本発明は、半透過型液晶表示パネル及びこの半透過型液晶表示パネルを備えた電子機器に関する。
液晶表示パネルとして、透過型と反射型の性質を併せ持つ半透過型液晶表示パネルの開発が多く進められてきている。この半透過型液晶表示パネルは、一つの画素領域内に画素電極を備えた透過領域と画素電極及び反射板の両方を備えた反射領域を有している。そして、暗い場所においてはバックライトを点灯して透過領域を利用して画像を表示し、明るい場所においてはバックライトを点灯することなく反射領域において外光を利用して画像を表示するものである。
ところで、従来の液晶表示パネルにおいては、その多くが一対の基板のそれぞれに電極を備えるいわゆる縦方向電界モード(例えばTN(Twisted Nematic)型あるいはVA(Virtical Alignment)型)のものであるが、その他のものとして一対の基板のいずれか一方にのみ電極を備えるいわゆる横方向電界モード(例えばFFS(Fringe Field Switching)型あるいはIPS(In-Plane Switching)型)のものも知られている(下記特許文献1及び2参照)。
そして、このFFS型の液晶表示パネルにおいても半透過型のものが近年開発されている(下記特許文献3及び4参照)。そこで、このような従来のFFS型の半透過型液晶表示パネルを図14及び図15を用いて説明する。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
図14は従来のFFS型の半透過型液晶表示パネルの1画素分の平面図である。図15は図14のXIII−XIII線に沿った模式断面図である。
図14及び図15に示すように、従来のFFS型の半透過型液晶表示パネル50は、アレイ基板ARとカラーフィルタ基板CFとを備えている。アレイ基板ARは、第1の透明基板51の表面にそれぞれ平行に複数の走査線52及びコモン配線53が設けられ、これら走査線52及びコモン配線53に交差する方向に複数の信号線54が設けられている。このうち、走査線52及びコモン配線53の表面は透明絶縁材料からなるゲート絶縁膜55で被覆されており、信号線54はゲート絶縁膜55の表面に形成されている。そして、ゲート絶縁膜55の表面には、走査線52のゲート電極Gに対応する部分の表面に半導体層56が形成され、この半導体層56に部分的に積層されるように、信号線54から延在されたソース電極Sとドレイン電極Dが形成されている。このゲート電極G、ソース電極S及びドレイン電極DがTFT(薄膜トランジスタ)を形成する。さらに、これらの基板の表面全体を被覆するように保護絶縁膜57が形成されている。
この保護絶縁膜57の表面は層間膜58で被覆され、この層間膜58は画素毎の反射領域RAにおいては表面に凹凸(図示省略)が形成され、その他の領域は表面が平らになされている。そして、反射領域RAの層間膜58の表面にはそれぞれの画素毎にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる反射板60が形成され、この反射板60の表面及び層間膜58の表面は画素毎にITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等からなる透明導電性材料で形成された下電極61が形成されている。この下電極61は、コモン配線53上の保護絶縁膜57及びゲート絶縁膜55に形成されたコンタクトホール62を介して、コモン配線53と電気的に接続されている。なお、ドレイン電極Dに対応する位置の層間膜58及び保護絶縁膜57にはドレイン電極Dが露出するようにコンタクトホール63が形成されている。また、下電極61が形成された領域のうち、反射板60が形成された領域が反射領域RAを構成し、反射板60が形成されていない領域が透過領域TAを構成している。
さらに、それぞれの下電極61の表面及び層間膜58の表面全体に亘って窒化ケイ素層ないし酸化ケイ素層からなる容量絶縁膜64が形成されており、この容量絶縁膜64はドレイン電極Dが露出するようにコンタクトホール63の表面壁を被覆している。そして、それぞれの画素毎に容量絶縁膜64の表面にはITOやIZO等の透明導電性材料からなり、複数の平行なスリット65が設けられた上電極66が形成されており、この上電極66に設けられたスリット65はその両端部が閉塞している。この上電極66はコンタクトホール63を介してドレイン電極Dと電気的に接続されている。そして、この上電極66及び複数のスリット65の表面は配向膜(図示せず)により被覆されている。
また、カラーフィルタ基板CFは、第2の透明基板67の表面には、遮光層68、カラーフィルタ層69及び平坦化膜72が形成されている。この平坦化膜72は遮光層68及びカラーフィルタ層69の表面を被覆しており、反射領域RAに位置する平坦化膜72の表面には位相差層71が形成されている。また、位相差層71及び平坦化膜72の表面には配向膜(図示せず)が設けられている。そして、上電極66とカラーフィルタ層69とが互いに対向するようにアレイ基板ARとカラーフィルタ基板CFとを所定の間隔をおいて対向配置させ、その間に液晶70を封入することにより、FFS型の半透過型液晶表示パネル50が構成されている。
特開2002−14363号公報
特開2002−244158号公報
特開2003−344837号公報
特開2006−337625号公報
ところで、反射領域RAを用いて表示を行う場合、その表示方法は外光を一旦パネル内に入射させた後、反射板60で反射して表示面から出射することで画像を表示する。したがって、外光は液晶70が封入された層内を2度通過することになる。このため、上記従来技術に示す半透過型液晶表示パネル50においては、透過領域TAを用いて表示を行う場合と、反射領域RAを用いて表示を行う場合との間で生ずる位相差を調整するために位相差層71が形成されている。
詳しくは、透過領域TAの液晶70のリタデーション(位相差)が1/2波長に設定された状態で、反射領域RAの液晶70のリタデーションが1/4波長となるように位相差層71の肉厚が調整されている。なお、位相差層71のリタデーションは1/2波長である。このようにすると、透過領域TAを通過する光と反射領域RAに入射し出射する外光との間でリタデーションが均一(=1/2波長)となり、表示を行うとき透過領域TA及び反射領域RAのいずれを用いた場合であっても表示特性の良好な表示を行うことが可能となる。
しかしながら、上述の半透過型液晶表示パネル50の位相差層71は、通常フォトリソグラフィー法等を用いて成膜されている。したがって、その側端面71aは、パターニング工程における形成精度の影響を受け、形成面に対して必ずしも垂直とならず、僅かに傾斜したテーパ状になる(図15参照)。このように位相差層71の側端面71aがテーパ状となると、この側端面71a部分の肉厚が変化することにより、当該部分の位相差値が変化して、所望の位相差値が得られず、その結果、透過領域TAと反射領域RAとの境界付近で光漏れが生じ、表示特性が低下するという課題があった。なお、このような表示特性の低下は、横方向電界モード以外の縦方向電界モードでも同様に発生する。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例の半透過型液晶表示パネルは、互いに液晶層を介して対向配置された第1基板及び第2基板を有し、1画素内に透過領域と反射領域とを有する半透過型液晶表示パネルであって、前記第1基板は、複数の画素領域を有し、前記第2基板は、前記画素領域毎に配置された複数色のカラーフィルタ層と、前記反射領域に対応して前記液晶層側に形成された位相差層と、前記位相差層の側端部と平面視で少なくとも重なる領域に設けられた光透過率を低下させる部材と、を備え、前記カラーフィルタ層は、1つの前記画素領域の前記透過領域に形成される透過領域側カラーフィルタ層と、前記反射領域に形成される前記透過領域側カラーフィルタ層と同一の色成分で且つ該透過領域側カラーフィルタ層に比してその色濃度が薄い反射領域側カラーフィルタ層と、からなり、前記光透過率を低下させる部材は、色成分が同一で且つ色濃度が異なる前記透過領域側カラーフィルタ層と前記反射領域側カラーフィルタ層とがそれぞれ重畳された部材からなる。
位相差層の側端部は、肉厚の制御が難しい。したがって、当該側端部におけるリタデーション(位相差)の調節は困難である。この構成によれば、第2基板において、位相差層の側端部と平面視で重なる領域に光透過率を低下させる部材が設けられている。したがって、リタデーションがねらいの値から外れることによる光漏れなどの表示不具合が光透過率を低下させる部材によって目立ち難くなる。言い換えれば、リタデーションの変動に起因する表示不具合が目立ち難い半透過型液晶表示パネルを提供することができる。
この構成によれば、第2基板の反射領域に透過領域に比べて色濃度が薄いカラーフィルタ層を配することにより、明るい反射表示が得られると共に、位相差層の側端部におけるリタデーションの調節の困難なことに起因する表示特性の低下を抑えた半透過型液晶表示パネルを提供することができる。
[適用例2]上記適用例の半透過型液晶表示パネルにおいて、前記透過領域における前記液晶層の厚みをL1とし、前記反射領域における前記液晶層の厚みをL2としたとき、下記の関係となるように前記位相差層の肉厚が設定されていることが好ましい。
L2=(1/2)L1
この構成によれば、液晶層の厚みを位相差層により調節し、反射領域の液晶層の厚みL2が透過領域の液晶層の厚みL1の1/2となるように調整したので、他の構成、例えば液晶層の厚みを調整するための透明樹脂層等を形成する必要がなくなる。また、透過領域を通過する光と反射領域に入射し再び反射して出射する外光とが同じ距離の液晶層を通過することになるので、透過領域と反射領域との間でリタデーションが均一となり、透過領域及び反射領域のいずれを用いた表示の場合にも良好な表示特性での表示を行うことが可能となる。
[適用例3]上記適用例の半透過型液晶表示パネルにおいて、前記第1基板は、前記画素領域毎に前記透過領域と前記反射領域とに亘って形成された第1電極及び第2電極を備え、前記第1電極と前記第2電極との間に生ずる横方向電界により前記液晶層が駆動されるとしてもよい。
この構成によれば、液晶層が横方向電界方式により駆動されるため、透過領域及び反射領域のいずれを用いた表示の場合にも良好な表示品質と広い視野角特性とを有する半透過型液晶表示パネルを提供することができる。
[適用例4]本適用例の電子機器は、上記適用例の半透過型液晶表示パネルを備えている。
この構成によれば、上記適用例の半透過型液晶表示パネルを備えることにより、透過表示と反射表示の双方において良好な表示を行うことが可能な電子機器を提供することができる。このような電子機器としては、屋外での使用が想定される携帯型電話機などの小型情報端末機器が挙げられる。
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための半透過型液晶表示パネル及び電子機器として、FFS型の半透過型液晶表示パネルを例示するものであって、本発明をこのFFS型の半透過型液晶表示パネルに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のもの、他の横方向電界モード(例えばIPS型)及び縦方向電界モードの半透過型液晶表示パネルにも等しく適応し得るものである。
図1は実施例1に係るFFS型の半透過型液晶表示パネルのカラーフィルタ基板を透視して示す3画素分の平面図である。図2は図1のII−II線で切断した断面図である。図3は実施例1の半透過型液晶表示パネルのカラーフィルタ層の状態を示す平面図である。図4は実施例2に係るFFS型の半透過型液晶表示パネルの図2に対応する断面図である。図5は実施例2の半透過型液晶表示パネルのカラーフィルタ層の状態を示す平面図である。図6は実施例3に係るFFS型の半透過型液晶表示パネルの図2に対応する断面図である。図7は実施例3の半透過型液晶表示パネルの遮光層の状態を示す平面図である。図8は実施例4に係るFFS型の半透過型液晶表示パネルの図2に対応する断面図である。図9は実施例4の半透過型液晶表示パネルのカラーフィルタ層の状態を示す平面図である。図10は変形例に係るFFS型の半透過型液晶表示パネルの図2に対応する断面図である。図11は実施例5に係る縦方向電界モードの半透過型液晶表示パネルの画素領域を示す平面図である。図12(a)は図11のIII−III線で切った断面図、同図(b)は図11のIV−IV線で切った断面図である。図13(a)は電子機器としてのパーソナルコンピュータを示す図であり、同図(b)は同じく電子機器としての携帯型電話機を示す図である。なお、図3、図5、図7及び図9においては、アレイ基板ARに形成された各種配線のうち、走査線12及び信号線17のみを図示し、他の配線等は図示を簡略化するため省略している。
実施例1のFFS型の半透過型液晶表示パネル10Aの構成を図1及び図2を用いて説明する。図1及び図2に示すように、実施例1のFFS型の半透過型液晶表示パネル10Aの第1基板としてのアレイ基板ARは、ガラス基板等からなる透明基板11の表面に例えばMo/Alの2層配線からなる複数の走査線12が互いに平行になるように形成されている。またこの走査線12に沿うように走査線12と同一の材料からなるコモン配線13が形成されている。
次に、後述する反射領域RAに該当する領域にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる反射板Rを形成する。この反射板Rは表面が凹凸形状となっているものであるが、図2では簡略化して平坦に示されている。そして、走査線12及びコモン配線13で囲まれたそれぞれの領域(画素領域)に例えばITOやIZO等の成膜後に透明な導電性材料からなる第1電極としての下電極14が形成されている。この下電極14は、コモン配線13及び反射板Rに重畳配置され、コモン配線13とは電気的に接続されているが、走査線12ないしゲート電極Gとは接続されておらず、共通電極として作用する。
また、この走査線12、コモン配線13、反射板R及び下電極14が形成された透明基板11の表面全体に亘って窒化ケイ素ないしは酸化ケイ素等の透明絶縁材料からなるゲート絶縁膜15が被覆されている。さらに、このゲート絶縁膜15の表面のTFT形成領域には例えばアモルファスシリコン(以下「a−Si」という。)層からなる半導体層16が形成されている。この半導体層16が形成されている位置の走査線12の領域がTFTのゲート電極Gを形成する。
また、ゲート絶縁膜15の表面には、例えばMo/Al/Moの3層構造の導電性層からなるソース電極Sを含む信号線17及びドレイン電極Dが形成されている。この信号線17のソース電極S部分及びドレイン電極D部分は、いずれも半導体層16の表面に部分的に重なっている。さらに、この基板の表面全体に窒化ケイ素又は酸化ケイ素等の透明絶縁材料からなる保護絶縁膜(パッシベーション膜ともいう)18が被覆されており、ドレイン電極Dに対応する位置の保護絶縁膜18にはコンタクトホール19が形成されている。
そして、図1に示したパターンとなるように、走査線12及び信号線17で囲まれた領域(以下、画素領域という。)の保護絶縁膜18上に透明導電性材料、例えばITOないしIZOからなる第2電極としての上電極21が形成されている。この上電極21は、複数のスリット20を有すると共に、コンタクトホール19を介してドレイン電極Dと電気的に接続されている。そのため、この上電極21は画素電極として作用する。さらに、この基板の表面全体に亘り所定の配向膜35が形成されている。
スリット20を有する上電極21は、好ましくは画素領域毎に平面視でくし歯状となるよう、スリット20の信号線17側の一端が開放端20aとなっていると共に他端が閉鎖端20bとなっている。これにより、開放端20a側の開口度が向上し、より明るい表示を行うことができるようになっている。なお、本実施例1ではスリット20の一端を開放端20aとしたものを示したが、両端を閉鎖した形状としてもよい。
また、第2基板としてのカラーフィルタ基板CFは、ガラス基板等からなる透明基板25の表面にアレイ基板ARの走査線12、信号線17及びTFTに対応する位置を被覆するように遮光層26が形成されている。さらに、遮光層26で囲まれた透明基板25の表面には、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の複数色(3色)からなるカラーフィルタ層27R,27G,27B(図3参照)が形成され、さらに遮光層26及びカラーフィルタ層27R,27G,27Bの表面を被覆するように透明な樹脂等からなる平坦化膜28が形成されている。また、平坦化膜28を覆うように配向膜31が形成されている。配向膜31には、後述する位相差層29の遅相軸の方向を規定する配向処理が施されている。この基板表面(配向膜31の表面)のうち反射領域RAとなる位置には位相差層29が形成されている。
位相差層29は、例えば、重合性液晶化合物からなり、モノマーやポリマーなどの液晶化合物を塗布して加熱したり、紫外線などを照射することにより重合させてパターン形成される。この重合の際に、配向膜31に施された配向処理によって遅相軸の方向が決まる。
液晶層30を通過する光の基準波長λを550nmとするとき、この位相差層29はリタデーション(位相差)が、例えば1/2λとなるように設定されている。そして、この基板の表面全体に亘り配向膜32が形成されている。配向膜32には、液晶層30の液晶分子を所定の方向に配向させる配向処理が施されている。なお、位相差層29の肉厚を調整することにより、透過領域TAの液晶層30の厚みL1と反射領域RAの液晶層30の厚みL2とが、以下の式(1)に示す関係となっている。下記式(1)に示すような関係とすることにより、透過領域TAのリタデーションを1/2λとしたとき、反射領域RAのリタデーションは1/4λとなる。したがって、透過領域TAと反射領域RAとにおいて液晶層30を通過する光の距離が均一になることにより、最適な表示品質での表示が行えるようになる。
L2=(1/2)L1 ・・・(1)
最後に、アレイ基板ARの上電極21とカラーフィルタ基板CFのカラーフィルタ層27R,27G,27Bが互いに対向するようにアレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CFを対向させ、その間に液晶を封入することにより実施例1のFFS型の半透過型液晶表示パネル10Aが得られる。なお、両透明基板11,25の外側に位置する面には偏光板41が設けられている。
このような実施例1の半透過型液晶表示パネル10Aは、アレイ基板ARにおいてゲート絶縁膜15と保護絶縁膜18とを介して重畳された下電極14と上電極21とを備え、下電極14と上電極21との間に生ずる横方向電界により液晶層30が駆動される。
ところで、本実施例1の半透過型液晶表示パネル10Aのように反射領域RA上に位相差層29を形成すると、この位相差層29の側端部のうち画素領域内に位置する部分、すなわち透過領域TAと反射領域RAとの境界領域BAに位置する側端部29aではリタデーションの調節ができず、この部分が表示画面に表示されることでこの半透過型液晶表示パネル10Aの表示特性が低下してしまう。そこで、本実施例1の半透過型液晶表示パネル10Aにおいては、カラーフィルタ基板CF側にこの表示特性の低下を防止した構造を採用している。
ここで、上記カラーフィルタ基板CFの具体的な構成について、特に図2及び図3を参照して説明する。また、図3においては、複数色のカラーフィルタ層27R,27G,27Bの状態が見やすいように、これらのカラーフィルタ層27R,27G,27Bのそれぞれに異なるハッチングを施して示している。
ここで述べる境界領域BAは位相差層29の側端部29aに沿って延在する帯状の領域である。その幅は、位相差層29の側端部29aのテーパ(傾斜)角と、カラーフィルタ基板CFにおける位相差層29の形成位置精度と、カラーフィルタ基板CFとアレイ基板ARとの接合位置精度とに基づいて適宜設定されるものである。言い換えれば、位相差層29の側端部29aが透過領域TAまたは反射領域RAと平面視で重なる可能性がある領域が境界領域BAである。透過領域TAと反射領域RAの境界は、アレイ基板ARに設けられた反射板Rの一方の端部によって規定される。したがって、設計上、反射板Rの一方の端部を中心とし、相対する位相差層29の側端部29aの上記位置精度を鑑みて均等に割り振られた範囲を境界領域BAとする。
なお、位相差層29のもう一方の側端部29bは、画素領域を区画して遮光する遮光層26が設けられた領域に平面視で重なるように位置している。
カラーフィルタ基板CFに形成されるR(赤)、G(緑)、B(青)の3色からなるカラーフィルタ層27R,27G,27Bは、信号線17に沿って形成された複数の画素領域が全て同一の色表示を行うようにストライプ配置で形成されている。そして、このR(赤)、G(緑)、B(青)の3色からなるカラーフィルタ層27R,27G,27Bのうち、光透過率の最も低い色、つまり視感度が最も低い色光を透過するカラーフィルタ層はB(青)のカラーフィルタ層27Bである。そこで、本実施例1の半透過型液晶表示パネル10Aにおいては、図2及び図3に示すように、B(青)のカラーフィルタ層27B以外のカラーフィルタ層、すなわちR(赤)のカラーフィルタ層27R及びG(緑)のカラーフィルタ層27Gが形成される画素領域内の位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域(境界領域BA部分)にはR(赤)のカラーフィルタ層27R及びG(緑)のカラーフィルタ層27Gは形成されていない。この代わりに、後に形成される位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域(境界領域BA)に、位相差層29の側端部29aに沿うように、B(青)のカラーフィルタ層27Bが形成されている。
複数色のカラーフィルタ層27R,27G,27Bをこのような構成とする場合には、この複数色のカラーフィルタ層27R,27G,27Bを露光形成する際に用いるマスクパターンを変更するだけで簡単に形成することが可能である。また、この露光形成において、先ず好ましくはR(赤)のカラーフィルタ層27R及びG(緑)のカラーフィルタ層27Gを対応する画素領域に沿って形成し、次いでB(青)のカラーフィルタ層27Bを対応する画素領域と境界領域BAとを同時に形成すると、製造工程を増加させることなく簡単に形成することが可能となる。また、B(青)のカラーフィルタ層27Bの境界領域BAに対応する位置に形成される部分において、その長手方向に延在する両側部は、他の色、すなわちR(赤)あるいはG(緑)のカラーフィルタ層27R,27Gに重畳するように設けられている。このように形成すれば、境界領域BA内にカラーフィルタ層が形成されていない領域が存在する恐れがなくなる。
上述のような構成とすることにより、本実施例1の半透過型液晶表示パネル10Aにおける全ての画素領域の位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域(境界領域BA)には、最も視感度の低いB(青)のカラーフィルタ層27Bが形成されることになる。すなわち、本実施例1では、光透過率を低下させる部材として、B(青)のカラーフィルタ層27Bを構成する部材を使用している。したがって、この位相差層29のテーパ状の側端部29aによりリタデーションのズレが発生したとしても、この部分の表示は視認し難く、表示特性が著しく低下することがなくなる。
なお、G(緑)のカラーフィルタ層27Gが形成された画素領域においては、境界領域BAに形成されるカラーフィルタ層は、B(青)に限定されず、R(赤)でも相応の効果を奏する。
上記実施例1に示す半透過型液晶表示パネル10Aにおいては、R(赤)及びG(緑)のカラーフィルタ層27R,27Gが形成される画素電極の境界領域BAにB(青)のカラーフィルタ層27Bのみを形成したものについて説明したが、この構成に限定されるものではない。そこで、以下にはこの境界領域BAに形成されるカラーフィルタ層の構造を変更した半透過型液晶表示パネル10Bを実施例2として、図4及び図5を参照して説明する。なお、実施例2の半透過型液晶表示パネル10Bは、アレイ基板ARの構成やカラーフィルタ基板CF1の一部の構成は上記実施例1に示したものと同様であるので、以下同様の構成のものには上記実施例1と同様の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明を行うものとする。また、図5においては、複数色のカラーフィルタ層27R,27G,27Bの状態が見やすいように、これらのカラーフィルタ層27R,27G,27Bのそれぞれに異なるハッチングを施して示している。
図4に示すように、実施例2の半透過型液晶表示パネル10Bのカラーフィルタ基板CF1は、外側の面に偏光板41が形成された透明基板25の内側の表面にアレイ基板ARの走査線12、信号線17及びTFTに対応する位置を被覆するように遮光層26が形成されている。また、図5に示すように対応する画素領域全体を覆うようにR(赤)及びG(緑)のカラーフィルタ層27R,27Gが形成されている。そして、対応する画素領域全体を覆うと共に、R(赤)およびG(緑)のカラーフィルタ層27R、27Gが形成された画素領域内の境界領域BAを覆うようにB(青)のカラーフィルタ層27Bが形成されている。なお、本実施例2では、位相差層29の側端部29aが透過領域TAと反射領域RAとの境界領域BAと平面視で重なるように位置する。
このB(青)のカラーフィルタ層27Bのうち、R(赤)およびG(緑)のカラーフィルタ層27R、27Gが形成された画素領域内の位相差層29の側端部29aに形成された部分は、対応するR(赤)およびG(緑)のカラーフィルタ層27R、27Gに重畳するように形成されている。なお、複数色のカラーフィルタ層27R,27G,27B上には平坦化膜28が形成されるので、カラーフィルタ層を重畳形成しても位相差層29や液晶層30のリタデーション等に悪影響を与える恐れはない。
図4に示すように、平坦化膜28が形成された基板上には、遅相軸方向を規定する配向膜31を介して反射領域RAに対応する位置に位相差層29が形成され、最後に配向膜32で表面が被覆されることにより、カラーフィルタ基板CF1が完成する。そして、上記実施例1に示したものと同様に、アレイ基板ARの上電極21とカラーフィルタ基板CF1のカラーフィルタ層27R,27G,27Bが互いに対向するようにアレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CF1を対向させ、その間に液晶を封入することで、本実施例2の半透過型液晶表示パネル10Bが完成する。
以上に説明したように、実施例2に係る半透過型液晶表示パネル10Bにおいては、R(赤)およびG(緑)のカラーフィルタ層27R、27Gが形成された画素領域内の位相差層29の側端部29aに平面視で重なる領域(境界領域BA)にさらにB(青)のカラーフィルタ層27Bを重畳形成するため、このカラーフィルタ層27Bが重畳された領域の光透過率はさらに低下することになる。したがって、このカラーフィルタ層27Bが重畳された領域は極めて視感度の低い領域となり、この位相差層29の側端部29aにおけるリタデーションの調節ができないことに基づく表示特性の低下をさらになくすることができるようになる。すなわち、実施例2では、光透過率を低下させる部材として、R(赤)およびG(緑)のカラーフィルタ層27R、27Gが形成された画素領域内の位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域に重畳させたB(青)のカラーフィルタ層27Bを構成する部材を使用している。
ちなみに、B(青)のカラーフィルタ層27Bが形成された画素領域の位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域(境界領域BA)においては、R(赤)およびG(緑)のカラーフィルタ層27R、27Gが形成された画素領域の位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域(境界領域BA)のように異なる色のカラーフィルタ層が重畳配置されてはいない。しかし、B(青)のカラーフィルタ層27Bはそもそもその視感度が低いため、カラーフィルタ層を重畳配置していなくても、この位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域(境界領域BA)の表示は見え難く、大きな問題にはならない。
なお、本実施例では、光透過率を低減させる部材として、B(青)のカラーフィルタ層27Bを構成する部材を使用した例を示したが、R(赤)も視感度が低いため、B(青)の代わりにR(赤)のカラーフィルタ27Rを構成する部材を使用してもよい。また、本実施例では、R(赤)およびG(緑)のカラーフィルタ層27R、27Gが形成された画素領域の位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域(境界領域BA)に、異なる色のカラーフィルタ層が重畳配置された例を示したが、G(緑)のカラーフィルタ層27Gが形成された画素領域の位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域(境界領域BA)にのみ、異なる色のカラーフィルタ層、すなわちR(赤)のカラーフィルタ層27RまたはB(青)のカラーフィルタ層27Bを重畳配置してもよい。
次に、実施例3として、上述の境界領域BAを完全に遮光した半透過型液晶表示パネル10Cを図6及び図7を参照して説明する。なお、実施例3の半透過型液晶表示パネル10Cは、アレイ基板ARの構成やカラーフィルタ基板CF2の一部の構成は上記実施例1に示したものと同様であるので、以下同様の構成のものには上記実施例1と同様の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明を行うものとする。また、図7においては、遮光層26の状態が見やすいようにこの遮光層26にハッチングを施して示している。
図6に示すように、実施例3の半透過型液晶表示パネル10Cのカラーフィルタ基板CF2は、外側の面に偏光板41が設けられた透明基板25の内側の表面に画素領域を平面視で規定するように遮光層26が形成されている。そして、この遮光層26は、図7に示すように、走査線12、信号線17及びTFTに対応する位置に加えて、位相差層29の側端部29aに対応する位置をも被覆するように形成されている。なお、実施例3では、位相差層29の側端部29aが透過領域TAと反射領域RAとの境界領域BAと、平面視で重なるように位置する。この境界領域BAに形成される遮光層26'は、画素領域を横断するように形成されており、その幅は、上記実施例1と同様に、位相差層29の側端部29aのテーパ角と、カラーフィルタ基板CF2における位相差層29の形成位置精度と、カラーフィルタ基板CF2とアレイ基板ARとの接合位置精度とに基づいて適宜設定されるものである。
このように境界領域BAに形成される遮光層26'を含む遮光層26が形成された後、複数色のカラーフィルタ層27R,27G,27B、平坦化膜28、配向膜31及び位相差層29が順次形成され、最後に配向膜32が形成されてカラーフィルタ基板CF2が完成する。そして、上記実施例1に示したものと同様に、アレイ基板ARの上電極21とカラーフィルタ基板CF2のカラーフィルタ層27R,27G,27Bが互いに対向するようにアレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CF2を対向させ、その間に液晶を封入することで、実施例3の半透過型液晶表示パネル10Cが完成する。
上述した構成により実施例3の半透過型液晶表示パネル10Cを形成すると、図6に示すように、位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域(境界領域BA)には遮光層26'が形成されるため、この境界領域BAは完全に遮光された状態となる。すなわち、実施例3では、位相差層29の側端部29aが、透過領域TAと反射領域RAとの境界領域BAと、平面視で重なるように位置する。したがって、この部分の表示は外部から視認されることがなくなる。ゆえに、位相差層29の側端部29aにおけるリタデーションの調節が困難なことに起因する表示特性の低下はほぼ完全に抑えることが可能となる。
上記実施例1〜3においては、いずれもカラーフィルタ層をR(赤)、G(緑)及びB(青)の3色で形成したものについて説明したが、3色以上の種類でカラーフィルタ層を形成することも可能である。そこで以下には、実施例4として、計6種類のカラーフィルタ層を用いた半透過型液晶表示パネル10Dについて図8及び図9を参照して説明する。なお、実施例4の半透過型液晶表示パネル10Dは、アレイ基板ARの構成やカラーフィルタ基板CF3の一部の構成は上記実施例1に示したものと同様であるので、以下同様の構成のものには上記実施例1と同様の符号を付してその説明を省略し、異なる構成についてのみ説明を行うものとする。また、図9においては、複数のカラーフィルタ層毎に異なるハッチングを施して示している。
図9に示すように、実施例4の半透過型液晶表示パネル10Dにおいて使用されているカラーフィルタ層は、色濃度の濃いR(赤)のカラーフィルタ層27R1と、色濃度の濃いG(緑)のカラーフィルタ層27G1と、色濃度の濃いB(青)のカラーフィルタ層27B1と、色濃度の薄いR(赤)のカラーフィルタ層27R2と、色濃度の薄いG(緑)のカラーフィルタ層27G2と、色濃度の薄いB(青)のカラーフィルタ層27B2と、からなる。これらのカラーフィルタ層のうち、色濃度の濃いR(赤)、G(緑)及びB(青)のカラーフィルタ層27R1,27G1,27B1は、画素領域内の透過領域TAに対応する位置に形成されるものであり、色濃度の薄いR(赤)、G(緑)及びB(青)のカラーフィルタ層27R2,27G2,27B2は、画素領域内の反射領域RAに対応する位置に形成されるものである。そして、これらのカラーフィルタ層は、互いに同一の色成分からなるもの同士が対になって画素領域毎にそれぞれ形成される。
このように、1つの画素領域の透過領域TAと反射領域RAとで同一の色成分で且つ異なる色濃度を有する2つのカラーフィルタ層(27R1と27R2、27G1と27G2、27B1と27B2)を形成するのは、反射領域RAにおける表示方式が、外光を一旦半透過型液晶表示パネル10D内に入射させ、反射板Rにより反射させて表示画面に出射するようになっているためである。すなわち、反射領域RAの表示に供される外光は半透過型液晶表示パネル10Dへの入射時と出射時の合計2回カラーフィルタ層(27R2、27G2、27B2)を通過する。そのため、例えば透過領域TAと反射領域RAとで同一のカラーフィルタ層を採用している場合、反射領域RAを用いて表示を行う場合の方が透過領域TAを用いて表示を行う場合より濃い色で表示がなされることになる。したがって、実施例4においては、反射領域RAに対応する位置に形成されるカラーフィルタ層を色濃度の薄いものとし、透過領域TAに対応する位置に形成されるカラーフィルタ層を色濃度の濃いものとしている。なお、反射領域RAに対応する位置に形成されるカラーフィルタ層27R2,27G2,27B2の色濃度は、透過領域TAに対応する位置に形成されるカラーフィルタ層27R1,27G1,27B1の色濃度の約半分とすると、表示方法に拘わらずコントラストが一定となるので好ましい。
図8に示すように、実施例4の半透過型液晶表示パネル10Dのカラーフィルタ基板CF3は、外側の面に偏光板41が形成された透明基板25の内側の表面にアレイ基板ARの走査線12、信号線17及びTFTに対応する位置を被覆するように遮光層26が形成された状態で、上述した複数のカラーフィルタ層27R1,27G1,27B1,27R2,27G2,27B2が形成される。この複数のカラーフィルタ層27R1,27G1,27B1,27R2,27G2,27B2の形成方法としては、先ず、色濃度の濃い3つのカラーフィルタ層27R1、27G1及び27B1を透過領域TA及び境界領域BAを覆うように形成し、次いで、色濃度の薄い他の3つのカラーフィルタ層27R2、27G2及び27B2を反射領域RA及び境界領域BAを覆うように形成する。複数のカラーフィルタ層27R1,27G1,27B1,27R2,27G2,27B2をこのように形成することで、図8に示すように、画素領域内の境界領域BAでは色成分が同一で且つ色濃度の異なる2つのカラーフィルタ層(27R1と27R2、27G1と27G2、27B1と27B2)が重畳配置される。その後、平坦化膜28、配向膜31及び位相差層29が順次形成され、最後に配向膜32が形成されてカラーフィルタ基板CF3が完成する。そして、上記実施例1に示したものと同様に、アレイ基板ARの上電極21とカラーフィルタ基板CF3のカラーフィルタ層27R1,27G1,27B1,27R2,27G2,27B2が互いに対向するようにアレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CF3を対向させ、その間に液晶を封入することで、実施例4の半透過型液晶表示パネル10Dが完成する。
上述のように、実施例4の半透過型液晶表示パネル10Dの位相差層29の側端部29aと平面視で重なる領域(境界領域BA)には、常に同一の色成分で且つ色濃度の異なる2つのカラーフィルタ層(27R1と27R2、27G1と27G2、27B1と27B2)が重畳配置されるので、この部分の光透過率は著しく低下している。すなわち、実施例4では、光透過率を低下させる部材として、透過領域TA及び反射領域RAにそれぞれ形成された同一の色成分で且つ色濃度が異なる2つのカラーフィルタ層が重畳されたものを使用している。したがって、この境界領域BAの視感度が低下するため、位相差層29の側端部29aを透過する光は表示画面にほとんど表示されなくなる。よって、リタデーションの調節が困難な位相差層29の側端部29aに起因する表示特性の低下を抑えることが可能となる。
ところで、上記実施例1〜4において示したアレイ基板ARの構造は限定されるものではない。そこで、変形例として、以下にアレイ基板ARの構造を変更した半透過型液晶表示パネルの例を図10を参照して説明する。なお、図10に示す変形例は実施例1の図2に対応する形で記載しているが、上記全ての実施例において変形可能なものであるので、特に画素領域の透過領域TAと反射領域RAとの境界部分の構造については図示を省略している。また、上記実施例1〜4において説明した構成と同一のものについては同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
図10に示すように、変形例に係る半透過型液晶表示パネル10Eのアレイ基板AR1は、ガラス基板等からなる透明基板11の表面に例えば複数の走査線12及び複数のコモン配線13が互いに平行になるように形成されている。そして、この走査線12及びコモン配線13が形成された透明基板11の表面全体に亘ってゲート絶縁膜15が被覆されている。さらに、このゲート絶縁膜15の表面のTFT形成領域には半導体層16が形成されている。この半導体層16が形成されている位置の走査線12の領域がTFTのゲート電極Gを形成する。
また、ゲート絶縁膜15の表面には、ソース電極Sを含む信号線17及びドレイン電極Dが形成されている。このソース電極S及びドレイン電極Dは、いずれも半導体層16の表面に部分的に重なっている。さらに、この基板の表面全体に保護絶縁膜18が被覆されており、さらにこの保護絶縁膜18上に透明絶縁材料からなる層間膜33が形成されている。この層間膜33は画素毎の反射領域RAにおいては表面に凹凸(図示省略)が形成され、透過領域TAを含むその他の領域は表面が平らになされている。
さらに、コモン配線13の一部を被覆しているゲート絶縁膜15、保護絶縁膜18及び層間膜33にはコンタクトホール39が設けられている。また、反射領域RAの層間膜33の表面にはそれぞれの画素領域毎に反射板Rが形成され、この反射板Rの表面及び層間膜33の表面は同じく画素領域毎に下電極14が形成されている。この下電極14はコンタクトホール39を介してコモン配線13と電気的に接続されている。そのため、下電極14は共通電極として作用する。なお、ドレイン電極Dに対応する位置の層間膜33及び保護絶縁膜18にはドレイン電極Dが露出するようにコンタクトホール19が形成されている。
さらに、それぞれの下電極14の表面及び層間膜33の表面全体に亘って窒化ケイ素ないし酸化ケイ素等の透明絶縁材料からなる容量絶縁膜34が形成されており、この容量絶縁膜34はドレイン電極Dが露出するようにコンタクトホール19の表面壁を被覆している。この容量絶縁膜34は下電極14と上電極21との距離を調整するために設けられるものである。そして、平面視でくし歯状となるように、容量絶縁膜34上に複数のスリット20を有する上電極21が形成されている。この上電極21はコンタクトホール19を介してドレイン電極Dと電気的に接続されている。そのため、上電極21は画素電極として作用する。そして最後に、この基板の表面全体に亘り所定の配向膜35が形成されてアレイ基板AR1が完成する。
上記のように、アレイ基板AR1の保護絶縁膜18と反射板R及び下電極14との間に層間膜33を形成することにより、下電極14と上電極21の形成領域を大きくすることが可能となる。したがって、上記実施例1に比して電界発生領域が大きくなるため、開口度が大きく明るい表示を行うことができるようになる。
また、変形例の半透過型液晶表示パネル10Eにおいては、下電極14を共通電極、上電極21を画素電極としてそれぞれ作用するように配線された例について説明したが、これに限らず、例えば上電極21をコモン配線13に接続させることで共通電極とし、下電極14をドレイン電極Dに接続させることで画素電極とすることも可能である。
なお、上記実施例1〜4及び変形例に係る半透過型液晶表示パネル10A〜10Eにおいては、全て反射板Rをアレイ基板AR側に形成したものについて説明したが、これに限らず、カラーフィルタ基板CFの複数色のカラーフィルタ層の下層に形成しても同様の半透過型液晶表示パネルを得ることが可能である。ただしこの場合には、ユーザはアレイ基板AR側から表示画像を視認することになる。
次に、実施例5の半透過型液晶表示パネルについて図11及び図12を参照して説明する。実施例5の半透過型液晶表示パネルは、上記実施例1〜4が横方向電界モード(FFS型)であるのに対して縦方向電界モードにより表示がなされる。
図11は実施例5の半透過型液晶表示パネルのカラーフィルタ基板を透視して示す3画素分の平面図である。図12(a)は図11のIII−III線で切った断面図、同図(b)は図11のIV−IV線で切った断面図である。なお、上記実施例1と同様な構成については、同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
図11に示すように、実施例5の半透過型液晶表示パネル10Fは、走査線12と信号線17とによりマトリクス状に区画された複数の画素領域を有し、画素領域は反射領域RAと透過領域TAとに区分されている。
画素領域は、反射領域RAと透過領域TAとに跨って設けられた画素電極81と、画素電極81にドレイン電極Dが電気的に接続した半導体層16を有するTFTとを備えている。
画素電極81には、反射領域RAと透過領域TAとの境界領域BAに対応した位置に2つのスリット(切り欠き)81aが設けられている。2つのスリット81aにより狭められた部分81bによって、反射領域RAと透過領域TAの画素電極81が電気的に繋がっている。
2つのスリット81aは、反射領域RAと透過領域TAとにおける液晶分子の配向制御のために設けられたものである。
画素電極81に対向する共通電極82には、反射領域RAのほぼ中央付近に設けられた平面視で略円状の突起83と、透過領域TAのほぼ中央付近に設けられた平面視で帯状の突起84とを有する。これらの突起83,84は、上記スリット81aと同様に液晶分子の配向制御のために設けられている。液晶分子の配向制御については、後述する。なお、カラーフィルタ基板CF4(図12参照)には、このようにマトリクス状に設けられた画素領域に対応してR(赤)、G(緑)、B(青)、3色のカラーフィルタ層27R,27G,27Bが設けられている。
図12(a)に示すように、半透過型液晶表示パネル10Fは、画素電極81とTFTとを有するアレイ基板AR2と、共通電極82とカラーフィルタ層27とを有するカラーフィルタ基板CF4と、アレイ基板AR2とカラーフィルタ基板CF4とによって挟持された液晶層80とを有する。
アレイ基板AR2は、透明基板11上に形成された走査線12(ゲート電極G)と、走査線12を覆うように形成されたゲート絶縁膜15と、走査線12のほぼ直上の位置のゲート絶縁膜15上に設けられた半導体層16とを有している。
また、半導体層16のソース側を覆うように形成されたソース電極Sと、半導体層16のドレイン側を覆うように形成されたドレイン電極Dと、ソース電極S及びドレイン電極Dを覆うように形成された保護絶縁膜18とを有している。これらがTFTを構成している。
さらに、保護絶縁膜18を覆うように形成された平坦化膜としての層間膜86と、層間膜86上に形成された画素電極81と、画素電極81を覆うように形成された配向膜35とを有する。
なお、ゲート絶縁膜15、保護絶縁膜18は、例えば酸化シリコンなどの無機絶縁膜であり、光透過性を有している。層間膜86は、例えばアクリル樹脂など有機絶縁膜からなり、同様に光透過性を有している。
層間膜86は、反射領域RAにおいて液晶層80側の表面が凸凹に形成されており、その表面を覆うように光反射性を有する材料、例えばAlなどが成膜され、反射板87を形成している。ITOなどの透明導電材料からなる画素電極81は、反射板87を覆うように形成されると共に、層間膜86に設けられたコンタクトホール19を介してドレイン電極Dと電気的に接続している。
カラーフィルタ基板CF4は、透明基板25上に形成された遮光層26と、遮光層26を覆うように形成されたカラーフィルタ層27と、カラーフィルタ層27を覆うように形成された平坦化膜28とを有している。
また、平坦化膜28を覆うように形成された配向膜31と、反射領域RAに対応した位置で配向膜31上に形成された位相差層29と、位相差層29を覆うと共に、少なくとも画素電極81に対向するように形成された共通電極82とを有する。
反射領域RAの位相差層29を覆う共通電極82上には、前述した配向制御用の突起83が形成されている。透過領域TAの共通電極82上には、前述した配向制御用の帯状の突起84が形成されている。さらに、これらの突起83,84を覆うと共に、液晶層80に面する側を覆うように配向膜32が設けられている。
液晶層80は負の誘電異方性を有するものであり、液晶層80に面して形成された配向膜32,35は、いわゆる垂直配向膜である。したがって、液晶層80を挟んで対向する画素電極81と共通電極82との間に駆動電位が与えられていないOFF状態では、液晶分子は、配向膜32,35の表面に対してほぼ垂直な状態で配列する(垂直配向している)。駆動電位が与えられたON状態では、電界方向に対して交差するように液晶分子が傾く。これにより、液晶層80を通過する光を制御して表示を行うものである。
配向制御用の突起83,84は、OFF状態で垂直配向している液晶分子がON状態となったときに、所定の方向に傾くように配向制御を行わせる。この場合、反射領域RAでは突起83を中心に放射状に液晶分子が傾く。透過領域TAでは帯状の突起84を境にして液晶分子が傾く方向が異なる(図11においては突起84を境にして左右に液晶分子が傾くことになる)。
液晶層80を挟持したカラーフィルタ基板CF4とアレイ基板AR2とからなる液晶セルの表面及び裏面には、偏光板41が設けられている。表裏一対の偏光板41の光学的な軸方向を相互に同一とさせるか、あるいは略直交させるかにより、OFF状態の表示状態を白表示(ノーマリーホワイト)または黒表示(ノーマリーブラック)とすることができる。このような縦方向電界モードの半透過型液晶表示パネル10Fは、VA(Virtical Alignment)方式と呼ばれている。
この半透過型液晶表示パネル10Fにおいても、反射領域RAと透過領域TAとにおいて液晶層80を通過する光の距離が均一となるように、透過領域TAにおける液晶層80の厚み(距離)L1に対して反射領域RAにおける液晶層80の厚み(距離)L2は、半分に設定されている。言い換えれば、L2=(1/2)L1となるように、位相差層29の肉厚が調整されている。これにより、反射表示、透過表示のいずれにおいても最適な表示がなされる。
半透過型液晶表示パネル10Fのカラーフィルタ基板CF4の遮光層26は、画素領域を区画するだけでなく、画素領域において反射領域RAと透過領域TAとを実質的に区分するように形成されている。
カラーフィルタ基板CF4の位相差層29は、遮光層26が配置された領域に位相差層29の両側端部29a,29bが平面視で重なるように形成されている。具体的には、反射領域RAと透過領域TAとの境において、位相差層29の一方の側端部29aは、遮光層26が設けられた境界領域BA内に位置している。すなわち、実施例5における光透過率を低下させる部材は、遮光層26である。
遮光層26を設ける境界領域BAの範囲は、上記実施例1〜4と同様に、側端部29aにおけるテーパ角度と、カラーフィルタ基板CF4における位相差層29の形成位置精度と、カラーフィルタ基板CF4とアレイ基板AR2との接合位置精度とを少なくとも考慮して決める必要がある。位相差層29の他方の側端部29bについても同様である。
図12(b)に示すように、位相差層29は、複数の画素領域における反射領域RAに跨るように形成されている。言い換えれば、複数の反射領域RAに跨って帯状に形成されている。したがって、同図(b)において画素領域間に設けられた遮光層26に平面視で重なる領域には、位相差層29の側端部は存在しない。ゆえに、この部分におけるリタデーションはほぼねらいの値となっており、光漏れなどの表示不具合は発生しない。
上記実施例5の半透過型液晶表示パネル10Fは、画素領域において帯状に設けられた位相差層29の両側端部29a,29bがいずれも遮光層26が形成された領域内に平面視で重なるようになっている。したがって、上記両側端部29a,29bにおけるリタデーションが調節できないこと(リタデーションが変化すること)に起因する光漏れなどの表示不具合が発生しても、遮光層26によって実質的に視認出来ないので、表示ムラが目立たない半透過型液晶表示パネル10Fを実現している。
なお、VA方式の半透過型液晶表示パネル10Fの構成は、これに限定されるものではない。例えば、配向制御の方法は、突起83,84によらず、画素電極81や共通電極82において、所定の方向に配向制御用のスリットを設けたものでもよい。
また、例えば、アレイ基板AR2の透明基板11上に走査線12を形成する過程で、画素電極81の一部と平面視で重なるように容量線を設けてもよい。
さらには、カラーフィルタ基板CF4において、位相差層29の一方の側端部29aが平面視で重なる領域(境界領域BA)に設けられた光透過率を低下させる部材は遮光層26に限定されず、最も視感度が低いカラーフィルタ層27Bや、少なくとも2色のカラーフィルタ層あるいは色濃度が異なるカラーフィルタ層が重畳されたものでもよい。
(電子機器)
次に、本実施形態の電子機器について図13を参照して説明する。図13(a)は電子機器としてのパーソナルコンピュータを示す概略図、同図(b)は電子機器としての携帯型電話機を示す概略図である。
上記実施例1〜4及び変形例として説明したFFS型の半透過型液晶表示パネル10A〜10E、実施例5のVA方式の半透過型液晶表示パネル10Fは、パーソナルコンピュータ、携帯型電話機、携帯情報端末などの電子機器に使用することができる。
図13(a)に示すように、電子機器としてのパーソナルコンピュータ100は、キーボードなどを備える本体101と、表示部102とを有している。表示部102には、上記実施例及び上記変形例の半透過型液晶表示パネル10A〜10Fのいずれかと、これを背面側(アレイ基板側)から照明する照明装置とが搭載されている。
図13(b)に示すように、電子機器としての携帯型電話機110は、入力用のボタン類が設けられた本体111と、本体111に対して折り畳み可能な状態に取り付けられた表示部112とを有している。表示部112には、同様にして上記実施例及び上記変形例の半透過型液晶表示パネル10A〜10Fのいずれかと、これを背面側(アレイ基板側)から照明する照明装置とが搭載されている。
なお、これらのパーソナルコンピュータ100及び携帯型電話機110の基本的構成は当業者に周知であるので、詳細な説明は省略する。
このようなパーソナルコンピュータ100、携帯型電話機110によれば、表示ムラが目立ち難い半透過型液晶表示パネルを用いているので、屋外屋内を問わず使用環境における照度が変化しても、表示された情報をきちんと確認することができる。
実施例1に係るFFS型の半透過型液晶表示パネルのカラーフィルタ基板を透視して示す3画素分の平面図。
図1のII−II線で切断した断面図。
実施例1の半透過型液晶表示パネルのカラーフィルタ層の状態を示す平面図。
実施例2に係るFFS型の半透過型液晶表示パネルの図2に対応する断面図。
実施例2の半透過型液晶表示パネルのカラーフィルタ層の状態を示す平面図。
実施例3に係るFFS型の半透過型液晶表示パネルの図2に対応する断面図。
実施例3の半透過型液晶表示パネルの遮光層の状態を示す平面図。
実施例4に係るFFS型の半透過型液晶表示パネルの図2に対応する断面図。
実施例4の半透過型液晶表示パネルのカラーフィルタ層の状態を示す平面図。
変形例に係るFFS型の半透過型液晶表示パネルの図2に対応する断面図。
実施例5の半透過型液晶表示パネルのカラーフィルタ基板を透視して示す3画素分の平面図。
(a)は図11のIII−III線で切った断面図、(b)は図11のIV−IV線で切った断面図。
(a)は電子機器としてのパーソナルコンピュータを示す概略図、(b)は電子機器としての携帯型電話機を示す概略図。
従来のFFS型の半透過型液晶表示パネルの1画素分の平面図。
図14のXIII−XIII線に沿った模式断面図。
符号の説明
10A,10B,10C,10D,10E,10F…半透過型液晶表示パネル、11,25…透明基板、12…走査線、13…コモン配線,14…第1電極としての下電極、15…ゲート絶縁膜、16…半導体層、17…信号線、18…保護絶縁膜、19,39…コンタクトホール、20…スリット、20a…開放端、20b…閉鎖端、21…第2電極としての上電極、26,26'…遮光層、27R,27G,27B…カラーフィルタ層、28…平坦化膜、29…位相差層、29a…側端部、30,80…液晶層、33,86…層間膜、34…容量絶縁膜、41…偏光板、100…電子機器としてのパーソナルコンピュータ、110…電子機器としての携帯型電話機、AR,AR1,AR2…第1基板としてのアレイ基板、CF,CF1〜CF4…第2基板としてのカラーフィルタ基板、R…反射板、G…ゲート電極、S…ソース電極、D…ドレイン電極、TA…透過領域、RA…反射領域、BA…位相差層の側端部と平面視で重なる領域としての境界領域。