JP5365837B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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モータが有するステータ及びロータの一方に備えられるコイルの温度に応じて、モータの出力トルクを制御してコイルの発熱を抑制するモータ制御装置に関する。
従来、様々な機器に亘って、駆動用の動力源の一つとしてモータが用いられている。このようなモータに対しては、大きな出力が要求されることが多々あることから、モータの各部、特にコイルや永久磁石からの発熱量が大きくなってしまう。このようなモータの発熱の原因には、銅損や鉄損が含まれる。銅損はコイルに電流を流すと、その電流の大小に拘らず常に発生する損失であり、コイルに流れる電流の2乗に比例して増加する。一方、鉄損は、ヒステリシス損とうず電流損とからなり、磁性材料を交番磁界の中においた際に発生する損失である。ヒステリシス損は、鉄心の磁区が交番磁界によって磁界の向きを変えるときの損失であり、うず電流損は導体の内部において磁束が変化しているところで発生するうず電流に起因する損失である。これらの損失が熱エネルギー、即ちジュール熱として発散されるため、モータのコイルや永久磁石が発熱することとなる。
このような発熱が過度に進行すると、コイルにおいては、コイルの導線を互いに絶縁する絶縁ワニスや各相コイル間を互いに絶縁する絶縁紙が絶縁破壊する可能性がある。このため、モータを過度の発熱から保護する技術がある(例えば、特許文献1及び2)。
特許文献1に記載の洗濯機は、当該洗濯機を駆動するモータの温度を検知するモータ温度検知手段を備えている。そして、モータ温度検知手段により検知された検知温度を所定の基準値と比較し、検知温度が第1の基準値より低くなった場合に運転を一時停止する。また、一時停止中の検知温度が第2の基準値よりも低くなった場合には運転を再開する。
また、特許文献2に記載の電動パワーステアリング用コントロールユニットは、モータの過度の熱からモータを保護するために、過熱保護機能を備えている。この過熱保護機能は、モータの端子間電圧と、モータ電流とに基づいて、モータへ供給する最大電流値を制限している。モータの電機子抵抗は温度上昇に伴い高くなる傾向がある。このため、モータ温度を検出するセンサを用いることなく、モータの相対温度変化の推定が可能となる。
特開平9−253380号公報 特開平8−133107号公報
上述のように、特許文献1に記載の洗濯機は、モータの温度を検知するためにモータ温度検知手段が必要となる。このようなモータ温度検知手段を備えると、コストアップの要因となってしまう。また、モータ温度検知手段を配設する配設スペースが必要となることから、装置が大型化してしまう。また、検知温度に応じて、モータの負荷状態によっては、モータの運転の停止と再開とを繰り返すことになり、適切に運転することができない。即ち、洗濯機が運転と停止とを繰り返すON−OFF制御のみであり、運転時の出力を低減させて(例えば、出力を半減させて)運転状態を継続させることは不可能である。
また、特許文献2に記載の電動パワーステアリング用コントロールユニットでは、モータの相対温度変化の推定は可能であるが、温度を検出する温度センサを備えていないため、雰囲気温度を把握することはできない。したがって、モータの絶対温度を検知することはできない。また、特に、電機子の抵抗値を算出するにあたり、モータの運転開始直後のみ(運転開始後1回目のフローでのみ)、モータ端子間電圧をモータ電流で除して演算していることから、モータの運転に応じて変化するインダクタンス成分は考慮されていない。したがって、演算結果の精度が高くないため、モータ制御において信頼性の高い制御を行うことが不可能である。即ち、演算結果の精度が高くないため、状況によっては、モータの温度が高くなっているにも拘らず、モータが継続して運転される可能性がある。
本発明の目的は、上記問題に鑑み、コストアップすることなく、かつ、信頼性の高い制御を行うことが可能なモータ制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るモータ制御装置の特徴構成は、モータを制御対象とし、直流電圧を交流電圧に変換する周波数変換部と、前記周波数変換部が有するスイッチング素子をPWM制御によって制御するPWM制御部と、前記PWM制御により前記モータが有するステータ及びロータの一方に備えられるコイルに印加する電圧指令値と、当該電圧指令値に対応する電圧を前記コイルに印加した際に流れるコイル電流とに基づいて、前記コイルの抵抗値を演算するコイル抵抗演算部と、前記コイルの抵抗値に基づいて、前記コイルの温度推定値を演算するコイル温度推定部と、前記温度推定値に基づいて、前記モータの出力トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出部と、を備える点にある。
このような特徴構成とすれば、コイルの抵抗値を検出する際に、コイルの抵抗成分だけでなくコイル電流に応じて変化するリアクタンス成分を考慮してコイルの抵抗値を演算することができる。このため、コイルの温度を精度良く推定することが可能となるため、温度検出手段を用いる必要がない。したがって、コストアップすることなく、かつ、信頼性の高い制御を行うことが可能なモータ制御装置を実現することができる。
また、このような構成とすれば、コイルの温度推定値に応じてモータの出力トルクを制限することができる。したがって、コイルの熱破壊を防止することができると共に、コイルを熱暴走から保護することが可能となる。
また、前記モータが3相モータであり、前記コイル温度推定部が、前記3相モータの3相各相のコイルの温度推定値を演算し、前記温度推定値の中から最高温度を抽出する最高温度抽出部を備え、前記トルク制限値算出部が、前記最高温度に基づいて前記トルク制限値を算出すると好適である。
このような構成とすれば、3相各相のコイルの温度推定値のうち、最も高い温度に基づいて3相モータの出力トルクを制限することが可能となる。したがって、3相各相のコイルを適切に保護することが可能となる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ここで、本発明に係るモータ制御装置100は、モータが有するステータ及びロータの一方に備えられるコイルの温度に応じて、当該モータの出力トルクを制御してコイルの発熱を抑制する機能を備えている。本実施形態では、モータは3相モータであり、コイルがステータに備えられている場合の例として説明する。このため、本実施形態においては、特に断りが無い限り、コイルはステータコイルと同義であるとして用いる。このように、本発明に係るモータ制御装置100は、3相モータ7を制御することとなる。
図1は、本発明のモータ制御装置100の構成を示す概略図である。本モータ制御装置100は、トルク制限値算出部1、トルク−電流変換部2、電流制御部3、逆座標変換部4、PWM制御部5、周波数変換部6、3相モータ7、回転角演算部8、座標変換部9、コイル抵抗演算部10、コイル温度推定部11、最高温度抽出部12を備えて構成される(詳細は後述する)。
図2は、特に、PWM制御部5と周波数変換部6と3相モータ7との構成を示した図である。3相モータ7は、図示はしないが、永久磁石を備えるロータと、当該ロータに回転力を与えるための磁界を発生させるステータとを備える。このステータは、U相、V相、W相の3相のステータコイル7u、7v、7wを備える。各ステータコイルの一端は、電気的に中性な中性点で共通に接続され、Y結線される。各ステータコイルの他端は、周波数変換部6に接続される。
周波数変換部6は、3相モータ7を制御対象とし、直流電圧を交流電圧に変換する。直流電圧は、周波数変換部6に接続される電源20から供給される。図2に示されるように、周波数変換部6は、電源20の正電圧側に接続されたハイサイドのトランジスタQ1、Q3、Q5と、電源20の負電圧側に接続されたローサイドのトランジスタQ2、Q4、Q6と、の合計6つのトランジスタQ1〜Q6で構成される。例えば、トランジスタQ1及びトランジスタQ4のみを同時にオンさせると、電源20から第1電源ライン21、トランジスタQ1、ステータコイル7v、ステータコイル7w、トランジスタQ4を介して第2電源ライン22に電流が流れる。一方、トランジスタQ3及びトランジスタQ2のみを同時にオンさせると、電源20から第1電源ライン21、トランジスタQ3、ステータコイル7w、ステータコイル7v、トランジスタQ2を介して第2電源ライン22に電流が流れる。このように、周波数変換部6は、電源20の出力を交流電圧に変換する。
また、トランジスタQ1及びトランジスタQ4のみをオンさせた場合と、トランジスタQ3及びトランジスタQ2のみをオンさせた場合とでは、ステータコイル7v及びステータコイル7wに流れる電流の方向が異なる。そのため、各ステータコイルには電流の流れる方向に応じた電磁力が働き、当該電磁力とロータが備える永久磁石との間で引力及び斥力が発生することとなる。したがって、トランジスタQ1〜Q6の中から選択されたハイサイドのトランジスタとローサイドのトランジスタとで形成される上下対トランジスタを順次オンさせることにより、ロータが回転力を得ることができる。
尚、トランジスタQ1〜Q6には、コレクタ端子にカソード端子が、またエミッタ端子にアノード端子が接続されるように夫々ダイオードD1〜D6が配設されている。ここで、各ステータコイルには、通電中にエネルギーが蓄えられるが、これらのダイオードD1〜D6は各ステータコイルの通電を停止した際に当該エネルギーに起因して発生する逆起電力によって周辺部品に悪影響を及ぼさないようにするために配設されるものである。
このようなトランジスタQ1〜Q6に対する一連の制御は、PWM制御部5により行われる。PWM制御部5は、詳細は後述するが、トルク制限値算出部1、トルク−電流変換部2、電流制御部3、逆座標変換部4、座標変換部9、コイル抵抗演算部10、コイル温度推定部11、最高温度抽出部12と共に、ECU50により構成される(図1参照)。PWM制御部5は、周波数変換部6が有するスイッチング素子をPWM(Pulse Width Modulation)制御によって制御する。周波数変換部6が有するスイッチング素子とは、本実施形態では、トランジスタQ1〜Q6が相当する。したがって、PWM制御部5は、周波数変換部6が有するトランジスタQ1〜Q6をPWM制御によって動作させる。
3相モータ7には、ロータの回転角を検出する位置センサ7aが備えられている。位置センサ7aは、ロータの回転角を電気角θに変換し、電気角θに応じた信号を出力する。回転角演算部8は、この出力された信号に基づいて3相モータ7の回転角を検出する。ECU50は、回転角演算部8が算出した回転角と、周波数変換部6及び各ステータコイルの間の電流とをモニタしている。尚、3相モータ制御装置100の全体構成から鑑みた場合には、上記モニタは、図1に示されるように各機能部を介して行われるが、閉ループであるためPWM制御に対して、何等問題が発生するものではない。
ECU50は、例えば、2.5Vや3.3V等の低電圧で動作するマイクロコンピュータによって構成される。そのため、トランジスタQ1〜Q6に流れる電流やトランジスタQ1〜Q6の電気的特性によっては、トランジスタQ1〜Q6をオンさせるためのドライブ能力が不足する虞がある。したがって、ECU50と周波数変換部6との間には、ECU50のPWM信号のドライブ能力を上げるドライバ51(図1においては図示せず)が配設されている。尚、ドライバ51は、ドライバICで構成しても良いし、トランジスタで組まれたプッシュプル回路で構成しても良い。もちろん、ECU50から出力されるPWM信号のドライブ能力が高い場合には、ドライバ51を備えずに構成することも当然に可能である。
図1に戻り、トルク制限値算出部1は、3相モータ7を回転するために必要な総トルクを算出し、目標トルクの出力を行う。この総トルクの算出は、回転角演算部8により算出された3相モータ7の回転角や最高温度抽出部12から出力される信号を帰還信号として用いて行われる。
ここで、本モータ制御装置100は、モータ電流iu、iv、iwを、3相モータ7のロータが有する永久磁石が発生する磁界の方向であるd軸及び当該d軸に直交するq軸のベクトル成分Id及びIqに座標変換を行って、3相モータ7の回転制御を行う。図3は、この座標変換の原理を示す図である。図3に示す3相モータでは、2極の永久磁石mを有するロータ7rを備え、ロータ7rの回転角と電気角θとが一致する。図3(a)はモータ電流(3相交流電流)波形と電気角θとの関係を示した図であり、図3(b)は図3(a)の時刻t1におけるロータ7rとステータ7sとの位置関係及び座標変換前後の電流ベクトルを示す図である。尚、図3(b)においては、ステータ7sのU相の磁極位置を基準として、ロータ7rの磁極位置となる電気角θが示されている。
図3(b)に示されるように、永久磁石mが発生する磁界の方向をd軸とし、当該d軸に直交する方向をq軸とする。図3(a)に示すように、ロータ7rの磁極位置に応じて、ステータコイル7u、7v、7wに3相交流電流iu、iv、iwを流すことにより、トルクが発生する。図3(a)の時刻t1での電気角θにおける電機子電流の総和を示すベクトルia(Ia)は、図3(a)よりW相電流(W相のモータ電流)iwが零であるため、U相電流(U相のモータ電流)iuとV相電流(V相のモータ電流)ivとのベクトル和となる。この電気角θにおける電流ベクトルiaをd軸及びq軸に対して分解すると、d軸電流Idとq軸電流Iqとが得られる。このように、3相のモータ電流iu、iv、iwは、d軸電流Idとq軸電流Iqとに座標変換される。
ここで、特に永久磁石埋め込み型の同期モータでは、ステータコイル7u、7v、7wから見たインダクタンスが、ロータ7rとの関係、即ち磁極位置との関係で変化する。磁極の方向であるd軸方向では、永久磁石が持つ透磁率の大きさの逆数に比例した磁気抵抗を持つために磁路が妨げられてしまう。一方、q軸方向では、透磁率が大きいケイ素鋼などの磁性体を通るため、磁気抵抗の値は永久磁石に比べると著しく小さくなり、磁路が妨げられにくくなる。そのため、q軸インダクタンスLqは、d軸インダクタンスLdよりも大きな値となる。ステータコイル7u、7v、7wから見てd軸及びq軸は磁極位置との関係で変化するので、ステータコイル7u、7v、7wから見たインダクタンスが変化することになる。
したがって、永久磁石によるマグネットトルク(主トルク)に加えて、q軸インダクタンスLqとd軸インダクタンスLdとの差によるリラクタンストルクも発生する。表面磁石型の同期モータなど、リラクタンストルクを積極的に利用しない場合には、Id=0とする制御を行うと効率が良い。しかし、永久磁石埋め込み型の同期モータなどでリラクタンストルクも利用する場合には、Id≠0とする制御を行う方が効率が良くなる。永久磁石埋め込み型の同期モータでは、図4で示されるd軸電流Idとq軸電流Iqとの電流位相角βにより最高効率を出す動作点が変わる((1)式参照)。
Figure 0005365837
3相モータ7の総合トルクTは、Pn:極対数、ψa:電機子の鎖交磁束、ia:電機子電流、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、β:電流位相角とすると、(2)式に示すトルク方程式よって表される。
Figure 0005365837
(2)式において、中括弧内の第1項がマグネットトルクを示し、第2項がリラクタンストルクを示す。また、図4から、下記(3)〜(5)式であることが明らかであるから、(2)式のトルク方程式は、下記(6)式のように表すこともできる。
Figure 0005365837
Figure 0005365837
Figure 0005365837
Figure 0005365837
このように、電機子電流Iaはd軸電流Idとq軸電流Iqとを含んでいる。従って、(2)式及び(6)式に示すトルク方程式は、鎖交磁束と、d軸及びq軸のインダクタンスと、d軸及びq軸の電流とを用いて3相モータ7のトルクを表す式であるということができる。このd軸電流Id及びq軸電流Iqは、座標変換部9により演算される。
図1に戻り、トルク−電流変換部2は、トルク制限値算出部1により算出された目標トルクから、d軸電流指令値Idr、q軸電流指令値Iqrを演算する。例えば、上記(2)式に示すトルク方程式は、電機子電流Iaの式に変形できる。トルク−電流変換部2は、目標トルクや他のパラメータを代入して変形後のトルク方程式を解き、位相角βによってベクトル分解することによってd軸電流指令値Idr及びq軸電流指令値Iqrを算出することが可能である。又は、(6)式からd軸電流指令値Idr及びq軸電流指令値Iqrを算出することも当然に可能である。
電流制御部3は、トルク−電流変換部2により算出されたd軸電流指令値Idr及びq軸電流指令値Iqrから、電圧方程式に基づいて、d軸の電圧指令値Vdr及びq軸の電圧指令値Vqrの算出を行う。d軸の電圧Vd及びq軸の電圧Vqを表す電圧方程式は、ψa:電機子の鎖交磁束、ω:角速度、Id:d軸電流、Iq:q軸電流、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、Ra:電機子抵抗、p:微分演算子として、以下の(7)式のように表される。
Figure 0005365837
(7)式は、鎖交磁束と、d軸及びq軸のインダクタンスを含む3相モータ7のステータコイルのインピーダンスと、d軸及びq軸の電流とを用いて3相モータ7を駆動する電圧を表す電圧方程式となっていることが明らかである。電流制御部3は、(7)式に示される電圧方程式に電流指令値Idr、Iqrや、他のパラメータを代入することによって、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqを算出する。算出されたd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqは、d軸電圧指令値Vdr及びq軸電圧指令値Vqrとして出力される。
逆座標変換部4は、電流制御部3によって算出されたd軸の電圧指令値Vdr及びq軸の電圧指令値Vqrを上述の座標変換とは逆の変換を行うことにより、3相電圧指令値vu、vv、vwに変換する。この逆の変換は、図3及び図4を用いて上述した座標変換の逆変換であるため、変換方法についての詳細な説明は省略する。
PWM制御部5は、上述のように、PWM制御を行うが、このPWM制御は、逆変換部4により3相電圧指令vu、vv、vwに基づいて、周波数変換部6のトランジスタQ1〜Q6を駆動するための駆動信号を生成して制御する。
本モータ制御装置100は、3相モータ7のコイルの温度に応じて、3相モータ7の駆動を制御して3相モータ7の発熱を抑制する機能を備えている。コイル抵抗演算部10は、PWM制御により3相モータ7が有するステータ及びロータの一方に備えられるコイルに印加する電圧指令値と、当該電圧指令値に対応する電圧を当該コイルに印加した際に流れるコイル電流とに基づいて、コイルの抵抗値を演算する。本実施形態では、上述のようにコイルはステータに備えられている。また、電圧指令値は、逆座標変換部4から3相電圧指令値vu、vv、vwとして伝達される。また、電圧指令値に対応する電圧を当該コイルに印加した際に流れるコイル電流とは、3相電圧指令値vu、vv、vwをコイルに印加した際に、現に当該コイルに流れる3相モータ7の各相モータ電流iu、iv、iwが相当する。即ち、U相の電圧指令値vuを印加した場合には、現にコイルに流れるU相のコイル電流iuである。また、V相の電圧指令値vvを印加した場合には、現にコイルに流れるV相のコイル電流ivである。更に、W相の電圧指令値vwを印加した場合には、現にコイルに流れるW相のコイル電流iwである。コイル温度演算部10は、このような3相電圧指令値vu、vv、vwと、当該3相電圧指令値vu、vv、vwを印加した際に、現に流れるコイル電流iu、iv、iwに基づいて、コイルの抵抗値を演算する。
図5にコイル抵抗演算部10の概略構成を示すブロック図を示す。ここで、例えば、U相におけるコイルの抵抗値を演算する場合には、U相の電圧指令値vuとU相のコイル電流iuとを用いて算出する。図5には、U相の電圧指令値vu及びU相のコイル電流iuのみがコイル抵抗演算部10に伝達されるように図示しているが、V相及びW相においても同様にコイル抵抗演算部10に伝達され演算される。
コイル抵抗演算部10は、応答調整部10a、積分器10b、除算器10cからなる。逆座標変換部4により算出されたU相における電圧指令値vuが除算器10cに伝達される。一方、当該電圧指令値vuに対応してPWM制御部5及び周波数変換部6を介して3相モータ7が有するU相コイルに流れるU相のモータ電流iuが応答調整部10aに伝達される。
応答調整部10aは、コイル抵抗演算部10の応答性を決定するための調整パラメータであり、コイル抵抗演算部10により演算される演算結果において、オーバーシュート及びアンダーシュートが生じないように任意に調整される。積分器10bは、コイルの抵抗分とインダクタンス分との一次応答遅れを調整する。したがって、除算器10cには、逆座標変換部4により演算されたU相の電圧指令値vuと、当該電圧指令値vuが印加されることによりコイルに通電されたU相のコイル電流(3相交流電流)iuとを入力することが可能となる。除算器10cは、U相の電圧指令値vuをU相のコイル電流iuで除することにより、コイルの抵抗値を演算する。この演算結果は、後述のコイル温度推定部11に伝達される。
コイル温度推定部11は、コイルの抵抗値に基づいて、コイルの温度推定値を演算する。本実施形態においては、モータが3相モータ7であることから、コイル温度推定部11は、3相モータ7の3相各相のコイルの温度推定値を演算する。コイルの抵抗値は、上述のコイル抵抗演算部10により演算される3相モータ7が備える各相コイルの抵抗値として伝達される。コイルの温度推定値は、図示しない抵抗−温度変換マップを用いて演算される。この抵抗−温度変換マップは、各相コイルの抵抗値と温度推定値との関係を示すマップであり、抵抗値のみならず、3相モータ7の筐体やステータ等の放熱性能及び冷却手段を備える場合にはその冷却性能を考慮して、予め設定される。この抵抗−温度変換マップは、コイル温度推定部11に予め格納される。各相コイルの温度推定値は最高温度抽出部12に伝達される。
最高温度抽出部12は、温度推定値の中から最高温度を抽出する。温度推定値は、上述のコイル温度推定部11から伝達される。最高温度抽出部12は、伝達される各相コイルの温度推定部のうち、最も高い温度を示す温度推定値を抽出する。そして、この抽出された最高温度は、トルク制限値算出部1に伝達される。
そして、トルク制限値算出部1は、上述のように、3相モータ7を回転するために必要な総トルクを算出し、目標トルクの出力を行う上で、最高温度抽出部12により伝達される最高温度に基づいて、3相モータ7の出力トルクのトルク制限値を算出する。具体的には、最高温度抽出部12から伝達される最高温度が、予め設定された判定閾値を越える場合には、目標トルクを、判定閾値に対応する目標トルクとなるように制限する。
このトルク制限値の算出には、図6に示すようなマップを用いることも可能である。図6は、横軸にコイル温度、縦軸にトルク制限値として関係を示した図である。コイル温度が所定の温度(例えばt1〔℃〕)以下の場合には出力トルクはT1〔N・m〕まで出力可能である。一方、コイル温度がt1〔℃〕以上になると、出力可能な出力トルク(トルク制限値)が次第に減少し、コイル温度がt2〔℃〕に達した場合には、出力可能な出力トルクは0〔N・m〕となる。このようなマップを用いることにより、適切にトルク制限値を算出することが可能となる。
このように、モータ制御装置100は、3相モータ7の各相コイルの最高温度を考慮して、目標トルクを制限するため、判定閾値より高くコイルの温度を上昇させることを防止することができる。また、本モータ制御装置100によれば、逆座標変換部4により通電される3相電圧指令値と、当該通電される3相電圧指令値が印加された際の3相コイルの電流値(3相交流電流)とに基づいて、コイルの温度を推定するため、精度の良い温度推定値を得ることが可能となる。したがって、信頼性の高いモータ制御を行うことが可能となる。
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、本モータ制御装置100が制御するモータは、3相モータであるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。モータ制御装置100が制御するモータが、単相モータであっても、モータの出力トルクを制御してコイルの発熱を抑制することは、当然に可能である。係る場合には、上述の実施形態において、最高温度抽出部12を備えない構成としても良いし、或いは、最高温度抽出部12を備える場合には、最高温度抽出部12がコイル温度推定部11により推定されたコイルの温度推定値をそのまま最高温度として抽出することにより、本発明を実現することが可能である。
上記実施形態では、温度推定の対象となるコイルは、モータが有するステータに備えられるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。コイルがロータに備えてあるモータに本発明を適用することも当然に可能である。
モータ制御装置の概略構成を示す図 PWM制御部と周波数変換部と3相モータの構成を示す図 座標変換の原理を示す図 電機子電流の位相角について説明するベクトル図 コイル抵抗演算部の概略構成を示す図 コイル温度とトルク制限値との関係を示す図
符号の説明
1:トルク制限値算出部
2:トルク−電流変換部
3:電流制御部
4:逆座標変換部
5:PWM制御部
6:周波数変換部
7:3相モータ(モータ)
8:回転角演算部
9:座標変換部
10:コイル抵抗演算部
11:コイル温度推定部
12:最高温度抽出部
50:ECU
100:モータ制御装置

Claims (2)

  1. モータを制御対象とし、直流電圧を交流電圧に変換する周波数変換部と、
    前記周波数変換部が有するスイッチング素子をPWM制御によって制御するPWM制御部と、
    前記PWM制御により前記モータが有するステータ及びロータの一方に備えられるコイルに印加する電圧指令値と、当該電圧指令値に対応する電圧を前記コイルに印加した際に流れるコイル電流とに基づいて、前記コイルの抵抗値を演算するコイル抵抗演算部と、
    前記コイルの抵抗値に基づいて、前記コイルの温度推定値を演算するコイル温度推定部と、
    前記温度推定値に基づいて、前記モータの出力トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出部と、
    を備えるモータ制御装置。
  2. 前記モータが3相モータであり、
    前記コイル温度推定部が、前記3相モータの3相各相のコイルの温度推定値を演算し、
    前記温度推定値の中から最高温度を抽出する最高温度抽出部を備え、
    前記トルク制限値算出部が、前記最高温度に基づいて前記トルク制限値を算出する請求項に記載のモータ制御装置。
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