JP5402404B2 - 差厚金属板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車車体の製造等に用いられる差厚鋼板や差厚アルミニウム板といった差厚金属板およびその製造方法に関する。
従来から、例えばプレス加工により自動車のボディやフレーム等を製造する際の素材として、予め板厚の異なる鋼板同士を突き合わせ接合して板厚が部分的に異なる鋼板とした差厚鋼板が、軽量化を促進するために用いられる。板厚が部分的に異なる板材の製造方法として、種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、複数スタンドのカリバーロール圧延により幅方向に異なる板厚を有する異形断面鋼板を安定して圧延する方法に係る発明が開示されている。
特許文献2には、板材を長手方向に圧延し、長手方向に異なる板厚を有する差厚材を製造する圧延装置に係る発明が開示されている。
特許文献3には、板厚、強度が異なる異種の板材を突き合わせて接合して差厚テーラードブランク材を形成する差厚テーラードブランク材の形成方法に係る発明が開示されている。
さらに、特許文献4には、押出加工により周方向に板厚が変化する環状部材を製造し、これを展開加工して差厚板を製造するアルミニウム合金差厚ブランク材の製造方法に係る発明が開示されている。
特開平6−142710号公報 特開2008−264850号公報 特開平10−180470号公報 特開2004―255400号公報
特許文献1に開示されるように、圧延により幅方向に板厚差を形成することによって差厚板を製造するには、差厚板の断面形状に合わせた、種々の異なる孔型形状を有する孔型ロールが必要となるので、小ロット、多品種の差厚板を製造することは、製造コストが嵩むことから、難しい。
特許文献2に開示されるように、圧延によって長手方向に板厚の変化を形成して差厚板を製造しようとすると、長手方向の板厚変更領域が小さい差厚板を製造することが難しく、また、高い精度の板厚分布を有する差厚板を製造することが難しい。
特許文献3に開示されるように、溶接によって差厚板を製造する方法では、得られる差厚板に溶接に伴う熱影響部が不可避的に残存するので、溶接欠陥が発生し易く、また、板厚変更部が段差状になるといった問題や、長手方向に複数の板厚変更部を有する部材の製造が容易でないといった問題がある。
さらに、特許文献4に開示されるように、押し出しによって差厚板を製造する方法では、断面形状の変更にはダイスの変更を伴うために断面形状の変更を容易に行うことができないといった問題や、薄肉で大径の押し出し管が必要となるため、広幅の差厚板の製造が難しいといった問題がある。
本発明は、このような従来の技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、断面形状設計の自由度が大きく、しかも断面形状の変更も容易に行うことができ、溶接部等を含まないといった優れた特徴を有する、品質が良好な広幅の差厚金属板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するため、管材の内部に装入したマンドレルと管材の外部に配置した加工ロールとで部分的に板厚を圧下する、所謂フローフォーミング加工に注目した検討を行い、以下に列記する知見(1)〜(3)を得た。
(1)板材を突き合わせ接合して溶接管材を製作し、この溶接管材の内部に回転可能なマンドレルを配置するとともに、溶接管材の外部に配置した加工ロールで溶接管材を肉厚方向に押圧して、溶接管材の肉厚を部分的に減少する減厚加工を行うことにより、長手方向に肉厚変動を有する差厚管材を製作し、この差厚管材を接合部で切断除去し、切断除去した差厚管材を展開加工することにより、溶接部を有さない、平坦性の良好な差厚金属板を効率的に製造できること。
(2)減厚加工により板厚減少部の内径が縮径する。そのため、溶接管材の内径寸法に比べてマンドレルの外形寸法が過小で、特に板厚減少量が大きい場合には、縮径が大きくなり、板厚減少部の周長が、減厚加工を行われない部分の周長に比べて過小となるため、展開加工後の差厚金属板の平坦性が悪化し易いこと。
(3)溶接管材を展開加工する前に、溶接管材の内周を拡大する拡管加工を行うことにより、差厚金属板の平坦性が向上すること。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
厚金属板の製造方法は、金属製の板、例えば平板を円筒状に曲げ成形し、その両端部を突き合わせ接合して長手方向に延びる接合部を有する円筒素材を製造する第1の工程と、この円筒素材の内部に装着した回転可能なマンドレルにより円筒素材を回転しながら、円筒素材の外部に配置した加工ロールを円筒素材の肉厚方向に押圧するとともに長手方向に送り、加工ロールとマンドレルとにより円筒素材の長手方向の全部または一部の領域の肉厚を減少させる減厚加工を行い長手方向に肉厚が異なる差厚円筒部材を製造する第2の工程と、この差厚円筒部材の接合部を切断除去して湾曲した開口部材を製造し、次いでこの開口部材を平板状に展開加工して差厚金属板を製造する第3の工程とを備えることを特徴とする。本明細書では、この製造方法を「第1の製造方法」という。
この本発明に係る第1の製造方法により、断面形状の設計自由度が高く、しかも断面形状の変更も容易に行うことが可能であり、品質欠陥の起点となる溶接部を有しない、平坦性が良好な差厚金属板を製造することが可能になる。
発明に係る差厚金属板の製造方法は、金属製の板、例えば平板を円筒状に曲げ成形し、その両端部を突き合わせ接合して長手方向に延びる接合部を有する円筒素材を製造する第1の工程と、この円筒素材の内部に装着したマンドレルにより円筒素材を回転しながら、円筒素材の外部に配置した加工ロールを円筒素材の肉厚方向に押圧するとともに長手方向に送り、加工ロールとマンドレルとにより円筒素材の長手方向の全部または一部の領域の肉厚を減少させる減厚加工を行い長手方向に肉厚が異なる差厚円筒部材を製造する第2の工程と、この差厚円筒部材の内径を拡大する拡管加工を行う拡管工程と、拡管された差厚円筒部材の接合部を切断除去して湾曲した開口部材を製造し、次いでこの開口部材を平板状に展開加工して差厚金属板を製造する第3の工程とを備えることを特徴とする。本明細書では、この製造方法を「第2の製造方法」という。
この本発明に係る第2の製造方法により、断面形状の設計自由度が高く、しかも断面形状の変更も容易に行うことが可能であり、品質欠陥の起点となる溶接部を有しない、平坦性が極めて良好な差厚金属板を製造することができる。
この本発明に係る第2の製造方法における拡管加工は、差厚円筒部材の内部に周方向に分割した金型を装入し、金型を半径方向に移動させることにより行うことが望ましい。
本発明に係る差厚金属板は、例えば、熱間プレス用鋼板として用いることができる。すなわち、熱間プレスは、素材である、本発明により製造される差厚鋼板をA変態点以上の温度に加熱し、加熱した差厚鋼板を金型に装入してプレス成形を行うと同時にA変態点以上の温度から焼入れすることにより、行われる。
本発明によれば、フローフォーミング加工において個々の円筒材に対して個別の断面形状を付与することが可能であり、圧延に比べて容易に差厚形状を変更できるので、差厚金属板の少量多品種生産に容易に対応できる。また、多段数の板厚分布を有する差厚金属板の製造においては、突き合わせ溶接で製造すると差厚箇所に対応するだけ溶接工程が増えて工数増大を招くが、本発明では差厚の数や形状にかかわらず、一回のフローフォーミングで差厚形状を得ることができるため、生産性が大幅に向上する。また、薄板金属板を素材としてさらに減肉加工を施すことにより差厚金属板を製造するため、薄物で広幅・長尺な差厚金属板を容易に製造できるなど、製造方法として有益である。
さらに、本発明では、円筒材の段階で一旦溶接部が形成されるものの、この部分の溶接精度としては次工程のフローフォーミング及び拡管加工で破断しない程度で良く、最終製品には溶接部が残存しないため、本発明によって製造される金属板は接合部の欠陥や熱影響部などの影響がなく、板厚変化部もローラ送りによって連続的に変化するため段差の形成もなく良好な形状特性を有し、しかも差厚分布の形態の自由度が大きいという差厚金属板としての利点も大きい。
図1は、加工前の金属板材を示す説明図である。 図2は、フローフォーミング加工前の円筒部材を示す説明図である。 図3は、フローフォーミング加工の一例を示す説明図である。 図4は、フローフォーミング加工の別の例を示す説明図である。 図5は、フローフォーミング加工後の差厚円筒材の一例を示す説明図である。 図6は、フローフォーミング加工後の断面形態の一例を示す説明図である。 図7は、ロール曲げによる巻き癖矯正の例を示す説明図である。 図8は、差厚金属板の一例を示す説明図である。 図9は、ロール曲げによる巻き癖矯正の別の例を示す説明図である。 図10は、プレス曲げによる巻き癖矯正の例を示す説明図である。 図11は、差厚円筒部材に対する拡管加工の例(金型拡大前)を示す説明図である。 図12は、差厚円筒部材に対する拡管加工の例(金型拡大後)を示す説明図である。 図13は、差厚円筒部材に対する拡管加工の要領を説明する概要図である。 図14は、差厚鋼板を用いた熱間プレス成形を説明する概要図である。 図15は、実施例2によるフローフォーミング加工後の差厚円筒部材の断面形態を示す説明図である。 図16は、実施例2によるフローフォーミング加工後の差厚円筒部材の断面形態を示す説明図である。 図17は、実施例2によるフローフォーミング加工後の差厚円筒部材の断面形態を示す説明図である。 図18は、実施例2によるフローフォーミング加工後の差厚円筒部材の断面形態を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照しながら説明する。最初に第1の製造方法について説明する。
図1〜10により、第1の製造方法を模式的に示す。図1は、加工前の金属板材1を示す説明図であり、図2は、フローフォーミング加工前の円筒部材2を示す説明図であり、図3は、フローフォーミング加工の一例を示す説明図であり、図4は、フローフォーミング加工の別の例を示す説明図であり、図5は、フローフォーミング加工後の差厚円筒部材2−1の一例を示す説明図であり、図6は、フローフォーミング加工後の差厚円筒部材2−1の断面形態の一例を示す説明図であり、図7は、ロール曲げによる巻き癖矯正の例を示す説明図であり、図8は、差厚金属板16の一例を示す説明図であり、図9は、ロール曲げによる巻き癖矯正の別の例を示す説明図であり、さらに、図10は、プレス曲げによる巻き癖矯正の例を示す説明図である。
第1の工程では、図1に示す所定の略長方形状の金属板1に、その対向する2辺1a、1bが長手方向に延びて配置されるように曲げ加工を行うことによって金属板1の対向する2辺1a、1bを突き合わせ、この突き合わせ部を溶接することによって、図2に示すように溶接部3が長手方向へ延びて存在する円筒部材2を製造する。
金属板1に対する曲げ加工は、例えば公知のロールベンダやUOプレス等を用いて行うことができる。ロールベンダを用いる曲げ加工は、例えば、3ロール式ロールベンダに金属板1を送り込みながら行うことが例示される。
金属板1の対向する2辺1a、1bの突き合わせ溶接には、抵抗溶接、レーザ溶接さらにはフラッシュ溶接等を用いることができる。なお、属板1の対向する2辺1a、1bの接合は、溶接に限定されるものではなく、例えば摩擦圧接、熱間圧接あるいは摩擦攪拌接合等の接合手段を用いてもよい。
第2工程では、図3に示すように図示しない駆動装置により回転可能に配置されたマンドレル4と、図示しない駆動装置によりマンドレル4の半径方向への押し込みおよびマンドレル4の軸方向への送りが可能な加工ロール5とを備えるフローフォーミング装置13によって、円筒部材2の長手方向の一部の領域の板厚tを、この領域以外の領域の板厚tよりも小さくする減肉加工を行う。
すなわち、図3に示すように、円筒部材2をマンドレル4に装着し、円筒部材2の外側に配置した加工ロール5、5を円筒部材2の肉厚方向へ圧下する。マンドレル4の回転によりマンドレル4との摩擦力により円筒部材2が従動回転し、加工ロール5のマンドレル半径方向への押し込みと軸方向への送り6とによって、円筒部材2に対する減厚加工を行う。
この場合、製造する差厚形状に応じて、図3に示すように加工ロール5を符号6に示す軌跡となるように円筒部材2の軸方向に送ることにより円筒部材2の管端部に減肉部7を形成することや、図4に示すように加工ロール5を符号8に示す軌跡となるように円筒部材2の軸方向に送ることにより図4および図5に示すように円筒部材2の長手方向の中央部に減肉部7を形成することが可能になる。
また、加工ロール5の軸方向への送り量と、マンドレル4に対する加工ロール5の押し込み量とを適宜設定することによって、円筒部材2の加工後の断面形状を長手方向に任意に設定することができる。
フローフォーミング装置13を用いた加工によって、円筒部材2の内径および板厚によらず、所望の位置に減肉部(肉厚減少部)7を形成することができるが、例えば、内径が200mm以上600mm以下程度で板厚が0.5mm以上6mm以下程度で板厚tと内径Dとの比(t/D)が0.0008以上0.03以下程度の薄肉かつ大径の円筒部材2に対しても、減肉部7を形成することができる。
なお、円筒部材2は、マンドレル4の外面と円筒部材2の内面との摩擦力により回転するが、マンドレル4の外面と円筒部材2の内面との間にゴムブッシュを挿入して介在させることによって、マンドレル4の外面と円筒部材2との間の滑りを抑制できるので、より確実にマンドレル4の回転を円筒部材2へ伝達することができる。
円筒部材2の内径とマンドレル4の外径とは、(マンドレル4の外径×0.995≦円筒部材2の内径≦マンドレル4の外径×1.005)の関係を充足することが望ましい。円筒部材2の内径がマンドレル4の外径に比べて、過大であると後述する展開加工後の差厚金属板16の平坦性が不良となるおそれがあり、一方過小であるとマンドレル4への円筒部材2の取付けが困難となり易いからである。
図3、4に示すフローフォーミング装置13は、2個の加工ロール5を備えるものであるが、加工ロール5を1個または3個備えていてもよい。
図3、4に示すフローフォーミング装置13は、マンドレル4の軸方向を水平方向とした横型タイプであるが、これに限定されるものではなく、マンドレル4の軸方向を垂直方向とした縦型タイプでもよい。
その後、突き合わせ溶接箇所3で円筒部材2を切断することにより、溶接部3が切断除去され、例えば、図6に示すような断面形状を有する湾曲した開口部材14が得られる。切断方法としては、例えば、シャーによる切断、レーザによる切断、あるいは溶断等が例示される。
次に、図7に示すように、3ロールタイプの曲げ矯正装置15を用い、開口部材14を切断箇所10からロール9により順次曲げ加工を施し、巻き癖矯正を連続して行うことにより平板状に展開し、図8に示す差厚板16を製造する。一回のパスで曲がり取りが不十分である場合には、各ロール9の回転方向を変更し、往復して曲がりを矯正するようにして、行えばよい。
巻き癖の矯正手段としては、図7に示す3ロールタイプの曲げ矯正装置15のみならず、図9に示す、一対の支持ロール9−1、9−2および昇降ロール9−2を有する曲げ矯正装置17を用いることができる。また、巻き癖の矯正手段は、ロール曲げに限定されるものではなく、図10に示す3基の金型11を有するプレス矯正装置18を用いて行うプレス曲げでも、逐次送りながら行うことにより平板である差厚板16への展開が可能である。また、一般的なローラレベラにて矯正することも可能である。
なお、ロール曲げ矯正装置による曲げ矯正では、長手方向の端部、すなわち溶接部3の近傍の矯正が不十分となり易い。したがって、この端部の矯正効果を高めるために、切断前の円筒部材2を片持ち支持タイプのロール曲げ矯正装置に装入して、溶接部を跨ぐ近傍のみを矯正し、その後、溶接部3を切断し、次いで再度ロール曲げ矯正装置で全長の曲がり矯正を行うこともできる。
以上のようにして、1の製造方法により、断面形状の設計自由度が高く、しかも断面形状の変更も容易に行えることが可能であり、品質欠陥の起点となる溶接部3を有しない、平坦性が良好な差厚金属板16を製造することが可能になる。
次に、本発明の第2の製造方法を説明する。第2の製造方法は、フローフォーミングの後の差厚円筒筒材2に拡管加工を行うことが特徴であり、第1の製造方法と同じ工程の説明は省略し、第1の製造方法とは異なる工程のみ説明する。
図11は、差厚円筒部材2−1に対する拡管加工の例(金型拡大前)を示す説明図である。図12は、差厚円筒部材2−1に対する拡管加工の例(金型拡大後)を示す説明図である。さらに、図13は、差厚円筒部材2−1に対する拡管加工の要領を説明する概要図である。
拡管加工の工程では、図11〜13に示すように円周方向に複数(この例では8個)のセグメント12a〜12hに分割された金型12を用いて差厚円筒部材2−1の内径の拡大を行う。すなわち、図11に示すように、フローフォーミング加工により部分的に減厚された差厚円筒部材2−1の内部に金型12を挿入し、例えば図13に示すように金型12の内部にくさび状部材19を押し込むことにより、図12および13に示すように金型12を構成する各セグメント12a〜12hが半径方向の外向きに等方的に移動し、これにより、差厚円筒部材2−1に対する拡管加工が行われる。
この拡管加工により、板厚減少部の内径が拡大するため、板厚減少部と非板厚減少部との周長差が小さくなり、展開加工後の差厚材16の平坦性が著しく向上するため、厳しい精度の要求に対応することができる。すなわち、差厚円筒部材2−1の内径とマンドレル4の外径のクリアランスが大きい場合に、減厚加工を行われない部分に比べて減厚加工部の径が小さくなる傾向が見られ、長手方向に周方向長さの差が発生するが、拡管加工を行うことにより、この周方向長さの差を著しく小さくすることができる。拡管加工は、長手方向の全長において円筒直径で2〜3%程度拡大することが望ましい。
なお、マンドレル4とのクリアランスを十分に小さくして、差厚円筒部材2−1をマンドレルに対して密着して減厚加工を行うことにより、拡管加工を省略した場合でも、高い平坦性を確保することができる。
拡管加工を行った後は、差厚円筒部材2−1をその溶接部3で切断して平板に展開することにより差厚金属板16を製造する。
本発明の方法により得られる差厚金属板16は、例えば、マンドレルサイズ直径を200mm以上600mm以下程度で、差厚円筒部材2−1の軸方向長さを200mm以上1800mm以下程度とすると、幅600mm×長さ200mmのサイズから幅1800mm×長さ1800mmのサイズとすることができる。
本発明の方法により、板厚0.5mm以上6mm以下程度の部材に対して、減肉部の板厚をその(1/5)以上(4/5)以下とすることができる。
金属板の素材としては、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板や銅板などに適用できる。また、溶融亜鉛メッキ鋼板などの表面処理鋼板を母材として用いても良い。
本願発明による差厚金属板16は、差厚形成の段階で塑性加工が加えられるため、加工硬化が顕著な金属材料であれば、薄肉部で強度が上昇するため薄肉化による強度低下を抑制することができる。なお、板厚に関係なく均一な母材強度が要求される場合は、差厚金属板16に熱処理等を行えばよい。
また、高温度に加熱した鋼板素材を熱間にてプレスすると同時に焼入れを行う熱間プレス加工において、鋼板素材として本発明により製造された差厚鋼板を使用する場合は、フローフォーミング加工によって生じる加工歪みが、熱間プレス前の加熱処理中に解放されるため、差厚鋼板の製造段階で母材特性を均一化するための熱処理を特別に施す必要がないので、熱間プレス用鋼材として好適である。
なお、熱間プレスは公知の方法、例えば、質量0.2%程度の炭素を含有する鋼板において、一旦900℃以上に加熱してオーステナイト化した後、高温状態のまま金型に装入してプレス成形を行うことにより行えばよい。熱間プレスではプレス成形の下死点で鋼板を保持することにより成形と同時に焼き入れが行われる。
図14は、差厚鋼板を用いた熱間プレス成形を説明する概要図である。
熱間プレスでは、鋼板は金型20との接触によって冷却されるため、本発明に係る差厚鋼板16を用いるときには、図14に示すように、差厚鋼板16の板厚分布に応じて、図16の右図により示す下死点における金型のクリアランスを設定すればよい。
以上のようにして、本発明に係る第2の製造方法により、断面形状の設計自由度が高く、しかも断面形状の変更も容易に行うことが可能であり、品質欠陥の基点となる溶接部を有しない、平坦性が極めて良好な差厚金属板16を製造することができる。
本発明を、実施例を参照しながら、より具体的に説明する。
図1〜8に示すようにして、差厚金属板16を製造した。すなわち、板厚t0=3.0mm、板幅L=1200mm、長さL=200mmの590MPa級熱延鋼板1に3ロールベンダにて曲げ加工を加えて半径190mmの曲げ曲率を与え、その後、対向する長さL2の辺1a,1bを突き合わせて抵抗溶接にて接合し、円筒部材2を製造した。
この円筒部材2は、接合時に端面同志に圧力を加え若干周長を小さくして、相当内径を376mm〜381mmとした。なお、相当内径とは、円筒部材2の内周長の測定値を3.14で除算した値である。
次いで、この円筒部材2に外径378mm、長さ600mmのマンドレル4を圧入した後、2ロール型のフローフォーミング装置13にて図4に示すように円筒部材2の中央部50mm幅に対してフローフォーミング加工を行い、図5に示すように長手方向の中央部に減肉部7を有する差厚円筒部材2−1とした。なお、円筒部材2に対する加工ロール5の押し込み量を変更するのみで、図6に示すようにt=1.0mm、1.5mmの差厚円筒部材2−1を作り分けた。なお、フローフォーミング加工では、マンドレル軸に対して対向するように直径が150mmの非駆動回転タイプの2個の加工ロール5を配置し、マンドレル4の回転数を800rpm、加工ロール5の送り速度を150mm/minとし、加工ロール5を減厚加工部で板厚方向(半径方向)に押し込むことにより行った。半径方向の押し込み速度は5mm/secとした。
その後、レーザ切断装置を用いて溶接部3で差厚円筒部材2−1をレーザ切断し、溶接部3を除去した後、図7に示す直径60mmのロール9を3基有する曲げ矯正装置15にて一方の切断端部から展開加工を順次実施し、差厚鋼板16を製造した。
なお、差厚円筒部材2−1のなかの一部の部材は、直径で2%の拡管加工を行った後に溶接部3で切断して溶接部3を除去し、その後展開加工を行い差厚鋼板16を製造した。この拡管加工では、図13に示す、くさび状部材19と8個のセグメント12a〜12hから構成される分割金型12とを用い、くさび状部材19を押し込むことでセグメント12a〜12hを半径方向に移動させることにより、円筒部材2の軸方向全長にわたって均一に拡管加工を行った。
得られた差厚鋼板16の平坦性を調査し、その結果を試験条件とともに表1にまとめて示す。この表1において平坦性を、△:可、○:良好、◎:極めて良好と表した。
Figure 0005402404
表1に示すように、本発明に係る方法により、平坦性が良好な差厚鋼板16の製造が可能であることを確認した。特に拡管加工を行うことにより差厚鋼板16の平坦性が一層向上することがわかった。
図1〜8に示すようにして、差厚金属板16を製造した。すなわち、板厚t=2.6mm、板幅L=1200mm、長さL=200mmの440MPa級熱延鋼板1に3ロールベンダにて曲げ加工を加えて半径190mmの曲げ曲率を与え、その後、対向する長さL2の辺1a,1bを突き合わせて抵抗溶接にて接合し、相当内径380mmの円筒部材2を製造した。
次いで、この円筒部材2を用い、直径150mmの2個の加工ローラ5を直径378mm、長さ600mmのマンドレル4の軸に対して対向して配置した2ロール型のフローフォーミング装置13にて、マンドレル回転数を1000rpmとし、ローラ5の送り速度を100mm/minとし、非駆動の加工ロール5の押し込み量を変更することで、差厚円筒部材21〜23を製造した。
図15〜18は、いずれも、本実施例によるフローフォーミング加工後の差厚円筒部材21〜23の断面形態を示す説明図である。
図15に示す差厚円筒部材21は、長手方向に階段状の板厚分布を有するものであり、t=2.6mm、t=2.1mm、t=1.6mm、t=1.0mmである。図16に示す差厚円筒部材22は、長手方向に複数の薄肉部を有するものであり、t=2.6mm、t=1.0mmである。図17に示す差厚円筒部材23は、なだらかな板厚変化を有するものであり、t=2.6mm、t=1.0mmである。さらに、図18に示す差厚円筒部材24は、長手方向に複数の薄肉部を有するものであり、軸方向全体を加工することでt=3.0mmに対して、t=2.4mm、t=0.6mmである。
これらの差厚円筒部材21〜24に、12個のセグメントを有する分割金型12を用いて直径で3%の拡管加工を施した後、溶接部3で切断し、ロール曲げにて展開加工を施すことで、上述の断面を有する差厚鋼板16を得た。
図1〜8に示すように、板厚t=6.0mm、板幅L=1200mm、長さL=400mmのA1050板1(アルミニウム)を曲げ加工した後、突き合わせ溶接にて内径378.5mmの円筒部材2を製作した。この円筒部材2を直径378mm、長さ600mmのマンドレル4に取付け後、2ロール型のフローフォーミング装置13を用いて円筒部材2の中央部100mm幅に対して減肉部の板厚t=3.0mmとなるようにフローフォーミング加工を行った。その後、直径で2%の拡管加工と切断、曲げ矯正機による展開加工を行うことにより、図8に示すL=500mm、L=約1200mmの差厚金属板16を得た。本実施例により、鋼板以外の金属板でも製造可能であることを確認した。
参考例1
板厚t=3.0mm、板幅L=1200mm、長さL=200mmの熱間プレス用鋼板1を用いて実施例1と同様にして、図6に示すt=1.5mmの差厚円筒部材2を製作し、レーザ切断装置を用いて溶接部3で切断した後、3ロール曲げにて展開加工を実施した。熱間プレスのブランクとして用いるために長さを整え、図8に示すL=1000mm、L=250mm、中央薄厚部100mmの差厚鋼板16を製作した。
なお、熱間プレス用鋼板は、EP規格:20MnB5(C:0.17−0.23%、Si:0.40%以下、Mn:1.10−1.40%、P:0.035%以下、S:0.040%以下、B:0.0008−0.0050%、残部:鉄および不純物、ただし、「%」は「質量%」である)を用いた。
次に、幅100mmのハットを有する金型を用いて、熱間プレスを行った。熱間プレスでは、差厚鋼板を950℃に加熱した後に金型に装入し、プレス成形を行うとともに、下死点にて20秒間の保持を行うことにより金型内でA点からの急速冷却を行い、55mm高さ×130mm幅×1000mm長さのハット状の焼き入れビームに成形した。ハット頂部、縦壁、フランジ部の硬度を、長手方向にわたって調査した結果一様な硬度が得られていることを確認した。
1 金属板
2 円筒材
2−1 差厚円筒部材
3 突き合わせ溶接部
4 マンドレル
5 加工ロール
6 加工ロールの移動方向概略
7 減肉加工部
8 加工ロールの移動方向概略
9 曲げ加工ロール
9−1 支持ロール
9−2 昇降ロール
10 溶接部を含む切断箇所
11 曲げ加工押し金型
12 セグメント
13 フローフォーミング装置
14 開口部材
15 3ロールタイプの曲げ矯正装置
16 差厚板
17 曲げ矯正装置
18 プレス矯正装置
19 くさび状部材
20 金型
21〜24 差厚円筒部材
元板厚
,t,t 減肉加工後の板厚

Claims (4)

  1. 金属製の板を円筒状に曲げ成形し、その両端部を突き合わせ接合して長手方向に延びる接合部を有する円筒素材を製造する第1の工程と、
    該円筒素材の内部に装着したマンドレルにより前記円筒素材を回転しながら、該円筒素材の外部に配置した加工ロールを前記円筒素材の肉厚方向に押圧するとともに長手方向に送り、前記加工ロールと前記マンドレルとにより該円筒素材の長手方向の全部または一部の領域の板厚を減少させる減厚加工を行い、長手方向に板厚が異なる差厚円筒部材を製造する第2の工程と、
    前記差厚円筒部材の内径を拡大する拡管加工を行う拡管工程と、拡管された前記差厚円筒部材の前記接合部を切断除去して湾曲した開口部材を製造し、次いで該開口部材を平板状に展開加工して差厚金属板を製造する第3の工程と
    を備えることを特徴とする差厚平板の製造方法。
  2. 前記拡管加工は、前記差厚円筒部材の内部に周方向に分割した金型を装入し、前記金型を半径方向に移動させることにより行う請求項に記載された差厚金属板の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載された差厚金属板の製造方法により製造されてなることを特徴とする差厚金属板。
  4. 熱間プレス用素材として用いられる請求項に記載された差厚金属板。
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