JP5411438B2 - Soi基板の製造方法 - Google Patents
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Description
近年は、完全空乏層型SOIデバイスを作り込むためにSOI層(シリコン層)が100nm以下の薄膜SOIの需要が高まっている。これはSOI層を薄膜化することで、デバイスの高速化が期待できるためである。
一般に薄膜SOI基板は、ドナーウェーハに予め水素イオンを注入し、然る後にハンドルウェーハとの貼り合わせを行い、水素イオン注入界面に沿って薄膜をドナー側からハンドル側へ転写するSOITEC法やSiGen法によって製造されるが、この時、転写されたシリコン薄膜には約0.1μm程度のイオン注入欠陥層(アモルファス層)が残存し、また薄膜表面においてはRMSで数nm以上の面荒れが導入される(例えば非特許文献1参照)。
一方、SiGen法とは、ドナー・ハンドル両ウェーハを貼り合わせる前処理として、表面プラズマ活性化処理を行い、室温で貼り合わせ、この時点で高い結合強度を達成し、必要に応じて低温(300℃前後)の熱処理を加えた後に、水素イオン注入界面に機械的衝撃を加え剥離を行い、薄膜を転写する方法である。このSiGen法はSOITEC法よりも低温プロセスとすることができるため、熱膨張率が異なるウェーハ同士の貼り合わせ(例えばSilicon on quartz:SOQ)を製造するのに適した製造方法である。
一つは、イオン注入欠陥層の厚さと同程度の厚さである0.1μm程度を研磨し、イオン注入欠陥層を除去するという方法がある。しかし、この方法では研磨バラツキにより、残膜の厚さの面内均一性をとるのが難しいという問題点がある。
他の方法としては、高温熱処理によりダメージ層の結晶性を回復し、その後に表面の凹凸を取り除くためにタッチポリッシュと呼ばれる数十nmの研磨を行う方法も考えられる。このとき雰囲気ガスに水素を用いることでタッチポリッシュ工程を経ずして表面の平滑化が行えるとの報告もある(例えば非特許文献2参照)。
またハンドルウェーハがシリコン以外の低融点物質(石英・ガラスなど)のSOI基板では、高温熱処理を加えることができないので、問題は更に深刻である。
また、下部のシリコン単結晶層を種として再結晶化させることができるため、基板間・基板面内での膜厚均一性を容易に確保することができる。
また、パルス状レーザーを照射することによってイオン注入欠陥層を除去することができるため、非常に容易に実施することができるSOI基板の製造方法とすることができる。
このように、レーザー照射工程の前に、剥離した表面を、プラズマを用いたPACE法またはガスクラスターイオンビームを用いたGCIB法によって処理することによって、剥離面のイオン注入欠陥層を予めある程度除去する。これらPACE法やGCIB法は、面内の膜厚バラツキに応じてエッチングする方法であるため、これによって、レーザーアニール前のシリコンウェーハ表面の膜厚均一性を高めることができるため、レーザーアニール後にも基板面内の膜厚均一性をより高くすることができる。
このように、貼り合わせ基板を準備する方法として所謂SiGen法とすることによって、貼り合わせ基板の結合強度を強くすることができるため、貼り合わせ不良の発生を抑制することができる。また、高温の熱処理を行う必要がないため、異種物質の貼り合わせに適しているとともに、基板の金属汚染や反りの問題が発生することを更に抑制することができる。
このように、貼り合わせ基板を準備する方法として所謂SOITEC法とすることによって、転写するシリコンウェーハを膜厚を薄いものとすることができ、また剥離面の表面粗さを低いものとすることができる。
このように、上述の絶縁性の材料をハンドルウェーハに用いることによって、ハンドルウェーハとしてシリコンウェーハを用いた場合に比べ、SOI基板にリーク電流が流れることを抑制することができるため、後に作製したデバイスの低消費電力化が可能になる。
このように、レーザー照射工程の前に剥離面に対して化学エッチングを行うことによって、剥離面の表面に存在するイオン注入欠陥層を予めある程度除去することができる。このため、レーザーアニール工程において、溶融させる層の厚さを減少させることができるため、レーザーアニール工程の工程時間を短縮することができる。また、印加レーザーの出力を抑えることができるので、シリコン薄膜の温度上昇をより抑制することができる。
化学エッチングとして、上述のエッチング溶液を用いるものとすることによって、化学エッチング工程において、シリコンウェーハの剥離面のエッチングをより確実に行うことができるため、剥離面の表面に存在するイオン注入欠陥層の除去をより確実に行うことができる。
このように、レーザー照射工程前に、剥離面にCMP研磨や熱処理を行うことによって、剥離面表面に存在するイオン注入欠陥層を大幅に減少させることができるため、レーザーアニール工程において、溶融させる層を減少させることができるため、レーザーアニール工程の工程時間をより短縮させることができる。
前述のように、イオン注入剥離法によって剥離した剥離面近傍のイオン注入層に存在するイオン注入欠陥層を効率的に除去し、かつ基板間・基板面内の膜厚均一性を確保することができ、また、例えば異種物質間の貼り合わせや、ハンドルウェーハに低融点材料を用いたSOI基板にも適用することのできるSOI基板の製造方法の開発が待たれていた。
図1は本発明のSOI基板の製造方法の工程の一例を示す工程図である。図2、3はそれぞれ本発明のSOI基板の製造方法の工程の他の一例を示す工程図である。
まず、図1(a)に示すように、水素イオン又は希ガスイオンあるいはこれらの両方を注入してイオン注入層14が形成されたシリコンウェーハ11と、ハンドルウェーハ12が貼り合わせされた貼り合わせ基板13を準備する。
本発明では、後述するが、シリコン薄膜表面の剥離面上のイオン注入ダメージ層の除去に、パルスレーザーによるアニールを用いることを特徴としており、このため、シリコン薄膜表面近傍のみが瞬間的に高温(〜1400℃)となり、基板は低温のままであるので、基板はシリコンに限らず、石英やガラス等の異種物質や低融点の材料を用いることが可能である。
また、上述のような絶縁性の材料をハンドルウェーハに用いることができるため、ハンドルウェーハとしてシリコンウェーハを用いた場合に比べ、SOI基板にリーク電流が流れることを抑制することができるため、後に作製したデバイスの低消費電力化が可能になる。
次に、図1(b)に示すように、イオン注入層14に沿って剥離をして、貼り合わせ基板13のシリコンウェーハ11を薄膜化し、シリコン薄膜をハンドルウェーハ12に転写する。
このように、貼り合わせ基板を準備する方法として所謂SiGen法とすることによって、貼り合わせ基板の結合強度を強くすることができるため、貼り合わせ不良の発生を抑制することができる。また、高温の結合熱処理や剥離熱処理を行う必要がないため、基板の金属汚染や反りの問題が発生することを更に抑制することができる。特に異種物質間で貼り合わせる場合、高温熱処理をすると熱膨張係数の違いから割れや剥離が生じるが、SiGen法であれば、このような心配もない。
このように、貼り合わせ基板を準備する方法として所謂SOITEC法とすることによって、転写するシリコン薄膜を膜厚を薄いものとすることができ、また剥離面の表面粗さを低いものとすることができる。
次に、図1(c)に示すように、剥離面15に対して、パルス状のレーザーを照射して、SOI基板10が得られる。
剥離面15に対して照射するパルス状のレーザーとしては、例えばXeCl、KrF等のnsecオーダーのパルス発振型レーザーであるエキシマレーザーを用いることができるが、もちろんこれに限定されるものではない。
この工程は、薄膜表面のイオン注入層のイオン注入欠陥層を、下層の単結晶シリコン層を種として融解・再結晶化させることにより、表面近傍のイオン注入ダメージの回復と表面の平滑化を同時に行うものである。また、パルス状レーザーを用いることで、表面近傍のみを瞬間的に高温(〜1400℃)とし、ハンドル基板は低温のままとすることができるものである。
雰囲気ガスに不活性ガスを用いることで、レーザーアニール工程における貼り合わせ基板のエッチングを最小限に抑えることができるため、基板面内の膜厚均一性をより一層高いものとすることができる。
(工程a’:貼り合わせ基板の準備)
まず、図2(a’)に示すように、図1(a)と同様に、水素イオン又は希ガスイオンあるいはこれらの両方を注入してイオン注入層14が形成されたシリコンウェーハ11と、ハンドルウェーハ12が貼り合わせされた貼り合わせ基板13を準備する。
次に、図2(b’)に示したように、図1(b)と同様に、イオン注入層14に沿って剥離をして、貼り合わせ基板13のシリコンウェーハ11を薄膜化し、シリコン薄膜をハンドルウェーハ12に転写する。
次に、図2(c’)に示すように、剥離面15に対して、プラズマを用いたPACE法またはガスクラスターイオンビームを用いたGCIB法による処理を行うことができる。
このように、面内の膜厚バラツキに応じてエッチングするPACE法やGCIB法によって、後述するレーザー照射によるアニール工程前に、シリコン薄膜表面の膜厚均一性を高めることができるため、レーザーアニール後に、SOI基板の基板面内の膜厚均一性をより高くすることができる。
また、GCIB法は、常温及び常圧で気体状物質の塊状原子集団(ガスクラスター)を形成し、これに電子を浴びせて生成させたガスクラスターイオンを加速電圧によって加速してウェーハ表面に照射するものであり、PACE法と同様に、ウェーハの厚さ分布を光学干渉法や静電容量法で測定した後、その厚さ分布に応じてガスクラスターイオンによるエッチング除去量を制御することで、ウェーハ面内を高平坦度化することができる。
このPACE法やGCIB法等の具体的な態様は特に限定されるものではなく、公知の装置及び方法を適宜用いることができる。
その後、図2(d’)に示すように、PACE法又はGCIB法による処理を行ったシリコン薄膜の表面に対して、パルス状のレーザーを照射して、SOI基板10が得られる。
(工程a’’:貼り合わせ基板の準備)
まず、図3(a’’)に示すように、図1(a)と同様に、水素イオン又は希ガスイオンあるいはこれらの両方を注入してイオン注入層14が形成されたシリコンウェーハ11と、ハンドルウェーハ12が貼り合わせされた貼り合わせ基板13を準備する。
次に、図3(b’’)に示したように、図1(b)と同様に、イオン注入層14に沿って剥離をして、貼り合わせ基板13のシリコンウェーハ11を薄膜化し、シリコン薄膜をハンドルウェーハ12に転写する。
次に、図3(c’’)に示すように、剥離面15に対して化学エッチング処理を行う。
このように、レーザー照射工程の前に剥離面に対して化学エッチングを行うことによって、剥離面の表面に存在するイオン注入欠陥層を予めある程度除去することができる。このため、印加レーザーの出力を抑えることができるため、シリコンウェーハの温度上昇を更に抑制することができる。
このように、化学エッチングを、上述のエッチング溶液を用いるものとすることによって、化学エッチング工程において、シリコンウェーハの剥離面のエッチングをより確実に行うことができるため、剥離面の表面に存在するイオン注入欠陥層の除去をより確実に行うことができる。
その後、図3(d’’)に示すように、化学エッチングを行ったシリコン薄膜の表面に対して、プラズマを用いたPACE法またはガスクラスターイオンビームを用いたGCIB法による処理を行うことができる。この処理は図2(c’)工程と同様にすることができる。
その後、図3(e’’)に示すように、PACE法又はGCIB法による処理を行ったシリコン薄膜の表面に対して、パルス状のレーザーを照射して、SOI基板10が得られる。
また、図2、図3の工程においても、ハンドルウェーハとして石英、ガラス、サファイア、SiC、アルミナ、窒化アルミニウムのいずれかの材料からなるものとすることができるし、貼り合わせ基板を準備する方法を、所謂SiGen法やSOITEC法とすることができることは言うまでもない。
このように、剥離工程後、レーザー照射工程前に、シリコン薄膜表面にCMP研磨や熱処理を行うことによって、イオン注入欠陥層を大幅に減少させることができるため、レーザーアニール工程において、溶融させる層を減少させることができ、アニール工程の工程時間をより短縮させることができる。
(実施例1)
以下のように、図1に示したような、SOI基板の製造方法に従って、SOI基板を作製した。
以下のように、図2に示したような、SOI基板の製造方法に従って、SOI基板を作製した。
まず、実施例1に示したような貼り合わせ基板を準備した。
その後、この貼り合わせ基板にGCIB処理を行って、基板面内の膜厚バラツキを補正する処理を行った後に、実施例1と同様にエキシマレーザーを照射し、実施例1と同様の評価を行った。
また、レーザー照射後のSOI基板のシリコン薄膜の平均膜厚は80nm弱であり、面内膜厚バラツキは1.9nmであった。また表面粗さはRMSで0.5nmであった。また、断面を観察したところ、シリコン薄膜表面は単結晶化していることがわかった。
Claims (7)
- SOI基板の製造方法であって、
少なくとも、
水素イオン又は希ガスイオンあるいはこれらの両方を注入してイオン注入層が形成されたシリコンウェーハとハンドルウェーハが貼り合わされた貼り合わせ基板を準備する工程と、
前記イオン注入層に沿って剥離を行うことで、前記シリコンウェーハを前記ハンドルウェーハに転写する工程と、
前記剥離した表面を、ガスクラスターイオンビームを用いたGCIB法によって処理する工程と、
その後前記転写したシリコンウェーハの剥離した表面に、パルス状のレーザーを照射することによってアニールする工程とを有することを特徴とするSOI基板の製造方法。 - 前記準備する貼り合わせ基板を、前記シリコンウェーハに前記イオン注入層を形成し、その後前記シリコンウェーハと前記ハンドルウェーハの少なくとも一方の貼り合わせ面にプラズマ活性化処理を行ってから貼り合わせ、しかる後に、350℃以下の熱処理で結合強度を増したものとし、
かつ前記転写する工程を、機械的衝撃を前記イオン注入層に加えて前記イオン注入層で剥離するものとすることを特徴とする請求項1に記載のSOI基板の製造方法。 - 前記準備する貼り合わせ基板を、前記シリコンウェーハに前記イオン注入層を形成し、その後前記シリコンウェーハと前記ハンドルウェーハを貼り合わせたものとし、
かつ前記転写する工程を、500℃以上の熱処理を行って前記イオン注入層で剥離するものとすることを特徴とする請求項1に記載のSOI基板の製造方法。 - 前記貼り合わせ基板を準備する工程において、前記ハンドルウェーハを、石英、ガラス、サファイア、SiC、アルミナ、窒化アルミニウムのいずれかの材料からなるものとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のSOI基板の製造方法。
- 前記転写する工程の後、前記パルス状のレーザーを照射する工程の前に、前記剥離した表面を、化学エッチングする工程を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のSOI基板の製造方法。
- 前記化学エッチングを、KOH溶液、NH4OH溶液、NaOH溶液、CsOH溶液、SC1溶液、EDP溶液、TMAH溶液、ヒドラジン溶液のうち、少なくとも1つのエッチング溶液を用いたエッチングとすることを特徴とする請求項5に記載のSOI基板の製造方法。
- 前記転写する工程の後、前記パルス状のレーザーを照射する工程の前に、前記剥離した表面に対して、CMP研磨または熱処理を行う工程を有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のSOI基板の製造方法。
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