JP5376935B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
<1> 記録媒体に顔料を含むインクを付与して画像を記録する画像記録工程と、画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上であるときに、圧着付与手段を前記画像部に圧接して画像部を固定化する固定化工程と、を有するインクジェット記録方法である。
<2> 前記<1>に記載のインクジェット記録方法は、前記記録終了から7秒以内に、前記画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上となることが好ましい。
<3> 前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録方法は、前記インクが更に樹脂粒子を含むことが好ましい。
<4> 更に、前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法は、画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上にするために、前記固定化工程前に前記画像部の温度を40℃以上に温調する工程を有することが好ましい。
<5> 前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法は、画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上にするために、前記顔料を含むインクの固形分濃度が8質量%以上であることが好ましい。
<7> 更に、前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法は、前記記録媒体に前記インク中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を付与する処理液付与工程を設けて好適に構成される。
<8> 前記<7>に記載のインクジェット記録方法においては、前記処理液付与工程により記録媒体に処理液を付与後、前記画像記録工程によりインクを付与して画像を記録し、記録された画像部を前記固定化工程により固定化することが好ましい。
<9> 前記<1>〜前記<8>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法において、前記固定化工程は、前記圧接とともに加熱を行なうことが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、(i)記録媒体に顔料を含むインクを付与して画像を記録する画像記録工程と、(ii)画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上であるときに、圧着付与手段を前記画像部に圧接して画像部を固定化する固定化工程と、を設けて構成されたものであり、好ましくは、更に、(iii)記録媒体に前記インク中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を付与する処理液付与工程を設けて構成される。また、本発明のインクジェット記録方法は、必要に応じて、塗工紙に付与されたインク中の有機溶剤を乾燥除去するインク乾燥工程などの他の工程を更に設けて構成されてもよい。
特に、記録媒体としてアート紙又はコート紙に代表される、コート層を有する塗工紙を用いる場合、インクとインク中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液とを用いて描画する場合に効果的である。
ここで、記録終了時点とは、記録媒体上にインク滴が最後に着滴したときをいう。
本発明のインクジェット記録方法では、従来から公知の記録媒体を任意に選択して使用できるが、本発明の効果がより奏される点で、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる塗工紙を用いることが好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。
−処理液付与工程−
本発明における処理液付与工程では、後述のインク中の成分を凝集させる(「固定化させる」ともいう)凝集剤を含む処理液を記録媒体に付与する。インクジェット記録方法を、前記処理液の存在下でインクを用いて画像記録する構成とすることにより、記録後のカールとカックル、及びインクハジキの発生に対する抑制効果も得られ、耐オフセット性、耐擦過性が良好な画像の記録に好適である。
本発明における処理液は、凝集剤の少なくとも1種を含有する。凝集剤は、後述のインクと接触したときに凝集物を生じさせるものであり、凝集させ得るものから特に制限なく選択することができる。
酸性物質としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。
酸性物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
インクを凝集させる凝集剤の処理液中における含有量としては、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜45質量%であり、更に好ましくは5〜40質量%の範囲である。
前記多価金属化合物とともに、酸性物質及びカチオン性化合物の少なくとも1種を併用するとき、酸性物質及びカチオン性化合物の処理液中における含有量(酸性物質及びカチオン性化合物の全含有量)は、前記多価金属化合物の全含有量に対して、5質量%〜95質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましい。
本発明においては、上記のようにして記録媒体(好ましくは塗工紙)に処理液を付与した後、乾燥処理及び浸透処理の少なくとも一方の処理を行なう(第1の処理工程)ことが好ましい。この第1の処理工程を設けることにより、(好ましくは、描画終了から7秒以内に)画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上に調節することができる。処理工程は、乾燥処理又は浸透処理のいずれか一方のみでもよく、乾燥処理及び浸透処理の両方を行なうものであってもよい。
処理液が付与された塗工紙を放置する時間は、処理液の付与量や塗工紙の処理液付与面の面積にもよるが、通常、処理液付与面の面積1m2に対し、処理液を付与した時点から0.01秒〜2秒である。
画像記録工程は、顔料を少なくとも含むインクをインクジェット法により記録媒体上に付与し、画像を記録する。インクは、顔料に加え、樹脂粒子、水溶性有機溶剤、及び水を含む組成を有するものが好ましい。インクの詳細については後述する。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
尚、前記インクジェット法により記録を行なう際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
本発明においては、(好ましくは、描画終了から7秒以内に)画像部のタック性をボールタック試験法にて20mm以上に調節するために、画像部を温調、乾燥する等の処理を行なう第2の処理工程を設けることが好ましい。
中でも、画像部の温調は、画像部の表面温度として、30℃以上180℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは35℃以上150℃以下の範囲であり、更に好ましくは40℃以上120℃以下の範囲である。
この乾燥処理は、カールやカックルの発生抑制と画像の耐オフセット性、耐擦過性の観点から、画像記録工程の後に設けることがより好ましい。
固定化工程は、前記画像記録工程で記録された画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上であるときに、圧着部材を画像部に圧接して画像部を固定化する。
次に、本発明におけるインクについて詳細に説明する。
本発明におけるインク(以下、単に「インク」ともいう。)は、顔料の少なくとも1種を含有し、好ましくは、顔料の少なくとも1種と、樹脂粒子の少なくとも1種と、水溶性有機溶剤の少なくとも1種とを含有する。また、インクは、必要に応じて、更に界面活性剤等のその他の成分を用いて構成することができる。
また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色調以外のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、白色(W)の色調のインクや、いわゆる印刷分野における特色のインク等を用いることができる。
上記の各色調のインクは、着色剤(例えば顔料)の色相を所望により変更することにより調製できる。
中でも、インク中の固形分濃度は、5〜35質量%が好ましく、より好ましくは8〜30質量%であり、さらに好ましくは10〜25質量%であり、特に好ましくは12〜23質量%である。
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。例えば、前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。また、前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。これら顔料の中では、水分散性顔料が好ましい。
(1)カプセル化顔料、即ち、ポリマー微粒子に顔料を含有させてなるポリマー分散物であり、より詳しくは、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し、顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散可能にしたもの
(2)自己分散顔料、即ち、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、より詳しくは、主にカーボンブラックなどを表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたもの
(3)樹脂分散顔料、即ち、重量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物により分散された顔料
(4)界面活性剤分散顔料、即ち、界面活性剤により分散された顔料
これらのうち、好ましくは(1)カプセル化顔料、(2)自己分散顔料であり、特に好ましくは(1)カプセル化顔料である。
カプセル化顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水と水溶性有機溶剤の混合溶媒中で自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常は数平均分子量が1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は、有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量は、この範囲内であると顔料における被覆膜として又はインクとした際の塗膜としての機能を発揮することができる。樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で用いられるのが好ましい。
これら樹脂のうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以下、「アニオン性基含有アクリルモノマー」という。)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1個以上のアニオン性基を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。
具体的には、特開平9−151342号及び特開平10−140065号の各公報に記載の転相乳化法と酸析法等が挙げられ、中でも、分散安定性の点で転相乳化法が好ましい。転相乳化法については、後述する。
自己分散顔料を着色剤として含有するインクは、通常、顔料を分散させるために含有させる分散剤を含む必要がないため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんどなく、吐出安定性に優れるインクを調製しやすい。
自己分散顔料の表面に結合される分散性付与基には、−COOH、−CO、−OH、−SO3H、−PO3H2及び第4級アンモニウム並びにそれらの塩が例示でき、これらは顔料に物理的処理又は化学的処理を施すことで、分散性付与基又は分散性付与基を有する活性種を顔料表面に結合(グラフト)させることにより結合される。前記物理的処理としては、例えば、真空プラズマ処理等が例示できる。また、前記化学的処理としては、例えば、水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法、等が例示できる。
本発明においては、例えば、次亜ハロゲン酸及び/又は次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、あるいはオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散顔料を好ましい例として挙げることができる。自己分散顔料として市販品を使用してもよく、具体的には、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(商品名;キャボット社製)等が挙げられる。
転相乳化法は、基本的には、自己分散能又は溶解能を有する樹脂と顔料との混合溶融物を水に分散させる自己分散(転相乳化)方法である。また、この混合溶融物には、上記の硬化剤又は高分子化合物を含んでなるものであってもよい。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、溶解して混合した状態、又はこれら両者の状態のいずれの状態を含むものをいう。「転相乳化法」のより具体的な製造方法は、特開平10−140065号に記載の方法が挙げられる。
前記水分散性顔料を用いる場合、カプセル化顔料あるいは樹脂分散顔料では分散剤の少なくとも1種を用いることができる。分散剤としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等が使用できる。
また、分散剤の顔料に対する添加量としては、質量基準で顔料の10%以上100%以下の範囲が好ましく、顔料の20%以上70%以下がより好ましく、更に好ましくは顔料の40%以上50%以下である。
本発明におけるインクは、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含有することができる。水溶性有機溶剤は、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また、浸透促進には、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
・nC4H9O(AO)10−H AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)
・HO(A'O)40−H(A'O=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3)
・HO(A''O)55−H(A''O=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6)
・HO(PO)3−H
・HO(PO)7−H
・1,2−ヘキサンジオール
本発明において、EO及びPOは、それぞれエチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基を表す。
水溶性有機溶剤のインク中における含有量としては、1質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
本発明におけるインクは、水を含有することができるが、水の量には特に制限はない。中でも、好ましくは10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは、30質量%以上80質量%以下である。更に好ましくは、50質量%以上70質量%以下である。
本発明におけるインクは、樹脂粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。樹脂粒子を含有することにより、主にインクの記録媒体への定着性、画像の耐オフセット性、耐擦過性をより向上させることができる。樹脂粒子は、既述の処理液、又はこれを付与して乾燥させる等して既述の凝集剤を与えた紙と接触した際に凝集又は分散不安定化してインクを増粘させることにより、インク、すなわち画像を固定化させる機能を有する。
(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有する(メタ)アクリルモノマー(アニオン性基含有(メタ)アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有(メタ)アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1以上を有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
中でも、自己分散性ポリマーとしては、親水性の構成単位と疎水性の構成単位とを含み、疎水性の構成単位として脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造の少なくとも1種を含むポリマーが好ましい。脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造を有することで、形成される画像の定着性、ブロッキング耐性が良好なインクを得ることができる。また、インクジェット記録に適用する場合には、良好な吐出性が得られる。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明における自己分散ポリマーにおいては、インクに含有されたときのインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる自己分散ポリマーであることが好ましい。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離によるポリマー粒子の沈降が生じない、すなわち、ポリマー粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
ここで水溶性成分とは、自己分散ポリマーに含有される化合物であって、自己分散ポリマーを分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散ポリマーを製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
本発明において自己分散ポリマー粒子は、疎水性の構成単位として、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造の少なくとも1種を含むことが好ましい。自己分散ポリマー粒子を構成するポリマーの主鎖骨格については、特に制限はないが、ポリマー粒子の分散安定性の観点から、ビニルポリマーであることが好ましい。
脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換または置換された脂環式炭化水素基を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。尚、前記脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。
また、「脂環式(メタ)アクリレート」とは、脂環式炭化水素基を有する、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、およびビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。
また、脂環式炭化水素基は、さらに縮合環を形成していてもよい。
本発明における脂環式炭化水素基としては、粘度や溶解性の観点から、脂環式炭化水素基部分の炭素数が5〜20であることが好ましい。
単環式(メタ)アクリレートとして、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。2環式(メタ)アクリレートとして、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。3環式(メタ)アクリレートとして、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を20質量%以上とすることで、定着性、ブロッキングを改良することができる。一方、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位が90質量%以下であることでポリマー粒子の安定性が向上する。
その他、共重合可能なモノマーとして芳香族含有(メタ)アクリレートを含む場合、自己分散ポリマー粒子の分散安定性の観点から、芳香族含有(メタ)アクリレートに由来する構成単位は40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが特に好ましい。
ここで、スチレン系モノマーとは、スチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン、クロロスチレンなど)、および、ポリスチレン構造単位を有するスチレンマクロマーのことを指す。
自己分散ポリマー粒子が、その他の構成単位を含有する場合、その含有量は10〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜75質量%であって、特に好ましいのは20〜70質量%である。その他の構成単位を形成するモノマーを、2種以上を組み合わせて使用する場合、その総含有量が前記範囲であることが好ましい。
本発明における自己分散ポリマーは、親水性の構成単位の少なくとも1種を含む。前記親水性の構成単位は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、および形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、少なくとも1種は解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離性基であることがより好ましい。前記アニオン性の解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インクを構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が特に好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中でも、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種がより好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、末端が水酸基のエチレン性不飽和モノマーよりも、末端がアルキルエーテルのエチレン性不飽和モノマーのほうが、粒子の安定性、水溶性成分の含有量の観点で好ましい。
また、アニオン性の解離性基を有する親水性単位を2種以上含有する態様や、アニオン性の解離性基を有する親水性の構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性の構成単位を2種以上併用する態様であることもまた好ましい。
また、2種以上の親水性の構成単位を有する場合、親水性の構成単位の総含有率が前記範囲内であることが好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有する構成単位の含有量としては、吐出安定性と経時安定性の観点から、好ましくは0〜25質量%であって、より好ましくは0〜20質量%であって、特に好ましいのは0〜15質量%である。
本発明においては、分散安定性の観点から、炭素数が9以上の直鎖または分岐鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、及び、芳香族基含有マクロモノマー等に由来する疎水性が大きい置換基を有する構成単位の含有量は、実質的に含まないことが好ましく、全く含まない態様であることがより好ましい
尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定することできる。
また、2環式または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として30質量%以上90質量%以下(好ましくは30〜80質量%)と、炭素数1〜4の鎖状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として10〜80質量%(好ましくは10〜65質量%)と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構造を酸価が25〜100の範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が10000〜20万であるビニルポリマーであることがより好ましい。
さらに、2環式または3環式以上の多環式(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として40質量%以上80質量%以下(好ましくは40〜75質量%)と、少なくともメチル(メタ)アクリレートまたはエチル(メタ)アクリレートに由来する構造を共重合比率として20〜70質量%(好ましくは20〜55質量%)含み、アクリル酸又はメタクリル酸に由来する構造を酸価が30〜80の範囲で含み、親水性構造単位の総含有率が25質量%以下であって、重量平均分子量が30000〜15万であるビニルポリマーであることが特に好ましい。
・B−2:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/50/14/6)
・B−3:メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(40/50/10)
・B−4:メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/フェノキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/50/14/6)
・B−5:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=2)/メタクリル酸共重合体(30/54/10/6)
・B−6:メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=2)/メタクリル酸共重合体(54/35/5/6)
・B−7:メチルメタクリレート/アダマンチルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=23)/メタクリル酸共重合体(30/50/15/5)
・B−8:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(20/50/22/8)
・B−9:エチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
・B−10:イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/アクリル酸共重合体(40/50/10)
・B−11:n−ブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/スチレン/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
・B−12:メチルメタクリレート/ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(40/52/8)
・B−13:ラウリルメタクリレート/ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(25/65/10)
本発明の自己分散ポリマーの製造方法においては、モノマー混合物と、必要に応じて、有機溶剤及びラジカル重合開始剤とを含んだ混合物を、不活性ガス雰囲気下で共重合反応させて前記水不溶性ポリマーを製造することができる。
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
また、樹脂粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、水不溶性粒子を2種以上混合して使用してもよい。
なお、樹脂粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
樹脂粒子のインク中における含有量は、インクの全質量に対して、0.5〜20質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましい。
本発明におけるインクは、必要に応じて、界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。表面張力調整剤として、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも用いることができる。更に、上記の分散剤(高分子分散剤)を界面活性剤としても用いてもよい。
界面活性剤のインク中における界面活性剤の具体的な量としては、前記表面張力となる範囲が好ましいこと以外は特に制限はなく、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
インクは、上記の成分に加え、必要に応じて、更にその他成分として各種の添加剤を含むことができる。
前記各種の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
本発明におけるインクの表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インクを25℃の条件下で測定されるものである。
<インクの調製>
(ポリマー分散剤P−1の合成)
下記スキームにしたがって、以下に示すようにしてポリマー分散剤P−1を合成した。
得られた樹脂の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製)10部と、前記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
−自己分散ポリマー(B−01)の調製−
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン540.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、メチルメタクリレート108g、イソボルニルメタクリレート388.8g、メタクリル酸43.2g、メチルエチルケトン108g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)2.16gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」1.08g、メチルエチルケトン15.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.54g、メチルエチルケトン15.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続け、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸(=20/72/8[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は61000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)であり、酸価は52.1(mgKOH/g)であった。
上記の樹脂被覆顔料粒子の分散物と自己分散性ポリマー粒子B−1の水分散物とを用い、これらと共に下記組成となるように親水性有機溶剤、界面活性剤、及びイオン交換水を混合した後、5μmメンブランフィルタでろ過してシアン顔料インクC−1を調製した。
<シアン顔料インクC−1の組成>
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3) ・・・ 4質量%
・前記ポリマー分散剤P−1 ・・・ 2質量%
・前記自己分散性ポリマー粒子B−1(固形分) ・・・ 6質量%
・下記構造式(1)で表される化合物 ・・・15質量%
(AO=エチレンオキシ、l+m+n≒6、SP値23.2)
・オルフィンE1010(日信化学(株)製;界面活性剤)・・・ 1質量%
・イオン交換水 ・・・全体で100質量%となるように添加
前記シアン顔料インクC−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から10質量%に代えたこと以外は、シアン顔料インクC−1の調製と同様にして、シアン顔料インクC−2を調製した。
前記シアン顔料インクC−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から15質量%に代えたこと以外は、シアン顔料インクC−1の調製と同様にして、シアン顔料インクC−3を調製した。
前記シアン顔料インクC−1の調製において、顔料として用いたピグメント・ブルー15:3をCromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)に代えたこと以外は、上記のシアン顔料インクC−1の調製と同様の方法により、マゼンタ顔料インクM−1を調製した。
pHメーター(東亜DKK(株)製のWM−50EG)を用いて、マゼンタ顔料インクM−1のpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
前記マゼンタ顔料インクM−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から10質量%に代えたこと以外は、マゼンタ顔料インクM−1の調製と同様にして、マゼンタ顔料インクM−2を調製した。
前記マゼンタ顔料インクM−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から15質量%に代えたこと以外は、マゼンタ顔料インクM−1の調製と同様にして、マゼンタ顔料インクM−3を調製した。
前記シアン顔料インクC−1の調製において、顔料として用いたピグメント・ブルー15:3をIrgalite Yellow GS(PY74、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)に代えたこと以外は、上記のシアン顔料インクC−1の調製と同様の方法により、イエロー顔料インクY−1を調製した。
pHメーター(東亜DKK(株)製のWM−50EG)を用いて、イエロー顔料インクY−1のpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
前記イエロー顔料インクY−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から10質量%に代えたこと以外は、イエロー顔料インクY−1の調製と同様にして、イエロー顔料インクY−2を調製した。
前記イエロー顔料インクY−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から15質量%に代えたこと以外は、イエロー顔料インクY−1の調製と同様にして、イエロー顔料インクY−3を調製した。
前記シアン顔料インクC−1の調製において、調製した樹脂被覆顔料粒子の分散物を、顔料分散体(CAB−O−JETTM 200(カーボンブラック)、CABOT社製)に代え、下記組成としたこと以外は、上記のシアン顔料インクC−1の調製と同様の方法により、ブラック顔料インクK−1を調製した。
<ブラック顔料インクK−1の組成>
・カーボンブラック ・・・ 4質量%
・前記ポリマー分散剤P−1 ・・・ 2質量%
・前記自己分散性ポリマー粒子B−1(固形分) ・・・ 6質量%
・前記構造式(1)で表される化合物 ・・・15質量%
(AO=エチレンオキシ(EO)、l+m+n≒6、SP値23.2)
・オルフィンE1010(日信化学(株)製;界面活性剤)・・・ 1質量%
・イオン交換水 ・・・全体で100質量%となるように添加
前記ブラック顔料インクK−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から10質量%に代えたこと以外は、ブラック顔料インクK−1の調製と同様にして、ブラック顔料インクK−2を調製した。
前記ブラック顔料インクK−1の調製において、組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から15質量%に代えたこと以外は、ブラック顔料インクK−1の調製と同様にして、ブラック顔料インクK−3を調製した。
前記シアン顔料インクC−1、マゼンタ顔料インクM−1、イエロー顔料インクY−1、及びブラック顔料インクK−1の調製において、それぞれの組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から1.5質量%とし、前記構造式(1)で表される化合物の量を15質量%から10質量%に代えたこと以外は全て同様にして、シアン顔料インクC−4、マゼンタ顔料インクM−4、イエロー顔料インクY−4、及びブラック顔料インクK−4を調製した。
前記シアン顔料インクC−1、マゼンタ顔料インクM−1、イエロー顔料インクY−1、及びブラック顔料インクK−1の調製において、それぞれの組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から1質量%に代えたこと以外は全て同様にして、シアン顔料インクC−5、マゼンタ顔料インクM−5、イエロー顔料インクY−5、及びブラック顔料インクK−5を調製した。
前記シアン顔料インクC−1、マゼンタ顔料インクM−1、イエロー顔料インクY−1、及びブラック顔料インクK−1の調製において、それぞれの組成中の自己分散性ポリマー粒子B−1の量を6質量%から3質量%に代えたこと以外は全て同様にして、シアン顔料インクC−6、マゼンタ顔料インクM−6、イエロー顔料インクY−6、及びブラック顔料インクK−6を調製した。
下記組成中の成分を混合して処理液を調製した。この処理液のpHをpHメーター(東亜DKK(株)製のWM−50EG)にて測定したところ、1.21であった。
<処理液の組成>
・マロン酸 ・・・7.5g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル・・・10g
(以下、「DEGmEE」と略記する。)
・イオン交換水 ・・・7.5g
記録媒体(塗工紙)として、下記表1〜表2に示すように、ユーライト(坪量104.7g/m2)、特菱アート(坪量104.7g/m2)、OKトップコート+(坪量104.7g/m2)を用意し、下記表1〜表2に示すように、インク中の固形分量、インク乾燥処理時の搬送速度、画像部の表面温度等を変更して、以下に示すようにして画像を記録した。
インクとして、上記で得られたシアン顔料インク、マゼンタ顔料インク、イエロー顔料インク、ブラック顔料インクのうち、それぞれ固形分量が同じ4色(固形分量=12質量%,16質量%,21質量%、7.5質量%、7質量%、9質量%;例えば、シアン顔料インクC−1、マゼンタ顔料インクM−1、イエロー顔料インクY−1、及びブラック顔料インクK−1)をインクセットとして用い、処理液と共に、4色シングルパス記録によりライン画像とベタ画像の記録を実施した。このとき、ライン画像は、1200dpiの1ドット幅のライン、2ドット幅のライン、4ドット幅のラインをシングルパスで主走査方向に吐出することにより記録し、ベタ画像は、記録媒体をA5サイズにカットしたサンプルの全面にインクを吐出することによりベタ記録した。なお、記録する際の諸条件は下記の通りである。
(1)処理液付与工程
まず、記録媒体の全面に、アニロックスローラ(線数100〜300/インチ)で塗布量が制御されたロールコーターにて付与量が1.7[g/m2]になるように処理液を塗布した。
(2)第1の処理工程
次いで、下記条件にて処理液が塗布された記録媒体に乾燥処理及び浸透処理を施した。
・風速:10m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱
その後、処理液が塗布された記録媒体の塗布面に下記条件にてインクをインクジェット法で吐出し、ライン画像及びベタ画像を記録した。
・ヘッド:1,200dpi/20inch幅のピエゾフルラインヘッドを4色分配置
・吐出液滴量:0pL,2.0pL,3.5pL,4.0pLの4値記録
・駆動周波数:30kHz
(4)第2の処理工程(インク乾燥処理)
次いで、インクが吐出された記録媒体を下記条件で乾燥した。
・乾燥方法:送風乾燥
・搬送速度:500mm/s,1200mm/s,2500mm/s
・風速:15m/s
・温度:画像部の表面温度が下記表1〜表2に示す値になるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱
このとき、後述のローラ対を通過する前の画像部のタック性を下記の測定方法により測定した。
[タック性の測定]
図1に示すように、傾斜30度の斜面を画像部の一端に設置し、斜面距離10mm(高さは5mm)の地点から斜面に沿って直径2mmのSUS製の球(質量:0.327g、球表面:鏡面)を23℃、50%RH環境下で転がし、SUS製の球が画像部上を転がった距離を計測した。測定値を下記表1〜表2に示す。
得られたタック性の結果から、記録(描画)終了から次の固定化工程を開始するまでの時間を、下記表1〜表2に示す通りとした。
次に、下記条件でローラ対に記録媒体を通過させることにより、画像部の加熱圧着処理を実施した。
<加熱圧着条件>
・シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
・ローラ温度:70℃
・圧力:0.2MPa
上記のように記録したライン画像、ベタ画像に対して下記の評価を行なった。評価結果は、下記表1〜表2に示す。
ベタ画像が記録された記録媒体の2cm四方のベタ部を印字直後、記録していない記録媒体(記録に用いたものと同じ記録媒体(以下、本評価において未使用サンプルという。)を重ねて荷重150kg/m2をかけて10往復擦り、未使用サンプルの白地部分へのインクの転写度合いを目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:インクの転写は全くなかった。
B:インクの転写はほとんど目立たなかった。
C:インクの転写が多少見られた。
D:インクの転写が顕著であった。
マゼンタ顔料インクによるベタ画像上にシアン顔料インクをベタ記録したときの均一画像部について、加熱圧着後のオフセットの程度を目視にて観察し、濃度ムラの程度を指標にして下記の評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:オフセットはみられなかった。
B:一部に僅かにオフセットが見られたが、実用上支障のないレベルであった。
C:オフセットが発生した。
D:オフセットの発生が顕著であり、実用性の極めて低いレベルであった。
記録媒体上に記録された、1ドット幅のライン、2ドット幅のライン、4ドット幅のラインについて、下記の評価基準にしたがって描画性を評価した。
〈評価基準〉
A:全てのラインが均質なラインであった。
B:1ドット幅のラインは均質であったが、2ドット幅及び4ドット幅のラインの一部にライン幅の不均一やラインの切れが認められた。
C:1ドット幅のラインは均質であったが、2ドット幅及び4ドット幅のラインの全般にライン幅の不均一やラインの切れが認められた。
D:ライン全体にライン幅の不均一やラインの切れが顕著に認められた。
未記録の記録媒体及び、非画像部(画像記録後のインクが描画されていない部分)表面の60°鏡面光沢を光沢度計(IG−331、株式会社堀場製作所製)にて測定し、未記録の記録媒体と非画像部との間の表面光沢の変動幅を下記の評価基準にしたがって評価した。なお、表面光沢の変動幅が小さい程、良好な画像であることを示す。
〈評価基準〉
A:未記録の記録媒体の光沢度に対し±5%以内の変動幅であった。
B:未記録の記録媒体の光沢度に対し±10%以内の変動幅であった。
C:未記録の記録媒体の光沢度に対し±15%以上の変動幅であった。
D:未記録の記録媒体の光沢度に対し±20%以上の変動幅であった。
これに対し、比較例では、濃度ムラ、ライン画像の描画性、光沢に劣っており、画像の耐オフセット性、耐擦過性も悪かった。
Claims (9)
- 記録媒体に顔料を含むインクを付与して画像を記録する画像記録工程と、
画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上であるときに、圧着付与手段を前記画像部に圧接して画像部を固定化する固定化工程と、
を有するインクジェット記録方法。 - 前記画像部のタック性がボールタック試験法にて20mm以上となるのが、前記記録終了から7秒以内であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インクが、更に樹脂粒子を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録方法。
- 更に、前記固定化工程前に前記画像部の温度を40℃以上に温調する工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記顔料を含むインクの固形分濃度が8質量%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、コート層を有する紙種より選ばれることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 更に、前記記録媒体に前記インク中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を付与する処理液付与工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記処理液付与工程により記録媒体に処理液を付与後、前記画像記録工程によりインクを付与して画像を記録し、記録された画像部を前記固定化工程により固定化することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録方法。
- 前記固定化工程は、前記圧接とともに加熱を行なうことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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