JP5379350B2 - 胃がんのリンパ節転移の判定を補助する方法。 - Google Patents

胃がんのリンパ節転移の判定を補助する方法。 Download PDF

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Description

本発明は、胃がんのリンパ節転移判定を補助する方法に関する。
胃がんの診断において、リンパ節中のがん細胞を検出すること(リンパ節転移診断)は、手術範囲の決定や術後の化学療法の決定に有益な情報となる。現在、リンパ節転移診断は病理医により、リンパ節組織の凍結切片またはパラフィン切片を用いた組織診(例えば、HE(ヘマトキシリン−エオジン)染色、IHC(免疫組織化学)法など)が行われている。しかし、リンパ節にがん細胞が存在していても、がん細胞を含まない切断面で切片を作成し、その切片を用いて組織診を行うとがん細胞を見落としてしまうことがある。さらに、診断する病理医の熟練度によって診断結果にばらつきが生じることがある。
このような現状を受けて、現在、LAMP(loop-mediated isothermal amplification
method)法やPCR(polymerase chain reaction)法などを用いたがんの分子診断の研究が盛んに行われるようになっている。分子診断は、分子マーカー(例えば、がん細胞に特異的に発現するタンパク質、このタンパク質をコードする遺伝子、この遺伝子のmRNAなど)を検出することにより行うことができる。
胃がん細胞では多種のタンパク質が発現しており、胃がんのマーカーとなり得る分子の
探索が盛んに行われている。
例えば、特許文献1(特開2006−223303号公報)には、ヒト胃癌由来細胞株であるKATOIIIまたは胃癌患者から採取した腹腔内洗浄液中の細胞において、TFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112およびACTBの遺伝子の発現レベルを調べており、これら遺伝子の発現レベルに基づいて胃癌の再発予測を行うことが記載されている。
特許文献2(特2006−526998号公報)には、EEFA1A、TUBA6、FKBP1A、PKM2、LDHA、RPL4、ARF1、SURF4、KRT8、GAPD、HSPCB、PGK1、HMGIY、K−ALPHA−1、FTH1、HSPA8、SH3GLB2、ACTB、HSPCA、TMSB4X、PYCR1、ATF4、JUN、HSPB1、IGKC、SNC73、CD74、LOC131177(FAM3D)、AGR2、IMAGE:4296901(pepsin A)の遺伝子の発現程度を測定することによって胃癌を診断する方法が記載されている。さらに、GADD45B、JUN、HMGIY、GSTP1、LMNA、ESRRA、PLK、CD44、IGFBP3、PKM2、FKBP1A、KRT8、TMSB4X、GAPD、ATP5A1、PTMA、CALM2、NET1の遺伝子の発現程度を測定することによって転移性胃癌を診断する方法が記載されている。
特許文献3(特表2005−304497号公報)には、PVT1、MYC、FOLR1、PLUNC(LUNX)、E2F1、TGIF2、TNFRSF5、NCOA3、ELMO2、MYBL2、NCOA3(AIB1)、PTPN1、PRex1、BCAS1、ZNF217、STK6(BTAK)、CUL4B、MCF2、CTAG、SDC1、DNMT3A、MLH1、CTNNB1、CCK、ZNF131、CDK6、MET、MYC、PVT1、EGR2、KSAM(FGFR2)、PKY(HIPK3)、LMO2、CD44、KRAS、KRAG(SSPN)、CYP1A1、IQGAP1、FURIN(PACE)、PPARBP、ERBB2、CCNE1、MYBL2、BAIAP1、PTPRG、N33、TEK、MTAP、CDKN2A(p16)、MLLT3、JAK2、GASC1、D9S913、SMAD4、MADH2、MADH7(SMAD7)、DCC、MALT1、GRP、BCL2、FVT1、SERPINB(PI5)、CTDP1の遺伝子の発現レベルに基づいて胃癌の診断が可能であることが記載されている。
しかしながら、上記のいずれの特許文献においても、胃がん由来のがん細胞の転移が認められたリンパ節細胞および正常なリンパ節細胞において上記遺伝子の発現レベルの確認を行っていない。ゆえに、上記の文献で挙げられた遺伝子のうちいずれが胃がんのリンパ節転移を判定するためのマーカーとして有用であるかは不明である。
胃がんのリンパ節転移を判定するための分子マーカー(以下、単にマーカーともいう)としては、ヒト胎児性抗原(CEA)やサイトケラチン20(CK20)が報告されている(非特許文献1)。
特開2006−223303号公報 特表2006−526998号公報 特表2005−304497号公報 Keisuke Kubota et. al., 「Quantitative detection of micrometastases in the lymph nodes of gastric cancer patients with real-time RT-PCR: a comparative study with immunohistochemistry.」, International Journal of Cancer, May 2003, Vol. 105, pages 136-143
発明の目的は、胃がんのリンパ節転移の判定を補助する方法を提供することである。
本発明は、胃がん患者から採取されたリンパ節から検出用試料を調製する工程と、前記検出用試料に含まれる、アンテリアグラジエント2ホモログ(Anteroir gradient 2 homolog:AGR2)をコードする遺伝子のmRNAまたはその断片が過剰に存在するか否か判定する第一判定工程と、前記マーカーが過剰に存在すると判定された場合に、胃がん由来のがん細胞が前記リンパ節に転移していると判定する第二判定工程とを含む胃がんのリンパ節転移判定を補助する方法を提供する。
また、本発明は、上記の判定方法の第一判定工程において、核酸増幅反応の産物の測定結果と、所定の閾値とを比較することにより、AGR2をコードする遺伝子のmRNAまたはその断片が過剰に存在するか否かを判定する、胃がんのリンパ節転移判定方法を提供する。
本発明によると、胃がんのリンパ節転移判定を補助する方法を提供することができる。

本実施形態のマーカーは、胃がん由来のがん細胞に過剰に存在するタンパク質をコードする遺伝子のmRNAまたはこのmRNAの一部である。このマーカーを検出することにより、リンパ節中のがん細胞が検出される。なお、本明細書では、「過剰に存在する」とは、リンパ節の正常細胞における存在量に比べて多量に存在することを意味する。また、「検出する」とは、存否を判定することだけでなく、定量することをも含む。「mRNA」とは、成熟したmRNAだけでなく、mRNAの前駆体(転写後のスプライシングやポリアデニル修飾前のmRNAなど)も含む。
胃がんの細胞では、多種類のタンパク質が発現しており、あるタンパク質ががん細胞に多量に含まれていることが分かっているだけでは、胃がんのリンパ節転移マーカーとして有用か否かを判別することはできない。有用な胃がんのリンパ節転移マーカーとは、がん細胞で発現する多種のタンパク質のうち、正常なリンパ節よりも胃がんが転移したリンパ節の細胞に過剰に存在することが確認されたタンパク質をコードするmRNAまたはこのmRNAの一部である。
マーカーを検出しようとする場合、検出用試料が調製することが好ましい。検出用試料は、生体から採取されたリンパ節の細胞を可溶化したものを用いることができる。リンパ節の細胞を含む試料としては、例えば、手術により摘出されたリンパ節の細胞を含む細胞塊、生検により採取されたリンパ節の細胞を含む試料などが挙げられる。
検出用試料は、例えば以下のようにして調製することができる。先ず、リンパ節の細胞に可溶化のための試薬(以下、「可溶化液」とする)を添加し、化学的及び/又は物理的処理を行うことによって、可溶化液中に含まれる細胞中のmRNAを液中に移行(可溶化)させ、このmRNAを含む溶液を検出用試料とすることができる。
本実施形態において可溶化液としては、リンパ節の細胞中のmRNAを可溶化できるものであれば、特に限定されないが、例えば緩衝液等が挙げられる。緩衝液としては、RNAの分解を抑制するために酸性であることが好ましく、より具体的にはpH2.5〜5.0が好ましく、特に3.0〜4.0が好ましい。pHをこの範囲に保つために、公知の緩衝剤を用いることができ、具体的な緩衝剤としてはグリシン−塩酸緩衝剤などが挙げられる。緩衝剤の濃度は、緩衝液のpHを上記の範囲に保つことができるものであれば特に限定されない。
また、可溶化液には界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤によって細胞膜や核膜が損傷するため、この損傷を通して細胞中の核酸が溶液中に移行しやすくなる。このような作用を有するものであれば界面活性剤の種類は特に限定されないが、非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤がよりこのましい。
特に、次のような一般式:
R1−R2−(CH2CH2O)n−H
(ここで、R1は炭素数10〜22のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、イソオクチル基;R2は−O−又は−(C6H6)−O−;nは8〜120の整数)で表されるポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤が好適であり、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。具体的には、Brij35(ポリオキシエチレン(35)ラウリルエーテル)などが好適である。可溶化液中の界面活性剤の濃度は0.1〜6%(v/v)が好ましく、より好ましくは1〜5%(v/v)である。
また、mRNAの定量を後述の核酸増幅法により行う場合は、可溶化液にジメチルスルホキシド(DMSO)を含有させることが好ましい。リンパ節には、核酸増幅における酵素反応を阻害する物質(阻害物質)が含まれていることがあるが、DMSOの作用によってこの阻害物質の影響を効果的に低減することができる。また、DMSOには核酸増幅酵素の活性の低下を抑制する効果もある。可溶化液中のDMSOの濃度としては、1〜50%(v/v)が好ましく、5〜30%(v/v)がより好ましく、10〜25%(v/v)が最も好ましい。
上記のような可溶化液を用いることにより、市販の精製キットなどを用いて一般的に行われる核酸の抽出・精製を行うことなく、簡便かつ短時間で検出用試料を調製することができる。
上記のリンパ節の細胞と可溶化液との混合割合は、特に限定されないが、検体1mgに対して0.0001〜0.005mL程度の可溶化液を添加して混合することができる。上記の混合は、特に限定されないが、例えば室温で細胞と可溶化液とが充分に混合される程度の時間行うことができる。
また、リンパ節の細胞と可溶化液の混合の後は、可溶化液中の細胞を破砕するのが好ましい。破砕する方法としては、ホモジナイザーによるホモジナイズ、凍結融解などが挙げられる。ホモジナイザーとしては、当該分野において通常用いられるものを用いることができ、例えばワーリングブレンダー、ポッター・エルベージェム型ホモジナイザー、ポリトロン型ホモジナイザー、ダウンス型ホモジナイザー、フレンチプレス、超音波破砕機などが挙げられる。破砕の条件は、用いる方法及び装置に応じて適宜設定され、当該分野において通常用いられるものであってよい。
上記の方法により破砕された破砕液を、遠心分離、フィルターろ過、カラムクロマトグラフィーなどの通常の精製方法を用いて粗精製することにより検出用試料を調製することができる。また、検出用試料の状態に応じて、核酸抽出法などの方法によりさらに精製してもよい。
得られた検出用試料に含まれ得る本発明のマーカーを検出するには、該検出用試料に、マーカーを検出し得るプライマ、逆転写活性を有する酵素、DNAポリメラーゼを添加して反応液を調製して、核酸増幅を行い、増幅されたcDNAを検出することが好ましい。核酸増幅法としては、特に限定されないが、例えばPCR法、LAMP法など、公知の方法を用いることができる。マーカーはRNAであるため、核酸増幅反応の前に逆転写反応を含む核酸増幅法(例えば、RT−PCR法やRT−LAMP法など)を用いることができる。このような核酸増幅法を用いることによってマーカーのmRNAを鋳型としてcDNAが逆転写され、このcDNAを鋳型として核酸増幅反応が進行することができる。
逆転写反応および核酸増幅反応は、鋳型である本発明のマーカーに対応するcDNAの配列およびプライマの配列に応じて適宜条件を変更することができる。逆転写反応および核酸増幅反応の条件は、例えばSambrook, J. et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd ed.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkに記載されたものを用いることができる。
マーカーを検出するためのプライマとしては、マーカーに対応するcDNAを増幅することができるポリヌクレオチドであれば、その配列は特に限定されない。プライマの長さは5〜100ヌクレオチドが好ましく、10〜50ヌクレオチドがより好ましい。プライマは、当該技術において公知の核酸合成方法により製造することができる。
上記のプライマは、プライマ機能を有していれば、一つ以上のヌクレオチドの変異(置換、欠失、挿入、付加など)を有していてもよい。「プライマ機能」とは、マーカーに対応するcDNA(マーカーから逆転写されたcDNAまたはこのcDNAの相補鎖)にハイブリダイズし、核酸増幅における伸長反応の基点となる機能のことである。変異を有するポリヌクレオチドは、マーカーから転写されたcDNA配列中のポリヌクレオチドがハイブリダイズする領域に対して、60%以上の相補性を有することが好ましく、80%以上の相補性を有することがより好ましい。また、このポリヌクレオチドがプライマとして機能するために、ポリヌクレオチドの3’末端側の少なくとも3塩基が完全に相補的であることが好ましく、3’末端側の少なくとも5塩基が完全に相補的であることがより好ましい。
該プライマは、好ましくは:
(a)配列番号1〜12のいずれかに記載の配列を有するポリヌクレオチド;または
(b)上記(a)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチド
からなる。
また、上記のプライマは、本発明のマーカーに対応するcDNAを核酸増幅法で増幅することができる第一プライマと第二プライマ(フォワードプライマとリバースプライマ)の組み合わせからなるプライマセットとして用いることもできる。この場合、該プライマセットとしては、例えば、
(a)配列番号1に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(b)上記(a)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第一プライマと、
(c)配列番号2に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(d)上記(c)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第二プライマとを含むプライマセットが挙げられる。
また、
(e)配列番号3に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(f)上記(e)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第一プライマと、
(g)配列番号4に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(h)上記(g)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第二プライマとを含むプライマセットが挙げられる。
また、
(i)配列番号5に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(j)上記(i)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第一プライマと、
(k)配列番号6に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(l)上記(k)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第二プライマとを含むプライマセットが挙げられる。
また、
(m)配列番号7に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(n)上記(m)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第一プライマと、
(o)配列番号8に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(p)上記(o)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第二プライマとを含むプライマセットが挙げられる。
また、
(q)配列番号9に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(r)上記(q)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第一プライマと、
(s)配列番号10に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(t)上記(s)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第二プライマとを含むプライマセットが挙げられる。
また、
(u)配列番号11に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(v)前記(u)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第一プライマと、
(w)配列番号12に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
(x)前記(w)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される第二プライマとを含むプライマセットが挙げられる。
上記のプライマは、当該技術において通常用いられる技術により修飾されていてもよい。上記プライマの標識は、放射活性元素または非放射活性分子を用いて行うことができる。用いられる放射活性同位体としては、32P、33P、35S、3Hまたは125Iを挙げることができる。非放射活性物質は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンまたはジゴキシゲニンのようなリガンド、ハプテン、色素および放射線発光性、化学発光性、生物発光性、蛍光またはリン光性の試薬のような発光性試薬から選択される。
逆転写活性を有する酵素およびDNAポリメラーゼは、当該技術においてよく知られたものを用いることができる。逆転写活性を有する酵素としては、AMV (Avian Myeloblastosis Virus) 逆転写酵素、M-MLV (Molony Murine Leukemia Virus) 逆転写酵素などが挙げられる。また、DNAポリメラーゼとしては、Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼなどを用いることができる。
上記の核酸増幅により生成した産物を測定することにより、マーカーを検出することができる。例えば、増幅されたcDNAを検出することによりマーカーを検出することができる。増幅されたcDNAの検出は、反応液とエチジウムブロマイド、SYBRGreenなどの蛍光インターカレーターとを混合して反応液中のcDNAを蛍光染色し、反応液の蛍光強度を測定することにより行うことができる。また、反応液に予め上記のような蛍光インターカレーターを加えておき、反応液の蛍光強度をリアルタイムで測定することにより、マーカーを定量することができる。
また、cDNAの増幅に伴い副産物としてピロリン酸マグネシウムが生成される場合、これを検出することによりcDNAを検出してもよい。このピロリン酸マグネシウムは不溶性であるため、ピロリン酸マグネシウムの増加に伴って反応液が白濁する。よって、反応液を光学的に測定(例えば、濁度測定、吸光度測定など)することによってcDNAを検出することもできる。また、リアルタイムで光学的測定を行うことにより、マーカーを定量することができる。
上記のマーカーの検出結果に基づいて、胃がんのリンパ節転移判定を行うことができる。
本実施形態のマーカーは、がん細胞だけでなく正常な細胞でもわずかに存在が認められる場合がある。このような場合、上記のマーカーの検出結果を所定の閾値と比較することにより、胃がん由来のがん細胞のリンパ節への転移を判定することが好ましい。
例えばRT−PCRを用いてリアルタイムでマーカーを検出する場合、所定の蛍光強度や濁度に達するまでのPCRサイクル数を測定し、この測定値を対応する閾値と比較することにより、胃がん由来のがん細胞のリンパ節転移を検出することもできる。また、所定のサイクル数における蛍光強度や濁度を測定し、この測定値を対応する閾値と比較することにより、胃がん由来のがん細胞のリンパ節転移を検出することもできる。
また、例えばRT−LAMPを用いてリアルタイムでマーカーを検出する場合、所定の蛍光強度や濁度に達するまでの時間を測定し、この測定値と対応する閾値と比較することにより、胃がん由来のがん細胞のリンパ節転移を検出することもできる。また、所定の時間が経過した時点での蛍光強度や濁度を測定し、この測定値を対応する閾値と比較することにより、胃がん由来のがん細胞のリンパ節転移を検出することもできる。また、複数の閾値を設定することにより、例えば「強陽性」、「陽性」、「陰性」など多段階にがん細胞のリンパ節転移を検出することも可能である。
閾値は、がん細胞が含まれることが確認された生体試料(陽性試料)に含まれるマーカー量に対応する値以下であり、且つがん細胞が含まれないことが確認された生体試料(陰性試料)に含まれるマーカー量に対応する値よりも高い値に設定することができる。また、複数の陽性試料についてマーカー量に対応する値を測定し、複数の陰性試料についてマーカー量に対応する値を測定し、それら測定結果に基づいて最も高確率に陽性試料と陰性試料とを区別できる値を閾値とすることが好ましい。
また、上記のマーカーの検出にマイクロアレイ技術を用いることもできる。具体的には、先ず固相にマーカーに対応するcDNAに相補的なポリヌクレオチドプローブ(以下、単にプローブともいう)を固定する。この固相に、検出用試料中のマーカーからの逆転写反応により得られたcDNAを含む試料を添加して、プローブにcDNAを捕捉させる。ここに蛍光インターカレーターを添加してプローブとcDNAとのハイブリッドを蛍光染色し、蛍光強度を検出する。蛍光強度の検出結果から、マーカーの定量や存否の判定を行うことができる。プローブがcDNAよりも短い場合は、プローブがハイブリダイズしていないcDNAの領域にハイブリダイズするプローブを添加することにより、蛍光シグナルを増強することができる。
なお、固相にマーカーに対応するプローブを固定し、マーカーとプローブとのハイブリッドを形成させて、このハイブリッドを検出することによりマーカーを検出してもよい。
該プローブは、上記のプライマについて説明したのと同様の方法により設計および製造することができる。該プローブとしては、上記のプライマと同様の配列を有するものを用いることができる。
上述した何れかの方法を用いることにより、マーカーが試料中に過剰に存在するか否かを判定することが出来る。試料中にマーカーが過剰に存在していると判定された場合は、胃がん由来のがん細胞がリンパ節に転移していると判定される。
なお、本実施形態の6種類のマーカーのうち少なくとも1つのマーカーの検出結果に基づいて、胃がんのリンパ節転移判定を行うことができる。また、本実施形態の6種類のマーカーの検出結果のうち2つ以上を組み合わせることにより、より精度の高いリンパ節転移検出を行うことも可能である。さらに、本実施形態の6種類のマーカーの検出結果を、他のマーカー(例えば、従来の胃がんのリンパ節への転移マーカーであるCEAやCK20など)の検出結果と組み合わせることにより、より精度の高いリンパ節転移検出を行うことも可能である。
本実施形態のマーカーを検出するために必要な試薬等を試薬キットとして提供することができる。該キットは、少なくとも上述のプライマ、逆転写活性を有する酵素、DNAポリメラーゼ、dNTPsを含む。また、このキットは、酵素反応に好適な条件を与える緩衝剤を含むことが好ましい。
なお、本明細書において「マーカーを検出する」とは、マーカーであるmRNAの全領域を検出することだけでなく、一部の領域を検出することをも含む。本実施形態では、マーカーの一部の領域に対応するcDNAを増幅し、これを検出することが好ましい。この場合、検出されるcDNAの領域の長さは、プライマの長さよりも1〜500ヌクレオチド長いことが好ましく、50〜500ヌクレオチド長いことがより好ましい。また、上記のプライマセットを用いる場合、増幅されるcDNAの領域の長さは、第一プライマの長さと第二プライマの長さとの和よりも1〜500ヌクレオチド長いことが好ましく、50〜500ヌクレオチド長いことがより好ましい。
本発明者らは、胃がんのリンパ節への転移を検出できるマーカーを探索した。まず、公共データベースに登録されているヒト遺伝子発現ライブラリから胃関連の遺伝子発現ライブラリを選択し、このデータベースから、胃での発現量が高く、リンパ節での発現量が低い遺伝子を、胃での発現量の高い順に上位から58種選択した。これら遺伝子に対応するタンパク質を以下の表1および表2に示す。
次いで、これら58種のタンパク質をコードする遺伝子のmRNA(以下、これら58種のmRNAをマーカー候補と呼ぶ)を検出できるプライマを58組設計した。設計した58組のプライマを用い、組織学的にリンパ節への転移が認められたリンパ節(陽性リンパ節)10個と、組織学的にリンパ節への転移が認められないリンパ節(陰性リンパ節)10個から抽出したRNAを用いてRT−PCRを行なった。
まず、各リンパ節(約100〜300mg/個)に可溶化液(200mMグリシン−HCl、5% Brij35(ポリオキシエチレン(35)ラウリルエーテル)、20% DMSO、および0.05% KS−538 (信越化学工業) を含む)4mLを添加し、ブレンダーでホモジナイズした。得られたホモジネートを10,000×g、室温で1分間遠心分離し、上清400μLからRNeasy Miniキット(キアゲン社製、カタログ番号74014)を用いてRNAを抽出・精製してRNA溶液を得た。このRNA溶液の吸光度(λ=280nm)を測定して濃度を確認した後、それぞれ10ng/μLの濃度に希釈調製した。陽性リンパ節10個から調製されたRNA溶液を混合して陽性検体を調製し、陰性リンパ節10個から調製されたRNA溶液を混合して陰性検体を調製した。
上記のようにして得られた陽性検体および陰性検体と、上記の58組のプライマを用いて、ABIリアルタイムPCR装置(Prism 7000)を用いてリアルタイムRT−PCRを行ない、58種のmRNAの検出を行なった。
リアルタイムRT−PCRは、定量RT−PCRキットであるQuanti Tect SYBR Green
RT−PCRキット(キアゲン社製、カタログ番号204245)を用い、その使用説明書に従って行なった。反応液の組成および反応条件は、以下のとおりである。
反応液:
RNase free H2O 22.00μL
2×Mix 25.00μL
100nMフォワードプライマ(最終濃度500μM) 0.25μL
100nMリバースプライマ(最終濃度500μM) 0.25μL
Quanti Tect RTミックス 0.50μL
陽性検体または陰性検体 2.00μL
合計 50.00μL
反応条件
50℃、30分
95℃、15分
PCR:以下の工程を40サイクル;
94℃、15秒、
53℃、30秒、
72℃、30秒。
上記の条件でRT−PCRを行ない、陰性検体と陽性検体を用いてある特定の蛍光強度に到達するまでのPCRサイクル数(陰性検体PCRサイクル数や陽性検体PCRサイクル数)をそれぞれ測定し、これらの差((陰性検体PCRサイクル数)−(陽性検体PCRサイクル数))を算出した。このPCRサイクル数の差が大きいほど、その遺伝子が陰性検体中での発現量が少なく、陽性検体中での発現量が多い、すなわちその遺伝子が、転移が起こったリンパ節で特異的に発現量が多いことを意味する。
この結果を、以下の表1、表2および図1に示す。表1および表2は、陽性検体PCRサイクル数(A)と、陰性検体PCRサイクル数(B)と、これらの差(B−A)の値とを示した表である。図1は、B−Aを縦軸にとり、Bを横軸にとったグラフである。縦軸の値が大きいほど、その遺伝子が陰性検体中での発現量が少なく、陽性検体中での発現量が多いことを示し、すなわちその遺伝子が、転移が起こったリンパ節で特異的に発現量が多いことを意味する。また、横軸のサイクル数が大きいほど、その遺伝子は、胃がんが転移していないリンパ節で発現量が少ないことを意味する。
したがって、この縦軸の値および横軸のサイクル数が比較的大きいマーカー候補は、胃がんのリンパ節への転移を検出するためのマーカーとして有用であるということができる。
なお、対照として用いたβ−アクチン(ACTB)は、ハウスキーピング遺伝子のタンパク質として知られており、多くの細胞において多量に発現しているものである。よって、陰性検体PCRサイクル数も陽性検体PCRサイクル数もともに少ない。
また、従来から胃がんのリンパ節転移マーカーとして知られていたCEAやCK20のmRNAは、縦軸の値および横軸のサイクル数が比較的大きく、リンパ節転移が起こった組織で特異的に発現量が多いことがわかる。
Figure 0005379350
Figure 0005379350
以上の結果から、図1において黒丸で示された11種のタンパク質をコードする遺伝子のmRNAが、リンパ節転移マーカーとして有用性が高いと考えられた。そして、これら11種のマーカー候補の中には、従来から胃がんのリンパ節転移マーカーとして知られていたCEAやCK20以外に、従来胃がんのリンパ節転移マーカーとして知られていないTFF1、AGR2、PRSS8、MUC1、MUC2、MUC4、MUC17やREG4といったマーカー候補が含まれている。
次に、実施例1において示された11種類のマーカー候補(TFF1、AGR2、PRSS8、MUC1、MUC2、MUC4、MUC17、REG4、CEA、CK19、CK20)について、胃がんのリンパ節転移マーカーとしての有用性をより詳細に検討した。
胃がん由来のがん細胞の転移が組織学的に認められたリンパ節9個からそれぞれRNA溶液(陽性試料)9検体を調製した。また、乳がん由来のがん細胞の転移が組織学的に認められなかったリンパ節10個からそれぞれRNA溶液(陰性試料)10検体を調製した。陽性試料9検体及び陰性試料10検体を用いて、それぞれリアルタイムRT−PCRを行ない、上記11種類のタンパク質をコードする遺伝子のmRNAを検出した。
RNA溶液の調製方法及びRT−PCRの条件については、実施例1と同様である。11種類のマーカー候補を検出するためにRT−PCRに用いたプライマは、以下の表3に示すように、配列番号1〜22の配列を有するプライマである。
また、対照として、ハウスキーピング遺伝子のタンパク質であるβ−アクチン(ACTB) のmRNAを検出した。β−アクチン(ACTB)のmRNAを検出するためにRT−PCRに用いたプライマは、以下の表3に示すように、配列番号23〜24の配列を有するプライマである。
Figure 0005379350
これらのリアルタイムRT−PCRにおいて、ある特定の蛍光強度に到達するまでのPCRのサイクル数を測定した結果を、図2に示す。図2中の縦軸は、陽性検体または陰性検体を用いてある特定の蛍光強度に到達するまでのPCRサイクル数を示し、+は陽性検体を用いた場合の測定結果を示し、−は陰性検体を用いた場合の測定結果を示す。
図2の結果から、実施例1において示された11種類のマーカー候補のうち、従来から胃がんのリンパ節転移マーカーとして知られていたCEAやCK20のmRNAは、いずれも、陽性試料において少ないサイクル数で増幅され、陰性試料ではより多くのサイクル数を必要として増幅されたことがわかった。そして、陽性検体を用いた場合のサイクル数と陰性検体を用いた場合のサイクル数との間で、明確な差が見られた。
実施例1において示された11種類のマーカー候補のうち、TFF1、AGR2、PRSS8、MUC1、MUC2、MUC4、MUC17およびREG4は、陽性試料において少ないサイクル数で増幅され、陰性試料ではより多くのサイクル数を必要として増幅されたことがわかった。そして、このうちTFF1、AGR2、PRSS8、MUC1、MUC4およびMUC17の6種類については、従来から胃がんのリンパ節転移マーカーとして知られていたCEAやCK20と同様、陽性検体を用いた場合のサイクル数と陰性検体を用いた場合のサイクル数との間で、明確な差が見られた。このことから、従来、胃がんのリンパ節への転移マーカーとして知られていなかったTFF1、AGR2、PRSS8、MUC1、MUC4およびMUC17をコードするmRNAが、胃がんのリンパ節への転移マーカーとして有用であることが判明した。
実施例1において示された11種類のマーカー候補のうち、CK19についても、従来から胃がんのリンパ節転移マーカーとして知られていたCEAやCK20と同様、陽性検体を用いた場合のサイクル数と陰性検体を用いた場合のサイクル数との間で、明確な差が見られた。
また、図2の結果から、TFF1、AGR2、PRSS8、MUC1、MUC4およびMUC17の6種類については、mRNAの検出の際に、PCRサイクル数に関して特定の閾値を設定することにより、本実施例で用いた陽性試料と陰性試料とを明確に区別することができることがわかった。すなわち、上記6種類については、mRNAの検出の際に、PCRサイクル数に関して特定の閾値を設定することにより、本実施例で用いた全ての陽性試料と陽性と判定することができ、本実施例を用いた全ての陰性試料を陰性と判定することができることがわかった。
具体的には、TFF1のmRNAの検出の際に、サイクル数30〜34の範囲で閾値を設定することにより、本実施例で用いた全ての陽性試料を陽性と判定することができ、全ての陰性試料を陰性と判定することができる。
また、AGR2のmRNAの検出の際には、サイクル数23〜28の範囲で閾値を設定することにより、本実施例で用いた全ての陽性試料を陽性と判定することができ、全ての陰性試料を陰性と判定することができる。
また、PRSS8のmRNAの検出の際には、サイクル数29〜32の範囲で閾値を設定することにより、本実施例で用いた全ての陽性試料を陽性と判定することができ、全ての陰性試料を陰性と判定することができる。
MUC1のmRNAの検出の際には、サイクル数26〜28の範囲で閾値を設定することにより、本実施例で用いた全ての陽性試料を陽性と判定することができ、全ての陰性試料を陰性と判定することができる。
MUC4のmRNAの検出の際には、サイクル数32〜34の範囲で閾値を設定することにより、本実施例で用いた全ての陽性試料を陽性と判定することができ、全ての陰性試料を陰性と判定することができる。
MUC17のmRNAの検出の際には、サイクル数31〜35の範囲で閾値を設定することにより、本実施例で用いた全ての陽性試料を陽性と判定することができ、全ての陰性試料を陰性と判定することができる。
ハウスキーピング遺伝子のタンパク質であるβ−アクチン(ACTB)のmRNAは、陰性試料および陽性試料の何れを用いても同様のサイクル数で検出されており、核酸濃度が極端に異なる試料を用いていないことが確認された。
また、反応後の陽性試料を用いた電気泳動実験により、本実施例の陽性試料において検出されたDNAの増幅が、プライマダイマーなどの非特異反応によるものではないことを確認した(図には示していない)。
以上のことから、従来、胃がんのリンパ節への転移マーカーとして知られていなかったTFF1、AGR2、PRSS8、MUC1、MUC4およびMUC17をコードするmRNAが、新たに、胃がんのリンパ節への転移マーカーとして有用であることがわかった。なお、以下の表4に示すように、各mRNAの配列は配列番号25〜30に示すとおりである。これらの配列は、Genbank (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/index.html)から、以下の表4に示したアクセッション番号で入手することができる。
Figure 0005379350
また、上記6種類の新規マーカーの検出結果のうち2つ以上を組み合わせることにより、より精度の高いリンパ節転移検出を行うことも可能である。さらに、上記6種類の新規マーカーの検出結果を、他のマーカーの検出結果と組み合わせることにより、より精度の高いリンパ節転移検出を行うことも可能である。上記他のマーカーとしては、例えば、CK19、従来の胃がんのリンパ節への転移マーカーであるCEAやCK20などが挙げられる。
表1に示す結果のグラフである。 リンパ節への転移が確認された患者のリンパ節からの試料および転移が認められない患者のリンパ節からの試料において、11種類のマーカー候補(TFF1、AGR2、PRSS8、MUC1、MUC2、MUC4、MUC17、REG4、CEA、CK19、CK20)のcDNAをRT−PCRにより増幅させたときに、ある特定の蛍光強度に達するまでのPCRのサイクル数(Ct)を示す。

Claims (4)

  1. 胃がん患者から採取されたリンパ節から検出用試料を調製する工程と、
    前記検出用試料に含まれる、アンテリアグラジエント2ホモログ(Anteroir gradient 2 homolog:AGR2)をコードする遺伝子のmRNAまたはその断片が過剰に存在するか否か判定する第一判定工程と、
    前記マーカーが過剰に存在すると判定された場合に、胃がん由来のがん細胞が前記リンパ節に転移していると判定する第二判定工程
    とを含む胃がんのリンパ節転移判定を補助する方法。
  2. 前記第一判定工程において、前記検出用試料と、逆転写活性を有する酵素と、DNAポリメラーゼと、前記AGR2を増幅するためのプライマセットとを用いて逆転写反応および核酸増幅反応を行い、増幅に伴って生じた産物を測定することにより、前記マーカーが過剰に存在するか否かを判定する、請求項1記載の方法。
  3. 前記プライマセットが第一プライマおよび第二プライマを含み、
    前記第一プライマが
    (a)配列番号3に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
    (b)前記(a)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択され、
    前記第二プライマが
    (c)配列番号4に記載の配列を有するポリヌクレオチド;および
    (d)前記(c)のポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、核酸増幅反応においてプライマ機能を有するポリヌクレオチドからなる群より選択される、
    請求項2に記載の方法。
  4. 前記第一判定工程において、前記産物の測定結果と、所定の閾値とを比較することにより、前記AGR2をコードする遺伝子のmRNAまたはその断片が過剰に存在するか否かを判定する、請求項2または3に記載の方法。
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