JP5404567B2 - 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池に関する。
近年、電気製品の軽量化、小型化に伴い、高いエネルギー密度を持つリチウム二次電池が注目されている。
リチウム二次電池用の電解液は、リチウム塩等の溶質と、非水溶媒とからなる。非水溶媒としては、高い誘電率を有すること、酸化電位が高いこと、及び、電池中で安定であることが要求される。これらの要求を一つの溶媒で達成するのは困難なので、リチウム二次電池の電解液の非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル類、又はγ−ブチロラクトン等の環状カルボン酸エステル類などの高誘電率溶媒と、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル類、又はジメトキシエタン等のエーテル類などの低粘度溶媒とを組み合わせて使用している。
しかし、これらの電解液を用いたリチウム二次電池は、電池の破損や何らかの原因による電池内部の圧力上昇などの異常により電解液が漏洩した場合、短絡によって引火や燃焼を引き起こすおそれがあることが知られている。このため、有機非水系電解液に難燃化剤を配合し、難燃性を付与する研究が精力的に進められている。
例えば、特許文献1には、非水系電解質にホスファゼン誘導体を難燃化剤として配合して用いることが記載されている。しかしながら、ホスファゼン誘導体は確かに優れた難燃性を発現するものの、組み合わせる有機溶媒の種類によっては必ずしも電池の熱安定性を向上させることにはならない。一般に、電池が何らかの理由によって異常に加熱された場合、負極又は正極と電解液との界面での熱分解反応をきっかけに熱暴走し、電池の破裂・発火に至るおそれがある。この現象は、ホスファゼン誘導体を配合した場合でも例外ではない。この現象は、ホスファゼン誘導体を配合したときの負極被膜の熱安定性に起因するもので、ひいてはサイクル特性等の電池特性をも低下させる要因となるものである。
一方、特許文献2には、非水電解液に被膜形成剤を添加して電極を保護し、電極と電解液との反応を抑制して、電池の安全性を確保することが記載されている。更に、難燃化剤を含んでいてもよいとの記載があり、ホスファゼン誘導体との併用が例示されている。しかしながら、この技術では、電解液の全溶媒に対するホスファゼン誘導体の体積比率が40体積%程度と高かった。ホスファゼン誘導体は比較的高粘度で誘電率が小さいため、この様に高い配合量で電解液に含有させた場合、電導度の低下に伴う電池性能の悪化が懸念される。
特開平6−13108号公報 特開2002−25615号公報
以上の背景から、短絡や過充電等によって温度上昇するような異常時にも熱暴走する危険性が小さく、電池の安全性・信頼性を確保することができるとともに、電導度の低下等に伴う電池性能の悪化を招くことなく、サイクル特性等の良好な電池性能を得ることが可能な、優れた非水系電解液が求められていた。
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたもので、その目的は、電池の異常加熱時等における安全性・信頼性を確保することができるとともに、サイクル特性等の良好な電池性能を得ることができる、優れた非水系電解液を提供すること、及び、それを用いたリチウム二次電池を提供することに存する。
本発明者らは、非水系電解液に、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する環状炭酸エステルと、特定の濃度範囲のホスファゼン誘導体とを含有させることにより、電池に十分な難燃性を付与することができ、電池の異常加熱時等における安全性・信頼性を確保することが可能になるとともに、電導度の低下等に伴う電池性能の悪化を招くことなく、サイクル特性等の良好な電池性能を得ることが可能となり、上記課題が効果的に解決されることを見出した。
すなわち、本発明の趣旨は、LiBF でなるリチウム塩及び、γ−ブチロラクトンを主成分とする非水溶媒を含有するリチウム二次電池用非水系電解液であって、更に、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する環状炭酸エステルと、前記非水系電解液に対して4質量%以上、25質量%以下の下記一般式(I)で示される環状ホスファゼンとを含有し、前記非水系電解液に対する前記環状炭酸エステルの濃度が0.01質量%以上、10質量%以下であることを特徴とする、リチウム二次電池用非水系電解液に存する(請求項1)。
Figure 0005404567
(一般式(I)中、X11,X12は、各々独立に、ハロゲン原子又はR−O−で表わされる基(Rは、アルキル基又はアリール基を表わす。)を表わし、nは3以上、10以下の整数を表わす。)
また、環状炭酸エステルとして、ビニレンカーボネート及びその誘導体並びにビニルエチレンカーボネート及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい(請求項2)
本発明の非水系電解液によれば、短絡や過充電等によって温度上昇するような異常時にも熱暴走する危険性が小さく、高い安全性・信頼性を有するリチウム二次電池が実現される。また、電導度の低下等に伴い電池性能の悪化を招くことがないので、サイクル特性等の良好な電池性能を得ることができる。
実施例1及び比較例1〜2の非水系電解液を用いたリチウム二次電池の熱安定性評価の結果を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
[1.非水系電解液]
本発明の非水系電解液は、リチウム塩及び非水溶媒を含有するものであって、更に、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する環状炭酸エステルと、該非水系電解液に対して1重量%以上、25重量%以下のホスファゼン誘導体とを含有するものである。
〔ホスファゼン誘導体〕
本発明において「ホスファゼン誘導体」とは、−PXab=N−で表わされる構造単位を有する化合物をいう(ここでXa、Xbは各々独立に、一価の置換基を表わす)。上述の構造単位の数とその結合状態によって、当該構造単位1つのみからなるモノホスファゼン、当該構造単位が環状に複数結合した環状ホスファゼン、当該構造単位が鎖状に複数結合したポリホスファゼン等に分類される。ホスファゼン誘導体の種類は特に制限されず、上記分類の何れに該当する化合物を用いることも可能であるが、中でも、下記一般式(I)で示される環状ホスファゼン、及び/又は、下記一般式(II)で示される鎖状ホスファゼンを用いることが好ましい。
Figure 0005404567
一般式(I)及び(II)中、X11,X12,X21,X22,X23,X24,X25,X26,X27(なお、以下の記載において、これらの基を特に区別せずに指す場合には、「X」で表わすものとする。)は、各々独立に、一価の置換基を表わす。一価の置換基としては、本発明の趣旨を損なうものでない限り特に制限されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アシル基、カルボキシ基、R−O−で表わされる基(Rは、アルキル基又はアリール基を表わす。以下適宜「RO基」という。)等が挙げられる。中でも、電気化学的安定性の点で、ハロゲン原子又はRO基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素が好ましく、電気化学的安定性と難燃効果の点で、特にフッ素が好ましい。一方、RO基としては、Rがアルキル基の場合、その炭素数が3を超えると難燃効果の低下が見られることから、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。Rとして好ましいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等が挙げられるが、粘度の点で特にメチル基、エチル基が好ましい。一方、Rがアリール基の場合、フェニル基、トリル基、ナフチル基が好ましく、難燃効果の点で特にフェニル基が好ましい。なお、Rのアルキル基又はアリール基が有する水素は、ハロゲン元素で置換されていても良い。特にフッ素置換することにより、電気化学安定性が高くなるので好ましい。上記Xは、粘度、電導度、電気化学的安定性、安全性といった電解液としての基本的性能を満たすものであれば、全て同一の種類の置換基でも良いが、2種以上の異なる種類の置換基を組み合わせても良い。
一般式(I)において、nは通常3以上、また、通常10以下、好ましくは5以下の整数を表わす。また、一般式(II)において、mは通常0以上、また、通常10以下、好ましくは3以下の整数を表わす。nやmが10を超えると、これらの化合物を電解液に含有させた場合に粘度が高くなり、電導度の低下による負荷特性や低温充放電特性等の電池性能の低下を招くおそれがある。
一般式(I)及び一般式(II)の化合物の分子量は、何れについても、通常200以上、また、通常2000以下、好ましくは1000以下の範囲である。分子量が高過ぎると溶解不良が生じたり、高粘度化により低温特性が悪化してしまうので好ましくない。
非水系電解液に対するホスファゼン誘導体の含有濃度は、通常1重量%以上、好ましくは4重量%以上、更に好ましくは8重量%以上であり、通常25重量%以下、好ましくは22重量%以下、更に好ましくは18重量%以下の範囲である。この範囲の下限を下回ると、電解液の難燃効果が低減する傾向があり、逆に上限を上回ると、電導度が低下して負荷特性が悪化する傾向がある。
一般に、樹脂製品等にリン又はリンを含む化合物を配合することによって、難燃化する技術は広く知られている。これは、(i)分解生成物が活性な水素ラジカルや酸素ラジカルをトラップして燃焼反応を抑制する機構や、(ii)可燃物を熱や酸素から遮断する炭素質物が形成される機構によるものと考えられている。特に(ii)の機構においては、含窒素化合物を併用することによって、かさ高い発泡炭化層の形成が促進されることが知られている。本発明に使用されるホスファゼン誘導体は、これらの機構を満たすものであって、優れた難燃効果を奏する化合物と言える。しかしながら、上記のような樹脂製品等の用途であれば特に制限はないが、電解液に配合する場合はその限りでない。
〔環状炭酸エステル〕
本発明において、環状炭酸エステルとしては、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するものであれば、その種類に特に制限は無い。分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する環状炭酸エステルの例としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート化合物;4−ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−エチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−n−プロピル−4−ビニルエチレンカーボネート、5−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート等のビニルエチレンカーボネート;4,4−ジメチル−5−メチレンエチレンカーボネート、4,4−ジエチル−5−メチレンエチレンカーボネート等のメチレンエチレンカーボネート化合物などが挙げられる。これらの中でも、ビニレンカーボネート、4−ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネートが好ましく、特にビニレンカーボネート又は4−ビニルエチレンカーボネートが好ましい。これらの環状炭酸エステルは、何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
環状炭酸エステルの濃度は、非水系電解液に対して通常0.01重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは6重量%以下の範囲である。この範囲の下限を下回ると、十分にサイクル特性を向上させることが困難となり、上限を上回ると、高温保存時にガスが発生して電池の内圧が上昇することがある。
本発明によれば、非水系電解液に上述のホスファゼン誘導体と環状炭酸エステルとを含有させることによって、電池の熱的安定性が著しく改善される。
上述したように、ホスファゼン誘導体を加えることにより電解液自体の熱的安定性は向上するが、この電解液を電池に用いたとしても必ずしも熱的に安定ではない。電池が熱暴走に至る過程は複雑であって、電池が何らかの理由によって温度上昇した場合、(i)充電負極と電解液の反応、(ii)充電正極と電解液の反応、(iii)電解液の熱分解反応、(iv)充電負極や正極の熱分解反応等が複雑に作用しあって熱暴走に至ると推定される。ホスファゼンを含む電解液においては、電解液と負極との反応を抑制する保護被膜の形成と熱的安定性が不十分であって、比較的低い温度でも負極反応を起因とする発熱が生じ、電池を熱的に不安定にしている。さらに、負極の保護被膜の形成と熱的安定性が不十分な電池は、例え室温以下であっても繰り返し使用によって著しく充放電特性を低下させる。
本発明では、上述のホスファゼン誘導体に加えて、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する環状炭酸エステルを併用することにより、これらの課題を解決するものである。即ち、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、比較的低濃度でも負極に良質な保護被膜を形成することができる。この結果、負極と電解液との反応が効果的に抑制されるので、低い温度での電池発熱は低下し、ホスファゼン誘導体を含む電解液が本来備えている熱的安定化効果が有効に作用して、電池の熱的安定性が向上する。更に、負極保護被膜の安定化により、繰り返し充放電特性等の電池性能は大幅に向上する。すなわち本発明によれば高い安全性と十分な電池性能を備えた電池を提供することが可能となる。
〔非水溶媒〕
本発明に用いる非水溶媒の主成分としては、非水系電解液二次電池の溶媒として公知の任意の溶媒を用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート(炭素数1〜4のアルキル基が好ましい);テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル;ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトン等の環状カルボン酸エステル;酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステルなどが挙げられる。
非水溶媒は、何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。但し、非水溶媒の主成分としては、1種類の化合物を用いるよりも複数の化合物を併用するのが好ましい。例えば、アルキレンカーボネートや環状カルボン酸エステル等の高誘電率溶媒と、ジアルキルカーボネートや鎖状カルボン酸エステル等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。
非水溶媒として好ましいものの一つは、アルキレンカーボネートとジアルキルカーボネートとを主体とするものである。中でも、炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンカーボネートと炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルカーボネートとの組み合わせが好ましく、この場合、アルキレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの体積比が通常10:90以上、45:55以下の範囲であることが好ましい。この混合比率の範囲であれば電導度が比較的大きく、良好な低温特性を得ることが出来る。なお、本明細書において、非水溶媒の体積は原則として25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものについては融点での測定値を用いるものとする。
炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。これらの中で、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートが好ましい。
炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート及びエチル−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。これらの中で、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート又はエチルメチルカーボネートが好ましい。
アルキレンカーボネートとジアルキルカーボネートの好ましい組み合わせの具体例としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
これらのエチレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの組み合わせに、更にプロピレンカーボネートを加えた組み合わせも、好ましい組み合わせとして挙げられる。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの体積比は、通常40:60以上、好ましくは50:50以上、また、通常99:1以下、好ましくは95:5以下の範囲である。
これらの中で、非対称ジアルキルカーボネートであるエチルメチルカーボネートを含有するものが更に好ましく、特に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートのエチレンカーボネートと対称ジアルキルカーボネートと非対称ジアルキルカーボネートを含有するものが、サイクル特性と大電流放電特性のバランスが良いので好ましい。
好ましい非水溶媒の他の例は、環状カルボン酸エステルを主体とするものである。中でもγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトンが好ましく、特にγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンが好ましい。環状カルボン酸エステルは、非水溶媒の通常40体積%以上、好ましくは60体積%以上、また、通常100体積%以下の範囲である。環状カルボン酸エステルを主成分とした非水溶媒を用いると、高温使用時での溶媒の蒸発や液漏れが少なくなる。環状カルボン酸エステルは単独で用いても良いが、他の非水溶媒と混合する場合、炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンカーボネートと炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルカーボネートから選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
環状カルボン酸エステルと混合する炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンカーボネートの具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。これらの中で、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートが好ましい。アルキレンカーボネートは、非水溶媒の0〜50体積%の範囲とすることが好ましく、特に大電流特性の観点から、0〜40体積%の範囲とすることが好ましい。
炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート及びエチル−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。これらの中で、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート又はエチルメチルカーボネートが好ましい。ジアルキルカーボネートは、非水溶媒の0〜30体積%の範囲とすることが好ましく、特に0〜20体積%の範囲とすることが好ましい。上限を上回ると、電池の熱安定性に問題が生じる。
非水溶媒にはハロゲン原子置換の炭酸エステル、カルボン酸エステル、エーテル等のハロゲン系溶媒や、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩等の常温型溶融塩、含燐有機溶媒といった不燃性又は難燃性の溶媒を含めることもできる。特に含燐有機溶媒は電気化学安定性と難燃効果の点で好ましい。具体例としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル及びリン酸エチレンエチル等のリン酸エステル類やリン酸トリフルオロエチルジメチル、リン酸ビス(トリフルオロエチル)メチル、リン酸トリス(トリフルオロエチル)、リン酸ペンタフルオロプロピルジメチル、リン酸トリフルオロエチルメチルエチル、リン酸ペンタフルオロプロピルメチルエチル、リン酸トリフルオロエチルメチルプロピル、リン酸トリフルオロエチルジエチル等のフッ素置換リン酸エステル類が挙げられる。中でもリン酸トリメチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸トリフルオロエチルジメチル、リン酸ビス(トリフルオロエチル)メチル、リン酸トリス(トリフルオロエチル)が、難燃化効果が特に大きく好ましい。リン酸エステルは非水溶媒に対して通常10体積%以上、好ましくは15体積%以上、また、通常40体積%以下、好ましくは25体積%以下の範囲である。下限を下回ると難燃効果が低減し、上限を上回ると電導度が低下して負荷特性が悪化する問題がある。
また、非水溶媒中に過充電防止剤を添加すると、過充電時における電池の安全性が向上するので好ましい。過充電防止剤としては、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化物、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール及び2,6−ジフルオロアニオ−ル等の含フッ素アニソール化合物などが挙げられる。これらを非水溶媒中に通常0.1重量%以上、5重量%以下の濃度で含有させると、過充電時に電池の破裂・発火を抑制することができる。
〔その他の成分〕
さらに、非水溶媒中には、必要に応じて他の成分、例えば従来公知の添加剤、脱水剤、脱酸剤を含有させてもよい。
添加剤としては、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、エリスリタンカーボネート及びスピロ−ビス−ジメチレンカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブサルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド及びテトラメチルチウラムモノスルフィド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物などが挙げられる。これらを非水溶媒中に通常0.1重量%以上、5重量%以下の濃度で含有させると、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性が良好となる
〔電解質〕
電解質としては、リチウム塩であれば特に限定は無く、様々なものを使用することができる。通常使用されるものの具体例としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiSbF6などの無機リチウム塩、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(CF3CF2SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(CF3SO23等の含フッ素有機リチウム塩、Li[PF5(CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF32]、Li[PF3(CF2CF2CF33]、Li[PF3(CF2CF33]、Li[PF5(CF2CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF2CF32]、Li[PF3(CF2CF2CF2CF33]等のフルオロアルキルフッ化リン酸リチウム,Li[BF3(CF3)]、Li[BF3(CF2CF3)]、Li[BF2(CF2CF32]等のフルオロアルキルホウ酸リチウム、LiB(CF3COO)4、LiB(OCOCF2COO)2、LiB(OCOC24COO)2、LiB(C24)などが挙げられる。これらのリチウム塩は、1種のみを単独で使用しても良く、複数種を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。中でもLiPF6、LiBF4を用いるのが好ましい。
電解質の濃度には特に制限はないが、本発明においては、非水系電解液1リットル当たりの電解質リチウム塩の量が通常0.5モル以上、好ましくは0.7モル以上、また、通常2モル以下、好ましくは1.5モル以下の範囲が好適である。電解質の濃度がこの範囲外となると、非水系電解液の電気伝導率が悪化したり、粘度に影響が出たりすることで、これを用いて得られるリチウム二次電池の性能が低下することがある。
[2.リチウム二次電池]
本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極及び正極と、電解質が非水溶媒に溶解された非水系電解液とを備えたものであって、非水系電解液として上述の非水系電解液(本発明の非水系電解液)を用いたことを特徴とする。
〔負極〕
負極活物質としては、金属リチウム、リチウム合金(スズ、ケイ素、鉛、ゲルマニウム、アルミニウム等またこれら金属のスパッタリング蒸着電極、真空蒸着電極も含む)、又はリチウムを吸蔵及び放出し得る材料を含むものであれば、その種類は特に限定されないが、具体例としては、例えば様々な熱分解条件での有機物の熱分解物や、人造黒鉛、天然黒鉛等の炭素材料、金属酸化物材料、更には種々のリチウム合金が挙げられる。中でも好適には、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチの高温熱処理によって製造された人造黒鉛及び精製天然黒鉛、或いはこれらの黒鉛にピッチを含む種々の表面処理を施した黒鉛材料が主として使用される。また、更なる高エネルギー密度化を求められるリチウム二次電池の場合には、リチウム合金を材料として用いた負極が、一般に黒鉛に代表される炭素材料に比較し、単位重量当たりの容量が大きいので好適である。
負極活物質として黒鉛材料を用いる場合には、学振法によるX線回折で求めた格子面(002)面のd値(層間距離)が、通常0.335nm以上、また、通常0.34nm以下、中でも0.337nm以下であるものが望ましい。
また、黒鉛材料の灰分は、通常1重量%以下、中でも0.5重量%以下、更には0.1重量%以下であることが好ましい。
また、学振法によるX線回折で求めた黒鉛材料の結晶子サイズ(Lc)は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上の範囲が好適である。
また、黒鉛材料のメジアン径は、レーザー回折・散乱法により測定したメジアン径の値で、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは7μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下の範囲が好適である。
また、黒鉛材料のBET法比表面積は、通常0.5m2/g以上、好ましくは0.7m2/g以上、より好ましくは1.0m2/g以上、更に好ましくは1.5m2/g以上、また、通常25.0m2/g以下、好ましくは20.0m2/g以下、より好ましくは15.0m2/g以下、更に好ましくは10.0m2/g以下の範囲が好適である。
また、黒鉛材料は、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において、1580〜1620cm-1の範囲のピークPA(ピーク強度IA)及び1350〜1370cm-1の範囲のピークPB(ピーク強度IB)の強度比R=IB/IAが0以上0.5以下、1580〜1620cm-1の範囲のピークの半値幅が26cm-1以下、1580〜1620cm-1の範囲のピークの半値幅が25cm-1以下であることが好ましい。
なお、これらの炭素質材料に、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物を混合して用いることもできる。リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物としては、Ag、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Cu、Ni、Sr、Ba等の金属を含有する化合物が挙げられ、これらの金属は単体、酸化物、リチウムとの合金などとして用いられる。本発明においては、Si、Sn、Ge及びAlから選ばれる元素を含有するものが好ましく、Si、Sn及びAlから選ばれる金属の酸化物又はリチウム合金がより好ましい。
以上説明した負極活物質は、1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせ及び割合で併用しても良い。
これらの負極活物質を用いて負極を製造する方法は特に限定されないが、例えば、負極活物質に必要に応じて結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体の基板に塗布し、乾燥させて活物質層を形成する方法が挙げられる。この場合には、後述するような正極の製造方法と同様に製造することができる。
また、負極活物質に結着剤や導電材などを加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたり、蒸着・スパッタ・メッキ等の手法で集電体上に負極活物質の薄膜を形成することもできる。
〔正極〕
正極活物質は、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な材料であれば、その種類は任意であり、特に限定されるものではないが、好ましくはリチウム遷移金属複合酸化物を使用する。このような物質の例としては、LiCoO2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO2等のリチウムマンガン複合酸化物等を挙げることができる。これらリチウム遷移金属複合酸化物は、主体となる遷移金属元素の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属種で置き換えることにより安定化させることもでき、また好ましい。
これらの正極活物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用することもできる。
これらの正極活物質を用いて正極を製造する方法は特に限定されないが、例としては、正極活物質に必要に応じて結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体の基板に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。
また、正極活物質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極とすることもできる。
〔各電極の形成〕
負極用集電体の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス等の金属が使用される。これらの中でも、薄膜に加工し易いという点とコストの点から、銅箔が好ましい。一方、正極用集電体の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属が使用され、これらの中で薄膜に加工し易いという点とコストの点からアルミニウム箔が好ましい。
結着剤については、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安定な材料であれば、特に限定されず、具体例として、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等を挙げることができる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。
導電材としては、銅やニッケル等の金属材料、グラファイト、カーボンブラック等のような炭素材料が挙げられる。特に正極については導電材を含有させるのが好ましい。
電極の製造に用いる溶媒としては、水系でも有機系でも良い。水系溶媒としては、水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、トルエン等が挙げられる。
〔セパレータ〕
リチウム二次電池においては、通常、電極同士の短絡を防止するために、正極と負極との間にセパレータが介装される。本発明のリチウム二次電池に使用するセパレータの材質や形状は特に限定されないが、上述した本発明の非水系電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶのが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等を用いるのが好ましい。
〔電池の構成〕
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明の非水系電解液と、正極と、負極と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。電池を組み立てる方法は特に限定されず、通常採用されている方法の中から適宜選択すれば良い。
また、電池の形状についても特に限定されず、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が適用可能である。
〔電池の用途〕
本発明のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等を挙げることができる。特に、本発明のリチウム二次電池は、サイクル特性に優れていることから、これらの何れの用途においても優れた効果が得られる。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではなく、その要旨を越えない限りにおいて、適宜変更を加えて実施することが可能である。
〔非水系電解液〕
乾燥アルゴン雰囲気下で、表1に示す組成の非水溶媒又は非水混合溶媒に、ホスファゼン誘導体及び不飽和環状炭酸エステルを同じく表1に示す重量部となるように加え、次いで十分に乾燥した溶質を同じく表1に示す重量部となるように加え、溶解して非水系電解液とした(実施例1〜3及び比較例1〜5の非水系電解液)。
各実施例及び各比較例で用いたホスファゼン誘導体は、上述の一般式(I)においてnが3である環状ホスファゼンであって、置換基Xがフッ素原子と、Rがフェニル基のRO基とからなり、フッ素原子/RO基の比率が5/1である化合物(フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン)である。
なお、表中の略号は下記を示す。
GBL :γ−ブチロラクトン
EC :エチレンカーボネート
EMC :エチルメチルカーボネート
VC :ビニレンカーボネート
VEC :ビニルエチレンカーボネート
PhPFPN :フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン
Figure 0005404567
上述の実施例1〜3及び比較例1〜5の非水系電解液を用いて、以下の方法によりリチウム二次電池を作製し、それぞれについて評価を行なった。
〔電池の作製〕
(負極の作製)
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が652nm、灰分が0.07重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が12μm、BET法比表面積が7.5m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペ
クトル分析において1570〜1620cm-1の範囲のピークPA(ピーク強度IA)及び1300〜1400cm-1の範囲のピークPB(ピーク強度IB)の強度比R=IB/IAが0.12、1570〜1620cm-1の範囲のピークの半値幅が19.9cm-1である天然黒鉛粉末を負極活物質として用いた。この黒鉛粉末94重量部にポリフッ化ビニリデン6重量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散させてスラリー状とした。これを負極集電体である厚さ18μmの銅箔の片面に均一に塗布し、乾燥後、プレス機により負極層の密度が1.5g/cm3になるようにプレスして負極とした。
(正極の作製)
正極活物質としてはLiCoO2を用いた。この粉末85重量部にカーボンブラック6重量部及びポリフッ化ビニリデンKF−1000(呉羽化学社製、商品名)9重量部を加え混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散し、スラリー状としたものを、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾燥後、プレス機により正極層の密度が3.0g/cm3になるようにプレスして正極とした。
(電池の組立)
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製し、この電池要素を袋状のアルミニウムの両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルム内に正極負極の端子を取り出しながら設置後、各実施例及び各比較例の非水系電解液を注液して真空封止を行ない、シート状のリチウム二次電池を作製した。
〔電池の性能評価〕
(電池の熱安定性評価)
実施例1及び比較例1〜2の非水系電解液を用いたシート状電池を、25℃において、0.2Cに相当する定電流で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3Vで充放電を3サイクル行って安定させ、0.7Cに相当する電流で充電終止電圧4.2Vまで充電し、充電電流値が0.05Cに相当する電流値になるまで充電を行う4.2V−CCCV(0.05Cカット)充電後、乾燥アルゴン雰囲気下で所定の高圧密閉セルに収容し、示差走査熱量計(セタラム社製、C80熱量計)を用いて、25〜300℃の温度範囲を毎分1Kの昇温速度で昇温した時の電池の熱分解過程における発熱開始温度を測定した。なお、ここで言う発熱開始温度とは、ベースラインと発熱ピークの最大勾配の接線との交点の温度を意味する。図1に電池の測定結果を、表2に測定結果より得られた発熱開始温度を示す。
(電池のサイクル特性)
実施例1〜3及び比較例1〜5の非水系電解液を用いたシート状電池を、25℃において、0.5mAの定電流で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3Vで充放電を3サイクル行って安定させ、0.7Cに相当する電流で充電終止電圧4.2Vまで充電し、充電電流値が0.05Cに相当する電流値になるまで充電を行う4.2V−CCCV(0.05Cカット)充電後、1Cに相当する電流値で放電終止電圧3Vまで放電を行うサイクル試験を実施した。サイクル試験の4サイクル目の放電容量と、それを100とした場合の50サイクル目の容量(サイクル維持率)を表3に示す。
Figure 0005404567
Figure 0005404567
図1と表2から明らかなように、本発明に係る実施例1の非水系電解液を用いたリチウム二次電池は発熱開始温度が最も高く、優れた熱的安定性を示すことがわかる。また、表3から明らかなように、併用する非水溶媒がGBLである実施例1〜2と比較例2のリチウム二次電池の比較、及び併用する非水溶媒がEC+EMCである実施例3と比較例5のリチウム二次電池の比較から、本発明に係る電池は、難燃化剤としてホスファゼン誘導体を含有させた場合でも、優れたサイクル安定性を示すことが分かる。
また、実施例1〜2と比較例3のリチウム二次電池の比較から分かるように、ホスファゼン誘導体の含量が過剰であれば、たとえ不飽和環状炭酸エステルが含まれていたとしても、安定なサイクル特性は得られないことが分かる。
本発明の非水系電解液によれば、短絡や過充電等によって温度上昇するような異常時にも熱暴走する危険性が小さく、高い安全性・信頼性を有するリチウム二次電池を得ることが可能となる。よって、本発明は、リチウム二次電池が用いられる電子機器等の各種の分野において、好適に利用することが可能である。

Claims (2)

  1. LiBF でなるリチウム塩及び、γ−ブチロラクトンを主成分とする非水溶媒を含有するリチウム二次電池用非水系電解液であって、更に、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する環状炭酸エステルと、前記非水系電解液に対して4質量%以上、25質量%以下の下記一般式(I)で示される環状ホスファゼンとを含有し、
    前記非水系電解液に対する前記環状炭酸エステルの濃度が0.01質量%以上、10質量%以下である
    ことを特徴とする、リチウム二次電池用非水系電解液。
    Figure 0005404567
    (一般式(I)中、X11,X12は、各々独立に、ハロゲン原子又はR−O−で表わされる基(Rは、アルキル基又はアリール基を表わす。)を表わし、nは3以上、10以下の整数を表わす。)
  2. 前記環状炭酸エステルとして、ビニレンカーボネート及びその誘導体並びにビニルエチレンカーボネート及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する
    ことを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水系電解液
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