JP5359653B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印加した磁界により鋳型内溶鋼の流動を制御しながら溶鋼をスラブ鋳片に連続鋳造する方法に関するものである。
近年、自動車用鋼板、缶用鋼板などの高級鋼製品の品質要求が厳格化しており、鋳片段階からの高品質化が必要とされている。鋼製品の欠陥のうち、鋳片の品質に起因するものとしては、鋳片内に残留した酸化物系非金属介在物(以下、単に「介在物」と記す)や気泡が挙げられる。介在物や気泡は浸漬ノズルを通って鋳型内に流入し、それが鋳型内で浮上・分離できない場合に凝固シェルに捕捉されるが、介在物や気泡が鋳片に残留するか否かは、連続鋳造機鋳型内の溶鋼流動に影響されることが知られている。つまり、凝固シェル界面の溶鋼流速が或る値よりも速くなると、溶鋼流による洗浄効果により、介在物や気泡は凝固シェルに捕捉されずに浮上することが知られている。但し、鋳型内の溶鋼流速が余りに速くなると、鋳型内溶鋼湯面上に添加したモールドパウダーが巻き込まれ、モールドパウダー性の欠陥が発生することも知られている。そこで、従来から、鋳型内溶鋼流動を適正に制御するべく、磁界を利用した鋳型内溶鋼流動制御方法が多数提案されている。
例えば、特許文献1には、高周波または低周波の交番磁界発生コイルを用いて連続鋳造用鋳型内の溶鋼に交番磁界を印加しつつ浸漬ノズルを通して該鋳型内に溶鋼を供給して連続鋳造を行うにあたり、交番磁界と同時に超電導コイルを用いて静磁場を印加することを特徴とする鋼の連続鋳造方法が提案されている。
特許文献2には、鋳型内の溶融金属の湯面(メニスカス)または凝固界面の少なくとも一方付近に、水平方向の直流磁束を発生させる直流磁束発生手段と、前記直流磁束発生手段により発生された直流磁束との相互作用により溶融金属内に交番電磁力を惹起する交流渦電流を発生させる交流渦電流発生手段と、を具備する溶融金属の連続鋳造装置が提案されている。
特許文献3には、溶融金属を所望の形状に鋳造するための鋳型と、該鋳型に溶融金属を供給するための手段と、前記溶融金属に鋳型の内側方向に向いた力を発生させる変動磁場を印加するための、前記鋳型の外周を囲むコイルを有し、該コイルに交流が加えられるように構成されている第一の構造部分と、鋳型を挟んで相対して設けられた少なくとも2つの磁極を有し、当該磁極は鋳型内の溶融金属に静磁場または定期的低周波磁場を供給するように構成されている第二の構造部分と、を備えた金属材料の連続鋳造装置が提案されている。
特許文献4には、一対の鋳型短辺と一対の鋳型長辺とからなる連続鋳造用鋳型の鋳型長辺の背面下方部に、浸漬ノズルからの吐出流を減速するための直流静磁界発生磁極を配置するとともに、鋳型長辺の背面上方部に、鋳型内溶鋼を水平方向に旋回攪拌するための交流移動磁界発生装置を配置した鋳型内流動制御装置が提案されている。
また、特許文献5には、浸漬ノズルの吐出孔より上側と下側に鋳型長辺を挟み対向する上下2段の磁極を鋳型長辺背面に配置し、これら磁極にて磁界を印加して鋳型内溶鋼の流動を制御する鋼の連続鋳造方法において、上側に配置した磁極にて印加する磁界が直流静磁界と交流移動磁界とが重畳された磁界であり、且つ、下側に配置した磁極にて印加する磁界が直流静磁界であることを特徴とする鋼の連続鋳造方法が提案されている。
特開平10−99948号公報 特開2000−343181号公報 特表2003−535701号公報 特開昭63−119959号公報 特開平10−305353号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
特許文献1及び特許文献2は、鋳型内湯面位置の溶鋼に鋳型内側を向いた力を作用させると同時に、鋳型内溶鋼に直流静磁界を印加して溶鋼流速を制動(減速)する技術であり、凝固シェル界面での溶鋼流速を所定値以上に確保することはできない。つまり、介在物及び気泡の凝固シェルへの捕捉を安定して防止することはできない。
特許文献3における第二の構造部分が、鋳型内溶鋼を水平方向に旋回攪拌するように定期的低周波磁場を供給したときの特許文献3、並びに、鋳型内溶鋼を水平方向に旋回攪拌する、特許文献4及び特許文献5では、凝固シェル界面での溶鋼流速を確保することができるので、介在物や気泡の凝固シェルへの捕捉を防止することが可能となる。
しかしながら、鋳型内溶鋼を水平方向に旋回攪拌すると、移動磁界によって鋳片の長辺面側で生成した溶鋼流は、鋳片短辺面側に到達したときに短辺面が狭いことに起因して円滑に旋回せず、溶鋼流動方向下流側の短辺面或いはそこと交差する長辺面側コーナー部に衝突したり、浸漬ノズルからの吐出流が短辺面に衝突して生成した上昇流或いは下降流と衝突したりする。これらにより、凝固シェルの凝固遅れや再溶解が発生し、凝固シェル厚みが他の部分よりも薄くなり、この部分が溶鋼静圧に耐えられなくなることで、ブレークアウトにつながる危険性がある。高い表面品質を要求される鋼種の鋳造時や高速鋳造時に、浸漬ノズルからの吐出流の影響を小さくするべく交流移動磁界の強度を高めた場合には、より一層ブレークアウトの危険性が高まる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、移動磁界によって鋳型内溶鋼を水平方向に旋回攪拌しながらスラブ鋳片を連続鋳造するにあたり、スラブ鋳片のコーナー近傍の凝固シェル厚みを、移動磁界を印加しない場合と同等の厚みに制御することのできる、鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、一対の鋳型短辺と一対の鋳型長辺とを有する連続鋳造用鋳型の鋳型長辺背面に相対して配置した移動磁界発生磁極にて移動磁界を印加して鋳型内溶鋼に水平方向の旋回流を生起させながら溶鋼をスラブ鋳片に鋳造するにあたり、前記鋳型長辺背面の前記移動磁界発生磁極の設置位置と鋳造方向同一位置に相対して配置した第1の静磁界発生磁極にて鋳型長辺を貫通する静磁界を印加して鋳型内溶鋼に制動力を付与するとともに、前記移動磁界発生磁極の設置位置と鋳造方向同一位置の鋳型短辺背面に第2の静磁界発生磁極を配置し、第2の静磁界発生磁極と前記第1の静磁界発生磁極との間で鋳型内溶鋼を貫通するように静磁界を印加することを特徴とするものである。
第2の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1の発明において、前記第2の静磁界発生磁極は、前記鋳型短辺と同調して移動するように配置されていることを特徴とするものである。
第3の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1または第2の発明において、前記第2の静磁界発生磁極からの磁束のうちの、鋳型内溶鋼を経由しない磁束を遮断するための磁界遮断物体が配置されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、鋳型短辺背面に配置した第2の静磁界発生磁極から印加される静磁界によって鋳型短辺近傍の溶鋼流速が減速されるので、鋳型短辺近傍の凝固シェルの凝固遅れや再溶解が抑制され、スラブ鋳片のコーナー近傍の凝固シェル厚みは、移動磁界を印加しない場合と同等の厚みに維持される。その結果、ブレークアウトが発生する危険性を回避した状態で介在物や気泡の凝固シェルへの捕捉を防止することができ、連続鋳造操業の安定性のみならず高品質の鋳片を鋳造可能となり、工業上有益な効果がもたらされる。
本発明を適用したスラブ連続鋳造機の鋳型部位の概略側面図である。 本発明を適用したスラブ連続鋳造機の鋳型部位の概略平面図である。 本発明を適用したスラブ連続鋳造機において、第1の静磁界発生磁極と第2の静磁界発生磁極との間に磁界遮断物体を配置した例を示す概略平面図である。 本発明を適用した他のスラブ連続鋳造機の鋳型部位の概略平面図である。 鋳片の凝固シェル厚みを測定したA〜Cの3箇所を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
交流移動磁界などによって鋳型内の溶鋼を水平方向に旋回攪拌する場合に発生する、鋳型短辺近傍の鋳片凝固シェルの凝固遅れや再溶解を抑制することを目的として様々な手法を検討した。その結果、鋳型内の溶鋼を水平方向に旋回攪拌した場合にスラブ鋳片の凝固シェル厚みが薄くなる箇所は鋳片のコーナー近傍であることから、鋳片のコーナー近傍に静磁界を印加することで上記課題は解消されるとの考えに至った。静磁界は、溶鋼の流動方向が何れであれ、流動する溶鋼に制動力を付与する。
先ず、鋳型長辺を挟んで相対する静磁界発生磁極によって静磁界を印加することを検討した。しかし、この方法では、移動磁界による溶鋼流動が制動されて、コーナー近傍の凝固シェル厚みが薄くなることは抑制できるが、コーナー近傍全体の溶鋼流動が制動されるために、移動磁界による凝固界面の洗浄効果が低下して、その部位の鋳片品質が悪化することが判明した。
そこで、鋳型長辺の背面のみならず、鋳型短辺の背面にも静磁界発生磁極を配置し、これらの静磁界発生磁極から静磁界を印加することを検討した。この場合、2つの静磁界発生磁極を区別するために、鋳型長辺の背面に配置した静磁界発生磁極を第1の静磁界発生磁極と称し、一方、鋳型短辺の背面に配置した静磁界発生磁極を第2の静磁界発生磁極と称す。基本的に、相対する第1の静磁界発生磁極同士が鉄心を介してつながり、また、相対する第2の静磁界発生磁極同士が鉄心を介してつながるように構成され、相対する磁極が異極となる。但し、相対する磁極同士を、鉄心を介してつながなくても異極とすることはできるので(それぞれを独立した電磁石とする)、必ずしもつなぐ必要はない。
第1の静磁界発生磁極は、鋳型長辺を挟んで相対する磁極同士で極性が異なる(一方がN極なら他方はS極)ことから、第1の静磁界発生磁極から発生する磁束は鋳型長辺を貫通し、鋳型内の溶鋼に印加される。一方、第2の静磁界発生磁極同士も鋳型短辺を挟んで相対する磁極同士で極性が異なるものの、スラブ鋳片用の鋳型であることから、第2の静磁界発生磁極同士の相対する距離が長く、逆に、第1の静磁界発生磁極の方が相対する第2の静磁界発生磁極よりも近い距離にあり、従って、第2の静磁界発生磁極は、主に、第2の静磁界発生磁極の極性とは異なる極性の第1の静磁界発生磁極との間に磁束が発生する。
即ち、第1の静磁界発生磁極と第2の静磁界発生磁極との間の磁束が、鋳型短辺に衝突する直前の溶鋼流に優先的に印加されるように第1の静磁界発生磁極及び第2の静磁界発生磁極を調整する、或いは、鋳片コーナー部の凝固シェルが薄くなりやすい箇所に優先的に印加されるように、第1の静磁界発生磁極及び第2の静磁界発生磁極を調整すれば、鋳片コーナー部の凝固シェルの凝固遅れや再溶解が抑制されることが分かった。この場合、他の部位では静磁界を過剰に強くする必要はなく、移動磁場による洗浄効果を十分に得られることも確認できた。尚、極性が同一である第1の静磁界発生磁極と第2の静磁界発生磁極との間には磁束は発生せず、これによる制動力も発生しない。
鋳型短辺に衝突する直前の溶鋼流に優先的に静磁界が印加されるようにする場合には、この部位に第1の静磁界発生磁極と第2の静磁界発生磁極との間の磁束が優先的に印加されるように極性を決めればよい。また、鋳片コーナー部の凝固シェルが薄くなりやすい箇所は、鋳型短辺の、鋳型内にて水平方向に旋回攪拌される溶鋼流動方向下流側の部位、及び、そこと交差する鋳型長辺コーナー部であるので、この部位に第1の静磁界発生磁極と第2の静磁界発生磁極との間の磁束が優先的に印加されるように極性を決めればよい。
ところで、スラブ連続鋳造機においては、鋳型短辺が相対する鋳型長辺の内側に挟持された状態で移動して、鋳造される鋳片の幅が変更される。第2の静磁界発生磁極が鋳型短辺と同調して移動しないと鋳造される鋳片の短辺面と第2の静磁界発生磁極との距離が大きくなり、第2の静磁界発生磁極からの磁束が鋳型内の溶鋼に有効に印加されなくなるので、第2の静磁界発生磁極は鋳型短辺と同調して移動するように設置することが好ましい。鋳型短辺の背面に固定配置することで、この目的をなすことができる。また、第1の静磁界発生磁極と第2の静磁界発生磁極との間の磁束が鋳型の外部を通ると非効率であるので、その部位に磁界を遮断する物体を配置することが好ましい。磁界を遮断する物体としては、珪素鋼、電磁純鉄などが好適である。また、可能ならば第1の静磁界発生磁極の鉄心が鋳片の幅よりも内側になるようにすればより好ましい。
本発明は、上記検討結果に基づきなされたものであり、一対の鋳型短辺と一対の鋳型長辺とを有する連続鋳造用鋳型の鋳型長辺背面に相対して配置した移動磁界発生磁極にて移動磁界を印加して鋳型内溶鋼に水平方向の旋回流を生起させながら溶鋼をスラブ鋳片に鋳造するにあたり、前記鋳型長辺背面の前記移動磁界発生磁極の設置位置と鋳造方向同一位置に相対して配置した第1の静磁界発生磁極にて鋳型長辺を貫通する静磁界を印加して鋳型内溶鋼に制動力を付与するとともに、前記移動磁界発生磁極の設置位置と鋳造方向同一位置の鋳型短辺背面に第2の静磁界発生磁極を配置し、第2の静磁界発生磁極と前記第1の静磁界発生磁極との間で鋳型内溶鋼を貫通するように静磁界を印加することを特徴とする。
以下、図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1及び図2は、本発明を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部位の概略図であり、図1は概略側面図、図2は概略平面図である。
図1及び図2において、相対する鋳型長辺2と、この鋳型長辺2の内側に挟持された、相対する鋳型短辺3とで、内面空間の水平断面が矩形の鋳型1が構成されており、鋳型長辺2と鋳型短辺3とに囲まれて形成される鋳型1の内面空間の所定位置に、鋳型1の上方所定位置に配置されるタンディッシュ(図示せず)の底部に取り付けられた浸漬ノズル4が挿入されている。浸漬ノズル4の下部には、溶鋼9を鋳型短辺3の方向に向かって吐出するための一対の吐出孔5が備えられている。鋳型短辺3は、鋳型長辺2の内側で移動可能であり、鋳型短辺3が所定位置に設置されることで、鋳造される鋳片の幅が決定する。
鋳型長辺2の背面には、鋳型長辺2のほぼ全幅にわたって、鋳型内溶鋼湯面11の領域で鋳型内の溶鋼9に水平方向の旋回流を形成するための移動磁界発生磁極6が、その鋳造方向の中心位置を吐出孔5よりも鋳造方向上流側として、鋳型長辺2を挟んで相対して配置されている。それぞれの移動磁界発生磁極6は交流電源(図示せず)と結線されており、交流電源から供給される電力により発生する移動磁界により、溶鋼9は鋳型内で水平方向に旋回するように攪拌される。溶鋼9を鋳型内で水平方向に旋回するには、相対する移動磁界発生磁極6の磁界の移動方法を逆向きとすればよい。図2に示す矢印は溶鋼9の旋回方向である。もちろん、図2とは反対方向に旋回させてもなんら問題ない。
この移動磁界発生磁極6の背面には、鋳型内の溶鋼9に直流静磁界を印加するための第1の静磁界発生磁極7が、鋳型長辺2を挟んで相対して配置されている。相対する第1の静磁界発生磁極7の一方がN極であり他方がS極である。このようにして第1の静磁界発生磁極7を配置することで、鋳型長辺2を貫通する静磁界が鋳型内溶鋼に印加される。この場合、どちらがN極であっても構わない。
また、鋳型短辺3の背面には、移動磁界発生磁極6の設置位置と鋳造方向同一位置に、鋳型内の溶鋼9に直流静磁界を印加するための第2の静磁界発生磁極8が鋳型短辺3を挟んで相対して配置されている。相対する第2の静磁界発生磁極8の一方をN極とし他方をS極とする。但し、相対する第2の静磁界発生磁極同士では静磁界の磁束ループを形成せず、それぞれの第2の静磁界発生磁極8の近傍に配置された、極性の異なる第1の静磁界発生磁極7とで静磁界の磁束ループを形成する。
従って、図2において、溶鋼9の旋回流が鋳型短辺3に衝突する直前の部位に静磁界を優先的に印加しようとする場合には、旋回流の上流側(図2において第2の静磁界発生磁極8の右側に相当)に配置された第1の静磁界発生磁極7との間で静磁界の磁束ループを形成するように、第2の静磁界発生磁極8の極性を旋回流の上流側に配置された静磁界発生磁極7と異なる極性とし、一方、鋳片コーナー部の凝固シェル12が薄くなりやすい箇所は、前述したように、鋳型短辺3の旋回攪拌方向下流側の部位、及び、そこと交差する鋳片長辺コーナー部であるので、この部位に静磁界を優先的に印加しようとする場合には、第2の静磁界発生磁極8の極性を旋回流の下流側(図2において第2の静磁界発生磁極8の左側に相当)に配置された静磁界発生磁極7と異なる極性とする。
本発明においては、このように構成されるスラブ連続鋳造機を用い、タンディッシュ内の溶鋼9を、吐出孔5を介して鋳型短辺3を向いた吐出流10として鋳型1に注入する。注入された溶鋼9は、鋳型長辺2及び鋳型短辺3により冷却されて凝固シェル12を形成する。そして、鋳型内溶鋼湯面11の位置をほぼ一定位置として凝固シェル12を鋳型1の下方に連続的に引き抜き、連続鋳造を実施する。鋳型内溶鋼湯面11にはモールドパウダー13を添加する。この連続鋳造において、移動磁界発生磁極6にて交流移動磁界を印加して溶鋼9を旋回攪拌するととともに、第1の静磁界発生磁極7及び第2の静磁界発生磁極8にて直流静磁界を印加する。この場合、溶鋼9の旋回流速は0.1〜0.4m/秒程度になるようにすればよい。
この場合、静磁界による制動力を効率的に得るために、図3に示すように、第1の静磁界発生磁極7と第2の静磁界発生磁極8との間に磁界遮断物体14を配置することが好ましい。磁界遮断物体14を配置することにより、鋳型1の外側を通る静磁界磁束が少なくなり、鋳型内の溶鋼9に優先的に静磁界が印加される。また、必要な制動力が得られるのであれば、第1の静磁界発生磁極7を、図4に示すように、鋳片のコーナー部近傍のみに配置しても構わない。但し、この場合、鋳造される鋳片の幅は変化するので、鋳片の幅に応じて第1の静磁界発生磁極7の設置位置を変更するか、或いは、鋳造される鋳片の最小幅から最大幅までのコーナー部をカバーするだけの長さを有することが好ましい。
尚、図1に示す連続鋳造機では、鋳片の表層部で凝固シェル界面の洗浄効果を得るべく、鋳型1の上部に移動磁界発生磁極6、第1の静磁界発生磁極7及び第2の静磁界発生磁極8を配置し、鋳型内溶鋼湯面11の近傍で溶鋼9の旋回流を形成させているが、鋳片の表層部よりも内部で洗浄効果を得たいときには、移動磁界発生磁極6、第1の静磁界発生磁極7及び第2の静磁界発生磁極8を吐出孔5よりも下方に配置すればよい。また、図1に示す連続鋳造機において、鋳型1の中部或いは下部に更に移動磁界発生磁極や静磁界発生磁極を配置することも可能である。磁極を多段に配置することでより一層鋳片品質を向上させることが可能となる。
このように、本発明によれば、鋳型短辺背面に配置した第2の静磁界発生磁極8から印加される静磁界によって鋳型短辺近傍の溶鋼流速が減速されるので、鋳型短辺近傍の凝固シェル12の凝固遅れや再溶解が抑制され、スラブ鋳片のコーナー近傍の凝固シェル厚みは、移動磁界を印加しない場合と同等の厚みに維持される。その結果、ブレークアウトが発生する危険性を回避した状態で介在物や気泡の凝固シェル12への捕捉を防止することが実現される。
幅1200〜1800mm、厚み250mmのスラブ鋳片を鋳造可能な、図1及び図2に示す連続鋳造機を用い、炭素含有量が30ppm以下の極低炭素鋼を鋳造した。溶鋼鋳造量は5〜6トン/分とした。第1の静磁界発生磁極は、鋳片の幅方向全体に均一に静磁界を印加できる全幅型であり、第2の静磁界発生磁極は、極性を適宜変更できるようにしたものである。表1に、鋳造時の移動磁界及び静磁界の強度を示す。
Figure 0005359653
表1中の移動磁界強度の欄の数値は、鋳片1/4幅位置での凝固界面にて必要な洗浄効果が得られる磁界強度を理論計算で算出し、その値を100%として指数化したものである。また、表1中の静磁界鋳型長辺の欄の数値は、移動磁界強度が100%のときに製品の表面欠陥部にモールドパウダーが検出されなかったときの磁界強度を100%として指数化したものである。第2の静磁界発生磁極は、静磁界を印加しない場合に凝固シェル厚みが薄くなる、鋳型短辺の旋回攪拌方向下流側の部位及びそこと交差する鋳片長辺コーナー部に優先的に静磁界が印加されるように極性を設定した。
得られた鋳片から試料を切り出し、図5に示す鋳片コーナー部のA、B、Cの3箇所の位置で凝固シェル厚みを測定した。具体的には、切り出した試料を鏡面研磨し、エッチング処理して凝固組織を現出させ、攪拌によって生ずるホワイトバンドと鋳片表面との間の距離を凝固シェル厚みとして評価した。また、鋳片を圧延し、圧延後の薄鋼板の表面欠陥発生率を調査した。凝固シェル厚及び薄鋼板の表面欠陥発生率は、移動磁界及び静磁界ともに印加しないときの結果を1.0として指数化して評価した。調査結果を、上記表1に合わせて示す。
表1に示すように、本発明例は、移動磁界及び静磁界ともに印加しない比較例1に比べて、優れた表面品質を達成しつつ凝固シェル厚みが確保された。これに対して、鋳型短辺に静磁界を印加しない比較例2〜5では、表面品質は良好であったが、凝固シェル厚みの薄い部分があり、ブレークアウトの危険性が懸念された。また、凝固シェル厚みを確保するために移動磁界の強度を下げた比較例6では、洗浄効果が低下し表面品質が悪化した。
1 鋳型
2 鋳型長辺
3 鋳型短辺
4 浸漬ノズル
5 吐出孔
6 移動磁界発生磁極
7 第1の静磁界発生磁極
8 第2の静磁界発生磁極
9 溶鋼
10 吐出流
11 鋳型内溶鋼湯面
12 凝固シェル
13 モールドパウダー
14 磁界遮断物体

Claims (3)

  1. 一対の鋳型短辺と一対の鋳型長辺とを有する連続鋳造用鋳型の鋳型長辺背面に相対して配置した移動磁界発生磁極にて移動磁界を印加して鋳型内溶鋼に水平方向の旋回流を生起させながら溶鋼をスラブ鋳片に鋳造するにあたり、前記鋳型長辺背面の前記移動磁界発生磁極の設置位置と鋳造方向同一位置に相対して配置した第1の静磁界発生磁極にて鋳型長辺を貫通する静磁界を印加して鋳型内溶鋼に制動力を付与するとともに、前記移動磁界発生磁極の設置位置と鋳造方向同一位置の鋳型短辺背面に第2の静磁界発生磁極を配置し、第2の静磁界発生磁極と前記第1の静磁界発生磁極との間で鋳型内溶鋼を貫通するように静磁界を印加することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
  2. 前記第2の静磁界発生磁極は、前記鋳型短辺と同調して移動するように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. 前記第2の静磁界発生磁極からの磁束のうちの、鋳型内溶鋼を経由しない磁束を遮断するための磁界遮断物体が配置されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の鋼の連続鋳造方法。
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