JP5418157B2 - ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタールと、(B)ポリエステル構造を有しそのポリエステル構造がジカルボン酸及びジオールからなる原料モノマーの重縮合反応により得られる第1重合体と、(C)脂肪族ポリエステル及びポリオールからなる群より選ばれる1種以上を含む第2重合体とを含むものである。以下、各成分について詳細に説明する。
本発明におけるポリアセタールとしては、ホモポリアセタール樹脂およびポリアセタールコポリマー樹脂が挙げられる。これらは単独で又は混合して使用することができる。
本発明に用いる第1重合体(B)は、ポリエステル構造を含む重合体であり、そのポリエステル構造は、ジカルボン酸及びジオールからなる原料モノマーの重縮合反応により得られるものである。なお、原料モノマー中のジカルボン酸及びジオールの混合物の含有率は好ましくは100質量%である。この第1重合体としては、例えば、炭素原子数が2〜9個の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸と、炭素原子数が2〜9個の脂肪族ジオールを主成分として重縮合してなるポリエステルを用いることができる。このようなポリエステルとしては、例えば、BASF社製エコフレックス(登録商標)、DuPont社製バイオマックスなどが好適に用いられる。更に、第1重合体は、ポリエステル構造を含んでいれば、ポリエーテル構造をさらに含むものであってもよい。このような第1重合体としては、ポリエステルとポリエーテルとのブロック共重合体である熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いることができる。このような熱可塑性ポリエステルエラストマーとして、具体的には、東洋紡績社製ペルプレンP−40Bなどを用いることができる。また第1重合体は、ポリエステル構造を含んでいれば、ポリ乳酸構造をさらに含むものであってもよい。このような第1重合体としては、ポリエステルとポリ乳酸とのブロック共重合体を用いることができる。具体的には、BASF社製エコバイオ(登録商標)などを用いることができる。
本発明に用いる第2重合体は、脂肪族ポリエステル及びポリオールからなる群より選ばれる1種以上を含むものである。脂肪族ポリエステルとしては、例えばポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエステルカーボネートなどが例示され、その中でもポリ乳酸が好適に用いられる。
質量比=MC/〔MA+MB〕
(式中、MAはポリアセタール(A)の質量を表し、MBは第1重合体(B)の質量を表し、MCは第2重合体(C)の質量を表す。)
で表されるポリアセタール(A)及び第1重合体(B)の合計質量に対する第2重合体(C)の質量比が1以下である。この質量比が1を超えると、1以下である場合に比べて、靭性及び耐衝撃性が顕著に低下する。
本発明の成形体は、本発明のポリアセタール樹脂組成物を用いて成形された物品であり、具体的な成形形態としては、射出成形品、ブロー成形品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、釣り糸、漁網が例示されるが、それらに限定されるものではない。特に、本発明の樹脂組成物は優れた靭性も併せ持つことから、ポリアセタールの単独品と比較してフィルム成形性、フィラメントへの紡糸性、延伸性に優れる。
まず実施例、参考例又は比較例で使用される(A)、(B)及び(C)の各成分としては、具体的には下記のものを使用した。
(A−1)トリオキサンと1,3−ジオキソラン(コモノマー)とを共重合してなるアセタールコポリマー
1/2結晶化時間:100秒以上
コモノマー量:13質量%(トリオキサンとコモノマーとの合計に占める配合割合)
メルトインデックス:9.0g/10分
(A−2)トリオキサンと1,3−ジオキソラン(コモノマー)とを共重合してなるアセタールコポリマー
1/2結晶化時間:45秒
コモノマー量:4質量%(トリオキサンとコモノマーとの合計に占める配合割合)
メルトインデックス:9.0g/10分
(B−1)BASF社製エコフレックス(登録商標)
反応時のテレフタル酸含有率:全原料モノマー中の20モル%
MVR:3cm3/10分
(B−2)東洋紡株式会社製ペルプレンP−40B
反応時のテレフタル酸含有率:全原料モノマー中の50モル%
メルトインデックス:12g/10分
(C−1)ユニチカ株式会社製テラマックTP−4000
メルトインデックス:3g/10分
(C−2)DIC株式会社製ポリエステルポリオールOD−X−2554
(アジピン酸と1,4−ブタンジオールとを共重合してなるポリエステルポリオールであり、数平均分子量が約3000である)
(メルトインデックス)
メルトインデックス(MI)は、ASTM−D1238に準じて、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
(1/2結晶化時間)
1/2結晶化時間は、パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSCを用い、等温結晶化を行うことによって測定した。具体的には、4mgのサンプルをアルミパンに採取し、200℃で3分間完全に溶融させた後、直ちに150℃へ冷却し、そこから結晶化発熱ピークが現れるまでの時間を測定した。
機械特性は、成形体について引張試験を行い、引張強度を測定することにより評価した。このとき、引張試験は具体的には、ASTM D638規格の方法に従って、引張試験速度10mm/分で引張破断伸び(標線間)を測定した時の、引張強さ、引張伸びおよび引張弾性率を測定した。結果を表1に示す。
靭性は、引張破断伸びが100%以上であれば、靭性に優れるとして合格とし、引張伸びが100%未満であれば、靭性に劣るとして不合格とした。結果を表1に示す。
曲げ特性は、成形体について、曲げ試験を行うことにより評価した。曲げ試験は、具体的には12.7mm×6.4mm×150mmの試験片を用い、ASTMD790に従って測定した。結果を表1に示す。
耐衝撃性は、引張衝撃試験を行い、引張衝撃強度を測定することにより評価した。引張衝撃強度は、23℃の室温下、厚み3.2mmの小型引張試験片を用いて、ASTM D1822に規定された方法に従い測定した。値が大きいほど衝撃強度に優れることを表す。評価に用いたサンプル(小型引張試験片)は、230℃の熱プレス成形機にて厚さ1mmのシートを作成し、成形後、室温23℃、湿度50%に調整された恒温室内で24時間以上状態調整して用いた。そして、引張衝撃強さが120kg・cm/cm2以上であれば、耐衝撃性に優れるとして合格とし、引張衝撃強さが120kg・cm/cm2未満であれば、衝撃性に劣るとして不合格とした。結果を表1に示す。
Claims (5)
- (A)ポリアセタールと、
(B)ポリエステル構造を有し前記ポリエステル構造がジカルボン酸及びジオールからなる原料モノマーの重縮合反応により得られる第1重合体と、
(C)脂肪族ポリエステル及び脂肪族ポリオールからなる群より選ばれる1種以上からなる第2重合体とを含み、
前記原料モノマー中の芳香族成分のモル比が0モル%より大きく40モル%以下であり、
ポリアセタール(A)及び第1重合体(B)の合計質量に対する第2重合体(C)の質量比が1以下であり、
ポリアセタール(A)の1/2結晶化時間が100秒以上であること
を特徴とするポリアセタール樹脂組成物。 - 第1重合体(B)のISO1133に則ったMVRが0〜100cm3/10分であることを特徴とする請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- ポリアセタール(A)が、トリオキサン100質量部に対してコモノマーを5.0〜50質量部添加し、トリオキサンと、トリオキサン以外の1種または2種以上の環状ホルマーおよび/又は環状エーテルからなるコモノマーとを共重合して得られるポリアセタールコポリマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 第1重合体(B)に対するポリアセタール(A)の質量比が0.1/99.9〜99.9/0.1である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形してなる成形体。
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