以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、マスクステージ1及び基板ステージ2の位置を光学的に計測する干渉計システム3と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材4と、少なくとも投影光学系PLを収容するチャンバ装置5と、少なくとも投影光学系PLを支持するボディ6と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置7とを備えている。
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された多層膜とを含む。多層膜は、少なくとも感光膜を含む複数の膜が積層された膜である。感光膜は、感光材で形成された膜である。また、多層膜が、例えば反射防止膜、及び感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
チャンバ装置5は、実質的に閉ざされた内部空間8を形成するチャンバ部材5Aと、内部空間8の環境(温度、湿度、クリーン度、及び圧力等)を制御する環境制御装置5Bとを有する。ボディ6は、内部空間8に配置される。ボディ6は、支持面FL上に設けられた第1コラム9と、第1コラム9上に設けられた第2コラム10とを有する。第1コラム9は、第1支持部材11と、第1支持部材11に防振装置12を介して支持された第1定盤13とを有する。第2コラム10は、第1定盤13上に設けられた第2支持部材14と、第2支持部材14に防振装置15を介して支持された第2定盤16とを有する。また、本実施形態においては、支持面FL上に、防振装置17を介して、第3定盤18が配置されている。
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
マスクステージ1は、マスクMをリリース可能に保持するマスク保持部19を有し、マスクMを保持した状態で、第2定盤16のガイド面16G上を移動可能である。マスクステージ1は、駆動システム20の作動により、照明領域IRに対して、マスクMを保持して移動可能である。駆動システム20は、マスクステージ1に配置された可動子20Aと、第2定盤16に配置された固定子20Bとを有する平面モータを含む。マスクステージ1を移動可能な平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されている。マスクステージ1は、駆動システム20の作動により、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXはZ軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
投影光学系PLの複数の光学素子は、保持部材(鏡筒)21に保持されている。保持部材21は、フランジ21Fを有する。投影光学系PLは、フランジ21Fを介して、第1定盤13に支持される。なお、第1定盤13と保持部材21との間に防振装置を設けることができる。
投影光学系PLは、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面23を有する。射出面23は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子22に配置されている。投影領域PRは、射出面23から射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。本実施形態において、射出面23は−Z方向を向いており、XY平面と平行である。なお、−Z方向を向いている射出面23は、凸面であってもよいし、凹面であってもよい。
本実施形態において、終端光学素子22の光軸(投影光学系PLの像面近傍の光軸)AXは、Z軸とほぼ平行である。なお、終端光学素子22と隣り合う光学素子で規定される光軸を終端光学素子22の光軸とみなしてもよい。また、本実施形態において、投影光学系PLの像面は、X軸とY軸とを含むXY平面とほぼ平行である。また、本実施形態において、像面は、ほぼ水平である。ただし、像面はXY平面と平行でなくてもよいし、曲面であってもよい。
基板ステージ2は、基板Pをリリース可能に保持する基板保持部24を有し、第3定盤18のガイド面18G上を移動可能である。基板ステージ2は、駆動システム25の作動により、投影領域PRに対して、基板Pを保持して移動可能である。駆動システム25は、基板ステージ2に配置された可動子25Aと、第3定盤18に配置された固定子25Bとを有する平面モータを含む。基板ステージ2を移動可能な平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されている。基板ステージ2は、駆動システム25の作動により、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
基板ステージ2は、基板保持部24の周囲に配置され、射出面23と対向可能な上面26を有する。本実施形態において、基板ステージ2は、米国特許出願公開第2007/0177125号明細書等に開示されているような、基板保持部24の周囲の少なくとも一部に配置され、プレート部材Tの下面をリリース可能に保持するプレート部材保持部27を有する。本実施形態において、基板ステージ2の上面26は、プレート部材Tの上面を含む。上面26は、平坦である。
本実施形態において、基板保持部24は、基板Pの表面とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。プレート部材保持部27は、プレート部材Tの上面26とXY平面とがほぼ平行となるように、プレート部材Tを保持する。
干渉計システム3は、XY平面内におけるマスクステージ1(マスクM)の位置を光学的に計測可能な第1干渉計ユニット3Aと、XY平面内における基板ステージ2(基板P)の位置を光学的に計測可能な第2干渉計ユニット3Bとを有する。基板Pの露光処理を実行するとき、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置7は、干渉計システム3の計測結果に基づいて、駆動システム20,25を作動し、マスクステージ1(マスクM)及び基板ステージ2(基板P)の位置制御を実行する。
液浸部材4は、射出面23から射出される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように、露光光ELの光路の周囲の少なくとも一部に配置される。液浸部材4は、射出面23と、射出面23と対向する位置に配置された物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。液浸空間LSは、液体LQで満たされた部分(空間、領域)である。本実施形態において、物体は、基板ステージ2(プレート部材T)、及び基板ステージ2に保持された基板Pの少なくとも一方を含む。基板Pの露光中、液浸部材4は、終端光学素子22と基板Pとの間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。
本実施形態において、液浸部材4は、第1部材31と第2部材32とを含む。第1部材31及び第2部材32は、終端光学素子22の近傍に配置されている。本実施形態において、第1部材31は、第1支持機構28に支持されている。第2部材32は、第2支持機構29に支持されている。本実施形態において、第1,第2支持機構28,29は、第1定盤13に支持されている。本実施形態において、第1部材31は、第1支持機構28を介して、第1定盤13に吊り下げられている。第2部材32は、第2支持機構29を介して、第1定盤13に吊り下げられている。
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。基板Pの露光時、制御装置7は、マスクステージ1及び基板ステージ2を制御して、マスクM及び基板Pを、光軸AX(露光光ELの光路)と交差するXY平面内の所定の走査方向に移動する。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置7は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pは露光光ELで露光される。
図2は、液浸部材4の近傍を示す側断面図、図3は、液浸部材4を上方から見た図、図4は、図2の一部を拡大した図である。
図2,図3,及び図4に示すように、本実施形態において、第1部材31及び第2部材32のそれぞれは、環状の部材である。第1部材31の少なくとも一部は、露光光ELの一部の光路及び終端光学素子22の周囲に配置されている。第2部材23の少なくとも一部は、第1部材31の周囲に配置されている。図3に示すように、本実施形態において、XY平面内における第1部材31及び第2部材32の外形は、円形である。なお、第1部材31及び第2部材32の外形が、他の形状(例えば、矩形)でもよい。
液浸部材4は、射出面23から射出される露光光ELの光路の周囲の少なくとも一部に配置された第1面41と、第1面41の周囲の少なくとも一部、かつ第1面41より下方(−Z側)に配置された第2面42と、第1面41と第2面42との間の第1開口33を介して液体LQが流入可能であり、第1開口33と異なる第2開口34を介して雰囲気に開放された空隙部80と、空隙部80に流入した液体LQの少なくとも一部を回収する第1回収部60とを備えている。本実施形態において、第1面41は、第1部材31に配置されている。第2面42は、第2部材32に配置されている。第1面41及び第2面42は、液浸部材4の下方に配置された物体の表面(上面)と対向可能である。本実施形態において、XY平面内における第1面41及び第2面42の外形は、円形である。また、XY平面内における第2面42の内側のエッジも、円形である。
本実施形態において、第1面41及び第2面42は、液体LQを回収不可能である。すなわち、本実施形態においては、第1面41及び第2面42には液体回収口が設けられていない。本実施形態において、第1面41及び第2面42は、平坦である。第1面41と物体の表面(上面)との間の第1空間51は、液体LQを保持可能である。なお、本実施形態においては、第1面41及び第2面42は、それぞれXY平面(水平面)と平行であるが、第1面41及び/又は第2面42の少なくとも一部が、XY平面に対して傾斜していてもよく、第1面41と第2面42とが平行でなくてもよい。また、本実施形態において、第1面41と第2面42の少なくとも一方が曲面を含んでいてもよい。
基板Pの露光の少なくとも一部において、射出面23、第1面41、及び第2面42に基板Pの表面が対向する。基板Pの露光の少なくとも一部において、射出面23と基板Pの表面との間の空間に液体LQが満たされる。また、基板Pの露光の少なくとも一部において、第1面41と基板Pの表面との間の第1空間51に液体LQが保持される。基板Pは、射出面23と基板Pの表面との間の液体LQを介して、射出面23からの露光光ELで露光される。
本実施形態において、第1面41と物体との間に保持された液体LQによって液浸空間LSの一部が形成される。本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているときに、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液浸空間LSの液体LQの気液界面(メニスカス、エッジ)LG1は、第1面41及び第2面42の少なくとも一方と基板Pの表面との間に形成することができるが、第2面42の内側のエッジと基板Pとの間に形成されることが望ましい。本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
以下、簡単のため、射出面23、第1面41、及び第2面42と対向する位置に基板Pが配置され、液浸部材4と基板Pとの間に液体LQが保持されて液浸空間LSが形成される場合を例にして説明する。なお、上述のように、射出面23及び液浸部材4と他の部材(基板ステージ2のプレート部材Tなど)との間に液浸空間LSを形成することができる。
上述したように、本実施形態において、第1面41及び第2面42のそれぞれは、XY平面とほぼ平行である。図4などに示すように、第1面41は、基板Pの表面と第1ギャップG1を介して対向し、第2面42は、第2ギャップG2を介して対向する。第2ギャップG2は、第1ギャップG1より小さい。
本実施形態において、第1部材31は、基板Pの表面と対向可能な第1面41と、第1面41と逆方向を向き、射出面23の少なくとも一部と対向する第3面43と、第3面43の周囲に配置され、終端光学素子22の側面35と対向する第4面44と、第4面44の周囲に配置され、保持部材21の外面36と対向する第5面45とを有する。第1部材31は、少なくとも一部が射出面23と対向するように配置されたプレート部37と、少なくとも一部が終端光学素子22の周囲に配置される本体部38とを有する。第1面41及び第3面43は、プレート部37に配置されている。第4面44及び第5面45は、本体部38に配置されている。また、プレート部37は、射出面23から射出された露光光ELが通過可能な開口39を有する。基板Pの露光中、射出面23から射出された露光光ELは、開口39を介して、基板Pの表面に照射される。図3に示すように、本実施形態において、開口39は、基板Pの走査方向(Y軸方向)と交差するX軸方向に長い。
第3面43は、射出面23と第3ギャップG3を介して対向する。第4面44は、側面35と第4ギャップG4を介して対向する。第5面45は、外面36と第5ギャップG5を介して対向する。
終端光学素子22の側面35は、射出面23と異なる面であり、露光光ELが通過しない面である。側面35は、射出面23の周囲に配置されている。側面35は、射出面23の周縁から上方(+Z方向)に延びるように配置されている。側面35は、射出面23の周縁から光軸AXに対する放射方向(光軸AXに対して垂直な方向)に延びるように設けられている。すなわち、側面35は、光軸AXに対する放射方向に、かつ上方に延びるように傾斜している。
本実施形態において、第3面43と射出面23とは、ほぼ平行である。また、第4面44と側面35とは、ほぼ平行である。また、第5面45と外面36とは、ほぼ平行である。なお、第3面43と射出面23とは平行でなくてもよい。また、第4面44と側面35とは平行でなくてもよい。また、第5面45と外面36とは平行でなくてもよい。
終端光学素子22及び保持部材21と第1部材31との間の空間は、射出面23と第3面43とで規定された第3空間53と、側面35と第4面44とで規定された第4空間54と、外面36と第5面45とで規定された第5空間55とを含む。第4空間54は、光軸AXに対する放射方向に、投影光学系PLの像面から離れる方向に、かつ+Z方向に延びるように傾斜した空間である。第5空間55は、光軸AXに対する放射方向(光軸AXに垂直な方向)に延びる空間である。
なお、本実施形態においては、第4面44は終端光学素子22の側面35と対向しているが、第4面44の少なくとも一部が保持部材21の外面と対向していてもよい。また、本実施形態においては、第5面45は、保持部材21の外面36と対向しているが、終端光学素子22の側面35の周囲に終端光学素子22の下面が露出している場合には、第5面45の少なくとも一部が、終端光学素子22の下面と対向していてもよい。
また、第4空間54は、光軸AXと平行であってもよい。また第5空間55は光軸AXに対して垂直でなくてもよい。
また、第1部材31は、第1面41の周囲に配置された第6面46と、第6面46の周囲に配置された第7面47とを有する。第6面46及び第7面47は、本体部38に配置されている。本実施形態において、第4面44と第6面46とは、ほぼ平行である。また、第5面45と第7面47とは、ほぼ平行である。なお、第4面44と第6面46とは平行でなくてもよい。また、第5面45と第7面47とは平行でなくてもよい。
本実施形態において、第2部材32は、基板Pの表面と対向可能な第2面42と、第6面46と対向する第8面48と、第7面47と対向する第9面49とを有する。
第8面48は、第6面46と第6ギャップG6を介して対向する。第9面49は、第7面47と第7ギャップG7を介して対向する。本実施形態において、第8面48と第6面46とは、ほぼ平行である。また、第9面49と第7面47とは、ほぼ平行である。なお、第8面48と第6面46とは平行でなくてもよい。また、第9面49と第7面47とは平行でなくてもよい。
第1部材31と第2部材32との間の空間は、第6面46と第8面48とで規定された第6空間56と、第7面47と第9面49とで規定された第7空間57とを含む。第6空間56は、光軸AXに対する放射方向に、投影光学系PLの像面から離れる方向(+Z方向)に延びるように傾斜した空間である。第7空間57は、光軸AXに対する放射方向(光軸AXに垂直な方向)に延びる空間である。なお、第6空間56は、光軸AXと平行であってもよい。また、第7空間57は、光軸AXに対して垂直でなくてもよい。
本実施形態において、空隙部80は、第6空間56を含む。空隙部80(第6空間56)の下端は、第1空間51及び第2空間52と流体的に接続されている。空隙部80の上端は、第7空間57と結ばれている。本実施形態においては、空隙部80の下端に、第1開口33が配置され、空隙部80の上端に、第2開口34が配置されている。本実施形態においては、第8面48の下端部48Bは、空隙部80の下端を規定する。第8面48の上端部48Tは、空隙部80の上端を規定する。
基板Pの露光の少なくとも一部において、第1開口33は、基板Pの表面と対向する。基板P上の液体LQの少なくとも一部は、第1開口33を介して、空隙部80に流入可能である。本実施形態においては、第1開口33は、第1面41とほぼ面一に形成されている。なお、第1開口33を下方(−Z方向)を向いていなくてもよい。例えば、第1開口33を後述の第12面79に設けてもよい。また、第1開口33は、環状に設けられた一つの開口であってもよいし、所定間隔で環状に配置された複数の開口から形成されてもよい。同様に、空隙部80も、光軸AXの周囲に所定間隔で環状に配置された複数の空隙部から形成されてもよい。
第1回収部60は、空隙部80からの液体LQを回収する。第1回収部60は、空隙部80からオーバーフローした液体LQを回収する。第1回収部60の少なくとも一部は、光軸AXに対する放射方向において、上端部48Tの外側に配置されている。
本実施形態において、第1回収部60は、光軸AXに対する放射方向において、空隙部80の外側に上方(+Z方向)を向いて設けられた第1凹部61を有する。第1凹部61は、上方を向く開口61Kを有する。第1回収部60は、開口61Kを介して第1凹部61に流入した液体LQを回収する。
第1凹部61は、光軸AXに対する放射方向において、上端部48Tの外側に設けられている。本実施形態において、第1凹部61は、第9面49の周囲に配置されている。XY平面内において、第1凹部61は、環状である。なお、第1凹部61は、所定間隔で環状に配置された複数の凹部から形成されてもよい。また、本実施形態においては、第2部材32は、第1凹部61の周囲に配置された第10面70を有する。第10面70は、XY平面とほぼ平行である。本実施形態において、第10面70は、第9面49とほぼ同一平面内に配置されている。なお、第10面70が第9面49より上方に(+Z側に)配置されてもよい。
第1凹部61は、第9面49と結ばれた第1内面611と、第1内面611と対向し、第10面70と結ばれた第2内面612と、第1内面611と第2内面612との間に配置された底面613とを有する。底面613は、上方(+Z方向)を向いている。底面613は、上端部48Tより下方(−Z側)に配置されている。本実施形態において、底面613は、XY平面とほぼ平行である。なお、底面613は、XY平面と平行でなくてもよい。例えば、底面613は、XY平面に対して傾斜していてもよい。また、底面613が、曲面を含んでいてもよい。
また、第1回収部60は、空隙部80からの液体LQを第1凹部61にガイドする液体ガイド部81を有する。本実施形態において、液体ガイド部81は、第9面49を含む。また、本実施形態において、液体ガイド部81は、第7空間57を含む。液体ガイド部81は、上端部48Tから光軸AXに対する放射方向に延びるように形成されている。なお、本実施形態においては、液体ガイド部81は、光軸AXに対して垂直(XY平面と平行)に設けられているが、光軸AXに対して垂直でなくてもよい。例えば、第9面49を上端部48Tから下方に向かって傾斜させてもよい。
第1凹部61は、上端部48Tから光軸AXに対する放射方向において、液体ガイド部81の外側に設けられている。空隙部80の上端からオーバーフローした液体LQは、液体ガイド部81にガイドされて、第1凹部61に流入する。
第1凹部61は、空隙部80からの液体LQを貯めることができる。第1凹部61は、流入した液体LQを貯めることによって、空隙部80からの液体LQが空隙部80に戻ることを抑制する。すなわち、第1凹部61は、空隙部80に戻らないように空隙部80からの液体LQを貯めるリザーブ部の少なくとも一部として機能する。
また、第1回収部60は、第1凹部61に流入した液体LQを回収する回収口62を有する。回収口62は、第1凹部61に貯めた液体LQを回収する。
本実施形態において、回収口62は、底面613と対向するように配置されている。本実施形態において、回収口62は、第1凹部61の内側に配置されている。換言すれば、回収口62は、第1凹部61の開口61Kより下方(−Z側)に配置されている。
本実施形態においては、XY平面内において、回収口62は、環状である。なお、回収口62が、光軸AXの周囲の複数の位置に分割して配置されてもよい。
本実施形態において、回収口62は、第1部材31に配置されている。第1部材31は、第7面47の周囲に配置され、下方に突出する凸部63を有する。回収口62は、凸部63の下端に配置されている。
回収口62には、多孔部材64が配置されている。多孔部材64は、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の部材である。なお、多孔部材64が、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタでもよい。
本実施形態において、多孔部材64の下面を含む凸部63の外面と、底面613、第1内面611、及び第2内面612を含む第1凹部61の内面とは離れている。すなわち、凸部63と第1凹部61との間に、第8空間58が形成される。
第1部材31は、第10面70と対向する第11面71を有する。第10面70と第11面71との間の第9空間59は、第3開口72を介して、雰囲気に開放されている。
空隙部80は、第2開口34を介して、雰囲気に開放されている。第2開口34は、第7空間57、第8空間58、及び第9空間59を介して、第3開口72と結ばれている。本実施形態において、空隙部80は、第2開口34、第7,第8,第9空間57,58,59、及び第3開口72を介して、雰囲気に開放されている。すなわち、空隙部80は、第1開口33と異なる第2開口34を介して液浸部材4の周囲の空間に開放されている。言い換えれば、空隙部80は、第2開口34を介して液浸空間LSの液体LQの界面が接する気体空間に開放されている。
本実施形態において、「雰囲気」は、液浸部材4を取り囲む気体である。本実施形態において、液浸部材4を取り囲む気体は、チャンバ装置5によって形成される内部空間8の気体である。本実施形態において、チャンバ装置5は、環境制御装置5Bを用いて、内部空間8をクリーンな空気で満たす。また、チャンバ装置5は、環境制御装置5Bを用いて、内部空間8をほぼ大気圧に調整する。もちろん、内部空間8を大気圧よりも高く設定してもよい。
また、本実施形態においては、第3空間53、第4空間54、及び第5空間55も、液浸部材4の周囲の気体空間(内部空間8)に開放されている。
本実施形態において、第2面42は、液体LQに対して撥液性である。第2面42において、液体LQの接触角は90°以上であり、100°以上であってもよい。本実施形態においては、第2面42は、液体LQに対して撥液性の膜73で形成されている。膜73は、例えばフッ素を含む撥液性材料で形成される。撥液性材料としては、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、PEEK(polyetheretherketone)、テフロン(登録商標)等が挙げられる。
また、本実施形態においては、第2部材32は、第2面42の内側のエッジと結ばれ、露光光ELの光路に面するように配置された第12面79を有する。第12面79も、液体LQに対して撥液性である。第12面79も、膜73で形成されている。なお、第2面42、及び第12面の少なくとも一方は、撥液性膜の表面でなくてもよい。例えば、第2部材32を撥液性の材料で形成してもよい。
また、本実施形態において、液浸部材4は、第1開口33の周囲の少なくとも一部に配置された給気口74を備えている。本実施形態において、給気口74は、第2面42に配置されている。給気口74は、第2面42と対向する物体(基板P)の表面に向けて気体を供給する。
本実施形態においては、XY平面内において、給気口74は、環状である。なお、給気口74が、光軸AXの周囲の複数の位置に分割して配置されてもよい。
また、本実施形態において、液浸部材4は、露光光ELの光路に液体LQを供給する供給口75を備えている。供給口75は、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面と対向する位置に配置されている。本実施形態において、供給口75は、終端光学素子22の側面35と対向する位置に配置されている。なお、供給口75は、終端光学素子22の面に対向していなくてもよい。例えば、第3面43と射出面23との間の第3空間53に面するように第1部材31に供給口75を配置してもよい。
図3に示すように、本実施形態においては、供給口75は、光軸AXに対して+Y側及び−Y側のそれぞれに一つずつ配置されている。なお、供給口75が、光軸AXに対して+X側及び−X側のそれぞれに一つずつ配置されてもよい。また、供給口75の数は、3つ以上でもよい。
本実施形態において、供給口75は、第4空間54に液体LQを供給する。第4空間54に供給された液体LQは、第4空間54を下方に流れた後、第3空間53を介して、射出面23から射出される露光光ELの光路に供給される。また、供給口75から第4空間54を介して第3空間53に供給された液体LQの少なくとも一部は、開口39を介して、第1空間51に供給される。
図2に示すように、供給口75は、供給流路を介して、液体供給装置76と接続されている。本実施形態において、供給流路は、第1部材31の内部に形成された流路、及び第1支持機構28の内部に形成された流路を含む。液体供給装置76は、クリーンで温度調整された液体LQを供給口75に供給することができる。なお、第1部材31を支持する第1支持機構28の内部に供給流路の一部を設けなくてもよい。
回収口62は、回収流路を介して、液体回収装置77と接続されている。本実施形態において、回収流路は、第1部材31の内部に形成された流路、及び第1支持機構28の内部に形成された流路を含む。液体回収装置77は、真空システム(真空源と回収口62との接続状態を制御するバルブなど)を含み、回収口62から液体LQを吸引して回収することができる。なお、第1部材31を支持する第1支持機構28の内部に回収流路の一部を設けなくてもよい。
給気口74は、給気流路を介して、気体供給装置78と接続されている。本実施形態において、給気流路は、第2部材32の内部に形成された流路、及び第2支持機構29の内部に形成された流路を含む。気体供給装置78は、クリーンで温度及び湿度が調整された気体を給気口74に供給することができる。なお、給気口74から供給される気体の湿度は、環境制御装置5Bにより内部空間8に供給される気体の湿度と同程度、もしくは高い方がよい。また、第2部材32を支持する第2支持機構29の内部に給気流路の一部を設けなくてもよい。
制御装置7は、液体回収装置77を制御して、多孔部材64の下面側空間(第8空間58)から上面側空間(回収流路)へ液体LQのみが通過するように、多孔部材64の下面側と上面側との圧力差を制御することができる。本実施形態において、下面側の第8空間58の圧力は、雰囲気に開放され、チャンバ装置5によって制御されている。制御装置7は、多孔部材64の下面側から上面側へ液体LQのみが通過するように、液体回収装置77を制御して、下面側の圧力に応じて、上面側の圧力を調整する。すなわち、制御装置7は、多孔部材64の孔を介して、第8空間58からの液体LQのみを回収し、気体は多孔部材64の孔を通過しないように調整する。多孔部材64の一側と他側との圧力差を調整して、多孔部材64の一側から他側へ液体LQのみを通過させる技術は、例えば米国特許第7292313号明細書などに開示されている。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。
まず、制御装置7は、第1面41及び第2面42と基板Pの表面(あるいは基板ステージ2の上面26)とを対向させる。第1面41と基板Pの表面とは、第1ギャップG1を介して対向し、第2面42と基板Pの表面とは第2ギャップG2を介して対向する。
制御装置7は、第1面41及び第2面42と基板Pの表面とを対向させた状態で、液体供給装置76から液体LQを送出する。また、制御装置7は、液体回収装置77を作動する。また、制御装置7は、気体供給装置78を作動する。
液体供給装置76から送出された液体LQは、供給口75より、第4空間54に供給される。第4空間54に供給された液体LQは、第4空間54を下方に流れた後、第3空間53を介して、射出面23から射出される露光光ELの光路に供給される。これにより、露光光ELの光路は、液体LQで満たされる。
また、供給口75から第4空間54を介して第3空間53に供給された液体LQの少なくとも一部は、開口39を介して、第1空間51に供給され、第1面41と基板Pの表面との間で保持される。本実施形態においては、基板Pの表面、第1面41、及び第12面79で囲まれた空間がほぼ液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成されている。また液体LQ(液浸空間LS)の界面は、第2面42の内側のエッジ(第12面79の下端)と基板Pの表面との間に形成されている。
開口39から第1空間51に供給された液体LQの少なくとも一部は、第1開口31を介して空隙部80に流入する。
本実施形態においては、開口39を介して第1空間51に供給された液体LQが、第2空間52に流入することが抑制されている。すなわち、本実施形態においては、XY平面内における液浸空間LSの液体LQの界面LG1の、第12面79より外側へ移動することが抑制されており、液浸空間LSの拡大が抑制されている。
本実施形態において、第1面41は、基板Pの表面と第1ギャップG1を介して対向し、第1面41の周囲に配置された第2面42は、基板Pの表面と第2ギャップG2を介して対向する。第2ギャップG2は、第1ギャップG1より小さく、例えば0.1〜0.3mm程度である。したがって、光軸AXに対する放射方向において、界面LG1が第1開口33の外側へ移動することが抑制される。すなわち、第2ギャップG2が微小なので、図4等に示すように、液体LQの表面張力により、界面LG1の位置は、第2面42の内側のエッジと基板Pの表面との間に維持される。これにより、液浸空間LSの液体LQが、第2空間52に流入することが抑制される。
また、本実施形態においては、第2面42が液体LQに対して撥液性なので、より効果的に、液体LQが第2空間52に流入することが抑制される。また、本実施形態においては、第2面42の内側のエッジから上方に延びるように、かつ光路に面するように配置された第12面79が設けられているので、液浸空間LSの拡大が抑制される。また、第12面79は、液体LQに対して撥液性なので、これによっても、液浸空間LSの拡大が抑制される。
また、本実施形態においては、給気口74が設けられており、光軸AXに対して第2面42の内側エッジの外側で、基板Pの表面に向けて気体を供給する。これにより、給気口74から供給された気体の力によって、液浸空間LSの拡大が抑制される。すなわち、給気口74は、基板Pの表面と第2面42との間にガスシールを形成する。これにより、液体LQが流出することが抑制され、界面LG1の移動が拘束される。
また、本実施形態においては、第1面41の外形及び第2面42の内側のエッジが円形であり、XY平面内における液浸空間LSの外形もほぼ円形である。これにより、液浸空間LSの界面LG1の全方位から中心に向かう拘束力がほぼ均等に作用する。これにより、液浸空間LSの拡大が効果的に抑制される。
開口39を介して第1空間51に流入した液体LQによって形成される液浸空間LSの拡大が抑制された状態で、供給口75から液体LQが供給されることによって、雰囲気に開放された空隙部80に液体LQが流入し、空隙部80における液体LQの表面の位置が+Z方向に移動する(上昇する)。空隙部80が液体LQで満たされると、その空隙部80の液体LQの少なくとも一部が、空隙部80の上端(上端部48T)からオーバーフローする。空隙部80からオーバーフローした液体LQは、空隙部80の上端の外側に配置されている第1回収部60で回収される。
空隙部80からオーバーフローした液体LQは、液体ガイド部81にガイドされた後、第1凹部61に流入する。第1凹部61に流入した液体LQは、第1凹部61に貯まる。
図5(A)は、第1凹部61の液体LQの表面が第1位置Z1に配置される状態を示し、図5(B)は、第2位置Z2に配置される状態を示す。図5(A)に示すように、例えば、液体LQの表面が第1位置Z1に配置され、液体LQと回収口62(多孔部材64)とが接触していない状態においては、第2開口34は、第7,第8,第9空間57,58,59、及び第3開口72を介して、雰囲気に開放されている。これにより、第1空間51の液体LQは、第1開口33を介して空隙部80に円滑に流入する。また、空隙部80に流入し、その空隙部80からオーバーフローした液体LQは、第1凹部61に円滑に流入する。第1凹部61に貯まる液体LQの量は除々に増加する。
図5(B)に示すように、第1凹部61に貯まる液体LQの量が増加して、液体LQの表面が第2位置Z2に配置され、液体LQと回収口62(多孔部材64)とが接触することによって、第1凹部61に貯められている液体LQは、回収口62(多孔部材64)より回収される。回収口62より液体LQが回収されることによって、第1凹部61の液体LQの量が減少し、第1凹部61における液体LQの表面の位置が−Z方向に移動する(下降する)。その第1凹部61に空隙部80からの液体LQが流入することによって、第1凹部61の液体LQの量が再び増加し、液体LQと多孔部材64とが接触して、液体LQが回収口62より回収される。
本実施形態においては、多孔部材64の下面側から上面側へ液体LQのみが通過するように、多孔部材64の下面側と上面側との圧力差が制御されているので、第1回収部60は、振動の発生、気化熱の発生を抑制しつつ、液体LQを回収することができる。
本実施形態において、第1回収部60は、第1開口33及び空隙部80を介して回収された基板P上の液体LQを第1凹部61に貯めるので、その空隙部80を介して回収された液体LQが空隙部80に戻ることを抑制することができる。また、第1回収部60は、第1凹部61に所定量以上貯まった液体LQを、回収口62で回収する。したがって、空隙部80を介して回収された液体LQが空隙部80に戻ることをより確実に抑制することができる。空隙部80を介して回収された液体LQが空隙部80に戻らないように、空隙部80からの液体LQを第1凹部61に貯めることによって、例えば多孔部材64に接触した液体LQが、空隙部80を介して第1空間51及び露光光ELの光路に戻ることが抑制される。
次に、基板Pを露光する方法について説明する。上述のように、制御装置7は、供給口75より液体LQを供給して、露光光ELの光路が液体LQで満たされるように、第1面41と基板Pの表面との間で液体LQを保持して、液浸空間LSを形成する。また、基板P上の液体LQの少なくとも一部は、第1開口33を介して空隙部80に流入する。第1回収部60は、空隙部80からの液体LQを第1凹部61に貯めるとともに、第1凹部61で所定量に達した液体LQを回収口62で回収する。制御装置7は、供給口75を用いる液体供給動作と並行して、第1回収部60を用いる液体回収動作を実行して、露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。また、制御装置7は、給気口74より気体を供給して、ガスシールを形成する。
制御装置7は、基板P上の液体LQの少なくとも一部を第1開口33から空隙部80を介して第1凹部61に貯めて、空隙部80から第1回収部60に回収された液体LQが空隙部80に戻ることを抑制しつつ、かつ、第2ギャップG2等を用いて液浸空間LSの拡大を拘束しつつ、基板Pの露光を開始する。
制御装置7は、照明系ILより露光光ELを射出して、マスクMを露光光ELで照明する。マスクMからの露光光ELは、投影光学系PLの射出面23から射出される。制御装置7は、射出面23と基板Pとの間の液体LQを介して、射出面23からの露光光ELを基板Pに照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pが露光光ELで露光される。基板Pの露光中にも、供給口75から供給された液体LQが第1開口33から流入し、空隙部80を介して回収部60に回収される。
以上説明したように、本実施形態によれば、雰囲気に開放された空隙部80を設け、その空隙部80に流入した液体LQを第1回収部60で回収するようにしたので、基板Pの表面と対向する液浸部材4の下面の構造をシンプルにすることができる。したがって、液体LQと接触する液浸部材4の下面に異物が付着したり、下面が汚染されたりすることが抑制される。
例えば、基板Pの表面と対向する液浸部材4の下面に液体LQを回収する回収口を設けたり、その回収口に多孔部材を設けたりして、構造(形状)が複雑になると、その下面に異物が付着し易くなる可能性がある。例えば、基板Pの表面と対向する位置に多孔部材が配置されている場合、基板Pから発生した異物(例えば基板Pの表面を形成する感光膜、あるいはトップコート膜等の一部)が、多孔部材に付着する可能性がある。その付着した異物が、基板Pの露光中に、露光光ELの光路に放出されたり、液浸空間LSの液体LQ中に混入したりすると、基板Pにパターン欠陥が生じる等、露光不良が発生する可能性がある。また、下面の構造(形状)が複雑な場合、例えば凹凸部が多数存在する場合においても、基板Pから発生した異物が下面に付着し易くなる可能性がある。
本実施形態によれば、雰囲気に開放された空隙部80を設け、第1開口33を介して空隙部80に流入した液体LQを、基板Pの表面と対向しない位置に配置された第1回収部60で回収しており、基板Pの表面と対向する液浸部材4の下面は、シンプルな構造である。したがって、液浸部材4の下面に異物が付着することが抑制される。また、液浸部材4の下面の構造がシンプルなので、仮に液浸部材4の下面に異物が付着した場合でも、液浸部材4の下面を円滑且つ良好にクリーニングすることができる。
また、本実施形態においては、第1開口33に流入した液体LQが流れる流路を形成する空隙部80(第6空間56)、及び液体ガイド部81(第7空間57)は、分離可能な第1部材31と第2部材32との間に形成される。したがって、空隙部80を形成する第1部材31の第6面46及び第2部材32の第8面48、液体ガイド部81を形成する第1部材31の第7面47及び第2部材32の第9面49を円滑且つ良好にクリーニングできる。
また、本実施形態においては、第1回収部60は、空隙部80から回収した液体LQが、空隙部80に戻らないように構成されている。すなわち、空隙部80からの液体LQを第1凹部61に貯めている。したがって、例えば第1回収部60の多孔部材64が汚染された場合でも、その多孔部材64に接触した液体LQ(汚染されている可能性がある液体LQ)が、空隙部80を介して第1空間51及び露光光ELの光路に戻る(逆流する)ことを抑制することができる。したがって、露光不良の発生を抑制できる。
また、多孔部材64が汚染された場合、その汚染された多孔部材64を新たな多孔部材64に交換することによって、多孔部材64に接触する液体LQの汚染を抑制できる。
なお、上端部48Tと第1凹部61との間に設けられた液体ガイド部81(第9面49)を省略してもよい。すなわち、上端部48Tに隣接して、第1凹部61を設けてもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図6は、第2実施形態に係る液浸部材4Bの一例を示す図である。図6において、液浸部材4Bは、第1面41を有する第1部材31Bと、第2面42を有する第2部材32と、第1部材31B及び第2部材32とは別の部材であり、回収口62及び多孔部材64を有する第3部材82とを含む。第1部材31Bに対して第3部材82は着脱可能である。
第3部材82は、本体部82Aと、本体部82Aの上端に配置されたフランジ部82Bとを有する。本体部82Aは、第1部材31Bに設けられた開口83Aに配置可能である。フランジ部82Bが、第1部材31Bに設けられた支持面83Bに支持されることによって、第1部材31Bに対する第3部材82の位置が固定される。フランジ部82Bが支持面83Bに支持された状態で、第3部材82の下端に配置されている回収口62及びその回収口62に配置された多孔部材64は、第1凹部61の内側に配置される。
例えば、第3部材82を上方に引き上げることによって、第3部材82を第1部材31Bから外すことができる。また、第3部材82の本体部82Aを開口83Aの上方から開口83Aに挿入し、支持面83Bでフランジ部82Bを支持させることによって、第3部材82を第1部材31Bに取り付けることができる。第3部材82は容易に交換可能なので、例えば多孔部材64が汚染されたり、第3部材82の少なくとも一部が汚染されたりした場合、その第3部材82を、新たなものと交換したり、汚染された第3部材32をクリーニングして、第1部材31Bに再度取り付けることが容易にできる。したがって、その第3部材82(多孔部材64)に接触する液体LQの汚染を抑制できる。
なお、第3部材82の第1部材31Bからの取り外し、及び/又は第3部材82の第1部材31Bへの取り付けは、第1部材31Bが露光装置EXに取り付けられた状態(第1支持機構28に支持された状態)で行ってもよいし、第1部材31Bを露光装置EXから外した状態(第1支持機構28からリリースされた状態)で行ってもよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図7は、第3実施形態に係る液浸部材4Cの一例を示す図である。図7において、液浸部材4Cは、第1面41を有する第1部材31Cと、第2面42を有する第2部材32Cとを含む。第1回収部60Cは、第2部材32Cに設けられた第1凹部61Cと、第1凹部61Cに流入した液体LQを回収する回収口62Cとを有する。本実施形態においても、回収口62Cは、第1凹部61Cの内側に配置されているが、第2部材32Cが回収口62C、及び回収流路の一部を備えている点で、上述の第1、第2実施形態と異なる。本実施形態において、回収口62Cは、第1凹部61Cの底部613Cに配置されている。すなわち、第1凹部61の底部613Cは、回収口62Cの少なくとも一部を含む。
本実施形態においても、回収口62Cには、多孔部材64Cが配置されている。多孔部材64Cの上面は、上端部48Tより下方(−Z側)に配置されている。
本実施形態においても、第1回収部60Cで液体LQを良好に回収することができる。
なお、回収口62Cの替わりに、あるいは回収口62Cに加えて、第1凹部61Cの第1内面611C及び第2内面612Cの少なくとも一方に液体LQを回収する回収口が配置されてもよい。
また、上述の第2実施形態のように、回収口62C(多孔部材64C)を、第1部材、第2部材とは異なる部材で保持して、脱着(交換)を容易にできるようにしてもよい。
また、上述の第1、第2実施形態の回収口62に加えて、本実施形態の回収口62Cを設けてもよい。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図8は、第4実施形態に係る液浸部材4Dの一例を示す図である。図8において、液浸部材4Dは、第1面41を有する第1部材31と、第2面42を有する第2部材32Dとを含む。本実施形態において、液浸部材4Dは、光軸AXに対する放射方向において、第1開口33の外側で、第1面41が面する第1空間51に面する位置に配置された供給口84を有する。供給口84は、露光光ELの光路に液体LQを供給する。本実施形態において、供給口84は、第2部材32Dに設けられている。本実施形態においては、供給口84は、第2面42の内側のエッジから上方(+Z方向)に延びる第12面79に配置されている。
本実施形態においても、液浸空間LSを良好に形成することができる。
なお、本実施形態においては、供給口75及び供給口84の両方が配置されているが、供給口75を省略してもよい。
また、上述の第2実施形態、及び第3実施形態においても、本実施形態のように、第2面42を有する第2部材に液体LQを供給する供給口を設けてもよい。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図9は、第5実施形態に係る液浸部材4Eの一例を示す図である。図9において、液浸部材4Eは、第1面41を有する第1部材31Eと、第2面42を有する第2部材32とを含む。本実施形態において、液浸部材4Eは、終端光学素子22の側面35が面する第4空間54からオーバーフローした液体LQを回収する第2回収部85を備えている。第2回収部85は、第1部材31Eの第5面45に設けられた第2凹部86と、第2凹部86の内側に配置された回収口87とを備えている。回収口87には多孔部材88が配置されている。第2回収部85は、第4空間54の上端を規定する上端部44Tからオーバーフローした液体LQを回収する。上端44Tと第2凹部86との間の第5面45の一部は、上端部44Tからオーバーフローした液体LQを第2凹部86にガイドする液体ガイド部として機能する。上端44Tと第2凹部86との間に第5面45の一部が形成されていなくてもよい。また、第2回収部85が第2凹部86を備えてなくてもよい。すなわち、回収口87の上端(多孔部材88の上面)が第5面45と面一であってもよい。
本実施形態によれば、第4空間54からオーバーフローした液体LQが、光軸AXに対する放射方向において、第1部材31Eの外側に流出することが抑制される。これにより、露光不良の発生を抑制することができる。
なお、上述の第2実施形態〜第4実施形態においても、本実施形態のように、第4空間54からオーバーフローした液体LQを回収する第2回収部を第1部材に設けてもよい。
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図10は、第6実施形態に係る液浸部材4Fの一例を示す図である。図10において、液浸部材4Fは、第1面41を有する第1部材31Fと、第2面42を有する第2部材32Fとを含む。
本実施形態において、第2開口34は、保持部材21の外面36に面する位置に配置されている。保持部材21の外面36が面する空間は、液浸部材4Fの雰囲気(内部空間8)に開放されており、空隙部80は、第2開口34を介して、液浸部材4Fの周囲の雰囲気に開放されている。また、側面35が面する第4空間54も、液浸部材4Fの周囲の雰囲気に開放されている。
本実施形態において空隙部80からの液体LQを回収する第1回収部60Fは、空隙部80の上端を規定する上端部1048Tから光軸AXに対する放射方向に延びる第9面49Fと、光軸AXに対する放射方向において第9面49Fの外側に設けられた第1凹部61Fと、第1凹部61Fの内側に配置された回収口62Fと、回収口62Fに配置された多孔部材64Fとを有する。本実施形態において、第9面49Fは、第1部材31Fの第5面45Fよりも下方に、かつ外面36と対向する位置に配置されている。また、第1凹部61Fは、第9面49Fよりも下方に配置されている。
また、本実施形態においては、供給口75Fは、外面36と対向する第1部材31Fの第5面45Fに配置されている。供給口75Fから供給された液体LQは、第4空間54を流れた後、第3空間53及び開口39を介して、第1空間51に供給される。第1空間51の液体LQの少なくとも一部は、第1開口33を介して空隙部80に流入する。空隙部80からオーバーフローした液体LQは、第1回収部60Fに回収される。
本実施形態においても、空隙部80からの液体LQの空間53,54を介して露光光ELの光路へ戻らないように空隙部80からの液体LQを回収しつつ、液浸空間LSを良好に形成することができる。
また、第4空間54から液体LQがオーバーフローしたとしても、その液体LQを第1回収部60Fで回収することができる。
なお、液体LQの供給口を、第1部材31Fの第4面44Fに設けてもよい。第4面44Fに設けた供給口は、側面35と対向してもよいし、側面35と対向しなくてもよい。
また、第2部材32Fの第9面49Fは、第1部材31Fの第5面45Fと同じ高さ(面一)でもよい。
また、上述の第2実施形態のように、回収口62F(多孔部材64F)を、第1部材31F、第2部材32Fとは異なる部材で保持して、脱着(交換)を容易にできるようにしてもよい。
また、上述の第4実施形態のように、供給口75Fの替わりに、あるいは供給口75Fに加えて、第2部材32Fの第12面79Fに液体LQの供給口を設けてもよい。
また、第1部材31Fの第5面45Fに第4空間54からオーバーフローした液体LQを回収する回収部を設けてもよい。このように、第5面45Fに液体LQの回収部を設けておくことによって、空隙部80から第4空間54へ向かう液体LQを回収することができる。
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図11は、第7実施形態に係る液浸部材4Gの一例を示す図である。図11において、液浸部材4Gは、第1面41を有する第1部材31Gと、第2面42を有する第2部材32Gとを含む。
本実施形態に係る液浸部材4Gは、上述の第6実施形態に係る液浸部材4Fの変形例である。したがって、第6実施形態で説明した説明は省略する。図11に示すように、第7実施形態は、第2開口34が、側面35に面するように配置される点、及び液体LQを供給する供給口75Fが射出面23と第3面43との間の第3空間53に面している点で、第6実施形態と異なる。
本実施形態においても、空隙部80(上端部1148T)からオーバーフローした液体LQは、第9面49Fを介して第1回収部60Fに回収される。
本実施形態においても、液浸空間LSを良好に形成することができる。
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図12は、第8実施形態に係る液浸部材4Hの一例を示す図である。図12において、液浸部材4Hは、第1面41を有する第1部材31と、第2面42を有する第2部材32Hとを含む。
本実施形態において、液浸部材4Hは、第1開口33と第2面42との間に配置された第2凹部90を備えている。基板Pの露光の少なくとも一部において、第2凹部90は、基板Pの表面と対向する。
また、液浸部材4Hは、第2凹部90を規定する内面に配置され、第2凹部90に気体を供給して、その第2凹部90の圧力を高める給気口92を備えている。本実施形態においては、第2凹部90の内面は、光軸AXに近い内面91Aと光軸AXに対して内面91Aの外側に配置された内面91Bとを含み、給気口92は内面91Bに配置されている。
光軸AXに対する放射方向において、第1開口33の外側に、圧力が高い第2凹部90が配置されるので、液浸空間LSの拡大を抑制することができる。すなわち、第2凹部90に形成される高圧空間によって、液浸空間LSの気液界面LG1が内面91Aの下端と基板Pの表面との間に形成され、界面LG1の外側への移動が抑制される。これにより、液体LQの流出を抑制することができる。
なお、上述の第2実施形態〜第7実施形態においても、本実施形態のように、第1開口33と第2面42との間に第2凹部90(高圧空間)を設けることができる。
<第9実施形態>
次に、第9実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図13は、第9実施形態に係る液浸部材4Iの一例を示す図である。図13において、液浸部材4Iは、第1面41を有する第1部材31と、第2面42を有する第2部材32Iとを含む。
液浸部材4Iは、光軸AXに対する放射方向において、給気口74の外側に配置され、液体LQ及び気体の少なくとも一方を吸引可能な吸引口93を備えている。吸引口93は、吸引流路を、真空システムを含む吸引装置と接続可能である。制御装置7は、基板Pの露光の少なくとも一部において、吸引口93を用いる吸引動作を実行する。
吸引口93が設けられているので、液浸空間LSの液体LQが、第2空間52に流入した場合でも、その液体LQを吸引口93で吸引して回収することができる。したがって、第2部材32Iの外側に液体LQが流出したり、基板P上に液体LQが残留したりすることが抑制される。また、基板Pの露光中に吸引口93を使わずに、第1面41の下側の第1空間51から液体LQのほぼすべて回収する場合にだけ、吸引口93を用いるようにしてもよい。
なお、上述の第1〜第9実施形態においては、第1回収部の回収口(62など)、及び2回収部の回収口87に多孔部材を配置して、多孔部材の一側から他側へ液体LQのみが通過するようにしているが、回収口が、液体LQを、気体とともに回収してもよい。また、回収口に、多孔部材を配置しなくてもよい。
なお、上述の各実施形態において、第1面41を有する第1部材(31)と第2面42を有する第2部材(32)とが、光軸AXと平行な方向に、及び/又は光軸AXと垂直な方向に、相対移動可能であってもよい。すなわち、第1部材(31)と第2部材(32)の少なくとも一方が可動に支持されてもよい。例えば、第2支持機構29にアクチュエータを設け、そのアクチュエータの駆動力で、第2部材(32)の位置を動かしてもよい。第2部材の位置をZ方向に動かして、第2ギャップG2を調整することができる。
なお、上述の各実施形態において、給気口74を省略してもよい。
また、上述の各実施形態において、例えば、給気口74からの気体で液体LQの界面LG1を移動を抑制できる場合には、第2面42を第1面41よりも下方に配置しなくてもよい。
また、上述の各実施形態において、第2面42の少なくとも一部は液体LQに対して撥液性でなくてもよい。
また、上述の各実施形態において、空隙部(80)が、第1開口33と異なる第2開口34を介して液浸部材(4)の周囲の雰囲気と開放されるように形成できるならば、第1面41,第2面42、空隙部(80)などを一つの部材に形成してもよい。
また、上述の各実施形態において、第1面41が、射出面23と基板Pとの間に配置されていなくてもよい。この場合、第1面41が射出面23と面一、あるいは射出面23より上方に配置されてもよい。
また、上述の各実施形態において、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面は、射出面23の周縁から上方(+Z方向)に延びる面(側面35)を有していなくてもよい。例えば、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面が、射出面23とほぼ平行(光軸AXと垂直な方向に)延びていてもよい。
<第10実施形態>
第10実施形態について説明する。図14は、第10実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図14に示すように、本実施形態において、液浸部材4は、第1部材231と第2部材232とを含む。第1部材231及び第2部材232は、終端光学素子22の近傍に配置されている。本実施形態において、第1部材231は、第1支持機構28に支持されている。第2部材232は、第2支持機構29に支持されている。本実施形態において、第1,第2支持機構28,29は、第1定盤13に支持されている。本実施形態において、第1部材231は、第1支持機構28を介して、第1定盤13に吊り下げられている。第2部材232は、第2支持機構29を介して、第1定盤13に吊り下げられている。
図15は、液浸部材4の近傍を示す側断面図、図16は、液浸部材4を上方から見た図、図17は、図15の一部を拡大した図である。
図15,図16,及び図17に示すように、本実施形態において、第1部材231及び第2部材232のそれぞれは、環状の部材である。第1部材231の少なくとも一部は、露光光ELの一部の光路及び終端光学素子22の周囲に配置されている。第2部材232の少なくとも一部は、第1部材231の周囲に配置されている。図16に示すように、本実施形態において、XY平面内における第1部材231及び第2部材232の外形は、円形である。なお、第1部材231及び第2部材232の外形が、他の形状(例えば、矩形)でもよい。
液浸部材4は、射出面23から射出される露光光ELの光路の周囲の少なくとも一部に配置された第1面241と、第1面241の周囲の少なくとも一部に配置された第1凹部290と、第1凹部290を規定する内面292に配置され、気体を供給して、第1凹部290の圧力を高める第1給気口291とを備えている。
また、本実施形態において、液浸部材4は、第1凹部290の周囲に配置され、第1面241と同じ方向を向く第2面242を備えている。第1面241及び第2面242のそれぞれは、基板Pの表面と対向可能なように、−Z方向を向いている。本実施形態において、第2面242は、第1面241より下方(−Z側)に配置されている。
本実施形態において、XY平面内における第1面241及び第2面242の外形は、円形である。また、XY平面内における第2面242の内側のエッジも、円形である。また、XY平面内における第1凹部290の形状は、環状である。なお、第1凹部290として、複数の凹部を所定の間隔で第1面241の周囲に配置してもよい。
また、液浸部材4は、第1面241と第1凹部290との間の第1開口233から液体LQが流入可能であり、第1開口233と異なる第2開口234を介して雰囲気に開放された空隙部280と、空隙部280に流入した液体LQの少なくとも一部を回収する回収部260とを備えている。
本実施形態において、第1面241は、第1部材231に配置されている。第1凹部290は、第2部材232に配置されている。第2面242は、第2部材232に配置されている。第1面241、第1凹部290、及び第2面242は、液浸部材4の下方に配置された物体の表面(上面)と対向可能である。
本実施形態において、第1面241及び第2面242は、液体LQを回収不可能である。すなわち、本実施形態においては、第1面241及び第2面242には液体回収口が設けられていない。また、内面292も、液体LQを回収不可能である。本実施形態において、第1面241及び第2面242は、平坦である。第1面241と物体の表面(上面)との間の第1空間251は、液体LQを保持可能である。なお、本実施形態においては、第1面241と第2面242は、それぞれXY平面(水平面)と平行であるが、第1面241及び/又は第2面242の少なくとも一部が、XY平面に対して傾斜していてもよく、第1面241と第2面242とが平行でなくてもよい。また、本実施形態において、第1面241と第2面242の少なくとも一方が曲面を含んでいてもよい。
基板Pの露光の少なくとも一部において、射出面23、第1面241、第1凹部290、及び第2面242に基板Pの表面が対向する。基板Pの露光の少なくとも一部において、射出面23と基板Pの表面との間の空間に液体LQが満たされる。また、基板Pの露光の少なくとも一部において、第1面241と基板Pの表面との間の第1空間251に液体LQが保持される。基板Pは、射出面23と基板Pの表面との間の液体LQを介して、射出面23からの露光光ELで露光される。
本実施形態において、第1面241と物体との間に保持された液体LQによって液浸空間LSの一部が形成される。本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているときに、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液浸空間LSの液体LQの気液界面(メニスカス、エッジ)LG1は、基板Pの表面と対向する液浸部材4の下面と基板Pの表面との間に形成することができるが、後述の第12面279と基板Pとの間に形成されることが望ましい。本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
以下、簡単のため、射出面23、第1面241、第1凹部290、及び第2面242と対向する位置に基板Pが配置され、液浸部材4と基板Pとの間に液体LQが保持されて液浸空間LSが形成される場合を例にして説明する。なお、上述のように、射出面23及び液浸部材4と他の部材(基板ステージ2のプレート部材Tなど)との間に液浸空間LSを形成することができる。
上述したように、本実施形態において、第1面241及び第2面242のそれぞれは、XY平面とほぼ平行である。図17などに示すように、第1面241は、基板Pの表面と第1ギャップG1を介して対向し、第2面242は、第2ギャップG2を介して対向する。第2ギャップG2は、第1ギャップG1より小さい。
本実施形態において、第1部材231は、基板Pの表面と対向可能な第1面241と、第1面241と逆方向を向き、射出面23の少なくとも一部と対向する第3面243と、第3面243の周囲に配置され、終端光学素子22の側面35と対向する第4面244と、第4面244の周囲に配置され、保持部材21の外面36と対向する第5面245とを有する。第1部材231は、少なくとも一部が射出面23と対向するように配置されたプレート部237と、少なくとも一部が終端光学素子22の周囲に配置される本体部238とを有する。第1面241及び第3面243は、プレート部237に配置されている。第4面244及び第5面245は、本体部238に配置されている。また、プレート部237は、射出面23から射出された露光光ELが通過可能な開口239を有する。基板Pの露光中、射出面23から射出された露光光ELは、開口239を介して、基板Pの表面に照射される。図16に示すように、本実施形態において、開口239は、基板Pの走査方向(Y軸方向)と交差するX軸方向に長い。
第3面243は、射出面23と第3ギャップG3を介して対向する。第4面244は、側面35と第4ギャップG4を介して対向する。第5面245は、外面36と第5ギャップG5を介して対向する。
終端光学素子22の側面35は、射出面23と異なる面であり、露光光ELが通過しない面である。側面35は、射出面23の周囲に配置されている。側面35は、射出面23の周縁から上方(+Z方向)に延びるように配置されている。側面35は、射出面23の周縁から光軸AXに対する放射方向(光軸AXに対して垂直な方向)に延びるように設けられている。すなわち、側面35は、光軸AXに対する放射方向に、かつ上方に延びるように傾斜している。
保持部材21は、終端光学素子22を保持する。保持部材21の外面36は、側面35の周囲に配置されている。外面36は、光軸AXに対する放射方向に延びるように配置されている。
本実施形態において、第3面243と射出面23とは、ほぼ平行である。また、第4面244と側面35とは、ほぼ平行である。また、第5面245と外面36とは、ほぼ平行である。なお、第3面243と射出面23とは平行でなくてもよい。また、第4面244と側面35とは平行でなくてもよい。また、第5面245と外面36とは平行でなくてもよい。
終端光学素子22及び保持部材21と第1部材231との間の空間は、射出面23と第3面243とで規定された第3空間253と、側面35と第4面244とで規定された第4空間254と、外面36と第5面245とで規定された第5空間255とを含む。第4空間254は、光軸AXに対する放射方向に、投影光学系PLの像面から離れる方向に、かつ+Z方向に延びるように傾斜した空間である。第5空間255は、光軸AXに対する放射方向(光軸AXに垂直な方向)に延びる空間である。
なお、本実施形態においては、第4面244は終端光学素子22の側面35と対向しているが、第4面244の少なくとも一部が保持部材21の外面と対向していてもよい。また、本実施形態においては、第5面245は、保持部材21の外面36と対向しているが、終端光学素子22の側面35の周囲に終端光学素子22の下面が露出している場合には、第5面245の少なくとも一部が、終端光学素子22の下面と対向していてもよい。
また、第4空間254は、光軸AXと平行であってもよい。また第5空間255は光軸AXに対して垂直でなくてもよい。
また、第1部材231は、第1面241の周囲に配置された第6面246と、第6面246の周囲に配置された第7面247とを有する。第6面246及び第7面247は、本体部238に配置されている。本実施形態において、第4面244と第6面246とは、ほぼ平行である。また、第5面245と第7面247とは、ほぼ平行である。なお、第4面244と第6面246とは平行でなくてもよい。また、第5面245と第7面247とは平行でなくてもよい。
本実施形態において、第2部材232は、基板Pの表面と対向可能な第2面242と、第6面246と対向する第8面248と、第7面247と対向する第9面249とを有する。
第8面248は、第6面246と第6ギャップG6を介して対向する。第9面249は、第7面247と第7ギャップG7を介して対向する。本実施形態において、第8面248と第6面246とは、ほぼ平行である。また、第9面249と第7面247とは、ほぼ平行である。なお、第8面248と第6面246とは平行でなくてもよい。また、第9面249と第7面247とは平行でなくてもよい。
第1部材231と第2部材232との間の空間は、第6面246と第8面248とで規定された第6空間256と、第7面247と第9面249とで規定された第7空間257とを含む。第6空間256は、光軸AXに対する放射方向に、投影光学系PLの像面から離れる方向(+Z方向)に延びるように傾斜した空間である。第7空間257は、光軸AXに対する放射方向(光軸AXに垂直な方向)に延びる空間である。なお、第6空間256は、光軸AXと平行であってもよい。また、第7空間257は、光軸AXに対して垂直でなくてもよい。
本実施形態において、空隙部280は、第6空間256を含む。空隙部280(第6空間256)の下端は、第1空間251と流体的に接続されている。空隙部280の上端は、第7空間257と流体的に接続されている。本実施形態においては、空隙部280の下端に、第1開口233が配置され、空隙部280の上端に、第2開口234が配置されている。本実施形態においては、第8面248の下端部248Bは、空隙部280の下端を規定する。第8面248の上端部248Tは、空隙部280の上端を規定する。
基板Pの露光の少なくとも一部において、第1開口233は、基板Pの表面と対向する。基板P上の液体LQの少なくとも一部は、第1開口233を介して、空隙部280に流入可能である。本実施形態においては、第1開口233は、第1面241とほぼ面一に形成されている。なお、第1開口233を下方(−Z方向)を向いていなくてもよい。第1開口233は、環状に設けられた一つの開口であってもよいし、所定の間隔で環状に配置された複数の開口から形成されてもよい。同様に、空隙部280も、光軸AXの周囲に所定の間隔で環状に配置された複数の空隙部から形成されてもよい。
回収部260は、空隙部280からの液体LQを回収する。回収部260は、空隙部280からオーバーフローした液体LQを回収する。回収部260の少なくとも一部は、光軸AXに対する放射方向において、上端部248Tの外側に配置されている。
本実施形態において、回収部260は、光軸AXに対する放射方向において、空隙部280の外側に上方(+Z方向)を向いて設けられた第2凹部261を有する。第2凹部261は、上方を向く開口261Kを有する。回収部260は、開口261Kを介して第2凹部261に流入した液体LQを回収する。
第2凹部261は、光軸AXに対する放射方向において、上端部248Tの外側に設けられている。本実施形態において、第2凹部261は、第9面249の周囲に配置されている。XY平面内において、第2凹部261は、環状である。なお、第2凹部261は、所定間隔で環状に配置された複数の凹部から形成されてもよい。また、本実施形態においては、第2部材232は、第2凹部261の周囲に配置された第10面270を有する。第10面270は、XY平面とほぼ平行である。本実施形態において、第10面270は、第9面249とほぼ同一平面内に配置されている。なお、第10面270が第9面249より上方に(+Z側に)配置されてもよい。
第2凹部261は、第9面249と結ばれた第1内面2611と、第1内面2611と対向し、第10面270と結ばれた第2内面2612と、第1内面2611と第2内面2612との間に配置された底面2613とを有する。底面2613は、上方(+Z方向)を向いている。底面2613は、上端部248Tより下方(−Z側)に配置されている。本実施形態において、底面2613は、XY平面とほぼ平行である。なお、底面2613は、XY平面と平行でなくてもよい。例えば、底面2613は、XY平面に対して傾斜していてもよい。また、底面2613が、曲面を含んでいてもよい。
また、回収部260は、空隙部280からの液体LQを第2凹部261にガイドする液体ガイド部281を有する。本実施形態において、液体ガイド部281は、第9面249を含む。また本実施形態において、液体ガイド部281は、第7空間257を含む。液体ガイド部281は、上端部248Tから光軸AXに対する放射方向に延びるように形成されている。なお、本実施形態においては、液体ガイド部281は、光軸AXに対して垂直(XY平面と平行)に設けられているが、光軸AXに対して垂直でなくてもよい。例えば、第9面249を上端部248Tから下方に向かって傾斜させてもよい。
第2凹部261は、上端部248Tから光軸AXに対する放射方向において、液体ガイド部281の外側に設けられている。空隙部280の上端からオーバーフローした液体LQは、液体ガイド部281にガイドされて、第2凹部261に流入する。
第2凹部261は、空隙部280からの液体LQを貯めることができる。第2凹部261は、流入した液体LQを貯めることによって、空隙部280からの液体LQが空隙部280に戻ることを抑制する。すなわち、第2凹部261は、空隙部280に戻らないように空隙部280からの液体LQを貯めるリザーブ部の少なくとも一部として機能する。
また、回収部260は、第2凹部261に流入した液体LQを回収する回収口262を有する。回収口262は、その第2凹部261に貯めた液体LQを回収する。
本実施形態において、回収口262は、底面2613と対向するように配置されている。本実施形態において、回収口262は、第2凹部261の内側に配置されている。換言すれば、回収口262は、第2凹部261の開口261Kより下方(−Z側)に配置されている。
本実施形態においては、XY平面内において、回収口262は、環状である。なお、回収口262が、光軸AXの周囲の複数の位置に分割して配置されてもよい。
本実施形態において、回収口262は、第1部材231に配置されている。第1部材231は、第7面247の周囲に配置され、下方に突出する凸部263を有する。回収口262は、凸部263の下端に配置されている。
回収口262には、多孔部材264が配置されている。多孔部材264は、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の部材である。なお、多孔部材264が、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタでもよい。
本実施形態において、多孔部材264の下面を含む凸部263の外面と、底面2613、第1内面2611、及び第2内面2612を含む第2凹部261の内面とは離れている。すなわち、凸部263と第2凹部261との間に、第8空間258が形成される。
第1部材231は、第10面270と対向する第11面271を有する。第10面270と第11面271との間の第9空間259は、第3開口272を介して、雰囲気に開放されている。
空隙部280は、第2開口234を介して、雰囲気に開放されている。第2開口234は、第7空間257、第8空間258、及び第9空間259を介して、第3開口272と結ばれている。本実施形態において、空隙部280は、第2開口234、第7,第8,第9空間257,258,259、及び第3開口272を介して、雰囲気に開放されている。すなわち、空隙部280は、第1開口233と異なる第2開口234を介して液浸部材4の周囲の空間に開放されている。換言すれば、空隙部280は、第2開口234を介して液浸空間LSの液体LQの界面が接する気体空間に開放されている。
本実施形態において、「雰囲気」は、液浸部材4を取り囲む気体である。本実施形態において、液浸部材4を取り囲む気体は、チャンバ装置5によって形成される内部空間8の気体である。本実施形態において、チャンバ装置5は、環境制御装置5Bを用いて、内部空間8をクリーンな空気で満たす。また、チャンバ装置5は、環境制御装置5Bを用いて、内部空間8をほぼ大気圧に調整する。もちろん、内部空間8を大気圧よりも高く設定してもよい。
また、本実施形態においては、第3空間253、第4空間254、及び第5空間255も、液浸部材4の周囲の気体空間(内部空間8)に開放されている。
本実施形態において、第2面242は、液体LQに対して撥液性である。第2面242において、液体LQの接触角は90°以上であり、100°以上であってもよい。本実施形態においては、第2面242は、液体LQに対して撥液性の膜273で形成されている。膜273は、例えばフッ素を含む撥液性材料で形成される。撥液性材料としては、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、PEEK(polyetheretherketone)、テフロン(登録商標)等が挙げられる。
本実施形態においては、第2部材232は、第1開口233と第1凹部290との間に配置され、第1面241と同じ方向を向く第12面279を備えている。第12面279は、基板Pの表面と対向可能なように、−Z方向を向いている。本実施形態において、第12面279は、第1面241とほぼ同一平面内に配置されている平坦部である。なお、第12面279は、第1面241の下方に配置されていてもよい。また第12面279が、XY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでいてもよい。
第1凹部290は、下方を向く開口290Kを有する。第1凹部290を規定する内面292は、第12面279と結ばれた第1内面2921と、第1内面2921と少なくとも一部が対向し、第2面242と結ばれた第2内面2922と、第1内面2921と第2内面2922との間に配置された上面2923とを有する。上面2923は、下方(−Z方向)を向いている。上面2923は、下端部248Bより上方(+Z側)に配置されている。本実施形態において、上面2923は、XY平面とほぼ平行である。なお、上面2923は、XY平面と平行でなくてもよい。例えば、上面2923は、XY平面に対して傾斜していてもよい。また、上面2923が、曲面を含んでいてもよい。
第1給気口291は、第2内面2922に配置されている。第1給気口291は、第1凹部290の内側に気体を供給する。本実施形態において、第1給気口291は、光軸AXに関する周方向において所定間隔で第2内面2922に設けられた複数の開口を有しし、複数の開口のそれぞれから気体を供給する。第1給気口291は、第1凹部290の内側に気体を供給して、その第1凹部290の圧力を、少なくとも雰囲気の圧力(本実施形態では大気圧)より高くする。
また、本実施形態において、液浸部材4は、第1凹部290の周囲の少なくとも一部に配置された第2給気口274を備えている。本実施形態において、第2給気口274は、第2面242に配置されている。第2給気口274は、第2面242と対向する物体(基板P)の表面に向けて気体を供給する。
本実施形態においては、XY平面内において、給気口274は、環状である。なお、給気口274が、光軸AXの周囲の複数の位置に分割して配置されてもよい。
また、本実施形態において、液浸部材4は、露光光ELの光路に液体LQを供給する供給口275を備えている。供給口275は、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面と対向する位置に配置されている。本実施形態において、供給口275は、終端光学素子22の側面35と対向する位置に配置されている。なお、供給口275は、終端光学素子22の面に対向していなくてもよい。例えば、第3面243と射出面23との間の第3空間253に面するように第1部材231に供給口275を配置してもよい。
図16に示すように、本実施形態においては、供給口275は、光軸AXに対して+Y側及び−Y側のそれぞれに一つずつ配置されている。なお、供給口275が、光軸AXに対して+X側及び−X側のそれぞれに一つずつ配置されてもよい。また、供給口275の数は、3つ以上でもよい。
本実施形態において、供給口275は、第4空間254に液体LQを供給する。第4空間254に供給された液体LQは、第4空間254を下方に流れた後、第3空間253を介して、射出面23から射出される露光光ELの光路に供給される。また、供給口275から第4空間254を介して第3空間253に供給された液体LQの少なくとも一部は、開口239を介して、第1空間251に供給される。
図15に示すように、供給口275は、供給流路を介して、液体供給装置276と接続されている。本実施形態において、供給流路は、第1部材231の内部に形成された流路、及び第1支持機構28の内部に形成された流路を含む。液体供給装置276は、クリーンで温度調整された液体LQを供給口275に供給することができる。なお、第1部材231を支持する第1支持機構28の内部に供給流路の一部を設けなくてもよい。
回収口262は、回収流路を介して、液体回収装置277と接続されている。本実施形態において、回収流路は、第1部材231の内部に形成された流路、及び第1支持機構28の内部に形成された流路を含む。液体回収装置277は、真空システム(真空源と回収口262との接続状態を制御するバルブなど)を含み、回収口262から液体LQを吸引して回収することができる。回収口262と真空源を含む液体回収装置277とが接続されることによって、回収口262から液体LQが回収される。なお、第1部材231を支持する第1支持機構28の内部に回収流路の一部を設けなくてもよい。
第1給気口291は、給気流路を介して、気体供給装置278Aと接続されている。本実施形態において、給気流路は、第2部材232の内部に形成された流路、及び第2支持機構29の内部に形成された流路を含む。気体供給装置278Aは、クリーンで温度、及び湿度が調整された気体を第1給気口291に供給することができる。なお、第1給気口291から供給される気体の湿度は、環境制御装置5Bにより内部空間8に供給される気体の湿度より高い方がよい。これにより、界面LGでの液体LQの気化を抑制することができる。また、第2部材232を支持する第2支持機構29の内部に給気流路の一部を設けなくてもよい。
第2給気口274は、給気流路を介して、気体供給装置278Bと接続されている。本実施形態において、給気流路は、第2部材232の内部に形成された流路、及び第2支持機構29の内部に形成された流路を含む。気体供給装置278Bは、クリーンで温度、及び湿度が調整された気体を第2給気口274に供給することができる。なお、第2給気口274から供給される気体の湿度は、環境制御装置5Bにより内部空間8に供給される気体の湿度より高い方がよい。第2部材232を支持する第2支持機構29の内部に給気流路の一部を設けなくてもよい。
なお、第1給気口291から供給される気体の湿度は、第2供給口292より供給される気体の湿度と同程度、もしくは高い方がよい。
また、第1給気口291から供給される気体の湿度と、第2供給口292より供給される気体の湿度の少なくとも一方は、環境制御装置5Bにより内部空間8に供給される気体の湿度と同程度であってもよい。
制御装置7は、液体回収装置277を制御して、多孔部材264の下面側空間(第8空間258)から上面側空間(回収流路)へ液体LQのみが通過するように、多孔部材264の下面側と上面側との圧力差を制御することができる。本実施形態において、下面側の第8空間258の圧力は、雰囲気に開放され、チャンバ装置5によって制御されている。制御装置7は、多孔部材264の下面側から上面側へ液体LQのみが通過するように、液体回収装置277を制御して、下面側の圧力に応じて、上面側の圧力を調整する。すなわち、制御装置7は、多孔部材264の孔を介して、第8空間258からの液体LQのみを回収し、気体は多孔部材264の孔を通過しないように調整する。多孔部材264の一側と他側との圧力差を調整して、多孔部材264の一側から他側へ液体LQのみを通過させる技術は、例えば米国特許第7292313号明細書などに開示されている。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。
まず、制御装置7は、射出面23、第1面241、第1凹部290、及び第2面242と基板Pの表面(あるいは基板ステージ2の上面26)とが対向するように、基板Pを保持する基板ステージ2を移動する。第1面241と基板Pの表面とは、第1ギャップG1を介して対向し、第2面242と基板Pの表面とは第2ギャップG2を介して対向する。
制御装置7は、第1面241及び第2面242と基板Pの表面とを対向させた状態で、液体供給装置276から液体LQを送出する。また、制御装置7は、液体回収装置277を作動する。また、制御装置7は、気体供給装置278A,278Bを作動する。
液体供給装置276から送出された液体LQは、供給口275より、第4空間254に供給される。第4空間254に供給された液体LQは、第4空間254を下方に流れた後、第3空間253を介して、射出面23から射出される露光光ELの光路に供給される。これにより、露光光ELの光路は、液体LQで満たされる。
また、供給口275から第4空間254を介して第3空間253に供給された液体LQの少なくとも一部は、開口239を介して、第1空間251に供給され、第1面241と基板Pの表面との間で保持される。
開口239から第1空間251に供給された液体LQの少なくとも一部は、第1開口231を介して空隙部280に流入する。
本実施形態においては、開口239を介して第1空間251に供給された液体LQが、光軸AXの放射方向において第12面279の外側の空間に流入することが抑制されている。すなわち、本実施形態においては、XY平面内における液浸空間LSの液体LQの界面LG1の外側への移動が拘束されており、液浸空間LSの拡大が抑制されている。
本実施形態においては、第1面241の周囲に配置された第1凹部290に第1給気口291から気体が供給されて、第1凹部290の圧力が高められ、第1凹部290の下側にも高圧空間が形成される。液浸空間LSを形成するために第1面241と基板Pの表面との間に保持された液体LQの界面LG1の周囲に、圧力が高い空間が配置されるので、液浸空間LSの拡大を抑制することができる。すなわち、第1凹部290によって形成される高圧空間によって、界面LG1の外側への移動が拘束される。本実施形態においては、高圧空間によって、界面LG1の位置は、図17等に示すように、第12面279と基板Pの表面との間に維持される。これにより、液体LQの流出を抑制することができる。
また、本実施形態においては、第2面242の内側のエッジと結ばれ、光路に面するように配置された第2内面2922が設けられている。Z軸方向に関する第2内面2922の大きさは、第1内面2911の大きさより大きい。すなわち、第2内面2922の下端は、第1面241より−Z側(基板P側)に配置される。したがって、第1凹部290の下側の空間からの気体の流出が抑えられ、液体LQの流出を抑制するように、界面LG1の外側に、高圧空間を維持することができる。
また、本実施形態においては、給気口274が設けられており、光軸AXに対して第2面242の内側エッジの外側で、基板Pの表面に向けて気体を供給する。これにより、給気口274から供給された気体によって、第1凹部290の下側の空間からの気体の流出が抑制される。すなわち、給気口274は、基板Pの表面と第2面242との間でガスシールを形成する。これにより、第1凹部290の下側に高圧空間を維持することができ、界面LG1の外側への移動が拘束される。
また、本実施形態において、第1面241は、基板Pの表面と第1ギャップG1を介して対向し、第1面241の周囲に配置された第2面242は、基板Pの表面と第2ギャップG2を介して対向する。第2ギャップG2は、第1ギャップG1より小さく、例えば0.1〜0.3mm程度である。したがって、光軸AXに対する放射方向において、第12面279の下側空間の外側に液体LQが流出したとしても、第1凹部290の外側に液体LQが流出することが抑制される。
また、本実施形態においては、第2面242が液体LQに対して撥液性なので、より効果的に、液体LQの流出が抑制される。
また、本実施形態においては、XY平面内における第1凹部290の形状は、円環状(輪帯状)であり、その第1凹部290によって形成される高圧空間も、円環状である。これにより、液浸空間LSの界面LG1の全方位から中心に向かう拘束力が作用する。これにより、液浸空間LSの拡大が抑制される。
開口239を介して第1空間251に流入した液体LQによって形成される液浸空間LSの拡大が抑制された状態で、供給口275から液体LQが供給されることによって、雰囲気に開放された空隙部280に液体LQが流入し、空隙部280における液体LQの表面の位置が+Z方向に移動する(上昇する)。空隙部280が液体LQで満たされると、その空隙部280の液体LQの少なくとも一部が、空隙部280の上端(上端部248T)からオーバーフローする。空隙部280からオーバーフローした液体LQは、空隙部280の上端の外側に配置されている回収部260で回収される。
空隙部280からオーバーフローした液体LQは、液体ガイド部281にガイドされた後、第2凹部261に流入する。第2凹部261に流入した液体LQは、第2凹部261に貯まる。
図18Aは、第2凹部261の液体LQの表面が第1位置Z1に配置される状態を示し、図18Bは、第2位置Z2に配置される状態を示す。図18Aに示すように、例えば、液体LQの表面が第1位置Z1に配置され、液体LQと回収口262(多孔部材264)とが接触していない状態においては、第2開口234は、第7,第8,第9空間257,258,259、及び第3開口272を介して、雰囲気に開放されている。これにより、第1空間251の液体LQは、第1開口233を介して空隙部280に円滑に流入する。また、空隙部280に流入し、その空隙部280からオーバーフローした液体LQは、第2凹部261に円滑に流入する。第2凹部261に貯まる液体LQの量は除々に増加する。
図18Bに示すように、第2凹部261に貯まる液体LQの量が増加して、液体LQの表面が第2位置Z2に配置され、液体LQと回収口262(多孔部材264)とが接触することによって、第2凹部261に貯められている液体LQは、回収口262(多孔部材264)より回収される。回収口262より液体LQが回収されることによって、第2凹部261の液体LQの量が減少し、第2凹部261における液体LQの表面の位置が−Z方向に移動する(下降する)。その第2凹部261に空隙部280からの液体LQが流入することによって、第2凹部261の液体LQの量が再び増加し、液体LQと多孔部材264とが接触して、液体LQが回収口262より回収される。
本実施形態においては、多孔部材264の下面側から上面側へ液体LQのみが通過するように、多孔部材264の下面側と上面側との圧力差が制御されているので、回収部260は、振動の発生、気化熱の発生を抑制しつつ、液体LQを回収することができる。
本実施形態において、回収部260は、第1開口233及び空隙部280を介して回収された基板P上の液体LQを第2凹部261に貯めるので、その空隙部280を介して回収された液体LQが空隙部280に戻ることを抑制することができる。また、回収部260は、第2凹部261に所定量以上貯まった液体LQを、回収口262で回収する。したがって、空隙部280を介して回収された液体LQが空隙部280に戻ることをより確実に抑制することができる。空隙部280を介して回収された液体LQが空隙部280に戻らないように、空隙部280からの液体LQを第2凹部261に貯めることによって、例えば多孔部材264に接触した液体LQが、空隙部280を介して第1空間251及び露光光ELの光路に戻ることが抑制される。
次に、基板Pを露光する方法について説明する。上述のように、制御装置7は、供給口275より液体LQを供給して、露光光ELの光路が液体LQで満たされるように、第1面241と基板Pの表面との間で液体LQを保持して、液浸空間LSを形成する。また、基板P上の液体LQの少なくとも一部は、第1開口233を介して空隙部280に流入する。回収部260は、空隙部280からの液体LQを第2凹部261に貯めるとともに、第2凹部261で所定量に達した液体LQを回収口262で回収する。制御装置7は、供給口275を用いる液体供給動作と並行して、回収部260を用いる液体回収動作を実行して、露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。また、制御装置7は、第1給気口291より気体を供給して、第1凹部290の圧力を高めて、界面LG1の周囲に高圧空間を形成する。また、制御装置7は、第2給気口274より気体を供給して、ガスシールを形成する。
制御装置7は、基板P上の液体LQの少なくとも一部を第1開口233から空隙部280を介して第2凹部261に貯めて、空隙部280から回収部260に回収された液体LQが空隙部280に戻ることを抑制しつつ、かつ、第2ギャップG2等を用いて液浸空間LSの拡大を拘束しつつ、基板Pの露光を開始する。
制御装置7は、照明系ILより露光光ELを射出して、マスクMを露光光ELで照明する。マスクMからの露光光ELは、投影光学系PLの射出面23から射出される。制御装置7は、射出面23と基板Pとの間の液体LQを介して、射出面23からの露光光ELを基板Pに照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pが露光光ELで露光される。基板Pの露光中にも、供給口275から供給された液体LQが第1開口233から流入し、空隙部280を介して回収部260に回収される。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1凹部290を規定する内面292に配置された第1給気口291から気体を供給して、液浸空間LSの周囲に高圧空間を形成するようにしたので、例えば、液浸空間LSを形成した状態で、基板Pを高速で移動した場合においても、投影光学系PLと基板Pとの間を液体LQで良好に満たし続けることができる。また、液体LQが流出、残留等を抑制することができる。したがって、露光不良の発生、不良デバイスの発生を抑制できる。
また、本実施形態においては、雰囲気に開放された空隙部280を設け、その空隙部280に流入した液体LQを回収部260で回収するようにしたので、基板Pの表面と対向する液浸部材4の下面の構造をシンプルにすることができる。したがって、液体LQと接触する液浸部材4の下面に異物が付着したり、下面が汚染されたりすることが抑制される。
また、本実施形態においては、第1開口233に流入した液体LQが流れる流路を形成する空隙部280(第6空間256)、及び液体ガイド部281(第7空間257)は、分離可能な第1部材231と第2部材232との間に形成される。したがって、空隙部280を形成する第1部材231の第6面246及び第2部材232の第8面248、液体ガイド部281を形成する第1部材231の第7面247及び第2部材232の第9面249を円滑且つ良好にクリーニングできる。
また、本実施形態においては、回収部260は、空隙部280から回収した液体LQが、空隙部280に戻らないように構成されている。すなわち、空隙部280からの液体LQを第2凹部261に貯めている。したがって、例えば回収部260の多孔部材264が汚染された場合でも、その多孔部材264に接触した液体LQ(汚染されている可能性がある液体LQ)が、空隙部280を介して第1空間251及び露光光ELの光路に戻る(逆流する)ことを抑制することができる。したがって、露光不良の発生を抑制できる。
また、多孔部材264が汚染された場合、その汚染された多孔部材264を新たな多孔部材264に交換することによって、多孔部材264に接触する液体LQの汚染を抑制できる。
また、上述の実施形態において、第1開口233と第1凹部290との間に第12面279が形成されているが、第12面279を形成せずに、第1開口233と第1凹部290とが隣接していてもよい。また、第12面279は、第1面241よりも下方に配置されてもよい。
<第11実施形態>
次に、第11実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図19は、第11実施形態に係る液浸部材204Bの一例を示す図である。本実施形態においては、液浸部材204Bは、射出面23から射出される露光光ELの光路の周囲に配置された第1面241と、第1面241の周囲に配置された第1凹部290と、第1凹部290を規定する内面292に配置され、気体を供給して、第1凹部290の圧力を高める第1給気口291と、光軸AXに対する放射方向において、第1面241と第1凹部290との間に配置され、液体LQを回収する回収口と287とを備えている。回収口287には、多孔部材288が配置されている。
また、液浸部材204Bは、第1凹部290の周囲に配置され、第1面241と同じ方向を向く第2面242と、第2面242に配置された第2給気口274と、側面35と対向する位置に配置された供給口275とを備えている。
本実施形態において、第1面241、第1凹部290、第1給気口291、回収口287、第2面242、第2給気口274、及び供給口275は、1つの部材に配置されている。
また、本実施形態においては、回収口287は、基板Pの表面と対向可能なように、−Z方向を向いている。回収口287は、基板P上の液体LQを回収可能である。多孔部材288の下面は、基板Pの表面と対向可能である。多孔部材288の下面は、第1面241の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、第1面241と多孔部材288の下面とは、ほぼ同一平面内に配置される。
回収口287は、回収流路を介して、液体回収装置277と接続されている。回収口287と真空源を含む液体回収装置277とが接続されることによって、回収口287から液体LQが回収される。また、本実施形態においては、制御装置7は、液体回収装置277を制御して、多孔部材288の下面側から上面側へ液体LQのみが通過するように、多孔部材288の下面側と上面側との圧力差を制御することができる。
本実施形態においては、光軸AXに対する放射方向において、回収口287の外側に第1凹部290が配置されており、液浸空間LSの液体LQの界面LGが、回収口287の下側空間よりも外側に移動することが抑制されている。したがって、本実施形態においても、液体LQを流出、残留等を抑制することができる。
<第12実施形態>
次に、第12実施形態について説明する。本実施形態は、第10実施形態の変形例である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図20は、第12実施形態に係る液浸部材204Cの一例を示す図である。図20において、液浸部材204Cは、第1面241を有する第1部材231Cと、第2面242を有する第2部材232Cとを含む。
また、液浸部材204Cは、空隙部280に流入した液体LQの少なくとも一部を回収する回収部260Cを有する。本実施形態において、回収部260Cは、第2部材232Cに設けられた第2凹部261Cと、第2凹部261Cに流入した液体LQを回収する回収口262Cとを有する。本実施形態において、回収口262Cは、第2凹部261Cの内側に配置されている。本実施形態において、回収口262Cは、第2凹部261Cの底部2613Cに配置されている。回収口262Cには、多孔部材264Cが配置されている。多孔部材264Cの上面は、上端部248Tより下方(−Z側)に配置されている。本実施形態においても、回収部260Cで液体LQを良好に回収することができる。
本実施形態において、液浸部材204Cは、光軸AXに対する放射方向において、第1面241の外側で、第1面241が面する第1空間251に面する位置に配置された供給口284を有する。供給口284は、露光光ELの光路に液体LQを供給する。本実施形態において、供給口284は、第2部材232Cに設けられている。供給口284は、光軸AXに対する放射方向において、第1開口233の外側に配置されている。供給口284は、第12面279の内側のエッジと結ばれ、第1空間251に面する第13面285に配置されている。
また、上述の第10,第11実施形態と同様、液浸部材204Cは、第1面241の周囲に配置された第1凹部290と、第1凹部290を規定する内面292に配置された第1給気口291と、第2面242に配置された第2給気口274とを備えている。本実施形態において、供給口284は、第1開口233と第1凹部290との間に配置されている。
本実施形態においても、液浸空間LSを良好に形成することができ、液体LQの流出、残留を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、供給口275及び供給口284の両方が配置されているが、供給口275を省略してもよい。
なお、本実施形態において、回収口262Cが、第2凹部261Cの第1内面2611C及び第2内面2612Cの少なくとも一方に配置されてもよい。
なお、上述の第10、第12実施形態において、第1面241を有する第1部材(231)と第2面242を有する第2部材(232)とが、光軸AXと平行な方向に、及び/又は光軸AXと垂直な方向に、相対移動可能であってもよい。すなわち、第1部材231と第2部材232の少なくとも一方が可動に支持されてもよい。例えば、第2支持機構29にアクチュエータを設け、そのアクチュエータの駆動力で、第2部材(232)の位置を動かしてもよい。第2部材(232)の位置をZ方向に動かして、第2ギャップG2を調整することができる。
また、上述の第10、第12実施形態において、第1面241,第2面242、空隙部280などを一つの部材に形成してもよい。
また、上述の第10、第12実施形態において、第2開口234が保持部材21の外面36と対向するように空隙部280を設けてもよい。この場合も、外面36の下側の第5空間255も雰囲気(液浸部材4の周囲の気体空間)に開放されているので、光軸AXに対する放射方向において空隙部280の外側に回収部260を配置することによって空隙部280からの液体LQを円滑に回収することができる。
また、上述の各実施形態において、第2面242の少なくとも一部は液体LQに対して撥液性でなくてもよい。
なお、上述の第10〜第12実施形態においては、回収口262、287、262Cに多孔部材を配置して、多孔部材の一側から他側へ液体LQのみが通過するようにしているが、回収口が、液体LQを、気体とともに回収してもよい。また、回収口に、多孔部材を配置しなくてもよい。
なお、上述の各実施形態において、給気口274を省略してもよい。
また、上述の各実施形態において、給気口274から気体によって、第1凹部290の下側に高圧空間が維持できれば、第2面242が第1面241より下方に配置されていなくてもよい。
なお、上述の各実施形態において、第1面241が、露光光ELの光路の周囲の一部に配置されてもよい。また、第2面242が、第1凹部290の周囲の一部に配置されてもよい。
また、上述の各実施形態において、第1面241が、射出面23と基板Pとの間に配置されていなくてもよい。この場合、第1面241が射出面23と面一、あるいは射出面23より上方に配置されてもよい。
また、上述の各実施形態において、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面は、射出面23の周縁から上方(+Z方向)に延びる面(側面35)を有していなくてもよい。例えば、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面が、射出面23とほぼ平行(光軸AXと垂直な方向に)延びていてもよい。
<第13実施形態>
第13実施形態について説明する。図21は、本実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図21に示すように、本実施形態において、露光装置EXは、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材304を備えている。
液浸部材304は、射出面23から射出される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように、露光光ELの光路の周囲の少なくとも一部に配置される。液浸部材304は、射出面23と、射出面23と対向する位置に配置された物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。液浸空間LSは、液体LQで満たされた部分(空間、領域)である。本実施形態において、物体は、基板ステージ2(プレート部材T)、及び基板ステージ2に保持された基板Pの少なくとも一方を含む。基板Pの露光中、液浸部材304は、終端光学素子22と基板Pとの間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。
液浸部材304は、終端光学素子22の近傍に配置されている。本実施形態において、液浸部材304は、支持機構28に支持されている。本実施形態において、支持機構28は、第1定盤13に支持されている。本実施形態において、液浸部材304は、支持機構28を介して、第1定盤13に吊り下げられている。
図22は、液浸部材304の近傍を示す側断面図、図23は、液浸部材304を上方から見た図、図24は、図22の一部を拡大した図である。
図22,図23,及び図24に示すように、本実施形態において、液浸部材304は、環状の部材である。液浸部材304の少なくとも一部は、露光光ELの一部の光路及び終端光学素子22の周囲に配置されている。図23に示すように、本実施形態において、XY平面内における液浸部材304の外形は、円形である。なお、液浸部材304の外形が、他の形状(例えば、矩形)でもよい。
液浸部材304は、射出面23から射出される露光光ELの光路の周囲の少なくとも一部に配置された第1面341と、第1面341が面する第1空間351に面するように第1面341の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面23から射出される露光光ELの光路を液体LQで満たすために第1空間351に液体LQを供給する供給口375と、供給口375から供給され、射出面23の周縁から上方に、及び投影光学系PLの光軸AXに対する放射方向に延びる投影光学系PLの側面35が面する空隙部380に第1開口339を介して流入した液体LQの少なくとも一部を回収する回収部360とを備えている。
また、本実施形態においては、液浸部材304は、第1面341の周囲の少なくとも一部に配置され、かつ第1面341よりも下方(−Z側)に配置された第2面342を備えている。第1面341及び第2面342は、液浸部材304の下方に配置された物体の表面(上面)と対向可能である。本実施形態において、XY平面内における第1面341及び第2面342の外形は、円形である。また、XY平面内における第2面342の内側のエッジも、円形である。
本実施形態において、第1面341及び第2面342は、液体LQを回収不可能である。すなわち、本実施形態においては、第1面341及び第2面342には液体回収口が設けられていない。すなわち、本実施形態においては、露光中に基板Pの表面が対向する液浸部材304の下面には、露光光ELが通過する第1開口339以外に液体回収口が設けられていない。本実施形態において、第1面341及び第2面342は、平坦である。第1面341と物体の表面(上面)との間の第1空間351は、液体LQを保持可能である。なお、本実施形態においては、第1面341と第2面342は、それぞれXY平面(水平面)と平行であるが、第1面341及び/又は第2面342の少なくとも一部が、XY平面に対して傾斜していてもよく、第1面341と第2面342とが平行でなくてもよい。また、本実施形態において、第1面341と第2面342の少なくとも一方が曲面を含んでいてもよい。
基板Pの露光の少なくとも一部において、射出面23の下方に配置された基板Pの表面が、射出面23、第1面341、及び第2面342に対向する。基板Pの露光の少なくとも一部において、射出面23と基板Pの表面との間の空間に液体LQが満たされる。また、基板Pの露光の少なくとも一部において、第1面341と基板Pの表面との間の第1空間351に液体LQが保持される。基板Pは、射出面23と基板Pの表面との間の液体LQを介して、射出面23からの露光光ELで露光される。
本実施形態において、第1面341と物体との間に保持された液体LQによって液浸空間LSの一部が形成される。本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているときに、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液浸空間LSの液体LQの気液界面(メニスカス、エッジ)LG1は、第1面341及び第2面342の少なくとも一方と基板Pの表面との間に形成することができるが、第2面342の内側のエッジと基板Pとの間に形成されることが望ましい。本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
以下、簡単のため、射出面23、第1面341、及び第2面342と対向する位置に基板Pが配置され、液浸部材304と基板Pとの間に液体LQが保持されて液浸空間LSが形成される場合を例にして説明する。なお、上述のように、射出面23及び液浸部材304と他の部材(基板ステージ2のプレート部材Tなど)との間に液浸空間LSを形成することができる。
上述したように、本実施形態において、第1面341及び第2面342のそれぞれは、XY平面とほぼ平行である。図24などに示すように、第1面341は、基板Pの表面と第1ギャップG1を介して対向し、第2面342は、第2ギャップG2を介して対向する。第2ギャップG2は、第1ギャップG1より小さい。
本実施形態において、供給口375は、第1面341よりも下方に配置されている。本実施形態において、供給口375は、第1面341と第2面342との間に配置されている。本実施形態において、液浸部材304は、第1面341と第2面342との間に配置され、第1空間351に面する第3面343を備えている。第3面343の上端は、第1面341の外側のエッジと結ばれている。第3面343の下端は、第2面342の内側のエッジと結ばれている。供給口375は、第3面343に配置されている。
本実施形態においては、供給口375は、光軸AXに対して+Y側及び−Y側のそれぞれに一つずつ配置されている。なお、供給口375が、光軸AXに対して+X側及び−X側のそれぞれに一つずつ配置されてもよい。また、供給口375の数は、3つ以上でもよい。
第3面343は、露光光ELの周囲に配置されている。第1空間351は、第1面341及び第3面343によって規定される。本実施形態においては、第3面343は、光軸AXとほぼ平行である。なお、第3面343が、光軸AXと平行でなくてもよい。例えば、第1面341と第3面343とがなす角度が、90度より小さくてもよいし、90度より大きくてもよい。
本実施形態において、投影光学系PLの側面35は、終端光学素子22の側面35A、及び保持部材21の外面35Bの少なくとも一方を含む。終端光学素子22の側面35Aは、射出面23と異なる面であり、露光光ELが通過しない面である。側面35Aは、射出面23の周囲に配置されている。側面35Aは、射出面23の周縁から上方に、かつ光軸AXに対する放射方向(光軸AXに対して垂直な方向)に延びるように設けられている。すなわち、側面35Aは、射出面23の周縁から上方(+Z方向)に延びるように傾斜している。
保持部材21は、終端光学素子22を保持する。保持部材21の外面35Bは、側面35Aの周囲に配置されている。外面35Bは、露光光ELが通過しない面である。外面35Bは、光軸AXに対する放射方向に延びるように配置されている。
また、本実施形態において、液浸部材304は、第1面341と逆方向を向き、射出面23の少なくとも一部と対向する第4面344と、第4面344の周囲に配置され、終端光学素子22の側面35Aと対向する第5面345と、第5面345の周囲に配置され、保持部材21の外面35Bと対向する第6面346とを有する。なお、本実施形態においては、側面35が露出するように、終端光学素子22が保持部材21に保持されているが、第5面345が保持部材21に面するように、あるいは第6面346が終端光学素子22に面するように、終端光学素子22が保持部材21に保持されてもよい。
液浸部材304は、少なくとも一部が射出面23と対向するように配置されたプレート部337と、少なくとも一部が終端光学素子22の周囲に配置される本体部338とを有する。第1面341及び第4面344は、プレート部337に配置されている。第5面345及び第6面346は、本体部338に配置されている。
第1開口339は、プレート部337に配置されている。射出面23から射出された露光光ELは、第1開口339を通過可能である。基板Pの露光中、射出面23から射出された露光光ELは、第1開口339を介して、基板Pの表面に照射される。図23に示すように、本実施形態において、第1開口339は、基板Pの走査方向(Y軸方向)と交差するX軸方向に長い。
第4面344は、射出面23と第3ギャップG3を介して対向する。第5面345は、側面35Aと第4ギャップG4を介して対向する。第6面346は、外面35Bと第5ギャップG5を介して対向する。
本実施形態において、第4面344と射出面23とは、ほぼ平行である。また、第5面345と側面35Aとは、ほぼ平行である。また、第6面346と外面35Bとは、ほぼ平行である。なお、第4面344と射出面23とは平行でなくてもよい。また、第5面345と側面35Aとは平行でなくてもよい。また、第6面346と外面35Bとは平行でなくてもよい。
空隙部380は、第1空隙部381と第2空隙部382とを含む。第1空隙部381は、側面35Aと第5面345との間の空間を含む。第1空隙部381は、光軸AXに対する放射方向、かつ上方(+Z方向)に延びている。本実施形態においては、第5面345の下端部345Bは、第1空隙部381の下端を規定する。第5面345の上端部345Tは、第1空隙部381の上端を規定する。
第2空隙部382は、外面35Bと第6面346との間の空間を含む。第2空隙部382は、第1空隙部381の上端と流体的に接続されている。第2空隙部382は、光軸AXに対する放射方向に延びている。
なお、第1空隙部381は、光軸AXと平行であってもよい。また、第2空隙部382は、光軸AXに対して垂直でなくてもよい。
回収部360は、空隙部380(第1空隙部381)に第1開口339を介して流入した液体LQの少なくとも一部を回収する。第1開口339は、第1空間351に面している。供給口375から第1空間351に供給された液体LQの少なくとも一部は、第1開口339を介して第1空隙部381に流入可能である。また、基板Pの露光の少なくとも一部において、第1開口339は、基板Pの表面と対向する。したがって、基板P上の液体LQの少なくとも一部は、第1開口339を介して、第1空隙部381に流入可能である。
本実施形態において、第1空隙部381は、第1開口339と異なる第2開口334を介して雰囲気に開放されている。本実施形態において、第2開口334は、第1空隙部381の上端に配置されている。
回収部360は、第1開口339から第1空隙部381に流入した液体LQの少なくとも一部を第2開口334を介して回収する。回収部360は、第1空隙部381からオーバーフローした液体LQを回収する。回収部360の少なくとも一部は、光軸AXに対する放射方向において、上端部345Tの外側に設けられている。また、回収部360の少なくとも一部は、第2空隙部382において外面35Bと対向する。
本実施形態において、回収部360は、光軸AXに対する放射方向において、第1空隙部381の外側に上方(+Z方向)を向いて設けられた凹部361を有する。凹部361は、液浸部材304に設けられている。凹部361は、上方を向く開口361Kを有する。回収部360は、開口361Kを介して凹部361に流入した液体LQを回収する。
凹部361は、光軸AXに対する放射方向において、上端部345Tの外側に設けられている。本実施形態において、凹部361は、第6面346の周囲に配置されている。XY平面内において、凹部361は、環状である。なお、凹部361は、所定間隔で環状に配置された複数の凹部から形成されてもよい。また、本実施形態においては、液浸部材304は、凹部361の周囲に配置された第7面347を有する。第7面347は、XY平面とほぼ平行である。本実施形態において、第7面347は、第6面346とほぼ同一平面内に配置されている。なお、第7面347が、第6面346より上方に(+Z側に)配置されてもよい。
凹部361は、第6面346と結ばれた第1内面3611と、第1内面3611と対向し、第7面347と結ばれた第2内面3612と、第1内面3611と第2内面3612との間に配置された底部3613とを有する。底部3613は、上方(+Z方向)を向いている。底部3613は、上端部345Tよりも下方(−Z側)に配置されている。本実施形態において、底部3613は、XY平面とほぼ平行である。なお、底部3613は、XY平面と平行でなくてもよい。例えば、底部3613は、XY平面に対して傾斜していてもよい。また、底部3613が、曲面を含んでいてもよい。
また、回収部360は、第1空隙部381からの液体LQを凹部361にガイドする液体ガイド部383を有する。本実施形態において、液体ガイド部383は、第6面346を含む。また、本実施形態において、液体ガイド部383は、外面35Bと第6面346との間の空間を含む。すなわち、液体ガイド部383は、第2空隙部382の一部に配置されている。液体ガイド部383は、上端部345Tから光軸AXに対する放射方向に延びるように形成されている。
なお、本実施形態においては、液体ガイド部383は、光軸AXに対して垂直(XY平面と平行)に設けられているが、光軸AXに対して垂直でなくてもよい。例えば、第6面346を上端部345Tから下方に向かって傾斜させてもよい。
凹部361は、上端部345Tから光軸AXに対する放射方向において、液体ガイド部383の外側に設けられている。第1空隙部381の上端からオーバーフローした液体LQは、液体ガイド部383にガイドされて、凹部361に流入する。
凹部361は、第1空隙部381からの液体LQを貯めることができる。凹部361は、流入した液体LQを貯めることによって、第1空隙部381からの液体LQが第1空隙部381に戻ることを抑制する。すなわち、凹部361は、第1空隙部381に戻らないように第1空隙部381からの液体LQを貯めるリザーブ部の少なくとも一部として機能する。
また、回収部360は、凹部361に流入した液体LQを回収する回収口362を有する。回収口362は、凹部361に貯めた液体LQを回収する。
本実施形態において、回収口362は、凹部361の内側に配置されている。換言すれば、回収口362は、凹部361の開口361Kより下方(−Z側)に配置されている。本実施形態において、回収口362は、凹部361の底部3613に配置されている。すなわち、凹部361の底部3613は、回収口362の少なくとも一部を含む。
本実施形態においては、XY平面内において、回収口362は、環状である。なお、回収口362が、光軸AXの周囲の複数の位置に分割して配置されてもよい。
回収口362には、多孔部材364が配置されている。多孔部材364は、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の部材である。なお、多孔部材364が、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタでもよい。
上述のように、本実施形態において、第1空隙部381は、第2開口334を介して雰囲気に開放されている。本実施形態においては、第1空隙部381は、第2開口334及び第2空隙部382を介して、雰囲気に開放されている。
上述のように、第2空隙部382は、外面35Bと第6面346との間の空間を含む。また、本実施形態においては、第2空隙部382は、外面35Bと凹部361との間の空間、及び外面35Bと第7面347との間の空間を含む。外面35Bと第7面347との間の空間は、第3開口372を介して、雰囲気に開放されている。
すなわち、第1空隙部381は、第2開口334及び第2空隙部382を介して、液浸部材304の周囲の空間に開放されている。換言すれば、第1空隙部381は、第2開口334を介して液浸空間LSの液体LQの界面が接する気体空間(内部空間8)に開放されている。
本実施形態において、「雰囲気」は、液浸部材304を取り囲む気体である。本実施形態において、液浸部材304を取り囲む気体は、チャンバ装置5によって形成される内部空間8の気体である。本実施形態において、チャンバ装置5は、環境制御装置5Bを用いて、内部空間8をクリーンな空気で満たす。また、チャンバ装置5は、環境制御装置5Bを用いて、内部空間8をほぼ大気圧に調整する。もちろん、内部空間8を大気圧よりも高く設定してもよい。
本実施形態において、第2面342は、液体LQに対して撥液性である。第2面342において、液体LQの接触角は90°以上であり、100°以上であってもよい。本実施形態においては、第2面342は、液体LQに対して撥液性の膜373で形成されている。膜373は、例えばフッ素を含む撥液性材料で形成される。撥液性材料としては、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、PEEK(polyetheretherketone)、テフロン(登録商標)等が挙げられる。
また、本実施形態においては、第3面343も、液体LQに対して撥液性である。第3面343も、膜373で形成されている。なお、第2面342、及び第3面343の少なくとも一方は、撥液性の膜373の表面でなくてもよい。例えば、液浸部材304を撥液性の材料で形成してもよい。
また、本実施形態において、液浸部材304は、供給口375の周囲の少なくとも一部に配置された給気口374を備えている。本実施形態において、給気口374は、第2面342に配置されている。給気口374は、第2面342と基板Pの表面との間の第2空間352に気体を供給可能である。給気口374は、第2面342と対向する物体(基板P)の表面に向けて気体を供給する。
本実施形態においては、XY平面内において、給気口374は、環状である。なお、給気口374が、光軸AXの周囲の複数の位置に分割して配置されてもよい。
図22に示すように、供給口375は、供給流路を介して、液体供給装置376と接続されている。本実施形態において、供給流路は、液浸部材304の内部に形成された流路、及び支持機構28の内部に形成された流路を含む。液体供給装置376は、クリーンで温度調整された液体LQを供給口375に供給することができる。なお、液浸部材304を支持する支持機構28の内部に供給流路の一部を設けなくてもよい。
回収口362は、回収流路を介して、液体回収装置377と接続されている。本実施形態において、回収流路は、液浸部材304の内部に形成された流路、及び支持機構28の内部に形成された流路を含む。液体回収装置377は、真空システム(真空源と回収口362との接続状態を制御するバルブなど)を含み、回収口362から液体LQを吸引して回収することができる。なお、液浸部材304を支持する支持機構28の内部に回収流路の一部を設けなくてもよい。
給気口374は、給気流路を介して、気体供給装置378と接続されている。本実施形態において、給気流路は、液浸部材304の内部に形成された流路、及び支持機構28の内部に形成された流路を含む。気体供給装置378は、クリーンで温度及び湿度が調整された気体を給気口374に供給することができる。なお、給気口374から供給される気体の湿度は、環境制御装置5Bにより内部空間8に供給される気体の湿度と同程度、もしくは高い方がよい。また、液浸部材304を支持する支持機構28の内部に給気流路の一部を設けなくてもよい。
供給口375から第1空間351に供給された液体LQは、射出面23から射出される露光光ELの光路に供給される。また、第1空間351の液体LQの少なくとも一部は、第1開口339を介して、射出面23と第4面344との間の第3空間353に流入し、その第3空間353を介して、第1空隙部381に流入する。第1空隙部381に流入した液体LQの少なくとも一部は、回収部360に回収される。
本実施形態においては、多孔部材364の上面側空間(第2空隙部382)から下面側空間(回収流路)へ液体LQのみが通過するように、多孔部材364の上面側と下面側との圧力差が制御される。本実施形態において、上面側の第2空隙部382の圧力は、雰囲気に開放され、チャンバ装置5によって制御されている。制御装置7は、多孔部材364の上面側から下面側へ液体LQのみが通過するように、液体回収装置377を制御して、上面側の圧力に応じて、下面側の圧力を調整する。すなわち、制御装置7は、多孔部材364の孔を介して、第1空隙部381からの液体LQのみを回収し、気体は多孔部材364の孔を通過しないように調整する。多孔部材364の一側と他側との圧力差を調整して、多孔部材364の一側から他側へ液体LQのみを通過させる技術は、例えば米国特許第7292313号明細書などに開示されている。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。
まず、制御装置7は、射出面23及び第1面341と基板Pの表面(あるいは基板ステージ2の上面26)とが対向するように、基板Pを保持した基板ステージ2を移動する。第1面341と基板Pの表面とは、第1ギャップG1を介して対向し、第2面342と基板Pの表面とは第2ギャップG2を介して対向する。
制御装置7は、第1面341及び第2面342と基板Pの表面とを対向させた状態で、液体供給装置376から液体LQを送出する。また、制御装置7は、液体回収装置377を作動する。また、制御装置7は、気体供給装置378を作動する。
液体供給装置376から送出された液体LQは、供給口375より、第1空間351に供給され、第1面341と基板Pの表面との間に保持される。第1空間351に供給された液体LQは、射出面23から射出される露光光ELの光路に供給される。これにより、射出面23と基板Pとの間の露光光ELの光路は、液体LQで満たされる。
本実施形態においては、基板Pの表面、第1面341、及び第3面343で囲まれた第1空間351がほぼ液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。また液体LQ(液浸空間LS)の界面LG1は、第2面42の内側のエッジ(第3面343の下端)と基板Pの表面との間に形成されている。
本実施形態においては、供給口375より第1空間351に供給された液体LQが、第2空間352に流入することが抑制されている。すなわち、本実施形態においては、XY平面内における液浸空間LSの液体LQの界面LG1の、第3面343より外側へ移動することが抑制されており、液浸空間LSの拡大が抑制されている。
本実施形態において、第1面341は、基板Pの表面と第1ギャップG1を介して対向し、第1面341の周囲に配置された第2面342は、基板Pの表面と第2ギャップG2を介して対向する。第2ギャップG2は、第1ギャップG1より小さく、例えば0.1〜0.3mm程度である。したがって、光軸AXに対する放射方向において、界面LG1が第3面343の外側へ移動することが抑制される。すなわち、第2ギャップG2が微小なので、図24等に示すように、液体LQの表面張力により、界面LG1の位置は、第2面342の内側のエッジと基板Pの表面との間に維持される。これにより、液浸空間LSの液体LQが、第2空間352に流入することが抑制される。
また、本実施形態においては、第2面342が液体LQに対して撥液性なので、より効果的に、液体LQが第2空間352に流入することが抑制される。また、本実施形態においては、第2面342の内側のエッジから上方に延びるように、かつ光路に面するように配置された第3面343が設けられているので、液浸空間LSの拡大が抑制される。また、第3面343は、液体LQに対して撥液性なので、これによっても、液浸空間LSの拡大が抑制される。
また、本実施形態においては、給気口374が設けられており、光軸AXに対して第2面342の内側エッジの外側で、基板Pの表面に向けて気体を供給する。これにより、給気口374から供給された気体の力によって、液浸空間LSの拡大が抑制される。すなわち、給気口374は、基板Pの表面と第2面342との間にガスシールを形成する。これにより、液体LQが流出することが抑制され、界面LG1の移動が拘束される。
また、本実施形態においては、第1面341の外形及び第2面342の内側のエッジが円形であり、XY平面内における液浸空間LSの外形もほぼ円形である。これにより、液浸空間LSの界面LG1の全方位から中心に向かう拘束力がほぼ均等に作用する。これにより、液浸空間LSの拡大が効果的に抑制される。
液浸空間LSの拡大が抑制された状態で、供給口375から第1空間351に液体LQが供給されることによって、第1空間351の液体LQの少なくとも一部は、露光光ELが通過する第1開口339、及び第3空間353を介して、雰囲気に開放された第1空隙部381に流入する。第1空隙部381に液体LQが流入することによって、その第1空隙部381における液体LQの表面の位置が、+Z方向に移動する(上昇する)。すなわち、上方に向かって延びる第1空隙部381内を上方に向かって液体LQが流れる。供給口375から液体LQの供給を継続すると、第1空隙部381の液体LQの少なくとも一部が、第1空隙部381の上端(上端部345T)からオーバーフローする。第1空隙部381からオーバーフローした液体LQは、第1空隙部381の上端の外側に配置されている回収部360で回収される。すなわち、第1空隙部381からオーバーフローした液体LQは、液体ガイド部383にガイドされた後、凹部361に流入する。凹部361に流入した液体LQは、回収口362(多孔部材364)より回収される。
本実施形態においては、多孔部材364の上面側から下面側へ液体LQのみが通過するように、多孔部材364の上面側と下面側との圧力差が制御されているので、回収部360は、振動の発生、気化熱の発生を抑制しつつ、液体LQを回収することができる。
本実施形態において、回収部360は、第1開口339及び第1空隙部381を介して回収された基板P上の液体LQを凹部361に貯めるので、その第1空隙部381を介して回収された液体LQが第1空隙部381に戻ることを抑制することができる。第1空隙部381を介して回収された液体LQが第1空隙部381に戻らないように、第1空隙部381からの液体LQを凹部361に貯めることによって、例えば多孔部材364に接触した液体LQが、第1空隙部381を介して第1空間351及び露光光ELの光路に戻ることが抑制される。
次に、基板Pを露光する方法について説明する。上述のように、制御装置7は、供給口375より液体LQを供給して、露光光ELの光路が液体LQで満たされるように、第1面341と基板Pの表面との間で液体LQを保持して、液浸空間LSを形成する。また、基板P上の液体LQの少なくとも一部は、第1開口339を介して第1空隙部381に流入する。回収部360は、第1空隙部381からの液体LQを回収する。制御装置7は、供給口375を用いる液体供給動作と並行して、回収部360を用いる液体回収動作を実行して、露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。また、制御装置7は、給気口374より気体を供給して、ガスシールを形成する。
制御装置7は、第1空隙部381から回収部360に回収された液体LQが第1空隙部381及び第1空隙部381を介して第1空間351(露光光ELの光路)に戻ることを抑制しつつ、かつ、第2ギャップG2等を用いて液浸空間LSの拡大を拘束しつつ、基板Pの露光を開始する。
制御装置7は、照明系ILより露光光ELを射出して、マスクMを露光光ELで照明する。マスクMからの露光光ELは、投影光学系PLの射出面23から射出される。制御装置7は、射出面23と基板Pとの間の液体LQを介して、射出面23からの露光光ELを基板Pに照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pが露光光ELで露光される。基板Pの露光中にも、供給口375から供給された液体LQが第1開口339から流入し、第1空隙部381を介して回収部360に回収される。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1空間351に面するように供給口375を設け、第1開口339を介して第1空隙部381に流入した液体LQを、回収部360で回収するようにしたので、基板Pの表面と対向する液浸部材304の下面の構造をシンプルにすることができる。したがって、液体LQと接触する液浸部材304の下面に異物が付着したり、下面が汚染されたりすることが抑制される。
例えば、基板Pの表面と対向する液浸部材304の下面に液体LQを回収する回収口を設けたり、その回収口に多孔部材を設けたりして、構造(形状)が複雑になると、その下面に異物が付着し易くなる可能性がある。例えば、基板Pの表面と対向する位置に多孔部材が配置されている場合、基板Pから発生した異物(例えば基板Pの表面を形成する感光膜、あるいはトップコート膜等の一部)が、多孔部材に付着する可能性がある。その付着した異物が、基板Pの露光中に、露光光ELの光路に放出されたり、液浸空間LSの液体LQ中に混入したりすると、基板Pにパターン欠陥が生じる等、露光不良が発生する可能性がある。また、下面の構造(形状)が複雑な場合、例えば凹凸部が多数存在する場合においても、基板Pから発生した異物が下面に付着し易くなる可能性がある。
本実施形態によれば、第1空隙部381を設け、露光光ELが通過する第1開口339を介して第1空隙部381に流入した液体LQを、基板Pの表面と対向しない位置に配置された回収部360で回収しており、基板Pの表面と対向する液浸部材304の下面は、シンプルな構造である。したがって、液浸部材304の下面に異物が付着することが抑制される。また、液浸部材304の下面の構造がシンプルなので、仮に液浸部材304の下面に異物が付着した場合でも、液浸部材304の下面を円滑且つ良好にクリーニングすることができる。
また、本実施形態においては、第1空隙部381は、第2開口334を介して、雰囲気に開放されている。また、その第1空隙部381に流体的に接続されている第3空間353も、雰囲気に開放されている。したがって、第1空間351の液体LQは、第1開口339を介して、第3空間353及び第1空隙部381に円滑に流入することができる。そのため、液浸空間LSの拡大を抑制することができる。
また、本実施形態においては、回収部360は、第1空隙部381から回収した液体LQが、第1空隙部381に戻らないように構成されている。すなわち、第1空隙部381からの液体LQを凹部361に貯めている。したがって、例えば回収部360の多孔部材364が汚染された場合でも、その多孔部材364に接触した液体LQ(汚染されている可能性がある液体LQ)が、第1空隙部381を介して第1空間351及び露光光ELの光路に戻る(逆流する)ことを抑制することができる。したがって、露光不良の発生を抑制できる。
また、多孔部材364が汚染された場合、その汚染された多孔部材364を新たな多孔部材364に交換することによって、多孔部材364に接触する液体LQの汚染を抑制できる。
なお、上端部345Tと凹部361との間に設けられた液体ガイド部383(第6面346)を省略してもよい。すなわち、上端部345Tに隣接するように凹部361を設けてもよい。
なお、上述の実施形態においては、供給口375が第3面343に設けられているが、第1面341に設けられていてもよい。すなわち、供給口375を第1面341に下向きに配置してもよい。
また、上述の実施形態においては、回収部360の回収口362に多孔部材364を配置して、多孔部材364の一側から他側へ液体LQのみが通過するようにしているが、回収口362が、液体LQを、気体とともに回収してもよい。また、回収口362に、多孔部材を配置しなくてもよい。
なお、上述の実施形態においては、第1空間351の液体LQが、露光光ELが通過する第1開口339を介して第1空隙部381に流入しているが、基板Pの表面と対向する第1面341の少なくとも一部に、露光光ELが通過する第1開口339とは別の開口を設け、その開口を介して、第1空間351の液体LQを第1空隙部381に流入させてもよい。
なお、上述の実施形態において、給気口374を省略してもよい。
また、上述の実施形態において、例えば、給気口374からの気体で液体LQの界面LG1を移動を抑制できる場合には、第2面342を第1面341よりも下方に配置しなくてもよい。
また、上述の実施形態において、第2面342の少なくとも一部は液体LQに対して撥液性でなくてもよい。
なお、上述の実施形態において、第1面341を有する部材と、第2面342を有する部材とが別の部材でもよい。また、第3面343を有する部材が、第1面341を有する部材及び第2面を有する部材の少なくとも一方と別の部材でもよい。
また、上述の実施形態において、第1面341が、射出面23と基板Pとの間に配置されていなくてもよい。この場合、第1面341が射出面23と面一、あるいは射出面23より上方に配置されてもよい。
また、上述の実施形態において、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面は、射出面23の周縁から上方(+Z方向)に延びる面(側面35A)を有していなくてもよい。例えば、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面が、射出面23とほぼ平行(光軸AXと垂直な方向に)延びていてもよい。
また、露光光ELが通過しない投影光学系PLの側面35が、射出面23の周囲の少なくとも一部において、射出面23と略同一面内(面一)に配置されてもよい。すなわち、側面35が、射出面23の周縁から上方に延びずに、光軸AXに対する放射方向に延びるように配置されてもよい。また、側面35が、光軸AXとほぼ平行であってもよい。すなわち、側面35が、光軸AXに対する放射方向に延びずに、射出面23の周縁から上方に延びるように配置されもよい。
なお、上述の実施形態においては、第1開口339を介して液体LQが流入する第1空隙部381が第2空隙部382を介して雰囲気に開放されており、第1空隙部381からオーバーフローした液体LQを回収部360で回収しているが、第1空隙部381及び第2空隙部382を実質的な閉空間として、第1空隙部381及び/又は第2空隙部382の流体(液体LQ及び/又は気体)を回収部360で回収するようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、第2空隙部382に流れ込んで液体LQを回収部360で回収するようにしているが、回収部360の替わりに、あるいは回収部360に加えて、第1空隙部381の液体LQを回収する回収部を設けてもよい。
<第14実施形態>
第14実施形態について説明する。図25は、第14実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図25に示すように、本実施形態において、露光装置EXは、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能な液浸部材404を備えている。
液浸部材404は、射出面23から射出される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように、露光光ELの光路の周囲の少なくとも一部に配置される。液浸部材404は、射出面23と、射出面23と対向する位置に配置された物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。液浸空間LSは、液体LQで満たされた部分(空間、領域)である。本実施形態において、物体は、基板ステージ2(プレート部材T)、及び基板ステージ2に保持された基板Pの少なくとも一方を含む。基板Pの露光中、液浸部材404は、終端光学素子22と基板Pとの間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。
液浸部材404は、終端光学素子22の近傍に配置されている。本実施形態において、液浸部材404は、支持機構28に支持されている。本実施形態において、支持機構28は、第1定盤13に支持されている。本実施形態において、液浸部材404は、支持機構28を介して、第1定盤13に吊り下げられている。
図26は、液浸部材404の一部を拡大した図である。図26に示すように、液浸部材404は、第1部材431及び第2部材432を含む。本実施形態において、第1部材431及び第2部材432のそれぞれは、環状の部材である。第1部材431の少なくとも一部は、露光光ELの一部の光路及び終端光学素子22の周囲に配置されている。第2部材432の少なくとも一部は、第1部材431の周囲に配置されている。本実施形態において、XY平面内における第1部材431及び第2部材432の外形は、円形である。なお、第1部材431及び第2部材432の外形が、他の形状(例えば、矩形)でもよい。
本実施形態においては、第2部材432は、第1部材431の一部と連結部材(不図示)を介して接続されている。第2部材432が支持機構28に支持され、第2部材432の位置が固定されることによって、第1部材431の位置も固定される。
液浸部材404は、射出面23から射出される露光光ELの光路の周囲の少なくとも一部に配置された第1面441と、第1面441の周囲の少なくとも一部に配置された第2面442と、射出面23の周縁から上方、及び投影光学系PLの光軸AXに対する放射方向(光軸AXに対して垂直な方向)に延びる投影光学系PLの側面35が面し、雰囲気に開放された第1空隙部481と、第1面441と第2面442との間に配置された第1開口433から液体LQが流入可能であり、第1開口433と異なる第2開口434を介して雰囲気に開放された第2空隙部482と、少なくとも一部が投影光学系PLの側面35と対向する位置に設けられ、第1開口433から第2空隙部482に流入した液体LQの少なくとも一部を第2開口434を介して回収する回収部460とを備えている。
本実施形態において、第1面441は、第1部材431に配置されている。第2面442は、第2部材432に配置されている。第1面441及び第2面442は、液浸部材404の下方に配置された物体の表面(上面)と対向可能である。本実施形態において、XY平面内における第1面441及び第2面442の外形は、円形である。また、XY平面内における第2面442の内側のエッジも、円形である。
本実施形態において、第1面441及び第2面442は、液体LQを回収不可能である。すなわち、本実施形態においては、第1面441及び第2面442には液体回収口が設けられていない。本実施形態において、第1面441及び第2面442は、平坦である。第1面441と物体の表面(上面)との間の第1空間451は、液体LQを保持可能である。なお、本実施形態においては、第1面441と第2面442は、それぞれXY平面(水平面)と平行であるが、第1面441及び/又は第2面442の少なくとも一部が、XY平面に対して傾斜していてもよく、第1面441と第2面442とが平行でなくてもよい。また、本実施形態において、第1面441と第2面442の少なくとも一方が曲面を含んでいてもよい。
基板Pの露光の少なくとも一部において、射出面23、第1面441、及び第2面442に基板Pの表面が対向する。基板Pの露光の少なくとも一部において、射出面23と基板Pの表面との間の空間に液体LQが満たされる。また、基板Pの露光の少なくとも一部において、第1面441と基板Pの表面との間の第1空間451に液体LQが保持される。基板Pは、射出面23と基板Pの表面との間の液体LQを介して、射出面23からの露光光ELで露光される。
本実施形態において、第1面441と物体との間に保持された液体LQによって液浸空間LSの一部が形成される。本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているときに、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液浸空間LSの液体LQの気液界面(メニスカス、エッジ)LG1は、第1面441及び第2面442の少なくとも一方と基板Pの表面との間に形成することができるが、第2面442の内側のエッジと基板Pとの間に形成されることが望ましい。本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
以下、簡単のため、射出面23、第1面441、及び第2面442と対向する位置に基板Pが配置され、液浸部材404と基板Pとの間に液体LQが保持されて液浸空間LSが形成される場合を例にして説明する。なお、上述のように、射出面23及び液浸部材404と他の部材(基板ステージ2のプレート部材Tなど)との間に液浸空間LSを形成することができる。
本実施形態において、投影光学系PLの側面35は、終端光学素子22の側面35A、及び保持部材21の外面35Bの少なくとも一方を含む。終端光学素子22の側面35Aは、射出面23と異なる面であり、露光光ELが通過しない面である。側面35Aは、射出面23の周囲に配置されている。側面35Aは、射出面23の周縁から光軸AXに対する放射方向(光軸AXに対して垂直な方向)に、かつ上方に延びるように設けられている。すなわち、側面35Aは、射出面23の周縁から上方(+Z方向)に延びるように傾斜している。
保持部材21は、終端光学素子22を保持する。保持部材21の外面35Bは、側面35Aの周囲に配置されている。外面35Bは、露光光ELが通過しない面である。外面35Bは、光軸AXに対する放射方向に延びるように配置されている。
本実施形態において、第2面442は、第1面441より下方(−Z側)に配置されている。本実施形態において、第1面441及び第2面442のそれぞれは、XY平面とほぼ平行である。第1面441は、図26に示すように、基板Pの表面と第1ギャップG1を介して対向し、第2面442は、基板Pの表面と第2ギャップG2を介して対向する。第2ギャップG2は、第1ギャップG1より小さい。
本実施形態において、第1部材431は、基板Pの表面と対向可能な第1面441と、第1面441と逆方向を向き、射出面23の少なくとも一部と対向する第3面443と、第3面443の周囲に配置され、終端光学素子22の側面35Aと対向する第4面444と、第4面444の周囲に配置され、保持部材21の外面35Bと対向する第5面445とを有する。なお、本実施形態においては、側面35が露出するように、終端光学素子22が保持部材21に保持されているが、第5面445が保持部材21に面するように、あるいは第6面446が終端光学素子22に面するように、終端光学素子22が保持部材21に保持されてもよい。
第1部材431は、少なくとも一部が射出面23と対向するように配置されたプレート部437と、少なくとも一部が終端光学素子22の周囲に配置される本体部438とを有する。第1面441及び第3面443は、プレート部437に配置されている。第4面444及び第5面445は、本体部438に配置されている。また、プレート部437は、射出面23から射出された露光光ELが通過可能な開口439を有する。基板Pの露光中、射出面23から射出された露光光ELは、開口439を介して、基板Pの表面に照射される。本実施形態において、開口439は、基板Pの走査方向(Y軸方向)と交差するX軸方向に長い。
第3面443は、射出面23と第3ギャップG3を介して対向する。第4面444は、側面35Aと第4ギャップG4を介して対向する。第5面445は、外面35Bと第5ギャップG5を介して対向する。
本実施形態において、第3面443と射出面23とは、ほぼ平行である。また、第4面444と側面35Aとは、ほぼ平行である。また、第5面445と外面35Bとは、ほぼ平行である。なお、第3面443と射出面23とは平行でなくてもよい。また、第4面444と側面35Aとは平行でなくてもよい。また、第5面445と外面35Bとは平行でなくてもよい。
また、第1部材431は、第1面441の周囲に配置された第6面446を有する。第6面446は、本体部438に配置されている。本実施形態において、第4面444と第6面446とは、ほぼ平行である。なお、第4面444と第6面446とは平行でなくてもよい。
本実施形態において、第2部材432は、基板Pの表面と対向可能な第2面442と、第2面442の内側のエッジと結ばれ、露光光ELの光路に面するように配置された第7面447と、第6面446と対向する第8面448と、第8面448の周囲に配置された第9面449とを有する。
第8面448は、第6面446と第6ギャップG6を介して対向する。本実施形態において、第8面448と第6面446とは、ほぼ平行である。なお、第8面448と第6面446とは平行でなくてもよい。
第1空隙部481は、第1部分481Aと第2部分481Bとを有する。第1部分481Aは、側面35Aと第4面444との間の空間を含む。第1部分481Aは、光軸AXに対する放射方向、かつ上方(+Z方向)に延びている。第2部分481Bは、外面35Bと第5面445及び第9面449との間の空間を含む。第2部分481Bは、第1部分481Aの上端と流体的に接続されている。第2部分481Bは、光軸AXに対する放射方向に延びている。
なお、第1部分481Aは、光軸AXと平行であってもよい。また、第2部分481Bは、光軸AXに対して垂直でなくてもよい。
第2空隙部482は、第6面446と第8面448との間の空間を含む。第2空隙部482は、光軸AXに対する放射方向、かつ上方(+Z方向)に延びている。本実施形態においては、第8面448の下端部448Bは、第2空隙部482の下端を規定する。第8面448の上端部448Tは、第2空隙部482の上端を規定する。なお、第6面446と第8面448との間の空間は、光軸AXと平行であってもよい。
第1開口433は、第2空隙部482の下端に配置されている。本実施形態において、第1開口433は、第1空間451に面している。第2開口434は、第2空隙部482の上端に配置されている。第2開口434は、第1空隙部481に面している。本実施形態において、第2開口434は、第2部分481Bに面している。
基板Pの露光の少なくとも一部において、第1開口433は、基板Pの表面と対向する。基板P上の液体LQの少なくとも一部は、第1開口433を介して、第2空隙部482に流入可能である。本実施形態においては、第1開口433は、第1面441とほぼ面一に形成されている。なお、第1開口433は下方(−Z方向)を向いていなくてもよい。例えば、第1開口433を後述の第7面447に設けてもよい。また、第1開口433は、環状に設けられた一つの開口であってもよいし、所定間隔で環状に配置された複数の開口から形成されてもよい。同様に、第2空隙部482も、光軸AXの周囲に所定間隔で環状に配置された複数の空隙部から形成されてもよい。
回収部460は、第1開口433から第2空隙部482に流入した液体LQの少なくとも一部を第2開口434を介して回収する。回収部460は、第2空隙部482からオーバーフローした液体LQを回収する。回収部460の少なくとも一部は、光軸AXに対する放射方向において、上端部448Tの外側に配置されている。また、回収部460の少なくとも一部は、第2部分481Bにおいて外面35Bと対向する。
本実施形態において、回収部460は、光軸AXに対する放射方向において、第2空隙部482の外側に上方(+Z方向)を向いて設けられた凹部461を有する。凹部461は、第2部材432に設けられている。凹部461は、上方を向く開口461Kを有する。回収部460は、開口461Kを介して凹部461に流入した液体LQを回収する。
凹部461は、光軸AXに対する放射方向において、上端部448Tの外側に設けられている。本実施形態において、凹部461は、第9面449の周囲に配置されている。XY平面内において、凹部461は、環状である。なお、凹部461は、所定間隔で環状に配置された複数の凹部から形成されてもよい。また、本実施形態においては、第2部材432は、凹部461の周囲に配置された第10面470を有する。第10面470は、XY平面とほぼ平行である。本実施形態において、第10面470は、第9面449とほぼ同一平面内に配置されている。なお、第10面470が、第9面449より上方に(+Z側に)配置されてもよい。
凹部461は、第9面449と結ばれた第1内面4611と、第1内面4611と対向し、第10面470と結ばれた第2内面4612と、第1内面4611と第2内面4612との間に配置された底部4613とを有する。底部4613は、上方(+Z方向)を向いている。底部4613は、上端部448Tより下方(−Z側)に配置されている。本実施形態において、底部4613は、XY平面とほぼ平行である。なお、底部4613は、XY平面と平行でなくてもよい。例えば、底部4613は、XY平面に対して傾斜していてもよい。また、底部4613が、曲面を含んでいてもよい。
また、回収部460は、第2空隙部482からの液体LQを凹部461にガイドする液体ガイド部480を有する。本実施形態において、液体ガイド部480は、第9面449を含む。また、本実施形態において、液体ガイド部480は、外面35Bと第9面449との間の空間を含む。液体ガイド部480は、上端部448Tから光軸AXに対する放射方向に延びるように形成されている。なお、本実施形態においては、液体ガイド部480は、光軸AXに対して垂直(XY平面と平行)に設けられているが、光軸AXに対して垂直でなくてもよい。例えば、第9面449を上端部448Tから下方に向かって傾斜させてもよい。
凹部461は、上端部448Tから光軸AXに対する放射方向において、液体ガイド部480の外側に設けられている。第2空隙部482の上端からオーバーフローした液体LQは、液体ガイド部480にガイドされて、凹部461に流入する。
凹部461は、第2空隙部482からの液体LQを貯めることができる。凹部461は、流入した液体LQを貯めることによって、第2空隙部482からの液体LQが第2空隙部482に戻ることを抑制する。すなわち、凹部461は、第2空隙部482に戻らないように第2空隙部482からの液体LQを貯めるリザーブ部の少なくとも一部として機能する。
また、回収部460は、凹部461に流入した液体LQを回収する回収口462を有する。回収口462は、凹部461に貯めた液体LQを回収する。
本実施形態において、回収口462は、凹部461の内側に配置されている。換言すれば、回収口462は、凹部461の開口461Kより下方(−Z側)に配置されている。本実施形態において、回収口462は、凹部461の底部4613に配置されている。すなわち、凹部461の底部4613は、回収口462の少なくとも一部を含む。
本実施形態においては、XY平面内において、回収口462は、環状である。なお、回収口462が、光軸AXの周囲の複数の位置に分割して配置されてもよい。
回収口462には、多孔部材464が配置されている。多孔部材464は、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の部材である。なお、多孔部材464が、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタでもよい。
第1空隙部481は、雰囲気に開放されている。上述のように、第2部分481Bは、外面435Bと第5面445及び第9面449との間の空間を含む。また、本実施形態においては、第2部分481Bは、外面35Bと凹部461との間の空間、及び外面35Bと第10面470との間の空間を含む。外面35Bと第10面470との間の空間は、第3開口472を介して、雰囲気に開放されている。
第2空隙部482は、第2開口434を介して、雰囲気に開放されている。第2開口434は、第1空隙部481(第2部分481B)に面している。本実施形態において、第2空隙部482は、第2開口434、第2部分481B、及び第3開口472を介して、雰囲気に開放されている。すなわち、第2空隙部482は、第1開口433と異なる第2開口434を介して液浸部材404の周囲の空間に開放されている。換言すれば、第2空隙部482は、第2開口434を介して液浸空間LSの液体LQの界面が接する気体空間に開放されている。同様に、第1空隙部481は、液浸部材404の周囲の気体空間(内部空間8)に開放されている。
本実施形態において、「雰囲気」は、液浸部材404を取り囲む気体である。本実施形態において、液浸部材404を取り囲む気体は、チャンバ装置5によって形成される内部空間8の気体である。本実施形態において、チャンバ装置5は、環境制御装置5Bを用いて、内部空間8をクリーンな空気で満たす。また、チャンバ装置5は、環境制御装置5Bを用いて、内部空間8をほぼ大気圧に調整する。もちろん、内部空間8を大気圧よりも高く設定してもよい。
本実施形態において、液浸部材404は、第2空隙部482に流入した液体LQの少なくとも一部の、第2部分481Bから第1部分481Aへの流入を防止する防止装置490を備えている。
本実施形態において、防止装置490は第5面445に形成された壁部(突出部)492を含む。壁部490は、外面35Bと対向する対向面(上面)491を有する。本実施形態において、対向面491と外面35Bとはほぼ平行である。対向面491は、外面35Bと第7ギャップG7を介して対向する。対向面491と外面35Bとの第7ギャップG7は、壁部492の第2部分481B側に形成されている、第5面445と外面35Bとの第5ギャップG5より小さい。また、第7ギャップG7は、壁部492の第2部分481B側に形成されている、第9面449と外面35Bとのギャップより小さい。
本実施形態において、第2面442は、液体LQに対して撥液性である。第2面442において、液体LQの接触角は90°以上であり、100°以上であってもよい。本実施形態においては、第2面442は、液体LQに対して撥液性の膜473Aで形成されている。膜473Aは、例えばフッ素を含む撥液性材料で形成される。撥液性材料としては、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、PEEK(polyetheretherketone)、テフロン(登録商標)等が挙げられる。
また、本実施形態においては、第7面447も、液体LQに対して撥液性である。第7面447は、膜473Aで形成されている。なお、第2面442及び第7面447の少なくとも一方は、撥液性の膜の表面でなくてもよい。例えば、第2部材432を撥液性の材料で形成してもよい。
また、本実施形態においては、壁部492の対向面491は、液体LQに対して撥液性である。対向面491において、液体LQの接触角は90°以上であり、100°以上であってもよい。本実施形態においては、対向面491は、液体LQに対して撥液性の膜473Bで形成されている。膜473Bは、膜473Aと同じ材料でもよいし、異なる材料でもよい。また、対向面491が、撥液性の膜の表面でなくてもよい。例えば、壁部492を撥液性の材料で形成してもよい。
また、対向面91に対向する外面35Bが液体LQに対して撥液性でもよい。また、対向面91と外面35Bとの両方が液体LQに対して撥液性でもよい。
また、本実施形態において、液浸部材404は、第1開口433の周囲の少なくとも一部に配置された給気口474を備えている。本実施形態において、給気口474は、第2面442に配置されている。給気口474は、第2面442と対向する物体(基板P)の表面に向けて気体を供給する。
本実施形態においては、XY平面内において、給気口474は、環状である。なお、給気口474が、光軸AXの周囲の複数の位置に分割して配置されてもよい。
また、本実施形態において、液浸部材404は、露光光ELの光路に液体LQを供給する供給口475を備えている。供給口475は、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面と対向する位置に配置されている。本実施形態において、供給口475は、終端光学素子22の側面35Aと対向する位置に配置されている。すなわち、供給口475は、第1空隙部481の第1部分481Aに面するように配置されている。なお、供給口475は、終端光学素子22の側面35Aに対向していなくてもよい。例えば、第3面443と射出面23との間の空間に面するように第1部材431に供給口475が配置されてもよい。
なお、本実施形態においては、供給口475は、光軸AXに対して+Y側及び−Y側のそれぞれに一つずつ配置されている。なお、供給口475が、光軸AXに対して+X側及び−X側のそれぞれに一つずつ配置されてもよい。また、供給口475の数は、3つ以上でもよい。
本実施形態において、供給口475は、第1部分481Aに液体LQを供給する。第1部分481Aに供給された液体LQは、第1部分481Aを下方に流れた後、射出面23と第3面443との間の空間を介して、射出面23から射出される露光光ELの光路に供給される。また、その供給口475から供給された液体LQの少なくとも一部は、開口439を介して、第1面441と基板Pの表面との間の第1空間451に供給される。
供給口475は、供給流路を介して、液体供給装置(不図示)と接続されている。供給流路の少なくとも一部は、液浸部材404の内部に形成されている。液体供給装置は、クリーンで温度調整された液体LQを供給口475に供給することができる。
回収口462は、回収流路を介して、液体回収装置477と接続されている。回収流路の少なくとも一部は、液浸部材404(第2部材32)の内部に形成されている。液体回収装置477は、真空システム(真空源と回収口462との接続状態を制御するバルブなど)を含み、回収口462から液体LQを吸引して回収することができる。
給気口474は、給気流路を介して、気体供給装置478と接続されている。給気流路の少なくとも一部は、液浸部材404(第2部材32)の内部に形成されている。気体供給装置478は、クリーンで温度、及び湿度が調整された気体を給気口474に供給することができる。なお、給気口474から供給される気体の湿度は、環境制御装置5Bにより内部空間8に供給される気体の湿度と同程度、もしくは高い方がよい。
制御装置7は、液体回収装置477を制御して、多孔部材464の上面側空間(第1空隙部481)から下面側空間(回収流路)へ液体LQのみが通過するように、多孔部材464の下面側と上面側との圧力差を制御することができる。本実施形態において、上面側空間の圧力は、雰囲気に開放され、チャンバ装置5によって制御されている。制御装置7は、多孔部材464の上面側から下面側へ液体LQのみが通過するように、液体回収装置477を制御して、上面側の圧力に応じて、下面側の圧力を調整する。すなわち、制御装置7は、多孔部材464の孔を介して、液体LQのみを回収し、気体は多孔部材464の孔を通過しないように調整する。多孔部材464の一側と他側との圧力差を調整して、多孔部材464の一側から他側へ液体LQのみを通過させる技術は、例えば米国特許第7292313号明細書などに開示されている。
次に、上述の構成を有する露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。
まず、制御装置7は、射出面23及び第1面441と基板Pの表面(あるいは基板ステージ2の上面426)とが対向するように、基板Pを保持した基板ステージ2を移動する。第1面441と基板Pの表面とは、第1ギャップG1を介して対向し、第2面442と基板Pの表面とは第2ギャップG2を介して対向する。
制御装置7は、第1面441及び第2面442と基板Pの表面とを対向させた状態で、液体供給装置から液体LQを送出する。また、制御装置7は、液体回収装置477を作動する。また、制御装置7は、気体供給装置478を作動する。
液体供給装置から送出された液体LQは、供給口475より、第1部分481Aに供給される。第1部分481Aに供給された液体LQは、第1部分481Aを下方に流れた後、射出面23から射出される露光光ELの光路に供給される。これにより、露光光ELの光路は、液体LQで満たされる。
また、供給口475から第1部分481Aに供給された液体LQの少なくとも一部は、開口439を介して、第1空間451に供給され、第1面441と基板Pの表面との間で保持される。本実施形態においては、基板Pの表面、第1面441、及び第7面447で囲まれた空間がほぼ液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。また液体LQ(液浸空間LS)の界面LG1は、第2面442の内側のエッジ(第7面447の下端)と基板Pの表面との間に形成されている。
開口439から第1空間451に供給された液体LQの少なくとも一部は、第1開口433を介して第2空隙部482に流入する。
本実施形態においては、開口439を介して第1空間451に供給された液体LQが、第2面442と基板Pの表面との間の第2空間452に流入することが抑制されている。すなわち、本実施形態においては、XY平面内における液浸空間LSの液体LQの界面LG1が第7面447より外側へ移動することが抑制されており、液浸空間LSの拡大が抑制されている。
本実施形態において、第1面441は、基板Pの表面と第1ギャップG1を介して対向し、第1面441の周囲に配置された第2面442は、基板Pの表面と第2ギャップG2を介して対向する。第2ギャップG2は、第1ギャップG1より小さく、例えば0.1〜0.3mm程度である。したがって、光軸AXに対する放射方向において、界面LG1が第1開口33の外側へ移動することが抑制される。すなわち、第2ギャップG2が微小なので、図26に示すように、液体LQの表面張力により、界面LG1の位置は、第2面442の内側のエッジと基板Pの表面との間に維持される。これにより、液浸空間LSの液体LQが、第2空間452に流入することが抑制される。
また、本実施形態においては、第2面442が液体LQに対して撥液性なので、より効果的に、液体LQが第2空間452に流入することが抑制される。また、本実施形態においては、第2面442の内側のエッジから上方に延びるように、かつ光路に面するように配置された第7面447が設けられているので、液浸空間LSの拡大が抑制される。また、第7面447は、液体LQに対して撥液性なので、これによっても、液浸空間LSの拡大が抑制される。
また、本実施形態においては、給気口474が設けられており、光軸AXに対して第2面442の内側エッジの外側で、基板Pの表面に向けて気体を供給する。これにより、給気口474から供給された気体の力によって、液浸空間LSの拡大が抑制される。すなわち、給気口474は、基板Pの表面と第2面442との間にガスシールを形成する。これにより、液体LQが流出することが抑制され、界面LG1の移動が拘束される。
また、本実施形態においては、第1面441の外形及び第2面442の内側のエッジが円形であり、XY平面内における液浸空間LSの外形もほぼ円形である。これにより、液浸空間LSの界面LG1の全方位から中心に向かう拘束力がほぼ均等に作用する。これにより、液浸空間LSの拡大が効果的に抑制される。
液浸空間LSの拡大が抑制された状態で、供給口475から液体LQが供給されることによって、雰囲気に開放された第2空隙部482に液体LQが流入し、第2空隙部482における液体LQの表面の位置が+Z方向に移動する(上昇する)。本実施形態においては、第2開口434は、雰囲気に開放されているので、第1空間451の液体LQは、第1開口433を介して第2空隙部482に円滑に流入する。
第2空隙部482が液体LQで満たされると、その第2空隙部482の液体LQの少なくとも一部が、第2空隙部482の上端(上端部448T)からオーバーフローする。第2空隙部482からオーバーフローした液体LQは、第2空隙部482の上端の外側に配置されている回収部460で回収される。すなわち、第2空隙部482からオーバーフローした液体LQは、液体ガイド部480にガイドされた後、凹部461に流入する。凹部461に流入した液体LQは、回収口462(多孔部材464)より回収される。
本実施形態においては、多孔部材464の上面側から下面側へ液体LQのみが通過するように、多孔部材464の上面側と下面側との圧力差が制御されているので、回収部460は、振動の発生、気化熱の発生を抑制しつつ、液体LQを回収することができる。
本実施形態において、回収部460は、第1開口433及び第2空隙部482を介して回収された基板P上の液体LQを凹部461に貯めるので、その第2空隙部482を介して回収された液体LQが第2空隙部482に戻ることを抑制することができる。第2空隙部482を介して回収された液体LQが第2空隙部482に戻らないように、第2空隙部482からの液体LQを凹部461に貯めることによって、例えば多孔部材464に接触した液体LQが、第2空隙部482を介して第1空間451及び露光光ELの光路に戻ることが抑制される。
また、本実施形態においては、壁部492を有する防止装置490によって、第2部分481Bの液体LQが第1部分481Aに流入することが防止されている。したがって、例えば多孔部材464に接触した液体LQが、第1空隙部481(第1部分481A)を介して第1空間451及び露光光ELの光路に戻ることが抑制される。
また、壁部492によって、第1部分481Aから第2部分481Bへの液体LQの流出も抑制されているが、第1部分481Aから第2部分481Bに液体LQが流出したとしても、その第1部分481Aから第7ギャップG7を介して流出した液体LQを回収部460で回収することができる。
次に、基板Pを露光する方法について説明する。上述のように、制御装置7は、供給口475より液体LQを供給して、露光光ELの光路が液体LQで満たされるように、第1面441と基板Pの表面との間で液体LQを保持して、液浸空間LSを形成する。また、基板P上の液体LQの少なくとも一部は、第1開口433を介して第2空隙部482に流入する。回収部460は、第2空隙部482からの液体LQを回収部460で回収する。制御装置7は、供給口475を用いる液体供給動作と並行して、回収部460を用いる液体回収動作を実行して、露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。また、制御装置7は、給気口474より気体を供給して、ガスシールを形成する。
制御装置7は、第2空隙部482から回収部460に回収された液体LQが第2空隙部482及び第1空隙部481を介して第1空間451(露光光ELの光路)に戻ることを抑制しつつ、かつ、第2ギャップG2等を用いて液浸空間LSの拡大を拘束しつつ、基板Pの露光を開始する。
制御装置7は、照明系ILより露光光ELを射出して、マスクMを露光光ELで照明する。マスクMからの露光光ELは、投影光学系PLの射出面23から射出される。制御装置7は、射出面23と基板Pとの間の液体LQを介して、射出面23からの露光光ELを基板Pに照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pが露光光ELで露光される。基板Pの露光中にも、供給口475から供給された液体LQが第1開口433から流入し、第2空隙部482を介して回収部460に回収される。
以上説明したように、本実施形態によれば、雰囲気に開放された第1空隙部481及び第2空隙部482を設け、第2空隙部482に流入した液体LQを回収部460で回収するようにしたので、基板Pの表面と対向する液浸部材404の下面の構造をシンプルにすることができる。したがって、液体LQと接触する液浸部材404の下面に異物が付着したり、下面が汚染されたりすることが抑制される。
例えば、基板Pの表面と対向する液浸部材404の下面に液体LQを回収する回収口を設けたり、その回収口に多孔部材を設けたりして、構造(形状)が複雑になると、その下面に異物が付着し易くなる可能性がある。例えば、基板Pの表面と対向する位置に多孔部材が配置されている場合、基板Pから発生した異物(例えば基板Pの表面を形成する感光膜、あるいはトップコート膜等の一部)が、多孔部材に付着する可能性がある。その付着した異物が、基板Pの露光中に、露光光ELの光路に放出されたり、液浸空間LSの液体LQ中に混入したりすると、基板Pにパターン欠陥が生じる等、露光不良が発生する可能性がある。また、下面の構造(形状)が複雑な場合、例えば凹凸部が多数存在する場合においても、基板Pから発生した異物が下面に付着し易くなる可能性がある。
本実施形態によれば、雰囲気に開放された第2空隙部482を設け、第1開口433を介して第2空隙部482に流入した液体LQを、基板Pの表面と対向しない位置に配置された回収部460で回収しており、基板Pの表面と対向する液浸部材404の下面は、シンプルな構造である。したがって、液浸部材404の下面に異物が付着することが抑制される。また、液浸部材404の下面の構造がシンプルなので、仮に液浸部材404の下面に異物が付着した場合でも、液浸部材404の下面を円滑且つ良好にクリーニングすることができる。
また、本実施形態においては、回収部460は、第2空隙部482から回収した液体LQが、第2空隙部482に戻らないように構成されている。すなわち、第2空隙部482からの液体LQを凹部461に貯めている。したがって、例えば回収部460の多孔部材464が汚染された場合でも、その多孔部材464に接触した液体LQ(汚染されている可能性がある液体LQ)が、第2空隙部482を介して第1空間451及び露光光ELの光路に戻る(逆流する)ことを抑制することができる。したがって、露光不良の発生を抑制できる。
また、本実施形態においては、防止装置490によって、第2空隙部482から回収され、第2部分481Bに存在する液体LQが、第1部分481Aに戻らないように構成されている。したがって、例えば回収部460の多孔部材464が汚染された場合でも、その多孔部材464に接触した液体LQ(汚染されている可能性がある液体LQ)が、第1部分481Aを介して第1空間451及び露光光ELの光路に戻る(逆流する)ことを抑制することができる。したがって、露光不良の発生を抑制できる。
<第15実施形態>
次に、第15実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図27は、第15実施形態に係る液浸部材404Bの一例を示す図である。図27において、液浸部材404Bは、第1面441を有する第1部材431Bと、第2面442を有する第2部材432Bとを含む。
本実施形態に係る液浸部材404Bは、上述の第14実施形態に係る液浸部材404の変形例である。したがって、第14実施形態で説明した説明は省略する。図27に示すように、第15実施形態は、第2開口434が、側面35Aに面するように配置される点、及び液体LQを供給する供給口475Bが射出面23と第3面443との間の第3空間453に面している点で、第14実施形態と異なる。
本実施形態においても、第2空隙部482(上端部1148T)からオーバーフローした液体LQは、液体ガイド部480を介して回収部460に回収される。本実施形態においても、液浸空間LSを良好に形成することができる。
なお、上述の各実施形態においては、回収部460の回収口462に多孔部材464を配置して、多孔部材464の一側から他側へ液体LQのみが通過するようにしているが、回収口462が、液体LQを、気体とともに回収してもよい。また、回収口462に、多孔部材464を配置しなくてもよい。
なお、上述の各実施形態において、給気口474を省略してもよい。
また、上述の各実施形態において、例えば、給気口474からの気体で液体LQの界面LGを移動を抑制できる場合には、第2面442を第1面441よりも下方に配置しなくてもよい。
また、上述の各実施形態において、第1面441を有する第1部材431と第2面442を有する第2部材432とが、光軸AXと平行な方向に、及び/又は光軸AXと垂直な方向に、相対移動可能であってもよい。すなわち、第1部材431と第2部材432の少なくとも一方が可動に支持されてもよい。例えば、アクチュエータの駆動力で、第2部材432の位置を動かしてもよい。第2部材の位置をZ方向に動かして、第2ギャップG2を調整することができる。
また、上述の各実施形態において、第1面441,第2面442、第2空隙部482などを一つの部材に形成してもよい。
なお、上述の各実施形態において、防止装置490が、ガスシール機構を有してもよい。例えば、第5面445に設けられた給気口から外面35Bに向けて気体が供給され、第5面445と外面35Bとの間にガスシールが形成されることによって、第2部分481Bから第1部分481Aへの液体LQの流入を防止することができる。なお、防止装置490の給気口は、対向面491に設けてもよいし、外面35Bに設けてもよい。また、防止装置490として、第2部分481Bから第1部分481Aへの液体LQの流入を防止するように、第2開口434が面する第2部分481Bに液体LQを供給する液体供給口を設けてもよい。一方、防止装置490(壁部492など)を設けなくてもよい。この場合、第5面445を第9面449より上方(+Z側)に設けることが望ましいが、第5面445と第9面449とがほぼ同じ高さ(ほぼ面一)であってもよい。
なお、上述の各実施形態において、第1面441が、射出面23と基板Pとの間に配置されていなくてもよい。この場合、第1面441が射出面23と面一、あるいは射出面23より上方に配置されてもよい。
また、上述の各実施形態において、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面は、射出面23の周縁から上方(+Z方向)に延びる面(側面35)を有していなくてもよい。例えば、終端光学素子22の露光光ELが通過しない面が、射出面23とほぼ平行(光軸AXと垂直な方向に)延びていてもよい。すなわち、投影光学系PLの側面35が射出面とほぼ同一面内に延びていてもよい。
また、露光光ELが通過しない投影光学系PLの側面35が、射出面23の周囲の少なくとも一部において、射出面23と略同一面内(面一)に配置されてもよい。すなわち、側面35が、射出面23の周縁から上方に延びずに、光軸AXに対する放射方向に延びるように配置されてもよい。また、側面35が、光軸AXとほぼ平行であってもよい。すなわち、側面35が、光軸AXに対する放射方向に延びずに、射出面23の周縁から上方に延びるように配置されもよい。
なお、上述の各実施形態において、第1部分481Aを規定する側面35Aが、保持部材21の一部でもよい。また、第2部分481Bを規定する外面35Bが、終端光学素子22の一部でもよい。
また、上述の各実施形態において、第2面442に吸引口を設けてもよい。例えば、基板Pの露光中にその吸引口を使わずに、第1面441の下側の空間から液体LQのほぼすべて回収する場合にだけ、その吸引口を用いるようにしてもよい。
また、上述の各実施形態において、第1面441が面する第1空間451に液体LQを供給する供給口を設けてもよい。この場合、第1面441に液体LQを供給する供給口を設けてもよい。
なお、上述の各実施形態において、液浸部材(4、304、404など)に、例えば米国特許出願公開第2008/0106707号明細書に開示されているような、温度調整機構を設けることができる。例えば、液浸部材の内部に形成された流路に、温度調整用の液体を流すことによって、その液浸部材の温度を調整することができる。
なお、上述の各実施形態においては、投影光学系PLの終端光学素子22の射出側(像面側)の光路が液体LQで満たされているが、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子22の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系を採用することもできる。
なお、上述の各実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることも可能である。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、例えば対応米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、例えば米国特許第6897963号明細書、米国特許出願公開第2007/0127006号明細書等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと、基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載し、露光対象の基板を保持しない計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
また、上述の各実施形態では、露光光ELとしてArFエキシマレーザ光を発生する光源装置として、ArFエキシマレーザを用いてもよいが、例えば、米国特許第7023610号明細書に開示されているように、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザなどの固体レーザ光源、ファイバーアンプなどを有する光増幅部、及び波長変換部などを含み、波長193nmのパルス光を出力する高調波発生装置を用いてもよい。さらに、上記実施形態では、前述の各照明領域と、投影領域がそれぞれ矩形状であるものとしたが、他の形状、例えば円弧状などでもよい。
なお、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。可変成形マスクは、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)等を含む。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。自発光型画像表示素子としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)等が挙げられる。
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
以上のように、本実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図28に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。