以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る車両(自動車)Aの車体構造を示す。この車両Aは、車幅方向両側面にそれぞれ、前後一対のサイドドア1,2(図3参照)を有する4ドアセダンである。車両Aの車室内には、運転席を含むフロントシート3(図2参照)と、その後側のリヤシート4との2列のシート3,4が設けられている。各シート3,4には、車両衝突時等に乗員を拘束して保護するシートベルト装置30(図17参照)が設けられている。尚、以下の説明において、「前側」及び「後側」はそれぞれ、車両前側及び後側を意味し、「左側」及び「右側」はそれぞれ、運転席の乗員から見て、車両の左側及び右側を意味するものとする。
車両Aの車幅方向両側面にはそれぞれ、前側から順にフロントピラー5、センタピラー6、及びリヤピラー7が設けられている。センタピラー6の傾斜角は、フロントシート3の通常使用位置でのシートバック傾斜角α(図2参照)と略一致している。本実施形態では、この傾斜角αを4°に設定している。尚、図2では、説明をわかり易くするために、傾斜角αを4°よりも大きく描いている。
フロントピラー5とセンタピラー6との間には、前側ドア開口部8が形成され、センタピラー6とリヤピラー7との間には、後側ドア開口部9が形成されている。各ピラー5〜7の上端部はルーフサイドレール21により連結され、各ピラー5〜7の下端部は、サイドシル42により連結されている。そして、フロントピラー5が前側ドア開口部8のドア開口前辺部を構成し、センタピラー6が、前側ドア開口部8のドア開口後辺部及び後側ドア開口部9のドア開口前辺部を構成し、リヤピラー7が後側ドア開口部9のドア開口後辺部を構成している。ルーフサイドレール21が両ドア開口部8,9のドア開口上辺部を構成し、サイドシル42が両ドア開口部8,9のドア開口下辺部を構成している。
前側ドア開口部8及び後側ドア開口部9はそれぞれ、上記前側サイドドア1及び後側サイドドア2により開閉可能になっている。各サイドドア1,2は、ドア本体Dにサッシュ1a,2aを取り付けたサッシュ付きドアであって、ヒンジ金具10を介して車体100に支持されている(図3参照)。
上記各ピラー5〜7はそれぞれ、上下に二分割されていて、ピラーアッパ5a〜7a(上側ピラー部に相当)とピラーロア5b〜7b(下側ピラー部に相当)とで構成されている。すなわち、フロントピラー5は、フロントピラーアッパ5aとフロントピラーロア5bとからなり、センタピラー6は、センタピラーアッパ6aとセンタピラーロア6bとからなり、リヤピラー7は、リヤピラーアッパ7aとリヤピラーロア7bとからなる。
各ピラー5〜7のピラーアッパ5a〜7aとピラーロア5b〜7bとの連結部は、車両側面視で、車両Aのベルトライン11上に位置している(図2参照)。また、図示しないが、ピラーアッパ5a〜7aは、上側に向かって車幅方向内側に傾斜(タンブル)している。
車体100は、上記各ピラー5〜7のピラーアッパ5a〜7aを含む車体上部体101と、各ピラー5〜7のピラーロア5b〜7bを含む車体下部体102とで構成されている。尚、以下の説明では、特に断らない限り、車体上部体101が車体下部体102に組み付けられた状態にあるものとして説明を行う。
車体下部体102は、プレス成形された鋼板を溶接して形成される一方、車体上部体101は、炭素繊維強化樹脂材(CFRP)により一体成形されている。
車体上部体101は、車体下部体102に対してその上側を覆うように連結支持されている。具体的には、車体上部体101は、図4に示すように、車両ルーフ部20と、車両ルーフ部20の前端部を支持する左右一対のフロントピラーアッパ5aと、車両ルーフ部20の後端部を支持する左右一対のリヤピラーアッパ7aと、車両ルーフ部20の前後方向中間部を支持する左右一対のセンタピラーアッパ6aとを含んでいる。
車両ルーフ部20は、該ルーフ部20の車幅方向両端部にて前後方向に延びる左右一対のルーフサイドレール21と、該ルーフ部20の前側端部にて車幅方向に延びるフロントヘッダー22(図1参照)と、該ルーフ部20の後側端部にて車幅方向に延びるリヤヘッダー23と、該ルーフ部20の前後方向の中間部にて車幅方向に延びるルーフクロスメンバ24と、車室天井部を覆うルーフパネル28とを備えている。
フロントヘッダー22、リヤヘッダー23、及びルーフクロスメンバ24は、車幅方向に延びる閉断面状に形成され、ルーフサイドレール21は、車両前後方向に延びる閉断面状に形成されている。
上記フロントピラーアッパ5aは、ルーフサイドレール21の前端部から前方斜め下側に向かって延び、上記リヤピラーアッパ7aは、ルーフサイドレールの後端部から後方斜め下側に向かって延び、上記センタピラーアッパ6aは、ルーフサイドレール21の上記ルーフクロスメンバとの連結部から下側に向かって前側に傾斜するように延設されている。これら各ピラーアッパ5a〜7aは、それぞれの水平断面が閉断面状をなすように形成されている。
各ピラーアッパ5a〜7aの下端部には差込部25〜27(図6、図8及び図10参照)が形成されている。各ピラーアッパ5a〜7aは、差込部25〜27を各ピラーロア5b〜7bの上端開口部35〜37に差込むことで各ピラーロア5b〜7bに連結されている。
上記車体下部体102は、エンジンやサスペンションが取り付けられるプラットフォーム部として機能するとともに、車両Aの車室床面部を形成している。
具体的には、車体下部体102は、車室床面を形成するフロアパネル41と、フロアパネル41の車幅方向の両側縁に沿って前後方向に延びる左右一対のサイドシル42と、各サイドシル42の前端部にそれぞれに接続され、前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム43と、各サイドシル42の後端部にそれぞれ接続され前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム(図示省略)と、車幅方向に延びて、前後方向に所定間隔を空けて並ぶ4つのクロスメンバ45とを含んでいる。
上記サイドシル42は、図5に示すように、断面ハット状のサイドシルアウタ50とサイドシルインナ51とを互いの間に閉断面を形成するように接合してなる。サイドシル42内には、サイドシルアウタ50に近接してそれと平行に延びる断面ハット状のサイドシルレイン52が設けられている。サイドシルアウタ50の上下の端縁部はそれぞれ、サイドシルレイン52を挟んでサイドシルインナ51の上下の端縁部に溶接して接合されている。
上記左右のサイドシル42の前端部にはそれぞれ、上下方向且つ前後方向に延びるフロントヒンジピラーがフロントピラーロア5bとして立設されている。
フロントピラーロア5bは、図6に示すように、車幅方向に並ぶヒンジピラーアウタ53とヒンジピラーインナ54とを溶接して形成されている。ヒンジピラーアウタ53の前後の端縁部はそれぞれ、ヒンジピラーインナ54の前後の端縁部に溶接されており、両者の間には上下方向に延びる閉断面が形成されている。こうして形成されるフロントピラーロア5bは、鉛直方向に延びる鉛直部48と該鉛直部48に対して後側(ドア開口部8側)に膨出する膨出部49とで構成されている。
フロントピラーロア5bの上端部は、上側に開口する略L字状の上端開口部35を形成している。この上端開口部35には、フロントピラーアッパ5aの下端部に設けられた差込部25が嵌入されて(差込まれて)接着接合される。
フロントピラーロア5b内には、フロントピラーアッパ5aの下端部に当接してその上下方向の位置決めを行うストッパ部材55が設けられている。
このストッパ部材55は、金属製(例えば鉄製)の板状部材を折り曲げることで形成されている。具体的には、ストッパ部材55は、略矩形状の水平支持部55aと、該水平支持部55aの各辺部から下側に延びる4つの縦壁部55bとで構成されている。水平支持部55aは、フロントピラーロア5bの鉛直部48内に嵌め込まれて各縦壁部55bを介して固定されている。各縦壁部55bは、フロントピラーロア5bの鉛直部48の内壁面に溶接されている。水平支持部55aの略中央には楕円形の貫通孔55fが形成されている。これにより、貫通孔55fを利用して、各縦壁部55bの溶接を容易に行うことができる。
上記フロントピラーアッパ5aの差込部25は、上端開口部35の形状に対応する略L字状の横断面を有する筒状体(又は柱状体)からなる。差込部25の上端開口部35に対する差込み方向は、上記センタピラー6の傾斜方向に一致している。
差込部25の周壁面は、下側に向かうほど径方向内側に縮径するテーパ状(図6ではこのテーパを省略して描いている)に形成されており、これにより、差込部25の上端開口部35への挿入性を向上させることができる。
車体上部体101を車体下部体102に組み付けた状態では、フロントピラーアッパ5aの下端面(差込部25の下端面)が上記水平支持部55aに当接し、これによりフロントピラーアッパ5aの上下方向の位置決めがなされる。フロントピラーアッパ5aは、この位置決めがなされた状態で接着剤を介してフロントピラーロア5bに接合される。
本実施形態では、フロントピラーロア5bの内壁面のうち、後方斜め上側に傾斜する後端面5gを除く面に、接着剤を塗布するための接着剤塗布面(図6の斜線で示す面部)が形成されている。そして、フロントピラーアッパ5aの差込部25の外壁面のうち後端面5kを除く面が、接着剤塗布面に塗布された接着剤を介してフロントピラーロア5bの内壁面に接合される。
上記フロントピラーロア5bの前端部には、エプロンガセット57(図5参照)を介して、前後方向に延びるエプロンレインフォースメント58が接続されている。エプロンレインフォースメント58には、サスタワー59及びホイールハウス60を構成するホイールエプロン61が接続されており、ホイールエプロン61の下端部は、フロントサイドフレーム43に接続されている。
フロントサイドフレーム43は、上記左右のサイドシル42の前端部に接続されて、前後方向に延びるように形成されている。フロントサイドフレーム43には、不図示のエンジンマウントを介して車両Aのエンジンが支持されている。
上記フロントピラーロア5bの前端部にはまた、車幅方向に延びてエンジンルームと車室とを仕切るダッシュアッパパネル62が接続されている。ダッシュアッパパネル62の下端部には、後方斜め下側に傾斜するダッシュロアパネル63に接続され、ダッシュロアパネル63の後端部は、キックアップパネル64を介してフロアパネル41に接続されている。
ダッシュアッパパネル62の上縁部には、車幅方向に延びてフロントウィンドガラス65の下端部を支持するカウルボックス66が固定支持されている。
ダッシュアッパパネル62の上下方向の中間部には、車幅方向に延びて左右のフロントピラーロア5bを連結するとともに、該ダッシュアッパパネル62との間で閉断面を形成するダッシュクロスメンバ46が設けられている。
上記両サイドシル42の後端部にはそれぞれ、車両前後方向に延びるサイドシルエクステンション70(図7参照)が接続されており、上記リヤサイドフレームは、サイドシルエクステンション70を介してサイドシル42の後端部に連結されている。
サイドシルエクステンション70の後側で且つリヤサイドフレームの車幅方向外側には、ホイールハウス60が設けられている。ホイールハウス60の上部は、車両側面視でアーチ状をなすように形成されており、ホイールハウス60の上側には、後部荷室の左右の側壁面を構成するキャブサイドインナパネル71が形成されている。
ホイールハウス60の車幅方向外側には、車体の外板を構成するキャブサイドアウタパネル72が設けられている。キャブサイドアウタパネル72の前後の端縁部はそれぞれ、キャブサイドインナパネル71の前後の端縁部に溶接されており、両パネルの間には略上下方向に延びる閉断面が形成されている。そして、このキャブサイドアウタパネル72とキャブサイドインナパネル71とが上記リヤピラーロア7bを構成している。
上記キャブサイドアウタパネル72とキャブサイドインナパネル71との前側の接合部は、前側ドア開口部8の後縁部に沿って延設されている。
両パネル71,72の上端部には、図8及び図9に示すように、車両前後方向に延びて上側に開口する上端開口部37が形成されている。この上端開口部37には、リヤピラーアッパ7aの差込部27が嵌入されて接着接合されている。この上端開口部37の車幅方向外側の端縁部は、アウタパネル72の上端部に形成されたヘミング部73により構成されている。このヘミング部73は、アウタパネル72の上端部を下側に折り曲げて形成されている。そして、ヘミング部73は、前後方向に並ぶ3つのストッパ部材74(後述する)を介して、キャブサイドインナパネル71に連結されている。
これにより、キャブサイドアウタパネル72の上端部を、ストッパ部材74を介してキャブサイドインナパネル71の上端部に強固に連結することができる。したがって、上記上端開口部37の車幅方向の口開きを防止することができ、この結果、該開口部37におけるリヤピラーアッパ7aの支持剛性を向上させることができる。
ストッパ部材74は、上述の如く上端開口部37の口開きを防止するとともに、リヤピラーアッパ7aの下端部に当接してその位置決めを行うものである。このストッパ部材74は、前後方向に略水平に延びる水平支持部74aと、該水平支持部74aの車幅方向内側の端部から下側に延びる下側縦壁部74bと、該水平支持部74aの車幅方向外側の端部から上側に延びる上側縦壁部74cとを有している。下側縦壁部74bは、キャブサイドインナパネル71に重合して溶接され、上側縦壁部74cは、キャブサイドアウタパネル72のヘミング部73に重合して溶接されている。
上記リヤピラーアッパ7aの下端部には、上述の如く、上端開口部37に嵌入される差込部27が形成されている。この差込部27の上端開口部37に対する差込み方向は、上記センタピラー6の傾斜方向に一致している。
この差込部27の厚さ方向(車幅方向)の両側面27a,27bは、下側に向かうほど内側に傾斜するテーパ状に形成されている。これにより、差込部27の上端開口部37への挿入性を向上させることができる。車体上部体101を車体下部体102に組み付けた状態では、リヤピラーアッパ7aの下端面(差込部27の下端面)が上記水平支持部74aに当接し、これによりリヤピラーアッパ7aの上下方向の位置決めがなされる。リヤピラーアッパ7aは、この位置決めがなされた状態で接着剤75を介して上記両パネル71,72に接合される。本実施形態では、両パネル71,72の相対向する面に接着剤塗布面(図8の斜線で示す面部)が形成されている。そして、リヤピラーアッパ7aの差込部27の厚さ方向の両側面27a,27bがそれぞれ、接着剤塗布面に塗布された接着剤75を介して両パネル71,72に接合される。
上記ホイールハウス60は、図7に示すように、車幅方向に対向配置されたホイールハウスアウタ81とホイールハウスインナ82とで構成されている。ホイールハウスアウタ81の周縁部とホイールハウスインナ82の周縁部とは互いに溶接して接合されている。キャブサイドアウタパネル72の下端部は、ホイールハウスアウタ81の下端部に接合されている。ホイールハウスインナ82の下端部は、リヤサイドフレームに接合されている。また、両サイドシル42の後端部は、リヤシート4(図2参照)の下部にて車幅方向に延びるNO3クロスメンバ45cによって互いに連結され、両リヤサイドフレームは、同じく車幅方向に延びるNO4クロスメンバ45dによって互いに連結されている。NO3及びNO4クロスメンバ44c,44d間には、リヤシート下パネル83が配設され、NO4クロスメンバよりも車両後側には、リヤフロアパン84が配設されている。上記左右のキャブサイドインナパネル71は、リヤシート4の後方にて車幅方向に延びる前後一対のリヤデッキクロスメンバ47により連結されている。両リヤデッキクロスメンバ47,47間には、車室と荷室と仕切るリヤパーセルボード85が配設されている。また、後側のリヤデッキクロスメンバ47には、リヤウィンド86(図2参照)の下端部が支持されている。
上記両サイドシル42の前後方向の略中央部にはそれぞれ、上側に向かって若干後側に傾斜するセンタピラーロア6bが形成されている。
センタピラーロア6bは、図10に示すように、断面ハット状をなすセンタピラーアウタ90とセンタピラーインナ91とを互いの間に閉断面を形成するように接合してなる。
センタピラーロア6b内には、センタピラーアウタ90に近接してそれと略平行に延びる断面ハット状のセンタピラーレイン(図示省略)が設けられている。センタピラーアウタ90の前後の端縁部はそれぞれ、センタピラーレインを挟んでセンタピラーアウタ90の前後の端縁部に溶接されている。そして、センタピラーロア6bの前側の接合部は、前側ドア開口部8の後縁部に沿って延設され、センタピラーロア6bの後側の接合部は、後側ドア開口部の前縁部に沿って延設されている。
センタピラーロア6bの上端部は、上側に開口して略六角形状の上端開口部36を形成しており、この上端開口部36に上記センタピラーアッパ6aの下端部が嵌入されて接着接合される。センタピラーロア6b内には、センタピラーアッパ6aの下端部に当接してその高さ方向の位置決めを行うストッパ部材93が設けられている。
このストッパ部材93は、センタピラーロア6bの断面形状に対応した略六角形状の水平支持部93aと、該水平支持部93aの各辺部から下側に延びる6つの縦壁部93bとを有している。各縦壁部93bはセンタピラーロア6bの内壁面に溶接されている。水平支持部93aの略中央には円形の貫通孔93fが形成されている。これにより、貫通孔93fを利用して、各縦壁部93bの溶接を容易に行うことができる。
上記センタピラーアッパ6aの下端部には、上述の如く、上端開口部36に嵌入される差込部26が形成されている。差込部26の上端開口部36に対する差込み方向は、上記センタピラー6の傾斜方向に一致している。この差込部26は、センタピラーアッパ6aの下端部を、下側に向かうほど縮径させることで形成されている。これにより、差込部26の上端開口部36に対する挿入性を向上させることができる。
車体上部体101を車体下部体102に組み付けた状態では、センタピラーアッパ6aの下端面(差込部26の下端面)が上記水平支持部93aに当接し、これによりセンタピラーアッパ6aの上下方向の位置決めがなされる。センタピラーアッパ6aは、この位置決めがなされた状態で接着剤94(図15参照)を介してセンタピラーロア6bに接合される。センタピラーロア6bの内壁面には、その全周に亘って接着剤塗布面(図10の斜線で示す面部)が形成されている。そして、センタピラーアッパ6aの差込部26の外壁面が、接着剤塗布面に塗布された接着剤94を介してセンタピラーロア6bに接合されている。
上記車体下部体102における各ドア開口部8,9の外周縁を形成する部分には、鋼板(パネル)を溶接する際に生じる接合部を利用して下部フランジ部111が形成されている。具体的には、前側ドア開口部8,9に形成される下部フランジ部111は、フロントピラーロア5bの後側の端縁部(接合部)と、サイドシル42の上側の端縁部(接合部)と、センタピラーロア6bの前側の端縁部(接合部)とが略連続的に繋がって形成されている。
また、後側ドア開口部9に形成される下部フランジ部111は、センタピラーロア6bの後側の端縁部(接合部)と、サイドシル42の上側の端縁部(接合部)と、リヤピラーロア7bの前側の端縁部(接合部)とが連続的に繋がって形成されている。
各ドア開口部8,9に形成された下部フランジ部111は、サイドドア1,2が閉じた状態でその周縁部にウェルトシーミング113(図12参照)を介して当接することでドア開口部8,9をシールする。ここで、本実施形態の如く、車体上部体101を樹脂材により一体成形するようにしたものでは、成形性の観点から車体上部体101にフランジ部を形成することができない。このため、フランジ部をドア開口部8,9の全周に亘って形成することができず、フランジ部を利用したドアシール構造を採用することができないという問題がある。そこで、本実施形態では、車体上部体101における各ドア開口部8,9に沿った部分にそれぞれ、別体のフランジ形成部材114を接合することで、ドア開口部8,9の全周に亘ってフランジ部を形成して、このフランジ部を利用したドアシール構造を可能にしている。
上記フランジ形成部材114は、図12〜図14に示すように、板状の金属部材を例えばプレス加工することで形成される。具体的には、フランジ形成部材114は、車体上部体101におけるドア開口部8,9の内周面を形成する部分に接着される主接着部114aと、主接着部114aの車幅方向内側の端縁部に接続され、ドア開口部8,9の径方向内側に突出する突出フランジ部114bと、主接着部114aの車幅方向外側の端縁部に接続され、ドア開口部8,9の径方向外側に突出するシール当接面部114cと、で構成されている。上記シール当接面部114cの車幅方向外側の面は、サイドドア1,2が閉状態にあるときにウェザストリップ123に当接するシール面114fを形成している。また、シール当接面部114cの車幅方向内側の面は、車体100の車幅方向外側の面に接着される接着面114gを形成している。
前側ドア開口部8に装着されるフランジ形成部材114は、ドア開口部8の上側半部(ベルトライン11よりも上側の部分)の輪郭形状に対応して、略V字状をなすように形成されている(図2及び図11参照)。後側ドア開口部9に装着されるフランジ形成部材114は、ドア開口部9の上側半部の輪郭形状に対応して、略コ字状をなすように形成されている。
フランジ形成部材114を各ドア開口部8,9に装着した状態では、車体下部体102に形成された下部フランジ部111と、フランジ形成部材114に形成された突出フランジ部114bとが、ドア開口部8,9の周方向において連続的に繋がって、該ドア開口部8,9の全周に亘って径方向内側に突出するフランジ部120を形成している。
上記フランジ部120厚さ方向の両側面は、段差のない平滑面を形成している。すなわち、フランジ部120は、下部フランジ部111と突出フランジ部114bとの境界部において略連続的に繋がって面一になっている(図14参照)。そして、上記ウェルトシーミング113は、各フランジ部120を挟持するようにしてその全周に亘って配設されている(図12及び図13参照)。尚、図13中、符号126は車室天井面を形成するトップシーリングである。
ここで、フランジ形成部材114をドア開口部8、9に装着した状態では、各ピラーアッパ5a〜7aと各ピラーロア5b〜7bとの境界部(連結部)には段差部が生じており、本実施形態では、この段差部のうちシールラインS(図2参照)上に位置する部分にシールテープ150を貼着するようにしている。すなわち、図14及び図15に示すように、フランジ形成部材114のシール面114fとピラーロア5b〜7b(図ではセンタピラーロア6bのみを示す)の車幅方向外側の面とで形成される段差部122にシールテープ150を貼着するようにしている。
ここで、シールラインSとは、サイドドア1,2を閉じた状態で、車室内への水(雨滴等)の浸入を防止するべくドア開口部8,9の周縁部に沿って設定された仮想ラインである。上記サイドドア1,2には、その閉状態において該シールラインSに沿って車体100に当接するウェザストリップ123が取り付けられている(図12、図13及び図15参照)。ウェザストリップ123は各サイドドア1,2の全周に亘って取り付けられている。尚、図12中、符号124は、各サイドドア1,2に設けられたウィンドガラスであり、符号125は、各ウィンドガラス124とサッシュ1a,2aとの隙間をシールするガラスランチャンネルである。
上記シールテープ150は、上記シールラインS上に生じる段差を埋めてドア開口部8,9のシール性を向上させるためのものである。図15に示すように、シールテープ150の貼着面150aは、段差部122との間に隙間が生じないように、該段差部122の形状に対応した段差状に形成されている。すなわち、貼着面150aは、段差部122に係合する段差状に形成されている。
一方、シールテープ150の貼着面150aとは反対側の面150bは、サイドドア1,2の閉時にウェザストリップ123に当接するシール面150bを構成していて、滑らかな平滑面状に形成されている。本実施形態では、このシール面150bは、その上下方向の中央位置で円弧面を介して滑らかに接続される2つの傾斜面150c,150dにより構成されている。傾斜面150c,150dは、傾斜角(貼着面150aに対する傾斜角)が例えば10°以下となる緩やかな傾斜面とされている。
以上のように構成された車体100(図11参照)を組み立てる際には、車体下部体102を治具で固定した上で、各ピラーロア5b〜7bに設定された接着剤塗布面に接着剤を塗布する。そして、接着剤塗布後に、車体上部体101を、車体下部体102に対して、鉛直上方に向かって後方に4°傾斜する方向から接近させて、各ピラーアッパ5a〜7aの差込部25〜27をそれぞれ、各ピラーロア5b〜7bの上端開口部35〜37に差込んで行く。そして、差込部25〜27が、各ピラーロア5b〜7b内に設けられたストッパ部材55,74,93に当接した時点で車体上部体101の該接近移動を停止する。
そうして、車体上部体101を車体下部体102に組み付けた後に、フランジ形成部材114を車体上部体101のドア開口部8,9に嵌め込んで接着固定し、次いで、フランジ形成部材114と、ピラーロア5b〜7bとの境界部に生じる段差部122にシールテープ150を貼着する。そして、シールテープ150を貼着した後に、サイドドア1,2を車体100の左右両側面に取り付ける。
上記各サイドドア1,2は、その前端部に取り付けられた上下一対のヒンジ金具10を介して車体100に取付けられる。各ヒンジ金具10は、図16に示すように、車体下部体102に取り付けられる車体側金具10aと、各サイドドア1,2に取り付けられるドア側金具10bと、ヒンジ軸14とで構成されている。
上記車体側金具10aは、フロントピラーロア5bの上端部及び下端部にボルト141により固定される固定板13と、固定板13の上下両端部から車幅方向外側に突出する一対の支持板15とで構成されている。ヒンジ軸14の両端部は該一対の支持板15により固定支持されている。ヒンジ軸14が支持板15により支持された状態では、ヒンジ軸14の軸心方向は上下方向に一致している。
ドア側金具10bは、ヒンジ軸14回りに回動可能に支持されたコ字状部16と、コ字状部16のコ字開口側の両端部に接続された固定板17とで構成されている。固定板17は各サイドドア1,2の前端部にボルト142により固定される。そして、各サイドドア1,2は、コ字状部16と共にヒンジ軸14周りに水平方向に回動可能になっている。
各サイドドア1,2の後端部には、車体側に設けられたストライカ18(図1参照)と係合することで該サイドドア1,2を閉状態に固定するラッチ機構95(図3参照)が設けられている。
前側サイドドア1のラッチ機構95に係合するストライカ18は、センタピラーロア6bの前側ドア開口部8に臨む面に固定されている。また、後側サイドドア2のラッチ機構95に係合するストライカ18は、リヤピラーロア7bの後側ドア開口部9に臨む面に固定されている。
上記シートベルト装置30は、図17に示すように、フロントシート3及びリヤシート4のうち、ドア開口部8、9に隣接するシート部(フロントシート3にあっては運転席及び助手席)に設けられている。シートベルト装置30は、所謂3点式シートベルト装置であって、シート3,4に着座した乗員を拘束するための帯状のショルダベルト130を備えている。
ショルダベルト130は、ショルダアンカ131に挿通された状態で、一端部がベルトリトラクタ132に巻き付けられ、他端部がフロアアンカ133に固定されている。ショルダベルト130には、タング134が挿通されており、タング134は、シート3,4に固定されたバックル(図示省略)に着脱可能になっている。
上記ベルトリトラクタ132から上方に引き出されたショルダベルト130は、ショルダアンカ131により乗員の肩口付近で折り返されて、該乗員の肩口から腰部に掛け渡した状態でタング134を介してバックルに固定される。
フロントシート3に設けられるシートベルト装置30のフロアアンカ133は、サイドシル42の前後方向の中間部にボルトにより固定されている。ベルトリトラクタ132は、センタピラーインナ91の下端部にボルトにより固定されている。ショルダアンカ131は、センタピラーアッパ6aの上端部にボルトにより固定されている。尚、ベルトリトラクタ132やショルダアンカ131をボルトで固定せずに、例えば溶接等により固定してもよいことは言うまでもない。
上記ベルトリトラクタ132とショルダアンカ131と両者の間に位置するショルダベルト130とは、センタピラートリム19(図12参照)により車室側から覆われて車室内から見えないようになっている。センタピラートリム19の上端部には、ショルダベルト130を車室内に引き出すための開口部19aが形成されており、この開口部19aには、上下方向にスライド自在に構成されたスライドカバー19bが設けられている。
一方、リヤシート4に設けられるシートベルト装置30のフロアアンカ133は、荷室
の側壁面を構成する上記キャブサイドインナパネル71にボルトにより固定されている。。ショルダアンカ131は、リヤピラーアッパ7aの上端部にボルトにより固定されている。ベルトリトラクタ132とショルダアンカ131と両者の間に位置するショルダベルト130とは、不図示のリヤピラートリムにより車室側から覆われている。また、リヤピラートリムには、上記センタピラートリム19と同様に、ショルダベルト130を引き出すための開口部と、該開口部を閉塞するスライドカバーとが設けられている。
以上の如く上記実施形態1では、車体100を、上下に二分割して車体上部体101と車体下部体102とで構成し、車両走行中に路面から入力される外力が比較的大きく、車両衝突時に大荷重が作用する車体下部体102(プラットフォーム部分)を、剛性の高い金属材料で構成する一方、車両走行中や車両衝突時に加わる外力が比較的小さい、車体上部体101を樹脂製材料で一体成形するようにした。このことで、車両の衝突安全性(車体剛性)を損なうことなく車体100の軽量化を図ることができる。
また、上記実施形態1では、各ドア開口部8,9にフランジ形成部材114を組み付けることによって、該フランジ形成部材114の突出フランジ部114bと、車体下部体102に形成された下部フランジ部111とが協働して、ドア開口部8,9の全周に亘ってフランジ部120を形成するようにした。このことで、車体上部体101をフランジ部の成形が困難な樹脂一体成形品で構成した場合でも、ドア開口部8,9の周縁部の全周に亘ってフランジ部120を形成することができる。したがって、フランジ部120の全周に亘ってウェルトシーミング113を取り付けて、上記ウェザストリップ123と共にドア開口部8,9を二重にシールすることができる。よって、ドア開口部8,9のシール性を可及的に向上させることができる。
(実施形態2)
図18〜図20は、本発明の実施形態2を示し、フランジ形成部材114の構成を上記実施形態1とは異ならせたものである。尚、図11,図14及び図15と実質的に同じ構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。
すなわち、本実施形態2では、フランジ形成部材114は各ドア開口部8,9の輪郭形状に対応した枠状に形成されている。具体的には、フランジ形成部材114は、車体100における各ドア開口部8,9の内周面を形成する部分に接着される主接着部114aと、主接着部114aの車幅方向内側の端縁部からドア開口部8,9の径方向内側に全周に亘って突出する突出フランジ部114bと、主接着部114aの車幅方向外側の端縁部からドア開口部8,9の径方向外側に突出するシール当接面部114cと、で構成されている。尚、図20では、フランジ形成部材114の形状を簡略化してその全体形状のみを示している。
フランジ形成部材114をドア開口部8,9に組み付けた状態では、突出フランジ部114bは、下部フランジ部111に対して車幅方向外側から重合して接着されている(図18参照)。
上記シール当接面部114cは、車両側面視でシールラインS(図2参照)に一致するように形成されている。シール当接面部114cの車幅方向外側の面は、サイドドア1,2が閉状態にあるときにウェザストリップ123に当接するシール面114fを形成している。また、シール当接面部114cの車幅方向内側の面は、車体100の車幅方向外側の面に接着される接着面114gを形成している。
シール当接面部114cは、各ピラーアッパ5a〜7aと各ピラーロア5b〜7bとの連結部に生じるピラー外表面の段差部115を覆うように形成されている。シール当接面部114cの接着面114g(シール面114fとは反対側の面114g)は、この段差部115に係合する段差状に形成されている。
上記車体100の組み立て方法は、図20に示すように、上記実施形態1と同様であるため、ここではその説明を省略する。
上記実施形態2では、上記実施形態1と同様に、簡単な構成で、車体剛性を向上させつつその軽量化を図ることができる。
また、上記実施形態2では、車体下部体102に形成された下部フランジ部111と、下部フランジ部111に対して車幅方向に重合して接着された突出フランジ部114bとの協働により、ドア開口部8,9の全周に亘ってフランジ部120を形成するようにした。このことで、車体上部体101を樹脂一体成形品で構成した場合でも、ドア開口部8,9の周縁部の全周に亘ってフランジ部120を形成することができる。よって、上記実施形態1と同様に、フランジ部120の全周に亘ってウェルトシーミング113を取り付けて、ドア開口部8,9のシール性を向上させることができる。
また、上記実施形態2では、フランジ形成部材114を枠状の一体成形品としたことで、突出フランジ部114b(フランジ部120)の周方向の連続性を高めることができる。これにより、ドア開口部8,9のシール性及びドア開口部8,9周りの見栄えを向上させることができる。
また、上記実施形態2では、フランジ形成部材114にシール当接面部114cを形成するようにしたことで、シール当接面部114cを車体100とは別体化することができる。したがって、上記実施形態の如く、車体上部体101と車体下部体102とを異なる材料で構成した場合であっても、シール当接面部114cをドア開口部8,9の全周に亘って同じ材料で形成することができる。よって、シール面114fにおけるシール特性を均一化して、ドア開口部8,9のシール性を可及的に向上させることができる。
また、上記実施形態2では、シール当接面部114cによって、上記各ピラーアッパ5a〜7aと各ピラーロア5b〜7bとの連結部に生じるピラー外表面の段差部115を覆うようにしたことで、サイドドア1,2が閉じたときにウェザストリップ123が段差部115に直接当接するのを防止することができる。したがって、ウェザストリップ123によるシール性が段差部115にて損なわれることもない。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記各実施形態では、車両Aの車幅方向両側面にそれぞれ2つのドア開口部8,9を形成するようにしているが、これに限ったものではなく、3つ以上形成するようにしてもよいし1つだけ形成するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、サイドシル42内に補強用のサイドシルレイン52を設けるようにしているが、これを廃止してもよい。同様に、センタピラー6内のセンタピラーレインを廃止してもよい。
また、上記各実施形態では、上記車体上部体101は炭素繊維強化樹脂製とされているが、これに限ったものではなく、例えばガラス繊維強化プラスチック(GFRP)製であってもよい。
また、上記各実施形態では、上記車体下部体102は鋼板製とされているが、例えばアルミ製であってもよい。
また、上記各実施形態では、上記フランジ形成部材114は、主接着部114aと突出フランジ部114bとシール当接面部114cとで構成されているが、これに限ったものではなく、例えば、実施形態1では、シール当接面部114cを廃止することもできるし、実施形態2では、主接着部114a及びシール当接面部114cを廃止することもできる。すなわち、突出フランジ部114bをドア開口部8,9に組み付けることができれば、フランジ形成部材114はどのような構成であってもよい。