JP5372283B1 - 装飾用蒸着フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 極めて薄い厚さで光沢の有る黒色膜が得られ、各種製品の外観に高級感のある黒色の意匠を施すことができる装飾用蒸着フィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 高分子フィルム上にチタン蒸着膜を備えた装飾用蒸着フィルムであって、前記チタン蒸着膜は、その表面部または前記高分子フィルムとの界面部のどちらか一方または両方を黒色層としたものであり、前記黒色層は、前記チタン蒸着膜の形成時において、前記高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜を黒色にしたものであることを特徴とする装飾用蒸着フィルム、およびその製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、装飾用蒸着フィルムおよびその製造方法に関し、特に、携帯電話等のポータブル情報機器や映像機器等の各種家電製品、自動車内装用部品などの外観に、黒色の意匠を施すために用いられる装飾用蒸着フィルムおよびその製造方法に関する。
従来、携帯電話等のポータブル情報機器や映像機器等の各種家電製品、自動車内装用部品などにおいては、その製品に高級感を付与する等の目的で、いわゆる漆黒調と呼ばれる光沢のある黒色の意匠を施すことが行われている。
成形品の表面に光沢のある黒色の意匠を施す手段としては、黒色顔料を含んだ黒色塗料を用いて塗装を行ない、黒色塗膜の乾燥後、光沢を付与するために、黒色塗膜上にさらにクリアー塗装を行なう方法がある。また、塗装法の代替として、透明フィルム表面に黒色の塗膜が形成された黒色装飾用フィルムを用い、透明フィルム側を表にして成形品に一体化する方法も行われている。
例えば、特許文献1には、透明フィルムに、特定の特性を有するカーボンブラックを分散した黒色インクを用いて形成した黒色の塗膜層を有する加飾用フィルム、および透明フィルムと黒色の裏打ちフィルムを熱圧着させた加飾用フィルムが開示され、さらに、これらを用いた漆黒感を有する加飾成形品の製造方法が、開示されている。
特開2002−292798号公報
しかしながら、上記の特許文献1に開示のような、黒色塗料の塗膜層あるいは黒色の裏打ちフィルムを透明フィルムに設けた加飾用フィルムは、黒色塗膜層の膜厚が非常に厚いため、塗膜層の有無による段差が大きく、この段差が問題となる。つまり、部分的に黒色塗膜層を設ける意匠の用途においては、段差による手触り感の低下の問題のほかに、例えば、ポータブル情報機器の液晶画面の透明窓部の周囲に、黒色塗膜層の窓枠部として部分的に設けて使用した場合、黒色塗膜層の有無による段差のために、液晶画面と加飾用フィルムとを貼り合わせる粘着剤に気泡が混入し、画面の表示性能が低下するという課題があり、また、粘着剤の厚みを十分に厚くしなければ、段差による気泡の解消が困難であるという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するもので、極めて薄い厚さで光沢の有る黒色膜が得られ、膜の有無による段差の問題が解決できるとともに、各種製品の外観に高級感のある黒色の意匠を施すことができる装飾用蒸着フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の装飾用蒸着フィルムは、高分子フィルム上にチタン蒸着膜を備えた装飾用蒸着フィルムであって、前記チタン蒸着膜は、膜厚が150〜500nmの範囲であり、その表面部または前記高分子フィルムとの界面部のどちらか一方または両方を黒色層としたものであり、前記黒色層は、前記チタン蒸着膜の形成時において、真空度が1.0×10 −2 Pa〜5.0×10 −2 Paの範囲になるように前記高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜を黒色にしたものであることを特徴とする。
そして、本発明の装飾用蒸着フィルムの製造方法は、高分子フィルムを連続走行させるとともに、チタンを蒸発材料として蒸発源からのチタン原子を付着堆積させることにより、前記高分子フィルムの表面にチタン蒸着膜を形成するものであり、前記チタン蒸着膜の形成時において、真空度が1.0×10 −2 Pa〜5.0×10 −2 Paの範囲になるように前記高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜を黒色にすることにより、前記チタン蒸着膜の表面部または前記高分子フィルムとの界面部のどちらか一方または両方を黒色層とすることを特徴とする。
本発明の装飾用蒸着フィルムによれば、チタン蒸着膜を黒色にして装飾用の黒色の皮膜を形成しているので、極めて薄い厚さで光沢の有る黒色膜が得られ、膜の有無による段差の問題が解決できるとともに、各種製品の外観に高級感のある黒色の意匠を施すことができる装飾用蒸着フィルムとなる。
そして、本発明の装飾用蒸着フィルムの製造方法によれば、高分子フィルムを走行させるロールトゥロール方式の蒸着方法であるので、比較的簡易な方法で、各種製品の外観に高級感のある黒色の意匠を施す用途に適した装飾用フィルムを、生産性良く、安価に製造することができる。
実施例における装飾用蒸着フィルムを製造するための蒸着装置の概略構成図である。
以下、本発明の装飾用蒸着フィルムおよびその製造方法について詳細に説明する。
本発明の装飾用蒸着フィルムは、高分子フィルム上にチタン蒸着膜を備えた装飾用蒸着フィルムであって、前記チタン蒸着膜は、その表面部または前記高分子フィルムとの界面部のどちらか一方または両方を黒色層としたものであり、前記黒色層は、前記チタン蒸着膜の形成時において、前記高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜を黒色にしたものである構成としたものである。本発明の装飾用蒸着フィルムについて、以下に、これらの構成毎に順に説明する。
本発明の装飾用蒸着フィルムの基材となる高分子フィルムとしては、可視光に対して透明な高分子フィルムを用いる。具体的な高分子樹脂の種類としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)等が挙げられる。これらうち、耐熱性、機械的強度に優れ、安価でかつ透明性と柔軟性も兼ね備えている等の観点から、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。高分子フィルムの厚さは12〜200μmの範囲が好ましい。
また、高分子フィルムの表面には、蒸着膜の接着性を向上させるために、予め、コロナ放電処理、プラズマ処理などの表面処理を施してもよく、共重合ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等の易接着層を設けてもよい。
次に、本発明の装飾用蒸着フィルムにおけるチタン蒸着膜について、詳細に説明する。本発明の装飾用蒸着フィルムにおいては、高分子フィルム上に形成されたチタン蒸着膜が、特に重要であり、このチタン蒸着膜は、蒸着膜の形成時において、高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して蒸着膜を黒色にした黒色層を備えている。そして、この黒色層は、極めて微細な針状結晶の蒸着膜として形成されているため、外観として光沢の有る黒色を呈する。本発明の装飾用蒸着フィルムにおけるチタン蒸着膜の黒色層の黒色度は、JIS Z8729準拠のL表色系で、L値が50以下、a値が−3.0〜+3.0、b値が−3.0〜+3.0の黒色である。
そして、上記の黒色層は、チタン蒸着膜の表面部またはチタン蒸着膜と高分子フィルムとの界面部のどちらか一方または両方に形成する。チタン蒸着膜の膜厚は、目的、用途に応じて適宜設定されるが、150nm以上であれば十分な黒色度が得られ、500nm以下であればチタン蒸着膜の有無による段差の問題も少ないので、チタン蒸着膜の膜厚は、特に150〜500nmの範囲が好ましい。
黒色層をチタン蒸着膜と高分子フィルムとの界面部に形成するには、チタン蒸着膜を形成する蒸着の開始に際して、高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入することにより、チタン蒸着膜と高分子フィルムとの界面部を黒色層とすることができる。このチタン蒸着膜と高分子フィルムとの界面部を黒色層とした装飾用蒸着フィルムは、高分子フィルム側からの観察では黒色に見え、チタン蒸着膜側からの観察では金属光沢を持った金属チタン色に見える。したがって、外観に黒色の意匠を施す用途としては、高分子フィルム側から観察される製品に適し、また、表面が高分子フィルムであるため、耐久性に優れる。
黒色層をチタン蒸着膜の表面部に形成するには、チタン蒸着膜を形成する蒸着の終了に際して、高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入することにより、チタン蒸着膜の表面部を黒色層とすることができる。このチタン蒸着膜の表面部を黒色層とした装飾用蒸着フィルムは、高分子フィルム側からの観察では金属チタン色に見え、チタン蒸着膜側からの観察では黒色に見える。したがって、外観に黒色の意匠を施す用途としては、チタン蒸着膜側から観察される製品に適する。また、チタン蒸着膜の上にハードコート層などを設けることにより、耐久性を高めることができる。
黒色層を、チタン蒸着膜と高分子フィルムとの界面部およびチタン蒸着膜の表面部の両方に形成するには、チタン蒸着膜を形成する蒸着の開始および終了に際して、高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入することにより、チタン蒸着膜と高分子フィルムとの界面部およびチタン蒸着膜の表面部の両方を黒色層とすることができる。この装飾用蒸着フィルムは、高分子フィルム側からの観察またはチタン蒸着膜側からの観察のどちらでも、黒色に見える。したがって、外観に黒色の意匠を施す用途としては、限定されず、高分子フィルム側またはチタン蒸着膜側のどちらから観察される製品でもよい。
また、本発明の装飾用蒸着フィルムにおいては、黒色層を備えたチタン蒸着膜を、部分的に設けることができる。つまり、製品の外観として部分的に黒色を設ける意匠の用途、例えば、ポータブル情報機器の液晶画面の透明窓部の周囲に、黒色の窓枠部として部分的に設けて使用される用途の場合には、高分子フィルム上に黒色層を備えたチタン蒸着膜を部分的に形成する。
黒色層を備えたチタン蒸着膜を部分的に形成する方法としては、公知の方法を適宜選択して用いることができる。例えば、黒色層を備えたチタン蒸着膜を全面に形成した後にエッチングして部分的に形成する方法、水または溶剤溶解性の材料をパターン印刷して遮蔽マスクとして用い、黒色層を備えたチタン蒸着膜を形成した後に遮蔽マスクを溶解除去して行なうリフトオフ法による方法等が挙げられる。
なお、本発明の装飾用蒸着フィルムを用いて黒色の意匠が施される被加飾の製品は、特に限定されない。また、被加飾の素材も限定されず、木材、金属、樹脂成形品など何れでもよい。そして、本発明の装飾用蒸着フィルム用いて黒色の意匠を施す加飾の方法としては、接着材を用いて被加飾の素材に貼り付ける方法や、被加飾の素材が樹脂の場合には、射出成形と同時に加飾する成形同時加飾法を用いて加飾樹脂成形品を得る方法がある。
本発明の装飾用蒸着フィルムを用いて、樹脂成形品に黒色の意匠を形成する成形同時加飾法は、例えば、次のようにして行う。まず、可動型と固定型とからなる成形用金型内に、本発明の装飾用蒸着フィルムを高分子フィルム側が金型キャビティに面するように金型内に配置する。そして、成形用金型を閉じた後、ゲートから成形樹脂を金型内に射出充填させ、樹脂を固化して樹脂成形品を成形するとともに、その表面に装飾用蒸着フィルムを接着させる。樹脂成形品を冷却した後、成形用金型を開いて樹脂成形品を取り出す。以上により、成形同時加飾工程が完了し、樹脂成形品の表面に黒色の意匠を形成した加飾樹脂成形品が得られる。
以下に、本発明の装飾用蒸着フィルムおよびその製造方法について、実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
図1は、本発明の実施例における装飾用蒸着フィルムを製造するための蒸着装置の概略構成図である。以下に、図1の蒸着装置の構成の概要とともに、本実施例1における装飾用蒸着フィルムの製造方法について、説明する。
図1の蒸着装置において、真空槽20は、フィルム走行室21と蒸着室22とが仕切り板23により分離されている。フィルム走行室21は真空弁24、排気管25を経て図示していない真空排気ポンプにより5.0×10−3Pa以下に排気される。蒸着室22も真空弁26、排気管27を経て図示していない真空排気ポンプによりフィルム走行室21と同様に5.0×10−3Pa以下排気される。
本実施例1では、装飾用蒸着フィルムの基材となる高分子フィルムとして、厚さ12μm、幅500mm、長さ1000mのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。このPETフィルム29を、巻き出し軸28と巻き取り軸36間にセットし、巻き出し軸28から巻き取り軸36に連続して走行させる。
巻き出し軸28から巻き出されたPETフィルム29は、フリーロール30、31を経て−20℃に冷却された蒸着ドラム32の外周に沿って、蒸着ドラム32と同期して回転方向Cに走行する。この走行時の蒸着室22を通過する際にPETフィルム29の表面に蒸着膜が形成され、蒸着フィルム33となりフリーロール34、35を経て巻き取り軸36に巻き取られる。
チタン蒸着膜の形成は、蒸着ドラム32の下方にセットされた蒸発源容器37内にチタン材料38を入れて、加熱源39からの電子ビーム40をチタン材料38に照射し、チタン材料38を加熱、溶解、蒸発させてチタン蒸発原子41を蒸着ドラム32の外周に沿って蒸着ドラム32と同期して走行するPETフィルム29の表面に差し向け、PETフィルム29の表面にチタン蒸着膜を形成する。
チタン蒸着膜の形成条件として、チタン蒸発原子41のPETフィルム29に対する入射角が、蒸着膜の初期入射部分44で+90°に、蒸着膜の後期入射部分45で−90°になるように装置を構成した。また、チタン蒸着時に蒸着ドラム32の近傍に窒素ガスを流入するために、チタン蒸発原子41の入射角が+90°である初期入射部分44近傍にガスノズル42を、チタン蒸発原子41の入射角が−90°である後期入射部分45近傍にガスノズル43を配置した。
上記のように構成した図1の蒸着装置を用い、以下のようにして、本実施例1における装飾用蒸着フィルムを作製した。実施例1においては、蒸着ドラム32と同期して走行するPETフィルム29の表面にチタン蒸着膜を形成するに際して、チタン蒸発原子41の蒸着中に、ガスノズル43から純度が99%以上の窒素ガス47を後期入射部分45に向けて真空度が1.0×10−2Pa〜5.0×10−2Paの範囲になるように流入した。つまり、チタン蒸着膜の形成の終了に際して窒素ガスを流入した。形成したチタン蒸着膜の膜厚は、282nmであった。なお、膜厚は、蛍光X線法により確認した。以上により、PETフィルム29上にチタン蒸着膜を備え、このチタン蒸着膜の表面部を黒色層とした、実施例1における装飾用蒸着フィルムを得た。
そして、この実施例1の装飾用蒸着フィルムのチタン蒸着膜の黒色層について、チタン蒸着膜の表面部側からの黒色度を測定した。測定は、JIS Z8722準拠し、色彩計(コニカミノルタ株式会社製、CM−3600A)を用いて、光源の視野角10度、測定径25.4mmで分光反射率を測定し、D65光源に対する反射色をJIS Z8729準拠のL表色系で評価した。測定結果は、L値が38.7、a値が−1.3、b値が−1.8の黒色であった。
〈実施例2〉
実施例2における装飾用蒸着フィルムは、実施例1と同様に、上記のように構成した図1の蒸着装置を用い、以下のようにして作製した。実施例2においては、蒸着ドラム32と同期して走行するPETフィルム29の表面にチタン蒸着膜を形成するに際して、チタン蒸発原子41の蒸着中に、ガスノズル42から純度が99%以上の窒素ガス46を初期入射部分44に向けて真空度が1.0×10−2Pa〜5.0×10−2Paの範囲になるように流入した。つまり、チタン蒸着膜の形成の開始に際して窒素ガスを流入した。形成したチタン蒸着膜の膜厚は、189nmであった。以上により、PETフィルム29上にチタン蒸着膜を備え、このチタン蒸着膜のPETフィルム29との界面部を黒色層とした、実施例2における装飾用蒸着フィルムを得た。
そして、この実施例2の装飾用蒸着フィルムのチタン蒸着膜の黒色層について、PETフィルム29側からの黒色度を測定した。測定は、実施例1と同様にして行った。測定結果は、L値が32.9、a値が+0.6、b値が−0.7の黒色であった。
〈実施例3〉
実施例3における装飾用蒸着フィルムは、実施例1と同様に、上記のように構成した図1の蒸着装置を用い、以下のようにして作製した。実施例3においては、蒸着ドラム32と同期して走行するPETフィルム29の表面にチタン蒸着膜を形成するに際して、チタン蒸発原子41の蒸着中に、ガスノズル42から純度が99%以上の窒素ガス46を初期入射部分44に向けて流入するとともに、ガスノズル43から純度が99%以上の窒素ガス47を後期入射部分45に向けて流入した。つまり、チタン蒸着膜の形成の開始および終了に際して窒素ガスを流入した。蒸着室の真空度は、2.0×10−2Pa〜5.0×10−2Paの範囲になるように窒素ガス46、47の流入量を制御した。形成したチタン蒸着膜の膜厚は、278nmであった。以上により、PETフィルム29上にチタン蒸着膜を備え、このチタン蒸着膜の表面部、およびPETフィルム29との界面部の両方を黒色層とした、実施例3における装飾用蒸着フィルムを得た。
そして、この実施例3の装飾用蒸着フィルムのチタン蒸着膜の黒色層について、PETフィルム29側からの黒色度、およびチタン蒸着膜の表面部側からの黒色度を測定した。測定は、実施例1と同様にして行った。測定結果は、PETフィルム29側からの黒色度が、L値が34.7、a値が0.0、b値が−2.0であり、チタン蒸着膜の表面部側からの黒色度が、L値が44.5、a値が−1.7、b値が−0.9の黒色であった。
本発明に係る装飾用蒸着フィルムは、チタン蒸着膜を黒色にして装飾用の黒色の皮膜を形成しているので、極めて薄い厚さで光沢の有る黒色膜が得られ、膜の有無による段差の問題が解決できるとともに、各種製品の外観に高級感のある黒色の意匠を施すことができる装飾用蒸着フィルムとして、産業上有用である。
20 真空槽
21 フィルム走行室
22 蒸着室
23 仕切り板
24、26 真空弁
25、27 排気管
28 巻き出し軸
29 PETフィルム
30、31、34、35 フリーロール
32 蒸着ドラム
33 蒸着フィルム
36 巻き取り軸
37 蒸発源容器
38 チタン材料
39 加熱源
40 電子ビーム
41 チタン蒸発原子
42、43 ガスノズル
44 初期入射部分
45 後期入射部分
46、47 窒素ガス

Claims (8)

  1. 高分子フィルム上にチタン蒸着膜を備えた装飾用蒸着フィルムであって、前記チタン蒸着膜は、膜厚が150〜500nmの範囲であり、その表面部または前記高分子フィルムとの界面部のどちらか一方または両方を黒色層としたものであり、前記黒色層は、前記チタン蒸着膜の形成時において、真空度が1.0×10 −2 Pa〜5.0×10 −2 Paの範囲になるように前記高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜を黒色にしたものであることを特徴とする装飾用蒸着フィルム。
  2. チタン蒸着膜の形成の開始に際して、高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜の前記高分子フィルムとの界面部を黒色層としたものであることを特徴とする請求項1に記載の装飾用蒸着フィルム。
  3. チタン蒸着膜の形成の終了に際して、高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜の表面部を黒色層としたものであることを特徴とする請求項1に記載の装飾用蒸着フィルム。
  4. チタン蒸着膜の形成の開始および終了に際して、高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜の表面部および前記高分子フィルムとの界面部を黒色層としたものであることを特徴とする請求項1に記載の装飾用蒸着フィルム。
  5. 高分子フィルムを連続走行させるとともに、チタンを蒸発材料として蒸発源からのチタン原子を付着堆積させることにより、前記高分子フィルムの表面にチタン蒸着膜を形成するものであり、前記チタン蒸着膜の形成時において、真空度が1.0×10 −2 Pa〜5.0×10 −2 Paの範囲になるように前記高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜を黒色にすることにより、前記チタン蒸着膜の表面部または前記高分子フィルムとの界面部のどちらか一方または両方を黒色層とすることを特徴とする装飾用蒸着フィルムの製造方法。
  6. チタン蒸着膜の形成の開始に際して、高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜の前記高分子フィルムとの界面部を黒色層とすることを特徴とする請求項5に記載の装飾用蒸着フィルムの製造方法。
  7. チタン蒸着膜の形成の終了に際して、高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜の表面部を黒色層とすることを特徴とする請求項5に記載の装飾用蒸着フィルムの製造方法。
  8. チタン蒸着膜の形成の開始および終了に際して、高分子フィルムの表面近傍に窒素ガスを流入して、前記チタン蒸着膜の表面部および前記高分子フィルムとの界面部を黒色層とすることを特徴とする請求項5に記載の装飾用蒸着フィルムの製造方法。
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