−本発明の骨子−
本発明者は、強誘電体メモリにおける低電圧動作の実現及び動作速度の向上を図るべく、まず、従来の強誘電体メモリにおける強誘電体膜の厚さと、強誘電体キャパシタの反転電荷量QSW及びその抗電圧Vcとの関係について調査することにした。
本発明者は、従来の製造方法(特許文献2に記載の製造方法)を用いて実際に強誘電体キャパシタを製造し、その反転電荷量QSWと抗電圧Vcの測定を行った。図1にその測定結果を示す。図1(a)は、強誘電体膜の厚さと反転電荷量QSWとの関係を示す特性図であり、図1(b)は、強誘電体膜の厚さと抗電圧Vcとの関係を示す特性図である。
図1(a)において、QSW1(「◆」)及びQSW2(「▲」)は、その平面形状が、長さ50μmの正方形である強誘電体キャパシタの結果を示し、QSW3(「■」)は、平面形状が、長辺の長さ1.60μm、短辺の長さ1.15μmの長方形である強誘電体キャパシタの結果を示している。また、QSW2(「▲」)及びQSW3(「■」)は、上部電極上に配線を形成した後に行った測定の結果を示しており、QSW1(「◆」)は、上部電極上に配線を形成する前に行った測定の結果を示している。なお、図1(a)には、1428個の平均のデータを示している。
図1(b)の抗電圧Vcの測定にあたっては、図36に示す強誘電体キャパシタの印加電圧と分極量との関係を示すヒステリシスループを求め、所定の印加電圧の変化に対する分極量の変化の割合が最も大きい印加電圧を抗電圧Vcとした。図1(b)において、Vc(−)(「◆」)は分極量の変化が負の場合の抗電圧を示し、Vc(+)(「▲」)は分極量の変化が正の場合の抗電圧を示している。また、図1(a)の反転電荷量QSWは、図36に示すヒステリシスループから得られる値P、U、N及びDを用いて、下記の数式1により求めた値である。ここで、Pはプラス方向に電圧を印加した際のキャパシタの最大分極反転量の値、Uはプラス方向に電圧を印加した際のキャパシタの分極非反転量の値、Nは逆方向に電圧を印加した際のキャパシタの最大分極反転量の値、Dは逆方向に電圧を印加した際のキャパシタの分極非反転量の値である。
図1(a)に示す結果から、PZTからなる強誘電体膜の膜厚が薄くなるのに従って反転電荷量QSWが著しく低下していくことが確認された。また、図1(b)に示す結果から、強誘電体膜の膜厚が薄くなるほど、抗電圧Vcの低下の割合が減少することが確認された。
この原因について鋭意検討を重ねた結果、本発明者は、従来の強誘電体キャパシタにおける強誘電体膜とその上に形成される上部電極との積層部分に着目し、従来の製造方法では、上部電極を形成する際に、当該上部電極の材料である酸化イリジウム(IrO2)とPZTからなる強誘電体膜の上部とが反応を起こし、その結果、強誘電体膜の強誘電体特性が低下してしまうということを見出した。
図2は、従来の強誘電体メモリにおける強誘電体キャパシタを示す模式図である。
図2に示すように、従来の製造方法では、Pt等からなる下部電極201上に、PZTからなる強誘電体膜202を厚さdで形成しても、酸化イリジウム(IrO2)からなる上部電極203を形成した後の熱処理等によって、強誘電体膜202と上部電極203との相互反応が生じて、強誘電体膜202と上部電極203との間に界面層204が形成されることが判った。この相互反応によって、強誘電体膜202の厚さdのうち、厚さd1の部分は強誘電体として十分に機能を果たすことができなくなる。
そして、従来の製造方法では、強誘電体膜202上に形成される上部電極203は、成膜時において下部がアモルファス状態となっており、その上に柱状晶が存在することがわかった。そして、回復アニール等の熱処理により、このアモルファス状態の部分が大きな結晶粒となって出現するため、界面層204が比較的厚く形成され、強誘電体として十分に作用しない部分の厚さd1も大きくなる。
本発明者は、この厚さd1が大きくなる結果、反転電荷量QSWの低下が生じるとともに、印加電圧に対する反転電荷量QSWの変化を示すヒステリシスループの立ち上がりが緩くなって、抗電圧Vcを小さくすることが困難になるということを思料した。そして、本発明者は、この厚さd1は、強誘電体膜の厚さdにはほとんど依存しないものであると考えられることから、強誘電体膜202の厚さdが薄くなるほど、強誘電体として十分に作用しない部分の厚さd1の占める割合が増加し、その結果、上述した強誘電体特性における問題点が顕著になると考えた。
また、本発明者は、上部電極203の成膜時のアモルファス状態の部分が熱処理により大きな結晶粒となることに起因して、強誘電体特性の劣化が生じる、もう1つのメカニズムを思料した。
本発明者は、この結晶粒の粗大化に伴って結晶空位が多くなり、配線層等の形成の際に生じた水素が、この結晶空位を介した拡散経路205で強誘電体膜202に侵入することにより、強誘電体膜202の特性劣化が生じると考えた。
例えば、上部電極203にPtやIr等の金属膜が含まれる場合、多層配線構造における層間絶縁膜を形成する際に使用される水素が当該金属膜中に侵入して、これらの金属が有する触媒作用により活性化される。そして、本発明者は、活性化された水素が拡散経路205を経て強誘電体膜202に侵入し、当該強誘電体膜202が還元される結果、強誘電体膜202の特性劣化が生じると考えた。そしてこの場合、界面層204の結晶空位の増加によって、水素の拡散経路205が多く存在することになるため、強誘電体膜202の特性劣化がより顕著になると考えられる。また、この強誘電体膜202の特性劣化は、多層配線構造を形成するために、還元雰囲気中や非酸化雰囲気中での処理を行う回数の増加によっても顕著になると考えられる。
すなわち、本発明者は、上部電極の形成において、強誘電体膜との間に結晶粒が粗大化した界面層204が形成されるのを回避することによって、強誘電体メモリにおける低電圧動作の実現及び動作速度の向上を図るようにした。
図3は、本発明の強誘電体メモリにおける強誘電体キャパシタを示す模式図である。
本発明者は、図3に示すように、下部電極301上に形成された強誘電体膜302上に上部電極303を形成するのにあたり、強誘電体膜302の直上に結晶化状態の導電性酸化物膜303aを形成すること、すなわち、強誘電体膜302との界面に、成膜の時点で結晶化されている導電性酸化物膜303aを設けることを思料した。そして、この導電性酸化物膜303a上に導電膜303bを形成して、上部電極303を形成するようにした。
そして、本発明者は、強誘電体膜302上に、成膜の時点で結晶化しているIrOX等の導電性酸化物膜303aを設けることにより、強誘電体膜202との相互反応を低減させ、また、その後の熱処理等による結晶粒の粗大化も抑制するようにした。なお、特許文献3には、強誘電体膜上に、導電性酸化物膜として酸化イリジウム(IrOX:0<x<2)膜を形成することが記載されているが、成膜の時点で結晶化しているものを堆積することについては何ら開示も示唆もなく、この点において本発明と相違する。
これにより、図2に示す従来の強誘電体キャパシタに対して、強誘電体膜302として機能する部分(d−d2;d2<d1)を広くすることができるとともに、拡散経路205を介して侵入する水素を抑制することができ、強誘電体メモリにおける低電圧動作の実現及び動作速度の向上を図れるようにした。
−本発明の具体的な実施形態−
次に、本発明における諸実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
第1の実施形態では、強誘電体キャパシタの上部電極及び下部電極の電気的接続を上方からとるプレーナ型の強誘電体メモリについて説明する。ただし、ここでは、便宜上、強誘電体メモリの断面構造については、その製造方法とともに説明することにする。
図4〜図8は、第1の実施形態に係る強誘電体メモリ(半導体装置)の製造方法を工程順に示す断面図である。
第1の実施形態においては、まず、図4(a)に示すように、半導体基板1に素子分離絶縁膜2と、例えばpウェル21を形成し、更に、半導体基板1上に、MOSFET100を形成するとともに、当該MOSFET100上に、シリコン酸窒化膜7、シリコン酸化膜8a、Al2O3膜8b及び下部電極膜9aを順次形成する。
具体的には、まず、Si基板等の半導体基板1の素子分離領域に、例えばLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により、素子分離絶縁膜2を形成し、素子形成領域を画定する。続いて、半導体基板1の素子形成領域の表面に、例えばホウ素(B)を、例えば、エネルギー300keV、ドーズ量3.0×1013cm-2の条件でイオン注入して、pウェル21を形成する。続いて、半導体基板1上に、例えば熱酸化法により、厚さ3nm程度のシリコン酸化膜を形成する。続いて、シリコン酸化膜上に、CVD法により、厚さ180nm程度の多結晶シリコン膜を形成する。続いて、多結晶シリコン膜及びシリコン酸化膜を、素子形成領域のみに残すパターニングを行って、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜3と、多結晶シリコン膜からなるゲート電極4を形成する。
続いて、ゲート電極4をマスクとして、半導体基板1の表面に、例えばリン(P)を、例えば、エネルギー20keV、ドーズ量4.0×1013cm-2の条件でイオン注入して、n-型の低濃度拡散層22を形成する。続いて、全面に、CVD法により、厚さ300nm程度のSiO2膜を形成した後、異方性エッチングを行って、当該SiO2膜をゲート電極4の側壁にのみ残して、サイドウォール6を形成する。
続いて、ゲート電極4及びサイドウォール6をマスクとして、半導体基板1の表面に、例えば砒素(As)を、例えば、エネルギー10keV、ドーズ量5.0×1013cm-2の条件でイオン注入して、n+型の高濃度拡散層23を形成する。
続いて、全面に、スパッタリング法により、例えばTi膜を堆積する。その後、温度400℃乃至900℃の熱処理を行うことによって、ゲート電極4の多結晶シリコン膜とTi膜がシリサイド反応し、ゲート電極4の上面にシリサイド層5が形成される。その後、フッ酸等を用いて、未反応のTi膜を除去する。これにより、半導体基板1上に、ゲート絶縁膜3、ゲート電極4、シリサイド層5、サイドウォール6、並びに低濃度拡散層22及び高濃度拡散層23からなるソース/ドレイン拡散層を備えたMOSFET100が形成される。なお、本実施形態においては、nチャンネル型のMOSFETの形成を例にして説明を行ったが、pチャンネル型のMOSFETを形成するようにしてもよい。
続いて、CVD法により、MOSFET100を覆うように、厚さ200nm程度のシリコン酸窒化膜7を形成する。続いて、シリコン酸窒化膜7上に、CVD法により、厚さ700nm程度のシリコン酸化膜8aを形成する。その後、N2雰囲気中で、温度650℃、30分間程度のアニール処理を行うことにより、シリコン酸化膜8aの脱ガスを行う。なお、シリコン酸窒化膜7は、シリコン酸化膜8aを形成する際のゲート絶縁膜3等の水素劣化を防止するために形成されている。
続いて、シリコン酸化膜8a上に、下部電極密着膜として、例えば、スパッタリング法により、厚さ20nm程度のAl2O3膜8bを形成する。なお、下部電極密着層として、厚さ20nm程度のTi膜又はTiOx膜等を形成するようにしてもよい。続いて、Al2O3膜8b上に下部電極膜9aを形成する。下部電極膜9aとしては、例えば、スパッタリング法により、厚さ150nm程度のPt膜を形成する。なお、下部電極密着膜が20nm程度のTi膜の場合は、当該Ti膜からなる下部電極密着膜と、厚さ180nm程度のPt膜からなる下部電極膜9aとの積層体を形成するようにしてもよい。この場合、例えば、Ti膜は温度150℃程度で形成され、Pt膜は温度100℃乃至350℃で形成される。
次いで、図4(b)に示すように、下部電極膜9a上に、キャパシタ膜となる強誘電体膜10aをアモルファス状態で形成する。強誘電体膜10aとしては、例えば、LaドープPZT(PLZT:(Pb,La)(Zr,Ti)O3)ターゲットを用い、RFスパッタリング法により、厚さが100nm乃至200nmのPLZT膜を形成する。その後、Ar及びO2を含有する雰囲気中で650℃以下での熱処理(RTA)を行い、更に、酸素雰囲気中で750℃程度でのRTAを行う。この結果、強誘電体膜10aが完全に結晶化するとともに、下部電極膜9aを構成するPt膜が緻密化し、下部電極膜9aと強誘電体膜10aとの界面近傍におけるPtとOとの相互拡散が抑制される。
なお、本実施形態では、強誘電体膜10aの形成をスパッタリング法により行うようにしているが、これに限定されるわけでなく、例えば、ゾル−ゲル法、有機金属分解法、CSD法、化学気相蒸着法、エピタキシャル成長法又はMO−CVD法により形成することも可能である。
次いで、図4(c)に示すように、強誘電体膜10a上に、イリジウム(Ir)をターゲットに用いたスパッタリング法により、結晶化状態のIrOx膜11aを、厚さ50nm程度で形成する。このIrOx膜11aは、上部電極の下層膜として機能するものであり、また、このときXの値は、1.1<X<2.0の範囲となる。この際のスパッタリングの条件としては、イリジウム(Ir)の酸化が生じる条件下、例えば、成膜温度を300℃程度とし、成膜ガスとしてAr及びO2を用いてこれらをいずれも流量100sccm程度で供給し、また、スパッタリング時の電力を1kW〜2kW程度とする。
なお、本実施形態では、成膜の時点で結晶化している膜として、イリジウム酸化物で構成されるIrOx膜を適用した例を示しているが、本発明では、これに限定されるわけでなく、例えば、白金酸化物、ルテニウム酸化物、ロジウム酸化物、レニウム酸化物、オスミウム酸化物及びパラジウム酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の酸化物で構成された膜を適用することも可能である。この場合、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)及びパラジウム(Pd)からなる群から選択された少なくとも1種の貴金属元素を含むターゲットを用いたスパッタリングを、当該貴金属元素の酸化が生じる条件下で行う形態を採る。
次いで、図5(a)に示すように、IrOx膜11a上に、スパッタリング法により、導電膜であるIrOY膜11bを、厚さ200nm程度で形成する。ここで、このIrOY膜11bは、成膜の時点で結晶化されている必要はなく、例えば、Yの値は、1.8<Y<2.2の範囲となる。また、このIrOx膜11aは、上部電極の上層膜として機能するものである。
なお、本実施形態では、IrOx膜11a上に形成する導電膜として、イリジウム酸化物で構成されるIrOY膜を適用した例を示しているが、本発明では、これに限定されるわけでなく、例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)及びパラジウム(Pd)からなる群から選択された少なくとも1種の貴金属元素を含有する金属膜や、これらの貴金属元素を含有する導電性酸化物膜、あるいはSrRuO3などの導電性酸化物を適用することも可能である。
次いで、半導体基板1の背面洗浄を行った後、IrOx膜11a及びIrOY膜11bをパターニングすることにより、図5(b)に示すように、IrOx膜11a及びIrOY膜11bからなる上部電極11を形成する。その後、O2雰囲気中で、温度650℃程度、60分間程度の回復アニール処理を行う。この熱処理は、上部電極11を形成する際に、強誘電体膜10aが受けた物理的なダメージ等を回復させるためのものである。
次いで、図5(c)に示すように、強誘電体膜10aのパターニングを行うことにより、強誘電体キャパシタのキャパシタ膜となる強誘電体膜10を形成する。その後、後に形成するAl2O3膜の剥がれ防止用の酸素アニールを行う。
次いで、図6(a)に示すように、スパッタリング法により、保護膜としてAl2O3膜12を全面に形成する。その後、スパッタリングによる損傷を緩和するために、酸素アニールを行う。このAl2O3膜12により、外部からの水素の強誘電体キャパシタへの侵入が防止される。
次いで、図6(b)に示すように、Al2O3膜12及び下部電極膜9aのパターニングを行うことにより、下部電極9を形成する。その後、後に形成するAl2O3膜の剥がれ防止用の酸素アニールを行う。
次いで、図6(c)に示すように、スパッタリング法により、保護膜としてAl2O3膜13を全面に形成する。その後、キャパシタリークを低減させるために、酸素アニールを行う。
次いで、図7(a)に示すように、HDP−CVD(高密度プラズマCVD)法により、層間絶縁膜14を全面に形成する。層間絶縁膜14の厚さは、例えば1.5μm程度とする。
次いで、図7(b)に示すように、CMP(化学機械的研磨)法により、層間絶縁膜14の平坦化を行う。その後、N2Oガスを用いたプラズマ処理を行う。この結果、層間絶縁膜14の表層部が若干窒化され、その内部に水分が浸入し難くなる。なお、このプラズマ処理は、N又はOの少なくとも一方が含まれたガスを用いて行われれば有効的である。続いて、MOSFET100の高濃度拡散層23まで到達するビア孔15zを、層間絶縁膜14、Al2O3膜13、Al2O3膜8b、シリコン酸化膜8a及びシリコン酸窒化膜7に形成する。その後、ビア孔15z内に、スパッタリング法により、Ti膜及びTiN膜を連続して積層することにより、当該ビア孔15zの内壁にグルー膜15aを形成する。続いて、CVD法により、当該ビア孔15z内を埋めるのに足る厚さのW膜を堆積した後、CMP法により層間絶縁膜14の表面が露出までW膜の平坦化を行うことにより、ビア孔15z内にWプラグ15を形成する。
次いで、図7(c)に示すように、Wプラグ15の酸化防止膜としてSiON膜16を、例えばプラズマ増速CVD法により形成する。
次いで、図8(a)に示すように、エッチングを行うことにより、上部電極11まで到達するビア孔17y、及び下部電極9まで到達するビア孔17zを、SiON膜16、層間絶縁膜14、Al2O3膜13及びAl2O3膜12に形成する。その後、当該エッチングの影響による強誘電体膜10の損傷を回復させるために、酸素アニールを行う。
次いで、図8(b)に示すように、まず、SiON膜16を、エッチバックにより全面にわたって除去することにより、Wプラグ15の表面を露出させる。続いて、ビア孔17y内、及びビア孔17z内に、スパッタリング法により、Ti膜及びTiN膜を連続して積層することにより、当該各ビア孔の内壁にグルー膜17aを形成する。続いて、CVD法により、当該各ビア孔17y、17z内を埋めるのに足る厚さのW膜を堆積した後、CMP法により層間絶縁膜14の表面が露出までW膜の平坦化を行うことにより、ビア孔17y内、及びビア孔17z内に、Wプラグ17を形成する。
次いで、図8(c)に示すように、グルー膜18a、配線膜18及びグルー膜18bからなる金属配線層を形成する。
具体的に、まず、前面に、例えばスパッタリング法により、厚さ60nm程度のTi膜、厚さ30nm程度のTiN膜、厚さ360nm程度のAlCu合金膜、厚さ5nm程度のTi膜、及び厚さ70nm程度のTiN膜を順次積層する。続いて、フォトリソグラフィー技術を用いて、当該積層膜を所定形状にパターニングして、各Wプラグ15,17上に、Ti膜及びTiN膜からなるグルー膜18aと、AlCu合金膜からなる配線膜18と、Ti膜及びTiN膜からなるグルー膜18bとからなる金属配線層が形成される。このとき、Wプラグ15と接続する金属配線層と、上部電極11と接続する金属配線層又は下部電極9と接続する金属配線層とは、配線膜18の一部で互いに接続される。
その後、更に、層間絶縁膜の形成、コンタクトプラグの形成及び下から第2層目以降の配線の形成等を行う。そして、例えばTEOS(tetraethyl orthosilicate)酸化膜及びSiN膜からなるカバー膜を形成して、下部電極9、強誘電体膜10及び下部電極11を具備する強誘電体キャパシタを有する本実施形態に係る強誘電体メモリを完成させる。
本実施形態では、上述のように、上部電極11を形成する際に、強誘電体膜10上に、結晶化状態のIrOx膜11aを形成しているため、強誘電体膜10の上層が当該IrOx膜11aと反応し難く、界面層の形成が抑制される。したがって、強誘電体膜10において、強誘電体として機能する部分が多く残るため、十分な反転分極量QSWを得ることができる。また、IrOx膜11aは成膜の時点で結晶化されているため、その後に回復アニール等の熱処理が行われた際にも、その結晶の成長を抑制することができる。これにより、後の還元雰囲気中での熱処理等においても、強誘電体膜10への水素の拡散が生じにくくなり、良好な強誘電体特性を得ることができる。
すなわち、本実施形態によれば、上部電極11と強誘電体膜10との界面を改善し、また、製造工程における歩留りを改善することができる。この結果、従来の強誘電体メモリと比較して、反転電荷量QSWを向上させ、抗電圧Vcを顕著に低減させることができるとともに、疲労耐性及びインプリント耐性を向上させることができる。そして、このような強誘電体キャパシタは、次世代の低電圧で動作する強誘電体メモリに極めて好適である。
図9は、X線回折により、強誘電体膜との界面に位置する上部電極の結晶面の配向を示す図である。なお、図9中の実線がIrOx膜11aの結晶面の配向を示しており、点線が従来の製造方法で形成した上部電極の初期層における結晶面の配向を示している。
図9に示すように、従来の製造方法で形成した上部電極の初期層は、その結晶面が、若干、(110)面に配向しているのみであるが、IrOx膜11aは、その結晶面が(110)面及び(200)面に強く配向しているのがわかる。このように、従来の製造方法と本発明に係る製造方法とでは、上部電極の初期層における結晶面の配向に大きな相違点が存在する。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1実施形態では、プレーナ型の強誘電体メモリについて説明したが、第2の実施形態では、強誘電体キャパシタの上部電極の電気的接続を上方からとり、強誘電体キャパシタの下部電極の電気的接続を下方からとるスタック型の強誘電体メモリについて説明する。ただし、ここでは、強誘電体メモリの断面構造については、その製造方法とともに説明することにする。
図10〜図14は、第2の実施形態に係る強誘電体メモリ(半導体装置)の製造方法を工程順に示す断面図である。
第2の実施形態においては、まず、図10(a)に示すように、半導体基板61に素子分離絶縁膜62と、例えばpウェル91を形成し、更に、半導体基板61上に、MOSFET101、102を形成するとともに、各MOSFETを覆うSiON膜67を形成する。
具体的には、まず、Si基板等の半導体基板61の素子分離領域に、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、素子分離絶縁膜62を形成し、素子形成領域を画定する。続いて、半導体基板61の素子形成領域の表面に、例えばホウ素(B)を、例えば、エネルギー300keV、ドーズ量3.0×1013cm-2の条件でイオン注入して、pウェル91を形成する。続いて、半導体基板61上に、例えば熱酸化法により、厚さ3nm程度のシリコン酸化膜を形成する。続いて、シリコン酸化膜上に、CVD法により、厚さ180nm程度の多結晶シリコン膜を形成する。続いて、多結晶シリコン膜及びシリコン酸化膜を、素子形成領域のみに残すパターニングを行って、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜63と、多結晶シリコン膜からなるゲート電極64を形成する。
続いて、ゲート電極64をマスクとして、半導体基板61の表面に、例えばリン(P)を、例えば、エネルギー13keV、ドーズ量5.0×1014cm-2の条件でイオン注入して、n-型の低濃度拡散層92を形成する。続いて、全面に、CVD法により、厚さ300nm程度のSiO2膜を形成した後、異方性エッチングを行って、当該SiO2膜をゲート電極64の側壁にのみ残して、サイドウォール66を形成する。
続いて、ゲート電極64及びサイドウォール66をマスクとして、半導体基板61の表面に、例えば砒素(As)を、エネルギー10keV、ドーズ量5.0×1014cm-2の条件でイオン注入して、n+型の高濃度拡散層93を形成する。
続いて、全面に、スパッタリング法により、例えばTi膜を堆積する。その後、温度400℃乃至900℃の熱処理を行うことによって、ゲート電極64の多結晶シリコン膜とTi膜がシリサイド反応し、ゲート電極64の上面にシリサイド層65が形成される。その後、フッ酸等を用いて、未反応のTi膜を除去する。これにより、半導体基板61上に、ゲート絶縁膜63、ゲート電極64、シリサイド層65、サイドウォール66、並びに低濃度拡散層92及び高濃度拡散層93からなるソース/ドレイン拡散層を備えたMOSFET101、102が形成される。なお、本実施形態においては、nチャンネル型のMOSFETの形成を例にして説明を行ったが、pチャンネル型のMOSFETを形成するようにしてもよい。続いて、前面に、プラズマCVD法により、厚さ200nm程度のSiON膜67を形成する。
次いで、図10(b)に示すように、プラズマCVD法により、SiON膜67上に、厚さが1000nm程度のシリコン酸化膜を堆積した後、これをCMP法により平坦化し、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜68を、厚さ700nm程度で形成する。続いて、各MOSFETの高濃度拡散層93まで到達するビア孔69zを、例えば0.25μm程度の径で層間絶縁膜68及びSiON膜67に形成する。その後、ビア孔69z内に、スパッタリング法により、Ti膜を厚さ30nm程度、TiN膜を厚さ20nm程度で連続して積層することにより、グルー膜69aを形成する。続いて、更に、CVD法により、当該各ビア孔69z内を埋めるのに足る厚さのW膜を堆積した後、CMP法により層間絶縁膜68の表面が露出までW膜の平坦化を行うことにより、ビア孔69z内にWプラグ69b、69cを形成する。ここで、Wプラグ69bは、各MOSFETのソース/ドレイン拡散層のうちの一方と接続するものであり、Wプラグ69cは、他方と接続するものである。
次いで、図10(c)に示すように、前面に、プラズマCVD法により、厚さ130nm程度の酸化防止膜となるSiON膜70を形成する。続いて、SiON膜70上に、TEOSを原料としたプラズマCVD法により、厚さ300nm程度のシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜71を形成する。続いて、Wプラグ69bの表面を露出させるビア孔72zを、例えば0.25μm程度の径で層間絶縁膜71及びSiON膜70に形成する。その後、ビア孔72z内に、スパッタリング法により、Ti膜を厚さ30nm程度、TiN膜を厚さ20nm程度で連続して積層することにより、グルー膜72aを形成する。続いて、更に、CVD法により、当該各ビア孔72z内を埋めるのに足る厚さのW膜を堆積した後、CMP法により層間絶縁膜71の表面が露出までW膜の平坦化を行うことにより、ビア孔72z内にWプラグ72bを形成する。
その後、層間絶縁膜71の表面をNH3(アンモニア)プラズマで処理し、層間絶縁膜71の表面の酸素原子にNH基を結合させる。このアンモニアプラズマ処理は、例えば、半導体基板61に対して約9mm(350mils)離間した位置に対向電極を有する平行平板型のプラズマ処理装置を用いて、圧力266Pa(2Torr)程度、基板温度400℃程度で保持された処理容器中に、アンモニアガスを流量350sccm程度で供給し、半導体基板61に13.56MHz程度の高周波を電力100W程度、また、前記対向電極に350kHz程度の高周波を電力55W程度、それぞれ60秒間程度で供給することにより行われる。
次いで、図11(a)に示すように、層間絶縁膜71及びWプラグ72b上に、TiN膜73を形成する。
具体的には、まず、前面に、例えば、半導体基板61とターゲットの間の距離を60mm程度に設定したスパッタリング装置を用いて、圧力0.15Pa程度のAr雰囲気下で、基板温度20℃程度、DC電力2.6kW程度を7秒間程度供給するスパッタリングにより、Ti膜を形成する。このTi膜は、アンモニアプラズマ処理された層間絶縁膜71上に形成されているため、そのTi原子が層間絶縁膜71の酸素原子に捕獲されることなく、層間絶縁膜71の表面を自在に移動することができ、その結果、結晶面が(002)面に配向した自己組織化されたTi膜となる。続いて、このTi膜に対して、窒素雰囲気中で、温度650℃程度、時間60秒程度のRTA処理を行うことによって、TiN膜73を形成する。ここで、TiN膜73は、その結晶面が(111)面に配向したものとなる。
次いで、図11(b)に示すように、TiN膜73上に、Ti及びAlを合金化したターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、厚さ100nm程度のTiAlN膜74aを形成する。このTiAlN膜74aは、例えば、Arが流量40sccm程度、且つ窒素が流量10sccm程度である混合雰囲気中において、圧力253.3Pa程度、基板温度400℃程度、電力1.0kW程度の条件によるスパッタリング法により形成される。このTiAlN膜74aは、下部電極の下層膜として機能するものである。続いて、TiAlN膜74a上に、例えば、Ar雰囲気中で、圧力0.11Pa程度、基板温度500℃程度、電力0.5kW程度の条件によるスパッタリング法により、厚さ100nm程度のIr膜74bを形成する。このIr膜74bは、下部電極の上層膜として機能するものである。なお、このIr膜74bの替わりにPtなどの金属、あるいはPtO,IrOx,SrRuO3などの導電性酸化物を用いることもできる。さらに、下部電極を構成する膜としては、金属あるいは金属酸化物の積層膜とすることもできる。
次いで、図11(c)に示すように、Ir膜74b上に、MO−CVD法により、キャパシタ膜となる強誘電体膜75を形成する。具体的に、本実施形態の強誘電体膜75は、2層構造を有するPZT膜(第1のPZT膜75a及び第2のPZT膜75b)で形成される。
より具体的には、まず、Pb(DPM)2,Zr(dmhd)4及びTi(O−iOr)2(DPM)2を、それぞれTHF(Tetra Hydro Furan:C4H8O)溶媒中にいずれも濃度0.3mol/l程度で溶解し、Pb,Zr及びTiの各液体原料を形成する。さらに、MO−CVD装置の気化器に流量0.474ml/分程度のTHF溶媒とともに、これらの液体原料をそれぞれ、0.326ml/分程度、0.200ml/分程度、及び0.200ml/分程度の流量で供給して気化させることにより、Pb,ZrおよびTiの原料ガスを形成する。そして、MO−CVD装置において、圧力665Pa(5Torr)程度、基板温度620℃程度の条件下で、Pb,Zr及びTiの原料ガスを、620秒間程度供給することにより、Ir膜74b上に、厚さ100nm程度の第1のPZT膜75aを形成する。
続いて、全面に、例えばスパッタリング法により、厚さ1nm乃至30nm、本実施形態では20nm程度のアモルファス状態の第2のPZT膜75bを形成する。また、第2のPZT膜75bをMO−CVD法で形成する場合は、鉛(Pb)供給用の有機ソースとして、Pb(DPM)2(Pb(C11H19O2)2)をTHF液に溶かした材料が用いられる。また、ジルコニウム(Zr)供給用の有機ソースとして、Zr(DMHD)4(Zr((C9H15O2)4)をTHF液に溶かした材料が用いられる。また、チタン(Ti)供給用の有機ソースとして、Ti(O−iPr)2(DPM)2(Ti(C3H7O)2(C11H19O2)2)をTHF液に溶かした材料が用いられる。
なお、本実施形態では、強誘電体膜75の形成を、MO−CVD法及びスパッタリング法により行うようにしているが、これに限定されるわけでなく、例えば、ゾル−ゲル法、有機金属分解法、CSD法、化学気相蒸着法又はエピタキシャル成長法により形成することも可能である。
次いで、図12(a)に示すように、第2のPZT膜75b上にイリジウムをターゲットに用いたスパッタリング法により、結晶化状態のIrOx膜76aを、厚さ50nm程度で形成する。このIrOx膜76aは、上部電極の下層膜として機能するものであり、また、このときXの値は、1.0<X<2.0の範囲となる。この際のスパッタリングの条件としては、イリジウムの酸化が生じる条件下、例えば、成膜温度を300℃程度とし、成膜ガスとしてAr及びO2を用いてこれらをいずれも流量100sccm程度で供給し、また、スパッタリング時の電力を1kW〜2kW程度とする。その後、温度725℃程度で且つ、酸素が流量20sccm程度、Arが流量1980sccm程度の雰囲気中で、RTAの熱処理を60秒間程度行う。この熱処理は、強誘電体膜75(第2のPZT膜75b)を完全に結晶化させてBi層状構造又はペロブスカイト構造とし酸素欠損を補償すると同時に、IrOx膜のプラズマダメージも回復させる。
なお、本実施形態では、結晶化状態のIrOx膜76aを形成する際の成膜温度を300℃程度としているが、本発明の効果を得るための成膜温度は、20℃乃至400℃の範囲とすることができる。これは、成膜温度が20℃未満になるとIrOxがアモルファス状になってしまうという不具合が生じ、また、成膜温度が400℃を超えると結晶化状態のIrOxが異常成長しやすくなるという不具合が生じるためである。また、本実施形態では、RTAの熱処理において、雰囲気中の酸化性ガスの含有量(O2流量/(Ar流量+O2流量))を1%程度としているが、本発明の効果を得るためのRTA時の酸化性ガスの含有量は、0.1%乃至50%の範囲とすることができる。これは、酸化性ガスの含有量が0.1%未満になると不均一な雰囲気になりやすく、アニール効果が低下する恐れがあるという不具合が生じ、また、酸化性ガスの含有量が50%を超えるとIrOx膜76aの表面が異常成長して、強誘電体キャパシタの特性劣化を招くという不具合が生じるためである。
また、本実施形態では、成膜の時点で結晶化している膜として、イリジウム酸化物で構成されるIrOx膜を適用した例を示しているが、本発明では、これに限定されるわけでなく、例えば、白金酸化物、ルテニウム酸化物、ロジウム酸化物、レニウム酸化物、オスミウム酸化物及びパラジウム酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の酸化物で構成された膜を適用することも可能である。この場合、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)及びパラジウム(Pd)からなる群から選択された少なくとも1種の貴金属元素を含むターゲットを用いたスパッタリングを、当該貴金属元素の酸化が生じる条件下で行う形態を採る。
次いで、図12(b)に示すように、IrOx膜76a上に、例えば、Ar雰囲気中において、圧力0.8Pa程度、電力1.0kW程度、堆積時間79秒間程度の条件によるスパッタリング法により、導電膜であるIrOY膜76bを、厚さ100nm程度で形成する。このIrOY膜76bは、上部電極の上層膜として機能するものであり、例えば、Yの値は、1.8<Y<2.2の範囲となる。本実施形態では、工程での劣化を抑えるために、IrOY膜76bは、IrO2の化学量論組成に近い組成のものにして、水素に対して触媒作用を生じることを回避する。これにより、強誘電体膜75が水素ラジカルにより還元されてしまう問題を抑制し、強誘電体キャパシタの水素耐性が向上する。
なお、本実施形態では、IrOx膜76a上に形成する導電膜として、イリジウム酸化物で構成されるIrOY膜を適用した例を示しているが、本発明では、これに限定されるわけでなく、例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)及びパラジウム(Pd)からなる群から選択された少なくとも1種の貴金属元素を含有する金属膜や、これらの貴金属元素を含有する導電性酸化物膜、あるいはSrRuO3などの導電性酸化物を適用することも可能である。
次いで、図12(c)に示すように、IrOY膜76b上に、例えば、Ar雰囲気中において、圧力1.0Pa程度、電力1.0kW程度の条件によるスパッタリング法により、厚さ100nm程度のIr膜77を形成する。このIr膜77は、強誘電体膜75に対して配線層等の形成の際に生じた水素が侵入するのを防ぐ水素バリア膜として機能するものである。なお、水素バリア膜としては、他にPt膜やSrRuO3膜を用いることも可能である。続いて、半導体基板61の背面洗浄を行った後、Ir膜77上の強誘電体キャパシタ形成領域のみを覆うハードマスク(不図示)を形成する。ここで、ハードマスクとしては、例えば温度200℃程度の条件で厚さ200nm程度の窒化チタン膜と、例えば温度390℃程度の条件で厚さ390nm程度のTEOSを用いたシリコン酸化膜とを順次形成し、これらをパターニングして形成する。続いて、ハードマスクを用いたエッチングにより、強誘電体キャパシタ形成領域以外の領域のIr膜77、IrOY膜76b、IrOx膜76a、第2のPZT膜75b、第1のPZT膜75a、Ir膜74b、TiAlN膜74a及びTiN膜73を除去する。これにより、強誘電体キャパシタ形成領域には、TiAlN膜74a及びIr膜74bからなる下部電極74と、第1のPZT膜75a及び第2のPZT膜75bからなる強誘電体膜75と、IrOx膜76a及びIrOY膜76bからなる上部電極76とを具備する強誘電体キャパシタが形成される。その後、ハードマスクを除去した後、酸素雰囲気において、例えば、温度300℃乃至500℃、時間30分間乃至120分間の熱処理を行う。
次いで、図13(a)に示すように、強誘電体キャパシタ及び層間絶縁膜71を覆うように、Al2O3膜78を形成するとともに、Al2O3膜78上に層間絶縁膜79を形成する。
具体的には、最初に、スパッタリング法により、厚さ20nm程度でAl2O3膜を堆積した後、温度600℃の酸素雰囲気中での熱処理を行って強誘電体キャパシタ中に生じた酸素欠損の回復を行う。続いて、CVD法により、更に厚さ20nm程度のAl2O3膜を堆積してAl2O3膜78を形成する。
続いて、全面に、例えばプラズマTEOSを用いたCVD法により、厚さ1500nm程度のシリコン酸化膜を堆積し、その後、CMP法により、当該シリコン酸化膜を平坦化して層間絶縁膜79を形成する。ここで、層間絶縁膜79としてシリコン酸化膜を形成する場合には、原料ガスとして、例えば、TEOSガス、酸素ガス及びヘリウムガスの混合ガスを用いる。なお、層間絶縁膜79として、例えば、絶縁性を有する無機膜等を形成するようにしてもよい。その後、N2Oガス又はN2ガス等を用いて発生させたプラズマ雰囲気にて、熱処理を行う。この熱処理の結果、層間絶縁膜79中の水分が除去されるとともに、層間絶縁膜79の膜質が変化し、層間絶縁膜79中に水分が入りにくくなる。
次いで、図13(b)に示すように、全面に、例えばスパッタリング法又はCVD法により、バリア膜となるAl2O3膜80を、厚さ20nm乃至100nmで形成する。このAl2O3膜80は、平坦化された層間絶縁膜79上に形成されるため、平坦に形成される。続いて、全面に、例えばプラズマTEOSを用いたCVD法により、シリコン酸化膜を堆積し、その後、CMP法により、当該シリコン酸化膜を平坦化して、厚さ800nm乃至1000nmの層間絶縁膜81を形成する。なお、層間絶縁膜81として、SiON膜又はシリコン窒化膜等を形成するようにしてもよい。
次いで、まず、強誘電体キャパシタにおける水素バリア膜であるIr膜77の表面を露出させるビア孔82zを、層間絶縁膜81、Al2O3膜80、層間絶縁膜79及びAl2O3膜78に形成した後、温度550℃程度の酸素雰囲気中において熱処理を行って、当該ビア孔の形成に伴って強誘電体膜75中に生じた酸素欠損を回復させる。その後、図13(c)に示すように、ビア孔82z内に、例えば、スパッタリング法によりTi膜を堆積し、続いて、MO−CVD法によりTiN膜を連続して堆積して、Ti膜及びTiN膜の積層膜であるグルー膜82aを形成する。この場合、TiN膜から炭素除去を行う必要があるため、窒素と水素の混合ガスプラズマ中での処理が必要になるが、本実施形態では、強誘電体キャパシタに水素バリア膜となるIr膜77を形成しているため、強誘電体膜75に水素が侵入して当該強誘電体膜75を還元してしまうという問題は生じない。
続いて、CVD法により、ビア孔82z内を埋めるのに足る厚さのW膜を堆積した後、CMP法により層間絶縁膜81の表面が露出までW膜の平坦化を行うことにより、ビア孔82z内にWプラグ82bを形成する。さらに、続いて、Wプラグ69cの表面を露出させるビア孔83zを、層間絶縁膜81、Al2O3膜80、層間絶縁膜79、Al2O3膜78、層間絶縁膜71及びSiON膜70に形成した後、ビア孔83z内に、TiN膜からなるグルー膜83aを形成する。なお、このグルー膜83aは、例えば、スパッタリング法によりTi膜を堆積し、続いて、MO−CVD法によりTiN膜を連続して堆積して、Ti膜及びTiN膜の積層膜からなるものとして形成することも可能である。その後、ビア孔83z内を埋めるのに足る厚さのW膜を堆積した後、CMP法により層間絶縁膜81の表面が露出までW膜の平坦化を行うことにより、ビア孔83z内にWプラグ83bを形成する。
次いで、図14に示すように、金属配線層84を形成する。
具体的に、まず、前面に、例えばスパッタリング法により、厚さ60nm程度のTi膜、厚さ30nm程度のTiN膜、厚さ360nm程度のAlCu合金膜、厚さ5nm程度のTi膜、及び厚さ70nm程度のTiN膜を順次積層する。続いて、フォトリソグラフィー技術を用いて、当該積層膜を所定形状にパターニングして、各Wプラグ82b,83b上に、Ti膜及びTiN膜からなるグルー膜84aと、AlCu合金膜からなる配線膜84bと、Ti膜及びTiN膜からなるグルー膜84cとからなる金属配線層84が形成される。
その後、更に、層間絶縁膜の形成やコンタクトプラグの形成を行った後、2層目以降の金属配線層を形成して、下部電極74、強誘電体膜75及び下部電極76を具備する強誘電体キャパシタを有する本実施形態に係る強誘電体メモリを完成させる。
次に、本発明者が実際に行った試験の結果について説明する。
(第1の試験)
図15は、強誘電体メモリにおける強誘電体キャパシタの反転電荷量QSWを測定した第1の試験結果を示す特性図である。
第1の試験は、平面形状が、長さ50μm程度の正方形である強誘電体キャパシタ(ディスクリート)を、本発明(第1の実施形態)による製造方法と、従来の製造方法の2つの製造方法で作製し、その反転電荷量QSWを測定したものである。ここで、強誘電体キャパシタの強誘電体膜としては、Laを1.5mol%程度含有するPZT膜(PLZT膜)を、厚さ120nm程度のものと、厚さ150nm程度の2種類をそれぞれ作製した。
また、本発明(第1の実施形態)による製造方法では、上部電極の形成にあたり、まず、強誘電体膜上に、成膜温度300℃程度の条件によるスパッタリング法により、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を厚さ50nm程度で形成した。続いて、IrOx膜上に、スパッタリング法により2種類のIrOY膜を形成した。具体的に、IrOx膜上に、成膜温度20℃程度、電力1kW程度の条件によるスパッタリング法により、IrOY膜を厚さ75nm程度で形成し、続いて、成膜温度20℃程度、電力2kW程度の条件によるスパッタリング法により、IrOY膜を厚さ125nm程度で形成した。
従来の製造方法では、上部電極の形成にあたり、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成することなく、PLZT膜の直上に、スパッタリング法により2種類のIrOY膜を形成した。具体的には、PLZT膜上に、成膜温度20℃程度、電力1kW程度の条件によるスパッタリング法により、IrOY膜を厚さ75nm程度で形成し、続いて、成膜温度20℃程度、電力2kW程度の条件によるスパッタリング法により、IrOY膜を厚さ125nm程度で形成した。
図15は、印加電圧を3.0Vの条件で反転電荷量QSWを測定した結果を示したものであり、QSW1-1(「■」)は、上部電極上に配線を形成する前に測定した反転電荷量QSWであり、QSW1-2(「▲」)は、上部電極上に配線を形成した後に測定した反転電荷量QSWである。また、図15において、W/Nは、ウエハー番号を示すものである。すなわち、ウエハー番号1及び2は、従来の製造方法で作製した強誘電体膜の厚さ150nmの強誘電体キャパシタを具備する強誘電体メモリであり、ウエハー番号3及び4は、本発明の製造方法で作製した強誘電体膜の厚さ150nmの強誘電体キャパシタを具備する強誘電体メモリであり、ウエハー番号5及び6は、従来の製造方法で作製した強誘電体膜の厚さ120nmの強誘電体キャパシタを具備する強誘電体メモリであり、ウエハー番号7及び8は、本発明の製造方法で作製した強誘電体膜の厚さ120nmの強誘電体キャパシタを具備する強誘電体メモリである。
図15に示すように、本発明と従来とを比較すると、強誘電体膜の厚さに関係なく、本発明の方が、配線の有無に伴う反転電荷量の変化が小さくなっている。このことは、本発明の製造方法で形成された強誘電体キャパシタは、配線を形成する際のダメージを受けにくいことを示している。
(第2の試験)
図16は、強誘電体メモリにおける強誘電体キャパシタの反転電荷量QSWを測定した第2の試験結果を示す特性図である。
第2の試験は、平面形状が、長辺の長さ1.60μm程度、短辺の長さ1.15μm程度の長方形である強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)を、本発明(第1の実施形態)による製造方法と、従来の製造方法の2つの製造方法でそれぞれ1428個作製し、その反転電荷量QSWを測定したものである。なお、各強誘電体キャパシタの製造方法は、第1の試験の場合と同様である。
図16は、上部電極上に配線を形成した後の各強誘電体キャパシタによる反転電荷量QSWの平均値を示したものであり、QSW2-1(「■」)は、印加電圧を1.8V程度としたものであり、QSW2-2(「▲」)は、印加電圧を3.0V程度としたものである。図16に示すように、本発明と従来とを比較すると、強誘電体膜の厚さに関係なく、本発明の方が、より高い反転電荷量QSWが得られることが判った。
(第3の試験)
図17は、強誘電体メモリにおける強誘電体キャパシタの抗電圧Vcを測定した第3の試験結果を示す特性図である。
第3の試験は、第2の試験と同様の強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)を、本発明(第1の実施形態)による製造方法と、従来の製造方法の2つの製造方法で作製し、その抗電圧Vcを測定したものである。ここで、所定の印加電圧の変化に対する分極量の変化の割合が最も大きい印加電圧を抗電圧Vcとした。
図17において、Vc(+)(「▲」)は分極量の変化が正の場合の抗電圧を示し、Vc(−)(「■」)は分極量の変化が負の場合の抗電圧を示している。図17に示すように、本発明と従来とを比較すると、強誘電体膜の厚さに関係なく、本発明の方が、低い抗電圧Vcが得られることがわかった。また、強誘電体膜が薄いほど、より低い抗電圧Vcが得られた。
(第4の試験)
図18は、強誘電体メモリにおける強誘電体キャパシタの印加電圧と反転電荷量QSWとの関係を測定した第4の試験結果を示す特性図である。
第4の試験は、第2の試験と同様の強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)を、本発明(第1の実施形態)による製造方法と、従来の製造方法の2つの製造方法で作製し、その印加電圧と反転電荷量QSWとの関係を測定したものである。図18に示すように、本発明と従来とを比較すると、強誘電体膜の厚さに関係なく、本発明の方が、印加電圧の低電圧から飽和電圧にわたって、高い反転電荷量QSWが得られるとともに、その勾配が大きくなっていることがわかる。このことは、本発明の強誘電体キャパシタが低電圧動作の強誘電体メモリに極めて好適であることを示している。
(第5の試験)
図19は、強誘電体メモリにおける強誘電体キャパシタの疲労損失を測定した第5の試験結果を示す特性図である。
第5の試験は、第2の試験と同様の強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)を、本発明(第1の実施形態)による製造方法と、従来の製造方法の2つの製造方法で作製し、その疲労損失をストレスサイクルの依存関係から測定したものである。第5の試験では、読み出し電圧(印加電圧)を3V程度とし、ストレス電圧を7V程度とした。
図19に示すように、ストレスサイクルが2×108における反転電荷量QSWは、本発明による製造方法で作製した厚さ150nm程度の強誘電体膜を有する強誘電体キャパシタでは342fC/cell、従来の製造方法で作製した厚さ150nm程度の強誘電体膜を有する強誘電体キャパシタでは232fC/cellとなった。また、本発明による製造方法で作製した厚さ120nm程度の強誘電体膜を有する強誘電体キャパシタでは163fC/cell、従来の製造方法で作製した厚さ120nm程度の強誘電体膜を有する強誘電体キャパシタでは83fC/cellとなった。
すなわち、本発明による製造方法で作製した厚さ150nm程度の強誘電体膜を有する強誘電体キャパシタでは、初期値を基準とした疲労損失が22%程度となり、従来の製造方法で作製した厚さ150nm程度の強誘電体膜を有する強誘電体キャパシタでは、初期値を基準とした疲労損失が41%程度となった。また、本発明による製造方法で作製した厚さ120nm程度の強誘電体膜を有する強誘電体キャパシタでは、初期値を基準とした疲労損失が59%程度となり、従来の製造方法で作製した厚さ120nm程度の強誘電体膜を有する強誘電体キャパシタでは、初期値を基準とした疲労損失が74%程度となった。このことは、従来の強誘電体キャパシタよりも本発明の強誘電体キャパシタの方が、疲労耐性が高いことを示している。
(第6の試験)
図20は、強誘電体メモリにおける強誘電体キャパシタのインプリント特性を測定した第6の試験結果を示す特性図である。
第6の試験は、第2の試験と同様の強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)を、本発明(第1の実施形態)による製造方法と、従来の製造方法の2つの製造方法で作製し、そのインプリント特性を測定したものである。第6の試験では、OS_RATEによりインプリント特性を測定した。このOS_Rateは、その絶対値が低いほど、インプリントし難いことを示している。また、図20には、各強誘電体キャパシタにおける最も悪い特性値を示している。
図20に示すように、本発明と従来とを比較すると、本発明の方が従来よりも、約40%程度良好なインプリント特性が得られた。このことは、従来の強誘電体キャパシタよりも本発明の強誘電体キャパシタの方が、インプリント耐性が高いことを示している。
(第7の試験)
第7の試験は、本発明の第1の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の成膜ガス中の酸素流量の各割合に対する各種の特性を測定したものである。
図21は、第1の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の成膜ガス中の酸素流量の各割合に対する強誘電体キャパシタの反転電荷量QSWの特性図である。ここで、図21における強誘電体キャパシタは、第1の試験と同様に、平面形状が、長さ50μm程度の正方形である強誘電体キャパシタとした。また、強誘電体膜としては、Laを2.0mol%程度含有するPZT膜(PLZT膜)を、厚さ150nm程度で形成した。そして、当該PLZT膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成するのにあたり、成膜温度300℃程度とし、成膜ガス中の酸素流量の割合(O2流量/(Ar流量+O2流量))を20%程度、30%程度、40%程度及び50%程度として測定を行った。図21において、QSW3-1(「▲」)は強誘電体キャパシタ形成後の反転電荷量であり、QSW3-2(「■」)は強誘電体キャパシタ上に1層目の配線層を形成した後の反転電荷量であり、QSW3-3(「●」)は強誘電体キャパシタ上に3層の配線層を形成した後の反転電荷量である。
図21に示すように、強誘電体キャパシタ形成後、強誘電体キャパシタに1層目の配線層形成後、強誘電体キャパシタに3層の配線層形成後の各強誘電体キャパシタの反転電荷量は、ほとんど変化が見られなかった。このことは、本発明の第1の実施形態による製造方法においては、強誘電体キャパシタが配線層形成後においても、特性が劣化しないことを示している。また、図21の傾向として、成膜ガス中の酸素流量の割合が小さくなると、より高い反転電荷量が得られることがわかる。
図22は、第1の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の成膜ガス中の酸素流量の各割合に対する強誘電体キャパシタの反転電荷量QSWの特性図である。ここで、図22における強誘電体キャパシタとしては、第2の試験と同様のものを用いており、PLZT膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成するのにあたり、成膜温度300℃程度とし、成膜ガス中の酸素流量の割合(O2流量/(Ar流量+O2流量))を20%程度、30%程度、40%程度及び50%程度として測定を行った。図22において、QSW4-1(「◆」)は1層目の配線層が形成された強誘電体キャパシタに印加電圧を3.0V程度を印加した際の反転電荷量、QSW4-2(「●」)は3層の配線層が形成された強誘電体キャパシタに印加電圧を3.0V程度を印加した際の反転電荷量、QSW4-3(「▲」)は1層目の配線層が形成された強誘電体キャパシタに印加電圧を1.8V程度を印加した際の反転電荷量、QSW4-4(「■」)は3層の配線層が形成された強誘電体キャパシタに印加電圧を1.8V程度を印加した際の反転電荷量である。
図22に示すように、強誘電体キャパシタに低電圧(印加電圧1.8V程度)を供給した際の反転電荷量は、3層の配線層が形成された強誘電体キャパシタの反転電荷量QSW4-4が、1層目の配線層が形成された強誘電体キャパシタの反転電荷量QSW4-3よりも僅かに低くなっている。しかし、飽和印加電圧(印加電圧3V程度)を供給した際の反転電荷量は、3層の配線層が形成された強誘電体キャパシタの反転電荷量QSW4-2と、1層目の配線層が形成された強誘電体キャパシタの反転電荷量QSW4-1とが変化ないため、本発明の第1の実施形態による製造方法においては、強誘電体キャパシタが配線層形成後においても、特性が劣化しないと考えられる。また、図22の傾向として、成膜ガス中の酸素流量の割合が小さくなると、より高い反転電荷量が得られることがわかる。
図23は、第1の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の成膜ガス中の酸素流量の各割合に対する強誘電体キャパシタの抗電圧Vcの特性図である。ここで、図23における強誘電体キャパシタとしては、第2の試験と同様のものを用いている。図23において、Vc(+)(「▲」)は分極量の変化が正の場合の抗電圧を示し、Vc(−)(「■」)は分極量の変化が負の場合の抗電圧を示している。
図23に示すように、酸素流量の割合が小さくなると、抗電圧Vcが小さくなることがわかった。このことは、酸素流量の割合が小さいと低電圧動作の強誘電体メモリに極めて好適であることを意味している。
図24は、第1の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の成膜ガス中の酸素流量の各割合に対する強誘電体キャパシタの印加電圧と反転電荷量QSWとの関係を示す特性図である。
図24に示すように、酸素流量の割合が小さくなると、低電圧から飽和電圧にわたって、高い反転電荷量QSWが得られるとともに、その勾配が大きくなることが判った。このことは、酸素流量の割合が小さいと低電圧動作の強誘電体メモリに極めて好適であることを意味している。
図25及び図26は、本発明による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の成膜ガス中の酸素流量の各割合に対する強誘電体キャパシタのリーク電流値の特性図である。図25は、第1の試験と同様の強誘電体キャパシタ(ディスクリート)におけるリーク電流値であり、L1-1(「▲」)は上部電極を基準として下部電極の電位を+5V程度とした際のリーク電流値、L1-2(「■」)は上部電極を基準として下部電極の電位を−5V程度とした際のリーク電流値である。また、図26は、第2の試験と同様の強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)におけるリーク電流値であり、L2-1(「▲」)は上部電極を基準として下部電極の電位を+5V程度とした際のリーク電流値、L2-2(「■」)は上部電極を基準として下部電極の電位を−5V程度とした際のリーク電流値である。なお、リーク電流値の測定における印加電圧は、上部電極を基準として下部電極の電位を±5Vとした。
図25及び図26に示すように、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の成膜ガス中の酸素流量の割合が小さくなるとリーク電流値は若干低くなるが、ほとんど変化がみられない。このことは、成膜条件を変化させても、リーク電流値の特性には、ほとんど影響がないことを示している。
(第8の試験)
第8の試験は、本発明の第1の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の膜厚に対する各種の特性を測定したものである。
図27及び図28は、第1の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の膜厚に対する強誘電体キャパシタの反転電荷量QSWの特性図である。
図27における強誘電体キャパシタは、第1の試験と同様の強誘電体キャパシタ(ディスクリート)であり、また、測定対象としては、3層の配線層が形成された強誘電体キャパシタである。また、図28における強誘電体キャパシタは、第2の試験と同様の強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)であり、また、測定対象としては、3層の配線層が形成された強誘電体キャパシタである。そして、図28において、QSW5-1(「◆」)は、印加電圧を1.8Vとした際の反転電荷量であり、QSW5-2(「▲」)は、印加電圧を3.0Vとした際の反転電荷量である。
図29は、第1の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の膜厚に対する強誘電体キャパシタのリーク電流値の特性図である。測定対象としては、3層の配線層が形成された強誘電体キャパシタである。L3-1(「◆」)及びL3-2(「▲」)は、第1の試験と同様の強誘電体キャパシタ(ディスクリート)におけるリーク電流値であり、L3-1は上部電極を基準として下部電極の電位を+5V程度とした際のリーク電流値、L3-2は上部電極を基準として下部電極の電位を−5V程度とした際のリーク電流値である。また、L3-3(「■」)及びL3-4(「●」)は第2の試験と同様の強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)におけるリーク電流値であり、L3-3は上部電極を基準として下部電極の電位を+5V程度とした際のリーク電流値、L3-4は上部電極を基準として下部電極の電位を−5V程度とした際のリーク電流値である。
また、図27、図28及び図29の強誘電体キャパシタは、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の成膜温度を300℃程度とし、成膜ガス中の酸素流量の割合(O2流量/(Ar流量+O2流量))を30%程度として形成した。そして、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜の膜厚が50nm程度、38nm程度及び25nm程度における強誘電体キャパシタの反転電荷量QSWを測定した。
図27及び図28に示すように、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜の膜厚が25nm乃至50nmの範囲で変化しても、強誘電体キャパシタの反転電荷量QSWの特性には影響がみられなかった。また、図29に示すように、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜の膜厚が25nm乃至50nmの範囲で変化しても、強誘電体キャパシタのリーク電流値の特性には影響がみられなかった。
(第9の試験)
図30は、第2の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の成膜ガス中の酸素流量の割合に対する強誘電体キャパシタの反転電荷量QSWの特性図である。また、図31は、第2の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の成膜ガス中の酸素流量の割合に対する強誘電体キャパシタのリーク電流値の特性図である。
第9の試験は、第2の実施形態による製造方法で作製した強誘電体キャパシタの測定を行ったものである。
具体的に、下部電極74上に、MO−CVD法により、厚さ100nm程度の結晶化している第1のPZT膜75aを形成し、当該第1のPZT膜75a上に、スパッタリング法により、厚さ20nm程度のアモルファス状態の第2のPZT膜75bを形成した。そして、第2のPZT膜75b上に、半導体基板61の温度(成膜温度)を300℃程度としたスパッタリング法により、成膜の時点で結晶化しているIrOx膜76aを形成した。このIrOx膜76aの形成の際の成膜ガス中の酸素流量の割合(O2流量/(Ar流量+O2流量))を10%程度、30%程度及び40%程度とした3種類の強誘電体キャパシタを作製した。さらに、これらを、温度675℃程度、O2流量/(Ar流量+O2流量)=1%程度の雰囲気中で60秒間程度のRTAを行った。その後、第2の実施形態による製造方法で1層目の配線層まで形成した。
図30において、QSW6-1(「◆」)は、印加電圧が1.8V程度であって第1の試験と同様の強誘電体キャパシタ(ディスクリート)の反転電荷量であり、QSW6-2(「●」)は、印加電圧が1.8V程度であって第2の試験と同様の強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)の反転電荷量である。また、図31において、L4-1(「◆」)は上部電極を基準として下部電極の電位を+1.8V程度にした際のリーク電流値であり、L4-2(「●」)は上部電極を基準として下部電極の電位を−1.8V程度にした際のリーク電流値である。
図30に示すように、酸素流量の割合が20%程度乃至40%程度の場合は、IrOx膜76aの形成の際の成膜ガス中の酸素流量の割合が10%程度の場合と比較して、強誘電体キャパシタの反転電荷量が若干高くなっており、また、図31に示すように、酸素流量の割合が10%程度の場合は、酸素流量の割合が20%程度乃至40%程度の場合と比較して、リーク電流値が若干低くなっており、強誘電体メモリの動作に有利となっている。すなわち、より高い強誘電体キャパシタの反転電荷量を得るには、酸素流量の割合が20%程度乃至40%程度が望ましい。また、より低いリーク電流値を得るには、酸素流量の割合が10%程度が望ましい。
ここで、本発明の第2の実施形態による製造方法において、IrOx膜76aの形成の際の成膜ガス中の酸素流量の割合が10%乃至40%の場合では、IrOx膜76aの結晶性へ大きな影響を与えないと考えられるので、強誘電体キャパシタの電気特性はあまり変わらないと思料する。なお、IrOx膜76a形成後のアニール工程では、アモルファス状態の第2のPZT膜75bを完全に結晶化させると同時に、IrOx膜76aのプラズマダメージも回復でき、更に、強誘電体膜75中の酸素欠損も補償する。また、上部電極76と強誘電体膜75との界面層をより薄くするためには、IrOx膜76aの結晶粒は小さいほど望ましい。
この第9の試験結果と、前述した第7の試験結果とを考慮すると、本発明の効果を得るためのIrOx膜の成膜ガス中の酸素流量の割合は、10%乃至60%の範囲とすることができる。これは、成膜ガス中の酸素流量の割合が10%未満になると、第9の試験結果の傾向から判るように、強誘電体キャパシタの反転電荷量が小さくなって、強誘電体メモリの低電圧動作に支障を来たすという不具合が生じ、また、成膜ガス中の酸素流量の割合が60%を超えると、第7の試験結果等の傾向から判るように、強誘電体キャパシタの反転電荷量が小さくなるとともにその抗電圧Vcが大きくなって、強誘電体メモリの低電圧動作に支障をきたすという不具合が生じるためである。
(第10の試験)
図32は、第2の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成した後のアニール温度に対する強誘電体キャパシタの反転電荷量QSWの特性図である。図33は、第2の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成した後のアニール温度に対する強誘電体キャパシタのリーク電流値の特性図である。
第10の試験は、第9の試験と同様に、第2の実施形態による製造方法で作製した強誘電体キャパシタの測定を行ったものである。
具体的に、アモルファス状態の第2のPZT膜75b上に、半導体基板61の温度(成膜温度)を300℃程度、成膜ガス中の酸素流量の割合(O2流量/(Ar流量+O2流量))を20%程度とする条件でのスパッタリング法により、厚さ50nm程度のIrOx膜76aを形成した後、O2流量/(Ar流量+O2流量)=1%程度の雰囲気中で、温度をそれぞれ675℃程度、700℃程度及び725℃程度にして、それぞれ60秒間程度のRTAを行った3種類の強誘電体キャパシタを作製した。このRTAにおける温度は、第2のPZT膜75bを結晶化させる同時に、上部電極76と強誘電体膜75との界面を形成するため、非常重要なパラメータである。
図32において、QSW7-1(「◆」)は、印加電圧が1.8V程度であって第1の試験と同様の強誘電体キャパシタ(ディスクリート)の反転電荷量であり、QSW7-2(「●」)は、印加電圧が1.8V程度であって第2の試験と同様の強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)の反転電荷量である。また、図33において、L5-1(「◆」)は上部電極を基準として下部電極の電位を+1.8V程度にした際のリーク電流値であり、L5-2(「●」)は上部電極を基準として下部電極の電位を−1.8V程度にした際のリーク電流値である。
IrOx膜76a形成後のアニール温度は、強誘電体キャパシタの特性に影響を与えることが知られている。図32に示すように、アニール温度が675℃程度の場合、アニール温度が700℃程度及び725℃程度の場合と比較して、強誘電体キャパシタの反転電荷量が若干低くなっている。より高い強誘電体キャパシタの反転電荷量を得るには、アニール温度が700℃乃至725℃程度が最適であるが、アニール温度が675℃程度の場合でも、これらのアニール温度における反転電荷量とそれほど大差がないため、強誘電体メモリの動作に支障をきたすレベルには至っていないと考えられる。
また、図33に示すように、このアニール温度が725℃程度の場合、アニール温度が675℃程度及び700℃程度の場合と比較して、リーク電流値が若干高くなっている。より低いリーク電流値を得るには、アニール温度が675℃乃至700℃程度が最適であるが、アニール温度が725℃程度の場合でも、これらのアニール温度におけるリーク電流値とそれほど大差がないため、強誘電体メモリの動作に支障をきたすレベルには至っていないと考えられる。
この第10の試験結果等を考慮すると、本発明の効果を得るためのIrOx膜76a形成後のアニール温度は、600℃乃至800℃の範囲とすることができる。これは、アニール温度が600℃未満になると、強誘電体キャパシタの反転電荷量が小さくなって、強誘電体メモリの低電圧動作に支障をきたすという不具合が生じ、また、アニール温度が800℃を超えると、リーク電流値が高くなって、強誘電体メモリの低電圧動作に支障をきたすという不具合が生じるためである。
(第11の試験)
図34は、第2の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の膜厚に対する強誘電体キャパシタの反転電荷量QSWの特性図である。図35は、第2の実施形態による製造方法において、強誘電体膜上に、成膜の時点で結晶化されているIrOx膜を形成する際の膜厚に対する強誘電体キャパシタのリーク電流値の特性図である。
第11の試験は、第9の試験と同様に、第2の実施形態による製造方法で作製した強誘電体キャパシタの測定を行ったものである。
具体的に、アモルファス状態の第2のPZT膜75b上に、半導体基板61の温度(成膜温度)を300℃程度、成膜ガス中の酸素流量の割合(O2流量/(Ar流量+O2流量))を20%程度とする条件でのスパッタリング法により、IrOx膜76aを形成する際に、その膜厚が25nm程度、50nm程度及び75nm程度の3種類の強誘電体キャパシタを作製した。さらに、これらを、温度725℃程度、O2流量/(Ar流量+O2流量)=1%程度の雰囲気中で60秒間程度のRTAを行った。その後、第2の実施形態による製造方法で1層目の配線層まで形成した。
図34において、QSW8-1(「◆」)は、印加電圧が1.8V程度であって第1の試験と同様の強誘電体キャパシタ(ディスクリート)の反転電荷量であり、QSW8-2(「●」)は、印加電圧が1.8V程度であって第2の試験と同様の強誘電体キャパシタ(セルキャパシタ)の反転電荷量である。また、図35において、L6-1(「◆」)は上部電極を基準として下部電極の電位を+1.8V程度にした際のリーク電流値であり、L6-2(「●」)は上部電極を基準として下部電極の電位を−1.8V程度にした際のリーク電流値である。
図34に示すように、IrOx膜76aの膜厚が75nm程度の場合、IrOx膜76aの膜厚が25nm程度及び50nm程度の場合と比較して、強誘電体キャパシタの反転電荷量が若干低くなっている。このように、IrOx膜76aの膜厚が厚くなると、キャパシタの反転電荷量が低くなるのは、成膜後の熱処理は、酸素が強誘電体膜75へ面拡散し難くなって、上部電極76の成膜時点のダメージが回復しづらくなるからであると考えられる。より高い強誘電体キャパシタの反転電荷量を得るには、IrOx膜76aの膜厚が25nm乃至50nm程度が最適であるが、IrOx膜76aの膜厚が75nm程度の場合でも、これらの膜厚における反転電荷量とそれほど大差がないため、強誘電体メモリの動作に支障をきたすレベルには至っていないと考えられる。
一方、図35に示すように、リーク電流値の特性に関しては、IrOx膜76aの膜厚が25nm乃至75nmの範囲では大差がない結果が得られた。
この第11の試験結果及び前述した第8の試験結果等を考慮すると、本発明の効果を得るためのIrOx膜の最適な膜厚は、10nm乃至100nmの範囲とすることができる。これは、IrOx膜の膜厚が100nmを超えると、強誘電体キャパシタの反転電荷量が小さくなって、強誘電体メモリの低電圧動作に支障をきたすという不具合が生じ、また、成IrOx膜の膜厚が10nmを未満になると、IrOY膜76bを成膜する際に強誘電体膜75にダメージを与えて、強誘電体キャパシタの特性劣化を招くからである。
なお、強誘電体キャパシタの強誘電体膜としては、例えば、熱処理により結晶構造がBi層状構造(例えば、(Bi1-xRx)Ti3O12(Rは希土類元素:0<x<1)、SrBi2Ta2O9、及びSrBi4Ti4O15のうちから選ばれた1種)又はペロブスカイト構造となる膜を形成することができる。このような膜としては、PZT膜の他、La、Ca、Sr、Siの少なくともいずれかを微量ドープしたPZT、SBT、BLT、並びにBi層状化合物などの一般式ABO3で表される膜が挙げられる。
本発明の実施形態によれば、強誘電体膜と上部電極との界面を良好な状態にすることができるため、強誘電体膜の薄膜化を進展させていった際においても、低電圧での動作を維持するとともに、その動作速度を顕著に向上させることが可能となる。さらに、高い疲労耐性及び高いインプリント耐性の強誘電体キャパシタを得ることができる。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)半導体基板と、
前記半導体基板の上方に形成され、上部電極と下部電極との間にキャパシタ膜が挟持されてなるキャパシタ構造とを有し、
前記上部電極は、前記キャパシタ膜との界面に、成膜の時点で結晶化されている導電性酸化物膜を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記導電性酸化物膜は、イリジウム酸化物、白金酸化物、ルテニウム酸化物、ロジウム酸化物、レニウム酸化物、オスミウム酸化物及びパラジウム酸化物からなる群から選択された少なくとも1種の酸化物で構成された膜であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記導電性酸化物膜は、その結晶面が(110)面及び(200)面に配向している膜であることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記上部電極は、前記導電性酸化物膜上に形成された導電膜を更に含むことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記5)
前記導電膜は、イリジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム及びパラジウムからなる群から選択された少なくとも1種の貴金属元素を含有する金属膜又は導電性酸化物膜であることを特徴とする付記4に記載の半導体装置。
(付記6)
前記キャパシタ膜は、強誘電体膜であることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記7)
キャパシタ構造を有する半導体装置の製造方法であって、
半導体基板の上方に、前記キャパシタ構造の下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上にキャパシタ膜を形成する工程と、
前記キャパシタ膜上に、少なくとも前記キャパシタ構造の上部電極の一部となる、結晶化状態の導電性酸化物膜を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記導電性酸化物膜を形成した後に、酸化性ガスを含む雰囲気中で熱処理を行う工程を更に有することを特徴とする付記7に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記導電性酸化物膜上に、前記上部電極を構成する導電膜を形成する工程を更に有することを特徴とする付記7又は8に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記導電性酸化物膜を形成する工程は、イリジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム及びパラジウムからなる群から選択された少なくとも1種の貴金属元素を含むターゲットを用いたスパッタリングを、前記貴金属元素の酸化が生じる条件下で行う工程を含むことを特徴とする付記7乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記導電性酸化物膜は、その結晶面が(110)面及び(200)面に配向している膜であることを特徴とする付記7乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記導電性酸化物膜を形成する工程では、その成膜温度を制御して、前記結晶面に配向する前記導電性酸化物膜を形成することを特徴とする付記11に記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)
前記成膜温度を、20℃乃至400℃とすることを特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記導電性酸化物膜を形成する工程では、スパッタリングの際に用いるガス中の酸素ガスの分圧を制御して、前記結晶面に配向する前記導電性酸化物膜を形成することを特徴とする付記11に記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記酸素ガスの分圧を、前記スパッタリングの際に用いるガスを構成する酸素ガス及び不活性ガスの圧力に対して、10%乃至60%とすることを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記導電性酸化物膜の厚さを、10nm乃至100nmとすることを特徴とする付記7乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記熱処理を行う工程は、前記酸化性ガスが0.1%乃至50%含まれる雰囲気中で行われることを特徴とする付記8に記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)
前記熱処理は、600℃乃至800℃の温度で行われることを特徴とする付記8に記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)
前記導電膜は、イリジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム及びパラジウムからなる群から選択された少なくとも1種の貴金属元素を含有する金属膜又は導電性酸化物膜であることを特徴とする付記9に記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)
前記キャパシタ膜は、強誘電体膜であることを特徴とする付記7乃至19のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。