JP5381614B2 - 複合酸化物積層体、複合酸化物積層体の製造方法、デバイス - Google Patents

複合酸化物積層体、複合酸化物積層体の製造方法、デバイス Download PDF

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本発明は、Pb系ペロブスカイト型酸化物を用いた複合酸化物積層体、複合酸化物積層体の製造方法、および本発明の複合酸化物積層体を用いたデバイスに関する。
PZT(Pb(Zr,Ti)O3)などのPb系ペロブスカイト型酸化物は、優れた強誘電特性あるいは圧電特性を有する。そのため、例えば強誘電体メモリの強誘電体膜として注目され(特許文献1参照)、あるいは圧電体素子として注目されている(特許文献2参照)。
特開2001−139313号公報 特開2001−223404号公報
本発明の目的は、絶縁性に優れた複合酸化物積層体およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、本発明にかかる複合酸化物積層体を含むデバイスを提供することにある。
本発明にかかる複合酸化物積層体は、
基板と、
前記基板の上方に形成され、一般式ABO3で表される第1複合酸化物層と、
前記第1複合酸化物層の上方に形成され、一般式AB1-xx3で表される第2複合酸化物層と、を含み、
A元素は、少なくともPbからなり、
B元素は、Zr、Ti、V、WおよびHfの少なくとも一つからなり、
C元素は、NbおよびTaの少なくとも一つからなる。
本発明の複合酸化物積層体によれば、第1複合酸化物層の上方に特定の第2の複合酸化物層を有することにより、第1複合酸化物層の結晶欠陥の発生を防止し、優れた強誘電特性および圧電特性を発揮できる。
本発明の複合酸化物積層体において、
前記B元素は、ZrおよびTiであり、
前記C元素は、Nbであることができる。
本発明の複合酸化物積層体において、
前記第2複合酸化物層は、0.1≦x≦0.3の範囲でNbを含む複合酸化物からなることができる。
本発明の複合酸化物積層体において、
さらに、前記第2複合酸化物層は、0.5モル%以上のSiおよびGeの少なくとも一方を含むことができる。
本発明の複合酸化物積層体において、
前記第2複合酸化物層は、前記第1複合酸化物層より膜厚が小さいことができる。
本発明の複合酸化物積層体において、
前記基板は、電極層を有することができる。
本発明の複合酸化物積層体において、
前記第1複合酸化物層の下方に、該第1複合酸化物層の結晶配向性を制御するためのバッファ層を有することができる。
本発明にかかる複合酸化物積層体の製造方法は、
基板の上方に、一般式ABO3で表される第1複合酸化物層を形成する工程と、
前記第1複合酸化物層の上方に、一般式AB1-xx3で表される第2複合酸化物層を形成する工程と、を含み、
A元素は、少なくともPbからなり、
B元素は、Zr、Ti、V、WおよびHfの少なくとも一つからなり、
C元素は、NbおよびTaの少なくとも一つからなる。
本発明の製造方法によれば、第1複合酸化物層の上方に特定の第2の複合酸化物層を形成することにより、第1複合酸化物層の結晶欠陥の発生を防止し、優れた強誘電特性および圧電特性を有する複合酸化物積層体を製造方法できる。
本発明の製造方法において、
前記第2複合酸化物層は、一般式AB1-xx3で表される絶縁性複合酸化物を形成するための前駆体を含む前駆体組成物を塗布した後、熱処理を行うことにより形成されることができる。
本発明の複合酸化物積層体の製造方法において、
前記前駆体組成物は、少なくとも前記B元素および前記C元素を含み、かつ一部にエステル結合を有する前駆体を含むことができる。
本発明の複合酸化物積層体の製造方法において、
前記前駆体は、さらに、SiおよびGeの少なくとも一方を含むことができる。
本発明にかかるデバイスは、本発明にかかる複合酸化物積層体を含む。
本発明におけるデバイスとは、本発明の複合酸化物積層体を含むものを意味し、当該複合酸化物積層体を有する部品、およびこの部品を有する電子機器を含む。デバイスの具体例についは後述する。
本実施形態にかかる複合酸化物積層体を示す断面図。 本実施形態において、チタン酸鉛中にSiを添加した場合の、Aサイトイオンのラマン振動モードの変化を示す図。 本実施形態において用いられる、鉛を含むカルボン酸を示す図。 本実施形態において用いられる、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルを示す図。 本実施形態において用いられる、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルを示す図。 本実施形態において用いられる、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルを示す図。 本実施形態において用いられる、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルを示す図。 本実施形態に係る前駆体組成物における前駆体の生成反応を示す図。 本実施形態に係る前駆体組成物における前駆体の生成反応を示す図。 (A)は、実施例1の複合酸化物積層体のヒステリシスを示す図であり、(B)は、比較例1の複合酸化物積層体のヒステリシスを示す図。 実施例1および比較例1の分極量の変化を示す図。 (A),(B)は本実施形態にかかる半導体装置を示す図。 本実施形態に係る1T1C型強誘電体メモリを模式的に示す断面図。 図10に示す強誘電体メモリの等価回路を示す図。 本実施形態の適用例に係る圧電素子を模式的に示す断面図。 本実施形態の適用例に係るインクジェット式記録ヘッドの概略構成図。 本実施形態の適用例に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図。 本実施形態の適用例に係るインクジェットプリンタの概略構成図。 本実施形態の適用例に係る表面弾性波素子を示す断面図。 本実施形態の適用例に係る周波数フィルタを示す斜視図。 本実施形態の適用例に係る発振器を示す斜視図。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.複合酸化物積層体
図1は、本実施形態にかかる複合酸化物積層体100を模式的に示す断面図である。
本実施形態にかかる複合酸化物積層体100は、基板20と、基板20の上方に形成され、一般式ABO3で表される第1複合酸化物層24と、第1複合酸化物層24の上方に形成され、一般式AB1-xx3で表される第2複合酸化物層26と、を含む。ここで、A元素は、少なくともPbからなり、B元素は、Zr、Ti、V、WおよびHfの少なくとも一つからなり、C元素は、NbおよびTaの少なくとも一つからなることができる。
基板20としては、本実施形態の複合酸化物積層体100の種類や用途によって各種のものを用いることができる。例えば、複合酸化物積層体100を強誘電体メモリなどのキャパシタに用いる場合には、基板20としては、電極層(下部電極)を有するものを用いることができる。また、複合酸化物積層体100を表面弾性波素子に用いる場合には、基板20としては、サファイア基板等を用いることができる。
図1に示す例では、複合酸化物積層体100はキャパシタを構成し、電極層を有する。すなわち、この例では、基板20は、基材21上に、第1電極層22と第2電極層23とが順次形成されている。第1電極層22は、例えば白金などの白金族金属から構成されている。第2電極層23は、LaNiO3などのペロブスカイト型構造の導電性酸化物層から構成されている。この第2電極層23は、第1複合酸化物層24の結晶配向性を制御するためのバッファ層として機能することができる。このようなバッファ層として機能する第2電極層23を有することにより、第1の複合酸化物層24は、第2電極層23に対してエピタキシャル成長することができる。この場合、第1複合酸化物層24は、第2電極層23と同じ面方位をもって成長する。
第1複合酸化物層24および第2複合酸化物層26の膜厚は、本実施形態が適用されるデバイスによって適宜選択される。主には第1複合酸化物層24がデバイスの強誘電体膜あるいは圧電体膜を構成する。第2複合酸化物層26は、第1複合酸化物層24の特性劣化を抑制する機能を有する。したがって、第2複合酸化物層26の膜厚は、少なくとも、第1複合酸化物層24の表面を覆い、かつ第1複合酸化物層24最表面に形成された異相を吸収するように設定される。例えば、図1に示すキャパシタの例では、第2複合酸化物層26の膜厚は、100〜1000nmとすることができる。
本実施形態では、一般式ABO3で表される第1複合酸化物層24は、A元素が少なくともPbであり、B元素がZrおよびTiであり、C元素がNbであることができる。また、一般式AB1-xx3で表される第2複合酸化物層26は、A元素が少なくともPbであり、B元素がZrおよびTiであり、C元素がNbであることができる。この場合、0.1≦x≦0.3の範囲でNbを含むことができる。すなわち、本実施形態では、第2複合酸化物層26は、TiサイトにNbをドーピングしたPb(Zr、Ti、Nb)O3(PZTN)であることできる。
Nbは、Tiとサイズ(イオン半径が近く、原子半径は同一である)がほぼ同じで、重さが2倍あり、格子振動による原子間の衝突によっても格子から原子が抜けにくい。また原子価は、+5価で安定であり、たとえPbが抜けても、Nb5+によりPb抜けの価数を補うことができる。また結晶化時に、Pb抜けが発生したとしても、サイズの大きなOが抜けるより、サイズの小さなNbが入る方が容易である。
また、Nbは+4価も存在するため、Ti4+の代わりは十分に行うことが可能である。更に、実際にはNbは共有結合性が非常に強く、Pbも抜け難くなっていると考えられる(H.Miyazawa,E.Natori,S.Miyashita;Jpn.J.Appl.Phys.39(2000)5679)。
第2複合酸化物層26をPZTNで構成し、Nbを特定の割合で含むことにより、Pbの欠損による悪影響を解消し、優れた組成制御性を有する。その結果、PZTNは、通常のPZTに比べて極めて良好なヒステリシス特性、リーク特性、耐還元性および絶縁性などを有する。
これまでも、PZTへのNbドーピングは、主にZrリッチの稜面体晶領域で行われてきたが、その量は、0.2〜0.025モル%(J.Am.Ceram.Soc,84(2001)902;Phys.Rev.Let,83(1999)1347)程度と、極僅かなものである。このようにNbを多量にドーピングすることができなかった要因は、Nbを例えば10モル%添加すると、結晶化温度が800℃以上に上昇してしまうことによるものであったと考えられる。
そこで、第2複合酸化物層26の前駆体組成物に、更にPbSiO3シリケートを例えば、0.5〜10モル%の割合で添加することが好ましい。これによりPZTNの結晶化エネルギーを軽減させることができる。すなわち、複合酸化物層の材料としてPZTNを用いる場合、Nb添加とともに、PbSiO3シリケートを添加することでPZTNの結晶化温度の低減を図ることができる。また、シリケートの代わりに、シリケートとゲルマネートを混合して用いることもできる。本願発明者らは、Siが、焼結剤として働いた後、Aサイトイオンとして、結晶の一部を構成していることを確認した(図2参照)。すなわち、図2に示すように、チタン酸鉛中にシリコンを添加すると、Aサイトイオンのラマン振動モードE(1TO)に変化が見られた。また、ラマン振動モードに変化が見られたのは、Si添加量が8モル%以下の場合であった。従って、Siの微少添加では、SiはペロブスカイトのAサイトに存在していることが確認された。
本発明においては、Nbの代わりに、あるいはNbと共に、Taを用いることもできる。Taを用いた場合にも、上述したNbと同様の傾向がある。
以上のように、本実施形態では、一般式AB1-xx3で表される複合酸化物積層体は、好ましくは0.5モル%以上のSiおよびGeの少なくとも一方、より好ましくは0.5ないし10モル%のSi、あるいはSiおよびGeを含むことができる。
本実施形態では、第2複合酸化物層26上に、第2電極層23と同様の材質(LaNiO3)からなる第3電極層28と、第1電極層22と同様の材質(白金)からなる第4電極層30とが順次形成されている。第3電極層28および第4電極層30によって、キャパシタの上部電極が構成される。
第3電極層28は、必ずしも設ける必要はないが、第3電極層28を設けることにより大気中の水分より隔離することで素子の信頼性を向上させる利点がある。
本実施形態では、さらに、必要に応じて、表面に保護層30を有することができる。保護層30は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、アルミナなどの絶縁性の膜から構成される。保護層30は、第1複合酸化物層24および第2複合酸化物層26が還元性のガス(例えば水素)によって劣化することを防止する機能を有する。
本実施形態にかかる複合酸化物積層体100によれば、第1複合酸化物層24(PZT層)上に特定の第2複合酸化物層(PZTN層)26を形成することにより、後述するように、第1複合酸化物層24は非常に高い絶縁性を有し、優れた強誘電特性および圧電特性を有することができる。
すなわち、PZT層は、熱処理することにより、PZT層内から鉛および酸素が抜けて欠損を生じやすい。特に酸素欠損ができると、酸素原子は他の元素よりも動きやすいために酸素原子の拡散が起こる。さらに、酸素欠損により電荷のバランスが崩れてPZTのPb,Zr,Tiが不安定になることにより、これらの元素の拡散係数も大きくなる。これに対し、PZTN層においては、結晶中の欠陥が極めて少なく、特に酸素欠損を防ぐことができるため、PZT層の酸素元素の拡散を抑えることができる。そのために熱処理によるPZTの結晶欠陥の発生を抑えることができ、その絶縁性を高く維持することができる。
2.複合酸化物積層体の製造方法
本発明の実施形態にかかる複合酸化物積層体の製造方法は、少なくとも以下の工程を有する。
(1)基板の上方に、一般式ABO3で表される第1複合酸化物層を形成する工程。
(2)第1複合酸化物層の上方に、一般式AB1-xx3で表される第2複合酸化物層を形成する工程。
ここで、A元素は、少なくともPbからなり、B元素は、Zr、Ti、V、WおよびHfの少なくとも一つからなり、C元素は、NbおよびTaの少なくとも一つからなることができる。
以下、本実施形態にかかる製造方法について図1を参照して具体的に述べる。
(1)第1複合酸化物層24の形成
まず、基板20の上に、一般式ABO3で表される第1複合酸化物層22を形成する。図1に示す例では、A元素がPbからなり、B元素がZrおよびTiからなるPb(Zr,Ti)O3であることができる。
第1複合酸化物層24は、基板20に対してエピタキシャル成長させることによって形成することができる。この場合、第1複合酸化物層22は、基板20と同じ面方位をもって成長する。このような基板20としては、既に述べたように、単結晶基板でもよいし、図1に示すように、基材上に結晶制御性を有するいわゆるバッファ層を形成したものでもよい。すなわち、図1に示す基板20は、基材21上に、第1電極層22と第2電極層23とが順次形成されている。第1電極層22は、例えば白金などの白金族金属から構成されている。第2電極層23は、LaNiO3などのペロブスカイト型構造の導電性酸化物層から構成されている。この第2電極層23は、第1複合酸化物層24の結晶配向性を制御するためのバッファ層として機能することができる。例えば、第1複合酸化物層24を(100)の結晶配向にする場合には、第2電極層23として、LaNiO3、SrRuO3などを用いることができる。第1複合酸化物層24を(111)の結晶配向にする場合には、第2電極層23として、Pt、Ir、Ruなどの白金族を用いることができる。この場合、第1電極層22を設けなくともよい。
第1複合酸化物層24の形成方法は特に限定されず、公知の成膜法を用いることができる。かかる成膜法としては、ゾル・ゲル法,MOD法などの液相法、CVD法、スパッタ法、レーザーアブレーション法などの気相法を用いることができるが、好ましくはゾル・ゲル法などの液相法を用いて形成することができる。
ゾル・ゲル法を用いる場合、基板20上に、第1複合酸化物層形成用のゾル・ゲル原料を塗布し、その後、塗膜に乾燥および脱脂のための熱処理を行い、さらに、結晶化のための熱処理を行う。この塗布および熱処理は、第1複合酸化物層24の膜厚に応じて複数回繰り返し行うことができる。結晶化のための熱処理温度は、第1複合酸化物の種類や結晶配向によって異なるが、例えばPZTの場合、650℃ないし700℃で行うことができる。
(2)第2複合酸化物層26の形成
第2複合酸化物層26は、例えば、一般式AB1-xx3で表される絶縁性複合酸化物を形成するための前駆体を含む前駆体組成物を塗布した後、熱処理を行うことにより形成することができる。
以下に、前駆体組成物およびその製造方法について詳述する。
(2)−1;前駆体組成物
本製造方法で用いられる前駆体組成物は、第2複合酸化物層26の形成に用いられる。ここで、第2複合酸化物層は、一般式AB1-xx3で示され、A元素は少なくともPbからなり、B元素はZr、Ti、V、WおよびHfの少なくとも一つからなり、C元素は、NbおよびTaの少なくとも一つからなることができる。さらに、第2複合酸化物層26は、一般式AB1-xx3で示され、A元素がPbからなり、B元素がZrおよびTiからなり、C元素がNbからなることができる。そして、本実施形態では、前駆体は、少なくともB元素およびC元素を含み、かつ一部にエステル結合を有する。
前駆体組成物において、前記前駆体は、有機溶媒に溶解もしくは分散されていることができる。有機溶媒としては、アルコールを用いることができる。アルコールとしては、特に限定されないが、ブタノール、メタノール、エタノール、プロパノールなどの1価のアルコール、または多価アルコールを例示できる。
アルコールとしては、例えば以下のものをあげることができる。
1価のアルコール類;
プロパノール(プロピルアルコール)として、1−プロパノール(沸点97.4℃)、2−プロパノール(沸点82.7℃)、
ブタノール(ブチルアルコール)として、1−ブタノール(沸点117℃)、2−ブタノール(沸点100℃)、2−メチル−1−プロパノール(沸点108℃)、2−メチル−2−プロパノール(融点25.4℃,沸点83℃)、
ペンタノール(アミルアルコール)として、1−ペンタノール(沸点137℃)、3−メチル−1−ブタノール(沸点131℃)、2−メチル−1−ブタノール(沸点128℃)、2,2ジメチル−1−プロパノール(沸点113℃)、2−ペンタノール(沸点119℃)、3−メチル−2−ブタノール(沸点112.5℃)、3−ペンタノール(沸点117℃)、2−メチル−2−ブタノール(沸点102℃)、
多価アルコール類;
エチレングリコール(融点−11.5℃,沸点197.5℃)、グリセリン(融点17℃,沸点290℃)、
前駆体組成物は、後に詳述するように、前駆体がポリカルボン酸と金属アルコキシドとのエステル化によるエステル結合を有していて可逆的反応が可能なため、高分子化された前駆体を分解して金属アルコキシドとすることができる。そのため、この金属アルコキシドを前駆体原料として再利用することができる。
加えて、本発明で用いられる前駆体組成物には、以下のような利点がある。市販されているPZTゾルゲル溶液では、一般に鉛原料として酢酸鉛が用いられるが、酢酸鉛は他のTiやZrのアルコキシドと結合し難く、鉛が前駆体のネットワーク中に取り込まれ難い。本発明では、例えば2価のポリカルボン酸であるコハク酸の2つのカルボキシル基のうち、初めに酸として働くどちらか一方の第1カルボルシル基の酸性度はpH=4.0と酢酸のpH=4.56よりも小さく、酢酸よりも強い酸であるため、酢酸鉛は、コハク酸と結合する。つまり弱酸の塩+強酸→強酸の塩+弱酸となる。更に、コハク酸の残った第2カルボルシル基が、別のMOD分子或いはアルコキシドと結合するため、これまで困難であったPbの前駆体でのネットワーク化が容易である。
(2)−2;前駆体組成物の製造方法
本実施形態で用いられる前駆体組成物の製造方法は、少なくとも前記B元素および前記C元素を含むゾルゲル原料であって、金属アルコキシドの加水分解・縮合物を含むゾルゲル原料と、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルと、有機溶媒とを混合し、前記ポリカルボン酸または前記ポリカルボン酸エステルに由来するポリカルボン酸と金属アルコキシドとのエステル化によるエステル結合を有する前駆体を形成することを含む。
図5および図6に、前駆体の生成反応を模式的に示す。
前駆体の生成反応は、大別すると、図5に示すような第1段目のアルコキシ基の置換反応と、図6に示すような第2段目のエステル化による高分子ネットワークの形成反応とを含む。図5および図6では、便宜的に、ポリカルボン酸エステルとしてコハク酸ジメチルを用い、有機溶媒としてn−ブタノールを用いた例を示す。コハク酸ジメチルは非極性であるがアルコール中で解離してジカルボン酸となる。
第1段目の反応においては、図5に示すように、コハク酸ジメチルとゾルゲル原料の金属アルコキシドとのエステル化によって両者はエステル結合される。すなわち、コハク酸ジメチルはn−ブタノール中で解離し、一方のカルボニル基(第1カルボニル基)にプロトンが付加した状態となる。この第1カルボニル基と、金属アルコキシドのアルコキシ基との置換反応が起き、第1カルボキシル基がエステル化された反応生成物とアルコールが生成する。ここで、「エステル結合」とは、カルボニル基と酸素原子との結合(−COO−)を意味する。第1段目および第2段目の反応は、他のアルコール中でも同様に起きる。
第2段目の反応においては、図6に示すように、第1段目の反応で残った他方のカルボキシル基(第2カルボキシル基)と金属アルコキシドのアルコキシ基との置換反応が起き、第2カルボキシル基がエステル化された反応生成物とアルコールが生成する。
このように、2段階の反応によって、ゾルゲル原料に含まれる、金属アルコキシドの加水分解・縮合物同士がエステル結合した高分子ネットワークが得られる。したがって、この高分子ネットワークは、該ネットワーク内に適度に秩序よくエステル結合を有する。なお、コハク酸ジメチルは2段階解離し、第1カルボキシル基は第2カルボキシル基より酸解離定数が大きいため、第1段目の反応は第2段目の反応より反応速度が大きい。したがって、第2段目の反応は第1段目の反応よりゆっくり進むことになる。
本実施形態において、上述したエステル化反応を促進するためには、以下の方法を採用できる。
(a)反応物の濃度あるいは反応性を大きくする。具体的には、反応系の温度を上げることにより、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルの解離度を大きくすることによって反応性を高める。反応系の温度は、有機溶媒の沸点などに依存するが、室温より高く有機溶媒の沸点より低い温度であることが望ましい。反応系の温度としては、例えば100℃以下、好ましくは50〜100℃であることができる。
(b)反応副生成物を除去する。具体的には、エステル化と共に生成する水、アルコールを除去することでエステル化がさらに進行する。
(c)物理的に反応物の分子運動を加速する。具体的には、例えば紫外線などのエネルギー線を照射して反応物の反応性を高める。
前駆体組成物の製造方法に用いられる有機溶媒は、前述したように、アルコールであることができる。溶媒としてアルコールを用いると、ゾルゲル原料とポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルの両者を良好に溶解することができる。
前駆体組成物の製造方法において、前記ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルは、2価以上であることができる。本発明に用いるポリカルボン酸としては、以下のものを例示できる。3価のカルボン酸としては、Trans−アコニット酸、トリメシン酸、4価のカルボン酸としては、ピロメリット酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、アルコール中で解離してポリカルボン酸として働くポリカルボン酸エステルとしては、2価のコハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチル、3価のクエン酸トリブチル、1,1,2−エタントリカルボン酸トリエチル、4価の1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸テトラエチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリメチル等が挙げられる。これらのポリカルボン酸エステルは、アルコール存在下で解離してポリカルボン酸としての働きを示す。以上のポリカルボン酸またはそのエステルの例を図4A〜図4Dに示す。また、本発明は、ポリカルボン酸を用いて、ネットワークをエステル化で繋げていくことに特徴があり、例えば酢酸や酢酸メチルといった、シングルカルボン酸およびそのエステルでは、エステルネットワークが成長しないため、本発明には含まれない。
前駆体組成物の製造方法において、2価のカルボン酸エステルとしては、好ましくは、コハク酸エステル、マレイン酸エステルおよびマロン酸エステルから選択される少なくとも1種であることができる。これらのエステルの具体例としては、コハク酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、マロン酸ジメチルをあげることができる。
前記ポリカルボン酸エステルの分子量は、150以下であることができる。ポリカルボン酸エステルの分子量が大きすぎると、熱処理時においてエスエルが揮発する際に膜にダメージを与えやすく、緻密な膜を得られないことがある。
前記ポリカルボン酸エステルは、室温において液体であることができる。ポリカルボン酸エステルが室温で固体であると、液がゲル化することがある。
ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルの使用量は、ゾルゲル原料および複合酸化物積層体の組成比に依存するが、ポリカルボン酸が結合する、例えばPZTゾルゲル原料、PbNbゾルゲル原料、PbSiゾルゲル原料の合計モルイオン濃度とポリカルボン酸のモルイオン濃度は、好ましくは1≧(ポリカルボン酸のモルイオン濃度)/(原料溶液の総モルイオン濃度)、より好ましくは1とすることができる。ポリカルボン酸の添加量は、例えば0.35molとすることができる。
ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルの添加量は、結合させたい原料溶液の総モル数と等しいかそれ以上であることが望ましい。両者のモルイオン濃度の比が1:1で、原料すべてが結合するが、エステルは、酸性溶液中で安定に存在するので、エステルを安定に存在させるために、原料溶液の総モル数よりも、ポリカルボン酸を多く入れることが好ましい。また、ここで、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルのモル数とは、価数のことである。つまり、2価のポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルであれば、1分子のポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルが、2分子の原料分子を結合することができるので、2価のポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルであれば、原料溶液1モルに対して、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステル0.5モルで1:1ということになる。加えて、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸エステルも、初めから酸ではなく、ポリカルボン酸のエステルをアルコール中で解離させて、ポリカルボン酸となる。この場合、添加するアルコールのモル数は、1≧(アルコールのモル数/ポリカルボン酸エステルのモル数)であることが望ましい。全てのポリカルボン酸エステルが十分に解離するには、アルコールのモル数が多いほうが、安定して解離するからである。ここで、アルコールのモル数というのも、アルコールの価数で割った、いわゆる、モルイオン濃度を意味する。
前駆体組成物の製造方法において、さらに、金属カルボン酸塩からなる原料を含むことができる。かかる金属カルボン酸塩としては、代表的に、前述した鉛のカルボン酸塩である酢酸鉛、オクチル酸鉛等を挙げることができる。
また、前駆体組成物の製造方法においては、前記ゾルゲル原料とともに有機金属化合物(MOD原料)を用いることができる。かかる有機金属化合物としては、例えばオクチル酸ニオブを用いることができる。オクチル酸ニオブは、図3に示したように、Nbが2原子共有結合して、その他の部分にオクチル基が存在する構造である。この場合、Nb−Nbは2原子が結合しているが、それ以上のネットワークは存在しないため、これをMOD原料として扱っている。
カルボン酸とMOD原料のネットワーク形成は、主にアルコール交換反応で進行する。例えば、オクチル酸ニオブの場合、カルボン酸とオクチル基の間で反応し(アルコール交換反応)、R−COO−Nbという、エステル化が進行する。このように、本実施形態では、MOD原料をエステル化することにより、MOD原料とアルコキシドとの縮合によってMOD原料の分子を前駆体のネットワークに結合することができる。
さらに、本実施形態の前駆体組成物の製造方法においては、金属アルコキシドの加水分解・縮合物を含むゾルゲル原料として、Si、あるいはSiおよびGeを含むゾルゲル原料を用いることができる。このようなゾルゲル溶液としては、PbSiO3用ゾルゲル溶液を単独で、もしくはPbSiO3用ゾルゲル溶液とPbGeO3用ゾルゲル溶液の両者を用いることができる。このようなSiやGeを含むゾルゲル原料を用いることにより、結晶化温度を低くすることができる。
本実施形態の前駆体組成物の製造方法においては、PZTNを得るためには、ゾルゲル溶液として、少なくともPbZrO3用ゾルゲル溶液、PbTiO3用ゾルゲル溶液、およびPbNbO3用ゾルゲル溶液を混合したものを用いることができる。この場合にも、上述したSi、あるいはSiおよびGeを含むゾルゲル原料をさらに混合することができる。
また、Nbの代わりにTaを導入する場合には、ゾルゲル原料として、PbTaO3用ゾルゲル溶液を用いることができる。
本実施形態で得られた前駆体組成物の前駆体は、複数の分子ネットワークの間に適度にエステル結合を有しているので、可逆的反応が可能である。そのため、前駆体において、図5に示す左方向の反応を進行させることで、高分子化された前駆体(高分子ネットワーク)を分解して金属アルコキシドの縮合物とすることができる。
本実施形態で用いられる前駆体組成物の製造方法および前駆体組成物によれば、以下のような特徴を有する。
前駆体組成物の製造方法によれば、有機溶媒中で、ポリカルボン酸によって、ゾルゲル原料の金属アルコキシドの加水分解・縮合物(複数の分子ネットワーク)同士がエステル結合によって縮重合した高分子ネットワークが得られる。したがって、この高分子ネットワークには、上記加水分解・縮合物に由来する複数の分子ネットワークの間に適度にエステル結合を有する。そして、エステル化反応は、温度制御などで容易に行うことができる。
また、前駆体組成物は、複数の分子ネットワークの間に適度にエステル結合を有しているので、可逆的反応が可能である。そのため、複合酸化物積層体膜の成膜後に残った組成物において、高分子化された前駆体(高分子ネットワーク)を分解して金属アルコキシド(もしくはその縮合物からなる分子ネットワーク)とすることができる。このような金属アルコキシド(もしくはその縮合物からなる分子ネットワーク)は、前駆体原料として再利用することができるので、鉛などの有害とされる物質を再利用でき、環境の面からもメリットが大きい。
(3)上部電極の形成
本実施形態にかかる複合酸化物積層体をキャパシタとして用いる場合には、第2複合酸化物層26上に、上部電極を形成する。図1に示す例では、第2複合酸化物層26上に第3電極層28を形成し、当該第3電極層28上に第4電極層30を形成する。第3電極層28は、第2複合酸化物層28と同じペロブスカイト型構造を有する導電性複合酸化物層からなることができる。第3電極層28としては、例えば第2電極層23と同様にLaNiO3を用いることができる。第4電極層30としては、例えば第1電極層22と同様にPtなどの白金族金属を用いることができる。第3電極層28は、レーザーアブレーション法、スパッタ法、CVD法などによって形成することができる。第4電極層30は、スパッタ法などによって形成することができる。
また、第1、第2複合酸化物層24,26を表面弾性波素子として用いる場合には、後述するように、第2複合酸化物層26上に、所定パターンを有するインターディジタル型電極(IDT電極)を形成することができる。
(4)キャパシタの形成
本実施形態にかかる複合酸化物積層体をキャパシタとして用いる場合には、第1、第2複合酸化物層24,26および第3、第4電極層28,30を公知のリソグラフィーおよびエッチングによってパターニングする。
さらに必要に応じて、基板20,複合酸化物層24,26および電極層28,30の露出面に、酸化物(酸化シリコン)、窒化物(窒化シリコン)、アルミナなどからなる保護層30を公知の方法(CVD法等)で形成することができる。
本実施形態の製造方法によれば、第1複合酸化物層24上に第2複合酸化物層26を形成することにより、以下の作用効果を有する。すなわち、第1複合酸化物層(たとえばPZT層)24上に第2複合酸化物層(たとえばPZTN層)26を形成することにより、PZT層の結晶欠陥の発生を抑制することができ、かつ、PZT層の原子が拡散することを防止することができる。その結果、本実施形態の複合酸化物積層体は、PZT層の絶縁性が劣化することがなく、優れた強誘電特性、圧電特性を発揮することができる。
以下、PZTN層24とPZTN層26の組み合わせの例について、上記作用効果を具体的に述べる。
複合酸化物層は、結晶欠陥が層の最上部に集中して存在しやすい。特にPZTの場合、結晶化温度が500℃程度と低く、デバイス応用に適しているものの、鉛(Pb)の高い蒸気圧によって、層の最上部に鉛欠損が生じやすい。鉛欠損による欠陥を生じると、電荷中性の原理により、同時に酸素欠損を生じる(ショットキー欠陥)。この結果、PZTは、高いリーク電流を示すことが知られている。このため、ピエゾ駆動させる際に、PZT層は印加電界が大きなリーク電流として逃げやすいために、実圧電定数を大きくすることができない。また、リーク電流を無視して高い電界を印加し続けると、リーク電流によりPZT層が発熱し、最終的には破壊してしまう課題を抱えている。このように、PZT層を形成する場合、低い結晶化温度により良好なPZT結晶膜を得ることは比較的容易であるが、PZT層の最上部において生じる鉛欠損と酸素欠損を含む異相によって大きなリーク電流が発生しやすい。そのために、PZT層は、大きな圧電定数を得ることが困難であった。そこで、理論上はPZT複合酸化物を1μm程度に薄膜化することが大きな圧電定数を引き出すためには有利にも関わらず、実際には、PZTは、その大きなリーク電流を考慮して、10μm以上の厚膜(バルク)として用いていた。
一方、PZTNは、鉛の高い蒸気圧により欠陥を形成しても、ニオブの高い共有結合性と多価元素であることを利用して酸素欠損を防止できる複合酸化物である。この結果、PZTNはPZTの約1/10,000のリーク電流を示すことが、すでに本願発明者によって確認されている。しかしながら、PZTと比較して結晶化温度が若干高くなる傾向がある。
本発明は、PZTとPZTNの両者のメリットを足し合わせ、かつデメリットを互いに補完したものである。たとえば、初めに膜厚(例えば1μm)のPZT結晶層を形成する。この時、PZTは結晶化温度が低いために、良好な結晶膜を得ることは比較的容易である。次に、最上層にPZTNの薄い層(例えば100nm)を形成する。PZTN層が結晶化する際に、PZTの結晶配向性を有効に活用し、いわゆるエピタキシャル成長により、PZTN層を低い温度で結晶化することができる。加えて、PZTN層が結晶化する際に、PZT層の最上部の異相を吸収してしまう。そして、既述のとおり、PZTN層は異相を発生し難いセラミックスであるため、積層体の最上層に異相が発生しにくい。このような理由により、本発明の複合酸化物積層体は、高い絶縁性を有し、後述する実施例からも明らかなように、優れた強誘電特性と圧電特性を有する。
3.実施例1
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されない。
3.1.実施例1
実施例1にかかる複合酸化物積層体は、以下のようにして得た。実施例1では、第1複合酸化物層としてPZT層を用い、第2複合酸化物層としてPZTN層を用いた。なお、部材の参照番号は図1に示すものと同じである。
(1)第1複合酸化物層の形成
まず、シリコン基板(基材)21上に、90nmのPt層(第1電極層)22、および60nmのLaNiO3層(第2電極層)23が順次形成された基板20を準備した。Pt層およびLaNiO3層は、それぞれスパッタ法で形成されたものである。
ついで、基板20上に、PZTからなる第1複合酸化物層(以下、「PZT層」ともいう)24を公知のゾルゲル法で形成した。この工程で用いた前駆体組成物は、以下の方法で得た。
本実施例では、PZT層のための前駆体組成物は、Pb、ZrおよびTiの少なくともいずれかを含む第1および第2の原料溶液を用いた。第1の原料溶液としては、PbおよびZrによるPbZrO3ペロブスカイト結晶を形成するための縮重合体をn−ブタノールの溶媒に無水状態で溶解した溶液を用いた。第2の原料溶液としは、PbおよびTiによるPbTiO3ペロブスカイト結晶を形成するための縮重合体をn−ブタノールの溶媒に無水状態で溶解した溶液を用いた。
上記第1および第2の原料溶液を用いて、PbZr0.52Ti0.483(PZT)からなる複合酸化物層を形成する場合、(第1の原料溶液):(第2の原料溶液)=52:48の比で混合した。
このようにして得られたゾルゲル原料を基板20上にスピン塗布によって塗布し、塗膜を150〜180℃で乾燥させた後、350〜350℃で脱脂熱処理を行った。その後、RTA法によって650℃で塗膜を焼成し、100nmのPZT層を得た。
以上の塗膜の形成、乾燥、脱脂熱処理、焼成の工程を10回、繰り返して行い、膜厚約1μmのPZT層24を形成した。
(2)第2複合酸化物層の形成
次いで、前駆体組成物を調整し、これを用いてPZTNからなる第2複合酸化物層(以下、「PZTN層」ともいう)26を形成した。この工程で用いた前駆体組成物は、以下の方法で得た。
PZTN膜のための前駆体組成物は、Pb、Zr、Ti、およびNbの少なくともいずれかを含む第1ないし第3の原料溶液と、ポリカルボン酸エステルとしてのコハク酸ジメチルと、有機溶媒としてのn−ブタノールとを混合して得た。混合液は、ゾルゲル原料とコハク酸ジメチルとを1:1の割合でn−ブタノールに溶解したものである。
第1の原料溶液としては、PbおよびZrによるPbZrO3ペロブスカイト結晶を形成するための縮重合体をn−ブタノールの溶媒に無水状態で溶解した溶液を用いた。
第2の原料溶液としは、PbおよびTiによるPbTiO3ペロブスカイト結晶を形成するための縮重合体をn−ブタノールの溶媒に無水状態で溶解した溶液を用いた。
第3の原料溶液としては、PbおよびNbによるPbNbO3ペロブスカイト結晶を形成するための縮重合体をn−ブタノールの溶媒に無水状態で溶解した溶液を用いた。
上記第1、第2および第3の原料溶液を用いて、PbZr0.33Ti0.47Nb0.23(PZTN)からなる複合酸化物層を形成する場合、(第1の原料溶液):(第
2の原料溶液):(第3の原料溶液)=33:47:20の比で混合する。さらに、複合酸化物層の結晶化温度を低下させる目的で、第4の原料溶液として、PbSiO3結晶を形成するための縮重合体をn−ブタノールの溶媒に無水状態で溶解した溶液を、2モル%の割合で上記混合溶液中に添加し、前駆体組成物を得た。
このようにして得られた前駆体組成物を第1複合酸化物層24上にスピン塗布によって塗布し、塗膜を150〜180℃で乾燥させた後、350〜350℃で脱脂熱処理を行った。その後、RTA法によって700℃で塗膜を焼成し、約100nmのPZTN層を得た。
(3)上部電極、保護層の形成
ついで、第2複合酸化物層(PZTN層)24上に、スパッタ法にて、60nmのLaNiO3層(第3電極層)28と、50nmのPt層(第4電極層)30を順次形成した。さらに、公知のリソグラフィーおよびドライエッチングによって、第4電極層30,第3電極層28、第2複合酸化物層26および第1複合酸化物層24をパターニングし、キャパシタを形成した。ついで、トリメチルシランを用いたCVD法によって保護層(酸化シリコン層)32を形成した。
このようにして得られた実施例1のキャパシタについて、ヒステリシスを求めた。その結果を図7(A)に示す。また、実施例1のキャパシタについて求めた、電圧と分極量(2Pr)との関係を図8に符号aで示す。
図7(A)から、実施例1のキャパシタは、強誘電特性に優れ、良好なヒステリシスを有することが確認された。図8から、実施例1のキャパシタによれば、広い電圧範囲で安定した大きな分極量を得ることができることがわかった。
3.2.比較例1
第2複合酸化物層26を形成しない他は、実施例1と同様にして比較用キャパシタを得た。この比較用キャパシタについて、ヒステリシスを求めたところ、図7(B)の結果が得られた。図7(B)から、比較用キャパシタでは、ある電圧でヒステリシス特性が得られないことが確認された。
また、比較例1の比較用キャパシタについて求めた、電圧と分極量(2Pr)との関係を図8に符号bで示す。図8から、比較例1のキャパシタによれば、実施例1のキャパシタに比べて分極量が小さく、しかも、約50Vより大きい電圧でキャパシタが破壊され、強誘電特性を得ることができないことがわかった。
以上のように、本実施例によれば、PZT層の上にPZTN層を有することにより、当該PZTN層を有さない比較例1に比べて、極めて高い絶縁性を有し、優れた強誘電特性を有することが確認された。また、実施例1の残留分極値は、比較例1に比べて約2倍であった。残留分極値は、圧電定数を反映していることから、本実施例では、比較例に比べて2倍近い大きな圧電定数が得られることを示している。
4.デバイス
本発明のデバイスは、本発明の複合酸化物積層体を有する部品、およびこの部品を有する電子機器を含む。以下に、本発明のデバイスの例を記載する。
4.1.半導体素子
次に、本発明の複合酸化物積層体を含む半導体素子について説明する。本実施形態では、半導体素子の一例である強誘電体キャパシタを含む強誘電体メモリ装置を例に挙げて説明する。
図9(A)および図9(B)は、本発明の複合酸化物積層体を有する強誘電体メモリ装置1000を模式的に示す図である。なお、図9(A)は、強誘電体メモリ装置1000の平面的形状を示すものであり、図9(B)は、図9(A)におけるI−I断面を示すものである。
強誘電体メモリ装置1000は、図9(A)に示すように、メモリセルアレイ200と、周辺回路部300とを有する。そして、メモリセルアレイ200は、行選択のための下部電極210(ワード線)と、列選択のための上部電極220(ビット線)とが交叉するように配列されている。また、下部電極210および上部電極220は、複数のライン状の信号電極から成るストライプ形状を有する。なお、信号電極は、下部電極210がビット線、上部電極220がワード線となるように形成することができる。また、周辺回路部300は、前記メモリセルアレイ200に対して選択的に情報の書き込み若しくは読出しを行うための各種回路を含み、例えば、下部電極210を選択的に制御するための第1の駆動回路310と、上部電極220を選択的に制御するための第2の駆動回路320と、その他にセンスアンプなどの信号検出回路(図示省略)とを含んで構成される。
図9(B)に示すように、下部電極210と上部電極220との間には、強誘電体膜215が配置されている。メモリセルアレイ200では、この下部電極210と上部電極220との交叉する領域において、強誘電体キャパシタ230として機能するメモリセルが構成されている。強誘電体キャパシタ230は、本発明の複合酸化物積層体100によって構成される。すなわち、強誘電体膜215は、本発明の第1、第2複合酸化物層24,26を用いて形成されたものである。なお、強誘電体膜215は、少なくとも下部電極210(例えば、図1に示す本実施形態の第1、第2電極層22,23)と上部電極220(例えば図1に示す本実施形態の第3,第4電極層28,30)との交叉する領域の間に配置されていればよい。
また、周辺回路部300は、図9(B)に示すように、半導体基板400上に形成されたMOSトランジスタ330を含む。MOSトランジスタ330は、ゲート絶縁膜332、ゲート電極334、およびソース/ドレイン領域336を有する。各MOSトランジスタ330間は、素子分離領域410によって分離されている。このMOSトランジスタ330が形成された半導体基板400上には、第1の層間絶縁膜420が形成されている。そして、周辺回路部300とメモリセルアレイ200とは、配線層51によって電気的に接続されている。さらに、強誘電体メモリ装置1000は、第2の層間絶縁膜430および絶縁性の保護層440が形成されている。
図10には、半導体装置の他の例として1T1C型強誘電体メモリ装置500の構造図を示す。図11は、強誘電体メモリ装置500の等価回路図である。
強誘電体メモリ装置500は、図10に示すように、下部電極501、プレート線に接続される上部電極502、および上述の実施形態の強誘電体膜503(本発明の第1,第2複合酸化物層24,26)からなるキャパシタ504(1C)と、ソース/ドレイン電極の一方がデータ線505に接続され、ワード線に接続されるゲート電極506を有するスイッチ用のトランジスタ素子507(1T)からなるDRAMに良く似た構造のメモリ素子である。1T1C型のメモリは、書き込みおよび読み出しが100ns以下と高速で行うことができ、かつ書き込んだデータは不揮発であるため、SRAMの置き換え等に有望である。
本実施形態の半導体装置によれば、上記実施形態の原料溶液を用いて形成されているため、低温で強誘電体膜を結晶化することができ、MOSトランジスタなどの半導体素子との混載を実現することができる。本実施形態の半導体装置は、上述したものに限定されず、2T2C型強誘電体メモリ装置などにも適用できる。
4.2.圧電素子
次に、本発明の複合酸化物積層体を圧電素子に適用した例について説明する。
図12は、本発明の複合酸化物積層体を有する圧電素子1を示す断面図である。この圧電素子1は、基材2と、基材2の上に形成された下部電極3と、下部電極3の上に形成された圧電体膜4と、圧電体膜4の上に形成された上部電極5と、を含んでいる。圧電体膜4は、本発明の第1、第2複合酸化物層24,26を用いて形成されたものである。
基材2は、(110)配向の単結晶シリコン基板と当該単結晶シリコン基板の表面に熱酸化膜を形成したものとから構成される。基材2は加工されることにより、後述するようにインクジェット式記録ヘッド50においてインクキャビティー521を形成するものとなる(図13参照)。
4.3.インクジェット式記録ヘッド
次に、上述の圧電素子が圧電アクチュエータとして機能しているインクジェット式記録ヘッドおよびこのインクジェット式記録ヘッドを有するインクジェットプリンタについて説明する。図13は、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す側断面図であり、図14は、このインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、通常使用される状態とは上下逆に示したものである。なお、図15には、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを有するインクジェットプリンタ700を示す。
図13および図14に示すように、インクジェット式記録ヘッド50は、ヘッド本体(基体)57と、ヘッド本体57上に形成される圧電部54と、を含む。圧電部54には図12に示す圧電素子1が設けられ、圧電素子1は、下部電極3、圧電体膜(強誘電体膜)4および上部電極5が順に積層して構成されている。圧電体膜4は、本発明の複合酸化物積層体を用いて形成された膜である。インクジェット式記録ヘッドにおいて、圧電部54は、圧電アクチュエータとして機能する。
ヘッド本体(基体)57は、ノズル板51と、インク室基板52と、弾性膜55と、から構成されている。そして、これらが筐体56に収納されて、インクジェット式記録ヘッド50が構成されている。
各圧電素部は、圧電素子駆動回路(図示しない)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて作動(振動、変形)するよう構成されている。すなわち、各圧電部54はそれぞれ振動源(ヘッドアクチュエータ)として機能する。弾性膜55は、圧電部54の振動(たわみ)によって振動し、キャビティ521の内部圧力を瞬間的に高めるよう機能する。
なお、上述では、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドを一例として説明したが、本実施形態は、圧電素子を用いた液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
4.4.表面弾性波素子
次に、本発明の複合酸化物積層体を適用した表面弾性波素子の一例について、図面を参照しながら説明する。
図16は、本実施形態に係る表面弾性波素子300を模式的に示す断面図である。
表面弾性波素子300は、基板11と、基板11上に形成された圧電体膜12と、圧電体膜12上に形成されたインターディジタル型電極(以下、「IDT電極」という)18,19と、を含む。IDT電極18,19は、所定のパターンを有する。圧電体膜12は、本発明の第1、第2複合酸化物層24,26を用いて構成される。
本実施形態に係る表面弾性波素子300は、本発明に係る圧電体膜積層体を用いて、例えば以下のようにして形成される。
まず、図16に示す基板11上に、図1に示す第1,第2複合酸化物層24,26を形成して圧電体膜12を形成する。さらに、圧電体膜12上に、導電膜を形成する。次に、公知のリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて導電膜をパターニングすることにより、圧電体膜12上にIDT電極18,19を形成する。
4.5.周波数フィルタ
次に、本発明の複合酸化物積層体を適用した周波数フィルタの一例について、図面を参照しながら説明する。図17は、本実施形態の周波数フィルタを模式的に示す図である。
図17に示すように、周波数フィルタは基体140を有する。この基体140としては、上述した表面弾性波素子300と同様の積層体(図16参照)を用いることができる。
基体140の上面には、IDT電極141、142が形成されている。また、IDT電極141、142を挟むように、基体140の上面には吸音部143、144が形成されている。吸音部143、144は、基体140の表面を伝播する表面弾性波を吸収するものである。一方のIDT電極141には高周波信号源145が接続されており、他方のIDT電極142には信号線が接続されている。ここで、圧電体膜は、本発明の複合酸化物積層体を用いて形成することができる。
4.6.発振器
次に、本発明の複合酸化物積層体を適用した発振器の一例について、図面を参照しながら説明する。図18は、本実施形態の発振器を模式的に示す図である。
図18に示すように、発振器は基体150を有する。この基体150としては、上述した表面弾性波素子300と同様の積層体(図16参照)を用いることができる。
基体150の上面には、IDT電極151が形成されており、さらに、IDT電極151を挟むように、IDT電極152、153が形成されている。IDT電極151を構成する一方の櫛歯状電極151aには、高周波信号源154が接続されており、他方の櫛歯状電極151bには、信号線が接続されている。なお、IDT電極151は、電気信号印加用電極に相当し、IDT電極152、153は、IDT電極151によって発生される表面弾性波の特定の周波数成分または特定の帯域の周波数成分を共振させる共振用電極に相当する。ここで、圧電体膜は、本発明の複合酸化物積層体を用いて形成することができる。
また、前述した発振器をVCSO(Voltage Controlled SAW Oscillator:電圧制御SAW発振器)に応用することもできる。
以前述べたように、本実施形態に係る周波数フィルタおよび発振器は、本発明に係る電気機械結合係数の大きな表面弾性波素子を有する。従って、本実施形態によれば、周波数フィルタおよび発振器の小型化を実現することが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
20 基板、21 基材、22 第1電極層、23 第2電極層、24 第1複合酸化物層、26 第2複合酸化物層、28 第3電極層、30 第4電極層、1 圧電素子、2 基板、3 下部電極、4 圧電体膜、5 上部電極、50 インクジェット式記録ヘッド。

Claims (18)

  1. 下部電極と、
    前記下部電極の上方に形成され、一般式ABO3で表される第1複合酸化物層と、
    前記第1複合酸化物の上方に形成され、一般式AB1-xCxO3で表される第2複合酸化物層と、
    前記第2複合酸化物層の上方に形成された上部電極と、を備えた圧電素子であって、
    A元素は、Pbからなり
    B元素は、Zr、Ti、V,W及びHfの少なくとも1つ含み、
    C元素は、Taであることを特徴とする圧電素子。
  2. 前記元素は、ZrおよびTiであることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記第2複合酸化物層は、0.1≦x≦0.3の範囲で前記C元素を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電素子。
  4. 前記第2複合酸化物層は、0.5モル%以上10モル%以下のSiをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3何れか一項に記載の圧電素子。
  5. 前記第2複合酸化物層は、0.5モル%以上10モル%以下のGeをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4何れか一項に記載の圧電素子。
  6. 前記第2複合酸化物層は、0.5モル%以上10モル%以下のSiおよびGeを含むことを特徴とする請求項1乃至5何れか一項に記載の圧電素子。
  7. 前記第2複合酸化物層は、前記第1複合酸化物層より膜厚が小さいことを特徴とする請求項1乃至6何れか一項に記載の圧電素子。
  8. 前記第2複合酸化物層の膜厚は、100〜1000nmであることを特徴とする請求項7に記載の圧電素子。
  9. 前記第2複合酸化物層は、前記第1複合酸化物層の最表面に形成された異相を吸収することを特徴とする請求項1乃至8何れか一項に記載の圧電素子。
  10. 前記下部電極は、基材の上方に形成されていることを特徴とする請求項1乃至9何れか一項に記載の圧電素子。
  11. 前記下部電極は、第1電極層と、前記第1電極層の上方に形成された第2電極層と、を有し、
    前記第2電極層は、ペロブスカイト型構造の導電性酸化物からなることを特徴とする請求項1乃至10何れか一項に記載の圧電素子。
  12. 前記第2電極層は、LaNiO3からなることを特徴とする請求項11に記載の圧電素子。
  13. 前記第1電極層は、白金族金属からなることを特徴とする請求項11又は12に記載の圧電素子。
  14. 前記上部電極は、第3電極層と、前記第3電極層の上方に形成された第4電極層と、を有し、
    前記第3電極層は、LaNiO3からなることを特徴とする請求項1乃至13何れか一項に記載の圧電素子。
  15. 前記第4電極層は、白金族金属からなることを特徴とする請求項14に記載の圧電素子。
  16. 前記上部電極の表面に形成され、酸化シリコン、窒化シリコン又はアルミナからなる保護層をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至15何れか一項に記載の圧電素子。
  17. 請求項1乃至16何れか一項に記載の圧電素子を備えることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  18. 請求項17に記載のインクジェット式記録ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置。
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