本発明は、主に、自動車等、車両に用いられるワイヤハーネスのアース端子構造で、特に、仮保持により、車体への締結固定作業性が良好なワイヤハーネスのアース端子構造に関するものである。
従来、ワイヤハーネスのアース端子構造が用いられたステアリングメンバ部材が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
まず、構成から説明すると、図10に示すように、自動車等の車体1の車室2内前方位置で、メータ等、計器類及び電装品が装着されるインストルメントパネル3の内部には、ステアリングコラム4c等を支持するステアリングメンバ部材4が、設けられている。
このステアリングメンバ部材4には、車幅方向に長手方向を沿わせた円筒状のメンバ本体4aの左,右両端部4b,4bに、取付ブラケット4d,4dが設けられていて、これらの各取付ブラケット4d,4dが、左,右フロントピラー部材5,5下方の車体側パネル部材5a,5aに、各々固設されている。
このステアリングメンバ部材4には、各種電装品間を接続するワイヤハーネス6が、このメンバ本体4aに沿って装着されている。
このワイヤハーネス6からは、前記各電装品と前記車体1との間で、電気的導通を行わせるアース用配線6aが延設されている。
このアース用配線6aの先端部6bには、図11に示すように、アース端子7が設けられている。
このアース端子7は、アース用配線6aの先端部6bの金属線が露出した部分に、嵌着される配線接続部7aと、前記車体1のフロントピラー部材5下方の車体側パネル部材5aの内側面5bに添着される接触面部7bと、位置決め用被係止孔5cに挿入係止される板状の係止片部7cとを一体に有して、主に構成されている。
前記内側面5bには、車幅方向に貫通形成されたボルト受け開口部5dには、内周面に雌ネジ部が形成されて、前記車体側の接触面部7bの中央に開口形成されたボルト孔7dに挿通されるボルト部材8の雄ネジ部8aを、螺着させるように構成されている。
次に、この従来のワイヤハーネスのアース端子構造が適用されるステアリングメンバ部材の作用効果について、取付順序に沿って説明する。
この従来のステアリングメンバ部材4では、円筒状のメンバ本体4aが、車幅方向に長手方向を沿わせて、車室2内の前方位置に挿入されると共に、このメンバ本体4aの左,右両端部4b,4bに設けられた取付ブラケット4d,4dが、各々左,右フロントピラー部材5,5下方の車体側パネル部材5a,5aに、当接されて、各々固設される。
次に、前記ワイヤハーネス6から延設されたアース用配線6aの先端部6bに、予め嵌着された前記アース端子7の前記係止片部7cを、車体1側のフロントピラー部材5下方に位置する車体側パネル部材5aに開口形成された位置決め用被係止孔5cに係止させる。
そして、前記ボルト孔7dを、前記ボルト受け開口部5dに合わせて、ボルト部材8を挿通し、前記ボルト受け開口部5dの内周面に形成された雌ネジ部に、前記雄ネジ部8aを螺着させる。
前記接触面部7bは、前記車体側パネル部材5aの内側面5bに圧着されて、前記各電装品と車体との間で、電気的導通が行われ、アースが施される。
特開2006−327261(明細書第0016段落乃至第0024段落、図1乃至図3)
しかしながら、このように構成された従来のワイヤハーネスのアース端子構造では、前記アース端子7の前記係止片部7cが、車体1側のフロントピラー部材5下方に位置する車体側パネル部材5aに開口形成された位置決め用被係止孔5cに係止されて、仮固定が行われているが、前記位置決め用被係止孔5cに、前記板状の係止片部7cを挿通することが可能な大きさの前記位置決め用被係止孔5cを設けると、外れやすい。
このため、仮固定及びボルト孔7dの前記ボルト受け開口部5dに対する位置決めや固定が、行えなくなる虞があり、取付作業性が良好であるとは言い難かった。
そこで、この発明は、簡便な構成で製造コストの上昇を抑制しつつ、取付作業性を良好なものとすることができるワイヤハーネスのアース端子構造を提供することを課題としている。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、ワイヤハーネスから延設されたアース用配線の端部に設けられたアース端子を、車体側パネル部材に電気的に接続すると共に、該アース端子を該車体側パネル部材に固定する固着手段と、該固着手段による固定が行われる際の位置決めに用いる仮保持手段とを有するワイヤハーネスのアース端子構造であって、前記仮保持手段は、前記車体側パネル部材に開口形成された位置決め用被係止孔に、係止されて、仮保持され、かつ前記位置決め用被係止孔の裏面側の周縁部に弾接されるバネ状の掛止部を有し、前記仮保持手段は、前記掛止部を、クランク状に屈曲することにより得られて、前記車体側パネル部材に開口形成された位置決め用被係止孔に、挿入されて、内側周縁に係止される係止フック部と、該係止フック部に連設されて、前記位置決め用被係止孔の裏面側周縁部に係止される抜止フック部とを有すると共に、前記位置決め用被係止孔に挿入した時に、前記係止フック部と抜止フック部とのなす角度が、係止前よりも大きくなると共に、前記係止フック部が、位置決め用被係止孔の裏面周縁部に弾接されることを特徴としている。
上記において、前記仮保持手段は、前記アース端子の前記固着手段の前,後側のうち、少なくとも何れか一方側に、一体に設けられるようにしても良い。
また、前記仮保持手段を、前記アース端子の前記固着手段の前側先端部に設けるようにしても良い。
また、前記仮保持手段を、前記アース端子の前記固着手段の後側基端部に設けるようにしても良い。
このように構成された請求項1記載のものは、仮保持手段としての掛止部が、前記車体側パネル部材に開口形成された位置決め用被係止孔に、係止されて、仮保持される。
該掛止部は、バネ状を呈しているので、前記位置決め用被係止孔の裏面側の周縁部に弾接されて、抜けにくい。
このため、前記アース端子は、前記車体側パネル部材から外れにくく、該車体側パネル部材の所望の位置に、該アース端子を位置決めした状態で仮保持させて、該車体側パネル部材に、前記固着手段を用いて、前記アース端子を容易に固定させることができる。
例えば、前記固着手段として、ボルト部材を用いる場合、該ボルト部材が挿通されるアース端子側のボルト孔を、前記車体パネル側に設けられるボルト受け開口部と、位置合わせした状態で、仮保持出来るので、前記ボルト部材の挿通及び螺合作業が容易に行える。
更に、前記掛止部は、前記アース端子と一体となるように構成されることにより、部品点数を増大させること無く、簡便な構成で製造コストの上昇を抑制しつつ、該アース端子の車体側パネル部材への取付作業性を良好なものとすることができる。
また、更に、車体側パネル部材との接触面積を多く取れるので、例えボルト部材が弛んでも車体側パネル部材との接触を常に維持され易くなる。
また、前記掛止部の係止フック部が、前記位置決め用被係止孔に、挿入されて、内側周縁に係止されると、位置決めが行われる。
そして、該係止フック部と共に、クランク状に屈曲されて連設される前記抜止フック部が、前記位置決め用被係止孔の裏面側周縁部に係止される。そして、位置決め用被係止孔に挿入した時に、係止フック部と抜止フック部とのなす角度が、係止前よりも大きくなると共に、係止フック部が、位置決め用被係止孔の裏面周縁部に弾接される。
このため、該アース端子の抜け止めが行われて、該アース端子が、車体側パネル部材から外れる虞が無くなり、容易に前記固着手段による位置決めを行うことが出来る。
上記において、前記アース端子の前記固着手段の前,後側のうち、少なくとも何れか一方側に、一体に設けられている前記仮保持手段が用いられて、少なくとも一箇所で、仮保持が行われるようにしても良い。
このため、任意の位置で、位置決め固定させる際に、外れることなく、取付作業性が良好である。
更に、前記アース端子が、前記車体側パネル部材に固定された状態では、該仮保持手段は、前記固着手段と共に、少なくとも2箇所で固定される。
従って、アース端子の取付安定性を向上させることが出来ると共に、該仮保持手段の掛止部と前記位置決め用被係止孔の周縁との間に電気的な導通が行われるので、接点性を有し、接続信頼性を向上させることができる。
また、前記仮保持手段が、前記アース端子の前記固着手段の前側先端部に設けられるようにすることにより、まず、前記アース端子の前側先端部に設けられた仮保持手段が、前記前記車体側パネル部材に開口形成された位置決め用被係止孔に、係止されて、仮保持されると、前記固着手段の位置合わせが、該係止された部分を基点として、容易に行える。
従って、取付作業性が良好である。
更に、前記仮保持手段が、前記アース端子の前記固着手段の後側基端部に設けられることにより、前記ワイヤハーネスのアース端子を嵌着接続等する配線接続部に近接させて設けることができる。
次に、図面に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態のワイヤハーネスのアース端子構造について、図1乃至図9を用いて、説明する。
なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
まず、構成から説明すると、この実施の形態のワイヤハーネスのアース端子構造が適用される自動車の車体1の車室2内前方位置には、インストルメントパネル3が設けられている。
このインストルメントパネル3には、メータ等、計器類及び電装品が装着される車室内側後側面の内部に、ステアリングコラム4c等を支持するステアリングメンバ部材4が、設けられている。
このステアリングメンバ部材4のうち、メンバ本体4aの左,右両端部4b,4bには、取付ブラケット4d,4dが設けられて、主に構成されている。
そして、このステアリングメンバ部材4の各取付ブラケット4d,4dが、左,右フロントピラー部材5,5下方に連設される車体側パネル部材5a,5aの内側面5b,5bに、当接されて、各々固設されている。
このステアリングメンバ部材4には、車幅方向に沿って中心軸延設方向を有する略円筒状の前記メンバ本体4aが設けられていて、このメンバ本体4aの上面側に沿って、各種電装品間を接続するワイヤハーネス6が、装着されている。
また、このワイヤハーネス6からは、前記各電装品と車体1との間で、電気的導通を行わせるアース用配線6aが延設されている。
そして、このアース用配線6aの先端部6bには、図1に示すようなアース端子11が設けられている。
このアース端子11は、アース用配線6aの先端部6bで、被覆ビニルが剥がれて、金属線が露出された部分を、カシメ嵌着する配線接続部11aと、前記車体1のフロントピラー部材5下方の車体側パネル部材5aの内側面5bに添着される円板状の接触面部11bと、仮保持手段としてバネ性を有し、かつ後述する位置決め用被係止孔5cの裏面側の周縁部5fに弾接されて、係止されるクランク状の掛止部11cとを主に有して構成されている。
このうち、前記接触面部11bの円板形状の略中心位置には、固着手段としてのボルト部材8を挿通するボルト孔11dが、開口形成されている。
また、前記内側面5bには、前記接触面部11bが圧接されて、前記アース用配線6aと、車体1のフロントピラー部材5との間で電気的導通が行われる略円形の被固着面部5eが設けられている。
この被固着面部5eには、前記ボルト孔11dに対向する略中心部分に、ボルト受け開口部5dが、車幅方向に軸方向を沿わせて、貫通形成されている。
そして、このボルト受け開口部5dの内周面には、図3に示すように、前記ボルト部材8の雄ネジ部8aが螺着される雌ネジ部が、形成されている。
更に、この実施の形態では、図1及び図3に示すように、このボルト受け開口部5dの上方位置に、一定寸法離間されて、位置決め用被係止孔5cが、車幅方向に貫通方向を沿わせて、開口形成されている。
この位置決め用被係止孔5cは、開口部形状の正面視が、車両前後方向に長辺を沿わせた長方形形状を呈するように構成されていて、前記掛止部11cが、車室内側から車外側に向けて挿通されると共に、抜け止め係止されて、仮保持されるように構成されている。
図1乃至図5は、この発明の実施の形態の実施例1のワイヤハーネスのアース端子構造を示すものである。
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
この実施の形態の実施例1のワイヤハーネスのアース端子構造では、前記アース端子11の平面視略円形の接触面部11bのうち、前記配線接続部11aの反対側端部には、前記掛止部11cが一体に延設されている。
この実施の形態の前記掛止部11cは、図3に示すように、板バネ状の金属片が、側面視(図3中紙面前後方向)で、屈曲形成されて、前記接触面部11bの前端部と一体となるように延設されることにより、クランク状を呈して構成され、かつ係止フック部11eと抜止フック部11fとのなす角度が直角よりも小さく設定されている。
そして、前記掛止部11cを構成する係止フック部11e及び抜止フック部11fが、前記フロントピラー部材5下方の車体側パネル部材5aに、車幅方向に沿って開口形成された位置決め用被係止孔5cに、挿入係止されて、抜け止めされ、仮保持されるように構成されている。
すなわち、この実施の形態の前記掛止部11cには、前記接触面部11bの前端部から、略直交方向へ延設されて、係止フック部11e,抜止フック部11fが設けられており、この係止フック部11e、抜止フック部11fが、前記車体側パネル部材5aに開口形成された前記位置決め用被係止孔5cに、挿入される。
その結果、この位置決め用被係止孔5cの内側周縁に係止される係止フック部11eと、この係止フック部11eに直交し、かつ前記接触面部11bの面延設方向に沿って延設されると共に、前記位置決め用被係止孔5cの裏面側周縁部5fに係止される抜止フック部11fとを有して、主に構成されている。
この実施の形態では、前記掛止部11cが、バネ性を有していて、前記係止フック部11e及び抜止フック部11fを前記位置決め用被係止孔5cに挿通する際に、弾性変形可能に構成されていて、前記係止フック部11e、抜止フック部11f間の角度αが、直角よりも大きくなるように可変されて、挿通が完了し、接触面部11bを車体側パネル部材5aに接触させると、抜止フック部11fが、位置決め用被係止孔5cの裏面側周縁部5fに弾接されるように構成されている。
次に、この実施の形態の実施例1のワイヤハーネスのアース端子構造が適用されるステアリングメンバ部材の作用効果について、取付順序に沿って説明する。
この実施例1のワイヤハーネスのアース端子構造では、前記インストルメントパネル3を車体1に装着する際、前記ステアリングメンバ部材4のメンバ本体4a左,右両端部4b,4bに設けられている前記取付ブラケット4d,4dを、前記左,右フロントピラー部材5,5下方に連設される車体側パネル部材5a,5aの内側面5b,5bに、当接させて、各々固設させる。
そして、前記ワイヤハーネス6から延設される前記アース用配線6aの先端に設けられた掛止部11cを、前記抜止フック部11f及び係止フック部11eの順序で、車両内側の車室2内側から、車外側に向けて、前記車体側パネル部材5aに開口形成された位置決め用被係止孔5cに、挿通して係止させることにより、抜け止めされて、仮保持される。
この掛止部11cは、バネ状を呈しているので、前記位置決め用被係止孔5cに、挿通される際には、弾性変形されて、前記係止フック部11e及び抜止フック部11f間の角度が、可変されて、浅くなる。
このため、挿通が容易に行えると共に、挿通後は、バネ性を有するので、図3に示されるように、初期のクランク状に復元する。
このため、前記位置決め用被係止孔5cの内周面に前記係止フック部11eが、又、前記位置決め用被係止孔5cの裏面側周縁に、前記抜止フック部11fが、一定の張力で弾接して、抜けにくい。
このため、前記アース端子11は、前記車体側パネル部材5aから外れにくく、この車体側パネル部材5aの内側面5bのうち、所望の位置である被固着面部5eに、このアース端子11の接触面部11bを位置決めした状態で仮保持させることができる。
従って、容易に、前記被固着面部5eに形成されたボルト受け開口部5dに、前記接触面部11bの略中央に設けられたボルト孔11dを合わせて、前記ボルト部材8の雄ネジ部8aを挿通及び螺合させることができる。
従って、前記アース端子11を押さえていなくても、作業者は、車体側パネル部材5aに、前記ボルト部材8を用いて、前記アース用配線6aの端部を容易に固定させることができる。
しかも、例えば、前記ボルト部材8を用いる場合、ボルト部材8の雄ネジ部8aが挿通されるアース端子11側のボルト孔11dの位置が、前記車体側パネル部材5aに設けられるボルト受け開口部5dの位置と、位置合わせされた状態で、仮保持されるので、前記ボルト部材8の挿通及び螺合作業が容易に行える。
更に、前記掛止部11cは、前記アース端子11の一部として、一体となるように構成されることにより、部品点数を増大させること無く、簡便な構成で製造コストの上昇を抑制しつつ、該アース端子の車体側パネル部材への取付作業性を良好なものとすることができる。
また、前記掛止部11cの係止フック部11eが、前記位置決め用被係止孔5cに、挿入されて、内側周縁に係止されると、位置決めが行われる。
そして、係止フック部11eと共に、クランク状に屈曲されて連設される前記抜止フック部11fが、前記位置決め用被係止孔5cの裏面側周縁部に係止される。
このように、前記抜止フック部11fにより、前記アース端子11の抜け止めが行われて、アース端子11が、車体側パネル部材5aから外れる虞が無くなり、更に、容易に前記ボルト部材8による位置決めを行うことが出来る。
更に、掛止部21cが、クランク状から、角度の浅い略板状に弾性変形して、復元力で、前記位置決め用被係止孔5cの内周面に前記係止フック部11eが、又、前記位置決め用被係止孔5cの裏面側周縁に、前記抜止フック部11fが、各々圧接される。
このため、アース端子11固定後は、電気的導通が可能な部分の面積が増大して、更に、良好なアース性能を発揮させることが出来る。
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので説明を省略する。
図6は、この発明の実施の形態の実施例2のワイヤハーネスのアース端子構造を示すものである。
なお、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
この実施の形態の実施例2のワイヤハーネスのアース端子構造では、アース端子21の平面視略円形の接触面部21bの前端部から、バネ板状の金属片を屈曲成形した掛止部21cが、一体に延設されている。
この掛止部21cは、前記車体側パネル部材5aに開口形成された位置決め用被係止孔5cに、挿入される際に弾性変形する頭部21dと、この頭部21dを支持して、前記位置決め用被係止孔5cの内側周縁に弾接される係止凹部からなる首部21eとを有している。
次に、この実施例2のワイヤハーネスのアース端子構造の作用効果について説明する。
この実施例2では、前記実施の形態及び実施例1の作用効果に加えて、更に、前記アース端子21を、前記車体側パネル部材5aの内側面に設けられた被固着面部5eに固着させる際、前記掛止部21cに設けられた頭部21dを、弾性変形させて、前記車体側パネル部材5aに開口形成された位置決め用被係止孔5cに、挿入する。
この頭部21dを支持する首部21eは、弾性変形の復帰力で、前記位置決め用被係止孔5cの内側周縁に弾接される。
このため、容易に、前記アース端子21は、所望の位置で仮保持されて、前記ボルト部材8等による固着手段を用いた固定の際の位置決めを容易に行うことができる。
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等であるので説明を省略する。
図7は、この発明の実施の形態の実施例3のワイヤハーネスのアース端子構造を示すものである。
なお、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
この実施の形態の実施例3のワイヤハーネスのアース端子構造では、アース端子31の平面視略円形の接触面部31bの前端部から、バネ板状の金属片を屈曲成形した掛止部31cが、一体に延設されている。
この実施例3の掛止部31cは、膨出形成された頭部31dを支持する首部31eが、前後一つで、一対の係止凹部31f,31fを有して構成されている。
次に、この実施例3のワイヤハーネスのアース端子構造の作用効果について説明する。
この実施例3では、前記実施の形態及び実施例1,2の作用効果に加えて、更に、前記アース端子31を、前記車体側パネル部材5aの内側面に設けられた被固着面部5eに固着させる際、前記掛止部31cに設けられた頭部31dを、弾性変形させて、前記車体側パネル部材5aに開口形成された位置決め用被係止孔5cに、挿入する。
この頭部31dを支持する首部31eは、弾性変形の復帰力で、前記位置決め用被係止孔5cの内側周縁の前後の両側縁に、その前記両側に位置する係止凹部31f,31fを各々係合させて、弾接される。
このため、容易に、前記アース端子31が、所望の位置で仮保持されて、前記ボルト部材8等による固着手段を用いた固定の際の位置決めを、容易に行うことができる。
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等であるので説明を省略する。
図8は、この発明の実施の形態の実施例4のワイヤハーネスのアース端子構造を示すものである。
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至3と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
この実施の形態の実施例4のワイヤハーネスのアース端子構造では、アース端子41の平面視略円形の接触面部41bの前端部から、バネ板状の金属片を屈曲成形した掛止部41cが、一体に延設されている。
この実施例4の掛止部41cは、膨出形成された頭部41dを支持する首部41eが、前記係止凹部41fの前記内側周縁に弾接される接触面41gを有し、この接触面41gが、凹状に湾曲する曲面で構成されている。
次に、この実施例4のワイヤハーネスのアース端子構造の作用効果について説明する。
この実施例4では、前記実施の形態及び実施例1乃至3の作用効果に加えて、更に、前記アース端子41を、前記車体側パネル部材5aの内側面5bに設けられた被固着面部5eに固着させる際、前記掛止部41cに設けられた頭部41dを、弾性変形させて、前記車体側パネル部材5aに開口形成された位置決め用被係止孔5cに、挿入する。
この頭部41dを支持する首部41eは、弾性変形の復帰力で、前記位置決め用被係止孔5cの内側周縁の前側の一側縁に、平坦な後面係止部41hを、挿抜方向へスライド移動させながら、反対側に位置する係止凹部41fの曲面の何れかの部分を当接させて、前記位置決め用被係止孔5cの両側に各々弾接、係合される。
このため、容易に、前記アース端子41が、所望の位置で仮保持されて、前記ボルト部材8等による固着手段を用いた固定の際の位置決めを、容易に行うことができる。
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至4と同一乃至均等であるので説明を省略する。
図9は、この発明の実施の形態の実施例5のワイヤハーネスのアース端子構造を示すものである。
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至4と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
この実施の形態の実施例5のワイヤハーネスのアース端子構造では、アース端子51の平面視略円形の接触面部51bの前端部から、バネ板状の金属片を屈曲成形した掛止部51cを構成する圧入部51dが、また、基端部からは、クランク状のフック部51eが各々一体に延設されている。
この実施例5の掛止部51cのうち、膨出形成された弾性変形可能な頭部を有する圧入部51dは、前側被係止孔52よりも大径に形成されて弾性変形により、前記前側被係止孔52にの内周縁に弾接されるように、構成されている。
また、前記フック部51eは、後側被係止孔53に挿入されて、前記接触面部11bの後端部から、略直交方向へ延設されて、前記車体側パネル部材5aに開口形成されたこの後側被係止孔53の内側周縁に係止される係止部51fと、この係止部51fに直交して連設されて、前記接触面部11bの面延設方向に沿って延設されると共に、前記後側被係止孔53の裏面側周縁部に係止される抜止フック部51gとを有して、主に構成されている。
次に、この実施例5のワイヤハーネスのアース端子構造の作用効果について説明する。
この実施例5では、前記実施の形態及び実施例1乃至4の作用効果に加えて、更に、前記アース端子51を、前記車体側パネル部材5aの内側面に設けられた被固着面部5eに固着させる際、まず、前記フック部51eの抜止フック部51g及び係止部51fを、前記後側被係止孔53に挿入する。
このように、アース端子51の後端部を、前記フック部51eによって、抜け止め係止させてから、この係止した部分を回動中心として、紙面反時計回りに、回動させる。
そして、前記圧入部51dを圧縮弾性変形させて、前記位置決め用の前側被係止孔52に挿入する。
この圧入部51dは、弾性変形の復帰力で、前記前側被係止孔52の内側周縁の前後側に、弾接されて係合される。
このため、容易に、前記アース端子51が、所望の位置で仮保持されて、前記ボルト部材8等による固着手段を用いた固定の際に行われる前記ボルト受け開口部5dと、前記ボルト孔11dとの間の位置決めを、容易に行うことができる。
更に、この実施例5では、前記アース端子51が、前記車体側パネル部材5aに固定された状態では、前記掛止部51cの前記圧入部51d及びフック部51eが、前記ボルト部材8と共に、3箇所で固定される。
従って、アース端子51の取付安定性を向上させることが出来ると共に、掛止部51cの前記圧入部51d及びフック部51eと、前記位置決め用の前,後側被係止孔52,53の各周縁との間に電気的な導通が行われるので、接点性を有し、接続信頼性を向上させることができる。
また、この実施例5の前記掛止部51cのフック部51eが、前記アース端子51のボルト孔11dよりも、基端側に設けられているので、前記車体側パネル部材5aに開口形成された後側被係止孔53に、係止されて、仮保持されると、前記ボルト受け開口部5dと、ボルト孔11dとの間の位置合わせが、係止された部分を支点として回転等させることにより、容易に行える。
しかも、この実施例5では、更に、前記アース端子51のボルト孔11dよりも、先端側に設けられている前記圧入部51dが、前記前側被係止孔52に圧入されると、係止位置決めされた二点間に、前記ボルト受け開口部5dと、ボルト孔11dとが位置する。
従って、良好な位置合わせ精度を容易に得られて、取付作業性が良好である。
更に、前記フック部51eが、前記アース端子51のボルト孔11dよりも、基端側に設けられているので、前記車体側パネル部材5aに開口形成された後側被係止孔53に、係止されると、前記アース端子51の配線接続部11aに嵌着接続されたアース用配線6aの先端部6bに近接させて、電気的導通が行われる金属接触部分を設けることができる。
そして、前記掛止部51cは、前記アース端子51の前記ボルト孔11dの前後両側に位置する前側先端部及び後側基端部に各々設けられているバネ状の圧入部51d及びフック部51eによって構成されている。
このため、各圧入部51d及びフック部51eが、お互いに近接若しくは離反する方向へ、前記位置決め用の前,後側被係止孔52,53の周縁に弾接する弾接力を向けることにより、更に、取付安定性が向上する。
この実施例5では、前記アース端子51の前後の前記圧入部51d及びフック部51e間に、前記ボルト部材8を挿通するボルト孔11dを設けることにより、仮保持させるだけで、前記アース端子51の前記車体側パネル部材5aへの位置決めが正確に行えると共に、前記ボルト部材8を挿通螺着させる際の、ボルト受け開口部5dと、ボルト孔11dとの間の位置合わせも行える。
従って、更に、アース用配線6aの車体への取付作業性が良好である。
しかも、掛止部51cの前後の前記圧入部51d及びフック部51eと、前記位置決め用の前,後側被係止孔52,53の周縁との間に電気的な導通を行わせる為、金属同士の接触となるように構成することにより、ボルト部材8で締結された被固着面部5eと、接触面部11bとの間のアースと共に、3箇所でアースを行える接点性を有し、接続信頼性を、更に向上させることができる。
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至4と同一乃至均等であるので説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態及び実施例1乃至5を図面を用いて、詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例1乃至5に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
即ち、前記実施の形態及び実施例1乃至5のワイヤハーネスのアース端子構造では、前記アース端子11の少なくとも先端部側に、掛止部11c等の仮保持手段を設けるように構成したものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、アース端子11の基端部や中間部、前記接触面部11bの両側縁若しくは何れか一方の一側縁等、先端部以外の箇所に仮保持手段を設けても良く、前記車体側パネル部材に開口形成された位置決め用被係止孔に、係止されて、仮保持されるバネ状ものであれば、形状、数量及び材質が特に限定されるものでは無く、どのような構成のものであってもよい。
この発明の実施の形態の実施例1のワイヤハーネスのアース端子構造で、ワイヤハーネスのアース端子を取り付ける様子を説明する要部の拡大分解斜視図である。
この発明の実施例1のワイヤハーネスのアース端子構造で、全体の構成を示すインストルメントパネル部分の一部透過斜視図である。
この発明の実施例1のワイヤハーネスのアース端子構造で、図1中B−B線に沿った位置での断面図である。
この発明の実施例1のワイヤハーネスのアース端子構造で、アース端子の背面図である。
この発明の実施例1のワイヤハーネスのアース端子構造で、アース端子の正面図である。
この発明の実施の形態の実施例2のワイヤハーネスのアース端子構造で、図3に相当する部分の要部の拡大断面図である。
この発明の実施の形態の実施例3のワイヤハーネスのアース端子構造で、図3に相当する部分の要部の拡大断面図である。
この発明の実施の形態の実施例4のワイヤハーネスのアース端子構造で、図3に相当する部分の要部の拡大断面図である。
この発明の実施の形態の実施例5のワイヤハーネスのアース端子構造で、図3に相当する部分の要部の断面図である。
従来例のワイヤハーネスのアース端子構造で、要部の構成を説明する分解斜視図である。
従来例のワイヤハーネスのアース端子構造で、図10中A−A線に沿った位置での断面図である。
符号の説明
4 ステアリングメンバ部材
4a メンバ本体
5a 車体側パネル部材
5b 内側面
5c 位置決め用被係止孔
5f 裏面側周縁部
6 ワイヤハーネス
6a アース用配線
8 ボルト部材
11,21,31,41,51 アース端子
11c,21c,31c,41c,51c 掛止部(仮保持手段)