JP5386972B2 - 溶銑の脱珪脱りん方法 - Google Patents

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本発明は、鉄鋼精錬において、鋼材の性質に悪影響を及ぼす珪素、りんの効率的な除去方法を提供するものであり、鉄鋼の精錬において広く適用し得る技術である。また、本発明は、酸素ガスを多量に上吹きして脱珪脱りん処理を行う転炉方式溶銑予備処理技術に関する。なお、本明細書において塩基度とは、スラグの塩基度を意味するものである。
鉄鋼材料は、大量に製造され、広く社会一般に用いられることにより、素材として、重要な役割を担ってきた。また、このように鋼材が社会に広く受け入れられてきた理由として、安価で安定供給を可能とする製造技術の発展によるところも大である。
鉄鋼材料に含まれるりん、硫黄などの不純物は、その原料である鉄鉱石や石炭から混入するものであるが、これらの不純物は一般に鋼材を脆くし、性質を悪化させるため、これを除くために、これまでにも、多くの技術が開発・検討されてきた。鉄鋼材料は安価であることから、如何に効率的に、安価に不純物を除去するかも重要な点である。
特に、日本において、1980年代より、高炉溶銑を主たる原料とする場合に、溶銑段階でりん、硫黄などの不純物を取り除く、溶銑予備処理技術が発展した。また、本技術は、当初、一部の高級鋼材を対象に適用されていたが、製造品種全体の高級化、あるいは、精錬コスト低減の観点から、製鉄所における全ての製造品に適用する大量処理プロセスとして発展して来た。この場合、生産性の確保と、精錬コストの低減が技術的に最も重要になる。
溶銑の脱りん処理について言えば、脱りん剤の使用量や熱ロスを極限まで低減し、なおかつ、例えば従来40分要していた処理時間を10分程度の短時間とすることにより、コスト低減と生産性の両立が図られる。このため、従来、様々な技術的提案がなされている。
溶銑の脱りん処理は、一般にCaOなどの塩基性酸化物を主成分とするスラグを溶銑上に形成し、この中に酸化、除去する反応を利用する。この場合、脱りん反応はイオン式で表される。
P +3/2 (O2-) + 5/4 O2 = (PO4 3-) (1)
ここに、Pは溶銑中に溶解しているりん、(O2-)は、スラグ中の酸素イオン、O2はガス状の酸素、(PO4 3-)は、スラグ中のりん酸イオンを表す。
この場合、スラグに酸素イオンを供給するものがCaO等の所謂、塩基性酸化物であり、元素周期表の第1、2族の酸化物である。しかし、スラグとして優れた精錬能力を発揮するには、酸素イオンを供給し易いだけでなく、容易に溶融して溶融イオン体であるスラグを形成し易いことも重要である。CaO自体は、2600℃と非常に高い融点をもち、容易に溶融しない。そのため、過去においては、溶融促進剤として、安価で効果の大きいCaF2が広く使用されていた。しかし、現在では、スラグの再利用先である路盤材に対し、Fの溶出が厳しく制限されている。そのため、F源を使用しない脱りん方法として、特開平8-311523号公報には、こうしたハロゲン系化合物を使用しなくとも、効率的な脱りんを行う方法として、底吹き攪拌を行いつつ、溶銑1tonあたり0.7から2.0Nm3/tの酸素ガスとともに微粉CaOを吹き付ける方法が開示されている。これは、比表面積の大きな微粉をCaO源とし、更に、酸素ガスとともに吹き付けることで、溶銑と酸素ガスが反応して形成される高温の酸化反応領域、所謂、火点に吹き込むことで溶融を速やかに行わせることを意図したものと考えられる。転炉においてCaO源として微粉を使用し、これを火点に吹き込む、という発想は、例えば、日本鉄鋼協会編、鉄鋼製造法、第一分冊、製銑製鋼、p.568にも記載があるように、古くはARBED-CERN法として、欧州において高りん溶銑の転炉吹錬において行われ来た方法である。これを転炉型の溶銑予備処理に応用しようとする発想は、上記引用例の他にも、特開2004-43833公報に同様な記述がある。また、特開平9-143529公報には、単に微粉のCaO源を用い、底吹き攪拌力を1.2〜10kw/tとし、CaO/SiO2が1.7〜2.1とすることで、CaF2やCaCl2を使用せずに効率的な脱りん処理が可能であることが示されている。しかし、後述するように、本願発明者らは、単に微粉CaOを供給するのみでは、効率的な脱りんが常に可能ではないことを明らかにし、そのメカニズムを検討した結果、本願発明に至った。
一方、CaO添加量のコントロールは、重要である。即ち、過剰なCaO添加はコスト高を招くのみならず、スラグ中の未反応CaOを増やすので、スラグを再利用した時の強アルカリ溶出や、風化膨張の原因となる。一方、当然ながら、CaOが不足すれば、脱りんが不十分になり、目的を達成しない。そこで、CaO添加量を最低限に抑えても十分な脱りんを可能とする方法が種々提案されている。一つの方法は、溶銑中の珪素を予め除去することにより、少ないCaO量でもスラグの塩基度CaO/SiO2を低下させない方法である。特開2002-105523号公報には、溶銑にCaO源と酸素源を添加して溶銑の脱りん処理を行うに際し、Si量が0.07質量%以下の溶銑に対して行うこととの記載がある。一般に、高炉溶銑の珪素濃度は0.2質量%以上であるので、本法を実施するには、脱りん処理に先行して脱珪処理が必要となる。しかし、事前に脱珪処理を行うには、新たな設備が必要となる。また、脱珪処理で発生するスラグを排滓する必要があり、排滓に伴う鉄ロスや熱ロスが増え、コスト的に不利になる、という問題がある。
スラグのCaO/SiO2やFeO濃度のコントロールという点では、脱りん処理終点でのCaO/SiO2をある範囲とすること、あるいはFeOを初期に生成促進することで、溶融スラグを早期に生成することによりCaOのスラグへの溶解を促進する、という発想が見られる。特開平11-50123号公報には、転炉に置ける溶銑の脱りん精錬方法として、精錬開始から珪素の酸化が終了する間、CaOを連続添加すること、また、珪素が酸化する間、CaO/SiO2を0.5〜2.5、ないし0.7〜1.5に維持する、との開示がある。しかし、本願発明者らによれば、このような方法で脱りんを促進するには不十分である。
更に、CaOを連続的に添加しつつ、その速度をコントロールする方法として、特開2005-126784号公報には、溶銑の脱りん処理を酸素ガスとCaO源の吹き付けにて行うに際し、処理前のりん、珪素濃度に応じ、下式によってCaO供給速度FCaOを決定する、との記載がある。
0.25×ln([P])+0.8<FCaO-0.4×[Si]<0.5×ln([P])+1.6
しかし、このような設定を行う物理化学的根拠は不明確である。
特開平8-311523号公報 特開2004-43833号公報 特開平9-143529号公報 特開2002-105523号公報 特開平11-50123号公報 特開2005-126784号公報 鉄鋼製造法、日本鉄鋼協会編、丸善
本願発明は、以上の課題を解決し、効率的な脱りん方法を提供するものであり、基本的に蛍石などのハロゲン化物を用いることなく、また、特殊な精錬剤を必要とせず、事前脱珪処理を必要とせず、更に、低コストで効果を発揮する。
具体的には、10分程度という極めて短い時間で効率的な溶銑脱りんを可能とすることにより、極めて生産性の高い溶銑脱りん法を提供する。しかも、処理後りんのばらつきを抑制し、溶銑予備処理−転炉トータルでの精錬剤削減、コスト削減に寄与すること大である。
特に、本法は、冷鉄源溶解量の多い、即ち、溶銑の脱珪脱りん処理において、スクラップ等の冷鉄源を同時に溶解する場合に大きな効果を発揮する。即ち、従来の方法では、冷鉄源比率が高い場合、脱りんが悪化する傾向があるが、これに対し、本法を適用すれば、冷鉄源比率が高い場合でも、冷鉄源比率が低い場合同様、安定した脱りん処理が可能になり、生産量の情報弾力性を高めることができる。
上記課題を解決するために成された本願発明は、
(1)溶銑の脱珪脱りん処理を行うに際し、粒径1mm以下の微粉CaO源を用い、上吹き酸素とともに吹き付けを行う方法と、直接溶銑中に吹き込む方法とを併用することにより前記CaOの供給量を制御して、脱りん処理後の塩基度を1.8〜2.2とし、処理開始2分後の塩基度を1.0〜1.4、処理開始5分後の塩基度を1.4〜1.8とすることを特徴とする溶銑の脱珪脱りん方法。
(2)珪素濃度が0.2質量%以上の場合、CaO源として、粒径1mm以下の微粉CaOの他に、粒径5mm以上の脱炭滓を上方添加することを特徴とする(1)の溶銑の脱珪脱りん方法。
本願発明者らは、本願発明に至る基礎研究において、溶銑脱りん処理において、特に、処理前の溶銑温度が低い場合には、CaO源として微粉CaOを用いたプロセスで、これまでのように、早期にスラグの塩基度を上げるために、初期から大量に微粉CaOの供給を行うと、スラグが均一液相を形成する前に、固−液共存状態となり、所謂、キャピラリー効果によって流動性に乏しい大きな固まり状を呈することを見出した。脱りん処理初期の段階で、スラグがこのような状態になると、その後、更に焼結反応が進行して大きな塊となってしまうので、脱りん処理後半に温度が上がっても再溶解することはなく、スラグと溶銑の接触情況が悪い状態が維持される。即ち、塊内部に取り込まれたスラグは、溶銑と接触する機会がなくなるので、スラグと溶銑の界面で生成したりん酸を固定することができない。その結果、スラグと溶銑の混合が殆ど起きず、脱りん効率が極めて悪化することが分かった。特に、実験室にて、意図的に温度を1280℃程度の低いままに維持すると、脱りんに有効に作用するCaO、FeOが極端に減少することを見出した。一方、実際の工場プロセスでは、スクラップ、鉄鉱石などの冷却材と、酸化発熱作用をもたらす気体酸素の割合をコントロールすることにより、脱りん後の終点温度は多くの場合、ある目標値に制御される。しかし、上記の理由により、脱りん効率は処理終点のスラグの塩基度や温度だけでは決まらず、脱りん処理初期のスラグの状態が重要で、特に流動性を維持することが重要であることがわかった。その理由は、少量の液体スラグしか生成していない初期の段階で、大量の微粉CaOを供給すると、スラグに溶解し切れない粉体CaOの粒子間に少量の液体が侵入した状態になり、作用するキャピラリー効果、即ち、液体架橋による凝集効果によってスラグが流動性を全く失い、通常の2液体間反応のような、スラグへの溶銑の巻き込み、溶銑のスラグへの巻きこみが起き難く、接触が不十分となり、脱りん反応が進行しないことによって脱りん反応が遅れることを見出した。
従って、特に、温度が低くなりがちな、脱りん処理初期の段階では、スラグの融点を低く維持して液相量を多くすることが肝要であることを見出した。即ち、塩基度を高め過ぎて上記の現象で流動性を消失しないよう、粉体CaOの供給速度をデリケートにコントロールすることが必要であることが明らかになった。そのためには、脱りん処理開始後、脱珪反応がほぼ終了する2分後の塩基度を1.0〜1.4とする。こうすることにより、スラグの液相率は50〜100質量%に維持され、十分な流動性を維持することができる。更に、5分後に、1.4〜1.8とすることが適正であり、更に、脱りん終了時点では、1.8〜2.4とすることが適正であることが分かった。図2は、理想的なスラグ塩基度の推移を示したものである。これより高い塩基度になると、上記、塊成化により流動性不良となって脱りんがおき難くなる。一方、これより塩基度が低くなると、特に脱珪が終わって温度も上がる後半に、スラグフォーミングが激しくなってスロッピング現象、すなわち、スラグの泡立ちが激しくなり、スラグ、あるいはスラグとともにスラグに懸濁した溶銑が炉からあふれ出す現象により、精錬を中断し、更には、鎮静剤を投入せざるを得なくなる。また、そもそも、塩基度が低過ぎれば、スラグの脱りん能力が乏しくなって、目標のりん濃度に低減できなくなる。
一方、CaO供給速度をコントロールする手段として、従来、行われているような上吹き酸素ガスをキャリアーガスとして、同時に微粉CaOを供給する方法では、酸素流量が一般的には10000Nm3/h程度と大きいため、酸素ガスの吐出孔と粉体の吐出孔が同じとなっていて、酸素ガスが微粉CaOのキャリアーガスを兼ねている場合、微粉CaOの流量を極端に変更するためには、元圧を大きく変える必要があり、設備的に難しい場合があるので、本願発明では、溶銑中に底吹き羽口等を設けて吹き込むという、別の供給手段を併用することを着想した。これにより、処理前珪素濃度の変動に対し、塩基度の制御が可能になる。
更に、処理前の溶銑の珪素濃度が高い場合には、それだけSiO2発生量が多くなり、最終塩基度に到達するための所要のCaO量が増え、上記のような微粉CaOの連続添加法のみであると、処理時間を延ばさないと所要のCaOが供給できないという問題が生じるため、特に、温度が上昇する後半に、更にCaO源を追加することを着想した。また、こうすることによって脱りん処理末期に多発するスロッピングを抑制することが可能になって、なお望ましい。微粉CaO源の粒径は1mm以下とする。これは、上吹き酸素をキャリアーガスとしてメインランスより吹き付けを行ったり、羽口から吹き込みを行う場合、1mmより大きいと、配管の磨耗が生じて操業が難しくなることが理由の一つであり、また、これより大きいと、粒子内部への伝熱が律速となって溶融、滓化が不十分となるためである。溶銑中の珪素濃度が0.2質量%以上ある場合、処理後の塩基度を1.8〜2.2とするのに要するCaOの量が多くなるので、微粉CaO源で供給不足するCaO分を、塊状CaO源を上方添加することで補う。また、上方添加する塊状CaO源としては、バージンのCaOよりも、溶銑予備処理に引き続き行われる転炉脱炭において生成する脱炭滓を使用することが望ましい。即ち、脱炭滓は、溶融温度が1450℃程度と、CaOに比べて遥かに低融点であるため、滓化し易いこと、さらに、FeO濃度が高く、秘密であるため比重が大きく、粒径5mm程度の小径でも飛散によるロスが少ない。しかし、粒径5mm未満であると、炉内の上昇気流によって炉外に飛び出す可能性があり、粒径は5mm以上とする必要がある。
本発明の溶銑の脱りん方法によれば、溶銑脱りん処理後のりん濃度が低位安定化し、操業のばらつきが少なくなるので、りんの上限はずれなどのトラブルが少なくなる。また、多量の冷鉄源を使用しても脱りんが悪化しないので、生石灰原単位増加によるコスト増加を招くことがない。更に、珪素濃度が高い場合でも、脱りん処理時間が10分程度の短時間で済むため、溶銑予備処理比率を低下させることなく、それによる脱炭炉でのCaO原単位増によるコスト増加を招くこともない。
また、本法は、上吹き酸素ランス、あるいは底吹きノズルに粉体供給装置を追加するだけで良く、大きな設備投資も必要無く、経済的である。
図1は、本願発明を実施するに好適な設備の概要を示す。転炉1に冷鉄源11を装入し、更に溶銑2を装入する。次に、酸素ガスを上吹きしながら、底吹き羽口よりCaO源を吹き込む。更に、上吹きランスからCaO源を上吹きする。脱りん中期以降、必要に応じて、炉上ホッパーからCaO源、あるいは鉄鉱石等の冷却材、精錬剤を投入する。
脱珪速度は、一般に、溶銑側の物質移動律速であることが分かっているので、(2)式で表され、また、(2)式の脱珪速度定数KSiの値は、底吹き攪拌力と上吹き攪拌力が同一であれば、一定となるので、溶銑中の珪素濃度の経時変化を予め複数のチャーシ゛で調査すれば、KSiを求めることができる。一般には、底吹き攪拌力、上吹き攪拌力ともに、設備条件としてほぼ一定で行われるので、一度測定すれば、KSiが大きく変わることは無い。処理前の珪素濃度[%Si]initialは通常、分析されて既知であるので、(2)式で処理中の任意の時刻における珪素濃度[%Si]が推定できる。
[%Si]=[%Si]initial exp(-KSi t) (2)
ここに、KSi:脱珪反応速度定数(1/min)、t:処理開始からの時間(min)、
[%Si]initial:処理前の溶銑中の珪素濃度(重量%)、[%Si]:処理開始後t分後の溶銑中の珪素濃度(重量%) である。
一方、脱珪反応によって生成したSiO2の量WSiO2は(3)式で示す物質バランスによって計算できる。
WSiO2 = ([%Si]initial - [%Si])×Wm×60 / 28 (3)
ここに、Wm:溶銑重量(kg)、WSiO2:SiO2生成量(kg)、60:SiO2の分子量、28:Siの分子量 である。
SiO2の量から、CaO/SiO2の目標値に対するCaOの量を算出し、ある時刻でCaO量が満たせるようにCaOの供給量を連続的に調整する。
本願発明者らは、その最適パターンを種々検討した結果、脱りん処理後の塩基度は1.8〜2.4が適正であること、更に、処理開始後2分後に塩基度CaO/SiO2を1.2〜1.6に、処理開始5分後に塩基度CaO/SiO2を1.6〜2.0を目標にCaOの供給速度をコントロールすることが処理後のりん濃度の安定に最適であることを見出した。また、処理後の塩基度についてはこれ以下であると脱りんが悪化するとともに、スロッピングにより処理中断を余儀なくされ、生産性低下をもたらす。
なお、本願明細書においては、微粉CaOを上吹きと底吹きを組み合わせて添加する方法を開示したが、例えば、上吹きのみで大幅に供給速度を制御する手段があれば、それを利用ても良い。例えば、上吹きランスに、酸素ガスとは別に粉体用噴出孔を設け、窒素ガスなどをキャリアーガスとして吹き込む方法がこれに該当する。また、粉体用の専用ランスを別に設けても良い。
所定量のスクラップを転炉型の溶銑予備処理炉に装入し、更に所定量の高炉溶銑を装入した。処理前(装入前)の溶銑成分、溶銑温度は表1に示す。初めに、上吹きランスより酸素ガスおよび微粉CaOの吹き付けを開始するとともに、底吹き羽口より、CaO微粉を窒素ガスにて溶銑中に吹込みを開始した。処理中、表1に示すように、CaOの供給速度をコントロールした。溶銑中のりん濃度は、0.114質量%から0.010質量%と十分に低下することが出来た。なお、事前に処理中の珪素濃度を調査した結果より、本転炉の攪拌条件でのKSiは0.0135(1/s)であったので、(2)、(3)式によって2分後、5分後の所要CaO量を計算した。
Figure 0005386972
所定量の冷鉄源と高炉溶銑を転炉型の溶銑予備処理炉に装入した。上吹きランスより酸素ガスと微粉CaOの供給を開始すると同時に、底吹き羽口より微粉CaOを吹き込んだ。CaOの供給速度は表1のように制御した。10分間の脱りん処理後、溶銑中のりん濃度は0.112質量%から0.012質量%と十分低下することができた。なお、事前に処理中の珪素濃度を調査した結果より、本転炉の攪拌条件でのKSiは0.0135(1/s)であったので、(2)、(3)式によって2分後、5分後の所要CaO量を計算した。
一方、比較例1は、出来るだけ早期に塩基度を高めた方が、早期にスラグの脱りん能力が上げられるため、有利である、という従来の思想の下に、上吹き、底吹き生石灰を最大の速度で添加した。しかし、りん濃度は0.110から0.025と高めに留まった。
比較例2は、初期、低塩基度を維持し、後半に一気に塩基度を上げるという思想の元に操業を行ったが、スロッピングが激しく、5分間の鎮静時間を要し、著しい生産性低下を招いた。これは、処理初期の段階でスラグの泡立ちが促進されていたためと考えられる。
本発明を実施するに好適な転炉型溶銑予備処理炉の横断面図である。 本発明における理想的な処理時間と塩基度の関係を示す図である。
符号の説明
1 溶銑予備処理炉
2 溶銑
3 スラグ
4 上吹きランス
5 酸素ガスホルダー
6 窒素ガスホルダー
7 微粉CaO上吹き用ブロータンク
8 微粉CaO底吹き用ブロータンク
9 炉上ホッパー
10 底吹き羽口
11 冷鉄源

Claims (2)

  1. 溶銑の脱珪脱りん処理を行うに際し、粒径1mm以下の微粉CaO源を用い、上吹き酸素とともに吹き付けを行う方法と、直接溶銑中に吹き込む方法とを併用することにより前記CaOの供給量を制御して、脱りん処理後の塩基度を1.8〜2.2とし、処理開始2分後の塩基度を1.0〜1.4、処理開始5分後の塩基度を1.4〜1.8とすることを特徴とする溶銑の脱珪脱りん方法。
  2. 珪素濃度が0.2質量%以上の場合、CaO源として、粒径1mm以下の微粉CaOの他に、粒径5mm以上の脱炭滓を上方添加することを特徴とする請求項1記載の溶銑の脱珪脱りん方法。
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