JP5408271B2 - 車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法 - Google Patents

車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、自動車の車輪並びにディスクブレーキを構成するディスクを懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、このディスクブレーキを構成するキャリパ又はサポートを支持する車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の改良に関する。
自動車の車輪を構成するホイール及びディスクブレーキを構成するディスクは、懸架装置を構成するナックルに対し、車輪支持用転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。一方、上記ディスクブレーキを構成するキャリパ又はサポートは、上記ナックルに支持固定するのが一般的である。これに対して、近年、自動車への組み付け性や取り扱い性を向上させる観点より、上記キャリパ又はサポートを、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する静止側部材に支持固定する事が考えられている。例えば特許文献1には、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する静止側部材である外輪の外周面に、上記キャリパ又はサポートを支持固定する為のフランジを設けた構造が記載されている。
図16〜17は、上記特許文献1に記載された公知の構造とは異なるが、本発明者が先に考えた、静止側部材の外周面に上記キャリパ又はサポートを支持固定する為のフランジを設けた車輪支持用転がり軸受ユニットの1例を示している。この車輪支持用転がり軸受ユニットは、静止側部材である外輪1と、回転側部材であるハブ2と、それぞれが転動体である複数個の玉3、3とを備える。このうちの外輪1は、内周面に複列の外輪軌道4a、4bを有する。又、外周面の内端(軸方向に関して「内」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向中央側を言い、図8、12、16〜18の右側、図1〜7、9〜11、13、15の下側、及び、図14の上側。反対に、車両の幅方向外側となる、図8、12、16〜18の左側、図1〜7、9〜11、13、15の上側、及び、図14の下側を、軸方向に関して「外」と言う。本明細書及び特許請求の範囲の全体で同じ。)寄り部分に、上記ナックル(図示せず)に結合固定する為の結合フランジ5を、同じく中間部(この結合フランジ5の軸方向外側に隣接する部分)の円周方向一部に、上記キャリパ又はサポート(図示せず)を支持固定する為の静止側支持フランジ6を、それぞれ有する。
又、上記ハブ2は、ハブ本体7と、このハブ本体7の内端部に外嵌固定した内輪8とから成る。この様なハブ2は、外周面の外端寄り部分に上記ホイール及びディスク9(後述する図18参照)を支持固定する為の回転側支持フランジ10を、同じく中間部乃至内端部に複列の内輪軌道11a、11bを、それぞれ有する。尚、このうちの回転側支持フランジ10及び外側の内輪軌道11aは、上記ハブ本体7の外周面に、内側の内輪軌道11bは上記内輪8の外周面に、それぞれ形成している。又、上記回転側支持フランジ10の円周方向複数個所には、それぞれ当該個所を軸方向に貫通する圧入孔12を設けると共に、これら各圧入孔12、12の内側にそれぞれスタッド13を圧入固定している。又、上記各玉3、3は、上記各外輪軌道4a、4bと上記各内輪軌道11a、11bとの間にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けている。尚、図示の例では、転動体として玉3、3を使用しているが、重量が嵩む自動車用の転がり軸受ユニットの場合には、転動体として円すいころを使用する場合もある。
上述の様に構成する車輪支持用転がり軸受ユニットを自動車に組み付ける場合には、上記結合フランジ5の内側面を上記ナックルの側面に接触させた状態で、この結合フランジ5をこのナックルに結合固定する。又、上記回転側支持フランジ10の軸方向両側面のうちで上記車輪並びにディスクを取り付ける為の外側面である回転側取付面14に、図18に示す様に、上記ディスク9の片側面内径寄り部分を接触させた状態で、上記回転側支持フランジ10にこのディスク9及び上記ホイールを、上記複数のスタッド13とナット(図示せず)とにより支持固定する。又、上記ディスクブレーキがフローティングキャリパ型である場合には、キャリパを支持するサポートを、上記ディスクブレーキが対向ピストン型である場合にはキャリパを、上記静止側支持フランジ6の外側面である静止側取付面15に接触させた状態で取り付ける。そして、上記ディスク9と上記キャリパとを組み合わせる事により、上記ディスクブレーキを構成する。制動時には、上記ディスクを挟んで設けた、上記サポート又は上記キャリパに組み付けた1対のパッドを、このディスクの両側面に押し付ける。尚、図示の車輪支持用転がり軸受ユニットは従動輪(FF車の後輪、FR車の前輪)用であるが、駆動輪(FF車の前輪、FR車の後輪、4WD車の全車輪)用の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、ハブの中心部にスプライン孔を設ける。そして、自動車への組み付け時に、このスプライン孔に等速ジョイントのスプライン軸(駆動軸)をスプライン係合させる。
ところで、上述した様な静止側支持フランジ6を有し、上記ディスク9と組み合わされた状態で使用される車輪支持用転がり軸受ユニットを製造する場合に従来は、上記静止側取付面15の仕上加工と上記回転側取付面14の仕上加工とを、それぞれ別個独立に(直接的な関連性を持たせる事なく)行なっていた。上記静止側取付面15の仕上加工と、上記ディスク9の径方向外半部の両側面であって互いに平行な1対の制動用摩擦面16、16との仕上加工に就いても同様である。ところが、この様に静止側取付面15の仕上加工と、上記回転側取付面14或いは上記両制動用摩擦面16、16の仕上加工をそれぞれ別個独立に行なうと、これら各面14、15、16の面精度(例えば、平面度や中心軸に対する直角度)を十分に確保できても、完成後にこれら各面14、15、16同士の相対精度(例えば平行度)を十分に確保できなくなる可能性がある。
例えば、上記回転側、静止側両取付面14、15同士の平行度、或いは、この静止側取付面15と上記両制動用摩擦面16、16との平行度が十分に確保されていない場合には、これら両制動用摩擦面16、16と、上記静止側取付面15に取り付けたサポート又はキャリパとの、互いの位置関係を良好に(所望通りに)できなくなる。この結果、上記両制動用摩擦面16、16と前記1対のパッドとの接触状態が不均一になる。そして、この不均一の度合いが大きくなると、制動時に、ジャダーと呼ばれる、異音を伴った振動が発生し易くなる。従って、この様なジャダーの発生を抑えられる様にすべく、上記回転側、静止側両取付面14、15同士の平行度、延いては、この静止側取付面15と上記両制動用摩擦面16、16との平行度を十分に確保できる製造方法を実現する事が望まれる。
尚、本発明に関連する他の先行技術として、特許文献2に記載された車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法がある。この特許文献2に記載された製造方法は、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する静止側部材と回転側部材と複数個の転動体とを組み立てた後、静止側部材に対して回転側部材を回転させながら、ディスクを取り付ける面である回転側取付面に、平面加工である旋削加工を施すと言うものである。この様な製造方法を実施すれば、上記回転側取付面の回転時のアキシアル方向の振れを抑える事ができる為、この回転側取付面に取り付ける上記ディスクの、アキシアル方向の振れに基づくジャダーの発生を抑制できる。但し、上記特許文献2には、実施の対象として、キャリパ又はサポートを支持固定する為の静止側支持フランジを備えた車輪支持用転がり軸受ユニットは記載されていない。即ち、上記特許文献2に記載された製造方法は、上記静止側支持フランジを備えた車輪支持用転がり軸受ユニットを実施の対象とし、且つ、この静止側支持フランジの側面である静止側取付面と、上記回転側取付面或いはディスクの制動用摩擦面との平行度を確保すると言った事は、意図してはいない。
又、特許文献3には、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する、静止側部材と、回転側部材と、複数個の転動体と、ディスクとを組み立てた後、静止側部材に対して回転側部材及びディスクを回転させながら、このディスクに設けた1対の制動用摩擦面に、平面加工である旋削加工を施す、車輪支持用転がり軸受ユニットに関する製造方法が記載されている。この様な製造方法を実施すれば、上記各制動用摩擦面の回転時のアキシアル方向の振れを抑える事ができる為、この様なアキシアル方向の振れに基づくジャダーの発生を抑制できる。但し、上記特許文献3にも、実施の対象として、キャリパ又はサポートを支持固定する為の静止側支持フランジを備えたディスク付の車輪支持用転がり軸受ユニットは記載されていない。即ち、上記特許文献3に記載された製造方法にしても、上述した特許文献2に記載された製造方法と同様に、上記静止側支持フランジを備えた車輪支持用転がり軸受ユニットを実施の対象としてはおらず、従って、この静止側支持フランジの側面である取付面と上記1対の制動用摩擦面との平行度を確保すると言った事は、意図してはいない。
米国特許出願公開第2003/0165280号明細書 特表2003−514680号公報 米国特許第6158124号明細書
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法は、上述の様な事情に鑑み、制動時のジャダーの発生を抑えられる様にすべく、ディスクを取り付ける回転側取付面、或いはこのディスクの制動用摩擦面と、サポート又はキャリパを取り付ける静止側取付面との、互いの平行度を十分に確保できる製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明の製造方法の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットは、外輪と、ハブと、複数個の転動体とを備える。更に、請求項4に記載した製造方法の発明の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットは、これらに加えてディスクを備える。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を、外周面にディスクブレーキを構成するキャリパ又はサポートを支持固定する為の静止側支持フランジを、それぞれ有し、使用時に懸架装置に結合固定した状態で回転しない。
又、上記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪及び上記ディスクと共に回転する。そして、上記ハブの外周面に、その軸方向外側面をこのハブの回転中心軸に対し直角方向に存在すべき回転側円輪面とした、回転側支持フランジが設けられている。
又、上記各転動体は、上記両外輪軌道と上記両内輪軌道との間に転動自在に設けられている。
更に、上記静止側支持フランジの軸方向外側面の少なくとも一部を、使用時に上記キャリパ又はサポートを取り付ける為の静止側取付面としている。
そして、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法のうち、請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の場合には、先ず、上記静止側支持フランジの軸方向外側面を基準として、上記外輪のうちでこの静止側支持フランジの軸方向外側面よりも軸方向内側に存在する中間基準側面部分をこの軸方向外側面と平行に仕上げてから、上記外輪と上記ハブと上記各転動体とを組み立てる。その後、このハブをこの外輪に対し回転させながら、上記中間基準側面部分を基準面として、上記回転側支持フランジの軸方向外側面に平面加工を施す事により、上記静止側支持フランジの軸方向外側面に対する上記回転側支持フランジの軸方向外側面の面の平行度を向上させる。
上述の様な請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法を実施する場合、具体的には、例えば請求項2に記載した発明の様に、上記中間基準側面部分を、上記静止側支持フランジの軸方向内側面と、上記外輪を懸架装置に結合固定する為にこの外輪の外周面に設けた結合フランジの軸方向内側面とのうちの、何れかの内側面とする。
或いは、請求項3に記載した発明の様に、上記回転側支持フランジを、車輪並びにディスクブレーキを構成するディスクを支持固定する為のものとし、上記回転側取付面の内径側端部に、この回転側取付面よりも軸方向外方に突出する位置決め筒部を設けたものとする。そして、この回転側支持フランジの軸方向外側面に設けられて、使用時に上記車輪並びにディスクを取り付ける為の回転側取付面の内径側端部に、この回転側取付面よりも軸方向外方に突出する位置決め筒部を設けたものとする。そして、上記回転側取付面に仕上加工を施す為に上記ハブを保持した状態のまま、上記位置決め筒部の外周面に、この外周面を上記ハブと同心にする仕上加工を行なう。
又、請求項4に記載した発明の場合には、上記ハブは、使用時に車輪及びディスクと共に回転するものであって、上記ディスクはこのハブの外周面に結合固定されていて、その軸方向両側面を、このハブの回転中心軸に対し直角方向に存在すべき面である回転側円輪面としている。
そして、請求項4に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法では、上記静止側支持フランジの軸方向外側面を基準として、上記外輪のうちでこの静止側支持フランジの軸方向外側面よりも軸方向内側に存在する中間基準側面部分をこの軸方向外側面と平行に仕上げてから、上記外輪と上記ハブと上記各転動体と上記ディスクとを組み立てる。その後、上記ディスクを上記外輪に対し回転させながら、上記中間基準側面部分を基準面としてこのディスクの軸方向両側面に平面加工を施す事により、上記静止側支持フランジの軸方向外側面に対する上記ディスクの軸方向両側面の面の平行度を向上させる。
上述の請求項4に記載した発明を実施する場合に具体的には、請求項5に記載した発明の様に、前記中間基準側面部分を、上記静止側支持フランジの軸方向内側面と、上記外輪の外周面に、この外輪を懸架装置に結合固定する為に設けた結合フランジの軸方向内側面とのうちの何れかの面とする。
上述の様に、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法によれば、ディスクを取り付ける、回転側支持フランジの軸方向外側面、或いはこのディスクに設けた1対の制動用摩擦面と、サポート又はキャリパを取り付ける静止側取付面との、互いの平行度を十分に確保できる。具体的には、請求項1〜3に記載した製造方法によれば、静止側支持フランジの軸方向外側面に対する回転側支持フランジの軸方向外側面の平行度を向上させる事ができるし、請求項4に記載した発明によれば、静止側支持フランジの軸方向外側面に対する上記ディスクの軸方向両側面の平行度を向上させる事ができる。この為、何れの発明の場合でも、ディスクと、上記静止側取付面に取り付けるサポート又はキャリパとの、互いの位置関係を良好にできる。従って、何れの製造方法により製造した場合も、制動時に、上記ディスクに設けた上記両制動用摩擦面と、上記サポート又はキャリパに組み付けた1対のパッドとの接触状態を良好にできる。この結果、制動時にジャダーが発生するのを抑える事ができる。
又、本発明の場合、上記回転側取付面又は上記両制動用摩擦面である回転側円輪面を備えた部材(ハブ又はディスク)を、上記静止側取付面を備えた部材(外輪)に対し回転させながら、この静止側取付面(間接的に)基準面として上記回転側円輪面に平面加工を施す為、平行度を向上させられるだけでなく、上記回転側取付面又は上記両制動用摩擦面の回転時の、アキシアル方向の振れを抑える事もできる。従って、上記回転側取付面に取り付ける上記ディスクに設けた1対の制動用摩擦面の、更には直接的にこれら両制動用摩擦面の、アキシアル方向の振れを抑える事ができ、この点からも、上記ジャダーの発生を抑える事ができる。
本発明に関する参考例の第1例を、車輪支持用転がり軸受ユニットの回転側取付面に仕上加工としての旋削加工を施す状態で示す断面図。 同じく、静止側取付面に仕上加工としての旋削加工を施す状態で示す断面図。 本発明に関する参考例を適用可能な車輪支持用転がり軸受ユニットの別例を示す断面図。 本発明に関する参考例の第2例を、1対の制動用摩擦面に仕上加工としての旋削加工を施す状態で示す断面図。 同じく、静止側取付面に仕上加工としての旋削加工を施す状態で示す断面図。 本発明に関する参考例を適用可能なディスク付の車輪支持用転がり軸受ユニットの別例を示す断面図。 本発明の実施の形態の1例を示す断面図。 外輪の外周面に設けた各面を加工する状態を説明する為の模式図。 本発明に関する参考例の第3例を示す断面図。 同第4例を示す断面図。 同別例を示す断面図。 本発明を実施する場合に留意する事項の第1例を説明する為の断面図。 同第2例を説明する為の断面図。 同じく別例を示す斜視図。 本発明を実施する場合に留意する事項の第3例を説明する為の断面図。 本発明の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットの第1例を示す断面図。 同じく、一部を省略して示す斜視図。 本発明の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットの第2例を示す断面図。
本発明に関する参考例の第1例]
図1〜2は、本発明に関する参考例の第1例を示している。尚、本参考例の特徴は、ディスクブレーキを構成するディスク9(図4〜6、18参照)を取り付ける面である回転側支持フランジ10の外側面(回転側取付面14)と、同じくサポート又はキャリパ(図示せず)を取り付ける面である静止側支持フランジ6の外側面(静止側取付面15)とに、それぞれ仕上加工としての旋削加工を施す方法にある。対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットの基本構造等、その他の部分の構造及び作用は、前述の図16〜17に示した車輪支持用転がり軸受ユニットの場合と同様である。この為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本参考例の特徴部分を中心に説明する。
本参考例の場合には、先ず、図1に示す様に、上記回転側支持フランジ10の円周方向複数個所に形成した圧入孔12の内側に、それぞれスタッド13を軸方向内側から圧入して固定すると共に、外輪1とハブ2とを、複数個の玉3、3を介して互いに組み合わせる事により、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する。そして、この状態で、上記回転側取付面14に仕上加工としての旋削加工を施す作業を、上記静止側取付面15を基準面として利用する事により行なう。この為に、本参考例の場合には、上記静止側取付面15を支持具17aの側面(図1の下面)18aに密接させた状態で、図示しないボルトやバンド等の結合固定具により、上記静止側支持フランジ6を上記支持具17aに結合固定する。そして、この状態で、図示しない駆動装置により上記ハブ2を回転駆動しつつ、精密加工バイト等の工具19a、19bにより、上記回転側取付面14に旋削加工を施す。具体的には、一方の工具19aにより、上記回転側取付面14のうち、上記各圧入孔12の開口部を含む円輪状部分(次述する凹部20)よりも径方向外側部分に、旋削加工を施す。これと共に、他方の工具19bにより、同じく上記円輪状部分よりも径方向内側部分に、旋削加工を施す。この様な旋削加工を施す際に、上記各工具19a、19bはそれぞれ、上記支持具17aの側面18a(上記静止側取付面15)に対し平行に移動させる。そして、この様に静止側取付面15を基準面として回転側取付面14に旋削加工を施す事により、この回転側取付面14の平面度を向上させると共に、この回転側取付面14と上記静止側取付面15との平行度を向上させる。
尚、本参考例の場合、上記回転側取付面14のうち、上記円輪状部分は、上記各圧入孔12に上記各スタッド13を圧入する以前から、凹部20としている。これにより、これら各圧入孔12にこれら各スタッド13を圧入する際に、上記回転側取付面14に歪みを生じにくくすると共に、上記旋削加工の完了後に、上記円輪状部分が他の部分(上記各工具19a、19bにより旋削加工を施した部分)に比べて軸方向に突出するのを防止している。又、本参考例の場合には、上記各圧入孔12に上記各スタッド13を圧入した後に上記回転側取付面14に旋削加工を施す為、圧入に伴ってこの回転側取付面14に歪みが生じた場合でも、上記旋削加工によりこの歪みを解消できる。
上述の様にして回転側取付面14に旋削加工を施したならば、次いで、図2に示す様に、上記静止側取付面15に、仕上加工としての旋削加工を施す作業を、上記回転側取付面14を基準面として利用する事により行なう。この為に、本参考例の場合には、上記回転側取付面14を支持具17bの側面(図2の下面)18bに密接させた状態で、図示しないボルトやバンド(或はスタッド13に螺合したナット)等の結合固定具により、上記回転側支持フランジ10を上記支持具17bに結合固定する。そして、この状態で、図示しない駆動装置により上記外輪1を回転駆動しつつ、精密加工バイト等の工具19cにより、上記静止側取付面15に旋削加工を施す。この旋削加工の際に、この工具19cは、上記支持具17bの側面18b(上記回転側取付面14)に対し平行に移動させる。そして、この様に回転側取付面14を基準面として静止側取付面15に旋削加工を施す事により、この静止側取付面15の平面度を向上させると共に、この静止側取付面15と上記回転側取付面14との平行度を、更に向上させる。
上述の様に、本参考例の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の場合には、回転側、静止側両取付面14、15同士の平行度を良好にできる。この為、この回転側取付面14に取り付けるディスクと、上記静止側取付面15に取り付けるサポート又はキャリパとの、互いの位置関係を良好にできる。従って、制動時に、上記ディスクの両側面と、上記キャリパに組み付けた1対のパッドとの接触状態を良好にできる。この結果、制動時にジャダーが発生するのを抑える事ができる。又、本参考例の場合には、外輪1に対してハブ2を回転させながら、上記回転側取付面14に旋削加工を施す為、上記両取付面14、15同士の平行度を良好にできるだけでなく、自動車の走行時に、この回転側取付面14のアキシアル方向の振れを抑える(平行な状態のまま振れる事も抑える)事ができる。従って、この回転側取付面14に取り付ける上記ディスクの両側面のアキシアル方向の振れを抑える事ができ、この点からも、上記ジャダーの発生を抑える事ができる。
尚、上述した参考例は、スタッド13を、回転側支持フランジ10に形成した圧入孔12の内側に圧入固定する構造に関する参考例である。但し、本参考例の技術思想は、図3に示す様な構造、即ち、ホイール及びディスクロータを挿通した図示しないボルトを、回転側支持フランジ10に形成したねじ孔26に螺合固定する構造に対して、適用する事もできる。勿論、この場合には、回転側取付面14の旋削加工は、上記ねじ孔26に上記ボルトを螺合する以前の状態で行なう。
又、上述した参考例の第1例では、回転側取付面14に旋削加工を施した後に、静止側取付面15に旋削加工を施したが、これとは逆に、この静止側取付面15に旋削加工を施した後に、上記回転側取付面14に旋削加工を施す事もできる。又、上述した参考例の第1例では、静止側取付面15を基準面として回転側取付面14に旋削加工を施す作業と、この回転側取付面14を基準面として上記静止側取付面15に旋削加工を施す作業との、双方を行なったが、本参考例の技術思想を実施する場合には、これら両作業のうちの何れか一方の作業のみを行なう様にしても良い。但し、この場合には、基準面とする取付面の平面度を、予め良好に仕上げておくのが好ましい。更に、上述した参考例の1例では、回転側、静止側各取付面14、15に施す仕上加工として、旋削加工を採用したが、これに代えて(或はこれに加えて)、研削加工を採用する事もできる。
又、上述した参考例の第1例では、外輪1の外周面のうち結合フランジ5の軸方向外側に隣接する部分に静止側支持フランジ6を形成した構造を、実施の対象とした。これに対し、前記特許文献1には、結合フランジの径方向外端部に静止側支持フランジを一体的に形成した構造が記載されている。本参考例の技術思想は、勿論、この様な特許文献1に記載された構造を対象として実施する事も可能である。更には、結合フランジの両側面のうちの軸方向内側面をナックルに対する突き当て面とし、軸方向外側面をサポート又はキャリパの取付面とする構造で、本参考例の技術思想を実施する事も可能である。
本発明に関する参考例の第2例]
図4〜5は、本発明に関する参考例の第2例を示している。尚、本参考例の特徴は、ディスク9の径方向外端部の両側面である1対の制動用摩擦面16、16と、静止側支持フランジ6の外側面である静止側取付面15とに、それぞれ仕上加工としての旋削加工を施す方法にある。対象となるディスク付の車輪支持用転がり軸受ユニットの基本構造等、その他の部分の構造及び作用は、前述の図18に示した、ディスク付の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合と同様である。この為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本参考例の特徴部分を中心に説明する。
本参考例の場合には、先ず、図4に示す様に、外輪1とハブ2とを、複数個の玉3、3を介して互いに組み合わせると共に、回転側支持フランジ10の外側面に上記ディスク9を、1乃至複数本のねじ21で結合固定する事により、ディスク付の車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する。更に、上記回転側支持フランジ10の各圧入孔12に圧入固定し、且つ、上記ディスク9の各通孔38に挿通したスタッド13の雄ねじ部に、それぞれ抑えナット25を螺合し、更に締め付ける。そして、これら各抑えナット25の締結力により、上記ディスク9を上記回転側支持フランジ10の外側面に抑え付ける事で、この回転側支持フランジ10に対する上記ディスク9の結合強度を十分に確保する。
そして、この状態で、上記ディスク9に設けた1対の制動用摩擦面16、16に仕上加工としての旋削加工を施す作業を、上記静止側取付面15を基準面として利用する事により行なう。この為に、本参考例の場合には、上記静止側取付面15を支持具23aの側面(図4の下面)22aに密接させた状態で、図示しないボルトやバンド等の結合固定具により、上記静止側支持フランジ6を上記支持具23aに支持固定する。そして、この状態で、図示しない駆動装置により上記ハブ2を回転駆動しつつ、精密加工バイト等の工具24a、24bにより、上記両制動用摩擦面16、16に旋削加工を施す。この様な旋削加工を施す際に、上記各工具24a、24bはそれぞれ、上記支持具23aの側面22a(上記静止側取付面15)に対し平行に移動させる。そして、この様に静止側取付面15を基準面として1対の制動用摩擦面16、16に旋削加工を施す事により、これら両制動用摩擦面16、16の平面度を向上させると共に、これら両制動用摩擦面16、16と上記静止側取付面15との平行度を向上させる。
上述の様にして両制動用摩擦面16、16に旋削加工を施したならば、次いで、図5に示す様に、上記静止側取付面15に仕上加工としての旋削加工を施す作業を、軸方向外側の制動用摩擦面16を基準面として利用する事により行なう。この為に、本参考例の場合には、上記軸方向外側の制動用摩擦面16を支持具23bの側面(図5の下面)22bに密接させた状態で、図示しないボルトやバンド等の結合固定具により、上記ディスク9及びハブ2を上記支持具23bに支持固定する。そして、この状態で、図示しない駆動装置により上記外輪1を回転駆動しつつ、精密加工バイト等の工具24cにより、上記静止側取付面15に旋削加工を施す。この旋削加工の際に、この工具24cは、上記支持具23bの側面22b(上記軸方向外側の制動用摩擦面16)に対し平行に移動させる。そして、この様に軸方向外側の制動用摩擦面16を基準面として静止側取付面15に旋削加工を施す事により、この静止側取付面15の平面度を向上させると共に、この静止側取付面15と上記両制動用摩擦面16、16との平行度を、更に向上させる。
上述の様にして静止側取付面15に旋削加工を施したならば、前記各スタッド13の雄ねじ部から、前記各抑えナット25を取り外す。尚、本参考例の技術思想を実施する場合、上記回転側支持フランジ10に対する上記ディスク9の結合強度を、前記各ねじ21により十分に確保できる場合には、上述した様な旋削加工は、上記各抑えナット25を使用せずに行なっても良い。又、上記静止側取付面15に旋削加工を施す際の基準面は、軸方向内側の制動用摩擦面16であっても良い。
上述の様に、本参考例のディスク付の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の場合には、1対の制動用摩擦面16、16と静止側取付面15との平行度を良好にできる。この為、これら両制動用摩擦面16、16と、上記静止側取付面15に取り付けるサポート又はキャリパとの、互いの位置関係を良好にできる。従って、制動時に、上記両制動用摩擦面16、16と、上記キャリパに組み付けた1対のパッドとの接触状態を良好にできる。この結果、制動時にジャダーが発生するのを抑制できる。又、本参考例の場合には、外輪1に対してハブ2を回転させながら、上記両制動用摩擦面16、16に旋削加工を施す為、自動車の走行時に、これら両制動用摩擦面16、16のアキシアル方向の振れを抑える事ができる。従って、この点からも、上記ジャダーの発生を抑制できる。
尚、上述した参考例の第2例に就いても、スタッド13を、回転側支持フランジ10に形成した圧入孔12の内側に圧入固定する構造に対して、参考例の技術思想を適用した。但し、本参考例の技術思想に就いても、図6に示す様な構造、即ち、自動車への組み付け時にホイール及びディスク9を挿通した図示しないボルトを、回転側支持フランジ10に形成したねじ孔26に螺合固定する構造に対して、適用する事もできる。
又、上述した参考例の第2例では、1対の制動用摩擦面16、16に旋削加工を施した後に、静止側取付面15に旋削加工を施したが、これとは逆に、この静止側取付面15に旋削加工を施した後に、上記両制動用摩擦面16、16に旋削加工を施す事もできる。又、上述した参考例の第2例では、上記静止側取付面15を基準面として上記両制動用摩擦面16、16に旋削加工を施す作業と、一方の制動用摩擦面16を基準面として上記静止側取付面15に旋削加工を施す作業との、双方を行なったが、本参考例の技術思想を実施する場合には、これら両作業のうちの何れか一方の作業のみを行なう様にしても良い。但し、この場合には、基準面とする面の平面度を、予め良好に仕上げておくのが好ましい。更に、上述した参考例の第2例に関しても、上記両制動用摩擦面16、16及び静止側取付面15に施す仕上加工として、旋削加工を採用したが、これに代えて(或はこれに加えて)、研削加工を採用する事もできる。
又、上述した参考例の第2例も、外輪1の外周面のうち結合フランジ5の軸方向外側に隣接する部分に静止側支持フランジ6を形成した構造を、実施の対象とした。これに対し、本参考例の技術思想に関しても、勿論、前記特許文献1に記載された様な、結合フランジの径方向外端部に静止側支持フランジを一体的に形成した構造を対象として実施する事も可能である。更には、結合フランジの両側面のうち軸方向内側面をナックルに対する突き当て面とし、軸方向外側面をサポート又はキャリパの取付面とする構造を対象として、本参考例の技術思想を実施する事も可能である。
[実施の形態の1例
図7〜8は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、静止側支持フランジ6の軸方向外側面と回転側支持フランジ10の軸方向内側面との間隔が狭い場合にも、この静止側支持フランジ6の軸方向外側面(静止側取付面15)とこの回転側支持フランジ10の軸方向外側面との平行度を向上させる事を意図している。即ち、小型の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、上記静止側支持フランジ6の軸方向外側面と上記回転側支持フランジ10の軸方向内側面との間隔が狭く、そのままではこの静止側支持フランジ6の軸方向外側面を、十分に剛性が高い部分に支持固定できない可能性がある。そして、支持固定できない場合には、上記静止側支持フランジ6の軸方向外側面を基準面としてハブ2を回転させ、上記回転側支持フランジ10の軸方向外側面(回転側取付面14)の仕上加工を行なう事は難しい。この場合でも、この回転側支持フランジ10の軸方向外側面を基準として上記静止側フランジ6の軸方向外側面に仕上加工を施す事は可能ではある。但し、上記回転側支持フランジ10が全周に亙って連続する円板状であるのに対して、上記静止側支持フランジ6は円周方向の一部にのみ設けられている為、外輪1を回転させつつこの静止側支持フランジ6の軸方向外側面を平坦に仕上げる事は難しい場合がある。
そこで本例の場合には、上記静止側支持フランジ6の軸方向外側面を基準として、上記外輪1のうちでこの静止側支持フランジ6の軸方向外側面よりも軸方向内側に存在する中間基準側面部分をこの軸方向外側面と平行に仕上げる。この中間基準側面部分は、上記静止側支持フランジ6の軸方向内側面と、上記外輪1の外周面に設けた結合フランジ5の軸方向内側面とのうちの何れかの面とする。何れの面を中間基準側面部分として利用する場合でも、この中間基準側面部分を基準面として上記外輪1を支持固定した状態で上記ハブ2を回転させ、上記回転側支持フランジ10の軸方向外側面に平面加工を施す事により、上記静止側支持フランジ6の軸方向外側面に対する上記回転側支持フランジ10の軸方向外側面の面の平行度を向上させる。
この様な本例の製造方法を実施する場合に、上記中間基準側面部分として利用する、上記静止側支持フランジ6又は上記結合フランジ5の軸方向内側面は、元々の基準面である、上記静止側支持フランジ6の軸方向外側面に対して厳密に平行にする必要がある。そこで本例の場合には、上記外輪1を精密旋盤等の仕上加工装置のホルダ(チャック)に保持したままの状態で(途中にチャックから取り外す事なく)、図8に破線を付した、上記静止側支持フランジ6の軸方向外側面と、この静止側支持フランジ6又は上記結合フランジ5の軸方向内側面とを仕上げる、所謂ワンチャック加工を実施する。ワンチャック加工により上記外輪1を、ホルダから取り外す事なく、上記静止側支持フランジ6の軸方向外側面と上記中間基準側面部分として利用する面とに仕上加工を施せば、これら両面同士を、厳密に平行にできる。
そして、この様にして得た上記中間基準面部分は、上記仕上加工装置のホルダに、上記回転側支持フランジ10に邪魔される事なく保持できる(この中間基準面部分をこのホルダの基準面に突き当てられる)。従って、上記静止側支持フランジ6又は上記結合フランジ5の軸方向内側面を上記中間基準面部分として利用すれば、上記静止側支持フランジ6の軸方向外側面と上記回転側支持フランジ10の軸方向内側面との間隔が狭くても、上記回転側支持フランジ10の軸方向外側面に仕上加工を施せる。この場合には、上記静止側支持フランジ6の軸方向外側面(静止側取付面15)を、上記回転側支持フランジ10の軸方向外側面(回転側取付面14)を仕上げる為の基準面として、間接的に利用する事になる。尚、本例の様な製造方法は、ディスク付の車輪支持用転がり軸受ユニットで実施する事もできる。
本発明に関する参考例の第3例
図9は、本発明に関する参考例の第3例を示している。本参考例の場合には、外輪1の外周面に設けた静止側支持フランジ6の軸方向外側面(静止側取付面15)を基準として、ハブ2の外周面に設けた回転側支持フランジ10の軸方向外側面(回転側取付面)を仕上げる為にこのハブ2を保持した状態のまま(ワンチャックで)、この回転側支持フランジ10の軸方向外側面の内径寄り部分に形成した位置決め筒部27の外周面も(図9に破線を付した部分を一挙に)仕上げる様にしている。この位置決め筒部27は、ディスク9(例えば図6参照)及び車輪のホイール(図示省略)の径方向に関する位置決めを図る為のものである。従って、上記位置決め筒部27の外周面の中心軸は、上記ハブ2の回転中心に一致する必要がある。本参考例の場合には、上記回転側支持フランジ10の軸方向外側面の仕上加工と上記位置決め筒部27の外周面の仕上加工とを、加工装置に上記ハブ2を着脱する事なく、上記外輪1の内径側にこのハブ2を回転させつつ行なう為、このハブ2の回転中心と上記位置決め筒部27の中心軸とを厳密に一致させる事ができる。この為、上記ハブ2に固定した車輪の振れ回りを抑えて、走行安定性等の走行性能の向上を図れる。
本発明に関する参考例の第4例
図10〜11は、本発明に関する参考例の第4例を示している。本参考例の場合には、静止側支持フランジ6により外輪1を支持した状態で回転側支持フランジ10の軸方向外側面(回転側取付面14)に仕上加工を施す際に、この回転側支持フランジ10の軸方向外側面と水平面とを厳密に一致させたままにする事を意図している。上記静止側支持フランジ6は、上記外輪1に対しディスクブレーキのサポート又はキャリパを支持固定する為のものであるから、円周方向の一部にのみ存在する。従って、上記静止側支持フランジ6により上記外輪1を支持すると、この外輪1及びこの外輪1の内径側に組み付けられたハブ2が上記静止側支持フランジ6から片側に張り出した、所謂片持ち支持の状態となる。
この静止側支持フランジ6は、制動時にブレーキトルクを支承するものであるから、剛性は大きく、上記外輪1及びハブ2の重量による撓みは僅少ではあるが、全く撓まないとは言えない。撓む事は、図10に示す様に、上記静止側支持フランジ6を支持板28にねじ止め固定した場合でも、図11に示す様に、この静止側支持フランジ6を受板29と押圧腕30との間で挟持(クランプ)した場合でも同じである。何れにしても、撓んだ場合には、上記ハブ2の回転中心軸の方向が鉛直方向からずれる。従って、上記回転側支持フランジ10の軸方向外側面に、水平方向に移動する加工治具(バイト)による切削等の仕上加工を施しても、この回転側支持フランジ10の軸方向外側面が上記ハブ2の回転中心軸に対し直角方向に向かなくなる。この結果、この回転側支持フランジ10の軸方向外側面に支持固定したディスク9(例えば図4〜6参照)の軸方向両側面が、上記ハブ2の回転に伴って軸方向に振れる様になる。
この様な振れの原因になる、上記外輪1及び上記ハブ2の重量による上記静止側支持フランジ6の撓みを防止する為に、本参考例の場合には、上記外輪1の外周面に設けた結合フランジ5の下面を支え腕31により、上記静止側支持フランジ6と径方向反対側に支持している。即ち、上記外輪1及び上記ハブ2の中心軸を鉛直方向に向けて、上記静止側支持フランジ6を、上記支持板28に、或いは上記受板29と上記押圧腕30との間に支持固定した状態で、上記支え腕31の先端面(上端面)を結合フランジ5の下面に突き当てている。そして、静止側取付面15を基準面として回転側取付面14に平面加工を施す際に、上記外輪1及び上記ハブ2の中心軸が、これら両部材1、2の自重により上記鉛直方向からずれる事を防止する様にしている。尚、上記支え腕31は、これら両部材1、2の自重に見合う弾力により上方に押圧したままとしても、或いは、所定の高さ位置に固定しても良い。何れにしても、上記支え腕31により前記撓みを防止しつつ、上記回転側取付面14に平面加工を施す事により、この回転側取付面14を上記ハブ2の回転中心に対し厳密に直角方向に位置させられる。尚、本参考例の様な製造方法も、ディスク付の車輪支持用転がり軸受ユニットで実施する事もできる。
[本発明を実施する場合の留意事項]
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法は、外輪1とハブ2とを、複数の転動体を介して相対回転自在に組み合わせた後、回転側取付面14或いはディスク9の軸方向両側面等の回転側円輪面と、静止側取付面15との平行度を向上させる点にある。この様に、上記静止側部材と回転側部材とを組み合わせた後に上記各面に仕上加工を施す為、これら両部材の形状が熱処理等に伴って歪んでも、上記仕上加工に伴ってこの歪みに基づく変形分を除去できる。
但し、上記両部材を上記各転動体を介して組み合わせた後、上記仕上加工に伴って生じる切削屑や摩耗粉、更には切削油(クーラント)が、これら各転動体の設置部分に入り込まない様にする為の考慮が必要になる。この為、図12に示す様に、ノズル32から圧縮空気を噴出して上記切削屑、摩耗粉、切削油を吹き飛ばしたり、或いは、吸入ホース33によりこれら切削屑、摩耗粉、切削油を吸入、排出する事が好ましい。
又、外周面に静止側支持フランジ6を設けた外輪1を支持した状態で上記各面に仕上加工を施す場合、この外輪1の中心軸を所定位置で鉛直方向に保持(芯出し)する必要がある。この場合、上記静止側支持フランジ6は、円周方向の一部だけに設けられているので、この静止側フランジ6を利用して、上記芯出しを行なう事はできない。この為、例えば図13に示す様に、上記外輪1の軸方向内端部に設けた、この外輪1を懸架装置のナックルの支持孔に内嵌する部分(ナックルパイロット部)を、保持板34の基準孔35にがたつきなく内嵌する事が考えられる。或いは、図14に示す様に、円周方向3個所位置に配置した芯出しローラ36、36をナックルパイロット部に押し付けて、上記外輪1の芯出しを行なう事もできる。何れの場合も、芯出し後に、前述の図11に示した様に、上記静止側支持フランジ6を軸方向両側から強く挟持する等により、上記外輪1を支持固定してから、回転側支持フランジ10の軸方向外側面に仕上加工を施す。
更に、この回転側支持フランジ10の軸方向外側面に仕上加工を施す際には、上記外輪1の内径側でハブ2を回転させる必要がある。この為には、例えば上記図14に示した構造で、何れか又は総ての芯出しローラ36を回転させたり、図15に示す様に、上記ハブ2の軸方向外端面と摩擦係合した駆動腕37によりこのハブ2を回転駆動する事もできる。更には、このハブ2の軸方向外端面のうちで位置決め筒部27に周囲を囲まれた部分に設けた突起と駆動腕の一部とを凹凸係合させ、上記ハブ2を回転駆動する事もできる。
図7〜8に示した実施の形態の1例及び図9〜11に示した参考例の第4〜5例の製造方法は、前述の図4に示す様な、静止側支持フランジ6の軸方向外側面である静止側取付面15を基準として、ディスク9の軸方向両側面に仕上加工する場合にも適用できる。但し、図9に示した、位置決め筒部27の外周面の仕上加工に関しては、この位置決め筒部27の先半部(図9の上半部)で、車輪のホイールを外嵌する部分のみが対象となる。
1 外輪
2 ハブ
3 玉
4a、4b 外輪軌道
5 結合フランジ
6 静止側支持フランジ
7 ハブ本体
8 内輪
9 ディスク
10 回転側支持フランジ
11a、11b 内輪軌道
12 圧入孔
13 スタッド
14 回転側取付面
15 静止側取付面
16 制動用摩擦面
17a、17b 支持具
18a、18b 側面
19a、19b、19c 工具
20 凹部
21 ねじ
22a、22b 側面
23a、23b 支持具
24a、24b、24c 工具
25 抑えナット
26 ねじ孔
27 位置決め筒部
28 支持板
29 受板
30 押圧腕
31 支え腕
32 ノズル
33 吸入ホース
34 保持板
35 基準孔
36 芯出しローラ
37 駆動腕
38 通孔

Claims (5)

  1. 外輪と、ハブと、複数個の転動体とを備え、このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を、外周面の軸方向外端寄り部分に、ディスクブレーキを構成するキャリパ又はサポートを支持固定する為の静止側支持フランジを、それぞれ有し、使用時に懸架装置に結合固定した状態で回転しないものであり、上記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪及びディスクと共に回転するものであって、上記ハブの外周面に、その軸方向外側面をこのハブの回転中心軸に対し直角方向に存在すべき回転側円輪面とした回転側支持フランジが設けられており、上記各転動体は、上記両外輪軌道と上記両内輪軌道との間に転動自在に設けられており、上記静止側支持フランジの軸方向外側面のうちの少なくとも一部を、使用時に上記キャリパ又はサポートを取り付ける為の静止側取付面としている車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法であって、上記静止側支持フランジの軸方向外側面を基準として、上記外輪のうちでこの静止側支持フランジの軸方向外側面よりも軸方向内側に存在する中間基準側面部分をこの静止側支持フランジの軸方向外側面と平行に仕上げてから、上記外輪と上記ハブと上記各転動体とを組み立てた後、この外輪に対しこのハブを回転させながら、上記中間基準側面部分を基準面として利用しつつ、上記回転側支持フランジの軸方向外側面に平面加工を施す事により、上記静止側支持フランジの軸方向外側面に対する上記回転側支持フランジの軸方向外側面の平行度を向上させる、車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
  2. 中間基準側面部分が、静止側支持フランジの軸方向内側面と、外輪を懸架装置に結合固定する為にこの外輪の外周面に設けた結合フランジの軸方向内側面とのうちの何れかの内側面である、請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
  3. 回転側支持フランジが、車輪並びにディスクブレーキを構成するディスクを支持固定する為のものであり、この回転側支持フランジの軸方向外側面に設けられて、使用時に上記車輪並びにディスクを取り付ける為の回転側取付面の内径側端部に、この回転側取付面よりも軸方向外方に突出する位置決め筒部が設けられており、上記回転側取付面に仕上加工を施す為に上記ハブを保持した状態のまま、上記位置決め筒部の外周面に、この外周面を上記ハブと同心にする仕上加工を行なう、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
  4. 外輪と、ハブと、複数個の転動体と、ディスクとを備え、このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を、外周面の軸方向外端寄り部分に、ディスクブレーキを構成するキャリパ又はサポートを支持固定する為の静止側支持フランジを、それぞれ有し、使用時に懸架装置に結合固定した状態で回転しないものであり、上記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪及び上記ディスクと共に回転するものであって、上記ディスクは上記ハブの外周面に結合固定されていて、その軸方向両側面を、このハブの回転中心軸に対し直角方向に存在すべき面である回転側円輪面としており、上記各転動体は、上記両外輪軌道と上記両内輪軌道との間に転動自在に設けられており、上記静止側支持フランジの軸方向外側面の少なくとも一部を、使用時に上記キャリパ又はサポートを取り付ける為の静止側取付面としている車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法であって、上記静止側支持フランジの軸方向外側面を基準として、上記外輪のうちでこの静止側支持フランジの軸方向外側面よりも軸方向内側に存在する中間基準側面部分をこの軸方向外側面と平行に仕上げてから、上記外輪と上記ハブと上記各転動体と上記ディスクとを組み立てた後、この外輪に対しこのディスクを回転させながら、上記中間基準側面部分を基準面としてこのディスクの軸方向両側面に平面加工を施す事により、上記静止側支持フランジの軸方向外側面に対する上記ディスクの軸方向両側面の面の平行度を向上させる、車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
  5. 中間基準側面部分が、静止側支持フランジの軸方向内側面と、外輪の外周面に、この外輪を懸架装置に結合固定する為に設けた結合フランジの軸方向内側面とのうちの何れかの内側面である、請求項4に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
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