JP5372295B2 - 活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク - Google Patents
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Description
産業用途については、もともと、インクジェット記録法は被記録媒体に非接触で画像を形成でき、従来の印刷方法のように版を作製する必要がないため、印刷における納期とコストの点で本質的な利点を有している。この利点を生かし、従来の版を用いた印刷方法に対して円滑な置き換えが可能となるためには、インクジェット記録法が印刷画像の画質の点でより一層改良され、従来の印刷方法と完全に同等レベルとなることが必要で、画質のさらなる向上が早急に求められている。
また、従来非吸収性媒体上へのインクジェット記録法による画像形成においては、使用されるインクが低粘度であるため、吐出後のインクのハジキの問題と、インク間の混色の問題がインクジェット記録方式の如何に係わらず共通課題であったが、この点インク吐出後の活性エネルギー線照射により塗膜硬化を行う活性エネルギー線硬化系のインクジェット記録法では、活性エネルギー線照射を各色の吐出直後に行うことにより、大幅に混色を抑制することが可能である。
なお、活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インクにおいて、シリコーンアクリレートは、表面張力調整剤として使用され(特許文献3)、他のシリコーン化合物やフッ素化合物と併記され(特許文献4)ることはあるが、本願に記載したような混色抑制効果については記載されておらず、その効果を最大限に発揮させるための本願発明におけるような使用方法についてはこれまでに知られていない。
すなわち、本発明は(A)顔料、有機変性シリコーンアクリレート(B)、前記シリコーンアクリレート以外の活性エネルギー線硬化性化合物(C)、及びラジカル重合開始剤(D)を含有する活性エネルギー線硬化性インクであって、前記有機変性シリコーンアクリレート(B)はポリジメチルシロキサン構造を主鎖とし、ポリオキシアルキレンの末端に(メタ)アクリロイル基を有する側鎖を有し、かつ前記活性エネルギー線硬化性化合物(C)として(メタ)アクリロイル基と、ビニルエーテル基を有する化合物(E)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インクを提供する。
例えば高速印刷のために、被記録媒体を移動させつつ該被記録媒体の全幅に渡る幅を有する各色固定ヘッドで印刷を行い、被記録媒体の下流側で、被記録媒体の全幅長を有する光源で活性エネルギー線を一括照射するような画像形成方法にも対応することができる。
本発明で使用するシリコーンアクリレートは表面調整機能を有する他のシリコーン系化合物と異なり、側鎖に導入したアクリレート官能基が、他の活性エネルギー線硬化性化合物(C)の重合反応に伴って、有機変性シリコーンアクリレート同士、及び他の活性エネルギー線硬化性化合物(C)と硬化反応をする。このため、インク塗膜の硬化性を低下させることがなく、他のシリコーン系化合物のように接着後のシリコーン系化合物のブリードアウトがない。また重合後の塗膜を固くして被記録媒体に対する接着性や耐擦過性に優れた塗膜を形成することができる。
側鎖におけるポリオキシアルキレンは、混色の抑制の観点からはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体であることが好ましく、さらにエチレンオキサイド単位のみを有することが好ましい。
(式(1)において、Aは末端に(メタ)アクリロイル基を有したポリオキシアルキレン基を表し、該ポリオキシアルキレン基の一部は末端に(メタ)アクリロイル基を有さず、換わりにヒドロキシル基を有していても良く、cは0〜5の整数を表し、mおよびnは1以上の整数を表す。)
また一般式(1)の変性率は3〜20%が好ましく、5〜20%がより好ましい。ここで本発明における変性率は(n/(m+n))×100(%)で得られる値である。
また結合するオキシアルキレン単位の数は5〜25が好ましく8〜20がより好ましく、さらに10〜15がさらに好ましい。
上記一般式(1)で示されるシリコーンアクリレートは非吸収性媒体上の混色を抑制する機能の点では、上記変性率の好適な範囲を満たしつつさらに細かくは、mについては15〜30がさらに好ましく、18〜28がさらにより好ましく、20〜26がさらに好ましく、22〜25がさらにより好ましい。
またnについては1〜4がさらに好ましく、1〜3がさらにより好ましい。
さらにcについては1〜4がさらに好ましく、3がさらにより好ましい。
(式(2)においてaは8〜18の整数、bは0〜5の整数を表す。)
で表される末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオキシアルキレン基を使用することができる。
aについては8〜20が好ましく、10〜16がより好ましく、12〜15がさらに好ましく、13〜14がさらにより好ましい。
さらにbについては0〜3がさらに好ましく、0がさらにより好ましい。
例えば上記一般式(1)におけるm、n、a、b、cそれぞれの値が規定した数値の範囲内であると、これらシリコーンアクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インクは、非吸収性媒体上に吐出された該インクからなる液滴のはじき、該液滴により形成された塗膜のレベリング性、及び隣接して吐出されたインクの液滴からなる塗膜との間の混色抑制とのバランスがより良好である。このためインクジェット記録用インクの液滴や塗膜が重なり合ったり、隣接したりしても、活性エネルギー線照射による硬化塗膜の形成前に混色を発生することがない。さらに適度のレベリング性能を有するため、画像を形成したときの粒状感が残ったり、あるいはベタ画像を印刷したときに線引き状態に未塗工部分が発生したりすることがより抑制される。
このため吐出された活性エネルギー線硬化性インクの良好なレベリングを維持しつつ混色を抑制するには、ポリオキシアルキレン基を側鎖に有する有機変性シリコーンアクリレート(B)よりもレベリング性が高く特にフィルム基材上でのレベリング性の良好な有機変性シリコーンアクリレート(F)を併用することが好ましい。ここで二つの有機変成シリコーンアクリレートのレベリング性の比較は、フィルム基材上に滴下した同一量の有機変成シリコーンアクリレートの、一定時間経過後の広がりを測定して行うことができる。 例えば高速印刷のために、被記録媒体を移動させつつ該被記録媒体の全幅に渡る幅を有する各色固定ヘッドで印刷を行い、被記録媒体の下流側で、被記録媒体の全幅長を有する光源で活性エネルギー線を一括照射するような画像形成方法にも対応することができる。
有機変性シリコーンアクリレート(F)としては、ポリジメチルシロキサン構造を主鎖とし、水酸基を置換基として有していてもよく、末端に(メタ)アクリロイル基の結合したアルキル基を有する総炭素数2〜10の側鎖を有するシリコーンアクリレートを使用することができる。
(3)
(式(3)において、Bは水酸基を置換基として有していても良く、末端に(メタ)アクリロイル基を有する炭素数2〜6のアルキル基であり、dは0〜5の整数を表し、m及びnは1以上の整数を表す。)
で表される構造を有する化合物から選定して使用することができる。
また一般式(3)の変性率は15〜50%が好ましく、20〜40%がより好ましい。ここで本発明における変性率は(n/(m+n))×100(%)で得られる値である。
活性エネルギー線硬化性インクにレベリング性を付与する機能の点では、dは1〜4が好ましく、3がより好ましい。
また前記変性率を満たしつつ、さらに細かくはmについては11〜17が好ましく、12〜15がより好ましく、13〜15がさらに好ましい。さらにnについては4〜8が好ましく、5〜7がより好ましく、6がさらに好ましい。
さらに前記一般式(3)のBとしてはグリシジル基にアクリル酸またはメタクリル酸が開環付加した構造のものを使用することもでき、このときはBの一部としてアクリル酸またはメタクリル酸が付加していないものを有していても良い。
上記条件を満たす好適な有機変性シリコーンアクリレートとしては、Tego Rad 2100(デグサ社製)(側鎖にアクリル酸の付加したグリシジル基を有する、変性率20〜40、分子量1500〜3500)がある。
有機変性シリコーンアクリレート(F)は、有機変性シリコーンアクリレート(B)に比較して良好なレベリング性付与機能を有している。したがって隣接する吐出インク間の混色の抑制を、有機変性シリコーンアクリレート(B)を使用することに基本的に行うとともに、非吸収性媒体上及び活性エネルギー線硬化性インクの硬化塗膜上における被吐出インクのはじき防止や、レベリング性の確保を、さらにレベリング性の良好な有機変性シリコーンアクリレート(F)を添加して行うことができる。
本発明においては活性エネルギー線硬化性化合物(C)として(メタ)アクリロイル基と、ビニルエーテル基とを共に有する化合物(E)を含有する。このような化合物(E)は低粘度で臭気や皮膚刺激性が少なく、さらに高感度で酸素による重合阻害を発生しにくい。このため特に薄膜の硬化性に優れ、形成された硬化塗膜の耐擦過性や接着性も良好で、特にプラスティックやフィルムに対する接着性に優れている。
本発明で使用する(メタ)アクリロイル基と、ビニルエーテル基とを共に有する化合物(E)としては、一般式(4)
(式中R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は、炭素数2〜20の有機残基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜11の有機残基を表す。)
で表される化合物を用いることが出来る。
R3は水素原子であることが好ましく、R2としては炭素数2〜6のアルキレン基、構造中にエーテル結合により酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基であることが好ましい。
さらに化合物(E)としては(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルであることが好ましい。
(メタ)アクリロイル基と、ビニルエーテル基を有する化合物(E)の添加量はインク中の重合性化合物全量に対して25〜50質量%が好ましい。
これらの多官能モノマーの中では、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、本発明で使用することができる(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられ、これらの中から単独または2種類以上併用して用いることができる。
このため多官能アクリレート及び(メタ)アクリレートオリゴマーによって、被記録材の特性、用途に合わせて、吐出したインク組成物の硬化性や硬化塗膜の耐久性を確保し、単官能アクリレートの種類や量を調整して、硬化塗膜の柔軟性と、該活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物の必要な吐出性を満たすための十分な低粘度、すなわち25℃において100mPa.sec以下となるように配合量を決定する。
また、マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、209、C.I.ピグメントヴァイオレット 19等が挙げられる。
また、シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、60、16、22が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物が着色剤を含有する場合、画像形成に使用される該着色剤を含有するインク組成物のインクセットとしては、上記基本4色の各色毎に複数を等有するものであっても良い。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本4色に加えて、それぞれの色毎に同系列の濃色や淡色を加える場合、マゼンタに加えて淡色のライトマゼンタ、濃色のレッド、シアンに加えて淡色のライトシアン、濃色のブルー、ブラックに加えて淡色であるグレイ、ライトブラック、濃色であるマットブラック等のインク組成物の使用が挙げられる。
さらにより画像の色再現性を向上させるべく、グリーン、レッド、オレンジ、バイオレット等の色調のインク組成物をさらに追加したインクセットを使用してもよい。
本発明のインク組成物には、被記録・印刷材料への濡れ性の付与、形成された塗膜の表面調整のため、さらに界面活性剤を添加してもよい。また、上記濡れ性や形成塗膜の表面調整に加えて、形成塗膜への耐摩耗性の付与のため本発明で使用する有機変性シリコーンアクリレート以外のシリコーンアクリレート、各種シリコーンオイル等のシリコーン系化合物をさらに添加してもよい。
本発明のインク組成物には、粘度の調整を目的として有機溶剤を用いることもできる。有機溶剤としては、本発明の有する吐出安定性、被記録材料面に着弾した際の優れたインク濡れ性(はじき防止)を低下させないものを選択しなければならない。有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、脂肪族及び芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられるが、これら有機溶剤の過剰の使用は、揮発成分を含まないまたは揮発成分が少ないというエネルギー線硬化型のインク組成物の顕著な特徴の一つを失わせるため、使用する場合には少量に留めることが好ましい。
さらに最近は画像形成の高速化の要請から、被記録媒体を移動させつつ該被記録媒体の全幅に渡る幅を有する各色固定ヘッドで印刷を行い、被記録媒体の下流側で被記録媒体の全幅長を有する光源で活性エネルギー線を照射する方法が行われている。
このような活性エネルギー線硬化性インクを用いた画像形成方法では、活性エネルギー線が照射されるまでの間、吐出されたインクによる塗膜が未硬化で互いに接することとなり、混色抑制の重要性は極めて高い。本発明の活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物、及び該インク組成物からなるインクセットは、上記のような画像形成方法に極めて好適に使用することができる。
さらに各インクが被記録媒体上に塗膜形成されてから活性エネルギー線が照射されるまでの時間がインクセットを構成する各色インクで異なっており、塗膜のレベリング時間も異なっている。従ってそのような時間差に対する対処も重要である。
このため上記のような吐出後の活性エネルギー線照射までの待機時間が、インクセットを構成する各インク組成物毎に異なる画像形成方法や、プリンター装置を用いる場合、上記Vf/Vbは、画像形成時における被記録媒体上への前記インクの吐出順がインクセット中最先のインクが最も小さく、最後のインクが最も大きいことが好ましく、さらに比Vf/Vbは前記インクセットを構成する前記各インクの、画像形成時に被記録媒体上への吐出順がより遅いインクの値が、より早いインクの値以上であることが好ましい。
〔高濃度分散液の製造方法〕
(高濃度イエロー分散液の調整)
C.I.ピグメントイエロー180 2.4部
(Toner Ywllow HG:クラリアント社製)
アジスパーPB821 1.0部
(塩基性高分子分散剤 :味の素ファインテック社製)
ジプロピレングリコールジアクリレート 16.6部
(MIRAMER M−222:Miwon Commercial社製)
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート 4.0部
(ニューフロンティアPGA 第一工業製薬社製)
を攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで4時間処理した高濃度イエロー分散液を作製した。
C.I.ピグメントレッド122 3.2部
(FASTOGEN SUPPER MAGENTA RG:DIC社製)
アジスパーPB821 1.5部
(塩基性高分子分散剤 :味の素ファインテック社製)
ジプロピレングリコールジアクリレート 23.3部
(MIRAMER M−222:Miwon Commercial社製)
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート 4.0部
(ニューフロンティアPGA 第一工業製薬社製)
を攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで4時間処理した高濃度マゼンタ分散液を作製した。
C.I.ピグメントブルー15:3 1.2部
(Fastogen Blue TGR−G:DIC社製)
アジスパーPB821 0.4部
(塩基性高分子分散剤 :味の素ファインテック社製)
ジプロピレングリコールジアクリレート 9.5部
(MIRAMER M−222:Miwon Commercial社製)
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート 0.9部
(ニューフロンティアPGA 第一工業製薬社製)を攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで4時間処理した高濃度シアン分散液を作製した。
カーボンブラック 2.0部
(三菱カーボン#960:三菱化学社製)
アジスパーPB821 1.0部
(塩基性高分子分散剤 :味の素ファインテック社製)
ジプロピレングリコールジアクリレート 12.5部
(MIRAMER M−222:Miwon Commercial社製)
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート 4.5部
(ニューフロンティアPGA 第一工業製薬社製)を攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで4時間処理した高濃度ブラックタ分散液を作製した。
ジプロピレングリコールジアクリレート13.4部、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート6.0部、アクリル酸2−(2,−ビニロキシエトキシ)エチル30.5部、イソオクチルアクリレート9.0部を加えて、60℃で光重合開始剤として、イルガキュア819を3.0部、ルシリンTPOを4.0部、ダロキュアDR1173を2.5部、及びイルガキュア907を1.0部を加温溶解した。さらに該溶液に、高濃度イエロー分散液の調整で作製した高濃度イエロー分散液を24.0部、さらに2種類のシリコーンポリエーテルアクリレート、Tego Rad23000.3部とTego Rad2100の1.0部を加えた。さらに増感剤として2,4−ジエチルチオキサントン2.5部、鋭感剤としてジメチルアミノ安息香酸2.5部、重合禁止剤として2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン0.1部、変性シリコーンオイル0.2部を加えた。これらを加えて十分に混合後、1.2μmのメンブランフィルターで濾過することによって活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用のイエローインク組成物Yellow1を作製した。
(実施例2〜6、比較例1〜12)
実施例1と同様にして表1、表2に記載の配合に従い実施例2〜6、比較例1〜12の活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物を作製した。作製された実施例2〜6の活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物をNaenta1、Cyan1、Black1、Magenta2、Cyan2とした。さらに比較例1〜12の活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物をYellow3、Magenta3、Cyan3、Black3、Yellow4、Magenta4、Cyan4、Black4、Magenta5、Cyan5、Magenta6、Cyan6とした。
各原材料に対応する化学物質名、商品名、メーカ名は下記の通りである。
(a)顔料
(a1)C.I.ピグメントイエロー180:Toner Yellow −HG(クラリアントジャパン社製)
(a2)C.I.ピグメントレッド122:FASTOGEN SUPER MAGENTA RG(DIC社製)
(a3)C.I.ピグメントブルー15:3:FASTOGEN BLUE TGR−G(DIC社製)
(a4)カーボンブラック:三菱カーボン#960(三菱化学社製)
(b)高分子分散剤
(b1)塩基性(アミン)高分子分散剤:アジスパーPB−821(味の素ファインテック社製)
(c)活性エネルギー線硬化性化合物
(c1)2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート:ニューフロンティアPGA(第一工業製薬社製)
(c2)ジプロピレングリコールジアクリレート:MIRAMER M−222(Miwon Commercial 社製)
(c3)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:DPA−600T[C](TOWA=DIC ZHANGJIAGANG CHEMICAL社製)
(c4)エトキシトリメチロールプロパントリアクリレート:MIRAMER M−3130(Miwon Commercial 社製)
(c5)アクリル酸2−(2−(ビニロキシエトキシ)エチル:VEEA−AI(日本触媒社製)
(c6)イソオクチルアクリレート:IOAA(大阪有機化学工業社製)
(d)活性エネルギー線重合開始剤
(d1)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:IRGACURE 819(BASFジャパン社製)
(d2)ジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィン−オキシド:ルシリンTPO(BASFジャパン社製)
(d3)2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン:DAROCURE DR1173(BASFジャパン社製)
(d4)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォルニル)−1−プロパノン:IRGACURE907(BASFジャパン社製)
(e)増感剤
(e1)2,4−ジ−エチルチオキサントン:JETX(CHEMBRIDGE INTRNATIONAL社製)
(f)鋭感剤
(f1)ジメチルアミノ安息香酸エチル:DBE(みどり化学社製)
(g)重合禁止剤
(g1)2,5,−ジ−t−ブチルハイドロキノン:ノンフレックスAlba(精工化学社性)
(h)シリコーンオイル
(h1)変性シリコーンオイル:KF−351A(信越化学工業社製)
(i)シリコーンアクリレート
(i1)シリコーンポリエーテルアクリレート:TEGO Rad2300(エボニックテグザジャパン)
(i2)シリコーンアクリレート:TEGO Rad2100(エボニックテグザジャパン)
(i3)シリコーンポリエーテルアクリレート:TEGO Rad2500(エボニックテグザジャパン)ポリジメチルシロキサン構造を主鎖としているが、側鎖にポリオキシアルキレンは有していない。変性率も20%未満である。
実施例1〜6、比較例1〜12で作製した活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物の特性を以下の評価方法によって評価した。結果を表2に示す。
[メタルハライドランプ硬化性]
各配合例で作製した活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インクを、5cm×5cmのPETフィルム(ルミラー250-E22;東レ株式会社製)にインクを約6μmの厚みとなるようにスピンコータで塗布し、コンベア式紫外線照射装置(日本電池製メタルハライドランプ1灯:出力120W/cm)により、照射エネルギー0.2J/cm2で紫外線を照射し、不織布(旭化成製 商品名:ベンコット)による擦り試験で表面に傷がつかなくなるパス回数を評価した。結果を表3に示す。
各配合例で作製した活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物を、5cm×5cmのPETフィルム(ルミラー250-E22;東レ株式会社製)に対し、前述の印刷方法にて2μmの膜厚で塗布し、次いでステージ移動装置を備えた浜松ホトニクス社製のLED照射装置(発光波長:385nm、ピーク強度:500mW/cm2)にて、1回の照射エネルギー量が100mJ/cm2となるように照射し、タックフリーになるまでのパス回数を評価した。結果を表3に示す。
6μmの厚さで実施例、比較例で作成したインクをPETフィルム(ルミラー250-E22;東レ株式会社製)上にスピンコータで塗布し、以下のJIS K5600−5−6に準拠した方法で接着性を評価した。
(1)クロスカットガイドを使用し、塗膜に対して垂直になるように刃を当てて、2mm間隔で6本切り込みを入れた。次に、90度方向を変えて直行する6本の切込みを入れた。
(2)約75mmの長さにテープを取り出し、テープを塗膜の格子にカットした部分に貼り、塗膜が透けて見えるようにしっかり指でテープを擦った。 付着して5分以内に60度に近い角度で、0.5〜1.0秒で確実に引き離した。
塗膜の剥離状態を目視し以下の評価基準で評価した。結果を表3に示す。
◎・・・切り傷1本ごとが、細くて両側がなめらかで、切り傷の交点と正方形の一目一目にはがれがない。
○・・・切り傷の交点にはがれがあり、正方形の欠損部が15%未満。
△・・・欠損部の面積が65%未満
×・・・欠損部の面積が65%以上
調製した各実施例インク、比較例インクを、インクジェットプリンター(コニカミノルタ製インクジェット試験機EB100)により、非吸収性の被印刷基材としてPETフィルム(ルミラー250E22;東レ株式会社製)を用い、評価用プリンタヘッドKM512L(吐出量42pl)を用いてベタテストパターンを印刷した。そののち、コンベア式紫外線照射装置(日本電池製メタルハライドランプ1灯:出力120W/cm)により、照射エネルギー0.2J/cm2で紫外線を照射して硬化させて、インクのレベリング性の不足によるベタ部分の画像欠陥が無いかを目視にて評価した。結果を表3に示す。
◎・・・ベタ部が完全に着色し均一化
○・・・ベタ部にやや着色部の濃淡が観察できる
△・・・ベタ部が完全に着色せず被印刷基材が見える箇所がある。
×・・・ベタ部が完全に着色せず被印刷基材が見えて、容易に画像欠陥が視認される。
以下に実施例1〜6、比較例1〜12で作製した活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物を使用して、非吸収性媒体上に画像を形成して画質の評価を行った。
評価においては、有機変性シリコーンアクリレート(B)と(メタ)アクリロイル基と、ビニルエーテル基を有する化合物(E)の配合状況を共通とする実施例1〜実施例4(インクセット1)、実施例5と6(インクセット2)、比較例1〜比較例4(インクセット3)、比較例5〜比較例8(インクセット4)、比較例9と10(インクセット5)、比較例11と12(インクセット6)をそれぞれ同一グループとしてインクセットを想定した。以降混色発生状況の評価は、実際に混色発生の可能性を有する同一セットを構成する異なる色のインク同士の間で行った。
実施例1〜実施例4で作製したYellow1、Magenta1、Cyan1、Black1からなるインクセット1のうちYellow1とMagenta1を用いて、それらが近接して記録媒体上に吐出されたときの混色の発生状況について以下のように評価を行った。
5cm×5cmのPETフィルム(ルミラー250E22;東レ株式会社製)にインクセット1から選出した色違いの2種類のインク(例えばYwllow1(Y1)とMagenta1(M1))をマイクロピペットで同時に50μlずつ、スピンコータの回転中心となる位置から1cmの一定距離を置いて滴下した。このとき両滴下位置と回転中心とが一直線となるようにする。二つのインクの滴下地点の中点を回転中心としてスピンコータにて6000回転の定常回転速度で10秒間かけて同時塗布し、塗膜を展延した。このようにして、図1に示すように、回転中心Pの両側で滴下された2色のインクは、それぞれの滴下位置A、Bを中心として両側でそれぞれ広がり、回転中心を通過する境界を有する膜厚2μmの塗膜を形成した。これをコンベア式紫外線照射装置(日本電池製メタルハライドランプ1灯:出力120W/cm)で紫外線を照射して硬化させた。
硬化数時間後、境界線から1cmの元の滴下位置のところをYellow1側とMagenta1側とでそれぞれ測色し、L*’、a*’、b’値を求め、元の混色のない色L*、a*、b*との色差ΔEを求めた。境界線を挟んで両側のΔEを足し合わせ、混色指標とした。
Yellow1のインクとMagenta1のインクにおいて、それぞれの塗膜の試験前の側色値がL*y,a*y,b*yとL*m,a*m,b*mであるとき、スピンコータにて上記方法で同時塗布後のそれぞれの測定点における測定値を以下L*y’,a*y’,b*y’*とL*m’,a*m’,b*m’とすると、混色指標は以下のK=ΔEtotal/ΔEymで表される。
混色前のY1とM1の距離:
ΔEym=SQRT((L*y−L*m)2+(a*y−a*m)2+(b*y−b*m)2)
Y1の混色前後の距離:
ΔEy=SQRT((L*y−L*y’)2+(a*y−a*y’)2+(b*y−b*y’)2)
M1の混色前後の距離:
ΔEm=SQRT((L*m−L*m’)2+(a*m−a*m’)2+(b*m−b*m’)2)
ΔEtotal=ΔEm+ΔEy
混色指標:K=ΔEtotal/ΔEym
混色が発生しなければ上記混色指標Kはゼロとなり、混色の度合いが大きくなるに従い1に近づく。
さらにスピンコータにて塗布後の境界線の状況の目視評価を下記評価基準にて行った。 ◎・・・境界線の乱れなし。
○・・・境界線の乱れがわずかにあるが、ルーペ無しでは判らない。
△・・・ルーペなしでも僅かな乱れが判る。
×・・・ルーペ無しの肉眼で、境界線の乱れがはっきり判る。
評価結果を表4に示す。
インクセット1から表4に記載のような組み合わせで各色インクを選別し実施例7−1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例8−1)
Magenta2、Cyan2からなるインクセット2を用いて実施例7−1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(比較例13−1〜比較例13−6)
Yellow3、Magenta3、Cyan3、Black3からなるインクセット3を用い、表4に記載のような組み合わせで各色インクを選別し、実施例7−1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(比較例14−1〜比較例14−6)
Yellow4、Magenta4、Cyan4、Black4からなるインクセット4を用い、表4に記載のような組み合わせで各色インクを選別し、実施例7−1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
(比較例15−1)
Magenta5、Cyan5からなるインクセット5を用いて実施例7−1と同様の評価を行った。
結果を表4に示す。
(比較例16−1)
Magenta6、Cyan6からなるインクセット6を用いて実施例7−1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
一つのインクセットから選出した色違いの2種類のインクを、インクジェットプリンター(コニカミノルタ製インクジェット試験機EB100)により、非吸収性の被印刷基材としてPETフィルム(ルミラー250E22;東レ株式会社製)を用い、評価用プリンタヘッドKM512L(吐出量42pl)を用いて、2色の隣接領域を有するテストパターンを印刷したのち、コンベア式紫外線照射装置(日本電池製メタルハライドランプ1灯:出力120W/cm)により、照射エネルギー0.2J/cm2で紫外線を照射して硬化させて、混色度合いを目視にて以下の評価基準で評価した。評価結果を表4に示す。
◎・・・テストパターンの細部が明確に印刷された。
○・・・テストパターンの細部に僅かな乱れがあるが、ルーペ無しではわからない。
△・・・テストパターンの細部における乱れが、ルーペ無しでも認識される。
×・・・テストパターン中に混色が発生した箇所が認められる。
一方比較例13−1〜比較例13−6におけるインクセット3を構成するインク組成物間では、これらインクが有機変性シリコーンアクリレートを含有していないため、これらインク同士の混色は抑制することができない。一方比較例14−1〜比較例14−6におけるインクセット4を構成するインク組成物間においては、有機変性シリコーンアクリリエート(B)と有機変性シリコーンアクリレート(F)を含有し、良好な混色抑制機能を有する。しかし、インクセット4を構成するインク組成物は、(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する活性エネルギー線硬化性化合物を含んでいないため、表3から明らかな様に塗膜の硬化性、接着性に劣っている。このためメタルハライドランプを用いた場合には硬化性に影響が出ないものの、LEDランプを用いた場合には、硬化時間がより多く必要となり混色が効果的に抑えられなくなる可能性がある。
さらに比較例15におけるインクセット5においては、有機変性シリコーンアクリレート(F)のみを含有しているため表3のベタ部造膜性の評価結果からわかるように、良好なレベリング性を有してはいるが、混色抑制機能は大幅に劣る結果となる。また比較例16におけるインクセット6においては、有機変性シリコーンアクリレートを有するが、側鎖にポリオキシアルキレン基を有しておらず、実施例に示されるような良好な混色抑制効果を発揮することができない。また有機変性シリコーンアクリレート(F)のような良好なレベリング性を有していない。このため表3から明らかな様なベタ部の造膜性に劣り均一な画像を形成することが困難となっている。
A インク滴下位置
B インク滴下位置
Claims (6)
- 顔料(A)、及びラジカル重合開始剤(D)を含有する活性エネルギー線硬化性インクであって、
一般式(1)で表される有機変性シリコーンアクリレート(B)、
(1)
(式(1)において、Aは末端に(メタ)アクリロイル基を有したポリオキシアルキレン基を表し、該ポリオキシアルキレン基の一部は末端に(メタ)アクリロイル基を有さず、換わりにヒドロキシル基を有していても良く、cは0〜5の整数を表し、mおよびnは1以上の整数を表す。)
一般式(3)で表される有機変性シリコンアクリレート(F)
(3)
(式(3)において、Bは水酸基を置換基として有していても良く、末端に(メタ)アクリロイル基を有する炭素数2〜6のアルキル基であり、dは0〜5の整数を表し、m及びnは1以上の整数を表す。)、
及び前記シリコーンアクリレート以外の活性エネルギー線硬化性化合物(C)として(メタ)アクリロイル基と、ビニルエーテル基を有する化合物(E)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物。 - 前記有機変性シリコーンアクリレート(B)と前記有機変性シリコーンアクリレート(F)の含有量は、活性エネルギー線硬化性インク組成物中に合計で0.1〜1.3質量%である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物。
- 前記(メタ)アクリロイル基と、ビニルエーテル基を有する化合物(E)は、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物。
- 前記(メタ)アクリロイル基と、ビニルエーテル基とを共に有する化合物(E)の含有量は全重合性モノマーの総和の25〜50質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物。
- 顔料の異なる2種以上の前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性インクジェット記録用インク組成物からなるインクセット。
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