JP5419701B2 - フレッチング摩耗を軽減する隙間基材、及び隙間基材を使用した締結構造物 - Google Patents

フレッチング摩耗を軽減する隙間基材、及び隙間基材を使用した締結構造物 Download PDF

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Description

本発明は、フレッチング摩耗(微動摩耗)を軽減する隙間基材及び隙間基材を使用した締結構造物に関する。さらに具体的には本発明は、構造物同士が摺動及び振動をするときに摩擦が発生して、一方の構造物または双方の構造物同士をすり減らすことを軽減する隙間基材に関する。また、本発明は、隙間基材を構造物同士の摺動及び振動をする面に使用した締結構造部に関する。
フレッチング摩耗(微動摩耗)は種々の摩耗の1種である。このフレッチング摩耗は、構造物同士の締結部の摺動または振動をする表面が圧力を受けながら微細に振動を受け続けている状態で、構造物の摺動または振動をする表面同士が微細振動することにより、互いの構造物の摺動または振動をする表面が擦り減ってしまう摩耗を示す。したがって、これらの構造物同士の外観から、このフレッチング摩耗の進行状況を判断することは難しいことである。また、これらの構造物同士の締結部の設置環境の違いにより、フレッチング摩耗の減耗の度合いが異なることが多い。通常、構造物の使用状況に基づき構造物の締結部の増し締めを行うが、フレッチング摩耗には効果が少ない。構造物のフレッチング摩耗の進行状況によっては、構造物そのものが破壊してしまうことにつながる。
構造物のフレッチング摩耗が起き易い場所は、構造物同士が互いに強い圧力で押し付けられる場所であり、すなわち、構造物の締結力が強い摺動または振動をする表面である。さらに、互いの構造物の部材が微細な振動を受けている時、この摺動または振動の方向が摺動または振動をする表面に平行及び垂直、またはそれらの複合方向かに係わらず、締結力線(ボルトの頭と相手のナット部とを締結する力の及んでいる範囲を線で表したものといわれる)内側が特に摩耗を起こしやすいことが知られている。
フレッチング摩耗が起き易い例を挙げると、自動車及び車両といった構造物は、走行中絶えず地面からの摺動または振動を受けており、これらの摺動または振動は微細振動とも言える。自動車及び車両においては、地面からの摺動または振動はタイヤ、タイヤホイール、ハブ、足回り機構、サスペンション、ショックアブソーバー、車体、客室及びシート等の順に乗員へ伝わっている。自動車及び車両ではタイヤが振動吸収をするが、多くの振動はタイヤホイールからハブ及びブレーキドラムへと伝わっている。また、自動車は、原動機で発生する力を利用して走行するので、原動機の振動などが駆動系に伝達されて、さらにハブを介しタイヤホイール、タイヤ、地面へと伝わっていく構造を有する。タイヤホイールとハブは締結部材により組み立てられた構造であり、且つタイヤホイールとハブの締結部材は、タイヤの振動、車体の重さ及びブレーキ作動時の荷重が掛かる。また、自動車及び車両などでは曲がる時にステアリングホイールを回し、舵取り機構を介しハブを進行方向に向けている。
この結果タイヤホイールもブレーキ装置側に曲がるが、ハブの垂直面もブレーキ装置側に曲げられる力が働いている。このタイヤホイールとハブが締結されている接触面は擦られ、且つ微細振動が常に与えられていることになる。
近年、車両の重量増加に対応するため軽量化が図られ、タイヤホイールがアルミニウム製(A6061)になっている車両が増えている。このアルミニウム製のタイヤホイールは表面が酸化して酸化被膜を作る。この酸化被膜の一部が剥がされて素地が出てくるとさらに大気中で酸素と結合し、新たな酸化被膜を作ってしまう。この酸化したアルミニウムは「アルミナ」(Al2O3)と言われる物質であり、その硬さはHV1000〜3000ある。一方、ハブは鋳物(FCD600)で形作られ、機械加工により各部の寸法が切削されて作られている。タイヤホイールと接する面は旋盤加工を施され、おおむね平滑に加工されている。しかし、微視的に見れば細かな溝(筋)状になっており、それも車軸中心に同心円状に溝がついている。このアルミタイヤホイールとハブが締結され、フレッチング摩耗を起こし、この溝には研摩材と同様のアルミナが挟まっていて、次から次とアルミナがタイヤホイールから供給される状態となっている。結果、タイヤホイールは薄くなって、疲労破壊へ至る。
本発明は、微細振動をする構造物の接触面を摩耗しにくい隙間基材を備えて、フレッチング摩耗(微動摩耗)を軽減することを目的とする。さらに、本発明は、具体的には構造物同士が摺動または振動をする接触面に摩耗しにくい隙間基材を備えて、一方の構造物または双方の構造物同士をすり減らすことを軽減することを目的とする。
本発明において摺動する表面とは、互いに締結された構造物の接触面が締結部分を中心として回転方向に移動する表面、及び互いに締結された構造物の接触面が締結部分を中心として平行方向に移動する表面を示す。また、本発明において振動する表面とは、互いに締結された構造物の接触面が締結部分を中心としてほぼ垂直方向に離反及び押し合う表面を示す。
したがって、本願発明の隙間基材は、構造物が上述する回転方向に移動する表面、構造物が平行方向に移動する表面、及び構造物が垂直方向に離反及び押し合う表面、を有する構造物同士をすり減らすことを軽減することを目的とする。
本発明の摩擦があり且つ摩耗が発生する接触材料6の接触面7の間に挟みこまれ、且つ摺動及び振動をする面2、2を備えた隙間基材1は、
前記隙間基材(1)の摺動または振動をする面(2、2)が、前記第1の接触材料(6)と前記第2の接触材料(6’)の接触面(7)の少なくとも一方の面より、高硬度(>HV400)を有すること、及び
前記隙間基材(1)の摺動または振動をする面(2、2)が、前記第1の接触材料(6)と前記第2の接触材料(6’)の接触面(7)の少なくとも一方の面より、低摩擦係数(<μ<0.3)であり且つ高い平滑度(表面粗さ:Ra<6.3)を有することによって、
前記隙間基材(1)の摺動または振動をする面(2、2)が、第1と第2の接触材料(6、6’)の接触面7を摩耗しにくいこと、を特徴とする。
上記隙間基材は、表1に示すような材料の組み合わせの中から選択するのが好ましく、A6061とFCD600の間に入れるものとしては、特にSUS304N2、SUS301−CSP及びSUS304−CSPとすることが好ましい。
また、本発明の隙間基材1は、前記隙間基材1の摺動及び振動をする面2、2が、ダイヤモンド状炭素(DLC)の被膜3で部分的または全面的に被覆されていることを特徴とする。
また、本発明の隙間基材1は、前記ダイヤモンド状炭素(DLC)の被膜3が、前記隙間基材1の摺動及び振動をする面2、2に、規則的または不規則的に細分化するために溝部4を設けて被覆されていることを特徴とする。
また、本発明の隙間基材1は、前記ダイヤモンド状炭素(DLC)の被膜3が、前記溝部4及び摺動及び振動をする面2、2に、固体潤滑層5−1、流体潤滑剤5−2及び粉末潤滑剤5−3、及び前記固体潤滑層及び前記流体と粉末との潤滑剤の混合潤滑剤5−4の少なくとも1種の潤滑層5を有することを特徴とする。
また、本発明の隙間基材1は、前記ダイヤモンド状炭素(DLC)の被膜3が、化学的気相蒸着法CVDまたは物理的気相蒸着法PVDで被覆され、且つ前記被膜3の厚みtが300ナノメートル〜40ミクロンメートルであることを特徴とする。また、前記ダイヤモンド状炭素(DLC)の被膜3は、接触材料6の材質、圧力及び微細振動数を考慮して、1〜8ミクロンメートルの厚さにすることができる。
また、本発明の締結構造部は、上述する隙間基材を、構造物同士の摺動または振動をする面に使用したことを特徴とする。
本発明は、構造物同士が摺動及び振動する接触面を摩耗しにくい隙間基材を備えることにより、一方の構造物または双方の構造物同士をすり減らすことを軽減するという効果を奏する。具体的には、本発明は自動車及び車両のタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの締結部の接触面の摩耗の発生を軽減するという効果を奏する。
図1は、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの構造を図示し、図1(a)はISO形式、図1(b)はJIS形式である。
図2は、ハブの根元にブレーキドラムを締結したときの摩耗初期の締結力線範囲及び締結力の作用方向を示したタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの構造を示し、図2(a)はISO形式、図2(b)の(1)はJIS形式であり、図2(b)の(2)はハブ単体を示す。
図3は、減耗いわゆるフレッチング摩耗を起こしやすい場所を概念的に斜線部分で図示し、図3(a)はISO形式、図3(b)はJIS形式である。
図4は、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの構造が車体の外側から内側に応力を受けたときの、応力が最も大きくなる部分(摩耗する部分)を示し、図4(a)はISO形式、図4(b)はJIS形式であり、図4(c)は、ISO形式のタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの構造が車体の外側から内側に応力を受けたとき、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの曲がる方向を示し、且つ図4(d)は、JIS形式のタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの構造が車体の外側から内側に応力を受けたとき、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの曲がる方向を示す。
図5は、接触材料であるタイヤホイールとハブ、及びハブとブレーキドラムの間の接触面に挟みこまれた本発明の隙間基材を示し、図5(a)はISO形式、図5(b)はJIS形式である。
図6は、本願発明の隙間基材の種々の形状であり、(a)はL字状の回転体形状、(b)はL字を重ね合わせた回転体形状、(c)はI字状の回転体形状を示す。
図7は、本発明の隙間基材に被覆される細分化DLC被膜のであり、(a)は電子顕微鏡写真を示し、(b)は断面形状を示す。
図8は、細分化して被覆したDLC被膜の構造(細分化DLC−A及びB)と、連続被膜(連続DLC)との双方の回転及び摺動回数と摩擦係数の関係を示し、且つ細分化DLC被膜の摩擦係数は連続被膜と比較して低く安定している。
図9は、本願発明の締結構造物の曲げ疲労試験法の概要を示す。
図10は、曲げ疲労試験を10回実施後のシムの外観を示し、(a)は連続被膜DLCシムの外観を示し、且つ(b)は細分化(セグメント構造)被膜DLCシムの外観を示す。
図11は、DLC被膜の剥離のX方向への測定方法と測定範囲を示す。
図12は、連続及び細分化(セグメント構造)の双方のDLC被膜の剥離率を、ボルトの穴端からの距離で示す。
図13は、連続DLC被膜(図13のa)の層剥離及び細分化(セグメント構造)DLC被膜(図13のb)の剥離の双方のレーザ顕微鏡写真であり、双方の最大剥離部を示す。
図14は、レーザ顕微鏡による摩耗粉の様子を写真と共に、エネルギー分散型X線光電子分光分析(EDX)による成分分析の結果を図に示す。
図15は、アルミニウム板(または、アルミニウム合金板)と鉄(または合金鋼)とからなる接触材料の間に、連続DLC被覆シムを備えたもの(A)(すなわち、連続DLC被覆を被覆し、アルミニウム板(または、アルミニウム合金板)にこのDLC被膜が接するようにセットしたもの)、細分化(セグメント構造)DLC被膜シムを備えたもの(B)、前述の2種の接触材料だけからなるもの(C)、及び被膜無しのシムを備えたもの(D)のそれぞれの表面粗さを図示する。
図16は、2種の接触材料だけからなるもの(D)、連続DLC覆シムを備えたもの(A)、及び細分化(セグメント構造)DLC被膜シムを備えたもの(B)に付いての摩耗試験前後の状態を模式的に示す。
本発明の隙間基材を、自動車及び車両のタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの構造を例にして、具体的に以下に説明する。自動車及び車両のタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの構造を図1〜図5に図示するように、本発明の隙間基材1(図5(a)及び(b)に図示)は、タイヤホイール11とハブ12、及びハブ12とブレーキドラム13のそれぞれの接触材料6の接触面7の間に挟みこまれ、それぞれの接触材料6の摩耗の発生を軽減する摺動または振動をする面2、2(図5(a)及び(b)に図示)を備える。
タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの構造は図1(a)及び(b)に示すように、ハブの車体外側すなわちタイヤホイール取り付け側にはスタッドボルト14取り付け用に回り止めの溝20(図2(a)及び図2(b)の(1)に図示)が設けられている。車体の外側及び車体の内側に同じような応力を受けていても、ハブ12にはスタッドボルト取り付け用に回り止めの溝20があるため、このタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの構造は、結果的に車体内側(ブレーキドラム側)に曲がってしまう(図4(a)、(b)、(c)及び(d)に図示)。図4(a)及び(c)は、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムが応力を受けて、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムが車体内側に曲がる前の状態を示す。また、図4(b)及び(d)は、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムが、車体内側に曲がった後の状態を示す。図4(a)及び(c)及び図4(b)及び(d)おいて、タイヤホイールの締結される方向を24で示し、且つ締結力を25で示す。さらに、酸化アルミニウムが発生する場所を27で示し、摩耗区域を斜線部28で示す。また、図4(c)および(d)おいて、亀裂及び破壊方向を29で示す。
図2(a)及び(b)の(1)は、ハブのブレーキドラムに接する根元にブレーキドラムを締結したときの摩耗初期の締結力線範囲及び締結力の作用方向を示す。図2(a)及び(b)の(1)に図示するように、ハブ12の根元16にブレーキドラム13を強く押し付ける力17が働き、且つ自動車の原動機(エンジン)または地面から微細振動を受けるので、フレッチング摩耗が発生してこの根元16が薄くなってしまう。この根元付近は、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムのそれぞれの締結系の中で一番重要な部分でもあるが、周囲をがんじがらめに締められているため、根元16へと応力が集中しやすくなっている。図2(a)及び(b)の(1)において、斜線部分は締結力線範囲19を示し、且つ丸印部分は、アルミニウム製のタイヤホイールの酸化アルミニウム(Al)の発生場所を示す。
しかしながら、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムのそれぞれの締結系の中でハブ12の先端部両面21、21も擦られ摩耗する。製造直後の自動車及び車両ではハブの先端部両面21、21は、、締結ボルトに対して垂直であるが、長期間使用されたハブは先端部両面21、21及びブレーキドラム13の根元16付近が減耗するものも多い。具体的には、締結ボルトとナットのネジ締結の力線範囲の内側が減耗の範囲である。この減耗がいわゆるフレッチング摩耗と言われる現象である。図3(a)及び(b)ISO形式とJIS形式のハブにおける減耗いわゆるフレッチング摩耗を起こしやすい場所を概念的に斜線部分23で図示した。
このフレッチング摩耗を起こした結果、摩耗した部分は薄くなり、締結力が低下して周囲の構造に過大な応力を発生させ、疲労破壊を起こし易くなり、最終的には破断する。この疲労破壊例として、トラックの前輪ハブが割れた事例が報告されている。
一般的に上述のようなトラックのタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムなどへの対策として、(1)材質の硬さを上げること、(2)肉厚を上げること、(3)締結強度を上げるため(振動で動かないようにするため)ネジ強度を上げ、且つ押し付け力を上げること、などの対策がほどこされている。しかしながら、上記対策はフレッチング摩耗を減らすことではなく、上記(1)は構成物の材料を減りにくくすること、上記(2)は材料が減っても破壊に至る時間を長くすること、及び(3)は同じく時間稼ぎをすることである。しかしながら、上記(3)のように強く締めることで摩耗の程度も増大している。
上記締結力を増すために締結ボルトの本数を増やす方法も考えられるが、この方法を採用すると、既に市場にある車両の部品を交換する必要があり、現行のタイヤホイールが使用不可能になるため、市場からは受け入れがたい方法である。自動車及び車両のメーカーは、新車に対しては強度を上げた部品を使用する方法、或いは締結ボルト及びナットの本数を増やした締結をする方法がとれるが、既に市場に出した車両に対しては、破損前に点検をし、減耗した部品を交換するなどの処置をとることに成っている。
新しく提供する技術は、簡便な方法及び部材でもって、フレッチング摩耗を低減可能にする隙間基材を提供する。自動車及び車両のタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムなどの摩耗を起こす場所に隙間基材を挟み込むこむことで、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムなどの摩耗量を減らすことになる。この新しく提供する技術は、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムなどの締結力を減らすことなく、摩擦面に低摩擦係数、平滑度、高硬度、及び潤滑剤保持さらに耐凝着性等の能力を持った被膜と、を設けることである。または、被膜を設けた隙間基材を、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムなどの摩擦面に挟み込んだ締結部材及びその締結部材の挟み込み方法である。この挟み込み方法により、応力を摺動及び振動する面で滑らせるようにし、摩擦面に垂直の締結力線は変えることなく且つ周囲の振動部分が滑りやすくなっているため、摩擦面を曲げるようなときにはタイヤホイール、隙間基材、及びハブが一緒に曲がり、耐凝着性、低摩擦係数などの性質を利用し減耗を少なくする。特に、この隙間基材1は、接触材料6である例えばアルミニウム合金の接触面7を摩耗しにくくすなわちアルミニウム合金への攻撃性は鉄と比較しても少なく、たとえルミニウム合金が酸化して酸化物18である若干のアルミナ(Al)が出来ても、その隙間基材1に被覆した被膜の中に設けられた溝部に微細なアルミナが入るので、いわゆるアブレッシブ摩耗(研摩した物質で自分自身を傷つける作用及び状態)が起きにくくなる。
また、隙間基材1の素材材質はそれ自体錆びにくく、隙間基材の両側のタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの材質に対し、硬くて平滑であり、且つ曲げても元に戻る性質を持つものが望ましい。この隙間基材の素材の選定は両側または全体の系を考慮して行う。
上記自動車及び車両のタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムの場合には、SUS301‐CSP、SUS304−CSP、及びSUS304N2などのオーステナイト系ステンレスの板を選択する。本発明の隙間基材として選択した材料の機械的性質を表1に示す。
本発明の隙間基材として表1に示されるSUS301CSP1/2H、SUS304−CCP1/2などを使用する理由は、硬くて、引っ張り強度が高く、錆びにくく、且つバネに使われるように繰り返し曲げ応力にもへたらない性質を持っているためである。また、本発明の隙間基材の表面に被覆される被膜は、化学的気相蒸着法(CVD)または物理的気相蒸着法(PVD)で合成されたダイヤモンド状炭素膜(DLC=Diamond−Like Carbon)、ボロンナイトライド膜、酸化チタン膜、及び酸化アルミニウム膜、窒化チタン膜、炭化チタン膜、窒化クロム膜などあり、この被膜を被覆するときに被膜平面をあらかじめ規則的または不規則的に細分化した溝部(隙間)を形成し、この細分化した溝部(隙間)に潤滑剤が注入されるようになっている。必要に応じて、この被膜は、細分化した溝部(隙間)の無い一面平らな表面であってもよい。規則的または不規則的に細分化した溝部(隙間)があることで曲げ応力を受けても溝部(隙間)の部分(被膜が薄くなってほとんど被覆されていない部分)で曲げ応力を分散するので、被膜が破壊されることを軽減できる。さらに、予め細分化されて溝部(隙間)が形成されているので、たとえ数箇所の被膜(ダイヤモンド状炭素膜、酸化チタン膜、及び酸化アルミニウム膜など)が破壊されても、被膜全体が破壊されるような破壊の伝播を少なくすることができる特徴がある。
本発明の隙間基材に被覆したダイヤモンド状炭素膜(DLC)は、特開2003−147525号及び特開2007−83726号に記載されている被膜形態に類似するが、本発明は隙間基材に碁盤目状に規則的に、或いは不規則的に細分化されたDLC被膜と溝部からなる。また、WO/2006/095907A1に記載されているように、本発明の隙間基材の溝部に基材及びDLC被膜と異なる第3物質を導入することによって、DLC被膜の機能と第3物質の機能とを複合させることも可能である。上記従来技術においては、構造物に直接DLC被膜を被覆するものであるが、本発明の隙間基材は、予め構造物に挿入可能な形状に形成した隙間基材にDLC被膜を被覆した後、摺動及び振動する構造物間に挿入装備するものである。
本発明の隙間基材の規則的または不規則的に細分化した溝部(隙間)を持つDLC被膜の第一の効果は、構造物基材のひずみにDLC被膜が追従することである。これは、規則的または不規則的に細分化した溝部で選択的に隙間基材に加わるひずみを吸収するためにDLC被膜にかかるひずみが低減することにより生ずる効果であって、たとえばA1050の規格材料上に1ミクロンの連続膜DLC被膜を堆積した場合の球の押し込み試験では、43ミクロンの押し込み深さでクラックが生ずるのに対して、本発明の隙間基材の規則的または不規則的に細分化した溝部(隙間)の構造において、上記押し込み試験ではDLC被膜は74ミクロンまでクラックを生じない。第二の効果は、アブレシブ摩耗の抑制による耐摩耗性の向上である。本発明の規則的または不規則的に細分化したDLC被膜は溝部を有するので、摩耗粉が溝部に堆積される。したがって、アブレシブ摩耗が生じにくく、結果として同質のDLC被膜で比較すると、SUJ2ボールを9万回摺動後の規則的または不規則的に細分化した構造のDLC被膜の実摩耗量は、全面が連続膜と比較して35%以下に抑制されるという大きい耐摩耗性向上の効果を有する。
自動車のエンジンを始動したときエンジンに回転力が発生して、大きなトルクがエンジンから駆動部分に掛かり、連結駆動部品(例えば、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラム)へと回転力が伝わる。タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムは、ボルト及びナットで回転及び摺動可能に結合締結されている。したがって、タイヤホイール、ハブ及びブレーキドラムは、このボルト及びナットの締結部周辺が擦り減る(図3(a)のISO形式及び図3(b)JIS形式のハブの斜線部分23)。この周辺部の摩擦によって、初期には締結面が摩耗し、締結軸力が低下し、その後ボルトが緩み破断する状況と成る。
すなわち、従来技術を考慮して経験上ボルト強度で動力を伝えていく設計をするが、フレッチング摩耗を起こした面(図3(a)のISO形式及び図3(b)JIS形式のハブの斜線部分23)は波立っており、締結力が下がり(ボルト及びナットのネジが緩むこと)、締結部に隙間が発生し締結部の締結力が無くなり、その結果として、ボルト及びナットのネジが緩んでいるためボルトの通っている穴とボルトがぶつかったりして、ボルトが貫通する穴が変形するなど、又はボルトが破断したりして、基材が破断するほど締結が緩んでしまうことになる。
他の実施例としては、ベアリングを圧入してベアリングの中心を軸が貫通している軸受部などは、軸受部の軸に回転及び摺動方向以外の微細振動が掛かったとき、ベアリング内部のボールが、アウターレース(外筒)の内面を削ってしまったり、または外周部が穴の表面と擦れ、穴を拡大し抜け落ちたり、細かな筋状の微細な摩耗面を形成し、抜け出てしまったりする。ほかにも様々摩耗が起きている。これらの場合にも摩擦を軽減する目的の本発明の隙間基材を挿入しておくことで、部材への影響を低減させることができる。
アルミ部品(ダイカスト、機械加工品、溶接構造物など)と、異種金属(鉄、銅、ステンレス鋼、鋳鉄など)と、面同志を当て、ボルト・ナットなどで締結する構造は多くある。最近では、乗用車の車体(ボディー)などもオールアルミニウム製のものや、車台は鉄で上部やトランクボード、エンジンフードなどをアルミニウムにしたものが登場している。このような場合には、鉄とアルミニウムの間に、アルミニウム保護で本発明の隙間基材を入れるとよい。締結力は落とさずに、車体に加わる微細振動からアルミニウムの減耗を少なくする効果が期待され、安全向上に継がる。また、DLC被膜は電気伝導度が低いため、いわゆる電蝕を低減する効果も期待できる。
本願発明の隙間基材の形状は、図1〜図5に示す自動車及び車両のタイヤホイール、ハブ及びブレーキドラム組立物の摺動または振動をする部分に装着する実施例をしているが、その他の使用形状は、図6の(a)に図示するようなL字状の回転体形状、図6の(b)に図示するようなL字を互いに組み合わせた回転体形状、図6の(c)に図示するようなI字状の回転体形状など種々の形状にすることができる。
本発明の隙間基材に規則的または不規則的に細分化して被覆したDLC被膜、及びDLC被膜が被覆されていない溝部(隙間)は、隙間基材の変形及びトライボロジー(摩擦)特性の両方を勘案して選択する。すなわち、DLC被膜を被覆する隙間基材の変形を考慮した場合、以下の点を考慮する。
1)溝部幅tと細分化したDLC被膜サイズlとの比t/lは、高くすることが望ましい。
2)DLC被膜の被覆率が高い場合、細分化したDLC被膜サイズ及び溝部の間隔は、小さい方が好ましい。
3)隙間基材に局所的にひずみが加わる場合、細分化したDLC被膜サイズは小さい方が好ましい。
また、DLC被膜を被覆する隙間基材のトライボロジー(摩擦)特性を考慮した場合、以下の点を考慮する。
1)アブレシブ摩耗の少ない場合、DLC被膜の被覆率は高い方がよい。
2)アブレシブ摩耗の原因となる摩耗粉をトラップできるだけのDLC被膜の被覆率を上限とし、隙間基材の摺動または振動する部分の接触幅よりも細分化したDLC被膜サイズは小さい方が好ましいが、DLC被膜の被覆率は60〜80%が上限となる。
3)DLC被膜の溝部で相手構造物の回転材または摺動材と接触が起こらない程度に溝部幅を決定する。
4)DLC被膜の溝部での接触が考えられる場合、溝部への潤滑剤を用いたコーティングを検討するとよい。
また、隙間基材に被覆するDLC被膜の合成技術を考慮した場合、以下の点を考慮する。
1)マスキングによる細分した溝部を有する構造DLC被膜の合成では、実用の際に細分化したDLC被膜サイズは20μm、溝部幅は20μm程度が最小となる。
2)細分化したDLC被膜サイズは大きい方が合成しやすい。
上記の考慮点を総括すると、アルミニウム基材の構造物に設けた隙間基材に被覆するDLC被膜の膜厚を1μmとした場合、細分化したDLC被膜サイズは最小で80μmであり、溝部幅は最小で20μmであり、且つDLC被膜の被覆率は約64%が適切であると考えられる。しかしながら、本発明においては、隙間基材の使用状況に応じて、DLC被膜サイズ、溝部幅、及び被覆率は、上記のそれぞれの値より20%程度増加してもよい。
一方、鉄鋼材料の如く隙間基材がDLC被膜と同程度(180GPa)以上のヤング率を有する場合、DLC被膜の溝部幅は20μm程度として、且つDLC被膜の被覆率を70〜80%程度とするのが望ましい。
本発明の隙間基材に被覆されたDLC被膜は、現在、DLC被膜合成に用いられているPVD法及びCVD法の全てにより作製することが出来る。メッシュをマスクとして用いて合成を行う際には、メッシュマスクに均一に電圧を印加することでDLC被膜の均一性を維持できるので、直流単パルスを用いたCVD法による合成が適している。電圧を印加するタングステン製の線径は30μmとし、且つ230μm角のメッシュマスクを用いて細分化したDLC被膜を合成する際の形状の合成条件は以下に示すとおりである。アセチレンを原料ガスとして用いて14cc/minで流入させ、圧力は3Paにしておいて電源周波数2kHzで‐5kVの電圧を印加して合成時間を1時間とする。上述する成膜方法により、約1μm厚さのDLC被膜が合成される。図7に、本発明の隙間基材に被覆されるDLC被膜が、上記メッシュマスクを用いて作成した被膜を示し、図7の(a)は電子顕微鏡写真を示し、図7の(b)断面形状を示す。
なお、DLC被膜の高い付着力の必要な場合、アルゴンスパッタにより隙間基材表面をクリーニングし、その後中間層としてテトラメリルシラン(Si(CH)を14cc/min導入して圧力3Paにおいて電源周波数2kHzで‐5kVの電圧を印加して合成時間5分の合成を行い、20nm程度の中間層を形成させることが望ましい。
本発明の隙間基材に規則的または不規則的に細分化して被覆したDLC被膜、及びDLC被膜が被覆されていない溝部(隙間)は、図7の(a)及び(b)に図示する形態である。細分化されたDLC被膜は、230μm角の四辺形状に並んでおり、その四辺形状のDLC被膜の間に被膜厚に相当する深さ約1μmの溝部が存在する。各々の不規則的に細分化して被覆したDLC被膜の角部は丸みを有しているので、したがって、各々のDLC被膜は応力集中の生じにくい構造になっている。
本発明の隙間基材に前述した合成方法(段落0034)で形成被覆したDLC被膜の機械的性質、及び物性(硬さ、摩擦係数など)に関して以下に記載する。
本発明の隙間基材に規則的または不規則的に細分化して被覆したDLC被膜のDLC自身の機械的特性は、連続的に被覆したDLC被膜構造のDLCと同等である。DLC被膜のナノインデンタによる硬さは14〜20GPaであり、且つヤング率は150〜200GPaである。また、DLC被膜の水素含有量は、20〜30原子%である。DLC被膜のラマンスペクトルからはDLC特有のDバンド及びGバンドが認められる。さらに、DLC被膜のボールオンディスク試験の結果を図8に示す。連続DLC被膜の構造、及び規則的または不規則的に細分化して被覆したDLC被膜の構造を、本発明の合成方法で合成したアルミニウム基板について測定した結果である。試験条件は直径6mmのSUJ2ボールに3.5Nの荷重を加え、0.1m/sの速度で試験を行った。図8に示すように、細分化して被覆したDLC被膜の構造(細分化DLC−A及びB)は、連続被膜(連続DLC)と比較して低く安定した摩擦係数を示すことがわかる。さらに、90,000回摺動後の比摩耗量を測定した結果は、連続被膜(連続DLC)では1.5x10−8mm/N・mであったのに対して、細分化して被覆したDLC被膜は(細分化DLC−A及びB)、1.2x10−8mm/N・mと小さくなっていた。そして、削られたDLCの量で比較すると連続被膜(連続DLC)では0.027mmであるのに対して、細分化して被覆したDLC被膜は(細分化DLC−A及びB)では実に0.009mmと1/3の摩耗量にまで低減していた。これは細分化して被覆したDLC被膜の構造(細分化DLC−A及びB)とすることでアブレシブ摩耗が抑制された結果である。したがって、相手ボールの摩耗半径も連続被膜(連続DLC)の240μmから細分化して被覆したDLC被膜の構造(細分化DLC−A及びB)では200μmに減少しており、相手攻撃性も細分化して被覆したDLC被膜の構造(細分化DLC−A及びB)とすることで大きく改善できている。
本願発明の締結構造物の曲げ疲労試験の結果を表2にします。また、本願発明の締結構造物の曲げ疲労試験方法の概要を図9に示す。この締結構造物のAl(A6063)側にはDLC被覆(連続または細分化DLC被膜)が接しており、鋳物(FCD600、ASTM−A395)側にはSUS301材の板表面が接している。
曲げ疲労試験を10回実施後のシムの外観を図10の(a)と(b)に図示する。図10の(a)は、連続被膜DLCシムの外観を示し、且つ穴近傍のDLC被膜が剥離していることを示す。図10の(b)は、細分化(セグメント構造)DLCシムの外観を示し、且つ孔の端より5mm程度の位置に白い粉末状のものが見受けられ、細分化(セグメント構造)DLC被膜をしめす。
DLC被膜の剥離のX方向への測定方法と測定範囲を図11に示す。図11に示すように、レーザ顕微鏡観察による画像処理後に2次像により測定領域を決定する。このDLC被膜の測定領域は図に示すように、穴の表面から約9.8mmの範囲を測定する。
図12に、連続及び細分化(セグメント構造)の双方のDLC被膜の剥離率を、ボルトの穴端からの距離で示す。図12に図示するように、連続DLC被膜は、ボルトの孔端の0から1.4mmまでに70%の被膜が剥離することを示す。
図13は、連続DLC被膜(図13のa)の層間剥離及び細分化(セグメント構造)DLC被膜(図13のb)の層間剥離の双方のレーザ顕微鏡写真であり、双方の最大剥離部を示す。図13のaは、連続DLC被膜のボルトの孔端の0から1.4mmまで部分を示す。図13のbは、細分化(セグメント構造)DLC被膜のボルトの孔端の2.8から4.2mmまで部分を示す。
図14は、レーザ顕微鏡による摩耗粉の様子を写真と共に、前述の成分分析の結果を図に示す。図14の前述の成分分析のピーク値が示すように、摩耗粉中には、酸素、アルミニウム及び鉄が存在する。
アルミニウム板(または、アルミニウム合金板)と鉄(または合金鋼)とからなる接触材料の間に、連続DLC被覆シムを備えたもの(A)、細分化(セグメント構造)DLC被膜とシムを備えたもの(B)、被膜無しのシムを備えたもの(C)、及び前述の2種の接触材料だけからなるもの(D)のそれぞれの表面粗さを図15に図示する。
それぞれの表面粗さは、細分化(セグメント構造)DLC被膜とシムを備えたもの(B)が一番細かく、連続DLC被覆とシムを備えたもの(A)、被膜無しのシムを備えたもの(D)、及び前述の2種の接触材料だけからなるもの(C)の順に粗くなる。
図16に、2種の接触材料だけからなるもの(C)、連続DLC被覆シムを備えたもの(A)、及び細分化(セグメント構造)DLC被膜シムを備えたもの(B)に付いての摩耗試験前後の状態を模式的に示す。図16に図示する2種の接触材料だけからなるもの(D)は、摩耗による破片の発生する工程2において、Al合金の板と鋳鉄板(FCD)のそれぞれ板の間に摩耗粉が溜まっていくことが図示されている。図16に図示する連続DLC被覆とシムを備えたもの(A)は、工程2において、破壊された連続DLC被膜の部分で摩耗分が発生し且つ増加することが図示される。図16に図示する細分化(セグメント構造)DLC被膜シムを備えたもの(B)は、工程2において、発生した微量粉末が細分化DLC被膜の間の溝部に溜まるので、摩耗の進行が軽微である。

Claims (4)

  1. ボルトとナットとで締結される、摩擦があり且つ摩耗が発生する第1と第2の接触材料(6、6’)の接触面(7)の間に挟みこまれ、且つ振動をする面(2、2)を備えた隙間基材(1)であって、
    前記隙間基材(1)の振動をする面(2、2)が、前記第1の接触材料(6)と前記第2の接触材料(6’)の接触面(7)の少なくとも一方の面より、高硬度を有すること、及び
    前記隙間基材(1)の振動をする面(2、2)が、前記第1の接触材料(6)と前記第2の接触材料(6’)の接触面(7)の少なくとも一方の面より、低摩擦係数であり且つ高い平滑度を有することによって、
    前記隙間基材(1)の振動をする面(2、2)が、第1と第2の接触材料(6、6’)の接触面7を摩耗しにくく、
    前記隙間基材(1)の振動をする面(2、2)が、ダイヤモンド状炭素(DLC)の被膜(3)で部分的または全面的に被覆され、
    前記ダイヤモンド状炭素(DLC)の被膜(3)が、前記隙間基材(1)の振動をする面(2、2)に、規則的または不規則的に細分化した溝部(4)を設けて被覆されていることを特徴とする隙間基材。
  2. 前記ダイヤモンド状炭素(DLC)の被膜(3)が、前記溝部(4)及振動をする面(2、2)に、固体潤滑層5−1、流体潤滑剤5−2及び粉末潤滑剤5−3、及び前記固体潤滑層及び前記流体と粉末との潤滑剤の混合潤滑剤(5−4)の少なくとも1種の潤滑層(5)を有することを特徴とする請求項1に記載の隙間基材。
  3. 前記ダイヤモンド状炭素(DLC)の被膜(3)は、化学的気相蒸着法(CVD)または物理的気相蒸着法(PVD)で合成され、且つ前記被膜(3)の厚み(t)が300ナノメートル〜40ミクロンメートルであることを特徴とする請求項1または2に記載の隙間基材。
  4. 請求項1〜3に記載する隙間基材を、構造物同士の振動をする面に使用したことを特徴とする締結構造部。
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