以下、本発明に係る構成を図1から図20に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。本発明に係る光走査装置は、光源装置(光源10等)から放射されたレーザビームを振動ミラー11によって偏向走査し、走査結像光学系(第一走査レンズ14、第二走査レンズ17等)により被走査面(感光体3)に向かって集光する光走査装置5において、主走査方向のレーザビーム径に応じて光量を調整する光量調整手段を有し、光量調整手段は、レーザビームの発光パルス基準幅を固定幅とした状態において、レーザビーム径の拡径とともにピーク光量を増加させるものである。
(光走査装置)
図1に本実施形態に係る光走査装置を示す。光走査装置5は、図2に示した画像形成装置1内の4つの感光体3Y、3M、3C、3K(以下、符号に対する添字Y,M,C,Kを適宜付け、Y:イエロー、M:マゼンダ、C:シアン、K:ブラックの色に対応する部分として区別するものとする。)が並設された作像部の上方に配置されている例である。
光走査装置5は、各色に対応する4つの光源10と、各光源からのレーザビームを偏向走査する光偏向手段(振動ミラー11)と、4つの感光体ドラム3Y、3M、3C、3Kの被走査面上に導く走査結像光学系を備えており、これらの構成部材は図示しない光学ハウジング内に収納されている。
光源10は、半導体レーザとカップリングレンズにより構成される光源装置を、各色に対応するよう4つ有している(10Y,10M,10C,10K)。光源10における4つの半導体レーザは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色成分画像を書込むための光束を放射する。各半導体レーザから放射される光束は、カップリングレンズにより以後の光学系に適合する光束形態(平行光束あるいは弱い発散性もしくは集束性の光束)に変換され、折り返しミラー13を経てシリンドリカルレンズ12により副走査方向に集束されて偏向走査手段である振動ミラー11の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として結像される。
振動ミラー11に対して入射側には、図示しないレーザ透過部材が配置されており、光源10側からの各光束は、このレーザ透過部材を介して振動ミラー11に入射する。振動ミラー11の揺動により同一方向に偏向された4色分の偏向光束は、走査結像光学系の走査レンズ群を構成する第一走査レンズ(第一のレンズともいう)14を透過する。ブラック成分画像を書込む光束L4はミラー16Kで反射され、走査レンズ群を構成する第二走査レンズ(第二のレンズともいう)17Kを透過し、被走査面の実態を成すドラム状の光導電性の感光体3K上に光スポットとして集光し、感光体3Kの表面を矢印方向に光走査する。走査レンズ群の14、17Kの材質は非球面形状が容易かつ低コストなプラスチック材質からなり、具体的には低吸水性や高透過率、成形性に優れたポリカーボネートやポリカーボネートを主成分とする合成樹脂が好適である。
イエロー、マゼンタ、シアンの各色成分画像を書込む光束L1〜L3もそれぞれ上記と同様に、ミラーで反射され、レンズを透過、感光体上に光スポットとして結像し、各色とも同一の矢印方向に走査される。この光走査により各感光体に対応する色成分画像の静電潜像が形成される。(ブラック以外の各色に相当する光学素子等には符号は付記していないが、ブラックの略意である「K」が番号後に付されている部品はイエロー、マゼンタ、シアンとも光学的な同位置に配置されている。)
これら静電潜像は、現像装置6により対応する色のトナーで可視化され、中間転写ベルト2上に転写される。転写の際、各色トナー画像は互いに重ね合わせられカラー画像を構成する。このカラー画像はシート状記録媒体上ヘ転写され、定着される。カラー画像転写後の中間転写ベルト2はクリーニング装置でクリーニングされる。
センサ9は画像パターン8の濃度を検出するセンサであり、主走査方向に画像パターンと同数となるように複数配列される。なお、図1に示す例では7個のセンサ9を示しており、図3に示す階段状の変化直線23の階段部と同数である。
センサ9の主走査方向の配置位置は図3に示す走査中央(像高0)と符号23で示す各階段のフラット部の中心付近に相当する箇所が好適である。画像パターン8は主走査ビーム径(ピーク光量の1/e2に相当する径、以下、ビーム径ともいう)に応じて濃度が変化するパターンとなっており、グレースケールによるパッチパターンのうちビーム径の変動に最も敏感(検出精度が高い)なパターンが設定されている。具体的には線数140lpi(line per inch)、スクリーン角0度で画像面積率12.5%〜31.25%(左記範囲の任意の%)のグレースケールパッチとすることが好適である。さらに、画像面積率として18.75%のグレースケールパッチが最も好適である。
センサ9から出射した光束がグレースケールパッチ全体に照射され、その反射光を検出し濃度検出を行う。同じ条件のグレースケールパッチでも後述のf・arcsin走査光学系に特有なビーム径変化(高像高ほどビーム径が拡径)があると濃度が薄く(明るくなる)、走査中央と高像高となる走査周辺の濃度の違いが発生してしまうことになる。
図4にグレースケールに対する明度(後述する光量調整手段による補正を行っていない例)を示す。図4は、曲線21(図3)の特性を示すレーザビームにて図1に示すようなグレースケールパッチ(画像パターン8)を描画し、センサ9で画像濃度を評価する指標として明度をもちいたものである。なお、明度とは白が100、黒が0となる無次元量である。また、図1に示す両端(像高±110mmに相当)と中央(像高0に相当する)3ヵ所の明度について、画像面積率をパラメータにしてプロットしたものである。図4では、光量補正を行っていないので、ビーム径の拡径率が明度に影響していることがわかる。
ここで、画像として問題とならないレベルである明度差1以下とするためには、センサ9の検出精度の向上が必要となり、そのためには明度差が出易い画像面積率にすることが好適である。したがって、上述のように図4の範囲Rで示す画像面積率12.5%〜31.25%が好適であり、最も好適なのは明度差hが大きくなる18.75%であることがわかる。本発明は、以下に詳述するように、上記のようなビーム径の拡径率により濃度が薄くなる不具合を光量を調整することにより解決するものである。
なお、画像パターン8は、上記グレースケールパッチに限られるものではなく、例えば、「1ドットの斜め線」の画像パターンでもよい。ここで、ビーム径のサイズにより画像の最小ドットである1ドットの描画も影響を受ける。同じ1ドットの描画でも作像プロセスの状態を併せると連続線の画像形成時には描画できたり、できなかったり(ドットの欠損)する場合が生じ不安定である。1ドットの描画有無は水平線でなく、角度を有した斜め線の方が1ドットの描画有無の確認が容易である(連続する1ドット線のうち、隣接する1ドット間に角度を有した方がドットの欠損が認識し易い。目視ではカスレと認知される)。また、1ドットの斜め線の方がグレースケールよりも画像パターン面積が小さくてすむためトナー消費の抑制に効果がある。なお、当該構成においても、センサについては上述のセンサ9を用いればよい。
また、図1に示す光走査装置5は、カラー画像を構成する2以上の色成分画像に対応する複数の光源装置から放射された各光束を、偏向走査手段の振動ミラー11により同一方向に偏向走査し、各偏向光束を走査結像光学系のうち各色共通に透過する第一走査レンズ14と、各々の走査結像手段に設けられた第二走査レンズ17により、各色成分画像に対応する被走査面に向かって個別的に集光させて光走査を行い、各色成分に相当する4つの走査結像手段を有する光走査装置である。第一走査レンズ14は全てのステーションで共用され、副走査方向には収束力を持たない。また、第二走査レンズ17は主に副走査方向に収束力を有しており、また斜入射の光学系に特有な走査線曲がりを低減する機能を付加している。
光走査装置5は、偏向手段である振動ミラー11に対して各光源ユニットからのレーザビームを一括して偏向、走査するようにしている。このため、複数の振動ミラーを用いる際に必要不可欠となる共振振動数や駆動周波数、振幅や振れ角の合わせこみが不要となり、製造工程の短縮化および光学性能の向上を図ることができる。また、単一の振動ミラー11により複数の被走査面を走査することにより、低コスト化を図ることができる。
振動ミラー11の反射面に入射する各色のレーザビームは副走査方向に対して、図5に示すように所望の角度を有している(斜入射光学系)。図5は振動ミラー11の反射面441まわりの副走査位置断面図を示している。法線に対してブラック用光源の入射レーザビーム(略意である(K)。以下同様)、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、イエロー(Y)用となっており、各レーザビームはシリンダレンズ12によって反射面の近傍で副走査方向に収束されて、ほぼ同じ副走査位置に入射する。偏向後は隣接するレーザビーム同士が分離するように間隔を拡げつつ第一走査レンズ14に入射される。
入射角度θk、θm、θc、θyは、θk=θy(正負符合反転であるが絶対値は同じ)、θm=θc(正負符合反転であるが絶対値は同じ)となっている。具体的にはθk(=θy)で5°以下となるように設定されている。入射角度が5°以上の場合、被走査面上での走査線曲がりが大きく発生し、かつレーザビームが太径化し結果として画像の劣化を招くという問題がある。一方、各色のレーザビームが斜入射せずに水平で入射(斜入射角0°)する場合、反射面の副走査方向の幅が多く必要となるため、振動ミラー11の負荷が大きくなり、振動周波数が高くできないという問題がある。また、θm(=θc)は偏向後のレーザビームの分離しやすさを考慮して、θk(=θy)の1/2(2.5°以下)としている。
また、振動ミラー11の反射面441の反射率は像高(偏向角度)に応じて変化する特性(入射角度依存)を示す。像高に応じた反射率の変化は反射面の材料、入射角度αの大きさにより変化量は異なるが原理的に0とすることはできず、ビーム径に応じた光量調整量に反射率変化を併せた光量調整量の設定をすることが好適である。
ここで、反射率の変化が小さい材料としては金属反射面として金蒸着が最も好適であるが、コストの安いアルミ蒸着膜や誘電体膜でも良い。ただし、反射率変化量が大きく、金蒸着の5〜6倍となる。なお、金蒸着の場合はビーム径に応じた光量調整量に対する反射率変化に応じた光量調整量が相対的に小さいので、ビーム径に応じた光量調整量のみでもよいが、反射率変化量の大きいアルミ蒸着膜や誘電体膜の場合は、反射率変化を併せた光量調整量の設定が必須となる。本実施形態では、反射率の依存性が小さい金属膜(金メッキ)を用いる場合を例に説明する。
(光量調整手段<概要>)
各色成分の走査光学系において、第一走査レンズ14に関しては全ての色成分を共用する、すなわち、第一走査レンズ14に4色分のレーザビームが入出射している。また、第二走査レンズ17は各色別々にレーザビームが入出射するが形状は各色とも共通である。そのため、斜入射角(図5のθk、θm、θc、θy)の絶対値が異なると、走査光学特性が異なり、特に斜入射角が大きいθk、θyのK、Yの走査光学系の方が、光学素子の形状精度ばらつきや温度環境による光学素子の設置姿勢の変化などの変動によるビーム径の特性劣化が大きくなる。
図6に具体例を示す。図6(a)は、光学素子の特性が設計通りのときの主走査ビーム径を像高毎にプロットした曲線であり、振動ミラー11をその像高に静止させた状態を仮定した際の、静止時のビーム径を示している。ここで、符号21はK,Y(斜入射角θk、θy)の特性曲線、符号22はM,C(斜入射角θm、θc)の特性曲線を示している。なお、図6(a)は、曲線21の像高0におけるビーム径を1として示している。
図6(a)より、上述のように斜入射角が異なるK,Yの曲線21とM,Cの曲線22ではビーム径が異なることがわかる。ただし、ビーム径の拡径率は曲線21、曲線22で異なっており、具体的には、像高±110mmにおいて曲線21では1.23倍、曲線22では1.21倍である(±像高で対称形をしている)。
このように、ビーム径の拡径により濃度ばらつきという不具合が発生する。これを解消する制御手段として、本実施形態に係る光走査装置は、ビーム径に応じて光量を調整する光量調整手段を有し(ビーム発光パルス基準幅を固定幅とした状態)、レーザビーム径の拡径とともにピーク光量を増加させるように調整することにより。ビーム径の拡径にともなって濃度が薄くなる現象を抑制するものである。
図7にビームプロファイルの例を示す。ビーム径の拡径とともにピーク光量も低下するため、光源からの発光光量を増加させることによりピーク光量を増加させる。このとき発光パルスは基準幅のまま固定値とし、変化させる必要はない。ここで、感光体への潜像は積分光量により実現するがパルス幅を変動させなくても光量のみで積分光量を適正化することが好適である。すなわち、パルス幅を変動させると、拡径とともにパルス幅は狭小化することになり、積分光量を保つためにはピーク光量を一層増大させる必要があり、発光素子の寿命が短くなるといった不具合があるからである。また、パルス幅の短パルス化、微調整のための高分解能クロックが必要となり回路が複雑になるばかりか、コスト高となり、パルス幅の狭小化により立ち上り/立ち下りの応答時間が影響し相対的に光量が所望値どおりに出力しない懸念があるためである。
本実施形態における光量調整手段における光量調整量の設定の基準値は図3に示される。設計上の曲線21に沿った形で光量調整することは、メモリを大規模容量にする必要があり基板の大型化、コスト高に繋がる。そこで、画像上問題とならない調整量である、明度差1以下を固定(図7の段差P)した段差範囲を設けている(階段状のプロット23)。本実施形態では、7つの分割区間とし、その分割区間数は図1のセンサ9の数、画像パターン8の数と一致させている。このように構成することにより、コストを抑えた光走査装置を実現できる。
なお、光量調整量は像高0を含む領域の光量調整量を1.0として、ビーム径の拡径率と定数の乗算によって決めている。像高110の箇所で概ね光量調整量が1.1〜1.2の範囲となるように設定している。当該範囲とすることにより、図4に示したような明度差が1以下を達成することが可能となる。
また、光量調整量の設定は、斜入射角とともにビーム径およびビーム径拡径率が異なるため、斜入射角に応じて設定する。上記設定値は、走査光学系の全ての光学素子が設計上設定したとおりの寸法形状、設置位置、角度姿勢が実現した場合であり、実際には生産時のばらつきが発生するため、必ずしも図3に示したプロット23になるとは限らない。
そこで、図8のフローチャートに示すように、まず初期的な光量調整量としてプロット23に示すような設定値を予め設定(S241)しておき、振動ミラー11の振幅制御を行ったうえ(S242)、画像形成プロセス(S243)にてパターン形成を行う(S244〜S245)。ここで、パターン形成の要否(S244)は、まず工場出荷前の生産工程ではパターン形成要として実施し、センサ9によるパターン検出(S246)を行い、検出結果に応じて設定値の補正を行うものである(S247)。また、S247の要否判定では検出結果が予め設定している明度差1を超える値であれば補正を行い(S247:要)、一方、明度差1以下であれば補正を行わない(S247:否)。
この初期時(工場出荷時)の補正は、光学素子等の形状または取り付けバラツキに対する生産時の初期的なバラツキに対する補正を主な目的としている。ここで、生産時の初期的ばらつきや経時的な変動として温度環境変化が起こったとき、図6(b)に示すように、曲線21,22は上下限範囲内で変動する。なお、曲線21の上下限を曲線21a、21bで示し、曲線22の上下限を曲線22a、22bで示している。
図6(b)より、斜入射角が異なることにより、その変動範囲の上下限値も異なることが判る。また、像高0に対する対称性も失われることがわかる。対称性が失われる原因は、振動ミラー11の反射面に対して光源の主走査方向の入射角(後述の図12に示すα)を有しているため、生産時のばらつきや経時的な変動としての温度環境変化の影響が像高0に対して対称とはならないからである。よって、上記変動に対する光量設定量も図3の23と同様に段差Pが一定となるように光量設定量を設定する。
次に、通常の画像形成装置として稼動時(工場出荷後)には画像形成プロセス中、一定の連続プリント枚数(例えば、100枚以上)、装置内に設置された温度センサ(図示しない)が設定温度以上となった場合に、図8のS244にてパターン形成要と判断し(S244:要)、S245へ移る。
ここで、上記光量調整に関わる振動ミラー11の駆動は、以下に詳述するように、振幅制御、具体的には、振動ミラーの振幅を一定となるように制御された状態で行うことが好ましい。各色の最適な光量調整が可能となり、カラー画像形成における画像劣化を抑制することができるからである。このような振幅制御を行わないと、経時的、突発的に振幅が乱れるので、そのとき走査位置が所望の位置に走査されないことになり、光量設定値が正しく機能しなくなるおそれがある。
(振動ミラー)
次に、図9に振動ミラー11の基板440の詳細図、図10にその分解斜視図を示す。振動ミラー11は、表面にミラー面を形成し振動子をなす可動部と、それを支え回転軸をなすねじり梁と、支持部をなすフレームとからなり、Si基板をエッチングにより切り抜いて形成する。
本実施形態では、SOI基板と呼ばれる60μmと140μmとの2枚の基板が酸化膜を挟んであらかじめ接合されたウエハを用いて作製している。まず、140μm基板(以下、第2の基板ともいう)461の表面側からプラズマエッチングによるドライプロセスによって、ねじり梁442、平面コイルが形成される振動板443、可動部の骨格をなす補強梁444と、フレーム446とを残したそれ以外の部分を酸化膜まで貫通し、次に、60μm基板(以下、第1の基板ともいう)462の表面側からKOHなどの異方性エッチングによって、可動ミラー部441と、フレーム447とを残したそれ以外の部分を酸化膜まで貫通し、最後に、可動部周囲の酸化膜を除去して分離し振動ミラーの構造体を形成する。
ここで、ねじり梁442、補強梁444の幅は、40〜60μmとした。ここで振動子の慣性モーメントIは振れ角を大きくとるには小さい方が望ましく、反面、慣性力によってミラー面が変形してしまうため、可動部を肉抜きした構造としている。さらに、第1の基板462の表面側にアルミニウム薄膜を蒸着して反射面となし、第2の基板461の表面側には銅薄膜でコイルパターン463とねじり梁を介して配線された端子464、および、トリミング用のパッチ465を形成する。なお、振動板443側に薄膜状の永久磁石を備え、フレーム447側に平面コイルを形成する構成としても良い。
実装基板448上には、振動ミラー11を装着する枠状の台座466と、振動ミラーを囲うように形成されたヨーク449が配備され、ヨーク449には可動ミラー端に対向して各々S極とN極とを向かい合わせ、回転軸と直交する方向に磁界を発生する一対の永久磁石450が接合されている。
振動ミラー11は、ミラー面を表に向けて台座466に装着され、端子464間に電流を流すことによりコイルパターン463の回転軸に平行な各辺にローレンツ力が生じ、ねじり梁442をねじって可動ミラー部441を回転する回転トルクTを発生し、電流を切るとねじり梁の戻り力により水平に戻る。
したがって、コイルパターン463に流れる電流の方向を交互に切り換える(交流信号)ことによって、可動ミラー部441を往復振動させることができる。そして、この電流の切り換える周期を、振動ミラー11を構成する構造体の、ねじり梁を回転軸とした1次振動モードの固有振動数、いわゆる共振振動数f0に近づけると振幅が励起され大きな振れ角を得ることができる。
一方、コイルパターンに直流成分の電流を流す(電圧を印加する)ことにより、可動ミラー部を静的に変化(振幅中心を変化)させることができる。ただし、共振現象を利用しているので電流に応じた変化は角度で±1°以内となる。この直流成分を交流信号に重畳させることにより、振動ミラーを振幅(偏向)させながら、振幅中心を変化させることが可能となる。
図11に、光学ハウジングへ搭載される形態の振動ミラーユニット470を示す。振動ミラーユニット470は振動ミラー11と、振動ミラー11の姿勢を固定し、かつ電気接続(電極部473)を行なうためのブラケット471と、ブラケット471を固定し、光学ハウジング(図示しない)に載置される基板472(電気コネクタ474)から構成される。
振動ミラー11は可動部の質量、イナーシャが従来のポリゴンミラーに比べて非常に小さいため駆動部も小型化され、磁気回路の高効率化もあいまって消費電力を低く抑えることができる(ポリゴンミラーの1/10以下)。その結果、発熱が少なくなり書込光学系の光学素子やハウジングの温度上昇も実質的になくすことが可能となることから、特に樹脂製の走査レンズが局部的な温度分布をもつことなく、カラー画像形成時のレーザビームの走査位置を変動することなく色ずれの発生を抑制することができる。
また、可動部の質量、イナーシャが小さいことにより、揺動時にも外部へ伝達する振動、すなわち、質量アンバランスによる振動が少ない(ポリゴンミラーの1/100以下)ことから、書込光学系の光学素子へ伝達する振動が実質的になくなり、折返しミラーの振動による画像形成時のバンディング(副走査方向の粗密変動)の発生も解消することができる。
(画像形成装置)
次に、図1に示した光走査装置5を潜像書込手段として備えたカラー画像形成装置について説明する。図2に示す本実施形態に係る画像形成装置は、複数の感光体3Y,3M,3C,3Kを並列に配置したタンデム型のカラー画像形成装置である。装置上部から順に光走査装置5、現像装置6、感光体3、中間転写ベルト2、定着装置7、給紙カセット4がレイアウトされている。
中間転写ベルト2には各色に対応した感光体3Y、3M、3C、3Kが並列順に等間隔で配設されている。感光体3Y,3M,3C,3Kは同一径に形成されたもので、その周囲には電子写真プロセスに従い部材が順に配設されている。感光体3Yを例に説明すると、帯電チャージャ(図示しない)、光走査装置5から出射された画像信号に基づくレーザビームL1、現像装置6Y、転写チャージャ(図示しない)、クリーニング装置(図示しない)等が順に配設されている。他の感光体3M,3C,3Kに対しても同様である。即ち、本実施の形態では、感光体3Y,3M,3C,3Kを各色に設定された被走査面とするものであり、各々に対して光走査装置5からレーザビームL1、L2,L3、L4が各々に対応するように設けられている。
帯電チャージャにより一様に帯電された感光体3Yは、矢印A方向に回転することによってレーザビームL1を副走査し、感光体3Y上に静電潜像が形成される。また、光走査装置5によるレーザビームL1の照射位置よりも感光体3の回転方向下流側には、感光体3Yにトナーを供給する現像器6Yが配設され、イエローのトナーが供給される。現像器6Yから供給されたトナーは、静電潜像が形成された部分に付着し、トナー像が形成される。同様に感光体3M,3C,3Kには、それぞれM、Y、Kの単色トナー像が形成される。各感光体3Yの現像器6Yの配設位置よりもさらに回転方向下流側には、中間転写ベルト2が配置されている。中間転写ベルト2は、複数のローラ2a、2b、2cに巻付けられ、図示しないモータの駆動により矢印B方向に移動搬送されるようになっている。この搬送により、中間転写ベルト2は順に感光体3Y、3M、3C、3Kに移動されるようになっている。中間転写ベルト2は各感光体3Y,3M,3C,3Kで現像された各々単色画像を順次重ねあわせて転写し、中間転写ベルト2上にカラー画像を形成するようになっている。その後、給紙トレイ1から転写紙が矢印C方向に搬送されカラー画像が転写される。カラー画像が形成された転写紙は、定着器7により定着処理後、カラー画像として排紙される。
(光量調整手段<詳細>)
上記に述べた振動ミラー11のメリットを活かすため光量調整手段により以下のような制御を行う。図12に、図1に示した光走査装置のうち、ある1つの感光体に相当する要部を概略的に示す。図12では、振動ミラー11によって偏向走査されるレーザビーム18を、走査位置により、最大振れ角の走査位置を18a、最大振れ角以内に配意される受光素子へ入射して出力信号がでるタイミングにレーザビームが走査される位置を18b、感光体3への画像領域の端部を走査する位置を18cとして示している。
また、時間に対する振動ミラー振幅を図13に示す。振動ミラー11は共振現象を利用して大きな振幅を発生させるため、振動ミラー11の振幅は時間に対して正弦波状の軌跡を描き、偏向走査されるレーザビームの走査速度が一定ではなく走査位置によって異なることになる(走査レンズがない場合)。このような走査速度でも一定となるように走査レンズ14,17はf・arcsin特性を有している。
このような特性を有する走査レンズを使用したとしても、図14〜図16に示すように振動ミラー11の揺動ばらつき変動が発生するため、変動を抑制するように各々制御を行うものである。振動ミラー11の共振周波数が一定でも、図14〜16に示すような現象が発生し、理想振幅波形(点線で示す正弦波形)に対して、いずれもレーザビームの走査位置変動となり、画像劣化を発生させることになる。
図14は振幅変動について示しており、振幅が目標よりも大きい場合(小さい場合も同様)矢印方向に示すような振幅とするために、図13に示す受光素子PD(photo diode)1出力のタイムインターバルAと受光素子PD2出力のタイムインターバルBとの演算値が一定となるように制御を行う。具体的には、(A1+B1)/2,(A2+B2)/2,・・・で複数回の平均化を行い、共振周波数から一義的に決まる制御目標値となるように制御を行うものである。
また、振動ミラー11の駆動周波数fdについて図17を用いて詳述する。駆動周波数とは、プリント枚数を実現するための周波数であり、共振周波数frと合致することが光走査に必要な振幅量Y1を稼ぐことができるので好適である(図17の実線)が、実際は振動ミラー11の共振周波数変動(初期のばらつきも含む)により合致しないことがある。その場合、光走査に必要な振幅量Y1とするために、振動ミラー11への入力エネルギーである電圧、電流を増加させ、駆動周波数fdの周波数でY2しか振幅していない振動ミラー11の振幅を大きくしY1まで(点線)振幅させるという振動ミラー11の振幅制御を行なうものである。
図15は振動ミラー11の振幅中心と走査中心の位置関係について示しており、走査中心に対して、振幅波形にオフセット、即ち、振動ミラーの振幅中心と光走査中心との差異がある状態を示した例である。図15(a)と図15(b)はオフセット量に違いがある例を示しており、図15(a)はオフセット量が許容レベルである例である。ここで、許容レベルとはオフセットの影響が懸念される光走査特性(主にリニアリティ)である。
一方、図15(b)は許容オフセットを超えている状態の例を示したものであり、この場合は上述のように、許容内に調整(補正)する必要がある。ここで調整する方法としては、例えば、振動ミラーの駆動電圧(交流成分)にオフセット量に応じた直流成分を重畳させることにより、主走査方向の姿勢を変化させ、振幅中心を許容オフセット内となるようにすることができる。また、他の例としては、振動ミラー11の姿勢を変化させる駆動機構により調整することとしても良い。当該駆動機構は、例えば、基板472(図11参照)の下面にステッピングモータを、当該モータの回転軸と振動ミラー11の振動軸が一致するように配置して、振動ミラーユニット470が振動軸中心に姿勢(回転)変化することにより許容オフセット内に調整するようにする。なお、ステッピングモータの回転ステップ分解能は、少なくとも許容オフセット量の1/2以下に相当する量が必要である。
ここで、オフセット調整そのものは、従来から行なわれているが、従来のオフセット調整では、許容オフセットを設定する手法ではなく、理想的にオフセット量をゼロとしている。このような従来手法では、オフセット調整の際に必要となる直流成分の重畳回路は、図15(b)に示したオフセット量を全て調整できる出力電圧を有する性能をもたなければならず、回路が大型化かつ発熱量が大きく光走査装置内の温度が上昇し、光走査特性を劣化させることとなる。また、回路大型化に伴うコストが増加する。さらに、オフセット調整の際に駆動する電流(電圧)も、振動ミラー11の電流定格の上限から、オフセット量に応じて無制限に駆動することはできない(電流定格を超えると素子の破壊となる)。特に、電磁駆動型では直流成分の消費電力はコイルの消費電力(銅損)となるため、オフセット調整量が多くなると発熱(温度)が上昇するというおそれもある。
これに対し、本実施形態では、図15(b)に示すように、オフセットを許容オフセット内へ調整するために(矢印方向に示すように)、図13に示すPD1出力のタイムインターバルAとPD2出力のタイムインターバルBとの演算値が一定となるように制御を行う。具体的には、A1−B1,A2−B2、・・・で複数回の平均化を行い、図18に示す判断回路31で許容オフセット以内か否かを判断し、許容以内であれば制御せず、許容オフセットを超えた場合はオフセット制御を行うものである。
図16は振動ミラー11の振幅波形の位相変動について示したおり、基準位相クロック信号(波形は図示しない)との位相変動が生じても矢印方向に示すような位相とするため、図13で示したような振動ミラー11を駆動するための信号を生成する基準位相クロックとPD1出力のタイムインターバルCの位相が一定となるように制御を行う。具体的には、C1,C2・・・で複数回の平均化を行い、目標値である0となるように制御を行うものである。
なお、タイムインターバルをカウントするPD1の出力は画像形成領域の直前のタイミングである出力(Aの後端側)が好適である。位相を合わせるのは、画像の書き始め側直前の方(Aの後端側)が精度が高く、Aの前端側の場合はAの時間内に位相変動により画像形成時の位相精度が低下するからである。
図14、図15(b)の振幅または許容オフセットを超える(実線で示す実際の振幅状態)と理想となる走査速度と異なる現象であるため、主走査方向の走査位置ずれとなる。例えば、主走査方向のジター(縦線ゆらぎ)、主走査倍率誤差という画像劣化を引き起こすこととなる。これはカラー画像に限らずモノクロ画像でも共通の課題である。
一方、図16の基準位相クロックからの位相変動はカラー画像形成時における特有の問題となる。すなわち、図1に示したように、単一の振動ミラー11が画像信号に応じて各色の光源から出射されるレーザビームを各色の感光体へ走査するわけであるが、位相変動が発生すると各色のレーザビームの偏向走査位置が変ってしまうため画像上(中間転写ベルト2上)は副走査位置の変動となり、色ずれ、色むらの発生となる。
図18に振動ミラーの制御手段(光量調整手段を含む)のブロック図を示す。振幅、オフセット、位相制御を実現する振動ミラー制御系のブロック図について詳述する。
偏向走査されてPD1、PD2を走査するレーザビームにより出力される信号を各々カウンタ33,34でA、Bを計測し、判断回路32で(A+B)/2の平均を目標の振幅と比較し、また、判断回路31でA−Bの差分の平均を許容オフセット内か否かをと比較判断し、許容内であれば補正せずにコントローラ35へ出力し、許容外であれば許容内との差分量を調整している。したがって、調整後はオフセット量がゼロではなく、最大許容内に調整残差を抑えられる。なお、突発的な電気ノイズが混入した場合など誤った情報により制御を行うことを防止するため平均化処理を行っている。また、平均化の回数は、2〜10回の範囲で行うことが好ましい。10回以上とすると補正タイミングが遅くなり、制御偏差が大きくなるためである。
コントローラ35は、比較結果に応じて振幅およびオフセットの補正量を演算し、補正された正弦波の駆動信号を振動ミラーの駆動回路(アンプ)36にて増幅され振動ミラー11を駆動制御する。以上の制御系ループが振幅およびオフセット制御ループである。ここで、オフセット制御は振幅制御がされた状態で行う。
また、位相制御ループは、上述の振幅およびオフセット制御が正常にはたらき、各々目標値に対して所望の範囲に入った制御状態において、基準位相クロック信号と振動ミラーの振れ角が一定の位相となるように位相制御ループを実行するものである。
位相制御は振幅およびオフセット制御に対して、高精度な制御であるためすべての制御を同時に実行すると、互いに干渉し駆動信号の変動量が大きくなり全てが制御目標値範囲内に収束するまでに時間を要するため、第一優先に振幅制御を行い、次にオフセット制御を制御し、その後、微調整として位相制御を行うことで制御範囲内へ収束するまでの時間を短縮することが可能となる。
PD1からの出力信号と基準位相クロックの位相偏差を位相比較器37で検出し(図13のC)、カウンタ38にて計測する。計測結果をLPF(Low Pass Filter)39、積分器40で位相偏差に応じた電圧に直流化し、その電圧量に応じて位相変化させるPLL(Phase Locked Loop)制御を行う。位相変化に対する正弦波信号の生成は予め用意された位相変化量(分解能)の刻みに応じて最適な位相となる正弦波信号が生成される。これにより、振動ミラー11の駆動信号と振動ミラーの振れ角が一定の位相となるような制御が行われる。
なお、位相制御に対応する正弦波信号の生成分解能は制御の許容範囲内以上の高精度が必要となるが、高精度にするほどメモリが必要となるため高コストとなるため、本実施形態では、副走査方向の色ずれとして視覚認知される50μm以下となるように正弦波信号の生成分解能を設定しているが、これに限られるものではない。
次に、振動ミラー11の共振周波数との駆動周波数との差異の検出について詳述する。図19は振動ミラー11の共振周波数特性(振幅ゲイン)と位相特性(振動ミラーを駆動する駆動電圧波形との位相差)を表している。線24が初期の共振周波数特性、線25が初期の位相特性である。ここで、振幅ゲインGainおよび位相特性Phaseは、数式1で表すことができる。
数式1において、Qは共振状態を表すQ値であり、本実施形態では200である。また、ω0(=2πf0)[rad/s]は共振周波数であり、本実施形態ではf0=3000[Hz]である。これにより、ω(=2πf)の周波数で駆動したときのGainおよびPhaseを求めることができる。
ここで、環境温度の変化により振動ミラー11の梁の剛性が変化するため共振周波数が矢印26であ示す方向に変化する。図19(a)は環境温度が上昇した時の共振周波数の変動方向を表し、図19(b)は環境温度が下降した時の共振周波数の変動方向を表している。なお、ここでいう、環境温度とは光走査装置(振動ミラー)が曝される環境温度をいい、画像形成装置内のユニットの発熱や画像形成装置が置かれる環境温度を含む概念である。
図19(a)の例について図13、図18を参照しつつとともに説明する。共振周波数3000Hzの振動ミラーに対して、駆動電圧の周波数も3000Hzの場合、駆動電圧信号と振動ミラーの位相差は−90℃となる。ここで、駆動電圧の周波数は一定の状態で、環境温度の上昇と共に共振周波数が矢印26方向に下降変動すると、連動して位相特性も変わるため位相差は矢印27方向に変化する。よって、この位相差の変化量を捉えることにより共振周波数の変動を掴むことができる。
この例のように、共振周波数が10Hz低下すると、上記数式1から位相差は−90℃から−144℃となる。この位相差変動分の−54℃を検出するには、図13に示した駆動電圧信号とPD1の出力の時間間隔P(P1、P2・・・の複数回平均化処理)を計測することで達成できる。
ここで、PD1の配置されている位置は走査中央ではないため、−90℃や−144℃を直接捉えることはできないが、P=(−90°−δ°)[δ:走査中央からの位相ずれ分]、であることから、Pの変動分を計測すれば位相差の変動を検出することができる。
図18のブロック図に示すように、駆動電圧信号とPDとの位相差は位相比較器41とカウンタ42により計測し、基準となる共振周波数との差分を演算して、その差分が許容値範囲外であれば駆動周波数を変化させ、共振周波数に一致させるように駆動周波数を調整する。ここで、許容設定値は共振周波数の変動により生じる振幅低下を補正できる限界値から設定されている。また、振幅低下を補正(振幅一定の制御)するためには、駆動電圧を上昇させることになるため駆動回路の耐圧、および振動ミラー11の許容耐圧のどちらか低い方となるように差分の許容値を決定する。例えば、振動ミラー11の許容耐圧を優先し、±10Hz以内とする。
振動ミラー11の共振周波数との駆動周波数との差異の検出は振動ミラー11の振幅を一定に制御した状態で行なう。振幅が一定でないとPD1の出力信号タイミングが変わってしまい、時間間隔Pへ影響を及ぼすからである。
また、駆動電圧の周波数調整タイミングは偏向走査ビームの走査特性が変わることになるため好適な条件が必要である。例えば、画像情報を光走査装置の光源へ入力しているか、すなわち被走査面領域にレーザビームを走査しているか否かを判断する判断手段を用いて、その判断が否となる画像情報のない非画像形成中のタイミングで行なう(このときでもPD1,PD2への走査ビームは偏向されている)ことが好ましい。なお、非画像形成中とは、画像プリント時のプリント紙の間隔中か、プリントジョブの間隔中をいう。
また、その他には、被走査面領域にレーザビームを走査しているか否か関係なく、いつでも、すなわち、所望値外となったタイミングで随時、調整可能とするために調整時の周波数変動を段階的に変化させることも好ましい。例えば、差異が10Hzを超え、11Hzとなった場合、直ちに駆動周波数を11Hz変化させるのではなく、0.1Hz単位で110ステップを段階的に変化させるようにする。また、変化させる時間は調整タイミング開始から完了までの時間としてプリント紙1枚を画像形成できる時間が望ましい。周波数変化をゆっくりとすることにより画像劣化を軽減することができるからである。
従来の共振周波数の計測ではGain特性を計測していた。このため、光走査装置の画像形成を一時的に停止して駆動周波数をスイープ変化させたときの振幅を測定し、最も振幅の大きくなるところを共振周波数としていたため、画像形成装置(光走査装置)としての本来の機能を使うことができないという問題があった。これに対し、本発明に係る光走査装置によれば、振動ミラー11による偏向走査時の常時で共振周波数と駆動周波数との差異を検出できるので、画像形成中でも装置を一時停止する必要がない。なお、偏向走査時とは、少なくともPD1、PD2から出力信号が発生する時をいい、画像領域にレーザビームを偏向走査しなくてもPD1、PD2内をレーザビームが走査すれば良い。
なお、振動ミラー11の共振周波数と駆動周波数との差異を検出し、差異が所望の範囲内であっても都度、駆動周波数を調整するようにすると、画像形成時の副走査倍率が変化するため、その補正を行なう必要がある。この副走査位置倍率の補正は画像処理による倍率補正や副走査方向の速度調整(感光体、中間転写ベルト、給紙、定着の各ユニットの調整)を行なう必要があり、複雑になるばかりかタイムラグなどを考慮する必要があり画像形成を停止しなくてはならない時間が生じる。よって、駆動周波数は可能な限り変化させない方が画像形成装置の画像品質としては好ましい。
また、本実施形態では、駆動電圧波形が正弦波の場合を例に説明したが、正弦波に限定されるものではなく、矩形波、三角波についても同様の効果を得ることができる。
次に、図20に受光素子PD1を例に、走査されるレーザビームとの関係を示す。PD1は図1に示したように感光体面上を走査されるレーザビームと光学的に等価(ビーム径および走査速度)となる位置に配置されている。なお、配置位置は感光体面の走査延長上が好適であるが、レイアウトの都合上、折り返しミラーを経由して受光素子内をレーザビームが走査する構成としてもよい。
受光素子PD1はPINフォトダイオードからなる受光部402aからの出力信号を増幅する増幅回路と波形整形するコンパレータ回路(回路部402b)からなり、ICとして樹脂からなるレーザビーム透過部材(ICリード402c)にて1パッケージ化されている。受光部402aを走査ビームが通過することにより、図20に示すコンパレータ出力信号を発生させる。
図20の点線28で示す領域は光源が消灯、またはフレア光が受光素子内、感光体面上の潜像を形成するレベルの光量とならない程度に減光されている様を示している。振動ミラーの最大振れ角と受光素子近傍の間の領域内で光源が発光していると、光走査装置内に配置された光学部品の乱反射に起因するゴースト光を発生させ、PD1、PD2への信号にノイズとなるため上述のA,B,Cのタイムインターバルが乱れ、制御上の誤動作、不安定となってしまう。なお、「受光素子近傍」とはコンパレータ出力に影響を与えずに、タイムインターバルA,B,Cが各々正常に計測できる発光タイミングとなる走査位置をいう。
この問題を回避するため、本実施形態では、予め上記タイミングにて消灯、またはゴースト光が受光素子内、感光体面上の潜像を形成するレベルの光量とならない程度に減光するように設定されている。これにより、消灯または減光は半導体レーザからなる光源を長寿命化すること、光源の温度上昇を低減するという効果も生じる。
また、光学素子の反射率や透過率の低下(経時劣化)の際に光量が低下するとコンパレータ出力を決定するスレッシュ電圧への立上時間が長くなる(傾きが緩くなる)ため、誤った検出を行ってしまう。そこで、受光素子を走査する際、常に一定の光量となるように光源を制御することによりこの問題を解決している。
また、以上説明した構成を有する光走査装置を有する画像形成装置とすることにより、画像劣化を抑制することができる。また、上述のように、分割領域に対応する中間転写ベルト2上の主走査方向複数箇所に画像パターン8を描画し、画像パターン8からセンサ9により検出された検出結果に応じて、光量調整量の設定値を補正することで、装置毎のばらつきや経時環境変化においても画像劣化を抑制することができる。また、上述のように、画像パターン8を同じ画像面積率からなるグレースケールを描画したパッチパターンとすることにより、画像劣化を高精度に検出することを可能としつつ画像劣化を抑制することができる。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。