JP5373658B2 - 圧力センサ - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の圧力センサでは、熱伝導性が良好な高熱伝導性部材でダイアフラムを被覆する。高熱伝導性部材には開口が形成されており、燃焼室内の圧力はこの開口を通じてダイアフラムに伝わる。高熱伝導性部材はダイアフラムから所定の間隙を隔てて配置されており、熱伝導性部材の周囲はハウジングの内周に接している。これにより、燃焼室内の高温の熱は、高熱伝導性部材を通じてハウジングに伝導され、ハウジングから燃焼室壁へと放熱される。このようにして、特許文献1の圧力センサでは、燃焼室内の高温の熱がダイアフラムに伝達されにくくし、ダイアフラムが熱変形しづらくしている。
断熱部材は、ダイアフラムの表面で発泡しており、ダイアフラムに密着している。したがって、断熱部材とダイアフラムは、燃焼室の圧力に応じて一体となって変形する。このようにして、燃焼室の圧力に応じてダイアフラムが変形するため、センサ部は、燃焼室の圧力を反映した出力値を出力することができる。
断熱部材は、ダイアフラムの外側表面の全体を覆っており、ダイアフラムの表面の一部を燃焼室に露出させるスリット等の開口が形成されていない。したがって、開口に煤が詰まって圧力の検出精度を低下させることもない。
上記構成によれば、断熱部材は、ダイアフラムの表面に密着しているとともに、その周囲が金属製のガイドによって支持されている。したがって、ダイアフラムの表面から断熱部材が脱落することを抑制することができる。
この構成によれば、ダイアフラムの表面から断熱部材が脱落することをさらに確実に抑制することができる。
ダイアフラムへの伝熱量を1/2以下に抑制されれば、ダイアフラムの熱変形量が顕著に低下する。また断熱部材の剛性がダイアフラムの剛性以下であれば、断熱部材の存在によってダイアフラムに求められる柔軟性が損なわれることもなく、必要な検出感度を確保することができる。
(特徴1)圧力センサは、ハウジングの外周に形成されているねじ部を、燃焼室の壁に形成されているねじ穴と螺合させることにより、シリンダヘッドに取り付けられている。
図1は、実施例1の圧力センサ10の断面図である。圧力センサ10は、その先端に形成されている断熱部材40が、図示しない内燃機関の燃焼室を臨むようにシリンダヘッドに取り付けられている。圧力センサ10は、図1に示すように、ハウジング20とダイアフラム30とガイド35と断熱部材40とセンサ部50とを備えている。圧力センサ10は、ダイアフラム30が燃焼室の圧力に応じて変形し、センサ部50がこの変形に応じて出力値を変化させることによって、燃焼室の圧力を検知するものである。
アウターハウジング21の前端側には、インナーハウジング22が嵌め込まれている。インナーハウジング22の外周面は、アウターハウジング21の前端側の内周面に溶接されている。インナーハウジング22の前端部は、ダイアフラム支持部31となっている。
本実施例の断熱部材40は、断熱部材40がない場合に比して、燃焼室内の燃焼による熱のダイアフラム30への伝熱量を1/2以下に減少させる断熱能力を有している。すなわち、断熱部材40を設けていない場合にダイアフラム30が燃焼室の高温のガスから受ける熱量をQとすると、断熱部材40を設けることによって、ダイアフラム30が燃焼室の高温のガスから受ける熱量が1/2Qとなる。このように、ダイアフラムへの伝熱量が1/2以下に抑制されるため、ダイアフラム30の熱変形量が断熱部材40がない場合の1/2以下となり、ダイアフラム30の熱変形量が顕著に低下する。
すなわち、断熱部材が形成されていないダイアフラムにおいて、ダイアフラムの圧力に応じた変形量のばらつきを示す二乗公差を「1」とすると、ダイアフラム30と断熱部材40との剛性が同じである場合には、二乗公差が√(12+12)の約1.4となり、ダイアフラム30の圧力に応じた変形量のばらつきが40%増大する。本実施例のように断熱部材40の剛性をダイアフラム30の剛性の1/2以下に設定した場合には、二乗公差が√(12+0.52)以下となり、約1.1以下となる。したがって、燃焼室の圧力に応じたダイアフラム30の変形量のばらつきは、ダイアフラムに断熱部材を形成していない場合と比べて増加するものの、このばらつきの増加量は10%程度に抑えることができる。なお、断熱部材40の経年劣化等を考慮すると、断熱部材40の剛性がさらに低いことが好ましく、断熱部材40の剛性をダイアフラムの剛性の1/10以下に設定しておくことがより好ましい。
本実施例では、ダイアフラム30の表面に断熱部材40が形成されており、断熱部材40が上記した断熱能力と剛性とを有している。したがって、ダイアフラム30の熱変形を適切に抑制することができるとともに、ダイアフラム30の柔軟性が損なわれることがなくダイアフラム30が燃焼室の圧力に応じて適切に変形させることができる。したがって、センサ部53によって出力される出力電圧は、燃焼室の圧力を適切に反映したものとなる。
まず、図4(a)に示すように、ダイアフラム支持部31の表面にガイド35が溶接されている状態で、ダイアフラム30の外側の表面の全体に断熱部材40の材料を塗布し、厚みが20〜100μmの塗膜41を形成する。塗膜41の材料としては、火炎に晒されると発泡して耐火性の断熱部材40に変化する材料が選択される。次に、この塗膜41を火炎に晒す。これにより、図4(b)に示すように、塗膜41が塗布時の10〜100倍の厚みとなるまで発泡し、耐火性の断熱部材40が完成する。なお、日本ペイント株式会社製のタイカリット(登録商標)では、火炎によってその表面が250℃程度となると発泡が開始し、発泡がさらに進むと、灰化して耐火性の断熱部材40に変化する。図4(b)に示す状態では、塗膜41が発泡して膨張することにより断熱部材40の中央部が膨らんで、ガイド35の先端よりも突出した状態となっている。図4(b)の破線Aに示す位置で、断熱部材40を切削し、断熱部材40の厚みを調整する。なお、本実施例では、断熱部材40の先端と、ガイド35の先端が同一平面上に位置するようにしている。圧力センサ10は、ダイアフラム30の表面に断熱部材40が形成されている状態で、シリンダヘッドに取り付けられる。
(実施例1の変形例)
変形例におけるその他の構成及び作用効果は上記実施例1と同じである。
図5に示すように、実施例2の圧力センサ70は、ガイド71の構造が実施例1の圧力センサ10とは異なっている。その他の構成は、実施例1と同じである。
実施例2の圧力センサ70では、ガイド71が、ダイアフラム支持部31の表面の全体からハウジング20の外側に伸びており、ダイアフラム30の全周に亘って連続して形成されている。ガイド71の外側の表面は、ダイアフラム支持部31の外周から垂直に伸びている。ガイド51の内側の表面は、ダイアフラム30から離反するほどダイアフラム30の中心側に突出するように傾斜している。本実施例においても、ダイアフラム30の外側の表面とガイド71の内側の表面で画定されている空間に断熱部材40が充填されている。このような構成のガイド71によって、断熱部材40がダイアフラム30の表面から脱落することを確実に抑制することができる。
本実施例においても、断熱部材40によりダイアフラム30の熱変形を抑制することができる。また燃焼室で発生する煤によって、圧力センサ70による圧力の検出精度が低下することを抑制することができる。また、圧力センサ70の取り外し時に断熱部材40が破損した場合であっても、ダイアフラム30の表面で耐火性の材料を発泡させることにより断熱部材40を再成形することができるため、圧力センサ70を再利用することができる。
図6に示すように、実施例3の圧力センサ80は、ガイド81の構造が実施例1及び実施例2の圧力センサ10とは異なっている。その他の構成は、実施例1と同じである。
実施例3の圧力センサ80では、ガイド81が、ダイアフラム支持部31の表面の全体から外側に伸びており、ダイアフラム30の全周に亘って連続して形成されている。ガイド81は、円筒部82と、円筒部82の先端側に形成されて円筒部82の内側(ダイアフラム30の中心側)に向かって突出する凸部83とを備えている。本実施例においても、ダイアフラム30の外側の表面とガイド81の内側の表面で画定されている空間に断熱部材40が充填されている。このようなガイド81により、断熱部材40がダイアフラム30の表面から脱落することを確実に抑制することができる。
本実施例においても、断熱部材40によりダイアフラム30の熱変形を抑制することができる。また燃焼室で発生する煤によって、圧力センサ80による圧力の検出精度が低下することを抑制することができる。また、圧力センサ80の取り外し時に断熱部材40が破損した場合であっても、ダイアフラム30の表面で耐火性の材料を発泡させることにより断熱部材40を再成形することができるため、圧力センサ80を再利用することができる。
(その他の実施例)
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
20:ハウジング
21:アウターハウジング
22:インナーハウジング
24:ダイアフラム
25:ねじ部
30:ダイアフラム
31:ダイアフラム支持部
35,71,81:ガイド
36:中央部
37:基端部
38:先端部
40:断熱部材
41:塗膜
50:センサ部
Claims (10)
- 内燃機関の燃焼室に臨む位置に配設される圧力センサであって、
略筒状のハウジングと、
前記ハウジングに固定されているとともに、前記ハウジングの内側と外側とを区画しているダイアフラムと、
前記ハウジングの内側に配置されているとともに、そのダイアフラムの変形に応じて出力値が変化するセンサ部と、
前記ダイアフラムの外側の表面上に塗布された塗膜を発泡させて作製した、前記ダイアフラムの外側の表面の全体を覆っている耐火性の断熱部材と、を備えていることを特徴とする圧力センサ。 - 前記断熱部材は、前記塗膜を加熱することによって前記塗膜を発泡させて作製されることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
- 前記断熱部材は、前記塗膜を火炎に晒すことによって前記塗膜を発泡させて作製されることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサ。
- 前記断熱部材は、前記塗膜を燃焼室の火炎に晒すことによって前記塗膜を発泡させて作製されることを特徴とする請求項3に記載の圧力センサ。
- 内燃機関の燃焼室に臨む位置に配設される圧力センサであって、
略筒状のハウジングと、
前記ハウジングに固定されているとともに、前記ハウジングの内側と外側とを区画しているダイアフラムと、
前記ハウジングの内側に配置されているとともに、そのダイアフラムの変形に応じて出力値が変化するセンサ部を備えており、
前記ダイアフラムの外側の表面の全体に塗布されているとともに、燃焼室の火炎に晒されることによって発泡して耐火性の断熱部材に変化する塗膜が塗布されていることを特徴とする圧力センサ。 - 前記ダイアフラムの周縁から前記ダイアフラムの外側に向けて伸びている金属製のガイドを備えており、
前記断熱部材は、前記ダイアフラムの外側の表面と前記ガイドの内側の表面で画定されている空間に充填されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の圧力センサ。 - 前記ガイドが、前記ダイアフラムから離反するとそのダイアフラムの中心側に向かって突出する部位を備えていることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサ。
- 前記ガイドが、前記ダイアフラムの全周に亘って連続して形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の圧力センサ。
- 前記断熱部材が、ダイアフラムへの伝熱量を1/2以下に減少させるものであり、ダイアフラムの剛性以下の剛性であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧力センサ。
- 内燃機関の燃焼室に臨む位置に配設される圧力センサであって、
略筒状のハウジングと、
前記ハウジングに固定されているとともに、前記ハウジングの内側と外側とを区画しているダイアフラムと、
前記ハウジングの内側に配置されているとともに、そのダイアフラムの変形に応じて出力値が変化するセンサ部を備えており、
前記ダイアフラムの外側の表面の全体に、発泡して耐火性の断熱部材に変化する塗膜が塗布されていることを特徴とする圧力センサ。
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