先ず、図1及び図2を参照しつつ、本発明である伝送装置を備えた伝送システムについて説明する。図1は本発明である伝送装置を備えた伝送システムの構成図であり、図2は図1における自装置−対向装置間の詳細な構成図である。
図1に示されているように、伝送システム100においては、自装置10と対向装置20とが現用系及び予備系からなる同期デジタルハイアラーキ(SDH:Synchronous Digital Hierarchy)伝送路30によって接続されている。自装置10及び対向装置20のそれぞれは、IP伝送路(IP網)40を介して複数のIP装置50に接続されている。
図2に示されているように、自装置10は、0系装置群11、1系装置群12及び制御装置13から構成されている。0系装置群11は、IP over SDH技術が搭載された伝送装置であるSDH装置11a、レイヤスリースイッチ(L3SW)11b及びIP装置11cから構成されている。1系装置群12は0系装置群と同様に、IP over SDH技術が搭載された伝送装置であるSDH装置12a、レイヤスリースイッチ(L3SW)12b及びIP装置12cから構成されている。自装置10内において、制御装置13はSDH装置11a、L3SW11b、IP装置11c、SDH装置12a、L3SW12b及びIP装置12cと双方向に接続されている。制御装置13は、接続された各装置に対して制御コマンドを供給し、各装置から供給される当該制御コマンドの応答を受信する。更に、制御装置13は、SDH伝送路30における伝送路故障を検出したり、SDH装置11aに伝送路を強制的に切替える制御信号を供給する。
また、SDH装置11a及びL3SW11b、L3SW11b及びIP装置11c、SDH装置12a及びL3SW12b、L3SW12b及びIP装置12cが双方向に接続されている。更に、SDH装置11a、12a同士、L3SW11b、12b同士も双方向に接続されている。IP装置11c、12cは、図1のIP伝送路40によってIP装置50と双方向に接続されている。対向装置20についても自装置10と同一の構成であるので、その構成の説明は省略する。
SDH装置11aは、SDH伝送路30によってSDH装置21aと双方向に接続されている。これによって、自装置10の0系装置群11と対向装置20の0系装置群21とが双方向に接続されている。また、SDH装置12aは、SDH伝送路30を介してSDH装置22aと双方向に接続されている。これによって、自装置10の1系装置群12と対向装置20の1系装置群22とが双方向に接続されている。このような伝送構造を用いることにより、0系/1系の1+1冗長系を構成することができる。
次に、0系装置群11が選択系(ACT系)であり、1系装置群12が非選択系(SBY系)である場合の自装置10の動作について図2乃至図4を参照しつつ説明する。
先ず、対向装置20から自装置10にSDHフレームが供給される場合(自装置10の受信時)について図2及び図3を参照しつつ説明する。対向装置20の0系装置群21及び1系装置群22からSDH伝送路30を介して供給されるSDHフレームをSDH装置11a及びSDH装置12aが受信する(ステップS1)。SDH装置11a、12aは、SDHフレームに収容されているIPパケットを抽出する(ステップS2)。ACT系であるSDH装置11aからL3SW11bにIPパケットが供給され、SBY系であるSDH装置12aで抽出されたIPパケットは廃棄される(ステップS3)。ここで、伝送システム10は1+1冗長系の構成であることから、0系装置群11及び1系装置群12に同等の情報を伝送する必要がある。このため、L3SW12bには、L3SW11bからIPパケットが供給される(ステップS4)。L3SW11b、12bからIP装置11c、12cにIPパケットが供給される(ステップS5)。更に、IP装置11c、12cは、IP伝送路40を介して接続されたIP装置50にIPパケットを供給する(ステップS6)。
次に、自装置10から対向装置20にSDHフレームが供給される場合(自装置10の送信時)について図2及び図4を参照しつつ説明する。IP伝送路40を介してIP装置11c、12cのそれぞれに接続されたIP装置50からIP装置11c、12cのそれぞれに、IPパケットが供給される(ステップS11)。IP装置11c、12cのそれぞれからL3SW11b、12bにIPパケットが供給される(ステップS12)。更に、L3SW11b、12bのそれぞれからSDH装置11a、12aにIPパケットが供給される(ステップS13)。SDH装置11a、12aは、供給されたIPパケットをSDHフレーム内に収納する(ステップS14)。SDH装置11a、12aは、SDHフレームをSDH伝送路30を介して対向装置20のSDH装置21a、22aに供給する(ステップS15)。なお、自装置10から対向装置20にSDHフレームを供給する場合には、自装置10においてIPパケットが廃棄されることはなく、対向装置20の受信行程中に、SBY系の装置群においてIPパケットが廃棄される。
次に、本発明の伝送装置であるSDH装置の構成及び動作について図5を参照しつつ説明する。図5は、自装置10の0系装置群11のSDH装置11aの構成図を示している。なお、SDH装置12a、21a、22aについても同一の構成であるので、その説明は省略する。
図5に示されているように、SDH装置11aは、受信光モジュール51、シリアル・パラレル変換部(S/P部)52、セクション処理部53、パス処理部54、IPパケット抽出部55、K1/K2抽出部56、自動保護スイッチ(APS:Automatic Protection Switch)切替処理部57、IPパケット挿入部58、ルーティング情報判定部59、K1/K2生成部61、パス処理部62、セクション処理部63、パラレル・シリアル変換部(P/S部)64、送信光モジュール65から構成されている。また、APS切替処理部57は、経路切替(RS:Routing Switch)判定部57aを含んでいる。
受信光モジュール51は、対向装置20から供給されるSDHフレームを受信する。また、受信光モジュール51は、光信号状態で受信したSDHフレームを電気信号状態に変換する。更に、受信光モジュール51は、電気信号状態に変換されたSDHフレームをS/P部52に供給する。
S/P部52は、SDHフレームをシリアルからパラレルに変換する。また、S/P部52は、パラレルに変換したSDHフレームをセクション処理部53に供給する。
セクション処理部53は、SDHフレームのセクションオーバヘッド(SOH:Section Over-head)を抽出する。また、セクション処理部53は、SOHの各バイトに対応した処理(すなわち、SOH処理)を実行する。更に、セクション処理部53は、SDHフレームをパス処理部54に供給し、抽出したSOHをK1/K2抽出部56に供給する。
パス処理部54は、SDHフレームからパスオーバヘッド(POH:Path Over-head)を抽出する。また、パス処理部54は、POHの各バイトに対応した処理を実行する。更に、パス処理部54は、SDHフレームをIPパケット抽出部55に供給する。
IPパケット抽出部55は、SDHフレームからIPパケットを抽出する。また、IPパケット抽出部55は、IPパケットをIPルーティング・プロトコル・パケットと、それ以外のパケットとに分類する。例えば、IPルーティング・プロトコル・パケットとは、ルーティング更新情報又はHelloパケット等の正常な動作状態にあるか否かの確認情報である。分類には、実装するIPルーティング・プロトコロルに応じて、IPプロトコルID、TCP/UDPポート番号が用いられる。
自律システム(AS:Autonomous System)内で動作する内部ゲートウェイプロトコル(IGPs:Interior Gateway Protocols)の場合における、IPルーティング・プロトコルとしては、ルーティング・インフォメーション・プロトコル(RIP:Routing Information Protocol)又はオープン・ショーテスト・パス・ファースト(OSPF:Open Shortest Path First)がある。自律システム(AS)間で動作する外部ゲートウェイプロトコル(EGPs:Exterior Gateway Protocols)の場合における、IPルーティング・プロトコルとしては、エクステリア・ゲートウェイ・プロトコル(EGP:Exterior Gateway Protocol)又はボーダ・ゲートウェイ・プロトコル(BGP:Border Gateway Protocol)がある。
IPパケット抽出部55は、SDH装置11aがACT系である場合(すなわち、0系装置群11がACT系の場合)に、IPルーティング・プロトコル・パケット以外のパケットを供給するが、SDH装置11aがSBY系の場合(すなわち、1系装置群12がACT系の場合)に、IPルーティング・プロトコル・パケット以外のパケットをL3SW11bに供給しない(廃棄する)。
また、IPパケット抽出部55は、SDH伝送路30における0系装置群11の伝送路距離、0系装置群11と0系装置群21との間に存在する光中継装置の処理効率(処理速度)や光中継装置の台数等を考慮し、実装するIPルーティング・プロトコルのメトリック値を設定する。IPパケット抽出部55は、メトリック値の設定されたIPルーティング・プロトコル・パケットをL3SW11bに供給(送出)する。かかる供給は、SDH装置11aがACT系又はSBY系のいずれであっても行われる。かかるIPパケット抽出部55の動作により、L3SW11bは、IPルーティング・プロトコル・パケットをACT系及びSBY系の両方(すなわち、SDH装置11a、12a)から得ることができ、かかる2種類のIPルーティング・プロトコル・パケットから経路情報の判定を行うことができる。
K1/K2抽出部56は、セクション処理部53から供給されるSOHからK1バイト及びK2バイトを抽出する。また、K1/K2抽出部56は、K1バイト及びK2バイト(以下、両バイトを含めてAPSバイトとも称する)をAPS切替処理部57に供給する。なお、APSバイトの抽出はSOH処理の一部とする。
IPパケット挿入部58は、L3SW11bからIPパケットを受信する。IPパケット挿入部58は、IPパケットをSDHフレームに収納する。また、IPパケット挿入部58は、IPパケットをIPルーティング・プロトコル・パケットと、それ以外のパケットとに分類する。分類の方法は、IPパケット抽出部55における分類と同様であるため、その説明は省略する。IPパケット挿入部58は、IPルーティング・プロトコル・パケットのみをルーティング情報判定部59に供給する。また、IPパケット挿入部58は、IPパケットが挿入されたSDHフレームをパス処理部62に供給する。
ルーティング情報判定部59は、実装されるIPルーティング・プロトコルに基づき、供給されたIPルーティング・プロトコル・パケットを解読する。更に、ルーティング情報判定部59は、かかる解読からSDH伝送路30の経路情報の更新をすべきか否か(ルーティング・テーブルの更新をすべきか否か)を判定する。ルーティング情報判定部59は、ルーティング・テーブルの更新をすべきか否かを表わす第1のフラグ信号(FLAGrchg)を生成し、かかる第1のフラグ信号をRS判定部57aに供給する。
APS切替処理部57は、K1/K2抽出部56から供給されるK1バイト及びK2バイトによって表わされる切替要求の内容を把握する。内容の把握詳細については、後述するK1バイト及びK2バイトのビット割付けとともに説明する。また、APS切替処理部57は、制御装置13から供給される強制切替及び切替解除コマンドに対し、当該強制切替及び切替解除コマンドが正常終了したか又は異常終了したかの返答を行う。
また、APS切替処理部57は、RS判定部57aを含んでいる。RS判定部57aは、第1のフラグ信号に基づいて、SDH装置11aを現用系から予備系に切替える必要があるか否かを判定する。RS判定部57aは、当該切替又は非切替を表わす第2のフラグ信号(FLAGsw)を生成する。
APS切替処理部57は、RS判定部57aで生成された第2のフラグ信号、現状のルーティング・テーブル、制御装置13からの強制切替/切替解除コマンド及び供給されるAPSバイトを考慮し、対向装置20に供給する切替要求の内容を判定する(すなわち、現用系及び予備系のいずれかを選択するかを判断する)。
また、APS切替処理部57には、1系装置群12のSDH装置12a内で抽出されたAPSバイトが供給される場合があり、APS切替処理部57は、SDH装置12aから供給されるAPSバイトを使用して、上記処理を行うこともある。また、APS切替処理部57は、K1/K2抽出部56で抽出されたAPSバイトをSDH装置12aに供給することもある。
APS切替処理部57は、上記方法によって決定したAPSバイトの情報(すなわち、現用系及び予備系のいずれかを選択することを表わす選択情報)をK1/K2生成部61に供給する。なお、APS切替処理部57における伝送路切替処理の詳細は後述する。
K1/K2生成部61は、APS切替処理部57から供給される情報に基づいて、K1バイト及びK2バイトを生成する。また、K1/K2生成部61は、K1バイト及びK2バイトをセクション処理部63に供給する。
パス処理部62は、対向装置20に供給するPOHを生成する。また、パス処理部62は、SDHフレームにPOHを挿入する。更に、パス処理部62は、POHフレームが挿入されたSDHフレームをセクション処理部63に供給する。
セクション処理部63は、K1/K2生成部61から供給されるK1バイト及びK2バイトに基づいてSOHを生成する。また、セクション処理部63は、SOHをパス処理部62から供給されるSDHフレームに挿入する。更に、セクション処理部63は、SOHが挿入されたSDHフレームをP/S部64に供給する。
P/S部64は、SDHフレームをパラレルからシリアルに変換する。また、P/S部64は、シリアルに変換したSDHフレームを送信光モジュール65に供給する。
送信光モジュール65は、P/S部64から供給される電気信号状態のSDHフレームを光信号状態に変換する。送信光モジュールは、変換したSDHフレームをSDH伝送路30を介して対向装置20に供給する。
なお、上述した、S/P部52、セクション処理部53、パス処理部54及びK1/K2抽出部56からフレーム処理部が構成されている。また、K1/K2生成部61、パス処理部62、セクション処理部63及びP/S部64から選択情報挿入部が構成されている。
次に、APS切替処理部57における切替について図6乃至図14を参照しつつ説明する。先ず、SDH装置11aにおいては、標準化された伝送路切替装置として自動保護スイッチ(APS:Automatic Protection Switch)切替が用いられており、かかるAPSを実現するためにAPS切替処理部57が設けられている。かかる切替は、SOHのAPSバイトを用いた1+1冗長系切替の制御方式であり、上りの信号と下りの信号とを対にして切替える双方向切替である。更には、故障又は切替コマンドによってSDH伝送路30を現用系である0系装置群11から予備系である1系装置群12に切替えた後に、故障回復又は切替解除コマンドによってSDH伝送路30を予備系である1系装置群12から現用系である0系装置群11に切替し直すこと(すなわち、切戻し)は行わず、切替えた(すなわち、選択した)予備系である1系装置群12を現用系として名称変更を行う。
先ず、APS切替を行うときに参照され、且つ、対向する装置に供給する切替要求を表わすAPSバイトについて、図6乃至図8を参照しつつ説明する。図6に示されているように、K1バイト及びK2バイトのそれぞれは、b1〜b8のビット列から構成されている。K1バイトにおいて、b1〜b4までのビット列は切替要求の種類を示し、b5〜b8までのビット列は切替要求を行ってきた現用伝送路の番号を示している。K2バイトにおいて、b1〜b4までのビット列は現用伝送路として使用している伝送路の番号を示し、b5は切替構成を示し、b6〜b8までのビット列は伝送路の状態を示している。
図7は、本実施例のような1+1冗長系切替の場合において、K1バイト(b1〜b4)によって示される切替要求及びその内容を表示している。K1バイト(b1〜b4)が「1110」の場合は、強制切替(FS:Forced Switch)を表わしている。その内容は、予備系が正常の場合に、外部制御により現用系のトラヒックを予備系に切替えることである。K1バイト(b1〜b4)が「1100」の場合は、自動切替−伝送路故障(SF:Siganal Fail)を表わしている。その内容は、予備系が正常の場合に、光入力断(LOS:Loss of Signal)、フレーム同期はずれ(LOF:Loss of Frame)、セクションAIS(Multiplex Section Alarm Indication Signal)及び装置内異常を検出すると現用系のトラヒックを予備系に自動的に切替えることである。K1バイト(b1〜b4)が「1010」の場合は、自動切替−品質劣化(SD:Signal Degrade)を表わしている。その内容は、予備系が正常の場合に、誤り率劣化を検出すると現用系のトラヒックを予備系に自動的に切替えることである。K1バイト(b1〜b4)が「0110」の場合は、回復待機(WR:Wait to Restore)を表わしている。その内容は、故障回復後、回復待機保護時間中に伝送路名称変更を行わないことである。なお、回復待機保護時間については、後述する。K1バイト(b1〜b4)が「0100」の場合は、経路切替(RS:Routing Switch)を表わしている。その内容は、予備系が正常の場合、IPルーティング・プロトコルによる経路切替で現用系のトラヒックを予備系に切替えることである。K1バイト(b1〜b4)が「0010」の場合は、切替応答(RR:Reverse Request)を表わしている。その内容は、対向装置側からの切替要求を受けて、対向する装置に切替を実行したことを通知することである。K1バイト(b1〜b4)が「0000」の場合は、切替なし(NB:No Bridge Required)を表わしている。より具体的には、現用系から予備系に切替える切替要求が無く現用系(0系装置群11が現用系である場合には0系装置群11)を使用し続けること、現用系である0系装置群11から予備系である1系装置群12に切替を行った後に、1系装置群12を現用系として伝送路名称変更して現用系(1系装置群12)を使用し続けること、現用系である0系装置群11から予備系である1系装置群12に切替を行った後に、ACT系のSDH伝送路を現用系である0系装置群11に切替し直して(以下、切戻しと称する)現用系(0系装置群11)を使用し続けることをいう。
図8(a)は、本実施例のような1+1冗長系切替の場合において、K1バイト(b5〜b8)によって示される内容を表示している。K1バイト(b5〜b8)が「0010」の場合は、1系が切替要求を行っていることを表わしている。K1バイト(b5〜b8)が「0001」の場合は、0系が切替要求を行っていることを表わしている。K1バイト(b5〜b8)が「0000」の場合は、切替要求が行なわれていない(すなわち、NBである)ことを表わしている。
図8(b)は、本実施例のような1+1冗長系切替の場合において、K2バイト(b1〜b4)によって示される内容を表示している。K2バイト(b1〜b4)が「0010」の場合は1系が現用系(1系現用)であることを示し、「0001」の場合は0系が現用系(0系現用)であることを示している。
図8(c)は、本実施例のような1+1冗長系切替の場合において、K2バイト(b5)によって示される内容を表示している。K2バイト(b5)が「0」の場合は、1+1冗長切替であることを表わしている。なお、本実施例の1+1冗長の構造では使用されないが、K2バイト(b5)が「1」の場合は1:N冗長切替であることを表わしていても良い。
図8(d)は、本実施例のような1+1冗長系切替の場合において、K2バイト(b6〜b8)によって示される内容を表示している。K2バイト(b6〜b8)が「111」の場合は伝送路の状態がMS−AISであることを示している。K2バイト(b6〜b8)が「110」の場合は伝送路の状態がセクションRDI(MS−RDI:Multiplex Section Remote Defect Indication)であることを示している。K2バイト(b5〜b8)が「000」の場合は伝送路の状態が正常状態であることを示している。
K1バイト及びK2バイトの送受信方法は、それぞれのビットごとに異なっている。具体的には、K1バイト(b1〜b8)及びK2バイト(b1〜b5)は、現用系と予備系の両系に対して常に同一の内容で常時送信されているが、K2バイト(b6〜b8)は、現用系及び予備系の各々に対して独立した内容で常時送信されている。また、K1バイト(b1〜b8)及びK2バイト(b1〜b8)は、予備系又は現用系において同一の内容を連続して3回受信された場合のみ、制御対象として判断される。更に、K1バイト(b1〜b8)及びK2バイト(b1〜b5)ついて、通常の場合に予備系から抽出されるものが制御対象になるが、予備系から抽出できない場合には現用系から抽出されたものが制御の対象になる。
次に、APS切替の各種状態について図9乃至図13を参照しつつ説明する。
APS切替の各種状態を説明する前提として、先ず、SDH装置における保護時間について説明する。保護時間は、切替要求保護時間(Tdg)、回復確認保護時間(Trg)、回復待機保護時間(Twt)、応答確認保護時間(Trc)及び送出待機保護時間(Tsw)に分類することができる(図9参照)。
切替要求保護時間とは、SDH装置が伝送路内の故障を検出することによって故障発生状態であると判断してから、故障を検出したSDH装置から対向するSDH装置に対して切替要求のAPSバイトが供給されるまでの時間をいう。なお、切替要求保護時間内に故障が回復した場合には、故障状態とは判断されない。また、切替要求保護時間内に故障回復及び再故障が発生した場合には、切替要求保護時間のカウント値はリセットされ、再故障の検出時からカウントし直される。更に、切替要求保護時間内に優先順位の高い切替要求の故障が発生した場合には、切替要求保護時間のカウント値はリセットされ、優先順位の高い切替要求の故障検出時からカウントし直される。逆に、切替要求保護時間内に優先順位の低い切替要求の故障が発生した場合には、先の故障の切替要求保護時間のカウントが継続される(すなわち、カウントし直されることはない)。なお、切替要求の優先順位については、後述する。
回復確認保護時間とは、SDH装置が故障回復の検出によって故障が回復したと判断してから、故障回復を検出したSDH装置から対向するSDH装置に対して回復待機APSバイトが供給されるまでの時間をいう。回復確認保護時間内に、故障が再度発生した場合には、故障が回復したとは判断されない。また、回復確認保護時間内に、再故障及び再故障の回復が発生した場合には、回復確認保護時間のカウント値はリセットされ、再故障の回復の検出時点からカウントし直される。
回復待機保護時間とは、回復確認保護時間経過後において回復待機APSバイトの供給から、SDH装置からこれに対向するSDH装置に対して伝送路名称変更APSバイトが供給されるまでの時間をいう。回復待機保護時間内には、再び故障が発生していないことが要求される。
応答確認保護時間とは、強制切替等の制御命令を対向するSDH装置に供給してから、当該制御命令に対する応答の確認をするまでの一定の待機時間間をいう。具体的には、強制切替又は切替解除の命令が対向する装置に供給された場合には、応答確認保護時間がカウントされる。応答確認保護時間に対向するSDH装置から応答確認を受信しない場合には、タイムアウトとして処理される。
送出待機保護時間とは、対向するSDH装置から応答確認APSバイトを受信してから、伝送路名称変更APSバイトが対向するSDH装置に供給されるまでの時間をいう。
APS切替の状態は、定常状態(図10参照)、変化状態(図11参照)、切替状態(図12参照)、対向切替状態(図13)に分類することができる。
定常状態は、更に切替なし定常状態と、予備系故障定常状態に分類することができる。切替なし定常状態とは、切替要求及び予備系故障が無く、対向する装置間でNB(切替なし)を表わす信号(以下、単にNBとも称する)を送受信している状態をいう。予備系故障定常状態は、自装置側で予備系(例えば、1系装置群12、22の間)の故障(伝送路故障(SF故障)、伝送路品質劣化(SD故障)又は装置故障(装置内の異常))を検出した場合に、現用系から予備系に切替を実施しない状態、又は、対向する装置で予備系(例えば、0系現用の場合には1系装置群12、22の間)の故障(伝送路故障(SF故障)又は、伝送路品質劣化(SD故障)又は装置故障(装置内の異常))を検出した場合に、現用系(例えば、0系現用の場合には0系装置群11)から予備系(例えば、0系現用の場合には1系装置群12)に切替を実施しない状態をいう。
変化状態は、FS切替変化状態、SF切替変化状態、SD切替変化状態、RS切替変化状態、予備系故障切戻し変化状態、FS伝送路名称変更変化状態、SF伝送路名称変更変化状態、SD伝送路名称変更変化状態及びRS伝送路名称変更変化状態に分類することができる。FS切替変化状態とは、強制切替コマンド実行後において、FS(強制切替)を表わす信号(以下に、FSとも称する)を対向するSDH装置に供給してからRR(切替応答)を表わす信号(以下、単にRRとも称する)を受信し、セレクタ動作を終了するまでの状態をいう。SF切替変化状態とは、SF故障検出に対する切替要求保護時間経過後において、SF故障に対する切替要求を表わす信号(以下、単にSFとも称する)を対向するSDH装置に供給してからRRを受信し、セレクタ動作を終了するまでの状態をいう。SD切替変化状態とは、SD故障検出に対する切替要求保護時間経過後において、SD故障に対する切替要求を表わす信号(以下、単にSDとも称する)を対向するSDH装置に供給してからRRを受信し、セレクタ動作を終了するまでの状態をいう。RS切替変化状態とは、APS切替処理部がIPルーティング・プロトコルによる予備系選択指示を受けた場合に、(RS)経路切替を表わす信号(以下、単にRSと称する)を対向するSDH装置に供給してからRRを受信し、セレクタ動作を終了するまでの時間をいう。予備系故障切戻し変化状態とは、予備系である装置群のSDH装置におけるSF故障又はSD故障検出に対応した切替要求保護時間経過後において、NBを対向するSDH装置に供給してからNBを受信するまでの状態をいう。FS伝送路名称変更変化状態とは、切替解除コマンド実行後において、対向するSDH装置にNBを供給してから、対向するSDHからのNBを受信し、伝送路名称変更を終了するまでの状態をいう。SF伝送路名称変更変化状態とは、SF故障に係る回復待機保護時間経過後において、対向するSDH装置にNBを供給してから、対向するSDH装置からのNBを受信し、伝送路名称変更を終了するまでの状態をいう。SD伝送路名称変更変化状態とは、SD故障に係る回復待機保護時間経過後において、対向するSDH装置にNBを供給してから、対向するSDH装置からのNBを受信し、伝送路名称変更を終了するまでの状態をいう。RS伝送路名称変更変化状態とは、送出待機保護時間経過後において、対向するSDH装置にNBを供給してから、対向するSDH装置からのNBを受信し、伝送路名称変更を終了するまでの状態をいう。
切替状態は、FS切替状態、SF切替状態、SD切替状態、WR切替状態、RS切替状態、同時FS切替状態、同時SF切替状態、同時SD切替状態、同時WR切替状態及び同時RS切替状態に分類することができる。FS切替状態、SF切替状態、SD切替状態及びRS切替状態のそれぞれは、FS切替要求、SF切替要求、SD切替要求、RS切替要求により予備系である装置群が選択されている状態をいう。WR切替状態とは、SF故障又はSD故障の回復検出に係る回復確認保護時間経過後において、WR(回復待機)を表わす信号(以下、単にWRとも称する)を対向するSDH装置に供給した後に回復待機保護時間をカウントしている状態をいう。同時FS切替状態とは、FS切替変化状態中に対向するSDH装置からFSを受信し、それに伴って予備系の装置群が選択されている状態をいう。同時SF切替状態、同時SD切替状態及び同時RS切替状態についても同時FS切替状態と同様に、各切替変化状態中に対向するSDH装置から各信号(SF、SD、RS)を受信し、それに伴って予備系の装置群が選択されている状態をいう。同時WR切替状態とは、自装置側及び対向装置側のSDH装置におけるSF故障又はSD故障の同時回復検出に係る回復確認保護時間経過後において、RRを同時に供給し合った後における回復待機保護時間カウントが同時に進行している状態をいう。
対向切替状態は、対向FS切替状態、対向SF切替状態、対向SD切替状態、対向WR切替状態及び対向RS切替状態に分類することができる。対向FS切替状態、対向SF切替状態、対向SD切替状態及び対向RS切替状態とは、対向するSDH装置からの要求(FS、SF、SD、RS)により予備系が選択されている状態をいう。対向WR切替状態とは、対向するSDH装置で検出していたSF故障又はSD故障が回復し、対向するSDH装置が回復待機時間カウント中の状態(すなわち、対向するSDH装置からWRを受信した後の状態)をいう。
次に、切替制御の優先順位について図14(a)、(b)を参照しつつ説明する。図14(a)は、切替無し定常状態における切替制御の優先順位を示している。また、図14(b)は、切替状態の切替制御の優先順位を示している。切替が無い定常状態においては、FS、SF、SD、WR、RS、RR、NBの順序で優先順位が低くなっている。これに対して、切替状態においては、NB(切戻し)、NB(伝送路名称変更)、FS、SF、SD、WR、RS、RRの順序で優先順位が低くなっている。
次に、自装置10と対向装置20との間における切替シーケンスについて、図15乃至図20を参照しつつ説明する。
図15は、0系現用における自装置10において、IPルーティング・プロトコルによる予備系選択指示がなされる場合のシーケンスを示している。先ず、自装置10から対向装置20に切替要求のない信号(NB)が供給される(S151)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−251)。なお、図15において示されているNB(0)、RS(0)、NB(1)のカッコ内の数字は、数字が0である場合において現用系が0系装置群であることを示しており、数字が1である場合において現用系が1系装置群であることを示している。従って、S151の段階では、0系装置群が現用系である。
対向装置20は、自装置10からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、それに対応したNBを自装置10に供給する(S152)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−252)。
次に、IP装置50から供給されるIPルーティング・プロトコルによって1系選択制御を行うことが自装置10内で判断される(S153)。更に、自装置10から1系選択指示に応じてRS切替要求の信号が対向装置20に供給される(S154)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「01000001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−253)。対向装置20は、自装置10からRSを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S155)。予備系への選択切替の実行が完了すると、対向装置20は自装置10にRRを供給する(S156)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−254)。自装置10は、対向装置20からRRを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S157)。
その後、自装置10は、対向装置20に伝送路名称変更のNBを供給する(S158)。すなわち、自装置10は、予備系である1系を現用系に名称変更することを対向装置20に要求することになる。従って、図15のS158においてはNB(1)と示されている。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00100000」である(APS−255)。なお、自装置10がRRを受信してから対向装置20にNBを供給するまでの期間は、送出待機保護時間(Tsw)である。対向装置20は、自装置10からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、伝送路名称変更を実行する(S159)。伝送路名称変更の実行が完了すると、対向装置20は自装置10に伝送路名称変更のNBを供給する(S160)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00100000」である(APS−256)。自装置10は、対向装置20からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、伝送路名称変更を実行する(S161)。
なお、対向装置20においてIPルーティング・プロトコルによる予備系選択指示がなされた場合には、上述した自装置10と対向装置20が入れ代わるだけであるので、その説明は省略する。
図16は、0系現用における自装置10及び対向装置20において、同時にIPルーティング・プロトコルによる予備系選択指示がなされた場合のシーケンスを示している。先ず、自装置10から対向装置20にNBが供給される(S171)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−261)。対向装置20は、自装置10からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、それに対応したNBを自装置10に供給する(S172)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−262)。
次に、IP装置50から供給されるIPルーティング・プロトコルによって1系選択制御を行うことが自装置10及び対向装置20内で判断される(S173、S174)。自装置10から対向装置20に、また、対向装置20から自装置10にRSが供給される(S175、S176)。このとき各装置に供給されるK1バイトは「01000001」であり、K2バイトは「0001000」である(APS−263、APS−264)。自装置10及び対向装置20は、RSを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S177、S178)。予備系への選択切替の実行が完了すると、自装置10は対向装置20に、また、対向装置20は自装置10にRRを供給する(S179、S180)。このとき各装置に供給されるK1バイトは「00100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−265、APS−266)。なお、自装置10がRSを受信してから対向装置20にRRを供給するまでの期間、及び、対向装置20がRSを受信してから自装置10にRRを供給するまでの期間は、送出待機保護時間(Tsw)である。
自装置10及び対向装置20は、RRを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、対向する装置に(すなわち、自装置10が対向装置20に、対向装置20が自装置10に)伝送路名称変更のNBを供給する(S181、S182)。従って、図16のS181及びS182においてはNB(1)と示されている。このとき各装置に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00100000」である(APS−267、APS−268)。自装置10及び対向装置20は、NBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、伝送路名称変更を実行する(S183、S184)。
図17は、0系現用における自装置10においてIPルーティング・プロトコルに基づく切替中に、対向装置20において予備系故障が検出された場合のシーケンスを示している。
先ず、自装置10から対向装置20にNBが供給される(S191)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−271)。
対向装置20は、自装置10からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、それに対応したNBを自装置10に供給する(S192)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−272)。
次に、IP装置50から供給されるIPルーティング・プロトコルによって1系選択制御を行うことが自装置10内で判断される(S193)。更に、自装置10から対向装置20にRSが供給される(S194)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「01000001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−273)。
対向装置20は、自装置10からRSを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S195)。予備系への選択切替の実行が完了すると、対向装置20は自装置10にRRを供給する(S196)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−274)。自装置10は、対向装置20からRRを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S197)。
その後、自装置10から対向装置20に伝送路名称変更のNBを供給する前に、対向装置20において、予備系SF故障が検出される(S198)。対向装置20は、予備系SF故障が発生した旨を自装置10に通知する(S199)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00100001」であり、K2バイトは「00010110」である(APS−275)。その後、対向装置20は1系から0系に経路の切戻しを行う(S200)。更に、対向装置20は、自装置10に切戻しのNBを供給する(S201)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010110」である(APS−276)。なお、対向装置20におけるSF故障の検出(S198)から切戻しのNB供給(S201)までの期間は切替要求保護時間(Tdg)である。
自装置10は、対向装置20からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、1系から0系への経路の切戻しを実行する(S202)。自装置10は、経路の切戻しを実行すると、対向装置20に経路の切戻しを実行した旨のNBを供給する(S203)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−277)。
その後、対向装置20において、予備系故障の回復が検出される(S204)。対向装置20は、予備系故障の回復を検出すると、自装置10に予備系故障回復を検出した旨のNBを供給する(S205)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−278)。 自装置10は、NBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、これに応答するNBを対向装置20に供給する(S206)。
図18は、0系現用における自装置10のIPルーティング・プロトコルに基づく切替中に、自装置10において強制切替を行うことが判断された場合のシーケンスを示している。
先ず、自装置10から対向装置20にNBが供給される(S211)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−281)。
対向装置20は、自装置10からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、それに対応したNBを自装置10に供給する(S212)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−282)。
次に、IP装置50から供給されるIPルーティング・プロトコルによって1系選択制御を行うことが自装置10内で判断される(S213)。更に、自装置10から対向装置20にRSが供給される(S214)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「01000001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−283)。
対向装置20は、自装置10からRSを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S215)。予備系への選択切替の実行が完了すると、対向装置20は自装置10にRRを供給する(S216)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−284)。自装置10は、対向装置20からRRを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S217)。
その後、自装置10から対向装置20に伝送路名称変更のNBを供給する前に、自装置10において、1系に強制切替を行うことが判断される(S218)。ここで、強制切替は経路切替よりも優先順位が高い(図14(b)参照)。このため、自装置10は強制切替のコマンドに応じ、1系への強制切替信号(以下、FSとも称する)を対向装置20に供給する(S219)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「11100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−285)。対向装置20は、FSを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、かかる強制切替に対応したことを表すRRを自装置10に供給する(S220)。
その後、自装置10において、1系に強制切替を解除する判断が行われる(S221)。更に、自装置10は、対向装置20に伝送路名称変更のNBを供給する(S222)。従って、図18のS222においてはNB(1)と示されている。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00100000」である(APS−286)。
対向装置20は、自装置10からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、伝送路名称変更を実行する(S223)。伝送路名称変更の実行が完了すると、対向装置20は自装置10に伝送路名称変更のNBを供給する(S224)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00100000」である(APS−287)。自装置10は、対向装置20からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、伝送路名称変更を実行する(S225)。
図19は、0系現用における自装置10のIPルーティング・プロトコルに基づく切替中に、自装置10において現用系SF故障が検出された場合のシーケンスを示している。
先ず、自装置10から対向装置20にNBが供給される(S231)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−291)。
対向装置20は、自装置10からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、それに対応したNBを自装置10に供給する(S232)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−292)。
次に、IP装置50から供給されるIPルーティング・プロトコルによって1系選択制御を行うことが自装置10内で判断される(S233)。更に、自装置10から対向装置20にRSが供給される(S234)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「01000001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−293)。
対向装置20は、自装置10からRSを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S235)。予備系への選択切替の実行が完了すると、対向装置20は自装置10にRRを供給する(S236)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−294)。自装置10は、対向装置20からRRを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S237)。
その後、自装置10から対向装置20に伝送路名称変更のNBを供給する前に、自装置10において、現用系SF故障が検出される(S238)。自装置10は、現用系SF故障が発生した旨を対向装置20に通知する(S239)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「11000001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−295)。なお、自装置10におけるSF故障の検出(S238)から、自装置10から対向装置20にSFが供給(S239)までの期間は、切替要求保護時間(Tdg)である。対向装置20は、SFを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、かかる故障に係る切替に対応したことを表すRRを自装置10に供給する(S240)。
次に、自装置10において、現用系SF故障の回復が検出される(S241)。自装置10は、かかる故障回復を検出すると、対向装置20にWR(回復待機)を表す信号(以下、単にWRとも称する)を供給する(S242)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「01100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−296)。なお、自装置10における故障回復検出(S241)からWRの供給(S242)までの期間は、回復確認保護時間(Trg)である。
更に、自装置10は、対向装置20に伝送路名称変更のNBを供給する(S243)。従って、図19のS242においてはNB(1)と示されている。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00100000」である(APS−297)。なお、自装置10におけるWR送出(S242)からNB送出(S243)までの期間は、回復待機保護時間(Twt)である。
対向装置20は、自装置10からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、伝送路名称変更を実行する(S244)。伝送路名称変更の実行が完了すると、対向装置20は自装置10に伝送路名称変更のNBを供給する(S245)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00100000」である(APS−298)。自装置10は、対向装置20からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、伝送路名称変更を実行する(S246)。
なお、S238で検出される故障がSD故障の場合には、SFがSDに変更されるだけで、その他の部分は同一のシーケンスとなる。
図20は、0系現用における自装置10のIPルーティング・プロトコルに基づく切替中に、対向装置20において現用系SD故障を検出した場合のシーケンスを示している。
先ず、自装置10から対向装置20にNBが供給される(S251)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−301)。
対向装置20は、自装置10からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、それに対応したNBを自装置10に供給する(S252)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−302)。
次に、IP装置50から供給されるIPルーティング・プロトコルによって1系選択制御を行うことが自装置10内で判断される(S253)。更に、自装置10から対向装置20にRSが供給される(S254)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「01000001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−303)。
対向装置20は、自装置10からRSを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S255)。予備系への選択切替の実行が完了すると、対向装置20は自装置10にRRを供給する(S256)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−304)。自装置10は、対向装置20からRRを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、経路を現用系から予備系に選択切替する(S257)。
その後、自装置10から対向装置20に伝送路名称変更のNBを供給する前に、対向装置20において、現用系SD故障が検出される(S258)。対向装置20は、現用系SD故障が発生した旨を自装置10に通知する(S259)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「10100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−305)。なお、対向装置20におけるSD故障の検出(S258)から、対向装置20から自装置10にSDが供給(S259)までの期間は、切替要求保護時間(Tdg)である。自装置10は、SDを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、かかる故障に係る切替に対応したことを表すRRを対向装置20に供給する(S260)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−306)。
次に、対向装置20において、現用系SD故障の回復が検出される(S261)。対向装置20は、かかる故障回復を検出すると、自装置10にWRを供給する(S262)。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「01100001」であり、K2バイトは「00010000」である(APS−307)。なお、対向装置20における故障回復検出(S261)からWRの供給(S262)までの期間は、回復確認保護時間(Trg)である。
更に、対向装置20は、自装置10に伝送路名称変更のNBを供給する(S263)。従って、図20のS263においては、NB(1)と示されている。このとき自装置10に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00100000」である(APS−308)。なお、対向装置20におけるWR送出(S262)からNB送出(S263)までの期間は、回復待機保護時間(Twt)である。
自装置10は、対向装置20からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、伝送路名称変更を実行する(S264)。伝送路名称変更の実行が完了すると、自装置10は対向装置20に伝送路名称変更のNBを供給する(S265)。このとき対向装置20に供給されるK1バイトは「00000000」であり、K2バイトは「00100000」である(APS−309)。対向装置20は、自装置10からNBを含むフレームを連続して3フレーム受信すると、伝送路名称変更を実行する(S266)。
なお、S258で検出される故障がSF故障の場合には、SDがSFに変更されるだけで、その他の部分は同一のシーケンスとなる。
以上のように、本発明の伝送装置であるSDH装置は、本発明の伝送装置は、現用系及び予備系からなるSDH伝送路を介して対向装置に接続され、IP伝送路を介してIP装置に接続されるとともに、現用系と予備系との間の強制切替及びSDH伝送路における伝送路故障情報を検出する制御装置に接続された伝送装置であって、対向装置からSDHフレームを受信してセクションオーバヘッド(SOH)処理をなすフレーム処理部と、SDHフレームからIPパケットを抽出してIP装置に送出するIPパケット抽出部と、IP装置からIPパケットを受信してSDHフレームに挿入するとともに、当該受信IPパケットからIPルーティング・プロトコル・パケットを抽出するIPパケット挿入部と、IPルーティング・プロトコル・パケットに基づいてSDH伝送路の経路情報の更新をすべきか否かの判定をなすルーティング情報判定部と、強制切替の情報、伝送路故障情報、フレーム処理部のSOH処理の情報及び経路情報の更新判定の情報に基づいて現用系及び予備系のいずれかを選択することを表わす選択情報を生成する切替処理部と、IPパケット挿入部から供給されるSDHフレームに選択情報を挿入する選択情報挿入部と、SDHフレームを対向装置に送信するフレーム送信部と、を有している。
上述した構成によって本発明のSDH装置は、0系/1系の両系のSDH伝送路の伝送距離、並びに、自装置と対向装置との間に配置された光中継装置の処理効率及びその台数が設定されたメトリック値を含むIPルーティング・プロトコルに基づき経路選択の判定をすることができる。これによって、本発明のSDH装置は、SDH伝送路自体の遅延等による問題に対応することができ、効率の良い且つ信頼性の高いフレーム伝送を行うことができる。
また、上述した構成によって本発明の伝送装置は、SDH伝送路(OSI参照モデルの物理層(レイヤ1))に対してだけでなく、ネットワーク層(レイヤ3)のIPパケットに対しても冗長系の構造を取ることができる。これによって、本発明のSDH装置は、IPパケットに対しても冗長系の構成を取ることができ、効率の良い且つ信頼性の高いIPパケット伝送を行うことができる。
なお、本実施例においては1+1冗長系のAPS切替を使用していが、1:N冗長系のAPS切替を使用する構成としても良い。また、本実施例においては、故障回復等の後に切戻しを行わない設定であったが、切戻しを行う切戻し型切替であっても良い。更に、本実施例においては、IPルーティング・プロトコルによる予備系選択の切替要求(RS)をK1バイト(b1〜b4)に追加したが、他のK1バイト(b5〜b8)又はK2バイト、更にはSOH、POHの他のバイトに同等の機能を持たせても良い。