JP4971740B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、強誘電体メモリに好適な半導体装置の製造方法に関する。
近年、デジタル技術の進展に伴い、大容量のデータを高速に処理又は保存する傾向が高まっている。このため、電子機器に使用される半導体装置の高集積化及び高性能化が要求されている。
そこで、半導体記憶装置に関しては、例えばDRAMの高集積化を実現するため、DRAMを構成する容量素子の容量絶縁膜として、従来の珪素酸化物又は珪素窒化物に代えて、強誘電体材料又は高誘電率材料を用いる技術が広く研究開発され始めている。
また、より低電圧で且つ高速での書き込み動作及び読み出し動作が可能な不揮発性RAMを実現するため、容量絶縁膜として、自発分極特性を有する強誘電体膜を用いる技術も盛んに研究開発されている。このような半導体記憶装置は、強誘電体メモリ(FeRAM)とよばれる。
強誘電体メモリは、強誘電体のヒステリシス特性を利用して情報を記憶する。強誘電体メモリには強誘電体キャパシタが備えられており、強誘電体キャパシタは、強誘電体膜が1対の電極間に容量誘電体膜として挟み込まれて構成されている。強誘電体膜は電極間の印加電圧に応じて分極を生じ、印加電圧が取り去されても自発分極を有する。また、印加電圧の極性を反転すれば、自発分極の極性も反転する。従って、この自発分極を検出すれば、情報を読み出すことができる。強誘電体メモリは、フラッシュメモリに比べて低電圧で動作し、省電力で高速の書き込みが可能である。そして、強誘電体メモリを備えたロジック混載チップ(SoC:System on Chip)のICカード等への使用が検討されている。
なお、強誘電体膜としては、PZT系材料の膜及びBi層状構造化合物の膜等が用いられる。PZT系の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)そのもの、並びにPZT膜にLa、Ca、Sr及び/又はSiがドープされたもの等が挙げられる。Bi層状構造化合物としては、SrBi2Ta29(SBT、Y1)、及びSrBi2(Ta、Nb)29(SBTN、YZ)等が挙げられる。強誘電体膜は、下部電極膜上に、ゾルゲル法又はスパッタ法等によってアモルファス状態又は微結晶の状態で形成された後、熱処理によって結晶化されている。また、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により下部電極上に、結晶化した状態で形成されることもある。
電気的特性がよく、製品歩留まりの高い強誘電体メモリを作製するためには、強誘電体膜を構成する結晶の配向性を高めることが重要である。強誘電体膜の配向は下部電極膜の配向に大きく影響される。換言すれば、下部電極膜の配向を調整することにより、強誘電体膜の配向性を向上することができるのである。
ここで、下部電極膜は、主に、TiN膜、TiAlN膜、Ir膜、IrO2膜、Pt膜及びSRO(SrRuO3)膜のうちの2以上を組み合わせて構成されている。なお、MOCVD法を採用して強誘電体膜を形成する場合には、Ir膜又はTi膜を最表面に位置させている。また、スタック構造の強誘電体キャパシタでは、下部電極の下方に位置する膜は、バリアメタル膜とよばれることもある。
上述のように強誘電体膜の形成方法には種々のものがあるが、近年の集積度の向上にはMOCVD法が好ましい。MOCVD法により強誘電体膜を形成する場合には、下部電極膜が形成された半導体基板をMOCVDチャンバ内に挿入し、アルゴン雰囲気中で600℃以上まで加熱する。
しかしながら、このような方法でPZT膜を形成した場合、その表面は(100)面又は(101)面に強く配向しており、好ましい(111)面への配向が弱い。このため、強誘電体キャパシタのスイッチング電荷量が十分とはいえない。
特開2005−159165号公報 特開2003−197874号公報 特開2001−237392号公報 特開2002−151656号公報
本発明は、強誘電体膜の配向を好ましい方向に制御することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
単にPZT膜の配向を制御するだけであれば、アルゴン雰囲気中での昇温を酸素雰囲気中での昇温に変えればよい。しかしながら、酸素雰囲気中で昇温すると、PZT膜の表面の(111)面への配向が大きくばらつくと共に、表面が荒れやすくなる。特に、半導体基板の周辺部に非常に大きな凸部が発生したり、表面荒れが発生しやすくなる。この理由は、昇温の際に、下部電極膜の最表面、例えばIr膜の表面が異常酸化しているからであると考えられる。Irが異常酸化するとIrOXが生成され、MOCVDの溶媒であるTHF(Tetra Hydro Furan:C48O)又は酢酸ブチルがIrOXを還元することとなる。そして、この還元の際に異相が生成されて、その直後に形成されるPZT膜の結晶性が低下するのである。
そこで、本願発明では、強誘電体膜自体の形成を工夫するのではなく、以下のように、その直下に位置する下部電極膜の形成に趣向を凝らすこととする。
本願発明に係る半導体装置の製造方法では、半導体基板の上方に貴金属膜を形成した後、前記貴金属膜上に、結晶化した貴金属酸化膜をスパッタ法により形成する。次に、前記貴金属酸化膜を還元する。そして、前記貴金属酸化膜を還元したまま、その上に強誘電体膜を形成する。その後、前記強誘電体膜上に電極を形成する。前記貴金属酸化膜として、Ir酸化膜、Rh酸化膜、Pd酸化膜及びRu酸化膜からなる群から選択された一つの膜を形成し、前記貴金属膜として、Ir膜、Rh膜、Pd膜及びRu膜からなる群から選択された一つの膜を形成する。
本発明によれば、下部電極膜を構成する結晶化した貴金属酸化膜を還元し、そのまま強誘電体膜を形成しているので、下部電極膜の異常酸化を回避することができる。このため、結晶性の優れた強誘電体膜を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。但し、ここでは、便宜上、強誘電体メモリの各メモリセルの断面構造については、その製造方法と共に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1A乃至図1Qは、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体メモリ(半導体装置)の製造方法を工程順に示す断面図である。
第1の実施形態では、先ず、図1Aに示すように、n型又はp型のシリコン基板1の表面に、トランジスタの活性領域を画定するSTI(Shallow Trench Isolation)用の溝を形成し、その中に酸化シリコン等の絶縁膜を埋め込むことにより、素子分離絶縁膜2を形成する。なお、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により素子分離絶縁膜を形成してもよい。
次いで、活性領域にp型不純物を導入することにより、pウェル3を形成する。次に、活性領域の表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜4を形成する。続いて、シリコン基板1の上側全面に、非晶質又は多結晶のシリコン膜を形成し、これをフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることにより、ゲート電極5を形成する。このとき、pウェル3上に、2つのゲート電極5を互いに平行に配置する。これらのゲート電極5は、メモリのワード線の一部として機能する。
次いで、ゲート電極5をマスクとして用いて、n型不純物の導入(イオン注入)を行うことにより、エクステンション層6をゲート電極5の両脇に形成する。その後、シリコン基板1の上側全面に絶縁膜を形成し、これをエッチバックすることにより、ゲート電極5の横に絶縁性のサイドウォール8を形成する。絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜をCVD法により形成する。
続いて、サイドウォール8及びゲート電極5をマスクとして用いて、n型不純物の導入(イオン注入)を行うことにより、不純物拡散層7をゲート電極5の両脇に形成する。2組のエクステンション層6及び不純物拡散層7から、MOSトランジスタのソース及びドレインが構成される。
次に、シリコン基板1の上側全面に、スパッタ法によりコバルト層等の高融点金属層を形成し、この高融点金属層を加熱してシリコンと反応させる。この結果、ゲート電極5上に高融点金属のシリサイド層9が形成され、不純物拡散層7上に高融点金属のシリサイド層10が形成される。そして、素子分離絶縁膜2上等にある未反応のる高融点金属層をウェットエッチングにより除去する。
次に、例えば、プラズマCVD法により厚さが約200nmのシリコン酸窒化膜11をシリコン基板1の上側全面に形成する。次いで、シリコン酸窒化膜11上に、例えば、原料ガスとしてTEOSガスを用いたプラズマCVD法により、厚さが約1000nmのシリコン酸化膜12を形成する。その後、シリコン酸化膜12の上面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して平坦化する。この平坦化では、シリコン酸化膜12の厚さを、シリコン基板1の上面上から約700nmとする。
次に、フォトリソグラフィ技術によりシリコン酸化膜12及びシリコン酸窒化膜11をパターニングすることにより、シリサイド層10を露出するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの直径は、例えば0.25μmとする。次いで、コンタクトホールの底部及び側部に、厚さが約30nmのTi膜及び厚さが約20nmのTiN膜を順次形成することにより、グルー膜(密着膜)13を形成する。その後、コンタクトホール内及びシリコン酸化膜12上にタングステン膜(W膜)14を形成する。W膜14の厚さは、シリコン酸化膜12の上面から約300nmとする。続いて、CMPを行うことにより、コンタクトホール内のみにグルー膜13及びW膜14を残す。これらからコンタクトプラグが構成される。このCMPでは、オーバー研磨を行うことにより、シリコン酸化膜12上のグルー膜13及びW膜14を完全に除去する。
次に、例えば、プラズマCVD法により厚さが約130nmのシリコン酸窒化膜15を酸化防止膜としてシリコン酸化膜12及びコンタクトプラグ上に形成する。更に、シリコン酸窒化膜15上に、例えば、原料ガスとしてTEOSガスを用いたたプラズマCVD法により、厚さが約300nmのシリコン酸化膜16を形成する。なお、酸化防止膜として、シリコン酸窒化膜15の代わりに、シリコン窒化膜又はアルミニウム酸化膜を形成してもよい。
次いで、図1Bに示すように、フォトリソグラフィ技術によりシリコン酸化膜16及びシリコン酸窒化膜15をパターニングすることにより、シリサイド層10を露出するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの直径は、例えば0.25μmとする。次いで、コンタクトホールの底部及び側部に、厚さが約30nmのTi膜及び厚さが約20nmのTiN膜を順次形成することにより、グルー膜(密着膜)17を形成する。その後、コンタクトホール内及びシリコン酸化膜16上にタングステン膜(W膜)18を形成する。W膜18の厚さは、シリコン酸化膜16の上面から約300nmとする。続いて、CMPを行うことにより、コンタクトホール内のみにグルー膜17及びW膜18を残す。これらからコンタクトプラグが構成される。なお、このCMPでは、オーバー研磨を行うことにより、シリコン酸化膜16上のグルー膜17及びW膜18を完全に除去する。
次に、シリコン酸化膜16の表面に対してNH3プラズマ処理を行うことにより、シリコン酸化膜16の表面の酸素原子にNH基を結合させる。このプラズマ処理では、例えば、シリコン基板1から約9mm(350mils)離間した位置に対向電極が設けられた平行平板型のプラズマ処理装置を使用する。そして、シリコン基板1の設定温度を400℃とし、チャンバ内圧力を266Pa(2Torr)とした状態で、チャンバ内にアンモニアガスを350sccmの流量で供給する。また、シリコン基板1側に13.56MHzの高周波を100Wのパワで供給すると共に、対向電極に350kHzの高周波を55Wのパワで供給し、これらを60秒間継続する。
次いで、シリコン酸化膜16及びコンタクトプラグ上に厚さが約20nmのTi膜を形成する。このTi膜の形成では、例えば、シリコン基板1から約60mm離間した位置にターゲットが設けられたスパッタリング装置を使用する。そして、シリコン基板1の設定温度を20℃とし、チャンバ内圧力を0.15Paとし、チャンバ内の雰囲気をAr雰囲気とした状態で、2.6kWのスパッタDCパワを5秒間供給する。本実施形態では、Ti膜の形成前に、シリコン酸化膜16の表面にNH3プラズマ処理を行っているので、その上に堆積したTi原子は酸素原子に捕獲されることなく、シリコン酸化膜16の表面を自在に移動することができる。この結果、Ti膜は自己組織化され、その表面が(002)面に強く配向したものとなる。その後、窒素雰囲気中で650℃、60秒間のRTA(Rapid Thermal Annealing)を行うことにより、図1Cに示すように、Ti膜を、その表面が(111)面に強く配向したTiN膜21とする。
続いて、TiN膜21上に、例えば反応性スパッタ法により厚さが約100nmのTiAlN膜22を酸素拡散バリア膜として形成する。このとき、例えば、Ti及びAlを合金化したターゲットを使用する。また、シリコン基板1の設定温度を400℃とし、チャンバ内圧力を253.3Paとし、チャンバ内に、Arを40sccmの流量で供給すると共に、N2を10sccmの流量で供給する。また、スパッタパワは、例えば1.0kWとする。
次に、TiAlN22上に、例えばスパッタ法により厚さが60nm〜100nmのIr膜23を貴金属導電膜として形成する。このとき、シリコン基板1の設定温度を500℃とし、チャンバ内圧力を0.2Paとし、チャンバ内雰囲気をAr雰囲気とする。また、スパッタパワは、例えば0.3kWとする。なお、貴金属導電膜として、Ir膜23の代わりに、ルテニウム膜、ロジウム膜又はパラジウム膜を形成してもよい。
次に、図1Dに示すように、Ir膜23上に、例えばスパッタ法により厚さが5nm〜50nmのIrOX膜24を貴金属酸化膜として形成する。このとき、シリコン基板1の設定温度を100℃〜400℃とし、チャンバ内圧力を0.11Paとし、チャンバ内雰囲気をAr及びO2の混合雰囲気とする。また、スパッタパワは、例えば1kWとする。
なお、本実施形態では、IrOX膜24として、結晶化したものを形成する。また、IrOX膜24を構成する結晶は、等軸晶(チル晶)であることが好ましい。
次に、図1Eに示すように、IrOX膜24上に、例えば2層構造のPZT膜25を形成する。
第1層目の形成では、例えばMOCVD法を採用し、その厚さを約100nmとする。このとき、Pbの原料としてPb(C111922を用いる。Pb(C111922はPb(DPM)2と表記されることがある。また、Zrの原料としてZr(C91524を用いる。Zr(C91524はZr(DMHD)4と表記されることがある。また、Tiの原料としてTi(C37O)2(C111922を用いる。Ti(C37O)2(C111922はTi(O−iOr)2(DPM)2と表記されることがある。そして、これらをTHF溶媒中にいずれも0.3mol/リットルの濃度で溶解し、3種類の液体原料とする。そして、これらの液体原料を、MOCVD装置の気化器に、流量が0.474ml/分のTHF溶媒と共に、それぞれ0.326ml/分、0.200ml/分、0.200ml/分の流量で供給し、気化させる。このようにして、Pb、Zr及びTiの原料ガスが得られる。
更に、MOCVDチャンバ内の圧力を665Pa(5Torr)とし、シリコン基板1の設定温度を620℃とし、Pb、Zr及びTiの原料ガスを、MOCVDチャンバ内に、例えば620秒間供給する。
なお、第1層目の形成の際に、IrOX膜24は、THF溶媒によってMOCVDチャンバ内で還元され、図1Eに示すように、Ir膜24aに変化する。
第2層目の形成では、例えばスパッタ法を採用し、その厚さを1nm〜30nm(例えば20nm)とする。この場合、第2層目のPZT膜はアモルファス状態となる。MOCVD法を採用してもよく、その場合には、第1層目と同様に、Pbの原料としてPb(DPM)2を用い、Zrの原料としてZr(DMHD)4を用い、Tiの原料としてTi(O−iPr)2(DPM)2を用いる。
次いで、図1Fに示すように、PZT膜25上に、例えばスパッタ法により厚さが50nmのIrOY膜26を形成する。IrOY膜26として、結晶化したものを形成する。このとき、シリコン基板1の設定温度を300℃とし、チャンバ内に、Ar及びO2をいずれも100sccmの流量で供給する。また、スパッタパワは、例えば1kW〜2kW程度とする。次に、チャンバ内に、O2を20sccmの流量で供給すると共に、Arを2000scmの流量で供給しながら、725℃、60秒間のRTAを行うことにより、PZT膜25を完全に結晶化させる。また、このRTAにより、IrOY膜26のプラズマダメージが回復され、PZT膜25中の酸素欠損が補償される。
その後、IrOY膜26上に、例えばスパッタ法により厚さが100nm〜200nmのIrOZ膜27を形成する。チャンバ内雰囲気をAr雰囲気とし、チャンバ内圧力を0.8Paとし、スパッタパワを1.0kWとした場合、79秒間程度で、IrOZ膜27の厚さは200nm程度となる。なお、IrOZの組成はIrOYの組成よりもIrO2の化学量論組成に近い組成(Y<Z<2)とすることが好ましい。これは、このような組成とすることにより、水素に対する触媒作用が抑えられ、PZT膜25が水素ラジカルにより還元されるという問題が抑制され、強誘電体キャパシタの水素耐性が向上するからである。なお、IrOY膜26及び/又はIrOZ膜27の代わりに、Ir、Ru、Rh、Re、Os又はPdからなる膜、又はこれらの酸化物膜を形成してもよい。また、SrRuO3等の導電性酸化物を形成してもよい。更に、これらの膜を積層したものを用いてもよい。
次に、IrOZ膜27上に、例えばスパッタ法により厚さが50nm〜100nmのIr膜28を水素バリア膜及び導電性向上膜として形成する。このとき、チャンバ内雰囲気をAr雰囲気とし、チャンバ内圧力を1Paとし、スパッタパワを1.0kWとする。なお、Ir膜27の代わりに、ルテニウム膜、ロジウム膜又はパラジウム膜を形成してもよい。
その後、背面洗浄を行う。続いて、図1Gに示すように、Ir膜28上に窒化チタン膜(TiN膜)31及びシリコン酸化膜32を順次形成する。TiN膜31は、例えばスパッタ法により形成する。シリコン酸化膜32は、例えばTEOSガスを用いたCVD法により形成する。
次いで、図1Hに示すように、シリコン酸化膜32を島状にパターニングする。
次に、図1Iに示すように、シリコン酸化膜32をマスクとして用いて、TiN膜31をエッチングする。この結果、島状のTiN膜31及びシリコン酸化膜32からなるハードマスクが形成される。
次に、TiN膜31及びシリコン酸化膜32をマスクとして用いて、HBr、O2、Ar、及びC48の混合ガスをエッチングガスとするプラズマエッチングを、Ir膜28、IrOZ膜27、IrOY膜26、PZT膜25、Ir膜24a及びIr膜23に対して行う。この結果、上部電極33及び下部電極34が形成される。即ち、強誘電体キャパシタが形成される。
続いて、図1Jに示すように、ドライエッチング又はウェットエッチによりシリコン酸化膜32を除去する。
次に、図1Kに示すように、Ir膜28等をマスクとして用いて、ドライエッチングを行うことにより、TiAlN膜22及びTiN膜21をパターニングする。
次いで、図1Lに示すように、強誘電体キャパシタを覆う保護膜35をシリコン酸化膜16上に形成する。保護膜35としては、例えばスパッタ法により厚さが約20nmのアルミニウム酸化膜を形成する。
その後、図1Mに示すように、誘電体膜キャパシタのダメージを回復させるために、酸素含有雰囲気中で回復アニールを行う。この回復アニールの条件は特に限定されないが、例えばシリコン基板1の設定温度を550℃〜700℃とする。特に、本実施形態のように、強誘電体膜としてPZT膜25が形成されている場合には、酸素雰囲気中で650℃、60分間の回復アニールを行う。
その後、図1Nに示すように、保護膜35上に新たな保護膜36を形成する。保護膜36としては、例えばCVD法により厚さが約20nmのアルミニウム酸化膜を形成する。
次に、図1Oに示すように、保護膜36上に、例えばプラズマTEOSCVD法により厚さが約1500nmのシリコン酸化物37を層間絶縁膜として形成する。このとき、原料ガスとして、例えば、TEOSガス、酸素ガス及びヘリウムガスからなる混合ガスを用いる。その後、シリコン酸化物37の表面を、例えばCMP法により平坦化する。なお、層間絶縁膜として、例えば、絶縁性を有する無機膜等を形成してもよい。
続いて、N2Oガス又はN2ガス等を用いて発生させたプラズマ雰囲気中で、熱処理を行う。この結果、シリコン酸化物37中の水分が除去されると共に、シリコン酸化物37の膜質が変化し、シリコン酸化物37中に水分が入りにくくなる。
その後、シリコン酸化物37上に、例えばスパッタ法又はCVD法により、保護膜(バリア膜)38を形成する。保護膜38としては、例えば厚さが20nm〜100nmのアルミニウム酸化膜を形成する。平坦化されたシリコン酸化物37上に保護膜38が形成されるため、保護膜38も平坦となる。
次に、保護膜38上に、例えばプラズマTEOSCVD法により厚さが300nm〜500nmのシリコン酸化物39を層間絶縁膜として形成する。その後、シリコン酸化物39の表面を、例えばCMP法により平坦化する。なお、層間絶縁膜として、シリコン酸窒化膜又はシリコン窒化膜等を形成してもよい。
次いで、図1Pに示すように、フォトリソグラフィ技術により、シリコン酸化膜39、保護膜38及びシリコン酸化膜37をパターニングすることにより、上部電極33を露出するコンタクトホールを形成する。また、フォトリソグラフィ技術により、シリコン酸化膜39、保護膜38、シリコン酸化膜37、保護膜36、保護膜35、シリコン酸化膜16及びシリコン酸窒化膜15をパターニングすることにより、グルー膜13及びW膜14からなるコンタクトプラグを露出するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの直径は、例えば0.25μmとする。その後、550℃の酸素雰囲気中で熱処理を行うことにより、コンタクトホールの形成の際にPZT膜25に生じた酸素欠損を回復させる。
次いで、コンタクトホールの底部及び側部に、厚さが約30nmのTi膜及び厚さが約20nmのTiN膜を順次形成することにより、グルー膜(密着膜)40を形成する。このとき、例えば、Ti膜をスパッタ法により形成し、その上にTiN膜をMOCVD法により形成する。但し、TiN膜をMOCVD法により形成する場合には、TiN膜から炭素を除去するために、窒素及び水素の混合ガスのプラズマ中での処理が必要とされる。本実施形態では、上部電極33の最表面がIr膜28となっているため、このプラズマ処理が行われても、上部電極33は還元されない。また、グルー膜40として、TiN膜のみを形成してもよい。
その後、コンタクトホール内及びシリコン酸化膜39上にタングステン膜(W膜)41を形成する。W膜41の厚さは、シリコン酸化膜39の上面から約300nmとする。続いて、CMPを行うことにより、コンタクトホール内のみにグルー膜40及びW膜41を残す。これらからコンタクトプラグが構成される。なお、このCMPでは、オーバー研磨を行うことにより、シリコン酸化膜39上のグルー膜40及びW膜41を完全に除去する。
続いて、シリコン酸化膜39及びコンタクトプラグ上に、Ti膜42、TiN膜43、AlCu膜44、TiN膜45及びTi膜46からなる配線を形成する。配線の形成に当たっては、例えばスパッタ法により、厚さが60nmのTi膜、厚さが30nmのTiN膜、厚さが360nmのAlCu膜、厚さが5nmのTi膜、及び厚さが70nmのTiN膜を順次形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて、これらをパターニングする。
その後、更に、層間絶縁膜の形成、コンタクトプラグの形成及び下から第2層目以降の配線の形成等を行う。そして、例えばTEOS酸化膜及びSiN膜からなるカバー膜を形成して強誘電体キャパシタを有する強誘電体メモリを完成させる。
このような第1の実施形態では、PZT膜25を形成するためにシリコン基板1をMOCVDチャンバ内に挿入する際には、最表面に、結晶化したIrOX膜24が形成されている。従って、IrOX膜24に異常酸化が生じることはなく、その後に、IrOX膜24から変化したIr膜24a上に形成されるPZT膜25の結晶性は極めて良好なものとなる。つまり、PZT膜25の形成に使用するTHF溶媒による還元の結果、得られるIr膜24aの結晶性は良好なままであり、その上に形成されるPZT膜25の結晶性も良好なものとなる。従って、同一のウェハ内でも、互いに異なるウェハ間でも、安定した特性を得ることが可能となる。特に、低電圧動作時の特性が良好なものとなる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2A乃至図2Cは、本発明の第2の実施形態に係る強誘電体メモリ(半導体装置)の製造方法を工程順に示す断面図である。
第2の実施形態では、先ず、第1の実施形態と同様に、シリコン酸化膜16の表面に対するNH3プラズマ処理までの処理を行う。但し、グルー膜17及びW膜18からなるコンタクトプラグの形成に当たっては、図2Aに示すように、コンタクトプラグの表面にリセス50が形成されることがある。リセス50の深さは、例えば20nm〜50nm程度である。
このようなリセス50が存在したままで第1の実施形態と同様の処理を行うと、TiN膜21等の表面に、リセス50を反映した凹部が形成され、PZT膜25の配向が低下してしまう。そこで、第2の実施形態では、図2Bに示すように、シリコン酸化膜16及びコンタクトプラグ上に厚さが約100nmのTi膜51を形成する。このTi膜51の形成では、例えば、シリコン基板1から約60mm離間した位置にターゲットが設けられたスパッタリング装置を使用する。そして、シリコン基板1の設定温度を20℃とし、チャンバ内圧力を0.15Paとし、チャンバ内の雰囲気をAr雰囲気とした状態で、2.6kWのスパッタDCパワを35秒間供給する。本実施形態でも、Ti膜51の形成前に、シリコン酸化膜16の表面にNH3プラズマ処理を行っているので、その上に堆積したTi原子は酸素原子に捕獲されることなく、シリコン酸化膜16の表面を自在に移動することができる。この結果、Ti膜51は自己組織化され、その表面が(002)面に強く配向したものとなる。
その後、例えばCMP法によりTi膜51の表面を平坦化する。平坦化後のTi膜51の厚さは、例えばシリコン酸化膜16の表面から50nm〜100nmとする。この厚さの制御は、例えば時間制御により行う。
続いて、Ti膜51の表面をNH3プラズマにさらす。Ti膜51の表面の結晶には、平坦化処理によって歪が生じているが、このプラズマ処理により、歪が緩和される。このため、その上に形成される膜の結晶性の低下を未然に回避することができる。
次に、Ti膜51上に、厚さが約20nmのTi膜を形成する。次いで、第1の実施形態と同様に、窒素雰囲気中で650℃、60秒間のRTAを行うことにより、図2Cに示すように、Ti膜を、その表面が(111)面に強く配向したTiN膜21とする。
その後、第1の実施形態と同様に、TiAlN膜22の形成以降の処理を行う。
このような第2の実施形態によれば、リセス50が形成された場合であっても、良好な特性の強誘電体キャパシタを得ることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図3A及び図3Bは、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体メモリ(半導体装置)の製造方法を工程順に示す断面図である。
第3の実施形態では、先ず、第2の実施形態と同様に、Ti膜51の形成までの処理を行う。その後、図3Aに示すように、例えばCMP法により、シリコン酸化膜16の表面が露出するまでTi膜51の表面を平坦化する。つまり、第2の実施形態とは異なり、シリコン酸化膜16上のTi膜51を完全に除去する。
続いて、第2の実施形態と同様に、Ti膜51の表面をNH3プラズマにさらす。Ti膜51の表面の結晶には、平坦化処理によって歪が生じているが、このプラズマ処理により、歪が緩和される。このため、その上に形成される膜の結晶性の低下を未然に回避することができる。
次に、Ti膜51上に、厚さが約20nmのTi膜を形成する。次いで、第1及び第2の実施形態と同様に、窒素雰囲気中で650℃、60秒間のRTAを行うことにより、図3Bに示すように、Ti膜を、その表面が(111)面に強く配向したTiN膜21とする。
その後、第1及び第2の実施形態と同様に、TiAlN膜22の形成以降の処理を行う。
このような第3の実施形態によっても、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図4A乃至図4Cは、本発明の第4の実施形態に係る強誘電体メモリ(半導体装置)の製造方法を工程順に示す断面図である。
第4の実施形態では、先ず、図4Aに示すように、第1の実施形態と同様に、グルー膜13及びW膜14からなるコンタクトプラグの形成までの処理を行う。
次に、シリコン酸化膜12の表面に対してNH3プラズマ処理を行うことにより、シリコン酸化膜12の表面の酸素原子にNH基を結合させる。このプラズマ処理では、例えば、シリコン基板1から約9mm(350mils)離間した位置に対向電極が設けられた平行平板型のプラズマ処理装置を使用する。そして、シリコン基板1の設定温度を400℃とし、チャンバ内圧力を266Pa(2Torr)とした状態で、チャンバ内にアンモニアガスを350sccmの流量で供給する。また、シリコン基板1側に13.56MHzの高周波を100Wのパワで供給すると共に、対向電極に350kHzの高周波を55Wのパワで供給し、これらを60秒間継続する。
次いで、図4Bに示すように、TiN膜21をシリコン酸化膜12及びコンタクトプラグ上に形成する。TiN膜21の形成方法は、第1の実施形態と同様である。その後、TiAlN膜22の形成から保護膜36の形成までの処理を行う。
その後、図4Cに示すように、第1の実施形態と同様にして、シリコン酸化膜37の形成及び平坦化を行う。次に、2つのMOSトランジスタに共有されているシリサイド層10まで到達するコンタクトホールを、シリコン酸化膜37、保護膜36、保護膜35、シリコン酸化膜12及びシリコン酸窒化膜11に形成する。そして、このコンタクトホール内に、グルー膜40及びW膜41からなるコンタクトプラグを形成する。更に、コンタクトプラグを酸化防止膜(図示せず)等により覆った状態で、上部電極33を露出する孔を形成する。
続いて、シリコン酸化膜37上、コンタクトプラグ上及び孔内に、Ti膜42、TiN膜43、AlCu膜44、TiN膜45及びTi膜46からなる配線及びパッドを形成する。配線及びパッドの形成に当たっては、例えばスパッタ法により、厚さが60nmのTi膜、厚さが30nmのTiN膜、厚さが360nmのAlCu膜、厚さが5nmのTi膜、及び厚さが70nmのTiN膜を順次形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて、これらをパターニングする。
その後、更に、層間絶縁膜の形成、コンタクトプラグの形成及び下から第2層目以降の配線の形成等を行う。そして、例えばTEOS酸化膜及びSiN膜からなるカバー膜を形成して強誘電体キャパシタを有する強誘電体メモリを完成させる。
このような第4の実施形態によれば、第1の実施形態よりも少ない工程で強誘電体キャパシタを完成させることができる。
なお、強誘電体キャパシタの構造をスタック構造ではなく、プレーナ構造としてもよい。
また、強誘電体膜の形成方法としては、MOCVD法の他に、スパッタ法、ゾル−ゲル法、有機金属分解(MOD)法、CSD(Chemical Solution Deposition)法、化学気相蒸着(CVD)法及びエピタキシャル成長法等が挙げられる。また、強誘電体膜としては、例えば、結晶構造がBi層状構造又はペロブスカイト構造の膜を形成することができる。このような膜としては、PZT膜の他、La、Ca、Sr及び/又はSi等を微量ドープしたPZT、SBT、BLT並びにBi系層状化合物などの一般式ABO3で表される膜が挙げられる。
また、密着膜として、TiN膜21に代えて、Ti膜、Al酸化膜、Al窒化膜、TiAlN膜、Ta酸化膜、Ti酸化膜又はZr酸化膜等を用いてもよい。但し、絶縁膜を用いる場合には、強誘電体キャパシタの構造は、プレーナ構造とする。また、酸素バリア膜として、TiAlN膜22に代えて、Ir膜又はRu膜等を用いてもよい。また、Ir膜23に代えて、ロジウム膜、パラジウム膜又はルテニウム膜等を用いてもよい。また、IrOX膜24に代えて、ロジウム酸化膜、パラジウム酸化膜又はルテニウム酸化膜等を用いてもよい。また、結晶性向上膜として、Ti膜51に代えて、Pt膜、Ir膜、Re膜、Ru膜、Pd膜又はOs膜等を用いてもよく、これらの酸化膜を用いてもよい。
次に、本願発明者が行った実験の結果について説明する。
(第1の実験)
第1の実験では、PZT膜の表面を観察した。図5A及び図5Bは、第1の実施形態に倣って形成したPZT膜の表面の顕微鏡写真である。ここで、図5Aは、ウェハの中心部における顕微鏡写真であり、図5Bは、ウェハの周辺部における顕微鏡写真である。また、図6A及び図6Bは、IrOX膜を形成せずにIr膜上に形成したPZT膜の表面の顕微鏡写真である。ここで、図6Aは、ウェハの中心部における顕微鏡写真であり、図6Bは、ウェハの周辺部における顕微鏡写真である。
図6A及び図6Bに示す試料の作製に際しては、Ir膜を形成した後、その上に、酸素雰囲気のMOCVDチャンバ内で昇温し、PZT膜を形成した。このため、昇温中に、制御不能なIr膜に異常酸化が発生し、その後に還元されているものの、結晶性が低下すると共に、図6A及び図6Bに示すように、凹凸が生じた。特に、周辺部において顕著だった。これに対し、第1の実施形態に倣った場合には、図5A及び図5Bに示すように、中心部及び周辺部のいずれにおいても、凹凸が発生しなかった。このことから、結晶性の低下もほとんどないと考えられる。
(第2の実験)
第2の実験では、IrOX膜を形成する際の酸素分圧とPZT膜の配向との関係について調査した。ここでは、IrOX膜を形成する際の基板の温度を300℃に設定し、IrOX膜の厚さを20nmとした。この結果を図7に示す。なお、図7の縦軸は、PZT膜の表面における(111)面の積分強度を示している。また、IrOX膜を形成する際に用いたガスはAr及びO2のみである。
図7に示すように、酸素分圧が60%の場合には、(111)面の積分強度が低かった。これは、IrOX膜中の酸素の量が多く、MOCVDチャンバ内でのIrOX膜の還元が不足したためであると考えられる。
(第3の実験)
第3の実験では、IrOX膜を形成する際の酸素分圧とIrOX膜の結晶性との関係について調査した。ここでも、IrOX膜を形成する際の基板の温度を300℃に設定し、IrOX膜の厚さを20nmとした。これらの結果を図8A乃至図8Cに示す。
図8A乃至図8Cに示すように、酸素分圧が50%以下の場合、IrOX膜の表面は、(200)面及び(110)面の双方に配向した。また、酸素分圧が低くなるほど、(110)面への配向が強くなり、(200)面への配向が弱くなった。但し、酸素分圧が低過ぎると、IrOXの結晶が不安定になって、MOCVDチャンバ内で異常酸化が発生する虞がある。第2及び第3の実験の結果から、IrOX膜を形成する際の酸素分圧は、20%乃至50%にすることが望ましい。この範囲内であれば、図8A乃至図8Cに示すように、(200)面への配向強度は、(110)面への配向強度の10倍以下となり、これらの相違が小さくなる。
なお、図示しないが、酸素分圧を60%とした場合には、(200)面への配向のみが確認され、(110)面への配向は確認できなかった。
(第4の実験)
第4の実験では、IrOX膜を形成する際の基板温度とPZT膜の配向との関係について調査した。ここでは、IrOX膜を形成する際の酸素分圧を30%とし、IrOX膜の厚さを20nmとした。この結果を図9に示す。
図9に示すように、基板温度を300℃とした場合に、(111)面への配向強度が最も強くなった。一方、基板温度を400℃とした場合には、若干配向強度が低下した。これは、IrOX膜に既に若干の異常成長があるためであると考えられる。また、基板温度を50℃以下とした場合には、結晶化したIrOX膜を形成することができず、MOCVDチャンバ内で結晶化することとなる。このため、図9に示すように、異常酸化が生じて、PZT膜の(111)面への配向が弱くなった。この結果より、IrOX膜を形成する際の基板温度は300℃とすることが最も望ましい。
(第5の実験)
第5の実験では、IrOX膜の厚さとPZT膜の配向との関係について調査した。ここでは、IrOX膜を形成する際の酸素分圧を30%とし、基板温度を300℃とした。この結果を図10に示す。なお、図10中の中央部は、ウェハの中央部で測定した結果を示し、上端部は、オリエンテーションフラットを基準とした上端部で測定した結果を示し、右端部は、オリエンテーションフラットを基準とした右端部で測定した結果を示している。
図10に示すように、IrOX膜が厚くなるほど、PZT膜の(111)面への配向が弱くなった。これは、IrOX膜の全体が還元されないことがあるためであると考えられる。このため、IrOX膜の厚さは、40nm以下とすることが望ましい。但し、5nm以下の非常に薄いIrOX膜を再現性良く形成することも困難である。
(第6の実験)
第6の実験では、第1の実施形態に倣って形成したPZT膜の配向の再現性について調査した。ここでは、IrOX膜を形成する際の酸素分圧を30%とし、基板温度を300℃とし、IrOX膜の厚さを20nmとした。そして、PZT膜の形成を25枚のウェハに対して行った。この結果を図11Aに示す。また、図11Bは、IrOX膜を形成せずにIr膜上に形成したPZT膜の配向の再現性を示すグラフである。
図11Aに示すように、第1の実施形態に倣った場合には、再現性が極めて高くなった。一方、IrOX膜を形成しなかった場合には、図11Bに示すように、(111)面への配向のばらつきが大きくなった。
なお、下部電極膜に関し、特許文献1には、TiN膜上にTi膜及びPt膜が順次形成された構造、TiN膜上にTi膜、Pt膜及びSRO膜が順次形成された構造、TiN膜上にTi膜、Ir膜及びIrO2膜が順次形成された構造、TiN膜上にTiAlN膜、Ir膜及びIrO2が順次形成された構造が記載されている。また、特許文献2には、Ir上にIrOX膜、PtOX膜及びPt膜が順次形成された構造が記載されている。また、特許文献3には、Ir膜及び/又は酸化イリジウム膜からなる下部電極が記載されている。また、特許文献4には、Ir膜上にIrO2膜が形成された構造が記載されている。しかしながら、いずれの文献にも、最上部に位置する膜が結晶化していることは開示されていない。
また、特許文献1に記載の方法では、IrOX膜及びIr膜の厚さを30nmとすることが記載されているが、この場合、IrOX膜が薄すぎて、剥離が生じる虞がある。また、PZT膜の(111)面への配向は非常に弱くなり、スイッチング電荷量も低くなる。特許文献2に記載の方法では、強誘電体膜の直下がPt膜となっているため、異常酸化の問題が残ったままである。更に、強誘電体膜としてMOCVD法によってPZT膜を形成する場合には、PtとPbとが反応してPbPtが生成され、強誘電体キャパシタの電気特性が大きく低下する。また、特許文献3又は4に記載の方法では、強誘電体膜の直下の膜が結晶化しておらず、PZT膜が(111)面に配向しにくい。このことは、特許文献4の図3からも明らかである。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
半導体基板の上方に貴金属膜を形成する工程と、
前記貴金属膜上に、結晶化した貴金属酸化膜を形成する工程と、
前記貴金属酸化膜を還元する工程と、
前記貴金属酸化膜を還元したまま、その上に強誘電体膜を形成する工程と、
前記強誘電体膜上に電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)
前記貴金属酸化膜の厚さを40nm以下とすることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記貴金属酸化膜として、Ir酸化膜、Rh酸化膜、Pd酸化膜及びRu酸化膜からなる群から選択された膜を形成することを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)
前記貴金属膜として、Ir膜、Rh膜、Pd膜及びRu膜からなる群から選択された膜を形成することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記貴金属酸化膜として、前記貴金属膜を構成する元素の酸化膜を形成することを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記貴金属酸化膜の厚さを、前記貴金属膜の厚さよりも薄くすることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)
前記貴金属膜を形成する工程の前に、
前記半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜内に前記トランジスタに接続される導電プラグを形成する工程と、
を有し、
前記貴金属膜を前記導電プラグに電気的に接続することを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記強誘電体膜をMOCVD法により形成することを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記貴金属酸化膜を形成する際に、チャンバ内の酸素分圧を20%乃至50%とすることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記強誘電体膜を形成する際に、前記強誘電体膜の原料を還元性の溶媒に溶かして用いることを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記貴金属酸化膜の還元を前記還元性の溶媒を用いて実行し、そのまま前記還元性の溶媒の供給を継続しながら前記強誘電体膜を形成することを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に、形成された貴金属膜と、
前記貴金属膜上に形成され、結晶化した貴金属酸化膜を還元することにより得られた導電膜と、
前記導電膜上に形成された強誘電体膜と、
前記強誘電体膜上に形成された電極と、
を有することを特徴とする半導体装置。
本発明の第1の実施形態に係る強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Aに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Bに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Cに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Dに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Eに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Fに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Gに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Hに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Iに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Jに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Kに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Lに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Mに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Nに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Oに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Pに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図2Aに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図2Bに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図3Aに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図4Aに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図4Bに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 ウェハの中心部におけるPZT膜の表面を示す顕微鏡写真である(IrOX膜あり)。 ウェハの周辺部におけるPZT膜の表面を示す顕微鏡写真である(IrOX膜あり)。 ウェハの中心部におけるPZT膜の表面を示す顕微鏡写真である(IrOX膜なし)。 ウェハの周辺部におけるPZT膜の表面を示す顕微鏡写真である(IrOX膜なし)。 IrOX膜を形成する際の酸素分圧とPZT膜の配向との関係を示すグラフである。 酸素分圧が50%のときのIrOX膜の結晶性を示すグラフである。 酸素分圧が30%のときのIrOX膜の結晶性を示すグラフである。 酸素分圧が20%のときのIrOX膜の結晶性を示すグラフである。 IrOX膜を形成する際の基板温度とPZT膜の配向との関係を示すグラフである。 IrOX膜の厚さとPZT膜の配向との関係を示すグラフである。 PZT膜の配向の再現性を示すグラフである(IrOX膜あり)。 PZT膜の配向の再現性を示すグラフである(IrOX膜なし)。
符号の説明
23:Ir膜
24:IrOX
24a:Ir膜
25:PZT膜
33:上部電極
34:下部電極

Claims (10)

  1. 半導体基板の上方に貴金属膜を形成する工程と、
    前記貴金属膜上に、結晶化した貴金属酸化膜をスパッタ法により形成する工程と、
    前記貴金属酸化膜を還元する工程と、
    前記貴金属酸化膜を還元したまま、その上に強誘電体膜を形成する工程と、
    前記強誘電体膜上に電極を形成する工程と、
    を有し、
    前記貴金属酸化膜として、Ir酸化膜、Rh酸化膜、Pd酸化膜及びRu酸化膜からなる群から選択された一つの膜を形成し、
    前記貴金属膜として、Ir膜、Rh膜、Pd膜及びRu膜からなる群から選択された一つの膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記貴金属酸化膜の厚さを40nm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記貴金属酸化膜として、前記貴金属膜を構成する元素の酸化膜を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記貴金属酸化膜の厚さを、前記貴金属膜の厚さよりも薄くすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記貴金属膜を形成する工程の前に、
    前記半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
    前記半導体基板の上方に層間絶縁膜を形成する工程と、
    前記層間絶縁膜内に前記トランジスタに接続される導電プラグを形成する工程と、
    を有し、
    前記貴金属膜を前記導電プラグに電気的に接続することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記強誘電体膜をMOCVD法により形成することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記貴金属酸化膜を形成する際に、チャンバ内の酸素分圧を20%乃至50%とすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記強誘電体膜を形成する際に、前記強誘電体膜の原料を還元性の溶媒に溶かして用いることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記貴金属酸化膜の還元を前記還元性の溶媒を用いて実行し、そのまま前記還元性の溶媒の供給を継続しながら前記強誘電体膜を形成することを特徴とする請求項に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記貴金属酸化膜の厚さを5nm〜50nmとすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
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