JP5392053B2 - 積層リングの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ベルト式無段変速機の伝動ベルトに用いられる積層リングの製造方法に関し、特に、積層リングを構成する帯状金属部材の耐久性を高めるためにそれの幅方向の両端部に残留圧縮応力をそれぞれ付与する技術に関するものである。
複数の無端環状の帯状金属部材が密着状態で積層されて成り、環状に連ねられた複数のエレメントを支持するために車両用ベルト式無段変速機の伝動ベルトに用いられる積層リングが知られている。この積層リングは、例えば次のようにして製造される。先ず、マルエージング鋼またはステンレス鋼などの帯鋼がその両端部同士を溶接することで円筒状部材とされる。次いで、その円筒状部材がその軸心方向の所定間隔で分割されることにより複数の短円筒状部材とされる。次いで、それら複数の短円筒状部材が厚さ方向に圧延されて周長がそれぞれ調整されることで周長の異なる複数の無端環状の帯状金属部材とされる。次いで、それらに例えば窒化処理やショットピーニングなどの表面処理が施されると共に時効処理が施されることで例えば硬度や疲労強度などがそれぞれ向上される。次いで、それらが互いに密着状態で複数積層されることによって、積層リングが形成される。このような積層リングの製造方法として、例えば、特許文献1に記載された製造方法が知られている。
特許文献1には、上記周長の調整に際して用いられる周長補正装置が記載されている。この周長補正装置は、回転ローラおよび被動ローラと、それらに巻き付けられた帯状金属部材の周方向の一部を内周側から外周側に向けて局部的に押圧することで帯状金属部材を周方向に引き延ばす矯正ローラとを備えて構成される。この周長補正装置を用いることで帯状金属部材には、幅方向の断面において外周側に凸状を成す円弧形状が付与され且つ周方向の残留応力が付与される。上記円弧形状が付与されることで、複数の帯状金属部材が互いに積層されたときにその積層状態が容易に保持されるようになる。また、伝動ベルトの使用中において帯状金属ベルトには内周側と外周側とで異なる大きさの応力が生じるが、このときの内周側と外周側との応力差が相殺されるように上記周方向の残留応力が帯状金属部材に予め付与されることで、上記内周側と外周側との応力差に起因する帯状金属部材の早期疲労を抑制することができる。
特開2009−22991号公報
ところで、積層リングの耐久性は、その使用により幅方向の両端部が疲労することにより低下すると考えられる。この耐久性の低下を抑制するために、従来の積層リングの製造方法には、窒化処理やショットピーニングなどの表面処理を帯状金属部材に施すことによりそれの全表面に残留圧縮応力を付与して疲労強度を高めるための表面処理工程が含まれている。それ以外にも、例えば、積層リングを構成する複数の帯状金属部材の数を増やすことによりそれら帯状金属部材の1つあたりに生じる応力を低減させることが考えられる。
しかしながら、上記表面処理を行うための装置は大がかりであり、また、帯状金属部材の数を増やすと部品コストが増加するため、製造コストが高くなるという問題があった。また、前記耐久性の低下を抑制するためには帯状金属部材の幅方向の両端部に残留圧縮応力をそれぞれ付与してそれら両端部の疲労強度を高めればよいところ、従来では帯状金属部材の全表面に残留圧縮応力が付与されていた。
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、帯状金属部材の幅方向の両端部にそれぞれ周方向の残留圧縮応力が生じるようにその帯状金属部材に幅方向の残留応力分布を付与して帯状金属部材の耐久性を高めることができる積層リングの製造方法を提供することにある。
かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a) 複数の無端環状の帯状金属部材が密着状態で積層されて成り、環状に連ねられた複数のエレメントを支持するために車両用ベルト式無段変速機の伝動ベルトに用いられる積層リングの製造方法であって、(b) 幅方向の断面が外周側に凸状を成す円弧状に形成された前記帯状金属部材に対して幅方向の中央部の外周側を部分的にその幅方向に延ばす加工を施すことにより、前記帯状金属部材の幅方向の両端部に周方向の残留圧縮応力をそれぞれ付与する残留応力付与工程を含み、前記残留応力付与工程は、(c-1) それぞれ軸心まわりに回転可能に設けられて前記帯状金属部材が巻き掛けられる少なくとも一対の支持ローラと、(c-2) その支持ローラの軸心と平行な軸心まわりに回転可能に前記帯状金属部材の内周側に設けられた第1ローラダイスと、(c-3) その第1ローラダイスよりも小径であって、その第1ローラダイスの軸心と平行な軸心まわりに回転可能に前記帯状金属部材に対して前記第1ローラダイスとは反対側に設けられ、前記帯状金属部材の幅方向の中央部を前記第1ローラダイスとの間で厚み方向に狭圧しつつ回転することにより、前記帯状金属部材の幅方向の中央部の外周側を部分的にその幅方向に延ばす第2ローラダイスとを、備える残留応力付与装置を用い、(d) 前記帯状金属部材の幅方向の両端部に周方向の残留圧縮応力をそれぞれ付与するものであり(e)前記第1ローラダイスおよび第2ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面は、その軸心を通る断面において外周側に凸状を成す円弧状にそれぞれ形成され、(f)前記第2ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面の前記軸心を通る断面における曲率半径は、前記第1ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面の前記軸心を通る断面における曲率半径よりも小さく設定され、(g)前記第2ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面の前記軸心を通る断面における曲率半径は、前記第2ローラダイスの外径の半分よりも小さく設定されていることにある。
請求項1にかかる発明の積層リングの製造方法によれば、幅方向の断面が外周側に凸状を成す円弧状に形成された帯状金属部材に対して幅方向の中央部の外周側を部分的にその幅方向に延ばす加工を施すことにより、前記帯状金属部材の幅方向の両端部に周方向の残留圧縮応力をそれぞれ付与する残留応力付与工程を含むことから、帯状金属部材の幅方向の両端部にそれぞれ周方向の残留圧縮応力が生じるようにその帯状金属部材に幅方向の残留応力分布を付与して帯状金属部材の耐久性を高めることができる。また、前記残留応力付与工程において用いられる残留応力付与装置は、複数の支持ローラに巻き掛けられた前記帯状金属部材の内周側に設けられた第1ローラダイスと、その第1ローラダイスよりも小径であって、前記帯状金属部材の幅方向の中央部を前記第1ローラダイスとの間で厚み方向に狭圧しつつ回転することにより前記帯状金属部材の幅方向の中央部の外周側を部分的にその幅方向に延ばす第2ローラダイスとを備えることから、第2ローラダイスが第1ローラダイスよりも小径であるほど帯状金属部材の幅方向の中央部の外周側がその内周側に比べて幅方向に延ばされて、帯状金属部材の幅方向の両端部が前記中央部に対して内周側へ相対移動されて周方向に圧縮されるので、第1ローラダイスおよび第2ローラダイスの外径に応じて帯状金属部材の幅方向の両端部に残留圧縮応力を付与することができる。さらに、前記第1ローラダイスおよび第2ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面は、その軸心を通る断面において外周側に凸状を成す円弧状にそれぞれ形成され、前記第2ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面の前記軸心を通る断面における曲率半径は、前記第1ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面の前記軸心を通る断面における曲率半径よりも小さく設定され、前記第2ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面の前記軸心を通る断面における曲率半径は、前記第2ローラダイスの外径の半分よりも小さく設定されていることから、帯状金属部材の中央部の外周側が第2ローラダイスにより幅方向に延ばされるときのその幅方向への材料流動性が高められるので、好適に帯状金属部材の両端部がそれぞれ中央部に対して内周側へ相対移動されて周方向に圧縮される。
本発明に係る車両用ベルト式無段変速機の伝動ベルトの周方向の一部を示す斜視図である。 図1の積層リングを構成する複数の帯状金属部材のうち最も内周側の帯状金属部材について、その幅方向の断面を概念的に示す断面図である。 図1の積層リングの製造工程を説明するための工程図である。 図3の残留応力付与工程において用いられる残留応力付与装置の要部を示す概念図である。 図4の残留応力付与装置のV-V矢視部断面を示す断面図である。 正円状に配置された図1の帯状金属部材の幅方向の一端の曲率半径中心からの距離すなわち曲率半径が図3の残留応力付与工程前後で変化する様子を示す図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明に係る車両用ベルト式無段変速機の伝動ベルト10の周方向の一部を示す斜視図である。図1において、上記伝動ベルト10は、それぞれ複数の無端環状の帯状金属部材12が密着状態でそれぞれ積層されて成る相互に並列に配設された第1積層リング14および第2積層リング16(以下、特に区別しない場合には積層リング14(16)と記載する)と、それら第1積層リング14および第2積層リング16に沿ってそれぞれ厚さ方向に環状に連ねられた板状の金属から成る複数のエレメント18とを備えている。エレメント18は、その幅方向の両側部に中央に向けて凹設された一対の凹溝20を備え、第1積層リング14および第2積層リング16は、複数のエレメント18の一方および他方の凹溝20内にそれぞれ挿入されている。積層リング14(16)は、複数のエレメント18を支持するために用いられるものである。積層リング14(16)は、例えば、内周側から外周側に向かうほど周長が順に大きくなるようにそれぞれ調整された9個の帯状金属部材12が内周側から順に積層されて成る。なお、図1では、便宜上、上記のように9層の帯状金属部材12から成る積層リング14(16)が必ずしも9層に図示されていない。
図2は、積層リング14(16)を構成する複数の帯状金属部材12のうち最も内周側の帯状金属部材12について、その幅方向の断面を概念的に示す断面図である。図2において、帯状金属部材12は、幅方向の断面が外周側に凸状を成す円弧状に形成されている。この帯状金属部材12には、その幅方向の中央部22の外周側に残留引張応力が付与され、それ以外すなわち中央部22の内周側および幅方向の両方の端部24に残留圧縮応力が付与されている。言い換えれば、帯状金属部材12には、その幅方向に残留応力分布が付与されている。図2において、残留引張応力領域A1は上記残留引張応力が付与された領域を示し、また、残留圧縮応力領域A2は上記残留圧縮応力が付与された領域を示している。
帯状金属部材12の幅方向の断面すなわち図2に示す断面において、帯状金属部材12の内周面26の曲率半径Rは、その内周面26の内周側に位置してその内周面26と係合可能なエレメント18の凹溝20の一側面28の曲率半径Rよりも大きく設定されている。このため、帯状金属部材12が一側面28に対して厚み方向に当接しても、例えば、帯状金属部材12の端部24が中央部22に対して外周側へ相対移動するように変形させられてその端部24が周方向に引っ張られることで端部24の残留圧縮応力が低下することが抑制される。
図3は、図1に示す積層リング14(16)の製造工程を説明するための工程図である。以下、この図3の工程図を参照して積層リング14(16)の製造方法を説明する。
図3において、先ず、帯鋼切断工程P1では、例えばマルエージング鋼またはステンレス鋼などの帯鋼30が所定の長さに切断されて平板32とされる。
次いで、溶接工程P2では、上記切断された平板32の一方および他方の切断面同士が互いに溶接されて円筒状部材34が形成される。
次いで、第1溶体化工程P3では、溶接工程P2における溶接時の熱により溶接部位付近が部分的に硬くなった円筒状部材34の硬度を均質化するために、その円筒状部材34に第1の溶体化処理が施される。
次いで、円筒状部材切断工程P4では、上記硬度が均質化された円筒状部材34が軸心方向の所定長さ毎に上記軸心に直交する方向に切断されて複数の短円筒状部材36が形成される。
次いで、バレル研磨工程P5では、上記短円筒状部材36の全部又はその一部が順次回転または振動する所定容器内に研磨材と共に入れられて研磨される。
次いで、圧延工程P6では、上記研磨された短円筒状部材36が所定の厚さに圧延されて環状部材38が形成される。
次いで、第2溶体化工程P7では、圧延工程P6における圧延により変形させられた環状部材38の金属組織の形状を元に復元させるために、その環状部材38に第2の溶体化処理が施される。
次いで、周長調整工程P8では、上記第2の溶体化処理が施された環状部材38が予め定められた所定の周長に調整される。具体的には、環状部材28は、例えば、互いに平行に配設された図示しない一対の回転ローラに巻き掛けられて周方向に回転させられつつ、帯状金属部材12の内周側に設けられた図示しない矯正ローラにより内周側から外周側へ向けて押圧されることによって、所定の周長に調整される。上記回転ローラおよび矯正ローラの外周面は、帯状金属部材12の幅方向に平行な軸心を通る断面において外周側に凸状を成す円弧状に形成されている。帯状金属部材12は、周長の調整に際して上記外周面の円弧状の形状が転写されことにより、幅方向の断面が外周側に凸状を成す円弧状に形成される。
次いで、残留応力付与工程P9では、周長が調整された帯状金属部材12の幅方向の両端部24に周方向の残留圧縮応力がそれぞれ付与される。
次いで、時効処理工程P10では、上記残留圧縮応力が付与された帯状金属部材12に時効処理がそれぞれ施される。この時効処理は、残留応力付与工程P9において付与された残留圧縮応力が開放されないように行われる。
次いで、積層工程P11では、上記時効処理された周長が異なる9個の帯状金属部材12が、内周側から外周側に向かうほど順に周長が大きくなるように互いに密着状態で積層されて、積層リング14(16)が形成される。
以下では、前記残留応力付与工程P9に関してさらに詳しく説明する。図4は、上記残留応力付与工程P9において用いられる残留応力付与装置40の要部を示す概念図である。図4において、残留応力付与装置40は、互いに平行な軸心C1乃至C4まわりに回転可能にそれぞれ設けられて帯状金属部材12が巻き掛けられる2対の支持ローラ42と、 それら支持ローラ42の軸心C1乃至C4に平行すなわち帯状金属部材12の幅方向に平行な軸心C5まわりに回転可能に帯状金属部材12の内周側に設けられた第1ローラダイス44と、その第1ローラダイス44の半径R1よりも小径な半径R2を有し、第1ローラダイス44の軸心C5と平行な軸心C6まわりに回転可能に帯状金属部材12に対して第1ローラダイス44とは反対側に設けられ、帯状金属部材12の周方向の一部が帯状金属部材12の幅方向に見て内周側に凸となる状態で後述の図5に示すように帯状金属部材12の中央部22を第1ローラダイス44との間で厚み方向に狭圧しつつ回転することにより、帯状金属部材12の中央部22の外周側を部分的にその幅方向に延ばす第2ローラダイス46とを備えている。
図5は、図4の残留応力付与装置40のV-V矢視部断面を示す断面図である。図5に示すように、第1ローラダイス44および第2ローラダイス46の帯状金属部材12に当接する外周面48および50は、図4に示す軸心C5およびC6を通る断面すなわち図5に示す断面において所定の曲率半径R3およびR4を有して外周側に凸状を成す円弧状に形成されている。上記曲率半径R3は、図5において実線で示す残留応力付与後の帯状金属部材12の内周面26の曲率半径Rよりも小さく設定されている。また、上記曲率半径R4は、第2ローラダイス46の外径の半分である半径R2よりも小さく設定されている。
残留応力付与工程P9では、上記残留応力付与装置40が用いられて帯状金属部材12の幅方向の両端部24に残留圧縮応力がそれぞれ付与される。具体的には、帯状金属部材12の幅方向の中央部22の外周側が全周に亘って第2ローラダイス46により部分的に上記幅方向に延ばされることにより、図5の点線で示す状態から帯状金属部材12の幅方向の両端部24が全周に亘って中央部22に対して内周側に相対移動されて、図5の実線で示す状態となる。図6は、正円状に配置された帯状金属部材12の幅方向の一端の曲率半径中心からの距離すなわち曲率半径Reが残留応力付与工程P9前後で変化する様子を示す図である。図6に示すように、上記曲率半径Reは、点線で示す残留応力付与工程P9前の曲率半径Re1から実線で示す残留応力付与工程P9後の曲率半径Re2へと小さくなる。よって、帯状金属部材12の両端の周長Lは、周長L1(=2×Re1×π)から周長L2(=2×Re2×π)へと短くなる。それに伴って、帯状金属部材12の両端部24および中央部22の内周側は周方向に圧縮され、それらには周方向の残留圧縮応力が付与されて残留圧縮応力領域A1が形成される。上記付与される残留圧縮応力は、残留応力付与工程P9前後で中央部22に対して内周側に相対移動される量が大きい端部24側ほど大きくなる。
なお、残留応力付与装置40では、前記中央部22の外周側が内周側に対して相対的に幅方向に延ばされる量は、第2ローラダイス46の半径R2が第1ローラダイス44の半径R1に比べて小さいほど大きくなる。また、前記両端部24が中央部22に対して内周側に相対移動される量および前記両端部24に付与される残留圧縮応力は、前記中央部22の外周側が内周側に対して相対的に幅方向に延ばされる量が大きいほど大きくなる。本実施例の第2ローラダイス46の半径R2および第1ローラダイス44の半径R1は、両端部24に付与すべき残留圧縮応力に応じて予め実験的に求められて設定されている。
図5に戻って、帯状金属部材12の厚さ寸法tは、中央部22の外周側が幅方向に延ばされるため、点線で示す残留応力付与工程P9前の厚さ寸法t1から実線で示す残留応力付与工程P9後の厚さ寸法t2へと小さく(薄く)なる。そして、中央部22の外周面52は、内周面26に比べて平坦な形状となる。
上述のように、本実施例の積層リング14(16)の製造方法によれば、幅方向の断面が外周側に凸状を成す円弧状に形成された帯状金属部材12に対して幅方向の中央部22の外周側を部分的にその幅方向に延ばす加工を施すことにより、その帯状金属部材12の幅方向の両端部24に周方向の残留圧縮応力をそれぞれ付与する残留応力付与工程P9を含むことから、帯状金属部材12の幅方向の両端部24にそれぞれ周方向の残留圧縮応力が生じるようにその帯状金属部材12に幅方向の残留応力分布を付与して帯状金属部材12の耐久性を高めることができる。
また、本実施例の積層リング14(16)の製造方法によれば、残留応力付与工程P9において用いられる残留応力付与装置40は、複数の支持ローラ42に巻き掛けられた帯状金属部材12の内周側に設けられた第1ローラダイス44と、その第1ローラダイス44よりも小径であって、帯状金属部材12の幅方向の中央部22を第1ローラダイス44との間で厚み方向に狭圧しつつ回転することによりその中央部22の外周側を部分的にその幅方向に延ばす第2ローラダイス46とを備えることから、第2ローラダイス46が第1ローラダイス44よりも小径であるほど帯状金属部材12の幅方向の中央部22の外周側がその内周側に比べて幅方向に延ばされて、帯状金属部材12の幅方向の両端部24が中央部22に対して内周側へ相対移動されて周方向に圧縮されるので、第1ローラダイス44の外径R1および第2ローラダイス46の外径R2に応じて帯状金属部材12の幅方向の両端部24に残留圧縮応力を付与することができる。
また、本実施例の積層リング14(16)の製造方法によれば、第2ローラダイス46の帯状金属部材12の内周面26に当接する外周面50は、その軸心C6を通る断面において所定の曲率半径R4を有して外周側に凸状を成す円弧状に形成され、上記所定の曲率半径R4は、第2ローラダイス46の外径の半分すなわち半径R2よりも小さく設定されていることから、帯状金属部材12の中央部22の外周側が第2ローラダイス46により幅方向に延ばされるときのその幅方向への材料流動性が高められるので、好適に帯状金属部材12の両端部24がそれぞれ中央部22に対して内周側へ移動されて周方向に圧縮される。
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
たとえば、前述の実施例において、帯状金属部材12はマルエージング鋼やステンレス鋼から形成されていたが、それ以外の鋼材から形成されてもよい。
また、前述の実施例の残留応力付与工程P9において帯状金属部材12を環状の状態で周方向に回転させるための残留応力付与装置40の機械的構成は、一例が開示されたものであり、その他の公知の機械的構成であっても実現される。
また、前述の実施例において、第1ローラダイス44の外周面48の曲率半径R3は、図5において実線で示す残留応力付与後の帯状金属部材12の内周面26の曲率半径Rよりも小さく設定されていたが、例えば、曲率半径R以上であってもよい。
また、第1ローラダイス44は、必ずしも軸心C5を通る断面において外周側に凸状を成す円弧状でなくてもよい。例えば、円筒面状に形成されてもよい。
また、帯状金属部材12には、例えば窒化処理などの表面処理がさらに施されてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:伝動ベルト
12:帯状金属部材
18:エレメント
22:中央部
24:端部
40:残留応力付与装置
42:支持ローラ
44:第1ローラダイス
46:第2ローラダイス
50:外周面
P9:残留応力付与工程
C1〜C4:軸心(支持ローラの軸心)
C5:軸心(第1ローラダイスの軸心)
C6:軸心(第2ローラダイスの軸心)
R2:半径(第2ローラダイスの外径の半分)
R4:曲率半径

Claims (1)

  1. 複数の無端環状の帯状金属部材が密着状態で積層されて成り、環状に連ねられた複数のエレメントを支持するために車両用ベルト式無段変速機の伝動ベルトに用いられる積層リングの製造方法であって、
    幅方向の断面が外周側に凸状を成す円弧状に形成された前記帯状金属部材に対して幅方向の中央部の外周側を部分的に該幅方向に延ばす加工を施すことにより、該帯状金属部材の幅方向の両端部に周方向の残留圧縮応力をそれぞれ付与する残留応力付与工程を含み、
    前記残留応力付与工程は、
    それぞれ軸心まわりに回転可能に設けられて前記帯状金属部材が巻き掛けられる少なくとも一対の支持ローラと、
    該支持ローラの軸心と平行な軸心まわりに回転可能に前記帯状金属部材の内周側に設けられた第1ローラダイスと、
    該第1ローラダイスよりも小径であって、該第1ローラダイスの軸心と平行な軸心まわりに回転可能に前記帯状金属部材に対して該第1ローラダイスとは反対側に設けられ、該帯状金属部材の幅方向の中央部を該第1ローラダイスとの間で厚み方向に狭圧しつつ回転することにより、該帯状金属部材の幅方向の中央部の外周側を部分的に該幅方向に延ばす第2ローラダイスと
    を、備える残留応力付与装置を用いて、前記帯状金属部材の幅方向の両端部に周方向の残留圧縮応力をそれぞれ付与するものであり、
    前記第1ローラダイスおよび第2ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面は、その軸心を通る断面において外周側に凸状を成す円弧状にそれぞれ形成され、
    前記第2ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面の前記軸心を通る断面における曲率半径は、前記第1ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面の前記軸心を通る断面における曲率半径よりも小さく設定され、
    前記第2ローラダイスの前記帯状金属部材に当接する外周面の前記軸心を通る断面における曲率半径は、前記第2ローラダイスの外径の半分よりも小さく設定されている
    ことを特徴とする積層リングの製造方法。
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