JP5354096B2 - 伝動ベルトおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、伝動ベルトおよびその製造方法、特にベルト式の無段変速機に好適な伝動ベルトおよびその製造方法に関する。
自動車等の車両用の無段変速機(Continuously Variable Transmission;以下、CVTともいう)として、それぞれ可変シーブである駆動側プーリと被駆動側プーリとの間に無端の伝動ベルトを掛け渡したベルト式のものがある。このようなCVTに用いられる伝動ベルトは、芯材である無端帯状リングと、板厚方向を無端帯状リングの軸線方向に向けて無端帯状リングに保持された多数のエレメントとで構成されており、多数のエレメントが無端帯状リングの軸線方向に圧接したり無端帯状リングに張力が作用したりすることで駆動側プーリから被駆動側プーリへとトルクを伝達できるようになっている。
この種の伝動ベルトとしては、例えば多数のエレメントに伝動ベルトの幅方向の両側に向って開いた左右一対の凹部がそれぞれ形成され、両凹部に2本の無端帯状リングが収容されることで多数のエレメントが2本の無端帯状リングの間に保持されるものが多用されている。また、この種の伝動ベルトにおいては、エレメントの一面側にロッキングエッジが形成されており、伝動ベルトが各プーリに巻き付くとき、複数のエレメントがそれぞれのロッキングエッジ部を先行するエレメントに接触させた状態で、隣り合うエレメントに対して相対的に揺動し得るようになっている。そして、このような伝動ベルトのエレメントを効率よく製造すべく、幅方向の中央部と両端部とで板厚が異なりこれらの間に段差が形成されるようロール加工等を施した帯状の鋼板(以下、粗形材ともいう)を準備し、その段差がロッキングエッジとなる位置で粗形材からエレメントを順次打ち抜くようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、エレメントの平坦度が不良であると、積層したエレメント同士が密着せずにリングへの組み付けが困難になったり、エレメント同士の間隔がばらついて伝動ベルトによる駆動側および被駆動側プーリ間の動力伝達効率が低下したりするため、エレメントの製造の際に、積層状態のエレメントに対し大小異なる検査荷重を加えたときにその積層エレメントの全長の収縮量に一定量以上の変化が出るか否かによって、歪みや曲りを有する平坦度不良のエレメントであるか否かを判定するようにしたエレメントの製造方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−192459号公報(図6、図13参照) 特開2001−330535号公報
しかしながら、上述のように帯状の粗形材からエレメントを打ち抜く従来の伝動ベルトおよびその製造方法にあっては、金型によりエレメントを粗形材から打ち抜く際、そのエレメントの打抜き部位に対する材料送り方向の少なくとも一方側に先行するエレメントの打抜きによって形成された開口部が存在する状態となり、材料歩留まりを高める必要からその開口部が打抜き部位に近接することになっていた。そのため、打抜き工程における材料送り方向に対応する伝動ベルトの幅方向両側でエレメントの板厚にばらつきが生じ易くなり、素形材の材料板厚自体にもばらつきが生じる加工ロットの異なるエレメントの間では、その板厚に比較的大きな差が生じることがあった。なお、ここにいう伝動ベルトの幅方向両側でのエレメントの板厚のばらつきは、個々には非常に小さいものであるが、例えば400枚のエレメントが積層される場合には0.4mmを超える誤差が生じ得る程度のものである。
また、帯状の鋼板からロッキングエッジに対応する段差をロール加工等により成形した粗形材を準備し、その粗形材からエレメントを打ち抜くため、エレメントの製造コストが高くなってしまうばかりか、エレメントの大部分の板厚が大きくなるために伝動ベルトの軽量化が困難になっていた。ベルト幅方向両側のエレメントの板厚がばらつくという問題に対しては粗形材からのエレメントの打抜き間隔を大きくすることで解消することもできるが、その場合、材料歩留まりが低下してしまうため、打抜き加工においてもエレメントの製造コスト高を招いてしまうという問題が生じる。
一方、大小異なる検査荷重に対する積層エレメントの全長の収縮量変化から平坦度不良のエレメントか否かを判定する従来の伝動ベルトの製造方法にあっては、不良と判定された積層エレメントについては、個別に検査すれば歪みや曲りのない良品となるエレメントを相当数含んでいたとしてもそれらが不良となってしまい、良品と判定された積層エレメントについては、歪みや曲りの大きいエレメントを含んでいたとしても、そのエレメントが良品として使用されてしまう可能性が高い。そのため、エレメントの不良の発生率が高くなって伝動ベルトの製造コストが高くなったり、伝動ベルトを実装したベルト式の無段変速機の耐久性が伝動プーリとエレメントとのエッジコンタクト等により低下したりしてしまうという問題があった。そればかりか、大小異なる検査荷重に対する積層エレメントの全長の収縮量変化から平坦度不良を判定するのでは、上述したベルト幅方向両側のエレメントの板厚のばらつきに対する良否判定ができないという問題があった。
本発明は、上述のような従来の問題を解消すべくなされたものであり、軽量のエレメントを低コストに製造でき、しかも、ベルト式の伝動機構の耐久性を十分に確保することのできる伝動ベルトおよびその製造方法を提供するものである。
本発明に係る伝動ベルトは、上記課題を解決するために、(1)無端帯状リングと、前記無端帯状リングを介し相互に押圧可能に積層および結束された複数のエレメントと、を備え、前記エレメントのそれぞれが、ベルト幅方向の両側でプーリに挟圧される両側端面部と、両面側に隣り合う他の一対のエレメントのいずれか一方に揺動可能に係合するロッキングエッジ部と、前記他の一対のエレメントに対し凹凸係合可能な凹凸係合部と、を有する伝動ベルトであって、前記エレメントのそれぞれが、前記両側端面部を有する板状部と、該板状部の一面から前記他の一対のエレメントのいずれかに向って突出する第1凸部と、前記第1凸部から離間しつつ前記板状部の一面から突出して前記ロッキングエッジ部を構成する第2凸部と、を有し、前記エレメントのそれぞれと前記他の一対のエレメントとが、前記第1凸部および前記第2凸部によって相互に押圧可能に係合することを特徴とする。
この構成により、伝動ベルトによるプーリ間の伝動がなされるとき、複数のエレメントが、互いに平行になる直進区間では第1凸部および第2凸部のうち少なくとも一方によって相互に押圧可能に係合し、プーリに挟圧されつつ互いに揺動する区間ではロッキングエッジ部となる第2凸部で相互に押圧可能に係合することになる。したがって、エレメントの板状部の板厚にばらつきが生じ易くとも、精密プレス成形等によって第1凸部および第2凸部を所要の高さに成型することで、エレメントの厚さのベルト幅方向両側での差を十分に抑えることができるとともに、板状部の板厚をロッキングエッジ部の高さまで厚くする必要がなくなることから、伝動ベルトを容易に軽量化できることになる。しかも、複数のエレメントを積層すると、隣り合うエレメント同士が第1凸部および第2凸部によって押圧可能に係合することから、第1凸部および第2凸部の突出高さを適宜設定することで、同一の板厚の素材から厚さの異なるエレメントが作製可能となる。
本発明の伝動ベルトにおいては、(2)前記板状部の一面からの前記第1凸部の突出高さが、前記板状部の一面からの前記第2凸部の突出高さより大きいことが望ましい。この構成により、第1凸部を凹凸係合部の凸部にも利用可能となる。また。複数のエレメントが互いに平行になる伝動ベルトの直進区間では、第1凸部にエレメント間の押圧力を担持させることも可能になる。
(3)前記板状部は、前記板状部の他面からの深さが前記板状部の一面からの前記第1凸部の突出高さより小さくなるよう前記第1凸部の背後に形成された第1凹部を有し、前記第1凸部および前記第1凹部によって、前記凹凸係合部が構成されているのがより好ましい。これにより、複数のエレメントが互いに平行に圧接する区間で押圧力を担持する第1凸部を凹凸係合部の凸部としても利用でき、押圧力の作用点が安定することで安定した伝動が可能となる。
本発明の伝動ベルトにおいては、(4)前記エレメントのそれぞれが、前記第1凸部を有する頭部と、前記第2凸部を有する胴部と、前記頭部および前記胴部を連結する首部とを有し、前記第1凸部および前記第2凸部のうち少なくとも一方が、前記ベルト幅方向に延在するリブ形状をなしているものであることが好ましい。この構成により、複数のエレメントがベルト幅方向の一端で接近し他端側で離隔するように傾くことが有効に抑制できる。
また、本発明の伝動ベルトにおいては、(5)前記エレメントのそれぞれが、前記第1凸部を有する頭部と、前記第2凸部を有する胴部と、前記頭部および前記胴部を連結する首部とを有し、前記第1凸部および前記第2凸部のうち少なくとも一方が、前記ベルト幅方向に離間する複数の突起によって構成されているものであってもよい。この場合も、複数のエレメントがベルト幅方向の一端で接近し他端側で離隔するように傾くことが有効に抑制できる。
本発明の伝動ベルトにおいては、(6)前記板状部が、前記第2凸部の背後に前記第2凸部に対応する第2凹部を有し、少なくとも前記第1凸部および前記第2凸部が離間する方向における前記第2凹部の入口幅が同方向における前記第2凸部の幅よりも小さくなっていることが望ましい。この構成により、板状部の板厚が小さくとも、第2凹部を形成することで第2凸部の所要の突出高さを確保できるとともに、第2凹部の近傍で第2凸部を隣り合う他のエレメントに押圧可能に係合させることができる。
この場合、(7)前記第2凸部が、前記ベルト幅方向に延在するリブ形状をなし、前記第2凹部が、前記ベルト幅方向に延在する溝形状をなしていることが好ましい。この構成により、厚さのベルト幅方向両側での差やばらつきが抑えられた第2凸部によりロッキングエッジ部がベルト幅方向の広範囲に形成されることになり、プーリへの巻き付き時におけるエレメントの安定した揺動や直進時のエレメント間の安定した押圧力伝達が可能になり、エッジコンタクト等による伝動ベルトや伝動機構の耐久性の低下を防止することができる。
あるいは、(8)前記第2凸部が、前記ベルト幅方向に離間する複数の突起により構成され、前2記凹部が、前記ベルト幅方向に離間する複数の凹部で構成されていても好ましい。この構成により、ロッキングエッジ部をベルト幅方向の広範囲に形成する場合と同様に、プーリへの巻き付き時における安定した揺動およびエレメント間の押圧力の伝達が可能になる。また、厚さ調整工程で積層エレメントに加える圧縮荷重を小さくすることができる。
本発明の伝動ベルトにおいては、(9)前記エレメントのそれぞれが、前記ロッキングエッジ部に対し前記第1凸部とは反対側の端部に、前記プーリに巻き付くよう揺動したときに前記他の一対のエレメントに当接可能な当接部を有し、該当接部の一面が前記板状部の一面に対して傾斜していることを特徴とすることを特徴とする。この構成により、第2凸部の突出高さが低くともプーリへの巻き付き時における隣接エレメント間の最大の傾斜角を大きく設定でき、巻き付き半径が小さい場合にも十分に対応可能となる。
本発明に係る伝動ベルトの製造方法は、上記課題を解決するため、(10)無端帯状リングと、前記無端帯状リングに沿って板厚の方向に積層されるとともに前記無端帯状リングに前記板厚の方向に揺動可能に組み付けられた複数のエレメントと、を備える伝動ベルトの前記エレメントのそれぞれに、両面側に隣り合う他の一対のエレメントのいずれか一方に揺動可能に係合するロッキングエッジ部と、前記他の一対のエレメントに凹凸係合可能な凹凸係合部とを形成する伝動ベルトの製造方法であって、前記エレメントの板状の素材から前記両側端面部を有する板状部を打ち抜くとともに、該板状部の一面から前記他の一対のエレメントのいずれかに向って突出する第1凸部と、前記第1凸部から離間しつつ前記板状部の一面から突出して前記ロッキングエッジ部を構成する第2凸部と、を形成するプレス成形工程を含むことを特徴とする。
この構成により、第1凸部および第2凸部の突出高さを適宜設定することで、同一の板厚の素材から厚さの異なるエレメントが作製可能となる。さらに、打抜き後に積層された複数のエレメント(以下、積層エレメントという)のワークに対し実装後のエレメント間の押圧荷重より十分に大きいものの第1凸部または/および第2凸部の突出高さを調整可能な程度の比較的小さい圧縮荷重を加えるようにすると、複数のエレメントの厚さのベルト幅方向両側での差を縮小するとともに複数のエレメントの厚さの均一化を図ることが可能になる。
本発明の伝動ベルトの製造方法は、好ましくは、(11)前記プレス成形工程で前記板状部に前記第1凸部および前記第2凸部が形成された複数のワークを積層し、該積層した前記複数のワークに対し前記第1凸部および前記第2凸部のうち少なくとも一方を部分的に塑性変形させ得る圧縮荷重を加えて前記複数のワークの積層状態での厚さを設定範囲内に調整する厚さ調整工程を、さらに含むものである。これにより、個別に検査すれば良品となるエレメントを相当数含む積層エレメントが不良となったり、良品と判定された積層エレメントに厚さ不良のエレメントが相当数混在したりするような問題が解消され、エレメントの不良の発生率を抑えて伝動ベルトの製造コストを低減させることができるとともに、伝動ベルトを実装したベルト式の無段変速機の耐久性が伝動プーリとエレメントとのエッジコンタクト等により低下したりしてしまうことを防止できる。
また、(12)前記厚さ調整工程において、前記ベルト幅方向の両側における前記複数のワークの積層状態での厚さをそれぞれ計測し、両厚さの差が予め設定された許容範囲内になるよう前記複数のワークに対し前記圧縮荷重を加えることが望ましい。これにより、複数のエレメントの厚さのベルト幅方向両側での差を確実に縮小できる。
本発明の伝動ベルトの製造方法においては、さらに、(13)前記プレス成形工程において、前記第2凸部の背後に、少なくとも前記第1凸部および前記第2凸部が離間する方向における入口幅が同方向における前記第2凸部の幅よりも小さい第2凹部を形成するのが好ましい。この構成により、第2凹部と同時にその入口縁部や被押圧面となる第2凸部の背面を所要の形状および位置に規定し、エレメントの揺動支点を的確に設定することができる。
なお、前記プレス成形工程においては、前記エレメントの板状の素材から前記板状部を打ち抜くのが完了するより前に、前記エレメントの板状の素材のうち前記板状部が打ち抜かれる板状部設定範囲内に前記第1凸部および前記第2凸部を形成することが望ましい。これにより、第1凸部および前記第2凸部を容易にかつ高精度に形成可能となる。
本発明の伝動ベルトによれば、エレメントの板状部の板厚にばらつきが生じ易い場合でも、第1凸部および第2凸部を所要の高さに成形することで、エレメントの厚さのベルト幅方向両側での差を十分に抑えることができるとともに、板状部の板厚をロッキングエッジ部の高さまで厚くする必要がなくなることで伝動ベルトを容易に軽量化できる。その結果、軽量のエレメントを低コストに製造でき、しかも、ベルト式の伝動機構の耐久性を十分に確保することのできる伝動ベルトを提供することができる。
また、本発明の伝動ベルトの製造方法によれば、第1凸部および第2凸部の突出高さを適宜設定することで、同一の板厚の素材から厚さの異なるエレメントが製造可能となる。しかも、打抜き後に積層された複数のエレメントのワークに対し実装後のエレメント間の押圧荷重より十分に大きいものの第1凸部または/および第2凸部の突出高さを調整可能な圧縮荷重を加えるようにすれば、複数のエレメントの厚さのベルト幅方向両側での差を縮小するとともに複数のエレメントの厚さの均一化を図ることができる。その結果、軽量のエレメントを低コストに製造でき、しかも、ベルト式の伝動機構の耐久性を十分に確保することのできる伝動ベルトの製造方法が実現できる。
本発明の第1実施形態に係る伝動ベルトのエレメントの正面図である。 図1AのIB−IB矢視断面図である。 本発明の第1実施形態に係る伝動ベルトの実装状態を示す側面断面図である。 図2Aに示す伝動ベルトの部分拡大図である。 本発明の第1実施形態に係る伝動ベルトの実装状態における直進区間の複数のエレメントの側面断面図である。 本発明の第1実施形態に係る伝動ベルトの実装状態における湾曲区間の複数のエレメントの側面断面図である。 本発明の第1実施形態に係る伝動ベルトの製造方法における複数のエレメントのプレス加工工程の説明図である。 本発明の第1実施形態に係る伝動ベルトの製造方法における複数のエレメントの積層工程の説明図である。 本発明の第1実施形態に係る伝動ベルトの製造方法における複数のエレメントの厚さ調整工程の説明図である。 本発明の第1実施形態に係る伝動ベルトの製造方法における複数のエレメントの厚さ調整後の寸法測定工程の説明図である。 本発明の第1実施形態に係るエレメントの積層体の第1凸部の中心位置における平面断面図で、ベルト幅方向における圧縮荷重の作用点および寸法測定位置を示している。 本発明の第1実施形態に係るエレメントの積層体の第1凸部の中心位置における側面断面図で、ベルト厚さ方向における圧縮荷重の作用点および寸法測定位置を示している。 本発明の第2実施形態に係る伝動ベルトのエレメントの正面図である。 本発明の第2実施形態に係る伝動ベルトの隣り合うエレメントの側面断面図であり、伝動ベルトの直進区間と湾曲区間とでの隣り合うエレメントの状態の変化を示している。 本発明の第3実施形態に係る伝動ベルトのエレメントの正面図である。 本発明の第3実施形態に係る伝動ベルトの隣り合うエレメントの側面断面図である。 本発明の第4実施形態に係る伝動ベルトのエレメントの正面図である。 図8AのVIIIB−VIIIB矢視断面図である。 本発明の第5実施形態に係る伝動ベルトのエレメントの背面図である。 本発明の第5実施形態に係る伝動ベルトのエレメントの正面図である。 本発明の第5実施形態に係る伝動ベルトのエレメントの第2突起部を拡大して示す部分拡大側面図である。 本発明の第5実施形態に係る伝動ベルトの隣り合う複数のエレメントの第2凸部の中心高さにおける平面断面図である。 本発明の第6実施形態に係る伝動ベルトのエレメントの正面図である。 本発明の第6実施形態に係る伝動ベルトの実装状態における直進区間の複数のエレメントを示す図11のXIIA−XIIA矢視断面図である。 本発明の第6実施形態に係る伝動ベルトの実装状態における湾曲区間の複数のエレメントの側面断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係る伝動ベルトおよびそのエレメントを示している。なお、本実施形態は、本発明を自動車のベルト式無段変速機の伝動ベルトに適用したものである。
まず、その構成について説明する。
図2Aおよび図2Bに示すように、本実施形態の伝動ベルト10は、無段変速機1(詳細は図示していない)の内部に設けられた金属製のもので、無段変速機1は、図示しない入力軸に連結されたプライマリプーリ2(駆動側のプーリ)と、図示しない出力軸に連結されたセカンダリプーリ3(被駆動側のプーリ)と、両プーリ2、3の間に巻き掛けられた伝動ベルト10とを含んで構成されている。
プライマリプーリ2(駆動側プーリ)およびセカンダリプーリ3(被駆動側プーリ)は、詳細を図示しないが、それぞれ略V字形断面のベルト係合溝を形成する固定側および可動側の回転部材と、固定側の回転部材に対して可動側の回転部材を軸方向移動させるための油圧アクチュエータとを有し、ベルト係合溝の幅を変化させることができる可変シーブとして構成されている。
すなわち、プライマリプーリ2とセカンダリプーリ3とは、それぞれの油圧アクチュエータを図外の油圧制御装置により制御することで、変速比、すなわちプライマリプーリ2の有効径(入力側可変シーブの有効径Ri)に対するセカンダリプーリ3の有効径(出力側可変シーブの有効径Ro)の比(Ro/Ri)を連続的に可変制御することができるようになっている。
また、伝動ベルト10に対して、プライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3によって滑りの生じない適度の挟圧力を加えることができるように、両プーリ2、3の油圧アクチュエータの作動油圧が油圧制御装置によってそれぞれ制御されるようになっている。
図1Aおよび図1Bに示すように、伝動ベルト10は、少なくとも1本、例えば複列に配置された2本の無端帯状リング11A、11Bと、それぞれ板状に形成されて無端帯状リング11A、11Bに沿って板厚方向に積層されるとともに、無端帯状リング11A、11Bに対して揺動および摺動可能に組み付けられた状態で、無端帯状リング11A、11Bを介し相互に押圧可能に積層および結束された複数のエレメント12と、を備えている。
無端帯状リング11A、11Bは、それぞれ例えばマルエージング鋼等の金属製のリボン状部材を複数枚積層した積層リングとして構成されており、互いに同一の形状および特性を有している。
複数のエレメント12は、それぞれ比較的硬質の鋼板、例えば工具鋼板から図1Aに示すような輪郭形状に打ち抜かれるとともに、ロッキングエッジ部21、凹凸係合部22および両側端面部23a、23bが精密な形状に成形されたもので、例えばファインブランキング等のように精密な複合成形が可能なプレス加工によって製造されている。各エレメント12の両側端面部23a、23bは、プライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3に巻き付く伝動ベルト10の2つの湾曲区間において、図1の左右方向である伝動ベルト10の幅方向(以下、単にベルト幅方向という)の両側で両プーリ2、3によって挟圧されるようになっている。
図3Aおよび図3Bに示すように、複数のエレメント12のそれぞれは、例えば図3Aおよび図3Bに任意のエレメント12Aについて図示するように、両側端面部23a、23bを有する板状部23と、その板状部23の前後両面23c、23d側に隣り合う他の一対のエレメント12P、12Fのいずれかに向って板状部23の一面23cから突出する第1凸部24と、第1凸部24から離間しつつ板状部23の一面23cから突出してロッキングエッジ部21を構成する第2凸部25とを有している。また、各エレメント12のそれぞれと他の一対のエレメント12P、12Fとが、第1凸部24および第2凸部25によって相互に押圧可能に係合するようになっている。
図1Bに示すように、板状部23の一面23cからの第1凸部24の突出高さh1は、板状部23の一面23cからの第2凸部25の突出高さh2より大きくなっている。この第1凸部24の突出高さh1は、図中では板状部23の板厚t(図1B参照)よりわずかに小さく示しているが、板状部23の板厚tより大きく設定されてもよい。
また、板状部23は、その他面23dからの深さdp1が板状部23の一面23cからの第1凸部24の突出高さh1より小さくなるよう円形凹状に形成された第1凹部26を有しており、この第1凹部26は第1凸部24の背後に同心的に配置されている。ここで、エレメント12Aの第1凸部24および第1凹部26は、隣り合う他の一対のエレメント12P、12Fに対し凹凸係合可能な凹凸係合部22を構成している。
なお、説明の便宜上、図中ではそれぞれ第1凸部24の先端側の外径d1および第1凹部26の内径d2を顕著に相違させ、これらの凹凸係合部分の環状隙間を拡大して図示しているが(図1B、図3A参照)、凹凸係合部22においては、第1凸部24の先端側の外径d1が第1凹部26の内径d2よりわずかに小さくなっており、エレメント12Aとそれに隣り合う他の一対のエレメント12P、12Fとを第1凸部24および第1凹部26の中心軸線に沿って互いに整列させることができるようになっている。勿論、凹凸係合部22以外の凹凸係合部によって複数のエレメント12を整列させる場合には、第1凸部24および第1凹部26は、図示形状のように十分な隙間を持ち得る。また、ここでは、第1凹部26は段付の凹形状としているが、第1凸部24の所要の突出高さh1を確保でき、凹凸係合部22の機能を確保できるものであれば、第1凹部26の断面形状は特に限定されるものでない。
図1Aに示すように、各エレメント12は、第1凸部24を有する略三角形状の頭部13と、両側端面部23a、23bおよび第2凸部25を有する胴部14と、無端帯状リング11A、11Bの間で頭部13および胴部14のベルト幅方向中央部を互いに連結する首部15と、を有している。ここで、頭部13は、無端帯状リング11A、11Bの外周側に配置されており、胴部14は、無端帯状リング11A、11Bの内周側に配置されている。また、首部15は、頭部13および胴部14に対して、ベルト幅方向の幅(横幅)が狭くなっているとともに、無端帯状リング11A、11Bの厚さよりもわずかに長くなっている。さらに、胴部14は、首部15を間に挟んだ無端帯状リング11A、11Bの全幅よりも幅広くなっており、この胴部14と頭部13との間に無端帯状リング11A、11Bが予め設定された微小クリアランスをもって挿入された状態となっている。
第1凸部24および第2凸部25のうち少なくとも一方、例えば第2凸部25は、ベルト幅方向である図1Aの左右方向に延在するリブ(突条)の形状をなしている。
図1Bに示すように、第2凸部25は、例えば突出方向の先端側の面(前面)が略円弧状に湾曲しており(台形状や三角形等の多角形状に近い形状に湾曲もしくは屈曲してもよい)、板状部23の一面23cからの第2凸部25の突出高さh2は、板状部23の一面23cからの第1凸部24の突出高さh1と板状部23の他面23dからの第1凹部26の深さdp1との差g1以下の大きさ(h2≦h1−dp1=g1)であるが、その差g1に近い高さに設定されている。すなわち、複数のエレメント12は、互いに平行に隣り合う直進時には、第1凸部24および第2凸部25のうち少なくとも一方、専ら第1凸部24および第2凸部25の双方によって、互いに動力伝達方向に押圧力を伝達できるようになっており(図1B、図3A参照)、直進時に第1凸部24および第2凸部25によって動力伝達方向への押圧力が負担されるとともに複数のエレメント12の平行状態が維持されるように、第1凸部24および第2凸部25の突出高さh1、h2とそれらの背面B1、B2からの厚さTH1、TH2がそれぞれ設定されている。なお、ここにいう第1凸部24および第2凸部25の背面B1、B2とは、任意のエレメント12Aが背面側に隣り合う他のエレメント12Fの第1凸部24および第2凸部25から押圧力を受ける面である。
さらに、板状部23は、第2凸部25の背面側にこの第2凸部25に対応する第2凹部27を有しており、少なくとも第1凸部24および第2凸部25が離間する図1A中の上下方向における第2凸部24の先端部の幅w1よりも同方向における第2凹部27の入口幅w2の方が小さくなっている。そして、第2凸部25は、ベルト幅方向に延在するリブ形状を、第2凹部27は、ベルト幅方向に延在する溝形状をなしている。なお、図中では、第2凹部27を縦長の略台形断面の溝形状としているが、第2凸部25の所要の突出高さh2を確保できるものであれば、第2凹部27の断面形状は特に限定されるものでない。勿論、図1A中の左右方向においてリブ状の第2凸部25の長さより溝状の第2凹部27の長さが短くなっていてもよい。
各エレメント12のロッキングエッジ部21は、第2凸部25の先端部によって構成されおり、板状部23の一面23c側において伝動ベルト10のベルト幅方向に直線的に延びている。このロッキングエッジ部21は、伝動ベルト10がプライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3に巻き付く湾曲区間に各エレメント12が進入する際の揺動支点となるようになっている。
具体的には、図3Bに示すように、伝動ベルト10が被駆動側のセカンダリプーリ3に巻き付く湾曲区間に任意のエレメント12Aが進入するとき、前後両面側に隣り合う他の一対のエレメント12P、12Fのうちベルト回転方向で先行する一方側のエレメント12Pがセカンダリプーリ3に挟圧されながらエレメント12Aに対して揺動し、後続側のエレメント12Fが直進する状態下で、その後続側のエレメント12Fにより背面側から押圧されるエレメント12Aのロッキングエッジ部21が先行するエレメント12Pの背面に係合するとともに、セカンダリプーリ3にエレメント12Aの両側端面部23a、23bを挟圧される。また、エレメント12Aと隣り合う他の一対のエレメント12P、12Fとの内端部12i同士が次第に接近するように、エレメント12Aは、そのロッキングエッジ部21が先行するエレメント12Pの背面に圧接するまでは後続側のエレメント12Fの第1凸部24によって、ロッキングエッジ部21が先行するエレメント12Pの背面に圧接したときには後続側のエレメント12Fの第1凸部24およびロッキングエッジ部21(第2凸部25)によって、それぞれセカンダリプーリ3を駆動する方向に押圧される。したがって、エレメント12Aがセカンダリプーリ3に巻き付く湾曲区間に進入するときには、セカンダリプーリ3によって両側端面部23a、23bを挟圧された先行エレメント12Pとそれに続くエレメント12Aに対して、直進する後続のエレメント12F側からセカンダリプーリ3を駆動する方向に押圧力が加わるようになっている。
また、ロッキングエッジ部21の板状部23の一面23cからの高さに対応する第2凸部25の突出高さh2は、伝動ベルト10がプライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3に対し最小巻付き半径で巻き付くときには(図2B参照)、エレメント12Aとその前後に隣り合う他の一対のエレメント12P、12Fとの内端部12i同士が略当接し得るが、伝動ベルト10がプライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3に対し最小巻付き半径より大きい巻付き半径で巻き付くときには、エレメント12Aとその前後に隣り合う他の一対のエレメント12P、12Fとの内端部12i同士が離間するように設定されている。換言すれば、伝動ベルト10の湾曲区間にエレメント12Aが進入するとき、前後両面側に隣り合う他の一対のエレメント12P、12Fによってこのエレメント12Aの揺動角度が所定の角度範囲内に制限され、過度に倒れるようなことが防止されるようになっている。
なお、各エレメント12は、図1Aに示す正面の輪郭形状部の全域で、この正面側を抜き表側としてファインブランキング等によりプレス加工されており、輪郭形状部の全域で全面せん断(剪断)に近い程度のせん断面割合を有している。また、図3Bに示すように、伝動ベルト10がセカンダリプーリ3またはプライマリプーリ2に巻き付く湾曲区間において、隣り合う各一対のエレメント12の間であって無端帯状リング11A、11Bの内周面の近傍における隙間g2が、直進区間における各一対のエレメント12の間の隙間g1と略等しくなるように、第2凸部25の先端部であるロッキングエッジ部21の高さと図1A中の上下方向における位置(頭部13の下面13aもしくは胴部14の上面14aからの離間距離またはこれら両面の中心からの離間距離)、第2凸部25の先端面の断面湾曲形状部等が設定されている。
次に、本実施形態の伝動ベルト10の製造方法について説明する。
図4Aないし図4Dと図5Aおよび図5Bとは、本発明の伝動ベルトの製造方法の一実施形態の工程の説明図となっている。
複数のエレメント12のそれぞれに、その両面側に隣り合う一対のエレメント12P、12Fのうち一方側のエレメント12Pに揺動可能に係合するロッキングエッジ部21と、隣り合う一対のエレメント12P、12Fに凹凸係合可能な凹凸係合部22とを精密な形状に形成する際には、まず、工具鋼板等の一定板厚の板状の素材20を準備し、次いで、例えばファインブランキング等のように精密な複合成形が可能なプレス加工工程が実行される。
板状の素材20は、例えばエレメント12の高さ方向(図1Aの上下方向)の寸法の2倍程度の幅を有する帯状の工具鋼板である。
プレス加工工程では、まず、図4Aに示すように、板状の素材20のうちエレメント12が打ち抜かれる各板状部設定範囲20w内に、第1凸部24および第1凹部26を有する凹凸係合部22と、第2凸部25および第2凹部27とを、それらに対応する突き出し型を用いて成型する。なお、ここでの突き出し成型は、板状の素材20から例えば一対のエレメント12の輪郭形状部を打ち抜く前に実行されてもよいし、その打抜きの開始から完了までの間に実行されてもよい。
具体的には図示しないが、ここでの突き出し成型は、例えばパンチおよびカウンターパンチの間で素材20の一部を加圧した状態で、突き出しピンをパンチ側からカウンターパンチ側に突出させることで、その素材20の一面側にエレメント12の板状部23の一面23cから垂直に突出する略円柱状の第1凸部24と、エレメント12の板状部23の他面23dから垂直に没入する段付の略円形の第1凹部26とを同時に形成するものである。すなわち、第1凹部26に対応する先端形状を有する突き出しピンと第1凸部24に対応する凹部とを有する金型を用いて、素材20の各板状部設定範囲20wを部分的に塑性変形させ、その板状部設定範囲20w内の前面側に第1凸部24を、背面側に第1凹部26をそれぞれ形成する。また、これと同時に、第2凹部27に対応する先端形状を有する突き出しピンもしくはパンチと第2凸部25に対応する凹部とを有する金型を用いて、素材20の各板状部設定範囲20wを部分的に塑性変形させ、その板状部設定範囲20w内の前面側に第2凸部25を、背面側に第2凹部27をそれぞれ形成する。
このプレス加工工程においては、第1凸部24の背後にそれに対応する第1凹部26が成型され、第2凸部25の背後にそれに対応する第2凹部27が成型され、その成型によって、板状部23の一面23cからの第1凸部24の突出高さh1が、板状部23の他面23dからの深さdp1(背面B1の深さ)より大きくなる。さらに、板状部23の他面からの深さdp2が、板状部23の一面23cからの第2凸部25の突出高さh2より大きく、少なくとも第1凸部24および第2凸部25が離間する図1B中の上下方向における入口幅w2が、同方向における第2凸部25の先端部の幅w1よりも小さくなる。そして、このとき、第1凸部24および第2凸部25の背面B1、B2からの厚さTH1、TH2が決定される。なお、突き出しピンに対向するエジェクタピンを設けて打抜き後のエレメント12をダイプレート側から離脱させる際の離型性を高めることもできる。
なお、上述のプレス加工工程においては、複数個、例えば2個のワークWについて同時に加工できるように、複数のエレメント12の輪郭形状部に対応する形状を有する少なくとも一組のパンチおよびカウンターパンチと、第1凸部24および第2凸部25の突き出し成型に対応する可動の突き出しピンとを用いることができる。また、それらのエレメント12の輪郭形状部を略全面せん断で打ち抜くように、パンチおよびカウンターパンチの間で素材20の複数の板状部設定範囲20wを加圧しながら、素材20の残部(板状部設定範囲20w以外の部分)をダイプレートおよびスティンガープレートにより挟圧し拘束した状態で、パンチおよびカウンターパンチを移動させることによってワークWを打ち抜くことができる。なお、カウンターパンチには、エレメント12の第1凸部24および第2凸部25(ロッキングエッジ部21)の形状を所要の形状に転写するための凹部がそれぞれ形成される。
素材20の各板状部設定範囲20w内に、第1凸部24および第1凹部26を有する凹凸係合部22と、第2凸部25および第2凹部27とが突き出し成型されると、板状の素材20からその板状部設定範囲20wの輪郭形状部の打抜きが実行され、最終的に複数のエレメント12となる複数のワークWが順次作製される。
なお、このワークWの打抜きと突き出し成型とを並行して実行することもできるが、ワークWの打抜き完了のタイミングは、そのワークW内の第1凸部24および第2凸部25の突き出し成型の完了時より後である。すなわち、エレメント12の板状の素材20から板状部23を完全に打ち抜いてしまうより前に、エレメント12の板状の素材20のうち板状部23が打ち抜かれる板状部設定範囲20w内に第1凸部24および第2凸部25を形成するのがよい。
次いで、伝動ベルト10に必要なエレメント12の総数を第1の積層枚数(例えば400枚)とし、伝動ベルト10に必要なエレメント12の総数を複数に等分割した場合のエレメント12の数を第2の積層枚数として、図4B、図5Aおよび図5Bに示すように、プレス成形工程で板状部23に第1凸部24および第2凸部25が形成されたワークWを整列させて積層する積層工程を実施し、それら積層した複数のワークWのベルト幅方向の両側における複数のワークWの積層状態での厚さである同図中のC寸法およびD寸法をそれぞれ計測する。なお、図5Aでは、各ワークWの厚さのベルト幅方向両側での差を誇張して示すとともに、積層された多数のワークWのうち積層体の両端部分のワークWのみを図示している。
この積層工程においては、板状部23の一面23cからの第1凸部24および第2凸部25の突出高さh1、h2や第1凹部26の深さdp1の設定値によっては、第1の積層枚数または第2の積層枚数だけ積層された複数のエレメント12が、略直線的ではあるものの全体として緩やかに湾曲し得る。したがって、第1の積層枚数または第2の積層枚数だけ積層された複数のエレメント12が直線的であるか湾曲するかによって測定方向を相違させてもよい。
例えば、第1の積層枚数または第2の積層枚数だけ積層されたワークWの積層体(積層エレメント)が直線的である場合、複数のエレメント12が伝動ベルト10の直進区間において駆動方向に圧接するときと略同様な荷重条件にて、積層されたワークWのそれぞれが、第1凸部24およびその背面B1をそれらに対向する他のワークWの第1凹部26内の背面B1および第1凸部24に圧接させるとともに、第2凸部25およびその背面B2(第2凹部27の上下両側または/および左右両側の入口縁部の近傍)をそれらに対向する他のワークWの背面B2および第2凸部25に圧接させる第1の積層条件下で、C寸法およびD寸法をそれぞれ計測する。この場合、C寸法およびD寸法の測定位置は、例えば積層されたエレメント12の頭部13の両端部であって、ベルト幅方向における頭部13の中心から等しい距離を隔てる位置、あるいは、第2凸部25の先端部であるロッキングエッジ部21の両端部の近傍であって、ベルト幅方向におけるロッキングエッジ部21の中心から等しい距離を隔てる位置である。なお、このC寸法およびD寸法の測定に際しては、隣り合う複数のワークWに形成された板状部23の両側端面部23a、23bを、プライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3と同一の傾斜角を有する整列ガイド面により案内させながら計測してもよい。
一方、第1の積層枚数または第2の積層枚数だけ積層されたワークWの積層体(積層エレメント)が直線的でなく湾曲する場合には、第2の積層枚数をさらに等分した第3の積層枚数だけ積層された複数のワークWの短い積層体としてこれを直線的にし、複数のエレメント12が伝動ベルト10の直進区間において駆動方向に圧接するときと略同様な荷重条件にて、積層されたワークWのそれぞれが、第1凸部24およびその背面B1をそれらに対向する他のワークWの第1凹部26内の背面B1および第1凸部24に圧接させるとともに、第2凸部25およびその背面B2をそれらに対向する他のワークWの背面B2および第2凸部25に圧接させる第2の積層条件下で、C寸法およびD寸法をそれぞれ計測する。この場合のC寸法およびD寸法の測定位置は、上述の場合と同じである。
なお、このとき、板状部23の両側端面部23a、23bをプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3と同一の傾斜角および特定の曲率半径を有する整列ガイド面により案内させてもよい。また、ここにいう特定の曲率半径とは、第3の積層枚数だけ積層された複数のワークWがそれぞれの板状部23の一面23cからの第1凸部24および第2凸部25の突出高さh1、h2や第1凹部26の深さdp1の設定値に応じて湾曲するときの曲率半径に相当する。
次いで、図4Cに示すように、上述の第1の積層条件あるいは第2の積層条件下で、積層された複数のワークWに対して第1凸部24および第2凸部25のうち少なくとも一方を部分的に塑性変形させ得る程度の圧縮荷重F1、F2を加えて、複数のワークWの積層状態での厚さであるC寸法およびD寸法を設定範囲内の寸法に調整する厚さ調整工程を実施する。このときの圧縮荷重F1、F2は、伝動ベルト10の無段変速機1への実装後の使用時に作用するプーリ駆動方向へ最大の圧縮荷重よりも十分に大きい荷重である。
圧縮荷重F1、F2を加える範囲は、第1凸部24および第2凸部25のベルト幅方向全域か、あるいは、これらの中心からベルト幅方向に同じ距離だけ離間する左右の押圧領域(例えば図5A、図5Bに示す押圧点P1a、P1b、P2a、P2b等を含む)であり、ベルト幅方向の両側の荷重F1、F2(両荷重の差と両荷重の和)とに応じて、複数のワークWの積層状態での厚さであるC寸法およびD寸法を設定範囲内の寸法に調整することができる。
次いで、上述の寸法測定と同様に、厚さ調整工程後の複数のエレメント12について、複数のエレメント12が伝動ベルト10の直進区間において駆動方向に圧接するときと略同等の荷重条件にて、伝動ベルト10のベルト幅方向の両側における複数のワークWの積層状態での厚さであるC寸法およびD寸法をそれぞれ計測する。このとき、複数のエレメント12には圧縮荷重F1、F2より十分に小さい圧縮荷重F3、F4を加えることになるが、これら圧縮荷重F3、F4を加える範囲は、圧縮荷重F1、F2と同様である。すなわち、積層された複数のエレメント12に対し圧縮荷重F3、F4を加える範囲は、第1凸部24および第2凸部25のベルト幅方向全域か、あるいは、これらの中心からベルト幅方向に同じ距離だけ離間する左右の押圧点P1a、P1b、P2a、P2b等を含むものである。
一方、無端帯状リング11A、11Bは、それぞれ素材となる金属製のリボン状部材を複数枚積層した金属製積層リングとして製造される。
プレス加工工程で板状の素材20から打ち抜かれた後、厚さ調整工程が実施された複数のエレメント12は、次いで、無端帯状リング11A、11Bに沿って板厚方向に積層される。このとき、それぞれのエレメント12の首部15の両側であって頭部13および胴部14の間に、無端帯状リング11A、11Bが収納されるとともに、各エレメント12が無端帯状リング11A、11Bに揺動および摺動可能に組み付けられる。そして、所定数のエレメント12が無端帯状リング11A、11Bに組み付けられると、所定数のエレメント12が無端帯状リング11A、11Bにより環状に拘束された状態となり、伝動ベルト10ができあがる。
次に、作用について説明する。
上述のような本実施形態の伝動ベルトおよびその製造方法においては、伝動ベルト10によりプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3の間で動力伝達(伝動)がなされるとき、複数のエレメント12が互いに平行に圧接する直進区間では、第1凸部24および第2凸部25が相互に押圧可能に係合し、セカンダリプーリ3またはプライマリプーリ2に巻き付く湾曲区間では、ロッキングエッジ部21となる第2凸部25とその背面B2側とで相互に押圧可能に係合することになる。したがって、エレメント12の板状部23の板厚にばらつきが生じ易くとも、精密プレス成形等によって第1凸部24および第2凸部25をそれらの所要の高さh1、h2および背面B1、B2から所要の厚さTH1、TH2に成型することで、エレメント12の厚さとなる第1凸部24および第2凸部25の厚さTH1、TH2のベルト幅方向両側での差や複数のエレメント12の間でのばらつきを十分に抑えることができる。また、板状部23の板厚tをロッキングエッジ部21の高さまで厚くする必要がなくなることから、伝動ベルト10を容易に軽量化できる。しかも、複数のエレメント12を積層すると、隣り合うエレメント12同士が第1凸部24および第2凸部25の先端側とそれらの背面B1、B2側とで押圧可能に係合することから、第1凸部24および第2凸部25の突出高さh1、h2を適宜設定することで、同一の板厚tの素材20から厚さの異なる多種類のエレメント12が作製可能となる。
また、本実施形態においては、板状部23の一面23cからの第1凸部24の突出高さh1が、板状部23の一面23cからの第2凸部の突出高さh2より大きいことから、第1凸部24を凹凸係合部22の凸部にも利用でき、併せて、複数のエレメント12が互いに平行に圧接する区間では第1凸部24にエレメント12間の押圧力を担持させることができる。
さらに、板状部23は、板状部23の他面23dからの深さdp1が板状部23の一面23cからの第1凸部24の突出高さh1より小さくなるよう、第1凸部24の背後に形成された第1凹部26を有し、これら第1凸部24および第1凹部26によって凹凸係合部22が構成されているので、複数のエレメント12が互いに平行に圧接する区間で押圧力を主に担持する第1凸部24を複数のエレメント12の整列機能を持つ凹凸係合部22の凸部としても利用することができ、押圧力の作用点が安定することで安定した伝動が可能となる。
加えて、本実施形態においては、エレメント12のそれぞれが、第1凸部24を有する頭部13と、第2凸部25を有する胴部14と、頭部13および胴部14を連結する首部15とを有し、第1凸部24および第2凸部25のうち少なくとも一方としての第2凸部25がベルト幅方向に延在するリブ形状をなしているので、複数のエレメント12がベルト幅方向の一端で接近し他端側で離隔するような各エレメント12の傾きを有効に抑制できる。
また、板状部23が、第2凸部25の背後に第2凸部25に対応する第2凹部27を有し、少なくとも第1凸部24および第2凸部25が離間する方向における第2凹部27の入口幅w2が同方向における第2凸部25の先端部の幅w1よりも小さくなっているので、板状部23の板厚tが小さくとも、第2凹部27を形成することで第2凸部25の所要の突出高さh2を確保できるとともに、第2凹部27の近傍で第2凸部25を隣り合う他のエレメント12に押圧可能に係合させることができる。
また、高さh2のベルト幅方向両側での差やばらつきが抑えられた第2凸部25がベルト幅方向に延在するリブ形状をなし、その先端部でロッキングエッジ部21を構成しているので、プライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3への巻き付きに際するエレメント12の安定した揺動と、直進時の安定した姿勢保持および押圧力伝達が可能になり、エレメント12とプライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3とのエッジコンタクト等による伝動ベルト10や無段変速機1の耐久性の低下を防止することができる。
一方、本実施形態の伝動ベルトの製造方法では、エレメント12の板状の素材20から両側端面部23a、23bを有する板状部23を打ち抜くとともに、その板状部23の一面23cから他の一対のエレメント12のいずれかに向って突出する第1凸部24と、第1凸部24から離間しつつ板状部23の一面23cから突出してロッキングエッジ部21を構成する第2凸部25とを形成するプレス成形工程を含んでいるので、第1凸部24および第2凸部25の突出高さを適宜設定することで、同一の板厚の素材20から厚さの異なるエレメント12が作製可能となる。
しかも、打抜き後に積層された複数のワークWに対して、実装後のエレメント12間の押圧荷重より十分に大きいものの第1凸部24および第2凸部25の突出高さh1、h2を調整可能な程度の比較的小さい圧縮荷重F1、F2を加えるようにすることで、複数のエレメント12の厚さTH1、TH2のベルト幅方向両側での差をそれぞれ縮小するとともに、複数のエレメント12の厚さTH1、TH2の均一化を図ることが可能になる。
また、本実施形態の伝動ベルトの製造方法では、プレス成形工程で板状部23に第1凸部24および第2凸部25が形成された複数のワークWを積層し、その積層した複数のワークWに対し第1凸部24および第2凸部25のうち少なくとも一方を部分的に塑性変形させ得る圧縮荷重F1、F2を加えて、複数のワークWの積層状態での厚さであるC寸法およびD寸法をそれぞれ設定範囲内に調整する厚さ調整工程を含んでいるので、個別に検査すれば良品となるエレメント12を相当数含む積層エレメント12S(図4D参照)が不良となったり、良品と判定された積層エレメント12Sに厚さ不良のエレメント12が混在したりし難くなり、エレメント12の不良の発生率を抑えて伝動ベルト10の製造コストを低減させることができる。したがって、この点からも、プライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3とエレメント12とのエッジコンタクト等による伝動ベルト10やこれを実装した無段変速機1の耐久性の低下を有効に防止することができる。
また、厚さ調整工程において、ベルト幅方向の両側における複数のワークWの積層状態での厚さであるC寸法およびD寸法をそれぞれ計測し、両寸法の差が予め設定された許容範囲内になるよう複数のワークWに対し圧縮荷重F1、F2を加えるので、複数のエレメント12の厚さTH1、TH2のベルト幅方向両側での差をより確実に縮小できる。
さらに、プレス成形工程において、第2凸部25の背後に、少なくとも第1凸部24および第2凸部25が離間する方向における入口幅w2が同方向における第2凸部25の幅w1よりも小さい第2凹部27を形成するので、第2凹部27と同時にその入口縁部や背面B2を所要の形状および位置に規定し、エレメント12の揺動支点を的確に設定することができる。
また、プレス成形工程においては、エレメント12の板状の素材20からの板状部23の打ち抜きが完了するより前に、板状の素材20のうち板状部23が打ち抜かれる板状部設定範囲20w内に第1凸部24および第2凸部25を形成するので、第1凸部24および第2凸部25を容易にかつ高精度に形成できる。
(第2実施形態)
図6Aおよび図6Bは、本発明の第2実施形態に係る伝動ベルトを示している。なお、以下に説明する各本実施形態は、上述の第1実施形態と同一もしくは類似する構成を有しているので、そのような構成部分については第1実施形態における対応する構成要素と同一の符号を用い、第1実施形態との相違点について詳述する。
本実施形態の伝動ベルト10は、図6Aおよび図6Bに示すようなエレメント32を無端帯状リング11A、11Bに組み付けて構成されており、各エレメント32は、第1実施形態のエレメント32と同様に、両側端面部23a、23bを有する板状部23と、その板状部23の前後両面23c、23d側に隣り合う他の一対のエレメント32P、32Fのいずれかに向って板状部23の一面23cから突出する第1凸部24と、第1凸部24から離間しつつ板状部23の一面23cから突出してロッキングエッジ部21を構成する第2凸部25とを有している。
また、各エレメント32は、第1凸部24を有する略三角形状の頭部13と、両側端面部23a、23bおよび第2凸部25を有するとともに傾斜面23eが形成された胴部34と、無端帯状リング11A、11Bの間で頭部13および胴部34のベルト幅方向中央部を互いに連結する首部15と、を有している。そして、胴部34は、首部15を間に挟んだ無端帯状リング11A、11Bの全幅よりも幅広くなっており、この胴部34と頭部13との間に無端帯状リング11A、11Bが予め設定された微小クリアランスをもって挿入された状態となっている。
図6Bに示すように、各エレメント32のロッキングエッジ部21は、伝動ベルト10がプライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3に巻き付く湾曲区間にそのエレメント32が進入し、揺動する際の揺動支点となるようになっている。
すなわち、伝動ベルト10が例えば被駆動側のセカンダリプーリ3に巻き付く湾曲区間に任意のエレメント32Aが進入するとき、前後両面側に隣り合う他の一対のエレメント32P、32Fのうちベルト回転方向で先行する一方側のエレメント32Pがセカンダリプーリ3に挟圧されながら揺動し、後続側のエレメント32Fが直進する状態下で、その後続側のエレメント32Fにより背面側から押圧されるエレメント32Aのロッキングエッジ部21が先行するエレメント32Pの背面に係合するとともに、セカンダリプーリ3にエレメント32Aの両側端面部23a、23bを挟圧される。また、エレメント32Aと隣り合う他の一対のエレメント32P、32Fとの内端部32i同士が次第に接近するように、エレメント32Aは、そのロッキングエッジ部21が先行するエレメント32Pの背面に圧接するまでは後続側のエレメント32Fの第1凸部24によって、ロッキングエッジ部21が先行するエレメント32Pの背面に圧接したときには後続側のエレメント32Fの第1凸部24およびロッキングエッジ部21(第2凸部25)によって、それぞれセカンダリプーリ3を駆動する方向に押圧される。したがって、エレメント32Aがセカンダリプーリ3に巻き付く湾曲区間に進入するときには、セカンダリプーリ3によって両側端面部23a、23bを挟圧されるそのエレメント32Aに対して、直進する後続のエレメント32F側からセカンダリプーリ3を駆動する方向に押圧力が加わるようになっている。
また、ロッキングエッジ部21の板状部23の一面23cからの高さに対応する第2凸部25の突出高さh2は、伝動ベルト10がプライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3に対し最小巻き付き半径で巻き付くときには(図6B参照)、エレメント32Aとその前後に隣り合う他の一対のエレメント32P、32Fとの内端部32i同士が傾斜面23eを有する内端部32iで互いに略当接し得るが、伝動ベルト10がプライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3に対し最小巻き付き半径より大きい巻き付き半径で巻き付くときには、エレメント32Aとその前後に隣り合う他の一対のエレメント32P、32Fとの内端部32i同士が離間するように設定されている。
すなわち、本実施形態においては、エレメント32のそれぞれが、ロッキングエッジ部21に対し第1凸部24とは反対側の内端部32iを、セカンダリプーリ3またはプライマリプーリ2に巻き掛けられた状態で揺動したときに他の一対のエレメント32P、32Fに当接可能な当接部とするものであり、その内端部32iの一面である傾斜面23eが板状部23の一面23cに対して一定傾斜角度をなして傾斜していることにより、エレメント32は、その内端側ほど板厚が小さくなっており、これによって隣接する各一対のエレメント32同士の間の最大の傾斜角を大きく設定でき、プーリ巻き付き半径が小さい場合にも十分に対応可能なものとなる。
その他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
本実施形態においても、エレメント32の板状部23の板厚にばらつきが生じ易い場合でも、第1凸部24および第2凸部25を所要の高さh1、h2に成型することで、エレメント32の厚さTH1、TH2のベルト幅方向の両側での差を十分に抑えることができるとともに、板状部23の板厚tをロッキングエッジ部21の高さまで厚くする必要がなくなることで伝動ベルト10を容易に軽量化できる。その結果、エレメント32を低コストに製造でき、しかも、ベルト式の無段変速機のような伝動機構の耐久性を十分に確保することのできる伝動ベルトを提供することができる。
また、第1凸部24および第2凸部25の突出高さh1、h2を適宜設定することで、同一の板厚tの素材20から厚さの異なるエレメント32が製造可能となる。
さらに、打抜き後に積層される複数のエレメント32(ワークW)に対し実装後のエレメント32の間の押圧荷重より十分に大きいものの第1凸部24または/および第2凸部25の突出高さを調整可能な程度に小さくて済む圧縮荷重F1、F2を加えるようにすれば、複数のエレメント32の厚さTH1、TH2のベルト幅方向両側での差を確実に縮小するとともに複数のエレメント32の間で厚さTH1、TH2の均一化を図ることができる。その結果、軽量のエレメント32を低コストに製造できる伝動ベルトの製造方法が実現できる。
(第3実施形態)
図7Aおよび図7Bは、本発明の第3実施形態に係る伝動ベルトを示している。
本実施形態の伝動ベルト10は、図7Aおよび図7Bに示すようなエレメント42を無端帯状リング11A、11Bに組み付けて構成されており、各エレメント42は、両側端面部23a、23bを有する板状部23と、その板状部23の前後両面23c、23d側に隣り合う他の一対のエレメント42のいずれかに向って板状部23の一面23cから突出するとともにロッキングエッジ部21に対して平行に延在するリブ形状をなした第1凸部44と、第1凸部44から離間しつつ板状部23の一面23cから突出してロッキングエッジ部21を構成する第2凸部45とを有している。
また、各エレメント42は、第1凸部44を有する略三角形状の頭部43と、両側端面部23a、23bおよび第2凸部45を有する胴部14と、無端帯状リング11A、11Bの間で頭部43および胴部14のベルト幅方向中央部を互いに連結する首部15と、を有している。そして、胴部14と頭部43との間に無端帯状リング11A、11Bが予め設定された微小クリアランスをもって挿入された状態となっている。
また、各エレメント42の板状部23は、その他面23dからの深さdp1が板状部23の一面23cからの第1凸部44の突出高さh1より小さくなるよう溝状に形成された第1凹部46を有しており、この第1凹部46は第1凸部44の背後に平行に配置されている。
図7Bに示すように、任意のエレメント12Aの第1凸部44および第1凹部46は、隣り合う他の一対のエレメント42P、42Fに対し凹凸係合可能な凹凸係合部52を構成している。
また、各エレメント42の第2凸部45は、ロッキングエッジ部21により頭部43側に、隣り合う前方側の他のエレメント42Pの背面に当接する荷重担持部45aを有しており、この荷重担持部45aにより、伝動ベルト10の直進区間における駆動方向への押圧荷重を第1凸部44と共に担持するようになっている。
各エレメント42の板状部23は、第2凸部45の背後にその第2凸部45に対応する第2凹部47を有している。この第2凹部47は、少なくとも第1凸部44および第2凸部45が離間する図7A中の上下方向における第2凸部45の先端部の幅w1よりも同方向における第2凹部47の入口幅w2の方が小さくなっている。そして、第2凸部45はベルト幅方向に延在するリブ形状を、第2凹部47は、ベルト幅方向に延在する溝形状をなしている。
また、ロッキングエッジ部21の板状部23の一面23cからの高さに対応する第2凸部45の突出高さh2は、上述の第1実施形態と同様に設定されており、伝動ベルト10がプライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3に対し最小巻き付き半径で巻き付くときには、エレメント42Aとその前後に隣り合う他の一対のエレメント42P、42Fとが傾斜面23eを有する内端部42iで互いに略当接し得るが、伝動ベルト10がプライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3に対し最小巻き付き半径より大きい巻き付き半径で巻き付くときには、エレメント42Aとその前後に隣り合う他の一対のエレメント42P、42Fとの内端部42i同士が離間するように設定されている。
本実施形態においても、第1凸部44および第2凸部45を所要の高さh1、h2に成型するとともに、それらの背面B1、B2からの厚さTH1、TH2を所要の精度で成型することにより、上述の第1実施形態と同様な作用効果が得られる。
しかも、本実施形態では、第1凸部44のみならず第1凸部44もリブの形状をなしているので、直進区間における複数のエレメント42の相互の傾きを抑えることができ、直進姿勢をより安定させることができる。
(第4実施形態)
図8Aおよび図8Bは、本発明の第4実施形態に係る伝動ベルトを示している。
本実施形態の伝動ベルト10は、図8Aおよび図8Bに示すようなエレメント62を無端帯状リング11A、11Bに組み付けて構成されており、複数のエレメント62のそれぞれである任意のエレメント62Aは、両側端面部23a、23bを有する板状部23と、その板状部23の前後両面23c、23d側に隣り合う他の一対のエレメント62P、62Fのいずれかに向って板状部23の一面23cから突出するとともにロッキングエッジ部21に対して平行なベルト幅方向に互いに離間する複数の略円柱状もしくは略円錐台状の第1凸部53、54と、複数の第1凸部53、54から離間しつつ板状部23の一面23cから突出してロッキングエッジ部21を構成する第2凸部45とを有している。
また、本実施形態では、エレメント12のそれぞれが、第1凸部53、54を有する頭部63と、第2凸部45を有する胴部14と、頭部63および胴部14を連結する首部15とを有し、第1凸部53、54および第2凸部45のうち少なくとも一方である第1凸部53、54が、ベルト幅方向に離間する複数の突起によって構成されている。そして、胴部14と頭部63との間に無端帯状リング11A、11Bが予め設定された微小クリアランスをもって挿入された状態となっている。
さらに、各エレメント62の板状部23は、第3実施形態と同様に、リブ形状(突条)をなす第2凸部45の背後にその第2凸部45に対応する溝状の第2凹部47を有しており、第2凹部47は、少なくとも第1凸部53、54および第2凸部45が離間する図8A中の上下方向における第2凸部45の先端部の幅w1よりも小さい同方向の入口幅w2を有している。
また、各エレメント62の板状部23は、その他面23dからの深さdp1が板状部23の一面23cからの第1凸部53、54の突出高さh1より小さくなるよう溝状に形成された第1凹部56を有しており、この第1凹部56は各第1凸部53、54の背後に平行に配置されている。これら第1凸部53、54および第1凹部56は、隣り合う他の一対のエレメント62P、62Fに対し凹凸係合可能な凹凸係合部55を構成している。
その他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
本実施形態においても、第1凸部53、54および第2凸部45を所要の高さh1、h2に成型するとともに、それらの背面B1、B2からの厚さTH1、TH2を所要の精度で成型することにより、第1実施形態と同様な効果が期待できる。しかも、第1凸部53、54がベルト幅方向に離間する複数の同一高さh1の突起となっているので、複数のエレメント62がベルト幅方向の一端で接近し他端側で離隔するように傾くことが有効に抑制できるとともに、厚さ調整工程でエレメント62の積層体に加える圧縮荷重を小さくすることができる。
(第5実施形態)
図9Aないし図9Cは、図10と共に本発明の第5実施形態に係る伝動ベルトを示している。
本実施形態の伝動ベルト10は、図9Aないし図9Cに示すようなエレメント72を無端帯状リング11A、11Bに組み付けて構成されており、各エレメント72は、両側端面部23a、23bを有する板状部23と、その板状部23の前後両面23c、23d側に隣り合う他の一対のエレメント72P、72Fのいずれか、例えば前方側のエレメント72Pに向って板状部23の一面23cから突出高さh1だけ突出するとともにベルト幅方向に互いに離間する複数の第1凸部84C、84L、84Rと、複数の第1凸部84C、84L、84Rからベルト厚さ方向(図8A、図8B中の上下方向)に離間するとともに互いにベルト幅方向に離間しつつ板状部23の一面23cから突き出し、左右のロッキングエッジ部81a、81bを同一軸線上に形成する複数の略円柱もしくは円錐台状の第2凸部85L、85Rとを有している。
また、本実施形態では、エレメント72のそれぞれが、第1凸部84C、84L、84Rを有する頭部73と、複数の第2凸部85L、85Rを有する胴部74と、頭部73および胴部74を連結する首部15とを有し、第1凸部84C、84L、84Rと第2凸部85L、85Rとの両方が、ベルト幅方向に離間する複数の突起によって構成されている。そして、胴部74と頭部73との間に無端帯状リング11A、11Bが予め設定された微小クリアランスをもって挿入された状態となっている。
また、複数の第1凸部84C、84L、84Rのうち中央の第1凸部84Cの背面側には、板状部23の他面23dからの深さdp1が板状部23の一面23cからの第1凸部84Cの突出高さh1より小さくなるよう第1凹部86cが円形凹状に形成されており、これら第1凸部84Cおよび第1凹部86cによって隣り合う複数のエレメント72を整列させるための凹凸係合部82が構成されている。
一方、図10に示すように、複数の第1凸部84C、84L、84Rのうちベルト幅方向両側の第1凸部84L、84Rの背面側には、エレメント72を製作するための板状の素材20より軟質の素材からなる軟質受板部材86a、86bが設けられており、これら軟質受板部材86a、86bは、板状部23の他面23dから一面23c側に没入する円形凹部(符号無し)内に装填されるよう、板状部23の他面23d側に一体的に装着されている。そして、伝動ベルト10の直進区間において、各エレメント72の第1凸部84L、84Rが軟質受板部材86a、86bに当接し、駆動方向の押圧力を前方側のエレメント72Pの頭部73に加えるようになっている。
同様に、複数の第2凸部85Lおよび85Rの背面側には、板状の素材20より軟質の素材からなる軟質受板部材87a、87bが設けられており、これら軟質受板部材87a、87bは、板状部23の他面23dから一面23c側に没入する円形凹部(符号無し)内に装填されるよう、板状部23の他面23d側に一体的に装着されている。そして、伝動ベルト10の直進区間において、各エレメント72の第2凸部85L、85Rが軟質受板部材87a、87bに当接し、駆動方向の押圧力を前方側のエレメント72Pの胴部74に加えるようになっている。
さらに、第2凸部85Lおよび85Rは、それぞれ伝動ベルト10の直進区間で前方側のエレメント72Pの背面側の軟質受板部材87a、87bに当接し、駆動方向の押圧力を前方側のエレメント72Pの胴部74に加える先端押圧面部85bと、この先端押圧面部85bとの間にロッキングエッジ部81a、81bを形成するとともに伝動ベルト10の湾曲区間で隣り合う複数のエレメント72P同士の間での過度の倒れを規制する傾斜面85eとを有している。
その他の構成は、上述の第1実施形態と同様である。
本実施形態においても、第1凸部84C、84L、84Rと第2凸部85L、85Rとを所要の高さh1、h2および厚さTH1、TH2に成型することで、第1実施形態と同様な効果が期待できる。しかも、ロッキングエッジ部をベルト幅方向の広範囲に形成する場合と同様に、複数の短いロッキングエッジ部81a、81bにより各プーリ2、3への巻き付き時における複数のエレメント72の安定した揺動と直進時における安定した押圧力伝達が可能になる。
(第6実施形態)
図11、図12Aおよび図12Bは、本発明の第6実施形態に係る伝動ベルトを示している。
これらの図に示すように、本実施形態の伝動ベルト10は、複列に配置された2本の無端帯状リング11A、11Bと、無端帯状リング11A、11Bに沿って板厚方向に積層されるとともに無端帯状リング11A、11Bに板厚方向に揺動可能に組み付けられることで、無端帯状リング11A、11Bを介し環状に結束された複数のエレメント92と、を備えている。
複数のエレメント92は、それぞれ比較的硬質の鋼板、例えば工具鋼板から図11に示すような輪郭形状に打ち抜かれるとともに、ロッキングエッジ部101および凹凸係合部102が精密な形状に成形されたもので、例えばファインブランキング等のように精密な複合成形が可能なプレス加工によって製造されている。
各エレメント92は、プライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3に係合可能な両側端面部103a、103bを有する板状部103と、その板状部103の前後両面103c、103d側に隣り合う他の一対のエレメント92P、92Fのいずれかに向って板状部103の一面103cから突出する第1凸部104L、104Rと、第1凸部104L、104Rから離間しつつ板状部103の一面103cから突出してロッキングエッジ部101を構成するリブ状の第2凸部105とを有している。また、エレメント92のそれぞれである任意のエレメント92Aと他の一対のエレメント92P、92Fとが、第1凸部104L、104Rおよび第2凸部105によって相互に押圧可能に係合するようになっている。
また、第1凸部104L、104Rは無端帯状リング11A、11Bの外周側に、第2凸部105は無端帯状リング11A、11Bの内周側に、それぞれ配置されている。板状部103は、第1凸部104L、104Rと第2凸部105の間に無端帯状リング11A、11Bを収納する収納凹部108を有するとともに、無端帯状リング11A、11Bの幅方向の両側で無端帯状リング11A、11Bを収納凹部108内に拘束する鉤形の両腕部103e、103fを有している。そして、この板状部103の収納凹部108内に無端帯状リング11A、11Bが予め設定された微小クリアランスをもって平行に並列する状態に挿入されている。
図12Aに片方の第1凸部104Lについて示すように、複数の第1凸部104L、104Rの背面側には、それぞれ板状部103の他面103dからの深さdp1(背面B1の深さ)が板状部103の一面103cからの第1凸部104L、104Rの突出高さh1より小さくなるように、第1凹部106が円形凹状に形成されている。そして、第1凸部104L、104Rおよびこれらに対応する一対の第1凹部106によって、隣り合う複数のエレメント92を整列させるための凹凸係合部102が構成されている。
各エレメント92の第2凸部105は、ロッキングエッジ部101により伝動ベルト10の外周側で、隣り合う前方側の他のエレメント92Pの背面B2に当接することで、伝動ベルト10の直進区間における駆動方向への押圧荷重を第1凸部104L、104Rと共に担持するようになっている。また、各エレメント92の板状部103は、第2凸部105の背後にその第2凸部105に対応する第2凹部107を有している。この第2凹部107は、少なくとも第1凸部104L、104Rと第2凸部105とが離間する図11A中の上下方向における第2凸部105の先端部の幅w1よりも同方向における第2凹部107の入口幅w2の方が小さくなっている。そして、第2凸部105はベルト幅方向に延在するリブ形状を、第2凹部107はベルト幅方向に延在する溝形状をなしている。
さらに、ロッキングエッジ部101の板状部103の一面103cからの高さに対応する第2凸部105の突出高さh2は、上述の第1実施形態と同様に設定されており、伝動ベルト10がプライマリプーリ2またはセカンダリプーリ3に対し巻き付くときには、湾曲区間に進入する任意のエレメント92Aとその前後に隣り合う他の一対のエレメント92P、92Fとがそれらの内端部92iで互いに接近するが、過度の倒れが相互に規制されるようになっている。
本実施形態においても、第1凸部104L、104Rと第2凸部45とを、所要の高さh1、h2および背面B1、B2からの厚さTH1、TH2に成型することで、上述の第1実施形態と同様な作用効果が得られる。
しかも、本実施形態では、エレメント92の形状が収納凹部108内に無端帯状リング11A、11Bを収納し、両側端面部103a、103bが全高さ域にわたって形成されるので、伝動ベルト10の薄型化を図ることができる。
なお、上述の各実施形態においては、第1凸部および第2凸部をそれぞれ板厚の小さい素材から突き出し成型するものとしたが、第1凸部および第2凸部を板状部に固定するようにして、第1凸部および第2凸部の背後に素材面からなる押圧荷重の受け面を形成することも考えられることは勿論である。また、上述の第1実施形態に示したものよりロッキングエッジ部をコーナー半径の小さいエッジ部とすることができる。さらに、第1凸部および第2凸部はリブ(突条)あるいはロッキングエッジ部と平行なベルト幅方向に離間する複数の略円柱もしくは略円錐台状の突起としていたが、ベルト幅方向両側に分割されて同一直線状に位置する複数の突条であってもよく第1凹部および第2凹部がそれぞれ複数の突条に対応する複数の溝となっていてもよい。
以上説明したように、本発明の伝動ベルトは、第1凸部および第2凸部を所要の高さに成型することで、エレメントの厚さのベルト幅方向両側での差を十分に抑えるとともに、その板厚をロッキングエッジ部の高さまで厚くする必要をなくすようにして、軽量のエレメントを低コストに製造でき、しかも、ベルト式の伝動機構の耐久性を十分に確保することのできる伝動ベルトを提供することができ、本発明の伝動ベルトの製造方法は、第1凸部および第2凸部の突出高さを適宜設定することで、同一板厚の素材から厚さの異なるエレメントを製造できるとともに、打抜き後の積層エレメントに対し実装後のエレメント間の押圧荷重より大きく第1凸部または/および第2凸部の突出高さを調整可能な程度の圧縮荷重を加えることで、複数のエレメントの厚さのベルト幅方向両側での差を縮小するとともにそれらの厚さの均一化を図ることができ、軽量のエレメントを低コストに製造でき、しかも、ベルト式の伝動機構の耐久性を十分に確保することのできる伝動ベルトの製造方法が実現できるという効果を奏するものであり、ベルト式の無段変速機に好適な伝動ベルトおよびその製造方法全般に有用である。
1 無段変速機(伝動機構)
2 プライマリプーリ(駆動側のプーリ)
3 セカンダリプーリ(被駆動側のプーリ)
10 伝動ベルト
11A、11B 無端帯状リング
12、32、42、62、72、92 エレメント
12A、32A、42A、62A、92A エレメント(任意のエレメント)
12P、32P、42P、62P、72P、92P エレメント(隣り合う他の一対のエレメントのうち前方側のエレメント)
12F、32F、42F、62F、72F、92F エレメント(隣り合う他の一対のうち後続側のエレメント)
12i、32i、42i、92i 内端部
13、43、63、73 頭部
14、34、74 胴部
15 首部
20 素材(板状の素材)
20w 板状部設定範囲
21、81a、81b、101 ロッキングエッジ部
22、52、55、82、102 凹凸係合部
23、103 板状部
23a、23b、103a、103b 両側端面部
23c、103c 一面(前面)
23d、103d 他面(背面)
23e、85e 傾斜面
24、44、53、54、84C、84L、84R、104L、104R 第1凸部
25、45、85L、85R、105 第2凸部
26、46、56、86c、106 第1凹部
27、47、107 第2凹部
45a 荷重担持部
85b 先端押圧面部
86a、86b、87a、87b 軟質受板部材
103e、103f 腕部(鉤形の両腕部)
108 収納凹部
dp1、dp2 深さ(板状部の他面からの没入深さ)
F1、F2、F3、F4 圧縮荷重
h1、h2 高さ(板状部の一面からの突出高さ)
P1a、P1b、P2a、P2b 押圧点
g1 隙間(第1凸部の高さと第1凹部の深さの差)
g2 隙間
w1 幅(ベルト厚さ方向の第2凸部の幅)
w2 入口幅(第2凹部の入口幅)

Claims (13)

  1. 無端帯状リングと、前記無端帯状リングを介し相互に押圧可能に積層および結束された複数のエレメントと、を備え、前記エレメントのそれぞれが、ベルト幅方向の両側でプーリに挟圧される両側端面部と、両面側に隣り合う他の一対のエレメントのいずれか一方に揺動可能に係合するロッキングエッジ部と、前記他の一対のエレメントに対し凹凸係合可能な凹凸係合部と、を有する伝動ベルトであって、
    前記エレメントのそれぞれが、前記両側端面部を有する板状部と、該板状部の一面から前記他の一対のエレメントのいずれかに向って突出する第1凸部と、前記第1凸部から離間するよう前記板状部の一面から突出して少なくとも前記板状部の前記ベルト幅方向の両側に前記板状部の一面から突出した前記ロッキングエッジ部を構成する第2凸部と、を有し、
    前記エレメントのそれぞれと前記他の一対のエレメントとが、前記第1凸部および前記第2凸部によって相互に押圧可能に係合することを特徴とする伝動ベルト。
  2. 前記板状部の一面からの前記第1凸部の突出高さが、前記板状部の一面からの前記第2凸部の突出高さより大きいことを特徴とする請求項1に記載の伝動ベルト。
  3. 前記板状部は、前記板状部の他面からの深さが前記板状部の一面からの前記第1凸部の突出高さより小さくなるよう前記第1凸部の背後に形成された第1凹部を有し、
    前記第1凸部および前記第1凹部によって、前記凹凸係合部が構成されていることを特徴とする請求項2に記載の伝動ベルト。
  4. 前記エレメントのそれぞれが、前記第1凸部を有する頭部と、前記第2凸部を有する胴部と、前記頭部および前記胴部を連結する首部とを有し、
    前記第1凸部および前記第2凸部のうち少なくとも一方が、前記ベルト幅方向に延在するリブ形状をなしていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の伝動ベルト。
  5. 前記エレメントのそれぞれが、前記第1凸部を有する頭部と、前記第2凸部を有する胴部と、前記頭部および前記胴部を連結する首部とを有し、
    前記第1凸部および前記第2凸部のうち少なくとも一方が、前記ベルト幅方向に離間する複数の突起によって構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の伝動ベルト。
  6. 前記板状部が、前記第2凸部の背後に前記第2凸部に対応する第2凹部を有し、
    少なくとも前記第1凸部および前記第2凸部が離間する方向における前記第2凹部の入口幅が同方向における前記第2凸部の幅よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の伝動ベルト。
  7. 前記第2凸部が、前記ベルト幅方向に延在するリブ形状をなし、前記第2凹部が、前記ベルト幅方向に延在する溝形状をなしていることを特徴とする請求項6に記載の伝動ベルト。
  8. 前記第2凸部が、前記ベルト幅方向に離間する複数の突起により構成され、前2記凹部が、前記ベルト幅方向に離間する複数の凹部で構成されていることを特徴とする請求項6に記載の伝動ベルト。
  9. 前記エレメントのそれぞれが、前記ロッキングエッジ部に対し前記第1凸部とは反対側の端部に、前記プーリに巻き付くよう揺動したときに前記他の一対のエレメントに当接可能な当接部を有し、該当接部の一面が前記板状部の一面に対して傾斜していることを特徴とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の伝動ベルト。
  10. 無端帯状リングと、前記無端帯状リングに沿って板厚の方向に積層されるとともに前記無端帯状リングに前記板厚の方向に揺動可能に組み付けられた複数のエレメントと、を備える伝動ベルトの前記エレメントのそれぞれに、両面側に隣り合う他の一対のエレメントのいずれか一方に揺動可能に係合するロッキングエッジ部と、前記他の一対のエレメントに凹凸係合可能な凹凸係合部とを形成する伝動ベルトの製造方法であって、
    前記エレメントの板状の素材から前記両側端面部を有する板状部を打ち抜くとともに、該板状部の一面から前記他の一対のエレメントのいずれかに向って突出する第1凸部と、前記第1凸部から離間するよう前記板状部の一面から突出して少なくとも前記板状部の前記ベルト幅方向の両側に前記板状部の一面から突出した前記ロッキングエッジ部を構成する第2凸部と、を形成するプレス成形工程を含むことを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
  11. 前記プレス成形工程で前記板状部に前記第1凸部および前記第2凸部が形成された複数のワークを積層し、該積層した前記複数のワークに対し前記第1凸部および前記第2凸部のうち少なくとも一方を部分的に塑性変形させ得る圧縮荷重を加えて前記複数のワークの積層状態での厚さを設定範囲内に調整する厚さ調整工程を、さらに含むことを特徴とする請求項10に記載の伝動ベルトの製造方法。
  12. 前記厚さ調整工程において、前記ベルト幅方向の両側における前記複数のワークの積層状態での厚さをそれぞれ計測し、両厚さの差が予め設定された許容範囲内になるよう前記複数のワークに対し前記圧縮荷重を加えることを特徴とする請求項11に記載の伝動ベルトの製造方法。
  13. 前記プレス成形工程において、前記第2凸部の背後に、少なくとも前記第1凸部および前記第2凸部が離間する方向における入口幅が同方向における前記第2凸部の幅よりも小さい第2凹部を形成することを特徴とすることを特徴とする請求項10ないし請求項12のうちいずれか1の請求項に記載の伝動ベルトの製造方法。
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