JP5347610B2 - 透明導電膜付き基材の製造方法 - Google Patents

透明導電膜付き基材の製造方法 Download PDF

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本発明は、カーボンナノチューブ(以下、CNTと略す。)を導電膜とした透明導電膜付き基材の製造方法に関する。さらに、詳しくは、タッチパネル用途に使用する透明導電膜付き基材に関し、タッチパネル製造における工程において、抵抗値の変化の少ないものを製造する方法に関する。
透明導電膜付き基材の導電膜を形成する有機系材料としては、カーボンナノチューブ(以下、CNTと略す。)と導電性ポリマーが知られている。これらの材料は室温、大気圧下で導電膜の塗布が可能であり、簡易なプロセスで導電膜を形成することができる。また、屈曲性に富むため、柔軟なフィルム上に導電膜を形成する場合であっても、フィルムの屈曲性に追従することができる。さらに、基材にフィルムを用いた場合には導電膜を連続形成できることから、さらなるプロセスコストの低減が可能である。これらの導電膜は、膜厚を薄くすることによって透明性を向上させることができ、特にCNTは黒色のためニュートラルな色調を得ることができる。
CNTは従来、溶媒中への分散が困難であったが、近年、CNTの分散性を高めた組成物として、溶媒およびCNTを含有する組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような分散方法により優れた透明性、導電性を有するCNT透明導電フィルムが得られるようになった。しかし、このようにして得られたCNT透明導電フィルムは周辺環境によって、透明導電性が変化することがある。例えば、特許文献2においては250℃に63時間放置することにより、表面抵抗値が初期値と比較して12%〜47%増加することが記載されている。
このようなCNT透明導電フィルムの用途として、タッチパネルの電極が挙げられる。タッチパネル電極として求められる特性としては、透明導電性、導電層の均一性(リニアリティ)、耐環境特性などが挙げられる。ここでいう耐環境特性とは、特に高温および高温高湿度下での表面抵抗値変化、および光学特性変化(全光線透過率、ヘイズ、色調など)が小さいことである。先に述べたように、CNT透明導電フィルムは、高温環境下で抵抗値が増加する現象が観測されている。しかし、タッチパネル用電極として用いる場合、タッチパネル形成時に導電面に電気回路を形成させるため、絶縁ペーストや銀ペーストを塗布して高温で硬化させる工程が存在する。この硬化温度は一般的に70℃〜170℃程度である。この際、CNT透明導電フィルムの表面抵抗値が上昇し、結果、透明導電性が悪化するため、タッチパネル用電極としての特性が悪くなるという問題があった。この熱処理による抵抗値変化比(熱処理後の表面抵抗値を熱処理前の表面抵抗値で割った値)は、少ないことが好ましいが少なくとも1.2以下であればタッチパネルとしての性能を低下することはない。
特開2005−97499号公報 特開2005−008893号公報
本発明の目的は、高温雰囲気下に暴露した場合でも、抵抗値変化比の小さいCNT透明導電フィルムを提供することにある。
本発明は、上記課題を達成するために、透明導電膜付き基材の製造おいて、次のような製造方法を採用する。
(1)下記工程1及び工程2をこの順に行う製造方法。
工程1: カーボンナノチューブおよびカーボンナノチューブ分散剤としてカルボシキメチルセルロースを含有する塗液を基材に塗布して乾燥した後、オーバーコート層を設ける工程。
工程2: 工程1で基材に塗布された塗布層からカーボンナノチューブ分散剤を除去する工程。
(2)下記工程1及び工程3をこの順に行う製造方法。
工程1: カーボンナノチューブを含有する塗液を基材に塗布して乾燥する工程。
工程3: 工程1で得られた透明導電膜付き基材を70〜170℃の範囲で事前加熱処理する工程。
さらに好ましくは次のような製造方法を採用する。
(3)下記工程1、工程2及び工程3をこの順に行う製造方法。
工程1: カーボンナノチューブおよびカーボンナノチューブ分散剤を含有する塗液を基材に塗布して乾燥する工程。
工程2: 工程1で基材に塗布された塗布層からカーボンナノチューブ分散剤を除去する工程。
工程3: 工程2で得られた透明導電膜付き基材を70〜170℃の範囲で事前加熱処理する工程。
本発明に記載の製造方法を用いれば、透明導電膜付き基材を高温雰囲気にさらす前後での表面抵抗値の変化を小さくすることができる。
流動床縦型反応装置の概略図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明で用いる透明導電膜付き基材は、透明な支持基材にCNT導電層を積層したものである。ここで、透明な支持基材とは可視光の透過率が高い基材を指し、具体的には波長550nmにおける透過率が50%以上のもの、より好ましくは85%以上のものとする。
本発明に用いられる支持基材としては、樹脂、ガラスなどを挙げることができる。厚み250μm以下で巻き取り可能なフィルムであっても、厚み250μmを超える基板であってもよい。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロースなどを挙げることができる。ガラスとしては、通常のソーダガラスを用いることができる。また、これらの複数の基材を組み合わせて用いることもできる。例えば、樹脂とガラスを組み合わせた基材、2種以上の樹脂を積層した基材などの複合基材であってもよい。支持基材の種類は上述に限定されることはなく、用途に応じて透明性や耐久性やコスト等から最適なものを選ぶことができる。
次に、CNT導電層について説明する。本発明におけるCNT導電層はCNTを含んでいればよい。本発明において、CNT導電層に用いられるCNTは、単層CNT、二層CNT、三層以上の多層CNTのいずれでもよい。直径が0.3〜100nm、長さ0.1〜20μm程度のものが好ましく用いられる。CNT導電層の透明性を高め、表面抵抗を低減するためには、直径10nm以下の単層CNT、二層CNTがより好ましい。また、CNTの集合体にはアモルファスカーボンや触媒金属などの不純物は極力含まれないことが好ましい。これら不純物が含まれる場合は、酸処理や加熱処理などによって適宜精製することができる。また、必要に応じて他のナノサイズの導電性材料を添加しても良い。
本発明において、CNT導電層は、CNT分散液を塗布して形成する。CNT分散液を得るには、CNTを溶媒とともに、混合分散機や超音波照射装置によって分散処理を行うことが一般的であり、さらに分散剤を添加することが望ましい。
分散剤としては、CNTが分散できれば限定はないが、CNT分散液を透明基材上に塗布、乾燥させたCNT導電層の基材との密着性、膜の硬度、耐擦過性の点で、合成高分子、天然高分子のポリマーを選択できる。さらに、分散性を損なわない範囲で架橋剤を添加してもよい。
合成高分子は、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセタール基変性ポリビニルアルコール、ブチラール基変性ポリビニルアルコール、シラノール基変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合樹脂、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、変性フェノキシ系樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンである。天然高分子は、例えば、多糖類であるデンプン、プルラン、デキストラン、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、カードラン、キチン、キトサン、セルロースおよびその誘導体から選択できる。誘導体とはエステルやエーテルなどの従来公知の化合物を意味する。これらは、1種または2種以上を混合して用いることができる。中でも、カーボンナノチューブ分散性に優れることから、多糖類ならびにその誘導体が好ましい。さらにセルロースならびにその誘導体が、膜形成能が高く好ましい。中でもエステルやエーテル誘導体が好ましく、具体的には、カルボキシメチルセルロースやその塩などが好適である。
本発明の透明導電膜付き基材において、支持基材に対してCNT導電層が形成されている側の透明導電膜付き基材表面の表面抵抗値は1×10Ω/□以上、1×10Ω/□以下であることが好ましい。この範囲にあることで、タッチパネル用の透明導電膜付き基材として好ましく用いることができる。すなわち、1×10Ω/□以上であれば、透過率を高くかつ消費電力を少なくすることができ、1×10Ω/□以下であれば、タッチパネルの座標読みとりにおける誤差の影響が小さくすることができる。
本発明においてCNT導電層を保護するオーバーコート層を設けることも可能である。CNT導電層上に塗布するオーバーコート材料としては、珪素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムから選択される金属の酸化物、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、スチレン樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ゼラチン、キチン、ポリペプチド、多糖類、ポリヌクレオチド、およびそれらの混合物からなる群より選択される材料が挙げられる。タッチパネル用途としては、その耐環境性、耐擦過性から特に珪素の酸化物を用いることが好ましい。
本発明においては、このオーバーコート材料についても、CNT透明導電フィルム上に塗布して形成することができる。たとえば、珪素の酸化物を作成する場合、メチルシリケート、エチルシリケート、ブチルシリケート、プロピルシリケートなどのシリケートモノマーや、シリケートモノマーを加水分解したシリケートオリゴマーを含む液を加水分解によってシラノールとアルコール成分に分解、この液を基材上に塗布して、乾燥する際にシラノール同士が脱水縮合することで、珪素の酸化物が作成される。
また、基材はCNT導電層を塗布する反対面に耐摩耗性、高表面硬度、耐溶剤性、耐汚染性、耐指紋性等を付与したハードコート処理が施されているものも併せて用いることができる。
CNT塗液、オーバーコート塗布液の塗布方法は特に限定されないが、グラビアコート法、リバースコート法、キスコート法、ダイコート法、およびバーコート法などの方法を用いることができる。この際、基材上には塗布液を塗布する前に、必要に応じて空気中あるいはそのほかの雰囲気中でのコロナ放電処理や、プライマー処理などの表面処理を施すことによって、塗布性が良化するのみならず、液体受容層をより強固に基材上に形成することができる。なお、塗布液濃度、塗膜乾燥条件は特に限定されるものではないが、塗膜乾燥条件は基材の諸特性に悪影響を及ぼさない範囲で行なうことが望ましい。
上記の工程1「CNT及びCNT分散を含有する塗布液を基材に塗布して乾燥する工程」で得られた透明導電膜付き基材をタッチパネル等の電極として用いる場合、透明導電膜付き基材の導電面に電気回路を形成するために、絶縁ペーストや銀ペーストを塗布して70℃〜170℃の高温で硬化させる。この高温での加熱処理の前後において、透明導電膜付き基材の抵抗値が変化してしまう問題が生じる。この加熱処理前後での抵抗値変化を抑えるために、以下の溶媒浸漬処理を行う工程(工程2)、事前加熱処理を行う工程(工程3)の2つの処理のうち少なくとも一つの処理を、透明導電膜付き基材に施す。より好ましくは両方の処理を実施する。さらに好ましくは、溶媒浸漬処理を実施後、事前加熱処理を実施する。なお、以下では耐熱性の指標として、絶縁ペーストや銀ペーストを硬化させる一般的な温度である70℃〜170℃での加熱処理(以下、便宜的に硬化用加熱処理とする)の前後での抵抗値変化比を用いる。ここで、抵抗値変化比とは(硬化用加熱処理後の抵抗値/硬化用加熱処理前の抵抗値)で定義される値である。硬化用加熱処理直後は一時的に抵抗値が上昇しているため、この値の導出に用いる硬化用加熱処理後の抵抗値は、硬化用加熱後、抵抗値が落ち着くまで十分な時間待ったあとの抵抗値である。タッチパネル用途では、一般的にこの抵抗値変化比が1.2以下、より望ましくは1.1以下であることが求められる。
〔溶媒浸漬処理(工程2)〕
透明導電膜付き基材を一定時間溶媒に浸漬させる。透明導電膜付き基材の表面抵抗値が熱処理によって上昇するメカニズムについては不明であるが、CNT分散液作成時にCNT分散のために添加する分散剤によって、硬化用加熱処理後の表面抵抗値の上昇挙動が変わることがわかっており、分散剤を溶解可能な溶媒に浸漬して、分散剤を抽出することで耐熱性が向上すると考えられる。そのため、分散剤を溶解可能ということが溶媒に求められる条件であり、水系分散剤を用いている場合、水を主成分とする水溶液あるいは水であることが好ましい。浸漬時間に関しては、硬化用加熱処理温度にもより、抵抗値変化比が1.2以下となるように浸漬時間を設定すればよいが、最低30秒浸漬する事が望ましい。30秒以上浸漬を行うことで、硬化用加熱処理による抵抗値上昇をより低く抑えることが可能である。ただし、30秒を超えると、溶媒浸漬による抵抗値上昇を低下させる効果が小さくなるので、生産効率の観点から30秒が望ましい浸漬時間である。また、CNTを分散させる分散剤が有機溶媒やアルコールに可溶である場合、この溶媒浸漬処理に用いる溶媒もそれに合わせて選択することが好ましい。
〔事前加熱処理(工程3)〕
CNT透明導電フィルムに熱処理を施す前に、事前に加熱処理を行う。事前に加熱処理を行うことで、硬化用加熱処理によって表面抵抗値上昇を引き起こす化学変化を予め起こし、硬化用加熱処理前と硬化用加熱処理後の抵抗値変化比を、事前加熱処理がない場合と比較して低く抑えることができる。事前加熱温度は、熱処理において起こす化学反応を予め起こすという観点から、硬化用加熱処理温度と同じ温度であることが好ましい。具体的には、一般的な熱硬化銀ペーストや熱硬化型絶縁ペースト時の加熱温度である70℃〜170℃に設定される。事前加熱時間は2分以上が好ましい。
〔溶媒浸漬処理(工程2)と事前加熱処理(工程3)の連続処理〕
溶媒浸漬処理と事前加熱処理を連続的に行う。溶媒浸漬処理と事前加熱処理とを組み合わせることで、タッチパネル上部電極に求められる抵抗値変化比1.2、より良好な条件では1.1以下とすることができ、かつ硬化用加熱処理後の表面抵抗値を可能な限り低くすることができる。この処理方法が、溶媒浸漬処理又は事前加熱処理を単独で行う場合より優れている点は、溶媒浸漬処理後に事前加熱処理を行うと、硬化用加熱処理時の抵抗値上昇が抑えられることに起因する。この理由は明らかでないが、推定として、
・純水浸漬時、硬化用加熱処理時の抵抗値上昇の原因となる分散剤が水中に溶出し、抵抗値上昇が抑えられる。
・分散剤の吸水率が高く、純水処理時にフィルム内に蓄えられた水が硬化用加熱処理時に蒸発する。事前熱処理時、熱が水の蒸発潜熱として使われるため、純水処理がない場合と比較してCNT層の温度が低くなり、抵抗値上昇が抑えられる。
などが考えられる。
また、この溶媒浸漬処理と事前加熱処理の連続処理は、例えば溶媒を満たした浴槽と、溶媒浸漬後に溶媒を除去する乾燥オーブンにフィルムを通し、Roll to Roll方式で行う。このような構成とすることで、溶媒浸漬処理と事前加熱処理を連続的に行うことができ、生産性が上がる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
測定法を以下に示す。
(1)表面抵抗値
5×10cmにサンプリングしたCNT透明導電フィルムの中央部を4端子法で測定した。用いた測定器はダイアインスツルメンツ(株)製の抵抗率計 モデル MCP−T360型、4探針プローブはダイアインスツルメンツ(株)製MCP−TPO3Pを用いた。
(CNT透明導電フィルムの標準サンプル)
まず、CNT透明導電フィルムの標準サンプルを作成する。
CNT透明導電フィルムの標準サンプルは、外部からの擦過などから基材を保護するハードコート(以下HCと略す)層、透明な支持基材、CNT導電層、オーバーコート層をこの順に有する。以下にCNT透明導電フィルムの標準サンプルの作製方法を述べる。HC塗工→CNT塗工→オーバーコート層塗工の順番でサンプル作製を行った。
(1)基材
188μmの東レ(株)製 ルミラー(登録商標 U46)を基材として用いた。
(2)HC層
HC層は以下で述べるHC塗液を、マイクログラビア法を用いて基材に塗布する事で得た。
〔HC塗液作成〕
日本化薬(株)製 KAYANOVA(登録商標) FOP1740(固形分濃度82 wt%)を、予め東レダウコーニング(株)製SH 190とトルエンとメチルエチルケトン(MEK)をそれぞれ0.01:2.56:2.56の比で混合させた液で、固形分濃度40%まで希釈したものを用いた。
〔塗工条件〕
・グラビア線番:70R
・ライン速度:10 m/min
・ライン速度に対するグラビア回転速度比:100%
・乾燥温度:80℃
・UV照射:メタルハライドランプ、160 W
このようにして得られたHC層は、膜厚5〜6 μmであった。
(3)CNT層
CNT層は以下で作成法を述べるCNT塗液を、マイクログラビア法を用いて基材に塗布した。
〔CNT塗液作成〕
クエン酸アンモニウム鉄(緑色)(和光純薬工業社製)2.459gをメタノール(関東化学社製)500mLに溶解した。この溶液に、軽質マグネシア(岩谷社製)を100g加え、室温で60分間攪拌し、40℃から60℃で攪拌しながら減圧乾燥してメタノールを除去し、軽質マグネシア粉末に金属塩が担持された触媒を得た。
流動床縦型反応装置でCNTを合成した。図1は前記流動床縦型反応装置の概略図である。
反応器100は内径32mm、長さは1200mmの円筒形石英管である。中央部に石英焼結板101を具備し、石英管下方部には、不活性ガスおよび原料ガス供給ライン104、上部には廃ガスライン105および、触媒投入ライン103を具備する。さらに、反応器を任意温度に保持できるように、反応器の円周を取り囲む加熱器106を具備する。加熱器106には装置内の流動状態が確認できるよう点検口107が設けられている。
触媒12gを取り、密閉型触媒供給器102から触媒投入ライン103を通して、石英焼結板101上に参考例1で示した触媒108をセットした。次いで、原料ガス供給ライン104からアルゴンガスを1000mL/分で供給開始した。反応器内をアルゴンガス雰囲気下とした後、温度を850℃に加熱した。
850℃に到達した後、温度を保持し、原料ガス供給ライン104のアルゴン流量を2000mL/分に上げ、石英焼結板上の固体触媒の流動化を開始させた。加熱炉点検口107から流動化を確認した後、さらにメタンを95mL/分で反応器に供給開始した。該混合ガスを90分供給した後、アルゴンガスのみの流通に切り替え、合成を終了させた。
加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器から触媒とCNTを含有するCNT組成物を取り出した。
上記で示した触媒付きCNT組成物23.4gを磁性皿に取り、予め446℃まで加熱しておいたマッフル炉(ヤマト科学社製、FP41)にて大気下、446℃で2時間加熱した後、マッフル炉から取り出した。次に、触媒を除去するため、CNT組成物を6Nの塩酸水溶液に添加し、室温で1時間攪拌した。濾過して得られた回収物を、さらに6Nの塩酸水溶液に添加し、室温で1時間攪拌した。これを濾過し、数回水洗した後、濾過物を120℃のオーブンで一晩乾燥することでマグネシアおよび金属が除去されたCNT組成物を57.1mg得ることができ、上記操作を繰り返すことによりマグネシアおよび金属が除去されたCNT組成物を500mg用意した。
一方、マッフル炉で消失した炭素量を調べるため、マッフル炉で加熱していない触媒付きのCNT組成物5.2gを6Nの塩酸水溶液に添加し、室温で1時間攪拌した。濾過して得られた回収物を、さらに6Nの塩酸水溶液に添加し、室温で1時間攪拌した。これを濾過し、数回水洗した後、濾過物を120℃のオーブンで一晩乾燥してCNT組成物が107.2mg得られた。
次に、マッフル炉で加熱して触媒を取り除いたCNT組成物80mgを濃硝酸(和光純薬工業社製 1級 Assay60〜61%)27mLに添加し、130℃のオイルバスで5時間攪拌しながら加熱した。加熱攪拌終了後、CNTを含む硝酸溶液をろ過し、蒸留水で水洗後、水を含んだウエット状態のままCNT組成物を得た。
50mLの容器にCNT10mg(乾燥時換算)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCNa)(シグマ社製90kDa,50−200cps)10mgを量りとり、蒸留水を加え10gにし、超音波ホモジナイザー出力20W、20分間で氷冷下分散処理しCNT塗液を調製した。得られた液を高速遠心分離機にて10000G、15分遠心し、上清9mLを得た。
同様の操作を複数回繰り返し、塗工可能な量のCNT塗液を得た。このCNT塗液を基材に以下の条件で塗布した。塗布面は(2)でのべたHC層の裏面である。
〔塗工条件〕
・グラビア線番:150UR
・ライン速度:18 m/min
・ライン速度に対するグラビア回転速度比:80 %
・乾燥温度:100℃。
(4)オーバーコート層
オーバーコート層は以下で作成法を述べるCNT被覆液を、マイクログラビア法を用いて基材(3)のCNT層上に塗布した。
〔オーバーコート層用塗液作成〕
100mLポリ容器中に、エタノール20gを入れ、n−-ブチルシリケート40gを添加し30分間撹拌した。その後、0.1N塩酸水溶液を10g添加した後2時間撹拌を行い4℃で保管した。翌日、この溶液をトルエンとイソプロピルアルコールとメチルエチルケトンの混合液で固形分濃度が1.0wt%となるように希釈した。同様の操作を複数回繰り返し、塗工可能な量のオーバーコート層塗液を得た。
〔塗工条件〕
・グラビア線番:120UR
・ライン速度:18 m/min
・ライン速度に対するグラビア回転速度比:120 %
・乾燥温度:115℃。
このようにして得られたCNT透明導電フィルムの標準サンプルは、場所によってばらつきはあるものの、概ね表面抵抗値800〜1000Ω/□、全光線透過率84〜85%、ヘイズ0.45〜0.55%の性能を持つものであった。
(実施例1)
CNT透明導電フィルムの標準サンプルを純水(電気抵抗率16 MΩ・cm以上、堀場製作所(株)製 微粒子カウンターPLCA−700にて0.5μm以上のパーティクル検出されない)中に30秒、60秒、120秒間浸漬後、常温で自然乾燥させ、合計3水準のCNT透明導電フィルムを得た。
(実施例2)
CNT透明導電フィルムの標準サンプルを、それぞれ30秒、60秒、120秒間純水浸漬した。その後、それぞれのサンプルを、50℃、100℃、150℃3水準温度、2分、15分、30分、3水準時間で晒し、純粋浸漬後の乾燥を兼ねて事前加熱処理を行った。抵抗値が一定値に落ち着くまで、72時間空気中で放置、合計27水準のCNT透明導電フィルムを得た。
(比較例1)
CNT透明導電フィルムの標準サンプルをそのまま用いた。
(参考例1)
CNT透明導電フィルムの標準サンプルを50℃、100℃、150℃で、それぞれ2分、15分、30分の事前加熱処理を行った。その後、抵抗値が一定値に落ち着くまで、72時間空気中で放置し、合計9水準のCNT透明導電フィルムを得た。
上記で得られた実施例、比較例、参考例のサンプルにつき、硬化用加熱処理前の表面抵抗値を測定した。次いで、絶縁ペーストや銀ペーストの硬化を模して150℃、30分間の硬化用加熱処理を行った。硬化用加熱処理完了直後から表面抵抗値は徐々に低下し、68時間後には抵抗値の変化はほぼなくなる。そこで、硬化用加熱処理完了から68〜72時間後の表面抵抗値を測定し、硬化用加熱処理後の表面抵抗値とした。そして、下記式より硬化用加熱処理前後の表面抵抗値の変化比を算出した。
・硬化用加熱処理前後の表面抵抗値の変化比=硬化用加熱処理後の表面抵抗値(Ω/□)/硬化用加熱処理前の表面抵抗値(Ω/□)。
Figure 0005347610
(*1)硬化用加熱処理前表面抵抗値:
・実施例1は工程2の後の表面抵抗値
・実施例2、参考例1は工程3完了から24時間後の表面抵抗値
・比較例1は工程1の後の表面抵抗値
(*2)硬化用加熱処理後表面抵抗値
・実施例1、比較例1は硬化用加熱処理完了から68時間後の表面抵抗値
・実施例2、参考例1は硬化用加熱処理完了から72時間後の表面抵抗値。
実施例1と比較例1とを比較すると、純水での溶媒浸漬処理(工程2)を行うことで硬化用加熱処理前後の抵抗値変化比が大幅に低下していることが分かる。
また、実施例1の結果より、抵抗値変化比は純水での溶媒浸漬を30秒以上行ってもより低下する傾向にあるわけではなく、抵抗値上昇を抑える目的であれば少なくとも30秒行えばよいことがわかる。
実施例1と実施例2とを比較すると、純水での浸漬処理(工程2)を行った後に、熱処理と同じ温度である150℃での事前加熱処理(工程3)を行うと、より抵抗値変化比を抑えられることが分かる。
また、実施例2の結果より、事前加熱処理(工程3)の加熱温度を高くするほど、加熱時間を長くするほどおおむね抵抗値変化比を抑えられることが分かる。
実施例2と参考例1とを比較すると、事前加熱処理(工程3)を単独で行うよりも、純水での溶媒浸漬処理(工程2)と事前加熱処理(工程3)とを両方行った方が、おおむね抵抗値変化比を抑えられることが分かる。
参考例1と比較例1とを比較すると、事前加熱処理(工程3)のみを行うだけでも、抵抗値変化比の抑制には効果があることが分かる。
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で種々の変更を行うことができる。本実施例で述べたCNTの製造方法は一例であり、例えばアーク法やレーザーアブレーション法など、その他の方法で作られたCNTにも本発明の思想を適用することが可能である。また、硬化用加熱処理温度、時間として150℃、30分という、絶縁ペーストや銀ペーストの硬化条件として一般的な条件を前提において、最適な純水浸漬条件、事前加熱処理条件について述べてきたが、この条件が変われば実施例で述べた具体的な温度、時間が変わる可能性がある。これについては、今回の実施例で述べた数値の導出方法に本発明の要旨があり、具体的な数値はあくまで今回の実験条件に応じて導出したものである。また、今回、事前処理液として、所定の基準を満たす純水を選定したが、この基準に限るものではなく、CNT以外の組成物を除去する効果を持つものであれば、今回以上の不純物(イオン、有機物など)を含有する水、硫酸や硝酸などの水溶液、アルコールなども事前処理液として用いることが可能である。
1 反応器
2 触媒を置く台
3 触媒
4 触媒以外の物体と触媒の混合物
5 触媒
100 反応器
101 石英焼結板
102 密閉型触媒供給機
103 触媒投入ライン
104 原料ガス供給ライン
105 廃ガスライン
106 加熱器
107 点検口
108 触媒

Claims (4)

  1. 下記工程1及び工程2をこの順に行う透明導電膜付き基材の製造方法。
    工程1: カーボンナノチューブおよびカーボンナノチューブ分散剤としてカルボシキメチルセルロースを含有する塗液を基材に塗布して乾燥した後、オーバーコート層を設ける工程。
    工程2: 工程1で基材に塗布された塗布層からカーボンナノチューブ分散剤を除去する工程。
  2. 前記工程2が、前記基材に塗布された塗布層を、前記カーボンナノチューブ分散剤を抽出可能な液体に浸漬する方法である請求項1に記載の透明導電膜付き基材の製造方法。
  3. 前記液体の浸漬時間が30秒以上である請求項1又は2に記載の透明導電膜付き基材の製造方法。
  4. 前記工程2に次いで、下記工程3を行う請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電膜付き基材の製造方法。
    工程3: 工程2で得られた透明導電膜付き基材を70〜170℃の範囲で事前加熱処理する工程。
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