JP2014142517A - 振動ミラー素子およびプロジェクタ機能を有する電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミラー部のサイズを小さくすることなく、高い共振周波数に対応可能な振動ミラー素子を提供する。
【解決手段】この振動ミラー素子1は、回動軸線200回りに回動可能なミラー部10と、ミラー部10を挟み込むように配置され、電圧の印加により変形されることによってミラー部10を回動させる一対の水平駆動部20aおよび20bと、一対の水平駆動部20aおよび20bを互いに連結するとともに、一対の水平駆動部20aおよび20bの間の部分にミラー部10が連結された連結部31および32とを備える。そして、ミラー部10、一対の水平駆動部20a、20b、連結部31および32は、金属からなる共通のステンレス基材1aを含む。
【選択図】図2
【解決手段】この振動ミラー素子1は、回動軸線200回りに回動可能なミラー部10と、ミラー部10を挟み込むように配置され、電圧の印加により変形されることによってミラー部10を回動させる一対の水平駆動部20aおよび20bと、一対の水平駆動部20aおよび20bを互いに連結するとともに、一対の水平駆動部20aおよび20bの間の部分にミラー部10が連結された連結部31および32とを備える。そして、ミラー部10、一対の水平駆動部20a、20b、連結部31および32は、金属からなる共通のステンレス基材1aを含む。
【選択図】図2
Description
この発明は、振動ミラー素子およびプロジェクタ機能を有する電子機器に関し、特に、ミラー部が回動可能な振動ミラー素子およびプロジェクタ機能を有する電子機器に関する。
従来、ミラー部が回動可能な振動ミラー素子が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、X軸(第1回動軸線)回りに回動可能なミラー部と、ミラー部の片側に配置され、変形することによってミラー部を回動させる基板と、基板に接続され、ミラー部の両側に配置された一対の両側部と、一対の両側部およびミラー部を接続するとともに、一対の両側部のそれぞれからミラー部に向かって延びる一対の細長形状の捩れ梁部とを備えた光走査装置(振動ミラー素子)が開示されている。すなわち、ミラー部は、一対の細長形状の捩れ梁部を介して一対の両側部により支持されている。また、この光走査装置は、ミラー部の片側に配置された基板により発生された板波を、細長形状の捩れ梁部による捩れを利用してミラー部を励振させるように構成されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の光走査装置(振動ミラー素子)では、ミラー部の片側に配置された基板により発生された板波を、細長形状の捩れ梁部による捩れを利用してミラー部を励振させるため、ミラー部と両側部とを接続する捩れ梁部の剛性を高めることが困難であるという不都合がある。このため、共振周波数を高くすることが困難であるという問題点がある。この場合に、共振周波数を高くしようとすると、ミラー部のサイズを小さくする必要がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ミラー部のサイズを小さくすることなく、高い共振周波数に対応可能な振動ミラー素子およびプロジェクタ機能を有する電子機器を提供することである。
この発明の第1の局面による振動ミラー素子は、少なくとも第1回動軸線回りに回動可能なミラー部と、ミラー部を挟み込むように配置され、電圧の印加により変形されることによってミラー部を回動させる一対の第1駆動部と、一対の第1駆動部を互いに連結するとともに、一対の第1駆動部の間の部分にミラー部が連結された連結部とを備え、ミラー部、一対の第1駆動部および連結部は、金属からなる共通の金属基材を含む。
この発明の第1の局面による振動ミラー素子では、一対の第1駆動部を互いに連結するとともに、一対の第1駆動部の間の部分にミラー部が連結された連結部を設けることによって、ミラー部が直接連結部に連結されるので、連結部とミラー部とが細長形状の捩れ梁部を介して間接的に連結される場合に比べて、ミラー部と連結部との接続部分の剛性を高めることができる。これにより、ミラー部のサイズを小さくすることなく、高い共振周波数に対応可能な振動ミラー素子を提供することができる。また、ミラー部、一対の第1駆動部および連結部が、金属からなる共通の金属基材を含むことによって、Si基材などを使用する場合に比べて、機械的強度(割れに対する強度)を高めることができるので、耐衝撃性に優れた振動ミラー素子を提供することができる。
上記第1の局面による振動ミラー素子において、好ましくは、一対の第1駆動部に接続され、第1駆動部を支持する支持部をさらに備え、支持部は、ミラー部、一対の第1駆動部および連結部と共通の金属基材を含み、共通の金属基材のうちの支持部に含まれる部分は、共通の金属基材のうちのミラー部、一対の第1駆動部および連結部に含まれる部分の厚みより大きい厚みを有するように形成されている。このように構成すれば、第1駆動部を支持する支持部の剛性が高められるので、ミラー部を振動させる際に、支持部が振動するのを抑制することができる。これにより、第1駆動部を変形させるための振動エネルギーが支持部により消費されてしまうのを抑制することができるので、その分、ミラー部の振れ角を大きくすることができる。
上記支持部を備える構成において、好ましくは、支持部を第1回動軸線に略直交する第2回動軸線回りに回動させる第2駆動部をさらに備え、第2駆動部は、ミラー部、一対の第1駆動部、連結部および支持部と共通の金属基材を含む。このように構成すれば、ミラー部のサイズを小さくすることなく、高い共振周波数に対応可能な2軸一体型の振動ミラー素子を得ることができる。
この場合、好ましくは、第2駆動部は、支持部を挟み込むように配置された一対の第2駆動部を含む。このように構成すれば、第2駆動部を支持部の両側に接続して支持部およびミラー部を両側から安定して支持することができるので、支持部を片側から支持する片持ちの状態に比べてミラー部を安定して回動させることができる。
上記支持部を備える構成において、好ましくは、共通の金属基材のうちの支持部に含まれる部分は、共通の金属基材のうちの第1駆動部に含まれる部分の厚みの3倍以上の厚みを有するように形成されている。このように構成すれば、第1駆動部に対して支持部の剛性を十分に高めることができるので、ミラー部と連結部との接続部分の剛性を高めることにより共振周波数を高くしつつ、支持部の剛性を高めることにより振れ角を容易に大きくすることができる。
上記支持部を備える構成において、好ましくは、共通の金属基材は、支持部に含まれる部分が、ミラー部、一対の第1駆動部および連結部に含まれる部分の厚みより大きい厚みを有するように、エッチング加工されて一体的に形成されている。このように構成すれば、プレス加工と異なり、加工硬化を生じさせることなく、エッチング加工により、共通の金属基材を微細な段差のある構造に容易に加工することができる。
上記第1の局面による振動ミラー素子において、好ましくは、第1駆動部は、ミラー部を20kHz以上の振動数で回動させるように構成されている。このように構成すれば、ミラー部のサイズを小さくすることなく、ミラー部の第1回動軸線回りの回動の共振周波数を20kHz以上にすることができるので、振動ミラー素子により走査されて投影される画像の解像度を高めることができる。
この発明の第2の局面によるプロジェクタ機能を有する電子機器は、レーザ光を発するレーザ光発生部と、入力された映像を解析して、画素情報を認識する制御部と、レーザ光を走査する振動ミラー素子とを備え、振動ミラー素子は、少なくとも第1回動軸線回りに回動可能なミラー部と、ミラー部を挟み込むように配置され、電圧の印加により変形されることによってミラー部を回動させる一対の第1駆動部と、一対の第1駆動部を互いに連結するとともに、一対の第1駆動部の間の部分にミラー部が連結された連結部とを備え、ミラー部、一対の第1駆動部および連結部は、金属からなる共通の金属基材を含む。
この発明の第2の局面によるプロジェクタ機能を有する電子機器では、一対の第1駆動部を互いに連結するとともに、一対の第1駆動部の間の部分にミラー部が連結された連結部を設けることによって、ミラー部が直接連結部に連結されるので、連結部とミラー部とが細長形状の捩れ梁部を介して間接的に連結される場合に比べて、ミラー部と連結部との接続部分の剛性を高めることができる。これにより、ミラー部のサイズを小さくすることなく、高い共振周波数に対応可能な振動ミラー素子を備えたプロジェクタ機能を有する電子機器を提供することができる。また、ミラー部、一対の第1駆動部および連結部が、金属からなる共通の金属基材を含むことによって、Si基材などを使用する場合に比べて、機械的強度(割れに対する強度)を高めることができるので、耐衝撃性に優れた振動ミラー素子を備えたプロジェクタ機能を有する電子機器を提供することができる。
本発明によれば、上記のように、ミラー部のサイズを小さくすることなく、高い共振周波数に対応可能な振動ミラー素子およびプロジェクタ機能を有する電子機器を提供することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態による振動ミラー素子1の構成について説明する。
本発明の一実施形態による振動ミラー素子1は、携帯型プロジェクタ100に組み込まれている。携帯型プロジェクタ100は、図1に示すように、レーザ光を走査する振動ミラー素子1と、端子2を介して外部から入力された映像を解析して、画素情報を認識する制御部3と、赤色のレーザ光を発生させる赤色LD(レーザダイオード)4と、青色のレーザ光を発生させる青色LD5と、緑色のレーザ光を発生させる緑色LD6と、制御部3において認識された画素情報に基づいて、赤色LD4、青色LD5および緑色LD6の発するレーザ光の階調を制御するレーザ制御部7とが設けられている。なお、赤色LD4、青色LD5および緑色LD6は、本発明の「レーザ光発生部」の一例である。また、携帯型プロジェクタ100は、本発明の「プロジェクタ機能を有する電子機器」の一例である。
振動ミラー素子1は、図2に示すように、光を走査するミラー部10と、ミラー部10を回動軸線200回りに回動させる一対の水平駆動部20aおよび20bと、一対の水平駆動部20aおよび20bを互いに連結する連結部31および32とを備えている。また、振動ミラー素子1は、水平駆動部20aおよび20bを支持するフレーム40と、フレーム40(ミラー部10)を回動軸線300回りに回動させる一対の垂直駆動部50とを備えている。なお、水平駆動部20aおよび20bは、本発明の「第1駆動部」の一例であり、フレーム40は、本発明の「支持部」の一例である。また、垂直駆動部50は、本発明の「第2駆動部」の一例であり、回動軸線200および300は、それぞれ、本発明の「第1回動軸線」および「第2回動軸線」の一例である。
ここで、本実施形態では、振動ミラー素子1は、ステンレスからなる共通のステンレス基材1aにより形成されている。つまり、ミラー部10と、水平駆動部20aおよび20bと、連結部31および32と、フレーム40と、垂直駆動部50とに対応する部分の基材は、ステンレスからなる共通のステンレス基材1aにより一体的に形成されている。また、図9に示すように、共通のステンレス基材1aのうちのフレーム40に含まれる部分は、共通のステンレス基材1aのうちのミラー部10と、一対の水平駆動部20aおよび20bと、連結部31および32に含まれる部分の厚みより大きい厚みを有するように形成されている。具体的には、共通のステンレス基材1aのうちのフレーム40に含まれる部分は、共通のステンレス基材1aのうちの水平駆動部20aおよび20bに含まれる部分の厚みの3倍以上の厚みを有するように形成されている。なお、ステンレス基材1aは、本発明の「金属基材」の一例である。
ミラー部10は、図2に示すように、Y方向に延びる回動軸線200、および、回動軸線200に直交するX方向に延びる回動軸線300回りに回動可能に構成されている。具体的には、ミラー部10は、図2および図3に示すように、回動軸線200回りにA1方向およびA2方向に回動可能に構成されている。また、ミラー部10は、図2に示すように、回動軸線300回りにB1方向およびB2方向に回動可能に構成されている。また、ミラー部10は、回動軸線200上の両端(Y1方向およびY2方向)において、連結部31および32とそれぞれ直接連結されている。
水平駆動部20aおよび20bは、図2に示すように、連結部31および32のX方向の両端部に接続されている。つまり、連結部31(32)は、水平駆動部20aおよび20bのY1方向(Y2方向)側の端部を互いに連結するとともに、水平駆動部20aおよび20bの略中央の部分でミラー部10に直接連結されている。また、連結部31(32)は、ミラー部10に直接連結する部分で折れ曲がるように、略V字形状に形成されている。
水平駆動部20aおよび20bは、圧電体(図示せず)に電圧が印加されることによって撓み変形するように構成されている。水平駆動部20aおよび20bの撓み変形によって、図2および図3に示すように、ミラー部10が回動軸線200回りにA1方向およびA2方向に揺動(回動)されるように構成されている。また、水平駆動部20aおよび20bは、20kHz以上の周波数で駆動されて、ミラー部10を回動させるように構成されている。また、一対の水平駆動部20aおよび20bは、ミラー部10をX方向において挟み込むように配置されている。また、水平駆動部20aおよび20bの部分のステンレス基材1aは、厚みt2(図9参照)を有する。
フレーム40は、図2に示すように、水平駆動部20aおよび20bに接続され、水平駆動部20aおよび20bを支持するように構成されている。また、フレーム40は、ミラー部10、水平駆動部20a、20b、連結部31および32を囲むように略矩形の枠形状に形成されている。また、フレーム40の部分のステンレス基材1aは、水平駆動部20aおよび20bの部分の厚みt2より大きい厚みt1(図9参照)を有する。
垂直駆動部50は、図2に示すように、ミラー部10(フレーム40)を回動軸線300回りにB1方向およびB2方向に揺動(回動)させるように構成されている。また、一対の垂直駆動部50は、フレーム40をX方向において挟み込むように配置されている。具体的には、一対の垂直駆動部50は、ミラー部10を中心として略点対称の形状を有するように、フレーム40のX方向における両側(X1方向側およびX2方向側)に配置されている。垂直駆動部50は、駆動部51、52、53、54、55、56および57と、接続部61、62、63、64、65、66および67とを含む。
垂直駆動部50の駆動部51〜57は、図2に示すように、回動軸線200と略平行な方向(Y方向)に延びるように形成されている。また、駆動部51〜57は、X方向に互いに所定の間隔を隔てて設けられている。また、駆動部51〜57は、圧電体(図示せず)に電圧が印加されることによって変形するように構成されている。また、駆動部51〜57は、変形することによりフレーム40を回動軸線300回りにB1方向およびB2方向に揺動(回動)させるように構成されている。また、垂直駆動部50は、約60Hzの周波数で駆動されるように構成されている。
また、駆動部51は、フレーム40に接続されている。駆動部51および52は、接続部61により互いに接続されている。駆動部52および53は、接続部62により互いに接続されている。駆動部53および54は、接続部63により互いに接続されている。駆動部54および55は、接続部64により互いに接続されている。駆動部55および56は、接続部65により互いに接続されている。駆動部56および57は、接続部66により互いに接続されている。駆動部57は、接続部67に接続されている。接続部67は、外部の枠部(図示せず)に固定されている。
本実施形態では、上記のように、一対の水平駆動部20aおよび20bを互いに連結するとともに、一対の水平駆動部20aおよび20bの間の部分にミラー部10が直接連結された連結部31および32を設けることによって、ミラー部10が直接連結部31および32に連結されるので、連結部31および32とミラー部10とが細長形状の捩れ梁部を介して間接的に連結される場合に比べて、ミラー部10と連結部31および32との接続部分の剛性を高めることができる。これにより、ミラー部10のサイズを小さくすることなく、高い共振周波数に対応可能な振動ミラー素子1を提供することができる。また、ミラー部10、一対の水平駆動部20a、20b、連結部31および32が、金属からなる共通のステンレス基材1aを含むことによって、Si基材などを使用する場合に比べて、機械的強度(割れに対する強度)を高めることができるので、耐衝撃性に優れた振動ミラー素子1を提供することができる。
また、本実施形態では、上記のように、フレーム40は、ミラー部10、水平駆動部20a、20b、連結部31および32と共通のステンレス基材1aを含み、共通のステンレス基材1aのうちのフレーム40に含まれる部分を、共通のステンレス基材1aのうちのミラー部10、一対の水平駆動部20a、20b、連結部31および32に含まれる部分の厚みより大きい厚みを有するように形成する。これにより、水平駆動部20aおよび20bを支持するフレーム40の剛性が高められるので、ミラー部10を振動させる際に、フレーム40が振動するのを抑制することができる。これにより、水平駆動部20aおよび20bを変形させるための振動エネルギーがフレーム40により消費されてしまうのを抑制することができるので、その分、ミラー部10の振れ角を大きくすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、垂直駆動部50は、ミラー部10、一対の水平駆動部20a、20b、連結部31、32およびフレーム40と共通のステンレス基材1aを含む。これにより、ミラー部10のサイズを小さくすることなく、高い共振周波数に対応可能な2軸一体型の振動ミラー素子1を得ることができる。
また、本実施形態では、上記のように、垂直駆動部50を、フレーム40を挟み込むように一対配置することによって、垂直駆動部50をフレーム40の両側に接続してフレーム40およびミラー部10を両側から安定して支持することができるので、フレーム40を片側から支持する片持ちの状態に比べてミラー部10を安定して回動させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、共通のステンレス基材1aのうちのフレーム40に含まれる部分を、共通のステンレス基材1aのうちの水平駆動部20aおよび20bに含まれる部分の厚みの3倍以上の厚みを有するように形成することによって、水平駆動部20aおよび20bに対してフレーム40の剛性を十分に高めることができるので、ミラー部10と連結部31および32との接続部分の剛性を高めることにより共振周波数を高くしつつ、フレーム40の剛性を高めることにより振れ角を容易に大きくすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、水平駆動部20aおよび20bを、ミラー部10を20kHz以上の振動数で回動させるように構成することによって、ミラー部10のサイズを小さくすることなく、ミラー部10の回動軸線200回りの回動の共振周波数を20kHz以上にすることができるので、振動ミラー素子1により走査されて投影される画像の解像度を高めることができる。
次に、図4〜図9を参照して、本発明の一実施形態による振動ミラー素子1のステンレス基材1aの製造方法について説明する。
図4および図5に示すように、ステンレス基材1aを振動ミラー素子1に対応する形状に形成する。具体的には、図4および図6に示すように、ステンレス基材1aの表側の面に振動ミラー素子1に対応する位置にレジスト1bを形成する。また、図5および図6に示すように、ステンレス基材1aの裏側の面のフレーム40、接続部66および67に対応する位置にレジスト1bを形成する。次に、図7に示すように、レジスト1bをマスクとして、ウェットエッチングにより加工する。つまり、共通のステンレス基材1aのフレーム40に含まれる部分が、ミラー部10、一対の水平駆動部20a、20b、連結部31および32に含まれる部分の厚みより大きい厚みを有するように、ステンレス基材1aをエッチング加工して一体的に形成する。
また、エッチング加工の際に、表側と裏側とのエッチング時間、および、エッチング液の濃度が制御されて、フレーム40の部分の厚みが、ミラー部10、一対の水平駆動部20a、20b、連結部31および32の部分の厚みの3倍以上になるように加工される。エッチング加工が終了(図8参照)した後、ステンレス基材1aからレジスト1bを除去して(図9参照)、振動ミラー素子1のステンレス基材1aが完成する。その後、表側の面に、下部電極(図示せず)、圧電体(図示せず)、上部電極(図示せず)が順に積層されて、振動ミラー素子1が完成する。
具体的には、ステンレス基材1aのZ1方向側の表面に、たとえば、白金により下部電極(図示せず)が形成される。そして、下部電極の表面にスパッタ法により、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の圧電膜(図示せず)が形成される。圧電膜形成後、500℃以上の熱処理を行い、圧電膜の特性を安定させる。その後、圧電膜の表面に、たとえば、銅材などにより上部電極(図示せず)が形成される。
本実施形態では、上記のように、共通のステンレス基材1aを、フレーム40に含まれる部分が、ミラー部10、一対の水平駆動部20a、20b、連結部31および32に含まれる部分の厚みより大きい厚みを有するように、エッチング加工して一体的に形成する。これにより、プレス加工と異なり、加工硬化を生じさせることなく、エッチング加工により、共通のステンレス基材1aを微細な段差のある構造に容易に加工することができる。
(実施例)
次に、実施形態による振動ミラー素子のフレームおよび水平駆動部の厚みの比に対する振れ角および共振周波数を測定した実施例について説明する。
次に、実施形態による振動ミラー素子のフレームおよび水平駆動部の厚みの比に対する振れ角および共振周波数を測定した実施例について説明する。
図10および図11に示すように、振動ミラー素子のフレームおよび水平駆動部の厚みの比を、1〜7まで変化させて振れ角および共振周波数の測定を行った。具体的には、図11に示すように、水平駆動部の厚みを40μmとして、フレームの厚みを40μm〜280μmに変化させて測定を行った。また、水平駆動部に印加する電圧を±10Vとした。
フレームおよび水平駆動部の厚みの比が1の場合、フレームの剛性が不十分で共振が発生しなかった。フレームおよび水平駆動部の厚みの比が2の場合、振れ角は±12.6度となり大きくなった。一方で、フレームの剛性が不十分で共振周波数が、あまり大きくならなかった。フレームおよび水平駆動部の厚みの比が3以上の場合、いずれも、振れ角が±14度以上となり、厚みの比が2以下の場合に比べて大きくなった。また、共振周波数も26500Hz以上となり、厚みの比が2以下の場合に比べて大きくなった。
また、フレームおよび水平駆動部の厚みの比を大きくした場合、厚みの比の増加に伴って、共振周波数が大きくなることが分かる。厚みの比を2から3に大きくした場合は、厚みの比を3以上で大きくした場合に比べて、特に、共振周波数の増加量が大きい。また、フレームおよび水平駆動部の厚みの比を大きくした場合、厚みの比の増加に伴って、振れ角が傾向として大きくなることが分かる。
つまり、フレームおよび水平駆動部の厚みの比を3以上にした場合、厚みの比が2以下の場合より、振れ角を大きくするとともに、共振周波数を26500Hz以上の高周波数にすることが可能であることが判明した。
また、加工のし易さの観点から、フレームおよび水平駆動部の厚みの比を6以下とすることが好ましい。つまり、フレームおよび水平駆動部の厚みの比を3以上6以下とすることによって、振れ角を大きくするとともに、共振周波数を大きくすることが可能で、かつ、加工を容易に行うことが可能な振動ミラー素子を提供することができる。
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明を携帯型プロジェクタに適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、プロジェクタ機能を有していれば、携帯型プロジェクタ以外の電子機器、たとえば、携帯電話等に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、振動ミラー素子が、水平駆動部(第1駆動部)および垂直駆動部(第2駆動部)を含むことによって、2次元に光を走査するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1駆動部のみからなり、第2駆動部を有さない構成にすることによって、振動ミラー素子を1次元にのみ光を走査するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、垂直駆動部(第2駆動部)がフレーム(支持部)を挟み込むように一対設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2駆動部は、支持部を挟み込まない位置に複数設けられていてもよいし、支持部の片側に1つ設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、共通のステンレス基材(金属基材)のうちのフレーム(支持部)に含まれる部分が、共通のステンレス基材のうちのミラー部、一対の水平駆動部(第1駆動部)および連結部に含まれる部分の厚みの3倍以上の厚みを有するように形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、共通の金属基材のうちの支持部に含まれる部分が、共通の金属基材のうちのミラー部、一対の第1駆動部および連結部に含まれる部分の厚みより大きい厚みを有するように形成されていれば、3倍未満の厚みを有するように形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、金属基材がステンレスからなる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、金属基材は、ステンレス以外のチタンや、アルミニウムなどの金属により構成されていてもよい。
1 振動ミラー素子
1a ステンレス基材(金属基材)
3 制御部
4 赤色LD(レーザ光発生部)
5 青色LD(レーザ光発生部)
6 緑色LD(レーザ光発生部)
10 ミラー部
20a、20b 水平駆動部(第1駆動部)
31、32 連結部
40 フレーム(支持部)
50 垂直駆動部(第2駆動部)
100 携帯型プロジェクタ(プロジェクタ機能を有する電子機器)
200 回動軸線(第1回動軸線)
300 回動軸線(第2回動軸線)
1a ステンレス基材(金属基材)
3 制御部
4 赤色LD(レーザ光発生部)
5 青色LD(レーザ光発生部)
6 緑色LD(レーザ光発生部)
10 ミラー部
20a、20b 水平駆動部(第1駆動部)
31、32 連結部
40 フレーム(支持部)
50 垂直駆動部(第2駆動部)
100 携帯型プロジェクタ(プロジェクタ機能を有する電子機器)
200 回動軸線(第1回動軸線)
300 回動軸線(第2回動軸線)
Claims (8)
- 少なくとも第1回動軸線回りに回動可能なミラー部と、
前記ミラー部を挟み込むように配置され、電圧の印加により変形されることによって前記ミラー部を回動させる一対の第1駆動部と、
前記一対の第1駆動部を互いに連結するとともに、前記一対の第1駆動部の間の部分に前記ミラー部が連結された連結部とを備え、
前記ミラー部、前記一対の第1駆動部および前記連結部は、金属からなる共通の金属基材を含む、振動ミラー素子。 - 前記一対の第1駆動部に接続され、前記第1駆動部を支持する支持部をさらに備え、
前記支持部は、前記ミラー部、前記一対の第1駆動部および前記連結部と前記共通の金属基材を含み、
前記共通の金属基材のうちの前記支持部に含まれる部分は、前記共通の金属基材のうちの前記ミラー部、前記一対の第1駆動部および前記連結部に含まれる部分の厚みより大きい厚みを有するように形成されている、請求項1に記載の振動ミラー素子。 - 前記支持部を前記第1回動軸線に略直交する第2回動軸線回りに回動させる第2駆動部をさらに備え、
前記第2駆動部は、前記ミラー部、前記一対の第1駆動部、前記連結部および前記支持部と前記共通の金属基材を含む、請求項2に記載の振動ミラー素子。 - 前記第2駆動部は、前記支持部を挟み込むように配置された一対の第2駆動部を含む、請求項3に記載の振動ミラー素子。
- 前記共通の金属基材のうちの前記支持部に含まれる部分は、前記共通の金属基材のうちの前記第1駆動部に含まれる部分の厚みの3倍以上の厚みを有するように形成されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の振動ミラー素子。
- 前記共通の金属基材は、前記支持部に含まれる部分が、前記ミラー部、前記一対の第1駆動部および前記連結部に含まれる部分の厚みより大きい厚みを有するように、エッチング加工されて一体的に形成されている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の振動ミラー素子。
- 前記第1駆動部は、前記ミラー部を20kHz以上の振動数で回動させるように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の振動ミラー素子。
- レーザ光を発するレーザ光発生部と、
入力された映像を解析して、画素情報を認識する制御部と、
レーザ光を走査する振動ミラー素子とを備え、
前記振動ミラー素子は、
少なくとも第1回動軸線回りに回動可能なミラー部と、
前記ミラー部を挟み込むように配置され、電圧の印加により変形されることによって前記ミラー部を回動させる一対の第1駆動部と、
前記一対の第1駆動部を互いに連結するとともに、前記一対の第1駆動部の間の部分に前記ミラー部が連結された連結部とを備え、
前記ミラー部、前記一対の第1駆動部および前記連結部は、金属からなる共通の金属基材を含む、プロジェクタ機能を有する電子機器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2013
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