JP5386231B2 - 絶縁監視装置の試験装置及び絶縁監視装置の試験方法 - Google Patents
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Description
次に、かかる絶縁監視装置の試験装置について説明する。本実施形態に係る試験装置は、Ior方式の絶縁監視装置に対応してIor方式が採用され、漏れ電流及び有効漏れ電流はもちろんのこと、無効漏れ電流も検出することができるようになっている。
本実施形態に係る試験装置の外観構成を図1に示す。筐体1の正面パネル2には、電源スイッチ3、各ケーブル線(電源コード)4のプラグを接続するためのコネクタ5,5、電流出力線6の両端部に設けられた各プラグを接続するためのコネクタ7,7、クランプ式変流器(クランプCT)8の信号線のプラグを接続するためのコネクタ9、DC電圧入力用のコネクタ10、LCDパネル11、電気方式切替スイッチ12、注入電流切替スイッチ13、電流レンジ切替スイッチ14、極性切替スイッチ15、画面選択ボタン16及び電流調節ボリューム17といった各種のコネクタ、表示部及び操作要素が設けられる。
次に、本実施形態に係る試験装置の内部構成を図2に示す。図2においては、試験装置が符号Cで表されており、その内部に各種の要素を含む。以下、各要素について説明する。尚、図2において、符号Tは変圧器、Gは接地線、Iは絶縁監視装置、Iaはその変流器、をそれぞれ表す。
本実施形態に係る試験装置の構成説明は以上のとおりであり、次に、変流器8を用いて検出した漏れ電流Ioから有効漏れ電流Iorと無効漏れ電流Iocをベクトル演算する、その処理概要について説明する。
本実施形態に係る試験装置のケーブル線4,4の電路への接続がL1−N間電源接続であれば、L1−N間の電圧位相を検出し、また、電路への接続がL2−N間電源接続であれば、L2−N間の電圧位相を検出し、また、電路への接続がL1−L2間電源接続であれば、L1−L2間の電圧位相を検出し、この電圧位相と同期した正弦波のデジタルデータを生成し、該デジタルデータと漏れ電流Ioをサンプリングした信号とを乗算する。有効漏れ電流Iorは電路の電圧位相と同相(又は逆相)となるため(図3(b)参照)、演算結果は有効漏れ電流Iorの大きさに比例した交流分と直流分になって現れる。一方、無効漏れ電流Iocは電路の電圧位相から90°の進み位相となるので、演算結果は無効漏れ電流Iocの大きさに比例した交流分のみとなり、直流分は現れない。従って、電圧位相と同期した正弦波のデジタルデータと漏れ電流Ioをサンプリングした信号とを乗算した後、1周期分の平均をとれば、無効漏れ電流Iocは除去され、有効漏れ電流Iorのみを分離抽出することができる。
有効漏れ連流Iorを分離抽出するための、電路の電圧位相の基準が単相交流の電路の場合と異なる。有効漏れ電流Ior(U)は電路のU−W間の電圧Vwuから120°の遅れ位相となる(図4(b)参照)。このため、電圧Vwuの電圧位相を検出し、該電圧位相と同期した余弦波のデジタルデータを生成する。その後、単相交流の電路の場合と同様に、該デジタルデータと漏れ電流Ioをサンプリングした信号とを乗算し、1周期分の平均をとれば、無効漏れ電流Iocが除去される。尚、ここで得られる有効漏れ電流Ior(U)'は、電路のU−W間の電圧位相から90°遅れた線上にあるので(図4(b)参照)、得られた有効漏れ電流Ior(U)'を1.15倍(1/cos30°倍)したものが有効漏れ電流Ior(U)の最終結果となる。
無効漏れ電流Iocの検出には余弦波のデジタルデータを使用する。無効漏れ電流Iocは電路の電圧位相から90°の進み位相となるため(図5(b)参照)、余弦波のデジタルデータと漏れ電流Ioをサンプリングした信号とを乗算すれば、演算結果は無効漏れ電流Iocの大きさに比例した交流分のみとなり、直流分は現れない。従って、電圧位相と同期した余弦波のデジタルデータと漏れ電流Ioをサンプリングした信号とを乗算した後、1周期分の平均をとれば、有効漏れ電流Iorは除去され、無効漏れ電流Iocのみを分離抽出することができる。
各電圧相の対地静電容量が等しく分布している場合、各電圧相の無効漏れ電流(Ioc(U)とIoc(W))のベクトル合成和電流Iocは、電路のU−W間の電圧Vwuと同相(又は逆相)になる(図6(b)参照)。無効漏れ電流Iocの抽出には、電圧Vwuの電圧位相と同期した正弦波のデジタルデータを使用し、その後は、単相交流の電路の場合と同様に、該デジタルデータと漏れ電流Ioをサンプリングした信号とを乗算し、1周期分の平均をとれば、有効漏れ電流Iorは除去され、無効漏れ電流Iocのみを分離抽出することができる。尚、ここで得られる無効漏れ電流Iocは、電路のU−W間の電圧位相と同じ線上にあるので(図6(b)参照)、有効漏れ電流Iorを抽出するときのように、得られた無効漏れ電流Iocを1.15倍(1/cos30°倍)する必要はない。
以上のようにして演算された有効漏れ電流Ior,Ior(U)及び無効漏れ電流Iocは、漏れ電流Ioとともに「測定画面」モードにおける表示部11に表示される。また、後述するが、電流調節ボリューム17を操作して試験電流値を変えることにより、Io値、Ior値、Ioc値も変わるが、これらは都度リアルタイムで演算処理が行われ、リアルタイムで表示される。
次に、本実施形態に係る試験装置(以下、単に「本装置」という場合がある)のセットアップについて図1及び図2を参酌しつつ説明する。セットアップとは、本装置を用いて絶縁監視装置を試験するに当たり、必要な事前準備作業をいう。尚、図2は、単相交流の電路であるが、三相交流の電路も同様である。
動作確認とは、有効漏れ電流Iorに対する試験電流Iorpを電流出力線6に注入することにより、絶縁監視装置Iの変流器Iaが接地線Gを流れる漏れ電流Ioと電流出力線6を流れる試験電流Iorpとを合わせて検出するようにし、その上で、これら漏れ電流Ioと試験電流Iorpとを合わせたものが絶縁監視装置Iの警報動作電流に到達するように試験電流Iorpを変化させ、その際、絶縁監視装置Iが警報動作することを確認するという絶縁監視装置Iの試験である。
まず、三相交流の電路における絶縁監視装置Iの動作確認を行う場合、本装置Cのセットアップにおいて、電気方式切替スイッチ12を「三相」に選択し、注入電流切替スイッチ13を「Ior」に選択しておく。
不動作確認とは、無効漏れ電流Iocに対する試験電流Iocpを電流出力線6に注入することにより、絶縁監視装置Iの変流器Iaが接地線Gを流れる漏れ電流Ioと電流出力線6を流れる試験電流Iocpとを合わせて検出するようにし、その上で、これら漏れ電流Ioと試験電流Iocpとを合わせたものが絶縁監視装置Iの警報不動作電流に到達するように試験電流Iocpを変化させ、その際、絶縁監視装置Iが警報動作しないことを確認する、という絶縁監視装置Iの試験である。有効漏れ電流Iorのみならず、無効漏れ電流Iocも確認することで、絶縁監視装置Iをより綿密に試験することを目的とする。
まず、三相交流の電路における絶縁監視装置Iの不動作確認を行う場合、本装置Cのセットアップにおいて、電気方式切替スイッチ12を「三相」に選択し、注入電流切替スイッチ13を「Ioc」に選択しておく。
絶縁監視装置Iが警報動作した状態において、有効漏れ電流Iorを打ち消す(減少させる)ように試験電流Iorpを注入して(単相交流の電路である場合の図7(a)、三相交流の電路である場合の同図(c)参照)、仮想有効漏れ電流Iorが小さくなる(表示部11に表示されるIor値が小さくなる)ようにする。この操作によって警報動作が解除されると、絶縁監視装置Iの警報動作電流に到達していた有効漏れ電流Iorが引き下げられたとして、絶縁監視装置Iの警報動作は正しかった(即ち、絶縁監視装置Iが正しく警報動作した)ということを確認することができる。
試験装置のセットアップにおいて、電流注入機能、電流検出機能が正しく機能しているか否かを、自身の変流器8を自身の電流出力線6に取り付けた上で電流出力線6に試験電流を注入することにより、自己診断することができる。即ち、試験電流Iorを電流出力線6に注入したときに、表示部11のIoc値が増加/減少する等、変化が見られず、あるいは、試験電流Iocを電流出力線6に注入したときに、表示部11のIor値が増加/減少する等、変化が見られないならば、試験装置は正常であるが、いずれかにおいて変化が見られると、試験装置に何らかの不具合があるということである。
Claims (5)
- 単相交流又は3相交流の電路の接地線に取り付けられた変流器を用いて該接地線を流れる漏れ電流を検出し、該漏れ電流の検出状況に基づいて電路の絶縁状態を監視する絶縁監視装置の試験装置であって、
絶縁監視装置の前記変流器に挿通される電流出力線を含み、漏れ電流に含まれる無効漏れ電流を増加又は減少させる位相の試験電流を生成すると共に、該試験電流を前記電流出力線に注入する電流注入手段と、
前記電流出力線が挿通されるようにして接地線に取り付けられる変流器を含み、該変流器を用いて接地線を流れる漏れ電流と前記電流出力線を流れる試験電流とを合わせて検出する電流検出手段と、
を備えることを特徴とする絶縁監視装置の試験装置。 - 前記電流注入手段は、漏れ電流に含まれる有効漏れ電流を増加又は減少させる位相の試験電流を生成すると共に、該試験電流を電流出力線に注入する状態と、漏れ電流に含まれる無効漏れ電流を増加又は減少させる位相の試験電流を生成すると共に、該試験電流を電流出力線に注入する状態の何れに切替可能である請求項1に記載の絶縁監視装置の試験装置。
- 前記電流注入手段は、漏れ電流に含まれる有効漏れ電流を増加又は減少させる位相の試験電流を生成すると共に、該試験電流を第1の電流出力線に注入する第1の電流注入手段と、漏れ電流に含まれる無効漏れ電流を増加又は減少させる位相の試験電流を生成すると共に、該試験電流を第2の電流出力線に注入する第2の電流注入手段とからなる請求項1に記載の絶縁監視装置の試験装置。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載された絶縁監視装置の試験装置を用いた絶縁監視装置の試験方法であって、
無効漏れ電流が増加するように試験電流を注入し、所定の電流値に到達させて、絶縁監視装置が警報動作しないことを確認することを特徴とする絶縁監視装置の試験方法。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載された絶縁監視装置の試験装置を用いた絶縁監視装置の試験方法であって、
絶縁監視装置が警報動作している状態で、無効漏れ電流が減少するように試験電流を注入し、絶縁監視装置の警報動作が解除されないことを確認することを特徴とする絶縁監視装置の試験方法。
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