JP5374695B2 - 車両用操舵力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ステアリング操作部材に入力された操舵力を転舵装置に伝達する車両用操舵力伝達装置に関する。
近年では、運転者によって操作されるステアリング操作部材と車輪を転舵する転舵装置との一方に連結されるシャフト(以下、「第1シャフト」という場合がある)の回転位相と、他方に連結されるシャフト(以下、「第2シャフト」という場合がある)の回転位相との差である回転位相差を変化させつつ、第1シャフトと第2シャフトとの一方の回転を他方に伝達する回転伝達機構を備えた車両用操舵力伝達装置の開発が進められている。下記特許文献には、その回転伝達機構を備えた操舵力伝達装置の一例が記載されている。
特開平3−227772号公報
上記回転伝達機構を備えた操舵力伝達装置は、その回転伝達機構を備えることに起因して、操舵力伝達装置の大型化による搭載性の悪化や、重量の増大が問題となる。上記回転伝達機構を備えた車両用操舵力伝達装置は、未だ開発途上であり、そのような問題を始めとする種々の問題を抱え、改良の余地を多分に残すものとなっている。そのため、種々の改良を施すことによって、その操舵力伝達装置の実用性が向上すると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用操舵力伝達装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用操舵力伝達装置は、(a)第1シャフトと、(b)その第1シャフトの回転軸線と自身の回転軸線とが平行でありかつそれら回転軸線が所定距離ズレた状態で配設された第2シャフトと、(c-1) 第1シャフトの他端部において、その第1シャフトの回転軸線からその第1シャフトの径方向に上記所定距離より離れた位置に設けられた係合部と、(c-2) 第2シャフトの他端部にその第2シャフトの径方向に延びるようにして設けられ、第1シャフトの係合部を係合させるとともに、その係合部の第2シャフトの径方向における移動を許容する案内通路とを含んで構成された回転伝達機構とを備え、その第2シャフトが、(b-1)第2シャフト本体部と、(b-2)その第2シャフト本体部の第1シャフト側の端部から係合部の移動が許容される方向に延び出すように設けられ、それぞれがその方向に平行に延びるとともに互いに向かい合う1対の側壁面を含んで構成され、その1対の側壁面が回転伝達機構の案内通路を区画して係合部を挟むように構成された係合部挟持部とを有し、その係合部挟持部が、(A)第2シャフト本体部の第1シャフト側の端部の周方向における一部の領域から係合部の移動が許容される方向における一方側にのみ延び出し、第2シャフトの回転軸線に直角な板状の第2シャフト延出部と、(B)それぞれが、その第2シャフト延出部から第1シャフト側に向かって立設されるとともに係合部の移動が許容される方向に平行に延びて係合部を挟む1対の立設部とを含んで構成され、それら1対の立設部の一方の1つの面と、その面に向かい合う1対の立設部の他方の1つの面とが、1対の側壁面として機能するように構成されたことを特徴とする。
本発明の車両用操舵力伝達装置は、第2シャフトにおける第1シャフトの係合部を係合させる部分である係合部挟持部が、第2シャフト本体部の周方向における全域にわたって延び出すのではなく、その周方向における一部の領域から特定の方向にのみ延び出すように設けられている。つまり、第2シャフト本体部から径方向に突出する部分が、比較的小さくされており、本発明の操舵力伝達装置によれば、第2シャフトの軽量化、ひいては、操舵力伝達装置の軽量化が図られるとともに、第2シャフトの慣性力を小さくすることが可能である。そのような利点を有することで、本発明の車両用ステアリングシステムは実用性の高いものとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項および(2)項を合わせるとともに係合部挟持部の延び出す方向に限定を加えたものが、請求項1に相当し、(3)項ないし(6)項の各々が、請求項2ないし請求項5の各々に相当する。
(1)運転者によって操作されるステアリング操作部材と車輪を転舵する転舵装置との一方に一端部が連結され、回転可能に配設された第1シャフトと、
前記ステアリング操作部材と前記転舵装置との他方に一端部が連結され、前記第1シャフトの回転軸線と自身の回転軸線とが平行でありかつそれら回転軸線が所定距離だけズレた状態で回転可能に配設された第2シャフトと、
(A) 前記第1シャフトの他端部において、その第1シャフトの回転軸線からその第1シャフトの径方向に前記所定距離より離れた位置に設けられた係合部と、(B) 前記第2シャフトの他端部において、その第2シャフトの径方向に延びるようにして設けられ、前記第1シャフトの係合部を係合させるとともに、その係合部の前記第2シャフトの径方向における移動を許容する案内通路とを含んで構成され、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの一方の回転によって、その第1シャフトおよび第2シャフトのそれぞれの回転位相の差である回転位相差を変化させつつ、他方が回転するように構成された回転伝達機構と
を備えた車両用操舵力伝達装置であって、
前記第2シャフトが、
それの本体部である第2シャフト本体部と、
その第2シャフト本体部の前記第1シャフト側の端部から前記係合部の移動が許容される方向に延び出すように設けられ、それぞれがその方向に平行に延びるとともに互いに向かい合う1対の側壁面を含んで構成され、その1対の側壁面が前記回転伝達機構の案内通路を区画して前記係合部を挟むように構成された係合部挟持部と
を有することを特徴とする車両用操舵力伝達装置。
従来の操舵力伝達装置において、第2シャフトは、それの第1シャフト側の端部が、周方向における全域から径方向に延び出した円板状に形成され、それに案内通路としての径方向に延びる溝が設けられることが一般的であった。ところが、第2シャフトは、第1シャフトの係合部を、第2シャフトの回転に伴ってそのシャフトの径方向への移動を案内する機能を有していればよい。つまり、案内通路を構成するために必要な範囲のみが、第2シャフト本体部からそれの径方向に延び出していればよいのである。
本項に記載された操舵力伝達装置の「第2シャフト」は、係合部挟持部において、第1シャフトの係合部を、第2シャフトの回転に伴ってそのシャフトの径方向への移動を案内する。その機能ゆえ、その第2シャフトの係合部挟持部は、その係合部の移動を許容するために設けられたものであり、第2シャフト本体部の第1シャフト側の端部から、第2シャフト本体部の周方向における全域から径方向に延び出すのではなく、第2シャフト本体部の周方向における一部の領域から、係合部の移動が許容される方向にのみ延び出すものとされている。したがって、本項に記載された操舵力伝達装置によれば、第2シャフトの第1シャフト側の端部から径方向に延び出す部分を、従来の装置に比較して小さくすることが可能である。したがって、第2シャフトの重量を軽減すること、ひいては、操舵力伝達装置の重量を軽減することが可能であり、また、第2シャフトの慣性モーメントが小さくなることで、運転者の操作フィーリングを向上させることが可能である。
また、上記の第2シャフトの係合部挟持部の形状、構成等は、特に限定されないが、上述したような重量を軽減する,慣性モーメントを小さくするという観点からすれば、係合部の移動範囲,操舵力を伝達する際に1対の側壁面に加わる力の大きさ等を考慮して、シャフトの径方向や周方向における大きさを必要最小限の大きさとすることが望ましい。
本項に記載の「第1シャフト」は、その構造,構成が特に限定されるものではない。例えば、後に詳しく説明するように、第1シャフトの本体部から径方向に延び出す部分と、その部分から第1シャフトの回転軸線方向における第2シャフト側に突出する部分とを設けて、その突出する部分が係合部として機能する構造のものとすることができる。また、例えば、第1シャフトの本体部から径方向に突出する部分を設け、その突出する部分の先端部が係合部として機能する構造のものであってもよい。
本項に記載された「回転伝達機構」は、第1シャフトの回転角と第2シャフトの回転角との差を変化させるものである。ここで、2本のシャフトの回転角差(回転位相差)の無い状態の2本のシャフトのうちのステアリング操作部材に連結されるシャフト(以下、「操作部材側シャフト」という場合がある)の回転角を、基準回転角と定義し、その回転伝達機構について、具体的に説明する。例えば、操作部材側シャフトが上記基準回転角から回転すると、操作部材側シャフトが180°回転するまでは、2本のシャフトのうちの転舵装置に連結されるシャフト(以下、「転舵装置側シャフト」という場合がある)は、操作部材側シャフトの回転角より小さい回転角となる。あるいは、転舵装置側シャフトは、操作部材側シャフトの回転角より大きい回転角となる。そして、操作部材側シャフトが180°回転すると、転舵装置側シャフトも180°回転し、2本のシャフトの回転角の差がなくなる。
つまり、操作部材側シャフトが基準回転角から180°まで回転する際に、回転角差が0から増加し、途中から減少して0に到るのである。この場合、操作部材側シャフトの回転速度に対する転舵装置側シャフトの回転速度の比をステアリングギヤ比と呼べば、そのギヤ比は、操作部材側シャフトが基準回転角から180°まで回転するにつれて大きく、あるいは、小さくなる。そして、例えば、ギヤ比が、操作部材側シャフトが回転するにつれて大きくなるように構成するとともに、基準回転角が、ステアリング操作部材が車輪の転舵中立位置に対応する位置、つまり、中立操作位置にあるときの状態での操作部材側シャフトの回転角とすれば、ステアリング操作部材の操作角が小さい場合においては、穏やかで安定感のあるハンドリングを実現し、ステアリング操作部材の操作角が大きくなるにつれて、レスポンスの良いハンドリングを実現することが可能である。
したがって、本項に記載された「操舵力伝達装置」を搭載した車両においては、電磁モータ等のアクチュエータに依拠してステアリング操作部材の操作量に対する車輪の転舵量を変更するステアリングシステム、いわゆる操舵転舵比可変ステアリングシステム(VGRS(Variable Gear Ratio Steering)システム)等を搭載することなく、ステアリング操作部材の操作フィーリングを上述したように変化させることができるのである。ちなみに、転舵装置側シャフトの一端部と転舵装置との連結、もしくは、操作部材側シャフトの一端部と操作部材との連結は、それらが直接的に連結されるものであってもよく、それらの間にイタミディエイトシャフト,ユニバーサルジョイント等を介して連結されるものであってもよい。
(2)前記係合部挟持部が、
前記第2シャフト本体部の第1シャフト側の端部から前記係合部の移動が許容される方向に延び出し、前記第2シャフトの回転軸線に直角な板状の第2シャフト延出部と、
それぞれが、その第2シャフト延出部から前記第1シャフト側に向かって立設されるとともに前記係合部の移動が許容される方向に平行に延びて前記係合部を挟む1対の立設部と
を含んで構成され、
前記1対の立設部の一方の1つの面と、その面に向かい合う前記1対の立設部の他方の1つの面とが、前記1対の側壁面として機能するように構成された(1)項に記載の車両用操舵力伝達装置。
本項に記載の態様は、係合部挟持部の構成を具体化した態様である。本項に記載の係合部挟持部は、それの形状が特に限定されず、例えば、1枚の板状の第2シャフト延出部に1対の立設部が設けられたものであってもよく、シャフト本体部から1対のアームが延び出したような形状の第2シャフト延出部に、そのアームの各々に1対の立設部の各々が設けられたものであってもよい。
(3)前記係合部挟持部が、
それぞれが、前記係合部の移動が許容される方向に平行に延びてる1対のアーム部を含んで構成され、
その1対のアーム部の一方の1つの面と、その面に向かい合う前記1対のアーム部の他方の1つの面とが、前記1対の側壁面として機能するように構成された(1)項または(2)項に記載の車両用操舵力伝達装置。
本項に記載の態様は、係合部挟持部の形状を具体化した態様であり、例えば、第2シャフトの第1シャフト側の端部が、シャフトの回転軸線方向から見て概してU字形状のものとした態様とすることができる。本項の態様は、例えば、係合部挟持部が、上述したような1対のアームを有する延出部とそれらアームの各々に設けられた1対の立設部とによって構成された態様であってもよく、概してU字形状に形成したプレートをシャフト本体部に固定したような態様であってもよい。
(4)前記係合部挟持部が、
前記第1シャフトの係合部が前記第2シャフトの回転軸線から最も離間する位置においてその係合部の前記第2シャフトの回転軸線から最も離間する箇所を通りその第2シャフトの回転軸線を中心とする円の外側に出ないように構成された(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両用操舵力伝達装置。
本項に記載の態様によれば、第2シャフトの径方向の大きさが小さくされる、ひいては、操舵力伝達装置の径方向におけるコンパクト化を図ることが可能となる。したがって、本項の態様によれば、車両への搭載性を向上させることが可能となる。
(5)前記第2シャフトが、前記第2シャフト本体部の前記係合部挟持部が延び出した位置よりも前記一端部寄りの位置において、回転可能に保持されるように構成された(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両用操舵力伝達装置。
従来の操舵力伝達装置においては、第2シャフト本体部から径方向に延び出す部分を円板状のものとし、その円板状の部分の外周にベアリング等を嵌めて、第2シャフトの端部を保持していた。本項の態様は、第2シャフトが、それの本体部の周方向における一部の領域から特定の方向に延び出すように構成された装置に好適な態様である。したがって、本項に記載の装置は、その第2シャフト本体部から径方向に延び出す円板状の部分の外周においてベアリング等を介して保持される構成の装置に比較して、操舵力伝達装置の径方向へのコンパクト化が図られることとなる。
なお、本項に記載の態様は、第2シャフトが、それのシャフト本体部において、例えば、ベアリング等を介して車体の一部に保持される態様である。例えば、操舵力伝達装置が、ステアリングコラムの一部を構成するような場合、車体の一部に取り付けられたステアリングコラムのハウジングに、第2シャフトが回転可能に保持されることから、そのステアリングコラムの一部を構成する操舵力伝達装置に好適である。
(6)前記第1シャフトが、
それの本体部である第1シャフト本体部と、
その第1シャフト本体部と一体的に設けられ、その第1シャフト本体部から前記第1シャフトの径方向に延び出す第1シャフト延出部と、
前記第1シャフトの回転軸線からその第1シャフトの径方向に前記所定距離より離れた位置において、前記立設部から、前記第1シャフトの回転軸線および前記第2シャフトの回転軸線の延びる方向である回転軸線方向における前記第2シャフト側に突出し、前記回転伝達機構の係合部として機能する突出部と
を有する(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の車両用操舵力伝達装置。
本項に記載の態様は、第1シャフトの構造を限定した態様である。本項に記載の「第1シャフト延出部」は、第1シャフト本体部の周方向における全域から径方向に延び出すものではなく、周方向における一部の領域から特定の方向に延び出すものである。つまり、本項の態様によれば、第1シャフトの重量を軽減すること、第1シャフトの慣性モーメントを小さくすることが可能である。なお、操舵力伝達装置の重量を軽減するという観点からすれば、第1シャフト延出部は、突出部と第1シャフト本体部とを連結するために、必要最小限の大きさとされることが望ましい。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。また、〔発明の態様〕の各項の説明に記載されている技術的事項を利用して、下記の実施例の変形例を構成することも可能である。
<車両用ステアリングシステムの全体構成>
図1に、実施例の車両用操舵力伝達装置を備えたステアリングシステムの全体構成を示す。本ステアリングシステムは、運転者によって操作されるステアリング操作部材としてのステアリングホイール10と、一端部においてステアリングホイール10を保持する操舵力伝達装置12と、車輪を転舵する転舵装置14と、操舵力伝達装置12と転舵装置14との間に位置するインタミディエイトシャフト(以下、「I/Mシャフト」と略す場合がある)16とを含んで構成されている。さらに、I/Mシャフト16の一端部と操舵力伝達装置12の備える出力シャフト18とは、ユニバーサルジョイント20によって連結され、I/Mシャフト16の他端部と転舵装置14の備える入力シャフト22の一端部とは、もう1つのユニバーサルジョイント24によって連結されている。
本システムは、図1において右側、つまり、ステアリングホイール10側が車両後方を、左側、つまり、転舵装置14側が車両前方を向くように配設されており、I/Mシャフト16は、車室とエンジン室とを区画するダッシュパネル26に設けられた穴を通るようにして配設されており、I/Mシャフト16のその穴を通る部分はブーツ28に被われている。
転舵装置14は、入力シャフト22と、外殻部材としてのハウジング30と、車輪を転舵するための転舵ロッド32とを備えており、その転舵ロッド32は、それの軸線方向に移動可能にそのハウジング30に保持されるとともに、車幅方向に延びるように配設されている。転舵ロッド32は、それの両端部が、左右の前輪の各々を保持するステアリングナックル(図示省略)に連結されている。また、入力シャフト22は、ハウジング30に回転可能に保持され、そのハウジング30内において、転舵ロッド32と係合している。入力シャフト22の車両前方側の端部にはピニオン(図示省略)が形成されており、転舵ロッド32の軸線方向における中間部に形成されたラック(図示省略)がそのピニオンと噛合することで、転舵ロッド32と入力シャフト22とが係合しているのである。
操舵力伝達装置12は、いわゆるステアリングコラムとして構成されたものであり、インパネリインフォースメント34に設けられたステアリングサポート36において、車体の一部に固定支持される。操舵力伝達装置12は、支持された状態では、図に示すように、車両前方側が下方に位置するように傾斜した姿勢で配置されることになる。操舵力伝達装置12には、それの前方部に前方ブラケット38が設けられるとともに、その前方ブラケット38より車両後方側にブレークアウェイブラケット(以下、「B.A.BKT」と略す場合がある)40が設けられており、それら前方ブラケット38とB.A.BKT40との各々が、ステアリングサポート36に取り付けられることで、操舵力伝達装置12は、2箇所において支持される。支持された操舵力伝達装置12は、後方に位置する部分がインパネ42から車両後方側に突出する状態とされ、その突出する後端部に、ステアリングホイール10が取り付けられている。操舵力伝達装置12のインパネ42から突出する部分は、コラムカバー44によって覆われ、また、下部は、インパネロアカバー46によってカバーされる。
図2に、操舵力伝達装置12の側面断面図を示す。操舵力伝達装置12は、大きくは、ステアリングホイール10を保持するとともに軸線方向に伸縮可能とされたコラムセクション50と、電動式パワーステアリング機能を実現する主体となるEPSセクション52とに区分することができ、それら2つのセクション50,52が一体化されたものとなっている。以下、それら各セクションについて、順に説明する。
コラムセクション50は、ステアリングホイール10を車両後方側の端部において保持するメインシャフト54と、そのメインシャフト54を挿通させた状態で回転可能に保持するコラムチューブ56とを含んで構成されている。メインシャフト54は、車両後方側つまり上方側に位置させられるアッパシャフト58と、車両前方側つまり下方側に位置させられるロアシャフト60とを含んで構成されている。アッパシャフト58はパイプ状に、ロアシャフト60はロッド状に形成され、アッパシャフト58の前方部にロアシャフト60の後方部が挿入されている。アッパシャフト58とロアシャフト60とはスプライン嵌合されており、アッパシャフト58とロアシャフト60とは、回転軸線方向に相対移動可能かつ相対回転不能な状態で接続されている。つまり、メインシャフト54は、回転軸線方向に伸縮可能な構造とされている。なお、ロアシャフト60は、シャフト本体部62と、そのシャフト本体部62の前方側の端部からそのシャフト本体部62の径方向に延び出して後に詳しく説明するEPSセクション52と連結するための連結部64とから構成されている。そして、本操舵力伝達装置12では、ロアシャフト60のシャフト本体部62とアッパシャフト58とによって、メインシャフト54のシャフト本体部が構成されている。
コラムチューブ56は、車両後方側(上方)に位置させられるアッパチューブ66と、車両前方側(下方)に位置させられるロアチューブ68とを含んで構成されている。アッパアチューブ66およびロアチューブ68は、ともに筒状のものであり、アッパチューブ66の前方部にロアチューブ68の後方部が嵌入されている。ロアチューブ68は、段付形状とされており、それの後方の部分においてアッパチューブ66の内径より小さな外径の小径部70と、前方の部分においてアッパチューブ66の内径より大きな外形の大径部72と、小径部70と大径部72とをつなぐ段差部74とを有している。ロアチューブ68の小径部70とアッパチューブ66との間には、図示を省略するライナが設けられており、このライナを介することによって、ロアチューブ68がアッパチューブ66にがたつきなく嵌入されるとともに、アッパチューブ66とロアチューブ68との回転軸線方向の相対移動を容易ならしめている。つまり、コラムチューブ56は、回転軸線方向に伸縮可能な構造とされている。
また、アッパチューブ66の後端部とロアチューブ68の前端部とには、それぞれ、ラジアルベアリング76,78が設けられ、コラムチューブ56は、それらベアリング76,78を介して、メインシャフト54を、それのシャフト本体部において回転可能に保持している。このような構造とされていることで、コラムセクション50は、メインシャフト54の回転を担保しつつ、伸縮可能とされているのである。
図3に、EPSセクション52の側面断面図を示す。EPSセクション52は、ステアリングホイール10に加えられた操作力を転舵装置14に対して出力するための出力シャフト18と、動力源としての電磁モータ80を有してそのモータ80によって出力シャフト18の回転出力を助勢する助勢装置82と、出力シャフト18を回転可能に保持するとともに助勢装置82を収容するハウジングとしてのEPSハウジング84とを含んで構成されている。出力シャフト18は、出力側シャフト86,入力側シャフト88,トーションバー90の3つが一体化されたものとして構成されている。出力側シャフト86は、EPSハウジング84の車両前方側から延出しており、その延出する部分において、ユニバーサルジョイント20を介して、I/Mシャフト16に接続され、転舵装置14へ回転を出力する。
出力側シャフト86は、中空構造とされており、その出力側シャフト86の車両後方側の部分に入力側シャフト88が挿入している。出力側シャフト86の内周面と入力側シャフト88の外周面との間には、軸受92が介在させられており、出力側シャフト86と入力側シャフト88とは同軸的に相対回転可能とされている。入力側シャフト88は、車両前方側の端面に開口して回転軸線方向に延びる有底穴を有しており、入力側シャフト88の有するその有底穴と出力側シャフト86の有する穴とによって形成された空間に、トーションバー90が配設されている。トーションバー90の一端部は、その有低穴の底部にピン94によって固定されており、また、トーションバー90のもう一方の端部は、出力側シャフト86を回転軸線方向に貫通する貫通穴の前方側の端部にピン96によって固定されている。このような構成により、出力シャフト18は、トーションバー90の捩りを許容し、その分だけ自身も捩じられるものとされているのである。また、出力側シャフト86は、その外周において2つのラジアルベアリング98,100を介してEPSハウジング84に回転可能に保持され、入力側シャフト88は、その外周においてニードルベアリング102を介してEPSハウジング84に回転可能に保持されている。
助勢装置82は、上記電磁モータ80と、その電磁モータ80のモータ軸に連結されたウォーム104と、そのウォーム104に噛合させられるウォームホイール106とを含んで構成されている。そのウォームホイール106は、出力シャフト18の出力側シャフト86に固定されており、出力側シャフト86に対して相対回転不能とされている。このような構造により、電磁モータ80によってウォーム104に回転力が付与され、ウォームホイール106に回転力が付与される。つまり、助勢装置82は、電磁モータ80によって出力シャフト18の回転出力が助勢されて、車輪の転舵を助勢する転舵助勢力(「操舵助勢力」と言うこともできる)を発生させる構造とされている。
また、EPSセクション52は、回転角センサ108を備えている。回転角センサ108は、トーションバー90の車両前方部が固定される出力側シャフト86の回転角度位置と、トーションバー90の車両後方部が固定される入力側シャフト88の回転角度位置との差である相対回転変位量を検出するためのデバイスとされている。2本のシャフト86,88の相対回転変位量に基づいて操舵トルクを推定することが可能であり、その操舵トルクの大きさに応じた転舵助勢力を発生させるように電磁モータ80の作動が制御される。
また、出力シャフト18は、メインシャフト54の回転軸線と自身の軸線とが平行であり、かつ、それら回転軸線が所定量ズレた状態で配設されており、メインシャフト54の車両前方側の端部、つまり、先に説明したロアシャフト60の連結部64に連結されている。その連結構造について、図3に加えて、それにおけるA−A’断面図である図4をも参照しつつ詳しく説明する。
まず、メインシャフト54を構成するロアシャフト60の連結部64は、図3に示すように、シャフト本体部62の車両前方側の端部からそのシャフト本体部62に対して直交するように設けられた板状の延出部109と、その延出部109の車両前方側に向かって立設する立設部110とによって構成される。また、ロアシャフト60は、それの車両前方側の端部が、シャフトの回転軸線方向からの視点である図4に示すように、概してU字形状をなしている。つまり、上記延出部109は、1対のアーム部112を有するものであり、その1対のアーム部112の各々の先端に、上記立設部110が1対設けられているのである。また、1対の立設部110は、シャフト本体部62の径方向に平行に延びるように設けられており、その1対の立設部110によって、シャフト本体部62の径方向に延びる通路114が形成されている。
一方、出力シャフト18の入力側シャフト88には、それの後方側の端部に、延出プレート116が固定的に嵌合されている。その延出プレート116は、入力側シャフト88の車両後方側の端部から、径方向に延び出すように設けられており、その延び出した端部には、ピン118が車両後方側に突出する状態で固定されている。なお、その延出プレート116は、図4において、二点差線で位置および形状を示している。そのピン118の先端部には、ニードルベアリング120を介して、円筒形状のローラ122が、ピン118回りに回転可能に設けられている。そして、そのローラ122が、ロアシャフト60の1対の立設部110の間に嵌め入れられることで、入力側シャフト88、つまり、出力シャフト18と、メインシャフト54を構成するロアシャフト60とが連結されているのである。
なお、上記ローラ122について、図3のB−B’断面図である図5を参照しつつ、詳しく説明する。ローラ122は、段付円筒部材124と環状部材126とから構成されており、環状部材126が段付円筒部材124の最も外径の小さい部分に圧入されている。段付円筒部材124は、ローラ122の外周面として機能する大径円筒面128と、その大径円筒面128より小径の小径円筒面130と、大径円筒面128と小径円筒面130とをつなぐ段差面132と、環状部材126が圧入される圧入円筒面134とを有している。ローラ122の外周部には、小径円筒面130と段差面132と環状部材126の車両後方側の端面とによってローラ122の周方向に延びるように区画される周方向溝136が形成されており、その小径部としての周方向溝136内に円環状の弾性体としてのOリング138が設けられている。そのOリング138には環状の低摩擦部材であるテフロンリング140が外嵌されている。
そして、ローラ122が、テフロンリング140と共に、ロアシャフト60の1対の立設部110の間、つまり、通路114に係合している。その通路114の幅は、ローラ122の外周面の径より僅かに大きくされており、ローラ122と1対の立設部110との間にはクリアランス(隙間)が存在する。一方、テフロンリング140の外径は通路114の幅より僅かに大きくされており、テフロンリング140は、径方向に変形させられた状態で通路114に係合する。テフロンリング140の内径とOリング138の外径とは略同じとされており、テフロンリング140の径方向への変形に伴ってOリング138も径方向に変形する。このため、テフロンリング140は、Oリング138の弾性力によって付勢された状態で1対の立設部110の両方に接している。つまり、本操舵力伝達装置12では、ピン118,ニードルベアリング120,ローラ122,Oリング138,テフロンリング140等によって、延出部としての延出プレート116から入力側シャフト88の回転軸線の延びる方向に突出する突出部150が構成されており、通路114にガタつきなく係合し、係合部として機能しているのである。そして、本操舵力伝達装置12においては、上記突出部150と、延出部としての延出プレート116と、シャフト本体部である出力シャフト18とによって構成される転舵装置側シャフトが、第1シャフトとして機能するのである。それに対して、操作部材側のシャフトであるメインシャフト54が、第2シャフトとして機能する。
運転者によってステアリングホイール10が回転操作されると、メインシャフト54が自身の回転軸線回りに回転する。その際、ロアシャフト60の連結部64に形成された通路114に係合する突出部150は、通路114を形成する1対の立設部110、詳しく言えば、その1対の立設部110のロアシャフト60の周方向において向かい合う面の各々である1対の側壁面152によって、そのロアシャフト60における周方向への変位が規制されるとともに、そのロアシャフト60における径方向への移動が許容される。つまり、通路114が案内通路として機能し、1対の側壁面152が案内通路を区画しているのである。さらに言えば、その1対の側壁面152を有し、その1対の側壁面152が第1シャフトの係合部である突出部150を挟むように構成されたロアシャフト60の連結部64が、係合部挟持部として機能する。
そして、ロアシャフト60の回転に伴って、突出部124が通路114内を移動させられる際に、そのロアシャフト60の回転力が、ローラ122,ピン118,延出プレート116等を介して、入力側シャフト88に伝達されて、その入力側シャフト88が自身の回転軸線回りに回転する。つまり、操舵力伝達装置12は、ロアシャフト60の回転軸線回りの回転を、自身の回転軸線がロアシャフト60の回転軸線からずれて配設された入力側シャフト88に伝達する回転伝達機構を備えるものとされてる。なお、本操舵力伝達装置12では、その回転伝達機構は、案内通路を有する連結部64と、係合部として機能する突出部150とを含んで構成されている。上述のような構造によって、操舵力伝達装置12は、ステアリングホイール10に入力された操舵力を、I/Mシャフト16等を介して転舵装置18に伝達するのである。
操舵力伝達装置12は、EPSセクション52の前方端部と、コラムセクション50のアッパチューブ66とにおいて、車体の一部に取り付けられている。EPSセクション52のEPSハウジング84には、先に説明した前方ブラケット38が固定的に設けられており、この前方ブラケット38には、軸挿通穴160が設けられている。ステアリングサポート36には、軸穴162が穿設された軸受部材164が固定されており、前方ブラケット38の軸挿通穴160と軸受部材164の軸穴162とに、支持軸166が挿通されることで、操舵力伝達装置12は、その支持軸166を中心に揺動可能に支持される。
一方、コラムセクション50は、B.A.BKT40に保持され、そのB.A.BKT40がステアリングサポート36に取り付けられている。詳しく説明すれば、図6に示すように、B.A.BKT40は、アッパチューブ66に固定された被保持部材170を保持する保持部材172と、その保持部材172に固定されてステアリングサポート36に取り付けられる取付プレート174とを有しており、その取付プレート174に設けられたスロット176を利用してステアリングサポート36に締結されている。被保持部材170,保持部材172には、それぞれ長穴178,180が穿設され、それらにはロッド182が貫通しており、図では省略するが、そのロッド182を利用して保持部材172が被保持部材170を挟持するようにされている。この挟持力によって、アッパチューブ66の変位が禁止される構造とされている。操作レバー184を操作することによって、その挟持力を弱めることが可能とされており、挟持力が弱められた状態では、ロッド182の長穴178に沿った移動が許容されることで、アッパチューブ66のロアチューブ68に対する軸線方向の移動が、アッパシャフト58のロアシャフト60に対する軸線方向の移動とともに許容され、コラムセクション50の伸縮が許容される。また、ロッド182の長穴180に沿った移動が許容されることで、前方ブラケット38に挿通された支持軸166を中心とした操舵力伝達装置12の揺動が許容されることになる。つまり、本操舵力伝達装置12は、そのような構造のチルト・テレスコピック機構186を備えているのである。
車両の衝突に起因して運転者がステアリングホイール10に二次衝突した場合には、B.A.BKT40がステアリングサポート36から離脱するとともに、コラムセクション50が収縮させられる。本操舵力伝達装置12には、二次衝突の衝撃を吸収する衝撃吸収機構187が設けられており、ステアリングコラム56の収縮に伴ってEAプレート188が変形させられることによって、二次衝突の衝撃が効果的に吸収される。
<回転伝達機構の機能>
本操舵力伝達装置12においては、互いの軸線が平行にズレた状態で配設された第1シャフトとしての出力シャフト18と第2シャフトとしてのメインシャフト54とが、詳しく言えば、出力シャフト18の入力側シャフト88とメインシャフト54のロアシャフト60とが、上記回転伝達機構によって連結されている。そのことから、ロアシャフト60の回転位相と入力側シャフト88の回転位相とがズレて、それら2本のシャフト60,88の回転位相の差である回転位相差が変化するものとされている。以下に、具体的に図を用いて説明する。
図7に、ロアシャフト60の連結部64と、入力側シャフト88の突出部150とが係合する部分の断面図(図3におけるA−A’断面図に相当する)を示す。図7(a)は、ステアリングホイール10が車輪の転舵中立位置に対応する位置、つまり、中立操作位置にあるときの状態を、図7(b)は、ステアリングホイール10が中立操作位置から左旋回方向に90゜回転操作された位置にあるときの状態を、図7(c)は、ステアリングホイール10が中立操作位置から右旋回方向に90゜回転操作された位置にあるときの状態を、図7(d)は、ステアリングホイール10が中立操作位置から右、若しくは左旋回方向に180゜回転操作された位置にあるときの状態を、それぞれ示している。
図から解るように、ステアリングホイール10が中立操作位置から右、若しくは左旋回方向に90゜回転操作された場合には、ロアシャフト60は自身の回転軸線を中心に90°回転するが、入力側シャフト88は自身の回転軸線を中心に90°までは回転せずに、入力側シャフト88の回転角は90°未満となる。そして、ステアリングホイール10が、さらに回転操作されて、中立操作位置から右、若しくは左旋回方向に180゜回転操作された場合に、ロアシャフト60および入力側シャフト88は共に180°回転する。ロアシャフト60の回転角αと入力側シャフト88の回転角βとの関係は、図8に示すように、ステアリングホイール10が中立操作位置から180°未満回転操作される場合には、入力側シャフト88の回転角βはロアシャフト60の回転角αより小さく、ステアリングホイール10が中立操作位置から180°回転操作されると、入力側シャフト88の回転角βがロアシャフト60の回転角αと同じとなる。つまり、ロアシャフト60の回転位相が、ロアシャフト60の回転位相と入力側シャフト88の回転位相とが一致する特定回転位相となる場合、具体的にいえば、ロアシャフト60の回転角αが0°若しくは180°となる場合には、各回転角α,βがともに同じとなり、回転位相差は0となる。一方、ロアシャフト60の回転角αが0°から180°に変化する間に、回転位相差は徐々に増加し、ある回転角からは逆に、徐々に減少し、0となるのである。この場合の2本のシャフト60,88のギヤ比(dβ/dα)、つまり、ロアシャフト60の回転速度(dα/dt)に対する入力側シャフト88の回転速度(dβ/dt)の比(dβ/dα)は、図8に示すように、ロアシャフト60の回転角αに応じて変化する。
図から解るように、ロアシャフト60の回転角αが0°の場合には、ギヤ比(dβ/dα)は最も小さく、ロアシャフト60の回転角αが大きくなるにつれてギヤ比(dβ/dα)は大きくなる。つまり、本操舵力伝達装置12においては、ステアリングホイール10の操作角が小さい場合においては、穏やかで安定感のあるハンドリングが実現され、ステアリングホイール10の操作角が大きくなるにつれて、レスポンスの良いハンドリングが実現されるのである。なお、本システムにおいては、ステアリングホイール10の操作範囲が、図示を省略する操作範囲制限機構によって、中立操作位置から左右約180゜に制限されている。
ちなみに、図9の縦軸に示されているeは、突出部150が通路114に係合する位置の入力側シャフト88の回転軸線からのオフセット量L(図4)に対する入力側シャフト88の回転軸線とロアシャフト60の回転軸線とのズレ量d(図4)の比率(d/L)であり、ステアリングホイール10の操作フィーリングを左右するものとなっている。
<本操舵力伝達装置の特徴>
i)従来の操舵力伝達装置
本車両用操舵力伝達装置12においては、上述したように、第2シャフトであるメインシャフト54が、シャフト本体部と、そのシャフト本体部の車両前方側の端部から、シャフト本体部の周方向における一部の領域から突出部150の移動が許容される方向にのみ延び出すように設けられた係合部挟持部としての連結部64とを有するものとされている。それに対して、図10に示す操舵力伝達装置200のように、第2シャフトを構成するロアシャフト202の連結部204が、ロアシャフト202のシャフト本体部206の周方向における全域から径方向に延び出す円板状に形成された装置も存在する。
上記操舵力伝達装置200においては、ロアシャフト202が、その連結部204においてラジアルベアリング208を介してコラムチューブ210に保持されるように構成されている。その連結部204について、より詳しく説明すれば、その連結部204は、円板状のフランジ部であり、その前方側の端面に径方向に延びる溝220が形成されている。そして、第1シャフトを構成する入力側シャフト222の係合部としての突出部224が、その溝220に係合することで、入力側シャフト222とロアシャフト202とが連結されている。ちなみに、それら2本のシャフト202,222の回転軸線のズレ量は、本実施例の操舵力伝達装置12における2本のシャフト60,88の回転軸線のズレ量dと同じとされており、突出部224が溝220に係合する位置の入力側シャフト222の回転軸線からのオフセット量は、本実施例の操舵力伝達装置12における突出部150が通路114に係合する位置の入力側シャフト88の回転軸線からのオフセット量Lと同じとされている。つまり、上記操舵力伝達装置200は、本実施例の操舵力伝達装置12と同じ操作フィーリングを有するものとされている。
ii)本操舵力伝達装置における連結部の形状の決定
本実施例の操舵力伝達装置12は、第2シャフトであるメインシャフト54が、ロアシャフト60のシャフト本体部62において、ベアリング78を介してコラムチューブ56に保持されている。そのことにより、ロアシャフト60の連結部64は、シャフト本体部の周方向における一部の領域から突出部150の移動が許容される方向にのみ延び出すように設けられているのである。換言すれば、比較例の操舵力伝達装置200において、円板状とされた連結部204のうち、必要のない部分が取り除かれたものとなっているのである。
次に、本実施例の操舵力伝達装置12における連結部64の形状の決定方法について、詳しく説明する。その連結部64は、それが有する1対の側壁面152の径方向の位置および長さが、第1シャフトの係合部である突出部150のロアシャフト60における径方向の移動範囲を考慮して決定されている。具体的に言えば、まず、1対の側壁面152の径方向の内側の端は、図7(a)に相当する図11(a)に示すように、ロアシャフト60の回転軸線を通ってそのロアシャフト60に対する突出部150の移動方向に直交する直線l1との距離L1が、突出部150の入力側シャフト88の回転軸線からのオフセット量Lから、入力側シャフト88の回転軸線とロアシャフト60の回転軸線とのズレ量dを差し引いた長さより僅かに短くなるように決定されている。つまり、上記の距離L1が、以下の数式を満たすように設定されている。
1<L−d ・・・(1)
また、1対の側壁面152の径方向の外側の端は、図7(d)に相当する図11(b)に示すように、直線l1との距離L2が、2本のシャフト60,88の回転軸線のズレ量dと、突出部150のオフセット量Lとを足し合わせた長さより僅かに長くなるように決定されている。つまり、上記の距離L2が、以下の数式を満たすように設定されている。
2>L+d ・・・(2)
ちなみに、入力側シャフト88の外径をD1,突出部150の外径をD2とした場合において、L>(D1+D2)/2であることを考慮すれば、(2)式は、次のように表すことができる。
2>(1+e)・(D1+D2)/2 ・・・(3)
つまり、ロアシャフト60の連結部64は、突出部150がロアシャフト60の回転軸線から最も離間する位置においてその突出部60のロアシャフト60の回転軸線から最も離間する点を通りそのロアシャフト60の回転軸線を中心とする円の外側に出ないように構成されている。なお、その1対の側壁面152を有する1対の立設部110の各々の周方向の幅は、ステアリングホイール10に加わる操舵力によって、1対の立設部110と突出部150との間に作用する力を考慮して決定されている。
そして、そのように決定された1対の立設部110と、ロアシャフト60のシャフト本体部62とを連結するように、連結部64の延出部109が、2本のアーム部112を有する形状に形成されている。
iii)本操舵力伝達装置の利点
以上のように、本実施例の操舵力伝達装置12は、ロアシャフト60の連結64の大きさが、ロアシャフト60と入力側シャフト88との回転位相差を変化させつつ、それら2本のシャフト60,88の間で回転を伝達するために、必要最小限の大きさとされているのである。したがって、本操舵力伝達装置12は、比較例の操舵力伝達装置200に比較して、第2シャフトであるメインシャフト54の重量が軽減されている、ひいては、操舵力伝達装置12自体の重量が軽減されているのである。また、メインシャフト54の重量が軽減されているため、そのメインシャフト54の慣性モーメントが小さくなり、運転者の操作フィーリングが向上させられているのである。
また、本操舵力伝達装置12においては、図4に二点鎖線で示したように、第1シャフトである出力シャフト18の車両後方側の端部から径方向に延び出す延出プレート116も、出力シャフト18のシャフト本体部の周方向における全域から延び出すのではなく、その周方向における一部の領域から特定の方向にのみ延び出すものとされている。したがって、本実施例の操舵力伝達装置12は、延出プレート116が、比較例の操舵力伝達装置200における円環状の延出部230に比較して小さくされており、上述した第2シャフトであるメインシャフト54の重量が軽減されていることに加えて、第1シャフトである出力シャフト18の重量も軽減されているのである。
さらに、本実施例の操舵力伝達装置12における2本のシャフト60,88の連結部分の直径DAは、比較例の操舵力伝達装置200の2本のシャフト202,222の連結部分の直径DBと比較して、小さくなっている。このように、本実施例の操舵力伝達装置12においては、同様の操作フィーリングを有する操舵力伝達装置200と比較して、回転軸線方向に直角な方向に、コンパクト化が図られており、車両への搭載性が向上させられているのである。
請求可能発明の実施例である車両用操舵力伝達装置を備えた車両用ステアリングシステムを示す模式図である。 図1の車両用ステアリングシステムの備える車両用操舵力伝達装置を示す断面図である。 車両用操舵力伝達装置の備えるEPSセクションを示す断面図である。 図3に示すA−A’線における断面図である。 図3に示すB−B’線における断面図である。 車両用操舵力伝達装置の備えるコラムセクションを保持するブレークアウェイブラケットを示す斜視図である。 ステアリングホイールが回転操作される際の図3に示すA−A’線における断面図である。 操作部材側シャフトの回転角と転舵装置側シャフトの回転角との関係を示すグラフである。 操作部材側シャフトの回転角に応じて変化する操作部材側シャフトと転舵装置側シャフトとのギヤ比を示すグラフである。 図2に示す車両用操舵力伝達装置と比較例の車両用操舵力伝達装置とを並べて示す図である。 第2シャフトの係合部挟持部である連結部の寸法を示す図である。
符号の説明
10:ステアリングホイール(ステアリング操作部材) 12:車両用操舵力伝達装置 14:転舵装置 18:出力シャフト(第1シャフト) 54:メインシャフト(第2シャフト) 56:コラムチューブ 58:アッパシャフト 60:ロアシャフト 62:シャフト本体部 64:連結部(係合部挟持部) 76,78:ラジアルベアリング 82:助勢装置 86:出力側シャフト 88:入力側シャフト 90:トーションバー 109:延出部(第2シャフト延出部) 110:立設部 112:アーム部 114:通路(案内通路) 116:延出プレート(第1シャフト延出部) 118:ピン 120:ニードルベアリング 122:ローラ 150:突出部 152:1対の側壁面
α:ロアシャフトの回転角 β:入力側シャフトの回転角 dβ/dα:ギヤ比 L:係合位置のオフセット量 d:2本のシャフトのズレ量 e:比率

Claims (5)

  1. 運転者によって操作されるステアリング操作部材と車輪を転舵する転舵装置との一方に一端部が連結され、回転可能に配設された第1シャフトと、
    前記ステアリング操作部材と前記転舵装置との他方に一端部が連結され、前記第1シャフトの回転軸線と自身の回転軸線とが平行でありかつそれら回転軸線が所定距離だけズレた状態で回転可能に配設された第2シャフトと、
    (A) 前記第1シャフトの他端部において、その第1シャフトの回転軸線からその第1シャフトの径方向に前記所定距離より離れた位置に設けられた係合部と、(B) 前記第2シャフトの他端部において、その第2シャフトの径方向に延びるようにして設けられ、前記第1シャフトの係合部を係合させるとともに、その係合部の前記第2シャフトの径方向における移動を許容する案内通路とを含んで構成され、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの一方の回転によって、その第1シャフトおよび第2シャフトのそれぞれの回転位相の差である回転位相差を変化させつつ、他方が回転するように構成された回転伝達機構と
    を備えた車両用操舵力伝達装置であって、
    前記第2シャフトが、
    それの本体部である第2シャフト本体部と、
    その第2シャフト本体部の前記第1シャフト側の端部から前記係合部の移動が許容される方向に延び出すように設けられ、それぞれがその方向に平行に延びるとともに互いに向かい合う1対の側壁面を含んで構成され、その1対の側壁面が前記回転伝達機構の案内通路を区画して前記係合部を挟むように構成された係合部挟持部と
    を有するものとされ、
    前記係合部挟持部が、
    前記第2シャフト本体部の第1シャフト側の端部の周方向における一部の領域から前記係合部の移動が許容される方向における一方側にのみ延び出し、前記第2シャフトの回転軸線に直角な板状の第2シャフト延出部と、
    それぞれが、その第2シャフト延出部から前記第1シャフト側に向かって立設されるとともに前記係合部の移動が許容される方向に平行に延びて前記係合部を挟む1対の立設部と
    を含んで構成され、
    前記1対の立設部の一方の1つの面と、その面に向かい合う前記1対の立設部の他方の1つの面とが、前記1対の側壁面として機能するように構成された車両用操舵力伝達装置。
  2. 前記係合部挟持部が、
    それぞれが、前記係合部の移動が許容される方向に平行に延びてる1対のアーム部を含んで構成され、
    その1対のアーム部の一方の1つの面と、その面に向かい合う前記1対のアーム部の他方の1つの面とが、前記1対の側壁面として機能するように構成された請求項1に記載の車両用操舵力伝達装置。
  3. 前記係合部挟持部が、
    前記第1シャフトの係合部が前記第2シャフトの回転軸線から最も離間する位置においてその係合部の前記第2シャフトの回転軸線から最も離間する箇所を通りその第2シャフトの回転軸線を中心とする円の外側に出ないように構成された請求項1または請求項2に記載の車両用操舵力伝達装置。
  4. 前記第2シャフトが、前記第2シャフト本体部の前記係合部挟持部が延び出した位置よりも前記一端部寄りの位置において、回転可能に保持されるように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用操舵力伝達装置。
  5. 前記第1シャフトが、
    それの本体部である第1シャフト本体部と、
    その第1シャフト本体部と一体的に設けられ、その第1シャフト本体部からそれの径方向に延び出す第1シャフト延出部と、
    前記第1シャフトの回転軸線からその第1シャフトの径方向に前記所定距離より離れ
    た位置において、前記第1シャフト延出部から、前記第1シャフトの回転軸線および前記第2シャフトの回転軸線の延びる方向である回転軸線方向における前記第2シャフト側に突出し、前記回転伝達機構の係合部として機能する突出部と
    を有する請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の車両用操舵力伝達装置。
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