本明細書において開示するすべての範囲および比の境界は組み合わせてよい。特に断らない限り、「a」、「an」および/または「the」への参照は1つまたは2つ以上を含んでよく、単数の品目への参照は複数の品目も含んでよいと理解すべきである。
用語「マイクロチャネル」は、最大約10ミリメートル(mm)、一実施態様では最大約5mm、一実施態様では最大約2mm、一実施態様では最大約1mmの高さまたは幅の少なくとも一方の内部寸法を有するチャネルを指してよい。マイクロチャネルは少なくとも1つの入り口と少なくとも1つの出口とを含んでよく、少なくとも1つの入り口は少なくとも1つの出口と別個である。マイクロチャネルは、単にオリフィスでなくてよい。マイクロチャネルは、単にゼオライトまたはメソ多孔質材料の中のチャネルでなくてよい。図1に、本発明のプロセスで用いてよいマイクロチャネルの例を示す。図1を参照すると、例を示すマイクロチャネルは、または反対方向に、高さ(h)、幅(w)および長さ(l)を有する。マイクロチャネルを通って矢印で示す方向に流体が流れてよい。高さ(h)および幅(w)はマイクロチャネルの中の流体のバルク流れ方向に対してともに垂直である。高さは、ギャップと呼んでよい。マイクロチャネルの高さ(h)または幅(w)は、約0.05から約10mm、一実施態様では約0.05から約5mm、一実施態様では約0.05から約2mm、一実施態様では約0.05から約1.5mm、一実施態様では約0.05から約1mm、一実施態様では約0.05から約0.75mm、一実施態様では約0.05から約0.5mmの範囲内であってよい。高さ(h)または幅(w)の他方の寸法は、任意の寸法、例えば最大約3メートル、一実施態様では約0.01から約3メートル、一実施態様では約0.1から約3メートルであってよい。マイクロチャネルの長さ(l)は、任意の寸法、例えば最大約10メートル、一実施態様では約0.1から約10メートル、一実施態様では約0.2から約10メートル、一実施態様では約0.2から約6メートル、一実施態様では0.2から約3メートルであってよい。図1に例を示したマイクロチャネルは長方形の断面を有するが、マイクロチャネルは任意の形状、例えば正方形、円形、半円形、台形等を有する断面を有してよいと理解するべきである。マイクロチャネルの断面の形状および/またはサイズは、その長さにわたって変化してよい。例えば、高さまたは幅は、マイクロチャネルの長さにわたって相対的に大きな寸法から相対的に小さな寸法へ、またはその逆に細くしてよい。図2にこれの例を示す。
図2に例を示すマイクロチャネルは、図1に例を示したマイクロチャネルの代替実施態様であってよい。図2に例を示すマイクロチャネルは、最大から最小まで変化する断面積を有する。最小の断面積はマイクロチャネルの出口にあってよく、最大の断面積は入口にあってよい。このマイクロチャネルは「狭小化断面」を有すると称してよい。このマイクロチャネルは「収束形断面積」を有するマイクロチャネルと呼んでよい。図2に例を示すマイクロチャネルは台形マイクロチャネルと呼んでよい。マイクロチャネルは2つの高さ寸法を有する。一方は最小寸法(h1)であり、他方は最大寸法(h2)である。高さはh1からh2へ次第に増加する。あるいは、マイクロチャネルは円形、楕円形、三角形等の断面を有してよい。マイクロチャネルは、約0.05から約10mm、一実施態様では約0.05から約5mm、一実施態様では約0.05から約2mm、一実施態様では約0.05から約1.5mm、一実施態様では約0.05から約1mm、一実施態様では約0.05から約0.75mm、一実施態様では約0.05から約0.5mmの範囲内であってよい少なくとも1つの高さ寸法(h1)を有してよい。幅(w)は任意の寸法、例えば最大約3メートル、一実施態様では約0.01から約3メートル、一実施態様では約0.1から約3メートルであってよい。長さ(l)は任意の寸法、例えば最大約10メートル、一実施態様では約0.1から約10メートル、一実施態様では約0.2から約6メートルであってよい。最大断面積は、最小断面積の少なくとも約2倍(2×)、一実施態様では少なくとも約5倍(5×)、一実施態様では最小断面積の少なくとも約20倍(20×)であってよい。このマイクロチャネルの中を流れる流体の線速度(または反応体と触媒との間の局所接触時間)は、流体がマイクロチャネルの中の直線流路に沿って図2に示す方向へ流れるにつれて増大してよい。このマイクロチャネルの中を矢印で示す方向に流れる非ニュートン流体は増加するせん断を受け、その結果、粘度が低下してよい。国際特許出願公開第03/099429号は、その変化する断面積を有するマイクロチャネルの開示を参照することによって本明細書に組み込まれる。
用語「単位操作」は、化学反応、化学分離(吸収、吸着、蒸留、抽出を含む)、凝縮、蒸発、蒸留、加熱、冷却、圧縮、膨張、相分離、混合、またはそれらの2つ以上の組み合わせが行われるプロセスおよび/または装置を指してよい。
用語「マイクロチャネルプロセス処理単位」は、非ニュートン流体がプロセス処理される、少なくとも1つのプロセスマイクロチャネルを含む装置を指してよい。非ニュートン流体のプロセス処理は、1つ以上の単位操作を行うことを含んでよい。これは、流体を加熱すること、流体を冷却すること、2つ以上の流体(非ニュートン流体であってもなくてもよい)を混合して流体を形成させること、流体を別の流体(非ニュートン流体であってもなくてもよい)と接触させること、1つ以上の非ニュートン流体を反応体として用いて反応を行うこと、1つ以上の流体(非ニュートン流体であってもなくてもよい)を反応させて非ニュートン流体を形成させること、非ニュートン流体の1つ以上の成分を非ニュートン流体から分離すること、または前述の2つ以上の組み合わせを含んでよい。マイクロチャネルプロセス処理単位は、並列に動作させてよい複数のプロセスマイクロチャネル、プロセスマイクロチャネルの中への流体の流れを提供するためのヘッダまたはマニホルドアセンブリ、およびプロセスマイクロチャネルからの流体の流れを提供するフッタまたはマニホルドアセンブリを含んでよい。マイクロチャネルプロセス処理単位は、1つ以上の段階添加チャネル、例えばプロセスマイクロチャネルの1つ以上と隣接して配置された段階添加マイクロチャネルを含んでよい。マイクロチャネルプロセス処理単位は、1つ以上の熱交換チャネル、例えばプロセスマイクロチャネルの内容物を冷却および/または加熱するためにプロセスマイクロチャネルと隣接し、および/または熱接触する熱交換マイクロチャネルを含んでよい。
用語「プロセスマイクロチャネル」は、プロセスが行われるマイクロチャネルを指してよい。プロセスは、上記で開示した任意の単位操作に関するものであってよい。
用語「プロセス区域」は、1つ以上の単位操作が行われる、プロセスマイクロチャネル内の区間を指してよい。
用語「マイクロチャネル反応器」は、反応を行うための1つ以上のプロセスマイクロチャネルを含む装置を指してよい。マイクロチャネル反応器は、並列に動作させてよい複数のプロセスマイクロチャネル、プロセスマイクロチャネルの中への流体の流れを提供するためのヘッダまたはマニホルドアセンブリ、およびプロセスマイクロチャネルからの流体の流れを提供するフッタまたはマニホルドアセンブリを含んでよい。マイクロチャネル反応器は、1つ以上の段階添加チャネル、例えばプロセスマイクロチャネルの1つ以上と隣接して配置された段階添加マイクロチャネルを含んでよい。マイクロチャネル反応器は、1つ以上の熱交換チャネル、例えばプロセスマイクロチャネルの内容物を冷却および/または加熱するための、プロセスマイクロチャネルと隣接し、および/または熱接触する熱交換マイクロチャネルを含んでよい。
用語「構造壁」または「SW」は、1つ以上のストリップまたはシムを表面に配置するかまたは取り付けたチャネル内壁、例えばマイクロチャネル壁を指してよい。ストリップまたはシムは、1つ以上の空洞空間、開口またはスルーホールを含んでよい。例えば、図48〜49を参照すること。これらは、表面構成要素と呼んでよい。2つ以上のストリップ層またはシム層を上下に積み重ねるかまたは横並びに配置してチャネル壁の上に配置されるかまたは取り付けられた多孔質構造体を提供してよい。構造壁に触媒を担持させてよい。構造壁に隣接させてプロセスマイクロチャネルの中に開放バルク流領域または隙間を配置してよい。
用語「構造壁反応器」は、少なくとも1つのプロセスマイクロチャネルを含み、プロセスマイクロチャネルが1つ以上の構造壁を含む、マイクロチャネル反応器を指してよい。1つ以上の構造壁に触媒を担持させてよい。構造壁に隣接させてプロセスマイクロチャネルの中に開放バルク流領域または隙間を配置してよい。
プロセスマイクロチャネル内の体積に関する用語「体積」は、プロセス流体が中を通って流れるかまたは横を流れてよいプロセスマイクロチャネルの中のすべての体積を含んでよい。この体積は、プロセスマイクロチャネルの中に配置され、貫通流方式または側流方式の流体の流れに適するようになっていてよいマイクログルーブ型担体のマイクログルーブ内の体積を含んでよい。この体積は、マイクロチャネルの中に配置され、貫通流方式または側流方式の流体の流れに適するようになっていてよい表面構成要素内の体積を含んでよい。
用語「シム」は、平らなまたは実質的に平らなシートまたはプレートを指してよい。シムの厚さは、シムの最小寸法であってよく、最大約2mm、一実施態様では約0.05から約2mm、一実施態様では約0.05から約1mmの範囲内、一実施態様では約0.05から約0.5mmの範囲内であってよい。シムは、任意の長さおよび幅を有してよい。
用語「表面構成要素」は、マイクロチャネル内の流れおよび/または混合を変化させるマイクロチャネル壁の中の窪みおよび/またはマイクロチャネル壁からの突起を指してよい。表面構成要素は、円形、球形、円錐形、楕円形、正方形、長方形、菱形、格子形、V字形、翼形、空気フォイル形、波形および類似形であってよい。表面構成要素は副構成要素を含んでよい。この場合、表面構成要素の主壁は刻み目形、波形、ギザギザ形、孔、バリ形、格子形、扇形、および類似形であってよい小さな構成要素をさらに含む。表面構成要素は深さ、幅を有してよく、非円形表面構成要素の場合には長さを有してよい。図46〜47に例を示す。表面構成要素は、本発明に従って用いられるプロセスマイクロチャネルの内壁の1つ以上の上または中に形成させてよい。表面構成要素は、本明細書で使用される熱交換チャネルの内壁の1つ以上の上または中に形成させてよい。表面構成要素は、受動表面構成要素または受動混合構成要素と呼んでよい。表面構成要素を用いて層流の流線を撹乱し、バルク流れ方向に対して角度を有する移流を作り出してよい。これは、流体成分の間、または流体成分と触媒との間の接触を促進してよい。表面構成要素は、構造壁の中に形成された空洞および/または突起物を含んでよい。例えば図48〜49を参照すること。
用語「マイクログルーブ」は、最大約1000ミクロン、一実施態様では約1から約1000ミクロンの範囲内、一実施態様では約1から約500ミクロンの範囲内、一実施態様では約1から約100ミクロンの深さを有する基板の中の溝(グルーブ)を指してよい。マイクログルーブは、マイクログルーブの長さの一部または全体にわたって基板を貫通してよい。マイクログルーブは、基板の中に一部だけ進入してよい。マイクログルーブの深さは、基板の中への進入の最も深い点で計ってよい。マイクログルーブは、最大約1000ミクロン、一実施態様では約0.1から約1000ミクロンの範囲内、一実施態様では約1から約500ミクロンの範囲内の幅を有してよい。幅は、マイクログルーブの最も幅の広い点で計った幅であってよい。マイクログルーブは、任意の長さ、例えば最大約100cm、一実施態様では約0.1から約100cm、一実施態様では約0.1から約10cmを有してよい。マイクログルーブは、任意の形の断面を有してよい。例は、正方形、長方形、V字形、半円形、逆台形、台形、および類似形を含む。マイクログルーブの断面の形状および/またはサイズは、マイクログルーブの長さにわたって変化してよい。
用語「隣接する」は、別のチャネルの位置に対する1つのチャネルの位置を指すとき、1つの壁がこれら2つのチャネルを分けるように直接隣接することを意味する。この壁は厚さが変化してよい。しかし、「隣接する」チャネルは、チャネルの間の伝熱を妨げるような中間のチャネルによって隔てられることはない。
用語「熱接触」は、必ずしも互いに接触することも互いに隣接することもないが、依然として熱を相互交換してよい2つの実体、例えばチャネルを指してよい。従って、例えば、別の実体と熱接触している1つの実体は相手実体を加熱するかまたは冷却してよい。
用語「バルク流れ領域」は、プロセスマイクロチャネル内の開放区域を指してよい。連続バルク流れ領域は、顕著な圧力降下なしにプロセスマイクロチャネルを通る迅速な流体の流れを可能にしてよい。一実施態様では、バルク流れ領域の中には層流があってよい。バルク流れ領域は、プロセスマイクロチャネルの内部体積またはプロセスマイクロチャネルの断面積の少なくとも約5%、一実施態様では約30から約80%を含んでよい。
用語「バルク流れ方向」は、流体がチャネルの中の開放通路の中を移動してよいベクトルを指してよい。
用語「滞留時間」は、「平均滞留時間」とも呼んでよく、チャネルを通って流れる流体が占めるチャネルの内部体積を、用いられる温度および圧力でチャネルを通って流れる流体の平均体積流量で除した商であってよい。
用語「上流」および「下流」は、チャネルの中の流体流の流れの方向に対するチャネル(例えばプロセスマイクロチャネル)内の位置を指してよい。例えば、その位置の方へ流れる流体流の一部分がまだ到着しないチャネル内の位置は、流体流のその一部分の下流であると考えられる。その位置から流れ去る流体流の一部分が既に通過したチャネル内の位置は、流体流のその一部分の上流であると考えられる。本明細書で用いられるチャネルは水平、垂直、またはある傾き角度で配向させてよいので、用語「上流」および「下流」は、必ずしも垂直位置を指さない。
用語「標準立方フィート」または「標準立方メートル」は、20℃の温度および大気圧で測定された体積を指してよい。
用語「ノルマルリットル」は、20℃の温度および大気圧で測定された体積を指してよい。
用語「ゲージ圧」は、絶対圧から大気圧を引いた差を指してよい。例えば、ゲージ圧ゼロ気圧は大気圧に相当する。しかし、本明細書文章および添付の請求項の全体にわたって、特に明記しない限りすべての圧力は絶対圧である。
用語「サイクル」は、プロセスマイクロチャネルを通る反応体の1回の通過を指してよい。
用語「時間あたり触媒のグラムあたりml(ミリリットル)」は、時間あたり触媒のグラムあたり作り出される生成物の体積(ml)を指してよい。この場合、触媒のグラムは、触媒中の触媒物質を指すが、存在してよい担体は一切含まない。
用語「収率」は、特定の生成物へ変換された反応体のモル数を変換された反応体のモル数で除した商を指してよい。収率は、対象となる生成物への選択率を反応体の反応率に乗じることによって計算してよい。
チャネルの中を流れる流体の速度に関する用語「空塔速度」は、標準圧力および温度における体積流量をチャネルの開放断面積で除した商を指してよい。
用語「非相溶性」は、1つの液体が別の液体の中に可溶性でない、または25℃でリットルあたり最大約1ミリリットル程度しか溶けないことを指してよい。
用語「水不溶物」は、25℃で水に溶けないか、または25℃でリットルあたり最大約0.1グラムの濃度までしか水に溶けない物質を指す。
用語「流体」は、気体、液体、分散固体を含む気体または液体、液滴を含む気体、気泡を含む液体、液滴および分散固体を含む気体、または気泡および分散固体を含む液体を指してよい。
用語「多相混合物」は、2つ以上の相を含む組成物を指してよい。多相混合物は、連続液相と、連続液相の中に分散した1つ以上の不連続液相、気相および/または固相(例えば固体粒子)とを含んでよい。多相混合物は、乳濁液であってよい。
用語「乳濁液」は、連続液相と、連続液相の中に分散した1つ以上の不連続液相とを含む組成物を指してよい。乳濁液は、これらの液相の1つ以上の中に分散した1つ以上の気相および/または固相を含んでよい。
用語「発熱源」は、熱を放出し、別の物質またはデバイスを加熱するために用いてよい物質またはデバイスを指してよい。発熱源は、別の物質またはデバイスへ熱を移動させる熱交換流体を内部に有する熱交換チャネルの形であってよく、別の物質またはデバイスは、例えば熱交換チャネルと隣接するかまたは熱接触するチャネルである。熱交換流体は熱交換チャネルの中にあってよく、および/または熱交換チャネルの中を流れてよい。発熱源は加熱素子、例えば電熱素子または抵抗加熱器の形であってよい。
用語「吸熱源」は、熱を吸収し、別の物質またはデバイスを冷却するために用いてよい物質またはデバイスを指す。吸熱源は、別の物質またはデバイスから伝わる熱を吸収する熱交換流体を内部に有する熱交換チャネルの形であってよく、別の物質またはデバイスは、例えば熱交換チャネルと隣接するかまたは熱接触するチャネルである。熱交換流体は熱交換チャネルの中にあってよく、および/または熱交換チャネルの中を流れてよい。吸熱源は、冷却素子、例えば非流体冷却素子の形であってよい。
用語「発熱源および/または吸熱源」は、熱を放出するかまたは熱を吸収してよい物質またはデバイスを指してよい。発熱源および/または吸熱源は、熱交換チャネルと隣接するかまたは熱接触する別の物質またはデバイスを加熱するときは別の物質またはデバイスへ熱を移動させ、あるいは熱交換チャネルと隣接するかまたは熱交換チャネルと熱接触する別の物質またはデバイスを冷却するときは別の物体またはデバイスから移動する熱を受け取る、熱交換流体を内部に有する熱交換チャネルの形であってよい。発熱源および/または吸熱源として機能する熱交換チャネルは、ときには加熱チャネルとして、ときには冷却チャネルとして機能してよい。熱交換チャネルの単一または複数の部分が加熱チャネルとして機能してよく、熱交換チャネルの別の単一または複数の部分が冷却チャネルとして機能してよい。
用語「熱交換チャネル」は、熱を放出し、および/または熱を吸収してよい熱交換流体を内部に有するチャネルを指してよい。熱交換チャネルはマイクロチャネルであってよい。
用語「伝熱壁」は、プロセスマイクロチャネルと隣接熱交換チャネルとの間の共通の壁であって、一方のチャネルから他方のチャネルへ熱が移動する共通の壁を指してよい。
用語「熱交換流体」は、熱を放出し、および/または熱を吸収してよい流体を指してよい。
用語「隣接する」は、別のチャネルの位置に対する1つのチャネルの位置を指すとき、1つの壁がこれら2つのチャネルを分けるように直接隣接することを意味する。この壁は厚さが変化してよい。しかし、隣接するチャネルは、チャネルの間の伝熱を妨げるような中間のチャネルによって隔てられることはない。
用語「熱接触」は、必ずしも互いに接触することも互いに隣接することもないが、依然として熱を相互交換してよい2つの実体、例えばチャネルを指してよい。従って、例えば、別の実体と熱接触している1つの実体は相手実体を加熱するかまたは冷却してよい。
用語「滞留時間」は、「平均滞留時間」とも呼んでよく、チャネルを通って流れる流体が占めるチャネルの内部体積を、用いられる温度および圧力でチャネルを通って流れる流体の平均体積流量で除した商であってよい。
用語「傾斜触媒」は、1つ以上の触媒活性勾配を有する触媒を指してよい。傾斜触媒は、触媒活性金属の変化する濃度または表面積を有してよい。傾斜触媒は、変化するターンオーバ速度の触媒活性部位を有してよい。傾斜触媒は、距離の関数として変化する物理的性質および/または形を有してよい。例えば、傾斜触媒は、プロセスマイクロチャネルへの入り口では比較的低くプロセスマイクロチャネルの出口近くでは高い濃度へ増加するかまたはその反対であり、あるいはプロセスマイクロチャネルの中心(すなわち中点)に近いほど濃度が低くプロセスマイクロチャネル壁に近いほど濃度が高いかまたはその反対の触媒活性金属活性金属濃度を有してよい等である。傾斜触媒の熱伝導率は、プロセスマイクロチャネル内の1つの位置から別の位置へ変化してよい。傾斜触媒の表面積は、一定表面積の担体上の触媒活性金属部位のサイズを変化させて、または、担体の種類または粒子サイズを変化させることなど、担体の表面積を変化させて、変化させてよい。傾斜触媒は、プロセスマイクロチャネルの異なる部分で担体の体積に対する表面積の比を高くするかまたは低くし、続いてすべての部分で同じ触媒被覆層を塗布する多孔質担体を有してよい。これまでに記載した実施態様の2つ以上の組み合わせを用いてよい。傾斜触媒は、単一触媒成分または複数触媒成分(例えば二元金属触媒または三元金属触媒)を有してよい。傾斜触媒は、プロセスマイクロチャネル内の1つの位置から別の位置への距離の関数として徐々にその性質および/または組成を変化させてよい。傾斜触媒は、各粒子内に触媒活性金属の「卵殻」分布を有するリム型(rimmed)粒子を含んでよい。傾斜触媒は、プロセスマイクロチャネルの長さに沿った軸方向または横方向に傾斜させてよい。傾斜触媒は、プロセスマイクロチャネル内の1つの位置から別の位置へ変化してよい種々の触媒組成、種々の担持率および/または活性触媒部位数を有してよい。触媒活性部位の数は、触媒構造体の多孔度を変化させることによって変化させてよい。これは、触媒材料の変化する量を析出させるウォッシュコートプロセスを用いて実現してよい。一例は、プロセスマイクロチャネルの長さに沿って異なる多孔質触媒厚さの使用であってよく、それによって活性を多く必要とするところほど厚い多孔質構造を残してよい。固定または可変の多孔質触媒の厚さの場合に多孔度の変化も用いてよい。流れのための開放区域または隙間に隣接して第1の細孔径を用いてよく、プロセスマイクロチャネル壁に隣接して少なくとも1つの第2の細孔径を用いてよい。
用語「炭化水素」は、純炭化水素化合物、すなわち脂肪族化合物(例えばアルカンまたはアルキレン)、脂環式化合物(例えばシクロアルカン、シクロアルキレン)、芳香族化合物、脂肪族および脂環置換芳香族化合物、芳香族置換脂肪族化合物、芳香族置換脂環式化合物および類似化合物を指してよい。例は、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、スチレン等を含んでよい。用語「炭化水素」は、置換炭化水素化合物、すなわち非炭化水素置換基を含む炭化水素化合物を指してよい。非炭化水素置換基の例はヒドロキシル、アシル、ニトロ等を含んでよい。用語「炭化水素」は、ヘテロ置換炭化水素化合物、すなわち他の原子としては炭素原子を含む鎖または環の中に炭素以外の原子を含む炭化水素化合物を指してよい。ヘテロ原子の例は、例えば窒素、酸素および硫黄を含んでよい。一実施態様では、炭化水素化合物の中の10の炭素原子ごとに約3を超えない、一実施態様では約1を超えない置換基またはヘテロ原子が存在してよい。
用語「mm」は、ミリメートルを指してよい。用語「nm」は、ナノメートルを指してよい。用語「ms」は、ミリ秒を指してよい。用語「μm」は、ミクロンまたはマイクロメートルを指してよい。用語「ミクロン」と「マイクロメートル」とは同じ意味を有し、同じ意味に用いてよい。
本発明のプロセスにおいて処理され、および/または形成される非ニュートン流体は、非ニュートン特性を示す任意の流動重合体または重合体組成物(例えば重合体溶液)を含んでよい。非ニュートン流体は、1つ以上の重合体または重合体溶液を含んでよい。非ニュートン流体は、1つ以上の溶融重合体を含んでよい。重合体は、水性または有機溶媒あるいは分散媒と組み合わせてよい。非ニュートン流体は、非ニュートン特性を示す多相混合物または乳濁液を含んでよい。多相混合物または乳濁液は1つ以上の重合体を含んでよい。溶液、多相混合物および/または乳濁液は水性組成物を含んでよい。
重合体は1つ以上の単独重合体、共重合体、三元重合体および類似物を含んでよい。重合体は、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、イソブチレンおよび類似化合物)、環状オレフィン、ジエン(例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン)、エーテル、エステル、アミド、炭酸エステル、酢酸エステル、アクリル類、アルキルアクリル類、アクリル酸エステル、アルキルアクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル)、酢酸ビニル、スチレン、ビニル類(例えば塩化ビニル)、ビニリデン類(例えば塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン)、アクリロニトリト、シアノアクリル酸エステル(例えばシアノアクリル酸メチル)、テトラフルオロエチレン、およびそれらの2つ以上の組み合わせを含む1つ以上の重合性単量体から誘導される繰り返し単位を含んでよい。重合体は1つ以上の熱可塑性樹脂を含んでよい。
重合体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ゴム改質ポリスチレン、スチレン‐ブタジエン共重合体、ビニル重合体および共重合体、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、および類似物の1つ以上を含んでよい。
重合体は、エチレンおよび/またはプロピレンと、1つ以上の官能性単量体、例えばアクリル酸アルキル、アクリル酸、アルキルアクリル酸、酢酸ビニル、および類似物とから誘導された1つ以上の共重合体、三元重合体、および類似物を含んでよい。これらのものの例は、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、ナトリウムまたは亜鉛を含むエチレン/メタクリル酸共重合体(イオノマーとも呼ばれる)、酸改質、無水物改質またはアクリル酸エステル改質エチレン/酢酸ビニル共重合体、酸改質または無水物改質エチレン/アクリル酸エステル共重合体、無水物改質ポリエチレン、およびそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。
重合体は、1つ以上の天然ゴム、再生ゴム、合成ゴム、および類似物を含んでよい。重合体は、1つ以上のポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレンブタジエンゴム、粘着化天然または合成ゴム、スチレンブタジエンまたはスチレンイソプレンブロック共重合体、エチレンと酢酸ビニルとのランダム共重合体、エチレン‐ビニル‐アクリル三元重合体、ポリイソブチレン、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(アクリル)エステル、および類似物を含んでよい。
重合体は、1つ以上のポリアルケニルポリエーテルで架橋されたアクリル酸の1つ以上の単独重合体または共重合体を含んでよい。これらは、カーボポール(Carbopol)という商品名でノベオン(Noveon)から入手してよい。
本発明のプロセスを用いて処理し、および/または形成させてよい非ニュートン流体は、非ニュートン特性を示す任意の多相流体混合物を含んでよい。多相流体混合物は乳濁液であってよい。多相流体混合物は、互いに非混和性であってよい2つ以上の液体を含んでよい。他の液体の一方または両方に対して非混和性であってよい第3の液体が含まれてよい。各液体は、有機液体、水性液体、またはそれらの組み合わせであってよい。例えば一方の液体がベンゼンを含んでよく、他方の液体がグリセロールを含んでよい。液体の1つがイオン液体(例えば1‐ブチル‐3‐メチルイミダゾリウムの塩)であってよく、別の1つが有機液体であってよい。液体の1つが水を含んでよく、別の液体が油などの疎水性有機液体を含んでよい。多相流体混合物は、油中水(w/o)または水中油(o/w)乳濁液を含んでよい。多相流体混合物は、二重乳濁液、例えば水中油中水(w/o/w)または油中水中油(o/w/o)乳濁液を含んでよい。用語「油」は多相流体混合物の有機相を指すために用いてよいが、有機物質は油のことも油でないこともある。多相流体混合物の中では液体の一方が約0.1から約99.9重量%、一実施態様では約1から約99重量%、一実施態様では約5から約95重量%の範囲内の濃度で存在し、他方の液体が残りを占めてよい。用いられるとき、第3の液体は多相流体混合物の中に最大約50重量%、一実施態様では約0.1から約20重量%、一実施態様では約0.5から約10重量%の範囲内の濃度で存在してよい。
多相流体混合物の中の液体の1つ以上が1つ以上の液体炭化水素を含んでよい。これらは天然油、合成油、またはそれらの混合物を含んでよい。天然油は動物油および植物油(例えばヒマシ油、ラード油)ならびに鉱油を含んでよい。天然油は石炭または頁岩から誘導された油を含んでよい。油はトリグリセリドの類からのケン化性油、例えばダイズ油、ゴマ種子油、綿実油、サフラワー油、および類似油であってよい。油はシリコーンオイルであってよい。油は、ワセリン、スクアラン、スクアレン、または1つ以上のジアルキルシクロヘキサン類、またはそれらの2つ以上の混合物などの脂肪族またはナフテン系炭化水素であってよい。合成油は、重合化オレフィンおよび相互重合化オレフィン(例えばポリブチレン類、ポリプロピレン類、プロピレンイソブチレン共重合体等);ポリ(1‐ヘキセン類)、ポリ‐(1‐オクテン類)、ポリ(1‐デセン類)等、およびそれらの混合物;アルキルベンゼン類(例えばドデシルベンゼン類、テトラデシルベンゼン類、ジノニルベンゼン類、ジ‐(2‐エチルヘキシル)ベンゼン類等);ポリフェニル類(例えばビフェニル類、ターフェニル類、アルキル化ポリフェニル等);アルキル化ジフェニルエーテル類およびアルキル化ジフェニルスルフィド類および誘導体、それらの類似体および同族体および類似物などの炭化水素油を含んでよい。末端ヒドロキシル基をエステル化、エーテル化等によって修飾したアルキレンオキシド重合体、ならびにそれらの相互重合体および誘導体は用いてよい合成油である。合成油は、ポリ‐アルファ‐オレフィンまたはフィッシャー‐トロプシュ合成炭化水素を含んでよい。油は、通常時液体の炭化水素燃料、例えばASTM仕様D439によって定められた自動車ガソリンなどの留出物燃料、またはASTM仕様D396によって定められたディーゼル燃料または燃料油を含んでよい。
多相流体混合物は1つ以上の脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、またはそれらの混合物を含んでよい。脂肪族アルコールはゲルベ(Guerbet)アルコールであってよい。脂肪族アルコールは約6から約22の炭素原子、一実施態様では約6から約18の炭素原子、一実施態様では約8から約12の炭素原子を含んでよい。脂肪酸エステルは、約6から約22の炭素原子の直鎖脂肪酸と約6から約22の炭素原子の直鎖または分岐脂肪族アルコールとのエステル、約6から約13の炭素原子の分岐カルボン酸と約6から約22の炭素原子の直鎖または分岐脂肪族アルコールとのエステル、またはそれらの混合物であってよい。例は、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルシン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルシン酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルシン酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルシン酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルシン酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシルおよびエルシン酸エルシルを含む。脂肪酸エステルは、約18から約38の炭素原子のアルキルヒドロキシカルボン酸と約6から約22の炭素原子の直鎖または分岐脂肪族アルコールとのエステル(例えばりんご酸ジオクチル);約6から約22の炭素原子の直鎖または分岐脂肪酸と多価アルコール(例えばプロピレングリコール、二量体ジオールまたは三量体トリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル;1つ以上の約6から約18の炭素原子の脂肪酸によるトリグリセリド;1つ以上の約6から約18の炭素原子の脂肪酸によるモノ、ジおよび/またはトリグリセリドの混合物;1つ以上の約6から約22の炭素原子の脂肪族アルコールおよび/またはゲルベアルコールと1つ以上の芳香族カルボン酸とのエステル(例えば安息香酸);1つ以上の2から約12の炭素原子のジカルボン酸と1つ以上の1から約22の炭素原子を含む直鎖または分岐アルコール、1つ以上の2から約10の炭素原子と2から約6のヒドロキシル基とを含むポリオール、またはそのようなアルコールとポリオールとの混合物とのエステル;1つ以上の2から約12の炭素原子のジカルボン酸(例えばフタル酸)と1つ以上の1から22の炭素原子のアルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール)とのエステル;安息香酸と約6から約22の炭素原子の直鎖および/または分岐アルコールとのエステル;あるいはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。
多相流体混合物は、1つ以上の約6から約22の炭素原子の分岐1級アルコール;1つ以上の約6から約22の炭素原子の直鎖および/または分岐脂肪族アルコール炭酸エステル;1つ以上の約6から約22の炭素原子の脂肪族アルコールによる1つ以上のゲルベ炭酸エステル;各アルキル基が1から約12の炭素原子を含む1つ以上のジアルキル(例えばジエチルヘキシル)ナフタレート;アルキル基あたり約6から約22の炭素原子を含む1つ以上の直鎖または分岐、対称または非対称ジアルキルエーテル;約6から約22の炭素原子のエポキシ化脂肪酸エステルと2から約10の炭素原子および2から約6のヒドロキシル基を含むポリオールとの1つ以上の開環生成物;またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。
多相流体混合物は1つ以上の相の中に水を含んでよい。水は任意の便利な供給源から採取してよい。水は浸透圧法または蒸留法を用いて脱イオンまたは精製してよい。
多相流体混合物は1つ以上の乳化剤および/または界面活性剤を含んでよい。乳化剤および/または界面活性剤は、グリフィン(Griffin)のシステムでゼロから約18、一実施態様では約0.01から約18の範囲内の親水親油バランス(HLB)を有するイオン化合物または非イオン化合物を含んでよい。イオン化合物はカチオン化合物または両性化合物であってよい。例は、「マッカチオンズ界面活性剤および洗剤(McCutcheons
Surfactants and Detergents)」、1998年版、北米版および国際版に開示されているものを含む。北米版の1〜235頁および国際版の1〜199頁は、そのような乳化剤の開示に関する部分が参照によって本明細書に組み込まれる。用いてよい乳化剤および/または界面活性剤は、アルカノールアミン(例えばトリエタノールアミン)、アルキルアリールスルホン酸塩、アミンオキシド、アルキレンオキシド繰り返し単位を含むブロック共重合体を含むポリ(オキシアルキレン)化合物、カルボキシル化アルコールエトキシレート、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アミンおよびアミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪酸エステルおよび油、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、グリセロールエステル、グリコールエステル、ソルビタンエステル、イミダゾリン誘導体、レシチンおよび誘導体、リグニンおよび誘導体、モノグリセリドおよび誘導体、オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルおよび誘導体、プロポキシ化およびエトキシル化脂肪酸またはアルコールまたはアルキルフェノール、ソルビタン誘導体、ショ糖エステルおよび誘導体、硫酸エステルまたはアルコールまたはエトキシル化アルコールまたは脂肪酸エステル、ドデシルおよびトリデシルベンゼンまたは縮合ナフタレンまたは石油のスルホン酸塩、スルホコハク酸塩および誘導体、ならびにトリデシルおよびドデシルベンゼンスルホン酸を含む。乳化剤および/または界面活性剤は1つ以上のポリアルキレングリコール、グリセロールまたはソルビタンと約12から約22の炭素原子を含む脂肪酸との1つ以上の部分エステル、またはそれらの混合物を含んでよい。乳化剤および/または界面活性剤はレシチンなどの薬学上許容される物質を含んでよい。乳濁液中のこれらの乳化剤および/または界面活性剤の濃度は、乳濁液の約20重量%までの範囲内、一実施態様では約0.01から約5重量%、一実施態様では約0.01から約2重量%の範囲内であってよい。一実施態様では濃度は最大約2重量%、一実施態様では最大約1重量%、一実施態様では最大約0.5重量%であってよい。
多相流体混合物は、1つ以上の追加の機能添加剤を含んでよい。これらの機能添加剤は、多相混合物または乳濁液を形成させるために用いる任意の液体と前もって混合してよい。これらの機能添加剤は、UV保護因子(例えば、3‐ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、4‐アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸のエステル、ベンゾフェノンの誘導体、ベンザルマロン酸のエステル、トリアジン誘導体、2‐フェニルベンゾイミダゾール‐5‐スルホン酸およびその塩、ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体およびそれらの塩、ベンゾイルメタンの誘導体);ワックス(例えばキャンデリラロウ、カルナバロウ、日本ロウ、コルクワックス、米ぬか油ワックス、サトウキビワックス、蜜ロウ、ペトロラタム、ポリアルキレンワックス、ポリエチレングリコールワックス);粘稠性因子(例えば脂肪族アルコール、ヒドロキシ脂肪族アルコール;部分グリセリド、脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸);増粘剤(例えば、キサンタンガム、グアグアおよびカルボキシメチルセルロースなどの多糖類、ポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン);過脂肪剤(例えばラノリン、レシチン、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリド、脂肪酸アルカノールアミド);安定剤(例えば、ステアリン酸またはリシノール酸マグネシウム、アルミニウムまたは亜鉛などの脂肪酸の金属塩)、重合体(例えば、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体、四級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾール重合体、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーン重合体、ポリアミノポリアミドなどのカチオン重合体;アニオン性、双性イオン性、両性および非イオン重合体);シリコーン化合物(例えばジメチルポリシロキサン;メチルフェニルポリシロキサン;環状シリコーン;アミノ‐、脂肪酸、アルコール、ポリエーテル、エポキシ、フッ素、グルコシドおよび/またはアルキル修飾シリコーン化合物;シメチコーン;ジメチコーン);脂肪;ワックス;レシチン類;リン脂質;生物剤(例えばトコフェロール、アスコルビン酸、デオキシリボ核酸、レチノール、アミノ酸、植物抽出物、ビタミン複合体);酸化防止剤(例えば、アミノ酸、イミダゾール、ペプチド、カロチノイド、カロチン、リポン酸およびその誘導体、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル、ジラウリルチオジプロピオネート、スルホキシイミン化合物、アルファ‐ヒドロキシ脂肪酸などの金属キレート化剤、クエン酸または乳酸などのアルファ‐ヒドロキシ酸、フミン酸、胆汁酸、EDTA、EGTA、葉酸およびそれらの誘導体、ビタミンA、CまたはEなどのビタミン複合体、スチルベン類およびそれらの誘導体);脱臭剤;発汗抑制剤;フケ防止剤;膨潤剤(例えばモンモリロナイト、粘土鉱物);昆虫駆除薬;自己なめし剤(例えばジヒドロキシアセトン);チロシン阻害剤(脱色剤);ヒドロトロープ(例えば、流れ挙動を改善するために用いられるエタノール、イソプロピルアルコール、ならびにグリセロールおよびアルキレングリコールなどのポリオール);可溶化剤;防腐剤(例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン類、ペンタンジオール、ソルビン酸)、香油(例えば、花、果物の皮、根、木、ハーブおよび草、針状葉および枝、樹脂およびバルサムの抽出物、およびエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素を含む合成香料);染料;および類似物を含んでよい。多相流体混合の中のこれらの添加剤のそれぞれの濃度は、最大約20重量%、一実施態様では約0.01から約10重量%、一実施態様では約0.01から約5重量%、一実施態様では約0.01から約2重量%、一実施態様では約0.01から約1重量%であってよい。
多相流体混合物は1つ以上の固体粒子を含んでよい。固体粒子は有機物、無機物、またはそれらの組み合わせであってよい。固体粒子は触媒(例えばCeO2/BaAl2O19、Pt/Al2O3等などの燃焼触媒、重合触媒、および類似物)、顔料(例えばTiO2、カーボンブラック、酸化鉄等)、充填材(例えば雲母、シリカ、タルク、硫酸バリウム、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン粉体、メタクリル酸メチル粉体)等を含んでよい。固体粒子はナノサイズ粒子を含んでよい。固体粒子は約0.001から約10ミクロン、一実施態様では約0.01から約1ミクロンの範囲内の平均粒子直径を有してよい。多相流体混合物中の固体粒子の濃度は、乳濁液の重量基準で最大約70重量%、一実施態様では約0.1から約30重量%の範囲内であってよい。
多相流体混合物は連続相の中に分散した1つ以上の不連続相を含んでよい。不連続相は最大約200ミクロン、一実施態様では約0.01から約200ミクロン、一実施態様では約0.01から約100ミクロン、一実施態様では約0.01から約50ミクロン、一実施態様では約0.01から約25ミクロン、一実施態様では約0.01から約10ミクロン、一実施態様では約0.01から約5ミクロン、一実施態様では約0.01から約2ミクロン、一実施態様では約0.01から約1ミクロン、一実施態様では約0.01から約0.5ミクロン、一実施態様では約0.01から約0.2ミクロン、一実施態様では約0.01から約0.1ミクロン、一実施態様では約0.01から約0.08ミクロン、一実施態様では約0.01から約0.05ミクロン、一実施態様では約0.01から約0.03ミクロンの体積基準平均直径を有する気泡、液滴および/または固体粒子を含んでよい。
不連続相は水を含んでよく、連続相は有機液体を含んでよい。不連続相は有機液体を含んでよく、連続相は水または別の有機液体を含んでよい。連続相は連続相の中に分散または懸濁した固体粒子を含んでよい。不連続相は不連続相の中の液滴の中にカプセル化された気泡、固体粒子および/または液滴を含んでよい。本発明の利点は、少なくとも一実施態様では気泡、液滴および/または固体粒子が比較的狭い気泡、液滴または粒子サイズの分布を有することを特徴としてよいことである。一実施態様では、分散相の中の気泡、液滴または粒子のサイズをプロットした結果が正規分布曲線であってよい。
「相対スパン」は、多くの場合「スパン」と呼ばれる。それは、体積分布から計算される無次元パラメータである。体積中央値液滴サイズ(VMD)の場合と同じく、D[v,0.1]およびD[v,0.9]は、分散している液体の体積のそれぞれ10%および90%がそれらより小さな直径の液滴中にある点を表す直径である。スパンは、D[v,0.9]からD[v,0.1]を引き、次にVMD(D[v,0.5])で除した商と定義してよい。気泡、液滴または粒子のスパンは、約0.005から約10、一実施態様では約0.01から約10、一実施態様では約0.01から約5、一実施態様では約0.01から約2、一実施態様では約0.01から約1、一実施態様では約0.01から約0.5、一実施態様では約0.01から約0.2、一実施態様では約0.01から約0.1の範囲内であってよい。一実施態様では、本発明のプロセスは単一のプロセスマイクロチャンネルの中で実行され、スパンは約0.01から約0.5の範囲内であってよい。一実施態様では、本発明のプロセスは複数のプロセスマイクロチャンネルを使用するスケールアッププロセス中で実行され、スパンは約0.01から約1の範囲内であってよい。
一実施態様では、気泡、液滴および/または固体粒子の体積基準直径は約0.01から約200ミクロンの範囲内であってよく、スパンは約0.005から約10の範囲内であってよい。一実施態様では、体積基準平均直径は約0.01から約100ミクロンの範囲内であってよく、スパンは約0.01から約5の範囲内であってよい。一実施態様では、体積基準平均直径は約0.01から約50ミクロンの範囲内であってよく、スパンは約0.02から約5の範囲内であってよい。一実施態様では、体積基準平均直径は約0.01から約10ミクロンの範囲内であってよく、スパンは約0.05から約2.5の範囲内であってよい。一実施態様では、体積基準平均直径は約0.01から約5ミクロンの範囲内であってよく、スパンは約0.01から約2の範囲内であってよい。一実施態様では、体積基準平均直径は約0.01から約1ミクロンの範囲内であってよく、スパンは約0.005から約1の範囲内であってよい。
本発明のプロセスによって処理され、および/または形成された多相流体混合物は、製造業者が多相流体混合物を濃縮された形で供給することを可能にし、ひいては末端ユーザが水または油などの追加の成分を加えて最終的な完全に調合された製品を得ることを可能にする利点を提供してよい。
本発明のプロセスによって処理され、および/または形成された多相流体混合物は、多数の用途を有してよい。これらは、低くした乳化剤または界面活性剤の濃度が望ましいパーソナルスキンケア製品(例えば防水日焼け止め、防水ハンドクリームまたはローション)を含んでよい。
本発明のプロセスによって処理され、および/または形成された多相流体混合物は、塗料または被覆物として有用であってよい。これらは、強い耐候特性を有する耐水性ラテックス塗料を含んでよい。多相流体混合物は接着剤、糊、漏れ止め、防水シーラントおよび類似品として有用であってよい。これらの組成物の中に水相を含ませることによって、これらの製品における揮発性有機化合物(VOC)の問題を小さくしてよい。
本発明のプロセスは、さまざまな食品プロセス処理用途、特に連続プロセス処理操作において用いてよい。
本発明のプロセスは農業化学品の処理および/または製造において用いてよい。この場合、狭い液滴径分布を有する分散相を用いると、化学物質を葉の上に散布し、より小さな濃度の化学物質を用いて向上した防水性を提供する上で有利である。本発明のプロセスは、殺虫剤などの農業化学品の処理および/または製造において用いてよい。この場合、可視光の波長より小さな分散相の液滴サイズを使用することが望ましい。
本発明のプロセスは、乳化潤滑剤および燃料の処理および/または製造のために用いてよい。これらは、ディーゼルエンジンのために用いてよいものなどのオンボード燃料乳化システムを含んでよい。
本発明のプロセスは、乳化重合プロセスにおいて用いてよい。例えば、単量体を触媒とともに界面活性剤の中に可溶化させてよい。
本発明のプロセスを用いてビチューメンを含む急速硬化性乳濁液を作ってよい。これらの乳濁液は道路、自動車道、および類似施設などのセメントまたはアスファルト表面用の表面仕上げ材として用いてよい。これらの乳濁液は約60から約70重量%のビチューメンを含み、処理される表面に吹き付けてよい。これらの表面仕上げ材の上に砂利を散布し、圧延して適切な埋め込みおよび配置を確実にしてよい。これは、水不透性表面封止、および改善した表面組織も提供してよい。
本発明のプロセスを用いて処理され、および/または作られた多相流体混合物はシリコーン乳濁液を含んでよい。これらの乳濁液は、繊維およびその他の基質を処理してそれらの撥水性を変化させるために用いてよい。
本発明のプロセスは結晶化プロセス、例えば連続結晶化プロセスにおいて用いてよい。このプロセスを用いて指定サイズの粉体を単離し、精製し、および/また製造してよい。そのような結晶の例は高度精製砂糖を含む。乳濁液結晶化では、バルク溶融物の中より低い速度で均一な核形成が起こるように溶融物を乳濁液の液滴の中で結晶化させてよい。このプロセスは溶媒を用いないで実行してよく、従って低い資本コストおよび運転コストの利点を提供してよい。
本発明のプロセスを用いて液晶を処理し、および/または作ってよい。このプロセスで形成される液晶は、分散相が適所に「ロックされる」ので、乳化剤および/または界面活性剤の使用を減らす助けとなってよい。
本発明のプロセスを用いて接着剤、液体石鹸、洗濯洗剤、布地または織物のための被覆物、および類似物のためのワックス乳濁液を処理し、および/または作ってよい。
本発明のプロセスは医薬品の製造において用いてよい。この場合、狭い液滴サイズの分布を有する分散油相の提供は有利である。これらは、経口または注射用組成物ならびに皮膚クリーム、ローションおよび点眼薬を含んでよい。本発明のプロセスを用いて実現される液滴サイズおよび分布は薬剤の効力を増大させ、必要な治療のための薬剤使用レベルの低下を提供してよい。これは、包装材料の中に用いられる有機物質を可溶化させる傾向がある非水溶媒成分の使用を回避または限定する利点も提供してよい。これらの用途のための分散油相の液滴サイズは、脾臓または肝臓によって除かれることを回避するために、最大約0.5ミクロン、一実施態様では約0.01から約0.2ミクロンの範囲内、一実施態様では約0.01から約0.1ミクロンであってよい。本発明のプロセスによって処理されるかまたは製造される多相流体混合物は、不溶性または貧溶性薬剤(例えばイブプロフェン、ジアゼパム、グリセオフルビン、サイクロスポリン、コーチゾン、プロリューキン、エトポシド、パクリタキセル、サイトトキシン、ビタミンE、アルファ‐トコフェロール、および類似物)のための乳化ベヒクルとして機能してよい。本発明のプロセスを用いて医薬品組成物を作る際に、米国特許出願公開第2003/0027858号に開示されている医薬品化合物または薬剤、油および界面活性剤の多くを用いてよく、この公開特許はそのような化合物または薬剤、油および界面活性剤の開示への参照によって本明細書に組み込まれる。本発明のプロセスを用いる利点は、狭い液滴サイズ分布を有する小さな液滴を実現することを試みるために無菌環境を維持しながら従来の高せん断混合装置を用いることに伴う問題の多くを回避してよいという事実に関する。
本発明は1つ以上のプロセスマイクロチャネルを使用するプロセスに関する。各プロセスマイクロチャネルは2つ以上のプロセス区域を有し、各プロセス区域の中で1つ以上の異なる単位操作が行われる。各単位操作によって、非ニュートン流体が処理され、および/または形成される。
単位操作は、化学反応、化学分離(収着(すなわち吸収および/または吸着)、蒸留、抽出を含む)、凝縮、蒸発、加熱、冷却、圧縮、膨張、相分離、混合、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。従って、例えば、本発明のプロセスは、第1のプロセス区域の中で非ニュートン流体を加熱してから、第2のまたは続くプロセス区域の中で非ニュートン流体を用いて化学反応を行うことを含んでよい。非ニュートン流体は化学反応の間に加熱されるかまたは冷却されてよい。プロセスは、さまざまな成分を第1のプロセス区域の中で混合して非ニュートン流体を形成させてから、第2のまたは続くプロセス区域の中で非ニュートン流体を冷却することを含んでよい。
本発明のプロセスを用いて非ニュートン流体を加熱し、非ニュートン流体を冷却し、2つ以上の流体(非ニュートン流体であってもなくてもよい)を混合して非ニュートン流体を形成させ、非ニュートン流体を1つ以上の他の流体(非ニュートン流体であってもなくてもよい)および/または固体粒子と接触させ、および/または混合させ、2つ以上の流体(非ニュートン流体であってもなくてもよい)を用いて反応を行って非ニュートン流体を形成させ、1つ以上の非ニュートン流体を反応体として用いて反応を行い、非ニュートン流体を圧縮し、非ニュートン流体を膨張させ、非ニュートン流体を凝縮させ、非ニュートン流体を蒸発させ、1つ以上の成分を非ニュートン流体から分離し、またはこれらのことの2つ以上の組み合わせを行ってよい。
本発明のプロセスは、各単位操作の前および/または間に非ニュートン流体の粘度を低下少させるのに十分なせん断応力を非ニュートン流体に作用させることを含む。本発明のプロセスを行う前に非ニュートン流体は約10−3から約108センチポイズ、一実施態様では約102から約105センチポイズの範囲内の粘度を有してよい。粘度は各プロセス区域の中で最大約105センチポイズの範囲内、一実施態様では約10−5から約105センチポイズの範囲内、一実施態様では約10−3から約103センチポイズ、一実施態様では約10−3から約10センチポイズのレベルへ低下させてとよい。
各プロセス区域の中のせん断速度は約100秒−1を超え、一実施態様では約250秒−1を超え、一実施態様では約500秒−1を超え、一実施態様では約750秒−1を超え、一実施態様では約1000秒−1を超え、一実施態様では約2500秒−1を超え、一実施態様では約500秒−1を超え、一実施態様では約7500秒−1を超え、一実施態様では約10,000秒−1を超え、一実施態様では約50,000秒−1を超え、一実施態様では約100,000秒−1を超えてよい。1つのプロセス区域の中の平均せん断速度は別のプロセス区域の中の平均せん断速度と少なくとも約1.2倍、一実施態様では少なくとも約1.5倍、一実施態様では少なくとも約2倍、一実施態様では少なくとも約3倍、一実施態様では少なくとも約4倍、一実施態様では少なくとも約5倍、一実施態様では少なくとも約7倍、一実施態様では少なくとも約10倍、一実施態様では少なくとも約20倍、一実施態様では少なくとも約30倍、一実施態様では少なくとも約40倍、一実施態様では少なくとも約50倍、一実施態様では少なくとも約75倍、一実施態様では少なくとも約100倍異なってよい。
本発明のプロセスの利点は、非ニュートン流体の性質を利用すること、および同じプロセスマイクロチャネルの中の種々の単位操作に合わせてチャネル寸法を最適化することに関する。図68は、別々のプロセス区域すなわちプロセス区域1およびプロセス区域2を有するプロセスマイクロチャネルを示す。プロセス区域1の中で第1の単位操作が行われてよく、プロセス区域2の中で別の単位操作が行われてよい。非ニュートン流体の粘度のせん断速度に対する依存性を用いて各プロセス区域の中のプロセス効率を最も大きくするようにマイクロチャネル寸法を選んでよい。同様に、図69は複数すなわち「n」のプロセス区域を含むプロセスマイクロチャネルを示す。nの値は任意の数、例えば3から約20、一実施態様では3から約10、一実施態様では3から約5であってよい。
プロセス区域の中の平均せん断速度γ
avgは、次式によって定められる。式中Aはプロセス区域の中の濡れ表面積である。
表面積Aは、プロセスマイクロチャネル壁の上および/または中の突起物および/または空洞(例えば表面構成要素または構造壁からの)を含むプロセス区域の中のプロセスマイクロチャネル壁の内部表面積を含む。表面積Aは、触媒表面も収着材料表面も含まない。
一実施態様では、1つのプロセス区域の中の平均せん断速度は、プロセスマイクロチャネルの中のプロセス区域の少なくとも約25%の中の平均せん断速度より少なくとも約1.2倍大きくてよい。一実施態様では、1つのプロセス区域の中の平均せん断速度は、プロセスマイクロチャネルの中のプロセス区域の少なくとも約50%の中の平均せん断速度より少なくとも約1.2倍大きくてよい。
図3を参照すると、プロセスは、マイクロチャネルプロセス処理単位コア102、プロセス流体ヘッダ104、および生成物フッタ106を含むマイクロチャネルプロセス処理単位100を用いて行ってよい。マイクロチャネルプロセス処理単位コア102は、非ニュートン流体を処理し、および/または形成させるための2つ以上の単位操作を行うのに有用な複数のプロセスマイクロチャネルを含んでよい。マイクロチャネルプロセス処理単位コア102は、任意選択として、各プロセスマイクロチャネルおよび/または1つ以上の熱交換チャネルと隣接する1つ以上の段階添加チャネルを含んでよい。段階添加チャネルおよび/または熱交換チャネルはマイクロチャネルであってよい。プロセスマイクロチャネル、および任意選択として、段階添加チャネルおよび熱交換チャネルは、層として上下に積み重ねるかまたは横並びに配置してよい。プロセスヘッダ104は、第1の流体流がプロセスマイクロチャネルの中へ流れるための通路を提供してよい。第1の流体はニュートン性であっても非ニュートン性であってもよい。第1の流体流は、矢印110で示すようにヘッダ104を通ってマイクロチャネルプロセス処理単位100の中へ流れてよい。任意選択として、第2の流体流が矢印112で示すようにヘッダ104を通ってマイクロチャネルプロセス処理単位100の中へ流れてよい。任意選択として、1つ以上の追加流体流(図3には示していない)もヘッダ104を通ってプロセスマイクロチャネルの中へ流れてよい。第2の流体および/または追加流体はニュートン性であっても非ニュートン性であってもよい。流体流はヘッダ104の中で混合されプロセスマイクロチャネルの中へ流れるか、またはマイクロチャネルプロセス処理単位コア102の中へ流れプロセスマイクロチャネルの中で混合されてよい。あるいは、流体流はヘッダ104の上流で混合されてからヘッダ104を通ってプロセスマイクロチャネルの中へ流れてよい。生成物フッタ106は生成物がプロセスマイクロチャネルから流れるための通路を提供してよい。生成物はニュートン性であっても非ニュートン性であってもよい。生成物はマイクロチャネルプロセス処理単位コア102から生成物フッタ106を通って流れ、矢印114で示すように生成物フッタ106から出る。第1の流体流、第2の流体流、追加流体流、流体流混合物および/または生成物の1つ以上が非ニュートン流体を含む。生成物は、マイクロチャネルプロセス処理単位コア102を通して任意の回数、例えば1、2、3、4回等、戻してリサイクルさせてよい。熱交換流体が矢印116で示すようにマイクロチャネルプロセス処理単位コア102の中へ流れ、マイクロチャネルプロセス処理単位コア102の中の熱交換チャネルを通り、矢印118で示すようにマイクロチャネルプロセス処理単位コア102から出てよい。マイクロチャネルプロセス処理単位100は、図面には示していないが当業者には自明と考えられる貯槽、ポンプ、マニホルド、バルブ、流量調節デバイス、導管、および類似物とともに使用してよい。
マイクロチャネルプロセス処理単位コア102は、非ニュートン流体を用いて1つ以上の単位操作を行うための複数のマイクロチャネルプロセス処理単位を含んでよい。マイクロチャネルプロセス処理単位コア102は任意の数、例えば1、2、3、4、5、6、8、10、数100、数1000等のこれらの繰り返し単位を含んでよい。図4〜26および42〜43にこれらの例を示す。
一実施態様では、プロセスマイクロチャネルは少なくとも1つのプロセス区域の中に収束形断面積(図2、8〜12または19〜22参照)を有してよく、せん断応力は、収束形断面区域を通して非ニュートン流体を流すことによって非ニュートン流体に作用させてよい。一実施態様では、プロセスマイクロチャネルは少なくとも1つのプロセス区域の中の1つ以上の内部表面の上および/または中に表面構成要素(図46〜47参照)を含んでよく、せん断応力は、非ニュートン流体を表面構成要素と接触させて流すことによって非ニュートン流体に作用させてよい。一実施態様では、プロセスマイクロチャネルは少なくとも1つのプロセス区域の中の1つ以上の内部構造壁(図48〜49参照)を含んでよく、せん断応力は、非ニュートン流体を1つ以上の構造壁と接触させて流すことによって非ニュートン流体に作用させてよい。構造壁の中の空洞および/または突起物は、表面構成要素と呼んでよい。一実施態様では、プロセスマイクロチャネルは少なくとも1つのプロセス区域の中の1つ以上の内部表面の上の空洞および/または突起物を含む被覆層を含んでよく、せん断応力は、非ニュートン流体を被覆層と接触させて流すことによって非ニュートン流体に作用させてよい。一実施態様では、プロセスマイクロチャネルは少なくとも1つのプロセス区域の中の内部流れ制約デバイス(例えば静的ミキサ、モノリス、リブ等)を含んでよく、せん断応力は、非ニュートン流体を流れ制約デバイスと接触させて流すことによって非ニュートン流体に作用させてよい。
図4を参照すると、繰り返し単位200はプロセスマイクロチャネル210および熱交換区域270を含む。プロセスマイクロチャネル210は2つ以上のプロセス区域を含んでよい。熱交換区域270は熱交換チャネル272を含む。プロセスマイクロチャネルの中を矢印215および216で示す方向にプロセス流体が流れる。熱交換チャネル272の中をプロセスマイクロチャネル210の中の流れに対して交差流となる方向に熱交換流体が流れる。熱交換チャネル272を用いてプロセスマイクロチャネル210の長さ方向に調整された加熱または冷却プロフィルを提供してよい。プロセスマイクロチャネル210は、対向する側壁212と214とを含む。側壁212は、伝熱壁と呼んでよい。側壁212の上および/または中に表面構成要素217が配置される。プロセス流体は第1の流体流、または第1の流体流と第2の流体流と、任意選択として1つ以上の追加流体流との混合物を含んでよい。流体流および/または流体混合物の1つ以上が非ニュートン流体であってよい。プロセス流体はプロセス流体ヘッダ104から矢印215で示すようにプロセスマイクロチャネル210の中へ流れる。プロセスマイクロチャネルの中を流体が流れ、表面構成要素217と接触すると、非ニュートン流体に対して粘度を低下させるのに十分なせん断応力が作用することになる。プロセスマイクロチャネル210の中で非ニュートン流体を用いて1つ以上の単位操作が行われる。結果として得られる生成物は矢印216で示すようにプロセスマイクロチャネル210から流れ出る。生成物は繰り返し単位200から生成物フッタ106へ流れこれを通る。熱交換チャネル272の中を熱交換流体が流れ、プロセスマイクロチャネル210と熱を交換する。熱交換チャネル272とプロセスマイクロチャネル210との間の熱交換の結果としてプロセスマイクロチャネル210の冷却および/または加熱が行われてよい。
図5に例を示す繰り返し単位200Aは、表面構成要素217が側壁212でなく側壁214の上に配置される点を除けば図4に例を示した繰り返し単位200と同じである。
図6に例を示す繰り返し単位200Bは、表面構成要素217が側壁212と214との上に配置される点を除けば図4に例を示した繰り返し単位200と同じである。
図7に例を示すマイクロチャネル繰り返し単位200Cは、繰り返し単位200Cが1つのプロセスマイクロチャネルでなく2つのプロセスマイクロチャネル210および210Aを含む点を除けば図6に例を示した繰り返し単位200Bと同じである。繰り返し単位200Cはプロセスマイクロチャネル210および210Aと、熱交換区域270とを含む。動作するとき、第1の流体流、または第1の流体流と第2の流体流(と任意選択として1つ以上の追加流体流)との混合物は、プロセス流体ヘッダ104から矢印215および215Aで示すようにプロセスマイクロチャネル210および210Aの中へそれぞれ流れる。プロセス流体および/または流体混合物の1つ以上が非ニュートン流体であってよい。プロセス流体は、上記で示したように表面構成要素217および217Aと接触する。これによって非ニュートン流体に対するせん断応力の作用が提供され、その結果粘度の低下が起こってよい。プロセス流体はプロセスマイクロチャネル210および210Aの中を流れる。プロセスマイクロチャネル210および210Aの中で1つ以上の単位操作が行われる。その結果得られる生成物は矢印216および216Aで示すようにプロセスマイクロチャネル210および210Aから出る。生成物はプロセスマイクロチャネル210および210Aから生成物フッタ106へ流れてこれを通り、矢印114で示すようにマイクロチャネルプロセス処理単位100から出る。熱交換チャネル272の中を流れる熱交換流体はプロセスマイクロチャネル210および210Aの中のプロセス流体と熱を交換する。
図8に例を示す繰り返し単位200Dは、繰り返し単位200Dの中のプロセスマイクロチャネル210が収束形断面積を有する点を除けば図4に例を示した繰り返し単位200と同じである。矢印215に近いプロセスマイクロチャネル210の入口における断面積は、矢印216に近いプロセスマイクロチャネル210の出口における断面積より大きい。繰り返し単位200Dは、繰り返し単位200の中の表面構成要素が繰り返し単位200Dの中では除かれているという事実によっても繰り返し単位200と異なる。動作するとき、収束形断面積を通して非ニュートン流体を流すことによってプロセスマイクロチャネル210の中の非ニュートン流体へせん断応力を作用させる。流体がプロセスマイクロチャネル210を通って流れるにつれて流体の速度は増加する。非ニュートン流体の粘度は低下する。プロセスマイクロチャネル210の中を流れる流体の圧力降下は減少する。プロセスマイクロチャネル210の中で1つ以上の単位操作が行われる。
図9に例を示す繰り返し単位200Eは、繰り返し単位200Eの中のプロセスマイクロチャネル210が収束形断面積を有する収束区間218と非収束形断面積を有する非収束区間219とを含む点を除けば図8に例を示した繰り返し単位200Dと同じである。非ニュートン流体を収束区間218の中に流すことによって非ニュートン流体にせん断応力を作用させる。この結果、粘度が低下する。非収束区間219の中を流れる間に非ニュートン流体の粘度は増大してよい。
図10に例を示す繰り返し単位200Fは、内壁214の上および/または中に表面構成要素217が形成される点を除けば図8に例を示した繰り返し単位200Dと同じである。この実施態様では、収束形断面積と表面構成要素217との組み合わせを用いてせん断応力の増強を実現してよい。
図11に例を示す繰り返し単位200Gは、表面構成要素217が内壁214でなく内壁212の上に配置される点を除けば図10に例を示した繰り返し単位200Fと同じである。
図12に例を示す繰り返し単位200Hは、表面構成要素217が内壁212と214との両方の上に配置される点を除けば図10に例を示した繰り返し単位200Fと同じである。
図13を参照すると、マイクロチャネル繰り返し単位200Iは、プロセスマイクロチャネル210、段階添加チャネル240、開口区間250および熱交換区域270を含む。プロセスマイクロチャネル210は少なくとも2つのプロセス区域ならびに対向する側壁212および214を含む。側壁212の上に表面構成要素217が配置される。側壁212は、伝熱壁と呼んでもよい。プロセスマイクロチャネル210と段階添加チャネル240とにとって共通の壁である側壁214の中に開口区間250が配置される。開口区間250は、多孔質区間または多孔質基板と呼んでよい。開口区間250は、内部を通って延在する複数の開口を有するシートまたはプレートを含んでよい。下記で、開口区間240の追加実施態様を詳細に考察する。段階添加チャネル240は開口区間250を通してプロセスマイクロチャネル210へ開放される。段階添加チャネル240は出口開口243を有する貫通流チャネルであっても閉鎖端チャネルであってもよい。プロセスマイクロチャネル210は混合区域211を有し、混合区域211の上流および/または下流に非開口領域(図には示していない)を有してよい。混合区域211は開口区間250と隣接する。混合区域211は混合を増強するために制約された断面を有してよい。動作時、第1の流体流は方向矢印215で示すようにプロセスマイクロチャネル210の中へ流れ、混合区域211の中へ流れる。第2の流体流は矢印242で示すように段階添加チャネル240の中へ流れ、次に矢印244で示すように開口区間250を通って混合区域211の中へ流れる。混合区域211の中で第2の流体流は第1の流体流と接触し、混合して多相混合物または乳濁液を形成する。第2の流体流は第1の流体流の中の不連続相(例えば気泡、液滴)を形成してよい。第1の流体流は連続相を形成してよい。流体は表面構成要素217と接触し、その結果せん断応力が流体に作用する。第1の流体流および/または第2の流体流、および/または結果として得られる多相混合物または乳濁液は非ニュートン性であってよい。作用するせん断応力によって非ニュートン流体の粘度が低下する。多相混合物または乳濁液は矢印216で示すように混合区域211から流れ、プロセスマイクロチャネル210から出る。第1の流体流および/または第2の流体流は均一系触媒を含んでよく、プロセスマイクロチャネル210の中で第1の流体流と第2の流体流との間の反応が行われてよい。第2の流体流の一部は段階添加チャネル240の中の開口243を通って流れ、リサイクルされてヘッダ104へ戻ってよく、一方、第2の流体流の残りは上記で考察したように開口区間250を通って流れてよい。
マイクロチャネル繰り返し単位200Iは、熱交換チャネル272を含む熱交換区域270を有する。加熱または冷却が望まれるとき、熱交換流体が熱交換チャネル272を通って流れ、プロセスマイクロチャネル210および段階添加チャネル240の中の流体を加熱または冷却する。加熱または冷却の度合いはプロセスマイクロチャネル210および段階添加チャネル240の軸方向長さにわたって変化してよい。加熱または冷却はプロセスマイクロチャネル210および段階添加チャネル240のいくつかの区間では無視してよいかまたは存在せず、他の区間ではゆるやかであるかまたは比較的高くてよい。あるいは、熱交換流体はプロセスマイクロチャネル210の中の流体の流れに対して向流または交差流となる方向に流れてよい。あるいは、加熱または冷却は熱交換流体以外の加熱媒質または冷却媒質を用いて実現してよい。例えば、加熱は電熱素子を用いて実現してよい。冷却は非流体冷却素子を用いて実現してよい。電熱素子および/または非流体冷却素子を用いてプロセスマイクロチャネル210および/または段階添加チャネル240の1つ以上の壁を形成させてよい。電熱素子および/または非流体冷却素子をプロセスマイクロチャネル210および/または段階添加チャネル240の1つ以上の壁の中へ構築してよい。プロセスマイクロチャネル210の軸方向長さに沿って複数の加熱区域または冷却区域を使用してよい。同様に、プロセスマイクロチャネル210の長さに沿って異なる温度の複数の熱交換流体を使用してよい。
プロセスマイクロチャネル210を通って流れる流体は、プロセスマイクロチャネル入口からプロセスマイクロチャネル出口へ流れるにつれて圧力降下してよい。この圧力降下の結果、プロセスマイクロチャネル210内の内部圧力はプロセスマイクロチャネル入口近くの最高点からプロセスマイクロチャネル出口近くの最低点へ次第に低下してよい。サイズが比較的一様な気泡または液滴を作り出すために、開口区間250の軸方向長さに沿って開口区間250の前後で実質的に一定の差圧を維持することが望ましいことがある。これを実行するために、段階添加チャネル240内の内部圧力を軸方向長さに沿って低下させ、プロセスマイクロチャネルを通る流体の流れの結果である圧力降下の結果としてのプロセスマイクロチャネル210の中の内部圧力の低下と整合させてよい。これは、段階添加チャネルの中を流れる第2の流体流がプロセスマイクロチャネル210を通って流れる流体の圧力降下と同様な圧力降下を受けるように、マイクロチャネルの形の段階添加チャネル240を提供することによって実行してよい。
一実施態様では、開口区間250は、開口区間250の軸方向長さに沿った第2の流体流の連続導入ではなく、複数の別々の原料導入点を含んでよい。別々の原料導入点の数は任意の数、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、10、20、50、100等であってよい。
図14に例を示すマイクロチャネル繰り返し単位200Jは、繰り返し単位200Jが互いに隣接して配置された第1の繰り返し区間205と第2の繰り返し区間205Aとを有する点を除けば図13に例を示したマイクロチャネル繰り返し単位2001と同じである。第1の繰り返し区間205は第1のプロセスマイクロチャネル210、第1の段階添加チャネル240および第1の開口区間250を含む。第2の繰り返し区間205Aは第2のプロセスマイクロチャネル210A、第2の段階添加チャネル240Aおよび第2の開口区間250Aを含む。プロセスマイクロチャネル210は表面構成要素217を含み、プロセスマイクロチャネル210Aは表面構成要素217Aを含む。熱交換チャネル272は第1の繰り返し区間205と隣接して熱接触し、第2の繰り返し区間205Aからは離れているが熱接触している。
図15に例を示すマイクロチャネル繰り返し単位200Kは、少なくとも2つのプロセス区域を含むプロセスマイクロチャネル210と、熱交換チャネル272を含む熱交換区域270とを含み、プロセス区域の1つは反応区域220を含み、反応区域220には触媒222が配置されている。図15に例を示す触媒222は固体粒子床の形である。しかし、図15に例を示すプロセスマイクロチャネルの中では本明細書中で考察する任意の触媒形を用いてよい。反応区域220の上流の対向する側壁212および214の上および/または中に表面構成要素217が配置される。動作時、第1の流体流、または第1の流体流と第2の流体流と、任意選択として1つ以上の別の流体流との混合物は矢印215で示すように反応区域220へ入り、触媒222と接触し、反応して生成物を形成する。流体および/または流体の混合物の1つ以上が非ニュートン性であってよい。非ニュートン流体を表面構成要素217と接触させて流すことによって非ニュートン流体にせん断応力を作用させる。これによって非ニュートン流体の粘度が低下する。生成物は矢印216で示すように反応区域220から流れ出る。
図16に例を示すマイクロチャネル繰り返し単位200Lは、少なくとも2つのプロセス区域を含むプロセスマイクロチャネル210と、熱交換チャネル272を含む熱交換区域270とを含む。プロセス区域の1つは反応区域220を含み、反応区域220の中には触媒222が配置されている。触媒222は内壁214の上に配置されている。対向する内壁212の上に表面構成要素217が配置されている。触媒222は、内壁214の上に取り付けられた担体の上に配置してよい。触媒は、本明細書中で考察する任意の形であってよい。動作時、第1の流体流、または第1の流体流と第2の流体流と、任意選択として1つ以上の別の流体流との混合物は、矢印215で示すように反応区域220へ入り、触媒222と接触し、反応して生成物を形成する。反応体流体流および/または生成物の1つ以上であってよい非ニュートン流体が表面構成要素217と接触してプロセスマイクロチャネル210の中を流れると非ニュートン流体にせん断応力が作用する。非ニュートン流体に加えられるせん断応力は、非ニュートン流体の粘度を低下させる。
図17に例を示す繰り返し単位200Mは、繰り返し単位200Mが触媒222の上流の内部側壁214の上の追加表面構成要素217を含む点を除けば図16に例を示した繰り返し単位200Lと同じである。繰り返し単位200Mの中の追加表面構成要素217は、反応区域220の上流のプロセスマイクロチャネル210の中で追加のせん断応力、従ってさらに別の粘度の低下を提供する。
図18に例を示す繰り返し単位200Nは、繰り返し単位200Nでは反応区域の下流で表面構成要素217が取り除かれている点を除けば図17に例を示した繰り返し単位200Mと同じである。これは、反応区域220から流れる生成物に、繰り返し単位200Mと比較して低くなったせん断応力を提供する。
図19に例を示す繰り返し単位200Oは、繰り返し単位200Oが触媒222を含む反応区域220を含む点を除けば図8に例を示した繰り返し単位200Dと同様である。図19に例を示す触媒222は固体粒子床の形である。しかし、反応区域220の中では本明細書で考察する任意の触媒形を用いてよい。反応体および/または生成物は非ニュートン性であってよい。プロセスマイクロチャネル210はプロセスマイクロチャネルの中を流れる非ニュートン流体にせん断応力を作用させる収束形断面積を有する。これによって非ニュートン流体の粘度が低下する。熱交換区域270の中に配置された熱交換チャネル272によって熱交換が提供される。
図20に例を示す繰り返し単位200Pは、繰り返し単位200Pが触媒222を含む反応区域220を含む点を除けば図9に例を示した繰り返し単位200Eと同じである。図20に例を示す触媒222は固体粒子床の形である。しかし、本明細書中で考察する任意の触媒形を用いてよい。プロセスマイクロチャネル210は収束区間218と非収束区間219とを含む。反応区域220は非収束区間219の中に配置される。非ニュートン性であり、第1の流体、または第1の流体と第2の流体と、任意選択として1つ以上の追加流体の混合物とを含んでよい反応体は、矢印215で示すようにプロセスマイクロチャネル210の中を流れ、触媒222と接触し、生成物を形成し、生成物は矢印216で示すようにプロセスマイクロチャネル210から流れ出る。収束区間218の中を流れる非ニュートン流体にせん断応力が作用し、その結果非ニュートン流体の粘度は低下する。熱交換区域270の中の熱交換チャネル272とプロセスマイクロチャネル210との間で熱交換が提供されてよい。
図21に例を示す繰り返し単位200Qは、反応区域220が図20に例を示した非収束区間219の中でなくプロセスマイクロチャネル210の収束区間218の中に配置される点を除けば図20に例を示した繰り返し単位200Pと同じである。
図22に例を示す繰り返し単位200Rは、反応区域220が一部はプロセスマイクロチャネル210の収束形区間218の中に配置され、一部はプロセスマイクロチャネル210の非収束形区間218の中に配置される点を除けば図20に例を示した繰り返し単位200Pと同じである。
図23にマイクロチャネル繰り返し単位200Sの例を示す。繰り返し単位200Sはプロセスマイクロチャネル210、段階添加チャネル240および開口区間250を含む。プロセスマイクロチャネル210と段階添加チャネル240とを共通の側壁214が分離する。開口区間250は共通壁214の中に配置される。開口区間250は、開口区間を通る第2の流体流の流れを可能にするための複数の開口を含む。プロセスマイクロチャネル210は2つのプロセス区域を含み、その一方は混合区域211であり、他方は反応区域220である。反応区域220の中に触媒222が配置される。混合区域211は反応区域220の上流にある。プロセスマイクロチャネル210の側壁212の上および/または中に表面構成要素217が配置される。側壁212は、伝熱壁と呼んでよい。第1の流体流は矢印215で示すようにプロセスマイクロチャネル210の中へ流れ、混合区域211の中へ流れる。第2の流体流は矢印242で示すように段階添加チャネル240の中へ流れ、段階添加チャネル240から矢印244で示すように開口区間250を通って混合区域211の中へ流れる。矢印242で示す段階添加チャネル240の中の第2の流体流の流れの方向は、矢印215で示すプロセスマイクロチャネル210の中の第1の流体流の流れの方向と並流である。あるいは、段階添加チャネル240の中の第2の流体流の流れは、マイクロチャネル210の中の第1の流体流の流れに対して向流または交差流であってよい。第1の流体流と第2の流体流とは混合区域211の中で相互接触し、反応体混合物を形成する。反応体混合物は混合区域211から反応区域220の中へ流れ、触媒と接触し、反応して生成物を形成する。生成物は矢印216で示すようにプロセスマイクロチャネル210から出る。第1の流体流、反応体混合物および/または生成物は非ニュートン性であってよい。非ニュートン流体が表面構成要素217と接触すると非ニュートン流体にせん断応力が作用する。非ニュートン流体に作用したせん断応力は非ニュートン流体の粘度を低下させる。熱交換区域270の中の熱交換チャネル272は段階添加チャネル240およびプロセスマイクロチャネル210の中のプロセス流体と熱を交換する。
図23に例を示した繰り返し単位200Sの代替実施態様では、混合区域211と反応区域220との間のプロセスマイクロチャネル210の中に補助混合区域が提供されてよい。
図24に例を示す繰り返し単位200Tは、第2の流体流の一部が混合区域211の中で第1の流体流と混合し、第2の流体流の一部が反応区域220の中で第1の流体流と混合する点を除けば図23に例を示した繰り返し単位200Sと同じである。混合区域211の中で第1の流体流と混合する第2の流体流の量は第2の流体流の約1%から約99体積%、一実施態様では約5%から約95体積%、一実施態様では約10%から約90体積%、一実施態様では約20%から約80体積%、一実施態様では約30%から約70体積%、一実施態様では第2の流体流の約40%から約60体積%であってよい。第2の流体流の残りは反応区域220の中で第1の流体流と混合する。
図25に例を示す繰り返し単位200Uは、繰り返し単位200Uが別個の混合区域211を含まない点を除けば図24に例を示した繰り返し単位200Tと同じである。繰り返し単位200Uの中でプロセスマイクロチャネル210の側壁212および214は反応区域220のそれぞれの上流の表面の上および/または中にも表面構成要素217を有する。繰り返し単位200Uを用いると第2の流体流は開口区間250を通って反応区域220の中へ流れ、そこで第1の流体流と接触し、触媒222の存在下で反応して生成物を形成する。次に、生成物は矢印216で示すようにプロセスマイクロチャネル210から流れ出る。
図26に例を示す繰り返し単位200Vは、繰り返し単位200Vが隣接する2組のプロセスマイクロチャネル、段階添加チャネルおよび開口区間を含む点を除けば図25に例を示した繰り返し単位2000と同じである。これらの組の一方は熱交換チャネル272と隣接し、他方の組は熱交換チャネル272から離れているが熱接触している。
代替実施態様では、繰り返し単位は2つのプロセスマイクロチャネルと単一の段階添加チャネルとを含んでよい。この実施態様では、繰り返し単位は第1のプロセスマイクロチャネル、第2のプロセスマイクロチャネル、および第1のプロセスマイクロチャネルと第2のプロセスマイクロチャネルとの間に配置された段階添加チャネルを含んでよい。各プロセスマイクロチャネルは開口区間を有する壁を有してよい。各プロセスマイクロチャネルの中の1つ以上の側壁の上および/または中に表面構成要素が配置されてよい。各プロセスマイクロチャネルの中に触媒が配置されてよい。第1の流体は第1のプロセスマイクロチャネルおよび第2のプロセスマイクロチャネルの中を触媒と接触して流れる。第2の流体は段階添加チャネルから開口区間を通って第1のプロセスマイクロチャネルの中を流れて触媒および第1の流体と接触し、開口区間を通って第2のプロセスマイクロチャネルの中を流れて触媒および第1の流体と接触して反応生成物を形成する。プロセスマイクロチャネルの中を表面構成要素と接触して非ニュートン流体が流れる。これによって非ニュートン流体の粘度が低下する。
プロセスマイクロチャネル、段階添加チャネルおよび熱交換チャネル、ならびに任意のプロセスヘッダ、プロセスフッタ、熱交換ヘッダ、熱交換フッタおよび類似物を含むマイクロチャネルプロセス処理単位コア102は、本発明のプロセスの動作を可能にするのに十分な強度、寸法安定性および伝熱特性を提供する任意の材料で作ってよい。これらの材料は、鋼、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、ロジウム、銅、クロム、真鍮、任意の前述の金属の合金、重合体(例えば熱硬化性樹脂)、セラミックス、ガラス、1つ以上の重合体(例えば熱硬化性樹脂)とガラス繊維とを含む複合体、石英、ケイ素、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含んでよい。
プロセスマイクロチャネル210、段階添加チャネル240、および/または熱交換チャネル272内の流れおよび/または混合は、そのようなチャネルの1つ、2つまたはそれ以上の内壁の上に形成された表面構成要素を用いて変化させてよい。表面構成要素はチャネル壁の1つ以上の中の窪みおよび/またはチャネル壁の1つ以上からの突起の形であってよい。これらの表面構成要素はチャネルを通る流れの方向に対してある角度で並べてよい。表面構成要素は流れの方向に対して約1°から約89°、一実施態様では約30°から約75°の角度で並べてよい。配向の角度は傾斜角であってよい。角度のある構成要素は流れと同じ方向、または流れと反対の方向へ並べてよい。表面構成要素と接触する流体の流れは、流体の1つ以上を表面構成要素の中の窪みの中へ流れさせるが、他の流体は表面構成要素の上を流れてよい。表面構成要素内の流れは表面構成要素に順応し、チャネル中のバルク流れの方向に対してある角度をなしてよい。流体が表面構成要素から出るとき、流体はバルク流れをz方向とするx,y,z座標系のxおよびy方向に運動量を及ぼしてよい。この結果、流体の流れの中に撹拌または回転が生じてよい。このパターンは、付与された速度勾配が相の1つを小さな十分分散した滴に分断する流体せん断を作り出してよいので、2相流を混合するのに有用であってよい。
第1の表面構成要素領域を用いて多相混合物または乳濁液を形成させる流体の混合が実現され、続いて少なくとも1つの第2の表面構成要素領域があり、そこで別の流れパターンが用いられてよいように、プロセスマイクロチャネル210内の2つ以上の表面構成要素領域を直列に配置してよい。第2の流れパターンを用いて1つ以上の液体または気体を流体混合物から分離してよい。第2の表面構成要素領域の中で1つの液体をプロセスマイクロチャネルの内壁の方へ押しやり、別の液体を流体コアの中にとどまらせる遠心力を作り出す流れパターンを用いてよい。強い中心渦を作り出してよい表面構成要素の一パターンはプロセスマイクロチャネルの上部および底部の一対の角度のあるスロットを含んでよい。表面構成要素のこのパターンを用いて中心渦巻き流れパターンを作り出してよい。
開口区間250は、各プロセスマイクロチャネルの内壁の1つ以上の一部分を形成する内部部分を含んでよい。開口区間のこの内部部分の上に表面構成要素シートがあってよい。表面構成要素シートの中および/または上に表面構成要素が形成されてよい。第2の流体は開口区間および表面構成要素シートを通ってプロセスマイクロチャネルの中へ流れてよい。第2の流体の一部は表面構成要素シートの表面から引き離され、一部は表面構成要素シートの表面構成要素の中を流れてよい。表面構成要素シートは流れの長さ全体に対して相対的に小さな幅またはスパンを有する角度のある構成要素を含んでよい。表面構成要素シートは開口区間のための機械的支持を提供してよい。表面構成要素はプロセスマイクロチャネルの中の流体に渦巻き流れパターンを付与し、2つの相の良好な混合を促進し、およびまたは、小さな乳濁液の液滴の形成を促進してよい。渦巻き流れパターンは、開口区間を通って流れる第2の液体にせん断を付与し、従ってバルク流路の中の液滴のサイズを減少させてよい。
図46〜47に表面構成要素の例を示す。表面構成要素は上下に積み重ねられるかまたは三次元パターンで絡み合った2つ以上の層を有してよい。それぞれの個別の層の中のパターンは同じであっても異なっていてもよい。各層の中または1つの層の中だけで流れが回転するかまたは移流してよい。チャネルのバルク流路に隣接していなくてよい副層を用いて追加表面積を作り出してよい。流れは表面構成要素の第1のレベルの中で回転し、第2層以降の副層の中に分子拡散して反応を促進してよい。三次元表面構成要素は、金属キャスト法、光化学機械加工法、レーザ切断法、エッチング法、アブレーション法またはその他のプロセスによって作ってよく、上下に積み重ねた個別の面であるかのようにさまざまなパターンを再分化しけてよい。三次元表面構成要素をマイクロチャネル内のバルク流路に隣接させて設け、表面構成要素に種々の深さ、形状および/または位置を持たせ、種々の深さ、形状および/または位置のパターンを有する副構成要素を伴わせる。
表面構成要素、または全体にパターンをエッチングしたプレートの使用は、開口区間を形成するために用いられる薄いまたは弱い開口プレートまたはシートのための構造的な支持を提供するために有利であってよい。一実施態様では、非常に小さな平均細孔直径(1ミクロン未満)を有するが、開口区間を通して第2の液体をプロセスマイクロチャネルの中へ押し込むために必要な高い圧力差(約10psiより大きな、約50psiより大きな、約100psiより大きな、またはもっと大きな)に耐えることができない重合体材料から開口シートを作ってよい。構造的な支持に必要な開口スパンはプロセスマイクロチャネルの断面から表面構成要素の開口スパンまで小さくし、表面構成要素の長さとしてよい。開口シートまたはプレートが低下した機械的一体性を有するなら、表面構成要素のスパンは必要なだけ小さくしてよい。表面構成要素の一利点は、開口区間の壁において顕著なせん断応力を作り出して小さな液滴の分離を支援してよいように表面構成要素内で発生させてよい対流である。
3次元表面構成要素構造体の例は、マイクロチャネルのバルク流路に隣接する界面における窪んだV字形を含んでよい。バルク流路に隣接する表面構成要素に接続されているが、いろいろな形状、深さおよび/または位置の構造体から作られた一連の3次元構造体がV字体の下にあってよい。マイクロチャネル内のバルク流路に隣接する開放表面構成要素の下に直接配置されるのでなく、1つ以上の曲がりくねった2次元または3次元通路を通って接続される副層通路を設けるとさらに有利であってよい。この手法は、滞留時間分布を狭くするよりは滞留時間分布を広くすることが望ましい場合に、調整された滞留時間分布をマイクロチャネルの中に作り出すために有利であってよい。
表面構成要素の長さおよび幅はマイクロチャネルの長さおよび幅と同じように定めてよい。深さは、表面構成要素がマイクロチャネル表面の中に窪むかまたはマイクロチャネル表面の上に高くなる距離であってよい。表面構成要素の深さは、シート表面の上または中に形成された表面構成要素を有する積層されボンディングされたマイクロチャネルデバイスを積層する方向に対応してよい。表面構成要素の寸法は表面構成要素の最大寸法を指してよく、例えば丸形グルーブの深さは最大深さすなわち溝の底の深さを指してよい。
表面構成要素は約2mmより小さな、一実施態様では約1mmより小さな、一実施態様では約0.01から約2mmの範囲内、一実施態様では約0.01から約1mmの範囲内、一実施態様では約0.01mmから約0.5mmの範囲内の深さを有してよい。表面構成要素の幅はマイクロチャネル幅とほぼ同じであるのに十分であってよい(例えば魚骨設計)が、一実施態様(充填構成要素など)ではマイクロチャネルの幅の約60%以下、一実施態様では約50%以下、一実施態様では約40%以下、一実施態様ではマイクロチャネル幅の約0.1%から約60%、一実施態様ではマイクロチャネル幅の約0.1%から約50%、一実施態様ではマイクロチャネル幅の約0.1%から約40%の幅であってよい。表面構成要素の幅は約0.05mmから約100cmの範囲内、一実施態様では約0.5mmから約5cmの範囲内、一実施態様では約1から約2cmの範囲内であってよい。
1つ以上のマイクロチャネル壁の中のさまざまな深さの窪みの表面構成要素を含む、複数の表面構成要素、または表面構成要素の領域をマイクロチャネル内に含んでよい。窪みの間の間隔は約0.01から約10mmの範囲内、一実施態様では約0.1から約1mmの範囲内であってよい。表面構成要素はマイクロチャネルの長さ全体にわたってまたはマイクロチャネルの部分または領域の中に存在してよい。表面構成要素を有する部分または領域は、所望の混合または単位操作(例えば分離、冷却等)をあつらえた区域の中で促進するように断続的であってよい。例えば、マイクロチャネルの1センチメートルの区画は間隔を詰めた表面構成要素のアレイ、続いて構成要素のない4センチメートルの平坦なチャネル、続いて間隔の空いた表面構成要素の2センチメートルの区画を有しよい。用語「間隔の空いた表面構成要素」を用いて表面構成要素の幅の約5倍より大きなピッチまたは構成要素‐構成要素距離を有する表面構成要素を指してよい。
一実施態様では、表面構成要素は、実質的にチャネルの軸方向長さ全体にわたって延在する1つ以上の表面構成要素領域の中にあってよい。一実施態様では、チャネルは軸方向長さの約50%以下、一実施態様では軸方向長さの約20%以下にわたって延在する表面構成要素を有してよい。一実施態様では、表面構成要素はチャネルの軸方向長さの約10%から約100%、一実施態様では約20%から約90%、一実施態様では約30%から約80%、一実施態様ではマイクロチャネルの軸方向長さの約40%から約60%にわたって延在してよい。
図46および47は表面構成要素に用いてよい複数の異なるパターンを示す。これらのパターンには本発明を限定する意図はなく、複数の可能性の例を示すことしか意図しない。これらのパターンは、任意の表面構成要素と同じくマイクロチャネルのさまざまな軸方向または横方向区画の中で用いてよい。
プロセスマイクロチャネルは1つ以上の構造壁を含んでよい。これらは1つ以上のシムから形成させてよい。シムの1つ以上は1つ以上の空洞空間、開口またはスルーホールを含んでよい。これらは表面構成要素と呼んでよい。シムは、シムの一方の表面、あるいはシムの前面または第1の表面と背面または第2の表面との両方の中に形成されたグルーブまたはマイクログルーブを含んでよい。第1の表面からのグルーブまたはマイクログルーブが第2の表面からのグルーブまたはマイクログルーブと交差してシムの中の複数の空洞、スルーホールまたは開口を形成してよい。図48および49に例を示す。図48は、前面または第1の表面512および背面または第2の表面514と、各表面の中に形成された複数のグルーブまたはマイクログルーブ530とを有するシム510の例を示す。前面512の中に形成されたグルーブまたはマイクログルーブ530は互いに平行であり、ブロックパターン550の配列として配置され、第1のブロックパターン550の中ではグルーブまたはマイクログルーブは第1の方向または水平方向に並べられ、次に、隣接する第2のブロックパターン550の中ではグルーブまたはマイクログルーブは第2の方向または垂直方向に並べられている。ブロックパターン550の配列は、上下に配置された連続する行として並べられた複数のブロックパターン550を含み、連続する行は横並びに配置された複数の列を形成する。背面514の中に形成されたグルーブまたはマイクログルーブ530も互いに平行であり、前面512が第1の方向または水平方向に並べられたグルーブまたはマイクログルーブを有するところで背面514は第2の方向または垂直方向に並べられたグルーブまたはマイクログルーブ530を有する点を除けば前面512の中のブロックパターン550と同様なブロックパターン550の配列として配置される。同様に、前面512が第2の方向または垂直方向に並べられたグルーブまたはマイクログルーブ530を有するところで背面514は第1の方向または水平方向に並べられたグルーブまたはマイクログルーブを有する。前面512の中のグルーブまたはマイクログルーブ530、および背面514の中のグルーブまたはマイクログルーブ530は、シム510の中に部分的に進入する。前面および背面の中のグルーブまたはマイクログルーブ530の進入は、前面512の中のグルーブまたはマイクログルーブ530が背面514の中のグルーブまたはマイクログルーブ530と交差し、シム510の中のグルーブまたはマイクログルーブが交差する点に空洞、スルーホールまたは開口552の配列が形成される結果となるのに十分である。開口552は、流体が開口552を通って流れるかまたは拡散することを可能にするのに十分なサイズであってよい。開口の数はcm2あたり約1から約200,000開口、一実施態様ではcm2あたり約10から約100,000開口の範囲内であってよい。開口552は約1から約2000ミクロン、一実施態様では約10から約1000ミクロンの範囲内の平均寸法(例えば直径)を有してよい。ブロックパターン550は約0.01かける約500mm、一実施態様では約0.5かける約20mmの寸法を有してよい。各ブロックパターン550と次の隣接するブロックパターンとの間の間隔は約0.01から約10mm、一実施態様では約0.1から約1mmの範囲内であってよい。この実施態様では、パターンはA、B、A、B型で交互している。代替実施態様では、構造体の体積に対する表面積の比が反応器の長さ方向でまたは反応器の異なる区域の中で異なってよいように幾何配置を変化させてよい。こうすると、反応器の上部近くで非常に高い放熱速度を有する反応は、反応速度が遅くなり伝熱速度が低くなる反応器の中央部または終端部近くで体積に対する表面積の比を高くした構造の使用によって有利となってよい。その結果得られる反応器長さに沿った発熱速度、または反応器長さに沿った熱流束プロフィルをより一様にまたは均一にしてよい。パターンをさらに最適化して所望の反応生成物への選択率を最大にしてよい。パターンも最適化して触媒構造内、触媒構造の長さ方向、または両方に調整された勾配を作り出してよい。
例を示した実施態様では、前面または第1の表面512の中のグルーブまたはマイクログルーブ530は背面または第2の表面514の中のグルーブまたはマイクログルーブと直交しているが、交角は任意の値(例えば約30°から約120°)であってよく、従って直角に限定されないと理解すべきである。
図49は、上下に積層されるかまたは横並びに配置されてよい、図59に例を示す複数のシム510を含む複合体構造502の例を示す。複合担持構造体502の中には任意の数のシム510を上下に積層するかまたは横並びに配置してよい。例えば、2、3、4、6、8、10、20、30、50、100等のシム510を上下に積層してよい。
プロセスマイクロチャネル210、段階添加チャネル240および/または熱交換チャネル272は内壁を疎油性被覆物で被覆して(同じ被覆物が疎水特性も提供してよい)界面エネルギーを減少させてよい。テフロン(登録商標)が、疎油性傾向と疎水性傾向との両方を示してよい被覆物材料の例であってよい。プロセスマイクロチャネル210の内部に面する開口区間240の表面を疎油性被覆物で被覆して液滴抗力を減少させ、より小さな液滴の形成を促進してよい。開口区間上の被覆物は、開口区間の表面から液滴を離脱させるために必要なエネルギーを減少させてよい。さらに、液滴離脱時、および開口区間を過ぎてプロセスマイクロチャネルの下流を流れる間に第2の液体に及ぼされる抗力を低下させてよい。一実施態様では、疎水性被覆物を開口区間に塗布して液滴の油相の中への離脱を支援してよい。流体は、疎油性被覆物で被覆した表面を濡らさなくてよい。よって、流体は、表面を滑って通り、従って流体の壁に対する通常の非滑り境界条件を打ち消すかまたは低下させてよい。流体が滑ると、小さくなった抗力の結果として局所的摩擦係数は減少してよく、対応するチャネルの単位長さあたりの圧力降下は小さくなってよい。局所的伝熱速度は、淀んだ膜を通る伝導性熱伝達と対比すると、被覆された表面の上の強制対流の結果として増加してよい。被覆物の効果は、異なる種類の非ニュートン流体に対して異なる影響を有してよい。降伏しない偽可塑性(べき乗則)流体の場合、流体に依存するせん断速度より高いせん断速度ではニュートン性に見えてよい。流体の粘度は、せん断速度が特定の値より小さいとき高くなってよい。被覆された壁のため、せん断速度が局所的に大きくなると流体は液滴をせん断しやすくなり、より少ないエネルギーで移動し(ポンプ動力要件が低くなり)、被覆物が用いられていない場合より良好な伝熱特性を有してよい。降伏する偽可塑性(べき乗則)流体の場合であっても降伏応力を有してよく、壁における降伏応力は疎油性被覆物の使用によって大いに減少してよい。被覆物を用いたときの見かけの降伏が被覆物を用いないときと比較して低ければ、熱伝達および摩擦特性は向上してよい。せん断関連効果は、ニュートン流体の場合より非ニュートン流体の場合の方が大きくてよい。
マイクロチャネルプロセス処理ユニットコア102は、ワイヤ放電機械加工法、通常機械加工法、レーザ切削法、光化学機械加工法、電気化学機械加工法、成型法、水噴流法、刻印法、エッチング法(例えば化学エッチング法、光化学エッチング法またはプラズマエッチング法)、およびそれらの組み合わせを含む既知の技法を用いて作製してよい。
マイクロチャネルプロセス処理単位コア102は、一部を除去して流れの通過を可能とする層またはシートを形成させることによって構築してよい。拡散ボンディング、レーザ溶接、拡散ロウ付けおよび類似の方法によって積層シートを組み立て、一体化デバイスを形成させてよい。マイクロチャネルプロセス処理単位コア102は、シートまたは薄層および部分的シートまたは細片の組み合わせを用いて組み立ててよい。この方法では、細片または部分的シートを組み立てることによってチャネルまたは空洞区域を形成させ、必要な材料の量を減らしてよい。
一実施態様では、マイクロチャネルプロセス処理単位コア102の副区間またはモジュール単位は、以下の部品、すなわち気密封止した周縁とプロセス流のための開口上部/底部とを有する基板片、および熱交換片を用いて作製してよい。基板片と熱交換片とを一緒にして(溶接、接着、ハンダ付け等)漏れのない動作単位を形成させてよい。熱交換片は押し出ししてよい。基板片および熱交換片はプラスチック、金属、または上記で考察した他の材料から作ってよい。
一実施態様では、マイクロチャネルプロセス処理単位コア102は、任意の上記の材料(例えば金属、プラスチックまたはセラミック)で作られたシムを、各層が流体を運ぶチャネルおよび開口の定義された幾何構造を有するように、積層または拡散ボンディングさせることを含むプロセスによって作ってよい。個々の層を作り出した後、触媒を挿入してよい。次に、予め定められた順序で層を積層させて積層体を構築してよい。層は、横並びまたは上下に積層してよい。完成した積層を次に拡散ボンディングさせて流体がマイクロチャネルプロセス処理単位の中へまたは外へ漏れるのを防いでよい。ボンディングの後、デバイスの形を整えて最終サイズとし、配管およびマニホルドの接続に備えてよい。
構成要素創製方法は、光化学エッチング法、摩砕法、穿孔法、放電機械加工法、レーザ切断法および刻印法を含む。大量生産にとって有用な方法は刻印法であってよい。刻印法では、材料の歪みをできるだけ小さくし、チャネル幾何構造の厳密な公差を維持するように注意する必要がある。歪みを防ぎ、シム配置を維持し、層が適切な順に積層されることを確実にすることが積層プロセス時に制御する必要のある因子である。
積層は、拡散プロセスによって接着させてよい。このプロセスでは、積層を正確な時間の間高い温度および圧力に付して所望の接着品質を実現してよい。これらのパラメータの選択は、金属層の間の十分な粒子成長を可能にする接着条件を見いだすためにモデル化および実験検証を必要としてよい。
ボンディングの後の次の工程はデバイスを機械加工することであってよい。高速カッターによる通常の磨砕法ならびに高度に修正した放電機械加工技法を含む複数のプロセスを用いてよい。ボンディング後の機械加工操作を施した完全サイズのボンディング済みマイクロチャネル反応器、マイクロチャネル分離器単位、または副ユニットは、例えば数10、数100、または数1000のシムを含んでよい。
プロセスマイクロチャネル210は約0.05から約10mm、一実施態様では約0.05から約5mm、一実施態様では約0.05から約2mm、一実施態様では約0.05から約1.5mm、一実施態様では約0.05から約1mm、一実施態様では約0.05から約0.75mm、一実施態様では約0.05から約0.5mmの範囲内の高さまたは幅を有してよい。高さまたは幅の他方の寸法は任意の寸法、例えば最大約3メートル、一実施態様では約0.01から約3メートル、一実施態様では約0.1から約3メートルであってよい。プロセスマイクロチャネル210の長さは任意の寸法、例えば最大約10メートル、一実施態様では約0.1から約10メートル、一実施態様では約0.2から約10メートル、一実施態様では約0.2から約6メートル、一実施態様では0.2から約3メートルであってよい。プロセスマイクロチャネル210は長方形の断面を有してよく、あるいは任意の形状、例えば正方形、円形、半円形、台形等を有する断面を有してよい。プロセスマイクロチャネル210の断面の形状および/またはサイズはその長さにわたって変化してよい。例えば、高さまたは幅はマイクロチャネルの長さにわたって相対的に大きな寸法から相対的に小さな寸法へまたはその逆にテーパ形であってよい。
プロセスマイクロチャネル210は図2に例を示した造りを有してよい。図2に例を示したマイクロチャネルは最大から最小へ変化する断面積を有する。一実施態様では、最小断面積はマイクロチャネルの出口またはその近くにあってよく、最大断面積は入口またはその近くにあってよい。このマイクロチャネルは、収束形断面積を有するマイクロチャネルと呼んでよい。このマイクロチャネルは、台形マイクロチャネルと呼んでよい。マイクロチャネルは2つの高さ寸法を有し、一方は最小寸法(h1)、他方は最大寸法(h2)である。高さはh1からh2へ次第に増加する。あるいは、マイクロチャネルは円形、楕円形、三角形等の断面を有してよい。マイクロチャネルは約0.05から約10mm、一実施態様では約0.05から約5mm、一実施態様では約0.05から約2mm、一実施態様では約0.05から約1.5mm、一実施態様では約0.05から約1mm、一実施態様では約0.05から約0.75mm、一実施態様では約0.05から約0.5mmの範囲であってよい少なくとも1つの高さ寸法(h1)を有する。幅(w)は任意の寸法、例えば最大約3メートル、一実施態様では約0.01から約3メートル、一実施態様では約0.1から約3メートルであってよい。長さ(l)は任意の寸法、例えば最大約10メートル、一実施態様では約0.1から約10メートル、一実施態様では約0.2から約6メートルであってよい。最大断面積は最小断面積の少なくとも約2倍(2×)、一実施態様では少なくとも約5倍(5×)、一実施態様では最小断面積の少なくとも約20倍(20×)であってよい。このマイクロチャネルの中を流れる流体の線速度は、流体がマイクロチャネルの中の直線流路に沿って流れるにつれて増大してよい。反応体と触媒との間の局所接触時間は、反応体がマイクロチャネルの中の直線通路に沿って流れるにつれて減少してよい。
段階添加チャネル240および240Aはマイクロチャネルであってもよく、もっと大きな寸法を有してもよい。段階添加チャネル240および240Aは任意の形状、例えば正方形、長方形、円形、半円形等を有する断面を有してよい。段階添加チャネル240および240Aは最大約10mm、一実施態様では最大約6mm、一実施態様では最大約4mm、一実施態様では最大約2mmの内部高さまたは隙間を有してよい。一実施態様では、高さまたは隙間は約0.05から約10mm、一実施態様では約0.05から約6mm、一実施態様では約0.05から約4mm、一実施態様では約0.05から約2mmの範囲内であってよい。段階添加チャネル240および240Aの幅は任意の寸法、例えば最大約3メートル、一実施態様では約0.01から約3メートル、一実施態様では約0.1から約3メートルであってよい。段階添加チャネル240および240Aのそれぞれの長さは任意の寸法、例えば最大約10メートル、一実施態様では約0.1から約10メートル、一実施態様では約0.2から約10メートル、一実施態様では約0.2から約6メートル、一実施態様では0.2から約3メートルであってよい。
熱交換チャネル272はマイクロチャネルであってもよく、もっと大きな寸法を有してもよい。熱交換チャネル272のそれぞれは任意の形状、例えば正方形、長方形、円形、半円形等を有する断面を有してよい。熱交換チャネル272のそれぞれは最大約10mm、一実施態様では約0.05から約10mmの範囲、一実施態様では約0.05から約5mm、一実施態様では約0.05から約2mmの内部高さまたは隙間を有してよい。これらのチャネルのそれぞれの幅は任意の寸法、例えば最大約3メートル、一実施態様では約0.01から約3メートル、一実施態様では約0.1から約3メートルであってよい。熱交換チャネル272のそれぞれの長さは任意の寸法、例えば最大約10メートル、一実施態様では約0.1から約10メートル、一実施態様では約0.2から約6メートル、一実施態様では0.2から約3メートルであってよい。
一実施態様では、マイクロチャネルプロセス処理単位コア102の中で用いられるプロセスマイクロチャネル、任意選択の段階添加チャネル、および熱交換チャネルは、長方形の断面を有し、横に並べた垂直配向の平面、または水平配向の積層平面として並べてよい。これらの平面は、水平面から傾斜した角度で傾いていてよい。これらの構成は、平行平面構成と呼んでよい。2つ以上のプロセスマイクロチャネル、および任意選択として隣接する段階添加チャネルと単独の熱交換チャネルとの、または単一のプロセスマイクロチャネル、および任意選択として隣接する段階添加チャネルと組み合わせた2つ以上の熱交換チャネルとのさまざまな組み合わせを使用してよい。スケールアップのためにこれらの長方形チャネルの配列をモジュール化した小型装置の中へ並べてよい。
プロセスマイクロチャネルの断面形状およびサイズを軸長さに沿って変化させ、変化するチャネル内の流体力学に対処させてよい。例えば、反応が行われ、反応体の1つが過剰なら、反応混合物の流体特性は反応の経過につれて変化してよい。表面構成要素を用いて、軸長さに沿って異なる幾何構造、パターン、角度、深さまたはプロセスマイクロチャネルの断面積に対するサイズの比を提供して流体力学的変化に対処させてよい。
隣接するプロセスマイクロチャネル、段階添加チャネルおよび/または熱交換チャネルの間の距離は約0.05mmから約50mm、一実施態様では約0.1から約10mm、一実施態様では約0.2mmから約2mmの範囲内であってよい。
プロセスマイクロチャネルおよび段階添加チャネルは、平行な離間したシートおよび/またはプレートから段階添加チャネルをプロセスマイクロチャネルと隣接させて形成させてよい。熱交換チャネルは、平行な離間したシートおよび/またはプレートから形成させてよい。熱交換チャネルは、プロセスマイクロチャネル、段階添加チャネル、またはプロセスマイクロチャネルと段階添加チャネルとの両方と隣接させてよい。プロセスマイクロチャネルと段階添加チャネルとは、交互配置の横に並べられた平面または交互配置の上下に積み重ねられた平面として並べてよい。
プロセスマイクロチャネルおよび段階添加チャネルは、同心整列した円管を含んでよい。プロセスマイクロチャネルが環状空間の中にあってよく、段階添加チャネルが中心空間または隣接する環状空間の中にあってよい。プロセスマイクロチャネルが中心空間の中にあってよく、段階添加チャネルが隣接する環状空間の中にあってよい。
プロセスマイクロチャネル210の中の反応区域220は、バルク流れ通路を有することを特徴としてよい。用語「バルク流れ通路」は、プロセスマイクロチャネル内の開放通路(連続したバルク流れ領域)を指す。連続したバルク流れ領域は大きな圧力降下なしでプロセスマイクロチャネルを通る迅速な流体の流れを可能にする。一実施態様では、バルク流れ領域の中の流体の流れは層流である。各プロセスマイクロチャネル210内のバルク流れ領域は約0.05から約10,000mm2、一実施態様では約0.05から約5000mm2、一実施態様では約0.1から約2500mm2の範囲内の断面積を有してよい。バルク流れ領域はプロセスマイクロチャネルの断面積の約5%から約95%、一実施態様では約30%から約80%を含んでよい。
開口区間250および250Aの中の開口は、開口区間を通る第2の流体流の流れを可能にするのに十分なサイズであってよい。開口は、細孔と呼んでよい。上記開口を含む開口区間250および250Aは約0.01から約50mm、一実施態様では約0.05から約10mm、一実施態様では約0.1から約2mmの範囲内の厚さを有してよい。開口は最大約250ミクロン、一実施態様では最大約100ミクロン、一実施態様では最大約50ミクロン、一実施態様では約0.001から約50ミクロンの範囲内、一実施態様では約0.05から約50ミクロン、一実施態様では約0.1から約50ミクロンの範囲内の平均直径を有してよい。一実施態様では、開口は約0.5から約10ナノメートル(nm)、一実施態様では約1から約10nm、一実施態様では約5から約10nmの範囲内の平均直径を有してよい。開口区間の中の開口の数は平方センチメートルあたり約1から約5×108開口、一実施態様では平方センチメートルあたり約1から約1×106開口の範囲内であってよい。開口は互いから孤立していてもいなくてもよい。開口の一部またはすべては開口区間内の他の開口と流体連通していてよい。すなわち、1つの開口から別の開口へ流体が流れてよい。プロセスマイクロチャネル210を通って流れる流体の流路に沿った開口区間の長さに対する開口区間250および250Aの厚さの比は約0.001から約1、一実施態様では約0.01から約1、一実施態様では約0.03から約1、一実施態様では約0.05から約1、一実施態様では約0.08から約1、一実施態様では約0.1から約1の範囲内であってよい。
開口区間250および250Aは、本発明のプロセスの動作を可能にするのに十分な強度および寸法安定性を提供する任意の材料から構築してよい。これらの材料は鋼(例えばステンレス鋼、炭素鋼および類似物)、モネル、インコネル、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、ロジウム、銅、クロム、真鍮、任意の上記金属の合金、重合体(例えば熱硬化樹脂)、セラミックス、ガラス、1つ以上の重合体(例えば熱硬化樹脂)とガラス繊維とを含む複合体、石英、ケイ素、カーボンナノチューブまたはカーボンモレキュラーシーブを含むマイクロ多孔質炭素、ゼオライト、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。開口は、レーザ穿孔法、マイクロエレクトロマシニングシステム(MEMS)、リソグラフィー電着および成形法(LIGA)、電気火花加工法、光化学機械加工法(PCM)、電気化学機械加工法(ECM)、電気化学エッチング法および類似法などの既知の技法を用いて形成させてよい。開口は、押し出し成型品などの構造化プラスチック、または配列カーボンナノチューブ(CNT)膜などの膜を作るために用いられる技法を用いて形成させてよい。開口は、金属の粉末または粒子を焼結するかまたは圧縮して蛇行相互連結毛管チャネルを作製するなどの技法および膜作製の技法を用いて形成させてよい。開口は、任意のこれらの方法によって提供されるサイズから、開口を部分的に埋める開口内部側壁への被覆物の塗布によって大きさを小さくしてよい。選択的被覆物は、多孔質体の外側にあって最も小さな細孔径を連続流路に隣接させて提供する薄層も形成してよい。最も小さな平均の細孔開口は、乳濁液の所望の液滴サイズによって約1ナノメートルから大体数百ミクロンの範囲内にあってよい。開口は、熱処理によって、ならびに開口の内部側壁上に酸化物スケールまたは被覆物を形成させる方法によって大きさを小さくしてよい。これらの技法を用いて開口を部分的に閉塞して流れのための開口の大きさを小さくしてよい。図27および28は、同じ倍率および同じ位置での熱処理の前後のステンレス鋼多孔基板のSEM表面構造の比較を示す。図27は熱処理の前の表面を示し、図28は熱処理の後の表面を示す。熱処理後の多孔質材料の表面は、著しく小さくなった隙間および開口サイズを有する。開口の間の平均距離は対応して増加する。
開口区間250および250Aは、約0.01から約1000ミクロンの範囲内、一実施態様では約0.01から約200ミクロンの範囲内にある平均細孔径の相互連結チャネルまたは細孔を有する金属または非金属多孔質材料から作ってよい。これらの細孔は開口として機能してよい。多孔質材料は、平均細孔間距離が平均細孔径と同程度になるように、粉体または微粒子から作ってよい。多孔質材料は、約300℃から約1000℃の範囲内の高温での約1時間から約20日間の長さの酸化によって、あるいは、細孔の表面および内部の上をゾル被覆法によるアルミナまたは化学蒸着法を用いるニッケルなどの別の材料の薄層で被覆して小さな細孔を閉塞させ、大きな細孔の細孔径を小さくし、細孔間距離の方は増加させることによって調整してよい。図29に調整済み基板または開口区間のSEM像を示す。
約1ミクロンより小さな気泡または液滴サイズを有する第2の流体流を提供するのに十分に小さな微細規模の開口または細孔を有する開口区間250および250Aとして用いるための基板の製作は問題となることが多い。これの理由の1つは、圧縮および/または焼結によって粉体/粒子から作られた金属多孔質基板などの未処理の普通の多孔質材料では、比較的高い表面粗さが生じるという事実にある。これらの金属多孔質基板は、通常、所定の名目細孔径が特定の値より低いとき表面領域では必要な細孔径をもたない。多孔質材料のバルクは指定された名目細孔径を有するが、表面領域は多くの場合はるかに大きなサイズの合体細孔および空洞を特徴とする。この問題は、これらの基板を調整して所望の細孔径および細孔間距離を表面領域の中に提供することによって克服することができる。これは、多孔質基板から表面層を取り除き、より小さな開口を有する滑らかな新しい表面を加えることによって実行してよい。これらの調整された基板を用いて形成されてよい段階添加原料流の液滴サイズまたは気泡サイズは基板にかかる圧力降下を増加させないで小さくなってよい。多孔質表面の直接研削または機械加工は表面構造の汚れおよび細孔の閉塞を引き起こすことがあるので、多孔質構造を液体充填材で満たした後、固化させ、機械研削/研磨してよい。次に、充填材を取り除いて材料の多孔質構造を再び得る。充填材は、亜鉛またはスズなどの低い融点を有する金属、またはエポキシなどの重合体の前駆体であってよい。液体充填工程および除去工程は真空の使用によって支援してよい。研削/研摩は研磨機および研磨粉を用いて実現してよい。金属充填剤の除去は、融解および真空吸引によって、または酸エッチングによって実現してよい。エポキシまたは他の重合体は溶媒溶解によって、または空気中での燃焼除去によって除去してよい。
図30〜32を参照すると、一実施態様では、開口区間250および250Aは比較的小さな開口302を含む比較的薄いシート300と比較的大きな開口312を含む比較的厚いシートまたはプレート310とで構築してよい。シート300、およびシートまたはプレート310は、それぞれオリフィスプレートと呼んでよい。開口312は開口302と位置を合わせるかまたは連結してよい。比較的薄いシート300は、比較的薄いシート300がプロセスマイクロチャネル210の内部に面し、比較的厚いシート310が段階添加チャネル250または250Aの内部に面するように比較的厚いシートまたはプレート310の上に配置し、ボンディングさせてよい。比較的薄いシート300は、任意の適当な手順(例えば拡散ボンディング)を用いて比較的厚いシート310へ接着させ、機械的強度を高めた複合材構築物320を提供してよい。比較的薄いシート300は約0.001から約0.5mm、一実施態様では約0.05から約0.2mmの範囲内の厚さを有してよい。比較的小さな開口302は任意の形状、例えば、円形、三角形または長方形を有してよい。比較的小さな開口302は約0.05から約50ミクロン、一実施態様では約0.05から約20ミクロンの範囲内の平均直径を有してよい。比較的厚いシートまたはプレート310は約0.01から約5mm、一実施態様では約0.1から約2mmの範囲内の厚さを有してよい。比較的大きな開口312は任意の形状、例えば円形、三角形または長方形を有してよい。比較的大きな開口312は約0.01から約4000ミクロン、一実施態様では約1から約2000ミクロン、一実施態様では約10から約1000ミクロンの範囲内の平均直径を有してよい。シート300の中の開口302の総数およびシートまたはプレート310の中の開口312の総数は、平方センチメートルあたり約1から約10000開口、一実施態様では平方センチメートルあたり約1から約1000開口の範囲内であってよい。シート300、およびシートまたはプレート310は、開口区間250および250Aを構築するために有用であるとして上記に記載した任意の材料で構築してよい。開口302と開口312とは、開口区間250および250Aを通って流れる流体が初めに開口312を通り、次に開口302を通って流れるように位置を合わせるかまたは連結してよい。液体が比較的小さな開口302を通って流れる通路は比較的短いので、開口の中の通路が開口302と312との深さの合計と等しい深さを有していたら生じたであろう圧力降下と比べると比較的低い圧力降下で、流体は開口702を通って流れることができる。
図33に例を示す実施態様で、複合体構築物320aは、開口312を覆う比較的薄いシート300の凸部分304が設けられている点を除けば図32に例を示したと同じ設計を有する。凸部分304は、隣接するチャネルの中に増加した局所せん断力を提供する。段階添加原料流は矢印323で示す方向に開口312および302を通って流れる。図33の中の方向矢印322は開口302に隣接するプロセスマイクロチャネルの中の原料組成物の流れを示す。増加した局所せん断力によって開口302を通って流れる流体の液滴サイズまたは気泡が小さくなる。
図34に例を示す実施態様では、シートまたはプレート332の表面の上および開口336の内部側壁334の上に表面被覆物330を析出させる。被覆物は、開口の直径を減少させる容易な方法を提供する。被覆物330を形成させるために用いられる被覆材料は、アルミナ、ニッケル、金または重合材料(例えばテフロン)であってよい。被覆物330は、化学蒸着法、金属スパッタリング法、金属メッキ法、焼結法、ゾル被覆法および類似技法を含む既知の技法を用いてシートまたは板332に塗布してよい。開口の直径は、被覆物330の厚さを調節することによって調節してよい。
開口区間250および250Aは、非対称多孔質材料、例えば複数の焼結粒子層を有する多孔質材料から形成させてよい。層の数は、2、3または4以上であってよい。これらの多層基板の利点は、高められた耐久性および接着強さを提供することである。例は、一方の側に比較的大きな細孔、他方の側に比較的小さな細孔を有する焼結セラミックスを含む。比較的小さな細孔は約2から約10nmの範囲内の直径を有してよい。比較的小さな細孔は、多層基板の比較的薄い層に配置してよい。比較的薄い層は約1から約10ミクロンの範囲内の厚さを有してよい。比較的小さな細孔を有する側は、プロセスマイクロチャネル210の内部に面するように配置し、比較的高いせん断力を利用して反応体および/または液体触媒の比較的小さな液滴が形成したら離脱させてよい。
開口区間250および250Aはプロセスマイクロチャネル210の軸方向長さの少なくとも約5%、一実施態様ではプロセスマイクロチャネルの軸方向長さの少なくとも約20%、一実施態様ではプロセスマイクロチャネルの軸方向長さの少なくとも約35%、一実施態様ではプロセスマイクロチャネルの軸方向長さの少なくとも約50%、一実施態様ではプロセスマイクロチャネルの軸方向長さの少なくとも約65%、一実施態様ではプロセスマイクロチャネルの軸方向長さの少なくとも約80%、一実施態様ではプロセスマイクロチャネルの軸方向長さの少なくとも約95%、一実施態様ではプロセスマイクロチャネルの軸方向長さの約5%から約100%、一実施態様ではプロセスマイクロチャネルの軸方向長さの約10%から約95%、一実施態様ではプロセスマイクロチャネルの軸方向長さの約25%から約75%、一実施態様ではプロセスマイクロチャネル210の軸方向長さの約40%から約60%に沿って延在してよい。
マイクロチャネルプロセス処理単位100は図4〜26および42〜43に例を示す繰り返し単位200〜200Xの1つ以上を含んでよい。一実施態様では、マイクロチャネルプロセス処理単位は1から約50,000の繰り返し単位、一実施態様では約10から約50,000の繰り返し単位、一実施態様では約10から約30,000の繰り返し単位、一実施態様では約10から約10,000の繰り返し単位、一実施態様では約10から約5000の繰り返し単位、一実施態様では約10から約2000の繰り返し単位、一実施態様では約10から約1000の繰り返し単位、一実施態様では約10から約500の繰り返し単位、一実施態様では約10から約100の繰り返し単位を含んでよい。
本発明のプロセスは、非ニュートン生成物を形成させるために用いてよい非ニュートンおよび/またはニュートン原料流の使用を含んでよい。例えば、非ニュートン乳濁液を生成物として形成させるとき、以下の原料流の組み合わせを用いてよい。
事例 連続相(原料A) 分散相(原料B) 生成物/乳濁液
1 ニュートン ニュートン 非ニュートン
2 ニュートン 非ニュートン 非ニュートン
3 非ニュートン ニュートン 非ニュートン
4 非ニュートン 非ニュートン 非ニュートン
プロセス流体ヘッダ104の設計に2つの手法を採用してよい。ヘッダ104は、入口原料流のそれぞれのために1つ以上の入口マニホルドを含んでよい。入口原料流がニュートン流体のとき、入口原料流は入口マニホルドの中でまったく転回せずに入口マニホルドを通ってプロセスマイクロチャネルの中へまっすぐに流れてよく、または入口原料流はプロセスマイクロチャネルへ入る前に入口マニホルドの中で1回以上転回してよい。一方、入口原料流が非ニュートン流体のとき、入口原料流は入口マニホルドの中でまったく転回せずに入口マニホルドを通ってプロセスマイクロチャネルの中へまっすぐ流れてよい。出口マニホルドを含んでよい生成物フッタ106に関して同じことが成立してよい。プロセスマイクロチャネルの中で形成された生成物が非ニュートン流体のとき、生成物はフッタ106を通ってマイクロチャネルプロセス処理単位100からまっすぐ流れ出てよい。フッタ106は1つ以上の一直線の出口マニホルドを含んでよく、この場合、流体は出口マニホルドの中でまったく転回せずにマニホルドを通って流れる。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0087767号、第2006/0275185号および第2006/0289662号にはヘッダ104およびフッタ106の中で用いてよいさまざまなマニホルド設計が開示されている。
上記の表の中で参照した事例1〜4の流れパターンの例を図62、66および67に示す。図62、66および67のそれぞれにおいて、マイクロチャネルプロセス処理単位100が用いられる。これらは、これらの図の中で開示するヘッダが異なっている点を除けば図3に例を示したマイクロチャネルプロセス処理単位100と同じである。これらのマイクロチャネルプロセス処理単位のそれぞれは、マイクロチャネルプロセス処理単位コア102、プロセス流体ヘッダ104および生成物フッタ106を含む。事例1の例を図62に示す。図62を参照すると、原料流AおよびBはともにニュートン流体であり、ヘッダ104へ入る。ヘッダ104は原料流のそれぞれのための1つ以上の入口マニホルドを含む。原料流のそれぞれはヘッダの側面からヘッダへ入り、入口マニホルドの中で1回以上転回してマイクロチャネルプロセス処理単位コア102の中のプロセスマイクロチャネルの中へ流れる。生成物乳濁液は非ニュートン性であり、プロセスマイクロチャネルからフッタ106を通ってそのままマイクロチャネルプロセス処理単位100から流れ出る。生成物は出口マニホルドの中で転回しないでフッタ106の中の1つ以上の出口マニホルドを通って流れてよい。
事例2および3について流れパターンの例を図66に示す。図66の事例2を参照すると、原料流Aはニュートン性であり、ヘッダの側面からヘッダ104の中へ流れる。ヘッダは各原料流のための少なくとも1つの入口マニホルドを含む。原料流Aはプロセスマイクロチャネルへ入る前に入口マニホルド内で少なくとも1度転回する。原料流Bは非ニュートン性であり、ヘッダ104の中の入口マニホルドを通って入口マニホルドの中でまったく転回しないでそのままプロセスマイクロチャネルの中へ流れる。原料流AおよびBはプロセスマイクロチャネルの中で混合されて生成物乳濁液を形成し、生成物乳濁液はフッタ106を通ってそのままマイクロチャネルプロセス処理単位100から流れ出る。生成物は出口マニホルドの中でまったく転回しないでフッタ106の中の1つ以上の出口マニホルドを通って流れてよい。
同じく図66に例を示す事例3は、原料流Bがニュートン流体であり、ヘッダの側面からヘッダ104の中へ流れ、1つ以上の入口マニホルドの中へ流れる点を除けば事例2と同じである。原料流Bはプロセスマイクロチャネルへ入る前に入口マニホルドの中で1回以上転回する。原料流Aは非ニュートン性であり、ヘッダ104の中の1つ以上の入口マニホルドを通って入口マニホルドの中でまったく転回しないでそのまま流れる。生成物乳濁液はそのままフッタ106を通り、マイクロチャネルプロセス処理単位100から出る。生成物はフッタ106の中の1つ以上の出口マニホルドを通って出口マニホルドの中でまったく転回しないで流れてよい。
図67に例を示す事例4は入口原料流AおよびBの使用を含み、これらはともに非ニュートン性である。両方の原料流はヘッダ104の中の入口マニホルドを通って入口マニホルドの中でまったく転回しないでそのまま流れる。生成物乳濁液は非ニュートン性であり、そのままフッタ106を通り、マイクロチャネルプロセス処理単位104から流れ出る。生成物はフッタ106の中の1つ以上の出口マニホルドを通って出口マニホルドの中でまったく転回しないで流れてよい。
図62に例を示したマイクロチャネルデバイスは、図63に例を示すシムおよびオリフィスプレートを用いて形成させてよい。左側のシムは原料流Aの入口および流れを提供する。右側のシムは原料流Bの入口および流れを提供する。これらのシムは、シムとシムとの間に図63の中央に例を示すオリフィスプレートを配置して上下に積層させてよい。図63に例を示す2つのシムおよびオリフィスプレートは、マイクロチャネルプロセス処理単位100を形成するために用いてよい単一の繰り返し単位を含んでよい。上記と同様な追加繰り返し単位を上下に積層させてよい。熱交換チャネル272を提供する追加シムを繰り返し単位の間にはさんでよい。
入口マニホルドからプロセスマイクロチャネルへの原料の分配を調節するために、マニホルドの中に流れ抵抗器および/または流れ分配構成要素を設けて入口マニホルドからプロセスマイクロチャネルへの流れの分配を調節してよい。流れ抵抗器は、マニホルドを通る質量流量を減少させる妨害物または粗さを増大させたチャネル壁の区域であってよい。上記の米国特許出願公開第2005/0087767号および第2006/0275185号には、用いてよい流れ抵抗器の例が開示されている。
流れ分配構成要素は、入口マニホルドをプロセスマイクロチャネルへ接続する微細寸法チャネルであってよい。図64に、用いてよい接続用流れ分配構成要素の例を示す。図64に提供する説明図のそれぞれにマニホルドからプロセスマイクロチャネルへの流体の流れを提供する微細寸法チャネルを示す。これらの微細寸法チャネルは約0.05から約10mm、一実施態様では約0.05から約5mmの範囲内の高さと約0.05から約1mm、一実施態様では約0.05から約0.25mmの範囲内の幅とを有してよい。高さおよび幅は、微細寸法チャネルの中の流体の流れに対して垂直の配置であってよい。流れ分配構成要素の断面積は、接続先のプロセスマイクロチャネルの断面積の約100分の1以上、一実施態様では約50分の1以上、一実施態様では約10分の1以上、一実施態様では約2分の1以上であってよい。これらの微細寸法チャネルは、マニホルドからプロセスマイクロチャネルへ流れる異なる原料流によってもたらされる圧力降下が異なるとき有用であってよい。例えば、原料流Aの圧力降下は原料流Bの圧力降下の3分の1であってよく、小さな圧力降下を有する原料に流れ分配構成要素を用いてよい。あるいは、圧力降下が低い方の原料流に流れ抵抗器を用いてよい。
原料流は、図65に例を示す交差流配向を用いてマイクロチャネルプロセス処理単位100へ入ってよい。原料流AとBとの両方が1つ以上の直線流れ通過入口マニホルドを用いてマイクロチャネルプロセス処理単位へ入ってよい。このマイクロチャネルプロセス処理単位は、原料流が図63に例を示すように流れの方向の転回を少なくとも1回必要とするマニホルドを通るのではなくプロセスマイクロチャネルの中へそのまま流れる点を除けば、図63に例を示した交互配置のシムとオリフィスプレートとを用いて構築してよい。
マニホルドの中の流れ抵抗器および/または流れ分配構成要素を用いて製造公差に対する敏感さを低下させてよい。流れ抵抗器および/または流れ分配構成要素は、製造公差変動に対する全体的圧力降下の敏感さを低下させてよい。流れ抵抗器および/または流れ分配構成要素を製造するための厳密な公差は、同じ原料から作られたシムの中に流れ抵抗器および/または流れ分配構成要素をエッチングすることによって実現してよい。
図50および51に例を示す容器600の中に複数のマイクロチャネルプロセス処理単位100を収容してよい。図50および51を参照すると、容器600は5つのマイクロチャネルプロセス処理単位100を含む。これらは、図50および51の中でマイクロチャネルプロセス処理単位100‐1、100‐2、100‐3、100‐4および100‐5と特定される。図面には5つのマイクロチャネルプロセス処理単位100を開示するが、容器600は任意の所望の数のマイクロチャネルプロセス処理単位を含んでよいと理解される。例えば、容器600は1から約1000のマイクロチャネルプロセス処理単位100、一実施態様では約3から約500のマイクロチャネルプロセス処理単位100、一実施態様では約3から約250のマイクロチャネルプロセス処理単位100、一実施態様では約3から約150のマイクロチャネルプロセス処理単位100、一実施態様では約5から約50のマイクロチャネルプロセス処理単位100、一実施態様では約5から約12のマイクロチャネルプロセス処理単位100を含んでよい。一実施態様では、容器600は1から約50のマイクロチャネルプロセス処理単位100、一実施態様では1から約20のマイクロチャネルプロセス処理単位100を含んでよい。各マイクロチャネルプロセス処理単位100は約1から約50,000のプロセスマイクロチャネル、一実施態様では約10から約50,000のプロセスマイクロチャネル、一実施態様では約10から約30,000、一実施態様では約10から約10,000のプロセスマイクロチャネルを含んでよい。容器600は加圧容器であってよい。容器600は入口602および604ならびに出口606および608を含む。入口602は第1の流体をマイクロチャネルプロセス処理単位100‐1、100‐2、100‐3、100‐4および100‐5の中のプロセスマイクロチャネルへ流すために設けられてよいマニホルドへ接続されている。入口604は熱交換流体をマイクロチャネルプロセス処理単位100‐1、100‐2、100‐3、100‐4および100‐5の中の熱交換チャネルへ流すために設けられてよいマニホルドへ接続されている。出口606は生成物をマイクロチャネルプロセス処理単位100‐1、100‐2、100‐3、100‐4および100‐5から容器600の外へ流すために設けられてよいマニホルドへ接続される。出口608はマイクロチャネルプロセス処理単位100‐1、100‐2、100‐3、100‐4および100‐5の中にあってよい段階添加チャネルへの第2の流体の流れを提供してよいマニホルドへ接続される。容器600はマイクロチャネルプロセス処理単位100‐1、100‐2、100‐3、100‐4および100‐5からの熱交換流体の流れを提供する出口(図に示していない)も含む。
容器600は、マイクロチャネル反応器を動作させるために必要な圧力および温度で動作させるのに十分な任意の適当な材料から構築してよい。例えば、容器600の胴および上部は鋳鋼で構築してよい。フランジ、継ぎ手およびパイプは、ステンレス鋼または他の適切な合金で構築してよい。容器600は任意の所望の直径、例えば約30から約500cm、一実施態様では約100から約300cmを有してよい。容器600の軸方向長さは任意の所望の値、例えば約0.5から約50メートル、一実施態様では約0.5から約15メートル、一実施態様では約1から約10メートルであってよい。
上記に示したように、マイクロチャネルプロセス処理単位100は、上下に積み重ねられるかまたは横並びに配置された複数のプロセスマイクロチャネル、熱交換チャネル、および任意選択として段階添加チャネルを含んでよい。マイクロチャネルプロセス処理単位100は図50および51に例を示した立方ブロックの形であってよい。これらの立方ブロックのそれぞれが長さ、幅および高さを有してよい。長さは約10から約1000cmの範囲内、一実施態様では約50から約200cmの範囲内であってよい。幅は約10から約1000cmの範囲内、一実施態様では約50から約200cmの範囲内であってよい。高さは約10から約1000cmの範囲内、一実施態様では約50から約200cmの範囲内であってよい。
本発明のプロセスは、反応体および/または生成物の1つ以上が非ニュートン流体である任意の化学反応を行うために適していてよい。これらは気‐液反応、液‐液反応、気‐液‐液反応、気‐液‐固反応、液‐液‐固反応および類似反応を含んでよい。本発明のプロセスによって行ってよい反応は酸化反応、水素化分解反応、水素化反応、水和反応、カルボニル化反応、硫酸化反応、スルホン化反応、オリゴマー化反応、重合反応および類似反応を含む任意の流体反応を含んでよい。
第1の反応体が1つ以上の液体を含んでよい。第1の反応体が2つ以上の液体を含むとき、結果として得られる液体混合物は溶液または多相流体混合物(例えば乳濁液)の形であってよい。第1の反応体は流体の1つ以上の中に分散した固体を含んでよい。固体は触媒粒子を含んでよい。あるいは、固体は触媒でなくてよい。固体を加えて所望の生成物の外見を提供し、望ましい副生物または望ましくない副生物を吸着させ、プロセスマイクロチャネルによるせん断を強めるなどしてよい。固体はプロセスマイクロチャネルの中に入れるのに十分に小さければ任意のサイズであってよい。例えば、固体は約0.01から約200ミクロン、一実施態様では約1から約40ミクロンの範囲内の中央値粒子直径を有してよい。
第2の反応体が1つ以上の液体、1つ以上の気体、またはそれらの混合物を含んでよい。第2の反応体は、分散した液滴を含む1つ以上の気体、または分散した気泡を含む1つ以上の液体を含んでよい。第2の反応体は、気体の形であり第1の反応体の中に導入されて多相反応混合物を形成するとき、第1の反応体の中の気泡を形成してよい。第2の反応体は、液体の形であり第1の反応体の中に導入されて多相反応混合物を形成するとき、第1の反応体の中の液滴を形成してよい。第2の反応体は、液体の形であるとき、第1の反応体と非相溶性であってよい。あるいは、多相反応混合物は、捕捉された気体を薄い液膜が被覆する泡を含んでよい。泡は、連続または不連続な泡構造を含んでよい。
反応体の純度は厳密でなくてよいが、触媒を被毒させることがある化合物の存在は避けることが望ましい。反応体は、反応体と反応しない不純物を含んでよい。
第1の反応体および/または第2の反応体は1つ以上の希釈物質と組み合わせてよい。そのような希釈剤の例は窒素、ヘリウム、非反応性炭化水素希釈剤および類似物を含む。反応体のそれぞれの希釈剤濃度はゼロから約99重量%、一実施態様ではゼロから約75重量%、一実施態様ではゼロから約50重量%の範囲内であってよい。反応体が気体の形であり液体を反応体として用いることが望ましいとき、希釈剤を反応体の1つ以上と組み合わせてよい。希釈剤を用いて粘稠な液体反応体の粘度を低下させてよい。本発明の少なくとも1つの実施態様の利点は、そのような希釈剤を用いないでも効率の高い小型のプロセスを提供し得る点である。
触媒は酸化触媒、水素化分解触媒、水素化触媒、水和触媒、カルボニル化触媒、硫酸化触媒、スルホン化触媒、オリゴマー化触媒、重合触媒、またはそれらの2つ以上の組み合わせであってよい。
酸化反応は、酸素または酸素源と酸化反応を行うことができる1つ以上の炭化水素化合物の1つ以上の酸化触媒の存在下の反応を含んでよい。第1の反応体と呼んでよい炭化水素化合物は液体の形であってよく、または1つ以上の液体の中に分散した気体の形であってよい。第2の反応体と呼んでよい酸素または酸素源は気体の形であってよい。
酸化反応において用いてよい炭化水素化合物は飽和脂肪族化合物(例えばアルカン)、不飽和脂肪族化合物(例えばアルケン、アルキン)、アルデヒド、アルキル置換芳香族化合物、アルキレン置換芳香族化合物および類似化合物を含む。飽和脂肪族化合物は分子あたり1から約25の炭素原子、一実施態様では1から約20の炭素原子、一実施態様では1から約10の炭素原子を含むアルカンを含む。これらは直鎖アルカン、一分岐鎖および複数分岐鎖アルカン、および環に結合した1つ以上のアルキル基を有する環状アルカンを含む環状アルカンを含む。これらは、メタン、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2‐エチルヘキサン、ノナン、デカン、ドデカンおよび類似化合物を含む。不飽和脂肪族化合物は、アルケンまたはアルキレン、およびアルキンを含む。不飽和脂肪族化合物は、2から約25の炭素原子、一実施態様では約2から約20の炭素原子、一実施態様では約2から約10の炭素原子を含むとよい。これらは、直鎖アルケン、一分岐鎖および複数分岐鎖アルケン、および環に結合した1つ以上のアルキルおよび/またはアルケン基を有する環状アルケンを含む環状アルケンを含む。これらは、エチレン、プロピレン、1‐ブテン、2‐ブテン、イソブチレン、1‐ペンテン、2‐ペンテン、3‐メチル‐1‐ブテン、2‐メチル‐2‐ブテン、1‐ヘキセン、2、3‐ジメチル‐2‐ブテン、1‐ヘプテン、1‐オクテン、1‐ノナン、1‐デセン、1‐ドデセンおよび類似化合物を含む。
不飽和脂肪族化合物はポリエンを含んでよい。これらはジエン、トリエンおよび類似物を含む。これらの化合物は分子あたり3から約25の炭素原子、一実施態様では3から約20の炭素原子、一実施態様では約3から約10の炭素原子を含んでよい。例は1,2‐プロパジエン(アレンとしても知られている)、1,3‐ブタジエン、2‐メチル‐1,3‐ブタジエン(イソプレンとしても知られている)、1,3‐ペンタジエン、1,4‐ペンタジエン、1,5‐ヘキサジエン、2,4‐ヘキサジエン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエンおよび類似化合物を含む。
アルデヒドは飽和であっても不飽和であってもよい。それらは脂肪族および/または芳香族であってよい。アルデヒドは分子あたり2から約25の炭素原子、一実施態様では約2から約20の炭素原子、一実施態様では約2から約10の炭素原子を含んでよい。例はホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n‐ブチルアルデヒド、n‐バレルアルデヒド、カプロアルデヒド、アクロレイン、トラン‐2‐cis‐6‐ノナジエナール、n‐ヘプチルアルデヒド、trans‐2‐ヘキセナール、ヘキサデコナール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、o‐トルアルデヒド、m‐トルアルデヒド、p‐トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、p‐ヒドロキシベンズアルデヒドおよび類似化合物を含む。
アルキルまたはアルキレン置換芳香族化合物は1つ以上のアルキルまたはアルキレン置換基を含んでよい。これらの化合物は単環(例えばフェニル)であっても多環(例えばナフチル)であってもよい。これらの化合物は1から約25の炭素原子、一実施態様では1から約20の炭素原子、一実施態様では1から約10の炭素原子を含む1つ以上のアルキル基を含むアルキル置換芳香族化合物を含む。これらは2から約25の炭素原子、一実施態様では2から約20の炭素原子、一実施態様では2から約10の炭素原子を含む1つ以上のアルキレン基を含むアルキレン置換芳香族化合物も含む。例はトルエン、o‐キシレン、m‐キシレン、p‐キシレン、ヘミメリテン、プソイドクメン、メシチレン、プレーニテン、イソジュレン、ジュレン、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、エチルベンゼン、n‐プロピルベンゼン、クメン、n‐ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec‐ブチルベンゼン、tert‐ブチルベンゼン、p‐シメン、スチレンおよび類似化合物を含む。
酸化反応において用いられる酸素または酸素源は分子酸素、空気、または酸素源として作用することができる窒素酸化物などの他の酸化剤を含んでよい。酸素源は二酸化炭素、一酸化炭素または過酸化物(例えば過酸化水素)であってよい。酸素と空気との混合物、あるいは酸素と不活性気体(例えばヘリウム、アルゴン等)または希釈気体(例えば二酸化炭素、水蒸気等)との混合物などの酸素を含む気体混合物を用いてよい。酸素源は酸素富化空気を含んでよい。
酸素に対する炭化水素反応体のモル比は約0.2:1から約8:1、一実施態様では約0.5:1から約4:1、一実施態様では約1:1から約3:1の範囲内であってよい。一実施態様ではモル比は約2:1以上、一実施態様では約2.5:1以上であってよい。一実施態様では、モル比は約1.8以下であってよい。
酸化触媒は酸化触媒として有用な任意の触媒を含んでよい。触媒はMo、W、V、Nb、Sb、Sn、Pt、Pd、Cs、Zr、Cr、Mg、Mn、Ni、Co、Ceの1つ以上の金属、金属酸化物、または混合金属酸化物、あるいはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。これらの触媒は1つ以上のアルカリ金属、アルカリ土類金属、他の遷移金属、希土類金属、またはランタニド類も含んでよい。さらに、PおよびBiなどの元素が存在してよい。触媒は担持されていてよく、担持される場合に有用な担体は金属酸化物(例えばアルミナ、チタニア、ジルコニア)、シリカ、メソ多孔質材料、ゼオライト、耐熱性材料、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。これらの触媒が取ってよい形は、下記でさらに詳しく考察する。
酸化反応によって形成される生成物は1つ以上の含酸素化合物を含んでよい。本明細書では、用語「含酸素化合物」を用いて少なくとも1つの酸素を含む炭化水素化合物を指す。含酸素化合物はアルコール、エポキシド、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、カルボン酸無水物、エステルおよび類似化合物を含む。含酸素化合物はエポキシドおよびエステルを除いて分子あたり1から約25の炭素原子、一実施態様では1から約20の炭素原子、一実施態様では1から約10の炭素原子を含む上記に示した含酸素化合物の1つ以上を含む。エポキシドおよびエステルは少なくとも2つの炭素原子を含まなければならないが、他のすべての点で上記に示した範囲、例えば2から約25の炭素原子等の範囲内にある化合物を含むと考えられる。アルコールはモノオールおよびポリオールを含む。特定の例はメタノール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、シクロペンチルアルコール、クロチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、グリセロールおよび類似化合物を含む。エポキシドはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシドおよび類似化合物を含む。アルデヒドはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n‐ブチルアルデヒド、n‐バレルアルデヒド、カプロアルデヒド、アクロレイン、トラン‐2‐cis‐6‐ノナジエナール、n‐ヘプチルアルデヒド、trans‐2‐ヘキセナール、ヘキサデコナール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、o‐トルアルデヒド、m‐トルアルデヒド、p‐トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、p‐ヒドロキシベンズアルデヒドおよび類似化合物を含む。ケトンはアセトン、メチルエチルケトン、2‐ペンタノン、3‐ペンタノン、2‐ヘキサノン、3‐ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、n‐ブチロフェノン、ベンゾフェノンおよび類似化合物を含む。カルボン酸はギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、アクリル酸、メタアクリル酸、安息香酸、トルイル酸、フタル酸、サリチル酸および類似化合物を含む。カルボン酸無水物は無水酢酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水安息香酸および類似化合物を含む。カルボン酸およびカルボン酸無水物は炭化水素置換カルボン酸およびカルボン酸無水物(例えば炭化水素置換コハク酸および無水物)を含み、炭化水素置換基は1から約500の炭素原子、一実施態様では約20から約500の炭素原子を含む。エステルは酢酸メチル、酢酸ビニル、酢酸エチル、n‐酢酸プロピル、n‐酢酸ブチル、n‐酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルおよび類似化合物を含む。
水素化分解反応は、大きな炭化水素分子または重質炭化水素分子が小さな炭化水素または軽質炭化水素分子へ細分化され、水素と反応する大型炭化水素分子の分解的水素化(水素添加分解としても知られている)を含んでよい。炭化水素反応体を第1の反応体と呼び、水素を第2の反応体と呼んでよい。本明細書では、用語「軽質」および「重質」は、比較的低沸点範囲および高沸点範囲をそれぞれ指す石油精製産業内の通常の意味で用いられる。炭化水素反応体は、水素化分解を必要とする任意の炭化水素を含んでよい。炭化水素反応体は、ナフサから重質原油残渣留分まで変化してよい。炭化水素反応体は、約350°F(177℃)より高い、一実施態様では約400°F(204℃)より高い5体積%沸点を有してよい。一実施態様では、炭化水素反応体の少なくとも約90体積%が約300°F(149℃)から約1050°F(566℃)、一実施態様では約600°F(316℃)から約1000°F(538℃)の間の沸点範囲内であってよい。炭化水素反応体は常圧ガス油および真空ガス油(AGOおよびVGO)などの1つ以上の石油留分を含んでよい。
炭化水素反応体は重質炭化水素質鉱油または合成油、あるいはそれらの1つ以上の留分の混合物を含んでよい。炭化水素反応体は1つ以上の直留ガス油、真空ガス油、脱金属油、脱アスファルテン真空残渣、コークス化装置留出分、接触分解装置留出分、シェール油、タールサンド油、石炭液化物、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。
水素化分解反応において用いられる水素は水素気体の形であってよく、あるいは、水、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素および/または窒素をさらに含む水素原料流の中に含まれてよい。水素は、水蒸気改質プロセス(約3のH2/COモル比を有する生成物流)、部分酸化プロセス(約2のH2/COモル比を有する生成物流)、自己熱改質プロセス(約2.5のH2/COモル比を有する生成物流)、CO2改質プロセス(約1のH2/COモル比を有する生成物流)、石炭ガス化プロセス(約1のH2/COモル比を有する生成物流)およびそれらの組み合わせなどの別のプロセスのプロセス流から取ってよい。これらの水素源のそれぞれで、水素は膜分離または吸着などの従来の技法を用いて残りの成分から分離してよい。
これらの水素化分解反応における水素に対する炭化水素反応体のモル比は約0.1:1から約10:1、一実施態様では約0.5:1から約5:1の範囲内であってよい。
水素化分解触媒は任意の水素化分解触媒であってよい。これらはベータゼオライト、オメガゼオライト、L‐ゼオライト、ZSM‐5ゼオライトおよびY‐型ゼオライトを含むゼオライト触媒を含む。触媒はアルミナ、マグネシア、シリカ、チタニア、ジルコニアおよびシリカ‐アルミナなどの耐熱性無機酸化物を含んでよい。触媒は水素化成分を含んでよい。適当な水素化成分の例は周期律表のIVB族およびVIII族の金属およびそのような金属の化合物を含む。モリブデン、タングステン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ロジウムおよびルテニウムを水素化成分として用いてよい。これらの触媒は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,312,586号に記載されている。
水素化分解プロセスによって作られる生成物は約260から約700°F(127〜371℃)の範囲内で沸騰する中間留分であってよい。用語「中間留分」は、ディーゼル、ジェット燃料およびケロシン沸騰範囲画分を含むものとする。用語「ケロシン」および「ジェット燃料」沸騰範囲は260〜550°F(127〜288℃)の温度範囲を指し、「ディーゼル」沸騰範囲は約260から約700°F(127〜371℃)の炭化水素沸点を指すものとする。留分生成物ガソリンまたはナフサ画分であってよい。これらはC5から400°F(204℃)終点画分とみなしてよい。
水素化反応は、1つ以上の水素化触媒の存在下における、水素による水素化反応を受けることができる1つ以上の炭化水素化合物の反応を含んでよい。炭化水素化合物は、第1の反応体と呼んでよい。これらの炭化水素化合物は液体の形であってよく、または液体の中に分散した気体の形であってよい。液体は反応体と1つ以上の追加溶媒とを含んでよい。溶媒は1つ以上の反応体および/または生成物のための溶媒であってよい。水素は、第2の反応体と呼んでよく、気体の形であってよい。水素は上記で述べた任意の源から導いてよい。
水素化反応を受けてよい炭化水素化合物は、上記で考察した不飽和炭化水素化合物を含む。炭化水素化合物は不飽和油脂を含む。油脂は動物源または野菜源から誘導してよい。油脂はトリグリセリド、すなわちグリセロールと脂肪酸とのエステルを含む。脂肪酸は一価不飽和であっても多価不飽和であってもよい。油脂の中の脂肪酸の例はオレイン酸、リノール酸、リノレン酸および類似酸を含む。
これらの水素化反応における水素に対する炭化水素反応体のモル比は約0.1:1から約10:1、一実施態様では約0.5:1から約5:1の範囲内であってよい。
水素化触媒は任意水素化触媒であってよい。これらは周期律表のIVB族およびVIII族の金属ならびにそのような金属の化合物を含む。モリブデン、タングステン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ロジウムおよびルテニウムを用いてよい。一実施態様では、触媒はプロセスマイクロチャネルの壁に被覆されるか、またはプロセスマイクロチャネル内に固定された担体に接着したパラジウムを含んでよい。これらの触媒が有してよい形は、下記でさらに詳しく考察する。
水素化プロセスによって作られる生成物は、第1の反応体として用いられる不飽和炭化水素化合物に対応する飽和または部分飽和炭化水素であってよい。
本プロセスを用いて植物油を水素化し、それらの飽和度を増加させてマーガリンなどの食用脂製品を製造してよい。本発明のプロセスからの結果として得られる向上した物質移動によってプロセスの選択率も向上させ、トリグリセリドのシス異性体のトランス異性体への望ましくない変換の量を減少させてよい。本発明は、従来技術(すなわち非マイクロチャネルプロセス技術)を用いて得てよい約30%から約50重量%のトランス異性体の生成を約15%未満、一実施態様では約10重量%未満、一実施態様重量では約8%未満へ改善してよい。本プロセスは水素化触媒を用いてよい。触媒はスラリー、固体粒子または固定床の形であってよい。
一実施態様では、水素化プロセスは、プロセスマイクロチャネルの内壁の上またはプロセスマイクロチャネル内に配置された担持構造体の上に固定された触媒(例えばパラジウムなどの貴金属)の使用を含んでよい。これによってろ過工程を不要にしてよい。この結果としてより安全な(触媒汚染のない)、より純度の高い製品も得てよい。パラジウムなどの貴金属触媒は従来技術のニッケル触媒より反応性が高く、従って従来用いられていた温度より低い温度で水素化反応を実現させてよい。これを本発明のプロセスからの結果として得られる向上した伝熱の改善と組み合わせると、油脂の熱分解の結果として通常生成する二次生成物の形成を著しく低減させてよい。これも食品製品の品質を改善してよい。従来のニッケル触媒と異なり、低くした水素化温度でのパラジウム触媒の使用によって、特に、本発明のプロセスに従って比較的短い接触時間で実現してよい高い反応率を用いて、有害なトランス異性体の濃度を減らしてよい。本発明のプロセスからの結果として得られる向上した物質移動によってプロセスの選択率も向上させてよい。向上した伝熱および物質移動によって触媒安定性およびターンオーバ頻度を向上させてよい。この結果、触媒必要量を少なくしてよい。これは、動作温度および圧力が低いので貴金属を用いるとき利点となってよい。一実施態様では、触媒はコロイド金属酸化物、カーボンブラック、フルフラールアルコール等などの分散剤/結合剤を用いてプロセスマイクロチャネルおよび/または表面構成要素の壁の上、またはフィンアセンブリインサートなどの触媒担体の上に分散させたパラジウムなどの貴金属のナノスケールサイズの粒子を含んでよい。触媒は、マイクロチャネルの空洞空間を埋める、触媒金属で被覆した微細形状体を用いて作ってよい。
水和反応は、水和触媒の存在下における不飽和炭化水素化合物と水とのアルコールまたはエーテルを生成する反応を含んでよい。第1の反応体と呼んでよい不飽和炭化水素化合物は、上記で考察した任意の不飽和炭化水素化合物であってよい。第2の反応体と呼んでよい水は、任意の簡便な源から取ってよい。水は、浸透圧法または蒸留法を用いて脱イオンまたは精製してよい。水に対する不飽和炭化水素のモル比は約0.1から約10、一実施態様では約0.5から約5の範囲内であってよい。
水和触媒はゼオライトなどの固体酸触媒;スルホン酸基または類似基を含む酸性イオン交換樹脂;水和酸化ニオブ、水和酸化タンタル、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素またはそれらの混合酸化物などの無機酸化物;またはスメクタイト、カオリンまたはバーミキュライトなどの層状化合物をアルミニウム、ケイ素、チタンおよびジルコニウムの酸化物から選ばれる少なくとも1つの金属酸化物で処理することによって得られるイオン交換型層状化合物を含んでよい。触媒はモルデナイト、フォージャサイト、クリノプチライト、L型ゼオライト、チャバサイト、エリオナイトおよびフェリエライトなどのアルミノケイ酸塩、ならびにゼオライト製品ZSM‐5、ZSM‐4、ZSM‐8、ZSM‐11、ZSM‐12、ZSM‐20、ZSM‐40、ZSM‐35およびZSM‐48を含んでよい。触媒はホウケイ酸塩、ガロケイ酸塩およびフェロアルミノケイ酸塩などの元素含有ゼオライトを含んでよい。これらのゼオライトは、トリウム、銅、銀、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよび類似金属を含んでよい。プロトン交換型(H型)ゼオライトを用いてよく、その一部分をNa、KおよびLiなどのアルカリ元素、Mg、CaおよびSrなどのアルカリ土類元素、およびFe、Co、Ni、RuまたはPdなどのVIII族元素から選ばれたカチオン種で交換してよい。触媒が有してよい形は、下記でさらに詳しく考察する。
カルボニル化反応は、カルボニル化触媒の存在下での飽和または不飽和炭化水素と一酸化炭素との反応を含んでよい。第1の反応体と呼んでよい飽和または不飽和炭化水素反応体は、上記で考察した任意の飽和または不飽和炭化水素であってよい。第2の反応体と呼んでよい一酸化炭素は、任意の簡便な源から取ってよい。一酸化炭素は、水蒸気改質プロセス(約3のH2/COモル比を有する生成物流)、部分酸化プロセス(約2のH2/COモル比を有する生成物流)、自己熱改質プロセス(約2.5のH2/COモル比を有する生成物流)、CO2改質プロセス(約1のH2/COモル比を有する生成物流)、石炭ガス化プロセス(約1のH2/COモル比を有する生成物流)、およびそれらの組み合わせなどのプロセス流から取ってよい。これらの一酸化炭素源のそれぞれで、一酸化炭素、膜または吸着などの通常の技法を用いて残りの成分から分離してよい。
これらのカルボニル化反応における一酸化炭素に対する炭化水素反応体のモル比は約0.5:1から約20:1、一実施態様では約2:1から約10:1の範囲内であってよい。
カルボニル化触媒は任意のカルボニル化触媒であってよい。これらは固体酸触媒を含む。触媒は相互作用するプロトン酸部位とルイス酸部位とを含む固体であってよい。触媒はブレンステッド(プロトン)酸とルイス酸との組み合わせを含んでよい。例は、硫酸化金属酸化物(例えば硫酸化ジルコニア)、担体(例えば金属酸化物および炭素)と組み合わせたフルオロカーボンスルホン酸(B(CF2)nBSO3H)、ヘテロポリ酸、Ta、Sb、GaおよびBのハロゲン化物、ハロゲン化金属酸化物、硫酸化ゼオライト、フルオロスルホン酸樹脂と組み合わせたTa、Sb、GaおよびBのハロゲン化物を含む。金属酸化物は単独成分酸化物と多成分酸化物すなわち混合金属酸化物との両方を含む。単独成分金属酸化物はアルミナ類、シリカ類、ジルコニア、チタニア、およびそれらの混合物を含む。混合金属酸化物は物理的混合物であってよく、または構造的に結合していてよい。混合金属酸化物の例はZrCTi、WCZr、TiCCu、TiCZn、TiCSi、AlCZr、FeCZrおよびTiCMnの酸化物を含む。例は硫酸化ジルコニア、硫酸化チタニア、硫酸化酸化タングステン、フッ素化アルミナ上のBF3、塩素化アルミナ上の塩化アルミニウム、H3PW10O40、Cs2.5H0.5PW12O40、H4SiW12O40および類似物を含む。触媒が有してよい形は、下記でさらに詳しく考察する。
スルホン化反応は、水素原子の‐SO3H基(硫酸から)への置換、例えばベンゼンC6H6のベンゼンスルホン酸C6H5SO3Hへの変換を含んでよい。用いてよいスルホン化手順は、芳香族炭化水素と硫酸、三酸化硫黄、またはクロロ硫酸との反応;有機ハロゲン化合物と無機亜硫酸塩との反応;および特定の種類の有機硫黄化合物、例えばチオールまたはジスルフィドの酸化を含む。
芳香族化合物の芳香環へスルホン酸基を導入することによって芳香族化合物をスルホン化するための試薬として濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、無水硫酸、ジオキサンとSO3との付加体、アミンとSO3との付加体等を用いてよい。芳香族アミン化合物は、芳香族アミン化合物と化学量論量の硫酸とからアミンの酸性硫酸塩を調製し、加熱してアミンスルホン酸を得ることによってスルホン化してよい。
硫酸化反応は、硫酸のエステルまたは塩(サルフェート)が形成される方法を含んでよい。エステルは、アルコールを硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫酸またはスルファミン酸で処理することによって調製してよい。硫酸化試薬は濃硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロスルホン酸またはスルファミン酸を含んでよい。
重合反応は、上記で考察した任意の重合体を形成するのに適する任意の重合反応であってよい。これらの反応において用いられる触媒は、指定された重合体を作るための任意の適当な重合触媒であってよい。用いてよい触媒の例はBF3などのルイス酸、ブチルリチウムなどの有機リチウム触媒、グリニャール試薬、チーグラー‐ナッタ触媒、および類似物を含んでよい。
本発明のプロセスに従って行われる反応のための触媒は均一系触媒であっても不均一系触媒であってもよい。均一系触媒は、担体の上に固定化してよい。触媒はプロセスマイクロチャネルの中に適合する任意のサイズおよび幾何構成を有してよい。触媒は傾斜触媒であってよい。
触媒は約1から約1000ミクロン、一実施態様では約10から約500ミクロン、一実施態様では約25から約250ミクロンの中央値粒子直径を有する固体粒子(例えばペレット、粉体、繊維および類似物)の形であってよい。
触媒はメソ多孔質材料の形であってよく、平均細孔径は約1ナノメートル(nm)以上、例えば約1から約100nm、一実施態様では約1から約20nmの範囲であってよい。
触媒は図35に例を示すような固体粒子の固定床の形であってよい。図35を参照すると、触媒350はプロセスマイクロチャネル352の中に含まれている。反応体は矢印354および356で示すように触媒床を通って流れる。
触媒は発泡体、フェルト、詰め物、またはそれらの組み合わせなどの多孔質担持構造体の上に担持させてよい。本明細書では、用語「発泡体」を用いて、全体にわたって細孔を定める連続壁を有する構造体を指す。本明細書では、用語「フェルト」を用いて、間に隙間空間を有する繊維の構造体を指す。本明細書では、用語「詰め物」を用いてスチールウールのようなからみ合った糸の構造を有する担体を指す。触媒は、ハニカム構造または蛇行構成を有する担体の上に担持させてよい。
触媒は、隣接する隙間を有するフェルト、隣接する隙間を有する発泡体、隙間を有するフィン構造体、任意の挿入基板の上のウォッシュコート、または流れの方向に平行で流れに対応するすき間を有するガーゼなどの側流担持構造体の上に担持させてよい。図36に側流構造体の例を示す。図36で、触媒360はプロセスマイクロチャネル362の中に含まれている。矢印366および368で示す触媒360と接触してプロセスマイクロチャネル362を通る反応体の流れを開放通路364が可能にする。
触媒は、発泡体、詰め物、ペレット、粉体またはガーゼなどの貫通流担持構造体の上に担持させてよい。図37に貫通流構造体の例を示す。図37で、貫通流触媒370はプロセスマイクロチャネル372内に含まれ、反応体は矢印374および376で示すように触媒370を通って流れる。
担体は、シリカゲル、発泡銅、焼結ステンレス鋼繊維、スチールウール、アルミナ、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリスルホネート、ポリ(テトラフルオロエチレン)、鉄、ニッケルスポンジ、ナイロン、ポリ二フッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンエチルケトン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリブチレン、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む材料から形成させてよい。一実施態様では、担持構造体は、金属などの伝熱材料で作って触媒からの熱の放出を促進させてよい。
触媒は、プロセスマイクロチャネルの内壁の上に直接ウォッシュコートするか、溶液から壁に成長させるか、またはフィン構造体の上にインサイチュ被覆させてよい。触媒は、図48〜49に例を示すような構造壁の上に被覆させてよい。触媒は、図46〜47に例を示すような表面構成要素の上に被覆させてよい。触媒は、多孔性連続材料の単一片、または物理的に接触する多数の片の形であってよい。一実施態様では、触媒は連続材料を含み、分子が触媒の中に拡散することができるように、連続多孔性を有してよい。この実施態様では、流体は、触媒の周りでなく触媒を通って流れてよい。一実施態様では、触媒の断面積はプロセスマイクロチャネルの断面積の約1から約99%、一実施態様では約10から約95%を占めてよい。触媒は約0.5m2/gより大きな、一実施態様では約2m2/gより大きな、一実施態様では約5m2/gより大きな、一実施態様では約10m2/gより大きな、一実施態様では約25m2/gより大きな、一実施態様では約50m2/gより大きな、BETによって測定した表面積を有してよい。
触媒は、多孔質担体、多孔質担体の上にある界面層、および界面層の上に分散するかまたは析出した触媒物質を含んでよい。界面層は、担体の上に溶液析出させるか、または化学蒸着法または物理蒸着法によって析出させてよい。一実施態様では、触媒は、多孔質担体、任意選択として担体の上にある緩衝層、担体または任意選択の緩衝層の上にある界面層、および界面層の上に分散するかまたは析出した触媒物質を含む。上述の層のどれも連続であってよく、あるいはスポットまたはドットの形、あるいは隙間または孔を有する層の形のように不連続であってよい。
多孔質担体は、水銀ポロシメトリーで測定して少なくとも約5%の多孔率、および約1から約1000ミクロンの平均細孔径(細孔直径の総和を細孔の数で除した商)を有してよい。多孔質担体は、担持構造体を作る上で有用であると特定された任意の上記指定材料で作ってよい。多孔質担体は、多孔質セラミック担体または金属発泡体を含んでよい。用いてよい他の多孔質担体は炭化物、窒化物および複合材料を含む。多孔質担体は約30%から約99%、一実施態様では約60%から約98%の多孔率を有してよい。多孔質担体は発泡体、フェルト、詰め物、またはそれらの組み合わせの形であってよい。金属発泡体の開放小胞はインチあたり約20細孔(ppi)から約3000ppi、一実施態様では約20から約1000ppi、一実施態様では約40から約120ppiの範囲内であってよい。用語「ppi」はインチあたりの細孔の最大数を指す(等方性物質中では測定の方向は無関係であるが、異方性物質中では細孔数を最大にする方向で測定を実行する)。
緩衝層は、存在するとき、多孔質担体と界面層との両方と異なる組成および/または密度を有してよく、一実施態様では、多孔質担体の熱膨張率と界面層の熱膨張率との中間になる熱膨張率を有してよい。緩衝層は金属酸化物または金属炭化物であってよい。緩衝層は、Al2O3、TiO2、SiO2、ZrO2またはそれらの組み合わせで構成してよい。Al2O3はα‐Al2O3、γ‐Al2O3またはそれらの組み合わせであってよい。α‐Al2O3は酸素拡散に対する優れた抵抗性という利点を提供する。緩衝層は組成の異なる2つ以上の副層で形成させてよい。例えば、多孔性担体が金属、例えばステンレス鋼発泡体のとき、組成の異なる2つの副層で形成される緩衝層を用いてよい。第1の副層(多孔質担体と接触している)はTiO2であってよい。第2の副層はTiO2の上に配置されたα‐Al2O3であってよい。一実施態様では、α‐Al2O3副層は下にある金属表面の保護を提供す高密度層である。次に、アルミナなどのこれより密度の低い大表面積界面層を触媒活性層のための担体として析出させてよい。
多孔質担体は界面層の熱膨張率と異なる熱膨張率を有してよい。そのような場合、2つの熱膨張率の間のつなぎとして緩衝層が必要なことがある。緩衝層の熱膨張率は、その組成を調節することによって調整して多孔質担体および界面層の膨張率と適合する膨張率を得ることができる。緩衝層は、開口部やピンホールをなくし、下にある担体の優れた保護を提供すべきである。緩衝層は非多孔質であってよい。緩衝層は多孔質担体の平均細孔径の半分未満の厚さを有してよい。緩衝層は約0.05から約10μm、一実施態様では約0.05から約5μmの厚さを有してよい。
本発明の一実施態様では、緩衝層を用いないで適切な接着強さおよび化学安定性を得てよい。この実施態様では緩衝層を省略してよい。
界面層は窒化物、炭化物、硫化物、ハロゲン化物、金属酸化物、炭素、またはそれらの組み合わせを含んでよい。界面層は大表面積を提供し、および/または担持触媒のための望ましい触媒‐担体相互作用を提供する。界面層は、触媒担体として通常用いられる任意の材料で構成してよい。界面層は、金属酸化物で構成してよい。用いてよい金属酸化物の例はγ‐Al2O3、SiO2、ZrO2、TiO2、酸化タングステン、酸化マグネシウム、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、ランタン系列酸化物(単数または複数)、ゼオライト(単数または複数)およびそれらの組み合わせを含む。界面層は、上にそれ以上の触媒活性材料を析出させず、触媒活性層として働かせてよい。しかし、通常、界面層は触媒活性層と組み合わせて用いる。界面層も、組成の異なる2つ以上の副層で形成させてよい。界面層は多孔質担体の平均細孔径の半分未満の厚さを有してよい。界面層の厚さは約0.5から約100μm、一実施態様では約1から約50μmの範囲内であって。界面層は結晶または非晶質のどちらであってもよい。界面層は少なくとも約1m2/gのBET表面積を有してよい。
触媒は、界面層の上に析出させてよい。あるいは、触媒物質は、界面層と同時に析出させてよい。触媒層は、界面層の上に密に分散させてよい。触媒層を界面層の「上に分散させる」または「上に析出させる」とは、微視的な触媒粒子を担体層(すなわち界面層)表面の上に、担体層の中の割れ目の中に、および担体層の中の開口細孔の中に分散させるという通常の理解を含む。
触媒は、プロセスマイクロチャネル内に配置された1つ以上のフィンのアセンブリの上に担持させてよい。図38〜40に例を示す。図38を参照すると、フィンアセンブリ380は、プロセスマイクロチャネル388の基壁386の上にあるフィン支持体384の上に取り付けられたフィン382を含む。フィン382は、フィン支持体384からプロセスマイクロチャネル388の内部へ突き出ている。フィン382は、プロセスマイクロチャネル388の上部壁390の内部表面へ延在している。フィン392の間のフィンチャネル392は、流体がプロセスマイクロチャネル388を通ってその長さと平行に流れるための通路を提供する。フィン382のそれぞれは各側面に外表面を有し、この外表面が触媒のための担持基材を提供する。本発明のプロセスでは、反応体は、フィンチャネル392を通って流れ、フィン382の外表面に担持されている触媒と接触し、反応して生成物を形成する。図39に例を示すフィンアセンブリ380aは、フィン382aがマイクロチャネル388の上部壁390の内表面まで完全に延在していない点を除けば図38に例を示したフィンアセンブリ380と同様である。図40に例を示すフィンアセンブリ380bは、フィンアセンブリ380bの中のフィン382bが台形の断面形状を有する点を除けば図38に例を示したフィンアセンブリ380と同様である。フィン(382、382a、382b)のそれぞれは約0.02mmからプロセスマイクロチャネル838の高さまで、一実施態様では約0.02から約10mm、一実施態様では約0.02から約5mm、一実施態様では約0.02から約2mmの範囲内の高さを有してよい。フィン(382、382a、382b)のそれぞれの幅は約0.02から約5mm、一実施態様では約0.02から約2mm、一実施態様では約0.02から約1mmの範囲内であってよい。フィン(382、382a、382b)のそれぞれの長さはプロセスマイクロチャネル838の高さまで、一実施態様では最大約10m、一実施態様では約1cmから約10m、一実施態様では約1cmから約5m、一実施態様では約1cmから約2.5mの範囲内の任意の長さであってよい。フィン(382、382a、382b)のそれぞれの間の隙間は任意の値であってよく、約0.02から約5mm、一実施態様では約0.02から約2mm、一実施態様では約0.02から約1mmの範囲内であってよい。プロセスマイクロチャネル388の中のフィン(382、382a、382b)の数はプロセスマイクロチャネル388の幅のセンチメートルあたり約1から約50フィン、一実施態様ではセンチメートルあたり約1から約30フィン、一実施態様ではセンチメートルあたり約1から約10フィン、一実施態様ではセンチメートルあたり約1から約5フィン、一実施態様ではセンチメートルあたり約1から約3フィンの範囲内であってとよい。その長さ方向で見たとき、各フィン(382、382a、382b)は直線構成、テーパ形構成、または蛇行構成を有してよい。フィンアセンブリ(380、380a、380b)はプロセスマイクロチャネルが意図される動作を可能にするのに十分な強さ、寸法安定性および伝熱特性を提供する任意の材料で作ってよい。これらの材料は、鋼(例えばステンレス鋼、炭素鋼および類似物)、モネル、インコネル、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、ロジウム、銅、クロム、真鍮、任意の上記金属の合金、重合体(例えば熱硬化性樹脂)、セラミックス、ガラス、1つ以上の重合体(例えば熱硬化性樹脂)とガラス繊維とを含む複合体、石英、ケイ素、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む。フィンアセンブリ(380、380a、380b)はFe、Cr、AlおよびYを含む合金などのAl2O3形成材料、またはNi、CrおよびFeの合金などのCr2O3形成材料で作ってよい。
触媒は、図41に例を示すマイクログルーブ型担体ストリップに担持させてよい。図41を参照すると、マイクログルーブ型担持ストリップ400は、形状が長方形で長さ(l)、幅(w)および厚さ(t)を有する担持ストリップ410を含む。担持ストリップ410は第1の表面または上部表面412、第2の表面または下部表面414、第1の側端416、第2の側端418、前端420および後端422を有する。担持ストリップ410は担持ストリップの長さ(l)に沿って延在する中心軸424を有する。第1の表面412の中に複数の平行なマイクログルーブ430を形成させる。マイクログルーブ430は、担体ストリップ410の第1の側面端416と第2の側端418との間に延在してよいが、側端を貫いて突き出さない。マイクログルーブ型担持ストリップ400は、マイクログルーブ型担持ストリップ400に閉じた前端420と後端422とを提供するグルーブ非設置区間434と436とを含む。すなわち、マイクログルーブ型担持ストリップ400の前端420および後端422は、流体が前端420および後端422を通って流れないように十分に遮断する。マイクログルーブ430は、流体がマイクログルーブ430の中を全体として前端420から後端422へ向かう方向に流れることを可能にするのに十分な角度425で中心軸424に対して配向させてよい。マイクログルーブ型担持ストリップ400の前端420、後端422ならびに側端416および418は閉じている。これらの閉じた端は、流体が前端、後端および側端を通って流れないようにする。
図41に例を示したマイクログルーブ430は正方形の断面を有する。あるいは、マイクログルーブ430のそれぞれは長方形の断面、V字形の断面、半円形の断面、逆台形の断面または台形の断面を有してよい。他の断面形状を有するマイクログルーブを用いてよいことは当業者には自明であろう。マイクログルーブ430のそれぞれは深さ、幅および長さを有する。マイクログルーブ430のそれぞれの深さは約0.1から約1000ミクロン、一実施態様では約1から約100ミクロンの範囲内であってよい。マイクログルーブ430のそれぞれの幅は、最も広い寸法のところの幅であるとして、約0.1から約1000ミクロン、一実施態様では約1から約500ミクロンの範囲内であってよい。マイクログルーブ430のそれぞれの長さは担持ストリップ410の幅(w)によって決まる任意の寸法であってよい。各マイクログルーブ430の長さは約0.1から約100cm、一実施態様では約0.1から約10cmの範囲内であってよい。マイクログルーブ430間の間隔は最大約1000ミクロン、一実施態様では約0.1から約1000ミクロン、一実施態様では約1から約1000ミクロンの範囲内であってよい。マイクログルーブ430のそれぞれは、後端422および第1の側端416の方へ配向させ、流体がマイクログルーブの中を全体として第2の側端418および後端422へ向かう方向に流れることを可能にするのに十分な角度425を中心軸424と形成させてよい。角度425は約0°から約90°であってよい。角度425は約50°から約80°、一実施態様では約60°から約75の範囲内であってよい。マイクログルーブ430は中心軸424と約90°の角度すなわち直角に並べてよく、一実施態様では第1の側端416から第2の側端418へ延在させてよい。マイクログルーブ430は中心軸424と平行に並べてよく、一実施態様では前端420から後端422へ延在させてよい。マイクログルーブ430は光化学機械加工法、レーザエッチング法、ウォータージェット機械加工法および類似技法を含む任意の適当な技法によって担持ストリップ410の第1の表面412の中に形成させてよい。
担持ストリップ410は約0.1から約5000ミクロン、一実施態様では約1から約1000ミクロンの範囲の厚さ(t)を有してよい。担持ストリップ410は、任意の幅(w)および任意の長さ(l)を有してよく、幅および長さは担持ストリップ410が用いられるマイクロチャネルの寸法に依存する。担持ストリップ410は約0.01から約100cm、一実施態様では約0.1から約10cmの範囲内の幅(w)を有してよい。担持ストリップ410の長さ(l)は約0.01から約100cm、一実施態様では約0.1から約10cmの範囲内であってよい。図30に例を示す担持ストリップ410は長方形である。しかし、担持ストリップ410は目的のマイクロチャネルの設計に合わせるために任意の形態、例えば正方形、円形、楕円形等を有してよいと理解すべきである。
担持ストリップ410は触媒を担持するためのマイクロチャネルの中のマイクログルーブ型担持ストリップ400の使用を可能にするのに十分な強度、寸法安定性および伝熱特性を提供する任意の材料で作ってよい。担持ストリップ410は金属、炭化ケイ素、黒鉛、またはそれらの2つ以上の組み合わせで作ってよい。金属は鋼、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、ロジウム、銅、クロム、真鍮、または任意の以上の金属の合金を含んでよい。担持構造体410はステンレス鋼、または鉄、クロム、アルミニウムおよびイットリウムを含む合金で作ってよい。
マイクログルーブ型担持ストリップ400は、マイクロチャネルの中の側流担持構造体として用いてよい。
一実施態様では、複数のマイクログルーブ型担持ストリップを上下に積み重ねるかまたは横並びに配置して本発明のプロセスにおいて用いられる触媒を担持するために用いてよい複合担持構造体を形成させてよい。図44および45に一実施態様における複合担持構造体の例を示す。図44および45に例を示す担持ストリップ400Aおよび400Bは、開いた前端420および後端422、閉じた側端416および418、ならびに上部表面412から底部表面414まで担持ストリップ410を貫通するマイクログルーブ430を有する。流体が複合担持構造体を通って流れるとき、開いた前端420、後端422およびマイクログルーブ430は、流体がマイクログルーブ型担持ストリップを通って複合担持構造体内の1つの担持ストリップから別の担持ストリップへ流れることを可能にする。そのような複合担持構造体の中で使用されるマイクログルーブ型担持ストリップの数は任意の数、例えば最大約50、一実施態様では最大約30、一実施態様では最大約15、一実施態様では最大約10であってよい。複合担持構造体は、流体が複合構造体の側面から流れ出ないようにする端板も含む。
図44および45に例を示した複合担持構造体402は、八つ(8)のマイクログルーブ型担持ストリップと2つの端板405(図26および27には1枚の端板しか示されていない)とを含み、マイクログルーブ型担持ストリップ400Aおよび400Bのそれぞれ4つが横並びに交互に配置されている。マイクログルーブ型担持ストリップ400Aおよび400Bは、長方形であって長さ、幅および厚さを有する担持ストリップ410をそれぞれ含む。担持ストリップ410は担持ストリップの長さに沿って延在する中心軸を有する。担持ストリップ410の中に複数の平行なマイクログルーブ430が形成され、上部表面412から底部表面414へ担持ストリップの中に進入する。開いた前端420および後端422、ならびに開いたマイクログルーブ430は、流体が複合担持構造体402内を1つのマイクログルーブ型担持ストリップから別のマイクログルーブ型担持ストリップへ流れることを可能にする。担持ストリップ410の第1の側端416から第2の側端418へ平行なマイクログルーブの第1の群が延在する。前端420から第2の側端418へマイクログルーブ430の第2の群が延在する。担持ストリップ410の第1の側端416から後端422へマイクログルーブ430の第3の群が延在する。マイクログルーブ430は、側端416および418へ延在するが、これらの側端から突き出さない。端板405は、流体が複合担持構造体402の側面から流れ出ないようにする。図に示していない第2の端板405は、図44および45の左側の第1のマイクログルーブ型担持ストリップ400Aに隣接させて配置する。担持ストリップ400Aの中のマイクログルーブ430は担持ストリップの中心軸および側端416に対して約90°から約180°、一実施態様では約100°から約150°の範囲内の角度で配向させてよい。担持ストリップ400Bの中のマイクログルーブ430は担持ストリップの中心軸および側端116に対して約0°から約90°、一実施態様では約50°から約80°の範囲内の角度で配向させてよい。流体は担持ストリップ400Aおよび400Bの前端420へ入り、マイクログルーブ430の中を通り抜けて流れ、流体が担持ストリップの後端422へ達した後、複合担持構造体402から流れ出るまで1つの担持ストリップ(400Aまたは400B)の中のマイクログルーブ430から別の担持ストリップ(400Aまたは400B)の中のマイクログルーブ430へ移動することによって複合体構造体402を通って流れてよい。図45は、図44に例を示した複合担持構造体の開口『A』から入る流体のための複合担持構造体402を通る流路の例を示す。複合担持構造体402を通る流体の流れは、流体が複合担持構造体の前端から後端へ通過するまで、透過し、拡散し、層から層へ移流すると記述してよい。
触媒は、従来の技法を用いてマイクログルーブ型担持ストリップ(400、400A、400B)の上に析出させてよい。これらは、マイクログルーブ型担持ストリップの上に触媒をウォッシュコートすること、マイクログルーブ型担持ストリップの上に触媒を成長させること、または蒸着法を用いてマイクログルーブ型担持ストリップの上に触媒を析出させることを含んでよい。蒸着法は、化学蒸着法であっても物理蒸着法であってもよい。触媒は、スラリー被覆法、ゾル被覆法または溶液被覆法によって析出させてよい。一実施態様では、触媒は、担持ストリップまたは複合担持構造体のマイクログルーブ430の中に析出させ、接着させたマイクロサイズの粒子の形であってよい。触媒担持量は、マイクログルーブ型担持ストリップの平方センチメートルあたり約0.1から約100ミリグラム(mg)の範囲内、一実施態様ではマイクログルーブ型担持ストリップの平方センチメートルあたり約1から約10mgの触媒の範囲内であってよい。マイクロサイズの粒子は、約0.01から約100ミクロンの範囲内、一実施態様では約0.1から約50ミクロンの範囲内、一実施態様では約0.1から約10ミクロンの範囲内、一実施態様では約0.1から約7ミクロン、一実施態様では約0.1から約5ミクロン、一実施態様では約0.1から約3ミクロン、一実施態様では約0.1から約2ミクロン、一実施態様では約0.1から約1ミクロン、一実施態様では約0.1から約0.5ミクロンの平均粒径を有してよい。
マイクログルーブ型担持ストリップおよび複合構造体の利点は、マイクロサイズの触媒粒子をマイクログルーブの中に配置し、固定してよく、従って粒子がマイクロチャネルを通るプロセス流体の流れによって押し流される傾向を小さくするという事実に関連する。
図42および43に、触媒を担持するためにマイクログルーブ型担持ストリップ400を使用するマイクロチャネルプロセス処理単位コア102に用いられる繰り返し単位200Wおよび200Xの例を示す。マイクロチャネルプロセス処理単位コア102の中で用いてよいこれらの繰り返し単位の数は任意の数、例えば1、2、3、4、5、6、8、10、数100、数1000等であってよい。図42を参照すると、繰り返し単位200Wは、プロセスマイクロチャネル210と、プロセスマイクロチャネル210の内壁230の上に取り付けられたマイクログルーブ型担持ストリップ400とを含む。バルク流れ領域234はマイクログルーブ型担持ストリップ400の上のプロセスマイクロチャネル210内の空間である。プロセスマイクロチャネル210を通って矢印215および216で示すようにプロセス流体が流れる。プロセス流体は、プロセスマイクロチャネル210を通って流れる際に、触媒担持マイクログルーブ型担持ストリップ400と接触してバルク流れ領域234を通って流れる。触媒は、マイクログルーブ430の中に配置されたマイクロサイズの粒子の形であってよい。マイクログルーブ型担持ストリップ400は側流担持ストリップである。しかし、プロセス流体のいくらかは、触媒と接触してマイクログルーブ430の中を流れてよい。マイクログルーブ430を通るプロセス流体の流れは、全体として側端418から側端416および後端422へ向かう方向にあってよい。プロセスマイクロチャネル210を加熱および/または冷却するために熱交換チャネル(図に示していない)を提供してよい。
図43に例を示す繰り返し単位200Xは、図43に例を示すプロセスマイクロチャネル210が対向する内壁230および232と、対向する内壁のそれぞれの上に取り付けられた触媒担持マイクログルーブ型担持ストリップ400とを含む点を除けば図42に例を示した繰り返し単位200Wと同様である。
本発明のプロセスの利点は、少なくとも一実施態様では、プロセスが実験室またはパイロットプラント規模を意図しようと全生産規模を意図しようと、プロセスマイクロチャネル、段階添加チャネル、および熱交換チャネルの間の隙間の距離が同じであってよいことである。その結果、本発明のプロセスで用いられるマイクロチャネルプロセス処理単位によって製造される多相流体混合物の中の第2の流体の粒径分布は、マイクロチャネルプロセス処理単位が実験室またはパイロットプラント規模で構築されようと実生産プラント単位として構築されようと、実質的に同じであってよい。
速度uの方向の液体制御要素(離散形の)に対するせん断力またはせん断応力は、式Fx=mu*du/dyによって計算してよい。式中、muは粘度であり、du/dyは開口区間に垂直な液体の流れの速度勾配である。しかし、流体の位置(制御要素によって代表される)と同じく、速度は一般に3つの成分を有し、せん断力も3つの成分を有する。表面近傍および表面におけるチャンネルの流れについては一次元仮定を設けることができ、液体の要素表面の正味のせん断応力をFXで近似することができる。表面せん断力を計算することができるように、フルーエント(Fluent)またはフェムラブ(FEMLAB)などの市販ソフトウェアパッケージを含む計算機流体力学を用いて必要な輸送方程式を解いてよい。流れの方向に平行なチャネル長さの方向の表面せん断力または表面せん断応力を計算してよい。平行チャネルの間のせん断力またはせん断応力も計算してよく、流れ分布効果を取り込んで詳細なチャネルおよびマニホルドの幾何形状の関数として各平行チャネルの中への物質流束を求める。例えば、「流体力学の基礎(Fundamentals of Fluid Mechanics)」、第3版、ビー・アール・マンソン(B.R. Munson)、ディー・エフ・ヤング(D.F. Young)およびティー・エイチ・オキイシ(T.H. Okiishi)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Son, Inc.)、ヴァインハイム(Weinheim)、1998年、に別の計算方法がある。
一実施態様では、単一のプロセスマイクロチャネルを使用するプロセスのせん断力偏差因子(SFDF)は、複数のプロセスマイクロチャネルを含むスケールアップされたプロセスのSFDFの約50%の範囲内であってよい。SFDFは、式
SFDF=(Fmax−Fmin)/(2Fmean)
を用いて計算してよい。式中、Fmaxはプロセスマイクロチャネルの中の特定の液体についての最大せん断応力であり、Fminはプロセスマイクロチャネルの中の同液体についての最小せん断応力であり、Fmeanはプロセスマイクロチャネル210内の開口区間(250、250A)の表面における同流体についての算術平均せん断力である。本発明のプロセスによって動作する単一のプロセスマイクロチャネル内では、SFDFは約2より小さく、一実施態様では約1より小さく、一実施態様では約0.5より小さく、一実施態様では約0.2より小さくてよい。
一実施態様では、本発明のプロセスは複数のプロセスマイクロチャネルを使用しながら比較的一様なせん断応力を提供してよい。複数のプロセスマイクロチャンネルの間のせん断力一様性を測定するために、各チャンネルについて平均せん断力を計算し、比較する。Fmaxは平均チャネルせん断力の最大値であり、Fminは平均せん断力の最小値である。Fmeanはすべてのチャネルの平均せん断力の平均値である。SFDFは、これらの値から計算してよい。少なくとも本発明のプロセスの一実施態様では、複数のプロセスマイクロチャネルの間のSFDFは約2より小さく、一実施態様では約1より小さく、一実施態様では約0.5より小さく、一実施態様では約0.2より小さくてよい。
プロセスマイクロチャネル内のせん断力の偏差は下記のように定義してもよい。
式中、F
max、F
minは上記で定義したものと同じである。一実施態様では、SFDF’は約0.9より小さく、一実施態様では約0.5より小さく、一実施態様では約0.1より小さくてよい。
複数のプロセスチャネルでは、せん断力の偏差は下記のように定義してよい。
式中、F′
maxは複数のプロセスマイクロチャネルについて所定の軸方向位置における最大せん断力と定義され、F′
minは複数のプロセスマイクロチャネルについて同じ軸方向位置における最小せん断力と定義される。一実施態様では、SFDF″は約0.9より小さく、一実施態様では約0.5より小さい、一実施態様では約0.1より小さくてよい。
規模拡大デバイスにおいて、特定の利用の場合に、プロセス流体の質量をマイクロチャネルの間に一様に分配する必要が生じることがある。そのような利用は、プロセス流体を隣接する熱交換チャネルを用いて加熱するかまたは冷却する必要のあるときであってよい。一様な質量流れ分布は、1つの平行マイクロチャネルから別のマイクロチャネルへ断面積を変化させることによって得てよい。質量流れ分布の一様さは、下に示す品質指数因子(Q因子)によって定義してよい。0%のQ因子は絶対一様分布を意味する。
断面積の変化の結果として壁の上のせん断応力の差を生じてよい。
一実施態様では、プロセスマイクロチャネルのQ因子は、約50%より小さく、一実施態様では約20%より小さく、一実施態様では約5%より小さく、一実施態様では約1%より小さくてよい。
一実施態様では、プロセスマイクロチャネルのQ因子は約50%より小さくてよく、SFDF″は約0.8より小さくてよい。一実施態様では、Q因子は約5%より小さくてよく、SFDF″は約0.5より小さくてよい。一実施態様では、Q因子は約1%より小さくてよく、SFDF″は約0.1より小さくてよい。
冷却、加熱、または冷却と加熱との両方のために発熱源および/または吸熱源を用いてよい。発熱源および/または吸熱源は1つ以上の熱交換チャネルを含んでよい。発熱源は、1つ以上の電熱素子または抵抗加熱器など、1つ以上の非流体加熱素子を含んでよい。吸熱源は、1つ以上の非流体冷却素子を含んでよい。これらは、プロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルと隣接してよい。一実施態様では、発熱源および/または吸熱源はプロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルと接触も隣接もしなくてよく、プロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルの一方または両方からむしろ離れているが、発熱源および/または吸熱源とプロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルとの間で熱を移動させるためには十分に、プロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルの近くにあってよい。非流体加熱および/または非流体冷却素子を用いてプロセスマイクロチャネル(210)および/または段階添加チャネル(240、240A)の1つ以上の壁を形成させてよい。非流体加熱および/または冷却素子は、プロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルの1つ以上の壁の中へ造り込んでよい。非流体加熱および/または冷却素子は、プロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルの壁の中に埋め込まれた薄いシート、ロッド、ワイヤ、円盤または他の形状の構造体であってよい。非流体加熱および/または冷却素子は、プロセスマイクロチャネル壁および/または段階添加チャネル壁へ接着させたフォイルまたはワイヤの形であってよい。加熱および/または冷却は、ペルティエ型熱電冷却および/または加熱素子を用いて実現してよい。プロセスマイクロチャンネルおよび/または段階添加チャネルの長さに沿って複数の加熱および/または冷却区域を使用してよい。同様に、プロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルの長さに沿って1つ以上の熱交換チャネルの中のさまざまな温度の伝熱流体を使用してよい。発熱源および/または吸熱源を用いてプロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネル内の精密な温度制御を提供してよい。
前記熱交換流体は任意の流体であってよい。これらは空気、蒸気、液体水、気体窒素、液体窒素、不活性気体を含む他の気体、一酸化炭素、二酸化炭素、鉱油などの油類、気体炭化水素、液体炭化水素、およびダウ‐ユニオンカーバイド(Dow-Union Carbide)から入手可能なダウサームA(Dowtherm A)およびサーミノール(Therminol)などの熱交換流体を含む。
熱交換流体は第1の流体、第2の流体および/または生成物を含んでよい。これによってプロセス予熱および/またはプロセス全体の熱効率の増加を提供することができる。
一実施態様では、熱交換チャネルは吸熱または発熱プロセスが実行されるプロセスチャネルを含む。これらの熱交換プロセスチャネルはマイクロチャネルであってよい。熱交換チャネルの中で実行してよい吸熱プロセスの例は、水蒸気改質反応および脱水素反応を含む。熱交換チャネルの中で実行してよい発熱プロセスの例は、水性ガスシフト反応、メタノール合成反応およびアンモニア合成反応を含む。
一実施態様では、熱交換流体は熱交換チャネルの中で相変化を行う。この相変化は、対流加熱または冷却によって提供される以外のプロセスマイクロチャネルおよび/または第2の反応体流チャネルへの追加の加熱またはプロセスマイクロチャネルおよび/または第2の反応体流チャネルからの追加の除熱を提供する。そのような相変化の例は、沸騰する油または水と考えられる。一実施態様では、相変化流体の沸騰の蒸気質量分率量は、最大約100%、一実施態様では最大約75%、一実施態様では最大約50%であってよい。
マイクロチャネルプロセス処理単位の中の熱交換のための熱流束は、マイクロチャネルプロセス処理単位の中の伝熱壁の表面積の平方センチメートルあたり約0.01から約500ワット(W/cm2)、一実施態様では約0.1から約250W/cm2、一実施態様では約0.1から約100W/cm2、一実施態様では約1から約100W/cm2、一実施態様では約1から約50W/cm2、一実施態様では約1から約25W/cm2、一実施態様では約1から約10W/cm2の範囲内であってよい。
一実施態様では、マイクロチャネルプロセス処理単位100へ入る流体流の温度は、マイクロチャネルプロセス処理単位100から出る生成物の温度から約200℃の範囲内、一実施態様では約100℃の範囲内、一実施態様では約50℃の範囲内、一実施態様では約20℃の範囲内であってよい。
プロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルの近傍にあるかまたは隣接する熱交換チャネルの間の制御された熱交換の使用によって、プロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルの一様な温度プロフィルを可能としてよい。これは、混合タンクなどの従来のプロセス処理装置を用いて得られるものより迅速な速度で一様な熱交換の可能性を提供する。複数のプロセスマイクロチャネルと、任意選択として複数の段階添加型の第2のチャネルとを使用するマイクロチャネルプロセス処理単位の場合、プロセスマイクロチャネルの長さ方向の少なくとも1つの共通位置におけるプロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルの間の温度差は、約5℃より小さく、一実施態様では約2℃より小さく、一実施態様では約1℃より小さくてよい。
プロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルのどちらかと隣接する熱交換区域270は、そのようなチャネルの長さに沿って別々の温度区域を使用してよい。例えば、一実施態様では、プロセスマイクロチャネルへの入口に近い第1の区域の中の温度は、プロセスマイクロチャネルの終わりに近い第2の区域の中の第2の温度より高いかまたは低い温度に維持してよい。プロセスマイクロチャネルの中に冷却区域または急冷区域を組み込んで生成物を冷却してよい。プロセスマイクロチャネルの中の反応区域の前および/または後で反応体および/または生成物を加熱または冷却する加熱区域または冷却区域の可能性を含む、プロセスマイクロチャネルおよび/または段階添加チャネルの長さ方向の調整された熱プロフィルを可能にする多数の熱プロフィルの組み合わせが可能である。
熱交換チャネルへ入る熱交換流体は約−40℃から約400℃の範囲内、一実施態様では約0℃から約400℃、一実施態様では約20℃から約300℃、一実施態様では約20℃から約250℃、一実施態様では約20℃から約200℃の温度であってよい。熱交換チャネルから出る熱交換流体は約−40℃から約400℃、一実施態様では約0℃から約400℃、一実施態様では約20℃から約300℃、一実施態様では約20℃から約250℃、一実施態様では約20℃から約200℃の範囲内の温度であってよい。熱交換チャネルの中の熱交換流体の滞留時間は約5msから約1分、一実施態様では約20msから約1分、一実施態様では約50msから約1分、一実施態様では約100msから約1分の範囲内であってよい。熱交換流体が熱交換チャネルを通って流れるときの圧力降下は最大約1気圧/m、一実施態様では最大約0.5気圧/m、一実施態様では最大約0.1気圧/m、一実施態様では約0.01から約1気圧/mの範囲内であってよい。熱交換流体は蒸気、液体、または蒸気と液体との混合物の形であってよい。熱交換チャネルを通る蒸気の流れのレイノルズ数は約10から約5000、一実施態様では約100から約3000の範囲内であってよい。熱交換チャネルを通る液体の流れのレイノルズ数は約10から約10000、一実施態様では約100から約5000の範囲内であってよい。
プロセスマイクロチャネルの設計は、軸方向長さに沿って変化させてプロセスマイクロチャネルの中で変化する流体力学に対応させてよい。例えば、反応体の1つが過剰なら、反応混合物の流体特性は、約10%より小さな反応進行度から約50%より大きな反応進行度によって代表されるように反応の経過に伴って変化してよい。酸素が化学量論供給速度の近くで供給される酸化反応の場合、プロセスマイクロチャネルへの入口では気体に対する液体の比は控え目であってよいが、プロセスマイクロチャネルの終わりでは気体に対する液体の比は高く、気体反応体の消滅まで進むことが望ましい反応では無限大に近づいてよい。物質移動の減少によって良好な相混合が必要になる。気体あるいは液体が反応して完了に近づき、例えば約60%反応率より大きくなり、一実施態様では約90%反応率より大きくなると、良好な相混合のために別の設計が必要になることがある。プロセスマイクロチャネルの中に少なくとも1つの第2の反応区域があり、そこではマイクロチャネルの断面積を対応する第1の反応区域の中の断面積より小さくするかまたは大きくして異なる混合パターンを作り出してよい。表面構成要素は、用いるなら、反応が完了の方へ進行するにつれて異なる幾何構造、パターン、角度、深さまたはマイクロチャネルギャップに対するサイズの比を有してよい。
本発明の一実施態様では、触媒に必要な拡散路を限定することによって比較的短い接触時間、所望の生成物への高い選択率および比較的低い触媒の活性低下速度を実現してよい。例えば、これは、触媒が金属発泡体などの加工担体の上またはプロセスマイクロチャネルの壁の上の薄層の形であるとき、実現させてよい。これは、空間速度の増加を可能にする。一実施態様では、触媒の薄層は、化学的蒸着法を用いて作り出すことができる。この薄層は最大約1ミクロン、一実施態様では約0.1から約1ミクロン、一実施態様では約0.25ミクロンの範囲内の厚さを有してよい。これらの薄層は、拡散路を短くすることによって、反応体が活性触媒構造内にある時間を短縮させてよい。これは、反応体が触媒の活性部分の中で費やす時間を減少させる。その結果は増大した生成物への選択率と、減少した望ましくない副生物とであってよい。この触媒配備モードの利点は、触媒の活性部分が不活性な低熱伝導率の結合剤の中に束縛されてしまう従来の触媒と異なり、活性触媒膜が加工構造体またはプロセスマイクロチャネルの壁と密接に接触している点である。これによって、マイクロチャネル反応器の中で到達可能な高い伝熱速度を利用してよく、精密な温度制御を可能になる。結果は、望ましくない副生物の生成を促進しないで高くした温度で運転し(反応速度が速くなる)、従って高めた生産性および収率をもたらし、触媒寿命を長くする能力である。
一実施態様では、触媒は再生させてよい。これは、プロセスマイクロチャネル210を通して再生用流体を流して触媒と接触させることによって実行してよい。再生用流体は水素または希釈水素の流れを含んでよい。希釈剤は窒素、アルゴン、水蒸気、メタン、二酸化炭素、またはそれらの2つ以上の混合物を含んでよい。再生用流体の中のH2の濃度は最大約100体積%、一実施態様では約1から約100体積%、一実施態様では約1から約50体積%であってよい。再生用流体はヘッダ104からプロセスマイクロチャネルを通ってフッタ106へ、または反対の方向にフッタ106からプロセスマイクロチャネルを通ってヘッダ104へ流れてよい。再生用流体の温度は約20から約600℃、一実施態様では約20から約400℃、一実施態様では約80から約200℃であってよい。この再生工程の間のプロセスマイクロチャネル内の圧力は絶対圧力で約1から約100気圧、一実施態様では約1から約10気圧の範囲内であってよい。プロセスマイクロチャネルの中の再生用流体の滞留時間は約0.001から約10秒、一実施態様では約0.01秒から約1秒の範囲内であってよい。
プロセスマイクロチャネル210内の反応体および生成物と触媒との接触時間は最大約100秒の範囲内、一実施態様では約1ミリ秒(ms)から約100秒の範囲内、一実施態様では約1msから約50秒の範囲内、一実施態様では約1msから約25秒の範囲内、一実施態様では約1msから約10秒の範囲内、一実施態様では約1msから約1秒、一実施態様では約1msから約500ms、一実施態様では約1msから約200ms、一実施態様では約1msから約100ms、一実施態様では約1msから約50ms、一実施態様では約1msから約20ms、一実施態様では約1msから約10msであってよい。
プロセスマイクロチャネル210の中を流れる流体の流量は約0.001から約500lpm、一実施態様では約0.001から約250lpm、一実施態様では約0.001から約100lpm、一実施態様では約0.001から約50lpm、一実施態様では約0.001から約25lpm、一実施態様では約0.01から約10lpmの範囲内であってよい。プロセスマイクロチャネルの中の流体流れの速度は、約0.01から約200m/s、一実施態様では約0.01から約75m/s、一実施態様では約0.01から約50m/s、一実施態様では約0.01から約30m/s、一実施態様では約0.02から約20m/sの範囲内であってよい。プロセスマイクロチャネルの中を流れる流体のレイノルズ数は、約0.001から約100000、一実施態様では約0.001から約10000の範囲内であってよい。
プロセスマイクロチャネルの中の反応体および生成物の流れの重量毎時空間速度(WHSV)は少なくとも約0.1(ml原料)/(g触媒)(時間)であってよい。WHSVは約0.1から約5000であってよく、一実施態様ではWHSVは約1から約500(ml原料)/(g触媒)(時間)の範囲内であってよく、一実施態様ではWHSVは約10から約500(ml原料)/(g触媒)(時間)の範囲内であってよい。
プロセスマイクロチャネルの中の流体の流れの滞留時間は約0.005から約100秒、一実施態様では約0.03から約10秒の範囲内であってよい。
理論にこだわることは望まないが、プロセスマイクロチャネル210の中の高い空塔速度は、反応の間に気相と液相との両方が存在する反応にとって有利であってよいと考えられる。これは、触媒の表面の上に通常形成される薄い液体層に流体のせん断応力が作用してよいからである。薄くなった液膜層は触媒表面への反応体の物質移動抵抗を減らし、比較的短い反応体の接触時間、例えば約500ミリ秒より小さい接触時間での反応率を高くしてよい。一実施態様では、プロセスマイクロチャネルを通って流れる流体の空塔速度は秒あたり少なくとも約0.01メートル(m/s)、一実施態様では約0.01から約50m/sの範囲内、一実施態様では約0.01から約10m/sの範囲内、一実施態様では約0.01から約1m/sの範囲内、一実施態様では約0.05から約0.5m/sの範囲内であってよい。
マイクロチャネルプロセス処理単位100またはプロセス処理単位コア102へ入る流体の温度は約−40℃から約400℃、一実施態様では約0℃から約400℃、一実施態様では約20℃から約300℃、一実施態様では約20℃から約250℃、一実施態様では約20℃から約200℃の範囲内であってよい。
プロセスマイクロチャネル210内の温度は約−40℃から約400℃、一実施態様では約0℃から約400℃、一実施態様では約20℃から約300℃、一実施態様では約20℃から約250℃、一実施態様では約20℃から約200℃の範囲内であってよい。
マイクロチャネルプロセス処理単位100またはプロセス処理単位102を出る生成物の温度は約−40℃から約400℃、一実施態様では約0℃から約400℃、一実施態様では約20℃から約300℃、一実施態様では約20℃から約250℃、一実施態様では約20℃から約200℃の範囲内であってよい。
プロセスマイクロチャネル210内の圧力は絶対圧力で最大約50気圧、一実施態様では最大約40気圧、一実施態様では最大約30気圧の範囲内であってよい。一実施態様では、圧力は、絶対圧力で約1から約50気圧、一実施態様では約10から約40気圧、一実施態様では約20から約30気圧の範囲内であってよい。
反応体および/または生成物がプロセスマイクロチャネル210の中を流れるときの圧力降下はプロセスマイクロチャネルの長さのメートルあたり最大約1気圧(atm/m)、一実施態様では最大約0.5気圧/m、一実施態様では最大約0.1気圧/mであってよい。
開口区間(250、250A)を通って流れる第2の流体の圧力降下は最大約0.1気圧、一実施態様では約0.001から約0.1気圧、一実施態様では約0.001から約0.05気圧、一実施態様では約0.001から約0.005気圧の範囲内であってよい。プロセスマイクロチャネル210の中を流れる反応体または生成物は蒸気、液体、または蒸気と液体との混合物の形であってよい。プロセスマイクロチャネルの中の蒸気の流れのレイノルズ数は約10から約10000、一実施態様では約100から約3000の範囲内であってよい。プロセスマイクロチャネルの中の液体の流れのレイノルズ数は約10から約10000、一実施態様では約100から約3000の範囲内であってよい。
第1の反応体の反応率はサイクルあたり約5%以上、一実施態様では約15から約100%の範囲内であってよい。
第2の反応体の反応率はサイクルあたり約25%以上、一実施態様ではサイクルあたり約25から約100%の範囲内であってよい。
生成物の収率はサイクルあたり約20%以上、一実施態様ではサイクルあたり約20から約50%の範囲内であってよい。
マイクロチャネル内の乳濁液形成は、とりわけパーソナルケア製品、医療品および食品などの新しい商品用途に向いた小さくなった平均液滴サイズを可能にする。チャネルあたり高い流量で動作させると、結果として得られる乳濁混合物は細いマイクロチャネルの壁に沿って高い壁せん断応力を作り出す。連続相物質のこの高い流体‐壁せん断応力が透過可能な壁を通して導入した分散相を横切ると、小さな乳濁液滴、一度に1滴の形成を可能にする。これらの乳濁液は、非ニュートン流体と呼んでよい。この技術の規模拡大に付随する問題は、高い壁せん断応力下の非ニュートン流体の挙動を理解することであった。さらに別の複雑化要素は、乳濁液が形成されるときのマイクロチャネルの長さに沿った組成による流体特性の変化であった。
低せん断速度における多くの非ニュートン乳濁流体の予測モデルが誘導され、予測と実験との間で優れた一致を示している。低せん断速度で得られた非ニュートン乳濁液のべき乗法則関係式は、小さなマイクロチャネルの中の高い処理能力によって作り出される高せん断環境下では成立しない。寸法が小さいため壁の部分でより高い速度勾配が作り出され、その結果見掛け粘度が大きくなる。低せん断環境で得られるべき乗則を外挿しても高流量域でマイクロチャネルの中で起ってよい圧力降下を正確に予測しないことがある。
従来の相関関係から予測される、高い壁せん断応力のマイクロチャネル環境の中でより大きな圧力降下を発生させるせん断減粘流体の場合の結果を下記に説明する。以下の述語を用いる。
f=ファニング(Fanning)摩擦係数
D=チャネルの水力直径、m
k=べき乗則定数
L=チャネルの長さ、m
n=べき乗則係数
R=チャネルの半径、m
Re=レイノルズ数
V=チャネルの中の流体の平均速度、m/s
x+=無次元展開長
ΔP=圧力降下、Pa
ρ=チャネルの中の流体の密度、kg/m3
μ=粘度、kg/m‐s
τ=せん断応力、N/m2
γ=せん断速度、秒−1
乳濁液は、流体‐流体界面安定化に影響する成分を含む分散液と呼んでよい。多くの場合にこれらの乳濁液の成分ならびに乳濁液は、せん断応力とせん断速度との間のニュートン関係に従わない。せん断応力とせん断速度との間の関係は、非ニュートン流体の流動力学ならびにマイクロチャネルプロセス処理単位のための設計パラメータ(例えば圧力降下)を予測する上で重要な役割を演じる。
巨視的規模のパイプの中の非ニュートン流体の圧力降下を予測するとき、確立された速度プロフィルのための理論式または経験式とともにべき乗則定数などの流体力学的パラメータを用いる。速度プロフィルのための流体力学的パラメータは、多くの場合卓上レオメータまたは実験室用粘度計から得られる。しかし、マイクロチャネルの中の非ニュートン流体の速度プロフィルについては十分に確立された相関関係がないので、小さな寸法のシステムの場合、流動曲線からの流体力学パラメータを高せん断環境、最終的には圧力降下へ変換すると不正確になる可能性がある。
設計計算のための基礎として流動曲線を用いる代りに、パイプライン粘度計(毛管粘度計の1つの形)を用いてマイクロチャネルの中に作り出される高せん断環境に関する流体力学的パラメータを測定すると実験的により簡便で正確なことがある。マイクロチャネル環境の中のせん断減粘非ニュートン流体についてのせん断応力とせん断速度との関係式の適用性を下記で説明する。
産業界における用途のほとんどは許容圧力降下によって限定される。流れモデル化の目的は、システムの圧力降下およびそれに影響を及ぼすパラメータを理解し、求めることである。本節では直線導管の中の圧力降下推定に用いてよい式を説明する。
ニュートン流体
ニュートン流体の場合、せん断応力はせん断速度に比例して変化する。比例定数は動粘度と呼ばれ、一定温度および圧力では所定の流体について一定である。
τ=μγ (1)
上記の応力と変形との関係式によって、ニュートン流体による直線導管の中の圧力降下方程式の一般形は、下式によって与えられる。
式中、ファニング摩擦係数(f)は無次元数であり、チャネル壁の上のせん断応力を表す。摩擦係数の値は流れ領域(またはレイノルズ数)、導管幾何構造および壁表面粗さに依存する。円形チャネル幾何構造の場合のファニング摩擦係数はレイノルズ数に依存し、下記に挙げられる。
層流領域(Re<2200)。層流領域における摩擦係数は無次元展開長に依存し、下式によって推定してよい。
遷移領域(2200≦Re<4000)。遷移領域の場合の円形チャネルの中の摩擦係数は下式によって与えてよい。
乱流領域(Re≧4000)。遷移領域の場合の円形チャネルの中の摩擦係数は下式によって与えてよい。
レイノルズ数および無次元長は下式によって与えてよい。
非ニュートン流体
せん断減粘非ニュートン流体の場合、せん断応力とせん断速度との間の従来の関係を図52に示す。せん断応力(または粘度)がせん断速度に対して変化しない領域は、ニュートン領域と呼んでよい。これらの領域の間の挙動はlog‐log目盛りで直線であってよく、べき乗則領域として知られることがある。
べき乗則領域における流体の挙動は下式によって近似してよい。
μ=kγn−1 (9)
円形管路の中の層流領域の中のべき乗則に従うせん断減粘流体に関する十分に展開した速度プロフィルおよびせん断速度は下式によって与えてよい。
一般に、非ニュートン流体が関与する数学的問題はナビエ‐ストークス(Navier-Stokes)方程式を解くことを含む。しかし、kおよびnの値が粘度計によって測定することができるなら、式(9)、(10)、(11)に記述したべき乗則関係を式(2)から(4)とともに用いて、非ニュートン流体の圧力降下を推定する簡単な方法を構築することができる。この圧力降下推定方法は、1‐D法と呼んでよい。
図53に、高せん断速度環境中の粘度を実験的に測定するための試験デバイスの例を示す。円形断面を有するステンレス鋼管が用いられる。名目管直径は1.59mmである。管壁の名目厚さは0.43mmである。管の長さは610mmである。試験装置は、コイル原管から必要な長さの配管を切断し、バリ取り装置を用いて管の両端のバリを取って準備する。
注入筒ポンプのIscoモデル260Dによって流体を供給する。ポンプは0.001ml/分の程度まで正確である。ポンプの最大送液圧力は20,800kPa(205.3気圧)である。液体の圧力は、試験装置の入口および出口で圧力トランスデューサのNOHOKシリーズ100を用いて測定する。試験装置の出口で単一圧力トランスデューサを0から136kPa(5psig、1.34気圧)の範囲で用いる。試験デバイスの入口で2つの圧力トランスデューサを用いる。一方のトランスデューサは0から791kPa(100psig、7.81気圧)の範囲を有し、他方の圧力トランスデューサは0から7000kPa(1000psig、69.1気圧)の範囲を有する。入口圧力が710kPa(7.01気圧)未満のときは0から791kPa(7.81気圧)の範囲を有する圧力トランスデューサが用いられ、そうでないときは0から7000kPa(69.1気圧)の範囲を有する圧力トランスデューサが用いられる。圧力トランスデューサの正確さは圧力範囲の±0.5%である。試験デバイスの出口は周囲圧力条件に保持する。試験装置への流体の入口および出口温度は、±2℃の正確さを有するオメガK型熱電対を用いて測定する。試験デバイス全体は周囲温度条件に保持される。あらゆる粘性熱発生は周囲に散逸させる。
黒鉛フェルールとスウェージロック取り付け部品とを用いて試験デバイスへの接続を行って末端における管の圧縮を防いだ。
温度および圧力データは、ナショナルインスツルメンツ(National Instruments)のラブビュー(Labview)7.1を用いて電子的に記録する。データ記録の間隔は1秒である。
あらゆる実験を実行する前に正確な圧力測定のために圧力トランスデューサを較正する。較正のために用いられる標準はフルーク(Fluke)725w/700PO7圧力モジュールである。較正曲線はデータロギングラブビュー(Labview)ソフトウェアによって読み取った生圧力トランスデューサ出力電流(mA)を、圧力モジュールを備えるフルーク725によって測定した圧力(kPaの)と対照することによって構築される。圧力は、アルテック(Altech)368‐600高圧手動ポンプを用いて導入される。少なくとも6つの点を用いて較正曲線を生成させた。加えられる圧力と圧力トランスデューサ信号との間の関係は3つの圧力トランスデューサすべてについて線形であることが見いだされる。次に較正曲線を実験の間の圧力測定に用いる。図54は、136kPa(1.34気圧)、791kPa(7.81気圧)および7000kPa(69.1気圧)範囲の圧力トランスデューサ用の較正曲線を示す。
ポンプの正確さを測定すると±0.5%の範囲内である。
実験的試験計画を作成してニュートン流体と非ニュートン流体との両方について圧力降下を推定する。用いられるニュートン流体は脱イオン水である。非ニュートン流体は、脱イオン水に溶解した流動性調節剤を用いて調製する。用いられる流動性調節剤はノベオンからのカーボポールSF‐1である。実験的試験計画を表1に示す。
ニュートン流体として脱イオン水が用いられる。脱イオン水は、エルガ(Elga)によって製造される脱イオン装置のメディカ(Medica)17R型を用いて調製される。設定は18MΩである。
3つの非ニュートン溶液は、ノベオンカーボポール重合体を用いて調製される。カーボポール重合体は、ポリアルケニルポリエーテルで架橋したアクリル酸の高分子量単独重合体および共重合体である。1%より低い濃度で用いられると、これらの重合体は広い範囲の流動特性を提供する。第1の溶液は4.2gのカーボポール重合体を500gの脱イオン水の中に混合して調製される。第2の溶液は5.6gのカーボポール重合体を500gの脱イオン水の中に混合して調製される。第3の溶液は8.4gのカーボポール重合体を500gの脱イオン水の中に混合して調製される。すべての溶液はpHを監視しながら撹拌して0.1N NaOHの滴下添加によってpH6.8〜7.2に調整する。第1の溶液を低粘度と呼び、第2の溶液を中粘度と呼び、第3の溶液を高粘度と呼ぶ。これらはそれぞれ非ニュートン流体である。
非ニュートン流体の粘度は、ULアダプタを備えたブルックフィールド(Brookfield)RVDV‐E粘度計を用いて測定する。粘度測定に用いられるスピンドルはULA‐000である。
図55は、ブルックフィールド粘度計によって試験した低粘度、中粘度および高粘度非ニュートン流体について、せん断速度の関数としてのカーボポール溶液の測定粘度を示す。
log‐log目盛りでの粘度とせん断速度との間の線形関係は、流体が従来のべき乗則関係に従うせん断減粘非ニュートン流体であることを示す。
ポンプの液溜めを試験流体で満たす。データ記録を開始して圧力および温度を電子的に記録する。必要な試験デバイスへの流量を注入筒に設定し、注入筒ポンプを始動させる。入口圧力トランスデューサの変動幅が3.5kPa(0.035気圧)未満のとき、流れは定常状態であるとみなす。定常状態を30から60秒間維持して入口および出口の圧力と温度との情報を集める。流体に関するすべての試験項目が完了した後、50mLの空気を圧送してシステムをパージし、次に用いる流体20mLでフラッシュしてから試験を開始する。いくつかの試験点を繰り返して再現性を検証する。入口と出口との測定圧力の差によって試験デバイスの圧力降下を計算する。
図56は、水に関する実験圧力降下と予測との比較を示す。圧力降下の予測には式(2)から(8)を用いる。図56に示すように、ニュートン流体としての水の場合、測定される圧力降下と予測される圧力降下との間に優れた一致がある。選んだ摩擦係数相関をこの比較によって検証する。
図55に示す、ブルックフィールド粘度計によって行った粘度測定値を用いて粘度とせん断速度とのべき乗則関係における定数kおよびnを計算する。低粘度、中粘度および高粘度非ニュートン流体のkおよびnの値を表2に要約する。
式(2)、(9〜11)および表2の中のkおよびnの値を用いて、デバイスの中の低粘度、中粘度および高粘度非ニュートン流体のための圧力を予測する。図57〜59は低粘度、中粘度および高粘度非ニュートン流体についての実験圧力降下と予測圧力降下とを比較する。すべての場合に、実験圧力降下は、低せん断ブルックフィールド粘度計において得たべき乗則係数の重ね合わせによる、1‐D法によって予測した圧力降下より大きい。
計算流体力学方法も用いて1‐D方法を検証する。ギャンビット(Gambit)で試験デバイスの簡単なメッシュを作成する。計算流体力学のために用いられるソフトウェアはフルーエント(Fluent)V6.2.16である。この解析では、表2に挙げるブルックフィールド粘度計から得たべき乗則係数を用いる。図58に示すように、計算流体力学方法と1‐D方法とからの予測の間には良好な一致が見られる。
低せん断ブルックフィールド粘度計試験から得たkおよびn値を用いて、1‐D方法と計算機流体力学方法との両方によって行った非ニュートン流体についての圧力降下予測は、実験的圧力降下(図57〜59に示す)測定値より著しく低い。非ニュートン流体の粘度が増加するにつれて予測値と測定値との間の不一致も増加する。
ブルックフィールド粘度計は、せん断速度が0.1から100秒−1の間の非ニュートン流体の粘度を評価する。このせん断速度範囲を用いて粘度とせん断速度との間のべき乗則関係を評価する。しかし、図57〜59に示すように、試験デバイスの中のせん断速度は5000から50,000秒−1の範囲内である。これらの高いせん断速度はマイクロチャネル乳化デバイスの中の動作では一般的である。予測圧力降下と実測圧力降下との間の不一致は、粘度計によって推定されるべき乗則関係がマイクロチャネルの中の圧力降下の正確な予測には適切でないことがあることを示す。
実験圧力降下データを用いてkおよびn値を再計算して予測値を実験圧力降下値と整合させる。新しいkおよびnの値は粘度計によって推定した値と著しく異なり、高せん断速度における異なる粘度‐せん断速度関係を示す。表3は比較を要約する。図60は低粘度流体に関する実験圧力降下と新しいkおよびn値を用いた予測との比較を示す。中粘度流体および高い粘度流体に関する結果は同様であり、予測の誤差は1%未満である。
この明らかな不一致は、マイクロチャネル寸法における低せん断速度環境から高せん断速度環境の間の非ニュートン流体のべき乗則関係における変化によるものと考えられる。理論にこだわることは望まないが、マイクロチャネルにおける小さなチャネル寸法と高い処理能力とが層流プロフィルへの変化の原因になることがあると考えられる。増加したnの値は、速度プロフィルがさらに平らになっていることを示唆する。平らになった流体プロフィルの効果は、壁における見かけ粘度を増加させ、その結果、マイクロチャネルの中により高い圧力降下を生じさせることがある。
さらに、低せん断下の管粘度計の中で追加の実験を行うと、結果として得られるkおよびnの値は、表4に示すこの低せん断速度領域でブルックフィールド粘度計によって予測したものと一致する。マイクロチャネルの中のべき乗則非ニュートン流体についての粘度とせん断速度との間の理論化した関係を図61に示す。遷移せん断速度で粘度‐せん断速度関係に変化がある。
実験室粘度計によって評価したせん断減粘非ニュートン流体に関する粘度とせん断速度との間のべき乗則関係は一般に低せん断速度域にある。小さな特性寸法を有するマイクロチャネルを通る高速度せん断減粘非ニュートン流れは、結果として高いせん断速度を生じさせる。これらの高せん断速度において、低せん断実験室粘度計によって評価したべき乗則は圧力降下予測にとって正確ではないことがある。対象領域における流体および流量を用いる上述の圧力降下試験によって非ニュートン流体の場合のマイクロチャネル寸法の良好な予測圧力降下モデルが得られることがある。正確な予測およびシステム設計のためにこの方法によって開発されたモデルを用いてよい。さらに、これらの結果は、細いチャネル内の流体プロフィルは、高せん断環境で見かけ粘度が増加するように変化することを示唆する。
せん断減粘流体の場合、マイクロチャネルの中の高せん断速度流れについて粘度計測定値から外挿した粘度‐せん断速度関係と実際の粘度‐せん断速度関係との間の差が観測されるが、せん断増粘、時間依存性流体(チキソトロピー、レオペクシー)などの他の種類の非ニュートン流体の場合、低せん断速度での粘度計測定値がマイクロチャネルの中の高せん断速度流れに適用可能でないことがあり得る。
ここで考察する正確な圧力降下モデルの利用法を用いてマイクロチャネルプロセス処理単位の中の複数のマイクロチャネルまたはマイクロチャネルプロセス処理単位のためのモジュールを用いるプロセスおよび装置を設計してよい。1つのマイクロチャネルプロセス処理単位の中へ導入される流体は、マニホルド区間を通ってから複数のマイクロチャネルの中へ流れてよい。モデルを用いてチャネル寸法および流れ制約物を選び、デバイスの中で実行される単位操作の所望の結果を得るのに十分なチャネルの間の流れ分布を得てよい。単位操作は、反応、分離、加熱、冷却、蒸発、凝縮、混合および類似操作を含んでよい。
流れ分布の1つの指標が品質指標因子である。品質指標因子「Q
1」は、マニホルドが流れを分配する上でどれくらい有効かという指標であってよい。それは、連結チャネル流れの最大速度と最小速度との間の差を最大速度で除した比である。一定のチャネル寸法を有する連結チャネルのシステムの場合、チャネルあたり等しい質量流量を実現することが望ましいことがある。この場合のための式は次式のようであってよい。
式中、
m
max[kg/秒]=最大連結チャネル質量流量
m
min[kg/秒]=最小連結チャネル質量流量
変化する連結チャネル寸法がある場合には、必要な単位操作のデューティが達成されてよいように、滞留時間、接触時間、速度または質量流束速度がチャネルによってできるだけ少ない変動を有することが望ましいことがある。それらの場合には、品質指数因子は次式のように定義してよい。
式中、Gは質量流束速度である。すべての接続チャネルが同じ断面積を有する場合には、Q
2のための式はQ
1へ単純化される。品質指標因子は、接続チャネル流量の範囲を示し、0%は完璧な分布であり、100%は少なくとも1つのチャネルの中の停滞(流れない)を示し、100%を超える値は少なくとも1つのチャネルの中の逆流(所望の流れの方向と逆の方向の流れ)を示す。Q
1およびQ
2は、接続チャネルを通る正味の流れの約95%を含むチャネルにもとづいて定義してよく、最も低い流れのチャネルは、それらのチャネルを通る流れが接続チャネルを通る正味の流れの約95%を説明するために必要でなければ計数されない。品質指数因子は約20%以下、一実施態様では約5%以下、一実施態様では約1%以下であってよい。一実施態様では、品質指数因子は約0.5%から約5%の範囲内であってよい。
特定の実施態様との関連で本発明を説明してきたが、本明細書を読めば、これらの実施態様のさまざまな変更形は当業者にとって自明であると理解される。従って、本明細書で取り扱う本発明は、そのような変更形を請求項の範囲に属するものとして包含することを意図すると理解される。