール13aが移動され、その後、次の鋼板の圧延が開始される。
当該次の鋼板の先端が熱間仕上げ圧延機列11の最終スタンド11gに噛み込む数秒前に、冷却装置20の冷却水の噴射が開始され、鋼板の先端が冷却装置20を通過した直後に冷却水の噴射圧力がほぼ所定値となるように制御される。また、鋼板1の先端がピンチロール13を通過した直後に上側ロール13aを下降させ、鋼板1のピンチを開始する。
鋼板1の先端が冷却装置20内へと搬送される前から冷却水の噴射を開始することで、鋼板先端における非定常冷却部の長さを短くすることが可能になるほか、噴射される冷却水により、鋼板1の通板性を安定化させることが可能になる。すなわち、鋼板1が浮き上がって上面ガイド30へと近づこうとする場合には、鋼板1が冷却ノズル21c、21c、…より噴射される冷却水噴流から受ける衝突力が増し、鋼板1に鉛直方向下向きの力が作用する。そのため、鋼板1が上面ガイド30へと衝突した場合であっても、冷却水噴流から受ける衝突力によりその衝撃力が緩和されるとともに、鋼板1と上面ガイド30との摩擦熱が低減されるため、鋼板表面に生じる擦り疵を低減することが可能になる。
従って、このように操業される冷却装置20を熱間仕上げ圧延機列11の下流側に備える熱延鋼板の製造装置により、熱延鋼板を製造すれば、高密度、大量の冷却水を用いて冷却することが可能になる。すなわち、かかる製造方法により熱延鋼板を製造することで、組織が微細化された熱延鋼板を製造することが可能になる。
また、熱間仕上げ圧延機列での通板速度は通板開始部分を除いて一定としてもよい。これにより、鋼板全長に亘って機械的強度が高められた鋼板を製造することができる。
以上、現時点において実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う鋼板の冷却装置、熱延鋼板の製造装置及び製造方法も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
1 鋼板
10 製造装置
11 圧延機列
11g 最終スタンド
12 搬送ロール
13 ピンチロール
20 冷却装置
21 上面給水手段
21a 冷却ヘッダ
21b 導管
21c 冷却ノズル
22 下面給水手段
22a 冷却ヘッダ
22b 導管
22c 冷却ノズル
30 上面ガイド
31 ガイド板
32 流入孔
32A 流入孔列
33 流出孔
33A 流出孔列
33p 逆流防止片
35 排水通路形成部
36 整流片
40 下面ガイド
41 ガイド板
42 流入孔
42A 流入孔列
43 流出孔
43A 流出孔列
45 給排水通路形成部材
45a 板状部材
45b 板状部材
45c 板状部材
45d 板状部材

Claims (13)

  1. 熱間仕上げ圧延機列の最終スタンドの下工程側に配置され、搬送ロール上を搬送される鋼板を冷却可能に設けられた複数の冷却ノズルを備える鋼板の冷却装置であって、
    前記冷却ノズルは、前記鋼板が通過する部位の上面側及び下面側に設けられて該鋼板が通過する部位に向けて冷却水を噴射可能とされ、
    前記下面側には下面ガイドが設けられ、
    前記下面ガイドは、前記下面側の冷却ノズルから噴射される前記冷却水が通過すべき流入孔と、前記冷却水が下方に落下して排出可能に通過すべき流出孔と、を有し、
    前記流入孔は前記鋼板搬送方向に並列されるとともに、前記流出孔は前記鋼板搬送方向に並列される隣接する前記流入孔の間に配置され、
    前記流入孔、及び前記流出孔のうち少なくとも1つには、前記流入孔に通じる通水路及び前記流出孔から通じる排水路を形成する給排水通路形成部材を有し、
    前記給排水通路形成部材により形成される前記流入孔に通じる前記通水路は、前記冷却ノズルから噴射される噴流を囲むように形成されているとともに、前記通水路の壁の少なくとも一部には前記通水路の内外を通じる連通手段を備えており、
    前記冷却ノズルからの冷却水の噴射は前記流入孔に通じる通水路内に行われることを特徴とする鋼板の冷却装置。
  2. 前記給排水通路形成部材の一端側は前記流入孔の縁に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼板の冷却装置。
  3. 前記鋼板板幅方向両端に備えられる流入孔又は流出孔に具備される前記給排水通路形成部材である最端部給排水通路形成部材は、前記鋼板板幅方向端部側の壁を欠くことにより前記噴流を囲むことなく、前記最端部給排水通路形成部材の内外が連通していることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板の冷却装置。
  4. 前記給排水通路形成部材の前記連通手段により、前記通水路の内側と外側との気圧差が、前記連通手段を設けないときに比べて低減されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置。
  5. 熱間仕上げ圧延機列の最終スタンドの下工程側に配置され、搬送ロール上を搬送される鋼板を冷却可能に設けられた複数の冷却ノズルを備える鋼板の冷却装置であって、
    前記冷却ノズルは、前記鋼板が通過する部位の上面側及び下面側に設けられて該鋼板が通過する部位に向けて冷却水を噴射可能とされ、
    前記下面側には下面ガイドが設けられ、
    前記下面ガイドは、前記下面側の冷却ノズルから噴射される前記冷却水が通過すべき流入孔と、前記冷却水が下方に落下して排出可能に通過すべき流出孔と、を有し、
    前記流入孔は前記鋼板搬送方向に並列されるとともに、前記流出孔は前記鋼板搬送方向に並列される隣接する前記流入孔の間に配置され、
    前記流入孔、及び前記流出孔のうち少なくとも1つには、前記流入孔に通じる通水路及び前記流出孔から通じる排水路を形成する給排水通路形成部材を有し、
    前記給排水通路形成部材により形成される前記流入孔に通じる前記通水路は、前記冷却ノズルから噴射される噴流を囲むように形成されているとともに、前記噴流の中心における流量に対して流量が50%となる位置を噴流端部とし、該噴流端部間を噴流厚さXとするとともに、前記通水路の壁面と前記噴流端部との距離をXとしたとき、少なくとも前記通水路出口において、
    /X≦1/4
    を満たし、
    前記冷却ノズルからの冷却水の噴射は前記流入孔に通じる通水路内に行われることを特徴とする鋼板の冷却装置。
  6. 前記冷却ノズル1つに対して1つの前記流入孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置。
  7. 前記流出孔から通じる排水路は、下部の流路断面が上部の流路断面積より広く形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置。
  8. 前記冷却ノズルはフラットスプレーノズルであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置。
  9. 熱間仕上げ圧延機列における最終スタンドと、請求項1〜8のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置と、を鋼板搬送方向に順に備えることを特徴とする熱延鋼板の製造装置。
  10. 熱間仕上げ圧延機列における最終スタンドと、請求項1〜8のいずれか一項に記載の鋼板の冷却装置と、冷却水の水切りを行う水切り手段とを、鋼板搬送方向に順に備えることを特徴とする熱延鋼板の製造装置。
  11. 前記鋼板の冷却装置が備える冷却ノズルのうち、最も上工程側に配置される冷却ノズルは前記最終スタンドのハウジングの内側に配置されている請求項9又は10に記載の熱延鋼板の製造装置。
  12. 前記鋼板の冷却装置が備える冷却ノズルのうち、少なくとも前記最終スタンドに最も近い前記冷却ノズルの冷却水噴射口が、前記最終スタンドのワークロール出口に位置すべき鋼板に向けられていることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の熱延鋼板の製造装置。
  13. 請求項9〜12のいずれか一項に記載の熱延鋼板の製造装置を用いて、熱間仕上げ圧延機列における最終スタンドで圧延された鋼板を処理する工程を含むことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
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