図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検試料と各検査項目に該当する試薬の混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部25と、分析部25の測定に関る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部26と、分析部25で生成された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データの生成、及び分析部25で生成された標準データや被検データの経時変化を表すグラフの作成を行うデータ処理部30とを備えている。
また、データ処理部30で作成された異常なグラフの問題を解決するための情報(問題処理情報)を含むファイルを作成して保存するグラフ処理部40と、データ処理部30で生成された検量データや分析データ等を印刷出力や表示出力する出力部50と、各種コマンド信号の入力操作等を行う操作部60と、分析制御部26、データ処理部30、グラフ処理部40、及び出力部50を統括して制御するシステム制御部70とを備えている。
図2は、分析部25の構成を示した斜視図である。この分析部25は、標準試料や被検試料の各試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を回動可能に保持するディスクサンプラ5と、各試料に含まれる検査項目の成分に反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬や、1試薬系の各試料を希釈するための第1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aを有する試薬庫1と、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aを有する試薬庫2と、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
また、試料容器17内の各試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、各試料の分注終了毎にサンプル分注プローブ16を洗浄する洗浄槽16aとを備えている。
また、試薬庫1に収納された試薬容器6内の第1試薬を吸引して各試料が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、第1試薬の分注終了毎に第1試薬分注プローブ14を洗浄する洗浄槽14aとを備えている。
また、反応容器3内に分注された各試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20と、混合液の撹拌終了毎に第1撹拌子18を洗浄する洗浄槽18aとを備えている。
また、試薬庫2に収納された試薬容器7内の第2試薬を吸引して各試料及び第1試薬が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、第2試薬の分注終了毎に第2試薬分注プローブ15を洗浄する洗浄槽15aとを備えている。
また、反応容器3内の各試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子19を洗浄する洗浄槽19aとを備えている。
また、校正液を収容した校正液ポット22aと、反応容器3内の混合液及び校正液ポット22a内の校正液を吸引する吸引プローブ22と、吸引プローブ22により内部に吸引された混合液及び校正液に含まれる例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及び塩素イオンの各検査項目成分を測定する電解質測定ユニット23と、吸引プローブ22及び電解質測定ユニット23を回動及び上下移動可能に保持する吸引アーム24とを備えている。
また、各反応容器3内の混合液を光学的に測定する測光ユニット13と、吸引プローブ22により吸引された後の反応容器3や測光ユニット13により測定された後の反応容器3内の洗浄及び乾燥を行う洗浄ユニット12とを備えている。
そして、電解質測定ユニット23は、第1試薬により希釈された標準試料や被検試料を含む混合液と校正液中の各検査項目成分に選択的に応答するイオンセンサと一定の電位を発生する参照電極間を測定することにより例えば起電力データで表される標準データや被検データの測定データを生成し、生成した測定データをデータ処理部30に出力する。
また、測光ユニット13は、回転移動して測光ポイントを通過する反応容器3内の標準試料や被検試料を含む混合液に光を照射し、その混合液内を透過した各検査項目の波長光の検出信号に基づき例えば吸光度データで表される標準データや被検データの測定データを生成する。そして、反応容器3の測光ポイント通過毎に生成した測定データをデータ処理部30に出力する。
分析制御部26は、分析部25の各分析ユニットを駆動する機構部27、及びこの機構部27を制御して分析部25の各分析ユニットを作動させる制御部28を備えている。そして、機構部27は、ディスクサンプラ5、試薬庫1の試薬ラック1a、及び試薬庫2の試薬ラック2aを夫々回動する機構、並びに反応ディスク4を回転する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、第2撹拌アーム21、及び吸引アーム24を夫々回動及び上下移動する機構等を備えている。
図1に示したデータ処理部30は、分析部25の電解質測定ユニット23や測光ユニット13から出力された測定データである標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データの生成を行う演算部31と、電解質測定ユニット23や測光ユニット13から出力された標準データや被検データを収集して、各検査項目の標準データや被検データの経時変化を表すグラフを作成するグラフ作成部32と、演算部31で生成された標準データや分析データ、及びグラフ作成部32で作成されたグラフを保存するデータ記憶部33とを備えている。
演算部31は、電解質測定ユニット23や測光ユニット13から出力された標準データ及び予め設定された標準試料の標準値から、各検査項目成分の濃度や活性と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部50に出力すると共にデータ記憶部33に保存する。
また、電解質測定ユニット23や測光ユニット13から出力された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部33から読み出す。そして、読み出した検量データを用いてその被検データから濃度値や活性値として表される分析データを生成し、生成した分析データを出力部50に出力すると共にデータ記憶部33に保存する。
グラフ作成部32は、内部に吸引している間の校正液及び第1混合液の測定により電解質測定ユニット23から出力される標準データや被検データを収集し、収集した標準データや被検データの経時変化を表すグラフを作成する。また、各反応容器3の測光ポイント通過毎の測定により測光ユニット13から出力される各検査項目の標準データや被検データを収集し、収集した標準データや被検データの経時変化を表すグラフを作成する。そして、作成した各グラフに、システム制御部70から供給されるそのグラフの検査項目の情報、測定時刻の情報、並びに試薬情報(ロット番号、製造メーカ名等)等を含む検査情報を付加してデータ記憶部33に保存する。また、データ記憶部33に保存されたグラフを読み出してグラフ処理部40に出力する。
データ記憶部33は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。更に、グラフ作成部32から出力された各検査項目のグラフを、演算部31から出力された検量データや分析データに関連付けて保存する。
グラフ処理部40は、データ処理部30のグラフ作成部32で作成されたグラフが異常である場合に、その異常なグラフ及びこのグラフの問題を解決するための問題処理情報を含むファイルを作成するファイル作成部41と、ファイル作成部41で作成されたファイルを保存するファイル記憶部42と、グラフ作成部32で作成されたグラフが類似している異常なグラフ、及びこのグラフの問題処理情報等をファイル記憶部42に保存されているファイルの中から検索する検索部43とを備えている。
ファイル作成部41は、グラフ作成部32から出力された各検査項目のグラフの内の異常なグラフ、このグラフに付加された検査情報、操作部60からの操作により設定されたそのグラフに含まれる異常データの領域である異常領域の情報、及びその異常データを分類する分類情報により構成される第1のファイルを作成してファイル記憶部42に保存する。
また、ファイル記憶部42に保存された第1のファイルに対して、操作部60から入力された問題処理情報、及びこの問題処理情報に基づいて問題を処理した後の測定により作成された正常なグラフ等を含む解決情報を、読み出した第1のファイルに追加して第2のファイルに更新する。そして、更新した第2のファイルをファイル記憶部42に保存する。
ファイル記憶部42は、ファイル作成部41で作成された第1のファイルや、この第1のファイルから更新された第2のファイルを保存する。また、異常なグラフに含まれる異常データを分類するための分類情報を保存している。
検索部43は、各検査項目の分析データに関連するグラフを出力部50に表示出力させる操作部60からのグラフ表示操作に応じて、グラフ作成部32から出力された表示させるグラフと同じ検査項目の情報を有する第2のファイルがファイル記憶部42に保存されていない場合、そのグラフを出力部50に出力する。
また、グラフ作成部32から出力された表示させるグラフと同じ検査項目の第2のファイルがファイル記憶部42に保存されている場合、第2のファイルに含まれる異常なグラフの異常データに対して、表示させるグラフの異常データと同じ領域のデータが類似している程度を表す類似度を求める。
そして、求めた類似度が所定の値以上である場合、表示させるグラフが異常なグラフに類似しているため異常であると判定し、判定したグラフと共に、第2のファイルに含まれる異常データ、正常なグラフのその異常データの領域における正常データ、問題処理情報等を含む解決情報、及び求めた類似度の情報を出力部50に出力する。また、求めた類似度が所定の値未満である場合、表示させるグラフが異常なグラフに類似していないため正常であると判定し、判定したグラフを出力部50に出力する。
このように、操作部60からのグラフ表示操作に応じて、出力部50で表示させるグラフがファイル記憶部42に保存されたそのグラフと同じ検査項目の異常なグラフに類似している場合、出力部50に表示させるグラフと共にこのグラフの解決情報を出力することができる。
出力部50は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部51及び表示出力する表示部52を備えている。そして、印刷部51は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
表示部52は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを表示する。また、グラフ処理部40の検索部43から出力されたグラフや、グラフ及び解決情報を表示する。更に、自動分析装置100で検査可能な各検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、各検査項目に該当する試薬の試薬情報を設定するための試薬情報設定画面、被検試料毎にこの被検体の検査項目を設定するための検査項目設定画面等を表示する。
操作部60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータの設定、被検試料毎の検査項目の設定、被検試料の測定等を行うための操作を行う。
システム制御部70は、CPU及び記憶回路を備え、操作部60からの操作により入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータの情報、被検試料毎に設定された検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部26、データ処理部30、グラフ処理部40、及び出力部50を統括してシステム全体を制御する。
以下、図1乃至図12を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。
図3は、自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。データ処理部30のデータ記憶部33には、分析部25の測光ユニット13による被検試料P1を含む混合液の測定により生成された検査可能な検査項目A1乃至Anの内の検査項目A1の分析データ及びこの分析データに関連するグラフが保存され、出力部50の表示部52には装置の不具合による異常情報を含まない分析データが表示されている。
先ず、図4、図5、及び図6を参照して、表示部52に表示された検査項目A1の分析データが異常である場合の第1のファイルを作成してファイル記憶部42に保存するまでの動作を説明する。
表示部52に表示された例えば前回値から大きく乖離し、異常である検査項目A1の分析データの原因を調査するために、操作部60から検査項目A1の分析データに関連するグラフを表示させる操作が行われると、データ処理部30のグラフ作成部32は、データ記憶部33から検査項目A1の分析データに関連するグラフを読み出して、グラフ処理部40の検索部43及びファイル作成部41に出力する。
検索部43は、グラフ作成部32から出力されたグラフと同じ検査項目A1の情報を含む第2のファイルがファイル記憶部42に保存されているか否かを検索する。そして、検査項目の第2のファイルが保存されていない場合(ステップS1のいいえ)、ステップS2へ移行する。また、第2のファイルが保存されている場合(ステップS1のはい)、ステップS21へ移行する。
ステップS1の「いいえ」の後に、グラフ作成部32から出力されたグラフと同じ検査項目A1の第1のファイルがファイル記憶部42に保存されているか否かを検索する。そして、第1のファイルが保存されていない場合(ステップS2のいいえ)、ステップS3へ移行する。また、第1のファイルが保存されている場合(ステップS2のはい)、ステップS11へ移行する。
ステップS2の「いいえ」の後に、検索部43は、グラフ作成部32から出力されたグラフを表示部52に出力する。表示部52は、検索部43から出力された検査項目A1のグラフを表示する(ステップS3)。
図4は、表示部52の画面に表示されたグラフの一例を示した図である。この画面53は、検索部43から出力されるグラフを表示するグラフ表示エリア54と、グラフ表示エリア54に表示されたグラフの異常領域の設定や設定した異常領域の問題処理情報の入力等を行うための操作ボタンを表示する操作ボタン表示エリア55とにより構成される。
グラフ表示エリア54には、検索部43から出力されたグラフ541と、反応容器3が測光ユニット13の測光ポイントを1乃至32回目に通過したときの第1乃至第32測光ポイントを示す横軸と、第1乃至第32測光ポイントにおける吸光度値を示す縦軸が表示されている。
グラフ541は、検査項目A1の例えば第1試薬と被検試料P1の混合液を収容した反応容器3が、測光ポイントを1乃至32回目に通過するタイミングである第1乃至第32測光ポイントで測光ユニット13により生成された32個の吸光度データの隣り合う各間を補間することにより作成されたものである。
このように、グラフ541を表示部52に表示することにより、検査項目A1の成分と試薬の反応が正常に行われたか否かを確かめることができる。
操作ボタン表示エリア55には、グラフ表示エリア54に表示されたグラフ541に反応が異常な異常データが含まれる場合の異常領域を設定するための不具合指摘ボタン551、及び異常データの問題処理情報を入力するための処理登録ボタン552等が表示されている。
このように、表示部52に検査項目A1のグラフ541と共に、不具合指摘ボタン551を表示することにより、グラフ541の異常領域を設定する操作が容易になる。
ここで、グラフ541の例えば第24及び第25測光ポイントを含む測光ポイントにおける吸光度データの減少が異常であると指摘した検査項目A1に習熟した操作者により、操作部60の例えばマウスをドラッグして第24及び第25測光ポイントを含む例えば第20乃至第31測光ポイントを異常領域として設定するための操作が行われると、ファイル作成部41は、設定された異常領域を識別した異常なグラフ541を表示部52に出力する。表示部52は、ファイル作成部41から出力された異常領域を識別したグラフ541を表示する(図3のステップS4)。
図5は、表示部52の画面に表示された異常領域を識別したグラフ541の一例を示した図である。この画面53aのグラフ表示エリア54には、異常領域542である横軸の第20乃至第31測光ポイントにおける異常データ5411が識別されたグラフ541が表示されている。また、操作ボタン表示エリア55には、不具合指摘ボタン551及び処理登録ボタン552等が表示されている。
次いで、操作部60から画面53aの操作ボタン表示エリア55に表示された不具合指摘ボタン551を押す操作が行われると、ファイル作成部41は、ファイル記憶部42から異常データ5411を分類するための分類情報のリストを読み出して表示部52に出力する。表示部52は、グラフ541及び異常領域542が表示されたグラフ表示エリア54に異常データ5411の分類情報リストを表示する(図3のステップS5)。
図6は、表示部52の画面に表示された異常データ5411の分類情報リストの一例を示した図である。この画面53bのグラフ表示エリア54には、異常領域542が識別されたグラフ541及びポップアップ543が表示され、このポップアップ543に分類情報リストが表示されている。
ポップアップ543には、「不正な増加」、「不正な減少」、「ノイズが大きい」、「新規分類」等の分類情報が表示されている。また、「不正な増加」を選択するためのダイアログボックス5431、「不正な減少」を選択するためのダイアログボックス5432、「ノイズが大きい」を選択するためのダイアログボックス5433、「新規分類」を選択するためのダイアログボックス5434等が表示されている。更に、選択した分類情報を保存するためのOKボタン5435及びキャンセルするためのキャンセルボタン5436が表示されている。
このように、グラフ541の異常領域542における異常データ5411の分類情報リストを表示部52に表示することにより、異常データ5411を容易に分類することができる。
ここでは、異常データ5411である異常領域542の吸光度データが経時変化して減少している現象が問題であるため、操作部60からその現象に合致する分類である「不正な減少」を選択する入力操作が行われると、ダイアログボックス5432内に「レ」が表示される。次いで、OKボタン5435を押す操作が行われると、ファイル作成部41は、異常領域542の情報、グラフ541、このグラフ541に付加された検査情報、システム制御部70から供給される分類情報である「不正な減少」により構成される第1のファイルを作成する。そして、ファイル記憶部42に作成した検査項目A1の第1のファイルを保存する(図3のステップS6)。
なお、吸光度データが経時変化して異常に増加している場合には「不正な増加」を選択し、吸光度データが突発的に前後よりも高い又は低い場合には「ノイズが大きい」を選択する。また、ポップアップに表示された分類情報に含まれない現象である場合には、「新規分類」を選択し、選択した後に表示されるポップアップにその現象を表す新規の分類情報を入力することにより、入力された新規分類情報がファイル記憶部42の分類情報リストに追加して保存される。
次に、図7、図8、及び図9を参照して、検査項目A1の第1のファイルを第2のファイルに更新してファイル記憶部42に保存するまでの動作を説明する。
図6に示した画面53bに表示された検査項目A1のグラフ541の異常領域542における異常データ5411の問題を解決するために自動分析装置100、試薬等を点検して原因を取り除いた後、被検試料P1の再測定により生成された検査項目A1の分析データが表示部52に表示される。操作部60から検査項目A1のグラフを表示させる操作が行われると、グラフ作成部32は、データ記憶部33から再測定後の検査項目A1の分析データに関連するグラフを読み出して、検索部43及びファイル作成部41に出力する。
ステップS2の「はい」の後に、検索部43は、グラフ作成部32から出力されたグラフを表示部52に出力する。表示部52は、検索部43から出力された検査項目A1の正常なグラフを表示する(ステップS11)。
図7は、表示部52の画面に表示された正常なグラフの一例を示した図である。この画面53cが、図4に示した画面53と異なる点は、グラフ表示エリア54の異常領域542で吸光度データが減少しないグラフ541cが表示されている点である。
ここで、操作部60から操作ボタン表示エリア55に表示された処理登録ボタン552を押す操作が行われると、ファイル作成部41は、ファイル記憶部42に保存された検査項目A1の第1のファイルに含まれる異常データ5411の分類情報を読み出して表示部52に出力する。表示部52は、グラフ作成部32から出力された正常なグラフ541cと共に、ファイル作成部41から出力された異常データ5411の分類情報を表示する(図3のステップS12)。
図8は、表示部52の画面に表示された正常なグラフ541c及び異常データ5411の分類情報を示した図である。この画面53dのグラフ表示エリア54には、グラフ541cと共にポップアップ543dが表示されている。そして、ポップアップ543dには、ファイル記憶部42に保存された検査項目A1の第1のファイルに含まれる分類情報である「不正な減少」及びこの「不正な減少」を選択するためのダイアログボックス543d1、並びに選択した分類情報を保存するためのOKボタン5435及びキャンセルするためのキャンセルボタン5436が表示されている。
なお、ファイル記憶部42に検査項目A1の第1のファイルが複数の例えば2種類保存されており、一方のファイルには「不正な増加」の分類情報が含まれ、他方のファイルに「不正な減少」の分類情報が含まれていると、ポップアップ543d内には「不正な増加」及び「不正な減少」と、「不正な増加」を選択するためのダイアログボックス及び「不正な減少」を選択するためのダイアログボックスが表示されることになる。
画面53dに表示されたグラフ541cはグラフ541の異常データ5411の問題を取り除いた後のグラフであるため、操作部60から異常データ5411の分類情報である「不正な減少」を選択する入力操作が行われると、ダイアログボックス543d1内に「レ」が表示される。次いで、OKボタン5435を押す操作が行われると、ファイル作成部41は、システム制御部70から供給される「不正な減少」を有する検査項目A1の第1のファイルに含まれる異常領域542を識別したグラフ541c、及びグラフ541の問題処理情報を入力するためのエディタを表示部52に出力する。表示部52は、ファイル作成部41から出力された異常領域542を識別した正常なグラフ541c及びエディタを表示する(図3のステップS13)。
図9は、表示部52の画面に表示された異常領域542を識別した正常なグラフ541c及びエディタの一例を示した図である。この画面53eのグラフ表示エリア54には、異常領域542が識別されたグラフ541c及びポップアップ543dに重畳してエディタ544が表示されている。また、操作ボタン表示エリア55には、不具合指摘ボタン551及び処理登録ボタン552等が表示されている。
エディタ544には、操作部60からの操作により入力される問題処理情報を表示するエディタ表示エリア5441、及び入力された問題処理情報を保存するためのOKボタン5442及びキャンセルするためのキャンセルボタン5443が表示されている。
なお、分析部25では、測光ユニット13の第1測光ポイントの前に反応容器3内にサンプル分注プローブ16により各試料が分注され、第1測光ポイントと第2測光ポイント間で各試料を収容した反応容器3内に、第1試薬分注プローブ14により第1試薬が分注される。また、第2測光ポイントと第3測光ポイント間で反応容器3内の各試料と第1試薬の混合液が第1撹拌子18により撹拌され、第15測光ポイントと第16測光ポイント間で各試料及び第1試薬を収容する反応容器3内に、第2試薬分注プローブ15により第2試薬が分注される。更に、第16測光ポイントと第17測光ポイント間で反応容器3内の各試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液が第2撹拌子19により撹拌される。このため、サンプル分注プローブ16、第1及び第2試薬分注プローブ14,15、並びに第1及び第2撹拌子18,19の各分析ユニットの動作の直後の測光ポイントが異常領域に含まれている場合、その分析ユニットが異常データに関与している可能性があるため、問題処理情報として選択可能にエディタ表示エリア5441に表示されるようになっている。これにより、問題処理情報の入力操作が容易になる。
ここで、操作部60からの操作により問題処理情報が入力されると、ファイル作成部41は、システム制御部70から供給される問題処理情報をエディタ表示エリア5441内に表示する。次いで、ONボタン5442を押す操作が行われると、ファイル作成部41は、ファイル記憶部42に保存された第1のファイルを読み出し、読み出した第1のファイルに問題処理情報及びグラフ541c等を含む解決情報を追加して第2のファイルに更新する。そして、ファイル記憶部42に第1のファイルから更新した第2のファイルを保存する(図3のステップS14)。
次に、図10及び図11を参照して、被検試料P1を測定した後の被検試料P2の測定により生成された検査項目A1の分析データが異常である場合にその分析データに関連するグラフが異常であるか否かを判定するまでの動作を説明する。
被検試料P2の測定により生成された検査項目A1の分析データ及びこの分析データに関連するグラフがデータ記憶部33に保存され、表示部52には検査項目A1の基準範囲から外れた装置の不具合による異常情報を含まない分析データが表示されている。この分析データが基準範囲から外れて異常である原因を調査するために、操作部60から検査項目A1の分析データに関連するグラフを表示させるグラフ表示操作が行われると、グラフ作成部32は、データ記憶部33から被検試料P2の検査項目A1の分析データに関連するグラフを読み出して、検索部43及びファイル作成部41に出力する。
ステップS1の「はい」の後に、検索部43は、ファイル記憶部42から検査項目A1の第2のファイルを読み出す。次いで、読み出した第2のファイルに含まれる異常データ5411に対するグラフ作成部32から出力されたグラフの異常領域542のデータの類似度を求める(図3のステップS21)。
図10及び図11は、類似度の求め方の一例を説明するための図である。グラフ作成部32から出力された被検試料P2の検査項目A1の図10に示したグラフ541dの異常領域542おける判定対象の対象データ541d1、正常データ541c1、及び異常データ5411の各データに対して、隣り合う2つの吸光度データ間をスプライン補間する。次いで、図11に示すように、対象データ541d1をスプライン補間した対象補間データ、正常データ541c1をスプライン補間した正常補間データ、及び異常データ5411をスプライン補間した異常補間データの各補間データの横軸方向に例えば等間隔で63区分した64点の吸光度データをサンプリングする。
そして、対象補間データをサンプリングした64点の吸光度データの平均値X1、正常補間データをサンプリングした64点の吸光度データの平均値X2、及び異常補間データをサンプリングした64点の吸光度データの平均値X3を求めた後、平均値X2から平均値X1を差し引いたバイアス値X21及び平均値X3から平均値X1を差し引いたバイアス値X31を求める。
続いて、測定対象試料間の濃度差による影響を低減するために、正常補間データをサンプリングした64点の各吸光度データからバイアス値X21を差し引いた正常補間バイアス補正データ、及び異常補間データをサンプリングした64点の各吸光度データからバイアス値X31を差し引いた異常補間バイアス補正データを求める。
次いで、正常補間バイアス補正データと対象補間データの64点における縦軸方向の吸光度差で表されるユークリッド距離D2、及び異常補間バイアス補正データと対象補間データの64点における縦軸方向の吸光度差で表されるユークリッド距離D1を求める。この求めたユークリッド距離D1を、ユークリッド距離D1にユークリッド距離D2を加算した値で除した値を百分率で表すことにより、類似度を求める。
ステップS21の後に、求めた類似度が例えば70%の所定の値以上である場合(図3のステップS22のはい)、ステップS23へ移行する。また、求めた類似度が所定の値未満である場合(図3のステップS22のいいえ)、ステップS24へ移行する。
ステップS22の「はい」の後に、検索部43はグラフ作成部32から出力されたグラフが、グラフ541に類似しているため異常であると判定する。そして、グラフ作成部32から出力されたグラフの読み出した第2のファイルに含まれる異常領域542を識別した後、その異常領域542を識別したグラフ、類似度の情報、及び読み出した第2のファイルに含まれる解決情報を表示部52に出力する。表示部52は、検索部43から出力された異常領域542が識別されたグラフ、類似度の情報、及び解決情報を表示する(図3のステップS22)。
図12は、表示部52の画面に表示された異常領域542が識別されたグラフ、類似度の情報、及び解決情報の一例を示した図である。この画面53fのグラフ表示エリア54には、異常領域542が識別されたグラフ541d、グラフ541の異常データ5411、及びグラフ541cの正常データ541c1と、ポップアップ545とが表示されている。なお、異常データ5411及び正常データ541c1の代わりにグラフ541,541cを表示させるように実施してもよい。
ポップアップ545には、グラフ表示エリア54の異常データ5411を表す線5451及び異常データ5411の測定時刻である「2008/10/20/9/30」、グラフ表示エリア54の正常データ541c1を表す線5452及び正常データ541c1の測定時刻である「2008/10/20/10/5」、類似度である「82%」、異常データ5411の問題が例えば反応容器3の洗浄より解決された場合の問題処理情報である「反応容器洗浄」が表示されている。
表示部52の画面53fに表示された「反応容器洗浄」の問題処理情報に基づいて、反応容器3の洗浄を行った後、被検試料P2が再度測定される。
このように、操作部60からの検査項目A1のグラフ表示操作に応じて、表示するグラフ541dがファイル記憶部42に保存された検査項目A1の異常なグラフ541に類似している場合、グラフ541dが異常であると判定し、判定したグラフ541dと共にこのグラフ541dの解決情報を表示部52に表示することにより、異常な分析データの原因調査を容易に行うことができる。そして、習熟していない操作者は問題箇所に容易に辿り着くことができる。また、このグラフ541dの異常が稀な場合でも、問題箇所に迅速に辿り着くことができる。
ステップS22の「いいえ」の後に、検索部43はグラフ作成部32から出力されたグラフが、グラフ541に類似していないので正常であると判定する。そして、グラフ作成部32から出力されたグラフを表示部52に出力する。表示部52は、検索部43から出力されたグラフを表示する(図3のステップS24)。
表示部52に解決情報を含まないグラフが表示されると、操作者はそのグラフが正常であり、被検試料P2の分析データの異常の原因が被検体に由来していると判断する。
このように、操作部60からの検査項目A1のグラフ表示操作に応じて、表示部52に解決情報を含まないグラフを表示することにより、異常な分析データの原因調査を容易に行うことができる。
なお、以上では測光ユニット13の測定により作成された検査項目A1のグラフの例について説明したが、電解質測定ユニット23の測定により作成された検査項目のグラフに対しても同様に実施することができる。
以上述べた本発明の実施例によれば、各検査項目の異常なグラフ、このグラフに設定された異常領域の情報、及び解決情報を含む第2のファイルをファイル記憶部42に保存することができる。
そして、操作部60からの各検査項目のグラフ表示操作に応じて、表示させるグラフがファイル記憶部42に保存されたそのグラフと同じ検査項目の異常なグラフに類似している場合、表示させるグラフが異常であると判定し、判定したグラフと共にこのグラフの解決情報を表示部52に表示することができる。また、類似していない場合、表示させるグラフが正常であると判定し、判定したグラフを表示部52に表示することができる。
これにより、異常な分析データの原因調査を容易に行うことができる。そして、習熟していない操作者が問題箇所に容易に辿り着くことができ、稀に発生した異常なグラフの問題箇所に迅速に辿り着くことができるため、検査を迅速に行うことができる。