JP5332296B2 - 楽音合成装置およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、リードの振動に応じて発音する管楽器の楽音を合成する技術に関する。
楽器の発音の原理を模擬することで楽音を合成する物理モデル方式の楽音合成装置(物理モデル音源)が従来から提案されている。例えば、全体が自由に移動する剛体の空気弁としてリードをモデル化したうえでクラリネットの挙動を模擬する技術(非特許文献1)や、ひとつの端部が固定された長板状の振動体(片持ち梁)でリードをモデル化したうえでクラリネットの挙動を模擬する技術(非特許文献2)が提案されている。
R.T.Schumacher, "Ab Initio Calculations of the Oscillations of a Clarinet", ACUSTICA, 1981, Volume 48 No.2, p.75- p.85 S.D.Sommerfeldt, W.J.Strong, "Simulation of a player-clarinet system", Acoustical Society of America, 1988, 83(5), p.1908- p.1918
ところで、実際の管楽器のリードは演奏者の唇に連成して複雑に挙動するのに対し、非特許文献1や非特許文献2の技術は、リードに対する単純な外力の作用を模擬しているに過ぎない。したがって、リードの挙動は忠実に再現されず、実際の管楽器の楽音に充分に近似する楽音を合成することは困難である。以上の事情を背景として、本発明は、演奏者の唇の作用を反映した忠実な楽音を合成することを目的としている。
以上の課題を解決するために、本発明に係る楽音合成装置は、吹奏時に唇に接触するリードの振動に応じて発音する管楽器の楽音を合成する装置であって、外力が唇に作用した平衡時におけるリードの挙動を表わす第1運動方程式(例えば図4における式A1)と平衡時における唇の挙動を表わす第2運動方程式(例えば図4における式A2)とを解くことで平衡時における唇の変位およびリードの変位を算定する第1演算手段と、第1演算手段による算定の結果を唇の変位およびリードの変位の初期値として唇とリードとが相互に連成的に振動する連成振動を表現する運動方程式(例えば図4における式B)を解くことでリードの変位を算定する第2演算手段と、第2演算手段が算定した変位に基づいて楽音を合成する楽音合成手段(例えば図4の第3演算部313および第4演算部314と図1の管体模擬部33および伝達模擬部35)とを具備する。
以上の構成においては、唇とリードとの連成振動の運動方程式に基づいてリードの変位が算定されるから、唇の挙動を反映しない運動方程式に基づいてリードの変位を算定する構成と比較してリードの挙動が正確に模擬される。したがって、実際の管楽器の楽音を忠実に再現することが可能となる。
本発明の好適な態様においては、唇に作用する外力の強度が変化するたびに、第1演算手段は、変化後の外力の強度に対応した唇の変位を第1運動方程式および第2運動方程式に基づいて算定し、第2演算手段は、第1演算手段が算定した唇の変位を連成振動の運動方程式に代入することでリードの変位を算定する。以上の態様によれば、唇に作用する外力の変化がリードの変位に反映されるから、唇に対する押圧力を変化させる奏法に対応した多彩な楽音を合成することが可能である。
本発明の好適な態様において、第1運動方程式および第2運動方程式は、唇における位置と押圧力の強度とに応じて変化する唇のバネ定数を含む。以上の態様によれば、バネ定数が押圧力の強度と位置に応じて変化するという現実の唇の特性が忠実に模擬されるから、管楽器の楽音を正確に合成することが可能となる。
本発明の好適な態様において、第1運動方程式は、リードの位置に応じて変化する曲げ剛性を含む。以上の態様においては、曲げ剛性(リードの断面二次モーメントとリードのヤング率との積)がリードの位置に応じて変化するという現実のリードの特性が忠実に模擬されるから、断面の形状が変化しない単純な長板状の振動体でリードを模擬する場合と比較して、管楽器の楽音を正確に合成することが可能となる。
本発明の好適な態様において、第2演算手段は、リードの変位を所定の範囲内に制限する。以上の態様においては、連成振動の運動方程式に基づいて算定されたリードの変位が所定の範囲内に制限されるから、現実のリードの変位の範囲を逸脱した位置までリードが変位するといった状況の模擬が防止される。したがって、現実の管楽器の楽音を正確に再現することが可能である。なお、リードの変位を制限する範囲としては、例えば、唇の底面からマウスピースの表面(リードとの対向面)までの範囲が好適である。
本発明の好適な態様において、連成振動の運動方程式は、唇における位置に応じて変化する当該唇の内部抵抗と、リードにおける位置に応じて変化する当該リードの内部抵抗との少なくとも一方を含む。以上の態様においては、唇およびリードの内部抵抗が位置に応じて変化する様子が模擬されるから、唇やリードの内部抵抗が固定値に設定された構成と比較して、実際の管楽器の楽音を忠実に再現することが可能となる。
なお、唇やリードの変形が小さい場合(より具体的には弾性限界内にある場合)、各々に作用する押圧力の強度が内部抵抗に与える影響は無視できる。しかし、唇やリードの変形が大きい場合(例えば弾性限界外にある場合)、唇やリードの内部抵抗は、各々における位置に加えて押圧力の強度によっても変化する。そこで、本発明の好適な態様において、連成振動の運動方程式は、唇における位置および当該唇に作用する押圧力の強度に応じて変化する当該唇の内部抵抗と、リードにおける位置および当該リードに作用する押圧力の強度に応じて変化する当該リードの内部抵抗との少なくとも一方を含む。以上の態様においては、唇およびリードの内部抵抗が位置や押圧力の強度に応じて変化する様子が模擬されるから、唇やリードの内部抵抗が位置のみに依存する数値や固定値に設定された構成と比較して、実際の管楽器の楽音を忠実に再現することが可能となる。
本発明に係る楽音合成装置は、各処理に専用されるDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェア(電子回路)によって実現されるほか、CPU(Central Processing Unit)などの汎用の演算処理装置とプログラムとの協働によっても実現される。本発明に係るプログラムは、吹奏時に唇に接触するリードの振動に応じて発音する管楽器の楽音を合成するためのプログラムであって、外力が唇に作用した平衡時におけるリードの挙動を表わす第1運動方程式と平衡時における唇の挙動を表わす第2運動方程式とを解くことで平衡時における唇の変位およびリードの変位を算定する第1演算処理と、第1演算処理による算定の結果を唇の変位およびリードの変位の初期値として唇とリードとが相互に連成的に振動する連成振動を表現する運動方程式を解くことでリードの変位を算定する第2演算処理と、第2演算処理で算定した変位に基づいて楽音を合成する楽音合成処理とをコンピュータに実行させる。以上のプログラムによっても、本発明に係る楽音合成装置と同様の作用および効果が奏される。なお、本発明のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で利用者に提供されてコンピュータにインストールされるほか、通信網を介した配信の形態で提供されてコンピュータにインストールされる。
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る楽音合成装置の構成を示すブロック図である。本形態の楽音合成装置100は、サックスやクラリネットといったシングルリードの管楽器の発音の原理を演算によって模擬(シミュレート)することで楽音を合成する。図1に示すように、楽音合成装置100は、演算処理装置10と記憶装置42と入力装置44と放音装置46とで構成されるコンピュータシステムで実現される。
演算処理装置(例えばCPU(Central Processing Unit))10は、記憶装置42に格納されたプログラムを実行することで、管楽器の楽音の時間波形(音圧の時間的な変動)を表す楽音データを生成および出力する。記憶装置42は、演算処理装置10が実行するプログラムや演算処理装置10が使用するデータを記憶する。磁気記憶装置や半導体記憶装置など公知の記憶媒体が記憶装置42として任意に採用される。
入力装置44は、利用者が操作する複数の操作子で構成される。利用者は、楽音の合成に使用される様々なパラメータを入力装置44から演算処理装置10に指示することが可能である。キーボードまたはやマウスなどの入力機器や、管楽器の演奏に関する情報を入力するための楽器型の入力機器(例えばMIDI(Musical Instrument Digital Interface)コントローラ)が入力装置44として採用される。
放音装置46は、演算処理装置10が出力する楽音データに応じた音波を放射する。なお、実際には楽音データをアナログの楽音信号に変換するD/A変換器や楽音信号を増幅して放音装置46に出力する増幅器が設置されるが、図1においてはD/A変換器や増幅器の図示が省略されている。
図1の演算処理装置10は、設定部12および合成部14として機能する。なお、演算処理装置10の各機能が複数の集積回路で分散的に実現される構成も採用される。また、演算処理装置10の機能の一部は、楽音の合成に専用される電子回路(DSP)によって実現されてもよい。
設定部12は、楽音の合成に必要なパラメータを設定する。合成部14は、設定部12が設定したパラメータに基づいて楽音データを生成する。合成部14はリード模擬部31と管体模擬部33と伝達模擬部35とを含む。リード模擬部31は、演奏者の唇とリードとの連成振動を模擬する。管体模擬部33は、管楽器のうちマウスピースからベルまでの管状の部分(すなわちリード以外の部分である。以下「管体部」という)の作用を模擬する。伝達模擬部35は、ベルや各トーンホールからの放射音に対する伝達特性の付与を模擬する。
図2は、リード模擬部31が模擬する管楽器のリードの近傍を示す概念図である。リードMRは、ひとつの端部がマウスピースMPに固定された長板状の振動体である。図2に示すように、リードMRの先端部における幅方向の中心を原点としてX軸とY軸とZ軸とを想定する。Z軸はリードMRの幅方向に延在する。X軸は、外力が作用しない状態におけるリードMRの上面(マウスピースMPとの対向面)内においてZ軸に直交する。また、Y軸は、X軸およびZ軸に直交する(リードMRに対して上下の方向に延在する)。
図3は、管楽器の吹奏時に演奏者の唇MLがリードMRに接触する様子をZ方向からみた模式図である。図3に示すように、リード模擬部31は、管楽器の吹奏時に演奏者が唇MLを歯MTでリードMRに押付けた状態を模擬する。唇MLは、リードMRのうちX方向における位置xlip1(リードMRの先端側)から位置xlip2(リードMRの根元側)までの区間に接触する。また、演奏者の歯MTは、唇MLの下面のうちX方向における位置xteeth1(リードMRの先端側)から位置xteeth2(リードMRの根元側)までの区間に接触して押圧力flip(x)を均等に作用させる。
図4は、リード模擬部31の機能を示すブロック図である。図4の左側には、設定部12が設定して記憶装置42に格納したパラメータが羅列されている。各パラメータの意味を以下に説明する。
まず、リードMRに関連するパラメータ(Stiff(x),breed(x),A(x),μreed(x),ρreed)を説明する。Stiff(x)は、X方向の位置xにおけるリードMRの曲げ剛性[N・m2]である。すなわち、曲げ剛性Stiff(x)は、リードMRのヤング率Ereed[Pa]と位置xにおけるリードMRの断面二次モーメントI(x)[m4]との乗算値に相当する。図2に示すように、breed(x)は、位置xにおけるリードMRの横幅(Z方向の寸法)[m]であり、A(x)は、位置xにおけるリードMRの断面積(位置xを通過するYZ平面内の面積)[m2]である。本形態ではリードMRの断面の形状がX方向の位置xに応じて変化する。したがって、曲げ剛性Stiff(x)の計算に使用される断面二次モーメントI(x)とリードMRの横幅breed(x)と断面積A(x)とは位置xの関数となる。また、図2のμreed(x)は、リードMRの内部抵抗の分布[(kg/sec)/m]であり、ρreedはリードMRの密度[kg/m3]である。
次に、唇MLに関連するパラメータ(klip(x),dlip(x),μlip(x),mlip(x))を説明する。klip(x)は、唇MLのX方向におけるバネ定数の分布[N/m2](例えばX方向の単位長あたりのバネ定数)である。dlip(x)は、外力が作用しない場合の位置xにおける唇MLのY方向の寸法(厚さ)[m]である。μlip(x)は、位置xにおける唇MLの内部抵抗の分布[(kg/sec)/m]である。mlip(x)は、唇MLのX方向における質量の分布[kg/m](例えばX方向の単位長あたりの質量)である。バネ定数の分布klip(x)と厚さdlip(x)と内部抵抗の分布μlip(x)と質量の分布mlip(x)とは位置xに応じて変化する。
図4のPは演奏者の口腔内の圧力[Pa]であり、ρairは常温(例えば25℃)における空気の密度[kg/m3]である。H(x)は、図2に示すように、マウスピースMPのうちリードMRに対向する表面のY方向における位置(以下「フェーシング位置」という)である。リードMRのY方向の変位y(x,t)がフェーシング位置H(x)に到達するとリードMRの上面はマウスピースMPに接触するから、フェーシング位置H(x)はリードMRの変位の限界値(下限値)に相当する。また、Zcは、マウスピースMPのうち管体とみなせる部分の始点(リードMRの根元)における空気の流動に対する特性インピーダンスである。
図4に示すように、リード模擬部31は、第1演算部311と第2演算部312と第3演算部313と第4演算部314とで構成される。第1演算部311は、唇MLのうちX方向における位置xfに押圧力flip(xf)を静的に作用させて平衡した場合のリードMRの変位y0(xf)と唇MLの底面の変位yb(xf)とを算定する。第2演算部312は、第1演算部311が算定した変位y0(xf)および変位yb(xf)をリードMRおよび唇MLの底面の変位の初期値(t=0における数値)として唇MLとリードMRとの連成振動の運動方程式を解くことで、X方向におけるリードMRの各位置xでの時刻tにおけるY方向の変位y(x,t)を算定する。第3演算部313および第4演算部314は、リードMRから管体部(マウスピースMP側)に出力する音波の圧力POUTをリードMRの変位y(x,t)に基づいて算定する。リード模擬部31による処理の詳細を以下に説明する。
図3に示すように、演奏者の唇MLの位置xf(xteeth1≦xf≦xteeth2)に歯MTから押圧力flip(xf)を作用させて平衡した状態を想定する。押圧力flip(xf)の作用でリードMRがY方向に距離d1だけ変形するとともに唇MLがY方向に距離d2だけ変形したとすると、リードMRから唇MLに作用する弾性力R1と唇MLからリードMRに作用する弾性力R2とは、リードMRの曲げ剛性Stiff(xf)と唇MLのバネ定数klip(xf)とを含む以下の各式で表現される。なお、実際には唇MLの上面はリードMRの下面に接触するが、図3においては唇MLの上面がリードMRの上面に位置するように単純化されている。
Figure 0005332296

リードMRと唇MLとの接触点(位置xf)における力の釣合いから、
R1−R2=0
が成立し、唇MLと歯MTとの接触点(位置xf)における力の釣合いから、
flip(xf)=R2
が成立する。また、リードMRの変形と変位との関係から、
d1=y0(xf)
が成立し、唇MLの変形と変位との関係から、
d2={yb(xf)−dlip(xf)}−y0(xf)
が成立する。
以上の各式から以下の運動方程式A1および運動方程式A2が導出される。
Figure 0005332296

図4の第1演算部311は、設定部12が設定した曲げ剛性Stiff(xf)と押圧力flip(xf)とバネ定数klip(xf)と厚さdlip(xf)とを代入して運動方程式A1と運動方程式A2との連立方程式を解くことで唇MLの底面の変位yb(xf)とリードMRの変位y0(xf)とを算定する。さらに詳述すると、第1演算部311は、差分方程式化やGaussの消去法などを利用して運動方程式A1からリードMRの変位y0(xf)を算定し、当該変位y0(xf)を運動方程式A2に代入することで唇MLの変位yb(xf)を算定する。なお、運動方程式A1の解法については後述する。
演奏者が管楽器を吹奏することで唇MLとリードMRとが連成的に振動したときの動特性は以下の運動方程式Bで表現される。
Figure 0005332296

第2演算部312は、第1演算部311が算定した変位y0(xf)を運動方程式BにおけるリードMRの変位y(x,t)の初期値に設定するとともに第1演算部311が算定した変位yb(xf)を運動方程式Bにおける唇MLの変位yb(x)に代入して運動方程式Bを解くことで、リードMRの変位y(x,t)を算定する。運動方程式Bの右辺はX方向におけるリードMRの位置xに作用する外部力fex(x)に相当する。第2演算部312は、第1に、設定部12が設定した各パラメータ(breed(x),P,klip(x),dlip(x))と第4演算部314が算定した圧力p(t)とを運動方程式Bの右辺に代入するとともに、第1演算部311が算定した変位y0(xf)と変位yb(xf)とを運動方程式Bの右辺における変位y(x,t)および変位yb(x)の初期値として代入することで外部力fex(x)を算定する。圧力p(t)は、リードMRとマウスピースMPとの間隙の空間のうちリードMRの先端の近傍(以下「リード直上部」という)における圧力を意味する。なお、第4演算部314による圧力p(t)の算定については後述する。
第2に、第2演算部312は、設定部12が設定した各パラメータ(mlip(x),A(x),μlip(x),μreed(x),Stiff(x),ρreed)を運動方程式Bの左辺に代入するとともに先に演算した外部力fex(x)を運動方程式Bの右辺に設定することでリードMRの変位y(x,t)を算定する。運動方程式Bを解く具体的な方法を以下に例示する。
運動方程式Bの左辺における第2項は以下のように変形される。
Figure 0005332296

したがって、運動方程式Bは以下の式B1に変形される。
Figure 0005332296

次に、時間tを整数iと所定値Δtとの乗算値として離散化(t=i・Δt)したうえで、時間微分を以下の差分に置換する。
Figure 0005332296


また、図5に示すように、相互に等しい間隔Δxをあけて分布するようにX方向における位置xを離散化する。すなわち、位置xを整数nと所定値Δxとの乗算値として離散化(x=n・Δx)したうえで、位置微分を以下の差分に置換する。
Figure 0005332296


なお、以上におけるy(n,i)は、y(n・Δx,i・Δt)を略記した記号である。
したがって、式B1は以下の式B2のように差分方程式化される。
Figure 0005332296


ただし、式B2においては各項が以下のように置換されている。
Figure 0005332296


また、式B2の各文字に付加された記号(n,i)は(n・Δx,i・Δt)の略記である。
次に、式B2における左辺の第2項目から第4項目までに1/2を乗算した方程式と、式B2のiを(i+1)に置換したうえで左辺の第2項目から第4項目までに1/2を乗算した方程式とを加算することで、式B2を近似的に表現する式B3が導出される。
Figure 0005332296

式B3の各項を変数yの種類毎に整理して変形すると以下の式B4が導出される。
Figure 0005332296


ただし、式B4においては各項が以下のように置換されている。
Figure 0005332296

図5に示すように、リードMRが位置NにてマウスピースMPに固定されるとすれば、y(N,i)やy(N+1,i)は任意の時点iにてゼロとなる。また、図5に示すように、外力が作用しないリードMRの先端(n=0)においては加速度(∂2y(0,i)/∂x2)およびせん断力(∂3y(0,i)/∂x3)がゼロとなるから、以下の式B4_1および式B4_2が成立する。
Figure 0005332296


さらに、式B4_1と式B4_2を加算することで以下の式B4_3が導出され、式B4_3の3倍から式B4_2を減算することで以下の式B4_4が導出される。
0・y(0,i)+y(1,i)−2y(2,i)+y(3,i)=0 ……B4_3
y(0,i)+0・y(1,i)−3y(2,i)+2y(3,i)=0 ……B4_4
また、式B4のnに2を代入すると以下の式B4_5が導出される。
Figure 0005332296


n=3〜N−1を同様に式B4に代入して導出される式と前述の式B4_3および式B4_4とから以下の式B5が導出される。
Figure 0005332296


式B5の解法としてはGaussの消去法が好適である。なお、式B4_1および式B4_2から式B4_3および式B4_4を導出することで式B5の左上部の2行2列は対角行列となるから、Gaussの消去法における演算量が削減されるという利点がある。
第2演算部312は、第1演算部311による算定の結果(y0(xf),yb(xf))を変位y(x,y)および変位yb(x)の初期値として式B5を解くことでリードMRの変位y(x,t)を算定する。さらに詳述すると、第1に、第2演算部312は、式B5の右辺のうち現在の変位に相当する変数y(0,i)〜y(N-1,i)および式B5の右辺のうち過去の変位に相当する変数y(2,i-1)〜y(N-1,i-1)の双方に第1演算部311が算定したy0(0)〜y0(N-1)およびy0(2)〜y0(N-1)を代入するとともに式B5のyb(2)〜yb(N-1)に第1演算部311が算定したyb(xf)を代入して式B5を解くことで、式B5の左辺における未来の変位に相当する変数y(0,i+1)〜y(N-1,i+1)を算定する。第2に、第2演算部312は、時間をΔtだけ進めるために、現在の変位に相当する変数y(2,i)〜y(N-1,i)を式B5の右辺のうち過去の変位に相当する変数y(2,i-1)〜y(N-1,i-1)に代入するとともに、直前に算定した未来の変位に相当する変数y(0,i+1)〜y(N-1,i+1)を式B5の右辺うち現在の変位に相当する変数y(0,i)〜y(N-1,i)に代入して式B5を解くことで、式B5の左辺のうち未来の変位に相当する変数y(0,i+1)〜y(N-1,i+1)を算定する。以上のように時点iでの変位y(0,i)〜y(N-1,i)と時点(i-1)での変位y(2,i-1)〜y(N-1,i-1)を代入したうえで式B5を解いて時点(i+1)での変位y(0,i+1)〜y(N-1,i+1)を算定するという演算を反復することで、第2演算部312は、リードMRの各位置xにおける変位y(x,t)の経時的な変化を算定する。
また、設定部12の設定する押圧力flip(x)が変化するたびに、第1演算部311は、変化後の押圧力flip(x)を運動方程式A1および運動方程式A2における押圧力flip(xf)に代入することで新たなy0(xf)およびyb(xf)を算定する。第2演算部312は、第1演算部311が変位yb(xf)を算定するたびに、式B5のyb(2)〜yb(N-1)に代入する数値を新たな変位yb(xf)に更新する。以上の構成によれば、押圧力flip(x)を任意に変化させる演奏法を忠実に再現した楽音を合成することが可能である。一方、第2演算部312は、押圧力flip(x)の変化時に第1演算部311が新たな変位y0(xf)を算定しても、式B5における変位y(0,i)〜y(N-1,i)については、第1演算部311が算定した変位y0(xf)を反映させない。以上の構成によれば、変位y(x,t)の不連続な変化が回避されるから、聴感上において自然な楽音を生成することが可能である。
図4に示すように、第2演算部312は、リードMRの変位y(x、t)を所定の範囲内に制限する範囲制限部32を含む。範囲制限部32は、式B5から算定されたリードMRの変位y(x,t)を、第1演算部311が算定した唇MLの変位yb(xf)(唇MLのうち歯MTが接触する底面の位置)から、設定部12が設定したフェーシング位置H(x)までの範囲に制限する。すなわち、範囲制限部32は、変位y(x,t)が変位yb(xf)を超える(Y軸を下向きに正として変位yb(xf)を上回る)場合には変位y(x,t)を変位yb(xf)に変更するとともに、変位y(x,t)がフェーシング位置H(x)を超える(下回る)場合には変位y(x,t)をフェーシング位置H(x)に変更する。以上の構成によれば、リードMRが唇MLの底面よりも下やマウスピースMPよりも上に位置するといった不条理な状況が模擬されることは回避される。なお、以上においては変位y(x,t)の限界値(上限値)を唇MLの底面の変位yb(x)としたが、唇MLには実際には厚さがあるから、唇MLの厚さに相当する所定値(唇MLの厚さの最小値に相当する固定値や、押圧力flip(x)に応じて変化する唇MLの厚さの最小値に相当する可変値)だけ変位yb(x)からフェーシング位置H(x)に近い位置を変位y(x,t)の限界値(上限値)としてもよい。
なお、第1演算部311による変位y0(x)の算定(運動方程式A1の解法)には、以下に概説するように、第2演算部312による変位y(x,t)と同様の方法が利用される。まず、式A1は、運動方程式B1から式B2の変形と同様の方法で以下の式A1_1のように差分方程式化される。
Figure 0005332296


式A1_1の各項を変数yの種類毎に整理して変形すると以下の式A1_2が導出される。
Figure 0005332296


ただし、式A1_2においては各項が以下のように置換されている。
Figure 0005332296

式B4から式B5の変形と同様の方法で、式A1_2は以下の式A1_3に変形される。
Figure 0005332296


第1演算部311は、Gaussの消去法などの解法を利用して式A1_3を解くことで変位y0(x)(式A1_3におけるy(0)〜y(N-1))を算定する。以上が運動方程式A1の解法の具体例である。
図4の第3演算部313は、設定部12が設定した各パラメータ(H(x),ρair,breed(x),Zc)と第2演算部312が算定した変位y(x,t)とに基づいてリード直上部における体積流速f(t)を算定する。本形態の第3演算部313は、リードMRの上面と下面との圧力差に起因して発生する体積流速U(t)と、リードMRの各部が変位(y(x,t))することで発生する体積流速u(t)との差分値をリード直上部の体積流速f(t)として算定する(f(t)=U(t)−u(t))。
体積流速u(t)は以下の式C1で表現される。なお、式C1におけるleffは、リードMRの先端から支点までの距離(リードMRの有効長)である。
Figure 0005332296


第3演算部313は、設定部12が設定したリードMRの横幅breed(x)と第2演算部312が算定した変位y(x,t)の時間微分(すなわちリードMRの速度)とを式C1に代入してSimpson法などの数値積分を実行することで体積流速u(t)を算定する。
また、体積流速U(t)は以下の手順で算定される。まず、第3演算部313は、リードMRの先端におけるマウスピースMPとリードMRとの間隔ξ(t)[m]を算定する。間隔ξ(t)は、第2演算部312が算定したリードMRの変位y(x,t)のうちリードMRの先端(x=0)における変位y(0,t)とリードMRの先端(x=0)におけるフェーシング位置H(0)との差分値(ξ(t)=y(0,t)−H(0))として算定される。
次いで、第3演算部313は、リードMRの先端におけるマウスピースMPとリードMRとの間隙を通過する空気の有効質量M(t)[kg]を算定する。有効質量M(t)は以下の式C2で表現される。
Figure 0005332296


式C2のR(t)は、リードMRの先端における横幅breed(0)と間隔ξ(t)との相対比(R(t)=breed(0)/ξ(t))である。第3演算部313は、設定部12が設定したリードMRの横幅breed(0)および空気の密度ρairと相対比R(t)とを式C2に代入することで有効質量M(t)を算定する。
有効質量M(t)と体積流速U(t)とについては以下の式C3が成立する(例えば非特許文献1参照)。第3演算部313は、式C3を解くことで体積流速U(t)を算定する。
Figure 0005332296


式C3のAは、所定の係数(例えばA=0.0797)である。式C3を利用した体積流速U(t)の算定には例えば以下の方法が採用される。
式C3は、後述する式D1および式D2を利用して以下の式C4に変形される。
Figure 0005332296

式C4における微分を後退差分で離散化すると以下の式C5が導出される。第3演算部313は、非線形方程式の数値解法(例えばNewton Raphson法)を利用することで式C5から体積流速U(t)を算定する。
Figure 0005332296


第3演算部313は、図4に示すように、以上の手順で算定した体積流速U(t)と体積流速u(t)との差分値を体積流速f(t)として算定する。
図4の第4演算部314は、出射波圧力POUT(t)とリード直上部の音圧p(t)とを算定する。出射波圧力POUT(t)は、リードMRから管体部内に進行する音波(以下「出射波」という)の圧力である。管体部内を進行した音波の一部(以下「反射波」という)は管楽器の開放端(ベル)にて反射することで逆方向に進行してマウスピースMP内に到達する。したがって、出射波圧力POUT(t)は、体積流速f(t)によって発生する圧力と管体内からリードMR側に進行する反射波の圧力(以下「反射波圧力」という)PIN(t)との加算に相当する。なお、反射波圧力PIN(t)は管体模擬部33が算定する。
体積流速f(t)による圧力は体積流速f(t)と特性インピーダンスZcとの乗算値であるから、出射波圧力POUT(t)は以下の式D1で表現される。
POUT(t)=Zc・f(t)+PIN(t) ……D1
第4演算部314は、設定部12が設定した特性インピーダンスZcと第3演算部313が算定した体積流速f(t)と管体模擬部33が算定した反射波圧力PIN(t)とを式D1に代入することで出射波圧力POUT(t)を算定する。
また、リード直上部には出射波圧力POUT(t)と反射波圧力PIN(t)とが作用するから、リード直上部の圧力p(t)は以下の式D2で表現される。
p(t)=POUT(t)+PIN(t) ……D2
第4演算部314は、式D1に基づいて算定した反射波圧力POUT(t)と管体模擬部33が算定した反射波圧力PIN(t)とを式D2に代入することで圧力p(t)を算定する。第4演算部314が算定した圧力p(t)は、第2演算部312による外部力fex(x)の算定(式B)や第3演算部313による体積流速U(t)の演算(式C3)にフィードバックされる。
次に、管体模擬部33の機能について説明する。図6に示すように、管楽器の実際の管体部(マウスピースからベルまでの部分)は、k個の管状の単位部U(U[1]〜U[k])を直列に連結した構造体で近似される(kは自然数)。各単位部Uの直径および全長(すなわち管体部の形状)は可変に設定される。管体模擬部33は、図6の構造体を模擬する物理モデル(以下「管体モデル」という)を利用して、管体部の内側における音波の挙動を実現する。
図7は、管体模擬部33が使用する管体モデルの構成を示すブロック図である。図7に示すように、管体モデルは、経路r1上に単位部U毎に配置された遅延素子DA(DA[1]〜DA[k])と、経路r2上に単位部U毎に配置された遅延素子DB(DB[1]〜DB[k])と、相隣接する遅延素子DA間および相隣接する遅延素子DB間に配置された接続部J(J[1]〜J[k-1])と、(k-1)個の接続部J[1]〜J[k-1]のうち管楽器のトーンホールに対応した位置の接続部Jに連結されたホール部TH(TH[1]〜TH[k-1])と、管楽器のベルに対応するベル部BLとを含んで構成される。経路r1は、管体部の内側でマウスピースMPからベル側に進行する出射波の挙動(出射波圧力POUT(k,t))を模擬し、経路r2は、管体部の内側でベルからマウスピースMP側に進行する反射波の挙動(反射波圧力PIN(k,t))を模擬する。
第i段目(i=1〜k)の遅延素子DA[i]は、前段から供給される出射波圧力POUT(i,t)を遅延量dA[i]だけ遅延させる素子(例えば遅延量dA[i]に応じて段数が変化するシフトレジスタ)である。リード模擬部31(第4演算部314)が算定した出射波圧力POUT(t)は初期値POUT(1,t)として第1段目の遅延素子DA[1]に供給され、各段の遅延素子DA[1]〜DA[k]にて順次に遅延が付与されたうえでベル部BLに到達する。すなわち、遅延素子DA[i]は第i番目の単位部U[i]における出射波圧力POUT(i,t)の伝播遅延を模擬する。
ベル部BLは、管楽器のベルからの音波の放射とベルの先端における音波の反射とを模擬する。図8に示すように、ベル部BLは、フィルタ部62と乗算部64とを含む。経路r1の第k段目(最終段)の遅延素子DA[k]から出力された出射波圧力POUT(k,t)がベル部BLに入力される。フィルタ部62は、ローパスフィルタ部621と減算部622とで構成される。ローパスフィルタ部621は、遅延素子DA[k]の出力に相当する出射波圧力POUT(k,t)の時間波形において遮断周波数fCBを上回る成分を抑制する。ローパスフィルタ621内の乗算器による乗算値CBは、CB=2π・fCB・Δtを満たす。減算部622は、遅延素子DA[k]が出力する出射波圧力POUT(k,t)からローパスフィルタ部621の出力を減算することで放射音圧PB(t)を算定する。すなわち、減算部622は、出射波圧力POUT(k,t)のうち遮断周波数fCBを下回る成分を抑制するハイパスフィルタとして機能する。放射音圧PB(t)は、ベルから放射される音波の圧力に相当する。
乗算部64は、管楽器のベルの内外の境界における音波の反射を模擬する。すなわち、乗算部64は、ローパスフィルタ部621からの出力に係数rBを乗算することで反射波圧力PIN(k,t)を算定して経路r2(図7の遅延素子DB[k])に出力する。反射時に音波の位相が逆転するとともに損失が発生するから、係数rBは、例えば絶対値が1よりも小さい負数に設定される。
図7の遅延素子DB[i]は、遅延素子DA[i]と同様に、前段(ベル部BL側)から入力される反射波圧力PIN(i,t)を遅延量dB[i]だけ遅延させる。すなわち、遅延素子DB[i]は、単位部U[i]における反射波圧力PIN(i,t)の伝播遅延を模擬する。ベル部BLが算定した反射波圧力PIN(k,t)は、遅延素子DB[k]〜DB[1]にて順次に遅延が付与され、第1段目の遅延素子DB[1]から出力された反射波圧力PIN(1,t)が反射波圧力PIN(t)としてリード模擬部31(第4演算部314)の演算に利用される。
接続部(ジャンクション)Jは、管体部の内径の変化に起因した出射波の拡散やエネルギの損失を模擬する。接続部Jには、図9の部分(A)の2ポート型と図9の部分(B)の3ポート型とが利用される。2ポート型の接続部J[i]は、経路r1から入力される出射波圧力POUT(i,t)に係数αiを乗算する乗算部71と、経路r2から入力される反射波圧力PIN(i+1,t)に係数βiを乗算する乗算部72と、乗算部71の出力(αi・POUT(i,t))と乗算部72の出力(βi・PIN(i+1,t))とを加算する加算部73と、加算部73からの出力と出射波圧力POUT(i,t)との差分を新たな反射波出力PIN(i,t)として経路r2に出力する減算部74と、加算部73からの出力と反射波圧力PIN(i+1,t)との差分を新たな出射波圧力POUT(i+1,t)として経路r1に出力する減算部75とで構成される。以上の2ポート型の接続部J[i]はトーンホール部THが連結されない部分(例えば図7における接続部J[1]や接続部J[2])に適用される。
一方、図9の部分(B)における3ポート型の接続部J[i]は、トーンホール部THが連結される部分(例えば図7における接続部J[3]や接続部J[4]に採用される。3ポート型の接続部J[i]は、2ポート型の接続部J[i]の要素に加えて、加算部73の出力と第i段目のトーンホール部TH[i]が出力する音圧Ri(t)との差分を音圧Qi(t)として当該トーンホール部TH[i]に出力する減算部76と、音圧Ri(t)に係数γiを乗算して加算部73に出力する乗算部77とを含む。
トーンホール部TH[i]は、第i番目のトーンホールからの音波の放射と当該トーンホールにおける音波の反射とを模擬する。図10に示すように、トーンホール部TH[i]は、図8のベル部BLと同様に、遅延素子DE1と遅延素子DE2とフィルタ部66と乗算部68とで構成される。遅延素子DE1は、3ポート型の接続部J[i]から供給される音圧Qi(t)を遅延量dE1だけ遅延させる。フィルタ部66は、遅延後の音圧Qi(t)のうち遮断周波数fCTHを上回る成分を抑制するローパスフィルタ部661と、音圧Qi(t)からローパスフィルタ部661の出力を減算することで放射音圧PHi(t)を算定する減算部662(ハイパスフィルタ)とで構成される。ローパスフィルタ661内の乗算器による乗算値CTHは、CTH=2π・fCTH・Δtを満たす。放射音圧PHi(t)は、第i番目のトーンホールから外部に放射される音波の圧力に相当する。一方、第i番目のトーンホールの閉塞時に音波の位相が反転しない様子や、トーンホールの開放時に音波の損失や位相の反転が発生する様子が模擬されるように、乗算部68は、ローパスフィルタ部661からの出力に係数rHi(例えば絶対値が1を下回る正数や負数)を乗算することで音圧Ri(t)を算定する。すなわち、乗算部68は、トーンホールの内外の境界における音波の反射を模擬する。音圧Ri(t)は、遅延素子DE2にて遅延量dE2だけ遅延されたうえで3ポート側の接続部J[i](乗算部77)に出力される。以上が管体模擬部33の機能である。
図1の伝達模擬部35は、管楽器のベルや各トーンホールからの放射音に対する伝達特性の付与を模擬する。図11に示すように、伝達模擬部35は、ベルに対応する乗算部351と、単位部U[1]〜U[k]に対応するk個の乗算部353と、乗算部351の出力とk個の乗算部353の出力とを加算することで受聴音圧Pmix(t)を算定する加算部355とで構成される。乗算部351は、ベル部BLが算定した放射音圧PB(t)に係数MBを乗算する。第i番目の乗算部353は、トーンホール部TH[i]が算定した放射音圧PHi(t)に係数MHiを乗算する。係数MHiは、第i番目のトーンホールが閉塞されている場合や第i番目のトーンホールが管楽器に存在しない場合にはゼロに設定されるとともに第i番目のトーンホールが開放されている場合にはゼロを上回る所定値(例えば1)に設定される。したがって、加算部355が算定する受聴音圧Pmix(t)は、ベルからの放射音と演奏者が開放しているトーンホールからの放射音とを混合した音波(受聴音)の音圧となる。受聴音圧Pmix(t)が楽音データとして演算処理装置10から放音装置46に出力される。
次に、設定部12について説明する。図1に示すように、設定部12は、特性パラメータ変換部21と形状パラメータ変換部23とで構成される。特性パラメータ変換部21は、リードMRや唇MLの物性に関する様々なパラメータを楽音の合成に必要なパラメータに変換する。また、形状パラメータ変換部23は、管楽器の形状や寸法に関する様々なパラメータを楽音の合成に必要なパラメータに変換する。
図12は、特性パラメータ変換部21の具体的な機能を示すブロック図である。利用者は、入力装置44を適宜に操作することで、図12の左側に羅列された様々なパラメータを演算処理装置10に指示する。利用者が指示するパラメータは、空気に関する物性値(cair,ρair)と、唇MLに関する物性値(ρlip,Elip,tanδlip)と、特定の唇のサンプル(以下「唇サンプル」という)に関する寸法(blip_sample)と、リードMRに関する物性値(ρreed,Ereed,tanδreed)と、特定のリードのサンプル(以下「リードサンプル」という)の寸法(breed_sample,lreed_sample,dreed_sample)と、息圧P0および音高fnとを含む。
cairは空気中における音速[m/sec]であり、ρairは空気の密度[kg/m3]である。息圧P0は、吹奏時の利用者の口内における空気の圧力である。また、音高fnは、演算処理装置10が合成すべき楽音の高低を示す数値である。音高fnを適宜に変化させることで楽曲の演奏音を合成することが可能である。
唇MLに関する物性値は、唇MLの密度ρlip[kg/m3]と唇MLのヤング率Elip[Pa]と唇MLの損失係数tanδlipとを含む。唇サンプルの特性値は、横幅(Z方向における寸法)blip_sample[m]を含む。唇サンプルは、実際の人間の唇と同等の物性を持つ材質で形状のみを簡素な立体(本形態では直方体)に単純化した構造体である。したがって、横幅blip_sampleはX方向の位置に依存しない固定値である。なお、唇MLや唇サンプルに関する各物性値や寸法を利用者が個別に入力する構成のほか、以上の各パラメータ(ρlip,Elip,tanδlip,blip_sample)の数値を複数種の唇MLの各々について事前に記憶装置42に格納しておき、利用者が入力装置44で選択した種類の唇MLに関する各パラメータを特性パラメータ変換部21が記憶装置42から取得する構成も好適に採用される。
リードMRに関する物性値は、リードMRの密度ρreed[kg/m3]とリードMRのヤング率Ereed[Pa]とリードMRの損失係数tanδreedとを含む。リードサンプルの特性値は、横幅(Z方向における寸法)breed_sample[m]と長さ(X方向における寸法)lreed_sample[m]と厚さ(Y方向における寸法)dreed_sample[m]とを含む。リードサンプルは、実際のリードと同等の物性を持つ材質で形状のみを簡素な立体(本形態では直方体)に単純化した構造体である。したがって、リードサンプルに関する特性値(breed_sample,lreed_sample,dreed_sample)は固定値である。なお、リードMRやリードサンプルに関する各物性値や寸法を利用者が個別に入力する構成のほか、以上の各パラメータ(ρreed,Ereed,tanδreed,breed_sample,lreed_sample,dreed_sample)の数値を複数種のリードMRの各々について事前に記憶装置42に格納しておき、利用者が入力装置44で選択した種類のリードMRに関する各パラメータを特性パラメータ変換部21が記憶装置42から取得する構成も好適である。
管楽器のマウスピースMPにおける特性インピーダンスZcは以下の式(a1)で表現される。なお、下式のSinは、マウスピースMPのうち管体とみなせる部分の始点における面積である。
Zc=(ρair・cair)/Sin
=(ρair・cair)/{π・(φin/2)2} ……(a1)
図12に示すように、特性パラメータ変換部21は、音速cairと密度ρairと直径φinとについて式(a1)の演算を実行することで特性インピーダンスZcを算定する。なお、φinは、リードMRの根元(マウスピースMPに固定された部分)におけるマウスピースMPの内径[m]である。例えば管体モデルにおける第1番目の単位部U[1]の内径φ1が式(a1)の直径φinとして適用される。
また、唇MLのバネ定数の分布klip(x)[N/m2]は以下の式(a2)で表現される。
klip(x)={(Elip・blip(x)・llip(x))/dlip(x)}/llip(x)
=Elip・blip(x)/dlip(x) ……(a2)
特性パラメータ変換部21は、図12に示すように、唇MLの物性値や寸法(Elip,blip(x),dlip(x))について式(a2)の演算を実行することで唇MLのバネ定数の分布klip(x)[N/m2]を算定する。式(a2)において、X方向の位置xにおける唇MLの横幅blip(x)および厚さdlip(x)は音高fnから特定される(詳細は後述する)。
唇MLの内部抵抗の分布μlip(x)は以下の式(a3)で表現される。なお、式(a3)におけるmlip_sampleは唇サンプルの質量[kg]であり、llip_sampleは唇サンプルのX方向における長さ[m]であり、klip_sampleは唇サンプルのバネ定数[N/m]である。
Figure 0005332296


特性パラメータ変換部21は、図12に示すように、唇MLの物性値(ρlip,Elip,tanδlip)と唇サンプルの寸法(blip_sample)とについて式(a3)の演算を実行することで唇MLの内部抵抗の分布μlip(x)を算定する。なお、本形態においては、単純な直方体の唇サンプルを対象とした式(a3)の算定値で内部抵抗の分布μlip(x)を代表しているので、内部抵抗の分布μlip(x)は位置xに依存しない固定値となる。
一方、リードMRの内部抵抗の分布μreed(x)は以下の式(a4)で表現される。mreed_sampleはリードサンプルの質量[kg]であり、Ireed_sampleはリードサンプルの断面二次モーメント[m4]であり、kreed_sampleはリードサンプルのバネ定数[N/m]である。
Figure 0005332296


特性パラメータ変換部21は、図12に示すように、リードMRの物性値(ρreed,Ereed,tanδreed)とリードサンプルの寸法(breed_sample,dreed_sample,lreed_sample)とについて式(a4)の演算を実行することでリードMRの内部抵抗の分布μreed(x)を算定する。なお、本形態においては、単純な直方体のリードサンプルを対象とした式(a4)の算定値で内部抵抗の分布μreed(x)を代表しているので、内部抵抗の分布μreed(x)は位置xに依存しない固定値となる。
また、図12に示すように、特性パラメータ変換部21は、アンブシュア(吹奏時の唇MLの状態)に関する複数のパラメータ(blip(x),dlip(x),xteeth1,xteeth2,xlip1,xlip2,Flip(x))と、息圧P0を補正するための係数pmulと、管楽器の運指に関する複数のパラメータ(rH1〜rHk,rB,MH1〜MHk,MB)とをキースケール処理(図12の記号“KSC”)で音高fnに基づいて特定する。キースケール処理は、音高fnがとり得る各数値とパラメータの各数値とが対応づけられたテーブルから、実際に指示された音高fnに対応する数値を各パラメータについて特定する処理である。
アンブシュアに関する複数のパラメータは、唇MLの横幅(Z方向の寸法)blip(x)[m]と、外力が作用しないときの唇MLの厚さ(Y方向の寸法)dlip(x)[m]と、演奏者の歯MTが唇MLを押圧する力Flip(x)[N]と、リードMRに対する演奏者の唇MLや歯MTの位置に関するパラメータ(xlip1,xlip2,xteeth1,xteeth2)とを含む。
特性パラメータ変換部21は、音高fnに対応する横幅blip(x)および厚さdlip(x)をキースケール処理で特定するとともに、横幅blip(x)と厚さdlip(x)との乗算値に唇MLの密度ρlipを乗算することで唇MLの質量の分布mlip(x)[kg/m]を算定する。また、横幅blip(x)および厚さdlip(x)は、前述した唇MLのバネ定数klip(x)の算定にも適用される。
図5に示したようにX方向の各位置xを離散化するために、特性パラメータ変換部21は、唇MLの位置(xlip1,xlip2)を間隔Δxで除算した数値を離散後の位置(nlip1,nlip2)として算定し、歯MTの位置(xteeth1,xteeth2)を間隔Δxで除算した数値を離散後の位置(nteeth1,nteeth2)として算定する。さらに、特性パラメータ変換部21は、位置xteeth1と位置xteeth2との差分値をX方向における歯MTの長さlteethとして算定し、位置xlip1と位置xlip2との差分値をX方向における唇MLの長さllipとして算定する。そして、特性パラメータ変換部21は、押圧力Flip(x)を歯MTの長さlteethで除算することで、歯MTから唇MLの単位長あたりに作用する押圧力flip(x)[N/m]を算定する(flip(x)=Flip(x)/lteeth)。
特性パラメータ変換部21は、音高fnに対応する係数pmulをキースケール処理で特定するとともに息圧P0と係数pmulとを乗算することで演奏者の口内の圧力Pを算定する。係数pmulは、音高fnに応じて変化する係数である。実際の管楽器においては管楽器を発音させるための演奏者の息圧の範囲が楽音の音高に応じて相違する(例えば、高音の演奏時の息圧のほうが低音の演奏時と比較して息圧の範囲が広い)という傾向がある。本形態においては、息圧P0に乗算される係数pmulが音高fnに応じた可変値であるから、息圧P0を音高fnとは無関係に選定した場合であっても、管楽器の以上の特性が忠実に模擬されるという利点がある。
また、特性パラメータ変換部21は、管体模擬部33のトーンホール部TH[1]〜TH[k]やベル部BLにて使用される係数rH1〜rHkおよび係数rBと、伝達模擬部35にて使用される係数MH1〜MHkおよび係数MBとをキースケール処理で特定する。例えば、係数MHiは、音高fnの演奏時に第i番目のトーンホールが閉塞される場合にはゼロに設定されるとともに第i番目のトーンホールが開放される場合にはゼロを上回る所定値(例えば1)に設定される。同様に、係数rHiは、音高fnの演奏時に第i番目のトーンホールが閉塞および開放の何れの状態に操作されるかに応じて別個の数値に設定される。
次に、図13は、形状パラメータ変換部23の具体的な機能を示すブロック図である。図13に示すように、形状パラメータ変換部23にはリードMRや管体部の形状や寸法に関する様々なパラメータが供給される。形状パラメータ変換部23に指示されるパラメータは、管体部を区分した各単位部U[i]の形状のパラメータ(Li,φi,ti,ψi)と、リードMRの厚みyd(x,z)およびZ方向における左端部および右端部の位置(zleft(x),zright(x))と、断面二次モーメントI(x)の基準となる軸線のY方向における位置yc(x)とを含む。
第i番目の単位部U[i]の形状については、図6に示すように、単位部U[i]の長さLiおよび内径φiとトーンホールの深さtiおよび内径ψiとが指定される。形状パラメータ変換部23は、第1に、接続部J[i]に関する係数(2ポート型については係数αiおよびβi、3ポート型については係数αi,βiおよびγi)を以上の各係数から特定する。第2に、形状パラメータ変換部23は、各単位部U[i]の長さLiから遅延素子DA[i]の遅延量dA[i]および遅延素子DB[i]の遅延量dB[i]を特定する。なお、以上のパラメータに加えて、ベル部BLにおける遮断周波数fCBとトーンホール部TH[i]における遮断周波数fCTHや遅延量(dE1,dE2)とを形状パラメータ変換部23が可変に設定してもよい。
第3に、形状パラメータ変換部23は、以下の式(b1)にリードMRの各端部の位置(zleft(x),zleft(x))を代入することでリードMRの横幅breed(x)を算定する。
breed(x)=zright(x)−zleft(x) ……(b1)
第4に、形状パラメータ変換部23は、以下の式(b2)に示すように、リードMRの左端部の位置zleft(x)から右端部の位置zright(x)までの区間にわたってリードMRの厚さyd(x,z)を積分することで位置xにおけるリードMRの断面積A(x)を算定する。
Figure 0005332296


第5に、形状パラメータ変換部23は、位置yc(x)の軸線に関する断面二次モーメントI(x)を以下の式(b3)の演算によって算定する。式(b3)におけるdAは面積分を意味する。
Figure 0005332296

以上に説明したように、本形態においては、リードMRと唇MLとの連成振動を表現する運動方程式Bに基づいてリードMRの変位y(x,t)が算定されるから、全体が自由に移動する剛体の空気弁としてリードMRをモデル化する非特許文献1や長板状の振動体でリードMRをモデル化する非特許文献2の技術と比較してリードMRの挙動が忠実に模擬される。したがって、実際の管楽器の楽音に近い特性の楽音を高い精度で合成することが可能である。しかも、運動方程式Bにおける唇MLの変位yb(x)は、唇MLからリードMRに作用する押圧力flip(x)が変化するたびに、変化後の押圧力flip(x)から運動方程式A1および運動方程式A2に基づいて算定された結果に更新されるから、押圧力flip(x)を変化させる奏法を忠実に再現することができる。一方、押圧力flip(x)が変化した場合であっても運動方程式BにおけるリードMRの変位y(x,t)は維持されるから、変位y(x,t)の不連続な変化に起因した楽音の違和感は有効に抑制される。
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態においては唇MLのバネ定数klip(x)が歯MTからの押圧力flip(x)に依存しない構成を例示したが、本形態においては押圧力flip(x)に依存するバネ定数klip(x,flip(x))を利用する。なお、以下の各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上と同じ符号を付して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
唇MLのバネ定数klip(x,flip(x))と押圧力flip(x)との関係は実測によって特定される。図14は、バネ定数klip(x,flip(x))の実測の方法を説明するための概念図である。図14に示すように、作業台80に載置された試験片82の表面を加圧体84で押圧する。試験片82は、唇MLと同等の弾性特性をもつ弾性体である。演奏者の歯MTによる唇MLの押圧と同様に、加圧体84は、試験片82の表面の一部のみを押圧する。押圧力flip(x)の強度を変化させながら試験片82の変形量を測定してバネ定数klip(x,flip(x))を算定する作業を、加圧体84による押圧の位置xを変化させた複数の場合について反復する。以上の試験によって、押圧力flip(x)とバネ定数klip(x,flip(x))との関係が位置x毎に実測される。
図15は、試験片82の特定の位置xを加圧体84で押圧した場合に観察された押圧力flip(x)とバネ定数klip(x,flip(x))との関係を示すグラフである。図15に示すように、試験片82のバネ定数klip(x,flip(x))は押圧力flip(x)の強度に応じて変化する。すなわち、押圧力flip(x)の強度が上昇するほどバネ定数klip(x,flip(x)は増加する。
以上の測定が完了すると、押圧力flip(x)とバネ定数klip(x,flip(x))との関係を近似する関数(例えばスプライン関数)が、複数の位置xの各々について特定される。さらに、物性値や寸法が相違する複数の試験片82について以上の作業が反復されることで、押圧力flip(x)の作用する位置xと押圧力flip(x)の強度とバネ定数klip(x,flip(x))との関係を規定する関数(以下「弾性関数」という)が複数種の唇MLの各々について特定される。各弾性関数は楽音合成装置100の記憶装置42に格納される。
利用者は、入力装置44を適宜に操作することで複数種の唇MLの何れかを選択する。図1の特性パラメータ変換部21は、利用者が選択した唇MLに対応する弾性関数を記憶装置42から取得し、キースケール処理で算定した押圧力flip(x)を弾性関数に代入することでバネ定数klip(x,flip(x))を算定する。特性パラメータ変換部21が算定したバネ定数klip(x,flip(x))は、リード模擬部31(第1演算部311および第2演算部312)による演算に使用される。
以上に説明したように、本形態においては、押圧力flip(x)が作用する位置xに加えて押圧力flip(x)の強度によってもバネ定数klip(x,flip(x))が変化する。すなわち、演奏時に歯から唇に作用する押圧力(flip(x))の強度や唇に対する歯の位置(x)に応じて楽音が変化するという実際の管楽器と同様の作用が忠実に再現される。したがって、様々な奏法に対応した多様な楽音を忠実に合成できるという利点がある。
なお、以上においては試験片82に対して部分的に押圧力flip(x)を作用させたが、試験片82の上面の全域に対して均等に押圧力flip(x)を作用させてバネ定数klip(x,flip(x))を測定する方法も採用される。以上の方法を採用した場合には、押圧力flip(x)に応じて可変であるが位置xに依存しないバネ定数klip(x,flip(x))が弾性関数によって規定される。したがって、歯から唇に作用する押圧力に応じて楽音が変化するという作用を再現することが可能である。
<C:第3実施形態>
唇サンプルやリードサンプルを使用した第1実施形態においては、唇MLの内部抵抗μlip(x)やリードの内部抵抗μreed(x)は位置xに依存しない固定値となる。本発明の第3実施形態においては、内部抵抗μlip(x)や内部抵抗μreed(x)を位置xに応じて変化させる。
唇MLの内部抵抗μlip(x)を定義する式(a3)のうち唇サンプルの横幅blip_sampleを、位置xに応じた横幅blip(x)に置換すると、以下の式(a3-1)が導出される。
Figure 0005332296

同様に、リードMRの内部抵抗μreed(x)については、位置xに応じて変化するリードMRの断面積A(x)およびバネ定数kreed(x)を変数とする以下の式(a4-1)が導出される。
Figure 0005332296

図16は、本形態に係る特性パラメータ変換部21のブロック図である。図16に示すように、特性パラメータ変換部21は、唇MLの物性値や寸法(tanδlip,blip(x),ρlip,Elip)について式(a3-1)の演算を実行することで位置xに応じた内部抵抗μlip(x)を算定する。式(a3-1)の横幅blip(x)は、第1実施形態と同様に、音高fnからキースケール処理で算定される。
また、特性パラメータ変換部21は、図16に示すように、リードMRの物性値(tanδreed,ρreed,A(x),kreed(x))について式(a4-1)の演算を実行することで、位置xに応じた内部抵抗μreed(x)を算定する。形状パラメータ変換部23が式(b2)の演算で算定した断面積A(x)が式(a4-1)の演算に使用される。式(a4-1)におけるリードMRのバネ定数kreed(x)[N/m]としては、例えば記憶装置42に格納された数値や入力装置44から指示された数値が使用される。
以上の手順で算定された内部抵抗μlip(x)および内部抵抗μreed(x)が、第2演算部312による運動方程式Bの演算で使用される。本形態においては、唇MLの内部抵抗μlip(x)およびリードMRの内部抵抗μreed(x)が位置xに応じて変化するから、両者が固定値に設定された構成(例えば第1実施形態)と比較して、実際の管楽器の楽音を忠実に再現することが可能である。
<D:第4実施形態>
唇MLやリードMRの変形が小さい場合(すなわち弾性限界内で変形する場合)、内部抵抗μlip(x)および内部抵抗μreed(x)を位置xのみに依存させた第3実施形態でも管楽器の楽音を忠実に再現することが可能である。しかし、唇MLやリードMRの変形が大きい場合(すなわち変形が弾性限界外に到達した場合)、唇MLの内部抵抗μlip(x,flip(x))は、位置xに加えて唇MLに対する押圧力flip(x)にも依存し、リードMRの内部抵抗μreed(x,freed(x))は、位置xに加えてリードMRに対する押圧力freed(x)にも依存する。
図17は、リードMRに作用する押圧力freed(x)とリードMRの変位(変形量)との関係を示すグラフである。図17に示すように、押圧力freed(x)が所定値fTHを上回ると(すなわち弾性限界に到達すると)、リードMRの変位は、押圧力freed(x)の強度に応じて非線形に変化するようになる。すなわち、押圧力freed(x)の強度が上昇するほどバネ定数klip(x,flip(x))は減少する(変形し易くなる)。なお、唇MLからリードMRに作用する押圧力freed(x)は、リードMRから唇MLに作用する押圧力flip(x)と同等であるから、以下の説明では押圧力freed(x)を便宜的に押圧力flip(x)として表記する。
唇MLの内部抵抗μlip(x,flip(x))は以下の式(a3-2)で定義される。式(a3-2)のバネ定数klip(x,flip(x))は押圧力flip(x)の関数であるから、内部抵抗μlip(x,flip(x))は、位置xと押圧力flip(x)とに応じて変化する。同様に、リードMRの内部抵抗μreed(x,flip(x))は、以下の式(a4-2)で定義されるように、位置xと押圧力flip(x)(バネ定数kreed(x,flip(x)))とに応じて変化する。
Figure 0005332296


Figure 0005332296

図18は、本形態に係る特性パラメータ変換部21のブロック図である。図18に示すように、特性パラメータ変換部21は、2種類のテーブル(Tlip,Treed)を保持する。テーブルTlipは、押圧力flip(x)と唇MLのバネ定数klip(x,flip(x))とを対応させる。テーブルTreedは、押圧力flip(x)(=freed(x))とリードMRのバネ定数kreed(x,flip(x))とを対応させる。テーブルTlipやテーブルTreedの内容は、例えば実際の唇やリードに押圧力を作用させた実験の結果に応じて設定される。特性パラメータ変換部21は、キースケール処理で算定した押圧力Flip(x)を歯MTの長さlteethで除算することで算定した単位長あたりの押圧力flip(x)に対応するバネ定数klip(x,flip(x))をテーブルTlipから検索し、押圧力flip(x)に対応するバネ定数kreed(x,flip(x))をテーブルTreedから検索する。
特性パラメータ変換部21は、テーブルTlipから検索したバネ定数klip(x,flip(x))と唇MLの物性値(mlip(x),tanδlip)とについて式(a3-2)の演算を実行することで、位置xと押圧力flip(x)とに応じた内部抵抗μlip(x,flip(x))を算定する。式(a3-2)における質量の分布mlip(x)は、第1実施形態と同様に、横幅blip(x)と密度ρlipとの乗算値である。また、特性パラメータ変換部21は、テーブルTreedから検索したバネ定数kreed(x,flip(x))とリードMRの物性値や寸法(tanδreed,ρreed,A(x))とについて式(a4-2)の演算を実行することで、位置xと押圧力flip(x)とに応じた内部抵抗μreed(x,flip(x))を算定する。
以上の手順で算定された内部抵抗μlip(x,flip(x))および内部抵抗μreed(x,flip(x))が、第2演算部312による運動方程式Bの演算で使用される。本形態においては、内部抵抗μlip(x,flip(x))および内部抵抗μreed(x,flip(x))が位置xおよび押圧力flip(x)の強度に応じて変化するから、各内部抵抗が固定値に設定された構成(第1実施形態)や位置xのみに依存する構成(例えば第3実施形態)と比較して、実際の管楽器の楽音を忠実に再現することが可能である。なお、以上においては唇MLやリードMRの変形が弾性限界外である場合を想定したが、弾性限界内の変形しか想定しない場合にも、図18の構成を採用することは可能である。
<E:変形例>
以上の形態には以下に例示するような様々な変形を加えることができる。なお、以下の例示から2以上の態様を任意に選択して組合わせてもよい。
(1)変形例1
以上の各形態においては、利用者が入力したパラメータを特性パラメータ変換部21や形状パラメータ変換部23が楽音の合成に必要なパラメータに変換する構成を例示したが、合成部14による演算に使用される各種のパラメータを利用者が直接的に入力する構成も採用される。例えば、図12においてはアンブシュアや運指に関するパラメータをキースケール処理で算定する構成を例示したが、アンブシュアや運指に関するパラメータを利用者が入力装置44から直接的に演算処理装置10に指示する構成も好適である。
(2)変形例2
以上の各形態においてはリードMRのヤング率Ereedと断面二次モーメントI(x)との乗算値を曲げ剛性Stiff(x)として算定したが、実測の結果から曲げ剛性Stiff(x)を特定する構成も好適である。例えば、リードMRを模した試験片の各位置xに押圧力を作用させたうえで試験片の変位を測定した結果から曲げ剛性Stiff(x)を算定し、位置xと曲げ剛性Stiff(x)との関係を近似する関数(以下「剛性関数」という)を作成する。物性値や寸法が相違する複数種のリードMRについて剛性関数が以上の手順で順次に生成されて記憶装置42に格納される。演算処理装置10のリード模擬部31(第1演算部311や第2演算部312)は、複数種のリードMRのうち何れか(例えば利用者が選択したリードMR)に対応する剛性関数を記憶装置42から取得して演算に使用する。以上の構成によっても第1実施形態や第2実施形態と同様の効果が奏される。
(3)変形例3
第2演算部312の算定した変位y(x,t)から楽音を合成する方法は任意である。例えば、トーンホールやベルの内外の境界における音波の損失の模擬を省略した構成も採用される。
本発明の実施形態に係る楽音合成装置のブロック図である。 リード模擬部が模擬する管楽器のリードの近傍を示す概念図である。 管楽器の吹奏時における唇とリードとの接触の模式図である。 リード模擬部のブロック図である。 X方向の位置の離散化について説明する概念図である。 管楽器の管体部の模式図である。 管体モデルのブロック図である。 管体モデルにおけるベル部のブロック図である。 管体モデルにおける接続部のブロック図である。 管体モデルにおけるトーンホール部のブロック図である。 伝達模擬部のブロック図である。 特性パラメータ変換部のブロック図である。 形状パラメータ変換部のブロック図である。 唇のバネ定数を実測する構成の模式図である。 唇(試験片)に作用する押圧力とバネ定数との関係を示すグラフである。 第3実施形態における特性パラメータ変換部のブロック図である。 リードに作用する押圧力と変形量との関係を示すグラフである。 第4実施形態における特性パラメータ変換部のブロック図である。
符号の説明
100……楽音合成装置、10……演算処理装置、12……設定部、14……合成部、21……特性パラメータ変換部、23……形状パラメータ変換部、31……リード模擬部、311……第1演算部、312……第2演算部、313……第3演算部、314……第4演算部、32……範囲制限部、33……管体模擬部、35……伝達模擬部、42……記憶装置、44……入力装置、46……放音装置。

Claims (8)

  1. 吹奏時に唇に接触するリードの振動に応じて発音する管楽器の楽音を合成する装置であって、
    外力が唇に作用した平衡時におけるリードの挙動を表わす第1運動方程式と前記平衡時における唇の挙動を表わす第2運動方程式とを解くことで前記平衡時における前記唇の変位および前記リードの変位を算定する第1演算手段と、
    前記第1演算手段による算定の結果を前記唇の変位および前記リードの変位の初期値として前記唇と前記リードとが相互に連成的に振動する連成振動を表現する運動方程式を解くことで前記リードの変位を算定する第2演算手段と、
    前記第2演算手段が算定した変位に基づいて楽音を合成する楽音合成手段と
    を具備する楽音合成装置。
  2. 前記唇に作用する外力の強度が変化するたびに、
    前記第1演算手段は、変化後の外力の強度に対応した前記唇の変位を前記第1運動方程式および前記第2運動方程式に基づいて算定し、
    前記第2演算手段は、前記第1演算手段が算定した前記唇の変位を前記連成振動の運動方程式に代入することで前記リードの変位を算定する
    請求項1の楽音合成装置。
  3. 前記第1運動方程式および前記第2運動方程式は、前記唇における位置と押圧力の強度とに応じて変化する前記唇のバネ定数を含む
    請求項1または請求項2の楽音合成装置。
  4. 前記第1運動方程式は、前記リードの位置に応じて変化する曲げ剛性を含む
    請求項1から請求項3の何れかの楽音合成装置。
  5. 前記第2演算手段は、前記リードの変位を所定の範囲内に制限する
    請求項1から請求項4の何れかの楽音合成装置。
  6. 前記連成振動の運動方程式は、前記唇における位置に応じて変化する当該唇の内部抵抗と、前記リードにおける位置に応じて変化する当該リードの内部抵抗との少なくとも一方を含む
    請求項1から請求項5の何れかの楽音合成装置。
  7. 前記連成振動の運動方程式は、前記唇における位置および当該唇に作用する押圧力の強度に応じて変化する当該唇の内部抵抗と、前記リードにおける位置および当該リードに作用する押圧力の強度に応じて変化する当該リードの内部抵抗との少なくとも一方を含む
    請求項1から請求項5の何れかの楽音合成装置。
  8. 吹奏時に唇に接触するリードの振動に応じて発音する管楽器の楽音を合成するためのプログラムであって、
    外力が唇に作用した平衡時におけるリードの挙動を表わす第1運動方程式と前記平衡時における唇の挙動を表わす第2運動方程式とを解くことで前記平衡時における前記唇の変位および前記リードの変位を算定する第1演算処理と、
    前記第1演算処理による算定の結果を前記唇の変位および前記リードの変位の初期値として前記唇と前記リードとが相互に連成的に振動する連成振動を表現する運動方程式を解くことで前記リードの変位を算定する第2演算処理と、
    前記第2演算処理で算定した変位に基づいて楽音を合成する楽音合成処理と
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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