JP5332836B2 - 缶用めっき鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、飲料缶、食缶等に使用される、有機皮膜の二次密着性、耐食性に優れた缶用めっき鋼板に関する。
従来、缶用材料として使用されてきた表面処理鋼板は、ブリキやLTS、TNS等の錫(Sn)めっき鋼板、ニッケルめっき鋼板(TFS-NT)、電解クロムめっき鋼板(TFS-CT)が主なものである。通常、これらの鋼板のめっき表面には化成処理が施され、それによって塗料や樹脂フィルムとの密着性を確保している。
現在、商品化されている缶用表面処理鋼板の化成処理の殆どは、重クロム酸塩又はクロム酸を主成分とする水溶液を用いた、浸漬処理又は陰極電解処理である。例外として、特許文献1及び2に開示されているブリキのりん酸塩水溶液中での陰陽極電解処理が知られているが、用途は内面を無塗装のまま使用する粉乳用缶に限定されている。この陰陽極電解処理が粉乳用缶以外の飲料缶、食缶に使用されない主たる理由は、塗料や樹脂フィルムのような有機皮膜の密着性が不十分であるためである。
一方、重クロム酸塩又はクロム酸を主成分とする水溶液を用いた、浸漬処理又は陰極電解処理によって得られたクロム(III)酸化膜は、有機皮膜の密着性を向上させる効果が大きく、これに代わる化成処理は、種々検討されているものの、実用化には至っていないのが現状である。例えば、特許文献3には、浸漬処理によってりん酸系皮膜を形成させたDI缶用電気めっきブリキが開示されている。また、特許文献4には、フィチン酸又はフィチン酸塩溶液中で陽極処理する方法が開示されている。
近年は、錫めっき層上に、シランカップリング剤を使用した皮膜を施す技術が多く開示されている。例えば、特許文献5には、錫めっき鋼板のSn層又はFe-Sn合金層上に、シランカップリング剤塗布層を設けた鋼板及び缶が開示されており、特許文献6には、錫めっき層上に、下層としてP、Snを含有する化成皮膜、上層としてシランカップリング層を有する錫めっき鋼板が開示されている。また、特許文献6に類似した技術として、特許文献7乃至16が開示されている。
特開昭52-68832号公報 特開昭52-75626号公報 特開昭59-47396号公報 特開昭52-92837号公報 特開2002-285354号公報 特開2001-316851号公報 特開2002-275643号公報 特開2002-206191号公報 特開2002-275657号公報 特開2002-339081号公報 特開2003-3281号公報 特開2003-175564号公報 特開2003-183853号公報 特開2003-239084号公報 特開2003-253466号公報 特開2004-68063号公報
しかしながら、前記特許文献に記載された化成皮膜はいずれも、缶用めっき鋼板として用いるに必要な有機皮膜の二次密着性、耐食性等の性能を備えているとは言い難い。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、有機皮膜の二次密着性、耐食性に優れた缶用めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意検討し、極めて良好な有機皮膜の二次密着性が得られる錫めっき鋼板の皮膜構成を見出して本発明に至ったものである。
(1) 鋼板表面上又は鋼板表面に形成した鉄および錫(Sn)を含む合金層上に、金属錫を連続的又は断続的に有するめっき鋼板であって、該めっき鋼板上に、P量として0.5〜5.0mg/mのりん酸塩層、さらに該りん酸塩層上に、鋼板面に投影した粒の像の径が円換算で0.1〜0.4μmである粒状のZrの酸化物及び/又はZrの水酸化物をZr量として2〜15mg/m、並びにSiの酸化物及び/又はSiの水酸化物をSi量として2〜15mg/m含み、かつ前記Zr量及び前記Si量の合計が5〜30mg/mであるシリカ−ジルコニア処理層を有することを特徴とする缶用めっき鋼板、
(2) 前記シリカ−ジルコニア処理層における金属量で表したSiの割合Si/(Zr+Si)が0.2〜0.8であることを特徴とする前記(1)に記載の缶用めっき鋼板、
(3) 前記鉄および錫を含む合金層が、Sn量として0.1〜1.8g/m2のFe-Sn合金層、又はNi量として2〜100mg/m2のFe-Ni-Sn合金層から成ることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の缶用めっき鋼板、
である。
本発明により、極めて良好な有機皮膜の二次密着性、耐食性を具備した缶用めっき鋼板を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する鋼板には、特に制限を設ける必要はない。従来から缶用鋼板に使用されているアルミキルド鋼や低炭素鋼等の成分系の鋼板が使用できる。また、鋼板の厚みや調質度は、使用目的に適したグレードを選択すればよい。
本発明の主たる構成は、鋼板表面上又は鋼板表面に形成した鉄および錫を含む合金層上に、金属錫を連続的又は断続的に有するめっき鋼板であって、該めっき鋼板上に、P量として0.5〜5.0mg/m2のりん酸塩層、さらに該りん酸塩層上にZrの酸化物及び/又はZrの水酸化物をZr量として2〜15mg/m2、並びにSiの酸化物及び/又はSiの水酸化物をSi量として2〜15mg/m2含み、かつ前記Zr量及び前記Si量の合計が5〜30mg/m2であるシリカ−ジルコニア処理層を有することを特徴とする缶用めっき鋼板である。
鋼板表面上又は鉄および錫を含む合金層上の金属錫は、適切な有機添加剤を添加した酸性浴からの電気めっきによって付着させることで、比較的少ない付着量でも鋼板表面、又は、鉄および錫を含む合金層上を連続的に被覆することが可能である。錫付着量は限定しないが、外観、溶接性の観点から、金属錫量が0.4g/ m2以上あることが好ましい。金属錫量が0.4g/ m2未満では鋼板表面や合金層面の露出面積が大きくなるため、錫めっき鋼板としては黒味が強い外観となるし、溶接性を確保するのが難しい。リフロー処理を施す前提では、金属錫と合金錫の合計量で表される全Sn量が0.5〜15g/m2がであることが好ましい。15g/m2を超える量の錫を付着させても、著しく向上する性能はなく、経済的なデメリットが大きくなるので避けた方がよい。
特定の条件下でリフロー処理を施すことで、金属錫を断続的な分布とすることも可能であり、そのような錫めっき鋼板が必要な用途に供する場合に選択すればよい。
本発明においては、前記の金属錫上および/または合金層上に、P量として0.5〜5.0mg/m2のりん酸塩層、さらに該りん酸塩層上にZrの酸化物及び/又はZrの水酸化物をZr量として2〜15mg/m2、並びにSiの酸化物及び/又はSiの水酸化物をSi量として2〜15mg/m2含み、かつ前記Zr量及び前記Si量の合計が5〜30mg/m2であるシリカ−ジルコニア処理層を有することが必要である。
P量として0.5〜5.0mg/m2のりん酸塩層は、その上層であるシリカ−ジルコニア処理層と基板とを強固に密着させる役割を担っている。すなわち、錫めっき鋼板に直接ZrやSiの酸化物や水酸化物を付着させても、両者の密着力は不十分であり、その表面に塗料や樹脂皮膜を積層させても、密着力の劣る錫めっき鋼板−Zr化合物界面や錫めっき鋼板−Si化合物界面で剥離しやすい。りん酸塩は、ZrやSiの酸化物や水酸化物とも密着性が高いため、中間層として適している。
りん酸塩は、主にりん酸鉄とりん酸錫とからなり、その合計のP付着量は予め作成した検量線を用いて、蛍光X線強度から測定することができる。りん酸塩の合計量は、Pとして0.5〜5.0mg/m2であることが必要である。0.5mg/m2未満ではりん酸塩によって被覆されない錫層、錫合金層及び鋼板面の面積率が高くなるため、ZrやSiの酸化物や水酸化物が剥離しやすい。一方、P量として5.0mg/m2を超えるりん酸塩は、凝集破壊し易くなるため、有機皮膜の密着性が確保できない。
シリカ−ジルコニア処理層は、Zr量として2〜15mg/m2、Si量として2〜15mg/m2 、かつ両者の合計が5〜30mg/m2であることが必要である。
錫めっき鋼板のりん酸塩層上のZrの酸化物、水酸化物の形状は粒状であり、粒径は、鋼板面に投影した粒の像の面積と同じ面積の円換算で0.1〜0.4μmであることが望ましい。塗料や樹脂フィルムは粘度の低い状態で積層させるため、このような粒状のZr酸化物又は水酸化物を包み込むように流動した後に硬化することで、いわゆるアンカー効果が得られるため、有機皮膜の密着性に寄与するのだと考えられる。しかるに、Zr量として2mg/m2未満では、Zrの酸化物、水酸化物は前記の形状とならないため、十分な有機皮膜密着性を得にくい。一方、Zr量として15mg/m2を超えると次に述べるSiの酸化物、水酸化物の面積率が十分に確保されないため、耐食性の確保が難しくなる。
錫めっき鋼板のりん酸塩層上のSiの酸化物、水酸化物の形状は層状であり、Zrの酸化物、水酸化物のない、または少ない部分に均一に分布する。Siの酸化物、水酸化物は極性基を有する有機皮膜と恐らく水素結合によって結合し、界面への水溶液の浸入を防止するため、二次密着性の向上に寄与する。Si量として2mg/m2 未満では、りん酸塩層を被覆するのに不十分で、前記の効果を得にくい。一方、15mg/m2を超えると凝集破壊しやすくなり、むしろ有機皮膜の密着性が低下する。
Zr量とSi量との合計は5〜30mg/m2であることが必要である。5mg/m2未満では上記特性が不十分な場合がある。一方、30mg/m2を超えると上記特性が飽和もしくは低下すると共に経済的ではない。
前記シリカ−ジルコニア処理層における金属量で表したSiの割合Si/(Zr+Si)は、0.2〜0.8であることが好ましい。上記の付着量でSiの割合がこの範囲であれば、Zrの酸化物及び又はZrの水酸化物、並びにSiの酸化物及び/又はSiの水酸化物の面積比が最適であり、両者の特性がよく発揮されて、極めて良好な有機皮膜の密着性が得られる。
鋼板表面に鉄および錫を含む合金層を有する場合、Sn量として0.1〜1.8g/m2のFe-Sn合金層、又はNi量として2〜100mg/m2のFe-Ni-Sn合金層から成ることが好ましい。Fe-Sn合金の場合、組成はFeSn2となるが、この量はSn量として0.1〜1.8g/m2であることが好ましい。錫めっき後に錫の加熱溶融工程(リフロー処理)を経る錫めっき鋼板では、必然的に0.1g/m2の錫合金層は不可避的に生じるものであるし、一方、1.8g/m2を超えると、曲げ、カーリング等の加工工程で微小なクラックが生じ易くなり、腐食の起点となる恐れがあるため、好ましくない。Fe-Ni-Sn合金の場合、この量はNi量として2〜100mg/m2であることが好ましい。Niを添加するのは合金層の過剰な生成を妨げるためであるが、Niが2mg/m2未満では、その効果が不十分である。一方、100mg/m2を超えると、Ni-Sn合金量が増加し、合金層中の鉄比率が低下することにより、りん酸鉄の生成量が少なくなってしまって有機皮膜の一次及び二次密着性の確保が難しくなるため、好ましくない。
本願発明である缶用めっき鋼板の製造方法については限定しないが、下記の方法により製造することができる。
鋼板のめっき前処理の方法及び用いる錫めっき浴については、本発明では特に限定しないが、前処理として電解アルカリ脱脂及び希硫酸酸洗を施した後、有機光沢添加剤を含むフェノールスルホン酸浴、硫酸浴等の酸性錫めっき浴で電気錫めっきを施すと、良好な錫めっきが得られる。なお、錫めっきの前に、Fe-Ni合金めっきを施してもよい。あるいは、ニッケルめっきを施した後、加熱してニッケルを鋼板表面層に拡散させて、Fe-Ni合金層を形成させてもよい。
錫めっき後の鋼板は、水又は錫めっき液が希釈された液の入った槽に浸漬され、乾燥された後、リフロー処理を施してもよい。リフロー処理は、錫めっき鋼板を錫の融点である232℃以上に加熱する工程であるが、300℃を超えると、Fe-Sn合金化が過度に促進されてしまうので、好ましくない。加熱の手段としては、電気抵抗加熱や誘導加熱、又は、それらを組み合わせて用いるとよい。リフロー処理の直後にクエンチ処理することで、Fe-Sn合金層又はFe-Ni-Sn合金層や、表面の酸化錫層の過剰な生成を防ぐことが必要である。クエンチ処理は、錫を溶融した錫めっき鋼板を水に浸漬して行う。ストリップを連続的にリフロー処理及びクエンチ処理すると、クエンチ槽の水は80℃程度が好ましい。
次に、以下に述べる方法で化成処理を施すとよい。
まず、液温30〜55℃、pH1.5〜3.5のりん酸系水溶液中で、陰極電流密度2〜30A/dm2、0.1〜2秒の陰極電解処理を施す。pH1.5〜3.5のりん酸系水溶液におけるりん酸の化学種は、主としてりん酸とりん酸二水素イオンであり、微量のりん酸水素イオンも存在する。前記りん酸系水溶液中の水素イオンのほかのカチオン成分としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオンの中から選ばれる1種又は2種以上が問題なく使用できる。
りん酸塩水溶液中での陰極電解処理は、主としてリフロー処理で錫めっき鋼板の表面に生じた酸化錫や酸化鉄を、金属に還元するとともに、りん酸塩層を形成させる工程である。酸化錫が多く残存すると、りん酸塩皮膜の形成の妨げになる。陰極電流密度は2A/dm2未満では、リフロー処理で生じた酸化錫や酸化鉄の還元が十分にできない場合がある。一方、陰極電流密度を30A/dm2より高くしても、陰極表面で発生する水素ガスの量が多くなるばかりで効率的ではない。電解時間は0.1秒より短いと、酸化錫や酸化鉄の還元が十分にできない場合がある。一方、電解2秒間で酸化錫や酸化鉄は十分に還元されるため、これより長くしても生産性を低下させるばかりで、性能の向上は認められない。
りん酸塩水溶液中での陰極電解処理に次いで、適当な条件で陽極電解処理を施すと、りん酸塩皮膜の形成がより進行するので好ましい。陽極電解処理では、鋼板表面の錫や鉄がゆっくりと酸化溶解し、処理液中のりん酸イオンと結合することでりん酸鉄やりん酸錫が形成すると考えられる。陽極電解処理の陽極電流密度は0.2〜5A/dm2、電解時間は0.1〜2秒が適当である。0.2A/dm2未満、あるいは0.1秒未満では、りん酸塩の生成を促進する効果が不十分であり、陰極電解処理だけ行った場合と比べて改善する効果がない。一方、5A/dm2超えると錫や鉄の溶解速度が速すぎて、生成するりん酸塩層が疎で脆くなる。電解時間が2秒を超えると、生産性を低下させるし、りん酸塩層が厚くなって、かえって脆い皮膜となってしまう。
前記の化成処理後、鋼板をさらに、1〜10g/Lのジルコニウム(IV)、1〜10g/Lのけい素(IV)と5〜50g/Lのフッ化物イオン、1〜5g/Lの硝酸イオンの1種または2種を含む、pH2.5〜6、浴温10〜55℃の水溶液中で、電流密度1〜15A/dm2、電解時間0.1〜2秒で陰極電解処理を施すことで、粒状のZrの酸化物および/または水酸化物と層状のSiの酸化物および/または水酸化物とが適量分布する表面となり、良好な有機皮膜密着性を示す本願発明の錫めっき鋼板が得られる。
処理浴に添加する好ましいジルコニウム(IV)化合物として、フッ化ジルコニウムアンモニウム、硝酸酸化ジルコニウム、また、好ましいけい素(IV)化合物として、けいフッ化アンモニウムを挙げることができる。
以下、実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
低炭素冷延鋼帯を連続焼鈍、次いで、調質圧延して得た板厚0.18mm、調質度T-5CAの鋼帯を使用した。めっき前処理として、10mass%水酸化ナトリウム溶液中で電解脱脂した後、5mass%希硫酸で酸洗した。
一部の鋼帯には、Fe-Ni合金めっき、又は、Niめっきを施した。Niめっきを施した鋼帯は、その後に焼鈍してNiを拡散させて、Fe-Ni合金層を形成させた。
次いで、フェロスタン浴を用いて電気錫めっきを施した。錫イオンを20g/L、フェノールスルホン酸イオンを75g/L、界面活性剤を5g/L含む43℃のめっき液中で、陰極電流密度20A/dm2で陰極電解した。陽極には、白金めっきしたチタンを用いた。全錫めっき付着量は1.5g/dm2とした。
一部の錫めっき鋼帯は、錫めっき液を10倍希釈した溶液に浸漬し、ゴムロールで液切りをした後、冷風で乾燥し、通電加熱によって5秒間で250℃まで昇温させて錫をリフローし、直ちに80℃の水でクエンチした。
引き続き、錫めっき鋼板に、下記のように化成処理を施した。
全りん酸濃度をりん酸換算で35g/L、ナトリウムイオンを4g/L含む液温40℃の処理液中で陰極電解処理した。いくつかの実施例では、同じ組成の水溶液中で陽極電解処理を施した。
次いで、1〜10g/Lのジルコニウム(IV)、1〜10g/Lのけい素(IV)と20g/Lのフッ化物イオン、2.5g/Lの硝酸イオンを含む、pH4.0、浴温40℃の水溶液中で、電流密度10A/dm2、電解時間0.4秒で陰極電解処理を施した。電解処理後、ゴムロールで液を絞った後、速やかに水洗、乾燥した。
P、Zr、Niの付着量は、蛍光X線強度から、予め作成した検量線を使って算出した。Sn付着量は、1mol/Lの希塩酸中で錫めっき鋼板を陽極とする電解剥離法により求めた。なお、Pがりん酸錫、りん酸鉄として存在することは、AES(オージェ電子分光分析)による微小領域におけるSn、Fe、P、Oの比率と、XPS(X線光電子分光分析)によるSn、Fe、P、Oの結合状態の解析によって確認した。
上記処理材について、以下に示す(A)〜(C)の各項目について評価試験を実施した。
(A) 塗料一次密着性
評価材に、エポキシ・フェノール系塗料を60mg/dm2塗布し、210℃で10分間の焼き付けを行った。さらに、190℃で15分間、230℃で90秒間の追い焼きを行った。この塗装板から、5mm×100mmの大きさの試料を切り出した。2枚の同一水準の試料を、塗装面が向かい合わせになるようにし、間に厚さ100μmのフィルム状のナイロン接着剤を挟んだ。これを、つかみ代を残して、ホットプレスで200℃で60秒間予熱した後、2.9×105Paの圧力をかけて200℃で50秒間圧着し、引張試験片とした。つかみ部をそれぞれ90゜の角度で曲げてT字状とし、引張試験機のチャックでつかんで引っ張り、剥離強度を測定して、塗料一次密着性を評価した。試験片幅5mm当たりの測定強度が、70N以上を◎、55N以上70N未満を○、40N以上55N未満を△、40N未満を×とした。
(B) 塗料二次密着性
評価材に、前記(A)と同様の方法で、塗装、焼付け、ナイロン接着剤を挟んで圧着を施し、試験片を作製した。これを125℃、30分のレトルト処理をし、直後につかみ部をそれぞれ90゜の角度で曲げてT字状とし、引張試験機のチャックでつかんで引っ張り、剥離強度を測定して、塗料二次密着性を評価した。試験片幅5mm当たりの測定強度が、50N以上を◎、40N以上50N未満を○、30N以上40N未満を△、30N未満を×とした。
(C) 耐食性
評価材の缶内面に相当する面の塩化物イオンを含む酸性溶液中における耐食性を評価するため、UCC(アンダーカッティング・コロージョン)試験を行った。エポキシ・フェノール系塗料を50mg/dm2塗布し、205℃で10分間の焼き付けを行った。さらに180℃で10分間の追い焼きを行った。この塗装板から、50mm×50mmの大きさの試料を切り出した。塗膜にカッターで地鉄に達するまでクロスカットを入れ、端面と裏面を塗料でシールした後、1.5%クエン酸と1.5%塩化ナトリウムからなる55℃の試験液中に、大気開放下で96時間浸漬した。水洗・乾燥後、スクラッチ部及び平面部にセロテープ(登録商標)(ニチバンNo.405)を貼り付けた後、勢いよく剥離し、クロスカット部近傍の腐食状況、クロスカット部のピッティング腐食及び平面部の塗膜剥離状況を観察して、耐食性を評価した。テープによる剥離も腐食も認められないものを◎(非常に良好)、スクラッチ部から0.2mm未満のテープ剥離又は目視で認められない僅かな腐食の一方又は両方が認められたものを○(良好)、スクラッチ部から0.2mm以上0.4mm以下のテープ剥離又は目視で認められる小さい腐食の一方又は両方が認められたものを△(やや不良)、0.4mmを超えるテープ剥離が生じたものを×(不良)とした。
以上の性能評価結果から、総合評価を◎(非常に良好)、○(良好)、△(やや不良)、×(不良)の4段階に分類し、◎、○を合格レベルとした。
上記に記載しなかった試験条件を表1及び表2に、評価結果を表3及び表4に示した。
Figure 0005332836
Figure 0005332836
Figure 0005332836
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本発明の実施例1〜35は、全ての評価項目及び総合評価で、◎又は○であり、求められる性能を満足した。中でもSi/(Si+Zr)が0.2〜0.8の範囲の水準は良好な塗料密着性を示しており、好適である事が判る。
比較例1は、酸化けい素、酸化ジルコニウムともに付着量が少ない例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例2は、酸化けい素の付着量が少ない例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例3は、酸化けい素、酸化ジルコニウムの合計量が少ない例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例4は、酸化ジルコニウムの付着量、酸化けい素、酸化ジルコニウムの合計量が少ない例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例5と6は、酸化ジルコニウムの付着量が少ない例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例7は、酸化ジルコニウムの付着量が多い例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例8は、酸化ジルコニウムの付着量が多い例である。十分な二次塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例9は、酸化ジルコニウムの付着量と酸化けい素、酸化ジルコニウムの合計量が多い例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例10と11は、酸化けい素の付着量が多い例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例12は、酸化けい素の付着量と酸化けい素、酸化ジルコニウムの合計量が多い例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例13は、りん酸塩の付着量が少ない例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。比較例14は、りん酸塩の付着量が多い例である。十分な塗料密着性と耐食性が得られなかった。

Claims (3)

  1. 鋼板表面上又は鋼板表面に形成した鉄および錫(Sn)を含む合金層上に、金属錫を連続的又は断続的に有するめっき鋼板であって、該めっき鋼板上に、P量として0.5〜5.0mg/mのりん酸塩層、さらに該りん酸塩層上に、鋼板面に投影した粒の像の径が円換算で0.1〜0.4μmである粒状のZrの酸化物及び/又はZrの水酸化物をZr量として2〜15mg/m、並びにSiの酸化物及び/又はSiの水酸化物をSi量として2〜15mg/m含み、かつ前記Zr量及び前記Si量の合計が5〜30mg/mであるシリカ−ジルコニア処理層を有することを特徴とする缶用めっき鋼板。
  2. 前記、シリカ−ジルコニア処理層における金属量で表したSiの割合Si/(Zr+Si)が0.2〜0.8であることを特徴とする請求項1に記載の缶用めっき鋼板。
  3. 前記鉄および錫を含む合金層が、Sn量として0.1〜1.8g/mのFe−Sn合金層、又はNi量として2〜100mg/mのFe−Ni−Sn合金層から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の缶用めっき鋼板。
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