JP5345917B2 - 液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5345917B2
JP5345917B2 JP2009231733A JP2009231733A JP5345917B2 JP 5345917 B2 JP5345917 B2 JP 5345917B2 JP 2009231733 A JP2009231733 A JP 2009231733A JP 2009231733 A JP2009231733 A JP 2009231733A JP 5345917 B2 JP5345917 B2 JP 5345917B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
interlayer insulating
insulating film
film
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009231733A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011082681A (ja
Inventor
高見 新川
慶一 菱沼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2009231733A priority Critical patent/JP5345917B2/ja
Publication of JP2011082681A publication Critical patent/JP2011082681A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5345917B2 publication Critical patent/JP5345917B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Micromachines (AREA)
  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、液体吐出装置(インクジェット式記録ヘッド)に関するものである。
近年、高性能な圧電体膜を利用したMEMSデバイスの開発が盛んに行われている。MEMSデバイスとしては、ダイアフラム(振動板)を備えたデバイス基板上に下部電極、圧電体膜および上部電極が順次積層されてなる圧電素子を設けた構成の圧電デバイスが知られている。圧電デバイスは、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力室の一部を構成するダイアフラム上に圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドや、ダイアフラムの振動を圧電素子からの電気信号として検知する圧電センサなどへの適用が検討されている。
このような圧電デバイスにおいては、圧電体膜への電圧の印加やダイアフラムの振動による絶縁破壊、放電、応力集中などにより圧電素子が破壊されるという問題があり、圧電デバイスの故障要因となっている。特許文献1および特許文献2等には、インクジェット式記録ヘッド(液滴吐出装置)における、このような圧電素子の破壊を抑制する方法が提案されている。
特許文献1は、圧力室上の圧電体膜に電界を与えるために圧力室上の上下電極から圧力室の周壁上にそれぞれ引き出した電極(電気配線)間に層間絶縁膜を設け、かかる層間絶縁膜によってダイアフラムの縁部が補強されることにより、ダイアフラムの駆動による破壊を防止することができる構成が開示されている。
特許文献2は、圧力室上(ダイアフラムの変位に関わる領域上)にのみ圧電体膜が設けられた構成の圧電素子を備えた場合において、圧電体膜の厚み分の上部電極と下部電極間の高低差に起因する金属配線の引き回しにおける段差が生じるために、局所的な配線幅の減少(細り)および断線が生じうるという問題に対し、ダイアフラムの変位に関わらない領域にも圧電体膜を配置することにより、金属配線の段差を減らし、金属配線の断線を抑制することができる構成が提案されている。また、特許文献2には、ダイアフラムの変位に寄与しない領域の圧電体膜と上部電極側配線との間に絶縁層を設けることにより、寄生容量を減らすことができる旨開示されている。
特開2000−37868号公報 特開2006−321059号公報
本発明者らは、ダイアフラム上に設けられた圧電素子の故障について、種々検討を行って、以下の知見を得た。
複数の圧電素子に亘って一様な圧電体膜を備えた圧電デバイスにおいては、基板10のダイアフラム構造60上のみならず、ダイアフラム61の振動に寄与しない部分にも圧電体膜30が設けられている(図9A参照)。このとき、圧電素子35を駆動すると、ダイアフラム構造60上のみならず、圧電体膜の全域に亘って圧電体膜の破壊が生じる可能性があり、ダイアフラムの振動に寄与しない部分での圧電体膜の破壊によっても、デバイスの故障となる場合があることがわかった。なお、図9A〜図9Cにおいては、圧電素子の破壊部99を模式的に示している。
そこで、特許文献2に記載のように、ダイアフラムの振動に寄与しない領域において圧電体膜30と上部電極50との間に絶縁膜40Bを挿入することが考えられる(図9B)。しかしながら、図9Bに示すように、層間絶縁膜40Bを設けた場合、圧電体膜30上に設けられた層間絶縁膜40Bの膜厚分かさ上げされるため、層間絶縁膜40Bが設けられない領域の電極形成面と、層間絶縁膜40B上の電極形成面との間に段差が生じ、該電極形成面に形成される電極50にも段差が生じる。これは、特許文献1に記載の構成の圧電素子において、ダイアフラム縁部において上下電極間に絶縁膜を設けた場合にも同様である。かかる電極の段差の近傍では、圧電素子の破壊が起きやすかった。
そこで、図9Cに示すように、上部電極の段差をなくすため、ダイアフラム構造60の周壁からダイアフラム構造の外側に向けて徐々に厚くなるテーパー状の層間絶縁膜40Cを設け、上部電極50が形成される面をゆるやかな傾斜面を含むものとなるように構成することが考えられる。しかし、テーパー状の層間絶縁膜50の膜厚の薄い部分でやはり圧電素子の破壊が起こりやすく、十分に圧電デバイスの故障を抑制することはできなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、圧電素子の破壊発生を抑制して耐久性を向上させた圧電デバイスを提供することを目的とするものである。
本発明の圧電デバイスは、ダイアフラム構造を備えた基板上に、下部電極、圧電体膜、および上部電極がこの順に形成されてなる圧電デバイスであって、前記基板上の前記ダイアフラム構造に対応する所定領域を除く領域において、対向して設けられている前記下部電極と前記上部電極との間に、層間絶縁膜が設けられ、前記上部電極の形成される面が平面であることを特徴とするものである。かかる「ダイアフラム構造に対応する所定領域」とは、ダイアフラムを変位させるために十分な駆動力を発生する圧電素子を形成することができる領域をいい、言い換えると、その所定領域に形成された圧電素子への電圧の印加により、ダイアフラムが変位するために十分な駆動力を発生しうるような領域を意味する。ここでいう「平面」とは、表面が平らな面であり、曲面でなく、凹凸や段差のない面をいい、上部電極の厚みdに対して、表面粗さである中心線平均粗さRaの大きさが小さいことを意味する。好ましくは、Ra/dが0.1以下であることが望ましい。
また、前記所定領域の面積と前記ダイアフラム構造の開口面積との比は、0.2以上1.2以下であることが望ましい。
また、本発明の圧電デバイスに備えられた、前記層間絶縁膜は、前記圧電体膜の一部に埋め込まれていてもよい。すなわち、基板上のダイアフラム構造に対応する所定領域を除く領域において、前記層間絶縁膜が、前記下部電極と前記上部電極との間に、前記圧電体膜と積層配置されるように設けられていてもよい。
さらに、前記上部電極と前記下部電極との間に前記層間絶縁膜と前記圧電体膜とが積層されてなる構成である場合、前記層間絶縁膜が設けられた領域の前記圧電体膜にかかる電圧が、前記層間絶縁膜が設けられていない領域にかかる電圧の1/10以下となることが好ましい。
また、本発明の圧電デバイスの前記ダイアフラム構造に対応する所定領域を除く領域において、前記上部電極と前記下部電極の間に前記層間絶縁膜のみが設けられていてもよい。すなわち、基板上のダイアフラム構造に対応する所定領域を除く領域においては、前記圧電体膜を備えず、層間絶縁膜のみが設けられるように構成されていてもよい。
また、本発明の圧電デバイスは、前記基板の下面に、前記ダイアフラム構造により構成される空間と連通する小孔を備えた薄板をさらに備え、前記空間が圧力室を構成し、前記小孔が前記圧力室内の液体を外部に吐出する液体吐出口を構成してなる液体吐出装置であってもよい。
また、本発明の圧電デバイスは、前記上部電極と前記下部電極との間に電圧を印加して前記圧電体膜を駆動させることにより圧力波を発生させるとともに、該圧力波の反射波を検知する超音波トランスデューサーであってもよい。
本発明の圧電デバイスは、前記上部電極が形成される面が平面であるので、電極の凹凸や段差近傍において圧電素子の破壊発生を抑制することができ、その結果圧電デバイスの耐久性を向上させることができる。また、層間絶縁膜がダイアフラム構造に対応する所定領域を除く領域において、対向して設けられている下部電極と上部電極との間に設けられているので、層間絶縁膜が設けられている領域の圧電体膜に印加される電圧を低減することができるため、ダイアフラムを変位させるために十分な駆動力を発生する圧電素子を形成する領域以外の領域における圧電体膜の絶縁破壊やリーク等の素子破壊を抑制することができ、圧電デバイスの耐久性を向上させることができる。
さらに、前記上部電極と前記下部電極との間に前記層間絶縁膜と前記圧電体膜とが積層されてなる構成である場合において、前記層間絶縁膜が設けられた領域の前記圧電体膜にかかる電圧が、前記層間絶縁膜が設けられていない領域の圧電体膜にかかる電圧の1/10以下となる場合には、所定領域を除く領域に電圧が印加されるのを十分抑制することができるため、所定領域を除く領域における圧電素子の破壊を抑制することができ、圧電デバイスの耐久性を向上させることができる。
第1の実施形態の圧電デバイスの切断部端面図 図1Aの圧電デバイスの平面図 第1の実施形態の変形例の圧電デバイスの切断部端面図 図2Aの圧電デバイスの平面図 第1の実施形態の圧電デバイスの製造工程を示す断面図(その1) 第1の実施形態の圧電デバイスの製造工程を示す断面図(その2) 第1の実施形態の圧電デバイスの製造工程を示す断面図(その3) 第1の実施形態の圧電デバイスの製造工程を示す断面図(その4) 第1の実施形態の圧電デバイスの製造工程を示す断面図(その5) 第1の実施形態の圧電デバイスの製造工程を示す断面図(その6) 第1の実施形態の変形例を示す圧電デバイスの断面図 第2の実施形態の圧電デバイスであるインクジェットヘッドの要部平面図 図5Aの圧電デバイスの5B−5B断面図 第2の実施形態の圧電デバイスを備えたインクジェット式記録装置の概略構成を示す図 図6のインクジェット式記録装置の部分上面図 第3の実施形態の圧電デバイスであるpMUTの要部の断面図 比較例1の断面図 比較例2の断面図 比較例3の断面図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施形態の圧電デバイス>
本発明の第1の実施形態のMEMS圧電デバイス1について説明する。図1Aは本発明に係る第1の実施形態の圧電デバイスの切断部端面図(圧電素子の厚み方向の切断部端面図)、図1Bは図1Aに示す圧電デバイス1の平面図であり、図1Bの1A−1Aにおける切断部端面図が図1Aに相当する。図2Aは本発明に係る第1の実施形態の変形例の圧電デバイス11の切断部端面図(圧電素子の厚み方向の切断部端面図)である。図2Aに示す圧電デバイス11は、図1Aに示す圧電デバイス1と層間絶縁膜40の形成範囲のみが相違する。図2Bは図2Aに示す圧電デバイス11の平面図であり、図2Aは、図2Bの2A−2Aにおける切断部端面図に相当する。図3A〜図3Fは圧電デバイスの製造工程を示す断面図である。視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。
本発明の第一の実施形態の圧電デバイス1は、ダイアフラム構造60を備えた基板10上に下部電極20、圧電体膜30、および上部電極50がこの順に積層され、基板10上のダイアフラム構造60に対応する所定領域を除く領域において、対向して設けられている下部電極20と上部電極50の間に層間絶縁膜40が設けられ、上部電極50が形成される面が平面とされた構成である。なお、本実施形態の圧電デバイス1において、ダイアフラム61を駆動する圧電素子35は、下部電極20、上部電極50、圧電体膜30から構成されている。
基板10に備えられたダイアフラム構造60は、基板表面に設けられた、基板10の厚みに対して十分に薄いダイアフラム(振動板)61と、そのダイアフラム61を支持する周壁62を構成する基板部分とからなる。ダイアフラム61上に設けられている圧電素子35を駆動する、すなわち、圧電体膜30に対して、下部電極20と上部電極50とにより厚み方向に電圧が印加されることにより、圧電体膜30を伸縮させ、この伸縮の結果ダイアフラムを凹凸変位させてアクチュエータとして用いることができる。あるいは、ダイアフラム61の凹凸変位により、下部電極20、上部電極50間に生じる電位差に基づく電気信号を検知するセンサとして用いることができる。
基板10としては、ダイアフラム構造60を含むものであれば、その材料に特に制限なく、シリコン、ガラス、ステンレス(SUS)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)、アルミナ、サファイヤ、シリコンカーバイド等の基板が挙げられる。また、SOI基板等の積層基板を用いてもよい。
下部電極20の主成分としては特に制限なく、Au,Pt,Ir,IrO,RuO,LaNiO,及びSrRuO等の金属又は金属酸化物、及びこれらの組合せが挙げられる。
上部電極50の主成分としては特に制限なく、下部電極20で例示した材料、Al,Ta,Cr,及びCu等の一般的に半導体プロセスで用いられている電極材料、及びこれらの組合せが挙げられる。下部電極20と上部電極50の厚みは特に制限なく、50〜500nmであることが好ましい。
圧電体膜30の組成は特に制限されず、既知のいかなる圧電体により構成されていてもよい。なお、下記一般式(P)で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物からなる(不可避不純物を含んでいてもよい)圧電体は、圧電特性が良好であり好ましい。
一般式ABO・・・(P)
(A:Aサイトの元素であり、Pb,Ba,Sr,Bi,Li,Na,Ca,Cd,Mg,K,及びランタニド元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む。
B:Bサイトの元素であり、Ti,Zr,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Mg,Sc,Co,Cu,In,Sn,Ga,Zn,Cd,Fe,Ni,Hf,及びAlからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む。
O:酸素。
Aサイト元素とBサイト元素と酸素元素のモル比は1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
圧電体膜30の成膜方法は特に制限されず、スパッタ法、プラズマCVD法、MOCVD法、及びPLD法等の気相法;ゾルゲル法及び有機金属分解法等の液相法;及びエアロゾルデポジション法等が挙げられる。電極および圧電体膜を直接構造体に成膜することが量産、歩留まり向上の観点から好ましい。なお、圧電体膜のスパッタリングに際しては、例えば、特開2008−081801号公報、特開2008−081802号公報、特開2008−106703号公報等に記載の成膜条件を用い、特開2008−081803号公報に記載のスパッタ装置を用いることができる。
層間絶縁膜40は、基板10上のダイアフラム構造60に対応する所定領域41Aを除く領域において、下部電極20と上部電極50との間に設けられる。本実施形態においては、層間絶縁膜40は、図1Aに示すように圧電体膜30の上層部(上部電極50との隣接部)に埋め込まれている。なお、ここでは、層間絶縁膜40は、図1Bに示すように、ダイアフラム構造60の開口領域63の周縁より外側の領域に形成されている。すなわち、本実施形態においては、ダイアフラム構造60の開口領域63を含み、該開口領域63より広い領域がダイアフラム構造に対応する所定領域41Aに相当し、層間絶縁膜40は、この所定領域41Aを除く領域に形成されている。本実施形態において、上下電極間に電圧を印加する際、層間絶縁膜40により実効的な上部電極サイズが規定される。すなわち、層間絶縁層が形成されない、前述のダイアフラム構造に対応する所定領域41Aは、実効的な上部電極サイズに相当する。この所定領域41Aは、ダイアフラム構造60のダイアフラム61を変位させるために十分な駆動力を生じる圧電素子を、ダイアフラム構造上に構成しうるサイズの領域であればよい。従って、層間絶縁膜40の形成範囲は、ダイアフラム構造60に対応する所定領域41Aを除く領域、即ち、ダイアフラム61を変位させるために十分な駆動力を発生する圧電素子を形成できる領域を除く領域であればよく、言い換えると、その所定領域41Aに形成された圧電素子への電圧の印加に応じて、ダイアフラム61が変位するために十分な駆動力を発生しうる領域を除く領域であればよい。
かかる条件を満たす領域であれば、所定領域41Aは、図1Aおよび図1Bに示すように、ダイアフラム構造60の開口領域63の面積より所定領域41Aの面積が大きくてもよく、図2Aおよび図2Bに示すように、ダイアフラム構造の開口領域63の面積より小さくてもよい。
なお、本発明者らは、本実施形態と同様の構成の圧電デバイスにおいて、所定領域41Aの中心を、ダイアフラム構造の開口領域63の中心位置と一致するものとし、両領域は略相似形であるとして、所定領域41Aの面積A2(すなわち実効的な上部電極サイズ)の開口領域63の面積A1に対する比A2/A1を変化させて、各比毎のダイアフラム61の変位量についてシミュレーションを行った。シミュレーションから比A2/A1が、0.2以上、1.2以下であれば、ダイアフラムを十分に変位させる駆動力を生じさせ得ることが明らかになった。所定領域の面積A2とダイアフラム構造60の開口面積A1との比A2/A1が、0.2よりも小さい場合は、圧電体膜30にダイアフラム61を変位させるために十分な電圧が印加できないため、ダイアフラム61の十分な変位が得られず、1.2よりも大きい場合は、圧電体膜30にダイアフラム61の変位を抑制する応力が発生し変位が低下すると考えられる。なお、さらにこのシミュレーションから比A2/A1は0.4以上0.8以下であることがより好ましく、比A2/A1が0.6であるとき、最大の変位量が得られて最も好ましいという結果が得られた。
なお、ダイアフラム構造の開口領域63の形状は円形状であっても、矩形形状であってもよく、さらに、所定領域41Aの形状も、ダイアフラム61を変位させるために十分な駆動力を発生する圧電素子を形成できる領域であれば特に限定されず、円形状であっても、矩形形状であってもよい。所定領域41Aの形状は、ダイアフラム構造の開口領域63の形状と相似形であることが好ましいが、両領域41Aおよび63の形状は異なっていてもよい。所定領域41Aおよび開口領域63の中心位置がほぼ一致していれば、いずれの場合も両領域41Aおよび63の面積比A2/A1の好ましい範囲は、上記シミュレーション結果で得られたものとほぼ同様であると考えられる。
さらに、図1Aに示すように、層間絶縁膜40は、圧電体膜30の表面の一部除去された領域に埋め込まれるように設けられ、その表面が隣接部の圧電体膜30表面と面一となっている。すなわち、上部電極50が形成される面は、圧電体膜30および層間絶縁膜40により構成される、段差のない平面となっている。
このように、本実施形態の圧電デバイス1は、上部電極50が形成されている面が平面であるので、電極の凹凸や段差部分に起因する圧電素子の破壊を避けることができ、この結果、圧電デバイスの故障を低減し、耐久性を向上させることが可能となる。また、層間絶縁膜40がダイアフラム構造60に対応する所定領域41Aを除く領域のみにおいて備えられているので、ダイアフラム61の変位を大きく妨げることなく、所定領域41Aを除く領域の圧電体膜30にかかる電圧を小さくすることができるため、所定領域41Aを除く領域で圧電素子が破壊されるのを抑制することができる。この結果、圧電デバイスの耐久性を増すことができる。
なお、上部電極50を、圧電デバイス1の図示しない制御回路に電気的に接続する電気配線は、上部電極50と一体的に、圧電体膜および層間絶縁膜の表面により構成される平面に形成されていることが好ましい。この場合、上部電極50およびその電気配線は、段差がなく形成できるため、電極および配線の凹凸や段差部分から生じる圧電素子の破壊を避けることができ、この結果、圧電デバイスの故障を低減することが可能となる。
また、層間絶縁膜40としては、誘電率に特に限定はなく、様々な絶縁体を用いることができる。ただし、誘電率が大きい場合、十分な絶縁効果を得るために層間絶縁膜を誘電率が低い場合よりも厚く設ける必要があるため、圧電体膜をエッチングする厚みが厚くなりエッチング工程の所要時間が長くなるため、圧電体膜の誘電率より小さい誘電率を有する絶縁体が好ましい。絶縁体の材料として、特に限定はなく、例えば、以下に示す無機材料、有機高分子材料を用いることができる。無機材料の例として、SiO、MgO、Al、TiOに例示される単純酸化物、LaAlO・SrTiOに例示される複合酸化物、AlNSiに例示される窒化物があげられる。また、有機高分子材料の例として、ポリイミド、セルロース、SU−8レジストなどのエポキシ系レジスト、などがあげられる。
圧電体膜30の誘電率をε、層間絶縁膜40の誘電率をε、圧電体膜30の厚みをd、層間絶縁膜40の厚みをdとしたとき、層間絶縁膜40が設けられていない領域での圧電体膜30にかかる電圧Vと層間絶縁膜40が設けられた領域での圧電体膜30にかかる電圧Vの割合V/Vは、ε×d/(ε×d+ε×d)で表される。
ここで、圧電体膜30および層間絶縁膜40は、V/V≦1/10となるようにその材料(ε、ε)および厚み(d、d)をそれぞれ決定して形成することが望ましい。この場合、ダイアフラム構造60に対応する所定領域41Aを除く領域の圧電体膜30に加わる電圧を十分に小さくできるため、ダイアフラム構造60に対応する所定領域41Aを除く領域の圧電素子破壊を効果的に抑制し、圧電デバイスの耐久性を増すことができる。一例として、圧電体膜として3.3μmのPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜を設け、層間絶縁膜としてSiOを設けた場合は、層間絶縁膜SiOを100nm以上の厚みになるよう形成することにより、V/V≦1/10を満たすことができ、好ましい。ここで、PZT圧電体膜の誘電率ε1=1200、SiO層間絶縁膜の誘電率ε2=4であるため、V/V=ε×d/(ε×d+ε×d)≦0.0991となって、V/V≦1/10を満たす。
なお、層間絶縁膜40は、必ずしも図1Aに示すようにダイアフラム構造60に対して対称形状に設けられている必要はない。また、層間絶縁膜40は、必ずしもダイアフラム構造に対応する所定領域41Aを除く領域の全領域に設けられる必要はなく、ダイアフラム構造60に対応する所定領域41Aを除く領域の一部だけに設けられたのでもよい。
本実施形態の圧電デバイス1の製造方法の一例を層構成の具体例と共に説明する。
図3Aに示すように、まず、シリコン基板10を用意し、基板10の内部にダイアフラム構造60を、ボッシュ法を用いたドライエッチングにより基板10の裏面側からエッチング形成する。かかるダイアフラム構造60を設けた基板10上に、スパッタ法により、下部電極20および圧電体膜30を成膜する。下部電極20は、一例として、Ti30nm/Ir150nmである。なお、下部電極20上に圧電体膜30を成膜する。圧電体膜30は、一例として、3.3μmのPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜である。
次に、図3Bに示すように、リソグラフィー行程により、層間絶縁膜40の形成領域が開口するようにレジスト80をパターニングする。
また、図3Cに示すように、ドライエッチングにより圧電体膜30をエッチングする。ここで、ドライエッチングのエッチングレートを制御することにより、圧電体膜の厚み方向のエッチング深さを調整することができる。つまり、層間絶縁膜40を形成する領域の深さを調整することができる。上述の例において、圧電体膜として3.3μmのPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜を設け、層間絶縁層として100nmのSiOを設ける場合は、圧電体膜30を100nmμmエッチングする。
図3Dに示すように、スパッタリング法により層間絶縁膜40を成膜する。層間絶縁膜40は、一例としてSiOを用いることができる。ここで層間絶縁膜40は、成膜レートを制御してその表面が圧電体膜30の表面と面一となるよう形成する。
図3Eに示すように、リフトオフ法によりレジスト80およびレジスト80上の層間絶縁膜40を除去する。
ここでは、層間絶縁膜40と圧電体膜30とが平面をなす方法の一例として、層間絶縁膜40の成膜レートを、圧電体膜30と層間絶縁膜40が平面をなす膜厚となるように制御するものとしたが、層間絶縁膜40と圧電体膜30とが平面をなす方法はこれに限られるものでなく、層間絶縁膜40を成膜後、層間絶縁膜40と圧電体膜30とが平面をなすように研磨して表面を均一化しても良い。研磨する行程の一例として、CMP(化学機械研磨、Chemical Mechanical Polishing)行程があげられる。
最後に、図3Fに示すように、圧電体膜30および層間絶縁膜40上に、スパッタ法により上部電極50を形成する。上部電極50は、一例として、Ti30nm/Ir150nmである。
このような製造方法により、上部電極50と圧電体膜30および層間絶縁膜40との境界が平面をなす圧電デバイス1を製造することができる。
なお、上記製造方法により作製した圧電デバイス1と、同様の方法で作製した図9A〜図9Cに示した構成の比較例1〜3の圧電デバイスについて、駆動寿命の評価を行ったところ、本実施形態の構成の圧電デバイス1は、比較例1〜3と比較して寿命が2倍程度に延びることを確認した。
なお、上記実施形態においては、層間絶縁膜40が、圧電体膜30の上層部に埋め込まれるように設けられている形態について説明したが、層間絶縁膜はダイアフラム構造に対応する所定領域41Aを除く領域において、圧電体膜30の一部に埋め込まれていればよく、圧電体膜の下層部(下部電極層に隣接する部分間)に埋め込まれるように設けられてもよい。さらには圧電体膜の層中に埋め込まれるように設けられていてもよい。なお、層間絶縁膜40が圧電体膜30の下層部に埋め込まれるように設けられている場合は、層間絶縁膜40により実効的な下部電極サイズが規定されるため、所定領域41Aの形状は圧電素子35の実効的な下部電極サイズに相当する。層間絶縁膜40が圧電体膜30の層中に設けられている場合は、層間絶縁膜40により圧電素子35の圧電体膜30に電圧が印加される実効的なサイズが規定される。ただし、いずれも場合にも、層間絶縁膜が設けられた領域の圧電体膜表面は、層間絶縁膜が設けられていない領域の圧電体膜表面と面一となるように構成されている必要がある。このように、ダイアフラム構造に対応する所定領域41Aを除く領域における上下電極層間に層間絶縁膜が設けられ、かつ、上部電極が形成される面が平面とされていれば、いずれの場合も上記実施形態と同様の効果を得ることができる。ただし、製造工程上、層間絶縁膜40は上記第1の実施形態のように圧電体膜30の上層部に設けられている方が有利である。
また、ダイアフラム構造に対応する所定領域41Aを除く領域においては、上部電極と下部電極の間に圧電体膜が設けられず、層間絶縁膜のみが設けられていてもよい。このようなダイアフラム構造に対応する所定領域41Aを除く領域の上部電極と下部電極の間に層間絶縁膜のみが設けられている例を、第1実施形態の設計変更例として、図4に示す。
図4に示す圧電デバイス12では、ダイアフラム構造60に対応する所定領域41Aを除く領域の上部電極50と下部電極20の間において、圧電体膜30が設けられることなく、層間絶縁膜40Aのみが設けられているものであり、層間絶縁膜が、圧電体膜30中に埋め込まれるように設けられているものではない。層間絶縁膜40Aは、圧電体膜30と同じ厚みで設けられており、層間絶縁膜40Aと圧電体膜30とは面一となっている。上部電極50は、この層間絶縁膜40Aおよび圧電体膜30の表面からなる平面上に形成されるから、上述の第1の実施形態と同様に、電極の段差に起因する圧電素子の破壊を抑制する効果を得ることができる。
さらに、図4に示す設計変更例の圧電デバイス12では、圧電体膜30が、ダイアフラム構造に対応する所定領域41Aを除く領域に設けられていないことから、所定領域41Aを除く領域を含む全域に圧電体膜30が設けられている第1の実施形態の場合と比較して圧電体膜30が設けられている領域が小さい。圧電体膜30の設けられている領域が小さい程、圧電体膜30が破壊される確率が低くなるため、層間絶縁膜40Aが圧電体膜30と積層して形成される場合よりも、圧電デバイス12の耐久性をさらに高めることができる。
<第2の実施形態の圧電デバイス>
本発明の第2の実施形態の圧電デバイスであるインクジェット式記録ヘッド(液体吐出装置)2について以下に説明する。図5Aはインクジェット式記録ヘッドの要部平面図、図5Bは図5Aのインクジェット式記録ヘッドの5B−5B断面図(圧電素子の厚み方向の断面図)である。
第2の実施形態の圧電デバイスであるインクジェット式記録ヘッド2は、第1の実施形態の圧電デバイス1を適用して構成されたものである。
図5Aにおよび図5B示す如く、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド2は、複数のダイアフラム構造60を内部に備えた基板10と、該基板10上の複数のダイアフラム構造60に亘って一様に形成された下部電極20および圧電体膜30と、圧電体膜30の、ダイアフラム構造60が形成されていない領域に設けられた層間絶縁膜40と、圧電体膜30上に、ダイアフラム構造毎に独立した個別電極として設けられた上部電極50と、基板10の下面に各ダイアフラム構造60により構成される空間とそれぞれ個別に連通する小孔70aを備えた薄板(ノズルプレート)70を備えてなる。層間絶縁膜40は、圧電体膜30の上層部にダイアフラム構造60上の圧電体膜30の表面と面一となるように埋め込まれており、上部電極50は、圧電体膜30および層間絶縁膜40の表面により構成されている平面の上に形成されている。すなわち、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド2は、各ダイアフラム構造60とそれに対応して形成された、下部電極20、圧電体膜30および上部電極50からなる圧電素子35と、ダイアフラム構造60に対応する所定領域を除く領域において圧電体膜30上に設けられた層間絶縁膜40により構成された第1の実施形態の圧電デバイス1が複数一体的に形成された構成を有している。
インクジェット式記録ヘッド2においては、ダイアフラム構造60とノズルプレート70で囲まれた空間が、液体(ここではインク)が充填される圧力室を構成し、小孔70aが圧力室内のインクを外部に吐出する液体吐出口を構成する。さらに、基板10は、圧力室に連通して図示しないインク貯留室からインクを供給する図示しないインク流路を備えている。
また、基板10上には各圧電素子35の上部電極50を駆動するための電源に接続された駆動IC90と、各上部電極50を駆動IC90に電気的に接続する電気配線51を備えている。なお、下部電極20は、図示しない配線によって圧電デバイス1の制御回路に接続されている。ここで、層間絶縁膜40は、圧電体膜30上の電気配線51が形成されている領域にも設けられており、上部電極50および電気配線51は一括して、圧電体膜30と層間絶縁膜40とから構成される段差のない平面上に形成され、段差のない平面状に一体的につながっている。電極および電気配線が一平面上に設けられていることから、電極および電気配線に段差がある場合と比較して、段差部での素子破壊の問題が生じないため、耐久性を向上させることができる。
第1の実施形態の圧電デバイス1における各構成要素と同一名称の構成要素は、その材料、機能についてもほぼ同一であるため、同一部分については詳細な説明を省略する(以下の実施形態において同様)。
インクジェット式記録ヘッド2は、ダイアフラム61上に配置されている圧電体膜30に印加する電界強度を増減させて圧電体膜30を伸縮させ、この伸縮の結果ダイアフラム61を凹凸変位させることにより、圧力室への減加圧がなされ、液体の吐出や吐出量の制御が行われる。インクジェット式記録ヘッド2に備えられた各圧電デバイス1のダイアフラム構造60を構成する空間の開口サイズは、例えば、400μm×800μmであり、このようなダイアフラム構造60を、基板内部にピッチ600μm程度で二次元アレイ状に多数備える。
インクジェット式記録ヘッド2は、図3Aから図3Fに示す圧電デバイス1の製造工程の後に、別途作成した、各ダイアフラム構造60に対応した吐出口70aを有するノズルプレート70を、基板10の裏面に接合することで作製することができる。
本実施形態のインクジェット式記録ヘッド2は、第1の実施形態の圧電デバイス1を備えたものであり、圧電デバイス1と同様に、耐久性向上の効果を得ることができる。複数の圧電デバイス1を備えたインクジェット式記録ヘッド2においては、故障率を減ずる効果が特に著しい。
<インクジェット式記録装置>
図6および図7を参照して、上記実施形態のインクジェット式記録ヘッド2を備えたインクジェット式記録装置100の構成例について説明する。図6は装置全体図であり、図7は部分上面図である。
図示するインクジェット式記録装置100は、インクの色ごとに設けられた複数のインクジェット式記録ヘッド(以下、単に「ヘッド」という)2K,2C,2M,2Yを有する印字部102と、各ヘッド2K,2C,2M,2Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、印字部102のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送する吸着ベルト搬送部122と、印字部102による印字結果を読み取る印字検出部124と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とから概略構成されている。
印字部102をなすヘッド2K,2C,2M,2Yが、各々上記実施形態のインクジェット式記録ヘッド2である。
デカール処理部120では、巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム130により記録紙116に熱が与えられて、デカール処理が実施される。
ロール紙を使用する装置では、図6のように、デカール処理部120の後段に裁断用のカッター128が設けられ、このカッターによってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター128は、記録紙116の搬送路幅以上の長さを有する固定刃128Aと、該固定刃128Aに沿って移動する丸刃128Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃128Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃128Bが配置される。カット紙を使用する装置では、カッター128は不要である。
デカール処理され、カットされた記録紙116は、吸着ベルト搬送部122へと送られる。吸着ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部102のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)となるよう構成されている。
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示略)が形成されている。ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部102のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン170で吸引して負圧にすることによってベルト133上の記録紙116が吸着保持される。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図示略)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図6上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図6の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。
吸着ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部102の上流側に、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後に乾きやすくなる。
印字部102は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図6を参照)。各印字ヘッド2K,2C,2M,2Yは、インクジェット式記録装置100が対象とする最大サイズの記録紙116の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙116の送り方向に沿って上流側から、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したヘッド2K,2C,2M,2Yが配置されている。記録紙116を搬送しつつ各ヘッド2K,2C,2M,2Yからそれぞれ色インクを吐出することにより、記録紙116上にカラー画像が記録される。
印字検出部124は、印字部102の打滴結果を撮像するラインセンサ等からなり、ラインセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まり等の吐出不良を検出する。
印字検出部124の後段には、印字された画像面を乾燥させる加熱ファン等からなる後乾燥部142が設けられている。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けた方が好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
後乾燥部142の後段には、画像表面の光沢度を制御するために、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144では、画像面を加熱しながら、所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で画像面を加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして得られたプリント物は、排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット式記録装置100では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り替える選別手段(図示略)が設けられている。
大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列にプリントする場合には、カッター148を設けて、テスト印字の部分を切り離す構成とすればよい。
インクジェット式記録装置100は、以上のように構成されている。
<第3の実施形態の圧電デバイス>
本発明の第3の実施形態の圧電デバイスである圧電型超微細加工超音波トランスデューサー(pMUT)3について説明する。pMUTは例えば超音波内視鏡スコープの超音波プローブとして使われ、人体内の体腔内壁に向けて超音波を照射し、そのエコー信号から体内の状態を画像化して診断することができる。図8は、本発明に係る第3の実施形態の圧電デバイス3の要部の断面図である。
第3の実施形態の圧電デバイスであるpMUT3は、第1の実施形態の圧電デバイス1を適用して構成されたものである。
本実施形態のpMUT3は、複数のダイアフラム構造60を内部に備えた基板10と、該基板10上の複数のダイアフラム構造60に亘って一様に形成された下部電極20および圧電体膜30と、圧電体膜30の、ダイアフラム構造60が形成されていない領域に設けられた層間絶縁膜40と、圧電体膜30上に、ダイアフラム構造毎に独立した個別電極として設けられた上部電極50とを備えてなる。層間絶縁膜40は、圧電体膜30の上層部にダイアフラム構造60上の圧電体膜30の表面と面一となるように埋め込まれており、上部電極50は、圧電体膜30および層間絶縁膜40の表面により構成されている平面の上に形成されている。
すなわち、本実施形態のpMUT3は、各ダイアフラム構造60とそれに対応して形成された、下部電極20、圧電体膜30および上部電極50からなる圧電素子35と、ダイアフラム構造60に対応する所定領域を除く領域において圧電体膜30上に設けられた層間絶縁膜40により構成された第1の実施形態の圧電デバイス1が複数一体的に形成された構成を有している。これは、第2の実施形態のインクジェット式記録ヘッド2とほぼ同じ構成であり、薄板70を備えない点のみ異なる。また、上部電極50は図示しない配線により、本実施形態のpMUT3の制御回路に電気的に接続される。ここで、層間絶縁膜40は、図示しない配線が設けられている領域にも設けられており、上部電極50および図示しない電気配線は、一括して、圧電体膜30と層間絶縁膜40から構成される段差のない平面上に形成され、一体的につながっている。本実施形態のpMUT3は、第2の実施形態同様、電極50および電気配線(不図示)が一平面上に設けられているから、電極および電気配線に段差がある場合と比較して、段差部での素子破壊の問題が生じず、耐久性を向上させることができる。
この基板10に多数設けられているダイアフラム構造60により構成される空間は、円柱状とされており、基板10裏面における開口形状は、直径Dが200μmの円形である。圧電デバイス3の平面図は表していないが、実際には、5〜10mm角程度の領域に数十〜数百の圧電デバイス1がアレイ状に配置される。なお、pMUT3に備えられた複数の圧電デバイス1の配置は、同心円状に配置した場合には、同一の数であっても、他の配列と比較して解像度を向上させることができ、好ましい。
圧電デバイス3の圧電体膜30は、一例として、2μmのPZT膜である。上記第1の実施形態と同様に、圧電体膜30は、PZTに限定されず、第1の実施形態に示した様々な物質を使用することができる。
上記のpMUT3は、第1の実施形態の圧電デバイス1とほぼ同様の製造方法で製造することができる。
pMUT3は、圧力波としての超音波を発生させ、対象物により反響して戻ってきた圧力波(超音波)を検知するものである。ここで、ダイアフラム61は圧力波を発生するトランスデューサーとして機能すると共に、圧力波を検知するセンサとして機能する。より詳細には、圧電体膜30への電界強度を増減させることにより圧電体膜30を伸縮させて、ダイアフラム61を振動させ、圧力波を発生する。さらに、その反射波(圧力波)によるダイアフラム61の振動に伴い圧電体膜30に力が加えられ、電圧を生じる。圧電体膜30には、ダイアフラム61の変位量に応じた電圧が生じ、この電圧が反響シグナルとして検出される。
pMUT3の各ダイアフラム61から得られた反響シグナルに基づいて映像化することで、対象物の形状を知ることができる。なお、pMUTにおいては、基板上に配置されている圧電素子(基板に形成されているダイアフラム構造)が高密度であればあるほど、映像の解像度が向上する。
本実施形態のpMUT3は、第1の実施形態の圧電デバイス1を備えたものであり、圧電デバイス1と同様に、耐久性向上の効果を得ることができる。複数の圧電デバイス1を備えたpMUT3においては、故障率を減ずる効果が特に著しい。
1 圧電デバイス
2 圧電デバイス(インクジェット式記録ヘッド)
3 圧電デバイス(圧電型超微細加工超音波トランスデューサー)
10 基板
20 下部電極
30 圧電体膜
40 層間絶縁膜
50 上部電極
60 ダイアフラム構造
70 ノズルプレート
80 レジスト
90 駆動IC
100 インクジェット式記録装置

Claims (4)

  1. 複数のダイアフラム構造を備えた基板上の前記複数のダイヤフラム構造にそれぞれ対応する位置に、下部電極、圧電体膜、および上部電極がこの順に形成されてなる圧電素子を複数備え、前記下部電極および前記圧電体膜が前記複数の圧電素子に亘って一様に設けられた液体吐出装置であって、
    前記基板の下面に、前記複数のダイアフラム構造によりそれぞれ構成される複数の空間とそれぞれ連通する複数の小孔を備えた薄板を備え、
    前記複数の空間がそれぞれ圧力室を構成し、前記複数の小孔が前記複数の圧力室内の液体を外部に吐出する液体吐出口をそれぞれ構成してなり、
    前記基板上の前記ダイアフラム構造に対応する所定領域を除く領域において、対向して設けられている前記下部電極と前記上部電極との間に、層間絶縁膜が設けられ、
    前記上部電極の形成される面が平面であることを特徴とする液体吐出装置
  2. 前記所定領域の面積と前記ダイアフラム構造の開口面積との比が、0.2以上1.2以下であることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置
  3. 前記層間絶縁膜が、前記圧電体膜の一部に埋め込まれていることを特徴とする請求項1または2記載の液体吐出装置
  4. 前記層間絶縁膜が設けられた領域の前記圧電体膜にかかる電圧が、前記層間絶縁膜が設けられていない領域にかかる電圧の1/10以下となることを特徴とする請求項3記載の液体吐出装置
JP2009231733A 2009-10-05 2009-10-05 液体吐出装置 Expired - Fee Related JP5345917B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009231733A JP5345917B2 (ja) 2009-10-05 2009-10-05 液体吐出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009231733A JP5345917B2 (ja) 2009-10-05 2009-10-05 液体吐出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011082681A JP2011082681A (ja) 2011-04-21
JP5345917B2 true JP5345917B2 (ja) 2013-11-20

Family

ID=44076307

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009231733A Expired - Fee Related JP5345917B2 (ja) 2009-10-05 2009-10-05 液体吐出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5345917B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5999301B2 (ja) * 2011-02-04 2016-09-28 セイコーエプソン株式会社 圧電素子、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP6016947B2 (ja) * 2012-12-26 2016-10-26 富士フイルム株式会社 ユニモルフ型超音波探触子およびその製造方法
JP6336712B2 (ja) * 2013-01-28 2018-06-06 太陽誘電株式会社 圧電薄膜共振器、フィルタおよびデュプレクサ
JP6299502B2 (ja) * 2014-07-17 2018-03-28 Tdk株式会社 圧電組成物および圧電素子
JP6594619B2 (ja) * 2014-11-14 2019-10-23 太陽誘電株式会社 圧電薄膜共振器、フィルタおよびデュプレクサ
JP6756099B2 (ja) * 2015-11-18 2020-09-16 コニカミノルタ株式会社 アクチュエータ、インクジェットヘッドおよびインクジェット装置
JP7443829B2 (ja) 2020-03-03 2024-03-06 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法
JP7439568B2 (ja) 2020-03-03 2024-02-28 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000085124A (ja) * 1998-09-14 2000-03-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd インクジェットヘッド及びその製造方法
JP2004304704A (ja) * 2003-04-01 2004-10-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd 薄膜音響共振子、及び、薄膜音響共振子回路
JP2008187000A (ja) * 2007-01-30 2008-08-14 Seiko Epson Corp 圧電素子の製造方法、インクジェット式記録ヘッドの製造方法、およびインクジェットプリンターの製造方法
JP5052175B2 (ja) * 2007-03-27 2012-10-17 京セラ株式会社 積層圧電アクチュエータおよび液体吐出ヘッド
JP5279068B2 (ja) * 2008-02-15 2013-09-04 太陽誘電株式会社 圧電薄膜共振子、フィルタ、通信モジュール、および通信装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011082681A (ja) 2011-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5345917B2 (ja) 液体吐出装置
US7527363B2 (en) Discharge head of image forming apparatus with piezoelectric body for generating and sensing pressure
US7652412B2 (en) Piezoelectric actuator, method of manufacturing same, and liquid ejection head
JP4299360B2 (ja) 圧電素子及びそれを用いた液体吐出装置
US20100208007A1 (en) Piezoelectric device, method for producing piezoelectric device, and liquid discharge device
JP2016150471A (ja) 液滴吐出ヘッドおよび画像形成装置
JP2010192721A5 (ja)
US8801152B2 (en) Piezoelectric element, piezoelectric actuator, liquid ejecting head, liquid ejecting apparatus, and method for producing piezoelectric element
JP2009239208A (ja) 圧電アクチュエータの製造方法及び液体吐出ヘッド
JP5265973B2 (ja) 圧電素子及び液体吐出装置
EP2495101A1 (en) Liquid discharge head, liquid discharge apparatus employing the same, and recording device
JP2007123583A (ja) 無機膜基板とその製造方法、圧電素子、インクジェット式記録ヘッド、インクジェット式記録装置
JP2010221420A (ja) 圧電アクチュエータ、圧電アクチュエータの製造方法、液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法及び画像形成装置
JP2011040644A (ja) 柱状構造膜とその成膜方法、圧電素子、液体吐出装置、及び圧電型超音波振動子
JP2014198461A (ja) アクチュエータ素子、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び画像形成装置
JP5058717B2 (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
JP2010241080A (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP5704303B2 (ja) 圧電素子、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置
US7575307B2 (en) Liquid ejection head, method of manufacturing same, and image forming apparatus
JP2010219493A (ja) 圧電体膜とその成膜方法、圧電素子、及び液体吐出装置
JP2010214851A (ja) 液体吐出装置およびインクジェット式記録装置
JP2011049413A (ja) 圧電デバイス
US20090083958A1 (en) Method of manufacturing piezoelectric actuator, liquid ejection head and image forming apparatus
JP5270278B2 (ja) 圧電素子の製造方法
JP2017152554A (ja) 圧電デバイス及び液体噴射ヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
RD15 Notification of revocation of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7435

Effective date: 20110524

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120629

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130528

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130618

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130813

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130815

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5345917

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees