JP5421076B2 - リチウム空気電池 - Google Patents

リチウム空気電池 Download PDF

Info

Publication number
JP5421076B2
JP5421076B2 JP2009259581A JP2009259581A JP5421076B2 JP 5421076 B2 JP5421076 B2 JP 5421076B2 JP 2009259581 A JP2009259581 A JP 2009259581A JP 2009259581 A JP2009259581 A JP 2009259581A JP 5421076 B2 JP5421076 B2 JP 5421076B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithium
surfactant
air battery
fatty acid
battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009259581A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011108388A (ja
Inventor
政彦 林
浩伸 蓑輪
雅也 高橋
セティアワティ エリ
尊久 正代
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2009259581A priority Critical patent/JP5421076B2/ja
Publication of JP2011108388A publication Critical patent/JP2011108388A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5421076B2 publication Critical patent/JP5421076B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

本発明は、鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの従来の二次電池よりも小型・軽量でかつ遙かに大きい放電容量を実現できるリチウム空気電池に関する。
正極活物質として空気中の酸素を用いるリチウム空気電池は、電池外部から常に酸素が供給され、電池内に大量の負極活物質である金属リチウムを充填することができるため、非常に大きな放電容量を示すことが報告されている。
例えば、非特許文献1では、溶質として1mol/l(モル/リットル)の六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、有機溶媒として炭酸プロピレン(PC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)の混合溶媒を用いて、電解液を作製し、リチウム空気(酸素)電池の評価を行っている。
また、非特許文献2では、電解液として、溶質に1mol/lのLi(CFSON(以下、LiTFSIと表記)を、有機溶媒に炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)の混合溶媒を用いて、リチウム空気電池を作製し、評価を行っている。
いずれの文献でも、作製された電池は空気電池として作動し、前者では約700mAh/gの、後者では約1800mAh/gの放電容量が得られている。
J.Read et al.,Journal of The Electrochemical Society,Vol.150,pp.A1351−A1356(2003). A.K.Thapa、西面和希、松本広重、石原達己、電気化学会第76回大会講演要旨集、3P23,pp.383(2009).
しかしながら、これらの文献で用いられている有機溶媒は、揮発性があるとともに、水との混和性もあるために、長期作動では安定性に課題があると考えられる。つまり、長期の電池作動時には、正極側から電解液が揮発することによって電池抵抗が増大し、または、水分が電池内部に浸入することによって負極である金属リチウムが腐食されることが予想される。これらの現象は、空気電池の長時間放電という特徴を損ねる要因となると考えられる。
そこで本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は電解液の減少や水分の混入などを抑制して長期に亘って安定作動が可能な新規なリチウム空気電池を供することである。
上述した課題を解決し目的を達するために本発明は、カーボンを含むガス拡散型酸素電極からなる正極と、金属リチウムまたはリチウム含有物質を含む負極と、有機電解液とを有し、当該有機電解液に、脂肪酸系または高級アルコール系あるいはアルキルフェノール系の非イオン性界面活性剤を少なくとも1種添加したことを特徴とするリチウム空気電池である。
そして、前記脂肪酸系非イオン性界面活性剤として、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、のいずれかを用い、前記高級アルコール系非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを用い、前記アルキルフェノール系非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを用いることが好ましい。
このように有機電解液に界面活性剤を添加したことにより、当該有機電解液の揮発抑制または液漏れ防止あるいは前記負極腐食防止または過電圧低減のいずれか1つ以上を達成できるため、有機電解液の性質が改良されて電池の長期安定作動を達成することができる。
また、界面活性剤を添加することにより、正極であるガス拡散型酸素電極の有機電解液に対する濡れ性を向上させ、酸素還元(放電)・酸素発生(充電)の電極反応に対する過電圧を低減し、結果として、放電電圧、放電容量、充放電特性などの電池特性の改善に寄与することができる。
また、界面活性剤の添加により、電解液に水分が浸入した場合においても、水分を界面活性剤が直ちに取り囲み、逆ミセル(w/oマイクロエマルション)が形成され、水分の金属リチウム負極への接触を防止し、同負極の腐食を著しく抑制することが可能となる。
このように逆ミセルが形成されるためには、前記界面活性剤の有機電解液への添加量が、臨界ミセル濃度以上であることが必要であり、この条件を満たすとき、リチウム空気電池は湿潤雰囲気下においても優れた長期安定性を示す。
そして、界面活性剤の種類にもよるが次述するような一般的な界面活性剤の場合、その添加量が前記有機電解液全体で0.005重量%以上であれば、前記の臨界ミセル濃度以上とすることができる。
また、この界面活性剤としては、水中で解離したときに陽イオンとなるカチオン性界面活性剤、同じく陰イオンとなるアニオン性界面活性剤、分子内にアニオン部位とカチオン部位を有する両性界面活性剤、イオン化しない非イオン性界面活性剤があるが、非イオン性界面活性剤を用いる。
すなわち、カチオン性、アニオン性、もしくは両性界面活性剤を用いた場合、リチウム塩と界面活性剤がクーロン引力により互いに干渉するため、電解液の導電率は低下し、良好な電池特性は得られないことがあるが、非イオン性界面活性剤は、電解液中で解離したリチウム塩の各部位(例えば、Li,PF ,ClO )との干渉が少ないため、他の界面活性剤のような電解液の導電率の減少による電池特性の低下を招くことがないからである。
以上説明したように、本発明によれば、界面活性剤を添加した有機電解液を用いることによって、長期安定性に優れた高性能なリチウム空気電池を供することができる。
本発明に係るリチウム空気電池100の基本的な構成を示す図である。 (A)は本発明に適用する界面活性剤の構造を示す図、(B)は、水分を界面活性剤が直ちに取り囲み、逆ミセルが形成された状態を示す図である。 本実施例で使用したリチウム空気電池セルの構造を示す断面図である。 実施例1に係るリチウム空気電池の放電曲線を示す図である。
次に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係るリチウム空気電池100の基本的な構造を示したものである。
図示するようにこのリチウム空気電池100は、カーボンを主体とするガス拡散型酸素電極を正極10として用い、負極20として金属リチウムまたはリチウム含有物質を使用し、前記正極10と前記負極20の間に有機電解液30が配置される構造を有している。
そして、負極20の金属リチウム(Li)が有機電解液30中に溶解してリチウムイオン(Li+e)となって正極10に到達し、正極10内に侵入してきた空気中の酸素(O)と反応して酸化リチウム(LiO)となることで放電がなされる。また、両電極間に高電圧をかけて生成した酸化リチウムを還元することで充電がなされるようになっている。
この正極10の構成材料であるカーボンは、例えばケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類、活性炭類、グラファイト類、カーボン繊維類などを用いることができるが、正極10中の反応サイトを十分に確保するために表面積が大きなものが適しており、具体的にはBET比表面積で300m/g以上の値を有しているものが望ましい。
また、この正極10中には、酸素還元(放電)および酸素発生(充電)の両反応に高活性な触媒が添加される。該触媒としては、Pt、Ag、Ruなどの貴金属を用いることができる。また、より低コストな触媒として、構造中に遷移金属のMn、Fe、Co、Ni、V、W等の少なくとも一つを含む酸化物も好適であり、具体的には、MnO、Mn、MnO、FeO、Fe、FeO、CoO、Co、NiO、NiO、V、WOなどの単独酸化物や、La0.6Sr0.4MnO、La0.6Sr0.4FeO、La0.6Sr0.4CoO、La0.6Ca0.4CoO、Pr0.6Ca0.4MnO、LaNiOなどのペロブスカイト型構造を有する複合酸化物などを用いることができる。
これら触媒の合成手法としては、三相界面サイトを多量に電極触媒表面に生成するために微粒子かつ高表面積な触媒を用いることが望ましいため、貴金属については、ナノサイズの粒子からなる貴金属コロイドを用いる吸着法を用いたり、酸化物触媒については、固相法や液相法などの公知のプロセスを用いることができるが、使用する触媒は高表面積であることが望ましく、焼成後の比表面積が10m/g以上であることが好適であるため、金属酢酸塩や金属硝酸塩の混合水溶液の蒸発乾固や金属アルコキシドの加水分解によりアモルファス前駆体を得る手法などに代表される液相法を用いることが望ましい。
また、正極10であるガス拡散型酸素電極にはバインダーが含まれるが、特に限定されるものでなく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴムなどを用いることができる。
ガス拡散型電極(正極)を形成するには、前記触媒粉末、前記カーボン粉末と前記バインダー粉末との混合物をチタンメッシュ等の支持体上に圧着成形する、あるいは、前述の混合物を有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー状にして金属メッシュまたはカーボンクロス上に塗布し乾燥する等の手段によって形成され、電極の片面は大気に曝され、またもう一方の面は有機電解液と接する。また、電極の強度を高め電解液の漏出を防止するために、冷間プレスだけでなくホットプレスを行うことによっても、より安定性に優れた電極を作製可能である。
一方、負極20の活物質としては、金属リチウム(Li)、もしくはリチウムイオン(Li+e)を放出することができる物質であるリチウムを含むシリコンやスズとの合金やLi2.6Co0.4Nなどのリチウム窒化物も使用することができ、リチウム二次電池負極材料として用いることができる材料であれば使用することができる。
しかしながら、合成時にリチウムを含まないシリコンやスズなどを用いる場合には、前もって化学的手法または電気化学的手法によって、それらの材料がリチウムを含む状態にあるように処理しておく必要がある。
他方、有機電解液30としては、溶質として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)やリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド[(CFSONLi]などを用いることができ、溶媒としては、例えば、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(MEC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸メチルイソプロピル(MIPC)、炭酸メチルブチル(MBC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、炭酸エチルイソプロピル(EIPC)、炭酸エチルブチル(EBC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸ジイソプロピル(DIPC)、炭酸ジブチル(DBC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸1,2−ブチレン(1,2−BC)などの炭酸エステル系や1,2−ジメトキシエタン(DME)などのエーテル系やγ−ブチロタクトン(GBL)などのラクトン系や、これらのなかから二種類以上を混合した溶媒についても使用することができる。
そして、この有機電解液30に所定の電解液改良剤を添加することにより、有機電解液30の有機電解液の性質が改良されて電池の長期安定作動を達成することができる。
具体的にはこの電解液改良剤として公知の界面活性剤を用いることによって電解液の蒸気圧降下が起こり、電解液の揮発は抑制される。また、同様に界面活性剤の添加により、電解液に水分が浸入した場合においても、図2(A)、(B)に示すように水分を界面活性剤が直ちに取り囲み、逆ミセル(w/oマイクロエマルション)が形成され、水分の金属リチウム負極への接触を防止し、同負極の腐食を著しく抑制することが可能となる。
さらに、界面活性剤の添加は、正極10であるガス拡散型酸素電極の有機電解液に対する濡れ性を向上させ、電極反応に対する過電圧を低減し、結果として放電電圧や放電容量などの電池特性の改善に寄与する。また、界面活性剤の添加による正極10の濡れ性の向上は、充電時に放電生成物である酸化リチウムの分解速度を高め、二次電池としての特性も改善される。
添加する界面活性剤としては、特に制限はないが、例えばカチオン性界面活性剤では、第四級アンモニウム塩系のアルキルトリメチルアンモニウム塩やジアルキルジメチルアンモニウム塩、アニオン性界面活性剤では、脂肪酸系の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、高級アルコール系のアルキル硫酸エステルナトリウムやアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファオレフィン系のアルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、ノルマルパラフィン系のアルキルスルホン酸ナトリウムなどを用いることができる。
両性界面活性剤では、アミノ酸系のアルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、ベタイン系のアルキルベタイン、アミンオキシド系のアルキルアミンオキシドなどを用いることができる。
非イオン性界面活性剤では、脂肪酸系のしょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、高級アルコール系のポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェノール系のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどを用いることができる。
また、添加する界面活性剤としては、有機電解液に可溶であればよく、単一の界面活性剤、もしくは二種類以上を混合した界面活性剤についても用いることができる。
これらの界面活性剤によって図2(B)に示すような逆ミセルを形成するためには界面活性剤が溶液中にある濃度以上に存在する必要がある。この逆ミセルを形成するのに必要な最低限の界面活性剤の濃度を臨界ミセル濃度と呼ぶ。よって、有機電解液に添加する界面活性剤の濃度としては、臨界ミセル濃度以上である必要がある。なお、臨界ミセル濃度は、界面活性剤によって種々の値を有するが、前例の界面活性剤の場合、その添加量が有機電解液全体で少なくとも0.005重量%以上であれば、前記の臨界ミセル濃度を維持することができる。
添加する界面活性剤としてカチオン性、アニオン性、もしくは両性界面活性剤を用いた場合、溶質であるリチウム塩の各部位(例えば、Li,PF , ClO )と界面活性剤がクーロン引力により互いに干渉するため、電解液の導電率は減少し、電池特性は低下することがある。
そこで、有機電解液に添加する前記界面活性剤としては、電解液中で解離したリチウム塩の各部位との干渉が少ない非イオン性界面活性剤を用いることが望ましい。
また、本発明に係るリチウム空気電池100は、リチウムイオン二次電池としての機能を発揮するために上記構成に加え、セパレータ、電池ケースなどの他の構造要素が必要となるが、これら構造要素は、従来公知のものが使用でき、特に制限はない。
以下に本発明に係るリチウム空気電池についての具体的実施例を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
以下の実施例1〜4においては、有機電解液である1mol/lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF)/炭酸プロピレン(PC)に、電解液全体で0.005重量%となるように界面活性剤を添加した。なお、臨界ミセル濃度の測定は、前記有機電解液に少量の水分(100ppm)を添加し、徐々に界面活性剤を添加し、電気伝導度の変化をモニタリングすることにより行った。下記の実施例では、いずれの場合でも、0.005重量%の界面活性剤の添加でミセルが形成されていることを確認した。
(実施例1)
1mol/l LiPF/PC(含水率10ppm以下)に、電解液全体で0.005重量%となるようにカチオン性界面活性剤である塩化セチルトリメチルアンモニウムを添加し、有機電解液1を合成した。
(実施例2)
1mol/l LiPF/PC(含水率10ppm以下)に、電解液全体で0.005重量%となるようにアニオン性界面活性剤であるビス(2−エチルへキシル)スルホン酸ナトリウム(AOT)を添加し、有機電解液2を合成した。
(実施例3)
1mol/l LiPF/PC(含水率10ppm以下)に、電解液全体で0.005重量%となるように両性界面活性剤であるラウリン酸アミドプロピルベタインを添加し、有機電解液3を合成した。
(実施例4)
1mol/l LiPF/PC(含水率10ppm以下)に、電解液全体で0.005重量%となるように非イオン性界面活性剤であるポリ(オキシエチレン)5ノニルフェニルエーテル(NP−5)を添加し、有機電解液4を合成した。
次に、前述したガス拡散型正極10および試験用のリチウム空気電池セルの作製法について説明を行う。
電極触媒であるFe粉末、ケッチェンブラック粉末およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を50:25:25の重量比で、らいかい機を用いて十分に粉砕・混合し、ロール成形し、シート状電極(厚さ:0.5mm)を作製した。このシート状電極を直径23 mmの円形に切り抜き、チタンメッシュ上にプレスすることにより、ガス拡散型電極10を得た。
図3に、本実施例で用いる円柱形のリチウム空気電池セルの断面図を示す。
ガス拡散型正極10は、PTFE被覆された正極支持体11の凹部12に配置し、正極固定用PTFEリング13で固定した。なお、正極10と正極支持体11が接触する部分は、電気的接触をとるためにPTFE被覆されていない。また、正極10と空気との接触する電極の有効面積は2cmである。
次に、正極10の大気が接触する面とは逆面にリチウム二次電池用のセパレータ14を凹部12の底面に配置した。また、負極固定用座金21に負極20である厚さ150μmの4枚の金属リチウム箔(有効面積:2cm)に同心円上に重ねて圧着した。そして、負極固定用PTFEリング22を、正極10を設置する凹部12と対向する逆の凹部23に配置し、中央部に金属リチウムが圧着された負極固定用座金21をさらに配置すると共に、正極支持体11の底面にOリング24を、図に示すようにセットした。
そして、そのセル内部に、界面活性剤が添加された前記有機電解液1〜4をそれぞれ充填し、負極支持体25を被せて、セル固定用ねじ26、26でセル全体を固定した。電池性能の測定試験には、正極支持体11および負極支持体25にそれぞれ設けた正極端子15、負極端子27を用いた。
電池の評価は、充放電測定システムを用いて、正極の有効面積当たりの電流密度で0.1mA/cmを通電し、2.0V(放電終止)〜4.5V(充電終止)の電圧範囲で充放電サイクルを行った。電池セルの作製は、露点が−60℃以下の乾燥空気中で行い、電池の充放電試験は、25℃において湿度を制御しない雰囲気下(通常の生活環境下)で測定を行った。
実施例1において作製した電池の初回の放電曲線を図4に示す。なお、放電容量はカーボンの重量当たりの値(mAh/g)で表した。
図4に示すように、実施例1によるリチウム空気電池は、開回路電圧として約3.0Vを示し、放電容量も約770mAh/gと大きな値が得られ、高エネルギー密度電池としての特性を確認した。
以下の表1に実施例1〜4におけるリチウム空気電池の開回路電圧、初回の放電電圧、サイクル後の放電容量を示す。
表1に示すように、いずれの実施例においても空気電池としての作動を確認し、700〜1650mAh/gの大きな放電容量を示した。また、実施例4における空気電池が、最も高い性能を示した。これは、実施例4で用いた界面活性剤が非イオン性であるため、溶質との干渉がなく、電解液の導電性等が維持されたためであると考えられる。よって、添加する界面活性剤としては、非イオン性のものが好適であることが確認された。
(実施例5)
1mol/l LiPF/PC(含水率10ppm以下)に、電解液全体で0.0005重量%となるように非イオン性界面活性剤であるポリ(オキシエチレン)5ノニルフェニルエーテル(NP−5)を添加し、有機電解液5を合成した。なお、この界面活性剤の添加量の場合においては、ミセルが形成されないことを予備的実験から確認している。電池の作製や評価法については、実施例1〜4と同様にして行った。その結果を、以下の表1の下欄に示す。
表1に示すように、本実施例の場合、初回放電容量も小さく、サイクルを行った場合の容量減少は著しいことがわかる。これは、界面活性剤NP−5の添加量がミセルを形成するには不十分であるためであると考えられる。よって、界面活性の添加量は、ミセルを形成するために必要な添加量、すなわち臨界ミセル濃度以上が必要であることがわかった。
Figure 0005421076
(比較例1)
界面活性剤を添加しない有機電解液A(1mol/l LiPF/PC)を用いて、実施例と同様にして、電池作製および評価を行った。その結果を以下の表2に示す。比較のために、実施例4の結果と合わせて示す。
表2に示すように、本発明による実施例4と比較して、界面活性剤を添加しない比較例1よりも大きな放電容量かつ安定したサイクル特性を示していることがわかる。なお、表1に示すカチオン性、アニオン性、非イオン性界面活性剤を添加した実施例1〜3、5においても、何も添加しない比較例1よりも優れた特性を示しており、界面活性剤添加の有効性が確認された。このような特性向上は、界面活性剤添加による、正極の濡れ性の向上や電解液の揮発の抑制に起因するものと考えられる。
また、添加する界面活性剤としては、リチウム塩の各部位との干渉が少ない非イオン性界面活性剤(NP−5)を用いたものが、他の界面活性剤よりも優れた電池特性を示しており、添加種として最も適していることがわかった。
Figure 0005421076
(比較例2)
本発明による電池の長期安定性を実証するために、界面活性剤を添加しない電池(比較例2)と非イオン性界面活性剤NP−5を添加した電池(実施例4)を、各々同一の電池を3個作製し、作製直後、10日後、50日後に放電特性の評価を行った。電池の作製法や評価法は、前記実施例と同様にして行った。
電池の特性評価および10日間、50日間の電池の保存は、25℃において湿度を制御しない雰囲気下(通常の生活環境下)で行った。
本比較例による測定結果を以下の表3に示す。
表3に示すように界面活性剤を添加しない比較例2では、10日後で約75%の容量が減少し、50日後には放電はほぼ不可能であった。一方、界面活性剤を添加した実施例4では、10日後で約2%、50日後で約3%の容量減少を示すのみであった。この結果は、界面活性剤の添加により、電解液の揮発防止やミセル形成により電極の腐食が抑制されたために、長期安定性が著しく改善されたことを示している。
Figure 0005421076
本発明により、高エネルギー密度かつ長期安定性に優れたリチウム空気二次電池を作製することができ、様々な電子機器の駆動源として使用することができる。
100…リチウム空気電池
10…正極(ガス拡散型電極)
11…正極支持体(PTFE被覆)
13…正極固定用PTFEリング
14…セパレータ
15…正極端子
20…負極
21…負極固定用座金
22…負極固定用PTFEリング
24…Oリング
25…負極支持体
26…セル固定用ねじ(PTFE被覆)
27…負極端子
30…有機電解液

Claims (4)

  1. カーボンを含むガス拡散型酸素電極からなる正極と、金属リチウムまたはリチウム含有物質を含む負極と、有機電解液とを有し、
    当該有機電解液に、脂肪酸系または高級アルコール系あるいはアルキルフェノール系の非イオン性界面活性剤を少なくとも1種添加したことを特徴とするリチウム空気電池。
  2. 請求項1に記載のリチウム空気電池において、
    前記脂肪酸系非イオン性界面活性剤がしょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、のいずれかであり、
    前記高級アルコール系非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、
    前記アルキルフェノール系非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルであることを特徴とするリチウム空気電池。
  3. 請求項1または2に記載のリチウム空気電池において、
    前記非イオン性界面活性剤の添加量が臨界ミセル濃度以上であることを特徴とするリチウム空気電池。
  4. 請求項1または2に記載のリチウム空気電池において、
    前記非イオン性界面活性剤の添加量が前記有機電解液全体で0.005重量%以上であることを特徴とするリチウム空気電池。
JP2009259581A 2009-11-13 2009-11-13 リチウム空気電池 Active JP5421076B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009259581A JP5421076B2 (ja) 2009-11-13 2009-11-13 リチウム空気電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009259581A JP5421076B2 (ja) 2009-11-13 2009-11-13 リチウム空気電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011108388A JP2011108388A (ja) 2011-06-02
JP5421076B2 true JP5421076B2 (ja) 2014-02-19

Family

ID=44231662

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009259581A Active JP5421076B2 (ja) 2009-11-13 2009-11-13 リチウム空気電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5421076B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7122532B2 (ja) 2018-12-18 2022-08-22 パナソニックIpマネジメント株式会社 照明装置

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5843147B2 (ja) 2011-11-21 2016-01-13 国立研究開発法人物質・材料研究機構 薄型リチウム空気電池用格納容器
JP2016181325A (ja) * 2013-08-15 2016-10-13 国立大学法人 東京大学 リチウム−空気電池用電解液
JP6059632B2 (ja) * 2013-10-25 2017-01-11 日本電信電話株式会社 リチウム空気二次電池
JP6768398B2 (ja) * 2016-08-03 2020-10-14 イビデン株式会社 蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス、空気電池及び全固体電池
JP7021533B2 (ja) 2017-12-22 2022-02-17 セイコーエプソン株式会社 電解質前駆体溶液の製造方法および電極複合体の製造方法
CN111276740B (zh) * 2018-12-05 2021-05-25 中国科学院上海硅酸盐研究所 一种锂空气电池用或锂铜电池用电解液
EP3899996B1 (en) * 2018-12-20 2024-01-17 Victoria Link Limited Electrolyte compositions
JPWO2022070393A1 (ja) * 2020-10-01 2022-04-07
JPWO2022091267A1 (ja) * 2020-10-28 2022-05-05
CN113964420B (zh) * 2021-10-25 2023-04-14 铝能时代能源有限公司 一种金属-空气电池

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07282851A (ja) * 1994-04-14 1995-10-27 Sony Corp 非水電解液二次電池
JPH08162155A (ja) * 1994-12-02 1996-06-21 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd 非水電解液電池
JPH1012273A (ja) * 1996-06-25 1998-01-16 Sony Corp 非水電解液二次電池
JP5023936B2 (ja) * 2006-10-06 2012-09-12 株式会社豊田中央研究所 正極用触媒及びリチウム空気二次電池

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7122532B2 (ja) 2018-12-18 2022-08-22 パナソニックIpマネジメント株式会社 照明装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011108388A (ja) 2011-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5421076B2 (ja) リチウム空気電池
JP2011014478A (ja) リチウム空気電池
US10693145B2 (en) Catalyst for air electrode for metal-air secondary battery and air electrode
JP2010244827A (ja) リチウム空気電池
JP6310420B2 (ja) リチウム空気二次電池
JP2015115283A (ja) ナトリウム二次電池及び該ナトリウム二次電池に使用する正極材料の製造方法
JP2012243576A (ja) リチウム空気二次電池
JP2016100077A (ja) ナトリウム二次電池
JP6302424B2 (ja) リチウム空気二次電池
JP6178758B2 (ja) リチウム空気二次電池
JP6209123B2 (ja) リチウム空気二次電池
JP2015069960A (ja) リチウム空気二次電池
JP6048937B2 (ja) リチウム空気電池
JP5652877B2 (ja) リチウム空気電池
JP6059632B2 (ja) リチウム空気二次電池
JP6599815B2 (ja) リチウム空気二次電池
JP6378646B2 (ja) リチウム空気二次電池
JP6487314B2 (ja) リチウム空気二次電池およびリチウム空気二次電池用電解質
JP6216287B2 (ja) リチウム空気二次電池
JP2015018679A (ja) リチウム空気二次電池
JP2018170234A (ja) リチウム空気二次電池
JP6846327B2 (ja) リチウム空気二次電池
JP2017010776A (ja) リチウム空気二次電池
JP6209134B2 (ja) リチウム空気二次電池
WO2019221109A1 (ja) リチウム空気二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120307

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120530

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130903

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131029

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5421076

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350