JP5396123B2 - 流体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、流体噴射装置に関する。
媒体に流体を噴射する流体噴射装置として、例えば下記特許文献1及び特許文献2に記載のインクジェットプリンターが知られている。
特許文献1におけるインクジェットプリンターは、複数のインクジェットヘッドをメンテナンスすべく、インクジェットヘッドの下方に配置されている紙葉類を支持する無端状の搬送ベルトを弛ませてインクジェットヘッドと搬送ベルトとの間を離間させた後、メンテナンスユニットを上昇させてインクジェットヘッドのノズル面にキャップを密着させて所望のクリーニング処理を行う構成となっている。
特許文献2におけるインクジェットプリンターは、インクを記録媒体上に正確に着弾させて記録画像の高画質化を図るべく、給紙部にセットされた記録媒体の種類を紙種センサーで検出し、その種類に応じて予め設定されたインクジェットヘッドとプラテン/記録媒体との間の間隔距離の設定値を取得し、間隔センサーを用いてを実測すると共に、設置値と実測値とが異なる場合にインクジェットヘッドをプラテンに対して変位させて、記録媒体に対するインクの噴射距離を最適な距離に調整する構成となっている。
特開2006−321239号公報 特開2007−160813号公報
しかしながら、特許文献1においては、無端状の搬送ベルトは、そのつなぎ目の強度の確保が難しく、小さい角度で湾曲することができないため、必然的に搬送ベルト用のローラーの径が大きくなり、搬送ベルトの下方に配置されたメンテナンスユニットがインクジェットヘッドから離れてしまう。したがって、上記のような大掛かりな機構が必要とされてメンテナンスユニットの昇降動作に時間が掛かり、クリーニング処理と記録処理とを迅速に切り替えることができないという問題がある。
他方、特許文献2においては、インクジェットヘッドを可動する構成であることから、インクジェットヘッドがクリーニング処理時、ノズル面にキャップを密着させる際の荷重に耐えられずに、ノズル面とキャップとの間の密着不良が生じ、キャップを介したインク吸引動作の能率を低下させる等といったメンテナンス不良を引き起こす問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、流体の噴射距離を調整可能で、且つ、メンテナンス不良を防止しつつクリーニング処理と記録処理とを迅速に切り替えることができる流体噴射装置を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明は、流体を噴射する複数のノズルが設けられた噴射面から上記流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドを備える流体噴射装置であって、上記媒体を支持して搬送する搬送路の一部を構成する媒体支持部材と、上記流体噴射ヘッドの上記噴射面と対向して配置され、上記流体を受ける流体受け部材と、上記媒体支持部材を、上記流体噴射ヘッドと上記流体受け部材との間を遮る遮蔽位置と、上記遮蔽位置から退避する非遮蔽位置との間において移動させる第1媒体支持部材移動装置と、上記媒体支持部材を、上記流体噴射ヘッドの上記噴射面と対向する対向方向において移動させる第2媒体支持部材移動装置と、上記媒体支持部材を支持し、上記媒体支持部材の上記第1媒体支持部材移動装置による移動方向に沿って回転自在なローラー部とを有し、上記第2媒体支持部材移動装置は、上記ローラー部と上記媒体支持部材との接点位置を上記対向方向において移動させるという構成を採用する。
また、本発明においては、流体を噴射する複数のノズルが設けられた噴射面から上記流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドを備える流体噴射装置であって、上記媒体を支持して搬送する搬送路の一部を構成する媒体支持部材と、上記流体噴射ヘッドの噴射面と対向して配置され、上記流体を受ける流体受け部材と、上記媒体支持部材を、上記流体噴射ヘッドと上記キャップ部材との間を遮る遮蔽位置と、上記遮蔽位置から退避する非遮蔽位置との間において移動させる第1媒体支持部材移動装置と、上記媒体支持部材を、上記流体噴射ヘッドの噴射面と対向する対向方向において移動させる第2媒体支持部材移動装置とを有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、対向する流体噴射ヘッドと流体受け部材との間に配置された媒体支持部材を、遮蔽位置から非遮蔽位置に移動させることにより流体受け部材を露出させ、流体噴射ヘッドと流体受け部材とを直接対向させることが可能となり、また、媒体支持部材を流体噴射ヘッドの噴射面と対向する方向に移動させることにより媒体に対する流体噴射距離を調整することが可能となる。
また、本発明においては、上記媒体支持部材を支持し、上記媒体支持部材の上記第1媒体支持部材移動装置による移動方向に沿って回転自在なローラー部を有し、上記第2媒体支持部材移動装置は、上記ローラー部と上記媒体支持部材との接点位置を上記対向方向において移動させるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、ローラー部により媒体支持部材を支持しつつ媒体支持部材の遮蔽位置と非遮蔽位置との間の移動をガイドし、ローラー部と媒体支持部材との接点位置を対向方向において移動させることで、媒体支持部材を対向方向に移動させて媒体に対する流体噴射距離を調整することが可能となる。
また、本発明においては、上記第2媒体支持部材移動装置は、互いに径の異なる上記ローラー部を周方向に所定間隔をおいて複数有すると共に所定位置において回転自在に支持されるシャフト部と、上記複数のローラー部のうちいずれか一つを、上記媒体支持部材を上記対向方向において支持する支持位置に位置させるように上記シャフト部を回転させる回転駆動装置とを有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、シャフトを回転させ、対向方向で媒体支持部材を支持するローラー部を、異なる径を有するローラー部のうちから選択することで、媒体支持部材を対向方向に移動させて媒体に対する流体噴射距離を調整することが可能となる。
また、本発明においては、上記第2媒体支持部材移動装置は、同径の上記ローラー部を周方向に所定間隔をおいて複数有すると共に所定位置において回転自在に支持されるシャフト部と、上記ローラー部のそれぞれの回転軸と上記シャフト部の回転軸との間の距離を、互いに異ならせるように支持する支持部と、上記複数のローラー部のうちいずれか一つを、上記媒体支持部材を上記対向方向において支持する支持位置に位置させるように上記シャフト部を回転させる回転駆動装置とを有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、シャフトを回転させ、対向方向で媒体支持部材を支持するローラー部を、シャフトの回転軸に対して回転軸の距離が異なる同径のローラー部のうちから選択することで、媒体支持部材を対向方向に移動させて媒体に対する流体噴射距離を調整することが可能となる。
また、本発明においては、上記媒体の厚さに応じて上記回転駆動装置の駆動を制御する制御装置を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、媒体の厚さに応じて媒体支持部材を対向方向に移動させることで、その媒体に適切な流体噴射距離で記録処理を行うことが可能となる。
また、本発明においては、上記第1媒体支持部材移動装置による上記媒体支持部材の移動方向は、上記媒体の搬送方向であるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、流体受け部材の短辺方向に媒体支持部材を移動させることが可能となるため、遮蔽位置と非遮蔽位置との間の移動距離を短くすることができる。
また、本発明においては、上記媒体支持部材は、第1媒体支持部及び第2媒体支持部を有し、上記第1媒体支持部材移動装置は、上記第1媒体支持部及び第2媒体支持部を、互いに隣り合う上記遮蔽位置と、互いに離間する上記非遮蔽位置との間を、互いに逆方向で同時に移動させるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、一方の領域での流体受け部材を遮蔽する占有面積を低減でき、遮蔽位置と非遮蔽位置との間の移動に要する距離及び時間の短縮を図ることが可能となる。
本発明の実施形態におけるインクジェットプリンターの概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態におけるインクジェットプリンターの要部構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態におけるインクジェットプリンターの要部構成を示す断面図である。 本発明の実施形態におけるインクジェットプリンターの要部構成を示す平面図である。 本発明の実施形態におけるノズル形成面におけるノズルの配列状態を示す図である。 本発明の実施形態における記録ヘッドの内部構成を示す部分断面図である。 本発明の実施形態におけるインクジェットプリンターの動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態におけるインクジェットプリンターのプラテンの高さを調整する動作を説明する図である。 本発明の実施形態におけるインクジェットプリンターのクリーニングをする動作を説明する図である。 本発明の実施形態におけるインクジェットプリンターのクリーニングをする動作を説明する図である。
以下、本発明に係る流体噴射装置の各実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。本実施形態では、本発明に係る流体噴射装置として、インクジェット式プリンター(以下、インクジェットプリンターと称する)を例示する。
図1は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンター1の概略構成を示すブロック図である。図2は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンター1の要部構成を示す斜視図である。図3は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンター1の要部構成を示す断面図である。図4は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンター1の要部構成を示す平面図である。
なお、図2〜図4に示すように、記録用紙(媒体)Pの搬送方向をX方向と、該搬送方向と直交する搬送路幅方向をY方向と、X方向及びY方向と直交する高さ方向をZ方向と称して以下説明する場合がある。
インクジェットプリンター1は、記録用紙Pにインク(流体)を噴射することで記録用紙に所定の情報や画像を印字する記録処理を行うものである。このインクジェットプリンター1は、図1に示すように入力装置2と、記憶装置3と、制御装置4と、記録用紙搬送装置5と、記録ヘッド(流体噴射ヘッド)6と、キャッピング装置7と、第1プラテン移動装置(第1媒体支持部材移動装置)8と、第2プラテン移動装置(第2媒体支持部材移動装置)9とを有する。
入力装置2は、制御装置4に外部からの記録処理に係る各種指令やデータを入力するものであり、使用者が操作する操作パネルや、外部から印字データ等を入力する通信装置等を含む。
記憶装置3は、記録処理に係る各種構成機器の動作プログラムや入力装置2から入力されるデータを記憶するものである。
制御装置4は、各種構成機器の動作を電気的に制御するものであり、入力装置2、記憶装置3、記録用紙搬送装置5、記録ヘッド6、キャッピング装置7、第1プラテン移動装置8、第2プラテン移動装置9との間でデータ授受を行う各種入出力インターフェイス回路や、該データに基づき所定の演算処理等を行うCPU等を有する。
記録用紙搬送装置5は、図3に示すように、X方向に延びる搬送路に沿って記録用紙Pを搬送する複数の搬送ローラー51を有する。搬送ローラー51は、Y方向に延びる回転軸周りに回転することにより記録用紙Pを+X方向に移動させる構成となっている。
記録ヘッド6は、インクを噴射する複数のノズル17が設けられたノズル形成面(噴射面)21Aを有する。この記録ヘッド6は、ノズル形成面21Aが−Z方向に向くように配置されている。
ここで、図5及び図6を参照して記録ヘッド6の構成について説明する。
図5は、本発明の実施形態におけるノズル形成面21Aにおけるノズル17の配列状態を示す図である。図6は、本発明の実施形態における記録ヘッド6の内部構成を示す部分断面図である。
図5に示すように、ノズル17はノズル形成面21Aにおいて搬送路の幅方向に沿って複数設けられ、ノズル列16を形成する。このノズル列16は、搬送方向に沿って計5列設けられる。ノズル列16Y、16M、16C、16K1、16K2は、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K1)、顔料ブラック(K2)の各色に応じたインクを噴射する構成となっている(図4参照)。
図6に示すように、記録ヘッド6は、ヘッド本体18と、ヘッド本体18に接続された流路形成ユニット22とを備えている。流路形成ユニット22は、振動板19と、流路基板20と、ノズル基板21とを備えると共に、共通インク室29と、インク供給口30と、圧力室31とを形成する。さらに、流路形成ユニット22は、ダイヤフラム部として機能する島部32と、共通インク室29内の圧力変動を吸収するコンプライアンス部33とを備える。ヘッド本体18には、固定部材26と共に駆動ユニット24を収容する収容空間23と、インクを流路形成ユニット22に案内する内部流路28とが形成される。
上記構成の記録ヘッド6によれば、ケーブル27を介して駆動ユニット24に駆動信号が入力されると、圧電素子25が伸縮する。これにより、振動板19がキャビティに接近する方向及び離れる方向に変形(移動)する。このため、圧力室31の容積が変化し、インクを収容した圧力室31の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル17から、インクが噴射される。
図3に戻り、キャッピング装置7は、キャップ部材(流体受け部材)71と、吸引ポンプ(吸引装置)72と、大気開放バルブ73と、廃インクタンク74とを備える。
キャップ部材71は、記録ヘッド6に対向する側が開口する略枡形状を有する(図2参照)。なお、キャップ部材71の開口縁部をリップ部(当接部)71Aと称する。リップ部71Aは、ゴム部材等の弾性部材から形成され、複数のノズル17を囲うようにノズル形成面21Aと当接可能な構成となっている。キャップ部材71の内には、インクを吸収するスポンジ等の吸収部材75が設けられている。このキャップ部材71は、キャップ部材移動装置71B(図2において不図示、図3参照)により、上下方向(Z方向)に移動可能な構成となっている。なお、図2に示す基台100には、キャップ部材71がZ方向に移動可能に貫通する開口部102が設けられている。
キャップ部材移動装置71Bは、制御装置4の制御の下に駆動し、キャップ部材71を、プラテン81と所定距離を空けて離間する位置(図3に示す位置、以下、離間位置と称する)と、記録ヘッド6のノズル形成面21Aとリップ部71Aとが当接する位置(図10に示す位置、以下、当接位置と称する)との間を移動させる構成となっている。キャップ部材移動装置71Bの構成の一例としては、ラック・ピニオン機構やカム機構等の周知の構成を採用できる。
吸引ポンプ72は、キャップ部材71の底部に接続された配管76に設けられ、キャップ部材71を介して吸引動作を行うものである。なお、キャップ部材71を当接位置に位置させ、記録ヘッド6とキャップ部材71との間に気密室を形成した後、吸引ポンプ72を駆動させて該気密室を負圧状態にし、各ノズル17から粘性が高くなったインクや付着したゴミ等を吸引してメニスカスを調整し、記録ヘッド6から正常にインクを噴射させる動作をインク吸引動作と呼ぶ。また、記録ヘッド6からキャップ部材71にインクを噴射させる動作をフラッシング動作と呼ぶ。このインク吸引動作とフラッシング動作を併せてクリーニング処理と呼ぶ。なお、吸引ポンプ72による吸引動作は、インク吸引動作のほかに、フラッシング動作によりキャップ部材71内に溜まったインクを廃インクタンク74に廃棄する動作も含む。
大気開放バルブ73は、上記気密室の負圧状態を解除するものであり、キャップ部材71の底部に接続された配管77に設けられる。
廃インクタンク74は、各配管76と接続され各キャップ部材71からのインクを貯溜する構成となっている。
プラテン(媒体支持部材)81は、記録用紙Pを支持して搬送する搬送路の一部を構成するものであり、第1プラテン(第1媒体支持部)81a及び第2プラテン(第2媒体支持部)81bを有する。プラテン81は、搬送方向に延びる略板形状を有し、記録ヘッド6が設けられる表面(支持部)81A側で記録用紙Pを支持する。なお、プラテン81の表面81Aには、記録用紙Pを平らに支持するためのリブ(凹凸)を有していても良い。
プラテン81は、第1プラテン移動装置8により、記録ヘッド6とキャップ部材71との間を遮る遮蔽位置と、該遮蔽位置から退避する非遮蔽位置との間を、搬送方向(X方向)に沿って往復移動自在な構成となっている。本実施形態では、第1プラテン移動装置8により、第1プラテン81a及び第2プラテン81bが互いに隣り合う遮蔽位置と、互いに離間する非遮蔽位置との間を、互いに逆方向で同時に移動する構成となっている。なお、遮蔽位置においては、第1プラテン81a及び第2プラテン81bは互いの端部81Cを当接させて記録用紙Pを支持する連続的支持面を形成する構成となっている。
第1プラテン移動装置8は、プラテン81の−Y方向側の側部に設けられたラック82と、ラック82に噛合するピニオンギア83と、Y方向においてプラテン81を挟んだ位置にピニオンギア83と対向して配置されるプーリー84とを有する(図4参照)。
ピニオンギア83は、−Y方向側においてラック82と噛合すると共にZ方向(対向方向)に延びる回転軸周りに回転してプラテン81を移動させる構成となっている。このピニオンギア83は、Z方向に延びる大きな歯幅、より詳しくは、後述する第2プラテン移動装置9によるZ方向のプラテン81の移動幅に応じた歯幅を有する。ピニオンギア83のZ方向両端部には、歯先円よりも拡径したフランジ83aが設けられる(図2参照)。フランジ83aは、第2プラテン移動装置9によるZ方向のプラテン81の移動を規制するストッパーとしての機能を有する。
プーリー84は、筒状の両端に拡径したフランジ84a(図2参照)を有する形状を有し、Z方向に延びる回転軸周りに回転自在に支持されている。プーリー84は、その筒状の部位が+Y方向側においてプラテン81の側部と当接して、Y方向におけるラック82とピニオンギア83との相対位置関係を維持する構成となっている。フランジ84aは、第2プラテン移動装置9によるZ方向のプラテン81の移動を規制するストッパーとしての機能を有する。
上記構成のプラテン81は、記録ヘッド6と記録用紙Pとの間のインクの噴射距離(以下、PG(ペーパーギャップ)と称する)を調整するために、第2プラテン移動装置9により、記録ヘッド6と対向する対向方向(Z方向)において移動する構成となっている。本実施形態では、図3に示すように、記録用紙Pの種類(厚さ)に応じた径を有する複数のローラー92を選択的に用いてプラテン81を支持することでPGを調整する構成となっている。
本実施形態の第2プラテン移動装置9は、Y方向に延びるシャフト(シャフト部)91と、シャフト91に設けられる複数のローラー(ローラー部)92と、シャフト91を回転させる回転駆動装置93とを有する。
シャフト91は、記録ヘッド6とキャップ部材71との間に設けられた基台100にY方向に延びる回転軸周りに回転自在に支持されている(図2参照)。シャフト91は、第1プラテン移動装置8によるX方向の移動を自在にさせつつZ方向においてプラテン81を支持するローラー92を有する。基台100には、ローラー92が+Z方向に露出可能な開口部101がY方向両側にそれぞれ設けられており、ローラー92は、開口部101が設けられる支持位置に位置して、プラテン81を支持する構成となっている。
ローラー92は、図3に示すように、シャフト91の周方向に略90度の間隔をおいて複数(本実施形態では4つ)設けられ、Y方向に延びる回転軸周りに回転自在に、それぞれがシャフト91に支持されている。これらローラー92は、互いに径が異なっており、ローラーの径が順々に変化するように配設されている。また、これらの径は、記録用紙Pの厚さに応じてそれぞれ設定されている。なお、シャフト91の回転軸と各ローラー92の回転軸との距離は、支持部により互いに一定の距離を保つように支持されている。
具体的には、これらローラー92の中で最も小さい径のローラーが厚紙用ローラー92aであり、次に大きい径のローラーが普通紙用ローラー92bであり、その次に大きい径のローラーが薄紙用ローラー92cであり、最も大きい径のローラーが極薄紙用ローラー92dである。
回転駆動装置93は、内部にモーター等の駆動源を有して、シャフト91をその回転軸周りに回転させるものである。回転駆動装置93は、制御装置4の制御の下、シャフト91を回転させ、厚紙用ローラー92a、普通紙用ローラー92b、薄紙用ローラー92c、極薄紙用ローラー92dのうちいずれか一つを支持位置に位置させる構成となっている。
続いて、図7〜図10を参照して、上記構成のインクジェットプリンター1の動作について説明する。
図7は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンター1の動作を示すフローチャートである。図8は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンター1のプラテン81の高さを調整する動作を説明する図である。図9は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンター1のクリーニングをする動作を説明する図である。図10は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンター1のクリーニングをする動作を説明する図である。
記録処理を開始する際、制御装置4は、記録用紙Pの種類に対応する適切なPGで記録処理を行うべく、先ず、印字対象となる記録用紙Pの種類を判断する(ステップS1:記録用紙種類の判断工程)。
記録用紙Pの種類のデータは、例えば、入力装置2を用いたユーザーの操作、あるいは、記録用紙搬送装置5に設けられた紙厚検出センサー等の検出結果の伝送により、制御装置4に入力される。制御装置4は、該データに基づいて、記録用紙Pが、普通紙、厚紙、薄紙等であるかを判断する。
次に、制御装置4は、該データに基づいて、プラテン81の高さを、第2プラテン移動装置9を用いて調整する(ステップS2:プラテン高さ調整工程)。
具体的には、記録用紙Pが厚紙である場合、制御装置4は、図8(a)に示すように、回転駆動装置93を駆動させて、シャフト91を回転させる。該回転により、プラテン81を支持する支持位置には、普通紙用ローラー92bに代わり厚紙用ローラー92aが位置する。厚紙用ローラー92aは普通紙用ローラー92bよりも径が小さいため、その厚紙用ローラー92aに支持されるプラテン81の位置が−Z方向に移動する。このため、記録ヘッド6とプラテン81のZ方向における相対距離が広くなる。したがって、厚紙に適切なPGで記録処理を実行することが可能となる。
一方、記録用紙Pが極薄紙である場合、制御装置4は、図8(b)に示すように、回転駆動装置93を駆動させて、シャフト91を回転させる。該回転により、プラテン81を支持する支持位置には、普通紙用ローラー92bに代わり極薄紙用ローラー92dが位置する。極薄紙用ローラー92dは普通紙用ローラー92bよりも径が大きいため、その極薄紙用ローラー92dに支持されるプラテン81の位置が+Z方向に移動する。このため、記録ヘッド6とプラテン81のZ方向における相対距離が狭くなる。したがって、極薄紙に適切なPGで記録処理を実行することが可能となる。
このように、本実施形態では、ローラー92の径の精度によりPGを調整できるため、PGの調整精度の向上が見込める。
なお、本実施形態の第1プラテン移動装置8は、ラック82とピニオンギア83とを備えるが、ピニオンギア83の回転軸の方向がZ方向と一致するような向きで設けられていることから、プラテン81と共にラック82がZ方向に移動しても、ラック82がピニオンギア83の歯に沿って移動するため、噛合状態を維持でき、且つ、衝突・干渉することを防止できる。また、ピニオンギア83は、第2プラテン移動装置9によるプラテン81の移動幅に応じた歯幅を有するため、ラック82がピニオンギア83から抜けることがなく、また、フランジ83aによりプラテン81の移動幅を制限できるため、プラテン81と記録ヘッド6あるいはキャップ部材71との衝突を回避できる。
ステップS2の後、適切なPGに調整した状態で、制御装置4は、記録用紙Pを搬送させ、記録ヘッド6からインクを噴射して印字を行う(ステップS3:印字工程)。
そして、制御装置4は、駆動時間あるいは印字枚数をカウントすると共に、それらが所定の閾値を超えた場合に、クリーニング処理が必要であると判断する(ステップS4)。
例えば、制御装置4は、印字枚数(例えば5〜10枚)毎に、クリーニング処理が必要であると判断し、記録ヘッド6のフラッシング動作を実行させる。
クリーニング処理が必要であると判断した場合、先ず、制御装置4は、第1プラテン移動装置8に駆動指令を与えて、プラテン81を図9(a)に示す遮蔽位置から図9(b)に示す非遮蔽位置に移動させる(ステップS5:第1移動工程)。
具体的には、制御装置4は、2つのピニオンギア83を同期して回転させることで、第1プラテン81a及び第2プラテン81bを、互いに隣り合う遮蔽位置から、互いに離間する非遮蔽位置へと、互いに逆方向で同時に移動させる。
なお、本実施形態の第2プラテン移動装置9がプラテン81をローラー92で支持してガイドするため、第1プラテン移動装置8は、プラテン81をスムーズに移動させることが可能となる。
また、本実施形態では、プラテン81を搬送方向に移動させることで、キャップ部材71の短辺方向にプラテン81を移動させることができ、遮蔽位置と非遮蔽位置との間の移動距離を短くすることができる。さらに、上記のように第1プラテン81a及び第2プラテン81bを用いることで、一方の領域でのキャップ部材71を遮蔽する占有面積を低減でき、遮蔽位置と非遮蔽位置との間の移動に要する距離が2分の1となる。このため、移動時間が短縮され、記録処理及びクリーニング処理の迅速な切り替えに寄与することが可能となる。
上記のようにプラテン81を非遮蔽位置に移動させ、記録ヘッド6とキャップ部材71とが直接対向した状態となったら、制御装置4は、記録ヘッド6からキャップ部材71へインクを吐出(噴射)するフラッシング動作を実行させる(ステップS6:クリーニング工程)。
記録ヘッド6は、使用時間によってノズル17内のインク増粘、あるいはノズル17開口近傍へのゴミの付着によって吐出不良が生じてくるおそれがある。そのため、非記録処理時にノズル17からインクを予備噴射させて増粘したインクやゴミ等を排出させるフラッシング動作を行うことで、記録ヘッド6の噴射特性を維持或いは回復させる。
なお、プラテン81は、記録用紙Pを支えるものであるため略板形状に薄くすることができ、キャップ部材71が離間位置にいても記録ヘッド6との隙間は大きくならず、フラッシング動作時に噴射されたインクがミスト化することがない。
なお、ここでは、図10に示すように、キャップ部材71を離間位置から当接位置に移動させ、記録ヘッド6とキャップ部材71との間に気密室を形成した後、吸引ポンプ72を駆動させて該気密室を負圧状態にし、各ノズル17から粘性が高くなったインクや付着したゴミ等を強制的に吸引するインク吸引動作を行ってもよい。
本実施形態では、プラテン81をZ方向に移動させてPGを調整する構成であることから、記録ヘッド側が可動の場合と比べて、ノズル形成面21Aとキャップ部材71との間の密着不良が生じ難くなる。したがって、キャップ部材71を介したインク吸引動作の能率の低下を抑制することが可能となる。
上記クリーニング工程の後、制御装置4は、第1プラテン移動装置8に駆動指令を与えて、図9(c)に示すように、プラテン81を非遮蔽位置から遮蔽位置に移動させる(ステップS7:第2移動工程)。
以上の工程が完了したら、インクジェットプリンター1は、記録用紙Pを搬送し、記録ヘッド6からインクを噴射して記録処理を行う。
したがって、上述した本実施形態によれば、インクを噴射する複数のノズル17が設けられたノズル形成面21Aから上記インクを記録用紙Pに噴射する記録ヘッド6を備えるインクジェットプリンター1であって、記録用紙Pを支持して搬送する搬送路の一部を構成するプラテン81と、記録ヘッド6のノズル形成面21Aと対向して配置され、複数のノズル17を囲むようにノズル形成面21Aと当接可能なキャップ部材71と、プラテン81を、記録ヘッド6とキャップ部材71との間を遮る遮蔽位置と、上記遮蔽位置から退避する非遮蔽位置との間において移動させる第1プラテン移動装置8と、プラテン81を、記録ヘッド6のノズル形成面21Aと対向する対向方向において移動させる第2プラテン移動装置9とを有するという構成を採用することによって、対向する記録ヘッド6とキャップ部材71との間に配置されたプラテン81を、遮蔽位置から非遮蔽位置に移動させることによりキャップ部材71を露出させ、記録ヘッド6とキャップ部材71とを直接対向させることが可能となり、記録ヘッド6とキャップ部材71との間の距離を短くすることができる。また、プラテン81を記録ヘッド6と対向する方向に移動させることによりインク吸引動作不良を生じさせることなくPGを調整することが可能となる。
したがって、本実施形態によれば、PGを調整可能で、且つ、メンテナンス不良を防止しつつクリーニング処理と記録処理とを迅速に切り替えることができるインクジェットプリンター1を提供することができる。
また、本実施形態においては、プラテン81は、記録ヘッド6が設けられる側で記録用紙Pを支持する略板形状であるという構成を採用することによって、記録ヘッド6とキャップ部材71との間の距離を短くすることができるため、キャップ部材71を記録ヘッド6に当接させる時間の短縮、あるいはキャップ部材71を動かさずにフラッシング動作を行うことが可能となる。したがって、クリーニング処理と記録処理とを迅速に切り替えることができる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述の実施形態においては、第1プラテン移動装置8はプラテン81を搬送方向(X方向)に移動させると説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば搬送路幅方向(Y方向)に移動させる構成であっても良い。
また、例えば、上述の実施形態においては、第2プラテン移動装置9はローラー92を複数有したシャフト91を回転することでプラテン81を対向方向(Z方向)に移動させPGを調整すると説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば一つのローラー92を対向方向に移動させるようにラック・ピニオン機構等を用いる構成であっても良い。しかし、ラック・ピニオン機構には、バックラッシが存在するために位置決め精度が出し難い。したがって、PGの精度を向上させる意味でも、本実施形態のようにローラー92の径でPG調整する構成であることが望ましい。
また、上述の実施形態においては、ローラー部の径を異ならせてシャフト部を回転させる構成を採用したが、同径のローラー部を用いる構成であっても良い。例えば、上記第2媒体支持部材移動装置は、同径のローラー部を周方向に所定間隔をおいて複数有すると共に所定位置において回転自在に支持されるシャフト部と、上記ローラー部のそれぞれの回転軸と上記シャフト部の回転軸との間の距離を、互いに異ならせるように支持する支持部と、上記複数のローラー部のうちいずれか一つを、上記媒体支持部材を上記対向方向において支持する支持位置に位置させるように上記シャフト部を回転させる回転駆動装置とを有するという構成を採用することによって、シャフト部を回転させ、対向方向で媒体支持部材を支持するローラー部を、シャフトの回転軸に対して回転軸の距離が異なる同径のローラー部のうちから選択することで、媒体支持部材を対向方向に移動させて媒体に対する流体噴射距離を調整することが可能となる。なお、この場合、支持部は、媒体の厚さに応じた長さを有することが好ましい。
また、例えば、上述の実施形態においては、流体噴射装置がインクジェットプリンター1である場合を例にして説明したが、インクジェットプリンターに限られず、複写機及びファクシミリ等の装置であってもよい。
また、上述の実施形態においては、流体噴射装置が、インク等の流体(液状体)を噴射する流体噴射装置である場合を例にして説明したが、本発明の流体噴射装置は、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に適用することができる。流体噴射装置が噴射可能な流体は、流体、機能材料の粒子が分散又は溶解されている液状体、ジェル状の流状体、流体として流して噴射できる固体、及び粉体(トナー等)を含む。
また、上述の実施形態において、流体噴射装置から噴射される流体(液状体)としては、インクのみならず、特定の用途に対応する流体を適用可能である。流体噴射装置に、その特定の用途に対応する流体を噴射可能な噴射ヘッドを設け、その噴射ヘッドから特定の用途に対応する流体を噴射して、その流体を所定の物体に付着させることによって、所定のデバイスを製造可能である。例えば、本発明の流体噴射装置(液状体噴射装置)は、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、及び面発光ディスプレイ(FED)の製造等に用いられる電極材、色材等の材料を所定の分散媒(溶媒)に分散(溶解)した流体(液状体)を噴射する流体噴射装置に適用可能である。
また、流体噴射装置としては、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する流体噴射装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置、トナーなどの粉体を例とする固体を噴射するトナージェット式記録装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。
1…インクジェットプリンター(流体噴射装置)、4…制御装置、6…記録ヘッド(流体噴射ヘッド)、8…第1プラテン移動装置(第1媒体支持部材移動装置)、9…第2プラテン移動装置(第2媒体支持部材移動装置)、17…ノズル、21A…ノズル形成面(噴射面)、71…キャップ部材(流体受け部材)、71A…リップ部(当接部)、81…プラテン(媒体支持部材)、81a…第1プラテン(第1媒体支持部)、81b…第2プラテン(第2媒体支持部)、81A…表面(支持部)、82…ラック、83…ピニオンギア、91…シャフト(シャフト部)、92…ローラー(ローラー部)、93…回転駆動装置93、P…記録用紙(媒体)

Claims (6)

  1. 流体を噴射する複数のノズルが設けられた噴射面から前記流体を媒体に噴射する流体噴射ヘッドを備える流体噴射装置であって、
    前記媒体を支持して搬送する搬送路の一部を構成する媒体支持部材と、
    前記流体噴射ヘッドの前記噴射面と対向して配置され、前記流体を受ける流体受け部材と、
    前記媒体支持部材を、前記流体噴射ヘッドと前記流体受け部材との間を遮る遮蔽位置と、前記遮蔽位置から退避する非遮蔽位置との間において移動させる第1媒体支持部材移動装置と、
    前記媒体支持部材を、前記流体噴射ヘッドの前記噴射面と対向する対向方向において移動させる第2媒体支持部材移動装置と
    前記媒体支持部材を支持し、前記媒体支持部材の前記第1媒体支持部材移動装置による移動方向に沿って回転自在なローラー部とを有し、
    前記第2媒体支持部材移動装置は、前記ローラー部と前記媒体支持部材との接点位置を前記対向方向において移動させることを特徴とする流体噴射装置。
  2. 前記第2媒体支持部材移動装置は、互いに径の異なる前記ローラー部を周方向に所定間隔をおいて複数有すると共に所定位置において回転自在に支持されるシャフト部と、
    前記複数のローラー部のうちいずれか一つを、前記媒体支持部材を前記対向方向において支持する支持位置に位置させるように前記シャフト部を回転させる回転駆動装置とを有することを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
  3. 前記第2媒体支持部材移動装置は、同径の前記ローラー部を周方向に所定間隔をおいて複数有すると共に所定位置において回転自在に支持されるシャフト部と、
    前記ローラー部のそれぞれの回転軸と前記シャフト部の回転軸との間の距離を、互いに異ならせるように支持する支持部と、
    前記複数のローラー部のうちいずれか一つを、前記媒体支持部材を前記対向方向において支持する支持位置に位置させるように前記シャフト部を回転させる回転駆動装置とを有することを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
  4. 前記媒体の厚さに応じて前記回転駆動装置の駆動を制御する制御装置を有することを特徴とする請求項2または3に記載の流体噴射装置。
  5. 前記第1媒体支持部材移動装置による前記媒体支持部材の移動方向は、前記媒体の搬送方向であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体噴射装置。
  6. 前記媒体支持部材は、第1媒体支持部及び第2媒体支持部を有し、
    前記第1媒体支持部材移動装置は、前記第1媒体支持部及び第2媒体支持部を、互いに隣り合う前記遮蔽位置と、互いに離間する前記非遮蔽位置との間を、互いに逆方向で同時に移動させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の流体噴射装置。
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