JP5347737B2 - 回転子検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転子の構成要素間の電気的特性を調べることにより、回転子を検査する回転子検査装置及び回転子検査方法に関する。
電動機または発電機には、回転部材として、電機子などの回転子が組み込まれている。このような回転子は、回転軸の周囲に配置された複数のセグメントを有し、各セグメントにはコイルが巻きつけられている。また各セグメントには、回転子が回転することにより、回転子の周囲に配置されるブラシと接触して駆動電流をコイルに供給するコンミテータが配置されている。このような回転子において、コイルが断線していたり、あるいは、隣接して配置されたコイルあるいはコンミテータ間に導電性を有する異物が入って、隣接するコイル同士あるいは隣接するコンミテータ同士が短絡されると、回転子は本来の性能を発揮することができない。そこで、二つのセグメント間の電圧を測定し、その測定電圧に基づいて回転子の良否を判定する回転子の検査方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
例えば、特許文献1に開示された回転子の検査方法では、隣接するセグメント同士を電極としたときのLC回路の共振周波数の交流電圧が二つのセグメント間に加えられる。そして、そのセグメント間の電位差を測定することにより、セグメント同士が異物により短絡されているか否かが検出される。
特開2006−153806号公報
検査対象の回転子が不良品であった場合、不良原因及び不良箇所が特定できることが望ましい。特に、回転子を生産する生産設備の検査工程では、不良原因及び不良箇所が特定できれば、不良品が発生する原因となった生産設備における不具合の箇所を迅速に特定することが可能となる。そのため、不良原因及び不良箇所が特定できれば、収率を向上させるための生産設備の改修に要する時間を短縮できる。
そこで、本発明の目的は、回転子の良否を判定するだけでなく、回転子が不良品である場合の不良原因及び不良箇所を特定することが可能な回転子検査装置及び回転子検査方法を提供することにある。
請求項1の記載によれば、本発明の一つの形態として、コイル(23−1〜23−6)及びコンミテータ(24−1〜24−6)を有するセグメント(22−1〜22−6)が回転軸(21)の周りに複数設けられた回転子(2)の検査装置が提供される。この回転子検査装置は、複数のセグメントのうちの二つのセグメント間に印加する周波数可変な交流信号を出力する周波数可変発振器(11)と、交流信号が印加された二つのセグメント間の電圧または電流を測定する計測部(13)と、交流信号の周波数を変更しつつ測定された二つのセグメント間の電圧または電流から少なくとも一つの特性値を算出する特性値算出部(32)と、少なくとも一つの特性値が予め求められた回転子の不良品に対応する少なくとも一つの不良品条件の何れかを満たす場合、回転子は不良品であり、かつ、回転子の不良原因及び不良箇所を、満たされた不良品条件に関連付けられた不良原因及び不良箇所として特定し、一方、少なくとも一つの特性値が何れの不良品条件も満たさない場合、回転子は良品であると判定する判定部(33)とを有する。
係る構成を有することにより、この回転子検査装置は、回転子の良否を判定するだけでなく、回転子が不良品である場合の不良原因及び不良箇所を特定することができる。
た、回転子検査装置は、不良品条件が満たされる場合に、少なくとも一つの特性値が含まれる値の範囲に対応する不良品コードがその特性値について示された不良品コードセットと、不良品コードセットに対応する回転子の不良原因及び不良箇所を関連付けた不良品パターンテーブルを記憶する記憶部(14)をさらに有し、特性値算出部(32)は、少なくとも一つの特性値が含まれる範囲に対応する特性コードを決定し、判定部(33)は、少なくとも一つの特性値に対して決定された特性コードが不良品パターンテーブルに示された何れかの不良品コードセットと一致する場合、回転子は不良品であると判定し、かつ回転子の不良原因及び不良箇所を、その不良品コードセットと関連付けられた不良原因及び不良箇所として特定することが好ましい。
これにより、この回転子検査装置は、測定電圧から求められた特性値がどのような値の範囲に含まれるか否かの判定と、特性コードの組と不良品コードセットが一致するか否かを調べる簡単な演算処理で、回転子の良否判定を行える。したがって、この回転子検査装置は、短時間で回転子が良品か否か判定できる。またこの回転子検査装置は、回転子が不良品の場合には、回転子の良否判定と同時に不良原因及び不良箇所を特定できる。
また請求項の記載によれば、不良品パターンテーブルにおける不良品コードセットは、複数のセグメントのうちの着目する一つのセグメントと着目する一つのセグメントの両隣のセグメントから選択した3種類の二つのセグメントの組のそれぞれについての不良品コードを含み、計測部(13)は、3種類の二つのセグメントの組のそれぞれについて電圧または電流を測定し、特性値算出部(32)は、3種類の二つのセグメントの組のそれぞれについて測定された電圧または電流から特性コードを決定し、判定部(33)は、3種類の二つのセグメントの組のそれぞれに対応する特性コードの組と不良品パターンテーブルに示された各不良品コードセットが一致すするか否か判定することが好ましい。
これにより、この回転子検査装置は、隣接する三つのセグメント間の測定電圧を比較して、互いの差を調べることができるので、回転子が良品であるか否かを正確に判定することができる。
また請求項の記載によれば、少なくとも一つの特性値には、電圧の最大値と交流信号の周波数変動に伴う電圧の変動を示す値が含まれることが好ましい。
電圧の最大値は、共振周波数に対応するので、コイルの断線あるいはコンミテータの短絡などで大きく変わる。また、交流信号の周波数変動に伴う電圧変動の特性も、回転子の不良原因に応じて変わる。そのため、この回転子検査装置は、特性値として電圧の最大値と交流信号の周波数変動に伴う電圧変動を示す値を求めることにより、回転子が良品であるか否かを正確に判定することができるとともに、回転子が不良品である場合に不良原因を容易に特定することができる。
さらに請求項の記載によれば、少なくとも一つの特性値には、着目する一つのセグメントと着目する一つのセグメントの両隣のセグメントから選択した3種類の二つのセグメントの組のそれぞれについて測定された電圧の交流信号の周波数変動範囲における平均値の偏差が含まれることが好ましい。
これにより、この回転子検査装置は、隣接する三つのセグメント間の測定電圧を比較して、互いの差を調べることができるので、回転子が良品であるか否かを正確に判定することができる。
さらに、本発明の他の形態として、コイル(23−1〜23−6)及びコンミテータ(24−1〜24−6)を有するセグメント(22−1〜22−6)が回転軸(21)の周りに複数設けられた回転子(2)の検査方法が提供される。この回転子検査方法は、交流信号を複数のセグメントのうちの二つのセグメント間に印加するステップと、交流信号の周波数を変更しつつ、交流信号が印加された二つのセグメント間の電圧または電流を測定するステップと、交流信号の周波数を変更しつつ測定された二つのセグメント間の電圧または電流から少なくとも一つの特性値を算出するステップと、少なくとも一つの特性値が予め求められた回転子の不良品に対応する少なくとも一つの不良品条件の何れかを満たす場合、回転子は不良品であり、かつ、回転子の不良原因及び不良箇所を、満たされた不良品条件に関連付けられた不良原因及び不良箇所として特定し、一方、少なくとも一つの特性値が何れの不良品条件も満たさない場合、回転子は良品であると判定するステップとを含む。
係る手順を含むことにより、この回転子検査方法は、回転子の良否を判定するだけでなく、回転子が不良品である場合の不良原因及び不良箇所を特定することができる。
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本発明の一つの実施形態による回転子検査装置の概略構成図である。 制御部の機能ブロック図である。 (a)は、コイル断線時における測定電圧のグラフの一例であり、(b)は、コンミテータ短絡時における測定電圧のグラフの一例であり、(c)は、コンデンサ故障時における測定電圧のグラフの一例であり、(d)は、コンデンサ短絡時における測定電圧のグラフの一例であり、(e)は、コイル短絡時における測定電圧のグラフの一例である。 (a)は測定電圧コード及び周波数変動コードを決定するための基準となる規格値を示す図であり、(b)は測定電圧コードの一例を示す図であり、(c)は周波数変動コードの一例を示す図である。 不良品パターンテーブルの一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る回転子検査装置により実行される回転子検査処理の動作フローチャートである。
以下、本発明の一つの実施形態による回転子検査装置について説明する。
この回転子検査装置は、検査対象となる回転子の複数のセグメントのうちの二つのセグメント間に、周波数可変な交流電圧を印加したときに得られる、その二つのセグメント間の測定電圧を解析することにより、回転子の良否を判断する。特にこの回転子検査装置は、測定電圧から少なくとも一つの特性値を求め、その特性値が、予め求めた不良品の特性値の範囲に対応する不良条件を満たすか否かを調べることにより、回転子の良否判定だけでなく、回転子が不良品である場合、その不良原因及び不良箇所を特定する。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る回転子検査装置1の全体構成を示す概略構成図である。この回転子検査装置1は、回転子2が良品か否かを判定し、回転子2が不良品である場合には、その不良原因及び不良箇所を特定する。
検査対象である回転子2は、回転軸21の周りに等間隔に配置された6個のセグメント22−1〜22−6を有する。各セグメント22−1〜22−6には、それぞれ、コイル23−1〜23−6が巻きつけられている。また各セグメント22−1〜22−6には、それぞれ、コイル23−1〜23−6と電気的に接続されるようにコンミテータ24−1〜24−6が取り付けられている。コンミテータ24−1〜24−6は、例えば、カーボンなど、導電性を有する材料により形成されている。そしてコンミテータ24−1〜24−6は、回転子2が電動機または発電機に組み付けられたときに、回転子2の周囲に配置されるブラシ(図示せず)と接触するようになっている。
隣接する二つのセグメント間には、空隙25−1〜25−6が形成され、この空隙25−1〜25−6が、隣接するコイル同士、あるいは隣接するコンミテータ同士に直接電流が流れることを防止している。なお、空隙25−1〜25−6は、樹脂などの絶縁材料で充填されていてもよい。
さらに、セグメント22−1に巻きつけられたコイル23−1と、セグメント22−2に巻きつけられたコイル23−2は、コンデンサ26−1を介して接続されている。同様に、セグメント22−3に巻きつけられたコイル23−3と、セグメント22−4に巻きつけられたコイル23−4は、コンデンサ26−2を介して接続されている。さらに、セグメント22−5に巻きつけられたコイル23−5と、セグメント22−6に巻きつけられたコイル23−6は、コンデンサ26−3を介して接続されている。そしてコンデンサ26−1〜26−3は、コンミテータ24−1〜24−6のそれぞれとブラシが離れたときに、ブラシとコンミテータの間に放電が発生することを防止する。
回転子検査装置1は、図1に示すように、周波数可変発振器11と、マルチプレクサ12と、計測部13と、記憶部14と、表示部15と、制御部16とを有する。
周波数可変発振器11は、周波数可変な交流信号を出力する。そのために、周波数可変発振器11は、ダイレクトデジタルシンセサイザ(Direct Digital Synthesizer、DDS)111と、増幅器112とを有する。
DDS111は、制御部16からの制御信号に従って、所定の周波数範囲内の何れかの周波数を持つ交流信号を出力する。所定の周波数範囲は、所定の交流電圧を回転子2の二つのセグメント間に印加した場合に、その二つのセグメント間の電位差が最も高くなる交流電圧の周波数である共振周波数を含むように設定される。例えば、所定の周波数範囲は、1kHz〜15kHzに設定される。
増幅器112は、DDS111から出力された交流信号を増幅する。そして増幅器112は、増幅された交流信号をマルチプレクサ12へ出力する。
マルチプレクサ12は、制御部16からの制御信号に従って、周波数可変発振器11から入力された交流信号を、回転子2が有する複数のセグメントのうちの二つのセグメント間に印加する。そのために、マルチプレクサ12は、6本のプローブ121−1〜121−6と接続されている。各プローブ121−1〜121−6は、それぞれ、回転子2のコイル23−1〜23−6と接続されている。そしてマルチプレクサ12は、制御部16からの制御信号に従って、6本のプローブ121−1〜121−6のうちの1本のプローブへ、周波数可変発振器11から入力された交流信号を出力する。またマルチプレクサ12は、制御部16からの制御信号に従って、6本のプローブ121−1〜121−6のうち、交流信号が出力されるプローブ以外の他の1本のプローブからの信号を計測部13へ出力する。
これにより、制御部16により選択された任意の二つのセグメント間に、周波数可変発振器11により発振された交流信号が印加される。
計測部13は、マルチプレクサ12から入力された信号に基づいて、交流信号が印加された回転子2の二つのセグメント間の電圧を測定する。そのために、計測部13は、整流回路131と、アナログ−デジタル変換器132とを有する。
整流回路131は、マルチプレクサ12から出力された、回転子2の二つのセグメント間の電圧を表す信号を整流し、その信号を直流信号に変換する。なお、整流回路131は、単相半波整流回路、単相全波整流回路、単相ブリッジ整流回路の何れであってもよい。
アナログ−デジタル変換器132は、整流回路131から出力された直流信号を、アナログ−デジタル変換することにより、デジタル信号に変換する。本実施形態では、アナログ−デジタル変換器132として、入力されたアナログ信号をサンプリング周波数44.1kHzでサンプリングし、解像度16bitのデジタル信号として出力するものを使用した。なお、アナログ−デジタル変換器は上記のものに限られず、異なるサンプリング周波数および解像度を有するものを使用してもよい。例えば、アナログ−デジタル変換器132として、サンプリング周波数48kHz、解像度12bitのものを使用してもよい。
なお、計測部13は、上記の構成を有する代わりに、交流信号が印加される二つのセグメント間の電圧を測定する交流電圧計を有してもよい。この場合も、計測部13は、その交流電圧計から出力された測定電圧を、アナログ−デジタル変換器によりデジタル信号に変換する。
デジタル化された信号は、制御部16へ出力される。
記憶部14は、制御部16と接続され、ハードディスクのような磁気記録媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、またはフラッシュメモリのような半導体メモリ、CD−RW、DVD−R/Wのような読み書き可能な光記録媒体及びそのアクセス装置のうちの少なくとも一つを有する。記憶部14は、制御部16で使用されるプログラム、各種のデータなどを記憶する。さらに記憶部14は、回転子2の二つのセグメント間の測定電圧から求められる複数の特性値の組み合わせと、不良原因及び不良箇所の関係を表す不良品パターンテーブルを、回転子2のセグメントごとに記憶する。なお、不良品パターンテーブルの詳細については後述する。
記憶部14は、制御部16からの要求に応じて、各種のプログラム、データまたは不良品パターンテーブルを制御部16へ渡す。
表示部15は、制御部16と接続され、例えば、液晶ディスプレイを有する。そして、表示部15は、制御部16による回転子2の良否判定結果を表示する。また表示部15は、制御部16が回転子2が不良品であると判定した場合、不良原因及び不良箇所を表すメッセージを表示する。
制御部16は、1個または複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。また制御部16は、制御部16からの制御信号を周波数可変発振器11及びマルチプレクサ12へ出力したり、回転子2の良否判定結果などを表示部15あるいは通信回線(図示せず)を介して制御部16と接続される他の機器へ出力するためのインターフェース回路を有する。そして制御部16は、回転子検査装置1の各部を制御する。また制御部16は、計測部13から受け取った、回転子2の二つのセグメント間の電圧を表す信号に基づいて、回転子2の良否を判定する。また制御部16は、回転子2が不良品であると判定した場合、回転子2の不良原因及び不良箇所を特定する。
図2に、制御部16により実現される機能を表す機能ブロック図を示す。制御部16は、測定条件設定部31、特性値算出部32及び判定部33を有する。制御部16が有するこれらの各部は、制御部16が有するプロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、制御部16が有するこれらの各部は、それら各部の機能を実現する専用の演算回路であってもよい。
測定条件設定部31は、回転子2に対する測定条件を設定する。具体的には、測定条件設定部31は、電圧を測定する回転子2の二つのセグメントを選択し、選択された二つのセグメントに対応するプローブを選択する制御信号をマルチプレクサ12へ出力する。
また、測定条件設定部31は、選択された二つのセグメント間に印加する交流信号の周波数を設定し、設定した周波数を示す制御信号を周波数可変発振器11へ出力する。
制御部16は、特性値を求めるために、選択された二つのセグメント間の共振周波数を検出する。そこで、測定条件設定部31が周波数可変発振器11から出力される交流信号の周波数を所定の周波数範囲内で変えつつ、制御部16は、設定された周波数に対する二つのセグメント間の電圧を表す信号を計測部13から取得する。
例えば、測定条件設定部31は、選択された二つのセグメント間に印加する交流信号の周波数を、まず、予め設定された周波数範囲の下限値に設定する。そして測定条件設定部31は、設定した周波数を示す制御信号を周波数可変発振器11へ出力する。そして、制御部16が、設定された周波数を持つ交流信号に対する二つのセグメント間の電圧の測定値を計測部13から得る。その後、測定条件設定部31は、交流信号の周波数を、所定のサンプリングピッチだけ高く変更し、その変更された周波数を示す制御信号を周波数可変発振器11へ出力する。測定条件設定部31は、交流信号の周波数が予め設定された周波数範囲の上限値に達するまで、このような周波数の変更及び制御信号の出力を繰り返す。なお、所定の周波数範囲は、周波数可変発振器11に関して説明したように、例えば、1kHz〜15kHzに設定される。また、サンプリングピッチは、例えば、10Hz〜100Hzの何れかに設定される。
測定条件設定部31は、選択された二つのセグメント間の電圧を、交流信号の周波数範囲全体に対して測定した後、電圧の測定が終了していない二つのセグメントの組み合わせの中から、何れかを選択する。そして測定条件設定部31は、マルチプレクサ12へ、その選択された二つのセグメントに接続されたプローブに周波数可変発振器11から出力された交流信号が印加されるように制御信号を送信する。そして測定条件設定部31は、選択された二つのセグメントに対して、交流信号の周波数を変更しつつ、その交流信号を印加するように、上記の処理を実行する。
特性値算出部32は、計測部13から入力された各周波数に対する二つのセグメント間の測定電圧を表すデジタル信号に基づいて、回転子2の良否を判定するために用いられる少なくとも一つの特性値を算出する。
二つのセグメント間の印加電圧の周波数の変化に伴う、測定電圧の変化は、回転子2に生じた不良原因によって異なる挙動を示す。
図3(a)は、セグメント22−1に巻きつけられたコイル23−1が断線した場合の測定電圧のグラフの一例である。図3(b)は、セグメント22−6のコンミテータ24−6と、セグメント22−1のコンミテータ24−1が短絡した場合の測定電圧のグラフの一例である。図3(c)は、コンデンサ26−1が故障した場合の測定電圧のグラフの一例であり、(d)は、コンデンサ26−1が短絡した場合の測定電圧のグラフの一例であり、(e)は、セグメント22−1のコイル24−1と、セグメント22−2のコイル24−2が短絡した場合のコイル短絡時における測定電圧のグラフの一例である。
図3(a)〜(e)の各図において、横軸は二つのセグメント間に印加される、周波数可変発振器11から出力された交流信号の周波数を表す。縦軸は、二つのセグメント間の測定電圧を表す。
図3(a)において、曲線301は、セグメント22−6、22−1間の測定電圧のグラフを示し、曲線302は、セグメント22−1、22−2間の測定電圧のグラフを示し、曲線303は、セグメント22−2、22−6間の測定電圧のグラフを示す。
回転子2が良品であれば、回転子2が有する二つのセグメント間の測定電圧は、共振周波数f0において最も高くなり、二つのセグメント間に印加される交流信号の周波数が共振周波数f0から離れるほど、徐々に測定電圧は減少する。
しかし、コイルが断線すると、二つのセグメント間の共振特性が変わる。そのため、図3(a)に示されるように、コイル23−1が断線した場合、コイル23−1が巻きつけられたセグメント22−1が、交流信号を印加される二つのセグメントのうちの一方となるグラフ301、302では、共振周波数f0よりも低い周波数で測定電圧が最大となる。また、測定電圧は、印加される交流信号の周波数が低い領域において、周波数の変化に応じて周期的に変化し、測定電圧は二つの極大点を持つ。
図3(b)において、曲線311は、セグメント22−6、22−1間の測定電圧のグラフを示し、曲線312は、セグメント22−1、22−2間の測定電圧のグラフを示し、曲線313は、セグメント22−2、22−6間の測定電圧のグラフを示す。
セグメント22−6のコンミテータ24−6と、セグメント22−1のコンミテータ24−1が短絡した場合、セグメント22−6と22−1間の抵抗は非常に小さな値となる。そのため、図3(b)のグラフ311に示されるように、セグメント22−6と22−1間では、印加される交流信号の周波数変動にかかわらず、測定電圧はほとんど変化せず、また交流信号の周波数範囲全体における測定電圧の平均値は非常に低い値となる。また、セグメント22−1、22−2間、及びセグメント22−6、22−2間の測定電圧の最大値と最小値の差も、回転子2が良品である場合の二つのセグメント間の測定電圧の最大値と最小値の差よりも小さい。
図3(c)において、曲線321は、セグメント22−6、22−1間の測定電圧のグラフを示し、曲線322は、セグメント22−1、22−2間の測定電圧のグラフを示し、曲線323は、セグメント22−2、22−6間の測定電圧のグラフを示す。
コンデンサ26−1が故障し、いわゆるオープンとなった場合も、二つのセグメント間の共振特性が変化する。そのため、図3(c)のグラフ321に示されるように、セグメント22−6、22−1間では、印加される交流信号の周波数が増加するにつれて、測定電圧も高くなる。一方、グラフ322、323に示されるように、セグメント22−1、22−2間及び22−2、22−6間では、印加される交流信号の周波数が増加するにつれて、測定電圧は周期的に変化する。また、交流信号が印加される二つのセグメントの組み合わせごとの、交流信号の周波数変動範囲全体における測定電圧の平均値の差は大きい。
図3(d)において、曲線331は、セグメント22−6、22−1間の測定電圧のグラフを示し、曲線332は、セグメント22−1、22−2間の測定電圧のグラフを示し、曲線333は、セグメント22−2、22−6間の測定電圧のグラフを示す。
コンデンサ26−1が短絡した場合、セグメント22−1、22−2間の抵抗は非常に小さな値となる。そのため、図3(d)のグラフ332に示されるように、セグメント22−1と22−2間では、印加される交流信号の周波数変動にかかわらず、測定電圧はほとんど変化せず、また交流信号の周波数変動範囲全体における測定電圧の平均値は非常に低い値となる。
一方、セグメント22−6、22−1間、及びセグメント22−6、22−2間の測定電圧の最大値は、回転子2が良品である場合の二つのセグメント間の測定電圧の最大値よりも大きい。
図3(e)において、曲線341は、セグメント22−6、22−1間の測定電圧のグラフを示し、曲線342は、セグメント22−1、22−2間の測定電圧のグラフを示し、曲線343は、セグメント22−2、22−6間の測定電圧のグラフを示す。
セグメント22−1のコイル24−1と、セグメント22−2のコイル24−2が短絡した場合、コイル24−1とコイル24−2間で共振特性が変化する。そのため、図3(e)のグラフ342に示されるように、共振周波数がf0よりも高い周波数f1にシフトしている。またグラフ343に示されるように、セグメント22−2、22−6間の共振周波数も、周波数f1にシフトしている。
このように、不良原因が異なれば、二つのセグメント間の測定電圧の特性も異なる。そこで、特性値算出部32は、不良原因の特定に有用な、測定電圧の挙動を表す特性値を少なくとも一つ求める。本実施形態では、特性値算出部32は、特性値として、測定電圧の最大値及び交流信号の周波数変動範囲における平均値、測定電圧の最大値と最小値の差δ、選択された二つのセグメントの組み合わせごとの測定電圧の平均値をさらに平均した値と、特定の二つセグメントの測定電圧の平均値との差σ(以下では、この差を偏差と呼ぶ)、印加される交流信号の周波数が高くなるにつれて、測定電圧が予め定められた基準電圧を横切る回数Ncを求める。なお、基準電圧は、印加される交流信号の周波数変動に伴う測定電圧の変動の度合いを調べるために定められる電圧である。基準電圧は、例えば、予め不良品と分かっている複数の回転子のサンプル品の二つのセグメント間の測定電圧の平均値に、0.4を乗じた値とすることができる。
さらに、特性値算出部32は、得られた各特性値について、それぞれ、予め定められた規格値の範囲に含まれるか否かを調べることにより、その規格値の範囲に対応する特性コードを求める。
本実施形態では、電圧が測定されるセグメントの組ごとに、二つの特性コードが求められる。特性コードの一つは、測定電圧値の大きさにより定められる測定電圧コードであり、特性コードの他の一つは、印加される交流信号の周波数の上昇に伴って測定電圧が予め定められた基準電圧を横切る回数を表す周波数変動コードである。周波数変動コードは、交流信号の周波数変動に伴う測定電圧の変動を示す値に対応する。
図4(a)は、測定電圧コード及び周波数変動コードを決定するための基準となる規格値を示す図である。図4(b)は、測定電圧コードと対応する条件の関係を示すテーブルの一例であり、さらに、図4(c)は周波数変動コードと測定電圧が予め定められた基準電圧を横切る回数Ncの関係を示すテーブルの一例を示す図である。
図4(a)において、横軸は二つのセグメント間に印加される、周波数可変発振器11から出力された交流信号の周波数を表す。縦軸は、二つのセグメント間の測定電圧を表す。また、一点鎖線401は基準電圧を表す。さらに、点線402は回転子2が良品である場合の測定電圧の上限規格値ULを表す。また、点線403は回転子2が良品である場合の測定電圧の下限規格値LL1を表す。さらに、点線404、405は、それぞれ、測定電圧が規格から外れている程度を表す第2下限規格値LL2及び第3下限規格値LL3を表す。
なお、上限規格UL及び各下限規格値LL1〜LL3は、良否判定の対象となる回転子2の不良原因に応じて測定電圧コードが極力異なる値となるように、予め実験により設定される。
図4(b)に示されたテーブル400において、上の行410の各欄には、測定電圧の高さによって決定される測定電圧コードが示されている。また、下側420の行の各欄には測定電圧が満たすべき条件が示されている。例えば、行420の一番左側の欄421は、測定電圧が、回転子2が良品であるための全ての条件を満たしていることを示す。行420の左から2番目の欄422は、測定電圧の最大値Vmax、すなわち、共振周波数に対応する測定電圧が上限規格値ULよりも高いことを示す。行420の左から3番目の欄423は、測定電圧の最大値Vmaxが下限規格値LL1よりも低く、かつ第2下限規格値LL2以上であることを示す。行420の左から4番目の欄424は、測定電圧の最大値Vmaxが第2下限規格値LL2よりも低く、かつ第3下限規格値LL3以上であることを示す。行420の左から5番目の欄425は、測定電圧の最大値Vmaxが第3下限規格値LL3よりも低いことを示す。
また、行420の左から6番目の欄426は、測定電圧の最大値と最小値の差δが、回転子2が良品であるときの範囲から外れていることを示す。そして行420の右端の欄427は、測定電圧の偏差σが、回転子2が良品であるときの範囲から外れていることを示す。
例えば、測定電圧の最大値が上限規格値UL以下、かつ下限規格値LL1以上であり、測定電圧の最大値と最小値の差δ及び測定電圧の偏差σが、それぞれ回転子2が良品であるときの範囲内に含まれている場合、測定電圧コードは'A'となる。また、測定電圧の最大値が第3下限規格値LL3未満であり、測定電圧の最大値と最小値の差δ及び測定電圧の偏差σが、それぞれ回転子2が良品であるときの範囲内に含まれている場合、測定電圧コードは'E'となる。さらに、測定電圧の最大値と最小値の差δが、回転子2が良品であるときの範囲から外れており、測定電圧の最大値が上限規格値UL以下、かつ下限規格値LL1以上であり、測定電圧の偏差σが、それぞれ回転子2が良品であるときの範囲内に含まれている場合、測定電圧コードは'F'となる。
また、測定電圧が、テーブル400に示された条件のうちの二つ以上に該当することがある。このような場合、特性値算出部32は、測定電圧の偏差σに関する条件、測定電圧の最大値と最小値の差δに関する条件、測定電圧の最大値に関する条件の順序で、設定する特性コードを決定する。例えば、測定電圧の最大値が回転子2が下限規格値LL1以下で、かつ、測定電圧の最大値と最小値の差δが、回転子2が良品であるときの範囲から外れている場合、特性値算出部32は、測定電圧コードを'F'とする。
図4(c)に示されたテーブル430において、上の行440の各欄には、測定電圧が予め定められた基準電圧を横切る回数Ncに対応する周波数変動コードが示されている。また、下側450の行の各欄には、回数Ncが示されている。例えば、回数Ncが1回であれば、周波数変動コードは'A'である。また、回数Ncが3回であれば、周波数変動コードは'C'である。
特性値算出部32は、交流信号が印加される二つのセグメントの組み合わせごとに、特性コードの組として、測定電圧コード及び周波数変動コードを決定する。そして特性値算出部32は、二つのセグメントの組み合わせのそれぞれに対応する特性コードの組を判定部33へ出力する。
判定部33は、特性値算出部32から受け取った特性コードの組と、記憶部14から読み込んだ不良品パターンテーブルに基づいて、回転子2が良品か否かを判定し、回転子2が不良品である場合には、その不良原因及び不良箇所を特定する。
ここで、判定部33は、回転子2の着目するセグメントに関して、不良となる箇所が存在するか否かを調べるために、特性コードの組のうち、着目するセグメントとその両隣のセグメントの何れかとの間に交流信号を印加することにより得られた二つの特性コードの組と、その両隣のセグメント間に交流信号を印加することにより得られた特性コードの組を選択する。そして判定部33は、これら三つの特性コードの組を、着目するセグメントに関する不良箇所の有無を判定するために利用する。例えば、回転子2のセグメント22−1に関する不良箇所の有無を調べる場合、判定部33は、セグメント22−1とセグメント22−2、セグメント22−1とセグメント22−6、セグメント22−6とセグメント22−2の三つのセグメントの組にそれぞれ交流信号が印加されたときの測定電圧から求められる特性コードの組を利用する。
図5は、不良品パターンテーブルの一例を示す図である。不良品パターンテーブル500の左端の列510には、不良原因が示される。中央の列520には、左端の列510に示された不良原因に対応する特性コードの組である、不良品コードセットが示される。また、列520において、一つの行に示された三つの特性コードの組が一つの不良品コードセットを形成している。そして不良品コードセットのうち、左側の特性コードの組521は、着目するセグメントと着目するセグメントに対して反時計回り方向に隣接するセグメントとの間の測定電圧から得られた特性コードの組である。また中央の特性コードの組522は、着目するセグメントと着目するセグメントに対して時計回り方向に隣接するセグメントとの間の測定電圧から得られた特性コードの組である。そして右側の特性コードの組523は、着目するセグメントの両隣のセグメント間の測定電圧から得られた特性コードの組である。また各特性コードの組において、左側の特性コードは測定電圧コードであり、右側の特性コードは周波数変動コードである。
また、不良品パターンテーブル500の右端の列530には、不良箇所が示される。
不良品パターンテーブルでは、不良原因と不良箇所の一つの組み合わせに対して、少なくとも一つの不良品コードセットが規定される。図5に示される例では、不良原因と不良箇所の一つの組み合わせに対して四つの不良品コードセットが規定されている。この不良品コードセットは、予め不良原因及び不良箇所が判明している回転子2の複数のサンプルのそれぞれについて特性コードを求めることにより、決定される。
判定部33は、特性値算出部32から受け取った特性コードの組から、着目するセグメントに関連する上記の三つの特性コードの組を選択する。そして判定部33は、選択した三つの特性コードの組が、不良品パターンテーブルに示された何れかの不良品コードセットと一致するか否か判定する。なお、不良品コードセットに含まれる特性コードの組は、回転子が不良品である場合に各特性コードに対応する特性値が取り得る値の範囲を示す不良品条件に対応する。したがって、特性コードの組が不良品パターンテーブルに示された何れの不良品コードセットとも一致しない場合、その特性コードの組は不良品条件を満たさない。そこで判定部33は、着目するセグメントに不良箇所は無いと判定する。判定部33は、回転子2の全てのセグメントについて、不良箇所が無いと判定した場合、回転子2は良品であると判定する。
一方、何れかのセグメントについて、特性コードの組が不良品パターンテーブルに示された不良品コードセットと一致する場合、その特性コードの組は一致した不良品コードセットに表された不良品条件を満たす。そこで判定部33は、回転子2は不良品であると判定する。そして判定部33は、回転子2の不良原因及び不良箇所を、不良品パターンテーブルに示された、特性コードの組と一致した不良品コードセットに対応する不良原因及び不良箇所であるとして特定する。
例えば、着目するセグメントが22−1であり、三つの特性コードの組が"CB"、"EE"、"CB"であれば、その三つの特性コードの組は不良品パターンテーブル500の行551に示された不良品コードセットと一致する。そこで、判定部33は、回転子2は不良品であると判定する。さらに判定部33は、その不良原因は、行551に対応するコンミテータ短絡であると特定し、かつ不良箇所はセグメント22−1、22−2間の空隙25−1であると特定する。
判定部33は、回転子2の良否判定結果が得られると、回転子2の良否判定結果を示すメッセージを表示部15に表示させる。また判定部33は、回転子2が不良品であると判定した場合、不良原因及び不良箇所を示すメッセージを表示部15に表示させる。
あるいは、判定部33は、回転子2の良否判定結果、不良原因及び不良箇所を示すメッセージを、通信回線を介して回転子検査装置1に接続された他の機器へ出力してもよい。
以下、図6に示したフローチャートを参照しつつ、本発明の一つの実施形態に係る回転子検査装置1による回転子検査処理について説明する。なお、図6に示される回転子検査処理は、制御部16により制御される。
先ず、制御部16の測定条件設定部31は、着目するセグメントを決定する(ステップS101)。そして制御部16は、着目するセグメント及びその両隣のセグメントのうちの3種類の二つのセグメント間のそれぞれに、周波数を変更しつつ交流信号を印加して、二つのセグメント間の電圧を測定する(ステップS102)。具体的には、測定条件設定部31は、着目するセグメント及びその両隣のセグメントのうちの二つのセグメント間に交流信号を印加するように、マルチプレクサ12に制御信号を送信するとともに、周波数可変発振器11に、周波数を変更しつつ交流信号を出力するよう制御信号を送信する。そして制御部16は、計測部13から交流信号が印加された二つのセグメント間の測定電圧を表す信号を取得する。制御部16は、この手順を、着目するセグメント及びその両隣のセグメントのうちの二つのセグメントの全ての組み合わせについて実行する。測定電圧は、制御部16の特性値算出部32へ渡される。
特性値算出部32は、測定電圧が最大となる周波数を共振周波数として決定する(ステップS103)。また、特性値算出部32は、各周波数における測定電圧から少なくとも一つの特性値を算出する(ステップS104)。さらに特性値算出部32は、少なくとも一つの特性値に基づいて、着目するセグメントに対する特性コードの組を決定する(ステップS105)。特性値算出部32は、特性コードの組を制御部16の判定部33へ渡す。
判定部33は、着目するセグメントに対する特性コードの組が、記憶部14から読み込んだ、着目するセグメントに対応する不良品パターンテーブルに示された何れかの不良品コードセットと一致するか否か判定する(ステップS106)。着目するセグメントに対する特性コードの組が不良品パターンテーブルに示された何れかの不良品コードセットと一致する場合、一致した不良品コードセットに対応する不良箇所及び不良原因を記憶部14に記録する(ステップS107)。
一方、着目するセグメントに対する特性コードの組が不良品パターンテーブルに示された何れの不良品コードセットとも一致しない場合、あるいはステップS107の後、制御部16は、全てのセグメントは着目セグメントに設定されたか否か判定する(ステップS108)。そして、着目セグメントに設定されていないセグメントがあれば、制御部16は、着目セグメントに設定されていないセグメントの中から、着目セグメントを設定する(ステップS109)。そして制御部16は、ステップS102〜S108の処理を繰り返す。
一方、ステップS108において、全てのセグメントが着目セグメントに設定されていれば、制御部16は、記憶部14に記録された不良箇所が有るか否か判定する(ステップS110)。記憶部14に記録された不良箇所がなければ、制御部16は、回転子2は良品であるとの判定結果を出力する(ステップS111)。すなわち、制御部16は、回転子2は良品であるとの判定結果を表すメッセージを表示部15に表示させる。または、制御部16は、回転子2は良品であるとの判定結果を表すメッセージを外部の機器へ出力する。
一方、ステップS110において、記憶部14に記録された不良箇所があれば、制御部16は、回転子2は不良品であるとの判定結果、及び記録された不良原因及び不良箇所を出力する(ステップS112)。すなわち、制御部16は、回転子2は不良品であるとの判定結果、不良原因及び不良箇所を表すメッセージを表示部15に表示させる。または、制御部16は、回転子2は不良品であるとの判定結果、不良原因及び不良箇所を表すメッセージを外部の機器へ出力する。
ステップS111またはS112の後、制御部16は、回転子の検査処理を終了する。
以上説明してきたように、本発明の一つの実施形態に係る回転子検査装置は、検査対象となる回転子の複数のセグメントのうちの二つのセグメント間に、周波数可変な交流信号を印加したときに得られる、その二つのセグメント間の測定電圧を解析することにより、回転子の良否を判断する。特にこの回転子検査装置は、測定電圧から少なくとも一つの特性値を求め、その特性値に対応する特性コードが、予め求めた不良品の特性コードと一致するか否かを調べることにより、回転子の良否を判定するだけでなく、回転子が不良品である場合、その不良原因及び不良箇所を特定することができる。また、この回転子検査装置は、測定電圧から求められた特性値がどのような値の範囲に含まれるか否かの判定と、特性コードの組と不良品コードセットが一致するか否かを調べる簡単な演算処理しか必要としない。したがって、この回転子検査装置は、短時間で回転子が良品か否か判定できるとともに、回転子が不良品の場合には、不良原因及び不良箇所を特定できる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、回転検査装置は、選択された二つのセグメント間の電圧を複数回測定し、複数回測定された電圧の平均値を測定電圧としてもよい。
また、測定電圧から求められる特性値は、上記の例に限られない。特性値は、例えば、共振周波数など、検査対象となる回転子の構造に応じて、回転子が良品である場合と不良品である場合に異なる値となる、適切なものを選択すればよい。また求められる特性値の数も、上記の例に限られない。例えば、共振周波数の測定電圧だけで、回転子の良否が判定可能で、かつ、不良原因も特定できるのであれば、特性値の数は、共振周波数の測定電圧の一つだけでもよい。
さらに、不良品コードセットは、互いに隣接する二つのセグメント間の測定電圧から求められた特性コードの組のみに対応するものであってもよい。
さらに、制御部は、不良品テーブルを参照せずに、回転子の良否を判定し、不良原因及び不良箇所を特定してもよい。この場合、制御部の判定部は、検査対象の回転子についての特性値のそれぞれについて、予め設定され、判定部の機能を有するプログラムに組み込まれた不良品条件に対応する値の範囲に含まれるか否かを調べることにより、回転子が良品か否かを判定する。そして判定部は、何れかの不良品条件が満たされると判定した場合、その不良品条件に関連付けられた不良原因及び不良箇所を、回転子の不良原因及び不良箇所として特定する。
また、他の実施形態によれば、回転子検査装置は、二つのセグメント間の電圧を測定する代わりに、二つのセグメント間に流れる電流を測定し、その測定電流から特性値を求めてもよい。この場合、計測部は、例えば、二つのセグメント間に流れる電流を測定する交流電流計を有し、その交流電流計により測定された電流値を制御部へ渡す。そして制御部は、二つのセグメント間に印加する交流信号の周波数を変えつつ、測定電流値を取得し、得られた測定電流値から、例えば、共振周波数に対応する電流値、電流値の最大値と最小値の差など、少なくとも一つの特性値を算出する。そして制御部は、測定電流値から得られた少なくとも一つの特性値が、予め定められた不良品条件を満たすか否かにより、回転子の良否を判定し、回転子が不良品である場合には、その不良品条件に関連付けられた不良原因及び不良箇所を、回転子の不良原因及び不良箇所として特定する。その際、制御部は、上記の実施形態と同様に、着目するセグメント及びその両隣のセグメントの三つから選択された二つのセグメントの組み合わせのそれぞれについて測定された電流値から求められた特性値の組み合わせについて、不良品条件を満たすかどうか調べてもよい。
上記のように、当業者は、本発明の範囲内で様々な修正を行うことが可能である。
1 回転子検査装置
11 周波数可変発振器
12 マルチプレクサ
13 計測部
14 記憶部
15 表示部
16 制御部
2 回転子
21 回転軸
22−1〜22−6 セグメント
23−1〜23−6 コイル
24−1〜24−6 コンミテータ
25−1〜25−6 空隙
31 測定条件設定部
32 特性値算出部
33 判定部

Claims (4)

  1. コイル(23−1〜23−6)及びコンミテータ(24−1〜24−6)を有するセグメント(22−1〜22−6)が回転軸(21)の周りに複数設けられた回転子(2)の検査装置であって、
    前記複数のセグメントのうちの二つのセグメント間に印加する周波数可変な交流信号を出力する周波数可変発振器(11)と、
    前記交流信号が印加された二つのセグメント間の電圧または電流を測定する計測部(13)と、
    前記交流信号の周波数を変更しつつ測定された前記二つのセグメント間の電圧または電流から少なくとも一つの特性値を算出する特性値算出部(32)と、
    前記少なくとも一つの特性値が予め求められた回転子の不良品に対応する少なくとも一つの不良品条件の何れかを満たす場合、前記回転子は不良品であり、かつ、前記回転子の不良原因及び不良箇所を、当該不良品条件に関連付けられた不良原因及び不良箇所として特定し、一方、前記少なくとも一つの特性値が何れの前記不良品条件も満たさない場合、前記回転子は良品であると判定する判定部(33)と、
    前記不良品条件が満たされる場合に前記少なくとも一つの特性値が含まれる値の範囲に対応する不良品コードが当該特性値について示された不良品コードセットと、該不良品コードセットに対応する回転子の不良原因及び不良箇所を関連付けた不良品パターンテーブルを記憶する記憶部(14)と、を有し、
    前記特性値算出部(32)は、前記少なくとも一つの特性値が含まれる範囲に対応する特性コードを決定し、
    前記判定部(33)は、前記少なくとも一つの特性値に対して決定された前記特性コードが前記不良品パターンテーブルに示された何れかの不良品コードセットと一致する場合、前記回転子は不良品であると判定し、かつ前記回転子の不良原因及び不良箇所を、当該不良品コードセットと関連付けられた不良原因及び不良箇所として特定する
    ことを特徴とする回転子検査装置。
  2. 前記不良品パターンテーブルにおける前記不良品コードセットは、前記複数のセグメントのうちの着目する一つのセグメントと該着目する一つのセグメントの両隣のセグメントから選択した3種類の二つのセグメントの組のそれぞれについての前記不良品コードを含み、
    前記計測部(13)は、前記3種類の二つのセグメントの組のそれぞれについて前記電圧または電流を測定し、
    前記特性値算出部(32)は、前記3種類の二つのセグメントの組のそれぞれについて測定された電圧または電流から前記特性コードを決定し、
    前記判定部(33)は、前記3種類の二つのセグメントの組のそれぞれに対応する前記特性コードの組と前記不良品パターンテーブルに示された各不良品コードセットが一致すするか否か判定する、請求項に記載の回転子検査装置。
  3. 前記少なくとも一つの特性値には、前記電圧の最大値と前記交流信号の周波数変動に伴う前記電圧の変動を示す値が含まれる、請求項1または2に記載の回転子検査装置。
  4. 前記少なくとも一つの特性値には、前記3種類の二つのセグメントの組のそれぞれについて測定された前記電圧の前記交流信号の周波数変動範囲における平均値の偏差が含まれる、請求項に記載の回転子検査装置。
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