JP5357714B2 - ボイラ装置 - Google Patents
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Description
石炭焚きボイラ20では、石炭及びバイオマスを微粉炭機10で微細な粒子に粉砕して空気中に浮遊させながら燃焼させる。石炭焚きボイラ20に好適な微粉炭及びバイオマスの微粉度(粒度)は、通常200メッシュパス70%(重量平均径50μm)程度〜200メッシュパス90%(重量平均径30μm)程度である。
一方、微粉度を上げて微粉炭の重量平均径を小さくするためには、微粉炭機10の負荷が増大することに伴って動力消費も大きくなる。特に、バイオマスの主成分が弾性材料であることから、石炭と比較すれば動力消費の少ない効率的な粉砕は困難である。従って、図11に示すように、石炭専焼時からバイオマスの混合割合が増すにつれて、すなわち、バイオマス混焼率が高くなるにつれて微粉炭機10の動力比も大きくなる。
さらに、既存のボイラに容易に適用し、燃焼を安定かつ容易に制御するために有効な酸素燃焼ボイラの燃焼制御方法及び装置が提案されている。この従来技術には、ボイラ本体の収熱量が目標値となるように、燃焼排ガスの再循環量を制御してボイラ全体に導入される全ガス中の酸素濃度を調節することが記載されている。(たとえば、特許文献1参照)
また、無煙炭や半無煙炭、石油コークスといった燃料は、石炭火力発電用の燃料として最も多く使用されている瀝青炭と比較すると、揮発分が少なく固定炭素分が多いため、着火性や燃焼性が劣る。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、石炭及びバイオマスの微粉度を下げてバイオマス混焼率を向上させた混焼が可能になるボイラ装置を提供することにある。
本発明の請求項1に係るボイラ装置は、燃焼用空気から分離した酸素を用いて燃料を燃焼させることで排出される燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を高濃度に高める酸素/二酸化炭素燃焼ボイラを採用し、混合粉砕した石炭及びバイオマスを前記酸素/二酸化炭素燃焼ボイラに投入して高酸素濃度で燃焼させるボイラ装置において、前記酸素/二酸化炭素燃焼ボイラから排出される灰中未燃分量を計測する未燃分計測手段を設け、前記灰中未燃分量の計測値が規定値以下となるように前記酸素/二酸化炭素燃焼ボイラの上流側へ戻す燃焼排ガス循環量の制御を行うことを特徴とするものである。
すなわち、「燃焼排ガス循環量」を灰中未燃分量の計測値に応じて適切な値に調整することにより、微粉度を下げた粉体燃料の良好な燃焼を促進し、灰中未燃分を規定値以下の低い値に維持した運転が可能になる。
このようにすれば、混合粉砕した石炭及びバイオマスの粒径が小さくなり、粉体燃料の燃焼性が向上するので、ミルが有する動力の裕度を利用して、灰中未燃分を規定値以下の低い値に維持する運転が可能になる。
そして、ミルの動力(初期値)を石炭専焼時と略同じ値に設定すれば、微粉炭及びバイオマスの微粉度を下げて(粉砕粒径を粗くして)バイオマス混焼比率を高め、あるいは、必要に応じてミルが有する動力の裕度を利用し、微粉度を上げて灰中未燃分を規定値以下の低い値に維持する運転も可能になる。
本実施形態のボイラ装置は、石炭とバイオマスとを高混焼率で燃焼させるため、酸素/二酸化炭素燃焼ボイラに微粉度を下げた粉体燃料(石炭及びバイオマスの微細粒子)を投入して高酸素濃度で燃焼させるものである。このような酸素/二酸化炭素燃焼ボイラは、たとえば既設の石炭焚きボイラから容易に改造することができる。
酸素/二酸化炭素燃焼ボイラは、燃焼用の空気から窒素を取り除いて酸素を分離させ、この酸素とボイラ出口から排出された燃焼排ガスの一部とを混合した酸化剤を高酸素濃度の燃焼に使用するとともに、燃焼排ガス中の二酸化炭素を回収する燃焼方式である。すなわち、上述した燃焼排ガスの主成分は二酸化炭素であるから、ボイラ出口から排出された燃焼排ガスの一部をボイラ上流側へ導入して再循環させることにより、燃焼用空気に代えて二酸化炭素と酸素との混合ガス(酸化剤)をボイラへ投入する高酸素濃度の燃焼が可能になる。
このような酸素/二酸化炭素燃焼ボイラには下記の4方式があり、燃焼用空気から分離させた酸素の混合先が異なっている。
この場合の1次空気は、石炭焚きボイラ20から排ガス流路21を通って排出される燃焼排ガスの一部であり、脱塵装置40の下流側で分岐する排ガス循環流路22及び1次用排ガス流路23を介して微粉炭機10へ導入される。従って、微粉炭機10へ供給される1次空気の主成分は二酸化炭素となり、この1次空気は、微粉炭機10内で混合粉砕した粉体燃料の搬送ガスとして使用される。
すなわち、この第1構成例は、酸素分離装置30から供給される酸素を2次空気側にのみ混合する方式である。なお、ここで再循環させる燃焼排ガスは、脱塵装置40を通過した脱塵後の一部であり、残りの燃焼排ガスについては、下流側に設けられた二酸化炭素回収装置(不図示)へ導かれて処理される。
以下では、本発明に係るボイラ装置について、第1の実施形態を図1から図3に基づいて説明する。
図1に示すボイラ装置は、微粉炭機10で混合粉砕した石炭及びバイオマスの粉体燃料を石炭焚きボイラ20に投入して高酸素濃度で燃焼させる装置である。従って、粉体燃料を燃焼させる酸化剤は、酸素とボイラ出口から排出された燃焼排ガスの一部とを混合した混合ガスとなる。なお、図示の石炭焚きボイラ20は、図6に示した第2構成例の酸素/二酸化炭素燃焼ボイラを採用しているが、これに限定されることはない。
灰中未燃分計測装置50は、石炭焚きボイラ20の燃焼排ガス出口に接続された排ガス流路21において、脱塵装置40の上流側に設置されている。この灰中未燃分計測装置50は、たとえばサンプリングした灰をレーザ照射によりプラズマ化させ、プラズマ光を分光分析することにより灰の組成成分濃度を計測するLIBS法(レーザ誘起ブレークダウン法;Laser Induced Breakdown Spectroscopy)を用いたものがあり、リアルタイムで計測した計測値を制御部60に入力することができる。
なお、酸素流量調整弁35の設置位置については、酸素供給流路31に限定されることはなく、1次用酸素流路32側に設けても同様の制御を行うことができる。
従って、図1に示すボイラ装置は、灰中未燃分計測装置50で計測した灰中未燃分量に応じて制御部60が排ガス流量調整弁26及び酸素流量調整弁35の制御信号を出力し、酸素/二酸化炭素燃焼ボイラとした石炭焚きボイラ20の上流側へ戻す燃焼排ガス循環量や、酸素/二酸化炭素燃焼ボイラとした石炭焚きボイラ20の1次空気及び2次空気に対する酸素分配比率の制御を行うことができるようになっている。
最初のステップS1で制御フローがスタートすると、次のステップS2では、石炭焚きボイラ20で混焼させる石炭及びバイオマスの混焼率を設定する。すなわち、ステップS2では、微粉炭機10に投入する石炭及びバイオマスの重量比を設定して次のステップS3に進む。ここで設定されるバイオマス混焼率は、たとえば5〜20%程度の初期値となる。
微粉炭機10が竪型ローラミルの場合、微粉度を定める分級器には、回転式分級器、固定式分級器及び回転式/固定式分級器の組合せがある。微粉度を上げて粒径を小さくする対策として、回転式分級器においては、回転羽根の回転数を上げることやローラ荷重を上げることが必要であり、固定式分級器においては、固定羽根の開度を広げることやローラ荷重を上げることが必要である。従って、回転式/固定式分級器を組合せた分級器は、回転式分級器及び固定式分級器と同様の対策が必要になり、いずれの対策も動力の増加を伴うものである。
こうして石炭ボイラ20内で燃焼させる粉体燃料は、次のステップS5で着火安定性の確認が行われる。この場合の着火安定性確認は、バーナ先端から着火点までの着火距離を目視または画像処理により確認し、着火距離がしきい値以下かどうかにより判断される。
一方、ステップS5の着火安定性確認において、粉体燃料の着火が不安定と判断された「着火不安定」の場合には、次のステップS7に進んで1次空気/2次空気の酸素分配比率制御を実施する。
なお、ステップS5における着火安定の確認及びステップS7における1次空気/2次空気の酸素分配比率制御は、たとえば図5に示す酸素/二酸化炭素燃焼ボイラ(第1構成例)のように、1次空気に酸素を混合しない場合は省略される。
すなわち、排ガス循環流路22から導入する燃焼排ガス量を調整しない場合には、酸素流量調整弁35の開度を絞る方向に変更する制御信号を出力する。この結果、相対的に流路断面積比が増大した1次用酸素流路32側では、酸素分離装置10から供給される酸素の分配量も増加する。
この結果、灰中未燃分が規定値以下になる「YES」の場合には、ステップS8に進んで良好な燃焼が行われている状態の「OK」と判断して制御を終了する。なお、良好な燃焼が行われている場合には、バイオマス混焼率を高めることも可能と考えられるため、必要に応じてステップS1におけるバイオマス混焼率の設定を上げる方向に変更し、再度同様の制御フローを実施してもよい。
一方、灰中未燃分が規定値より多い「NO」の場合には、次のステップS10に進んで酸素濃度制御を実施する。
ステップS10の酸素濃度制御が開始されると、規定値より多い灰中未燃分の計測値に応じて、排ガス流量調整弁26の開度を絞る方向の制御信号が出力される。この結果、排ガス循環流路22を通って微粉炭機10や石炭焚きボイラ20へ供給される排ガス再循環量が減少するので、相対的に1次空気及び2次空気の酸素濃度が上昇する。
この後、次のステップS11に進み、灰中未燃分量は規定値(たとえば1〜5%程度)以下か否かの判断が行われる。この場合の灰中未燃分の計測値は、上述したステップS6と同様に、灰中未燃分計測装置50で計測した値が用いられる。
一方、灰中未燃分が規定値より多い「NO」の場合には、次のステップS12に進み、微粉炭機10の動力を石炭専焼時と同等の初期値から上限の許容値まで引き上げることにより、粉体燃料の微粉度を最大限に上昇させる。すなわち、石炭焚きボイラ20に投入される粉体燃料をより微細な粒子に粉砕するため、微粉炭機10は最大の動力を消費する運転に変更される。
この後、次のステップS14に進み、微粉度を上げた粉体燃料を燃焼させた場合の灰中未燃分量について、上述したステップS6及びステップS14と同様の判断が行われる。
一方、灰中未燃分が規定値より多い「NO」の場合には、次のステップS15に進む。このステップ15では、良好な燃焼が行われていない「NG」と判断し、バイオマスの混焼率を下げる必要がある。すなわち、微粉炭機10を最大限の動力で運転し、最大限に微粉化した粉体燃料でも良好な燃焼が得られないため、同じ微粉炭機10を用いて良好な燃焼が可能となる微粉度を得るため、微粉度を上げる障害となるバイオマスの混合割合を下げることが必要と判断される。
以下では、本発明に係るボイラ装置について、第2の実施形態を図4に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図4に示すボイラ装置は、第1の実施形態と同様に、微粉炭機10で混合粉砕した石炭及びバイオマスの粉体燃料を石炭焚きボイラ20に投入して高酸素濃度で燃焼させる装置である。図示の石炭焚きボイラ20は、図6に示した第2構成例の酸素/二酸化炭素燃焼ボイラを採用した場合について説明するが、本実施形態は、1次空気及び2次空気の両方に酸素を分配する第3構成例及び第4構成例にも適用可能である。
また、石炭及びバイオマスを混合粉砕して石炭焚きボイラ20へ供給する微粉炭機10の動力は、石炭専焼時と略同等に設定されている。
制御部60Aは、出口温度計測装置70の計測値(出口温度)に応じて、酸素/二酸化炭素燃焼ボイラとした石炭焚きボイラ20の1次空気及び2次空気に対する酸素分配比率の制御を実施する。
1次空気に酸素を混合する方式の石炭焚きボイラ20は、燃焼排ガスのみを1次空気とする第1構成例(図5参照)と比較して、良好な着火性を得られる。しかし、バイオマスは瀝青炭に比べて揮発分が多く、自然発火性が高いため、微粉炭機10内での自然発火に注意が必要である。このため、微粉炭機10内の酸素濃度が高まると、微粉炭機10内の温度が上昇し、より自然発火しやすい状況となる。
この場合の酸素量制御は、酸素分離装置30から2次用排ガス流路24に酸素を供給する酸素供給流路31に設けた酸素流量調整弁31に対し、制御部60Aが出口温度計測装置70の計測値に応じて最適な開度信号を出力して行われる。すなわち、出口温度計測装置70の計測値が所定値以上に高くなると、制御部60Aは、酸素流量調整弁35の開度を増して2次空気側へ流れる酸素量が増加するような開度指令を出力する。この結果、1次用酸素流路32に分岐して流れる酸素量が減少し、微粉炭機10に供給される1次空気の酸素濃度を低下させて最適化することができる。
このようにして1次空気側の酸素濃度を最適に調整すれば、微粉炭機10内を自然発火しない状態に保ちながら1次空気にも酸素を混合させることで、安全性を確保して着火性の向上を図ることができる。
なお、このようなボイラ装置は、無煙炭や半無煙炭、石油コークスといった難燃性燃料や、粉砕性が悪く微粉度が低下した石炭の燃焼性向上にも有効である。
そして、既設の微粉炭機10を使用する場合には、石炭専焼時の微粉炭機動力を初期値に設定して微粉炭及びバイオマスの微粉度を下げ(粉砕粒径を粗くして)、バイオマス混焼比率を高めることが可能となる。すなわち、酸素/二酸化炭素燃焼ボイラにおいて、粉砕性指数(HGI)が低く粉砕性の悪い燃料の微粉度を下げることで、微粉炭機10等のミル容量を低減し、酸素濃度を最適に制御して、微粉度を下げた粉体燃料を最適に燃焼させることができる。換言すれば、従来はミル粉砕動力の上限により使用が困難であった低粉砕性指数の燃料についても、微粉度の低い粉体燃料として使用可能になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 燃料流路
20 石炭焚きボイラ
21 排ガス流路
22 排ガス循環流路
23 1次用排ガス流路
24 2次用排ガス流路
25 排ガス分岐流路
26 排ガス流量調整弁
30 酸素分離装置
31 酸素供給流路
32,33,34 1次用酸素流路
35 酸素流量調整弁
40 脱塵装置
50 灰中未燃分計測装置
60,60A 制御部
70 温度計測装置
Claims (3)
- 燃焼用空気から分離した酸素を用いて燃料を燃焼させることで排出される燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を高濃度に高める酸素/二酸化炭素燃焼ボイラを採用し、混合粉砕した石炭及びバイオマスを前記酸素/二酸化炭素燃焼ボイラに投入して高酸素濃度で燃焼させるボイラ装置において、
前記酸素/二酸化炭素燃焼ボイラから排出される灰中未燃分量を計測する未燃分計測手段を設け、前記灰中未燃分量の計測値が規定値以下となるように前記酸素/二酸化炭素燃焼ボイラの上流側へ戻す燃焼排ガス循環量の制御を行うことを特徴とするボイラ装置。 - 前記燃焼排ガス循環量は、前記灰中未燃分量の計測値が増加した場合に減少するように調整されることを特徴とする請求項1に記載のボイラ装置。
- 燃焼用空気から分離した酸素を用いて燃料を燃焼させることで排出される燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を高濃度に高める酸素/二酸化炭素燃焼ボイラを採用し、混合粉砕した石炭及びバイオマスを前記酸素/二酸化炭素燃焼ボイラに投入して高酸素濃度で燃焼させるボイラ装置において、
前記ミルの出口部に出口温度計測手段を設け、該出口温度計測手段の計測値に応じて、前記酸素/二酸化炭素燃焼ボイラの1次空気及び2次空気に対する酸素分配比率の制御を行い、
前記酸素分配比率は、前記出口温度計測手段の計測値が所定値以上とならないように調整されることを特徴とするボイラ装置。
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