JP5358536B2 - 光走査素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板上に設けた圧電膜を振動源として、ミラーを保持するヒンジ部を捩り振動させることによりミラー面の角度を変化させて光を走査する光走査素子及びその製造方法に関し、特に金属基板を用いた光走査素子及びその製造方法に関する。
近年、レーザー光等の光ビームを走査する光走査装置(光スキャナー)は、バーコードリーダー、レーザープリンタ、レーザーディスプレイやプロジェクタ等の光学機器、あるいは赤外線カメラ等の入力デバイスの光取り入れ装置として用いられている。この種の光スキャナーとして、非特許文献1などに示されるように、シリコンのマイクロマシニング技術を用いて作製されたヒンジ部に支持された微小ミラーを、ミラーの近傍に設けた駆動手段による静電力や電磁力、またはヒンジ部の近傍に設けた圧電膜による振動により揺動させる構成の光走査素子を用いたものが開発されている。一般に、光走査素子のミラーはヒンジ部により支持されており、ヒンジ部の捩り振動を利用してミラーを揺動させる構造である。このため、ヒンジ部をシリコン単結晶のような脆性材料で作製した場合、捩り振動の振幅を大きくするとヒンジ部が破壊しやすいという課題がある。そこで、上記の光走査素子の場合、捩り振動によるミラーの光学走査角は±7°〜±12°、一般には、±20°程度で使用されている。
一方、ミラーとヒンジ部を駆動する圧電膜をヒンジ部から離れた基板上に配置し、圧電膜により発生させた基板の板波を利用してヒンジ部を捩り振動させる光走査素子が特許文献1および2に記載されている。図7はその従来の光走査素子の原理と構成の一例を示す斜視図である。ステンレス基板6により、金属フレーム20と、ヒンジ部21と、ヒンジ部21によって支持されたミラー22とが形成されており、ヒンジ部21から離れた金属フレーム20上に形成された圧電膜10の上下面に電圧を印加することにより圧電膜を振動させ、その振動が板波として金属フレーム20を伝播し、ヒンジ部21で支持されたミラー22を揺動させることができる。この時、金属フレーム20の構造から決まる振動とヒンジ部21に支持されたミラー22の捩り振動が共振によりその振幅が最大になるような振動モードを選択し、その共振周波数の近傍で駆動させることによりミラー22の揺動角を大きくし、大きな光学走査角での走査が可能な構成となっている。
特許文献1および2に記載の技術を用い、金属基板によりヒンジ部とミラー及びフレームを構成し、エアロゾルデポジション法(AD法)により圧電膜を形成して構成された光走査素子が非特許文献2に示されている。金属は脆性材料ではないため大きな走査角でも破壊しにくく、非特許文献2の光走査素子では±80°の光学走査角が可能であることが示されている。
特開2006−293116号公報 特開2010−44234号公報
黒田和夫/山本和久編「レーザーディスプレー」オプトロニクス社、平成22年2月18日、p261−264 「プロジェクションディスプレーなどの心臓部である光走査素子を新たに開発」、[online]、平成22年2月9日、産業技術総合研究所プレリリース、[平成22年8月18日検索]、インターネット<http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2010/pr20100209/pr20100209.html>
一般的に、金属基板上に化学溶液法やAD法などの方法で圧電膜を形成して構成された光走査素子では、圧電膜の結晶化や結晶性を向上させるために形成後の熱処理が必要になる。通常、この熱処理は大気中で行う必要があり、このため金属基板の表面が酸化され、ミラーの表面も酸化されてしまう。そこでミラーの表面粗さが大きくなり乱反射しやすくなるため、光スキャナーの輝度やスポットの解像度が低下してしまうという課題がある。
特に、AD法で形成した圧電膜の特性向上には800〜1000℃程度の高温での熱処理が有効であるが、上記理由から、高温での熱処理により圧電膜の特性は向上するもののミラーの反射性能を劣化させてしまうという課題があった。
そこで本発明の課題は、金属基板に形成した圧電膜の特性を向上させることが可能で、かつ、ミラーの反射性能を低下させない光走査素子及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明による光走査素子は、金属基板に形成された、ミラーと、前記ミラーを保持するヒンジ部と、前記ヒンジ部に捩れ振動を生じさせる振動部とを有し、前記振動部は前記金属基板上に形成された圧電膜と電極とからなる光走査素子において、前記圧電膜は前記金属基板に形成された窪みの中に形成されていることを特徴とする。
また、本発明による光走査素子の製造方法は、前記金属基板の一部にハーフエッチング加工により前記窪みを形成する工程と、前記窪みの中、又は前記金属基板上の全面に前記圧電膜をエアロゾルデポジション法により形成する工程と、その後、熱処理を施す工程と、さらに、前記金属基板の前記圧電膜が形成された側の面を鏡面研磨する工程とを有することを特徴とする。
上記のように、本発明の光走査素子の製造方法では、金属基板上の圧電膜を形成する場所にハーフエッチング加工などにより窪み部を形成しておく。窪み部の形成方法はハーフエッチング以外の方法としてエッチングなどで貫通孔を形成した金属箔を金属板に拡散接合や、ロウ付けなどで接合する方法により形成しても構わない。その窪みの部分に圧電膜を形成し、熱処理を行う。窪みに圧電膜を形成するため、圧電膜の形成にはAD法を用いるのが望ましい。その後、金属基板全体に鏡面研磨を施した後、ミラー部分、ヒンジ部、フレームなどの光走査素子としての構造をプレス加工やエッチング加工などにより形成する。さらに圧電膜上に電圧印加用の上部電極を形成し、ミラー部には反射膜としてアルミニウム(Al)を蒸着することで光走査素子を作製する。上部電極や反射膜の形成は外形加工前に行っても構わない。この構成は、金属基板を圧電膜を駆動するための下部電極として使用することが可能な構造であり、600℃程度の温度での熱処理まで有効である。600℃よりも高い温度で熱処理すると金属基板、特にステンレス基板では圧電膜の成分とステンレスの成分が拡散反応し圧電膜の特性が低下してしまう。
そのため、600℃よりも高温で熱処理する場合は、金属基板としてAlを含有する金属を使用することが望ましい。具体的には鉄、クロム(Cr)を主成分とし、Alを3〜8%程度含有しているステンレスを基板として用いる。この場合、上記と同様に圧電膜を形成する箇所にハーフエッチング加工などにより窪みを形成する。次にその基板を大気中にて熱処理を行い基板表面に酸化アルミニウムの皮膜を形成する。この酸化アルミニウム層が熱処理による圧電膜とステンレス基板との間の成分の拡散を防止する。また、窒化処理により窒化アルミニウム層を形成しても同様の効果を得ることができる。その窪みに形成された酸化または窒化皮膜上に下部電極層を形成し、下部電極層上の一部に圧電膜を形成し熱処理を行う。熱処理温度は600℃以上であってもよく、1100℃以下が望ましい。その後、基板全体に鏡面研磨を施し、光走査素子としての構造をプレス加工やエッチング加工などにより形成する。上部電極、ミラーの反射膜の形成も上記と同様である。
本発明では、金属基板上に形成した圧電膜の熱処理による特性改善のための熱処理温度を広い範囲で選択することが可能になり、かつミラー面の表面粗さを劣化させることがないため高性能な光走査素子を提供することができる。また、基板表面に鏡面研磨を施すことにより金属基板と圧電膜の表面の高さが揃った構造とすることにより段差のない電極配線の形成が可能になり、信頼性を向上させることができるという効果も有する。さらに、従来の製造方法のように、ミラー部分、ヒンジ部、フレームなどの光走査素子としての構造を形成した後に熱処理を施すと、基板に反りや撓みが発生し、ヒンジ部の変形などが発生しやすいが、本発明によれば、光走査素子としての構造を形成する加工をほぼ最終工程で行うことができるため、上記の問題の発生を防ぐことができる。
以上のように、本発明によれば、金属基板に形成した圧電膜の特性を向上させることが可能で、かつ、ミラーの反射性能を低下させない光走査素子及びその製造方法が得られる。
本発明による光走査素子の第1の実施の形態を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)はA−A断面図。 本発明による光走査素子の製造方法の第1の実施の形態を説明するための製造工程図。図2(a)は、ステンレス基板を示す図。図2(b)は、ハーフエッチング加工した状態を示す図。図2(c)は、圧電膜を形成した状態を示す図。図2(d)は、熱処理を施した状態を示す図。図2(e)は、鏡面研磨した状態を示す図。図2(f)は、外形エッチング形成した状態を示す図。図2(g)は、上部電極を形成した状態を示す図。 本発明による光走査素子の第2の実施の形態を示す図であり、図3(a)は平面図、図3(b)はB−B断面図。 本発明による光走査素子の製造方法の第2の実施の形態を説明するための製造工程図。図4(a)は、ステンレス基板を示す図。図4(b)は、ハーフエッチング加工した状態を示す図。図4(c)は、熱処理を施した状態を示す図。図4(d)は、下部電極を形成した状態を示す図。図4(e)は、圧電膜を形成した状態を示す図。図4(f)は、熱処理を施した状態を示す図。図4(g)は、鏡面研磨した状態を示す図。図4(h)は、外形エッチング形成した状態を示す図。図4(i)は、上部電極を形成した状態を示す図。 基本的な光走査素子の外形形状を示す平面図。 実施例の窪みの位置および形状を示す平面図。 従来の光走査素子の原理と構成の一例を示す斜視図。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明による光走査素子の第1の実施の形態を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。図1において、本実施の形態による光走査素子は従来の光走査素子と同様に、金属基板に形成された、ミラー2と、ミラー2を保持するヒンジ部1と、ヒンジ部1を保持する金属フレーム3と、ヒンジ部1に捩れ振動を生じさせる振動部とを有し、振動部はヒンジ部1から離れた金属フレーム3上に形成された圧電膜10と上部電極4とからなる。但し、本実施の形態の光走査素子においては、圧電膜10が金属基板に形成された窪み5の中に形成されていることが従来とは異なっている。
図2は本発明による光走査素子の製造方法の第1の実施の形態を説明するための製造工程図である。図2(a)は、ステンレス基板を示す図、図2(b)は、ハーフエッチング加工した状態を示す図、図2(c)は、圧電膜を形成した状態を示す図、図2(d)は、熱処理を施した状態を示す図、図2(e)は、鏡面研磨した状態を示す図、図2(f)は、外形エッチング形成した状態を示す図、図2(g)は、上部電極を形成した状態を示す図である。それぞれの工程図において、上方の図が平面図、下方の図が断面図である。本実施の形態の製造方法は、図2に示すように、ステンレス基板6の一部にハーフエッチング加工により窪み5を形成する工程と、窪み5の中に圧電膜10をAD法により形成する工程と、その後、熱処理を施す工程と、その後、ステンレス基板6の圧電膜10が形成された側の面を鏡面研磨する工程とを有している。さらに、エッチング加工により、ミラー2等が所定の寸法になるように素子の形状を得る工程と、次に、圧電膜10上に上部電極4をスパッタ法等で形成する工程を有している。
図2に基づき、本実施の形態の工程の手順を説明する。先ず、図2(a)に示すように、厚さが数十〜数百μmのステンレス基板6を準備し、次に、図2(b)に示すように、振動部となる部分を含む領域に数mm×数〜十数mmの外形で深さ数〜百数十μmの窪み5をハーフエッチング加工により形成する。次に、図2(c)、図2(d)に示すように、この窪み5にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系やチタン酸バリウム(BT)系などの圧電セラミック材料からなる圧電膜10をAD法によって数〜数十μmの厚さで形成する。この場合、窪みの形状や深さ、圧電膜の厚さなどは、完成後の基板およびヒンジ部の振動が共振状態となるような周波数の板波の振動を励振できるような値に設計することが望ましい。この圧電膜10を形成後、大気中で500〜600℃の温度で熱処理を行う。その後、図2(d)に示すように、ステンレス基板6全体に鏡面研磨を施した後、図2(f)に示すように、エッチング加工によりヒンジ部1、ミラー2、金属フレーム3などが所定の寸法となるように加工を施し、光走査素子の形状を得る。その後、図2(g)に示すように、圧電膜10上に上部電極4として金属膜をスパッタ法などで形成し、フォトリソグラフィなどの手段により振動部となる部分、電極引出し部分などのパターンを作製する。ミラーには反射膜としてAl膜などを蒸着する。最後に100〜200℃程度の温度でステンレス基板6を下部電極として上部電極4との間に数十Vの電圧を印加して圧電膜の分極処理を行い完成する。
図3は本発明による光走査素子の第2の実施の形態を示す図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のB−B断面図である。図3において、本実施の形態による光走査素子は第1の実施の形態の光走査素子と同様に、金属基板に形成された、ミラー12と、ミラー12を保持するヒンジ部11と、ヒンジ部11を保持する金属フレーム13と、ヒンジ部11に捩れ振動を生じさせる振動部とを有し、振動部はヒンジ部11から離れた金属フレーム13上に形成された圧電膜10と上部電極14とからなる。本実施の形態の光走査素子においても、第1の実施の形態の光走査素子と同様に、圧電膜10が金属基板に形成された窪み15の中に形成されている。
但し、本実施の形態の光走査素子においては、金属基板として鉄(Fe)、Crを主成分とし、Alを3〜8%程度含有しているステンレス基板などを用い、窪み15を形成した後に、その基板を大気中にて熱処理を行うことにより基板表面に酸化アルミニウム皮膜17が形成されている。この皮膜は窒化処理により形成された窒化アルミニウム皮膜であってもよい。この酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムの皮膜が高温での熱処理による圧電膜10と基板との間の成分の拡散を防止する。これにより、圧電膜10の熱処理温度を600℃以上とすることができ、圧電膜の特性をより向上させることができる。窪み15に形成された酸化アルミニウム皮膜17上には下部電極18が形成されている。圧電膜の熱処理後、基板全体に鏡面研磨が施されている。
図4は本発明による光走査素子の製造方法の第2の実施の形態を説明するための製造工程図である。図4(a)は、ステンレス基板を示す図、図4(b)は、ハーフエッチング加工した状態を示す図、4(c)は、熱処理を施した状態を示す図、4(d)は、下部電極を形成した状態を示す図、4(e)は、圧電膜を形成した状態を示す図、4(f)は、熱処理を施した状態を示す図、4(g)は、鏡面研磨した状態を示す図、4(h)は、外形エッチング形成した状態を示す図、4(i)は、上部電極を形成した状態を示す図である。それぞれの工程図において、上方の図が平面図、下方の図が断面図である。本実施の形態の製造方法は、図4に示すように、ステンレス基板6の一部にハーフエッチング加工により窪み15を形成する工程と、窪み15の中に圧電膜10をAD法により形成する工程と、その後、熱処理を施す工程と、その後、ステンレス基板6の圧電膜10が形成された側の面を鏡面研磨する工程とを有している。さらに、エッチング加工により、ミラー等が所定の寸法になるように素子の形状を得る工程と、次に、圧電膜10上に上部電極4をスパッタ法等で形成する工程を有している。
図4に基づき、本実施の形態の工程の手順を説明する。先ず、図4(a)に示すように、百μmのステンレス基板6を準備し、次に、図4(b)示すように、振動部となる部分を含む領域に数mm×数〜十数mmの外形で深さ数〜百数十μmの窪み15をハーフエッチング加工により形成する。次に図4(c)示すように、この窪み15を形成したステンレス基板を大気中800〜1200℃で熱処理を行う。この熱処理によりステンレス基板の表面全体のAlが酸化され酸化アルミニウム皮膜17が形成される。次に、図4(d)に示すように、窪み15の酸化アルミニウム皮膜17上に下部電極として白金(Pt)などの金属膜をスパッタ法などで形成する。次に、図4(e)、図4(f)示すように、この窪み15の下部電極18の引出し部分以外の部分に圧電膜10をAD法によって数〜数十μmの厚さで形成する。この圧電膜10を形成後、大気中で600〜1100℃の温度で熱処理を行う。その後、図4(g)に示すように、ステンレス基板6全体に鏡面研磨を施した後、図4(h)に示すように、エッチング加工によりヒンジ部11、ミラー12、金属フレーム13などが所定の寸法となるように加工を施し、光走査素子の形状を得る。その後、図4(i)に示すように、圧電膜10上に上部電極14として金属膜をスパッタ法などで形成し、フォトリソグラフィなどの手段により振動部となる部分、電極引出し部分などのパターンを作製する。ミラーには反射膜としてAl膜などを蒸着する。最後に100〜200℃程度の温度で下部電極18と上部電極14との間に数十Vの電圧を印加して圧電膜の分極処理を行い完成する。
次に、本発明の効果を確認するため、上記の第1の実施の形態および第2の実施の形態の光走査素子の実施例、および従来の構造の光走査素子の比較例を作製し、評価を行った結果について説明する。
(実施例1)
第1の実施の形態の光走査素子の実施例を説明する。図2に示した第1の実施の形態の製造方法で作製した。金属基板の素材として厚さが50μmで、材料組成がFeを主成分としAl5%、Cr20%の比率のステンレス鋼を用いた。図5は基本的な光走査素子の外形形状を示す平面図である。図6は本実施例の窪みの位置および形状を示す平面図である。図5、図6における各部寸法は、a=4.0mm、b=3.0mm、c=4.5mm、d=2.0mm、e=0.5mm、f=0.5mm、g=0.3mm、h=1.0mmである。ステンレス基板に図6に示すような2.5mm×5.0mmの外形で深さ約10μmの窪み5をエッチング加工により形成した。この窪み5にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の圧電セラミック材料をAD法によって厚さ約10μm形成した。この圧電膜形成後、大気中600℃で熱処理を行った。その後基板全体に鏡面研磨を施し、エッチングにより図6に示す寸法となるように外形加工を施し、ヒンジ部1とミラー2、金属フレーム3を作製した。その後、圧電膜上に上部電極として金(Au)膜をスパッタ法で形成した。基板と上部電極との間に150℃で60Vの電圧を印加して圧電膜の分極処理を行い完成した。
(実施例2)
第2の実施の形態の光走査素子の実施例を説明する。図4に示した第2の実施の形態の製造工程で作製した。金属基板の素材としては、実施例1と同じ厚さおよび組成のステンレス鋼を用いた。基本的な光走査素子の外形形状も実施例1と同じ図5の形状であり、窪みの形状および位置も実施例1と同様に図6に示す形状である。次にこの窪みを形成したステンレス基板を大気中1000℃で熱処理を行った。この熱処理によりステンレス基板の表面のAlが酸化され酸化皮膜が形成された。窪みの皮膜上に図4の製造工程に示したように下部電極としてPtをスパッタ法で形成した。その下部電極上にPZT系圧電材料をAD法により厚さ約10μm形成した。この圧電膜形成後、大気中850℃で熱処理を行った。その後基板全体に鏡面研磨を施し、エッチングにより図6に示す寸法となるように外形加工を施し、ヒンジ部とミラー、金属フレームを作製した。その後、圧電膜上に上部電極としてAu膜をスパッタ法で形成した。圧電膜の下部電極と上部電極との間に150℃で60Vの電圧を印加して圧電膜の分極処理を行い、実施例2の光走査素子が完成した。
(実施例3)
本実施例の基本的な構造は実施例2と同じである。但し圧電膜の材料が実施例2とは異なっている。金属基板の素材としては、実施例2と同じ厚さおよび組成のステンレス鋼を用いた。基本的な光走査素子の外形形状も実施例2と同じ図5の形状であり、窪みの形状および位置も実施例2と同様に図6に示す形状である。次にこの窪みを形成したステンレス基板を実施例2と同様に大気中1000℃で熱処理を行い、この熱処理によりステンレス基板の表面のAlが酸化され酸化皮膜が形成された。窪みの酸化皮膜上に下部電極としてPtをスパッタ法で形成した。本実施例においては、その下部電極上にチタン酸バリウム(BT)系圧電セラミック材料をAD法により厚さ約10μm形成した。この圧電膜形成後、大気中1000℃で熱処理を行った。その後基板全体に鏡面研磨を施し、エッチングにより図6に示す寸法となるように外形加工を施し、ヒンジ部とミラー、金属フレームを作製した。その後、圧電膜上に上部電極としてAu膜をスパッタ法で形成した。圧電膜の下部電極と上部電極との間に180℃で60Vの電圧を印加して圧電膜の分極処理を行い、実施例3の光学走査素子が完成した。
(比較例1)
比較例1の光走査素子の金属基板の素材、ヒンジ部、ミラー、金属フレームの外形形状、および圧電膜の材料は実施例1と同じである。但し、本比較例においては、窪みは形成されていない。また、ステンレス基板全体に鏡面研磨を施した後、エッチングにより図6に示す寸法となるように外形加工を施し、ヒンジ部とミラー、金属フレームを作製した。その後、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の圧電セラミック材料をAD法によって厚さ約10μm形成した。この圧電膜形成後、大気中600℃で熱処理を行った。その後、実施例1と同様に圧電膜上に上部電極としてAu膜をスパッタ法で形成した。ステンレス基板を下部電極として上部電極との間に150℃で60Vの電圧を印加して圧電膜の分極処理を行い、比較例1の光走査素子を完成させた。
(比較例2)
比較例2の光走査素子の金属基板の素材、ヒンジ部、ミラー、金属フレームの外形形状、および圧電膜の材料は実施例2と同じである。但し、本比較例においては、窪みは形成されていない。また、ステンレス基板全体に鏡面研磨を施した後、エッチングにより図6に示す寸法となるように外形加工を施し、ヒンジ部とミラー、金属フレームを作製した。その後、これを大気中1000℃で熱処理を行った。この熱処理によりステンレス基板の表面のAlが酸化され酸化皮膜が形成された。この酸化皮膜上に下部電極としてPtをスパッタ法で形成し、その下部電極上にPZT系圧電材料をAD法により厚さ約10μm形成した。この圧電膜を形成後、大気中850℃で熱処理を行った。その後、圧電膜上に上部電極としてAu膜をスパッタ法で形成した。下部電極と上部電極との間に150℃で60Vの電圧を印加して圧電膜の分極処理を行い、比較例2の光走査素子を完成させた。
(比較例3)
比較例3の光走査素子の金属基板の素材、ヒンジ部、ミラー、金属フレームの外形形状、および圧電膜の材料は実施例3と同じである。但し、本比較例においては、窪みは形成されていない。また、ステンレス基板全体に鏡面研磨を施した後、エッチングにより図6に示す寸法となるように外形加工を施し、ヒンジ部とミラー、金属フレームを作製した。その後、これを大気中1000℃で熱処理を行った。この熱処理によりステンレス基板の表面のAlが酸化され酸化皮膜が形成された。この酸化皮膜上に下部電極としてPtをスパッタ法で形成し、その下部電極上にBT系圧電材料をAD法により厚さ約10μm形成した。この圧電膜を形成後、大気中1000℃で熱処理を行った。その後、圧電膜上に上部電極としてAu膜をスパッタ法で形成した。下部電極と上部電極との間に80℃で60Vの電圧を印加して圧電膜の分極処理を行い、比較例3の光走査素子を完成させた。
上記の実施例および比較例の光走査素子の特性評価を行った。評価は圧電膜に電圧を正弦波で0−40V印加し、ミラーに照射したレーザー光の反射スポットの走査角とスポットのぼやけ具合により光走査素子の良否を判定した。この結果、比較例1では光走査素子としての動作は確認されたが反射スポットに多少ぼやけが確認された。比較例2、3では、圧電膜形成後の熱処理によりヒンジ部に撓みや変形が確認され、光走査素子としての動作が確認されない結果となった。またミラー面の表面粗さも大きくなっており光走査素子として適用が困難な状態になっていることが確認された。一方、実施例1、2、3ではいずれの素子でも光走査素子として適用可能な動作が確認された。
以上のように、本発明により、圧電膜の特性を向上させ、かつ、ミラーの反射性能を低下させない光走査素子が得られることを確認できた。
なお、本発明は上記の実施の形態や実施例に限定されるものではないことはいうまでもなく、目的や用途に応じて設計変更可能である。例えば、ミラーやヒンジ部、金属フレームの形状、大きさ、圧電膜からなる振動部分の位置や形状、大きさ、金属基板の形状、大きさ、厚さなど、公知の光走査素子と同様に、目的とする光走査角、光スポット形状、走査速度などに応じて最適な構成とするよう設計でき、それに合わせて窪みの形状、深さ、圧電膜の厚さなどを最適に設計できる。また、本発明の製造方法においては、圧電膜は窪みの中だけでなく、金属基板の表面全体に形成して、後の鏡面研磨の時に窪み以外の部分の圧電膜を除去しても良い。
1、11、21 ヒンジ部
2、12、22 ミラー
3、13、20 金属フレーム
4、14 上部電極
5、15 窪み
6 ステンレス基板
10 圧電膜
17 酸化アルミニウム皮膜
18 下部電極

Claims (2)

  1. 金属基板に形成された、ミラーと、前記ミラーを保持するヒンジ部と、前記ヒンジ部に捩れ振動を生じさせる振動部とを有し、前記振動部は前記金属基板上に形成された圧電膜と電極とからなる光走査素子において、前記圧電膜は前記金属基板に形成された窪みの中に形成されていることを特徴とする光走査素子。
  2. 前記金属基板の一部にハーフエッチング加工により前記窪みを形成する工程と、前記窪みの中、又は前記金属基板上の全面に前記圧電膜をエアロゾルデポジション法により形成する工程と、その後、熱処理を施す工程と、さらに、前記金属基板の前記圧電膜が形成された側の面を鏡面研磨する工程とを有することを特徴とする請求項1記載の光走査素子の製造方法。
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