JP5361843B2 - 光学的異方性の評価方法及び評価装置 - Google Patents
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Description
本発明は、試料(例えば位相差板や液晶層等)の光学的異方性を評価する方法及び装置に関する。
液晶表示装置の利用拡大に伴い、位相差板や液晶層等の、すなわち光学的異方性を有する試料の評価の必要性が増している。この要求を満たすため、従来から光学定数の評価に用いられてきたエリプソメトリーの技術を応用した評価方法が数多く開発されている。従来の反射型エリプソメトリーがエリプソパラメータ(反射光の位相差と振幅比)から光学的に等方な試料の屈折率や膜厚を求めるのに対し、光学的異方性を有する試料の評価では異方性の方向(遅相軸又は進相軸の方向)と異方性の大きさ(リタデーション)とを求めるため、その目的に即して測定方法や解析方法が考案されている。
回転検光子法や回転補償子法は変調測定のため高速であるという利点があるが、光学的異方性の小さい試料の評価が困難であるという問題が知られている。一方、液晶表示装置の高性能化に伴い、偏光板の支持基材であるTAC(Tri-Acetyl-Cellulose)フィルムのような、光学的異方性の小さい部材の光学的異方性まで制御する必要性が認識されるようになった。光学的異方性の小さい試料の評価方法として、PEM(Photoelastic Modulator)を用いた位相変調法が知られている。これらの回転検光子法、回転補償子法、位相変調法は従来の反射型エリプソメトリーで用いられる用語であるが、検光子を回転させる、位相差板(補償子)を回転させる、あるいは位相に変調をかけるといった手法が反射型エリプソメトリーで使用される手法と同じであるため、同じ名称で呼ばれている。
特許文献1には、代表的な回転検光子法が開示されている。偏光子と検光子の間の試料の前後に1/4波長板を挿入し、検光子を角周波数ωで回転させることにより(透過軸方向θ=ωt)、透過光強度中のcos2ωtで変化する成分の振幅がcosδに比例する。これを利用して試料の角度単位で表記したリタデーションδを求めることができる。また、sin2ωtで変化する成分の振幅が−sinδsin2φに比例する事を利用して、先ほど求めたδを用いて、試料の主軸方向φとδの符号情報(sinδの符号)を求めることができる。δの符号情報が求められるので、主軸が遅相軸か進相軸かを判断することもできる。
特許文献2には、代表的な回転補償子法が開示されている。偏光子と検光子の間の試料の偏光子側にリタデーションδcの位相差板を挿入し、この位相差板を角周波数ωで回転させる(遅相軸方向θc=ωt)。透過光強度中の直流成分とcos4ωtで変化する成分の振幅から透過率の補正係数を求めて、測定した透過率に補正をかけた後、補正後の透過率中の直流成分、cos4ωt成分、sin2ωt成分、sin4ωt成分の振幅から試料の角度単位で表記したリタデーションδsと試料の遅相軸方向θsを求めることができる。透過光強度中の直流成分とcos4ωtで変化する成分の振幅から、試料の角度単位で表記したリタデーションδsと試料の遅相軸方向θsを求めることができる。
特許文献3には、回転補償子法を変形した方法が開示されている。偏光子と検光子の間の試料の前後に1/4波長板を挿入し、偏光子を角周波数ωで回転させ(透過軸方向θ=ωt)、偏光子側の1/4波長板を角周波数2ωで回転させる(遅相軸方向2ωt)。sin2ωt成分、sin6ωt成分、cos6ωt成分から、試料の角度単位で表記したリタデーションΔと試料の遅相軸方向φを求めることができる。
特許文献4には、代表的な位相変調法が開示されている。偏光子と検光子の間の試料の偏光子側にPEMを挿入し、試料へ入射する光の位相差に周波数fの変調をかける。検光子の透過軸方向を基準方向(0°)へ向けたときの透過光強度のsin2πftで変化する成分の振幅と、検光子の透過軸方向を45°へ向けたときの透過光強度のsin2πftで変化する成分の振幅から、試料の角度単位で表記したリタデーションΔと試料の遅相軸方向θを求めることができる。
以下では、試料の角度単位で表記したリタデーションをδで表記し、試料の遅相軸方向をφで表記する。
しかし、特許文献1では試料のリタデーションδをcosδから求める。そのためδの小さい試料に対して、測定精度が低い。また、測定した透過光強度を最大値1、最小値0で正規化する必要があり、変調測定であるにもかかわらず、迷光等の直流・低周波数のノイズやショットノイズの影響を受けやすい。さらに、使用する1/4波長板が厳密に測定光の波長の1/4のリタデーション(波長単位)を持つ必要があるが、実現困難である。仮に実現できても、位相差板のリタデーションは温度依存性を持つため、正確な評価を行うためには温度管理が必要である。
特許文献2では試料のリタデーションδと試料の遅相軸方向φを求める際に、変調成分と直流成分の測定値と計算値の差を最小にするという方法を用いるため、変調測定にもかかわらず、直流成分の測定精度が評価精度を決定する。直流成分は迷光等の影響を受けやすく、またδが小さい試料では直流成分が周波数成分項に比べて圧倒的に大きくなるため、δが小さい試料では測定精度が低い。また、位相差板のリタデーションδcが既知である必要がある。しかし、実際の位相差板のリタデーションは温度依存性を持つため、正確な評価を行うためには温度管理が必要である。
特許文献3は透過光強度中の変調成分のみで試料のリタデーションδと試料の遅相軸方向φを求めることができるため、特許文献2のような直流成分の測定精度は影響しない。さらに、試料のリタデーションδをtanδから求めるので、δの小さい試料に対して上記の方法より有利である。しかし、使用する2枚の1/4波長板が厳密に測定光の波長の1/4のリタデーション(波長単位)を持つ必要があるが、実現困難である。仮に実現できても、位相差板のリタデーションは温度依存性を持つため、正確な評価を行うためには温度管理が必要である。
特許文献4は、特許文献3と同様に、試料のリタデーションδをtanδから求めるので、δの小さい試料に対して特許文献1,2の方法より有利である。PEMで変調する入射光の位相差の振幅はPEMに印加する電圧の振幅で制御できるので、実用的な大きさの範囲で任意に設定可能である。ただし、測定した透過光強度中の変調成分の振幅を、直流成分の大きさで規格化する必要があり、直流成分の測定精度が試料の測定精度に影響する(特許文献4には規格に関する記載はないが、入射光のストークスベクトルがt(1,0,0,0)(tは転置を示す)で与えられており、入射光の強度が1に規格化されているため、特許文献4において透過光強度を表す数式7,8で大きさ1をもつ直流成分で規格化する必要がある)。また、PEMで変調する入射光の位相差の振幅は温度依存性が大きいため、厳密な温度調整が必要なことが知られている。
以上をまとめると、従来技術においてδが小さい試料を正確に評価する際の課題は、迷光等の低周波数のノイズやショットノイズの影響と、使用する光学素子の温度依存性とである。
これらを解決するために、本発明は、使用する位相差板のリタデーションの値に無関係で、かつ透過光強度の直流成分を使用せずに、試料の光学的異方性の大きさ及び方向を評価する技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る評価方法は、単色光源から出射され偏光子と位相差板と試料と検光子とをこの順番で通過した光を分析することによって前記試料の光学的異方性を評価する方法であって、AP,AA,ARを前記偏光子と前記検光子と前記位相差板に対してそれぞれ割り当てられた比例係数(単位は角度・時間-1)とし、cP,cA,cRを前記偏光子と前記検光子と前記位相差板に対してそれぞれ割り当てられた定数(単位は角度)とし、任意のN+1個の数列{ti}={t0,t1,…,tN}(tiの単位は時間)から得られる3つの数列{φP,i}={cP+APti},{φA,i}={cA+AAti},{φR,i}={cR+ARti}を計算し、0からNの間の異なるi全てに対して、前記偏光子と前記検光子と前記位相差板の角度をそれぞれ、iで指定されるφP,i,φA,i,φR,iとした時の、前記検出器によって検出された光強度Iiを取得し、前記数列{ti}を基準時刻からの経過時間tiを並べた時刻列とみなし、前記取得した数列{Ii}を基準時刻からの経過時間tiにおける前記検出器によって検出された光強度I(ti)とみなし、Fを所定の係数(単位は角度-1)とした場合、<a>複数の時刻tiに対応する複数の光強度I(ti)から、周波数2F(AA−AP+AR)の成分と周波数2F(AA+AP−AR)の成分とのうちの少なくとも1つの周波数成分の振幅及び位相を求める処理と、<b>前記複数の光強度I(ti)から、周波数2F(AA−AP)の成分と、周波数2F(AA+AP)の成分と、周波数2F(AA+AP−2AR)の成分と、周波数2F(AA−AP+2AR)の成分とのうちの少なくとも2つの周波数成分の振幅及び位相のうちの2つを求める処理と、<c>前記処理<a>及び<b>で求めた前記振幅及び前記位相に基づいて前記試料の光学的異方性の大きさ及び方向を評価する処理とを備える。
上記の一態様によれば、使用する位相差板のリタデーションの値に無関係で、かつ透過光強度の直流成分を使用せずに、試料の光学的異方性の大きさ及び方向を評価できる。このため、検出器に迷光が混入するような明るい雰囲気下、位相差板のリタデーションが厳密に管理できていない環境下等でも、リタデーションが小さい試料を正確に評価できる。
実施の形態1.
本説明では、一般的な三角関数・三角比の表記法にならい、正弦(関数)をsin、余弦(関数)をcos、正接(関数)をtan、余接(関数)をcotと表記する。また円周率はπで表記する。また、周波数と角周波数は定数倍の違いしかないので、周波数と角周波数を区別せずに単に周波数と表記する場合もある。
本説明では、一般的な三角関数・三角比の表記法にならい、正弦(関数)をsin、余弦(関数)をcos、正接(関数)をtan、余接(関数)をcotと表記する。また円周率はπで表記する。また、周波数と角周波数は定数倍の違いしかないので、周波数と角周波数を区別せずに単に周波数と表記する場合もある。
図1に評価系のジオメトリーの模式図を示す。図1の例によれば、単色光源5から出射される光の光路上に、単色光源5の側から順番に、偏光子1と位相差板4と試料3と検光子2と検出器6とが配置されている。単色光源5からの出射光は、偏光子1と位相差板4と試料3と検光子2とをこの順序で通過し、検出器6によって検出される。
偏光子1と検光子2と位相差板4とを区別しない場合は、光学素子と表記する。試料3は少なくとも一部分が板状をしており、当該板状部分が光学的異方性を有している。板状とは、それぞれは外部に面しかつ互いに対向する2つの面が平行である形状を指す。偏光子1と検光子2及び検光子2も板状であるとする。
単色光源5から出射した光は、偏光子1と、位相差板4と、試料3と、検光子2とに垂直に入射するものとする。偏光子1と、位相差板4と、試料3と、検光子2とはその表面が平行になるように配置されている。単色光源5と検出器6との間隔よりも十分小さい開口を持つ絞りを検出器6の手前に置くことにより、検出器6に入射する光は上記の垂直入射をする光のみとなる。
本説明では、この単色光源5から検出器6へ向かう光線に平行な方向をz軸の正の方向に取った直交右手座標系を実験室座標系とする(図1参照)。この場合、単色光源5の出射光の光路はz軸の正方向へ延在する。また、偏光子1と位相差板4と試料3と検光子2とのそれぞれの表面(板状において上記のように平行を成す面(いわゆる主面))は、単色光源5の出射光の光路に直交する。
偏光子1と検光子2と位相差板4とは、z軸に平行な回転軸回りに、換言すれば偏光子1と位相差板4と試料3と検光子2とのそれぞれの主面の法線方向に平行な回転軸回りに、回転可能であるとする。
上記のように光学素子を配置すると、偏光子1と検光子2の透過軸方向、及び位相差板4や試料3の遅相軸方向は、図1のxy面に平行となる。それぞれの軸方向(角度)はxy面での方位角で指定し、x軸正の方向からy軸正の方向へ向かう向きを角度の正の向きとする。ただし、角度の符号は光学素子及び試料3で統一的に定義されていればよく、上記のような右手系の取り方に限る必要はない。
単色光源5から偏光子1へ入射する光を単位強度を持つ自然光としたときの、検光子2からの出射光のストークスベクトルSoutは、光学系全体のミューラー行列をMとすれば、式(1)で表される。
光学素子の回転を表す行列r(ω)を式(2)で定義する。
偏光子1のミューラー行列P(φP)及び検光子2のミューラー行列A(φA)は式(3)で表される。
ここで、φPとφAは偏光子1と検光子2の透過軸方向である。
位相差板4のミューラー行列R(φR,Δ)及び試料3のミューラー行列V(φ,δ)は式(4)で表される。
ここで、φとφRは試料3と位相差板4の遅相軸方向であり、δとΔは角度単位で表記した入射光に与える位相差である。垂直入射なので、入射光に与える位相差は試料3や位相差板4のリタデーションに等しくなる。内部構造が一様であれば、当該位相差は、複屈折率と厚さとの積の値(長さ単位)、又はさらに2πrad/λを乗じた値(角度単位)で表すのが一般的である。単位の読み替えは通常の方法に従って自由に行って構わない(例えばφ[rad]はφ×360/2π[°])。λは単色光源5からの出射光の波長である。
光学系全体のミューラー行列Mは式(5)となる。
ストークスパラメータのS0はその光の強度を表すので、図1のジオメトリーにおける検出器6で検出される透過光強度Iは式(1)〜(5)を用いて計算でき、結果式(6)が得られる。
ここで、I0は、検出器6へ入射する光の強度に比例し、検出器6の出力係数と評価系全体の光量損失率との積である。I0は検出器6へ入射する光の強度に比例するので、ある単位系で強度「1」の光が入射したときの出力が「I」であったならば、その単位系で強度「P」の光が入射したときの出力は「P×I」となる。
式(6)は、単色光源5と偏光子1と位相差板4と試料3と検光子2と検出器6とがこの順番で並んだ配置(単色光源5−偏光子1−位相差板4−試料3−検光子2−検出器6のように表記することにする)における透過光強度である。これに対し、位相差板4と試料3を入れ換えた配置、すなわち単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置(図2参照)における透過光強度Irevを計算すると、式(7)が得られる。
式(6)のIと式(7)のIrevとを比較すると、φPとφAが入れ替わっただけであることがわかる。以下では図1に示したような単色光源5−偏光子1−位相差板4−試料3−検光子2−検出器6という配置で説明するが、位相差板4と試料3を入れ換えた単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置で評価する場合は、偏光子1と検光子2に関する記述を読み替えればよい。この入れ換えた配置については実施の形態5〜8で述べる。
偏光子1と位相差板4と検光子2とをそれぞれ独立に回転させる。ある時刻を基準の時刻t=0とする。
t=0のときの偏光子1の透過軸方向φPを、軸方向を表す角度の基準とする(φP(t=0)=0°)。また、偏光子1の回転の周波数をωPとする(φP(t)=ωPt)。
t=0における、偏光子1の透過軸方向φPと位相差板4の遅相軸方向φRとの角度差(初期位相)を、δRPとする(φP(t=0)=0°なので、δRP=φR(t=0)−φP(t=0)=φR(t=0))。また、位相差板4の回転の周波数をωPとする(φR(t)=ωRt+δRP)。
同様に、t=0における、偏光子1の透過軸方向φPと検光子2の透過軸方向φAとの角度差(初期位相)を、δAPとする(φP(t=0)=0°なので、δAP=φA(t=0)−φP(t=0)=φA(t=0))。また、検光子2の回転の周波数をωAとする(φA(t)=ωAt+δAP)。
図1は時刻t=0でのスナップショットに対応する。なお、ωP等は回転に関するので角周波数と称するべきところ、本説明では一般的に用いられる称呼に倣って単に周波数とも称する。
このとき、検出器6で検出される透過光強度の時刻依存性I(t)は、式(8)で表される。
式(8)によれば、直流項I0/4の他に、6種類の項が表れる。これらの項はFcos(δ+ωt)の形式をしており、振幅F、位相δ、周波数ωで以て時刻tに対して周期的に変化するので、I(t)をFFT(Fast Fourier Transform)等で周波数解析をすると、各項ごとに周波数ωの周波数成分として、その位相δと振幅Fを求めることができる。本説明では直流項以外のこれらの周期的に変化する項を、周波数成分項と表記する。
式(8)の周波数成分項を区別するため、上から順に周波数2(ωA−ωP)の項を1:2(A−P)項と記述し、周波数2(ωA+ωP)の項を2:2(A+P)項と記述し、周波数2(ωA+ωP−2ωR)の項を3:2(A+P−2R)項と記述し、周波数2(ωA−ωP+2ωR)の項を4:2(A−P+2R)項と記述し、周波数2(ωA−ωP+ωR)の項を5:2(A−P+R)項と記述し、周波数2(ωA+ωP−ωR)の項を6:2(A+P−R)項と記述することにする。
なお、ここでいう周波数は角周波数なので、国際単位系の場合rad・s-1の単位を持つ。いわゆる周波数(単位s-1=Hz)に換算するには2π[rad]で除算すればよい。他の単位系で記述する場合は適当な係数を乗じて単位変換すればよい。つまり、任意の単位系で記述しても一般性を失うことはない。
周波数成分項のみを使用し(すなわち直流項を使用せず)、かつ、位相差板4のリタデーションΔを既知とせずに、試料3のリタデーションδ及び試料3の遅相軸方向φを求める方法は、以下の通りである。δが小さい試料でも正確に評価できるようにするために、以下の説明ではδは小さい値であると仮定する。
I(t)中の未知パラメータは、検出器6の出力係数I0と、位相差板4のリタデーションΔと、試料3のリタデーションδと、試料3の遅相軸方向φとの4つである。t=0での位相差板4の遅相軸方向δRPと検光子2の透過軸方向δAPとは測定者が決定できる。
1つの周波数成分項からは位相と振幅の2つの量が求められるので、最低2つの周波数成分項があれば、独立測定量は最大4つ取れる。ただし、周波数成分項の位相には未知パラメータが1つも含まれないか(1:2(A−P)項と3:2(A+P−2R)項)、φのみが含まれるか(2:2(A+P)項、4:2(A−P+2R)項、5:2(A−P+R)項、6:2(A+P−R)項)のいずれかである。よって、異なる2つの周波数成分項から異なる位相が求まったとしても、φのみの情報しか得られないので、残りの測定量である2つの振幅が仮に異なっていても、3つの未知パラメータが残っているため、δを一意に決定することはできない。つまり、φとδの評価を行うためには、最低3つの周波数成分項が必要である。
δは小さいと仮定しているので、各周波数成分項の振幅に含まれるcos2(δ/2)、sinδ及びsin2(δ/2)のオーダーはそれぞれ1、δ及びδ2/4となる。よって、δを精度よく評価するためには、sinδを含む周波数成分項である、5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方を含む必要がある。上記のように、各周波数成分項の位相にはφしか未知パラメータがないので、5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの一方の位相からφの情報が得られるので、残りの未知パラメータであるI0、Δ及びδの3つの情報を周波数成分項の振幅から得ればよい。
ただし、5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項は振幅が等しいので、この2つの項からは位相と振幅の2つの情報しか得られない。よって、5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項以外の周波数成分項のうちの2つの周波数成分項の振幅が必要である。
以上をまとめると、検出器6で検出される透過光強度の時刻依存性I(t)から試料3のリタデーションδ、及び試料3の遅相軸方向φを求めるためには、<i>5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項の振幅及び位相と、<ii>1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項の振幅及び位相のうちの2つと、を求める必要がある(したがって合計少なくとも4つの量)。
式(8)を見ると、<ii>の方は少なくとも2つの周波数成分項の振幅2つでよいと思われる。しかし、後述するように数式上は異なる周波数成分項の周波数を等しくすることによってまとめ、各周波数成分項の振幅と位相の情報を、まとめられた周波数成分項の振幅と位相に混入させることができる点に鑑みると、上記のように「少なくとも2つの周波数成分項の振幅及び位相のうちの2つ」を求める必要がある。もともと異なる2つの周波数成分項の周波数を等しくして測定することは、異なる周波数成分項を同時に測定することに等しい。
直流項を使用せず、測定者が制御可能な設定値である周波数に依存した周波数成分項のみで評価できるので、迷光や熱雑音等の低周波数ノイズやショットノイズの影響を受けずに評価が可能である。
周波数成分項の振幅と位相を測定する方法として、例えば、偏光子1と検光子2と位相差板4とをそれぞれに割り当てられた周波数(ωA,ωP,ωR)で連続回転させて、検出器6からの出力信号を時系列に発生させ、その時系列信号に対して、ロックインアンプによるロックイン検出を適用する方法が挙げられる。あるいは、上記時系列信号に対してデジタルオシロスコープのFFTを使用する方法、上記時系列信号をコンピュータに取り込んでFFTやDFT(Discrete Fourier Transform)等のフーリエ変換を施す方法、等によって、周波数成分項の振幅と位相を測定することも可能である。
CCD(Charge Coupled Device)のような応答速度の遅い検出器を用いる場合は、連続回転の代わりに、ある定数Tを用意し、偏光子1と検光子2と位相差板4とをそれぞれを角度ωAT,ωPT,ωRT回転させる。その状態で検出器の出力信号を記録する。この操作を繰り返すと、連続回転時の出力信号を時間間隔Tでサンプリングした場合に相当する時系列信号を取得できる。
検出器として、デジタルオシロスコープ等のA/Dコンバータ(Analog-Digital Convertor)を搭載した機器を使用する場合は、サンプリング周波数で決まる時間間隔で出力を記録するため、上記のような時間間隔毎の時系列信号を取得できる。PSD(Phase Sensitive Detector)とローパスフィルタでロックイン検出する場合も、ローパスフィルタの時定数が時間間隔に対応し、周波数解析で得られる振幅と位相に対応する出力が得られる。
一般化すると、以下のようになる。比例係数AP,AA,AR及び定数cP,cA,cRを偏光子1と検光子2と位相差板4とにそれぞれ割り当てる。任意の数列{ti}={t0,t1,…,tN}から、3つの数列{φP,i}={cP+APti},{φA,i}={cA+AAti},{φR,i}={cR+ARti}を計算する。同じ添字iで指定される数字の組{ti,φP,i,φA,i,φR,i}に関して、偏光子1を角度φA,iに向け、検光子2を角度φP,iに向け、位相差板4を角度φR,iに向けた状態が設定され、当該状態における検出器6の出力Iiを検出する。各i(i=0〜N)に対して光学素子1,2,4の上記角度変更と検出器6による検出とを行うと、出力列{Ii}が得られる。これを、基準時刻からの時間がti経過した時刻を並べた時刻列t={ti}に対応して得られた出力の時間依存性I(t)と見なす。
例えば、偏光子1が周波数ωPで、検光子2が周波数ωAで、位相差板4が周波数ωRで連続回転している状況で、A/Dコンバータを使用した測定の場合は、サンプリング周波数をf[Hz]とすれば、{ti}={i/f},{φP,i}={cP+ωP・i/f},{φA,i}={cA+ωA・i/f},{φR,i}={cR+ωR・i/f}と捉えられる。
このような一般化をした場合、{ti}は単調増加数列である必要はない。しかし、最小値を0とし、一定の増加量で単調増加する数列とした方が、FFT等の解析等を行うときに便利である。スプライン補間等の補間法を用いて、一定の増加量で単調増加する数列に補間してもよい。
上記の方法により、検出器6の出力の時間依存性I(t)を得ることができる。
比例係数はそれぞれの光学素子の回転速度を一般化したものとなっている(連続回転でなくても適用でき、連続回転の場合は比例係数と回転の周波数とは等しくなる)。tiは時刻と見なすので時間の単位を持ち、比例係数とtiとの積が角度を表すので比例係数は[角度]×[時間]-1の単位を持つ。例えば、tiの単位をsとし、比例係数の単位をrad・s-1とすると、比例係数AP,AA,ARは、偏光子1が周波数AP[rad・s-1]で回転し、検光子2が周波数AA[rad・s-1]で回転し、位相差板4が周波数AR[rad・s-1]で回転している状態を表すことになる。この場合、例えば、I(t)の周波数成分項の周波数の単位をs-1=Hzとすれば、1:2(A−P)項の周波数は2(AA−AP)/2πとなり、他の項についても同様に表現される。使用する単位系に依存する係数Fを用いて、一般的には2F(AA−AP)等となる。上記の場合はF=1/2π[rad-1]である。比例係数の単位が[°・s-1]の場合、F=1/360[°-1]である。
{φP,i}={cP+APti},{φA,i}={cA+AAti},{φR,i}={cR+ARti}なので、時刻t=0での各光学素子の軸方向(偏光子1と検光子2は透過軸、位相差板4は遅相軸)はそれぞれcP,cA,cRとなる。前記のI(t)の式(8)はt=0での偏光子1の透過軸方向を軸方向を表す角度の基準としているので、式(8)の周波数成分項の位相に表れるδAP,δRPについてδAP=φA(t=0)−φP(t=0)=cA−cP、及びδRP=φR(t=0)−φP(t=0)=cR−cPである。{ti}に0が含まれていなくても、この計算によりδAP及びδRPを定数cP,cA,cRから求めることができる。
上記の方法により、比例係数AP,AA,ARと定数cP,cA,cRから、δAP及びδRPと、評価に必要な周波数成分項の周波数とを求めることができる。前記の方法で得られた検出器6の出力の時間依存性I(t)をロックイン検出する、あるいはFFTを施す等の方法により、上記で求めた周波数で変化する、評価に必要な周波数成分項の振幅及び位相を測定することができる。測定した各周波数成分項の位相及び振幅を再現するように、未知パラメータI0,Δ,δ,φを最小二乗法等のフィッティング手法や準ニュートン法のような最適化手法で決定することにより、試料3のリタデーションδ、及び試料3の遅相軸方向φを評価することができる。なお、フィッティングも最適化問題と捉えることができるので、以下ではフィッティングも最適化手法と表記する。後述するように、適当な周波数成分項を選ぶことにより、最適化手法のような陰的な方法ではなく、陽に未知パラメータを求めることもできる。なお、「陰」(implicit)及び「陽」(explicit)という表現は、数学において一般的に用いられる。
周波数成分項の振幅や位相の値には大きさに差があるので、最適化手法の目的関数には例えば式(9)のような目的関数Qを用いる。
ここで、pは評価に用いる振幅又は位相を表し、下添字jで周波数成分項の種類と、振幅又は位相の区別とを指定する。上添字measuredは測定値を示し、calculatedは最適化するパラメータからの計算値であることを示す(具体的な表式は式(8)を参照)。pj measuredで規格化することにより、周波数成分項の振幅や位相の値に対して大きさの差を補償する。
上記の評価方法により、使用する位相差板4のリタデーションの値に無関係で、かつ透過光強度の直流成分を使用せずに、試料3のリタデーションδ(すなわち光学的異方性の大きさ)と試料3の遅相軸方向φ(すなわち光学的異方性の方向)とを評価できる。そのため、迷光が検出器6に混入するような明るい雰囲気下であっても、又は、位相差板4のリタデーションΔが厳密に管理できていない場合であっても、δが小さい試料3を正確に評価できる。
使用する位相差板4のリタデーションΔも試料3のリタデーションδ等と同時に求められるので、Δの値が既知である必要はない。測定時間の間に位相差板4や試料3のリタデーションが変化しない程度の周囲温度の管理で十分である。試料3の温度管理が可能であれば、試料3のリタデーションδの温度依存性を求めることができる。単色光で評価するので、単色光源5を例えばハロゲンランプと分光器等とを用いることによって出力波長が可変な構成にすれば、波長依存性を求めることができる。位相差板4のリタデーションΔも波長依存性を持つが、試料3のリタデーションδ等と同時に求めるので問題にならない。
5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項が必要であるので、これらの周波数成分項の振幅の絶対値は大きい方がよい。よって、sinΔの絶対値は1に近い方がよい。つまり、Δは約π/2近傍か、それにπの整数倍を加えた値の近傍が良い。ただし、好ましいというだけであり、厳密でなくて構わない。評価する波長が一つならば、その波長に対する1/4波長板を使用すればよい。現実に入手できる1/4波長板のリタデーションは厳密には1/4波長ではないが、Δもδ等と同時に求めるので、問題にならない。他の周波数成分項の振幅はΔに対し、cos2(Δ/2)又はsin2(Δ/2)に比例する。位相差板がおおよそ1/4波長板であれば、cos2(Δ/2)の値とsin2(Δ/2)の値はいずれも約1/2であるので、Δが原因で他の周波数成分項の振幅が0になることはない。この点でも位相差板4として1/4波長板を使用することは好ましい。
逆に、位相差板4のsinΔの絶対値が0に近いことは好ましくない。つまり、測定に使用する単色光の波長に対する半波長板を使用することは好ましくない。同じ位相差板4を用いて複数の波長で評価する場合は、測定する波長全てで半波長板にならないような位相差板を使用することが望ましい。
評価に使用する周波数成分項(つまり<i>5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、<ii>1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項)の周波数は互いに相異なるように、かつ使用する周波数成分項の周波数が0にならないように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(換言すれば比例係数AP,AA,AR)を選択する必要がある。周波数成分項の周波数は光学素子の回転の周波数の加減算で表されるので負になる場合があるが、cos(δ−ωt)=cos(−δ+ωt)であるので、位相の符号は逆転するが正の周波数と見なされる。よって、2つの周波数ω1,ω2が異なるとはω1≠±ω2が成り立つことである。具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(比例係数AP,AA,AR)の条件を導出するには、異なる必要がある2つの周波数ω1,ω2に対し、ω1=±ω2となる条件を、異なる必要がある2つの周波数の全ての組合せについて求め、得られた条件の否定を全て論理積で結合すればよい。
評価に使用する周波数成分項と使用しない周波数成分項とにおいて、それらの周波数が、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(比例係数AP,AA,AR)によっては等しくなる場合がある。振幅F1で位相がδ1の周波数成分項と、振幅F2で位相がδ2の周波数成分項とで、周波数がωで等しくなった場合は、次式(10)に示すように2つの周波数成分項が同じ周波数の項にまとめられる。しかし、元の振幅F1,F2及び位相δ1,δ2はまとめられた項に受け継がれるだけなので、その情報自体は失われない。つまり、具体的に解析に使用するには、式(10)を具体的に計算する必要があるが、評価に使用する周波数成分項の周波数と、評価に使用しない周波数成分項の周波数とが等しくなっても構わない。単に、使用しないと選択したはずが、使用することになっただけである。
この方法で未知パラメータの情報を持たない周波数成分項の位相に、未知パラメータの情報を持たせることができる。あるいは、φの情報のみを持つ周波数成分項の位相に、φ以外の未知パラメータの情報を持たせることができる。また、φの情報を持たない周波数成分項の振幅に、φの情報を持たせることができる。ただし、情報が増えるわけではなく、元の2つの周波数成分項を同時に測定することに等しい。
ここで、図3に実施の形態1による上記評価方法での処理を概説する模式図を示す。図3の例によれば、処理51では、検出器6によって検出された光強度(換言すれば検出器6からの出力列)I(ti)を取得する。処理52では、複数の時刻tiについての光強度I(ti)から周波数成分を抽出する。なお、図3には説明を分かりやすくするために全ての周波数成分を図示しているが、処理52では、少なくとも評価に使用する周波数成分だけを取得すればよい。処理53では、5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分の振幅及び位相を求める。処理54では、1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項の振幅及び位相を求める。処理55では、処理53,54で求めた振幅及び位相から、試料3の光学的異方性に係る大きさ(リタデーションδ)及び方向(遅相軸方向φ)を取得する。
実施の形態2.
2:2(A+P)項、4:2(A−P+2R)項、5:2(A−P+R)項、及び6:2(A+P−R)項の位相は未知パラメータとしてφのみを含むので、これらのうちの少なくとも1つの位相が測定できれば、最適化手法のような陰的な方法ではなく、陽にφを求めることができる。
2:2(A+P)項、4:2(A−P+2R)項、5:2(A−P+R)項、及び6:2(A+P−R)項の位相は未知パラメータとしてφのみを含むので、これらのうちの少なくとも1つの位相が測定できれば、最適化手法のような陰的な方法ではなく、陽にφを求めることができる。
具体的には、2:2(A+P)項の位相の測定値をphase12とし、4:2(A−P+2R)項の位相の測定値をphase14とし、5:2(A−P+R)項の位相の測定値をphase15とし、6:2(A+P−R)項の位相の測定値をphase16とすれば、次式(11)を用いてφを求めることができる。なお、式(11)では、φを求めるために使用する周波数成分項の周波数が正であるとしている。このため、φを求めるために使用する周波数成分項の周波数が負であるときは、位相の符号が逆転するので、補正が必要である。
当該評価手法によれば、最適化手法のような陰的な方法を用いずに、周波数成分の位相から陽にφを評価できる。このため、最適化の目的関数の設定という任意性を排除できる。
ロックイン検出をする場合でも、フーリエ変換を使用する場合でも、周波数成分項の位相δは周波数成分項の周波数をωとしたときにcosωtに同期する成分の振幅acosとsinωtに同期する成分の振幅asinから、δ=tan-1(asin/acos)の関係を用いて求める(acosとasinの符号を考慮して、δが第一〜第四象限のどこにいるのかも決める)。よって、acosとasinの絶対値はおおよそ等しくなるようにしておくと、測定の精度が高くなる(一方が極端に小さいと、小さい方の測定精度が低くなる)。
φのおおよその値は事前に判明している場合が多いので、その値をφ0として、φ=φ0+δφと分解しておく。5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項を展開すると、次式(12)となる。なお、式(12)中の複号について、上側の符号は5:2(A−P+R)項を使用することに対応し、下側の符号は6:2(A+P−R)項を使用することに対応する。
よって、5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とを使用する場合、次式(13)が成り立つようにδAP及びδRPを設定する(例えばδAP=φ0かつδRP=±π/8に設定する)のが好ましい。なぜならば、δφが小さい(φ0がおおよそ実際の方向φに近い)場合に、5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項の振幅がおおよそ等しくなり、測定の精度が高くなるからである。
なお、式(13)において、mは整数である。また、式(13)中の複号について、上側の符号は5:2(A−P+R)項を使用することに対応し、下側の符号は6:2(A+P−R)項を使用することに対応する。
同様に、2:2(A+P)項に対してはδAP=φ0/2+π/8+mπ/4を用い、4:2(A−P+2R)項に対してはδRP−δAP/2=φ0+π/16+mπ/8を用いればよい。この2つの条件はδRP=2φ0とすれば同時に満たすことができる。
この方法で評価することにより、未知パラメータφ(又はδφ)を単独で精度よく求めることができる。2:2(A+P)項と、4:2(A−P+2R)項と、5:2(A−P+R)項と、6:2(A+P−R)項とのうちの2つ以上の周波数成分項の位相からそれぞれ別々にφ(又はδφ)を求めて平均を取れば、確度が向上する。
φ以外の3つの未知パラメータ、特にδを求めるには、実施の形態1と同様に、<i>5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項の振幅及び位相と、<ii>1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうち少なくとも2つの周波数成分項の振幅及び位相のうちの2つと、を求める必要がある(したがって合計少なくとも4つの量)。
実施の形態1に記載した方法で得られた検出器出力の時間依存性I(t)をロックイン検出する、あるいはFFTを施す等の方法により、評価に必要な周波数成分項の振幅及び位相を測定することができる。測定した各周波数成分項の位相及び振幅を再現するように、未知パラメータである検出器の出力係数I0と、位相差板4のリタデーションΔと、試料3のリタデーションδとを最適化手法で決定することにより、試料3のリタデーションδを評価することができる。
上記の評価方法により、使用する位相差板4のリタデーションΔの値に無関係で、かつ透過光強度の直流成分を使用せずに、試料3のリタデーションδと試料3の遅相軸方向φを評価できる。そのため、迷光が検出器6に混入するような明るい雰囲気下であっても、位相差板4のリタデーションΔが厳密に管理できていない場合であっても、δが小さい試料を正確に評価できる。
使用する位相差板4のリタデーションΔも試料3のリタデーションδ等と同時に求められるので、Δの値が既知である必要はない。測定時間の間に位相差板4や試料3のリタデーションが変化しない程度の周囲温度の管理で十分である。試料3の温度管理が可能であれば、試料3のリタデーションδの温度依存性を求めることができる。単色光で評価するので、単色光源5を例えばハロゲンランプと分光器等とを用いることによって出力波長が可変な構成にすれば、波長依存性を求めることができる。位相差板4のリタデーションΔも波長依存性を持つが、試料3のリタデーションδ等と同時に求めるので問題にならない。
実施の形態1と同様に、sinΔの絶対値は1に近い方がよい。つまり、Δは約π/2近傍か、それにπの整数倍を加えた値の近傍が良い。ただし、好ましいというだけであり、厳密でなくて構わない。位相差板4のsinΔの絶対値が0に近いことは好ましくない。つまり、測定に使用する単色光の波長に対する半波長板を使用することは好ましくない。
評価に使用する周波数成分項(つまり<i>5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、<ii>1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項)の周波数は互いに相異なるように、かつ使用する周波数成分項の周波数が0にならないように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(換言すれば比例係数AP,AA,AR)を選択する必要がある。また、φの評価に使用する2:2(A+P)項と4:2(A−P+2R)項と5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも1つの周波数成分項は、評価に使用しない周波数成分項の周波数と異なっている必要がある。ここで、2つの周波数ω1,ω2が異なるとはω1≠±ω2が成り立つことである。具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(比例係数AP,AA,AR)の条件を導出するには、異なる必要がある2つの周波数ω1,ω2に対し、ω1=±ω2となる条件を、異なる必要がある2つの周波数の全ての組合せについて求め、得られた条件の否定を全て論理積で結合すればよい。
評価に使用する周波数成分項(すなわち、5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項)のうちでφの評価に使用しない周波数成分項の周波数は、評価に使用しない周波数成分項(すなわち、5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの残余の周波数成分項、及び、1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの残余の周波数成分項)の周波数と等しくなっても構わない。振幅F1で位相がδ1の周波数成分項と、振幅F2で位相がδ2の周波数成分項とで、周波数がωで等しくなった場合は、式(10)に示すように2つの周波数成分項が同じ周波数の項にまとめられる。しかし、元の振幅F1,F2及び位相δ1,δ2は、まとめられた項に受け継がれるだけなので、その情報自体は失われない。
なお、実施の形態2による上記評価方法での処理は、実施の形態1と同様に、図3で以て概説される。但し、実施の形態2に係る処理55では、上記のように最適化手法ではなく所定の関係式を利用して、試料3の遅相軸方向φを算出する。
実施の形態3.
実施の形態1において、評価に使用する周波数成分項として、<i>5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項と、<ii>1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項と、が必要であることを述べた。
実施の形態1において、評価に使用する周波数成分項として、<i>5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項と、<ii>1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項と、が必要であることを述べた。
ここでは上記<ii>として、1:2(A−P)項及び3:2(A+P−2R)項を選択する。1:2(A−P)項の振幅はI0/4・cos2(δ/2)・cos2(Δ/2)であり、3:2(A+P−2R)項の振幅はI0/4・cos2(δ/2)・sin2(Δ/2)であるので、これらの項の振幅を測定して比を取ると、sin2(Δ/2)/cos2(Δ/2)が求められる。測定した振幅の比をratio1={3:2(A+P−2R)項の振幅}/{1:2(A−P)項の振幅}とすると、次式(14)から位相差板4のリタデーションΔを陽に求めることができる。ratio1が1より大きいときは上段の式を使用する方が精度よくΔを求めることができ、他方、ratio1が1より小さいときは下段の式を使用する方が精度よくΔを求めることができる。ratio1が1のときはいずれの式を使用しても構わない。
ratio2={5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちのいずれか一方の周波数成分項の振幅}/{1:2(A−P)項と3:2(A+P−2R)項とのうちのいずれか一方の周波数成分項の振幅}と定義し、上記振幅の測定値と、次式(15)と、上記式(14)で求めたΔとから、試料3のリタデーションδを陽に求めることができる。式(15)において上段の式は1:2(A−P)項に対して使用され、下段の式は3:2(A+P−2R)項に対して使用される。振幅は、1:2(A−P)項と3:2(A+P−2R)項とのいずれについてもΔを求めるために使用するので、測定しておく必要がある。よって、式(15)の上段の式と下段の式の両方を用いてそれぞれ別々にδを求め、その平均を取ることで、確度が向上する。
評価に必要な周波数成分項の振幅と位相は、実施の形態1に記載した方法で得られた検出器6の出力の時間依存性I(t)をロックイン検出する、あるいはFFTを施す等の方法により測定することができる。
当該評価手法によれば、最適化手法を用いないので、目的関数の設定という任意性を排除できる。1:2(A−P)項及び3:2(A+P−2R)項の振幅はcos2(δ/2)に比例するので、δの小さい試料について振幅が大きくなる。つまり、δの小さい試料を評価するのに適している。
試料3の遅相軸方向φも、実施の形態2記載の方法、つまり2:2(A+P)項と、4:2(A−P+2R)項と、5:2(A−P+R)項と、6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも1つの周波数成分項の位相から、陽に求めることができる(式11参照)。2:2(A+P)項と、4:2(A−P+2R)項と、5:2(A−P+R)項と、6:2(A+P−R)項とのうちの2つ以上の周波数成分項の位相から、それぞれ別々にφ(又はδφ)を求めて平均を取れば、確度が向上する。
よって、試料3のリタデーションδと遅相軸方向φの両方を、それぞれ独立に、陽に求めることができる。よって、試料の評価に最適化手法を用いないので、目的関数の設定方法という任意性を排除できる。実施の形態2と同様に、測定の精度が高くなるようにδAPとδRPを設定しておくことが望ましい。
上記の評価方法により、使用する位相差板4のリタデーションΔの値に無関係で、かつ透過光強度の直流成分を使用せずに、試料3のリタデーションδと試料3の遅相軸方向φを評価できる。そのため、迷光が検出器6に混入するような明るい雰囲気下であっても、位相差板4のリタデーションΔが厳密に管理できていない場合であっても、δが小さい試料を正確に評価できる。
使用する位相差板4のリタデーションΔも試料3のリタデーションδ等と同時に求められるので、Δの値が既知である必要はない。測定時間の間に位相差板4や試料3のリタデーションが変化しない程度の周囲温度の管理で十分である。試料3の温度管理が可能であれば、試料3のリタデーションδの温度依存性を求めることができる。単色光で評価するので、単色光源5を例えばハロゲンランプと分光器等とを用いることによって出力波長が可変な構成にすれば、波長依存性を求めることができる。位相差板4のリタデーションΔも波長依存性を持つが、試料3のリタデーションδ等と同時に求めるので問題にならない。
実施の形態1と同様に、sinΔの絶対値は1に近い方がよい。つまり、Δは約π/2近傍か、それにπの整数倍を加えた値の近傍が良い。ただし、好ましいというだけであり、厳密でなくて構わない。位相差板4のsinΔの絶対値が0に近いことは好ましくない。つまり、測定に使用する単色光の波長に対する半波長板を使用することは好ましくない。
評価に使用する周波数成分項(つまり<i>5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、<ii>1:2(A−P)項と3:2(A+P−2R)項との周波数成分項)の周波数は互いに相異なるように、かつ使用する周波数成分項の周波数が0にならないように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(換言すれば比例係数AP,AA,AR)を選択する必要がある。また、評価に使用する周波数成分項の周波数は、評価に使用しない周波数成分項の周波数と異なっている必要がある。
ここで、2つの周波数ω1,ω2が異なるとはω1≠±ω2が成り立つことである。具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(比例係数AP,AA,AR)の条件を導出するには、異なる必要がある2つの周波数ω1,ω2に対し、ω1=±ω2となる条件を、異なる必要がある2つの周波数の全ての組合せについて求め、得られた条件の否定を全て論理積で結合すればよい。
使用する周波数成分項は3通り({5:2(A−P+R)項,1:2(A−P)項,3:2(A+P−2R)項}、{6:2(A+P−R)項,1:2(A−P)項,3:2(A+P−2R)項}、{5:2(A−P+R)項,6:2(A+P−R)項,1:2(A−P)項,3:2(A+P−2R)項})しかないので、以下に具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωRの条件を書き下す。
5:2(A−P+R)項と、1:2(A−P)項と、3:2(A+P−2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(16)で与えられる。なお、式中の“&”は論理積を表す。
6:2(A+P−R)項と、1:2(A−P)項と、3:2(A+P−2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(17)で与えられる。
5:2(A−P+R)項と、6:2(A+P−R)項と、1:2(A−P)項と、3:2(A+P−2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(18)で与えられる。
実施の形態1に記載したように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωRは比例係数AP,AA,ARにそれぞれ比例するので、式(16)〜式(18)は比例係数AP,AA,ARの条件に読み替えることができる。
どの場合でもωP≠0,ωA≠0,ωR≠0及びωP≠ωA,ωR≠ωA,ωR≠ωPが条件となっているので、偏光子1と検光子2と位相差板4とは、それぞれ0でなくかつ互いに相異なる周波数で回転させる必要がある。他にも、使用する周波数成分項の組合せによって、光学素子の回転周波数について禁止される組合せが数種類存在する。
例えば、ωA=ωP/4,ωR=4ωP,ωP≠0は式(16)〜式(18)を満たす。ωA=ωP/n,ωR=nωP,ωP≠0の形式を一般化すると、n>{1+√(3)}〜2.73205、又はn<{−√(2)}〜−1.41421であれば、式(16)〜式(18)を満たす。なお、上記「√(3)」は3の平方根を表現するものとし、上記「√(2)」についても同様である。
ここで、図4に実施の形態3による上記評価方法での処理を概説する模式図を示す。図4の例では、既述の処理51〜55(図3参照)に、処理56が追加されている。処理56では、処理54で求めた振幅を所定の関係式に当てはめて位相差板4のリタデーションΔを算出する。なお、実施の形態3に係る処理55では、上記のように、処理53,54で求められた振幅及び位相と、処理56で求められた位相差板4のリタデーションΔとを所定の関係式に当てはめて試料3のリタデーションδを算出する。
実施の形態4.
実施の形態1において、評価に使用する周波数成分項として、<i>5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項と、<ii>1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項と、が必要であることを述べた。
実施の形態1において、評価に使用する周波数成分項として、<i>5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項と、<ii>1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項と、が必要であることを述べた。
ここでは上記<ii>として、2:2(A+P)項及び4:2(A−P+2R)項を選択する。2:2(A+P)項の振幅はI0/4・sin2(δ/2)・cos2(Δ/2)であり、4:2(A−P+2R)項の振幅はI0/4・sin2(δ/2)・sin2(Δ/2)であるので、これらの項の振幅を測定して比を取ると、sin2(Δ/2)/cos2(Δ/2)が求められる。測定した振幅の比をratio3={4:2(A−P+2R)項の振幅}/{2:2(A+P)項の振幅}とすると、次式(19)から位相差板4のリタデーションΔを陽に求めることができる。ratio3が1より大きいときは上段の式を使用する方が精度よくΔを求めることができ、他方、ratio3が1より小さいときは下段の式を使用する方が精度よくΔを求めることができる。ratio3が1のときはいずれの式を使用しても構わない。
上記<i>に関して、ratio4={5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちのいずれか一方の周波数成分項の振幅}/{2:2(A+P)項と4:2(A−P+2R)項とのうちのいずれか一方の周波数成分項の振幅}と定義し、上記振幅の測定値と、次式(20)と、上記式(19)で求めたΔとから、試料3のリタデーションδを陽に求めることができる。式(20)において上段の式は2:2(A+P)項に対して使用され、下段の式は4:2(A−P+2R)項に対して使用される。振幅は、2:2(A+P)項と4:2(A−P+2R)項とのいずれについてもΔを求めるために使用するので、測定しておく必要がある。よって、式(20)の上段の式と下段の式の両方を用いてそれぞれ別々にδを求め、その平均を取ることで、確度が向上する。
評価に必要な周波数成分項の振幅と位相は、実施の形態1に記載した方法で得られた検出器6の出力の時間依存性I(t)をロックイン検出する、あるいはFFTを施す等の方法により測定することができる。
当該評価手法によれば、最適化手法を用いないので、目的関数の設定という任意性を排除できる。
試料3の遅相軸方向φも、実施の形態2記載の方法、つまり2:2(A+P)項と、4:2(A−P+2R)項と、5:2(A−P+R)項と、6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも1つの周波数成分項の位相から、陽に求めることができる(式11参照)。2:2(A+P)項と、4:2(A−P+2R)項と、5:2(A−P+R)項と、6:2(A+P−R)項とのうちの2つ以上の周波数成分項の位相から、それぞれ別々にφ(又はδφ)を求めて平均を取れば、確度が向上する。
以上の方法により、試料3のリタデーションδと遅相軸方向φの両方を、それぞれ独立に、陽に求めることができる。よって、試料の評価に最適化手法を用いないので、目的関数の設定方法という任意性を排除できる。実施の形態2と同様に、測定の精度が高くなるようにδAPとδRPを設定しておくことが望ましい。
上記の評価方法により、使用する位相差板4のリタデーションΔの値に無関係で、かつ透過光強度の直流成分を使用せずに、試料3のリタデーションδと試料3の遅相軸方向φを評価できる。そのため、迷光が検出器6に混入するような明るい雰囲気下であっても、位相差板4のリタデーションΔが厳密に管理できていない場合であっても、δが小さい試料を正確に評価できる。
使用する位相差板4のリタデーションΔも試料3のリタデーションδ等と同時に求められるので、Δの値が既知である必要はない。測定時間の間に位相差板4や試料3のリタデーションが変化しない程度の周囲温度の管理で十分である。試料3の温度管理が可能であれば、試料3のリタデーションδの温度依存性を求めることができる。単色光で評価するので、単色光源5を例えばハロゲンランプと分光器等とを用いることによって出力波長が可変な構成にすれば、波長依存性を求めることができる。位相差板4のリタデーションΔも波長依存性を持つが、試料3のリタデーションδ等と同時に求めるので問題にならない。
実施の形態1と同様に、sinΔの絶対値は1に近い方がよい。つまり、Δは約π/2近傍か、それにπの整数倍を加えた値の近傍が良い。ただし、好ましいというだけであり、厳密でなくて構わない。位相差板4のsinΔの絶対値が0に近いことは好ましくない。つまり、測定に使用する単色光の波長に対する半波長板を使用することは好ましくない。
評価に使用する周波数成分項(つまり<i>5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、<ii>2:2(A+P)項と4:2(A−P+2R)項との周波数成分項)の周波数は互いに相異なるように、かつ使用する周波数成分項の周波数が0にならないように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(換言すれば比例係数AP,AA,AR)を選択する必要がある。また、評価に使用する周波数成分項の周波数は、評価に使用しない周波数成分項の周波数と異なっている必要がある。
ここで、2つの周波数ω1,ω2が異なるとはω1≠±ω2が成り立つことである。具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(比例係数AP,AA,AR)の条件を導出するには、異なる必要がある2つの周波数ω1,ω2に対し、ω1=±ω2となる条件を、異なる必要がある2つの周波数の全ての組合せについて求め、得られた条件の否定を全て論理積で結合すればよい。
使用する周波数成分項は3通り({5:2(A−P+R)項,2:2(A+P)項,4:2(A−P+2R)項}、{6:2(A+P−R)項,2:2(A+P)項,4:2(A−P+2R)項}、{5:2(A−P+R)項,6:2(A+P−R)項,2:2(A+P)項,4:2(A−P+2R)項})しかないので、以下に具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωRの条件を書き下す。
5:2(A−P+R)項と、2:2(A+P)項と、4:2(A−P+2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(21)で与えられる。なお、式中の“&”は論理積を表す。
6:2(A+P−R)項と、2:2(A+P)項と、4:2(A−P+2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(22)で与えられる。
5:2(A−P+R)項と、6:2(A+P−R)項と、2:2(A+P)項と、4:2(A−P+2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(23)で与えられる。
実施の形態1に記載したように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωRは比例係数AP,AA,ARにそれぞれ比例するので、式(21)〜式(23)は比例係数AP,AA,ARの条件に読み替えることができる。
どの場合でもωP≠0,ωA≠0,ωR≠0が条件となっているので、偏光子1と検光子2と位相差板4とを全て回転させる必要がある。ωR≠ωPが条件となっているので偏光子1と位相差板4は異なる周波数で回転させる必要がある。さらに、−ωP≠ωA,−ωR≠ωAが条件となっているので偏光子1と位相差板4は検光子2と同じ絶対値の周波数で逆向きに回転させることは禁止される。他にも、使用する周波数成分項の組合せによって、光学素子の回転周波数について禁止される組合せが数種類存在する。
例えば、ωA=ωP/4,ωR=4ωP,ωP≠0は式(21)〜式(23)を満たす。ωA=ωP/n,ωR=nωP,ωP≠0の形式を一般化すると、n>{1+√(3)}〜2.73205、又はn<{−√(2)}〜−1.41421であれば、式(21)〜式(23)を満たす。
なお、実施の形態4による上記評価方法での処理は、実施の形態3と同様に、図4で以て概説される。
実施の形態5.
実施の形態1〜4は、図1に示したような、単色光源5−偏光子1−位相差板4−試料3−検光子2−検出器6という配置での評価方法である。実施の形態1に記載したように、単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置での透過光強度Irevの式(7)は、単色光源5−偏光子1−位相差板4−試料3−検光子2−検出器6という配置についての透過光強度Iの式(6)と、偏光子1の透過軸方向φPと検光子2の透過軸方向φAが入れ替わっただけである。よって、実施の形態1〜4に記載した説明の偏光子1に関する記述と、検光子2に関する記述とを読み替えれば、単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置での評価方法となる。
実施の形態1〜4は、図1に示したような、単色光源5−偏光子1−位相差板4−試料3−検光子2−検出器6という配置での評価方法である。実施の形態1に記載したように、単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置での透過光強度Irevの式(7)は、単色光源5−偏光子1−位相差板4−試料3−検光子2−検出器6という配置についての透過光強度Iの式(6)と、偏光子1の透過軸方向φPと検光子2の透過軸方向φAが入れ替わっただけである。よって、実施の形態1〜4に記載した説明の偏光子1に関する記述と、検光子2に関する記述とを読み替えれば、単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置での評価方法となる。
実施の形態1と同様に、偏光子1と位相差板4と検光子2とをそれぞれ独立に回転させる。ある時刻を基準の時刻t=0とする。
t=0のときの偏光子1の透過軸方向φPを、軸方向を表す角度の基準とする(φP(t=0)=0°)。また、偏光子1の回転の周波数をωPとする(φP(t)=ωPt)。
t=0における、偏光子1の透過軸方向φPと位相差板4の遅相軸方向φRとの角度差(初期位相)を、δRPとする(φP(t=0)=0°なので、δRP=φR(t=0)−φP(t=0)=φR(t=0))。また、位相差板4の回転の周波数をωPとする(φR(t)=ωRt+δRP)。
同様に、t=0における、偏光子1の透過軸方向φPと検光子2の透過軸方向φAとの角度差(初期位相)を、δAPとする(φP(t=0)=0°なので、δAP=φA(t=0)−φP(t=0)=φA(t=0))。また、検光子2の回転の周波数をωAとする(φA(t)=ωAt+δAP)。
図2は時刻t=0でのスナップショットに対応する。
このとき、検出器6で検出される透過光強度の時刻依存性I(t)は、式(24)で表される。
式(24)は上記式(8)に次の変更をすれば取得可能である。すなわち、偏光子1と検光子2を入れ換えている点に鑑み、ωAとωPとを入れ換えること、ωAの符号が負になった項はcos(−x)=cos(x)なる関係を利用して符号を正に直すこと(式(8)と表記統一を図るため)、ωPの符号が負の場合はδAPの符号を逆転すること(φA(t)=ωAt+δAPの符号が変わるので)を行えば、式(8)から式(24)が導出される。
実施の形態1に記載した1:2(A−P)項と、2:2(A+P)項と、3:2(A+P−2R)項と、4:2(A−P+2R)項と、5:2(A−P+R)項と、6:2(A+P−R)項とは、図2に示したような単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置ではそれぞれ1’:2(A−P)項(周波数2(ωA−ωP))と、2’:2(A+P)項(周波数2(ωA+ωP))と、3’:2(A+P−2R)項(周波数2(ωA+ωP−2ωR))と、4’:2(A−P−2R)項(周波数2(ωA−ωP−2ωR))と、5’:2(A−P−R)項(周波数2(ωA−ωP−ωR))と、6’:2(A+P−R)項(周波数2(ωA+ωP−ωR))とに対応する。式(24)のうちで4’:2(A−P−2R)項及び5’:2(A−P−R)項だけが、式(8)の対応項と周波数が異なっている。
実施の形態1と同様に、各周波数成分項の位相には未知パラメータが1つも含まれないか(1’:2(A−P)項と3’:2(A+P−2R)項)、φのみが含まれるか(2’:2(A+P)項、4’:2(A−P−2R)項、5’:2(A−P−R)項、6’:2(A+P−R)項)のいずれかである。また、5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項の振幅は等しい。
よって、図2に示したような単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置に関して、実施の形態1に記載した方法によって、検出器6で検出される透過光強度の時刻依存性Irev(t)から試料3のリタデーションδ、及び試料3の遅相軸方向φを求めるためには、<i’>5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項の振幅及び位相と、<ii’>1’:2(A−P)項と2’:2(A+P)項と3’:2(A+P−2R)項と4’:2(A−P−2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項の振幅及び位相のうちの2つと、を求める必要がある(したがって合計少なくとも4つの量)。
直流項を使用せず、測定者が制御可能な設定値である周波数に依存した周波数成分項のみで評価できるので、迷光や熱雑音等の低周波数ノイズやショットノイズの影響を受けずに評価が可能である。
実施の形態1記載の方法で得られた検出器6の出力の時間依存性Irev(t)をロックイン検出する、あるいはFFTを施す等の方法により、上記した周波数で変化する、評価に必要な周波数成分項の振幅及び位相を測定することができる。測定した各周波数成分項の位相及び振幅を再現するように、未知パラメータI0,Δ,δ,φを最適化手法で決定することにより、試料3のリタデーションδ、及び試料3の遅相軸方向φを評価することができる。
上記の評価方法により、使用する位相差板4のリタデーションの値に無関係で、かつ透過光強度の直流成分を使用せずに、試料3のリタデーションδ(すなわち光学的異方性の大きさ)と試料3の遅相軸方向φ(すなわち光学的異方性の方向)とを評価できる。そのため、迷光が検出器6に混入するような明るい雰囲気下であっても、又は、位相差板4のリタデーションΔが厳密に管理できていない場合であっても、δが小さい試料3を正確に評価できる。
使用する位相差板4のリタデーションΔも試料3のリタデーションδ等と同時に求められるので、Δの値が既知である必要はない。測定時間の間に位相差板4や試料3のリタデーションが変化しない程度の周囲温度の管理で十分である。試料3の温度管理が可能であれば、試料3のリタデーションδの温度依存性を求めることができる。単色光で評価するので、単色光源5を例えばハロゲンランプと分光器等とを用いることによって出力波長が可変な構成にすれば、波長依存性を求めることができる。位相差板4のリタデーションΔも波長依存性を持つが、試料3のリタデーションδ等と同時に求めるので問題にならない。
5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項が必要であるので、これらの周波数成分項の振幅の絶対値は大きい方がよい。よって、sinΔの絶対値は1に近い方がよい。つまり、Δは約π/2近傍か、それにπの整数倍を加えた値の近傍が良い。ただし、好ましいというだけであり、厳密でなくて構わない。評価する波長が一つならば、その波長に対する1/4波長板を使用すればよい。現実に入手できる1/4波長板のリタデーションは厳密には1/4波長ではないが、Δもδ等と同時に求めるので、問題にならない。他の周波数成分項の振幅はΔに対し、cos2(Δ/2)又はsin2(Δ/2)に比例する。位相差板がおおよそ1/4波長板であれば、cos2(Δ/2)の値とsin2(Δ/2)の値はいずれも約1/2であるので、Δが原因で他の周波数成分項の振幅が0になることはない。この点でも位相差板4として1/4波長板を使用することは好ましい。
逆に、位相差板4のsinΔの絶対値が0に近いことは好ましくない。つまり、測定に使用する単色光の波長に対する半波長板を使用することは好ましくない。同じ位相差板4を用いて複数の波長で評価する場合は、測定する波長全てで半波長板にならないような位相差板を使用することが望ましい。
評価に使用する周波数成分項(つまり<i’>5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、<ii’>1’:2(A−P)項と2’:2(A+P)項と3’:2(A+P−2R)項と4’:2(A−P−2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項)の周波数は互いに相異なるように、かつ使用する周波数成分項の周波数が0にならないように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(還元すれば比例係数AP,AA,AR)を選択する必要がある。周波数成分項の周波数は光学素子の回転の周波数の加減算で表されるので負になる場合があるが、cos(δ−ωt)=cos(−δ+ωt)であるので、位相の符号は逆転するが正の周波数と見なされる。よって、2つの周波数ω1,ω2が異なるとはω1≠±ω2が成り立つことである。具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(比例係数AP,AA,AR)の条件を導出するには、異なる必要がある2つの周波数ω1,ω2に対し、ω1=±ω2となる条件を、異なる必要がある2つの周波数の全ての組合せについて求め、得られた条件の否定を全て論理積で結合すればよい。
評価に使用する周波数成分項と使用しない周波数成分項とにおいて、それらの周波数が、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(比例係数AP,AA,AR)によっては等しくなる場合がある。振幅F1で位相がδ1の周波数成分項と、振幅F2で位相がδ2の周波数成分項とで、周波数がωで等しくなった場合は、上記式(10)に示すように2つの周波数成分項が同じ周波数の項にまとめられる。しかし、元の振幅F1,F2及び位相δ1,δ2はまとめられた項に受け継がれるだけなので、その情報自体は失われない。つまり、具体的に解析に使用するには、式(10)を具体的に計算する必要があるが、評価に使用する周波数成分項の周波数と、評価に使用しない周波数成分項の周波数とが等しくなっても構わない。単に、使用しないと選択したはずが、使用することになっただけである。
この方法で未知パラメータの情報を持たない周波数成分項の位相に、未知パラメータの情報を持たせることができる。あるいは、φの情報のみを持つ周波数成分項の位相に、φ以外の未知パラメータの情報を持たせることができる。また、φの情報を持たない周波数成分項の振幅に、φの情報を持たせることができる。ただし、情報が増えるわけではなく、元の2つの周波数成分項を同時に測定することに等しい。
ここで、図5に実施の形態5による上記評価方法での処理を概説する模式図を示す。図5の例において処理61〜65は既述の処理51〜55(図3参照)に対応する。但し、処理62では実施の形態5に係る上記周波数成分を抽出する。
実施の形態6.
図2に示したような単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置でも、実施の形態2と同様に2’:2(A+P)項と4’:2(A−P−2R)項と5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項との位相は未知パラメータとしてφのみを含むので、これらのうちの少なくとも1つの位相が測定できれば、最適化手法のような陰的な方法ではなく、陽にφを求めることができる。
図2に示したような単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置でも、実施の形態2と同様に2’:2(A+P)項と4’:2(A−P−2R)項と5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項との位相は未知パラメータとしてφのみを含むので、これらのうちの少なくとも1つの位相が測定できれば、最適化手法のような陰的な方法ではなく、陽にφを求めることができる。
具体的には、2’:2(A+P)項の位相の測定値をphase22とし、4’:2(A−P−2R)項の位相の測定値をphase24とし、5’:2(A−P−R)項の位相の測定値をphase25とし、6’:2(A+P−R)項の位相の測定値をphase26とすれば、次式(25)を用いてφを求めることができる。なお、式(25)では、φを求めるために使用する周波数成分項の周波数が正であるとしている。このため、φを求めるために使用する周波数成分項の周波数が負であるときは、位相の符号が逆転するので、補正が必要である。
当該評価手法によれば、最適化手法のような陰的な方法を用いずに、周波数成分の位相から陽にφを評価できる。このため、最適化の目的関数の設定という任意性を排除できる。
ロックイン検出をする場合でも、フーリエ変換を使用する場合でも、周波数成分項の位相δは周波数成分項の周波数をωとしたときにcosωtに同期する成分の振幅acosとsinωtに同期する成分の振幅asinから、δ=tan-1(asin/acos)の関係を用いて求める(acosとasinの符号を考慮して、δが第一〜第四象限のどこにいるのかも決める)。よって、acosとasinの絶対値はおおよそ等しくなるようにしておくと、測定の精度が高くなる(一方が極端に小さいと、小さい方の測定精度が低くなる)。
φのおおよその値は事前に判明している場合が多いので、その値をφ0として、φ=φ0+δφと分解しておく。5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項を展開すると、次式(26)となる。なお、式(26)中の複号について、上側の符号は5’:2(A−P−R)項を使用することに対応し、下側の符号は6’:2(A+P−R)項を使用することに対応する。
よって、5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とを使用する場合、次式(27)が成り立つようにδAP及びδRPを設定する(例えばδAP=±φ0かつδRP=π/8に設定する)のが好ましい。なぜならば、δφが小さい(φ0がおおよそ実際の方向φに近い)場合に、5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項の振幅がおおよそ等しくなり、測定の精度が高くなるからである。
なお、式(27)において、mは整数である。また、式(27)中の複号について、上側の符号は5’:2(A−P−R)項を使用することに対応し、下側の符号は6’:2(A+P−R)項を使用することに対応する。
同様に、2’:2(A+P)項に対してはδAP=φ0/2+π/8+mπ/4を用い、4’:2(A−P−2R)項に対してはδRP+δAP/2=φ0+π/16+mπ/8を用いればよい。この2つの条件はδRP=0とすれば同時に満たすことができる。
この方法で評価することにより、未知パラメータφ(又はδφ)を単独で精度よく求めることができる。2’:2(A+P)項と、4’:2(A−P−2R)項と、5’:2(A−P−R)項と、6’:2(A+P−R)項とのうちの2つ以上の周波数成分項の位相からそれぞれ別々にφ(又はδφ)を求めて平均を取れば、確度が向上する。
φ以外の3つの未知パラメータ、特にδを求めるには、実施の形態1と同様に、<i’>5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項の振幅及び位相と、<ii’>1’:2(A−P)項と2’:2(A+P)項と3’:2(A+P−2R)項と4’:2(A−P−2R)項とのうち少なくとも2つの周波数成分項の振幅及び位相のうちの2つと、を求める必要がある(したがって合計少なくとも4つの量)。
実施の形態5に記載した方法で得られた検出器出力の時間依存性Irev(t)をロックイン検出する、あるいはFFTを施す等の方法により、評価に必要な周波数成分項の振幅及び位相を測定することができる。測定した各周波数成分項の位相及び振幅を再現するように、未知パラメータである検出器の出力係数I0と、位相差板4のリタデーションΔと、試料3のリタデーションδとを最適化手法で決定することにより、試料3のリタデーションδを評価することができる。
上記の評価方法により、使用する位相差板4のリタデーションΔの値に無関係で、かつ透過光強度の直流成分を使用せずに、試料3のリタデーションδと試料3の遅相軸方向φを評価できる。そのため、迷光が検出器6に混入するような明るい雰囲気下であっても、位相差板4のリタデーションΔが厳密に管理できていない場合であっても、δが小さい試料を正確に評価できる。
使用する位相差板4のリタデーションΔも試料3のリタデーションδ等と同時に求められるので、Δの値が既知である必要はない。測定時間の間に位相差板4や試料3のリタデーションが変化しない程度の周囲温度の管理で十分である。試料3の温度管理が可能であれば、試料3のリタデーションδの温度依存性を求めることができる。単色光で評価するので、単色光源5を例えばハロゲンランプと分光器等とを用いることによって出力波長が可変な構成にすれば、波長依存性を求めることができる。位相差板4のリタデーションΔも波長依存性を持つが、試料3のリタデーションδ等と同時に求めるので問題にならない。
実施の形態5と同様に、sinΔの絶対値は1に近い方がよい。つまり、Δは約π/2近傍か、それにπの整数倍を加えた値の近傍が良い。ただし、好ましいというだけであり、厳密でなくて構わない。位相差板4のsinΔの絶対値が0に近いことは好ましくない。つまり、測定に使用する単色光の波長に対する半波長板を使用することは好ましくない。
評価に使用する周波数成分項(つまり<i’>5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、<ii’>1’:2(A−P)項と2’:2(A+P)項と3’:2(A+P−2R)項と4’:2(A−P−2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項)の周波数は互いに相異なるように、かつ使用する周波数成分項の周波数が0にならないように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(換言すれば比例係数AP,AA,AR)を選択する必要がある。また、φの評価に使用する2’:2(A+P)項と4’:2(A−P−2R)項と5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも1つの周波数成分項は、評価に使用しない周波数成分項の周波数と異なっている必要がある。ここで、2つの周波数ω1,ω2が異なるとはω1≠±ω2が成り立つことである。具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(比例係数AP,AA,AR)の条件を導出するには、異なる必要がある2つの周波数ω1,ω2に対し、ω1=±ω2となる条件を、異なる必要がある2つの周波数の全ての組合せについて求め、得られた条件の否定を全て論理積で結合すればよい。
評価に使用する周波数成分項(すなわち5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、1’:2(A−P)項と2’:2(A+P)項と3’:2(A+P−2R)項と4’:2(A−P−2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項)のうちでφの評価に使用しない周波数成分項の周波数は、評価に使用しない周波数成分項(すなわち、5:2(A−P+R)項と6:2(A+P−R)項とのうちの残余の周波数成分項、及び、1:2(A−P)項と2:2(A+P)項と3:2(A+P−2R)項と4:2(A−P+2R)項とのうちの残余の周波数成分項)の周波数と等しくなっても構わない。振幅F1で位相がδ1の周波数成分項と、振幅F2で位相がδ2の周波数成分項とで、周波数がωで等しくなった場合は、式(10)に示すように2つの周波数成分項が同じ周波数の項にまとめられる。しかし、元の振幅F1,F2及び位相δ1,δ2は、まとめられた項に受け継がれるだけなので、その情報自体は失われない。単に、使用しないと選択したはず、が使用することになっただけである。
なお、実施の形態6による上記評価方法での処理は、実施の形態5と同様に、図5で以て概説される。但し、実施の形態6に係る処理65では、上記のように最適化手法ではなく所定の関係式を利用して、試料3の遅相軸方向φを算出する。
実施の形態7.
図2に示したような単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置でも、実施の形態5に記載した評価に使用する少なくとも3つの周波数成分項(すなわち、<i’>5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、<ii’>1’:2(A−P)項と2’:2(A+P)項と3’:2(A+P−2R)項と4’:2(A−P−2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項)について、上記<ii’>として実施の形態3と同様に1’:2(A−P)項と3’:2(A+P−2R)項とを選択することができる。
図2に示したような単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置でも、実施の形態5に記載した評価に使用する少なくとも3つの周波数成分項(すなわち、<i’>5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、<ii’>1’:2(A−P)項と2’:2(A+P)項と3’:2(A+P−2R)項と4’:2(A−P−2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項)について、上記<ii’>として実施の形態3と同様に1’:2(A−P)項と3’:2(A+P−2R)項とを選択することができる。
1’:2(A−P)項の振幅はI0/4・cos2(δ/2)・cos2(Δ/2)であり、3’:2(A+P−2R)項の振幅はI0/4・cos2(δ/2)・sin2(Δ/2)であるので、これらの項の振幅を測定して比を取ると、sin2(Δ/2)/cos2(Δ/2)が求められる。測定した振幅の比をratio5={3’:2(A+P−2R)項の振幅}/{1’:2(A−P)項の振幅}とすると、次式(28)から位相差板4のリタデーションΔを陽に求めることができる。ratio5が1より大きいときは上段の式を使用する方が精度よくΔを求めることができ、他方、ratio5が1より小さいときは下段の式を使用する方が精度よくΔを求めることができる。ratio5が1のときはいずれの式を使用しても構わない。
上記<i’>に関して、ratio6={5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちのいずれか一方の周波数成分項の振幅}/{1’:2(A−P)項と3’:2(A+P−2R)項とのうちいずれか一方の周波数成分項の振幅}と定義し、上記振幅の測定値と、次式(29)と、上記式(28)で求めたΔとから、試料3のリタデーションδを陽に求めることができる。式(29)において上段の式は1’:2(A−P)項に対して使用され、下段の式は3’:2(A+P−2R)項に対して使用される。振幅は、1’:2(A−P)項と3’:2(A+P−2R)項とのいずれについてもΔを求めるために使用するので、測定しておく必要がある。よって、式(29)の上段の式と下段の式の両方を用いてそれぞれ別々にδを求め、その平均を取ることで、確度が向上する。
評価に必要な周波数成分項の振幅と位相は、実施の形態5に記載した方法で得られた検出器6の出力の時間依存性Irev(t)をロックイン検出する、あるいはFFTを施す等の方法により測定することができる。
当該評価手法によれば、最適化手法を用いないので、目的関数の設定という任意性を排除できる。1’:2(A−P)項及び3’:2(A+P−2R)項の振幅はcos2(δ/2)に比例するので、δの小さい試料について振幅が大きくなる。つまり、δの小さい試料を評価するのに適している。
試料3の遅相軸方向φも、実施の形態2記載の方法、つまり2’:2(A+P)項と、4’:2(A−P−2R)項と、5’:2(A−P−R)項と、6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも1つの周波数成分項の位相から、陽に求めることができる(式25参照)。2’:2(A+P)項と、4’:2(A−P−2R)項と、5’:2(A−P−R)項と、6’:2(A+P−R)項とのうちの2つ以上の周波数成分項の位相から、それぞれ別々にφ(又はδφ)を求めて平均を取れば、確度が向上する。
よって、試料3のリタデーションδと遅相軸方向φの両方を、それぞれ独立に、陽に求めることができる。よって、試料の評価に最適化手法を用いないので、目的関数の設定方法という任意性を排除できる。実施の形態6と同様に、測定の精度が高くなるようにδAPとδRPを設定しておくことが望ましい。
上記の評価方法により、使用する位相差板4のリタデーションΔの値に無関係で、かつ透過光強度の直流成分を使用せずに、試料3のリタデーションδと試料3の遅相軸方向φを評価できる。そのため、迷光が検出器6に混入するような明るい雰囲気下であっても、位相差板4のリタデーションΔが厳密に管理できていない場合であっても、δが小さい試料を正確に評価できる。
使用する位相差板4のリタデーションΔも試料3のリタデーションδ等と同時に求められるので、Δの値が既知である必要はない。測定時間の間に位相差板4や試料3のリタデーションが変化しない程度の周囲温度の管理で十分である。試料3の温度管理が可能であれば、試料3のリタデーションδの温度依存性を求めることができる。単色光で評価するので、単色光源5を例えばハロゲンランプと分光器等とを用いることによって出力波長が可変な構成にすれば、波長依存性を求めることができる。位相差板4のリタデーションΔも波長依存性を持つが、試料3のリタデーションδ等と同時に求めるので問題にならない。
実施の形態1と同様に、sinΔの絶対値は1に近い方がよい。つまり、Δは約π/2近傍か、それにπの整数倍を加えた値の近傍が良い。ただし、好ましいというだけであり、厳密でなくて構わない。位相差板4のsinΔの絶対値が0に近いことは好ましくない。つまり、測定に使用する単色光の波長に対する半波長板を使用することは好ましくない。
評価に使用する周波数成分項(つまり<i’>5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、<ii’>1’:2(A−P)項と3’:2(A+P−2R)項との周波数成分項)の周波数は互いに相異なるように、かつ使用する周波数成分項の周波数が0にならないように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(換言すれば比例係数AP,AA,AR)を選択する必要がある。また、評価に使用する周波数成分項の周波数は、評価に使用しない周波数成分項の周波数と異なっている必要がある。
ここで、2つの周波数ω1,ω2が異なるとはω1≠±ω2が成り立つことである。具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(比例係数AP,AA,AR)の条件を導出するには、異なる必要がある2つの周波数ω1,ω2に対し、ω1=±ω2となる条件を、異なる必要がある2つの周波数の全ての組合せについて求め、得られた条件の否定を全て論理積で結合すればよい。
使用する周波数成分項は3通り({5’:2(A−P−R)項,1’:2(A−P)項,3’:2(A+P−2R)項}、{6’:2(A+P−R)項,1’:2(A−P)項,3’:2(A+P−2R)項}、{5’:2(A−P−R)項,6’:2(A+P−R)項,1’:2(A−P)項,3’:2(A+P−2R)項})しかないので、以下に具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωRの条件を書き下す。
5’:2(A−P−R)項と、1’:2(A−P)項と、3’:2(A+P−2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(30)で与えられる。なお、式中の“&”は論理積を表す。
6’:2(A+P−R)項と、1’:2(A−P)項と、3’:2(A+P−2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(31)で与えられる。
5’:2(A−P−R)項と、6’:2(A+P−R)項と、1’:2(A−P)項と、3’:2(A+P−2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(32)で与えられる。
実施の形態1に記載したように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωRは比例係数AP,AA,ARにそれぞれ比例するので、式(30)〜式(32)は比例係数AP,AA,ARの条件に読み替えることができる。
どの場合でもωP≠0,ωA≠0,ωR≠0及びωP≠ωA,ωR≠ωA,ωR≠ωPが条件となっているので、偏光子1と検光子2と位相差板4とは、それぞれ0でなくかつ互いに相異なる周波数で回転させる必要がある。他にも、使用する周波数成分項の組合せによって、光学素子の回転周波数について禁止される組合せが数種類存在する。
例えば、ωA=ωP/4,ωR=4ωP,ωP≠0は式(30)〜式(32)を満たす。ωA=ωP/n,ωR=nωP,ωP≠0の形式を一般化すると、n>{1+√(3)}〜2.73205、又はn<{−√(2)}〜−1.41421であれば、式(30)〜式(32)を満たす。
ここで、図6に実施の形態7による上記評価方法での処理を概説する模式図を示す。図6の例では、既述の処理61〜65(図5参照)に、処理66が追加されている。処理66では、処理64で求めた振幅を所定の関係式に当てはめて位相差板4のリタデーションΔを算出する。なお、実施の形態7に係る処理65では、上記のように、処理63,64で求められた振幅及び位相と、処理66で求められた位相差板4のリタデーションΔとを所定の関係式に当てはめて試料3のリタデーションδを算出する。
実施の形態8.
図2に示したような単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置でも、実施の形態5に記載した評価に使用する少なくとも3つの周波数成分項(すなわち、<i’>5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項と、<ii’>1’:2(A−P)項と2’:2(A+P)項と3’:2(A+P−2R)項と4’:2(A−P−2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項)について、上記<ii’>として実施の形態4と同様に2’:2(A+P)項と4’:2(A−P−2R)項とを選択することができる。
図2に示したような単色光源5−偏光子1−試料3−位相差板4−検光子2−検出器6という配置でも、実施の形態5に記載した評価に使用する少なくとも3つの周波数成分項(すなわち、<i’>5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項と、<ii’>1’:2(A−P)項と2’:2(A+P)項と3’:2(A+P−2R)項と4’:2(A−P−2R)項とのうちの少なくとも2つの周波数成分項)について、上記<ii’>として実施の形態4と同様に2’:2(A+P)項と4’:2(A−P−2R)項とを選択することができる。
2’:2(A+P)項の振幅はI0/4・sin2(δ/2)・cos2(Δ/2)であり、4’:2(A−P−2R)項の振幅はI0/4・sin2(δ/2)・sin2(Δ/2)であるので、これらの項の振幅を測定して比を取ると、sin2(Δ/2)/cos2(Δ/2)が求められる。測定した振幅の比をratio7={4’:2(A−P−2R)項の振幅}/{2’:2(A+P)項の振幅}とすると、次式(33)から位相差板4のリタデーションΔを陽に求めることができる。ratio7が1より大きいときは上段の式を使用する方が精度よくΔを求めることができ、他方、ratio7が1より小さいときは下段の式を使用する方が精度よくΔを求めることができる。ratio7が1のときはいずれの式を使用しても構わない。
上記<i’>に関して、ratio8={5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちのいずれか一方の周波数成分項の振幅}/{2’:2(A+P)項と4’:2(A−P−2R)項とのうちのいずれか一方の周波数成分項の振幅}と定義し、上記振幅の測定値と、次式(34)と、上記式(33)で求めたΔとから、試料3のリタデーションδを陽に求めることができる。式(34)において上段の式は2’:2(A+P)項に対して使用され、下段の式は4’:2(A−P−2R)項に対して使用される。振幅は、2’:2(A+P)項と4’:2(A−P−2R)項とのいずれについてもΔを求めるために使用するので、測定しておく必要がある。よって、式(34)の上段の式と下段の式の両方を用いてそれぞれ別々にδを求め、その平均を取ることで、確度が向上する。
評価に必要な周波数成分項の振幅と位相は、実施の形態5に記載した方法で得られた検出器6の出力の時間依存性Irev(t)をロックイン検出する、あるいはFFTを施す等の方法により測定することができる。
当該評価手法によれば、最適化手法を用いないので、目的関数の設定という任意性を排除できる。
試料3の遅相軸方向φも、実施の形態2記載の方法、つまり2’:2(A+P)項と、4’:2(A−P−2R)項と、5’:2(A−P−R)項と、6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも1つの周波数成分項の位相から、陽に求めることができる(式25参照)。2’:2(A+P)項と、4’:2(A−P−2R)項と、5’:2(A−P−R)項と、6’:2(A+P−R)項とのうちの2つ以上の周波数成分項の位相から、それぞれ別々にφ(又はδφ)を求めて平均を取れば、確度が向上する。
以上の方法により、試料3のリタデーションδと遅相軸方向φの両方を、それぞれ独立に、陽に求めることができる。よって、試料の評価に最適化手法を用いないので、目的関数の設定方法という任意性を排除できる。実施の形態6と同様に、測定の精度が高くなるようにδAPとδRPを設定しておくことが望ましい。
上記の評価方法により、使用する位相差板4のリタデーションΔの値に無関係で、かつ透過光強度の直流成分を使用せずに、試料3のリタデーションδと試料3の遅相軸方向φを評価できる。そのため、迷光が検出器6に混入するような明るい雰囲気下であっても、位相差板4のリタデーションΔが厳密に管理できていない場合であっても、δが小さい試料を正確に評価できる。
使用する位相差板4のリタデーションΔも試料3のリタデーションδ等と同時に求められるので、Δの値が既知である必要はない。測定時間の間に位相差板4や試料3のリタデーションが変化しない程度の周囲温度の管理で十分である。試料3の温度管理が可能であれば、試料3のリタデーションδの温度依存性を求めることができる。単色光で評価するので、単色光源5を例えばハロゲンランプと分光器等とを用いることによって出力波長が可変な構成にすれば、波長依存性を求めることができる。位相差板4のリタデーションΔも波長依存性を持つが、試料3のリタデーションδ等と同時に求めるので問題にならない。
実施の形態1と同様に、sinΔの絶対値は1に近い方がよい。つまり、Δは約π/2近傍か、それにπの整数倍を加えた値の近傍が良い。ただし、好ましいというだけであり、厳密でなくて構わない。位相差板4のsinΔの絶対値が0に近いことは好ましくない。つまり、測定に使用する単色光の波長に対する半波長板を使用することは好ましくない。
評価に使用する周波数成分項(つまり<i’>5’:2(A−P−R)項と6’:2(A+P−R)項とのうちの少なくとも一方の周波数成分項、及び、<ii’>2’:2(A+P)項と4’:2(A−P−2R)項との周波数成分項)の周波数は互いに相異なるように、かつ使用する周波数成分項の周波数が0にならないように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(換言すれば比例係数AP,AA,AR)を選択する必要がある。また、評価に使用する周波数成分項の周波数は、評価に使用しない周波数成分項の周波数と異なっている必要がある。
ここで、2つの周波数ω1,ω2が異なるとはω1≠±ω2が成り立つことである。具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωR(比例係数AP,AA,AR)の条件を導出するには、異なる必要がある2つの周波数ω1,ω2に対し、ω1=±ω2となる条件を、異なる必要がある2つの周波数の全ての組合せについて求め、得られた条件の否定を全て論理積で結合すればよい。
使用する周波数成分項は3通り({5’:2(A−P−R)項,2’:2(A+P)項,4’:2(A−P−2R)項}、{6’:2(A+P−R)項,2’:2(A+P)項,4’:2(A−P−2R)項}、{5’:2(A−P−R)項,6’:2(A+P−R)項,2’:2(A+P)項,4’:2(A−P−2R)項})しかないので、以下に具体的に光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωRの条件を書き下す。
5’:2(A−P−R)項と、2’:2(A+P)項と、4’:2(A−P−2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(35)で与えられる。なお、式中の“&”は論理積を表す。
6’:2(A+P−R)項と、2’:2(A+P)項と、4’:2(A−P−2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(36)で与えられる。
5’:2(A−P−R)項と、6’:2(A+P−R)項と、2’:2(A+P)項と、4’:2(A−P−2R)項とを使用する場合、周波数ωP,ωA,ωRの条件は次式(37)で与えられる。
実施の形態1に記載したように、光学素子の回転の周波数ωP,ωA,ωRは比例係数AP,AA,ARにそれぞれ比例するので、式(35)〜式(37)は比例係数AP,AA,ARの条件に読み替えることができる。
どの場合でもωP≠0,ωA≠0,ωR≠0が条件となっているので、偏光子1と検光子2と位相差板4とを全て回転させる必要がある。ωR≠ωAが条件となっているので検光子2と位相差板4は異なる周波数で回転させる必要がある。さらに、−ωP≠ωA,−ωR≠ωPが条件となっているので検光子2と位相差板4は偏光子1と同じ絶対値の周波数で逆向きに回転させることは禁止される。他にも、使用する周波数成分項の組合せによって、光学素子の回転周波数について禁止される組合せが数種類存在する。
例えば、ωA=ωP/4,ωR=4ωP,ωP≠0は式(35)〜式(37)を満たす。ωA=ωP/n,ωR=nωP,ωP≠0の形式を一般化すると、n>{1+√(3)}〜2.73205、又はn<{−√(2)}〜−1.41421であれば、式(35)〜式(37)を満たす。
なお、実施の形態8による上記評価方法での処理は、実施の形態7と同様に、図6で以て概説される。
実施の形態9.
図7に図1の評価系に対応した評価装置21を概説する模式図を示す。図7に例示の評価装置21において、単色光源5と、偏光子1と、位相差板4と、検光子2と、検出器6とは既述のように配置されている。
図7に図1の評価系に対応した評価装置21を概説する模式図を示す。図7に例示の評価装置21において、単色光源5と、偏光子1と、位相差板4と、検光子2と、検出器6とは既述のように配置されている。
すなわち、単色光源5からの出射光の光路上に当該出射光を(より具体的には光源5から出射され偏光子1と位相差板4と試料3と検光子2とを通過した光を)検出可能な態勢で検出器6が配置されている。偏光子1は上記光路上において光源5と検出器6との間に配置されている。検光子2は上記光路上において偏光子1と検出器6との間に配置されている。位相差板4は上記光路上において偏光子1と検光子2との間に配置されている。
単色光源5は、単色光を発する光源である。当該単色光の波長は、厳密に単一の波長である必要はなく、位相差板4や試料3のリタデーションの波長依存性が無視できる程度の波長幅を有していてもよい。単色光源5としては、レーザーを用いることができ、ほぼ単色に近い光が得られる。ハロゲンランプ等のある程度の波長域で発光する光源と、分光器や干渉フィルタ等の波長選択性を持つ光学機器や光学素子とを組合わせても良い。かかる例によれば数nm程度の波長幅の光が得られる。偏光解消板を併用すると光源5からの出射光に偏光成分が混入していても、自然光が得られる。
偏光子1と検光子2は、入射光から透過軸方向の直線偏光取り出す光学素子である。10000:1程度以上の消光比は容易に入手できる。偏光子1と検光子2として、グラントムソンプリズム等の偏光プリズムを用いることができる。偏光フィルタのような板状の偏光板を用いても良い。
位相差板4は、垂直入射する光に対してリタデーションに等しい位相差を与える素子である。より広く定義すると、入射する光に対して一定の位相差を与える素子である。本評価方法及び本評価装置では、一定の位相差は既知である必要はないが、実施の形態1等に記載のように、評価に使用する単色光の波長のおおよそ1/4波長の位相差(波長単位)を与える位相差板4が好ましい。位相差板4には、水晶波長板を用いることができる。延伸樹脂フィルムを用いても良い。
偏光子1と検光子2と位相差板4は上記光路に直交するように配置されている。また、実施の形態1でも述べたように、これらの光学素子1,2,4はそれぞれの主面の法線方向に平行な方向を(換言すれば上記光路に平行な方向を)回転軸方向として回転可能に配置されている。光学素子1,2,4の回転は例えば手動で行うことも可能であるが、図7の例では光学素子1,2,4に回転機構11,12,14がそれぞれ設けられている。
回転機構11,12,14は、回転の周波数と、特定の時刻における回転対象の角度とを少なくとも知るための機構を有している。例えばステッピングモータ等の回転モータを使用した回転機構を用いることができる。回転角度を読み出すための装置(例えばエンコーダー等の装置)が付随していると好ましい。回転前の回転対象の角度を求めてから、回転の周波数を利用して回転角度を求めても良い。
検出器6は、当該検出器6に入射してくる光の強度を、その強度に依存した大きさを持つ出力信号に変換する素子である。検出器6には、入射光強度に対して線形に応答する出力が得られる検出器(例えば光電子増倍管やフォトダイオード等)を用いることができる。入射光強度に対する検量線が既知であれば、線形応答性は厳密でなくもよく、入射光強度に対して単調に増加(又は減少)するような応答をする検出器でも構わない。本評価方法及び本評価装置は迷光や、熱雑音等の低周波ノイズや、ショットノイズが存在しても使用できるため、迷光の遮光や検出器の冷却のための機構は必須ではない。検出器6に電源等の付属機器が必要であれば、それらを使用する。
評価装置21は更に、試料3を支持するための試料支持具13を有している。支持具13は、その形状等は特に限定されないが、試料3を上記光路に直交するように支持可能に構成されている。図1の評価系に対応する図7の評価装置21では支持具13は試料3が上記光路上で位相差板4と検光子2との間に支持されるように構成されているが、図2の評価系に対応する図8の評価装置22のように上記光路上で偏光子1と位相差板4との間に試料3が支持されるように支持具13を構成しても構わない。あるいは、支持具13を、位相差板4と検光子2との間の位置と、偏光子1と位相差板4との間の位置との両方に試料3を配置可能に構成し、評価時にいずれか一方の位置を選択的に使用するようにしても構わない。
上記のように偏光子1と、位相差板4と、試料3と、検光子2とは、単色光源5からの出射光が垂直に入射するように、かつ、互いに主面が平行になるように配置される。単色光源5としてレーザー等の指向性の高い光を出射する光源を用いる場合、その出射光が偏光子1の表面に垂直に入射するように光源5が配置される。光源5からの出射光をミラー等で誘導して、光路を形成しても構わない。また、レーザー等の指向性の高い光を出射する光源の代わりに、単色光源5と検出器6との間隔より十分小さい開口を持つ絞りを、検出器6の手前に置いても良い。あるいは、平凸レンズやコリメータを用いて、単色光源5からの出射光に指向性を持たせても良い。
評価装置21は更に、処理手段19を有している。処理手段19は、評価装置21における各種処理(演算、制御等)を行い、あるいは各種処理に対応した各種手段として機能する。処理手段19によって実現される各種機能は、ソフトウェア(換言すればマイクロコンピュータによるプログラム処理)によって提供されてもよいし、ハードウェアによって提供してもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの組合わせによって提供されてもよい。
処理手段19は、例えば、検出器6の出力を受ける受信手段(A/Dコンバータ等)、受信手段で生成される信号を実施の形態1〜8の方法で解析する解析手段、偏光子1と検光子2と位相差板4との回転を制御する回転制御手段等を含んで構成される。なお、例えば解析手段と回転制御手段とはマイクロコンピュータによって兼務させることが可能である。
なお、支持具13には試料3を設置する方向を示すガイド等があると好ましい。また、支持具13は偏光子1等と同様に回転機構を有すると好ましい。
評価装置21,22は、実施の形態1〜8の解析を行うことによって、上記各種効果を奏する。
なお、評価装置21,22の例示に限定されるものではなく、要求される機能を実現できる素子、装置等を採用可能である。
実施の形態10.
本実施の形態10では、評価のシミュレーション結果を説明する。光学素子の配置として、単色光源5−偏光子1−位相差板4−試料3−検光子2−検出器6という配置を用いた(図1参照)。評価方法は実施の形態3に記載した方法を用いた。評価は、以下の手順ST1〜ST11を用いて行った。
本実施の形態10では、評価のシミュレーション結果を説明する。光学素子の配置として、単色光源5−偏光子1−位相差板4−試料3−検光子2−検出器6という配置を用いた(図1参照)。評価方法は実施の形態3に記載した方法を用いた。評価は、以下の手順ST1〜ST11を用いて行った。
<手順ST1>
各種パラメータ値を設定する。
測定波長λ=546nm、
試料3の遅相軸方向φ=φ0+δφ、測定者の想定している方向φ0=90°(=6.283rad)、φ0からのズレδφ=0.856°(=0.01494rad)、位相差δ=0.457nm(=0.00526rad)、
偏光子1の周波数ωP=2Hz(=12.57rad・s-1)、
位相差板4の初期位相δRP=-22.5°(=-0.3927rad)、位相差Δ=140nm(=2πΔ/λ=1.611rad)、周波数ωR=8Hz(=50.27rad・s-1)、
検光子2の初期位相δAP=90°(=6.283rad)、角速度ωA=0.5Hz(=1.571rad)、
検出器6の出力係数I0=1、
データ取り込み時間8s、取り込み点の数N+1=4096pts、取り込み間隔ΔT=1.953mS。
各種パラメータ値を設定する。
測定波長λ=546nm、
試料3の遅相軸方向φ=φ0+δφ、測定者の想定している方向φ0=90°(=6.283rad)、φ0からのズレδφ=0.856°(=0.01494rad)、位相差δ=0.457nm(=0.00526rad)、
偏光子1の周波数ωP=2Hz(=12.57rad・s-1)、
位相差板4の初期位相δRP=-22.5°(=-0.3927rad)、位相差Δ=140nm(=2πΔ/λ=1.611rad)、周波数ωR=8Hz(=50.27rad・s-1)、
検光子2の初期位相δAP=90°(=6.283rad)、角速度ωA=0.5Hz(=1.571rad)、
検出器6の出力係数I0=1、
データ取り込み時間8s、取り込み点の数N+1=4096pts、取り込み間隔ΔT=1.953mS。
<手順ST2>
i=0とする。
i=0とする。
<手順ST3>
設定値を用いて時刻ti=iΔTでの透過光強度のIi cal=I(ti)を、式(8)を用いて計算する。
設定値を用いて時刻ti=iΔTでの透過光強度のIi cal=I(ti)を、式(8)を用いて計算する。
<手順ST4>
iを1増加させてi>Nとなるまで上記手順ST3を繰り返し、N+1個のIi calからなる計算出力列{Ii cal}を得る。
iを1増加させてi>Nとなるまで上記手順ST3を繰り返し、N+1個のIi calからなる計算出力列{Ii cal}を得る。
<手順ST5>
{Ii cal}に標準偏差0.1%の正規雑音と、I0の2%に標準偏差0.1%の正規雑音を加えた迷光の模擬成分とを加え、検出器6からの出力列{Ii}のシミュレーション値を得る。
{Ii cal}に標準偏差0.1%の正規雑音と、I0の2%に標準偏差0.1%の正規雑音を加えた迷光の模擬成分とを加え、検出器6からの出力列{Ii}のシミュレーション値を得る。
<手順ST6>
得られた{Ii}に基数2のFFTを施し、各周波数成分項のsin成分(asin)とcos成分(acos)を求め、位相(tan-1(asin/acos))と振幅((asin2+acos2)1/2)を計算する。
得られた{Ii}に基数2のFFTを施し、各周波数成分項のsin成分(asin)とcos成分(acos)を求め、位相(tan-1(asin/acos))と振幅((asin2+acos2)1/2)を計算する。
<手順ST7>
5:2(A−P+R)項及び6:2(A+P−R)項のそれぞれの位相から試料3の遅相軸方向φを求め、想定方向φ0を差し引いてズレδφを求める。そして、両ズレδφの平均値δφaveを求める。
5:2(A−P+R)項及び6:2(A+P−R)項のそれぞれの位相から試料3の遅相軸方向φを求め、想定方向φ0を差し引いてズレδφを求める。そして、両ズレδφの平均値δφaveを求める。
<手順ST8>
1:2(A−P)項及び3:2(A+P−2R)項の振幅から位相差板4のリタデーションΔを求める。
1:2(A−P)項及び3:2(A+P−2R)項の振幅から位相差板4のリタデーションΔを求める。
<手順ST9>
5:2(A−P+R)項の振幅と6:2(A+P−R)項の振幅のうちの1つと、1:2(A−P)項の振幅と3:2(A+P−2R)項の振幅のうちの1つとによる全ての組合わせ(4通り)のそれぞれについて、試料3のリタデーションδを求める。そして、それらの平均値δaveを求める。
5:2(A−P+R)項の振幅と6:2(A+P−R)項の振幅のうちの1つと、1:2(A−P)項の振幅と3:2(A+P−2R)項の振幅のうちの1つとによる全ての組合わせ(4通り)のそれぞれについて、試料3のリタデーションδを求める。そして、それらの平均値δaveを求める。
<手順ST10>
上記手順ST2〜ST9を同一の設定値で10回繰り返す。
上記手順ST2〜ST9を同一の設定値で10回繰り返す。
ここで正規雑音とは、その強度の確率分布が正規分布である雑音であって、その平均は0、標準偏差は上記手順ST5に示した値である。
図9に、出力列{Ii}のシミュレーション値を例示する。また、図10及び図11に、図9の出力列{Ii}に基数2のFFTを施して得られたcos成分及びsin成分をそれぞれ示す。また、図10及び図11の拡大図を図12及び図13にそれぞれ示す。5:2(A−P+R)項の周波数である13Hzと、6:2(A+P−R)項の周波数である11Hzと、1:2(A−P)項の周波数である3Hzと、3:2(A+P−2R)項の周波数である27Hzとに信号が得られている。
表1に、上記手順ST2〜ST9で得られるδφave,δave,Δの組を、上記手順ST10で10回繰り返して10組取得し、その10組での平均値と標準偏差を示す。
<比較例>
比較例として、以下の手順ST21〜ST31を用い、特許文献4に開示されているPEMを用いた位相変調法のシミュレーションを行った。光学素子の配置として、単色光源−偏光子−PEM−試料−検光子−検出器という配置を用いた。試料と測定波長と雑音のシミュレーション設定値は、上記の実施の形態10に係る値と同じに設定した。
比較例として、以下の手順ST21〜ST31を用い、特許文献4に開示されているPEMを用いた位相変調法のシミュレーションを行った。光学素子の配置として、単色光源−偏光子−PEM−試料−検光子−検出器という配置を用いた。試料と測定波長と雑音のシミュレーション設定値は、上記の実施の形態10に係る値と同じに設定した。
<手順ST21>
各種パラメータ値を設定する。
測定波長λ=546nm、
試料の遅相軸方向φ=φ0+δφ、測定者の想定している方向φ0=90°(=6.283rad)、φ0からのズレδφ=0.856°(=0.01494rad)、位相差δ=0.457nm(=0.00526rad)、
PEMの周波数f=50kHz、遅相軸方向0°、透過光に与える位相差の振幅Δ0=137.8°(2.40483rad、0次の第1種Bessel関数の零点J0(Δ0)=0)、
偏光子の透過軸方向45°、
検出器の出力係数I0=1、
データ取り込み時間2.56ms、取り込み点の数N+1=4096pts、取り込み間隔ΔT=0.625μs。
各種パラメータ値を設定する。
測定波長λ=546nm、
試料の遅相軸方向φ=φ0+δφ、測定者の想定している方向φ0=90°(=6.283rad)、φ0からのズレδφ=0.856°(=0.01494rad)、位相差δ=0.457nm(=0.00526rad)、
PEMの周波数f=50kHz、遅相軸方向0°、透過光に与える位相差の振幅Δ0=137.8°(2.40483rad、0次の第1種Bessel関数の零点J0(Δ0)=0)、
偏光子の透過軸方向45°、
検出器の出力係数I0=1、
データ取り込み時間2.56ms、取り込み点の数N+1=4096pts、取り込み間隔ΔT=0.625μs。
<手順ST22>
i=0とする。
i=0とする。
<手順ST23>
検光子の透過軸方向φAを0°として、設定値を用いて時刻ti=iΔTでの透過光強度のI0,i cal=IPEM(ti,0°)を、式(38)により計算する。
検光子の透過軸方向φAを0°として、設定値を用いて時刻ti=iΔTでの透過光強度のI0,i cal=IPEM(ti,0°)を、式(38)により計算する。
<手順ST24>
検光子の透過軸方向φAを−45°として、設定値を用いて時刻ti=iΔTでの透過光強度のI45,i cal=IPEM(ti,45°)を、式(38)により計算する。
検光子の透過軸方向φAを−45°として、設定値を用いて時刻ti=iΔTでの透過光強度のI45,i cal=IPEM(ti,45°)を、式(38)により計算する。
<手順ST25>
iを1増加させてi>Nとなるまで上記手順ST23,ST24を繰り返し、N+1個のI0,I calからなる計算出力列{I0,I cal}と、N+1個のI45,I calからなる計算出力列{I45,I cal}とを得る。
iを1増加させてi>Nとなるまで上記手順ST23,ST24を繰り返し、N+1個のI0,I calからなる計算出力列{I0,I cal}と、N+1個のI45,I calからなる計算出力列{I45,I cal}とを得る。
<手順ST26>
{I0,I cal}と{I45,I cal}のそれぞれに標準偏差0.1%の正規雑音と、I0の2%に標準偏差0.1%の正規雑音を加えた迷光の模擬成分とを加え、検出器からの出力列{I0,I},{I45,I}のシミュレーション値を得る。
{I0,I cal}と{I45,I cal}のそれぞれに標準偏差0.1%の正規雑音と、I0の2%に標準偏差0.1%の正規雑音を加えた迷光の模擬成分とを加え、検出器からの出力列{I0,I},{I45,I}のシミュレーション値を得る。
<手順ST27>
得られた{I0,I}に基数2のFFTを施し、直流項の大きさaDC0と、周波数fの周波数成分項のsin成分の振幅asin0を計算し、比ratio0=asin0/aDC0を得る。
得られた{I0,I}に基数2のFFTを施し、直流項の大きさaDC0と、周波数fの周波数成分項のsin成分の振幅asin0を計算し、比ratio0=asin0/aDC0を得る。
<手順ST28>
得られた{I45,I}に基数2のFFTを施し、直流項の大きさaDC45と、周波数fの周波数成分項のsin成分の振幅asin45を計算し、比ratio45=asin45/aDC45を得る。
得られた{I45,I}に基数2のFFTを施し、直流項の大きさaDC45と、周波数fの周波数成分項のsin成分の振幅asin45を計算し、比ratio45=asin45/aDC45を得る。
<手順ST29>
φ=1/2・tan-1(ratio0/ratio45)によりφを計算し、δφ=φ−φ0からδφを得る。
φ=1/2・tan-1(ratio0/ratio45)によりφを計算し、δφ=φ−φ0からδφを得る。
<手順ST30>
δ=sin-1((ratio02/ratio452)1/2/2/J1(Δ0))によりδを得る。なお、Jn(x)はn次の第1種Bessel関数である。
δ=sin-1((ratio02/ratio452)1/2/2/J1(Δ0))によりδを得る。なお、Jn(x)はn次の第1種Bessel関数である。
<手順ST31>
上記手順ST22〜ST30を同一の設定値で10回繰り返す。
上記手順ST22〜ST30を同一の設定値で10回繰り返す。
図14及び図15に、出力列{I0,i},{I45,i}のシミュレーション値をそれぞれ例示する。また、図16及び図17に、図14の{I0,i}及び図15の{I45,i}に基数2のFFTを施して得られたsin成分をそれぞれ示す。f=50kHz=50000Hzに信号が見られる。
表2に、上記手順ST22〜ST30で得られるδφ,δの組を、上記手順ST31で10回繰り返して10組取得し、その10組での平均値と標準偏差を示す。
表1と表2の第4行の「(平均値−設定値)/設定値」は、各評価方法で得られた評価結果が設定値をどれだけ再現できているかを示す。実施の形態10による評価方法(表1)のδaveの−0.003%に対して、位相変調法(表2)のδの−7.58%は大きく、位相変調法では設定値が再現できていない可能性がある。明確にするため、「設定値0.457nmと平均値が等しい」という帰無仮説を立てて、t検定を行った。表3に、得られたP値を示す。P値とは、帰無仮説が正しいと仮定したときに、検定にかけるデータが得られる確率を表す。有意水準をαとした時にP<αであれば帰無仮説は棄却され、1−αの有意水準で帰無仮説は正しくないと結論できる。
表3をみると、位相変調法の結果は0.01に比べて十分小さい。これは、99%以上の有意水準で「設定値と平均値が等しい」という帰無仮説が、位相変調法の結果については正しくないと結論できることを示している。実施の形態10による評価方法のP値は、帰無仮説の棄却に通常、使用される有意水準αの値である0.05や0.01に比べて十分大きい。これにより帰無仮説が棄却できないと結論できる。
この違いの原因は、実施の形態10による評価方法が直流項を使用しないのに対し、位相変調法では手順ST27,ST28で直流項の大きさとの比を取る必要があることに拠る。直流項は迷光や熱雑音といった低周波ノイズの影響を受けやすい。さらに、PEMを試用する位相変調法の場合、PEMにより透過光に与える位相差の振幅Δ0の温度依存性が大きい。比較例では、正確に0次の第1種Bessel関数の零点(J0(Δ0)=0)としたが、これが変化すると透過光強度IPEMの直流項の2項目(式(38)の右辺の第2項)が0でなくなるので、さらに測定に影響を与える。よって、直流項を使用しない実施の形態10による評価方法によれば、高い確度を得ることができる。
実施の形態10による評価方法(表1)のδφaveの10回平均値0.772°と、位相変調法(表2)のδφの10回平均値0.820°に対しても、「設定値0.856°と平均値が等しい」という帰無仮説を立てて、t検定を行った。表4に、得られたP値を示す。
表4によれば、帰無仮説の棄却に通常、使用される有意水準αの値である0.05や0.01に比べて十分大きく、帰無仮説が棄却できないと結論できる。また、「実施の形態10による評価方法と位相変調法とで得られた10回平均値が等しい」という帰無仮説を立てて、t検定を行ったところ、P=0.379が得られた。これも、帰無仮説の棄却に通常、使用される有意水準αの値である0.05や0.01に比べて十分大きい。つまり、実施の形態10による評価方法も位相変調法も同じように、設定値を再現していると結論できる。
図16を見ると位相変調法の方が雑音の影響が大きいように見える。φの設定値が90°に近いため、位相変調法のsin2πftの周波数成分項の振幅が小さくなったためである(式(38)参照)。ただし、得られた標準偏差は実施の形態10による評価方法と位相変調法でほぼ等しいように見える。
実施の形態10による評価方法と位相変調法で、0.1%の正規雑音の影響を比較するため、「10回測定のシミュレーションで得られた10個の結果の標準偏差(正確には分散)が、本評価方法と位相変調法で等しい」という帰無仮説を立てて、F検定を行った。表5に、得られたP値を示す。
分散比(2つの方法で得られた10個ずつの結果の分散の比)がF境界値より大きく、P値が有意水準αより小さければ、帰無仮説は棄却され、1−αの有意水準で帰無仮説は正しくないと結論できる。表5ではF境界値をα=0.05で計算した。得られた結果は、遅相軸のズレδφ及びリタデーションδともに分散比<F境界値、かつ、P>α=0.05なので、帰無仮説は棄却できないと結論できる。つまり、実施の形態10による評価方法も位相変調法も、繰り返し評価では同じような標準偏差が得られる、言い換えると同じような繰り返し精度で評価可能と言える。
以上から、実施の形態10による評価方法は、従来の評価方法である位相変調法と同程度の繰り返し精度で評価可能であり、かつ従来の評価方法の課題であった迷光の混入等の直流項に影響がある環境下であっても、確度の高い評価が可能であると言える。
1 偏光子、2 検光子、3 試料、4 位相差板、5 光源、6 検出器、11,12,14 回転機構、13 支持具、19 処理手段、21,22 評価装置、51〜56,61〜66 処理。
Claims (9)
- 単色光源から出射され偏光子と位相差板と試料と検光子とをこの順番で通過した光を分析することによって前記試料の光学的異方性を評価する方法であって、
AP,AA,ARを前記偏光子と前記検光子と前記位相差板に対してそれぞれ割り当てられた比例係数(単位は角度・時間-1)とし、cP,cA,cRを前記偏光子と前記検光子と前記位相差板に対してそれぞれ割り当てられた定数(単位は角度)とし、任意のN+1個の数列{ti}={t0,t1,…,tN}(tiの単位は時間)から得られる3つの数列{φP,i}={cP+APti},{φA,i}={cA+AAti},{φR,i}={cR+ARti}を計算し、0からNの間の異なるi全てに対して、前記偏光子と前記検光子と前記位相差板の角度をそれぞれ、iで指定されるφP,i,φA,i,φR,iとした時の、前記検出器によって検出された光強度Iiを取得し、前記数列{ti}を基準時刻からの経過時間tiを並べた時刻列とみなし、前記取得した数列{Ii}を基準時刻からの経過時間tiにおける前記検出器によって検出された光強度I(ti)とみなし、Fを所定の係数(単位は角度-1)とした場合、
<a>複数の時刻tiに対応する複数の光強度I(ti)から、周波数2F(AA−AP+AR)の成分と周波数2F(AA+AP−AR)の成分とのうちの少なくとも1つの周波数成分の振幅及び位相を求める処理と、
<b>前記複数の光強度I(ti)から、周波数2F(AA−AP)の成分と、周波数2F(AA+AP)の成分と、周波数2F(AA+AP−2AR)の成分と、周波数2F(AA−AP+2AR)の成分とのうちの少なくとも2つの周波数成分の振幅及び位相のうちの2つを求める処理と、
<c>前記処理<a>及び<b>で求めた前記振幅及び前記位相に基づいて前記試料の光学的異方性の大きさ及び方向を評価する処理と
を備える光学的異方性の評価方法。 - 請求項1に記載の光学的異方性の評価方法であって、
前記処理<c>は、
<c1>前記周波数2F(AA+AP)の成分と、前記周波数2F(AA−AP+2AR)の成分と、前記周波数2F(AA−AP+AR)の成分と、前記周波数2F(AA+AP−AR)の成分とのうちの少なくとも1つの周波数成分の前記位相から、前記試料の遅相軸方向を求める処理
を含む光学的異方性の評価方法。 - 請求項1に記載の光学的異方性の評価方法であって、
<d>前記周波数2F(AA−AP)の成分と前記周波数2F(AA+AP−2AR)の成分の前記振幅から、前記位相差板のリタデーションを求める処理
をさらに備え、
前記処理<c>は、
<c2>前記周波数2F(AA−AP+AR)の成分と前記周波数2F(AA+AP−AR)の成分とのうちのいずれか1つの周波数成分の前記振幅と、前記周波数2F(AA−AP)の成分と前記周波数2F(AA+AP−2AR)の成分とのうちのいずれか1つの周波数成分の前記振幅と、前記処理<d>で求められた前記位相差板の前記リタデーションとから、前記試料のリタデーションを求める処理
を含む光学的異方性の評価方法。 - 請求項1に記載の光学的異方性の評価方法であって、
<e>前記周波数2F(AA+AP)の成分と前記周波数2F(AA−AP+2AR)の成分の前記振幅から、前記位相差板のリタデーションを求める処理
をさらに備え、
前記処理<c>は、
<c3>前記周波数2F(AA−AP+AR)の成分と前記周波数2F(AA+AP−AR)の成分とのうちのいずれか1つの周波数成分の前記振幅と、前記周波数2F(AA+AP)の成分と前記周波数2F(AA−AP+2AR)の成分とのうちのいずれか1つの周波数成分の前記振幅と、前記処理<d>で求められた前記位相差板の前記リタデーションとから、前記試料のリタデーションを求める処理
を含む光学的異方性の評価方法。 - 単色光源から出射され偏光子と試料と位相差板と検光子とをこの順番で通過した光を分析することによって前記試料の光学的異方性を評価する方法であって、
AP,AA,ARを前記偏光子と前記検光子と前記位相差板に対してそれぞれ割り当てられた比例係数(単位は角度・時間-1)とし、cP,cA,cRを前記偏光子と前記検光子と前記位相差板に対してそれぞれ割り当てられた定数(単位は角度)とし、任意のN+1個の数列{ti}={t0,t1,…,tN}(tiの単位は時間)から得られる3つの数列{φP,i}={cP+APti},{φA,i}={cA+AAti},{φR,i}={cR+ARti}を計算し、0からNの間の異なるi全てに対して、前記偏光子と前記検光子と前記位相差板の角度をそれぞれ、iで指定されるφP,i,φA,i,φR,iとした時の、前記検出器によって検出された光強度Iiを取得し、前記数列{ti}を基準時刻からの経過時間tiを並べた時刻列とみなし、前記取得した数列{Ii}を基準時刻からの経過時間tiにおける前記検出器によって検出された光強度I(ti)とみなし、Fを所定の係数(単位は角度-1)とした場合、
<a>複数の時刻tiに対応する複数の光強度I(ti)から、周波数2F(AA−AP−AR)の成分と周波数2F(AA+AP−AR)の成分とのうちの少なくとも1つの周波数成分の振幅及び位相を求める処理と、
<b>前記複数の光強度I(ti)から、周波数2F(AA−AP)の成分と、周波数2F(AA+AP)の成分と、周波数2F(AA+AP−2AR)の成分と、周波数2F(AA−AP−2AR)の成分とのうちの少なくとも2つの周波数成分の振幅及び位相のうちの2つを求める処理と、
<c>前記処理<a>及び<b>で求めた前記振幅及び前記位相に基づいて前記試料の光学的異方性の大きさ及び方向を評価する処理と
を備える光学的異方性の評価方法。 - 請求項5に記載の光学的異方性の評価方法であって、
前記処理<c>は、
<c1>前記周波数2F(AA+AP)の成分と、前記周波数2F(AA−AP−2AR)の成分と、前記周波数2F(AA−AP−AR)の成分と、前記周波数2F(AA+AP−AR)の成分とのうちの少なくとも1つの周波数成分の前記位相から、前記試料の遅相軸方向を求める処理
を含む光学的異方性の評価方法。 - 請求項5に記載の光学的異方性の評価方法であって、
<d>前記周波数2F(AA−AP)の成分と前記周波数2F(AA+AP−2AR)の成分の前記振幅から、前記位相差板のリタデーションを求める処理
をさらに備え、
前記処理<c>は、
<c2>前記周波数2F(AA−AP−AR)の成分と前記周波数2F(AA+AP−AR)の成分とのうちのいずれか1つの周波数成分の前記振幅と、前記周波数2F(AA−AP)の成分と前記周波数2F(AA+AP−2AR)の成分とのうちのいずれか1つの周波数成分の前記振幅と、前記処理<d>で求められた前記位相差板の前記リタデーションとから、前記試料のリタデーションを求める処理
を含む光学的異方性の評価方法。 - 請求項5に記載の光学的異方性の評価方法であって、
<e>前記周波数2F(AA+AP)の成分と前記周波数2F(AA−AP−2AR)の成分の前記振幅から、前記位相差板のリタデーションを求める処理
をさらに備え、
前記処理<c>は、
<c3>前記周波数2F(AA−AP−AR)の成分と前記周波数2F(AA+AP−AR)の成分とのうちのいずれか1つの周波数成分の前記振幅と、前記周波数2F(AA+AP)の成分と前記周波数2F(AA−AP−2AR)の成分とのうちのいずれか1つの周波数成分の前記振幅と、前記処理<d>で求められた前記位相差板の前記リタデーションとから、前記試料のリタデーションを求める処理
を含む光学的異方性の評価方法。 - 単色光源と、
前記単色光源からの出射光の光路上に前記出射光を検出可能に配置された検出器と、
前記光路上で前記単色光源と前記検出器との間に配置された偏光子と、
前記光路上で前記偏光子と前記検出器との間に配置された検光子と、
前記光路上で前記偏光子と前記検光子との間に配置された位相差板と、
前記光路上で前記位相差板と前記検光子との間と、前記偏光子と前記位相差板との間との少なくとも一方に試料を支持可能に構成された試料支持具と、
処理手段と
を備え、
前記偏光子と前記検光子と前記位相差板と前記試料とは前記光路に直交するように配置され、
前記偏光子と前記検光子と前記位相差板とは前記光路に平行な方向を回転軸方向として回転可能に配置されており、
前記処理手段は、請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1項に記載の評価方法に従って前記試料の光学的異方性の大きさ及び方向を評価する処理を行う、
光学的異方性の評価装置。
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