JP5400323B2 - 付着分散剤量が低減されたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法 - Google Patents

付着分散剤量が低減されたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、緩衝包装材、通函、断熱材、自動車のバンパー芯材などに用いられるポリオレフィン系樹脂発泡成形体の製造に好適に使用しうるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に関する。
ポリオレフィン系樹脂発泡成形体は、緩衝包装材、バンパーコア材を始めとした自動車部材などに広く使われている。これらポリオレフィン系樹脂発泡成形体はポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子から製造される。
通常、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造するには、オートクレーブ等の耐圧容器内で水性媒体に無機分散剤とともに分散させた樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、次いで発泡剤を含浸した樹脂粒子を樹脂粒子軟化温度以上の温度で容器内より低圧の雰囲気下に放出して発泡させる方法が採用されている。
この際、樹脂粒子の水性媒体への分散状態を安定化するために、樹脂粒子の表面を被覆して樹脂粒子を水に馴染みやすくするとともに、粒子同士の接着を妨げる作用がある、酸化アルミニウム、酸化チタン、第三リン酸カルシウム、カオリンなどの無機物質分散剤やN−ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの水性高分子保護コロイド剤等の分散剤を使用する。
しかし、これら分散剤は、得られた予備発泡粒子の表面に残留し、特に無機系分散剤の場合には、その使用量が多いため、予備発泡粒子の表面に残留する分散剤量も多くなる傾向にある。このような予備発泡粒子は、型内発泡成形体の成形工程において予備発泡粒子を加熱しても、粒子同士が融着しにくくなる場合があり、予備発泡粒子に付着している分散剤を除去することが望まれていた。
予備発泡粒子表面の分散剤を除去する方法としては、発泡粒子を水没させて洗浄する方法(特許文献1)、発泡粒子に特定の鉱酸水溶液を噴霧して洗浄する方法(特許文献2)等が知られている。しかしながら、これらの方法では、洗浄するために大量の水や酸水溶液が必要となり洗浄コストや洗浄廃液の処理コストが必要になるなどの問題があった。
特許文献3は、低い発泡倍率のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用いた型内発泡成形時における、外観低下や剛性等の物性の低下等の課題の解決を目的とした文献であるが、該特許文献中には、分散助剤として、界面活性剤のほかに、硫酸、塩酸、硝酸等の強酸や硫酸アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム等の強酸塩または強酸塩水和物が使用しうることが例示されている。また、融着防止剤に珪酸塩鉱物、分散助剤に強酸塩または強酸塩水和物とアニオン系界面活性剤を用いることで付着分散剤量を低減しうることが開示されている。しかしながら、該特許文献には、第三リン酸カルシウムを融着防止剤として使用した場合の、融着防止剤低減する方法については、具体的には、水洗することが実施例に開示されているに過ぎない。
特開平9−124832号公報 特開平8−225675号公報 特開2000−63556号公報
本発明の目的は、予備発泡粒子表面に付着する分散剤量が低減されたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂粒子を水、分散剤、分散助剤を含んでなる分散液を耐圧容器内に入れ、内容物を加熱した後、発泡剤にて加圧下のもと、内容物を前記耐圧容器内よりも低圧雰囲気下に放出してポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造する際に、pH調整剤を用い、耐圧容器内のpHを所定の範囲に調節することで、耐圧容器内におけるポリオレフィン系樹脂粒子の分散が安定な状態で製造でき、更に予備発泡粒子の表面に残留する分散剤が少ないポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の第1は、ポリオレフィン系樹脂粒子、水、分散剤、分散助剤を含んでなる分散液と発泡剤を耐圧容器内に入れ、加圧下のもと、耐圧容器内を所定の温度まで加熱し、温度及び圧力を一定に保ちながら、前記分散液を耐圧容器内よりも低圧雰囲気下に放出して、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を得る方法において、分散剤としてリン酸カルシウムを用い、耐圧容器内の分散液のpHをpH調整剤で3以上7未満に調整するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に関する。
好ましい態様としては、
(1)耐圧容器内の分散液のpHをpH調整剤でpHを3以上6以下に調整する、
(2)pH調整剤が、酸および/または弱酸塩である、
(3)発泡剤として、沸点が70℃以下の脂肪族炭化水素、水から選ばれる1種以上を用いる、
(4)ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に付着した分散剤量がポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に対して700ppm以下である、
前記記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法に関する。
本発明の第は、前記記載の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を金型内に充填し加熱して得られるポリオレフィン系樹脂発泡成形体の製造方法に関する。
本発明の製造方法によれば、分散剤量を増さなくとも、分散状態が安定であり、かつ、得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、その表面に付着する分散剤量が少ないため、該予備発泡粒子を成形すると融着良好なポリオレフィン系樹脂発泡成形体が得られる。
本発明は、ポリオレフィン系樹脂粒子、水、分散剤、分散助剤を含んでなる分散液と発泡剤を耐圧容器内に入れ、加圧下、耐圧容器内を所定の温度まで加熱し、温度及び圧力を一定に保ちながら、前記分散液を耐圧容器内よりも低圧雰囲気下に放出して、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を得る方法において、分散剤として第三リン酸カルシウムを用い、耐圧容器内の分散液のpHをpH調整剤で3以上7未満に調整するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法である。
本発明において用いるポリオレフィン系樹脂粒子を構成するポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体、無水マレイン酸−プロピレンランダム共重合体、無水マレイン酸−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−無水マレイン酸グラフト共重合体等のポリプロピレン系樹脂、スチレン改質ポリオレフィン等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は無架橋のものが好ましいが、架橋したものも使用できる。
ポリオレフィン系樹脂は、既知の方法を用いて、ポリオレフィン系樹脂粒子の形状とする。例えば、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー(商標)、ロール等を用いて溶融して、1粒の重量が0.2〜10mg、好ましくは0.5〜6mgのポリオレフィン系樹脂粒子に加工される。一般的には、押出機を用いて溶融し、ストランドカット法にて製造することが好ましい。例えば、円形ダイスからストランド状に押出されたポリオレフィン系樹脂を水、空気等で冷却、固化させたものを切断して、所望の形状のポリオレフィン系樹脂粒子を得ることが出来る。
また、スチレン改質ポリオレフィンの樹脂粒子の製造方法としては、例えば前記と同様にしてポリオレフィン樹脂粒子を作製し、該ポリオレフィン系樹脂粒子を、分散媒中に分散させながら、スチレンなどのビニル系単量体を含浸重合させることにより、樹脂粒子形状とする方法がある。
また、ポリオレフィン系樹脂粒子の製造の際にセル造核剤を添加することが、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子とした時のセル径を所望の値に調整することが出来るため好ましい。セル造核剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウム等の無機系造核剤が一般に使用される。セル造核剤の添加量は、使用するポリオレフィン系樹脂の種類、セル造核剤の種類により異なり一概には規定できないが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、概ね0.001重量部以上2重量部以下であることが好ましい。
更に、ポリオレフィン系樹脂粒子の製造の際、必要により種々の添加剤を、ポリオレフィン系樹脂の特性を損なわない範囲内で添加することができる。添加剤としては、例えば、カーボンブラック、有機顔料などの着色剤;
アルキルジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルエタノールアミン、ポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライドなどの帯電防止剤;
IRGANOX(登録商標)1010(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGANOX(登録商標)1076(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGANOX(登録商標)1330(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGANOX(登録商標)1425WL(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGANOX(登録商標)3114(登録商標)(チバ スペシャルティ ケミカルズ)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;
IRGAFOS(登録商標)168(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGAFOS(登録商標)P−EPQ(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、IRGAFOS126、等のリン系加工安定剤;
ラクトン系加工安定剤;
ヒドロキシルアミン系加工安定剤、IRGANOX(登録商標)MD1024(チバ スペシャルティ ケミカルズ)等の金属不活性剤;
TINUVIN(登録商標)326(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、TINUVIN(登録商標)327等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
TINUVIN(登録商標)120等のベンゾエート系光安定剤;
CHIMASSORB119(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、CHIMASSORB(登録商標)944(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、TINUVIN(登録商標)622(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、TINUVIN(登録商標)770等のヒンダードアミン系光安定剤;
ハロゲン系難燃剤および三酸化アンチモン等の難燃助剤;
FLAMESTAB(登録商標)NOR116(チバ スペシャルティ ケミカルズ)、MELAPUR(登録商標)MC25(チバ スペシャルティ ケミカルズ)等の非ハロゲン系難燃剤;
ハイドロタルサイト、ステアリン酸カルシウム等の酸中和剤;
IRGASTAB(登録商標)NA11(チバ スペシャルティ ケミカルズ)等の結晶核剤;
エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等のアミド系添加剤などが例示される。
これら添加剤を使用した場合、一般的には付着分散剤量が増加する傾向があるものがいくつか散見されるが、そのような場合に、とりわけ本発明の効果が発揮される。中でも添加剤として、アミド系添加剤を使用した場合の付着分散剤低減効果は顕著である。
本発明におけるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、耐圧容器内に、ポリオレフィン系樹脂粒子、水、分散剤、分散助剤を含んでなる分散液とともにpH調整剤を入れ、分散液のpHを3以上7未満に調整し、発泡剤を耐圧容器内に仕込み、所定の温度まで加熱し、加圧下のもと、温度及び圧力を一定に保ちながら、前記分散液を前記耐圧容器内よりも低圧の雰囲気下に放出することによって得られる。
使用する耐圧容器には特に限定はなく、予備発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよく、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器が挙げられる。
前記発泡剤として、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の脂肪族炭化水素;空気、窒素等の無機ガス;水などが挙げられ、単独あるいは2種以上を併用して使用することができる。中でも、沸点が70℃以下の脂肪族炭化水素、水から選ばれる1種以上を用いることが、本発明による付着分散剤量低減効果が顕著であるため好ましい。
発泡剤の使用量は、使用するポリオレフィン系樹脂の種類、発泡剤の種類、目的とする発泡倍率等により異なり、一概には規定できないが、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して、2重量部以上60重量部以下であることが好ましい。
本発明において、分散剤としては、リン酸カルシウムを使用する。本発明でいうところのリン酸カルシウムは、主に第三リン酸カルシウムもしくはヒドロキシアパタイトを含んでなるものであり、上記2種の混合物でも良い。さらにこれに加え、その他のリン酸カルシウム塩が含まれたものでも良い。
分散剤の使用量は、ポリオレフィン系樹脂粒子の種類・量、発泡剤等によって異なり、一概に規定できないが、ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して、0.2重量部以上5重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2重量部以上3.0重量部以下である。
分散助剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやn−パラフィンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、マレイン酸α−オレフィン共重合体塩等のアニオン系高分子界面活性剤、ポリビニルアルコール等のノニオン系高分子界面活性剤等の界面活性剤が挙げられ、単独あるいは2種以上を併用して使用することができる。中でも、アニオン系界面活性剤、アニオン系高分子界面活性剤が良好な分散力を発揮する点から好ましく、特にn−パラフィンスルホン酸ナトリウムは生分解が高いため好ましい。
分散剤と分散助剤との組み合わせとしては、リン酸カルシウムとn−パラフィンスルホン酸ナトリウムとの組み合わせが、分散安定性が良いため好ましい。
分散助剤の使用量は、その種類や用いるポリオレフィン系樹脂の種類・量、発泡剤の種類などによって異なり一概に規定できないが、通常、水100重量部に対して、分散助剤0.001重量部以上0.2重量部以下であることが好ましい。分散助剤が当該範囲内である場合、耐圧容器内での樹脂粒子の分散がより安定になる傾向にある。
本発明に用いるpH調整剤としては、リン酸、クエン酸、塩酸、硝酸、酢酸、ホウ酸、ギ酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸等の酸、リン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等の弱酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸鉄等の強酸塩が挙げられ、これらは単独あるいは併用して用いることができる。中でも、酸および/または弱酸塩を使用することが耐圧容器内分散液の分散安定性が良いため好ましく、さらには塩酸を使用することが好ましい。
分散液のpHの測定は、所定量の水、分散剤、分散助剤、pH調整剤を容器内に入れ、攪拌した後、分散液の一部を採取し、pHメーターで測定する。
分散液のpHはpH調整剤にて3以上7未満に調整する。pHが3より低くなると分散剤として用いるリン酸カルシウムの溶解が進行し、分散状態が悪化し、耐圧容器内でポリオレフィン系樹脂粒子同士が融着して大小の塊が形成され、場合によってはポリオレフィン系樹脂粒子のほとんどが融着してしまう。pHが7以上であれば得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に付着する分散剤量が多く、該ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を成形した場合に良好な融着性が得られない。
また、ポリオレフィン系樹脂粒子の水中での分散性を良好なものにするために、該ポリオレフィン系樹脂粒子100重量部に対して水100重量部以上500重量部以下使用するのが好ましい。
この様にして耐圧容器内に調整されたポリオレフィン系樹脂粒子、水、分散剤、分散助剤を含んでなる分散液は、発泡剤を添加し、攪拌下、所定の圧力まで加圧され、所定の温度まで昇温され、一定時間、通常5〜180分間、好ましくは10〜60分間保持された後、加圧された分散液を、耐圧容器下部に設けられたバルブを開放して低圧雰囲気下(通常は大気圧下)に放出することによりポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造することができる。
なお、発泡剤として、分散液を構成する水を使用する場合、耐圧容器内は窒素、空気、二酸化炭素等の無機ガスにて加圧することが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂粒子を含んだ分散液を低圧雰囲気に放出する際、流量調整、倍率バラツキ低減などの目的で2〜10mmφの開口オリフィスを通して放出することもできる。また、発泡倍率を高くする目的で、前記低圧雰囲気を飽和水蒸気で満たす場合もある。
耐圧容器内を加熱する温度(以下、発泡温度と称す場合がある)は、用いるポリオレフィン系樹脂の融点[Tm(℃)]、発泡剤の種類等により異なり、一概には規定できないが、概ねTm−30(℃)〜Tm+10(℃)の範囲から決定される。また、耐圧容器内を加圧する圧力(以下、発泡圧力と称す場合がある)は、用いるポリオレフィン系樹脂の種類、発泡剤の種類、所望の予備発泡粒子の発泡倍率によって異なり、一概には規定できないが、概ね1〜8MPa・Gの範囲から決定される。
なおここでいうポリオレフィン系樹脂の融点とは、示差走査熱量計を用いて、試料5〜6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する事によりポリオレフィン系樹脂粒子を融解し、その後10℃/minで220℃から40℃まで降温することにより結晶化させた後に、さらに10℃/minで40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線から、2回目の昇温時の融解ピーク温度として求められる値である。
本発明で得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、その表面の付着分散剤量が従来の方法で得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子と比べて、低減されており、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に対する付着分散剤量は、好ましくは700ppm以下で、より好ましくは500ppm以下である。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に付着した分散剤の定量は次の通り行われる。すなわち、得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を60℃のオーブンで24時間乾燥させ、ついでオーブンから取り出したポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を直ちに温度23℃、相対湿度50%に設定された室内に72時間放置する。次に同じ条件に設定された室内においてポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子100gを小数点以下第3位まで正確に重量を測定し、小数点以下第3位を四捨五入した値を、分散剤が付着したポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の重量:F(g)とする。次に上記の重量測定に使用したポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の全量を5Lの1N塩酸水溶液に浸漬して洗浄した後、5Lのイオン交換水に浸漬して塩酸溶液を洗い落とし、ついで5Lの1N水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して洗浄した後、5Lのイオン交換水に浸漬して水酸化ナトリウムを洗浄する。この作業を2回繰り返した後、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子全量を60℃オーブンで24時間乾燥した後、ついでオーブンから取り出し直ちに23℃、相対湿度50%に設定された室内に72時間放置する。続いて同じ条件に設定された室内で、上記と同様にポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の重量:S(g)を求める。重量:Fと重量:Sとの差をポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の表面に付着している分散剤の量とし、分散剤が付着しているポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に対する付着量を採用する。
付着分散剤量(ppm)=(F−S)/F×106
以上のようにして得たポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は、従来から知られている成形方法により、ポリオレフィン系樹脂発泡成形体にすることができる。例えば、イ)予備発泡粒子を無機ガス、例えば空気や窒素等で加圧処理して予備発泡粒子内に無機ガスを含浸させ所定の予備発泡粒子内圧を付与した後、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、ロ)予備発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し、予備発泡粒子の回復力を利用して、水蒸気で加熱融着させる方法、ハ)特に前処理することなく予備発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、などの方法が利用し得る。
本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子は付着分散剤量が少ないため、該ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子から得られるポリオレフィン系樹脂発泡成形体は、融着性が良好である。従って、強度と軽量化が要求される用途、例えば、緩衝包装材、バンパーコア材を始めとした自動車部材に好適に使用し得る。
次に、本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法を実施例及び比較例を挙げて、詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<メルトフローインデックスの測定>
メルトフローインデックス(MI)の測定は、JIS K7210記載のMI測定器を用い、オリフィス2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、230±0.2℃の条件下で行った。
<耐圧容器内の分散安定性>
耐圧容器内での分散安定性については以下の指標で評価した。即ち、耐圧容器内で水系分散媒に分散させたポリオレフィン系樹脂粒子をポリオレフィン系樹脂粒子の融点[T
m(℃)]に対して、Tm−30(℃)〜Tm+10(℃)の温度に加熱したときに、耐圧容器内が攪拌不可能となり予備発泡できなくなった状態を×とし、予備発泡できた場合については、予備発泡を行った後に耐圧容器内に残ったポリオレフィン系樹脂粒子の状態を観察し、耐圧容器内に塊が生じたものを△、2〜3個程度の樹脂粒子が接着したものが残留したのみであれば分散性○、全ての樹脂粒子どうしが接着してない状態にあれば分散性良好で◎とした。
<曲げ弾性率>
曲げ弾性率はJIS K7106に準拠して測定した。
<見かけ密度>
ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を10L容器に入れ、容器内の予備発泡粒子重量(g)を測定する。得られた重量を容器容量(L)で除して見かけ密度(g/L)とした。
<付着分散剤量>
得られたポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を水洗後、60℃のオーブンで24時間乾燥させ、ついでオーブンから取り出したポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を直ちに温度23℃、相対湿度50%に設定された室内に72時間放置する。次に同じ条件に設定された室内においてポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子100gを小数点以下第3位まで正確に重量を測定し、小数点以下第3位を四捨五入した値を、分散剤が付着したポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の重量:F(g)とする。次に上記の重量測定に使用した発泡粒子の全量を5Lの1N塩酸水溶液に浸漬して洗浄した後、5Lのイオン交換水に浸漬して塩酸溶液を洗い落とし、ついで5Lの1N水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して洗浄した後、5Lのイオン交換水に浸漬して水酸化ナトリウムを洗浄する。この作業を2回繰り返した後、発泡粒子全量を60℃オーブンで24時間乾燥した後、ついでオーブンから取り出し直ちに23℃、相対湿度50%に設定された室内に72時間放置する。続いて同じ条件に設定された室内で、上記と同様にポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の重量:S(g)を求める。重量:Fと重量:Sとの差をポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の表面に付着している分散剤の量とした。
<発泡成形体の融着率の評価>
400×300×60mmの金型で成形して得たポリオレフィン系樹脂発泡成形体を、カッターナイフで発泡成形体の厚み方向に約10mmの切り込みを入れた後、手で切り込み部から発泡成形体を破断する。破断面を観察し、破壊された発泡粒子の割合を求めた。
(実施例1)
基材樹脂として、MI=7/10分、融点143℃、曲げ弾性率800MPa、コモノマーとしてエチレンを3.6wt%含むエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、セル造核剤としてタルク0.03重量部用いて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体とタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.8mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(2kg)、水283重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)1.07重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.044重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、1N塩酸で分散液のpHを5.9に調整した後、攪拌下、発泡剤としてイソブタンを18重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、137℃の発泡温度まで加熱した。その後、イソブタンを追加圧入してオートクレーブ内を1.9MPa・Gの発泡圧力まで昇圧し、前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子に空気加圧処理により空気を含浸させて0.08〜0.10MPa・Gの内圧を付与した後、400×300×60mmの金型内に充填し、0.26MPa・Gの成形温度の蒸気で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表1に示す。
Figure 0005400323
Figure 0005400323
(実施例2)
基材樹脂として、MI=6/10分、融点146℃、曲げ弾性率1000MPa、コモノマーとしてエチレンを2.8wt%含むエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、カーボンブラックを4重量部、更にセル造核剤としてタルク0.03重量部用いて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体とカーボンブラックとタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(2kg)、水200重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)1.12重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.031重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、1N塩酸で分散液のpHを6.0に調整した後、攪拌下、発泡剤としてイソブタンを13重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、141℃の発泡温度まで加熱した。その後、イソブタンを追加圧入してオートクレーブ内を1.9MPa・Gの発泡圧力まで昇圧し、前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子に空気加圧処理により空気を含浸させて0.08〜0.10MPa・Gの内圧を付与した後、400×300×60mmの金型内に充填し、0.28MPa・Gの成形温度の蒸気で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
分散液のpHを5.0に調整した以外は実施例2と同様の方法で予備発泡粒子を得、実施例2と同条件で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
6N塩酸で分散液のpHを3.3に調整した以外は実施例2と同様の方法で予備発泡粒子を得、実施例2と同条件で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表1に示す。
実施例1〜4の結果より、pHが3以上7未満の領域で、オートクレーブ内の分散安定性を損なうことなく、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の表面付着分散剤量を低減することができ、発泡成形体の融着が良くなった。
(実施例5)
基材樹脂として、MI=6/10分、融点146℃、曲げ弾性率1000MPa、コモノマーとしてエチレンを2.8wt%含むエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、エチレンビスステアリン酸アミドを2.0重量部、更にセル造核剤としてタルク0.03重量部用いて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体とエチレンビスステアリン酸アミドとタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.8mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(1.8kg)、水269重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)1.39重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.03重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、1N塩酸で分散液のpHを6.0に調整した後、攪拌下、発泡剤としてイソブタンを20重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、133℃の発泡温度まで加熱した。その後、イソブタンを追加圧入してオートクレーブ内を2.2MPa・Gの発泡圧力まで昇圧し、前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子に空気加圧処理により空気を含浸させて0.08〜0.10MPa・Gの内圧を付与した後、400×300×60mmの金型内に充填し、0.28MPa・Gの成形温度の蒸気で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表1に示す。
実施例2〜5の結果より、カーボンブラックやエチレンビスステアリン酸アミドなど、添加剤が入っていても分散安定性を損なうことなく、ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の表面付着分散剤量を低減することができる。
(実施例6)
基材樹脂として、MI=6/10分、融点146℃、曲げ弾性率1000MPa、コモノマーとしてエチレンを2.8wt%含むエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、メラミン(BASF社製)を0.5重量部、更にセル造核剤としてタルク0.3重量部用いて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体とメラミンとタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(2.4kg)、水200重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)0.8重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.01重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、1N塩酸で分散液のpHを6.1に調整した後、攪拌した。オートクレーブ内容物を昇温し、154℃の発泡温度まで加熱した後、圧縮空気を圧入してオートクレーブ内を2.0MPa・Gの発泡圧力に調整し、該ポリプロピレン系樹脂粒子内に水を含浸させ、前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を、水蒸気にて雰囲気温度を100℃に調整した大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子に空気加圧処理により空気を含浸させて0.08〜0.10MPa・Gの内圧を付与した後、400×300×60mmの金型内に充填し、0.28MPa・Gの成形温度の蒸気で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表1に示す。
実施例6の結果より、発泡剤に水を用いた場合も、オートクレーブ内の分散安定性を損なうことなく、予備発泡粒子の表面付着分散剤量を低減することができ、発泡成形体の融着が良くなった。
(実施例7)
基材樹脂として、MI=6/10分、融点146℃、曲げ弾性率1000MPa、コモノマーとしてエチレンを2.8wt%を含むエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、エチレンビスステアリン酸アミドを2.0重量部、更にセル造核剤としてタルク0.03重量部用いて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体とエチレンビスステアリン酸アミドとタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(1.8kg)、水269重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)1.39重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.03重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、リン酸二水素ナトリウムで分散液のpHを4.6に調整した後、攪拌下、発泡剤としてイソブタンを20重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、133℃の発泡温度まで加熱した後、その後、イソブタンを追加圧入してオートクレーブ内を2.2MPa・Gの発泡圧力に調整し、前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子に空気加圧処理により空気を含浸させて0.08〜0.10MPa・Gの内圧を付与した後、400×300×60mmの金型内に充填し、0.28MPa・Gの成形温度の蒸気で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表1に示す。
(実施例8)
クエン酸で分散液のpHを5.6に調整した以外は、実施例7と同様の方法で予備発泡粒子を得、実施例7と同条件で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表1に示す。
(実施例9)
基材樹脂として、MI=2/10分、融点123℃、コモノマーとして4−メチルペンテンを8.2wt%含む直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対し、セル造核剤としてタルク0.03重量部用いて、前記直鎖状低密度ポリエチレンとタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.8mg/粒のポリエチレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリエチレン系樹脂粒子100重量部(2.0kg)、水232重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)1.38重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.01重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、1N塩酸で分散液のpHを6.0に調整した後、攪拌下、発泡剤としてイソブタンを13重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、117℃の発泡温度まで加熱した。その後、イソブタンを追加圧入してオートクレーブ内を1.9MPa・Gの発泡圧力まで昇圧し、該発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子を、400×300×60mmの金型内に充填し、0.10MPa・Gの成形温度の蒸気で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表1に示す。
(実施例10)
ポリエチレン系樹脂であるエバテートF1103−1(住友化学株式会社製)を使用し、ポリエチレン系樹脂100重量部に対してタルク0.2重量部を混合し押出機内で溶融混合して造粒し水中に押出した直後にカッティングすることで粒重量約1mg/粒の球状としたポリエチレン系樹脂粒子を作製した。
続いて0.006m3オートクレーブに水150重量部に、第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)1.0重量部、α−オレフィンスルホン酸ソーダ0.024重量部、ポリエチレン系樹脂粒子30重量部を懸濁させ、スチレン15重量部に、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.26重量部(10時間半減期温度:74℃)、ラジカル種発生型架橋剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度:104℃)0.60重量部を溶解させた溶液を添加した。その後、この水性懸濁液を70℃まで昇温し、30分間維持することでポリエチレン系樹脂粒子にスチレン単量体溶液を含浸させた。更に85℃まで昇温し、スチレン単量体55重量部を3時間40分かけて反応系中に滴下し重合を行い、更に125℃昇温して30分保持し、冷却後、洗浄・脱水・乾燥することによりスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子を得た。この時点での架橋剤分解量は、26%であった。
得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子100重量部(0.75kg)、水150重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)2.0重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.01重量部を容量0.0045m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、1N塩酸で分散液のpHを6.0に調整した後、攪拌下、発泡剤としてイソブタンを20重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、140℃の発泡温度まで加熱した。1.8MPa・Gにて30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。得られたスチレン改質ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子を洗浄・脱水・乾燥し、室温で2日間養生させた後、400×300×60mmの金型内に充填し、0.10MPa・Gの成形温度の蒸気で加熱、融着させて発泡成形体とした。
(実施例11)
基材樹脂として、MI=6/10分、融点146℃、曲げ弾性率1000MPa、コモノマーとしてエチレンを2.8wt%含むエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部に対し、ポリエーテル−ポリオレフィン系樹脂ブロック共重合体(商品名:ペレスタット303、三洋化成社製)を10重量部、更にセル造核剤としてタルク0.03重量部用いて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体とメラミンとタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.2mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(1.8kg)、水269重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製)1.5重量部、分散助剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム0.04重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、1N塩酸で分散液のpHを5.6に調整した後攪拌下、発泡剤としてイソブタンを18重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、140℃の発泡温度まで加熱した。その後、イソブタンを追加圧入してオートクレーブ内を2.0MPa・Gの発泡圧力まで昇圧し、前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子に空気加圧処理により空気を含浸させて0.08〜0.10MPa・Gの内圧を付与した後、400×300×60mmの金型内に充填し、0.28MPa・Gの成形温度の蒸気で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
分散液のpHを調整しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で予備発泡粒子を得、実施例1と同条件で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
分散液のpHを調整しなかったこと以外は実施例2と同様の方法で予備発泡粒子を得、実施例2と同条件で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
6N塩酸を用いて分散液のpHを2.8に調整したこと以外は実施例2と同様の方法で行った。評価結果を表2に示す。
(比較例4)
分散液のpHを調整しなかったこと以外は実施例5と同様の方法で予備発泡粒子を得、実施例5と同条件で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表2に示す。
(比較例5)
分散液のpHを調整しなかったこと以外は実施例6と同様の方法で予備発泡粒子を得、実施例6と同条件で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表2に示す。
(比較例6)
分散液のpHを調整しなかったこと以外は実施例9と同様の方法で予備発泡粒子を得、実施例9と同条件で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表2に示す。
(比較例7)
基材樹脂として、MI=7/10分、融点143℃、曲げ弾性率800MPa、コモノマーとしてエチレンを3.6wt%含む100重量部に対し、セル造核剤としてタルク00.3重量部用いて、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体とタルクをドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を押出機内で溶融混練し円形ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、一粒の重量が1.8mg/粒のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部(1.5kg)、水300重量部、分散剤としてカオリン(Engelhald社製)0.30重量部、分散助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸0.006重量部を容量0.01m3の耐圧オートクレーブ中に仕込み、攪拌下、発泡剤としてイソブタンを18重量部添加した。オートクレーブ内容物を昇温し、137℃の発泡温度まで加熱した。その後、イソブタンを追加圧入してオートクレーブ内を1.9MPa・Gの発泡圧力まで昇圧し、該発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、4.0mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を大気圧下に放出してポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子に空気加圧処理により空気を含浸させて0.08〜0.10MPa・Gの内圧を付与した後、400×300×60mmの金型内に充填し、0.26MPa・Gの成形温度の蒸気で加熱、融着させて発泡成形体とした。評価結果を表2に示す。
(比較例8)
1N塩酸で分散液のpHを6.0に調整したこと以外は比較例7と同様の方法で予備発泡粒子を得、比較例7と同条件で融着させて発泡成形体とした。評価結果を表2に示す。
比較例7、8より分散剤にカオリンを用いた場合は、本発明の効果が小さいことがわかった。
(比較例9)
分散液のpHを調整しなかったこと以外は実施例10と同様の方法で予備発泡粒子を得、実施例10と同条件で融着させて発泡成形体とした。評価結果を表2に示す。
(比較例10)
分散液のpHを調整しなかったこと以外は実施例11と同様の方法で予備発泡粒子を得、実施例11と同条件で融着させて発泡成形体とした。評価結果を表2に示す。

Claims (6)

  1. ポリオレフィン系樹脂粒子、水、分散剤、分散助剤を含んでなる分散液と発泡剤を耐圧容器内に入れ、加圧下のもと、耐圧容器内を所定の温度まで加熱し、温度及び圧力を一定に保ちながら、前記分散液を耐圧容器内よりも低圧雰囲気下に放出して、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を得る方法において、分散剤としてリン酸カルシウムを用い、耐圧容器内の分散液のpHをpH調整剤で3以上7未満に調整するポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  2. 耐圧容器内の分散液のpHをpH調整剤でpHを3以上6以下に調整する請求項1記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  3. pH調整剤が、酸および/または弱酸塩である請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  4. 発泡剤として、沸点が70℃以下の脂肪族炭化水素、水から選ばれる1種以上を用いる請求項1〜3何れか一項に記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  5. ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に付着した分散剤量がポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に対して700ppm以下である、請求項1〜4何れか一項に記載のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製造方法
  6. 請求項1〜何れかに記載の製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を金型内に充填し加熱して得られるポリオレフィン系樹脂発泡成形体の製造方法
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