JP5409808B2 - 治療薬および治療方法 - Google Patents
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Description
本願は、2010年7月2日に、日本に出願された特願2010−152386号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
精神疾患とは、脳の機能的および器質的障害によって惹き起こされる疾患をいい、その治療には、精神療法や電気痙攣療法、またはハロペリドール等の向精神薬を用いた薬物療法等が採用されている。
ハロペリドール[4−[4−(4−Chlorophenyl)−4−hydroxypiperidin−1−yl]−1−(4−fluorophenyl)butan−1−one]は、ヤンセンらによって鎮痛薬メペリジンから誘導され、覚醒剤のアンフェタミンにより誘発された運動量増加を抑制する薬物として発見されたブチロフェノン系の抗精神病薬である。ハロペリドールには、クロルプロマジンとほぼ同様の中枢神経抑制作用が見られ、動物実験での神経遮断作用、およびアポモルヒネ誘発嘔吐に対する拮抗作用などについてはクロルプロマジンよりも強力である。また、ハロペリドールは、馴化作用や条件回避反応の抑制なども示す。臨床的には、ハロペリドールは、統合失調症の陽性症状(興奮状態等)に有効で、特にフェノチアジン系薬物の無効な例に良いと言われている。ハロペリドールは、統合失調症のほか、双極性障害、譫妄、運動異常症、ハンチントン病、テゥレット障害、アンフェタミン中毒、偏執症、重篤な混乱や興奮などにも使用されている。また、ハロペリドールは、難治性吃逆や、精神疾患以外の原因による悪心や嘔吐、たとえば制癌剤の副作用として生じる悪心や嘔吐、動揺病やメニエール症候群の症状である悪心や嘔吐にも有効であるとされている。
α−LAの機能性として、上記のほか、ゲル化特性を有することが知られており、卵白代替品、練製品等の他、マスキング効果、品質改良剤として食品に利用されている(非特許文献2)。また、α−LAが、抗潰瘍作用、ムチン産生分泌促進作用、消化管運動調節作用、アルコール代謝促進作用、アルデヒド脱水素酵素発現促進作用、および血糖値調節作用等を有することが報告されている(特許文献1〜5および非特許文献3)。また、鎮痛および抗炎症作用も報告されている(非特許文献4)。
また、α−LAは、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)の前駆体であるトリプトファン含量が高く、α−LA摂取による脳内セロトニン含量への影響について研究されている。セロトニンは、記憶、食欲、睡眠等に関与する神経伝達物質であり、その調節は主としてセロトニンの前駆体であるトリプトファンの調節によって可能となる。脳内セロトニンは、血液中の中性アミノ酸に対するトリプトファンの比率(Trp/LNAA)が増えたときに増加することが知られている。非特許文献5には、α−LAに関して、ラットにα−LA食を摂取させた場合、脳内セロトニン含量が摂取3日後と6日後で有意に増加していること、ヒト試験において、α―LA食(Trp/LNAAが9)の摂取は、カゼイン食(Trp/LNAAが4)摂取と比較して血中のTrp/LNAAが有意に増加すること、慢性ストレス下にある被験者おいては、α―LA食の摂取後、脳内セロトニンの変化の指標となるプロラクチンが有意に増加し、ストレスを負荷した際の鬱気分が軽減されること、慢性ストレス下にある被験者の注意力向上効果があること、等の報告がある旨記載されている。また、α−LAの加水分解物が、乳獣において、glucagon-like peptide-2の分泌や小腸の成長を刺激することも報告されている(非特許文献6)。しかし、α−LAが有する薬理作用として、統合失調症のようなハロペリドール適応症を予防または治療する作用は報告されていない。
しかしながら、ハロペリドールには、無視し得ない副作用がある等の理由から、使用に当たっては、医師等の監督の下、充分な注意を払う必要がある。
また、統合失調症患者は喫煙率が非常に高いことなどから、喫煙により統合失調症の症状が一時的にせよ緩和される可能性があるとの考えも成り立つ。しかし、喫煙は、従来の治療薬と異なり、医師等の監督の下に使用する必要はないものの、発ガンをはじめ、様々な悪影響が知られていることから、喫煙は推奨されない。
したがって、ハロペリドールと同様の薬理作用(ハロペリドール様作用)を有し、しかも安全で、簡便に使用できる物質がハロペリドール適応症治療薬として望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、安全で、簡便に使用できるハロペリドール適応症治療薬を提供することを目的とする。
さらに、従来の評価方法では、ある候補物質について、多数存在する精神疾患の各病態に対する効果を評価するには、それぞれ、全く異なった評価系(たとえば個々の精神疾患に対応した実験的病態動物)で評価する必要がある。つまり、開発の初期には、多数の候補物質が存在しており、各候補物質がどのような向精神作用を有するのかが不明であるため、各々の評価系を用いてそれぞれの精神疾患における効果を評価する必要がある。そのため、開発の初期段階で候補物質の絞り込みを行う際に、有用な候補物質を漏らしてしまう恐れがある。
このような問題に対し、本発明者は、種々の範疇の向精神薬について鋭意検討を行った結果、投与する薬物によって、持続的な保定により誘発された血糖上昇反応に対する影響が異なり、また、同じ薬物であっても実験条件の違い(負荷した先行刺激が異なる等)によって、前記血糖上昇反応に対する影響が異なることを見出した。かかる知見に基づき、物質が有する向精神作用を、精神疾患の分類に囚われず、簡便かつ再現性良く評価できる評価方法を特許出願している(特開2011−033408号公報)。
前記評価方法は、具体的には、物質が投与された被験動物を持続的に保定し、その状態下における血糖値を経時的に測定する工程を、前記保定を行う前の実験条件を変更して2回以上実施し、前記物質が前記保定により誘発される血糖上昇反応に与える影響から、その向精神作用を評価するものである。この実験条件は、好ましくは、物質の投与方法と、物質の投与前および/または後に前記被験動物に施される処置とを組み合わせて設定される。
前記実験条件は、たとえば(1)〜(6)からなる群から選択される。
(1)測定当日に、被験動物を飼育室から実験室に移動させて物質を投与する。
(2)測定当日に、被験動物を飼育室から実験室に移動させ、物質を投与する前または後に、新奇場面への曝露、電気刺激および保定のいずれかの刺激を一時的に負荷する。
(3)測定前日に、被験動物を飼育室から実験室に移動させ、馴化させた後、飼育室に戻し、測定当日に、再度実験室に移動させて物質を投与する。
(4)測定前日に、被験動物を飼育室から実験室に移動させ、馴化させた後、飼育室に戻し、測定当日に、再度実験室に移動させ、物質を投与する前または後に、新奇場面への曝露、電気刺激および保定のいずれかの刺激を一時的に負荷する。
(5)測定前日まで物質を反復投与する。
(6)測定前日まで物質を反復投与し、測定当日に、新奇場面への曝露、電気刺激および保定のいずれかの刺激を一時的に負荷する。
前記血糖上昇反応は、持続的保定を行う前の実験条件に影響される。たとえば同じ薬物であっても、投与方法や先行刺激を変化させると、血糖上昇反応にも違いが生じる。そのため、前記の違いから向精神作用を評価できる。具体的には、ある実験条件下では血糖上昇反応に明確な変化が見られず、別の実験条件下では血糖上昇反応が増強または減弱された場合は、投与した薬物が何らかの向精神作用を有する可能性があると判断できる。この血糖上昇反応の増強または減弱の有無や、その増強または減弱の程度は、たとえば、対照(溶媒のみ投与する以外は同じ実験条件で前記工程を実施した場合に観測される血糖上昇反応)との比較により判定できる。また、ある実験条件下では血糖上昇反応に明確な変化が見られず、別の実験条件下では血糖上昇反応が促進または遅延された場合も、投与した薬物が何らかの向精神作用を有する可能性があると判断できる。この血糖上昇反応の促進または遅延の有無や、その促進または遅延の程度は、前記と同様、対照との比較により判断でき、たとえば持続的保定下血糖値が最大となる時間にずれがあった場合は、血糖上昇反応が促進または遅延されたと判定できる。また、そのずれの大きさによって、促進または遅延の程度が判定できる。
また、同じ実験条件であっても、投与する薬物の種類を換えると、前記血糖上昇反応に違いが生じる。たとえば、ある薬物を投与した場合に血糖上昇反応に明確な変化が見られなくても、別の薬物を投与した場合には、血糖上昇反応が増強または減弱されたり、その増強または減弱の強さに違いが見られる。
そのため、前記工程を、実験条件を変更して2回以上実施し、各工程での血糖上昇反応の違いを比較することで、複数の実験条件下での血糖上昇反応への薬物の影響(以下、作用態度ということがある)がわかる。
この作用態度は、薬物が有する向精神作用によって異なることから、前記評価方法は、複数の薬物間の向精神作用を比較するのにも有用である。具体的には、本発明者は、前記評価方法において前記保定により誘発される血糖上昇反応に与える影響が、同じ向精神薬であっても、ハロペリドールとジアゼパムとクロザピンとクロミプラミンとメチルフェニデートとリチウムでは全く異なることを確認している。
そして、この違いを利用して、種々の物質について上記血糖上昇反応に与える影響を観察した結果、後述する試験例1に示すとおり、α−ラクトアルブミンがハロペリドールと同様の向精神作用を有することを見出した。さらに、悪心や嘔吐の軽減にも有効であることを見出した。
[1]α−ラクトアルブミンを有効成分とする、悪心および嘔吐からなる群から選択される症状のための治療薬。
[2]悪心および嘔吐からなる群から選択される症状の治療方法であって、治療を必要とする対象(ヒトを除く哺乳動物)に有効量のα−ラクトアルブミンを投与する方法。
[3]α−ラクトアルブミンを有効成分とする、統合失調症の陽性症状のための治療薬。
α−LAは、ハロペリドール様作用、つまりハロペリドールと同様の薬理作用を有しており、α−LAを有効量摂取することで、ハロペリドール適応症の治療が可能である。
ここで、「ハロペリドール適応症」とは、その治療にハロペリドールが有効である症状を意味し、好適には統合失調症の陽性症状が挙げられる。また、その他、双極性障害、譫妄、運動異常症、ハンチントン病、トゥレット障害、アンフェタミン中毒、偏執症、混乱、および興奮等が挙げられる。また、難治性吃逆、悪心や嘔吐も挙げられる。悪心や嘔吐としては、精神疾患の症状としての悪心や嘔吐のほか、シスプラチン等の制癌剤の副作用として生じる悪心や嘔吐、動揺病やメニエール症候群の症状としての悪心や嘔吐に有効である。
「治療」は、ハロペリドール適応症の症状を改善(緩和、軽減を含む)することを意味する。
統合失調症は、人口の0.7−1.0%の人に発症し、日本でも数十万人に及んでいる。治療された患者のおよそ75%は、全快せず、長期入院患者を生み出している極めて重大な慢性疾患である。本疾患の主な症状は、妄想、幻覚および幻聴等の陽性症状に加えて、知覚異常といった認知障害や引きこもりやうつ症状等の陰性症状に至るまで、多様な精神的異常を伴うものである。青年期から壮年期にかけて、知覚、思考、感情、または行動面に特徴的な、症状で発病し、多くは、慢性に経過し、社会適応にさまざまな困難を生じる。
精神症状について、陽性症状(幻覚、妄想、減弱思考、緊張症状、奇異な行動など)と陰性症状(感情の平板化、意欲定下、社会的引きこもりなど)の分類がある。本疾患の病態の特殊性から早期発見、治療、社会復帰活動、再発予防等の一貫した包括的治療体系の確立が望まれている。統合失調症は、素質的要因を主因とする機能性精神病であり、遺伝的素因が関係することが多いとされている。しかし、現在のところ、その発症原因の解明はおろか、生物学的な病態の理解さえ明快ではない。
統合失調症の陽性症状を改善する治療薬として、従来、神経伝達物質、ドパミンやセロトニンと拮抗する薬物が有用だとされており、多くは、年余にわたるこれらの薬物の長期投与が不可欠である。具体的には、統合失調症の陽性症状を改善する治療薬として、ハロペリドール等のブチロフェノン系化合物、フェノチアジン系化合物、チオキサンチン系化合物、ベンザアミド系化合物が多用されている。
しかし、これらの薬物には、副作用として錐体外路障害が知られている。
より新しい統合失調症の治療薬としては、陰性症状にも有効であるクロザピン等のセロトニン−ドパミン受容体拮抗薬が知られている。しかしセロトニン−ドパミン受容体拮抗薬は、しばしば体重増加および糖尿病の増悪等の副作用を伴う。
一方、本発明のハロペリドール適応症治療薬の有効成分であるα−LAは、安全性にも優れており、ハロペリドール適応症の治療効果を奏するのに充分な有効量のα−LAを、ハロペリドール投与の際に見られる副作用(錐体外路障害等)を生じることなく、日常的に、必要であれば長期的に、摂取させることができる。
ほ乳類の乳に由来するα−LAのアミノ酸配列としては、ヨーロピアン・モレキュラー・バイオロジー・ラボラトリー(EMBL)のデーターベースに登録されたEMBL−Accession No.P00709(ヒト由来α−LA)、EMBL−Accession No.P00711(ウシ由来α−LA)等に記載されたアミノ酸配列を例示することができる。
ほ乳類の乳由来のα−LAは、常法(たとえば、祐川金次郎著、「最新改稿乳業技術便覧」、酪農技術普及協会、第120〜122頁、1975年)の硫酸アンモニウム沈殿法により製造することができる。また、その他に、塩化鉄法[ジャーナル・オブ・フード・サイエンス(Journal of Food Science)、第50巻、第1531〜1536頁、1985年]、限外濾過法(特開平5−268879号公報)、イオン交換法(日本国特許第2916047号公報)等により製造することもできる。また、より簡便には、市販のα−LA(たとえば、シグマ社製、ダビスコ社製等)を使用することができる。さらに、遺伝子操作によって微生物、動物細胞、またはトランスジェニック動物等が生産する組換えα−LAを使用してもよい。
α−LAとしては、前記の化学的または遺伝子工学的方法により得られたα−LAの薬学的に許容されうる塩または薬学的に許容されうる溶媒和物を使用することも可能である。前記塩としては、塩酸塩等の無機酸塩および酢酸塩等のカルボン酸塩を含む有機酸塩を例示することができる。前記溶媒和物としては、水和物等を例示することができる。
α−LA、α−LAの薬学的に許容されうる塩類、α−LAの薬学的に許容されうる溶媒和物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
α−LAの加水分解物は、α−LAを加水分解酵素で加水分解することによって得ることができる。以下、α−LAを加水分解酵素で加水分解する方法を具体的に説明する。
前記α−LA溶液中のα−LAの濃度は、特に制限されないが、蛋白質換算で5〜15%(w/w)前後の濃度範囲にするのが効率性および操作性の点から望ましい。また、前記α−LA溶液を70〜90℃で10分間〜15秒間程度加熱殺菌することが、雑菌汚染による変敗防止の点から望ましい。
次いで、前記α−LA溶液にアルカリ剤または酸剤を添加し、前記溶液のpHを、使用する加水分解酵素の至適pHまたはその付近に調整することが好ましい。
ここで使用するアルカリ剤または酸剤は、食品または医薬品に許容されうるものであれば如何なるアルカリ剤または酸剤であってもよい。具体的には、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等を、酸剤としては、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸等を例示することができる。
加水分解酵素は、蛋白質を加水分解する酵素であれば特に制限されず、動物由来(たとえば、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パンクレアチン等)、植物由来(たとえば、パパイン等)、または微生物由来(たとえば、乳酸菌、酵母、カビ、枯草菌、放線菌等)のプロテアーゼまたはペプチダーゼなどを例示することができ、エンドペプチダーゼであることが好ましく、中でも、豚由来のペプシンを使用することが好ましい。加水分解酵素は1種でもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の酵素を用いる場合は、それぞれの酵素反応は同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。
加水分解反応時間は、酵素反応の分解率をモニターしながら、好ましい分解率に達する時間とする。本発明においては、前記分解率が6〜80%が好ましく、中でも10〜70%が特に好ましい。α−LAの加水分解物がハロペリドール適応症治療薬の有効成分としての作用を発揮するためには、少なくとも分解率が上記範囲の上限値以下であることが好ましい。前記上限値を超えると、α−LA加水分解物を飲食物に添加させて摂取する場合に、風味の低下を引き起こすおそれがある。また上記範囲の下限値より低い場合は、分解が殆ど進んでいない状態にあるが、一定の条件でかかる状態の分解を行うことは実質的に困難であると考えられるので、分解率は6%以上であることが好ましい。
本明細書における蛋白質(ここではα−LA)の分解率の算出方法は、ケルダール法(日本食品工業学会編、「食品分析法」、第102頁、株式会社光琳、昭和59年)により試料の全窒素量を測定し、ホルモール滴定法(満田他編、「食品工学実験書」、上巻、第547ページ、養賢堂、1970年)により試料のホルモール態窒素量を測定し、これらの測定値から分解率を次式により算出する方法である。
分解率(%)=(ホルモール態窒素量/全窒素量)×100
酵素反応の停止後、得られる反応液のpHを、酸やアルカリの添加により中性付近に調整することが好ましい。
α−LA以外の有効成分としては、ハロペリドール適応症治療薬の有効成分として公知のものが利用でき、前記ハロペリドール適応症治療薬が治療対象とするハロペリドール適応症に応じて公知の有効成分のなかから適宜選択できる。具体例として、ハロペリドール、スピロペロペリドール、クロルプロマジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、トリフロペラジン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、テトラベナジン、リチウム塩、アリピプラゾール、クロザピン、クエチアピン、リスペリドン、メトクロプラミド、スコポラミン、ジフェンヒドラミン、アトロピン、キニーネ等が挙げられる。
本発明は、ハロペリドール適応症の治療方法であって、治療を必要とする患者に有効量のα−LAを投与する方法、または治療を必要とする患者に有効量のα−LAおよび薬学的に許容されうる添加剤を含有する医薬組成物を投与する方法を含む。
本発明のハロペリドール適応症治療薬の投与量は、投与経路、期待する治療効果等に応じて適宜設定すればよい。たとえば経口にて投与する場合、治療に有効な1日投与量は、通常、体重1kgあたり、α−LAの固形分量に換算して、2〜1000mg/kg体重が好ましく、10〜500mg/kg体重がより好ましい。
本発明のハロペリドール適応症治療薬は、上記1日投与量の全量を1回で投与してもよく、数回に分けて投与してもよい。
本発明のハロペリドール適応症治療薬の剤形としては、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤などの液剤;等が挙げられる。また、非経口投与の場合、座剤、噴霧剤、軟膏剤、貼付剤、注射剤等が挙げられる。
製剤化は、剤形に応じ、適宜公知の方法により実施できる。
製剤化に際しては、有効成分のみを製剤化してもよく、適宜、薬学的に許容されうる製剤担体を配合して製剤化してもよい。
前記製剤担体を配合する場合、本発明のハロペリドール適応症治療薬中の有効成分の配合量は、特に制限はなく、剤形に合わせて適宜決定すればよい。
たとえば固形製剤の場合の担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
賦形剤としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
結合剤としては、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マグロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプンまたはセルロース誘導体等が挙げられる。
滑沢剤としては、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸類塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
安定剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
経口投与用の液剤の場合の担体としては、水などの溶剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
本発明のハロペリドール適応症治療薬がハロペリドール適応症治療効果を奏することから、医薬品、飲食品または栄養剤に前記ハロペリドール適応症治療薬を添加することにより、前記医薬品、飲食品または栄養剤を、ハロペリドール適応症治療用の医薬品、飲食品または栄養剤とすることができる。
本発明の1つの側面は、ハロペリドール適応症の治療のためのα−LAである。
また、本発明の別の側面は、ハロペリドール適応症治療薬を製造するためのα−LAの使用である。
本発明の飲食品は、上述した本発明のハロペリドール適応症治療薬が添加されたものである。前記飲食品を摂取することにより、本発明のハロペリドール適応症治療薬を投与する場合と同様の効果が得られる。
ハロペリドール適応症治療薬の添加量は、添加する飲食品に応じて適宜調節でき、特に限定されない。効果的なハロペリドール適応症治療効果を得るためには、α−LAの配合量が、上述した1日投与量を無理なく摂取できる程度の量となるように添加することが好ましい。通常、飲食品中のα−LAの固形分濃度が、0.1〜99%(w/w)となる量が好ましく、1〜95%(w/w)がより好ましい。
飲食品に含まれる他の成分としては、食品衛生法などの食品規定で飲食品への使用が認められているものであれば、ハロペリドール適応症治療効果を損なわない限り特に制限なく用いることができる。たとえば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等を含有させることができる。
本発明の飲食品の形態は特に制限されず、α−LAと、飲食品として許容される担体とからなる可食性組成物のいかなる形態ものも含む。たとえば、パン、チューインガム、ガムドロップ(グミ)、クッキー、チョコレート、菓子、シリアル類等の固形食品、ジャム、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー等のジャム状、クリーム状またはゲル状食品、緑茶、紅茶、ウーロン茶等の茶類、ジュース、コーヒー、ココア等の飲料等のあらゆる飲食品形態にすることが可能である。また、調味料、食品添加剤等に配合することもできる。
なお、以上のような表示を行うために使用する文言は、たとえば「ハロペリドール適応症治療用」という文言のみに限られるわけではなく、それ以外の文言であっても、ハロペリドール適応症治療効果を表す文言であれば、本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。たとえば、ハロペリドール適応症改善用との文言であってもよく、ハロペリドール適応症として特定のもの、たとえば統合失調症の陽性症状を表示してもよい。
一方、表示される内容(表示内容)としては、行政等によって認可された表示(たとえば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましく、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示を例示することができる。特に、厚生労働省によって認可される表示、たとえば、特定保健用食品制度、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示等を例示することができ、詳細にいえば、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、およびこれに類する表示が、典型的な例として列挙することが可能である。
[1.試験動物]
6週令のddY系雄性マウス(日本エスエルシー)を購入し、飼育室にて、12時間明暗周期(午前8時より午後8時まで点灯)のほぼ一定した環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)で1週間以上予備飼育して用いた。予備飼育中、水および餌は、自由に摂取させた。
ハロペリドール:和光純薬工業社製。
オボアルブミン:シグマ社製。
ラクトパーオキシダーゼ:森永乳業社製、ウシ乳汁より抽出したもの。
α−LA:ダビスコ社製。
ハロペリドールは、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用し、その他の物質は、注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
物質投与30分後にマウスをアクリル樹脂製保定器(夏目製作所社製)で持続的保定を開始した。保定開始から0時間後(保定開始直後)、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後にそれぞれ尾静脈より血液を採取した。採取した血液中のグルコース濃度を、血糖測定器(グルテストセンサー、三和化学研究所社製)を用い、酵素電極法で測定した。
血糖値の測定結果の表示には、平均値±標準誤差を用いた。また、有意差検定には、マン・ホイットニーのU検定を用いた。
(1−1.実験室に馴化当日の血糖上昇反応に対するハロペリドール単回投与の効果)
飼育室で予備飼育したマウスを、測定当日に実験室に移し(前日処置なし)、1ケージに2匹ずつ群分けした後、体重測定を行った。このマウスに対し、ハロペリドールを表1に示す用量で経口投与(単回投与)し、その30分後、アクリル樹脂製保定器(夏目製作所)で保定し、その状態を維持しつつ、血糖値の測定を行った。
対照として、薬物の代わりに注射用水を10mL/kgの割合で経口投与した以外は前記と同様の測定を行った。
測定結果を表1に示す。
ハロペリドールの代わりに、表2に示す被験物質を表2に示す用量で経口投与した以外は前記(1−1.実験室に馴化当日の血糖上昇反応に対するハロペリドール単回投与の効果)と同様の測定を行った。
測定結果を表2に示す。
飼育室で予備飼育したマウスを実験室に移し、1ケージに2匹ずつ群分けした後、体重測定を行った。その後、6時間実験室に馴化させ、再び体重測定を行った後、ケージに入れたまま飼育室に戻した。飼育室に戻してから1日後、マウスをケージに入れたまま実験室に移し、体重測定を行った。このマウスに対し、ハロペリドールを表3に示す用量で経口投与(単回投与)し、その30分後、アクリル樹脂製保定器(夏目製作所)で保定し、その状態を維持しつつ、血糖値の測定を行った。
対照として、薬物の代わりに注射用水を10mL/kgの割合で経口投与した以外は前記と同様の測定を行った。
測定結果を表3に示す。
ハロペリドールの代わりに、表4に示す被験物質を表4に示す用量で経口投与した以外は前記(2−1.実験室に馴化1日後の血糖上昇反応に対するハロペリドール単回投与の効果)と同様の測定を行った。
測定結果を表4に示す。
飼育室で予備飼育したマウスを実験室に移し、1ケージに2匹ずつ群分けした後、体重測定を行った。その後、6時間実験室に馴化させ、再び体重測定を行った後、ケージに入れたまま飼育室に戻した。飼育室に戻してから1日後、マウスをケージに入れたまま実験室に移し、体重測定を行った。このマウスを、明暗実験箱(小原製作所)の明箱に5秒間放置し、その30分後、表5に示す薬物を表5に示す用量で経口投与した。その30分後、アクリル樹脂製保定器(夏目製作所)で保定し、その状態を維持しつつ、血糖値の測定を行った。
対照として、薬物の代わりに注射用水を10mL/kgの割合で経口投与した以外は前記と同様の測定を行った。
測定結果を表5に示す。
ハロペリドールの代わりに、表6に示す被験物質を表6に示す用量で経口投与した以外は前記(3−1.実験室に馴化1日後において5秒間明箱に放置した後に測定した血糖上昇反応に対するハロペリドール単回経口投与の効果)と同様の測定を行った。
測定結果を表6に示す。
実験室に馴化当日の血糖上昇反応に及ぼすハロペリドールの影響を検討したところ、表1に示すとおり、明確な影響は認められなかった。また、前記血糖上昇反応に及ぼす被験物質の影響を検討したところ、表2に示すとおり、オボアルブミン、ラクトパーオキシダーゼ、α−LAのいずれを投与しても顕著な影響は認められなかった。
実験室に馴化1日後の血糖上昇反応に及ぼすハロペリドールの影響を検討したところ、表3に示すとおり、血糖上昇反応は顕著に減弱した。また、前記血糖上昇反応に及ぼす被験物質の影響を検討したところ、表4に示すとおり、オボアルブミン(1000mg/kg、2000mg/kg)やラクトパーオキシダーゼ(2000mg/kg)を投与しても顕著な影響は認められなかったが、α−LA(1000mg/kg、2000mg/kg)を投与すると用量依存的に血糖上昇反応が減弱し、1000mg/kgでも、極大値を示した投与1時間後において有意に血糖上昇反応が減弱した。
実験室に馴化1日後において5秒間明箱に放置した後に測定した血糖上昇反応に及ぼすハロペリドールの影響を検討したところ、表5に示すとおり、投与直後にのみ血糖上昇反応は顕著に増強したが、極大値を示した投与1時間後においては減弱傾向が認められ、明瞭な影響は観察されなかった。また、前記血糖上昇反応に及ぼす被験物質の影響を検討したところ、表6に示すとおり、オボアルブミン、ラクトパーオキシダーゼ、α−LAのいずれを投与しても顕著な影響は認められなかった。
↑↑:血糖上昇反応を強く増強する。
↑:血糖上昇反応を増強する。
→:血糖上昇反応への影響は小さい、あるいは不明確。
↓:血糖上昇反応を減弱する。
↓↓:血糖上昇反応を強く減弱する。
本試験では、アポモルヒネの投与と立ち上がり行動との相関性について検討した。
[1.試験動物]
日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水および餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
アポモルヒネ:シグマ社製。生理食塩液(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群4〜6匹とする5群に分け、アポモルヒネの投与量を0.2mg/kgから2mg/kgの4通りとして皮下投与した。対照として、生理食塩液(大塚製薬社製)を皮下投与した。
アポモルヒネを投与して10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後から、それぞれ1分間に起こった立ち上がり行動の回数を測定した。
[4.試験結果および考察]
表8に結果を示す。マウスにアポモルヒネを皮下投与したところ、用量依存的に立ち上がり行動の増加が認められた。
本試験では、ハロペリドールが有する、前記立ち上がり行動に対する抑制効果を確認した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水および餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
アポモルヒネ:シグマ社製。生理食塩液(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
ハロペリドール:和光純薬工業社製。カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群6匹とする4群に分け、ハロペリドールの投与量を0.2mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kgの3通りとして経口投与した。対照として注射用水(大塚製薬社製)を経口投与した。
ハロペリドール投与から1時間後、アポモルヒネ2mg/kgを皮下投与した。
アポモルヒネの投与から10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後から、それぞれ1分間に起こった立ち上がり行動の回数を測定した。
有意差の検定には、マン・ホイットニーのU検定を用いた。
[4.試験結果および考察]
表9に結果を示す。アポモルヒネにより誘発された立ち上がり行動は、ハロペリドールの投与により用量依存的に減少した。
そして、ハロペリドール1mg/kg投与群において、立ち上がり行動の総数も有意に減少した。
本試験では、α−LAが有する、前記立ち上がり行動に対する抑制効果を確認した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水および餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
アポモルヒネ:シグマ社製。生理食塩液(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
α−LA:ダビスコ社製。注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群6匹または8匹とする4群に分けた。
試験試料としてα−LAを2000mg/kgに調製し、マウスに経口投与した。対照試料として、注射用水(大塚製薬社製)を経口投与した。
試験試料または対照試料の投与から1時間後、アポモルヒネ2mg/kgを皮下投与した。
アポモルヒネの投与から10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後を起点として、それぞれ1分間に起こった立ち上がり行動の回数を測定した。
有意差の検定には、マン・ホイットニーのU検定を用いた。
[4.試験結果および考察]
表10に結果を示す。アポモルヒネにより誘発された立ち上がり行動は、α−LAの投与50分後においてその回数が有意に減少した。
本試験では、α−LAとハロペリドールを併用した場合のアポモルヒネ誘発立ち上がり行動に対する抑制効果を検討した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水および餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
アポモルヒネ:シグマ社製。生理食塩液(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
ハロペリドール:和光純薬工業社製。カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用した。
α−LA:ダビスコ社製。注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、1群を8匹とする2群に分け、各群のマウスにハロペリドール0.2mg/kgを経口投与した。30分後、実験群にはα−LAを2000mg/kgとなるようにマウスに経口投与し、対照群には注射用水(大塚製薬社製)を経口投与した。
さらに、試験試料または注射用水の投与から1時間後、アポモルヒネ2mg/kgを皮下投与した。
そして、アポモルヒネの投与から10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後を起点として、1分間に起こった立ち上がり行動の回数を測定した。
有意差の検定には、マン・ホイットニーのU検定を用いた。
[4.試験結果および考察]
表11に結果を示す。アポモルヒネにより誘発された立ち上がり行動に対し、ハロペリドールは、0.2mg/kgの単独投与では顕著な影響を及ぼさなかったが(試験例2−2、表9参照)、α−LAと組み合わせた場合、立ち上がり行動の総数も有意に減少した。
本試験では、ハロペリドールと、その副作用として知られているカタレプシー(強硬症状)との相関性について検討した。また、α−LAを単独投与してもカタレプシーが生じないことを確認した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水および餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
ハロペリドール:和光純薬工業社製。カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用した。
α−LA:ダビスコ社製。注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群4匹〜7匹とする4群に分け、ハロペリドールまたはα−LAを経口投与した。対照群には注射用水を経口投与した。
カタレプシー誘発作用の測定として、マウスへの試験試料の投与30分後、60分後、90分後、120分後、180分後、240分後、300分後に、前記マウスを6.5cmの高さに張った針金に掴り立ちさせ、姿勢を60秒以上維持した場合にカタレプシー陽性と判定した。
[4.試験結果および考察]
結果を表12に示す。ハロペリドール0.5mg/kgを経口投与してもカタレプシーは認められなかったが、ハロペリドール1.0mg/kgを経口投与したところ、投与60分後乃至300分後において5例中2例乃至4例にカタレプシーが認められた。
一方、α−LA投与群においては、カタレプシーは認められなかった。
本試験では、ハロペリドール(0.5mg/kg)とα−LAとを併用投与しても、ハロペリドールに起因するカタレプシーが増強されないことを確認した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水および餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
ハロペリドール:和光純薬工業社製。カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用した。
α−LA:ダビスコ社製。注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群を7匹とする2群に分け、それぞれハロペリドール0.5mg/kgを経口投与した。
さらに30分後、実験群にα−LAを経口投与し、対照群に注射用水を経口投与した。
カタレプシー誘発作用の測定として、マウスへのハロペリドールの投与30分後、60分後、90分後、120分後、180分後、240分後、300分後に、前記マウスを6.5cmの高さに張った針金に掴り立ちさせ、姿勢を60秒以上維持した場合にカタレプシー陽性と判定した。
[4.試験結果および考察]
結果を表13に示す。
単独投与(試験例3−1参照)でカタレプシーの発生が認められなかったハロペリドール0.5mg/kg投与後に注射用水を投与した群、ハロペリドール0.5mg/kg投与後にα−LAを投与した群、いずれにおいてもカタレプシーの発生がわずかに認められたが、その発生率の差は、ほとんど認められなかった。
本試験では、ハロペリドール(1.0mg/kg)とα−LAとを併用投与してもハロペリドールに起因するカタレプシーが増強しないことを確認した。
[1.試験動物]
試験例2−1と同様に、日本エスエルシー社より購入した6週齢のddY系雄性マウスを使用した。
試験前、ほぼ一定の環境下(気温22±2℃、湿度55±10%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育中、水および餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
ハロペリドール:和光純薬工業社製。カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業社製)を1%(w/v)含有する注射用水(大塚製薬社製)で懸濁して使用した。
α−LA:ダビスコ社製。注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
ddY系雄性マウスを、一群7匹とする2群に分け、ハロペリドール1.0mg/kgを経口投与した。
さらに30分後、実験群にα−LAを経口投与し、対照群に注射用水を経口投与した。
カタレプシー誘発作用の測定として、マウスへのハロペリドールの投与30分後、60分後、90分後、120分後、180分後、240分後、300分後に、前記マウスを6.5cmの高さに張った針金に掴り立ちさせ、姿勢を60秒以上維持した場合にカタレプシー陽性と判定した。
[4.試験結果および考察]
結果を表14に示す。
単独投与(試験例3−1参照)でカタレプシーの発生が明らかに認められたハロペリドール1.0mg/kg投与後に注射用水を投与した群、ハロペリドール1.0mg/kg投与後にα−LAを投与した群、いずれにおいてもカタレプシーの発生が認められたが、その発生率の差は、ほとんど認められなかった。
本試験では、α−LAが、シスプラチン誘発遅延性嘔吐に対する抑制効果があることを確認した。
[1.試験動物]
マーシャル・バイオリソース・ジャパン社より購入した12〜16週齢のフェレットを使用した。試験前、ほぼ一定した環境下(気温18〜28℃、湿度30〜80%)、12時間明暗周期で1週間以上の予備飼育期間を設けた。予備飼育および試験中、水および餌は、自由に摂取させた。
[2.試験試料]
シスプラチン:シグマ社製。生理食塩液(大塚製薬)に溶解して使用した。
α−LA:ダビスコ社製。注射用水(大塚製薬社製)に溶解して使用した。
[3.試験方法]
フェレットにシスプラチンを5mg/kgとなるように腹腔内投与して嘔吐を誘発させた。シスプラチン投与12時間後から12時間間隔で計4回、すなわち、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後に、α−LA200mg/kgを経口投与した(実験群)。
一方、対照として注射用水を同様の時間と回数にて経口投与した(対照群)。各群のフェレットは5匹とした。
シスプラチン投与24〜72時間後までに生じた空嘔吐を含む嘔吐の回数を測定した。
[4.試験結果および考察]
図1に結果を示す。α−LAを経口投与することで、シスプラチンに誘発された遅延性嘔吐反応に抑制傾向が認められた。
この結果から、α−LAは、制癌剤の副作用や動揺病(乗り物酔い)による悪心や嘔吐にも有効であることが示された。
Claims (3)
- α−ラクトアルブミンを有効成分とする、悪心および嘔吐からなる群から選択される症状のための治療薬。
- 悪心および嘔吐からなる群から選択される症状の治療方法であって、治療を必要とする対象(ヒトを除く哺乳動物)に有効量のα−ラクトアルブミンを投与する方法。
- α−ラクトアルブミンを有効成分とする、統合失調症の陽性症状のための治療薬。
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