JP5343420B2 - 高光線透過性フッ素樹脂フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、表面に微細パターンを有する、高光透過性フッ素樹脂フィルムに関する。
液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ等のディスプレイの分野では、視認性向上のために、ディスプレイの表面に反射防止処理を行うことが一般的である。反射防止は光透過性を向上させる効果もあり、ディスプレイに使用する部材の透明性向上の観点からも反射防止処理が行われている。また、半導体の微細加工におけるフォトリソグラフィーにおいても、反射防止は重要な技術である。
従来、反射防止技術としては、金属膜の蒸着や反射防止コートを行うか、反射防止フィルムを接着するなどして、反射防止層を設ける方法が一般的であった。
近年、基材表面に微細なパターンを形成する方法として、微細なパターンを有するモールドを、基材に圧着により転写するナノインプリント技術が提案されている。該技術によって基材の表面に微細なパターンを形成することによって、基材の反射率を低下させる反射防止技術が開発されている。
たとえば、透明性成形品の片面に光の波長以下のピッチの無数の微細凹凸を形成して、厚み方向に光の屈折率が変化する反射防止構造を有する反射防止性成形品が開示されている(特許文献1)。
また、凸型または凹型の錐体状をなし、可視光線の波長より短いピッチで配列された第1の微細構造の間に、同じく凸型または凹型の錐体状をなし、上記第1の微細構造よりも小さい底部または開口部を有する第2の微細構造を備えている反射防止性光学構造が開示されている(特許文献2)。
また、含フッ素重合体のフッ素含有量が35重量%以上である含フッ素重合体を含有する熱可塑性樹脂からなる転写層と所望のパターンを有するモールドを圧着させて、該転写層に所望のパターンを形成する工程と、該モールドを該転写層から離脱させる工程とを具備する転写層にパターンを形成する方法が開示されている(特許文献3)。
一方、フッ素重合体樹脂は耐候性や防炎性に優れるため、建築材料や農業ハウス材料またフレキシブル太陽電池カバー材料として用いられている。その中でも特に、成形性、機械強度、透明性に優れたテトラフルオロエチレン/エチレン系共重合体が好ましく用いられている。しかし、農業ハウスでは作物の育成を促進するため、また、太陽電池の用途に対してはその変換効率を改善するため、光の透過性はまだ十分すぎることはなく、更なる透過率の改善が求められている。これまで、コーティング方式による透過率の改良が試みられてきたが、コーティング層のフッ素樹脂に比較した耐候性や、フッ素樹脂に対する接着性は満足できる結果が得られていない。
特表2002−267815号公報 特開2008−90212号公報 特開2006−54300号公報
本発明の目的は、表面に微細パターンを有する、高光透過性フッ素樹脂フィルムを提供する。
本発明者らは、一方または両方の表面に錐体状、半球状、柱状、または放物面体状のいずれかの形状を有する微細な凹部または凸部から構成されるパターンを有し、該パターンのピッチが30nm〜5μmであり、凸部または凹部の幅が30nm〜5μmであり、アスペクト比が0.2〜15とすることによって、可視光線の光透過率が94%以上であり、かつ可視光線の反射率が3%以下である高光透過性フッ素樹脂フィルムが得られることを見出した。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[]である。
[1]フッ素樹脂フィルムの一方または両方の表面に、錐体状、半球状、柱状、または放物面体状のいずれかの形状を有する微細な凹部または凸部から構成される微細パターンを有し、微細パターンのピッチが30nm〜500nmであり、凸部または凹部の幅が30nm〜500nmであり、凸部または凹部のアスペクト比が0.2〜15であり、フィルムの厚さが10〜300μmであり、フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン/エチレン系共重合体またはテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体であって、可視光線の光透過率が94%以上であり、かつ可視光線の反射率が3%以下であることを特徴とする高光透過性フッ素樹脂フィルム。
[2]微細パターンを有する表面の水の接触角が、110°以上であることを特徴とする[1]に記載の高光透過性フッ素樹脂フィルム。
[3][1]または[2]に記載の農業ハウス用高光透過性フッ素樹脂フィルム。
[4][1]または[2]に記載の太陽電池表面材用高光透過性フッ素樹脂フィルム。
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムは、一方または両方の表面に錐体状、半球状、柱状、または放物面体状のいずれかの形状を有する微細な凹部または凸部から構成されるパターンが形成され、該パターンのピッチが30nm〜5μmであり、凸部または凹部の幅が30nm〜5μmであり、アスペクト比が0.2〜15であることによって、可視光線の光透過率が94%以上であり、かつ可視光線の反射率が3%以下となる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
<高光透過性フッ素樹脂フィルム>
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムは、表面に錐体状、半球状、柱状、または放物面体状のいずれかの形状を有する微細な凹部または凸部から構成されるパターンを有する。
(フッ素樹脂)
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムにおけるフッ素樹脂は、フルオロオレフィンの単独重合体もしくはフルオロオレフィンの2種以上の共重合体、または1種以上のフルオロオレフィンと1種以上のその他のモノマーとの共重合体である。
フルオロオレフィンは重合性不飽和結合とフッ素原子とを有するモノマーであり、他に水素原子や塩素原子、酸素原子などを有していてもよい。フルオロオレフィンとしては、たとえばテトラフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンが好ましい。パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、特にパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が好ましい。
その他のモノマーとしては非フッ素系モノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、ブテン、ノルボルネンなどのオレフィン類;シクロヘキシルメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、エチルアリルエーテルなどのアルケニルエーテル類;酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸アリル、バーサチック酸アリルなどのアルケニルエステル類が好ましい。
前記モノマーを重合したフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン/エチレン系共重合体(以下、ETFEという。)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン系共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(以下、FEPという。)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/エチレン系共重合体が好ましい。テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体においては、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体(以下、PFAという。)が好ましい。これらの中でも、加工性および使用されるフィルム物性の面からETFE、PFA、FEP、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
本発明におけるフッ素樹脂のフッ素含有量は、35質量%以上が好ましい。フッ素含有量は、45〜76質量%がより好ましく、50〜76質量%がさらに好ましい。フッ素含有量がこの範囲である場合、離脱工程における高光透過性フッ素樹脂フィルム上の微細パターンの形状が精度良く保持される。
本発明におけるフッ素樹脂は、軟化点を有するものであれば特に限定されない。軟化点とは、フッ素樹脂が非結晶性である場合はガラス転移温度を意味し、フッ素樹脂が結晶性である場合は融点を意味する。
本発明におけるフッ素樹脂の軟化点は、−20〜350℃が好ましく、30〜280℃が特より好ましい。軟化点がこの範囲である場合、圧着工程を円滑に行うことができる。
また、フッ素樹脂の重量平均分子量(MW)は、500〜10000000が好ましく、2000〜2000000がより好ましい。フッ素樹脂の重量平均分子量(MW)がこの範囲である場合、圧着工程におけるパターンの形成性に優れる。
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムは、厚さが10〜300μmであることが好ましい。フィルムの厚さがこの範囲である場合、取扱い性と可視光線の光透過性に優れる。
(微細パターン)
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムは、一方または両方の表面に微細な凹部または凸部から構成される微細パターンを有する。それぞれの表面に形成される微細パターンは同一であっても異なっていてもよい。高光透過性フッ素樹脂フィルムの両方の表面に微細パターンを有する方が、光線透過率は高く、反射率は低い傾向にあるが、製造コストが高くなる傾向にある。微細パターンを、高光透過性フッ素樹脂フィルムの両方の表面に形成するか一方の面に形成するかは、製造の容易さ、製造コスト、フィルムの要求特性などを考慮して決定すればよい。
本発明における微細パターンとは、フィルム表面に穴がある部分(凹部)またはフィルムの表面から立ち上がった部分(凸部)の集合から構成されるものであり、凹部と凸部の両者の集合から構成されていてもよい。通常、フィルム表面に平行な断面積が最も大きい面を基面として、凹部はフィルムの表面から内部に向かう方向に穴の断面積が変化しないか低減する形状を有し、凸部はフィルムの表面から外部に向かう方向に凸を形成する実質(フッ素樹脂からなる)の断面積が変化しないか低減する形状を有する。例えば、円錐状の凹部とは、穴空間が円錐形状をなし、円錐の底面を基面として円錐の頂点がフイルムの深さ方向にある穴をいう。また、例えば、円錐状の凸部とは、フッ素樹脂からなる実質が円錐形状をなし、円錐の底面を基面として円錐の頂点がフィルムの外方向にある突起をいう。
フィルムの微細パターンを有する表面は上記基面の集合を含み、上記基面の集合は通常平滑な1つの面をなす。フィルムの微細パターンを有する表面は、凹部および凸部の基面部と該基面部以外の表面部からなり、凹部および凸部の密度の高い表面では微細パターンを有する表面に対する基面部の総面積の割合が相対的に高い。フィルムの一つの面(表裏二面の一方の面)において、微細パターンを有する表面部はフィルムの微細パターンを有しない表面部と同一面であることが好ましいが、同一でなくてもよい。例えば、他の表面よりもわずかに高い段上に微細パターンを有する表面を形成することができる。
フィルムの微細パターンを有する表面における凹部および凸部の基面の配置は特に限定されない。例えば、直角をなす2方向に基面を多数配置したパターン、60度をなす3方向に基面を多数配置したパターンなどがある。また、ある方向に多数配置された基面における隣接する基面間の距離は一定であることが好ましい。
凹部の穴の形状や凸部の形状としては、光の反射を低く抑える観点から、錐体状、半球状、柱状、または放物面体状のいずれかの形状が適切である。人の手が触れたり、他のものと接触するなどして、形状の実質部の特に先端部分や角の部分が破損することがあるので、適宜破損しにくい形状に変更してもよい。
錐体状の形状は、母線が直線である正確な円錐や、三角錐、四角錐または六角錐等の多角錐の形状だけでなく、先細りとなっていれば、稜線形状が曲線であり、側面が外側に膨らんだ3次元曲面の形状であってもよい。円錐の底面(基面)の形状は、真円に限らず楕円であってもよい。多角錐の形状の底面の多角形は、正多角形に限らず、多角形を構成するそれぞれの辺の長さや角の角度が異なっている形状であってもよい。また、錐状体の形状の頂点に丸みをつけたり平坦にした形状であってもよい。例えば、円錐台や角錐台などの形状であってもよい。頂点をこのような形状とすることによって、成形性や耐破損性が向上する。
半球状の形状は、球を半分に割った半球の形状である。該球は断面が真円のものに限らず、楕円の形状を有する球でもよい。底面(基面)の形状は、真円に限らず楕円であってもよい。
柱状の形状は、円柱、三角柱、または四角柱等の多角柱の形状が好ましい。円柱の形状の底面(基面)の円は、真円に限らず楕円であってもよい。多角柱の形状の底面(基面)の多角形は、正多角形に限らず、多角形を構成するそれぞれの辺の長さや角の角度が異なっている形状であってもよい。また、角や稜線の部分を曲線の形状とすることも好ましい。該形状することによって、成形性や耐破損性が向上する。
放物面体状の形状とは放物線を回転させた軌跡によって描かれる形状である。該形状は成形性や耐破損性、低反射性に優れるためより好ましい。
凸部または凹部の幅は、30nm〜5μmである。反射防止の観点から、可視光線の波長よりも短い間隔であることが好ましく、30nm〜500nmがより好ましく、100nm〜400nmがさらに好ましい。凸部の幅とは、凸部の基面における最大長さを意味する。凹部の幅とは、穴の基面における最大長さを意味する。
凸部の高さは、30nm〜50μmが好ましく、100nm〜600nmがより好ましい。凹部の穴の深さは、30nm〜50μmが好ましく、100nm〜600nmがより好ましい。
本発明における微細パターンのピッチは、30nm〜5μmである。反射防止の観点から、可視光線の波長よりも短い間隔であることが好ましく、30nm〜500nmがより好ましく、100nm〜400nmがさらに好ましい。ピッチとは、ある方向に配置された凹部または凸部において隣接する2つの凹部または凸部の対応位置間の距離を意味し、配置方向によってその距離が異なる場合はその距離が最小となる方向の距離をいう。凹部と凸部が隣接する場合は両者の基面の対応位置間の距離をいうものとする。微細パターンのピッチはほぼ一定であることが好ましい。
本発明における凸部または凹部のアスペクト比は、0.2〜15である。低反射性と成形性の観点から0.5〜5が好ましい。アスペクト比とは、凸部(凹部)の幅に対する凸部(凹部)の高さ(深さ)の比であり、[凸部(凹部)の高さ(深さ)]/[凸部(凹部)の幅]の式で算出できる。
(光透過率、反射率)
本発明において光または光線とは、可視光の波長領域の光や光線を意味する。
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムの可視光線の光透過率および反射率は、その表面の微細パターンによって異なり、たとえばフィルム上に平坦部が多く存在するような構造では、より反射が起こりやすく光透過率は低くなる傾向にある。フィルム上の微細パターンは、フィルムの材質、転写条件、要求特性に応じて、適宜、最適化することが好ましい。
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムは、可視光線の光透過率が94%以上であり、95%以上であることが好ましい。また、可視光線の反射率は3%以下であり、2%以下であることがより好ましい。
(接触角)
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムの水接触角は110°以上であるが、125°以上であることが好ましい。
<高光透過性フッ素樹脂フィルムの製造方法>
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムを製造する方法は特に限定されないが、コストや生産性などを考慮して選択することが好ましい。たとえばホットプレス法、ホットエンボス法、ナノインプリント法、射出成形法などがあげられる。これらの中でも、フィルム上にnmからμmオーダーの微細な形状を生産性よく容易に形成できることから、ナノインプリント法を好適に用いることができる。
ナノインプリント法は、モールド上に形成された微細構造を、基材上に転写するものである。転写方法には、たとえば熱や活性エネルギー線を用いるものがある。
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムの製造においては、フィルムに成形されるフッ素樹脂の特性から、熱による転写方法が好ましい。熱による転写方法は、樹脂を加熱して軟化させ、表面に微細構造を有する金型を押し当てることによって、該樹脂上に微細構造を転写するものである。
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムの製造方法は、フッ素樹脂フィルムおよび/またはフッ素樹脂フィルムの表面に形成すべき微細パターンの反転パターンを有するモールド(以下、単に「モールド」という。)を加熱する工程(以下、「加熱工程」という。)と、該フィルムと該モールドとを圧着し、該モールド上の微細パターンを該フィルム上に転写する工程(以下、「圧着工程」という。)と、該フィルムと該モールドを冷却して、該フィルム上の微細パターンを定着させて、本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムを作製する工程(以下、「冷却工程」という。)と、該モールドから該フィルムを離脱させる工程(以下、「離脱工程」という。)との4つの工程を含む。
[加熱工程]
加熱工程においては、原料フッ素樹脂フィルムおよび/またはモールドを加熱する。原料フッ素樹脂フィルムを加熱する場合は、フッ素樹脂の軟化点以上の温度に加熱することが好ましい。しかし、加熱しすぎるとフッ素樹脂の粘度が低くなりすぎて、圧着工程を円滑に進めることが難しくなることがある。原料フッ素樹脂フィルムを加熱する温度は、軟化点〜(軟化点+60℃)が好ましく、(軟化点+5℃)〜(軟化点+40℃)がより好ましい。
一方、モールドを加熱する場合も、フッ素樹脂の軟化点以上の温度に加熱することが好ましい。モールドを加熱する温度は、軟化点〜(軟化点+60℃)が好ましく、(軟化点+5℃)〜(軟化点+40℃)がより好ましい。この範囲の温度であれば、次の圧着工程において、原料フッ素フィルムの表面に効率的に微細パターンが形成できる。
加熱工程において、原料フッ素樹脂フィルムとモールドのいずれを加熱するか、もしくは両方を加熱するかは、次の圧着工程において、どのように圧着するかによって適宜決定すればよい。
[圧着工程]
圧着工程においては、下記(A)、(B)の二つの方法のいずれかが好ましい。
(A)フッ素樹脂の軟化点以上に加熱したモールドを、原料フッ素樹脂フィルムに圧着させる方法であって、圧着の際、原料フッ素樹脂フィルムは加熱されていても加熱されていなくてもよい圧着工程。
(B)フッ素樹脂の軟化点以上に加熱した原料フッ素樹脂フィルムに、モールドを圧着させる方法であって、圧着の際、モールドは加熱されていても加熱されていなくてもよい圧着工程。
いずれの方法を選択するかは、フッ素樹脂の性質、製造の容易さ、得られる高光透過性フッ素樹脂フィルム上の微細パターンの正確さや製造コストなどを考慮して選択すればよい。(A)、(B)いずれの圧着工程を選択するかによって、加熱工程で加熱すべき対象が決まる。
圧着工程における、原料フッ素樹脂フィルムおよびモールドの温度は、加熱工程によって決まる。圧着の圧力は、モールドの耐久性の観点から、ゲージ圧で、1MPa〜80MPaが好ましく、1MPa〜40MPaがより好ましく、1MPa〜20MPaがさらに好ましい。
[冷却工程]
冷却工程においては、圧着工程で圧着によって原料フッ素樹脂フィルム上に形成された微細パターンを、該フィルムを冷却して軟化点以下とすることによって定着させる。
冷却においては、原料フッ素樹脂フィルムおよびモールドの温度を、フッ素樹脂の軟化点以下の温度とするが好ましく、(フッ素樹脂の軟化温度−10℃)〜(フッ素樹脂の軟化温度−50℃)とすることがより好ましい。この範囲であると、原料フッ素樹脂フィルムに微細パターンが精度よく形成できる。
[離脱工程]
離脱工程においては、高光透過性フッ素樹脂フィルムをモールドから離脱させる。離脱の際の高光透過性フッ素樹脂フィルムおよびモールドの温度は、冷却工程で冷却された温度となる。
円滑に離脱を行うために、予めモールドに離型剤を塗布しておいてもよいが、フッ素樹脂は軟化点が高い場合が多く、離型剤の熱劣化により、得られた高光透過性フッ素樹脂フィルムが黒ずむなどして光透過性が低下してしまうことがある。
一方、フッ素樹脂のフッ素含有量が高い場合には、フッ素樹脂フィルム自体の離型性が良好であるため、離型剤を用いることなく円滑に離脱工程を進めることができる。
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムの製造方法に使用するモールドの材質としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアリレート、エポキシ樹脂等の高分子材料、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、シリコン、アルミナ等の金属類、石英ガラス等のガラス類、サファイヤ、ダイヤモンド、グラッシーカーボンの材料があげられる。モールドの表面は、フッ素樹脂フィルムとの離型性をさらに良好にするために別途ニッケルメッキされていてもよい。
また、微細パターンを有するモールドは高価であることが多い。そこで、高価なモールドの破損などを防止するために、原版となる微細パターンを有するモールドをマスターモールドとして、マスターモールドから複製品であるレプリカのモールドを作成して、該レプリカモールドによってフッ素樹脂フィルムへの微細パターンの形成を行ってもよい。
本発明の高光透過性フッ素樹脂フィルムは、光透過率が高く、光の反射率が低いだけでなく、フッ素樹脂の特徴である、耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気特性にも優れる。このためこれらの諸特性が要求される用途で好適に用いることができる。例えば、ディスプレイ用反射防止フィルム、農業ハウス用フィルム、太陽電池表面材用フィルムなどである。これらの中でも、農業ハウス用フィルム、太陽電池表面材用フィルムとして特に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
例1、2は実施例であり、例3、4は比較例である。
各特性の評価は以下の方法で行った。
高光透過性フッ素樹脂フィルムの製造は、以下の装置、モールドを用いて行った。
ナノインプリント装置:明昌機工株式会社製、ナノインプリンターNM−0401
モールド:反射防止体Si金型原版(商品名、NTT−ATナノファブリケーション株式会社製、モールドサイズ:25mm×25mm、パターン領域:10mm×10mm、凸部の幅:0.3μm、凸部のピッチ:0.3μm、凸部の高さ:0.4μm、凸部のアスペクト比:1.3、凸部の形状:底面が真円の円錐形状)
[凹部の寸法]
凹部の寸法は、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、S−4800)により測長して見積もった。
[反射率、光透過率]
可視光線の反射率および光透過率の測定は、島津製作所社製分光光度計UV3600を用いて行った。
反射率の測定の際には、微細パターンを形成した面とは反対側の面からの反射の影響を抑えるために、裏面に黒色の塗料を塗布した後に、反射率の測定を行った。
[水の接触角]
水の接触角の測定は、協和界面科学社製CA−X150を用いて行った。
[耐候性]
耐候性は、各例において作製したフィルムサンプルを、南向き45°傾斜の屋外暴露台に設置して、30日暴露した後、転写フィルムの汚れの様子を目視で観察することにより評価した。
[例1]
原料フッ素樹脂フィルムとしてETFEフィルム(旭硝子社製、フルオンETFE、80mm×80mm、厚み100μm)を用いた。モールドの上にETFEフィルムを置き、さらにETFEフィルムの上にガラス板を置き、ナノインプリント装置を用いて、圧着を行った。モールドとETFEフィルムを200℃に加熱し、圧力1500Nで5分間挟持した。その後、モールドとETFEフィルムを60℃まで冷却した。モールドとETFEフィルムを、60℃に保持したまま、モールドからETFEフィルムを手で剥離し、フッ素樹脂フィルムサンプル1を得た。
フッ素樹脂フィルムサンプル1について、凹凸形状を有する表面を電子顕微鏡により観察したところ、底面が真円の円錐状からなる凹部の繰り返しパターンが形成されていた。微細パターンのピッチは0.3μmであり、凹部の幅は0.3μmであり、凹部のアスペクト比は1.3であった。
また、フッ素樹脂フィルムサンプル1について、光透過率、反射率、水の接触角、耐候性の評価を行った。結果を表1に示す。
[例2]
例1において、原料フッ素樹脂フィルムとしてETFEフィルムの代わりに、PFAフィルム(旭硝子社製、フルオンPFA、80mm×80mm、厚み50μm)を用いた以外は例1と同様にして、フッ素樹脂フィルムサンプル2を作製した。
フッ素樹脂フィルムサンプル2について、凹凸形状を有する表面を電子顕微鏡により観察したところ、底面が真円の円錐状からなる凹部の繰り返しパターンが形成されていた。微細パターンのピッチは0.3μmであり、凹部の幅は0.3μmであり、凹部のアスペクト比は1.3であった。
フッ素樹脂フィルムサンプル2について、光透過率、反射率、水の接触角、耐候性の評価を行った。結果を表1に示す。
[例3]
原料フッ素樹脂フィルムとして軟質ポリエチレンフィルム(厚み100μm)を用いた。モールドの表面には、あらかじめ、離型剤(ダイキン工業社製、オプツールDSX)を塗布した。
モールドの上にポリエチレンフィルムを置き、さらにポリエチレンフィルムの上にガラス板を置き、ナノインプリント装置を用いて、圧着を行った。モールドとポリエチレンフィルムを100℃に加熱し、圧力1500Nで5分間挟持した。その後、モールドとポリエチレンフィルムを25℃まで冷却した。モールドとポリエチレンフィルムを25℃に保持したまま、モールドからETFEフィルムを手で剥離し、転写ポリエチレンフィルムを得た。
転写ポリエチレンフィルムについて、凹凸形状を有する表面を電子顕微鏡により観察したところ、底面が真円の円錐状からなる凹部の繰り返しパターンが形成されていた。微細パターンのピッチは0.3μmであり、凹部の幅は0.3μmであり、凹部のアスペクト比は1.3であった。
また、転写ポリエチレンフィルムについて、光透過率、反射率、水の接触角、耐候性の評価を行った。結果を表1に示す。
[例4]
比較としてフィルムの表面に微細パターンの形成を行っていない、ETFEフィルム(旭硝子社製、フルオンETFE、80mm×80mm、厚み100μm)について、光透過率、反射率、水の接触角、耐候性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005343420
本発明は、表面に微細パターンを有する、高光透過性フッ素樹脂フィルムを提供する。

Claims (4)

  1. フッ素樹脂フィルムの一方または両方の表面に、錐体状、半球状、柱状、または放物面体状のいずれかの形状を有する微細な凹部または凸部から構成される微細パターンを有し、微細パターンのピッチが30nm〜500nmであり、凸部または凹部の幅が30nm〜500nmであり、凸部または凹部のアスペクト比が0.2〜15であり、フィルムの厚さが10〜300μmであり、フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン/エチレン系共重合体またはテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体であって、可視光線の光透過率が94%以上であり、かつ可視光線の反射率が3%以下であることを特徴とする高光透過性フッ素樹脂フィルム。
  2. 微細パターンを有する表面の水の接触角が、110°以上であることを特徴とする請求項1に記載の高光透過性フッ素樹脂フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の農業ハウス用高光透過性フッ素樹脂フィルム。
  4. 請求項1または2に記載の太陽電池表面材用高光透過性フッ素樹脂フィルム。
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