JP5348639B2 - 炊飯方法及び炊飯器のプログラム - Google Patents
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詳しくは「初めチョロチョロ」とは吸水工程が該当し、被炊飯物(例えば20℃の水に浸された米)の温度を60℃程度に上昇させ、釜に収容された米に水を十分に吸収させる。そのため、吸水工程の火力は弱火に設定される。
具体的には、まず、炊き上げ工程の火力は強火に設定されており、被炊飯物の温度を100℃に上昇させ、米のでん粉のアルファー化(糊化)の開始や、そのアルファー化の進行を図る。
具体的には、上述した沸騰維持工程の火力は、「沸騰維持」の名称からも明白の如く、釜内部で生じた蒸気が外部に向けて勢いよく噴き出し続けている強い火力である。
また、釜内部の沸騰状態を長時間に亘って維持すると、米の変質を招くという懸念もある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、炊飯に利用されるエネルギー資源を節約しつつ、遜色ないご飯を炊ける炊飯方法及び炊飯器のプログラムを提供することである。
本発明は、沸騰維持のために費やすエネルギー資源を積極的に省くことに着目したものである。
より詳しくは、被炊飯物は、吸水工程から追い炊き工程に至るまで加熱されており、まず、吸水工程では、被炊飯物の昇温加熱を開始する。次に、炊き上げ工程では、既に昇温加熱の始まっている被炊飯物が沸騰するまで、さらに昇温加熱される。
続いて、沸騰確認工程にて被炊飯物の沸騰状態の到達を短時間で確認したら、沸騰手前温度の維持工程に移行する。
そして、追い炊き工程では、沸騰手前温度で維持した被炊飯物が沸騰するまで、再び昇温加熱される。詳しくは、被炊飯物は、この昇温加熱が1分20秒間の短時間で実行されており、沸騰状態を維持でき、でん粉のさらなるアルファー化を図る。
このように、本発明の省エネ炊きによれば、沸騰維持が1分20秒で足りる。換言すれば、沸騰確認工程から追い炊き工程までの時間は、この沸騰確認工程の10秒や沸騰手前温度の維持工程の8分を加えても計9分30秒で済む。
しかも、仮に、吸水工程及び炊き上げ工程に最長で計20分費やしたとしても、計29分30秒で蒸らし工程に移行することができるので、炊飯作業の手間も省くことができる。
図1には、本実施例の炊飯方法やプログラムが適用される電気炊飯器1が示されている。この電気炊飯器1は、金属製の釜60を収納する炊飯器本体2と、これら炊飯器本体2や釜60を上方から覆う蓋体40とから構成され、商用電力で駆動して米及び水を含む被炊飯物の炊飯や保温を行う。
これら図1や図2を用いて電気炊飯器1の構造を説明すると、まず、炊飯器本体2は、図2に示されるように、外ケース4と内ケース16とから構成されている。
また、ハウジング6は操作パネル10を備えている。この操作パネル10は、図1で述べた炊飯器本体2の前面に設置され、表示画面や利用者の操作に供される各種のキースイッチを有する。
これら炊飯器本体2の前面と背面とは、図1で述べた炊飯器本体2の右側面とその反対側の左側面とでそれぞれ連なっており、ハンドル14は、その両端がこれら炊飯器本体2の右側面及び左側面に回転自在に支持される。
底面18は、釜60の円形底面の外側(図2の下側)にて円形状に形成されており、炊飯用ヒーター22を有している。炊飯用ヒーター22は中空円板状に形成され、釜60の円形底面に図2で見て下側から接触する。
一方、側面20は、釜60の筒状側面の外側(図2の右側や左側)にて筒状に形成され、釜60の筒状側面に図2の断面図で見た右側や左側から接触する円筒状の保温用ヒーター26を有する。
これに対し、蓋体40はその外観が直方体状に形成され、外部に露出する樹脂製の外カバー42や、図1で述べた蓋体40の裏側、つまり、当該蓋体40を閉じた際に肩部8に対峙する内カバー44を有する。
さらに、蓋体40の中央部分には、蒸気孔52が外カバー42と内カバー44とを貫通して穿設される。蒸気孔52は、放熱板46や保温用ヒーター50の中空部分を連なっており、閉じた姿勢の蓋体40の外部と釜60の内部とを連通可能に構成される。そして、この蒸気孔52の適宜位置には、蒸気孔52を開閉可能な開閉弁54が設置される。
一方、閉じた姿勢の蓋体40はロック機構58で維持される。このロック機構58は、図1で述べた炊飯器本体2の前面側に設けられる。
なお、本実施例の蓋体40もまた、外カバー42と内カバー44とが一体の中実状で構成されているが(図2)、これら外カバー42と内カバー44との間に空洞を有した中空状で構成されていても良い。
本実施例の制御基板30は、操作パネル10の近傍にて外ケース4と内ケース16との間に埋設される。
上記「炊飯」キースイッチの押し下げに伴い、図4のステップS401では、加熱制御部32が炊飯用ヒーター22の火力を弱火に設定し(吸水工程)、その駆動信号を炊飯用ヒーター22に出力する。
次いで、図4のステップS402に進み、加熱制御部32は炊飯用ヒーター22の火力を強火に設定し(炊き上げ工程)、その駆動信号を炊飯用ヒーター22に出力する。
ここで、米のでん粉のアルファー化(糊化)は、約65℃(1気圧下)で開始され、約90℃〜約95℃(1気圧下)で完全にアルファー化すると云われている。
当該20分間を導出した理由は、この20分を超えると、後述の蒸らし工程に入るまでの大幅な時間の短縮化を図れないためである。
当該10秒間を導出した理由は、沸騰状態の確認には10秒あれば十分であるし、また、この10秒よりも長くすると、強火に用いるエネルギー資源が多量に必要になるからである。
すなわち、図5のタイミングチャートに示されるように、沸騰確認工程で第1回目の100℃(1気圧下)の到達が確認された被炊飯物は、弱火で加熱されつつも沸騰点よりも低い沸騰手前温度、具体的には90〜95℃(1気圧下)に下がる。
より詳しくは、沸騰手前温度は沸騰に至らない温度であるが、でん粉を完全にアルファー化できる温度である。この沸騰手前温度を維持した状態について釜60で観察すると、仮に開閉弁54が蒸気孔52を開いていた場合には、釜60の内部で生じた蒸気が外部に出現するものの、従来の沸騰維持工程のようには勢いよく噴出しない状態であることからも分かる。
当該8分間を導出した理由は、この8分に満たないと、でん粉のアルファー化の促進を図れず、少ないエネルギー資源でご飯を美味しく炊くことが困難になるからである。
このため、図5のタイミングチャートに示される如く、被炊飯物の温度は、沸騰手前温度から第2回目の100℃(1気圧)に速やかに上昇し、釜60の余分な水分が除去される。
当該1分20秒間を導出した理由は、この1分20秒に満たないと、沸騰状態を確保できないからである。一方、この1分20秒よりも長くなると、次の蒸らし工程に入るまでの大幅な時間の短縮化を図れないためである。
その後、図4のステップS406では、加熱制御部32が炊飯用ヒーター22の火力を消火に設定し(蒸らし工程)、その駆動信号を炊飯用ヒーター22に出力する。でん粉のアルファー化は、この蒸らし工程で完了し、米の芯まで進む。
この保温工程では、加熱制御部32は、炊飯用ヒーター22を消火させる一方、オン作動させる信号を保温用ヒーター26,50にそれぞれ出力し、釜60や蓋体40を加熱する。
なお、本実施例では、被炊飯物を炊くにあたり、釜60に入れる水の量を従前の8割程度に減らしている。
より詳しくは、被炊飯物は、吸水工程から追い炊き工程に至るまで加熱されており、まず、吸水工程では、被炊飯物が炊飯用ヒーター22の弱火で60℃に昇温加熱される。
これら吸水工程及び炊き上げ工程には計20分間実行されており、米への速やか、かつ、十分な吸水を図るとともに、でん粉のアルファー化の開始・進行を達成できる。
この沸騰手前温度の維持工程では、沸騰状態に到達した被炊飯物が、炊飯用ヒーター22の弱火(或いは、保温用ヒーター26,50のみのオン作動)で90〜95℃(1気圧下)に降温加熱される。具体的には、被炊飯物は、この沸騰状態よりも低い温度で8分間維持される。これにより、でん粉のアルファー化の促進を達成しつつ、省エネルギー化を図る。
このように、本実施例の省エネ炊きによれば、沸騰維持のために設定される炊飯用ヒーター22の強火が非常に短時間で足りるため、炊飯に利用される例えば石油などのエネルギー資源を節約可能になる。
これらのように、比較例1,2では、長時間の吸水・炊き上げ後に、当該長時間に比してやや短時間の沸騰状態が維持されていた。
具体的には、まず、本実施例では、吸水工程及び炊き上げ工程が約20分であった。そして、上記の沸騰維持及び追い炊き工程に相当する強火の火力、つまり、第1回目の沸騰があった後における炊飯用ヒーター22の強火は、第2回目の沸騰に関する約1分20秒間の炊飯用ヒーター22の強火だけであり、比較例1よりも約17分40秒、比較例2よりも約18分40秒も短い。
よって、比較例1,2のような約20分余りも強火の継続によって沸騰させていた場合に比して、炊飯に利用される例えば石油などのエネルギー資源を節約できることが分かる。
さらに、本実施例の被加熱物を食してみたところ、比較例1,2と遜色ないご飯であり、また、変質し得るとの懸念もなく安心して食べることができた。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
但し、この15分に満たない場合には、米への吸水が不十分になり、その解消には、長時間の沸騰維持工程などが必要になってしまう。したがって、当該15分にもまた、上述の如く各工程について特定した種々の時間と同様に、臨界的意義が存在する。
つまり、この場合には、蒸らし工程に入るまでの大幅な時間の短縮化を達成できないが、第2回目の沸騰に必要な炊飯用ヒーター22の強火は約1分20秒間で足りる点は同じであり、炊飯に利用されるエネルギー資源の節約を達成できる。
そして、これらいずれも場合にも上記と同様に、炊飯に利用されるエネルギー資源を節約しつつ、遜色ないご飯を炊けるという効果を奏する。
2 炊飯器本体
22 炊飯用ヒーター
24 温度センサー
30 制御基板(コンピュータ)
32 加熱制御部
34 記憶部
36 タイマー
40 蓋体
60 釜
Claims (2)
- 米及び水を含む被炊飯物を炊く炊飯方法であって、
前記被炊飯物を昇温加熱し、米に水を吸水する吸水工程と、
前記昇温加熱した被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する炊き上げ工程と、
前記沸騰状態の到達を確認する沸騰確認工程と、
前記沸騰状態の到達を確認した被炊飯物を降温加熱し、前記沸騰状態よりも低い温度で維持する沸騰手前温度の維持工程と、
前記低い温度で維持した被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱するとともに、この沸騰状態で維持する追い炊き工程と、
前記沸騰状態で維持した被炊飯物の蒸らし工程とから構成されており、
前記吸水工程及び前記炊き上げ工程を計15分から計20分までの範囲で実行し、次いで、前記沸騰確認工程を10秒以内で実行した後、前記沸騰手前温度の維持工程を8分間実行し、続いて、前記追い炊き工程を1分20秒間実行することを特徴とする炊飯方法。 - 米及び水を含む被炊飯物を炊く炊飯器のプログラムであって、
前記プログラムは、前記炊飯器のコンピュータに備えられており、
前記被炊飯物を昇温加熱し、米に水を吸水する吸水工程、及び、前記昇温加熱した被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱する炊き上げ工程を、計15分から計20分までの範囲で実行する手順と、
前記沸騰状態の到達を確認する沸騰確認工程を、10秒以内で実行する手順と、
前記沸騰状態の到達を確認した被炊飯物を降温加熱し、前記沸騰状態よりも低い温度で維持する沸騰手前温度の維持工程を、8分間実行する手順と、
前記低い温度で維持した被炊飯物を沸騰するまで昇温加熱するとともに、この沸騰状態で維持する追い炊き工程を、1分20秒間実行する手順と、
前記沸騰状態で維持した被炊飯物の蒸らし工程を実行する手順と
を実行させることを特徴とする炊飯器のプログラム。
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