以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るモータを説明する説明図を、図2は図1のモータの内部構造を説明する説明図を、図3は図1のモータのギヤカバーを示す斜視図を、図4は図1のモータのブラシホルダユニットを示す斜視図を、図5は図4のA矢視図を、図6は図5の各リードプレートと各リードワイヤとの接続関係を説明する説明図をそれぞれ表している。なお、図2においてはギヤカバーおよびモータケースを省略している。
図1に示すモータ10は、右ハンドル車のフロント側に搭載されるワイパ装置(図示せず)の駆動源として用いられるものである。つまり、モータ10はワイパモータであり、モータ部20とギヤ部30とを備えている。
モータ部20は、鋼板等をプレス加工(深絞り加工)することにより有底筒状に形成されたモータケース21を備え、モータケース21内には、図2に示すように一対の永久磁石22が対向配置されている。各永久磁石22内には、所定の隙間を介してアマチュア23が回転自在に設けられ、アマチュア23の回転中心にはアマチュア軸24が固定して装着されている。このように、モータケース21は、アマチュア23およびアマチュア軸24を回転自在に収容している。
アマチュア軸24の基端側(図中右側)は、軸受部材(図示せず)を介してモータケース21の底部21aに支持され、アマチュア軸24の先端側(図中左側)は、ギヤ部30を形成するギヤケース31内に延ばされている。アマチュア軸24の先端側には、第1ウォーム24aおよび第2ウォーム24bが軸方向に並んで一体に設けられ、各ウォーム24a,24bの成形方向(巻き方向)はそれぞれ逆向きとなっている。
アマチュア軸24の各ウォーム24a,24bとアマチュア23との間には、略円筒形状に形成されたコンミテータ25が固定して装着されている。コンミテータ25には、アマチュア23に巻装されたコイル(図示せず)の端部が電気的に接続され、コンミテータ25の外周部には、複数のブラシ73aが摺接するようになっている。これにより、各ブラシ73aを介してコンミテータ25およびコイルに駆動電流を供給すると、アマチュア23に電磁力(回転力)が発生してアマチュア軸24が所定の回転数/回転方向で回転するようになっている。
ギヤ部30はギヤケース31とギヤカバー40とを備えている。ギヤケース31は、アルミ材料等を鋳造成形することにより有底状に形成され、図1に示すように一対の締結ネジ11によりモータケース21の開口側(図中左側)に連結されている。ギヤケース31内には、回転中心に出力軸32aが一体に設けられたウォームホイール32が回転自在に収容され、ウォームホイール32と各ウォーム24a,24bとの間には、第1カウンタギヤ33および第2カウンタギヤ34が回転自在に設けられている。
ウォームホイール32の外周部には、各カウンタギヤ33,34にそれぞれ一体に設けられた小径ギヤ33a,34aが噛み合うギヤ歯32bが形成されている。また、各カウンタギヤ33,34は、各小径ギヤ33a,34aに加えて大径ギヤ33b,34bをそれぞれ有しており、各大径ギヤ33b,34bは各ウォーム24a,24bにそれぞれ噛み合わされている。各ウォーム24a,24bの巻き方向をそれぞれ逆向きとしているので、例えば、各ウォーム24a,24bを正方向に回転させると、これに伴い各カウンタギヤ33,34の双方が時計方向に回転し、さらにウォームホイール32が反時計方向に回転する。
ここで、第1ウォーム24a,第2ウォーム24b,第1カウンタギヤ33,第2カウンタギヤ34およびウォームホイール32は、アマチュア軸24の回転を減速して出力するものであり、いずれもギヤケース31内に回転自在に収容されている。第1ウォーム24a,第2ウォーム24b,第1カウンタギヤ33,第2カウンタギヤ34およびウォームホイール32は減速機構を構成し、モータ10は減速機構付モータとなっている。
ギヤケース31のモータケース21側には、ブラシホルダユニット70(図4参照)が装着されるホルダケース部35が一体に設けられている。ギヤケース31のホルダケース部35寄りには、ブラシホルダユニット70のリードホルダ72を収容するリードホルダ収容部36が一体に設けられている。リードホルダ収容部36は、リードホルダ72をギヤケース31内の所定箇所に位置決めするようになっている。
リードホルダ収容部36は、アマチュア軸24の軸方向に向けて延びる略直方体形状に形成されている。リードホルダ収容部36の先端側(図中左側)には、ホルダケース部35に向けて突出する支持突起36aが設けられ、支持突起36aの下方側には、リードホルダ72の突起部72a(図4参照)が入り込むようになっている。つまり、支持突起36aは、リードホルダ72のギヤケース31の深さ方向に対する位置決めを行うようになっている。
リードホルダ収容部36の基端側(図中右側)には、ホルダケース部35に向けて窪んだ凹溝36bが設けられている。凹溝36bは、ギヤケース31の深さ方向に延び、支持突起36aよりもギヤケース31の開口側に設けられている。つまり、支持突起36aはギヤケース31の底部側に設けられ、凹溝36bはギヤケース31の開口側に設けられている。
凹溝36bは、リードホルダ72の第1リードプレート76aの他端側に近接配置され、凹溝36bにはインシュレータ60の案内突起64(図3参照)が入り込むようになっている。凹溝36bは、ギヤケース31の深さ方向と直交する方向(図中上下方向)へのインシュレータ60の位置決めを行うようになっている。
リードホルダ収容部36の近傍には円筒部37が設けられ、円筒部37の中心には円筒部37の軸方向に貫通する連通路37aが設けられている。連通路37aはギヤケース31の内外を連通し、モータ10の回転駆動時におけるギヤケース31内の温度変化に応じて、ギヤケース31の内外で空気の行き来を許容するようになっている。なお、円筒部37には、雨水や埃等の進入を阻止するために空気の流通経路を屈曲させるブリザキャップ(図示せず)を装着することもできる。
ギヤカバー40は、図3に示すように、カバー部材50とインシュレータ60とを備えている。カバー部材50はプラスチック等の樹脂材料により有底状に形成され、底部51と周壁部52とを備えている。カバー部材50の外郭形状は、ギヤケース31の開口部と略同様の形状に形成され、これによりギヤケース31の開口部を閉塞可能となっている。
底部51および周壁部52には、インシュレータ60を固定するための複数の固定爪53が設けられている。また、底部51には、ウォームホイール32,第1カウンタギヤ33および第2カウンタギヤ34の回転中心を支持する3つのギヤ支持部54が設けられ、各ギヤ支持部54は、ウォームホイール32,第1カウンタギヤ33および第2カウンタギヤ34の軸方向へのがたつきを抑制するようになっている。底部51には、ウォームホイール32に摺接しない程度に離間して複数の補強リブ55が設けられ、各補強リブ55はウォームホイール32のがたつきを抑制するギヤ支持部54への負荷によるカバー部材50の底部51の変形を防止する。
周壁部52の底部51側とは反対側には、周壁部52の形状に沿うようシール溝56が設けられ、シール溝56にはゴム製のシール部材(図示せず)が装着される。シール部材は、ギヤケース31とカバー部材50との間に挟持され、これにより両者間を密封するようになっている。
周壁部52には、車両側に設けられる外部コネクタ(図示せず)を接続するためのコネクタ接続部57が一体に設けられている。コネクタ接続部57は中空状に形成され、コネクタ接続部57内にはインシュレータ60に装着された第1給電部材61a,第2給電部材61bおよび第3給電部材61cの他端側(図中左側)が配置されている。ここで、各給電部材61a〜61cは、導電性に優れた導電材料(銅材等)により形成されている。
インシュレータ60はプラスチック等の樹脂材料により板状に形成され、インシュレータ60は、各固定爪53によりカバー部材50に固定されている。インシュレータ60の一端側(図中右側)には、インシュレータ60の板厚方向に延び、かつ略箱形状に形成された立設部62が一体に設けられている。立設部62内には、各給電部材61a〜61cの一端側が配置され、立設部62の先端部(図中上側)には、第1差込口62a,第2差込口62bおよび第3差込口62cが形成されている。
各差込口62a〜62cには、リードホルダ72から突出した各リードプレート76a〜76c(図4参照)の他端側がそれぞれ対応して差し込まれる。つまり、第1リードプレート76aは第1差込口62aに差し込まれて第1給電部材61aに電気的に接続され、第2リードプレート76bは第2差込口62bに差し込まれて第2給電部材61bに電気的に接続され、第3リードプレート76cは第3差込口62cに差し込まれて第3給電部材61cに電気的に接続される。
立設部62には、立設部62の延出方向に延びる案内脚部63が一体に設けられている。案内脚部63は、ギヤカバー40をギヤケース31に装着する際に、ギヤケース31のリードホルダ収容部36(図2参照)内に入り込むようになっている。これにより、案内脚部63によりリードホルダ72が支持される。したがって、各リードプレート76a〜76cと各給電部材61a〜61cとが精度良く対向し、ひいては両者を確実に接続することができる。
立設部62には、さらにモータケース21側に向けて突出する案内突起64が一体に設けられている。案内突起64は立設部62の延出方向に沿うよう設けられ、案内突起64は、ギヤカバー40をギヤケース31に装着した状態のもとで、ギヤケース31の凹溝36b(図2参照)内に入り込むようになっている。これにより凹溝36bに案内突起64が支持され、各リードプレート76a〜76cと各給電部材61a〜61cとが精度良く対向し、ひいては両者を確実に接続することができる。
ギヤケース31とモータケース21との間にはブラシホルダユニット70が設けられ、ブラシホルダユニット70は、ギヤケース31のホルダケース部35に装着されている。ブラシホルダユニット70は、図4に示すように、有底状に形成されたブラシホルダ71と略直方体形状に形成されたリードホルダ72とを備えている。ブラシホルダ71およびリードホルダ72は、いずれもプラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成されている。
ブラシホルダ71は底壁部71aと側壁部71bとを備え、側壁部71bは、ホルダケース部35に嵌合するようになっている。ブラシホルダ71内には、プラスチック等の樹脂材料よりなる板状のブラシホルダベース73が設けられ、ブラシホルダベース73はブラシホルダ71を形成している。ブラシホルダベース73は、コンミテータ25の外周部に摺接する複数のブラシ73a(本実施の形態では3つ)を摺動自在に保持している。また、ブラシホルダベース73には、各ブラシ73aの他にチョークコイル(図示せず)やサーキットブレーカ74等の電子部品が装着されている。
ブラシホルダ71およびブラシホルダベース73には、図5に示すように、第1リードワイヤ75a,第2リードワイヤ75bおよび第3リードワイヤ75cが装着されている。各リードワイヤ75a〜75cは、導電性に優れた導電材料(銅材等)により針金状に形成され、各リードワイヤ75a〜75cの一端側は、チョークコイル等の電子部品を介して各ブラシ73aにそれぞれ接続されている。一方、各リードワイヤ75a〜75cの他端側は、それぞれブラシホルダ71の軸方向に突出してリードホルダ72内に配置されている。
底壁部71aおよびブラシホルダベース73には、アマチュア軸24に固定されたコンミテータ25が貫通する貫通孔71c,73bがそれぞれ設けられている。各貫通孔71c,73bの直径寸法は、コンミテータ25の直径寸法よりも大きな直径寸法に設定され、コンミテータ25は各貫通孔71c,73bの径方向内側で回転自在となっている。
底壁部71aには、チョークコイル(図示せず)を収容するチョークコイル収容部71dが一体に設けられている。また、貫通孔71cを挟むチョークコイル収容部71d側とは反対側には、サーキットブレーカ74を支持するブレーカ装着部71eが一体に設けられている。
リードホルダ72は第1リードプレート76a,第2リードプレート76bおよび第3リードプレート76cの一端側を保持し、リードホルダ72は、底壁部71aに一体に設けられた装着案内部71fに装着されている。リードホルダ72は、貫通孔71cからオフセットした位置に設けられ、ブラシホルダ71の軸方向に沿って突出している。リードホルダ72は、ギヤケース31のリードホルダ収容部36の内側形状と同様に略直方体形状に形成され、ホルダケース部35にブラシホルダユニット70を装着した際に、リードホルダ収容部36内に配置される(図2参照)。ここで、各リードプレート76a〜76cにおいても、導電性に優れた導電材料(銅材等)により形成されている。
リードホルダ72は、一対のホルダ分割体72bにより形成され、各ホルダ分割体72bは、いずれも互いに装着可能な同一形状に形成されている。各ホルダ分割体72bには、その長手方向に沿うようにして各リードワイヤ75a〜75cの他端側が挿通される第1ワイヤ挿通孔77a,第2ワイヤ挿通孔77bおよび第3ワイヤ挿通孔77cが形成されている。各ワイヤ挿通孔77a〜77cは、各ホルダ分割体72bを突き合わせて装着した際に、各リードワイヤ75a〜75cの他端側を保持するようになっている。
各ホルダ分割体72bには、その短手方向に沿うようにして各リードプレート76a〜76cの一端側を保持する第1プレート保持孔78a,第2プレート保持孔78bおよび第3プレート保持孔78cが形成されている。各ワイヤ挿通孔77a〜77cと各プレート保持孔78a〜78cとは、それぞれ交差する方向に延びており、各プレート保持孔78a〜78cは、交差方向一方側(図5中上側)に延びている。つまり、各プレート保持孔78a〜78cは、各ホルダ分割体72b(リードホルダ72)の短手方向一方側(図5中上側)に延びている。
また、各ホルダ分割体72bの短手方向に沿う各プレート保持孔78a〜78c側とは反対側には、第4プレート保持孔78d,第5プレート保持孔78eおよび第6プレート保持孔78fが形成されている。各ワイヤ挿通孔77a〜77cと各プレート保持孔78d〜78fとは、それぞれ交差する方向に延びており、各プレート保持孔78d〜78fは、交差方向他方側(図5中下側)に延びている。つまり、各プレート保持孔78d〜78fは、各ホルダ分割体72b(リードホルダ72)の短手方向他方側(図5中下側)に延びている。
第1プレート保持孔78a,第2プレート保持孔78bおよび第3プレート保持孔78cは、右ハンドル車用の各リードプレート76a〜76cの他端側を交差方向一方側に向けて保持する。また、第4プレート保持孔78d,第5プレート保持孔78eおよび第6プレート保持孔78fは、左ハンドル車用の各リードプレート90a〜90c(図9参照)の他端側を交差方向他方側に向けて保持する。
ここで、右ハンドル車用の各リードプレート76a〜76cは、いずれも各ホルダ分割体72b間に配置されて固定される(図7参照)。一方、左ハンドル車用の各リードプレート90a〜90cのうち、第6リードプレート90cは各ホルダ分割体72b間に配置され、他の第4リードプレート90aおよび第5リードプレート90bは、各ホルダ分割体72bの外側に一体に設けた係止爪79(図11参照)に固定される。
各ホルダ分割体72bには、それぞれ3つの装着爪80(図7参照)が設けられ、各装着爪80は、それぞれ相手側のホルダ分割体72bの各嵌合溝部82に係止される。これにより、各ホルダ分割体72bを互いに装着してロックすることができ、ひいては各ホルダ分割体72bが分離するのを防止している。
各ホルダ分割体72b(リードホルダ72)には、その厚み方向(図面手前方向から奥行方向)に貫通するようにして、第1開口部81a,第2開口部81bおよび第3開口部81cが形成されている。各開口部81a〜81cは、各リードプレート76a〜76cの一端側と各リードワイヤ75a〜75cの他端側との接続部を、リードホルダ72の外部に露出させている。これにより、各リードプレート76a〜76cと各リードワイヤ75a〜75cとの接続部に対して、両者を接続するための治具(図示せず)を臨ませることができる。つまり、各開口部81a〜81cを介して、各リードプレート76a〜76cと各リードワイヤ75a〜75cとを接続可能としている。
ここで、各リードプレート76a〜76cと各リードワイヤ75a〜75cとを接続するには、スポット溶接等の接続手段により行われる。なお、各リードプレート76a〜76cと各リードワイヤ75a〜75cとの接続には、スポット溶接等に限らず、カシメ固定等の接続手段を用いることもできる。
各リードワイヤ75a〜75cの他端側は、ブラシホルダ71の底壁部71aに形成した装着案内部71fからそれぞれ突出されている。各リードワイヤ75a〜75cの突出量は、図6に示すように第1リードワイヤ75aから第3リードワイヤ75cの順に徐々に大きくなるよう設定されている。各リードワイヤ75a〜75cの他端側と各リードプレート76a〜76cの一端側とを対応させて接続した状態(図6の状態)においては、それぞれ略L字形状となって互いに離間し、リードホルダ72内で干渉(短絡)することは無い。
次に、以上のように形成したモータ10を構成するブラシホルダユニット70(右ハンドル車用)の組み立て手順について、図面を用いて詳細に説明する。
図7はリードホルダの組み立て手順(右ハンドル車用)を説明する説明図を、図8はブラシホルダへのリードホルダの組み付け手順(右ハンドル車用)を説明する説明図をそれぞれ表している。
[リードホルダ72の組み立て]
図7に示すように、まず、同一形状に形成された2つのホルダ分割体72bを準備する。次いで、図中破線矢印(1)に示すように、第1リードプレート76aを第1プレート保持孔78aに装着する。このとき、第1リードプレート76aの他端側をホルダ分割体72b外に突出するようにし、第1リードプレート76aの一端側を第1開口部81aに位置するようにする。また、図中破線矢印(2)に示すように、第2リードプレート76bを第2プレート保持孔78bに装着する。このとき、第2リードプレート76bの他端側をホルダ分割体72b外に突出するようにし、第2リードプレート76bの一端側を第2開口部81bに位置するようにする。さらに、図中破線矢印(3)に示すように、第3リードプレート76cを第3プレート保持孔78cに装着する。このとき、第3リードプレート76cの他端側をホルダ分割体72b外に突出するようにし、第3リードプレート76cの一端側を第3開口部81cに位置するようにする。
そして、各リードプレート76a〜76cを一方のホルダ分割体72bの各プレート保持孔78a〜78cに装着した状態のもとで、図中破線矢印(4)に示すように他方のホルダ分割体72bを臨ませる。このとき、各ホルダ分割体72bの各装着爪80を図中上下方向で互い違いとなるよう向き合わせ、その状態で他方のホルダ分割体72bを一方のホルダ分割体72bに近接させる。すると、各ホルダ分割体72bの各装着爪80が、それぞれ相手側のホルダ分割体72bの各嵌合溝部82に係止され、これにより各リードプレート76a〜76cを備えたリードホルダ72が完成する。
[ブラシホルダ71へのリードホルダ72の組み付け]
次に、図8に示すように、ブラシホルダベース73や各リードワイヤ75a〜75c等を装着したブラシホルダ71を準備するとともに、各リードプレート76a〜76cを備えたリードホルダ72を準備する。
次いで、チョークコイル収容部71dが図中下方側となり、ブレーカ装着部71eが図中上方側となるようブラシホルダ71を台座等(図示せず)に載置する。これにより、図中上方側から第1リードワイヤ75a,第2リードワイヤ75bおよび第3リードワイヤ75cの順に並んだ状態となる。その後、図中破線矢印(5)に示すように、各リードプレート76a〜76cの他端側を図中上方側に向けた状態で、リードホルダ72の各ワイヤ挿通孔77a〜77c(図7参照)を各リードワイヤ75a〜75cの他端側に臨ませる。そして、リードホルダ72をブラシホルダ71の装着案内部71fに装着する。
これにより、各ワイヤ挿通孔77a〜77cに各リードワイヤ75a〜75cの他端側が挿通されて、さらに各リードワイヤ75a〜75cの他端側が各開口部81a〜81cにそれぞれ位置される(図5参照)。その後、スポット溶接機等の溶接治具(図示せず)を各開口部81a〜81cに臨ませて、各リードプレート76a〜76cの一端側と各リードワイヤ75a〜75cの他端側とを電気的に接続する。これにより、右ハンドル車用のブラシホルダユニット70が完成する。
次に、左ハンドル車用のブラシホルダユニットについて、図面を用いて詳細に説明する。図9は図5に対応する左ハンドル車用のブラシホルダユニットを説明する説明図を、図10は図9の各リードプレートと各リードワイヤとの接続関係を説明する説明図をそれぞれ表している。
左ハンドル車用のモータ(詳細図示せず)は、上述した右ハンドル車用のモータ10に比して、モータ部20およびブラシホルダユニット70を形成する構成部品の殆どを共通化し、ギヤ部30およびギヤカバー40を鏡像関係の形状としている。また、各リードワイヤ75a〜75cと各リードプレートとの電気的な接続関係を左右側で同一とするために、各リードプレート76a〜76cに換えて、各リードプレート90a〜90cをリードホルダ72に組み付けている。
図9に示すように、第4プレート保持孔78d,第5プレート保持孔78eおよび第6プレート保持孔78fには、左ハンドル車用の第4リードプレート90a,第5リードプレート90bおよび第6リードプレート90cの他端側がそれぞれ保持されている。
第4リードプレート90aの一端側と第1リードワイヤ75aの他端側との接続部は、第1開口部81aを介してリードホルダ72の外部に露出され、第5リードプレート90bの一端側と第2リードワイヤ75bの他端側との接続部は、第2開口部81bを介してリードホルダ72の外部に露出され、第6リードプレート90cの一端側と第3リードワイヤ75cの他端側との接続部は、第3開口部81cを介してリードホルダ72の外部に露出されている。
各リードワイヤ75a〜75cと各リードプレート90a〜90cとの電気的な接続関係を左右側で同一とするために、図10に示すように、第4リードプレート90aは第2リードワイヤ75bと第3リードワイヤ75cとを非接触の状態で跨いでいる。また、第5リードプレート90bは第3リードワイヤ75cを非接触の状態で跨いでいる。なお、第6リードプレート90cは、右ハンドル車用の第1リードプレート76aと同じ形状のものを使用している。
第4リードプレート90aは、第2リードワイヤ75bとの干渉を避ける第1逃げ部91と、第3リードワイヤ75cとの干渉を避ける第2逃げ部92とを備えている。第4リードプレート90aの一端側と他端側とは、それぞれ図中上下方向に向けて同軸上に配置され、第1逃げ部91および第2逃げ部92は段差状に形成されている。第4リードプレート90aの第2逃げ部92に対応する箇所は、ホルダ分割体72bの外側に一体に設けた係止爪79(図11参照)に固定されるようになっている。
第5リードプレート90bは、第3リードワイヤ75cとの干渉を避ける第3逃げ部93を備えている。第5リードプレート90bの一端側と他端側とは、それぞれ図中上下方向に向けて同軸上に配置され、第3逃げ部93は段差状に形成されている。第5リードプレート90bの第3逃げ部93に対応する箇所においても、ホルダ分割体72bの外側に一体に設けた他の係止爪79(図11参照)に固定されるようになっている。
次に、左ハンドル車用のブラシホルダユニット70の組み立て手順について、図面を用いて詳細に説明する。
図11はリードホルダの組み立て手順(左ハンドル車用)を説明する説明図を、図12はブラシホルダへのリードホルダの組み付け手順(左ハンドル車用)を説明する説明図をそれぞれ表している。
[リードホルダ72の組み立て]
図11に示すように、まず、同一形状に形成された2つのホルダ分割体72bを準備する。次いで、図中破線矢印(6)に示すように、第6リードプレート90cを第6プレート保持孔78fに装着する。このとき、第6リードプレート90cの他端側をホルダ分割体72b外に突出するようにし、第6リードプレート90cの一端側を第3開口部81cに位置するようにする。
次いで、第6リードプレート90cを一方のホルダ分割体72bの第6プレート保持孔78fに装着した状態のもとで、図中破線矢印(7)に示すように他方のホルダ分割体72bを臨ませる。このとき、各ホルダ分割体72bの各装着爪80を図中上下方向で互い違いとなるよう向き合わせ、その状態で他方のホルダ分割体72bを一方のホルダ分割体72bに近接させる。すると、各ホルダ分割体72bの各装着爪80が、それぞれ相手側のホルダ分割体72bの各嵌合溝部82に係止され、これにより第6リードプレート90cが各ホルダ分割体72bに挟持される。
次に、図中破線矢印(8)に示すように、第5リードプレート90bの他端側が第5プレート保持孔78eに保持されるよう他方のホルダ分割体72bの側面に臨ませて、第5リードプレート90bを係止爪79に固定する。このとき、第5リードプレート90bの他端側はホルダ分割体72b外に突出し、第5リードプレート90bの一端側は第2開口部81bに位置される。
次いで、図中破線矢印(9)に示すように、第4リードプレート90aの他端側が第4プレート保持孔78dに保持されるよう他方のホルダ分割体72bの側面に臨ませて、第4リードプレート90aを係止爪79に固定する。このとき、第4リードプレート90aの他端側はホルダ分割体72b外に突出し、第4リードプレート90aの一端側は第1開口部81aに位置される。これにより、各リードプレート90a〜90cを備えたリードホルダ72が完成する。
[ブラシホルダ71へのリードホルダ72の組み付け]
次に、図12に示すように、ブラシホルダベース73や各リードワイヤ75a〜75c等を装着したブラシホルダ71を準備するとともに、各リードプレート90a〜90cを備えたリードホルダ72を準備する。
次いで、チョークコイル収容部71dが図中下方側となり、ブレーカ装着部71eが図中上方側となるようブラシホルダ71を台座等(図示せず)に載置する。これにより、図中上方側から第1リードワイヤ75a,第2リードワイヤ75bおよび第3リードワイヤ75cの順に並んだ状態となる。その後、図中破線矢印(10)に示すように、各リードプレート90a〜90cの他端側を図中下方側に向けた状態で、リードホルダ72の各ワイヤ挿通孔77a〜77c(図11参照)を各リードワイヤ75a〜75cの他端側に臨ませる。そして、リードホルダ72をブラシホルダ71の装着案内部71fに装着する。
これにより、各ワイヤ挿通孔77a〜77cに各リードワイヤ75a〜75cの他端側が挿通されて、さらに各リードワイヤ75a〜75cの他端側が各開口部81a〜81cにそれぞれ位置される(図9参照)。その後、スポット溶接機等の溶接治具(図示せず)を各開口部81a〜81cに臨ませて、各リードプレート90a〜90cの一端側と各リードワイヤ75a〜75cの他端側とを電気的に接続する。これにより、左ハンドル車用のブラシホルダユニット70が完成する。
以上詳述したように、本実施の形態に係るモータ10によれば、ブラシホルダ71に、各リードワイヤ75a〜75cの他端側および各リードプレート76a〜76c(90a〜90c)の一端側を保持するリードホルダ72を装着し、リードホルダ72に、各リードワイヤ75a〜75cの他端側が挿通される各ワイヤ挿通孔77a〜77cと、各ワイヤ挿通孔77a〜77cと交差する交差方向一方側(他方側)にそれぞれ延び、各リードプレート76a〜76c(90a〜90c)の他端側が交差方向一方側(他方側)に向くよう各リードプレート76a〜76c(90a〜90c)を保持する各プレート保持孔78a〜78c(78d〜78f)とを設けた。
したがって、各リードワイヤ75a〜75cと各リードプレート76a〜76c(90a〜90c)とをそれぞれ対応させて接続した状態のもとで、各リードプレート76a〜76c(90a〜90c)の他端側が交差方向一方側(他方側)に向くよう各リードプレート76a〜76c(90a〜90c)をリードホルダ72に保持させることができる。よって、モータ10を構成するブラシホルダ71等の構成部品を共通化しつつ、各リードプレート76a〜76cの他端側が交差方向一方側を向く右ハンドル車用のモータと、各リードプレート90a〜90cの他端側が交差方向他方側を向く左ハンドル車用のモータ(鏡像関係の形状のモータ)とに対応することができる。
また、各リードワイヤ75a〜75cと各リードプレート76a〜76c(90a〜90c)とはそれぞれ対応して接続されるので、電気的な接続関係が右ハンドル車用および左ハンドル車用で反転することは無く、モータ10の搭載性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態に係るモータ10によれば、リードホルダ72における各リードワイヤ75a〜75cおよび各リードプレート76a〜76c(90a〜90c)の接続部と対応する箇所に、接続部を外部に露出させる各開口部81a〜81cを設けたので、各リードワイヤ75a〜75cの他端側および各リードプレート76a〜76c(90a〜90c)の一端側をそれぞれリードホルダ72に位置決めし、その後、各開口部81a〜81cから溶接治具等を挿入して各リードワイヤ75a〜75cの他端側と各リードプレート76a〜76c(90a〜90c)の一端側とを電気的に接続できる。
また、本実施の形態に係るモータ10によれば、リードホルダ72を一対のホルダ分割体72bにより構成し、各ホルダ分割体72bを、互いに装着可能な同一形状に形成したので、形状の異なる部品点数が増加するのを抑制して、製造コストをより低減することができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した一実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図13は他の実施の形態に係るリードホルダの組み立て手順(右ハンドル車用)を説明する説明図を表している。
図13に示すように、他の実施の形態に係るリードホルダ72には、各ホルダ分割体72bの外側の各リードプレート(計3つ)に対応する箇所の全てに、それぞれ係止爪79を設けており、この点が上述した一実施の形態に比して異なっている。これにより、各ホルダ分割体72bの第1開口部81a側から第3開口部81c側に向けて、第1リードプレート76aはそのままで、第5リードプレート90b,第4リードプレート90aを他方のホルダ分割体72bの係止爪79に固定することができる。
他の実施の形態に係るリードホルダ72の組み立て手順については、まず、3箇所に係止爪79を備えた同一形状のホルダ分割体72bを2つ準備する。次いで、図中破線矢印(11)に示すように、第1リードプレート76aを第1プレート保持孔78aに装着する。このとき、第1リードプレート76aの他端側をホルダ分割体72b外に突出するようにし、第1リードプレート76aの一端側を第1開口部81aに位置するようにする。
次いで、第1リードプレート76aを一方のホルダ分割体72bの第1プレート保持孔78aに装着した状態のもとで、図中破線矢印(12)に示すように他方のホルダ分割体72bを臨ませる。このとき、各ホルダ分割体72bの各装着爪80を図中上下方向で互い違いとなるよう向き合わせ、その状態で他方のホルダ分割体72bを一方のホルダ分割体72bに近接させる。すると、各ホルダ分割体72bの各装着爪80が、それぞれ相手側のホルダ分割体72bの各嵌合溝部82に係止され、これにより第1リードプレート76aが各ホルダ分割体72bに挟持される。
次に、図中破線矢印(13)に示すように、第5リードプレート90bの他端側が第2プレート保持孔78bに保持されるよう他方のホルダ分割体72bの側面に臨ませて、第5リードプレート90bを係止爪79に固定する。このとき、第5リードプレート90bの他端側はホルダ分割体72b外に突出し、第5リードプレート90bの一端側は第2開口部81bに位置される。
次いで、図中破線矢印(14)に示すように、第4リードプレート90aの他端側が第3プレート保持孔78cに保持されるよう他方のホルダ分割体72bの側面に臨ませて、第4リードプレート90aを係止爪79に固定する。このとき、第4リードプレート90aの他端側はホルダ分割体72b外に突出し、第4リードプレート90aの一端側は第3開口部81cに位置される。これにより、各リードプレート76a,90a,90bを備えたリードホルダ72が完成する。
以上のように形成した他の実施の形態においても、上述した一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、他の実施の形態においては、図11に示すように第1リードプレート76aと第6リードプレート90cとは共通部品であり、さらに、左ハンドル用としての第4リードプレート90aと第5リードプレート90bとを右ハンドル用として用いることができる。したがって、全てのリードプレート76a,90a,90bを左右側で共通化することが可能となり、さらに部品点数を削減することができる。なお、他の実施の形態に係る左ハンドル車用のリードホルダ72については、図13に示すホルダ分割体72bに、図11に示す手順で各リードプレート90c(76a),90a,90bを固定することで組み立てられる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、モータ10を鏡像関係の形状とする右ハンドル車用のワイパ装置および左ハンドル車用のワイパ装置の駆動源に適用したものを示したが、本発明はこれに限らない。モータ10を、鏡像関係の形状とする鉄道車両や航空機等の左右側にそれぞれ設けられるワイパ装置の駆動源や、自動車等の車両の左右側のドア内にそれぞれ搭載され、鏡像関係の形状とするパワーウィンド装置やパワースライドドア装置等の駆動源にも適用することができる。