JP5361779B2 - 熱可塑性エラストマー組成物および該組成物から得られる発泡体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物および該組成物から得られる発泡体 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物および該組成物から得られる発泡体に関する。
従来、熱可塑性エラストマー組成物を発泡させて得られる発泡体が知られている。たとば、特許文献1では、結晶性ポリオレフィンプラスチックおよびゴムの混合物からなる熱可塑性エラストマー組成物を、水を使用して発泡させる方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、特殊な発泡専用押出機を使用しており、極狭い温度範囲内でのみ発泡が可能であるなどの問題がある。
また、特許文献2では、発泡体を製造するために、[I]エチレン・α-オレフィン共重合体ゴムまたはエチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムである、ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム、および炭素原子数が3〜20のα-オレフィンの単独重合体または共重合体である、ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックからなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理して得られる部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物が用いられている。具体的には、この[I]熱可塑性エラストマー組成物に、[II]炭素原子数が2〜20のα-オレフィンの単独重合体または共重合体であり、かつ、特定のメルトフローレートを有するオレフィン系プラスチックと、[III]発泡剤(C)とを配合し、発泡させている。
特開平6-73222号公報 特開平9−143297号公報
しかしながら、特許文献2に開示された発泡体は、比重および外観と機械特性とのバランスの面で改善の余地があった。
したがって、本発明の目的は、低比重で外観にも優れ、さらに比重および外観と機械特性とのバランスにも優れる発泡体が製造できるような熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、低比重で外観にも優れ、さらに比重および外観と機械特性とのバランスにも優れる発泡体を提供することにある。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物は、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、該熱可塑性エラストマー組成物が海島構造を有し、オレフィン系ゴム(A)を含む島相が、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む海相に分散していることを特徴とする。上記混練処理物は、金属化合物(E)により官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)がイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)を含むと考えられる。イオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)の存在は、金属化合物(E)を用いて得られる上記熱可塑性エラストマー組成物では、金属化合物(E)を用いずに得られる熱可塑性エラストマー組成物に比較して、溶融張力が上がることから間接的に立証される。
上記熱可塑性エラストマー組成物において、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)100質量部に対して、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とが合計で2〜200質量部の量で含まれ、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物が1〜99質量部の量で、非架橋型オレフィン系樹脂(B)が1〜99質量部の量で含まれていることが好ましい。
また、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)は、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンと非共役ポリエンとから得られるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム、およびエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとから得られるエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムから選ばれる少なくとも一種のオレフィン系ゴム(A1)を架橋して得られ、非架橋型オレフィン系樹脂(B)は、プロピレン単独重合体、プロピレン系共重合体、およびエチレン系共重合体から選ばれる少なくとも一種のオレフィン系樹脂であることが好ましい。
また、軟化剤(H)をさらに含み、該軟化剤(H)が、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物との合計100質量部に対して1〜200質量部の量で含まれていることが好ましい。
また、フッ素樹脂(J)をさらに含み、該フッ素樹脂(J)が、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物との合計100質量部に対して0.05〜20質量部の量で含まれていることが好ましい。
上記熱可塑性エラストマー組成物は、オレフィン系ゴム(A1)を架橋するための架橋剤(D)の存在下に、オレフィン系ゴム(A1)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを動的に熱処理し、オレフィン系ゴム(A1)を少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)とし、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、該熱可塑性エラストマー組成物が海島構造を有し、オレフィン系ゴム(A)を含む島相が、オレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを含む海相に分散している熱可塑性エラストマー組成物を製造する工程[II]とから得られることが好ましい。上記混練処理物は、金属化合物(E)により官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)がイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)を含むと考えられる。このように、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)と金属化合物(E)とがイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)になっていることは好ましい態様である。イオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)の存在は、金属化合物(E)を用いて得られる上記熱可塑性エラストマー組成物では、金属化合物(E)を用いずに得られる熱可塑性エラストマー組成物に比較して、溶融張力が上がることから間接的に立証される。
ここで、官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)は、マレイン酸変性プロピレン単独重合体、マレイン酸変性プロピレン系共重合体、およびマレイン酸変性エチレン系共重合体から選ばれる少なくとも一種のオレフィン系樹脂であることが好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、オレフィン系ゴム(A1)を架橋するための架橋剤(D)の存在下に、オレフィン系ゴム(A1)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを動的に熱処理し、オレフィン系ゴム(A1)を少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)とし、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを含む動的熱処理物を製造する工程[I]と、工程[I]で得られた動的熱処理物と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)と、オレフィン系樹脂(C1)の官能基と反応しうる金属化合物(E)とを混練し、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、該熱可塑性エラストマー組成物が海島構造を有し、オレフィン系ゴム(A)を含む島相が、オレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを含む海相に分散している熱可塑性エラストマー組成物を製造する工程[II]とを含むことを特徴とする。上記混練処理物は、金属化合物(E)により官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)がイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)を含むと考えられる。このように、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)と金属化合物(E)とがイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)になっていることは好ましい態様である。イオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)の存在は、金属化合物(E)を用いて得られる上記熱可塑性エラストマー組成物では、金属化合物(E)を用いずに得られる熱可塑性エラストマー組成物に比較して、溶融張力が上がることから間接的に立証される。
本発明に係る成形体は、上記熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする。
本発明に係る発泡用熱可塑性エラストマー組成物は、上記熱可塑性エラストマー組成物と発泡剤(K)とを配合してなることを特徴とする。
上記発泡用熱可塑性エラストマー組成物において、発泡剤(K)を、熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して0.1〜30質量部の量で配合してなることが好ましい。
発泡剤(K)は、無機系もしくは有機系の熱分解型化学発泡剤、または物理発泡剤であることが好ましい。
本発明に係る成形体は、上記発泡用熱可塑性エラストマー組成物から得られることを特徴とする。
本発明に係る発泡体は、上記発泡用熱可塑性エラストマー組成物から得られることを特徴とする。
本発明に係る自動車部品は、上記発泡体からなることを特徴とする。
本発明に係る建材は、上記発泡体からなることを特徴とする。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物によれば、低比重で外観にも優れ、さらに比重および外観と機械特性とのバランスにも優れる発泡体が製造できる。また、本発明の発泡体は、低比重で外観にも優れ、さらに比重および外観と機械特性とのバランスにも優れる。
図1は、実施例で用いたダイスの形状を説明するための図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<熱可塑性エラストマー組成物>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む。上記熱可塑性エラストマー組成物は島相および海相とからなる海島構造を有し、具体的にはオレフィン系ゴム(A)を含む島相が、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む海相に分散している。
ここで、上記混練処理物は、金属化合物(E)により官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)がイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)を含むと考えられる。なお、上記混練処理物には、架橋されたオレフィン系樹脂(C)とともに、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)がそのままの状態で含まれている場合もあると考えられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物では、海相に上記混練処理物が存在するため、いいかえるとイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)が存在するため、組成物の溶融張力が大きくなり、また、島相と海相との界面強度も大きくなっていると考えられる。このため、熱可塑性エラストマー組成物から発泡剤を用いて発泡体を製造する際に、発泡セルの破泡が抑えられる。すなわち、微細な発泡セルが均一に分散されるため、発泡体の軽量化が実現でき、得られた発泡体は外観にも優れる。また、この発泡体は、比重および外観と機械特性とのバランスにも優れる。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物では、該組成物を発泡させてから発泡体となるまでの結晶化時間が短くなっている。これにより、組成物中での微細な発泡セルが均一に分散された状態が発泡体においても維持できる。
なお、海島構造は、熱可塑性エラストマー組成物から得られるペレットの切片をルテニウムなどの重金属で染色処理し、透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡により観察できる。オレフィン系ゴム(A)のうち、架橋され架橋粒子となった部分が主に島相に存在し、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とが主に海相に分散していると考えられる。
また、オレフィン系ゴム(A)は少なくとも一部が架橋されており、このように架橋されていることはゲル含量の測定により確認できる。実際には、140℃×24時間でパラキシレンに溶解させ、#350メッシュによる分別作業でゲル分率を測定すると、架橋度にもよるがオレフィン系ゴム(A)は70〜100%の割合で架橋されていることがわかる。オレフィン系樹脂(C1)がイオン架橋していることは、金属化合物(E)を用いて得られる上記熱可塑性エラストマー組成物では、金属化合物(E)を用いずに得られる熱可塑性エラストマー組成物に比較して、溶融張力が上がることから間接的に確認できる。
少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)は、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンと非共役ポリエンとから得られるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム、およびエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとから得られるエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムから選ばれる少なくとも一種のオレフィン系ゴム(A1)を架橋して得られることが好ましい。これらのうちで、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)は、適度な架橋構造を有する発泡体が得られるため、好ましくはエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム、より好ましくはエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、さらに好ましくはエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴムを架橋して得られることが好ましい。
また、非架橋型オレフィン系樹脂(B)は、プロピレン単独重合体、プロピレン系共重合体、およびエチレン系共重合体から選ばれる少なくとも一種のオレフィン系樹脂であることが好ましい。
また、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物は、具体的には官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)と、オレフィン系樹脂(C1)の官能基と反応しうる金属化合物(E)とから得られる。官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)は、マレイン酸変性プロピレン単独重合体、マレイン酸変性プロピレン系共重合体、およびマレイン酸変性エチレン系共重合体から選ばれる少なくとも一種のオレフィン系樹脂であることが好ましい。金属化合物(E)は、2価以上の金属イオンを含む化合物(E1)または金属イオンで中和された官能基を2個以上有する化合物(E2)であることが好ましい。上記混練処理物に含まれていると考えられるイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)では、たとえば樹脂の分子間が化合物(E1)の金属イオンを介して架橋されているか、あるいは、樹脂の分子間が化合物(E2)から金属イオンが脱離したアニオンを介して架橋されていると推測される。
上記熱可塑性エラストマー組成物において、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)100質量部に対して、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とが合計で2〜200質量部の量で含まれることが好ましい。また、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物との合計を100質量部としたときに、非架橋型オレフィン系樹脂(B)が1〜99質量部の量で、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物が1〜99質量部の量で含まれることが好ましい。
少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)、ならびに官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物の含有量が上記範囲にあると、熱可塑性エラストマー組成物から発泡体を製造する際に、発泡セルの破泡がより抑えられ、微細な発泡セルがより均一に分散できる。
なお、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)、および混練処理物の量は、熱可塑性エラストマー組成物を製造する際の仕込み量から求めることができる。たとえば、後述する熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を用いるときは、組成物中の少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)の量は、熱可塑性エラストマー組成物の製造に用いたオレフィン系ゴム(A1)、架橋剤(D)および架橋助剤の合計仕込み量に対応するとみなすことができる。組成物中の混練処理物の量は、熱可塑性エラストマー組成物の製造に用いた官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の合計仕込み量に対応するとみなすことができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、軟化剤(H)をさらに含んでいてもよく、該軟化剤(H)が、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物との合計100質量部に対して1〜200質量部の量で含まれていることが好ましい。軟化剤(H)は、熱可塑性エラストマー組成物を調製する際に加工を容易にするとともにカーボンブラック等の分散を助ける。軟化剤(H)は、島相および海相のいずれに存在していてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、フッ素樹脂(J)をさらに含んでいてもよく、該フッ素樹脂(J)が、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物との合計100質量部に対して0.05〜20質量部の量で含まれていることが好ましい。フッ素樹脂(J)は、熱可塑性エラストマー組成物から発泡体を製造する際に、組成物の溶融張力を大きくするために用いられる。フッ素樹脂(J)は、通常海相に存在している。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系共重合体ゴム(A)以外のゴム(A’)を本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよい。すなわち本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記ゴム(A’)を含んでいなくてもよいが、含んでいてもよい。上記ゴム(A’)を含む場合は、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系共重合体ゴム(A)100質量部に対して、通常0質量部を超え50質量部以下の割合で含まれている。ゴム(A’)は、島相および海相のいずれに存在していてもよい。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、公知の充填剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属セッケン、ワックス等の滑剤、顔料、染料、結晶核剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤などの添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で含んでいてもよい。すなわち本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記添加剤を含んでいなくてもよいが、含んでいてもよい。上記充填剤を含む場合は、充填剤は、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物との合計100質量部に対して、通常0質量部を超え120質量部以下、好ましくは2〜100質量部の割合で含まれている。上記酸化防止剤を含む場合は、酸化防止剤は、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物との合計100質量部に対して、通常0.01〜10の割合で含まれている。上記添加剤は、島相および海相のいずれに存在していてもよい。
熱可塑性エラストマー組成物において、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、混練処理物との合計量に対する軟化剤(H)、フッ素樹脂(J)およびその他の添加剤の量は、熱可塑性エラストマー組成物を製造する際の仕込み量から求めることができる。ここで、たとえば、後述する熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を用いるときは、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、混練処理物との合計量は、熱可塑性エラストマー組成物の製造に用いたオレフィン系ゴム(A1)、架橋剤(D)、架橋助剤、オレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の合計仕込み量に対応するとみなすことができる。また、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)に対するゴム(A’)の量も、熱可塑性エラストマー組成物を製造する際の仕込み量から求めることができる。ここで、たとえば、後述する熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を用いるときは、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)の量は、熱可塑性エラストマー組成物の製造に用いたオレフィン系ゴム(A1)、架橋剤(D)および架橋助剤の合計仕込み量に対応するとみなすことができる。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、以下に説明する工程[I]と工程[II]とを含む。いいかえると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、架橋剤(D)の存在下に、オレフィン系ゴム(A1)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを動的に熱処理し、海島構造を有する動的熱処理物を製造する工程と、上記動的熱処理物と、必要に応じて非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)と、オレフィン系樹脂(C1)の官能基と反応しうる金属化合物(E)とを混練し、熱可塑性エラストマー組成物を製造する工程とにより得られ、より具体的には工程[I]および[II]により得られる。
〔工程[I]〕
工程[I]では、オレフィン系ゴム(A1)を架橋するための架橋剤(D)の存在下に、オレフィン系ゴム(A1)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを動的に熱処理し、オレフィン系ゴム(A1)を少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)とし、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを含む海島構造を有する動的熱処理物を製造する。
オレフィン系ゴム(A1)は、たとえば有機ペルオキシドと混合し、加熱下で混練することによって、架橋して流動性が低下するかあるいは流動しなくなるオレフィン系共重合体ゴムであり、有機ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ともいう。なお、オレフィン系ゴム(A1)を有機ペルオキシドと熱反応させた際には、分解反応と架橋反応とが生じるが、架橋反応が多い結果、動的熱処理物中においてはオレフィン系ゴム(A1)の見かけの分子量は増大すると考えられる。
オレフィン系ゴム(A1)としては、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンと非共役ポリエンとを重合して得られるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(無定形ランダムな弾性共重合体)、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとを重合して得られるエチレン・α-オレフィン共重合体ゴム(無定形ランダムな弾性共重合体)が挙げられる。オレフィン系ゴム(A1)は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムおよびエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムにおいて、α-オレフィンの炭素原子数は好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10である。α-オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。α-オレフィンは、単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらのうちで、プロピレン、1-ブテン、1-オクテンが好ましい。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを製造する際の非共役ポリエンとしては、環状あるいは鎖状の非共役ポリエンが用いられる。環状非共役ポリエンとしては、たとえば5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデンなどが挙げられる。また、鎖状の非共役ポリエンとしては、たとえば1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカジエンなどが挙げられる。非共役ポリエンは、単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらのうちで、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネンが好ましく、5-エチリデン-2-ノルボルネンがより好ましい。
これらのうちで、適度な架橋構造を有する発泡体が得られるため、好ましくはエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム、より好ましくはエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、さらに好ましくはエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体が用いられる。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムおよびエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムにおいて、エチレンに由来する構造単位は通常40〜85モル%、好ましくは55〜85モル%、より好ましくは60〜80モル%含まれ、α-オレフィンに由来する構造単位は通常60〜15モル%、好ましくは45〜15モル%、より好ましくは40〜20モル%含まれる。ここでエチレンに由来する構造単位とα-オレフィンに由来する構造単位との合計を100モル%とする。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムにおいて、非共役ポリエンの共重合量は、ヨウ素価表示で3〜50、好ましくは5〜45、より好ましくは8〜40であることが望ましい。有効網目鎖濃度νの値を最適化し圧縮永久歪を改善するためには、ヨウ素価10よりも高い値であることが望ましい。
エチレン・α-オレフィン共重合体ゴムおよびエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムにおいて、135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度[η]は、通常0.8〜6.0dl/g、好ましくは1.0〜5.0dl/g、より好ましくは1.1〜4.0dl/gであることが望ましい。
上記のような特性を有するエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムおよびエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会発行)」、309〜330頁などに記載されている従来公知の方法により調製できる。
非架橋型オレフィン系樹脂(B)は、たとえば有機ペルオキシドと混合し、加熱下で混練することによって、分解して流動性が上昇するオレフィン系樹脂であり、有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系重合体ともいう。なお、非架橋型オレフィン系樹脂(B)を有機ペルオキシドと熱反応させた際には、分解反応と架橋反応とが生じるが、分解反応が多い結果、動的熱処理物中においては非架橋型オレフィン系樹脂(B)の見かけの分子量は減少すると考えられる。
非架橋型オレフィン系樹脂(B)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン系共重合体、エチレン系共重合体が挙げられる。非架橋型オレフィン系樹脂(B)は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらのうちで、プロピレン単独重合体およびプロピレン系共重合体が好適に用いられる。
プロピレン系共重合体は、プロピレン由来の構成単位を50〜99質量%、エチレンおよび炭素原子数4〜20のα-オレフィン由来の構成単位を50〜1質量%含有することが好ましい。この共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
プロピレン系共重合体に用いられるα-オレフィンの炭素原子数は好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10である。α-オレフィンとしては、具体的には1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。α-オレフィンは、単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらのうちで、プロピレンと共重合させるモノマーとしては、エチレン、1-ブテン、1-オクテンが好ましい。
エチレン系共重合体は、エチレン由来の構成単位を50質量%を超え99質量%以下、炭素原子数3〜20のα-オレフィン由来の構成単位を50質量%未満1質量%以上含有することが好ましい。この共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
エチレン系共重合体に用いられるα-オレフィンの炭素原子数は好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10である。α-オレフィンとしては、具体的にはプロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。α-オレフィンは、単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらのうちで、プロピレン、1-ブテン、1-オクテンが好ましい。
非架橋型オレフィン系樹脂(B)のメルトフローレート(ASTM D−1238−65T,230℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.05〜80g/10分、より好ましくは0.1〜20g/10分の範囲にあることが望ましい。
上記のようなプロピレン単独重合体、プロピレン系共重合体およびエチレン系共重合体は、従来公知の方法により調製される。
工程[I]で用いられる非架橋型オレフィン系樹脂(B)の量については、後述する工程[II]で合わせて説明する。
オレフィン系ゴム(A1)を架橋するための架橋剤(D)としては、具体的には有機ペルオキシドが用いられる。
上記有機ペルオキシドとしては、たとえばジクミル有機ペルオキシド、ジ-tert-ブチル有機ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイル有機ペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイル有機ペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチル有機ペルオキシド、ラウロイル有機ペルオキシド、tert-ブチルクミル有機ペルオキシドなどが挙げられる。有機ペルオキシドは、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
これらのうちでは、臭気性、スコーチ安定性の点で、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレートがより好適に用いられ、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンがさらに好適に用いられる。
本発明においては、有機ペルオキシドは、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物においてオレフィン系ゴム(A)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および上記混練処理物が上述した量で含まれることとなるように用いればよい。たとえば、有機ペルオキシドは、オレフィン系ゴム(A1)100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部の割合で用いられる。
本発明においては、上記有機ペルオキシドによる架橋処理に際し、架橋助剤として、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。架橋助剤は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
上記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが好適に用いられる。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、オレフィン系ゴム(A1)および非架橋型オレフィン系樹脂(B)との相溶性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働く。このため、均質な架橋効果が得られ、流動性と物性とのバランスのとれた動的熱処理物が得られる。
上記架橋助剤は、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物においてオレフィン系ゴム(A)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および上記混練処理物が上述した量で含まれることとなるように用いればよい。たとえば、上記架橋助剤は、オレフィン系ゴム(A1)100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部の割合で用いられる。架橋助剤の配合割合が上記範囲にあると、最終的に圧縮永久歪が小さく、成形性の良好な発泡体が得られる。
工程[I]では、架橋剤(D)、必要に応じて架橋助剤の存在下に、オレフィン系ゴム(A1)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを動的に熱処理する。
上記の動的な熱処理とは、上記の成分を融解状態で混練することをいう。動的な熱処理は、解放型のミキシングロール、非解放型のバンバリーミキサー、ニーダー、一軸または二軸押出機、連続ミキサーなどの混練装置を用いて行なわれるが、非開放型の混練装置中で行なうことが好ましい。また、動的な熱処理は、窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。
また、混練は、使用する有機ペルオキシドの半減期が1分未満となる温度で行なうのが望ましい。混練温度は通常150〜280℃、好ましくは170〜240℃であり、混練時間は通常1〜20分間、好ましくは1〜5分間である。
上記の動的な熱処理は、軟化剤(H)をさらに配合して行ってもよい。軟化剤(H)は、一般に、材料を柔らかくする添加剤として使用することができ、事前にオレフィン系共重合体ゴムとブレンドすることで、柔軟化の効果が増す。また、押出機内で材料にかかるせん断を低減することができ、混練を容易にするとともに、他の添加剤などの分散状態を助けることもある。一方で、オレフィン系共重合体ゴムをロール加工する際にゴムの分子間力を弱め、加工を容易にするとともにカーボンブラック等の分散を助ける。
軟化剤(H)としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の鉱物油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩、ナフテン酸またはその金属石鹸、パイン油、ロジンまたはその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。軟化剤(H)は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらのうちで、石油系軟化剤および炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
また、軟化剤(H)は、予め油展されたオレフィン系ゴム(A1)に含まれていてもよい。
工程[I]で用いられる軟化剤(H)の量については、後述する工程[II]で合わせて説明する。
上記の動的な熱処理は、オレフィン系共重合体ゴム(A)以外のゴム(A’)を本発明の目的を損なわない範囲でさらに配合して行ってもよい。このようなゴム(A’)としては、たとえばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)等のジエン系ゴム、シリコンゴムなどが挙げられる。また、ゴム(A’)として、ポリイソブチレン、ブチルゴム、プロピレン含量が70モル%以上のプロピレン・エチレン共重合体ゴム、プロピレン・1-ブテン共重合体ゴムなどを用いてもよい。ゴム(A’)は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらのうちでは、プロピレン・エチレン共重合体ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、シリコンゴムが性能および取扱い上好ましい。組成物の流動性を改善する観点から、これらはムーニー粘度[ML(1+4)100℃]が60以下であることが好ましい。
ゴム(A’)は、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物において上述した量で含まれることとなるように用いることが好ましい。たとえば、オレフィン系共重合体ゴム(A1)100質量部に対して、0質量部を超え50質量部以下の量で配合することが好ましい。
さらに、上記の動的な熱処理は、公知の充填剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属セッケン、ワックス等の滑剤、顔料、染料、結晶核剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤などの添加剤を本発明の目的を損なわない範囲でさらに配合して行ってもよい。
上記充填剤としては、通常ゴムに使用される充填剤が好適であり、具体的には、カーボンブラック、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、けいそう土、雲母粉、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、グラファイト、アルミナなどが挙げられる。充填剤は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらのうちで、カーボンブラックは、熱可塑性エラストマー組成物から黒色の発泡体を製造したい場合に好適に用いられる。
工程[I]で用いられる充填剤の量については、後述する工程[II]で合わせて説明する。
また、上記耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、酸化防止剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系安定剤などが挙げられる。
工程[I]で用いられる酸化防止剤の量については、後述する工程[II]で合わせて説明する。
工程[I]の動的な熱処理により、オレフィン系ゴム(A1)は少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)となる。そして、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを含む海島構造を有する動的熱処理物が製造される。なお、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)とは、動的な熱処理により、オレフィン系ゴムの分子の少なくとも一部が他のオレフィン系ゴムの分子と架橋したり、オレフィン系ゴムの分子内で架橋したりすることを意味する。オレフィン系ゴムの分子の中には架橋していない分子が存在していてもよい。
オレフィン系ゴム(A)において少なくとも一部が架橋されていることは、以下のようなゲル含量の測定により確認できる。
[ゲル含量の測定]熱可塑性エラストマー組成物の試料を約100mg秤量し、これを0.5mm×0.5mm×0.5mmの細片に裁断し、次いで、得られた細片を密閉容器中にて30mlのシクロヘキサンに、23℃で48時間浸漬する。
次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温で72時間以上、恒量になるまで乾燥する。この乾燥残渣の重量から、ポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を、「補正された最終重量(Y)」とする。
一方、試料の重量から、ポリマー成分以外のシクロヘキサン可溶性成分(たとえば軟化剤)の重量、およびポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を、「補正された初期重量(X)」とする。
ゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)は、次の式で求められる。
ゲル含量[重量%]=[補正された最終重量(Y)/補正された初期重量(X)]×100
本発明において、オレフィン系ゴム(A)の少なくとも一部が架橋されていると、架橋度にもよるが、上記のようにして求めたゲル含量は、通常70〜100%になる。このようにオレフィン系ゴム(A)は70〜100%の割合で架橋されていると考えられる。
動的熱処理物は、島相および海相とからなる海島構造を有し、オレフィン系ゴム(A)を含む島相が、非架橋型オレフィン系樹脂(B)を含む海相に分散している。具体的にはオレフィン系ゴム(A)のうち、架橋され架橋粒子となった部分が主に島相に存在し、非架橋型オレフィン系樹脂(B)が主に海相に分散していると考えられる。なお、海島構造は、動的熱処理物から得られるペレットの切片をルテニウムなどの重金属で染色処理し、透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡により観察できる。
なお、工程[I]で得られた動的熱処理物は、混練装置から取り出され、ペレットなどの成形体としておいてもよい。
〔工程[II]〕
工程[II]は、工程[I]で得られた海島構造を有する動的熱処理物と、必要に応じて非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)と、オレフィン系樹脂(C1)の官能基と反応しうる金属化合物(E)とを混練し、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む熱可塑性エラストマー組成物を製造する。上記熱可塑性エラストマー組成物は海島構造を有し、オレフィン系ゴム(A)を含む島相が、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む海相に分散していると考えられる。また、前記の工程によりオレフィン系樹脂(C1)と金属化合物(E)はイオン架橋したオレフィン系樹脂(C)になると考えられる。いいかえると、工程[II]により得られる上記混練処理物は、金属化合物(E)により官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)がイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)を含むと考えられる。なお、上記混練により、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)すべてが架橋されたオレフィン系樹脂(C)となっていない場合もあり、上記混練処理物には、架橋されたオレフィン系樹脂(C)とともに、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)がそのままの状態で含まれている場合もあると考えられる。
官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)としては、非架橋型オレフィン系樹脂(B)において説明したプロピレン単独重合体、プロピレン系共重合体またはエチレン系共重合体を官能基で変性したオレフィン系樹脂が挙げられる。詳しくは上記重合体を酸またはその誘導体等の官能基含有化合物でグラフト変性させたオレフィン系樹脂である。
酸またはその誘導体としては、たとえばマレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(登録商標;ナジック酸(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸)、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの酸無水物、スルホン酸およびその誘導体、イミド、アミド、ならびにエステルなどが挙げられる。
酸の誘導体としては、具体的にはマレイン酸、シトラコン酸およびナジック酸(登録商標)等の不飽和カルボン酸の酸無水物、マレイミド、マレイン酸モノメチル、グリシジルマレエート、ならびにスルホン酸無水物などが挙げられる。これらのうち、不飽和カルボン酸の酸無水物が好ましく、マレイン酸およびナジック酸(登録商標)の酸無水物がより好ましい。したがって、官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)としては、マレイン酸変性プロピレン単独重合体、マレイン酸変性プロピレン系共重合体、マレイン酸変性エチレン系共重合体が好適に用いられる。官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
オレフィン系樹脂を官能基含有化合物でグラフト変性させて官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)を得る方法としては、従来公知の方法を特に制限なく用いることができる。たとえば、溶融させたオレフィン系樹脂に官能基含有化合物を添加してグラフト共重合させる溶融変性法、オレフィン系樹脂を溶媒に溶解させた後、官能基含有化合物を添加してグラフト共重合させる溶液変性法などが挙げられる。
オレフィン系樹脂に官能基含有化合物を効率よくグラフトさせて官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)を得るには、ラジカル開始剤の存在下に、通常60〜350℃の温度で反応を行なうことが好ましい。ラジカル開始剤の使用量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、通常0.001〜2質量部である。
ここで、ラジカル開始剤としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび1,4−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等の有機過酸化物などが挙げられる。
官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)に含まれる官能基量は、官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)中好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.05〜40重量%、さらに好ましくは0.1〜30重量%である。
工程[II]において、官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)は、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物においてオレフィン系ゴム(A)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および上記混練処理物が上述した量で含まれることとなるように用いればよい。たとえば、官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)は、工程[I]で用いたオレフィン系ゴム(A1)100質量部に対して、1〜50質量部の量で用いられることが好ましい。
オレフィン系樹脂(C1)の官能基と反応しうる金属化合物(E)は、可逆的または不可逆的のいかんによらず、オレフィン系樹脂(C1)に含まれる官能基と反応し、オレフィン系樹脂(C1)と金属化合物(E)との間に架橋を形成しうる化合物である。架橋の形成は、金属化合物(E)を用いて得られる上記熱可塑性エラストマー組成物では、金属化合物(E)を用いずに得られる熱可塑性エラストマー組成物に比較して、溶融張力が上がることから示唆される。金属化合物(E)は、オレフィン系樹脂(C1)の分子間を架橋するため、金属化合物(E)は、具体的には2価以上の金属イオンを含む化合物(E1)または金属イオンで中和された官能基を2個以上有する化合物(E2)であることが好ましい。
2価以上の金属イオンを含む化合物(E1)において、2価以上の金属イオンとしては、Cu2+、Mg2+、Ba2+、Zn2+、Al3+、Fe3+、Sn2+、Ca2+、Ti4+、Zr4+が挙げられる。
このような2価以上の金属イオンを含む化合物(E1)としては、金属酸化物、金属水酸化物、有機酸の金属塩、無機酸の金属塩が挙げられる。
金属酸化物としては、具体的にはCuO、MgO、BaO、ZnO、Al23、Fe23、SnO、CaO、TiO2およびZrO2が挙げられる。金属水酸化物としては、具体的にはCu(OH)2、Cu2O(OH)2、Mg(OH)2、Mg2O(OH)2、Ba(OH)2、Zn(OH)2、Sn(OH)2およびCa(OH)2が挙げられる。
有機酸としては、ステアリン酸、酢酸、炭酸が挙げられ、有機酸の金属塩は上記有機酸の金属塩であり、具体的にはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酢酸亜鉛が挙げられる。
無機酸としては、リン酸、ホウ酸、硝酸、フッ化水素酸、塩酸、クロム酸、臭化水素酸、次亜塩素酸、過塩素酸が挙げられ、無機酸の金属塩は上記無機酸の金属塩であり、具体的には亜硝酸バリウム、亜燐酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウムが挙げられる。
金属イオンで中和された官能基を2個以上有する化合物(E2)において、金属イオンとしては、1価の金属イオンが好適に用いられ、具体的にはLi+、Na+、K+が挙げられる。
このような金属イオンで中和された官能基を2個以上有する化合物(E2)としては、有機酸の金属塩が挙げられる。ここで化合物(E2)中の官能基としては、カルボキシル基が好適である。
有機酸としては、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、イミノ二酢酸、クエン酸、ニトリロ三酢酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、トリメシン酸、ブタンテトラカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロペリト酸、ジエチレントリアミン五酢酸、メリト酸が挙げられ、有機酸の金属塩は上記有機酸の金属塩であり、具体的にはコハク酸カリウム、イミノ二酢酸カリウム、クエン酸カリウム、ニトリロ三酢酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸カリウム、ジエチレントリアミン五酢酸カリウムが挙げられる。
これら金属化合物(E)は、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。金属化合物(E)は従来公知の方法を用いて調製してもよいし、市販品を用いてもよい。
工程[II]において、金属化合物(E)は、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物においてオレフィン系ゴム(A)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および上記混練処理物が上述した量で含まれることとなるように用いればよい。たとえば、金属化合物(E)は、官能基を含有するオレフィン系樹脂(C1)100質量部に対して、0.05〜20質量部の量で用いられることが好ましい。
必要に応じて用いられる非架橋型オレフィン系樹脂(B)としては、工程[I]と同様のものが用いられ、好ましい範囲も同じである。工程[I]で配合された非架橋型オレフィン系樹脂(B)の中には、動的な熱処理により分解した分子も含まれている場合もある。上記のように分解した分子も含まれていると、通常組成物の溶融張力は低下するが、工程[II]においても非架橋型オレフィン系樹脂(B)を配合すると、組成物の溶融張力を好ましい範囲に調整することができる。
非架橋型オレフィン系樹脂(B)は、上述のように工程[I]のみで用いても、工程[I]および[II]の両方で用いてもよい。いずれの場合も、非架橋型オレフィン系樹脂(B)の配合量は、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物において上述した量で含まれることとなるように用いればよい。たとえば、非架橋型オレフィン系樹脂(B)は、工程[I]のみで用いるときは、工程[I]で用いたオレフィン系ゴム(A1)100質量部に対して、1〜100質量部の量で配合されることが好ましい。あるいは、工程[I]および[II]の両方で用いるときは、工程[I]で用いたオレフィン系ゴム(A1)100質量部に対して、工程[I]および[II]での合計量が1〜100質量部となるように配合されることが好ましい。
工程[II]では、工程[I]で得られた動的熱処理物と、必要に応じて非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)と、オレフィン系樹脂(C1)の官能基と反応しうる金属化合物(E)とを混練、好ましくは溶融混練する。
混練は、解放型のミキシングロール、非解放型のバンバリーミキサー、ニーダー、一軸または二軸押出機、連続ミキサーなどの混練装置を用いて行なわれるが、非開放型の混練装置中で行なうことが好ましい。
また、二軸押出機を使用する場合は、混練温度は通常50〜300℃であり、混練時間は通常1〜20分間である。
上記の混練処理は、軟化剤(H)をさらに配合して行ってもよい。軟化剤(H)は、ゴムをロール加工する際にゴムの分子間力を弱め、加工を容易にするとともにカーボンブラック等の分散を助ける。軟化剤(H)としては、工程[I]と同様のものが用いられ、好ましい範囲も同じである。
軟化剤(H)は、上述のように工程[I]または[II]のみで用いても、工程[I]および[II]の両方で用いてもよい。いずれの場合も、軟化剤(H)の配合量は、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物において上述した量で含まれることとなるように用いればよい。たとえば、軟化剤(H)は、工程[I]または[II]のみで用いるときは、工程[I]および[II]で用いるオレフィン系ゴム(A1)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)の合計100質量部に対して、工程[I]または[II]での量が1〜200質量部の量となるように配合されることが好ましい。あるいは、工程[I]および[II]の両方で用いるときは、工程[I]および[II]で用いるオレフィン系ゴム(A1)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)の合計100質量部に対して、工程[I]および[II]での合計量が1〜200質量部となるように配合されることが好ましい。
上記の混練処理は、フッ素樹脂(J)をさらに配合して行ってもよい。フッ素樹脂(J)を用いると、熱可塑性エラストマー組成物から発泡体を製造する際に、組成物の溶融張力を大きくし、発泡セルの破泡を抑えることができる。フッ素樹脂(J)としては、ポリテトラフルオロエチレンが好適に用いられる。
フッ素樹脂(J)の配合量は、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物において上述した量で含まれることとなるように用いればよい。たとえば、フッ素樹脂(J)は、工程[I]および[II]で用いるオレフィン系ゴム(A1)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)の合計100質量部に対して、0質量部を超え20質量部以下となるように配合されることが好ましい。
さらに、上記の混練処理は、公知の充填剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属セッケン、ワックス等の滑剤、顔料、染料、結晶核剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤などの添加剤を本発明の目的を損なわない範囲でさらに配合して行ってもよい。上記添加剤としては、工程[I]と同様のものが用いられ、好ましい範囲も同じである。充填剤としてのカーボンブラックは、工程[I]よりも工程[II]で用いることが好ましい。
充填剤は、上述のように工程[I]または[II]のみで用いても、工程[I]および[II]の両方で用いてもよい。いずれの場合も、充填剤の配合量は、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物において上述した量で含まれることとなるように用いればよい。たとえば、充填剤は、工程[I]または[II]のみで用いるときは、工程[I]および[II]で用いるオレフィン系ゴム(A1)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)の合計100質量部に対して、工程[I]または[II]での量が0質量部を超え120質量部以下となるように配合されることが好ましい。あるいは、工程[I]および[II]の両方で用いるときは、工程[I]および[II]で用いるオレフィン系ゴム(A1)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)の合計100質量部に対して、工程[I]および[II]での合計量が0質量部を超え120質量部以下となるように配合されることが好ましい。
酸化防止剤は、上述のように工程[I]または[II]のみで用いても、工程[I]および[II]の両方で用いてもよい。いずれの場合も、酸化防止剤の配合量は、最終的に得られる熱可塑性エラストマー組成物において上述した量で含まれることとなるように用いればよい。たとえば、酸化防止剤は、工程[I]または[II]のみで用いるときは、工程[I]および[II]で用いるオレフィン系ゴム(A1)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)の合計100質量部に対して、工程[I]または[II]での量が0.01〜10質量部となるように配合されることが好ましい。あるいは、工程[I]および[II]の両方で用いるときは、工程[I]および[II]で用いるオレフィン系ゴム(A1)、非架橋型オレフィン系樹脂(B)および官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)の合計100質量部に対して、工程[I]および[II]での合計量が0.01〜10質量部となるように配合されることが好ましい。
工程[II]の混練により、オレフィン系樹脂(C1)は金属化合物(E)によりイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)となると考えられる。いいかえると、工程[II]により得られる上記混練処理物は、金属化合物(E)により官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)がイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)を含むと考えられる。なお、イオン架橋とは、混練により、オレフィン系樹脂の官能基と化合物(E1)が反応し、オレフィン系樹脂の分子間が化合物(E1)の金属イオンを介して架橋されること、あるいはオレフィン系樹脂の官能基と化合物(E2)が反応し、オレフィン系樹脂の分子間が化合物(E2)から金属イオンが脱離したアニオンを介して架橋されることを意味する。なお、混練により、オレフィン系樹脂(C1)の分子全てが架橋されない場合もあると考えられる。いいかえると、上記混練により、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)すべてが架橋されたオレフィン系樹脂(C)となっていない場合もあり、上記混練処理物には、架橋されたオレフィン系樹脂(C)とともに、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)がそのままの状態で含まれている場合もあると考えられる。
また、熱可塑性エラストマー組成物は、島相および海相とからなる海島構造を有し、オレフィン系ゴム(A)を含む島相が、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む海相に分散していると考えられる。この混練処理物中では、オレフィン系樹脂(C1)は金属化合物(E)によりイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)になっていると考えられる。
このような工程[I]および[II]により、上述したような熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
なお、海島構造は、熱可塑性エラストマー組成物から得られるペレットの切片をルテニウムなどの重金属で染色処理し、透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡により観察できる。オレフィン系ゴム(A)のうち、架橋され架橋粒子となった部分が主に島相に存在し、非架橋型オレフィン系樹脂(B)、ならびに官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物が主に海相に分散していると考えられる。
また、オレフィン系ゴム(A)は少なくとも一部が架橋されており、このように架橋されていることは、工程[I]で述べたようにゲル含量の測定により確認できる。イオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)の存在は、金属化合物(E)を用いて得られる上記熱可塑性エラストマー組成物では、金属化合物(E)を用いずに得られる熱可塑性エラストマー組成物に比較して、溶融張力が上がることから間接的に確認できる。
上述のように、非架橋型オレフィン系樹脂(B)は、工程[I]の他、必要に応じて工程[II]で配合される。この非架橋型オレフィン系樹脂(B)の分子は、工程[I]および[II]の混練によって分解することがある。したがって、最終的に得られた熱可塑性エラストマー組成物においては、非架橋型オレフィン系樹脂(B)として混練により分解した分子も混在し得る。
ところで、上記のように分解した分子も含まれていると、通常組成物の溶融張力は低下するが、本発明の熱可塑性エラストマー組成物では、海相に上記混練処理物が存在するため、いいかえるとイオン架橋されたオレフィン系樹脂(C)が存在するため、組成物の溶融張力が大きくなり、また、島相と海相との界面強度も大きくると考えられる。このため、熱可塑性エラストマー組成物から発泡剤を用いて発泡体を製造する際に、発泡セルの破泡が抑えられる。すなわち、微細な発泡セルが均一に分散されるため、発泡体の軽量化が実現でき、得られた発泡体は外観にも優れる。また、この発泡体は比重および外観と機械特性とのバランスにも優れる。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物では、該組成物を発泡させてから発泡体となるまでの結晶化時間が短くなっている。これにより、組成物中での微細な発泡セルが均一に分散された状態が発泡体においても維持できる。さらに、機械特性にも優れる。
熱可塑性エラストマー組成物は、混練装置から取り出され、ペレットなどの成形体としておいてもよい。このように、本発明に係る成形体は、上記熱可塑性エラストマー組成物からなる。
このようにして製造される熱可塑性エラストマー組成物は、溶融張力が高く、結晶化速度が速いという利点を有する。
<発泡用熱可塑性エラストマー組成物および発泡体>
本発明の発泡用熱可塑性エラストマー組成物は、上述した熱可塑性エラストマー組成物と発泡剤(K)とを配合してなる。この発泡用熱可塑性エラストマー組成物から発泡体を得ることができる。
発泡剤(K)としては、たとえば無機系もしくは有機系の熱分解型化学発泡剤、物理発泡剤が挙げられる。
無機系の熱分解型化学発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等の無機炭酸塩、亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩が挙げられる。無機系の熱分解型化学発泡剤は、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
有機系の熱分解型化学発泡剤としては、N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;
アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレ-ト等のアゾ化合物;
ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;
カルシウムアジド、4,4'-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。有機系の熱分解型化学発泡剤は、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
物理発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、または二酸化炭素と窒素との混合物を主成分とする不活性ガスが挙げられる。物理発泡剤は、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。二酸化炭素や窒素を使用する場合は、迅速で均一な混合および気泡の微細化の面から、超臨界状態で熱可塑性エラストマー組成物中に混合することが好ましい。
発泡剤(K)は、熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して0.1〜30質量部の量で配合することが好ましい。
また、発泡用熱可塑性エラストマー組成物には、さらに発泡形成核剤、湿潤剤などを配合してもよい。
発泡形成核剤としては、亜鉛、カルシウム、鉛、鉄、バリウム等の金属化合物、ステアリン酸等の高級脂肪酸、及びその金属塩、タルク、硫酸バリウム、シリカ、ゼオライト、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒無機粒子、四フッ化エチレン系樹脂微粉末、シリコーンゴム粉末;
クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シクロヘキサン1、2ジカルボン酸、ショウノウ酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ酸等の多価カルボン酸と、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムアルミニウム、炭酸水素カリウム等の無機炭酸化合物の混合物や、これらの反応により生じる中間体、例えばクエン酸二水素ナトリウム、シュウ酸カリウム等のポリカルボン酸の塩;
N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;
アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレ-ト等のアゾ化合物;
ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;
カルシウムアジド、4,4'-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。これらの中では、ステアリン酸カルシウム、四フッ化エチレン系樹脂微粉末が特に好ましい。
発泡形成核剤および湿潤剤の添加量は、それぞれ熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、0.02〜5質量部であることがより好ましい。
熱分解型化学発泡剤を使用して発泡体を調製するに際しては、たとえばペレット状の熱可塑性エラストマー組成物に、粉末または樹脂をバインダーとしペレット状にした熱分解型化学発泡剤と、必要に応じ発泡形成核剤や湿潤剤とを一旦タンブラー型ブラベンダー、V型ブラベンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等で混合するか、必要であれば開放型のミキシングロールや非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等で、発泡剤の分解温度以下で混練し、発泡用熱可塑性エラストマー組成物とする。
次いで、得られた発泡用熱可塑性エラストマー組成物を押出機に供給し、バレル内で組成物の融点と発泡剤の分解温度以上に加熱し、加圧しながら組成物中に発泡剤分解生成ガスを均一に分散させる。
次いで、発泡剤分解生成ガスが均一に分散され溶融した発泡用熱可塑性エラストマー組成物を、最適発泡温度に設定した押出機先端部に取り付けられたダイへと移送し、ダイから大気中または水中に押出し急激に圧力を低下させて発泡させ、後続の冷却装置で冷却固化し、目的の発泡体を製造する。なお、押出時の発泡用熱可塑性エラストマー組成物の温度は120〜280℃の範囲が好ましい。
一方、二酸化炭素や窒素を使用して発泡体を調製するに際しては、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物と、必要に応じて発泡形成核剤や湿潤剤とを一旦タンブラー型ブラベンダー、V型ブラベンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等で混練した後、樹脂可塑化シリンダー内で、130〜300℃で溶融し、熱可塑性エラストマー組成物と二酸化炭素や窒素とが相溶状態にある溶融した発泡用熱可塑性エラストマー組成物を形成する。なお、相容性と発泡セルの均一性の観点から、二酸化炭素や窒素は超臨界状態で、樹脂可塑化シリンダー内で熱可塑性エラストマー組成物に溶解することが好ましい。
次いで、溶融した発泡用熱可塑性エラストマー組成物を、最適発泡温度に設定した押出機先端部に取り付けられたダイへと移送し、ダイから大気中に押出し急激に圧力を低下させて、二酸化炭素や窒素をガス化し発泡させ、後続の冷却装置で冷却固化し、目的の発泡体を得る。なお、押出時の熱可塑性エラストマー組成物の温度は120〜280℃の範囲が好ましい。
上記のようにして得られた発泡性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物から発泡体を調製する方法としては、上述した押出成形の他、従来発泡成形品を得るために用いられているプレス成形、射出成形、カレンダー成形等の成形方法を採用してもよい。
このように、本発明の成形体、具体的には発泡体は、上述した発泡用熱可塑性エラストマー組成物から得られる。本発明の発泡体は、上述した発泡用熱可塑性エラストマー組成物から得られるため、軽量化が達成でき、外観にも優れる。さらに比重および外観と機械特性とのバランスにも優れる。いいかえると、従来の発泡用熱可塑性エラストマー組成物から得られる発泡体に比較して、機械特性は維持されたまま軽量化が達成でき、外観にも優れている。
<用途>
本発明の発泡体の用途としては、自動車内装表皮材、ウェザーストリップスポンジ、ボディパネル、ステアリングホイール、サイドシールド等の自動車部品;地盤改良用シート、上水板、騒音防止壁等の土木資材や建材;靴底、サンダル等の履物;電線被覆、コネクター、キャッププラグ等の電気部品;ゴルフクラブグリップ、野球バットグリップ、水泳用フィン、水中眼鏡等のレジャー用品;ガスケット、防水布、ガーデンホース、ベルト、水切りシート、化粧用パフ等の雑品などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における発泡体の成形および基礎物性の評価は、以下の方法により行った。
(試験方法)
(1)押出発泡成形装置
・押出機 : 65mmφ単軸押出機[(株)長田製作所 OSE−65]
シリンダー最高温度 : 150〜190℃
ダイ温度 : 170〜190℃
回転数 : 25rpm
引き取り機速度 : 7.1m/分
水槽ベルト引取り速度 : 6.4m/分
・ダイ : 丸一
ダイは図1に示すような形状、すなわちダイは丸の下に一があるような形状の長尺物押出し用のダイスである。図1に示すスリットから押し出すため、中空の長尺物が得られた。本明細書において、このようにして得られた丸一形状の発泡成形体を丸一発泡体ともいう。
・二酸化炭素・窒素供給装置:AKICO社製
二酸化炭素ガスを利用した発泡で使用した。
(2)基本物性
基本物性評価のため、プレス成形装置を使用して、厚み2mmのシートを作成した。
・プレス成形装置 : 100トン電熱自動プレス
加熱 : 温度190℃、予熱時間6分、加熱時間4分
冷却 : 温度23℃、冷却時間5分
〔メルトフローレートMFRの測定〕
メルトフローレート(MFR)は、ASTM−D−1238−65Tの方法で、230℃、2.16kg、5kg荷重あるいは10kg荷重で測定した。
〔結晶化時間の測定〕
結晶化時間は、DSC装置(DSC7;PERKIN ELMER社製)を用いて測定した。
昇温速度 : 320℃/分(常温から200℃)
ホールド : 200℃で5分間
降温速度 : 320℃/分(200℃から120℃)
測定温度 : 120℃
〔溶融張力の測定〕
溶融張力は、CAPIROGRAPH(TOYOSEIKI社製)を用いて測定した。
条件 L=8.00mm、D=2.095mm、L/D=3.82
温度 : 180℃
引き取り速度 : 500mm/分
〔破断点強度・破断点伸びの測定〕
破断点強度、破断点伸びは、プレス成形したシートより、JIS K6251に記載のダンベル状3号形試験片(平行部分が規定寸法に達すれば可とする)を5個打ち抜き、JIS K6251に記載の方法によって測定した。
〔圧縮永久歪みの測定〕
圧縮永久歪みは、プレス成形したシートより適当な大きさに打ち抜いたサンプルを3枚重ねて、JIS K6262に記載の方法によって測定した。
〔硬度の測定〕
硬度は、プレス成形したシートより適当な大きさに打ち抜いたサンプルを3枚重ねて、JIS K6253に記載の方法によって測定した。
〔発泡体比重の測定〕
発泡体比重は、押出発泡成形で得られた丸一発泡体を適当な大きさに切断して実施した。具体的には、JIS K6268 A法、または種々のメーカーから発売されている自動比重計、例えばミラージュ貿易社製電子比重計MS-200Sで求めることが出来る。当実施例ではミラージュ貿易社製電子比重計MS-200Sを使用し求めた。
〔発泡体吸水率の測定〕
発泡体給水率は、押出発泡成形で得られた丸一発泡体を適当な大きさに切断し、精密天秤でサンプル重量を測定した。次いで、真空ポンプの装備された水槽にサンプルを浸漬し、−635mmHgまで減圧し、3分間放置した。引き続き、圧力を0にもどし、水分を吸収したサンプルの重量を測定し、重量変化より吸水率を測定した。
吸水率=(試験後サンプル重量 ― 試験前重量)/試験前重量 × 100 「%」
〔発泡体圧縮応力の測定〕
発泡体圧縮応力は、押出発泡成形で得られた丸一発泡体を適当な大きさに切断して、圧縮量25%として、30秒間保持し、その時にかかる単位面積当たりの応力を算出した。温度条件としては、23℃、−30で実施した。
〔発泡体破断点強度・破断点伸びの測定〕
発泡体破断点強度、破断点伸びは、押出発泡成形で得られた丸一発泡体の押出方向に沿って、JIS K6251に記載のダンベル状3号形試験片(平行部分が規定寸法に達すれば可とする)を5個打ち抜き、JIS K6251に記載の方法によって測定した。
〔発泡体圧縮永久歪みの測定〕
発泡体圧縮永久歪みは、押出発泡成形で得られた丸一発泡体を適当な大きさに切断して、丸部分の頭部より圧縮量25%あるいは50%で、温度70℃、時間22hrかけて、JIS K6262に記載の方法によって測定した。
〔発泡体外観の測定〕
発泡体外観は、押出成形した丸一発泡体の外観を確認し、以下のレベルで判定を出した。製品としては、レベル3以上を合格とする。
レベル5 : 発泡体のセルは細かく均一である。表面状態は滑らかで凹凸が無
い。
レベル4 : 発泡体のセルは細かく、比較的均一である。表面状態は若干凹凸が
あるものの滑らかである。
レベル3 : 発泡体のセルは粒子径に分布を持ち、表面状態は若干凹凸があるも
のの、比較的滑らかである。
レベル2 : 発泡体のセルの粒度分布があり、一部破泡しているところがある。表
面状態はすこし凹凸があり、製品としては不合格のレベルである。
レベル1 : 発泡体のセルが大粒径化しており、発泡体の形状が保てない。表面
状態は、凹凸が大きく、物性評価に値しないレベルである。
[実施例1−1]
<混練1>動的熱処理物1の調製(表1参照)
エチレン含量が69モル%、ヨウ素価20、極限粘度[η]が4.1dl/gであるエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム100質量部に、鉱物油系軟化剤(パラフィン系オイルPW−380;出光興産製ダイナプロセスオイル)48質量部をブレンドした油展EPT(4100E)36質量部;エチレン含量が75.9モル%、ヨウ素価11.5、極限粘度3.4dl/gであるエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム100質量部に、パラフィン系オイル40質量部をブレンドしている油展EPT(3072EPM)8質量部;メルトフローレート(ASTM-D-1238-65T,230℃、2.16kg荷重)が2.0g/10分であるポリプロピレン(F704NP;プライムポリマー社製)11質量部;パラフィン系オイル(PW−100;出光興産製ダイナスプロセスオイル)18質量部;ブチルゴム(BT−101SNT;エクソン社製)4質量部;およびシリコンゴム(BY27−002;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)2質量部の混合物(ペレット形状)に、架橋剤1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(パーヘキサ25B)1.04質量部と架橋助剤ジビニルベンゼン(DVB-810)0.42質量部とパラフィン系オイル(PW-100)との混合溶液2.08質量部;および酸化防止剤テトラキス[メチレン-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(Irganox1010)0.1質量部を、75Lヘンシェルミキサー(FM75−J;三井鉱山社製)で混合して、架橋剤、架橋助剤および酸化防止剤をペレット表面に付着させた混合物を得た。
次いで、前記混合物とパラフィン系オイル(PW-100)21質量部とを、2軸混合押出機((株)神戸製鋼所製 HyperKTX−46)を用いて、シリンダー温度120〜200℃、ダイス温度200℃、回転数400rpm、押出量60kg/hrの処理速度で溶融混練、すなわち動的な熱架橋処理を行い、動的熱処理物1(PP中に架橋EPTの分散粒子が均一に分散している部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物)を得た。
Figure 0005361779
なお、表1中、EPTは、エチレン・プロピレン・5―エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムを表し、PPはポリプロピレンを表す。
<混練2−1>熱可塑性エラストマー組成物2−1の調製(表2参照)
次いで、得られた動的熱処理物1(部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物)93.6質量部に、メルトフローレートが0.5g/10分のポリプロピレン(プロピレン系共重合体、B241;プライムポリマー社製)0.6質量部と、メルトフローレートが3.0g/10分のポリプロピレン(プロピレン系共重合体、VP103W;プライムポリマー社製)1.9質量部と、マレイン酸変性ポリプロピレン(マレイン酸変性プロピレン重合体、GR−2;三井化学社製)0.6質量部と、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛;堺化学社製)0.1質量部と、フルオン(ポリテトラフルオロエチレン PTFE G355;旭硝子社製)1.15質量部と、カーボンブラックマスターバッチ(PE4993;CABOT社製)3.3質量部とを配合し、さらにパラフィン系オイル(PW-100)23.6質量部と酸化防止剤テトラキス[メチレン-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(Irganox1010)0.1質量部とを、混練1の軸押出機を使用し、混練1と同条件で溶融混練して、目的のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物2−1を得た。
混練2−1で得られた熱可塑性エラストマー組成物2−1を用いて、各種物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−1]
混練2−1で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100質量部当たり、発泡剤(重曹系EE385;永和化成社製)3.5質量部、および発泡核剤としてステアリン酸カルシウム(三共有機合成社製)0.1質量部をドライブレンドし、押出発泡成形装置((株)長田製作所)を使用し、シリンダー温度150〜220℃、ダイス温度170℃、回転数25rpm、樹脂圧力12.5MPa、引き取り速度7.1m/分、Air流量0.8L/分で丸一形状に押出成形を行い、丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)。
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[実施例1−2]
<混練2−2>熱可塑性エラストマー組成物2−2の調製(表2参照)
混練2−1において、マレイン酸変性ポリプロピレン(GR−2;三井化学社製)をQ3000(マレイン酸変性プロピレン重合体、三井化学社製)に変更した以外は、混練2−1と同様に行った。
混練2−2で得られた熱可塑性エラストマー組成物2−2を用いて、実施例1−1と同様に各種物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−2]
混練2−2で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100質量部当たり、発泡剤(重曹系EE385;永和化成社製)3.5質量部、および発泡核剤としてステアリン酸カルシウム(三共有機合成社製)0.1質量部をドライブレンドし、実施例2−1と同様にして丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)。
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[実施例1−3]
<混練2−3>熱可塑性エラストマー組成物2−3の調製(表2参照)
混練2−1において、コモノマーとしてエチレンを4.5質量%共重合し、メルトフローレートが0.5g/10分のポリプロピレン(B241;プライムポリマー社製)の量を0.4質量部とし、メルトフローレートが3.0g/10分のポリプロピレン(VP103W;プライムポリマー社製)の量を1.2質量部とし、マレイン酸変性ポリプロピレン(GR−2;三井化学社製)0.6質量部の代わりにQ3000(三井化学社製)1.5質量部を用いた以外は、混練2−1と同様に行った。
混練2−3で得られた熱可塑性エラストマー組成物2−3を用いて、実施例1−1と同様に各種物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−3−A]
混練2−3で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100質量部当たり、発泡剤(重曹系EE385;永和化成社製)3.5質量部、および発泡核剤としてステアリン酸カルシウム(三共有機合成社製)0.1質量部をドライブレンドし、実施例2−1と同様にして丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)。
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[実施例2−3−B]
実施例2−3−Aにおいて、発泡剤を4.5質量部とした以外は、実施例2−3−Aと同様にして丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)。
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[実施例1−4]
<混練2−4>熱可塑性エラストマー組成物2−4の調製(表2参照)
混練2−1において、マレイン酸変性ポリプロピレン(GR−2;三井化学社製)の代わりにマレイン酸変性エチレン系樹脂(MH7020;三井化学社製)を用いた以外は、混練2−1と同様に行った。
混練2−4で得られた熱可塑性エラストマー組成物2−4を用いて、実施例1−1と同様に各種物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−4]
混練2−4で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100質量部当たり、発泡剤(重曹系EE385;永和化成社製)4.5質量部、および発泡核剤としてステアリン酸カルシウム(三共有機合成社製)0.1質量部をドライブレンドし、実施例2−1と同様にして同様に丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)。
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[実施例1−5]
<混練2−5>熱可塑性エラストマー組成物2−5の調製(表2参照)
混練2−1において、メルトフローレートが0.5g/10分のポリプロピレンおよびメルトフローレートが3.0g/10分のポリプロピレンを使用せず、マレイン酸変性ポリプロピレン(GR−2;三井化学社製)の量を2.2質量部とし、ステアリン酸亜鉛(脂肪酸金属塩;堺化学社製)の量を0.15質量部とした以外は、混練2−1と同様に行った。
混練2−5で得られた熱可塑性エラストマー組成物2−5を用いて、実施例1−1と同様に各種物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−5]
混練2−5で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100質量部当たり、発泡剤(重曹系EE385;永和化成社製)3.5質量部、および発泡核剤としてステアリン酸カルシウム(三共有機合成社製)0.1質量部をドライブレンドし、実施例2−1と同様にして丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)。
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[実施例1−6]
<混練2−6>熱可塑性エラストマー組成物2−6の調製(表2参照)
混練2−1において、メルトフローレートが0.5g/10分のポリプロピレン(B241;プライムポリマー社製)の量を0.3質量部とし、メルトフローレートが3.0g/10分のポリプロピレン(VP103W;プライムポリマー社製)の量を0.6質量部とし、マレイン酸変性エチレン系樹脂(GR−2;三井化学社製)の量を2.2質量部とし、ステアリン酸亜鉛(脂肪酸金属塩;堺化学社製)の量を0.15質量部とし、フルオン(ポリテトラフルオロエチレン PTFE G355;旭硝子社製)を使用しなかった以外は、混練2−1と同様に行った。
混練2−6で得られた熱可塑性エラストマー組成物2−6を用いて、実施例1−1と同様に各種物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−6]
混練2−6で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100質量部当たり、発泡剤(重曹系EE385;永和化成社製)3.5質量部、および発泡核剤としてステアリン酸カルシウム(三共有機合成社製)0.1質量部をドライブレンドし、実施例2−1と同様にして丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)。
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[実施例1−7]
<混練2−7>熱可塑性エラストマー組成物2−7の調製(表2参照)
混練2−1において、ポリプロピレン(プロピレン系共重合体、B241;プライムポリマー社製)を、メルトフローレートが7.0g/10分のポリプロピレン(プロピレン系共重合体、F744NP;プライムポリマー社製)に変更し、マレイン酸変性ポリプロピレン(GR−2;三井化学社製)をQ3000(三井化学社製)に変更した以外は、混練2−1と同様に行った。
混練2−7で得られた熱可塑性エラストマー組成物2−7を用いて、実施例1−1と同様に各種物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−7]
混練2−7で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100質量部当たり、発泡剤(重曹系EE385;永和化成社製)4.5質量部、および発泡核剤としてステアリン酸カルシウム(三共有機合成社製)0.1質量部をドライブレンドし、実施例2−1と同様にして丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[実施例1−8]
<混練2−8>熱可塑性エラストマー組成物2−8の調製(表2参照)
混練2−1において、ステアリン酸亜鉛の代わりに酸化亜鉛(ハクシテック社製)を用いた以外は、混練2−1と同様に行った。
混練2−8で得られた熱可塑性エラストマー組成物2−8を用いて、実施例1−1と同様に各種物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−8]
混練2−8で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100質量部当たり、発泡剤(重曹系EE385;永和化成社製)3.5質量部、および発泡核剤としてステアリン酸カルシウム(三共有機合成社製)0.1質量部をドライブレンドし、実施例2−1と同様にして丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[比較例1−1]
<混練2−9>熱可塑性エラストマー組成物2−9の調製(表2参照)
混練2−1において、メルトフローレートが0.5g/10分のポリプロピレン(B241;プライムポリマー社製)の量を0.7質量部とし、メルトフローレートが3.0g/10分のポリプロピレン(VP103W;プライムポリマー社製)の量を2.4質量部とし、マレイン酸変性ポリプロピレンおよびステアリン酸亜鉛を使用しなかった以外は、混練2−1と同様に行った。
混練2−9で得られた熱可塑性エラストマー組成物2−9を用いて、実施例1−1と同様に各種物性を評価した。結果を表3に示す。
[比較例2−1−A]
混練2−9で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100質量部当たり、発泡剤(重曹系EE385;永和化成社製)3.5質量部、および発泡核剤としてステアリン酸カルシウム(三共有機合成社製)0.1質量部をドライブレンドし、実施例2−1と同様にして丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)。
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[比較例2−1−B]
比較例2−1−Aにおいて、発泡剤を4.5質量部とした以外は、比較例2−1−Aと同様にして丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)。
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
[比較例1−2]
<混練2−10>熱可塑性エラストマー組成物2−10の調製(表2参照)
混練2−1において、ポリプロピレンB241(三井化学社製)0.6質量部およびポリプロピレンVP103W(プライムポリマー社製)1.9質量部の代わりに、メルトフローレートが7.0g/10分のポリプロピレン(プロピレン系共重合体、F744NP;プライムポリマー社製)3.1質量部を用い、マレイン酸変性ポリプロピレンおよびステアリン酸亜鉛を使用しなかった以外は、混練2−1と同様に行った。
混練2−10で得られた熱可塑性エラストマー組成物2−10を用いて、実施例1−1と同様に各種物性を評価した。結果を表3に示す。
[比較例2−2]
混練2−10得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100質量部当たり、発泡剤(重曹系EE385;永和化成社製)3.5質量部、および発泡核剤としてステアリン酸カルシウム(三共有機合成社製)0.1質量部をドライブレンドし、実施例2−1と同様にして丸一形状の発泡成形体を得た(表4参照)。
ここで得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を表5に示す。
Figure 0005361779
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なお、表2中、PPはポリプロピレンを表し、EBRはエチレン・ブテン共重合体を表す。

Claims (15)

  1. 少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、
    非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、
    官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物と
    を含む熱可塑性エラストマー組成物であって、
    該官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)が、マレイン酸変性プロピレン単独重合体、マレイン酸変性プロピレン系共重合体およびマレイン酸変性エチレン系共重合体から選ばれる少なくとも一種のオレフィン系樹脂であって、
    該熱可塑性エラストマー組成物が海島構造を有し、オレフィン系ゴム(A)を含む島相が、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを含む海相に分散していることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)100質量部に対して、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)とが合計で2〜200質量部の量で含まれ、
    官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)との合計を100質量部としたときに、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物が1〜99質量部の量で、非架橋型オレフィン系樹脂(B)が1〜99質量部の量で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)が、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンと非共役ポリエンとから得られるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム、およびエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとから得られるエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムから選ばれる少なくとも一種のオレフィン系ゴム(A1)を架橋して得られ、
    非架橋型オレフィン系樹脂(B)が、プロピレン単独重合体、プロピレン系共重合体、およびエチレン系共重合体から選ばれる少なくとも一種のオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 軟化剤(H)をさらに含み、該軟化剤(H)が、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物との合計100質量部に対して1〜200質量部の量で含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. フッ素樹脂(J)をさらに含み、該フッ素樹脂(J)が、少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物との合計100質量部に対して0.05〜20質量部の量で含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. オレフィン系ゴム(A1)を架橋するための架橋剤(D)の存在下に、オレフィン系ゴム(A1)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを動的に熱処理し、オレフィン系ゴム(A1)を少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)とし、
    少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを含む動的熱処理物を製造する工程[I]と、
    工程[I]で得られた動的熱処理物と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)と、オレフィン系樹脂(C1)の官能基と反応しうる金属化合物(E)とを混練し、
    少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、
    該官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)が、マレイン酸変性プロピレン単独重合体、マレイン酸変性プロピレン系共重合体およびマレイン酸変性エチレン系共重合体から選ばれる少なくとも一種のオレフィン系樹脂であって、
    該熱可塑性エラストマー組成物が海島構造を有し、オレフィン系ゴム(A)を含む島相が、オレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを含む海相に分散している熱可塑性エラストマー組成物を製造する工程[II]とから得られることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  7. オレフィン系ゴム(A1)を架橋するための架橋剤(D)の存在下に、オレフィン系ゴム(A1)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを動的に熱処理し、オレフィン系ゴム(A1)を少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)とし、
    少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを含む動的熱処理物を製造する工程[I]と、
    工程[I]で得られた動的熱処理物と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)と、オレフィン系樹脂(C1)の官能基と反応しうる金属化合物(E)とを混練し、
    少なくとも一部が架橋されたオレフィン系ゴム(A)と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)と、官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物とを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、
    該官能基を有するオレフィン系樹脂(C1)が、マレイン酸変性プロピレン単独重合体、マレイン酸変性プロピレン系共重合体およびマレイン酸変性エチレン系共重合体から選ばれる少なくとも一種のオレフィン系樹脂であって、
    該熱可塑性エラストマー組成物が海島構造を有し、オレフィン系ゴム(A)を含む島相が、オレフィン系樹脂(C1)および金属化合物(E)の混練処理物と、非架橋型オレフィン系樹脂(B)とを含む海相に分散している熱可塑性エラストマー組成物を製造する工程[II]とを含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする成形体。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物と発泡剤(K)とを配合してなることを特徴とする発泡用熱可塑性エラストマー組成物。
  10. 発泡剤(K)を、熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して0.1〜30質量部の量で配合してなることを特徴とする請求項9に記載の発泡用熱可塑性エラストマー組成物。
  11. 発泡剤(K)が、無機系もしくは有機系の熱分解型化学発泡剤、または物理発泡剤であることを特徴とする請求項9または10に記載の発泡用熱可塑性エラストマー組成物。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項に記載の発泡用熱可塑性エラストマー組成物から得られることを特徴とする成形体。
  13. 請求項9〜11のいずれか一項に記載の発泡用熱可塑性エラストマー組成物から得られることを特徴とする発泡体。
  14. 請求項13に記載の発泡体からなることを特徴とする自動車部品。
  15. 請求項13に記載の発泡体からなることを特徴とする建材。
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