JP5332617B2 - フルオロモノマーの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フルオロモノマーの回収方法に関する。
フルオロポリマーは、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の方法で製造されているが、乳化重合は、重合槽の容積効率が高く、重合中の除熱や撹拌時のトルクが低い等の点で有利である。
乳化重合において、重合反応で消費されなかった未反応モノマーは、経済性等の観点から回収して再利用することが好ましい。上記未反応モノマーのうち、テトラフルオロエチレン〔TFE〕のような常温で気体のモノマーは、重合後にガスとして容易に分離、回収することができる。一方、常温で液体である未反応のモノマーは、乳化重合後の水性分散体から分離、回収することが容易ではない。
常温で液体である未反応モノマーを回収する方法としては、弗素化塩素化飽和炭化水素(CFC)を抽出溶媒として使用し、フッ素化モノマーを乳化重合して得られるラテックスから未反応モノマーを回収する方法(例えば、特許文献1参照。)、CFClCFCFHCl、CFCFCHCl、ハイドロフルオロカーボン、フルオロカーボン等のフッ素系溶剤を抽出溶媒として使用する方法(例えば、特許文献2参照。)、ハイドロフルオロエーテル化合物を抽出溶媒として使用する方法(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
しかし、抽出溶媒を使用して未反応モノマーを分離すると、溶媒抽出後の水性分散体に抽出溶媒が残存し、それによって工程上の不具合が発生するという問題がある。このような問題を避けるために、水性分散体に残存する抽出溶媒を気化させて除去する必要がある(例えば、特許文献4参照。)。また、未反応モノマーを再利用するためには、抽出溶媒中に溶解した未反応モノマーを分離することも必要である。このような経済的、時間的な負担を回避するため、抽出溶媒を使用せずに未反応モノマーを回収できることが好ましい。
また、−SOFのようなスルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを乳化重合して得られるフルオロポリマーは、燃料電池、化学センサー等の電解質膜材料としての用途が知られている。乳化重合により水性分散体の状態で得られるこのようなスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロポリマーは、水性分散体の状態において、スルホン酸前駆体官能基のごく一部が水により加水分解されて、スルホン酸基(−SOM;Mは、H、NR又はM 1/Lを表す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、H若しくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。Mは、L価の金属を表す。)に変換される反応が存在する(例えば、特許文献5参照。)。
このため、加水分解によりスルホン酸前駆体官能基よりも耐熱性の低いスルホン酸基(−SOM)を生じ、上記フルオロポリマーを用いた溶融成形時に熱分解により着色する問題があった。また、上記スルホン酸由来基含有フルオロポリマーは、乾燥処理を経て、粉末状、ペレット状、成形体等の固体に調製したものであっても、スルホン酸基(−SOM)が高吸湿性であることにより空気中の水分を直ちに吸収してしまうため、吸湿された水が溶融成形時の発泡の原因になったりする問題があった。
また、スルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマーは、フッ素ラジカル発生化合物を接触させてポリマー鎖末端の−SOM、−COOH等の不安定基をフッ素化させることにより、溶融成形時の着色、発泡等の発生を防ぐことができる。しかし、−SOM基が多く存在することによって、吸湿された水がフッ素化を阻害する問題があった。
更に、フルオロモノマーに存在するスルホン酸前駆体官能基が加水分解することにより、未反応モノマーの回収率が低下する問題があった。
特開昭56−59810号公報 特開平7−118332号公報 特開平11−35624号公報 特開2000−344825号公報 国際公開第2005/028522号パンフレット
本発明の目的は、上記現状に鑑み、抽出溶媒を使用することなく、乳化重合して得られるフルオロポリマー水性分散体から、未反応のフルオロモノマーを効率よく分離、回収し、かつ、−SOFのようなスルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基の加水分解を抑制する技術を提供することにある。
本発明は、スルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを乳化重合して得られるフルオロポリマー水性分散体から未反応の上記フルオロモノマーを回収する方法であって、上記フルオロポリマー水性分散体から未反応の上記フルオロモノマーを気化させて回収するものであり、上記フルオロポリマー水性分散体の液のpHが酸性であることを特徴とするフルオロモノマーの回収方法である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明は、スルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを乳化重合して得られるフルオロポリマー水性分散体から未反応の上記フルオロモノマーを回収する方法である。
本発明の回収方法は、上記フルオロポリマー水性分散体から未反応の上記フルオロモノマーを気化させて回収すること、及び、当該フルオロポリマー水性分散体の液のpHが酸性であることを特徴とする。本発明の回収方法は、フルオロポリマー水性分散体の液のpHを酸性にすることにより、スルホン酸前駆体官能基の加水分解を抑制することができるので、上記フルオロポリマーを用いた溶融成形時に着色したり発泡したりすることを抑制でき、電解質膜材料として好適に使用できるフルオロポリマーを得ることができ、更に、未反応の上記フルオロモノマーの回収率を優れたものとすることができる。
本発明の回収方法は、フルオロポリマー水性分散体から、未反応の上記フルオロモノマーを気化させて回収するものであるので、従来のように抽出溶媒を使用することなくフルオロモノマーを回収することができる。
上記フルオロポリマー水性分散体は、フルオロモノマーを乳化重合して得られるものであり、上記フルオロモノマーは、スルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するものである。
上記スルホン酸前駆体官能基は、加水分解反応によってスルホン酸基(−SOM;Mは、H、NR又はM 1/Lを表す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、H若しくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。Mは、L価の金属を表す。)に変換しうるものである。上記スルホン酸前駆体官能基としては、−SOX(Xは、F又はClを表す。)であることが好ましい。
上記−SOX基におけるXは、好ましくは、Fである。
上記スルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーは、下記一般式(I)
CF=CF−(A)−(CFCFY−O)−(CFY−SOX (I)
(式中、Yは、F、Cl又はパーフルオロアルキル基を表す。nは、0〜1の整数を表し、Yは、F、Cl又はパーフルオロアルキル基を表す。mは、nが0のとき0〜5の整数を表し、nが1のとき1〜5の整数を表す。mが2〜5の整数であるとき、m個のYは、同一であってもよいし異なっていてもよい。Xは、F又はClを表す。Aは、−O−又は−CFO−を表し、lは0〜1の整数を表す。)で表されるフルオロビニル化合物であることが好ましい。
上記一般式(I)において、Yとしては、パーフルオロアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であることがより好ましく、−CF基であることが更に好ましい。Yとしては、Fが好ましい。
上記フルオロビニル化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記フルオロポリマー水性分散体は、スルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーとエチレン性フルオロモノマーとを乳化重合して得られるものであることが好ましい。上記エチレン性フルオロモノマーは、スルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限されない。
上記エチレン性フルオロモノマーは、ビニル基を有するモノマーであって、上記ビニル基は、フッ素原子により水素原子の一部又は全部が置換されていてもよいものである。
上記エチレン性フルオロモノマーとしては、例えば、下記一般式(II)
CF=CF−R (II)
(式中、R は、F、Cl又は炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基を表す。)
で表されるエチレン性フルオロモノマー、下記一般式(III)
CHY=CFY (III)
(式中、YはH又はFを表し、YはH、F、Cl又は炭素数1〜9の直鎖状若しくは分岐状のフルオロアルキル基を表す。)
で表される水素含有エチレン性フルオロモノマー等が挙げられる。
上記一般式(II)又は(III)で表されるエチレン性フルオロモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン〔VDF〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン及びパーフルオロブチルエチレン等が挙げられるが、TFE、VDF、CTFE、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、HFPであることが好ましく、TFE、CTFE、HFPがより好ましく、TFE、HFPが更に好ましく、TFEが特に好ましい。
上記エチレン性フルオロモノマーは、環構造を有するモノマーであってもよいし、環化重合性モノマーであってもよい。
上記環構造を有するモノマーとしては、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール等が挙げられる。
上記環化重合性モノマーとしては、パーフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)、パーフルオロ[(1−メチル−3−ブテニル)ビニルエーテル]、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)、1,1’−[(ジフルオロメチレン)ビス(オキシ)][1,2,2−トリフルオロエテン]等が挙げられる。
上記エチレン性フルオロモノマーとしては、下記一般式(IV)
CF=CF−O−R (IV)
(式中、R は、炭素数1〜9のフルオロアルキル基又は炭素数1〜9のフルオロポリエーテル基を表す。)
で表されるパーフルオロビニルエーテル、下記一般式(V)
CHY=CF−O−R (V)
(式中、Yは、H又はFを表し、R は、炭素数1〜9のエーテル基を有していてもよい直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基を表す。)
で表される水素含有ビニルエーテル、及び、
上述の一般式(I)におけるXが、−NR(R及びRは、同一又は異なって、H、アルキル基若しくはスルホニル含有基を表す。)であるフルオロモノマー等が挙げられる。
上記エチレン性フルオロモノマーとしては、1種又は2種以上を用いることができる。
スルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーとエチレン性フルオロモノマーとを重合して得られるフルオロポリマーは、スルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーに由来する繰り返し単位が5〜50モル%、エチレン性フルオロモノマーに由来する繰り返し単位が50〜95モル%である共重合体であることが好ましい。
本明細書において、各単位の含有率は、全モノマー単位を100モル%とした値である。上記「全モノマー単位」は、上記フルオロポリマーの分子構造上、モノマーに由来する部分の全てである。上記各単位の含有率は、300℃における溶融NMR測定により得られる値である。
上記乳化重合は、従来公知の方法により行うことができ、その重合条件は、各モノマーの種類や量、所望の組成等に応じて適宜選択することができる。
上記乳化重合して得られるフルオロポリマー水性分散体は、重合上がりのフルオロポリマー水性分散体であっても、濃縮や凝析等の後処理が施されたものであってもよい。また、フルオロポリマー水性分散体を凝析・洗浄、若しくは、凝析・洗浄・脱水して水性媒体の比率を下げたフルオロポリマー水性分散体であってもよい。
本発明の回収方法は、上記乳化重合における重合反応で消費されなかった未反応の上記フルオロモノマーを、液のpHが酸性であるフルオロポリマー水性分散体から回収するものである。
上記フルオロポリマー水性分散体は、フルオロモノマーを気化させて回収する時点において液のpHが酸性であるものであれば特に制限されないが、pHが酸性の水性媒体中で乳化重合して得られるもの、又は、乳化重合して得られるフルオロポリマー水性分散体の液のpHを酸性に調整して得られるものであることが好ましい。
本発明の回収方法は、上記フルオロポリマー水性分散体の液のpHを酸性にすることで、生成ポリマー及び未反応モノマーに存在するスルホン酸前駆体官能基が加水分解して、スルホン酸基(−SOM)に変換することを抑制することができる。
乳化重合における水性媒体のpHを調整する時期は特に制限されず、水性媒体の液性を重合反応終了時点でpHが酸性となるように調整すればよい。また、予め水性媒体の液性を酸性に調整した後、乳化重合を行ってもよい。
液のpHが酸性であるスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体は、その酸性のpH値をより小さい値にすることで加水分解を抑制する効果が大きくなるが、より好ましい効果を得るためにはフルオロポリマー水性分散体の液のpHが3.0未満であることが好ましい。上記pHは、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.8以下、最も好ましくは1.5以下にすることが好ましい。
液のpHが酸性であるフルオロポリマー水性分散体は、一般的な乳化重合により得られるフルオロポリマー水性分散体の液のpHを酸性に調整して得られるものであってもよい。
液性が酸性であるスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体は、その酸性のpH値をより小さい値にすることで加水分解を抑制する効果が大きくなるが、より好ましい効果を得るためにはpHが3.0未満であることが好ましい。たとえばスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体のpHが3.0より大きい場合でも、フルオロポリマー水性分散体のpHを、もとのpH値より小さい値にすることで加水分解を抑制する効果は発現するが、より好ましい効果を得るためには、pHが3.0未満であることが好ましい。
フルオロポリマー水性分散体のpHが3.0以上であれば、pHを3.0未満、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.8以下、特に好ましくは1.5以下にすることが好ましい。
スルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体のpHが3.0より小さければ、それよりもさらにpHを小さい値にすることでさらにより効果が得られる。たとえばフルオロポリマー水性分散体のpHが3.0より小さく2.0より大きければ、pHをより小さい値、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.8以下、特に好ましくは1.5以下にすることが好ましい。
重合により得られたフルオロポリマー水性分散体の液のpHを調整する場合は、下限は特に制限されないが、pHをあまりに小さくしようとすると、添加する酸性化合物の量が多量になることから、液のpHは−1.0以上であることがプロセス上有利である。重合により得られたフルオロポリマー水性分散体の液のpHを調整する場合は、pHを調整する過程で、フルオロポリマー水性分散体に分散しているフルオロポリマーが凝集、凝析をしてもよく、この場合には、フルオロポリマーに存在するスルホン酸前駆体官能基の加水分解を更に抑制できるという利点がある。
上記pHの調整は、酸性化合物を添加するか、又は、水中で分解して酸性化合物になる化合物を添加することにより行うことができる。上記酸性化合物としては、無機酸、有機酸を一種類もしくは複数を適宜使用することができる。上記酸性化合物としては、pHを目的の酸性領域に調整することのしやすさから、pKaが7より小さい化合物が好ましく、例えば、硝酸、リン酸、硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)等が挙げられる。また上記酸性化合物を他の化合物と組み合わせて使用することもできる。
上記乳化重合は、従来公知の方法により行うことができ、その重合条件は、各モノマーの種類や量、所望の組成等に応じて適宜選択することができる。上記乳化重合において、界面活性剤、重合開始剤、その他の添加剤等を添加することができる。
上記界面活性剤としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができるが、なかでも、パーフルオロオクタン酸塩等のフッ素系界面活性剤であることが好ましい。
上記水性媒体としては特に限定されず、例えば、水、水と公知の水溶性溶媒との混合液等であってよく、更に有機溶剤をも含むものであってもよいが、水であることが好ましい。
本発明の回収方法は、液のpHが酸性であるフルオロポリマー水性分散体から、未反応の上記フルオロモノマーを気化させて回収する。上記気化させる方法としては、特に制限されず、加熱や減圧を適宜組み合わせて行うことができる。上記加熱に減圧を組み合わせると、加熱温度を低くすることができ、回収の効率を向上させることができる点で好ましい。
フルオロポリマー水性分散体の温度が上昇するほど、フルオロポリマー及びフルオロモノマーに存在するスルホン酸前駆体官能基は、加水分解して、スルホン酸基(−SOM)に変換する傾向が大きくなるが、本発明の回収方法は、フルオロポリマー水性分散体の液を酸性にすることで、フルオロモノマーを気化させるために加熱しても加水分解を抑制することができる。
上記回収する方法としては、特に制限されず、上記フルオロモノマーの沸点以下に冷却して液化させ、回収する方法等が挙げられる。
本発明の回収方法は、燃料電池、化学センサー等の電解質膜材料の製造において好適に使用することができる。
上記フルオロポリマー水性分散体は、次に述べるフルオロポリマー水性分散体の製造方法(1)〜(3)により特に好適に得ることができる。
フルオロポリマー水性分散体の製造方法(1)は、スルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを水性媒体中で乳化重合するフルオロポリマー水性分散体の製造方法であって、上記乳化重合は、上記水性媒体の液性をpH0.5〜3.0に調整して行うものであることを特徴とするフルオロポリマー水性分散体の製造方法である。
フルオロポリマー水性分散体の製造方法(1)は、乳化重合を水性媒体の液性をpH0.5〜3.0の酸性に調整して行うものであることを特徴とする。製造方法(1)は、乳化重合を水性媒体の液性をpH0.5〜3.0の酸性に積極的に調整して行うことにより、スルホン酸前駆体官能基の加水分解を抑制し、スルホン酸基(−SOM;Mは、H、NR又はM 1/Lを表す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、H若しくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。Mは、L価の金属を表す。)に変換することを抑制することができる。従って、製造方法(1)により製造されるフルオロポリマー水性分散体は、スルホン酸基の生成が抑制され、溶融成形時に着色や発泡等の問題を抑制し、電解質膜材料として好適に使用できる。
乳化重合において、重合時の開始剤効率を一定に保つ等の目的から、重合時に緩衝剤を添加し、水性媒体の液性を中性付近に調整することなどが知られている。−SOFのようなスルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを乳化重合してスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマーを製造する方法においても、重合時に緩衝剤(例えば、NaHPO、NaHPO等。)を添加し、水性媒体の液性を中性付近に調整することが行われている(例えば、米国特許第4330654号、特開昭63−297406号公報、特開平11−35624号公報、特開2004−18673号公報等、参照。)。
製造方法(1)は、このような従来技術に対して、酸性化合物を系中に添加して、積極的に媒体の液性を酸性の条件に調整して(pH0.5〜3.0)乳化重合を行うものである。
製造方法(1)は、乳化重合を水性媒体の液性を酸性に調整して乳化重合を行うことにより、スルホン酸前駆体官能基の加水分解を抑制し、スルホン酸基に変換することを抑制することができるものであり、その液性のpH値をより小さい値にすることで加水分解を抑制する効果が大きくなるが、より好ましい効果を得るためにはpHが3.0未満であることが好ましい。上記pHは、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.8以下である。
製造方法(1)において、水性媒体の液性のpH値をより小さい値にすることで加水分解を抑制する効果が得られるが、水性媒体の液のpHを小さくしていくことで乳化重合中のフルオロポリマー水性分散体の分散安定性が低下していく。そのためフルオロポリマー水性分散体の液のpHは0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、1.0以上であることが更に好ましい。
製造方法(1)において、液のpHは、重合開始時から重合反応終了時までのすべての段階において、pHが3.0未満に維持できるように調整すすることが好ましく、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.8以下である。
フルオロポリマー水性分散体の製造方法(2)は、スルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを水性媒体中で乳化重合するフルオロポリマー水性分散体の製造方法であって、上記乳化重合は、上記水性媒体の重合開始時のpHよりも、重合終了時のpHを小さくするために、重合中に酸性化剤として酸性化合物を重合系に添加することを特徴とするものである。
製造方法(2)は、水性媒体の重合開始時のpHよりも、重合終了時のpHを小さくするために、重合中に酸性化剤として酸性化合物を重合系に添加して乳化重合を行うことにより、スルホン酸前駆体官能基の加水分解を抑制し、スルホン酸基に変換することを抑制することができるものであり、その液性のpH値をより小さい値にすることで加水分解を抑制する効果が大きくなるが、より好ましい効果を得るためには、水性媒体の重合終了時でのpHが3.0未満であることが好ましい。
製造方法(2)において、重合中の加水分解を抑制するのみではなく、重合終了後のフルオロポリマー水性分散体のスルホン酸前駆体官能基の加水分解を長期間にわたり抑制するためには重合終了時の水性媒体のpHを、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下、特に好ましくは1.8以下にすることが好ましい。
製造方法(2)において、水性媒体の液性のpH値をより小さい値にすることで加水分解を抑制する効果が得られるが、水性媒体の液のpHを小さくしていくことでフルオロポリマー水性分散体の分散安定性が低下していく。そのためフルオロポリマー水性分散体の液のpHは0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、1.0以上であることが更に好ましい。
製造方法(2)における酸性化剤の添加は、重合中であれば添加の時期は特に限定されず、適宜行うことができる。また添加の回数も特に限定されず、連続的に添加を行うこともできる。
製造方法(1)及び(2)は、スルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを水性媒体中で乳化重合することにより、フルオロポリマー水性分散体を製造するものである。
上記乳化重合は、pHを積極的に酸性に調整すること以外は従来公知の方法により行うことができ、その重合条件は、各モノマーの種類や量、所望の組成等に応じて適宜選択することができる。上記乳化重合において、界面活性剤、重合開始剤、その他の添加剤等を添加することができる。
上記製造方法(1)又は(2)によりフルオロポリマー水性分散体を製造した後、フルオロポリマー水性分散体の液のpHを、所望のpHに再度調整してもよい。当該再度の調整においては、上記フルオロポリマー水性分散体の液のpHをより酸性に調整するものであることが好ましい。フルオロポリマー水性分散体を製造した後においては、pHを調整する過程で、フルオロポリマー水性分散体に分散しているフルオロポリマーが凝集してもよく、この場合には、フルオロポリマーに存在するスルホン酸前駆体官能基の加水分解を更に抑制できる。
上記製造方法(1)又は(2)により製造されるフルオロポリマー水性分散体は、液のpHが酸性であり、スルホン酸前駆体官能基の加水分解が抑制されるので、長時間保存したフルオロポリマー水性分散体を使用しても、溶融成形時に加水分解により生じたスルホン酸基(−SOM)が熱分解して着色することがなく、電解質膜材料として好適に使用できる。
上記フルオロポリマー水性分散体は、上記製造方法(1)又は(2)により製造されるフルオロポリマー水性分散体であれば、重合後に濃縮等の操作を経ていないものであっても、濃縮や凝析等の後処理が施されたものであってもよい。また、フルオロポリマー水性分散体を凝析・洗浄、若しくは、凝析・洗浄・脱水して水性媒体の比率を下げたフルオロポリマー水性分散体であってもよい。
フルオロポリマー水性分散体の温度が上昇するほど、フルオロモノマーに存在するスルホン酸前駆体官能基は、加水分解してスルホン酸基(−SOM)に変換する傾向が大きくなるが、製造方法(1)及び(2)では、重合反応時にpHを特定の範囲に調整しているので、フルオロモノマーを気化させるために加熱しても加水分解を抑制することができ、スルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーの回収率を優れたものとすることができる。
フルオロポリマー水性分散体の製造方法(3)は、スルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを乳化重合させ、フルオロポリマー水性分散体を得る工程(1)、上記フルオロポリマー水性分散体の液のpHを低下させる工程(2)を含むことを特徴とする。
製造方法(3)は、工程(2)においてフルオロポリマー水性分散体の液のpHを積極的に調整して、より酸性域のpHに調整することにより、スルホン酸前駆体官能基の加水分解を抑制することができる。従って、製造方法(3)により製造されるスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体は、スルホン酸前駆体官能基の長期の保存安定性に優れ、長時間保存したフルオロポリマー水性分散体に、凝析、洗浄、乾燥等の後工程を加え、スルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマーとして単離し、溶融成形を行っても、スルホン酸基の存在に由来する、着色や発泡といった問題を抑制し、電解質膜材料等として好適に使用できる。
製造方法(3)は、スルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを乳化重合させ、フルオロポリマー水性分散体を得る工程(1)を含むものである。
製造方法(3)における上記乳化重合は、従来公知の方法により行うことができ、その重合条件は、各モノマーの種類や量、所望の組成等に応じて適宜選択することができる。
工程(2)において使用するフルオロポリマー水性分散体は、上記工程(1)により得られるフルオロポリマー水性分散体であれば、重合後に濃縮されたものであってもよい。
フルオロポリマー水性分散体を作製する乳化重合においては、重合時の開始剤効率を一定に保つ等の目的から重合時等に緩衝剤を添加し、水性媒体の液性を中性付近に調整することなどが知られている。−SOFのようなスルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを乳化重合してスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマーを製造する方法においても、重合時に緩衝剤(例えば、NaHPO、NaHPOなど)を添加し、水性媒体の液性を中性付近に調整することが行われている(例えば、米国特許第4330654号、特開昭63−297406号公報、特開平11−35624号公報、特開2004−18673号公報等、参照。)。
製造方法(3)では、スルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを乳化重合して得られたスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体の液のpHを積極的に調整して、pHをより酸性に下げる。pHの調整は、乳化重合終了直後にすみやかに行うものであることが好ましく、その場合、重合後から凝析等の後工程までの間に進行する加水分解反応を抑制することができる。
製造方法(3)は、上記フルオロポリマー水性分散体の液のpHを低下させる工程(2)を含むものであり、例えばフルオロポリマー水性分散体中の生成ポリマーに存在するスルホン酸前駆体官能基が加水分解して、スルホン酸基(−SOM)に変換することを抑制することができる。
液性が酸性であるスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体は、その酸性のpH値をより小さい値にすることで加水分解を抑制する効果が大きくなるが、より好ましい効果を得るためにはpHが3.0未満であることが好ましい。
重合後のスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体のpHが3.0以上であれば、pHを3.0より小さく、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.8以下、特に好ましくは1.5以下にすることが好ましい。重合後のスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体のpHが3.0より小さければ、それよりもさらにpHを小さい値にすることでさらにより効果が得られる。例えば重合後のスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体のpHが3.0より小さく2.0より大きければ、pHをより小さい値、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.8以下、特に好ましくは1.5以下にすることが好ましい。例えば重合後のスルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマー水性分散体のpHが2.0より小さく1.8より大きければ、pHをより小さい値、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.5以下にすることが好ましい。
製造方法(3)により製造されるフルオロポリマー水性分散体は、スルホン酸前駆体官能基の長期の保存安定性に優れ、長時間保存したフルオロポリマー水性分散体に、凝析、洗浄、乾燥等の後工程を加え、スルホン酸前駆体官能基含有フルオロポリマーとして単離し、溶融成形を行っても、スルホン酸基の存在に由来する、着色や発泡といった問題を抑制し、電解質膜材料等として好適に使用できる。
フルオロポリマー水性分散体の温度が上昇するほど、フルオロモノマーに存在するスルホン酸前駆体官能基は、加水分解してスルホン酸基(−SOM)に変換する傾向が大きくなるが、製造方法(3)では、工程(2)においてpHを低下させているので、フルオロモノマーを気化させるために加熱しても加水分解を抑制することができ、スルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーの回収率を優れたものとすることができる。
製造方法(1)〜(3)により製造されるフルオロポリマー水性分散体の水性媒体から単離されるフルオロポリマーは、スルホン酸基(−SOM)が極めて少ない。従って、水分を吸収しにくく、フッ素化の阻害要因となる含有水分が少ないので、スルホン酸前駆体官能基のフッ素化が極めて容易であり、電解質膜材料として特に好適である。
上記単離は、製造方法(1)〜(3)により製造されるフルオロポリマー水性分散体を凝析、洗浄、乾燥することにより行うことができる。
上記フルオロポリマーを成形することにより膜等の成形体を得ることができる。
本発明の回収方法は、上述の構成からなるので、乳化重合して得られるフルオロポリマー水性分散体からスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを分離、回収するにあたって、抽出溶媒を使用する必要がなく、未反応のフルオロモノマーの回収率を極めて優れたものとすることができ、更に、回収時や回収後においてスルホン酸前駆体官能基の加水分解を抑制することができる。
以下、実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明する。
なお、各実施例及び比較例において、各値の測定は以下の方法により行った。
(1)IRによる単位ポリマー質量中のSO 質量
フルオロポリマー水性分散体を、凝析、水洗、乾燥させて得たフルオロポリマー各サンプルは、270℃、10MPaで20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有するフィルムを作成し、そのフィルムについてフーリエ変換式赤外吸光分光法にてスペクトルの測定を行った。
上記測定の分析は、従来公知の方法により、もはやスペクトルに実質的差異がみられなくなるまで充分にフッ素化処理を行った標準サンプルを別途作成しておき、そのIRスペクトルと測定サンプル膜のIRスペクトルとの差スペクトルをC−F倍音の吸収ピークで規格化して導出し、得られた差スペクトルにおいて、1056cm−1付近に観測されるスルホン酸基に由来する吸収ピークの強度を読み取り、それぞれC−F倍音のピーク強度で規格化して吸収ピーク強度Absを得た。
スルホン酸基の量は、スルホン酸基の吸収ピークの吸光係数ε(cm/mol・cm)、サンプルの比重d(g/cm)、及び、C−F倍音の強度が1のときのサンプル膜厚l(cm)からランバートベール則(Abs=εcl、cは濃度)を使って、下記式
SO (ppm)={Abs×(SO の分子量)}×1011/εdl
に基づいて算出した。
本明細書において、スルホン酸基の量は、上記において得られた値を、単位ポリマー質量中のSO 質量として表した。
(2)フルオロポリマー中のスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマー単位の含有率
300℃における溶融NMR測定により行い、全モノマー単位を100モル%とした値(モル%)、及び、全モノマー単位に占める質量の割合(質量%)を示した。
(3)スルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーの回収率
次式による計算によって求めた。
フルオロモノマーの回収率(%)=[m/(a−c×w×p)]×100
a:式a=(m/w)×wにより求める値である。
m:フルオロモノマーの回収量(g)
:フルオロモノマーの供給量(g)
c:重合上がりの水性分散体中のフルオロポリマー含有量(質量%)/100
w:フルオロモノマーの回収に使用したフルオロポリマー水性分散体の質量(g)
:重合上がりのフルオロポリマー水性分散体の質量(g)
p:フルオロポリマー中のフルオロモノマー単位の含有率(質量%)/100
(4)pH値の測定
pH計(ハナインスツルメンス製、型式WATERCHECK)により計測した。
実施例1
(1)フルオロポリマー水性分散体の合成
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液150gと純水2850gを仕込み、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム[APS]を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4450gを得た。重合直後の該フルオロポリマー水性分散体の液のpHは3.1であった。
フルオロポリマー水性分散体は未反応のCF=CFOCFCFSOFを含んでいるが、未反応のCF=CFOCFCFSOFは、フルオロポリマー水性分散体中のフルオロポリマー粒子に含有され、層分離をしていなかった。
(2)フルオロモノマーの回収
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、合成直後の上記フルオロポリマー水性分散体4450gを入れ、次いで0.1M硝酸水溶液480gを徐々に加えた。硝酸水溶液を加えた後の液のpHは2.1であった。
次いで、オートクレーブを密閉し、図1のように、PFAチューブを用いて、攪拌槽の気相部とメタノール/ドライアイスで冷却したトラップをつなぎ、また該トラップとダイアフラムポンプをつなぎ、減圧下にて55℃で2時間加熱した。トラップから168gの未反応CF=CFOCFCFSOFが得られた。
未反応のCF=CFOCFCFSOFを回収した直後のフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー1227gを得た。
フルオロポリマーを、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は50ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
フルオロモノマーの回収率は88%であった。
実施例2
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液150gと純水2850gを仕込み、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム[APS]を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放して、重合を停止し、フルオロポリマー水性分散体を得た。次いで窒素を用いて0.1M硝酸水溶液480gを徐々に注入してpHを調整した。オートクレーブ内液を103gサンプリングしてpHを測定したところ、pH2.1であった。続けて、図1のように、PFAチューブを用いて、攪拌槽の気相部とメタノール/ドライアイスで冷却したトラップをつなぎ、また該トラップとダイアフラムポンプをつなぎ、減圧下にて55℃で2時間加熱した。トラップから161gの未反応CF=CFOCFCFSOFが得られた。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約26質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4646gを得た。
未反応のCF=CFOCFCFSOFを回収した直後のフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー1194gを得た。
フルオロポリマーを、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は60ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
フルオロモノマーの回収率は85%であった。なお、該回収率は、重合上がりのフルオロポリマー水性分散体の質量を、実施例1(1)から推測して4450gとして計算した値である。
実施例3
実施例1(1)の方法にて、フルオロポリマー水性分散体を得た。
容積5000mlのガラス製攪拌槽に、合成直後の該フルオロポリマー水性分散体2000gを入れ、次いで1M硝酸水溶液2000gを徐々に加えたところフルオポリマーが凝集して析出してきた。硝酸水溶液を加えた後の液のpHは0.4であった。
次いで、図1のように、PFAチューブを用いて、攪拌槽の気相部とメタノール/ドライアイスで冷却したトラップをつなぎ、また該トラップとダイアフラムポンプをつなぎ、55℃で2時間加熱した。トラップから75gの未反応CF=CFOCFCFSOFが得られた。
未反応のCF=CFOCFCFSOFを回収したのち、フルオロポリマーを水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー552gを得た。
フルオロポリマーを、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は30ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%であった。
フルオロモノマーの回収率は88%であった。
実施例4
実施例1(1)の方法にて、フルオロポリマー水性分散体を得た。
容積5000mlのガラス製攪拌槽に、1M硝酸水溶液2000g入れ、次いで合成直後の該フルオロポリマー水性分散体2000gを加えたところフルオポリマーが凝集して析出してきた。このときの液のpHは0.4であった。
次いで、図1のように、PFAチューブを用いて、攪拌槽の気相部とメタノール/ドライアイスで冷却したトラップをつなぎ、また該トラップとダイアフラムポンプをつなぎ、減圧下にて55℃で2時間加熱した。トラップから78gの未反応CF=CFOCFCFSOFが得られた。
未反応のCF=CFOCFCFSOFを回収したのち、フルオロポリマーを水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー553gを得た。
フルオロポリマーを、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は30ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%であった。
フルオロモノマーの回収率は91%であった。
実施例5
実施例1(1)の方法にて、フルオロポリマー水性分散体を得た。
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、合成直後の上記フルオロポリマー水性分散体4450gを入れ、次いで0.2M硝酸水溶液480gを徐々に加えた。硝酸水溶液を加えた後の液のpHは1.8であった。
次いで、オートクレーブを密閉し、図1のように、PFAチューブを用いて、攪拌槽の気相部とメタノール/ドライアイスで冷却したトラップをつなぎ、また該トラップとダイアフラムポンプをつなぎ、減圧下にて55℃で2時間加熱した。トラップから170gの未反応CF=CFOCFCFSOFが得られた。
未反応のCF=CFOCFCFSOFを回収した直後のフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー1225gを得た。
フルオロポリマーを、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は40ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
フルオロモノマーの回収率は88%であった。
実施例6
実施例1(1)の方法にて、フルオロポリマー水性分散体を得た。
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、合成直後の上記フルオロポリマー水性分散体4450gを入れ、次いで0.4M硝酸水溶液480gを徐々に加えた。硝酸水溶液を加えた後の液のpHは1.4であった。
次いで、オートクレーブを密閉し、図1のように、PFAチューブを用いて、攪拌槽の気相部とメタノール/ドライアイスで冷却したトラップをつなぎ、また該トラップとダイアフラムポンプをつなぎ、減圧下にて55℃で2時間加熱した。トラップから170gの未反応CF=CFOCFCFSOFが得られた。
未反応のCF=CFOCFCFSOFを回収した直後のフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー1225gを得た。
フルオロポリマーを、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は30ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
フルオロモノマーの回収率は88%であった。
比較例1
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液150gと純水2850gを仕込み、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム[APS]を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放して、重合を停止し、フルオロポリマー水性分散体を得た。続けて、合成されたフルオロポリマー水性分散体を抜き出すことをせず、図1のように、PFAチューブを用いて、攪拌槽の気相部とメタノール/ドライアイスで冷却したトラップをつなぎ、また該トラップとダイアフラムポンプをつなぎ、減圧下にて55℃で2時間加熱した。トラップから125gの未反応CF=CFOCFCFSOFが得られた。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4269gを得た。
未反応のCF=CFOCFCFSOFを回収した直後のフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー1230gを得た。
フルオロポリマーを、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は200ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%であった。
フルオロモノマーの回収率は66%であった。
比較例2
実施例1(1)の方法にて、フルオロポリマー水性分散体を得た。
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、合成直後の上記フルオロポリマー水性分散体4450gを入れ、次いでpHを中性付近に保持するために、3質量%の炭酸アンモニウム水溶液300gを徐々に加えた。炭酸アンモニウム水溶液を加えた後の液のpHは7.7であった。
次いで、図1のように、オートクレーブを密閉し、PFAチューブを用いて、攪拌槽の気相部とメタノール/ドライアイスで冷却したトラップをつなぎ、また該トラップとダイアフラムポンプをつなぎ、減圧下にて55℃で2時間加熱した。トラップから109gの未反応CF=CFOCFCFSOFが得られた。
未反応のCF=CFOCFCFSOFを回収した直後のフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー1235gを得た。
フルオロポリマーを、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は2100ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%であった。
フルオロモノマーの回収率は58%であった。
参考例1
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液300gと純水2700g、CFCOOH2.7gを仕込んだ。pH計(ハナインスツルメンス製、型式WATERCHECK)により計測した液pHは2.2であった。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4445gを得た。重合直後のフルオロポリマー水性分散体の液のpHをpH計で計測したところ液pHは2.1であった。
このフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー粉体1240gを得た。フルオロポリマー粉体を、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は30ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
参考例2
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液1500gと純水1500g、CFCOOH5.8gを仕込んだ。このときの液pHは1.8であった。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、ほぼ透明なフルオロポリマー水性分散体4450gを得た。
重合直後のフルオロポリマー水性分散体の液のpHをpH計で計測したところ液pHは1.7であった。
このフルオロポリマー水性分散体から440gを分取して、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー粉体120gを得た。フルオロポリマー粉体を、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークは観測されなかった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
引き続いて、このフルオロポリマー水性分散体445gを分取し、これに純水2700gとCFCOOH5.2gを加えて、容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに仕込んだ。このときの液pHは1.8であった。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、CF=CFOCFCFSOFを156g注入した。続けてテトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.05MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが710gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4450gを得た。
重合直後のフルオロポリマー水性分散体の液のpHをpH計で計測したところ液pHは1.7であった。
このフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー粉体1240gを得た。
フルオロポリマー粉体を、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークは観測されなかった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
参考例3
容積500mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、純水250g、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOONH0.025g、F(CFCOONH1.25g、CFCOOH0.25gを仕込んだ。このときの液pHは2.2であった。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを15g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き0.12gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を10gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが65gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、白濁したフルオロポリマー水性分散体375gを得た。
重合直後のフルオロポリマー水性分散体の液のpHをpH計で計測したところ液pHは2.1であった。
このフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー粉体103gを得た。
フルオロポリマー粉体を、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は30ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
参考例4
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液1500gと純水1500g、CFCOOH15.0gを仕込んだ。pH計(ハナインスツルメンス製、型式WATERCHECK)により計測した液pHは1.4であった。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4445gを得た。重合直後のフルオロポリマー水性分散体の液のpHをpH計で計測したところ液pHは1.3であった。
このフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー粉体1240gを得た。フルオロポリマー粉体を、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークは観測されなかった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
参考例5
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液300gと純水2700g、硝酸(60重量%)2.5gを仕込んだ。pH計(ハナインスツルメンス製、型式WATERCHECK)により計測した液pHは2.2であった。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4445gを得た。重合直後のフルオロポリマー水性分散体の液のpHをpH計で計測したところ液pHは2.0であった。
このフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー粉体1240gを得た。フルオロポリマー粉体を、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークは観測されなかった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
参考例6
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液300gと純水2700gを仕込んだ。このときの液pHは6.5であった。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液をオートクレーブに注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが39gになった時点で、CFCOOH3.4gを純水50gに溶かした水溶液をオートクレーブに徐々に注入した。続けて、サンプリング管より50gの内液をサンプリングし、pH計により計測したところ液pHは2.0であった。
更に重合を続け、供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4450gを得た。該フルオロポリマー水性分散体の液のpHをpH計により計測したところ1.9であった。
このフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー粉体1230gを得た。
フルオロポリマー粉体を、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークは観測されなかった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
参考例7
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液1500gと純水1500gを仕込んだ。このときの液pHは6.5であった。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液をオートクレーブに注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが39gになった時点で、CFCOOH15.0gを純水50gに溶かした水溶液をオートクレーブに徐々に注入した。続けて、サンプリング管より50gの内液をサンプリングし、pH計により計測したところ液pHは1.4であった。
更に重合を続け、供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4460gを得た。該フルオロポリマー水性分散体の液のpHをpH計により計測したところ1.3であった。
このフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー粉体1230gを得た。
フルオロポリマー粉体を、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークは観測されなかった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
比較参考例1
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液300gと純水2700g、NaHPO・12HO 24.0gおよび、NaHPO・2HO 13.6gを仕込んだ。このときの液pHは7.0であった。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4445gを得た。
このフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー粉体1240gを得た。
フルオロポリマー粉体を、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は350ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
比較参考例2
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液300gと純水2700gを仕込んだ。このときの液pHは6.5であった。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4450gを得た。該フルオロポリマー水性分散体の液のpHは3.1であった。
このフルオロポリマー水性分散体を、硝酸で凝析させ、水洗し、90℃で24時間乾燥し、更に120℃で12時間乾燥してフルオロポリマー粉体1240gを得た。
フルオロポリマー粉体を、270℃、10MPaにおいて20分間ヒートプレスして、100μmの厚みを有する透明な膜を得た。
IR測定の結果、スルホン酸に由来するピークが観測され、それから算出される単位ポリマー質量中のSO 質量は150ppmであった。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
参考例8
工程(1)
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液150gと純水2850gを仕込み、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。さらに供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4450gを得た。pH計(ハナインスツルメンス製、型式WATERCHECK)により計測した重合直後のフルオロポリマー水性分散体の液のpHは3.1であった。
工程(2)
工程(1)で得られた合成直後のフルオロポリマー水性分散体350gに0.2M硫酸水溶液50gをゆっくり加えた。硫酸水溶液を加えたときの液のpHは1.3であった。このときフルオロポリマー水性分散体は、凝析を起こしてはいなかった。
pH調整後のフルオロポリマー水性分散体を50℃の雰囲気にて静置し、6時間後、24時間後、120時間後に、それぞれフルオロポリマー水性分散体を50gサンプリングし、そこに硝酸10gを加えてポリマーを凝析させ、凝析したポリマーを水洗した後、100℃で24時間乾燥させてポリマーサンプルを得た。
得られた各ポリマーサンプルについてIR測定を行い、単位ポリマー質量中のSO 質量を算出した。結果を表1に示す。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
比較参考例3
上記参考例8のフルオロポリマー水性分散体の合成直後に、酸の添加等のpH調整を加えずに、フルオロポリマー水性分散体350gを50℃の雰囲気にて静置し、6時間後、24時間後、120時間後に、それぞれフルオロポリマー水性分散体を50gサンプリングし、そこに硝酸10gを加えてポリマーを凝析させ、凝析したポリマーを水洗した後、100℃で24時間乾燥させてポリマーサンプルを得た。
得られた各ポリマーサンプルについてIR測定を行い、単位ポリマー質量中のSO 質量を算出した。結果を表1に示す。
比較参考例4
参考例8で得られた合成直後のフルオロポリマー水性分散体350gに0.2M炭酸アンモニウム水溶液50gをゆっくり加えた。炭酸アンモニウム水溶液を加えた直後の液のpHは7.6であった。
pH調整後のフルオロポリマー水性分散体を50℃の雰囲気にて静置し、6時間後、24時間後、120時間後に、それぞれフルオロポリマー水性分散体を50gサンプリングし、そこに硝酸20gを加えてポリマーを凝析させ、凝析したポリマーを水洗した後、100℃で24時間乾燥させてポリマーサンプルを得た。
得られた各ポリマーサンプルについてIR測定を行い、単位ポリマー質量中のSO 質量を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0005332617
参考例9
工程(1)
容積6000mlのステンレス製攪拌式オートクレーブに、C15COONHの20質量%水溶液300gと純水2700g、NaHPO・12HO 24.0g及びNaHPO・2HO 13.6gを仕込んだ。続いてオートクレーブを密閉し、充分に真空、窒素置換を行った。オートクレーブを充分に真空にした後、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスをゲージ圧力で0.2MPaまで導入し、50℃まで昇温した。その後、CF=CFOCFCFSOFを180g注入し、TFEガスを導入してゲージ圧力で0.7MPaまで昇圧した。引き続き1.5gの過硫酸アンモニウム〔APS〕を30gの純水に溶解した水溶液を注入して重合を開始した。
重合により消費されたTFEを補給するため、連続的にTFEを供給してオートクレーブの圧力を0.7MPaに保つようにした。更に供給したTFEに対して、質量比で0.65倍に相当する量のCF=CFOCFCFSOFを連続的に供給して重合を継続した。
供給したTFEが780gになった時点で、オートクレーブの圧力を開放し、重合を停止した。その後室温まで冷却し、SOFを含むフルオロポリマーを約28質量%含有する、やや白濁したフルオロポリマー水性分散体4460gを得た。
pH計(ハナインスツルメンス製、型式WATERCHECK)により計測した重合直後のフルオロポリマー水性分散体の液のpHは6.8であった。
工程(2)
工程(1)で得られた合成直後のフルオロポリマー水性分散体350gに0.2M硫酸水溶液63gをゆっくり加えた。硫酸水溶液を加えたときの液のpHは1.3であった。このときフルオロポリマー水性分散体は、凝析を起こしてはいなかった。
pH調整後のフルオロポリマー水性分散体を50℃の雰囲気にて静置し、6時間後、24時間後、120時間後に、それぞれフルオロポリマー水性分散体を50gサンプリングし、そこに硝酸10gを加えてポリマーを凝析させ、凝析したポリマーを水洗した後、100℃で24時間乾燥させてポリマーサンプルを得た。
得られた各ポリマーサンプルについてIR測定を行い、単位ポリマー質量中のSO 質量を算出した。結果を表2に示す。
また、300℃における溶融NMR測定の結果、上記フルオロポリマー中のCF=CFOCFCFSOF単位の含有率は19モル%(40質量%)であった。
Figure 0005332617
本発明の回収方法は、燃料電池、化学センサー等の電解質膜材料の製造において好適に使用することができる。
フルオロポリマー水性分散体の入った攪拌槽とトラップとをつなぎ、フルオロモノマーを回収する方式の模式図である。
符号の説明
1 攪拌槽
2 トラップ
3 ダイアフラムポンプ
4 バルブ
5 メタノール/ドライアイス
6 排気管

Claims (5)

  1. スルホン酸基に変換しうるスルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーを乳化重合して得られるフルオロポリマー水性分散体から未反応の前記フルオロモノマーを回収する方法であって、
    前記フルオロポリマー水性分散体から未反応の前記フルオロモノマーを気化させて回収するものであり、前記フルオロポリマー水性分散体は、液のpHが3.0未満であることを特徴とするフルオロモノマーの回収方法。
  2. スルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーは、下記一般式(I)
    CF=CF−(A)−(CFCFY−O)−(CFY−SOX (I)
    (式中、Yは、F、Cl又はパーフルオロアルキル基を表す。nは、0〜1の整数を表し、Yは、F、Cl又はパーフルオロアルキル基を表す。mは、nが0のとき0〜5の整数を表し、nが1のとき1〜5の整数を表す。mが2〜5の整数であるとき、m個のYは、同一であってもよいし異なっていてもよい。Xは、F又はClを表す。Aは、−O−又は−CFO−を表し、lは0〜1の整数を表す。)
    で表されるフルオロビニル化合物である請求項記載の回収方法。
  3. フルオロポリマー水性分散体は、スルホン酸前駆体官能基を有するフルオロモノマーと、エチレン性フルオロモノマーとを乳化重合して得られるものである請求項1又は2記載の回収方法。
  4. フルオロポリマー水性分散体は、pHが0.5以上、3.0未満である水性媒体中でフルオロモノマーを乳化重合して得られるものである請求項1、2又は3記載の回収方法。
  5. フルオロポリマー水性分散体は、フルオロモノマーを乳化重合させ、フルオロポリマー水性分散体を得た後、前記フルオロポリマー水性分散体の液のpHを低下させて酸性に調整したものである請求項1、2又は3記載の回収方法。
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