JP5335698B2 - 車両座席 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の前段部分の特徴を有する車両座席に関し、特に、自動車座席に関する。

従来の車両座席では、下側取り付け部材が２つの成形された脚部を介して上側レールに取り付けられている。
衝突事故の発生時には、この領域、すなわち、上側レールに対して負荷がかかる前述した取り付け領域においてトルクが発生するようになっている。
特に、座席長手方向の端部位置、すなわち、前方端部の近傍領域および後方端部の近傍領域において、これらの衝突トルクは材料の変形を生じさせ、その結果として、上側レールの一端が下側レールから分離し始めるという危険な事態が発生する場合があった。

本発明の目的は、前述したような従来の車両座席を更に改良することである。
本発明の目的は、請求項１の特徴を備える車両座席により達成される。
有利な改良は、従属する請求項の要旨である。

本発明の車両座席では、下側取り付け部材が結合部を介して上側レールに関節結合されていることにより、衝突事故の発生時には、トルクが上側レールへ伝わらず、座席長手方向または垂直方向の力だけが伝わるようになっており、これらの力は、耐力（bearing forces）を強めるようになっている。
これらの強められた耐力を吸収するため、結合部が転動手段および／又はロック手段よりも上側に配置されているのが好ましく、前述した転動手段および／又はロック手段は、下側レールと上側レールとの間に設けられている。

ガイドロッドを介して下側取り付け部材を下側レールに関節結合することにより、トルク伝達の防止効果を向上でき、トルクが下側レールへ伝わることをより一層防止できるようになっている。
ガイドロッドは、下側レールと上側レールとの間における相対的な移動時に、必要とされる座席長手方向への補償を行なうようになっている。

車両座席は、その前端をロッカーに対して関節結合された座席フレームを有しているのが好ましい。
特に、ロッカーは、その他端を上側レールに対して関節結合されておらず、車両構造体に固定された結合部を介して車両構造体に関節結合されている。
この場合、ロッカーは、車両構造体に固定された結合部、例えば、車両構造体に固定されたベアリングブロックまたは脚部等に対して固定された結合部を介して車両構造体に直接的に関節結合されていても良い。
この変形例は、好ましい。
また、ロッカーは、車両構造体に対して間接的に関節結合されていても良く、例えば、車両構造体に対して順に関節結合されたギア部材からなる中間構造物に対して関節結合されていても良い。

座席フレームは、その後端を背もたれ構造体に対して関節結合されているのが好ましい。
車両座席の座席長手方向への位置調整に伴って、車両座席の後端に設けられた上側レールは、車両構造体に固定された関連の下側レールに対して移動し、また、車両座席の前端に設けられるロッカーは、車両構造体に固定配置された関連の結合部を中心に回動するようになっている。
その結果として、座席フレームが、全体として座席長手方向に移動するようになっている。
車両構造体に固定されたロッカーの結合部と車両構造体に固定された関連の下側レールとの間における間隔は、一定に維持されている。

本発明を図面に示された一実施例に基づいて、以下に詳細に説明する。

本発明の一実施例である車両座席１は、例えば、自動車の後部座席列用の座席として用いられており、自動車の車両構造体Ｓに対して接続されている。
自動車内における車両座席１の配置およびその通常の移動方向は、以下で使用される方向を規定している。
車両座席１は、座席フレーム１１を備えており、この座席フレーム１１の前端は、車両座席１の両側で、それぞれ対応するロッカー１３によって車両構造体Ｓに対して関節結合されている。
この場合、ベアリングブロックまたは脚部等が、車両構造体Ｓに対して締結されているのが好ましい。
座席フレーム１１に対するロッカー１３の関節結合によって規定される第１結合部が、図面において符号Ａとして示され、車両構造体Ｓに対するロッカー１３の関節結合によって規定される第２結合部が、図面において符号Ｂとして示されている。
第２結合部Ｂは、車両構造体Ｓに対して位置決め配置されている。

更に、車両座席１は、車両座席１の両側で取り付け具１５によって下側取り付け部材１７に対して取り付けられる背もたれ構造体１４を備えている。
本実施例の場合、背もたれ構造体１４は、（取り付け具１５として戻り止め取り付け具を採用した場合）取り付け具１５のロックを解除する、または、（取り付け具１５としてギア付き取り付け具を採用した場合）取り付け具１５を駆動させると、取り付け具１５によって背もたれ枢軸Ｃを中心として下側取り付け部材１７に対して回動するようになっている。
本実施例の場合、座席フレーム１１は、車両座席１の両側にそれぞれ設けられた第３結合部Ｄによって、そのサイド部分の端部を背もたれ構造体１４に対して関節結合されている。
第３結合部Ｄは、背もたれ枢軸Ｃから離間している。
なお、背もたれ構造体１４と座席フレーム１１には、公知であるクッションが設けられている。

車両座席１は、２つの座席レール、本実施例の場合、車両構造体Ｓに締結される（すなわち、車両構造体Ｓに固定される）下側レール２１と、この下側レール２１に対して移動自在な上側レール２２とを車両座席１の両側に備えており、また、上側レール２２は、下側レール２１に対してロックさせるように設計されていても良い。
本実施例の場合、下側レール２１と上側レール２２とは、車両座席１の後端の僅かな領域のみに亘って座席長手方向に延在している。

下側取り付け部材１７の後端は、第４結合部Ｅを介して上側レール２２に関節結合されており、例えば、下側レール２１と上側レール２２との間に通常通り設けられた転動手段の上側および／または略中央の領域、および／又は、下側レール２１と上側レール２２との間におけるロック手段の上側の領域で第４結合部Ｅを介して上側レール２２に関節結合されている。
下側取り付け部材１７の前端は、第５結合部Ｆを介してガイドロッド２５に関節結合され、また、ガイドロッド２５は、第６結合部Ｇを介して下側レール２１に関節結合されている。

長手方向への車両座席１の位置調整のために、すなわち、車両座席１の位置を座席長手方向に調整するために、下側レール２１に対する上側レール２２のロックが解除されて、上側レール２２が下側レール２１に対して移動されるようになっている。
第４結合部Ｅと第６結合部Ｇと第５結合部Ｆとを介して、車両座席１の座席長手方向への位置調整時にその形状を変化して下側取り付け部材１７を前方または後方へそれぞれ移動させる三角形が、それぞれ規定されている。
取り付け具１５がロック状態にある場合および／又は駆動されない場合、背もたれ構造体１４も、下側取り付け部材１７と共に座席長手方向に前方または後方へとそれぞれ移動するようになっている。
第１結合部Ａと第２結合部Ｂと第３結合部Ｄと第５結合部Ｆと第６結合部Ｇとにより、車両座席１の座席長手方向への位置調整時にその形状を変化する５節機構（five-bar mechanism）が、それぞれ規定されている。
本実施例の場合、座席フレーム１１は、座席長手方向で前方または後方へと移動するように設計されているのが好ましい。
それに応じて、ロッカー１３が、第２結合部Ｂを中心に回動するようになっている。
車両座席１の長手方向への位置調整に伴って、また、複数の結合部の移動の結果として、車両構造体Ｓ上における座席フレーム１１と背もたれ構造体１４との高さ、および、車両構造体Ｓに対する座席フレーム１１の傾斜角度を変化できるようになっている。
各部材の動作は、ロッカー１３とガイドロッド２５の長さに対する座席長手方向への位置調整経路の比率と、ロッカー１３とガイドロッド２５の最初の角度位置とによって決定される。

背もたれの傾斜調整時には、取り付け具１５のロックが解除されおよび／又は取り付け具１５が駆動され、その結果、背もたれ構造体１４が背もたれ枢軸Ｃを中心に回動できるようになっている。
第１結合部Ａと第２結合部Ｂと背もたれ枢軸Ｃと第３結合部Ｄとにより、背もたれの傾斜調整時にその形状を変化する４節リンク（four-bar linkage）が規定されている。
本実施例の場合、座席フレーム１１は、前方または後方へ僅かに座席長手方向に移動するとほぼ同時に、車両構造体Ｓに対するその高さおよび傾斜角度が極めて僅かな程度変化するようになっている。

また、車両座席１は、背もたれの傾斜調整の範囲を超えて背もたれ構造体１４を座席フレーム１１へ向けて前方へ回動してほぼ水平な位置まで移動させることで、平面的な不使用位置（position of non-use）をとるように設計されていても良い。
本実施例の場合、前方に向けた背もたれ構造体１４の回動時に、前述した４節リンクが座席フレーム１１を下方へ下げるようになっている。

衝突事故の発生時、力が、背もたれ構造体１４と取り付け具１５とを介して下側取り付け部材１７へと伝わるようになっている。
下側取り付け部材１７が、下側レール２１と上側レール２２とに対して関節結合の態様で取り付けられているため、トルクは伝わらず、座席長手方向および垂直方向の力だけが伝わるようになっている。
したがって、特に、車両座席１が座席長手方向の最前端および最後端の位置に配置された場合、下側レール２１と上側レール２２とが相互に分離すること、すなわち、形状が変形してレールの一端から離れる事態を防止できるようになっている。

本発明の一実施例である車両座席が座席長手方向の後方に位置する状態を示す側面図。 車両座席が座席長手方向の前方に位置する状態を示す側面図。

符号の説明

１ ・・・ 車両座席
１１ ・・・ 座席フレーム
１３ ・・・ ロッカー
１４ ・・・ 背もたれ構造体
１５ ・・・ 取り付け具
１７ ・・・ 下側取り付け部材
２１ ・・・ 下側レール
２２ ・・・ 上側レール
２５ ・・・ ガイドロッド
Ａ ・・・ 第１結合部
Ｂ ・・・ 第２結合部
Ｃ ・・・ 背もたれ枢軸
Ｄ ・・・ 第３結合部
Ｅ ・・・ 第４結合部
Ｆ ・・・ 第５結合部
Ｇ ・・・ 第６結合部
Ｓ ・・・ 車両構造体

Claims (9)

1. 車両構造体（Ｓ）に接続する下側レール（２１）と、該下側レール（２１）に対して座席長手方向に移動して車両座席（１）を座席長手方向へ位置調整する上側レール（２２）と、該上側レール(２２)に取り付けられる下側取り付け部材（１７）と、該下側取り付け部材（１７）に対して背もたれ枢軸（Ｃ）を中心として回動自在に取り付け具（１５）を介して取り付けられる背もたれ構造体（１４）とを備えている車両座席（１）において、
   前記下側取り付け部材（１７）が、前記上側レール（２２）に結合部（Ｅ）を介して関節結合されており、
   前記車両構造体（Ｓ）に対してロッカー（１３）を介して間接的または直接的に前端を関節結合されるとともに背もたれ構造体（１４）に対して後端を関節結合される座席フレーム（１１）が設けられていることを特徴とする車両座席（１）。
2. 前記結合部（Ｅ）が、前記下側レール（２１）と上側レール（２２）との間に設けられた転動手段および／又はロック手段より上側に配置されていることを特徴とする請求項１記載の車両座席（１）。
3. 前記座席フレーム（１１）とロッカー（１３）との間に設けられる第１結合部（Ａ）と、前記ロッカー（１３）と車両構造体（Ｓ）との間に設けられる第２結合部（Ｂ）と、前記背もたれ枢軸（Ｃ）と、前記座席フレーム（１１）と背もたれ構造体（１４）との間に設けられる第３結合部（Ｄ）とが、４節リンクを構成していることを特徴とする請求項１または請求項２記載の車両座席（１）。
4. 前記車両座席（１）の不使用位置からのまたは不使用位置への移動および／又は背もたれの傾斜調整が、前記取り付け具（１５）を用いて背もたれ構造体（１４）を回動させることで行われ、
   前記４節リンクの形状が、前記背もたれの傾斜調整時に変化することを特徴とする請求項３記載の車両座席（１）。
5. 前記下側取り付け部材（１７）が、ガイドロッド（２５）を介して下側レール（２１）に関節結合されていることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれか一つに記載の車両座席（１）。
6. 前記下側取り付け部材（１７）と上側レール（２２）との間に設けられる第４結合部（Ｅ）と、前記下側取り付け部材（１７）とガイドロッド（２５）との間に設けられる第５結合部（Ｆ）と、前記ガイドロッド（２５）と下側レール（２１）との間に設けられる第６結合部（Ｇ）とが、前記車両座席（１）の座席長手方向への位置調整時に形状を変化するとともに前記下側取り付け部材（１７）を前方または後方へ座席長手方向に移動させる三角形を規定していることを特徴とする請求項５記載の車両座席（１）。
7. 前記第１結合部（Ａ）と第２結合部（Ｂ）と第３結合部（Ｄ）と第５結合部（Ｆ）と第６結合部（Ｇ）とが、前記車両座席（１）の座席長手方向への位置調整時に形状を変化するとともに前記座席フレーム（１１）を前方または後方へと座席長手方向に移動させる５節リンクを規定していることを特徴とする請求項３乃至請求項６のいずれか一つに記載の車両座席（１）。
8. 前記背もたれ構造体（１４）が、前記座席長手方向における下側取り付け部材（１７）の移動に伴って前方または後方へ移動することを特徴とする請求項６または請求項７記載の車両座席（１）。
9. 前記下側レール（２１）と上側レール（２２）と下側取り付け部材（１７）と取り付け具（１５）とが、前記車両座席（１）の両側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項１乃至請求項８のいずれか一つに記載の車両座席（１）。
   

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