以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1〜図6に示された第1の実施形態は、コネクタ後端側(図2の右端側)に立設された媒体固定手段(アクチュエータ15)が、さらに後方側(図2の右方側)に向かって押し倒されるようにして回動されるように構成された電気コネクタ10に対して本発明を適用したものである。その電気コネクタ10は、細長状に延在する絶縁性の中空枠体状部材からなる本体ハウジング11を備えており、当該本体ハウジング11の内部には、適宜の形状をなす金属製部材により形成された導電コンタクト12が、前記本体ハウジング11の横幅方向(長手方向)に沿って適宜の間隔をなして多極状に配置されている。これらの導電コンタクト12は、信号伝送用又はグランド用のいずれかとして用いられており、それらの各導電コンタクト12の後端部分(図2の右端部分)に基板接続部として設けられた基板接続端子部12b2が、特に図4に示されているように印刷配線基板13上に圧接された状態で使用されるようになっている。この点については本発明の要部となる構成であるので、後段において詳細に説明することとする。
上述した本体ハウジング11のコネクタ前端側(図2の左端側)には、フレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)やフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)等からなる信号伝送媒体(接続対象物)14が挿入される対象物挿入口11aが、横細長の開口形状を有するようにして設けられているとともに、その反対側のコネクタ後端側(図2の右端側)には、上記導電コンタクト12及び後述する媒体固定手段としてのアクチュエータ15等を装着するための部品取付口11bが設けられている。
前記導電コンタクト12の各々は、上述したようにコネクタ後端側に設けられた部品取付口11bから前方側(図2の左方側)に向かって押し込むようにして装着されており、上述した信号伝送媒体(FPC又はFFC)14の表面又は裏面に形成された信号伝送用導電路(信号線)又はグランド用導電路(グランド線)のいずれかに対応した位置に当該導電コンタクト12のそれぞれが配置されている。これらの各導電コンタクト12は、前記信号伝送媒体14の挿入方向(図2の右方向)に沿って延在する一対の細長状ビーム部材からなる可動ビーム12a及び固定ビーム12bをそれぞれ有している。
それら可動ビーム12a及び固定ビーム12bは、前記本体ハウジング11の内部空間において図示上下方向に適宜の間隔をなして互いに対向した状態に配置されており、コネクタ前後方向(図2の左右方向)に延在している。そのうちの固定ビーム12bは、前記本体ハウジング11の内部で略不動状態となるように固定されており、その固定ビーム12bと前記可動ビーム12aとは、延在方向(図2の左右方向)の略中央部分において、図2の略鉛直方向に延在する細幅板状の連結支柱部12cを介して一体的に連結されている。そして、その連結支柱部12cを介して前記可動ビーム12aが、前記固定ビーム12bに対して弾性的な可撓性を有する構成になされている。
すなわち、前記各可動ビーム12aは、図2の紙面平面内において回動可能となるように配置されており、当該可動ビーム12aの延在方向における両端部分が図示上下方向に変位される構成になされている。また、その可動ビーム12aのコネクタ前端側部分(図5の左端側部分)には、上述した信号伝送媒体(FPC又はFFC)14の図示上面側に形成された信号伝送用又はグランド用の導電路(図示省略)のいずれかに接続される端子接触凸部12a1が図示下向きの突形状をなすように設けられている。
一方、上述した固定ビーム12bは、前記本体ハウジング11の底部内壁面に沿って延在するように配置されているが、それらの各固定ビーム12bのコネクタ前方側(図5の左方側)の先端部分には、前記信号伝送媒体(FPC又はFFC)14の図示下面側に形成された信号伝送用又はグランド用の導電路(図示省略)のいずれかに接続される端子接触凸部12b1が図示上向きの突形状をなすように設けられている。その端子接触凸部12b1は、上述した可動ビーム12a側の端子接触凸部12a1の直下位置に対面するように配置されており、それらの端子接触凸部12a1,12b1どうしの間に、前記信号伝送媒体(FPC又はFFC)14が挟持されるようになっている。
なお、上述した可動ビーム12aの端子接触凸部12a1及び固定ビーム12bの端子接触凸部12b1は、互いの位置をコネクタ前方側(図示左方側)或いはコネクタ後方側(図示右方側)にずらして配置することも可能である。また、固定ビーム12bは、基本的に不動状態となるように固定されているが、本実施形態においては、信号伝送媒体(FPC又はFFC)14の挿入を容易化する等の目的で、当該固定ビーム12bの前端部分が本体ハウジング11の底壁面から僅かに浮き上がるように形成されており、それによって弾性変位が可能となるように形成されている。
一方、前記固定ビーム12bのコネクタ後端側部分(図2の右端側部分)には、上述した印刷配線基板13上に形成された導電路(図示省略)に接続される基板接続端子部12b2が形成されている。この基板接続端子部12b2は、本発明の要部としての基板接続部を構成するものであることから、詳細な構造については後段において説明することとする。
また、上述した可動ビーム12aのコネクタ後端側部分(図2の右端側部分)には、凹形状をなす被作動部12a2が設けられている。その被作動部12a2の凹形状には、前記本体ハウジング11の後端部分に装着された媒体固定手段としてのアクチュエータ15に設けられた押圧カム部15aが、図示下方側から入り込むようにして接触配置される。
上述した媒体固定手段としてのアクチュエータ15は、前記本体ハウジング11の後端部分(図2の右端側部分)において、当該本体ハウジング11の横幅方向(長手方向)に細長状に延在する略板状の部材から構成されている。このアクチュエータ15の横幅方向(長手方向)における両端部には、外方に向かって突出する軸部(図示省略)が設けられており、それらの両軸部が、前記本体ハウジング11の横幅方向(長手方向)両端部分にそれぞれ設けられた軸受支持部11c,11cに回転および上下動自在に係合されていることにより、当該アクチュエータ15の全体が回動可能になされている。
そして、そのアクチュエータ(媒体固定手段)15の回動側自由端部分(図2の上端側部分)には開閉操作部15bが設けられており、図1〜図4のようにほぼ直立した状態の「接続解除位置」にあるアクチュエータ15の開閉操作部15bに対して、組立作業者による適宜の回動操作力が付与されると、当該アクチュエータ15の全体が後方側に向かって押し倒されていき、図5及び図6のように略水平に倒された状態の「接続作用位置」まで回動操作される構成になされている。
このようにアクチュエータ(媒体固定手段)15の開閉操作部15bを組立作業者が手で把持しながら「接続解除位置」(図2及び図3参照)から「接続作用位置」(図5及び図6参照)に向かって押し倒す回動操作が行われる際に、当該アクチュエータ15の回動中心部分に配置された押圧カム部15aの回転半径が、前述した固定ビーム12bと可動ビーム12aとの間において増大する方向に変化する構成になされている。そして、その押圧カム部15aの径変化に従って、前記可動ビーム12aの後端側に設けられた被作動部12a2が図示上方側に持ち上げられるように変位し、それに伴って上記被作動部12a2の反対側(コネクタ前端側)に設けられた端子接触凸部12a1が下方に押し下げられていくようになっている。
そして、上記アクチュエータ(媒体固定手段)15が最終の回動位置である「接続作用位置」の直前で前記押圧カム部15aの回転半径は最大となり、その最大半径位置からさらに微小角度だけ回動した位置である上記「接続作用位置」において(図5及び図6参照)、前記信号伝送媒体14に形成された信号伝送用及びグランド用の導電路(図示省略)に対して、上記端子接触凸部12a1及び端子接触凸部12b1のいずれかが圧接され、それによって電気的な接続が行われる構成になされている。
ここで、前述した本体ハウジング11の底面部(図2の下面部)には、本体固定手段を構成する一対の嵌合フック部16,16が、上記本体ハウジング11の横幅方向(長手方向)の両端部分に設けられている。これらの各嵌合フック部16は、上記本体ハウジング11を印刷配線基板13上に保持するためのものであって、前記本体ハウジング11の底面部から図示下方側、すなわち上記印刷配線基板13側に向かって一体的に突出するように設けられている。
これら一対の嵌合フック部16,16は、前記本体ハウジング11の両端縁部に沿う方向(図2の左右方向)に細長状に延在する板状部材から形成されており、当該各嵌合フック部16の突出側先端部分(図示下端部分)には、縦断面略矢先形状をなす係合突片16aがそれぞれ設けられている。それら両嵌合フック部16,16に設けられた一対の係合突片16a,16aどうしは、前記本体ハウジング11の横幅方向(長手方向)において内方側に向かって突起状に張り出すように設けられており、互いに対称的に対向する形状になされている。
一方、前記印刷配線基板13側には、上述した嵌合フック部16,16に対応した位置に係止穴部13a,13aが、同じく本体固定手段を構成するように設けられている。これらの係止穴部13a,13aは、前記印刷配線基板13を板厚方向(図4の上下方向)に貫通する穴形状をなすように形成されており、上述した本体ハウジング11側の各嵌合フック部16が挿通可能となるように、当該嵌合フック部16,16の長手幅方向(図2の左右方向)に沿って細長状に延在する形状になされている。
そして、その印刷配線基板13側に設けられた係止穴13a,13aに対して、前記本体ハウジング11側に設けられた嵌合フック部16,16が図示上方側から差し込まれる際には、当該嵌合フック部16の係合突片16aを形成している先端側矢先形状部分の突起状張出し部分が、前記係止穴部13aの内側壁面に対して圧接される位置関係になされている。これによって、前記各嵌合フック部16は、前記本体ハウジング11の横幅方向(長手方向)の外方側に向かって押し広げられるようにして弾性的に撓ませられながら図示下方側に摺動していくこととなり、その嵌合フック部16の先端部分に設けられた係合部16aの矢先形状部分が、前記印刷配線基板13側の係止穴13aを貫通した時点で、元の内方側の位置に弾性的に復帰する。その結果、当該係合部16aの矢先形状部分が、前記印刷配線基板13の底面側(図示下面側)の表面に対して圧接されることとなり、それによって前記各嵌合フック部16が、印刷配線基板13に対して強固に係止された状態に維持されるようになっている。
このようにして本体ハウジング11側の両嵌合フック部16,16が、印刷配線基板13に対して係止状態になされると、前記本体ハウジング11の底面部(図2の下面部)は、前記印刷配線基板13の表面(図示上面部)に密着した状態になされるとともに、その本体ハウジング11を含むコネクタ全体が印刷配線基板13に対して固定された状態に保持されるように構成されている。
そして、このような本体固定手段を構成する嵌合フック部16と係止穴13aとの間に生じるコネクタ全体の固定保持力によって、前述した導電コンタクト12の固定ビーム12bに設けられた基板接続端子部12b2が、前記印刷配線基板13の導電路に対して押し付けられる構成になされている。
すなわち、本実施形態においては、前記固定ビーム12bのコネクタ後端側部分(図2の右端側部分)に設けられた基板接続端子部(基板接続部)12b2が、前記本体ハウジング11の底面部(図2の下面部)よりも更に図示下方側の位置まで達するように延出するように形成されている。そして、前述したように本体固定手段を構成している嵌合フック部16と係止穴13aとの間の生じる固定保持力により本体ハウジング11が印刷配線基板13上に密着して保持されたときには、その固定ビーム12bの基板接続端子部12b2も、印刷配線基板13側に向かって押し付けられるようになっている。そして、そのときの固定ビーム12bの基板接続端子部12b2は、弾性的に撓みながら前記印刷配線基板13上の導電路(図示省略)に圧接され、それによって両者の電気的な接続が良好に行われるように構成されている。
このとき、特に本実施形態においては、前述した媒体固定手段としてのアクチュエータ15が回動操作されたときに、当該アクチュエータ15に設けられた押圧カム部15aが前記導電コンタクト12の固定ビーム12bを、図2の下方側、すなわち印刷配線基板13に向かって押し付けるように作用する。そして、そのようなアクチュエータ15の回動操作に基づく押圧作用力によっても、前記固定ビーム12bの基板接続端子部12b2は印刷配線基板13上の導電路(図示省略)に対して押し付けられることとなり、前述した本体固定手段としての嵌合フック部16及び係止穴13aによる固定保持力とともに、より強固な作用力で電気的な接続が行われるようになっている。
なお、上記のように前記固定ビーム12bのコネクタ後端側部分(図2の右端側部分)に設けられた基板接続端子部(基板接続部)12b2が、前記本体ハウジング11の底面部(図2の下面部)を含む平面とほぼ一致する位置まで延出している場合のように、本体ハウジング11の底面部(図2の下面部)よりも更に図示下方側の位置まで達する構成になされていない場合でも、媒体固定手段としてのアクチュエータ15が回動操作されたときには、当該アクチュエータ15に設けられた押圧カム部15aが前記導電コンタクト12の固定ビーム12bを、図2の下方側、すなわち印刷配線基板13に向かって押し付けるように作用する。また、アクチュエータ15の回動側自由端部分が基板接続端子部12b2を印刷配線基板13上の導電路に対して押し付けるように作用する。そして、そのようなアクチュエータ15の回動操作に基づく押圧作用力によって、前記固定ビーム12bの基板接続端子部12b2は印刷配線基板13上の導電路(図示省略)に対して押し付けられることとなり電気的な接続が行われるようになっている。
なお、本実施形態における本体固定手段を構成している嵌合フック部16は、ねじ,樹脂リベット等の他の機械的固定手段に変更することも可能である。また、その嵌合フック部16を含む機械的固定手段は、機械的なもの以外の固定金具を介した半田接続等のその他の固定手段に適宜に変更することが可能である。また本実施形態においては、本体固定手段が本体ハウジングの両端部に2箇所設けられているが、両端部に加えて中央部等に設けることが可能である。
このような構成を有する本実施形態によれば、本体固定手段としての嵌合フック部16が係止穴部13aに嵌合されたときに、本体ハウジング11に対して付与されるコネクタ全体の保持力によって、導電コンタクト12の基板接続端子部12b2が印刷配線基板13の導電路上に押し付けられて圧接される。その結果、前記導電コンタクト12の基板接続端子部12b2に関する半田接続を従来のように行わなくても電気的な接続が可能となり、その結果、前記導電コンタクト12の基板接続端子部12b2に対する半田接続の作業が不要となる。
このとき、特に本実施形態においては、コネクタ全体を保持する本体固定手段が、上述したように嵌合フック部16及び係止穴部13aからなる機械的固定手段として構成されていることから、上述したように導電コンタクト12の基板接続端子部12b2の半田接続が不要となることに加えて、本体ハウジング11を固定するための半田接続も不要となり、電気コネクタ全体に対する半田材の使用が皆無となり、前述の半田接続の問題を解決することが可能となっている。
また本実施形態では、その嵌合フック部16及び係止穴部13aからなる本体固定手段による本体ハウジング11の保持力に加えて、アクチュエータ(媒体固定手段)15の回動操作によって導電コンタクト12の基板接続端子部12b2が印刷配線基板13の導電路に対して押し付けられるように構成されていることから、導電コンタクト12の基板接続端子部12b2の電気的な接続がより確実に行われるようになっている。
加えて本実施形態では、導電コンタクト12の基板接続端子部12b2が、印刷配線基板13に対する本体ハウジング11の取付面よりもさらに下方に突出するように形成されていることから、印刷配線基板13上に導電コンタクト12の基板接続端子部12b2が載置されたときに、その導電コンタクト12の基板接続端子部12b2が、確実に弾性変位した状態で印刷配線基板13上に接触される。従って、電気的な接続は、より確実に行われるようになっている。
[第2の実施形態]
一方、図7〜図12に示された第2の実施形態は、コネクタ後端側(図8の右端側)から後方側に向かって突出するように配置された媒体固定手段(アクチュエータ25)が、コネクタ前方側(図8の左方側)に向かって押し込まれるようにスライド移動される型式の電気コネクタ20に対して本発明を適用したものである。すなわち、この第2の本実施形態にかかる電気コネクタ20は、上述した第1の実施形態にかかる電気コネクタ10に対して媒体固定手段(アクチュエータ)及びそれに関連する導電コンタクトの構成が相違したものとなっており、その他の部位に関しては互いに共通する構成を備えている。従って以下の説明においては、前述した第1の実施形態と共通する構成について十の位の符号「1」を「2」に替えて説明を省略するものとし、相違する構成になされている媒体固定手段(アクチュエータ25)及び導電コンタクト22、並びにそれらに関連する構成についての説明を行うものとする。
まず、本体ハウジング21の内部に配置された各導電コンタクト22を構成している可動ビーム22a及び固定ビーム22bは、それら両部材のコネクタ後端部分(図8の右端部分)どうしの間隔が、後方側(図8の右方側)向かって徐々に拡大するように延在する構成になされており、それによって当該可動ビーム22aと固定ビーム22bとの間に楔状の空間が形成されている。そして、それら両ビーム22a,22bどうしの間の楔状空間内部に、前記本体ハウジング21の後端部分に取り付けられた媒体固定手段としてのアクチュエータ25が、前方側(図8の左方側)に向かって差し込まれるように装着されている。
より具体的には、上述したアクチュエータ(媒体固定手段)25は、前記本体ハウジング21の後端部分(図8の右端部分)において、横幅方向(長手方向)に細長状に延在する横断面略T状をなす部材から形成されている。そして、そのアクチュエータ25の横幅方向(長手方向)の両端部分に設けられた細長角棒状のガイドアーム25c,25cが、前記本体ハウジング21の横幅方向(長手方向)両端部分にそれぞれ前後方向(図8の左右方向)に略水平方向に延在するように設けられたスライド溝部21c,21cに内部に滑動自在に差し込まれていることによって、当該アクチュエータ25の全体が、前後方向(図8の左右方向)にスライド移動自在に支持されている。
そのアクチュエータ(媒体固定手段)25は、上述した可動ビーム22aと固定ビーム22bとの間の楔状空間内に挿入される横断面略楔状の押込突起部25aを備えている。この押込突起部25aは、その後端側部分(図8の右端部分)に一体的に連設された押込操作部25bから前方側(図8の左方側)に向かって突出するように設けられている。そして、図7〜図10のようにアクチュエータ25の全体が後方側(図8の右方側)に引き出された状態の「接続解除位置」から、組立作業者による適宜の押し込み操作力が前記押込操作部25bに付与されることによって全体が前方側(図8の左方側)に向かって押し込まれていき、図11及び図12のように完全に押し込まれた状態の「接続作用位置」までスライド移動操作される構成になされている。
ここで、上述したようにアクチュエータ(媒体固定手段)25が「接続解除位置」(図9参照)から「接続作用位置」(図12参照)に向かって押し込むようにしてスライド移動操作が行われる際に、当該アクチュエータ25の押込突起部25aの板厚寸法が、前記固定ビーム22bと可動ビーム22aとの間の楔状空間内で増大する方向に変化する構成になされている。そして、そのような押込突起部25aの板厚方向の寸法変化に従って、前記可動ビーム22aの後端側部分(図8の右端部分)が図示上方側に持ち上げられるように変位し、それに伴ってコネクタ前端側に設けられた端子接触凸部22a1が下方に押し下げられていくようになっている。
なお、「接続作用位置」までスライド移動したアクチュエータが「接続解除位置」のほうに戻らないように、可動ビーム22aと固定ビーム22bの後端側部分と、アクチュエータ25の押込突起部25aとの間に係止手段を設けても良い。そのときの係止手段としては、可動ビーム22aの後端側部分のアクチュエータ25の押込突起部25aと接触する部分に凹部または凸部を設ける一方、押込突起部25aの可動ビーム22aの後端側部分と接触する部分に、アクチュエータ25を「接続作用位置」までスライド移動したときに、前記凹部または凸部に係止する凸部または凹部を設けても良い。また、固定ビーム22bに同様の係止手段を設けても、可動ビーム22aと固定ビーム22bの両方に前述のような係止手段を設けても良い。またこのような係止手段を設けると、アクチュエータ25を「接続作用位置」にスライド移動したときに凹凸嵌合によるクリック感を得ることが可能となる。
そして、そのようにしてアクチュエータ(媒体固定手段)25が最終の押し込み位置である「接続作用位置」までスライド移動し(図11参照)、前記信号伝送媒体24に形成された信号伝送用及びグランド用の導電路(図示省略)に対して、上記端子接触凸部22a1及び端子接触凸部22b1のいずれかが圧接されることとなり、それによって電気的な接続が行われる構成になされている。
ここで、本実施形態においても、本体ハウジング21の底面部に本体固定手段を構成する一対の嵌合フック部26,26が設けられているとともに、印刷配線基板23側には、それらの嵌合フック部26,26に対応する係止穴部23a,23aが、同様に本体固定手段を構成するように設けられている。そして、その印刷配線基板23側の係止穴23a,23aに対して、本体ハウジング21側の嵌合フック部26,26が図示上方側から差し込まれると、その嵌合フック部26,26が印刷配線基板23に対して係止状態に維持されることとなり、その結果、前記本体ハウジング21を含むコネクタの全体が、上記印刷配線基板23に対して固定された状態に保持されるように構成されている。
このようにして本体固定手段としての嵌合フック部26と係止穴23aとの間にコネクタ全体の固定保持力が生じると、その本体固定手段の固定保持力によって前述した導電コンタクト22の固定ビーム22bのコネクタ後端側部分(図2の右端側部分)に基板接続部として設けられた基板接続端子部22b2が、前記印刷配線基板23の導電路に対して押し付けられる構成になされている。
すなわち、上述した導電コンタクト22の固定ビーム22bに設けられた基板接続端子部(基板接続部)22b2は、前記本体ハウジング21の底面部(図示下面部)よりもさらに図示下方側の位置に達するように延出しており、前述したように本体固定手段を構成している嵌合フック部26と係止穴23aとの間の生じる固定保持力によって、本体ハウジング21が印刷配線基板23上に密着した状態で保持されると、上述した導電コンタクト22の固定ビーム22bに設けられた基板接続端子部22b2が前記印刷配線基板23側に押し付けられるようになっている。そして、その導電コンタクト22の固定ビーム22bに設けられた基板接続端子部22b2は、弾性的に撓みながら前記印刷配線基板23上の導電路に圧接されることとなり、それによって両者の電気的な接続が良好に行われるように構成されている。
このとき、特に本実施形態では、前述した媒体固定手段としてのアクチュエータ(媒体固定手段)25がスライド移動操作されたときに、そのアクチュエータ25に設けられた押込突起部25aが上述した導電コンタクト22の固定ビーム22bを図示下方側の印刷配線基板23に向かって押し付けるように作用することとなる。そして、そのアクチュエータ25のスライド移動操作に基づく押圧作用力によって、前記導電コンタクト22の固定ビーム22bに設けられた基板接続端子部22b2が、前記印刷配線基板23上の導電路(図示省略)に対してより強固な作用力で押し付けられるようになっている。
なお、上記のように固定ビーム22bに設けられた基板接続端子部(基板接続部)22b2が、前記本体ハウジング21の底面部(図示下面部)よりもさらに図示下方側の位置に達するように延出していない場合であっても、媒体固定手段としてのアクチュエータ(媒体固定手段)25がスライド移動操作されたときに、そのアクチュエータ25に設けられた押込突起部25aが上述した導電コンタクト22の固定ビーム22bを図示下方側の印刷配線基板23に向かって押し付けるように作用することとなる。そして、そのアクチュエータ25のスライド移動操作に基づく押圧作用力によって、前記導電コンタクト22の固定ビーム22bに設けられた基板接続端子部22b2が、前記印刷配線基板23上の導電路(図示省略)に対して電気的な接続が行われるようになっている。
このような構成を有する第2の実施形態においても、導電コンタクト22の基板接続端子部22b2の半田接合が不要となるとともに、本体ハウジング21を固定するための半田接合も不要となって電気コネクタ全体に対する半田材の使用が皆無となるなど、上述した第1の実施形態とほぼ同様な作用・効果が得られる。
[第3の実施形態]
さらに、図13〜図18に示された第3の実施形態は、コネクタ後端側(図14の右端側)に立設された媒体固定手段(アクチュエータ35)が、後方側(図14の右方側)に向かって押し倒されるように回動される型式の電気コネクタ30に対して本発明を適用したものである。すなわち、この第3の本実施形態にかかる電気コネクタ30は、上述した第1の実施形態にかかる電気コネクタ10に対してアクチュエータ及び導電コンタクトに関する構成が相違したものとなっており、その他の部位に関する構成については互いに共通する構成を備えている。従って以下の説明においては、前述した第1の実施形態と共通する構成について十の位の符号「1」を「3」に替えて説明を省略するものとし、相違する構成になされている媒体固定手段(アクチュエータ35)及び導電コンタクト32、並びにそれらに関連する構成についての説明を行うものとする。
まず、本体ハウジング31の内部に配置された導電コンタクト32は、可動ビーム32aと固定ビーム32bとを連結支柱部32cにより一体的に接続した構成を備えたものである。そのうちの固定ビーム32bは、上記連結支柱部32cからやや後方側(図14の右端側)まで延出する短いスパン長を有する構成になされており、前述した各実施形態のようにコネクタ後端部分まで延在する長いスパン長を有するものとは異なっている。
その固定ビーム32bの図示上方側に配置された可動ビーム32aは、コネクタ後端部分(図14の右端部分)に、図示下方側に向かって略円弧状に湾曲するように延在する被作動部32a2を有している。この可動ビーム32aに設けられた被作動部32a2の湾曲状先端部分(図14の下端部分)は、媒体固定手段としてのアクチュエータ35の内部に、導電コンタクト32の一部を別部品で構成するように取り付けられた基板接続端子部(基板接続部)32b2に接触するように配置されている。
すなわち、前記アクチュエータ(媒体固定手段)35は、本体ハウジング31の後端部分において横幅方向(長手方向)に細長状に延在する略板状部材から構成されていて、そのアクチュエータ35の横幅方向(長手方向)の両端部に、外方に向かって突出する軸部(図示省略)が設けられている。そして、それらの両軸部が、前記本体ハウジング31の横幅方向(長手方向)両端部分にそれぞれ設けられた係合部31c,31cに回転,上下左右に自在に動作可能に係合されていることによって、当該アクチュエータ35の全体が回動自在となるようにされるとともに、アクチュエータ35が本体ハウジング31から脱落しないようにされている。
そして、図13〜図16のようにアクチュエータ35の全体がほぼ直立した状態の「接続解除位置」から、当該アクチュエータ35の回動側自由端部分(図14の上端部分)を構成している開閉操作部35bに対して組立作業者による適宜の回動操作力が付与されることによって全体が後方側に向かって押し倒されていき、図17及び図18のように略水平に倒された状態の「接続作用位置」まで回動操作される構成になされている。
ここで、そのアクチュエータ(媒体固定手段)35は、上述した可動ビーム32aを揺動させるための押圧カム部35aを有している。この押圧カム部35aは、上述した「接続解除位置」(図16参照)に維持されているアクチュエータ35の図示下端部分に配置されており、印刷配線基板23上に横長状に延在する横断面略半月状の部材から形成されている。
そして、「接続解除位置」にあるアクチュエータ35の開閉操作部35bを、組立作業者が手で把持しながら当該アクチュエータ35の全体を「接続作用位置」(図17参照)に向かって押し倒す回動操作が行われると、それまで横長状に寝た状態にあった押圧カム部35aが図17に示されているように立ち上げられた状態となり、その立ち上げられた状態の押圧カム部35aの上端部が、上述した可動ビーム32aの後端側に設けられた被作動部32a2に対して図示下方側から押し上げるように圧接する構成になされている。そのときの押圧カム部35aの押し上げ作用によって前記可動ビーム32aの被作動部32a2は図示上方側に持ち上げられるように変位することとなり、それに伴って上記被作動部32a2と反対側(コネクタ前端側)に設けられた端子接触凸部32a1が下方に押し下げられていくようになっている。
このようなアクチュエータ(媒体固定手段)35が最終の回動位置である「接続作用位置」の直前において前記押圧カム部35aの立ち上がり高さが最大となり、その最大立ち上がり高さ位置からさらに微小角度だけ回動した後の位置である上記「接続作用位置」において(図17及び図18参照)、前記信号伝送媒体34に形成された信号伝送用及びグランド用の導電路(図示省略)に対して、上記端子接触凸部32a1及び端子接触凸部32b1のいずれかが圧接されることとなり、それによって電気的な接続が行われる構成になされている。
一方、前述したようにアクチュエータ(媒体固定手段)35の内部に配置された基板接続端子部(基板接続部)32b2は、本体ハウジング31の内部に配置された導電コンタクト32と対応する位置であって、アクチュエータ35に形成された溝内に圧入され、前記アクチュエータ35の回動操作とともに一体的に回動するように取り付けられた構成になされているが、略U字状をなすように折り曲げ形成された横断面形状を有している。その基板接続端子部32b2における折り曲げ延在方向の先端部分(図14の左端部分)には、略直角に折れ曲がって延出して上述した可動ビーム32aの被作動部32a2に接触する接点部32b3が設けられ、該基板接続端子部32b2における前記接点部32b3の反対側には接点部32b4が弾性変形可能に設けられている。この基板接続端子部32b2に設けられた接点部32b3は、前記アクチュエータ35の停止時及び回動操作のいずれにおいても前記可動ビーム32aの被作動部32a2に対して常時接触するように構成されている。
すなわち、上述した基板接続端子部(基板接続部)32b2に設けられた接点部32b3は、前記アクチュエータ(媒体固定手段)35が回動操作される場合においても、可動ビーム32aの被作動部32a2に対して接触状態を維持しながら滑動される構成になされており、そのアクチュエータ35が「接続解除位置」(図13〜図16参照)又は「接続作用位置」(図17〜図18参照)のいずれにあるかに関係なく、可動ビーム32aの被作動部32a2に対して、上記基板接続端子部32b2の接点部32b3が常時接触状態に維持されるように構成されている。
また、その基板接続端子部(基板接続部)32b2は、特に図17に示されているように、アクチュエータ35が「接続作用位置」に傾倒されたときに、当該基板接続端子部32b2の図示底面側に位置する接点部32b4が、上述した印刷配線基板33上の導電路(図示省略)に対して圧接される構成になされている。このように接点部32b4が印刷配線基板33上に圧接されるのは、本体ハウジング31に対する本体固定手段の保持作用に基づいている。
すなわち、本実施形態においても、前記本体ハウジング31の底面部に本体固定手段を構成する一対の嵌合フック部36,36が設けられているとともに、印刷配線基板33側には、それらの嵌合フック部36,36に対応する係止穴部33a,33aが、同様に本体固定手段を構成するように設けられている。そして、その印刷配線基板33側の係止穴33a,33aに対して、前記本体ハウジング31側の嵌合フック部36,36が図示上方側から差し込まれると、上記本体ハウジング31側の両嵌合フック部36,36が印刷配線基板33に対して係止状態に維持されることとなり、その結果、本体ハウジング31を含むコネクタ全体が上記印刷配線基板33に対して固定された状態に保持されるように構成されている。
このようにして本体固定手段としての嵌合フック部36と係止穴33aとの間にコネクタ全体の固定保持力が生じると、その本体固定手段の固定保持力によって、前述した導電コンタクト32のコネクタ後端側部分(図14の右端側部分)に設けられた基板接続端子部32b2の接点部32b4が、前記印刷配線基板33の導電路に対して押し付けられる構成になされている。
すなわち、上述した導電コンタクト32のコネクタ後端側部分に設けられた基板接続端子部(基板接続部)32b2の接点部32b4は、その先端がアクチュエータ35から突出するように配置されているため、アクチュエータ35が「接続作用位置」に傾倒されたときに、本体ハウジング31の底面部(図示下面部)よりも図示下方側の位置まで達するように延出する構成になされており、前述したように本体固定手段を構成している嵌合フック部36と係止穴33aとの間の生じる固定保持力によって、アクチュエータ35が「接続作用位置」に傾倒された状態で本体ハウジング31が印刷配線基板33上に密着した状態で保持されると、導電コンタクト32の固定ビーム32bに設けられた基板接続端子部32b2が、印刷配線基板33側に押し付けられることとなる。その結果、上記固定ビーム32bの基板接続端子部32b2の接点部32b4は、弾性的に撓みながら当該印刷配線基板33上の導電路に圧接され、それによって両者の電気的な接続が良好に行われるように構成されている。
このような構成を有する第3の実施形態においても、導電コンタクト32の基板接続端子部32b2の半田接合が不要となるとともに、本体ハウジング31を固定するための半田接合も不要となって電気コネクタ全体に対する半田材の使用が皆無となるなど、上述した第1及び第2の実施形態とほぼ同様な作用・効果が得られる。
特に本実施形態においては、上述した導電コンタクト32の一部を構成している基板接続端子部(基板接続部)32b2の接点部32b4が、前記アクチュエータ(媒体固定手段)35と一体的に回動される際に、当該基板接続端子部32b2が印刷配線基板33の導電路上(図示省略)を接触しながら摺動する構成を採用していることから、例えば、導電コンタクト32の基板接続端子部32b2の接点部32b4と印刷配線基板33の導電路との間に噛み込まれたゴミ等の除去が可能となる。さらに、導電コンタクト32の基板接続端子部32b2の接点部32b4及び印刷配線基板33の導電路の各表面に形成された酸化皮膜の除去が行われ、電気的な接続が良好に行われる。
[第4の実施形態]
さらにまた、図19〜図24に示された第4の実施形態は、コネクタ後端側(図20の右端側)から後方側に突出するように配置された媒体固定手段(アクチュエータ45)が、コネクタ前方側(図20の左方側)に向かって押し込まれるようにスライド移動される型式の電気コネクタ40に対して本発明を適用したものである。すなわち、この第4の本実施形態にかかる電気コネクタ40は、上述した第1の実施形態にかかる電気コネクタ10に対してアクチュエータ及び導電コンタクトに関する構成が相違しており、その他の部位に関する構成については互いに共通している。従って、以下の説明において共通する構成については、第1の実施形態における十の位の符号「1」を「4」に替えて説明を省略するものとし、構成が相違するアクチュエータ45及びそれに関連する導電コンタクト42の構成についての説明を行うものとする。
まず、本体ハウジング41の内部に配置された各導電コンタクト42は、可動ビーム42aと固定ビーム42bとを連結支柱部42cにより一体的に接続した構成を備えたものである。そのうちの固定ビーム42bは、前述した第3の実施形態と同様に、上記連結支柱部42cからやや後方側(図20の右端側)まで延出する短いスパン長を有する構成になされており、他の実施形態のようにコネクタ後端部分まで延在する長いスパン長を有するものとは異なっている。
そして導電コンタクト42を構成している可動ビーム42aは、そのコネクタ後端部分(図20の右端部分)とコネクタ下端部との間隔が、後方側(図20の右方側)に向かって徐々に拡大するように延在する構成になされており、コネクタが印刷配線基板43に固定された状態において、当該可動ビーム42aと印刷配線基板43との間に楔状の空間が形成されている。そして、それら可動ビーム42aと印刷配線基板43との間の楔状空間内部に、前記本体ハウジング41の後端部分に取り付けられた媒体固定手段としてのアクチュエータ45が、前方側(図20の左方側)に向かって差し込まれるように装着されている。
より具体的には、上述したアクチュエータ(媒体固定手段)45は、前記本体ハウジング41の後端部分(図20の右端部分)において、横幅方向(長手方向)に細長状に延在する横断面略T状をなす部材から形成されている。そして、そのアクチュエータ45の横幅方向(長手方向)の両端部分に設けられた細長角棒状のガイドアーム45c,45cが、前記本体ハウジング41の横幅方向(長手方向)両端部分にそれぞれ前後方向(図20の左右方向)に略水平方向に延在するように設けられたスライド溝部41c,41cに内部に滑動自在に差し込まれていることによって、当該アクチュエータ45の全体が、前後方向(図20の左右方向)にスライド移動自在に支持されている。
そして、このアクチュエータ45の後端側部分(図20の右端部分)を構成している押込操作部45bに、作業者による操作力が付与されることによって、図19〜図21のように後方側に引き出された状態の「接続解除位置」と、図23及び図24のように前方側に向かって押し込まれた状態の「接続作用位置」との間でアクチュエータ45の全体がスライド移動操作される構成になされている。
すなわち、上述したようにアクチュエータ(媒体固定手段)45の押込操作部45bを組立作業者が手で把持しながら、「接続解除位置」(図21及び図22参照)から「接続作用位置」(図23及び図24参照)に向かって押し込むようにしてスライド移動操作が行われると、前記押込操作部45bから前方側(図20の左方側)に突出するように設けられた押込突起部45aの板厚寸法が、前記固定ビーム42bと可動ビーム42aとの間において増大する方向に変化する構成になされている。そして、その押込突起部45aの板厚方向の寸法変化に従って、前記可動ビーム42aの後端側部分が図示上方側に持ち上げられるように変位し、それに伴ってコネクタ前端側に設けられた端子接触凸部42a1が下方に押し下げられていくようになっている。
また、上述したアクチュエータ(媒体固定手段)45が最終の押し込み位置である「接続作用位置」までスライド移動し(図23及び図24参照)、前記信号伝送媒体44に形成された信号伝送用及びグランド用の導電路(図示省略)に対して、上記端子接触凸部42a1及び端子接触凸部42b1のいずれかが圧接されることとなり、それによって電気的な接続が行われる構成になされている。
一方、前述したようにアクチュエータ(媒体固定手段)45の押込操作部45bから前方に突出するように設けられた押込突起部45aには、基板接続部としての基板接続端子部42b2が、前方側(図20の左方側)から取り付けられている。この基板接続端子部(基板接続部)42b2は、上述したアクチュエータ45のスライド移動操作とともに一体的に移動するように構成されている。
より具体的には、前記基板接続端子部(基板接続部)42b2は、横断面略U字状をなすように折り曲げ形成されており、図示上側の平坦状部分に上側接点部42b3が設けられているとともに、図示下側の平坦状部分に下側接点部42b4が設けられている。そして、上述したようにアクチュエータ(媒体固定手段)45が「接続解除位置」(図19〜図22参照)から「接続作用位置」(図23及び図24参照)までスライド移動操作が行われたときに、上述した上側接点部42b3が、前記可動ビーム42aの被作動部42a2に対して図示下方側から接触した状態に維持されるとともに、前記下側接点部42b4が、印刷配線基板43上の導電路(図示省略)に対して上方側から圧接されるようになっている。
すなわち、本実施形態においても、本体ハウジング41の底面部に本体固定手段を構成する一対の嵌合フック部46,46が設けられているとともに、印刷配線基板43側に、それらの嵌合フック部46,46に対応する係止穴部43a,43aが同じく本体固定手段を構成するように設けられている。そして、その印刷配線基板43側の係止穴43a,43aに対して、本体ハウジング41側の嵌合フック部46,46が図示上方側から差し込まれることによって当該両嵌合フック部46,46が印刷配線基板43に対して係止状態に維持され、その結果、本体ハウジング41を含むコネクタ全体が、上記印刷配線基板43に対して固定された状態に保持されるように構成されている。
このようにして本体固定手段としての嵌合フック部46と係止穴43aとの間に生じるコネクタ全体の固定保持力により、前述した導電コンタクト42の固定ビーム42bにおけるコネクタ後端側部分(図20の右端側部分)に設けられた基板接続端子部(基板接続部)42b2が、前記印刷配線基板43の導電路(図示省略)に対して押し付けられる構成になされている。
より具体的には、前記導電コンタクト42におけるコネクタ後端側部分に設けられた基板接続端子部42b2の下側接点部42b4は、前記本体ハウジング41の底面部(図示下面部)よりも図示下方側の位置まで達するように延出する構成になされており、前述したように本体固定手段を構成している嵌合フック部46と係止穴43aとの間の生じる固定保持力によって、本体ハウジング41が印刷配線基板43上に密着した状態で保持される。このとき、上述した導電コンタクト42におけるコネクタ後端側部分に設けられた基板接続端子部42b2の下側接点部42b4は、印刷配線基板43側に押し付けられることとなり、その結果、上記導電コンタクト42におけるコネクタ後端側部分に設けられた基板接続端子部42b2の下側接点部42b4は、弾性的に撓みながら印刷配線基板43上の導電路(図示省略)に圧接され、それによって両者の電気的な接続が行われる構成になされている。
このとき、特に本実施形態では、前述した媒体固定手段としてのアクチュエータ(媒体固定手段)45がスライド移動操作されたときに、当該アクチュエータ45に設けられた押込突起部45aが、上述した導電コンタクト42におけるコネクタ後端側部分側に設けられた基板接続端子部42b2の下側接点部42b4を図示下方側の印刷配線基板に向かって押し付けるように作用する。そして、そのアクチュエータ45のスライド移動操作に基づく押圧作用力によって、上記導電コンタクト42におけるコネクタ後端側部分側に設けられた基板接続端子部(基板接続部)42b2の下側接点部42b4が、前記印刷配線基板43上の導電路(図示省略)に対してより強固な作用力で押し付けられるようになっている。
このような構成を有する第4の実施形態においても、導電コンタクト42の基板接続端子部42b2の半田接合が不要となり、また本体ハウジング41を固定するための半田接合が不要となるなど、上述した各実施形態と同様な作用・効果が得られる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
例えば上述した各実施形態では、電気コネクタに固定される信号伝送媒体として、フレキシブル・プリンテッド・サーキット(FPC)、及びフレキシブル・フラット・ケーブル(FFC)を採用しているが、その他の信号伝送用媒体等を用いた場合に対しても本発明は同様に適用することができる。
また、上述した各実施形態は、媒体固定手段(アクチュエータ)を備えた電気コネクタに対して本発明を適用したものであるが、本発明は、媒体固定手段を備えていない電気コネクタに対しても同様に適用することが可能である。
また、上述した実施形態にかかる電気コネクタは、同一形状の導電コンタクトを並設したものであるが、異なる形状の導電コンタクトを採用したものに対しても、本発明は同様に適用することが可能である。